JP2009197354A - 溶融紡糸口金パック - Google Patents
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Abstract
【課題】 溶融紡糸用パックのポリマー通路の位置決めする方法について、常温にて溶融紡糸用パック部材を組み立て、位置決めする時は、位置決めの役目をするが、溶融紡糸温度に達すると、部材の熱膨張差の影響を受けることなく、また解体時の作業が容易となり、部材に変形・傷などを与えないことによりポリマーが漏れたり、滲みだしたりしない良好な溶融紡糸用パックを提供するものである。
【解決手段】 ポリマー濾過機能を有する複数の濾層を独立に有した複合繊維用の紡糸口金パックにおいて、各ポリマー通路が一致するように位置決めするためのピンを、吐出するポリマーの溶融温度で溶融する素材とすることを特徴とする溶融紡糸用パック。
【選択図】図6
【解決手段】 ポリマー濾過機能を有する複数の濾層を独立に有した複合繊維用の紡糸口金パックにおいて、各ポリマー通路が一致するように位置決めするためのピンを、吐出するポリマーの溶融温度で溶融する素材とすることを特徴とする溶融紡糸用パック。
【選択図】図6
Description
本発明は、ポリエステル、ポリアミド等の熱可塑性合成樹脂を原料とする複合繊維を溶融紡糸するための溶融紡糸口金パックに関する。
一般に、ポリエステル、ポリアミド等の熱可塑性合成樹脂からなる合成繊維を溶融紡糸する際に、紡糸口金パックが使用される。このような紡糸口金パックとしては、ポリマーの漏洩が生じたり、ポリマー通路の繋ぎ部のずれによる不良滞留部が生じたり、加熱斑が生じたり、あるいは紡糸口金に穿設された各吐出孔へのポリマーの不均一な分配が生じたりしないようにすることが求められる。このような問題に対処するために、工業的に用いられる紡糸口金パックは、一般的に複雑な構造を有しおり、しかも、このような複雑な溶融紡糸口金パックを組み立て、これを紡糸ブロックに取り付け、紡糸した後また解体・洗浄するのは、煩雑かつ細心の注意を要する作業である。
そこで、組み立て作業の簡易化と紡糸ブロックへの取り付けの簡易さを追求した紡糸口金パックおいて、紡糸口金パック自体に、紡糸口金、濾過部材、シール部材、ポリマー分配部品などを小型化して一体として紡糸口金パック内に収容可能とすると共に、紡糸ブロックへの取り付けも容易にできる技術が提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、この技術は単一成分のポリマーを紡糸するための紡糸口金パックに関するものであって、複数成分のポリマーを溶融紡糸口金パック内へ導いて、複合繊維(コンジュゲート繊維)を紡糸するための溶融紡糸口金パックに関するものではない。一般に、溶融紡糸口金パックにおいて、単一成分のポリマーのみを溶融紡糸する場合と比較すると、その紡糸口金パックの構造が一段と複雑化する。例えば、複数成分のポリマーを同時に取り扱うことが必須となることに伴って、これらの複数成分のポリマーが溶融紡糸口金パックから漏れることを防止することに配慮しなければならない。また、ポリマー通路も複雑な上それぞれの位置をずれることなく締結しなければならない。更に、本溶融紡糸口金パックを使用し生産した後、個々の部品に解体して洗浄する必要がある。この作業が、部品点数が多いために煩雑で重大な問題がある。
前記ポリマー通路の位置をずれることなく締結する方法として、図にてピンを提案しているが材質の記載はなく、通常安価な鉄製を使用するものと考えられる。(特許文献2及び3参照)。
位置決めピンの材質を鉄製にした場合、次の問題が発生する。先ず、通常の合成繊維の紡糸温度は200℃以上であるのでパック部材は、熱膨張する。また、耐摩耗性とか加工性など要求によって材質が異なるものを組み合わせることが多い。例えば、耐圧ブロック上6、耐圧ブロック7の材質はSUS420j2と口金8の材質はSUS630など。また、口金の中でもSUS630とSUS316の組み合わせがある。この場合は、特に熱膨張係数が異なる。伸びやすい材質とそうでない材質のずれが位置決めピンに力として掛かる。この時ピン穴が変形してしまう。この変形によりシール不良となりポリマー漏れや滲みだしといった重大な問題となる。
一方、解体時はパックボデー1から内容部材を出して、それぞれの部材に解体する。その時、ポリマーが固まっていたり、ピンの嵌め合いが固かったりすると解体が困難で、かつ部材を変形させたり傷を付けたりする。これも前記同様の重大な問題となる。
一方、ポリマー通路の位置をずれることなく締結する方法として、図にてボルトを提案しているが、材質はこれも記載なく、通常安価な鉄製を使用すると考えられる(特許文献4参照)。
その他は、複合紡糸口金パックの提案にも関わらず締結方法すら記載されていない。(特許文献5参照)。
特開昭60−252710号公報(第57頁、第1図)
特開平9−67713号公報(第8頁、第1図)
特開平8−27616号公報(第4頁、第1図)
特開平5−263307号公報(第6頁、第1図)
特開2000−248421号公報(第7頁、第1図)
したがって、本発明は、複合紡糸口金パックのポリマー通路の位置決めする方法について、常温にて複合紡糸口金パック部材を組み立て、位置決めする時は、位置決めの役目をするが、溶融紡糸温度に達すると、部材の熱膨張差の影響を受けることなく、また解体時の作業が容易となり、部材に変形・傷などを与えないことによりポリマーが漏れたり、滲みだしたりしない良好な溶融紡糸口金パックを提供するものである。
上述した本発明の目的は、以下の(1)記載の構成とすることによって達成することができる。
(1)複数のポリマー濾層を、各ポリマー毎に独立に有した複合繊維用の紡糸口金パックにおいて、各ポリマー通路が一致するように位置決めするためのピンを、吐出するポリマーの溶融温度で溶融するポリマーとすることを特徴とする溶融紡糸口金パック。
(1)複数のポリマー濾層を、各ポリマー毎に独立に有した複合繊維用の紡糸口金パックにおいて、各ポリマー通路が一致するように位置決めするためのピンを、吐出するポリマーの溶融温度で溶融するポリマーとすることを特徴とする溶融紡糸口金パック。
かかる本発明の溶融紡糸用パックは、更に、以下(2)から(5)記載の好ましい態様を持つ。
(2) ピンのポリマーを、紡糸ポリマーと同系素材することを特徴とする請求項1記載の溶融紡糸口金パック。
(3) ピン形状を、中空のパイプ形状とすることを特徴とする請求項1記載の溶融紡糸口金パック。
(4) ピンを差し込む穴に、ガス抜きまたはポリマー抜きができる逃がし穴を有することを特徴とする請求項1記載の溶融紡糸口金パック。
(5) ピンを差し込む穴の上部に、逃がし穴を有することを特徴とする請求項4記載の溶融紡糸口金パック。
(2) ピンのポリマーを、紡糸ポリマーと同系素材することを特徴とする請求項1記載の溶融紡糸口金パック。
(3) ピン形状を、中空のパイプ形状とすることを特徴とする請求項1記載の溶融紡糸口金パック。
(4) ピンを差し込む穴に、ガス抜きまたはポリマー抜きができる逃がし穴を有することを特徴とする請求項1記載の溶融紡糸口金パック。
(5) ピンを差し込む穴の上部に、逃がし穴を有することを特徴とする請求項4記載の溶融紡糸口金パック。
本発明によれば、複合紡糸口金パックのポリマー通路の位置決めする方法について、常温にて複合紡糸口金パック部材を組み立て、位置決めする時は、位置決めの役目をするが、溶融紡糸温度に達すると、部材の熱膨張差の影響を受けることなく、また解体時の作業が容易となり、部材に変形・傷などを与えないことによりポリマーが漏れたり、滲みだしたりしない良好な溶融紡糸用パックを提供するものである。
以下、本発明の溶融紡糸用パックについて、図面等に基づいて説明する。
図1は、本発明の溶融紡糸口金パックを説明するために例示した模式説明図であって、概略正面を示す。この図において、矢印で示したポリマーの導入方向を示し、パックボデー1、リングナット2、蓋3、パッキン4、位置決めピン5、耐圧ブロック上6、耐圧ブロック下7、口金8、ポリマー通路9、濾材10、フィルター11のとおり組み立てる。
位置決めピンの材質は、生産紡糸条件温度にて溶融するポリマーが良い。更には、溶融したピンが何らかの原因で濾層やポリマー通路に入ったとしても影響の少ない、紡糸ポリマーと同系素材(同系成分の材質であり粘度など異なっても可)を使用することが望ましい。
更には、このピンの形状を図3に示すとおり中空のパイプ形状とすることが次の点で望ましい。溶融する量が少なく、ガスの発生やピン差し込み穴内の圧力が低くなる。使用原料が少なく安価となる。
更には、図5のように溶融したピンポリマーを穴の外に逃がす穴を設けることで、溶融したピンポリマーがガス化してピン差し込み穴内の圧力上昇を抑制して、ポリマーの滲み出しを防止することができる。
更には、図6に示すように逃がし穴を上部に設けることが望ましい。逃がし穴が上部にあると、溶融したピンポリマーはガス化して抜けやすくなる。逃がし穴が下部にある場合は、溶融したピンポリマーはそのまま隙間14に流れ出て炭化する。
また、複合成分が多くなると、耐圧ブロックが増えるので位置決めする箇所が増える。更に、口金も枚数が増えるので同様に位置決めする箇所が増えるので更に効果的である。
パック部材の材質はSUS420j2、口金の材質はSUS316を使用し、濾過径φ60、濾過層深さ20mmのモランダムサンド材からなる濾層を配し、ピン差し込み穴の上部に逃がし穴を設けた。位置決めピンの材質をポリエチレンテルフタレートとし、外径5mm、内径3mm、長さ10mm、重さ0.17gのパイプ形状とした。
固有粘度(IV)0.7のポリエチレンテルフタレートと固有粘度(IV)0.5のポリエチレンテルフタレートとを、それぞれ吐出量20g/分で溶融押し流し、紡糸温度295℃で複合紡糸した。
紡糸パックの位置決め・固定は問題無く、溶融時発生したガスも上部の逃がし穴から抜けたので濾層部への入り込みも無く滲み出しは全くなかった。解体時も、既にピンは溶けていたため容易に解体することができた。
1:パックボデー
2:リングナット
3:蓋
4:パッキン
5:位置決めピン
6:耐圧ブロック上
7:耐圧ブロック下
8:口金
9:ポリマー通路
10:濾材
11:フィルター
12:空洞
13:逃がし穴
14:隙間
2:リングナット
3:蓋
4:パッキン
5:位置決めピン
6:耐圧ブロック上
7:耐圧ブロック下
8:口金
9:ポリマー通路
10:濾材
11:フィルター
12:空洞
13:逃がし穴
14:隙間
Claims (5)
- 複数のポリマー濾層を、各ポリマー毎に独立に有した複合繊維用の紡糸口金パックにおいて、各ポリマー通路が一致するように位置決めするためのピンを、吐出するポリマーの溶融温度で溶融するポリマーとすることを特徴とする溶融紡糸口金パック。
- ピンのポリマーを、紡糸ポリマーと同系素材することを特徴とする請求項1記載の溶融紡糸口金パック。
- ピン形状を、中空のパイプ形状とすることを特徴とする請求項1記載の溶融紡糸口金パック。
- ピンを差し込む穴に、ガス抜きまたはポリマー抜きができる逃がし穴を有することを特徴とする請求項1記載の溶融紡糸口金パック。
- ピンを差し込む穴の上部に、逃がし穴を有することを特徴とする請求項4記載の溶融紡糸口金パック。
Priority Applications (1)
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JP2008038453A JP2009197354A (ja) | 2008-02-20 | 2008-02-20 | 溶融紡糸口金パック |
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Citations (3)
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JPS4113523Y1 (ja) * | 1965-10-01 | 1966-06-25 | ||
JPS4714167Y1 (ja) * | 1969-07-28 | 1972-05-23 | ||
JPS5966509A (ja) * | 1982-10-07 | 1984-04-16 | Tanaka Kikinzoku Kogyo Kk | 複合糸紡糸用口金 |
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2008
- 2008-02-20 JP JP2008038453A patent/JP2009197354A/ja active Pending
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