JP2009197271A - 溶製合金鋼およびそれを用いた金型 - Google Patents

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【課題】耐摩耗性および疲労特性を向上させた合金鋼、材料組織中の炭化物や介在物などに起因する割れなどを抑制した金型を提供する。
【解決手段】重量%で、C:0.6〜1.0%、Si:2.0%以下、Mn:1.0%以下、Cr:3.5〜6.5%、Mo:5.0%以下、W:3.5%以下、V:1.8〜4.0%、Co:0.1〜5.5%、N:100ppm以下を含み、残余がFe及び不可避不純物からなる溶製合金鋼の鍛造・圧延軸に平行な任意の断面において、合金中に含有する第1のMC型炭化物の大きさと面積率を制御する。また、第2のMC型炭化物とMC型炭化物から成る凝集体の大きさを制御する。さらに、CaOを主成分とする非金属介在物の大きさと量を一定量に制限する。
【選択図】なし

Description

CrやMoなどを含有する溶製合金鋼およびそれを用いた金型に関する。
高い応力や衝撃を受けるパンチやダイ等の金型用材料としては、SKS3などの炭素工具鋼やSKD11などの合金工具鋼が一般的であり、さらに加工条件の過酷な用途や量産用の金型には、SKH51などの高速度工具鋼が広く使用されている。中でも、金型用の高速度工具鋼については、一般的な溶製高速度工具鋼のほかに、粉末高速度工具鋼やマトリックスハイスなども用途に応じて使用されている。
しかしながら、近年、冷間塑性加工の分野において、被加工材の難加工材化や複雑形状化が一層進展し、使用される金型にかかる負担もさらに過酷なものとなっている。そのため、従来の工具鋼では必ずしも十分な金型寿命が得られない状況が発生し、より高性能な材料を求めるニーズが強まっている。
そのような状況の中、例えば、特許文献1では鋼中のCa量を調整することにより、被削性の優れた冷間ダイス金型用鋼が開示されている。また、特許文献2ではPとNを制限すると同時に、MC型炭化物の大きさと量を制御することにより、耐摩耗性と靱性を両立した材料が開示されている。さらに、発明者等が先に出願した特許文献3においては、炭化物の大きさと形状を制御したり、PVDによるチタンコーティングすることにより、長寿命の金型が得られる旨が開示されている。
特開2003−55743号公報 特許第3419536号公報 特開2006−89823号公報
しかしながら、特許文献1による冷間ダイス金型用鋼では、組織中の酸化物系介在物の量的制限がなされているものの、その大きさに関しては何ら示唆も開示もされていない。むしろ被削性改善のために一定の介在物の含有を認めているため、粗大化した介在物が1つでも存在すると、過酷な環境下で使用される金型に適用した場合にクラックの起点になるという問題があった。また、特許文献2および特許文献3では、WやMoなどの元素が規定量を超えるとMC型の特殊炭化物が発生し、MC型炭化物との粗大な凝集体が形成されて、特許文献1の場合と同様に金型へ適用させるとクラックの起点になる恐れがあった。さらに、非金属介在物の影響については、何ら示唆も開示もされていない。
本発明の課題は、前述した問題点に鑑みて、耐摩耗性および疲労特性を向上させた合金鋼を提供することである。また、材料組織中の炭化物や介在物などに起因する割れなどを抑制した金型を提供することである。
発明者等は、金型用途として使用される合金鋼の破壊のメカニズムについて鋭意研究を進めた結果、金型破損の一形態である疲労破壊の原因として3つの因子が決定的に影響していることを見出した。1点目は基地組織中に単独で存在する粗大なMC型炭化物(第1のMC型炭化物)の大きさと面積率、2点目は含有するMC型炭化物(第2のMC型炭化物)とMC型炭化物の微粒子が寄り集まってできた粗大な凝集体の大きさ、3点目は溶解時のスラグ等に起因とする粗大なCaOを主成分とする非金属介在物の大きさと量、である。
発明者等は、これら3つの因子が金型用途として使用される合金鋼の疲労破壊の主たる要因であり、優れた金型寿命を得るには3つの因子を同時に制御することが決定的に重要であることを見出した。すなわち、本発明においては、重量%で、C:0.6〜1.0%、Si:2.0%以下、Mn:1.0%以下、Cr:3.5〜6.5%、Mo:5.0%以下、W:3.5%以下、V:1.8〜4.0%、Co:0.1〜5.5%、N:100ppm以下を含み、残余がFe及び不可避不純物からなる溶製合金鋼の鍛造・圧延軸に平行な任意の断面において、基地組織中に単独で存在する第1のMC型炭化物の大きさが等価円直径で4〜20μmの範囲にあると同時にその面積率が3〜10%であること。また、第2のMC型炭化物とMC型炭化物から成る最大凝集体の大きさが等価円直径で4〜20μmの範囲にあること。さらに、CaOを主成分とする平均径で20μmを超える非金属介在物が10mm当たり1個以下であること、が要件となる。
以上の要件を具備した溶製合金鋼は、MC型炭化物やMC型炭化物などを制御することにより、耐摩耗性および疲労特性を向上させることができた。以下、本発明の要件である前述した3つの因子について順に説明する。
1点目の因子である「基地組織中に単独で存在する粗大なMC型炭化物(第1のMC型炭化物)の大きさと面積率」については、鍛造・圧延軸に平行な任意の断面において、第1のMC型炭化物の大きさを等価円直径で4〜20μmの範囲とした。その範囲を限定した理由は、MC型炭化物の大きさが等価円直径で4μm未満の場合、本発明に係る溶製合金鋼を金型に適用するとアブレッシブ摩耗により第1のMC型炭化物が素地と共に除去されやすいため、摩耗しやすくなる結果、金型寿命が短くなるためである。また、金型の使用環境が過酷な場合、摩耗面の凹凸が応力集中を招き、かえって早期割れを誘発することがある。アブレッシブ摩耗とは、摩擦面間に介在する異物により金型表面が削り取られる摩耗をいう。一方、第1のMC型炭化物の大きさが等価円直径で20μmを超えると、非常に脆くなり、第1のMC型炭化物を破壊起点とした割れを起こしやすくなるためである。ここで、本発明中の等価円直径とは、測定した粒子断面の面積を円の面積として置き換えた場合の円の直径をいい、コンピュータによる画像解析ソフトなどで求めることができる。また、本発明中の第1のMC型炭化物とは、基地組織中に単独で存在する炭化物をいうものとし、後述する最大凝集体を構成する第2のMC型炭化物とは別個の炭化物とする。
また、鍛造・圧延軸に平行な任意の断面における第1のMC型炭化物の面積率を3〜10%とした。その範囲を限定した理由は、第1のMC型炭化物の面積率が3%未満であると、アブレッシブ摩耗により金型の摩耗が進行しやすくなり、10%を超えると靱性の低下により金型に割れや欠けが発生しやすくなるからである。
2点目の因子である「含有するMC型炭化物(第2のMC型炭化物)とMC型炭化物の微粒子が寄り集まってできた粗大な凝集体の大きさ」については、第2のMC型炭化物とMC型炭化物から成る最大凝集体の大きさは、鍛造・圧延軸に平行な任意の断面において、等価円直径で4〜20μmの範囲とした。第2のMC型炭化物とMC型炭化物の凝集体については、凝集体の等価円直径が4μm未満の場合、前述した第1のMC型炭化物同様にアブレッシブ摩耗により凝集体が素地と共に除去されやすいため摩耗しやすく、金型寿命が短くなる。また、金型の使用環境が過酷な場合、摩耗面の凹凸が応力集中を招き、かえって早期割れを誘発するためである。一方、凝集体の等価円直径が20μmを超えると、非常に脆くなり、凝集体を破壊起点とした割れを起こしやすくなるためである。ここで、本発明中の凝集体とは、等価円直径で2μm前後の大きさの第2のMC型炭化物とMC型炭化物の微粒子がランダムに凝集しており、ナイタールなどの一般的な腐食液でミクロ組織観察をした場合に一つの粗大な炭化物に見えるものをいう。これは、村上試薬(フェロシアン化カリと苛性カリから成る腐食液)などの特殊な腐食液を用いると凝集体であることが判別できる。
3点目の因子である「溶解時のスラグ等に起因とする粗大なCaOを主成分とする非金属介在物の大きさと量」については、鍛造・圧延軸に平行な任意の断面において、CaOを主成分とし、平均径で20μmを超える非金属介在物が10mm当たり1個以下であることとした。CaOを主たる成分として平均径で20μmを超える大きさの非金属介在物が10mmあたり1個を超えると、疲労破壊が容易に発生するようになるため、非金属介在物は10mmあたり1個以下に制限した。ここで、本発明中の平均径とは、粒子の長手方向の長さとそれに直角な方向の長さをそれぞれ2乗した後、和したものの平方根をいう。また、本発明中の「CaOを主成分とする」とは、基地組織中の非金属介在物において、CaOの含有量が最も高いことをいうものとする。
請求項2に係る発明においては、請求項1に記載の溶製合金鋼により作製した金型を用いることにより、第1および第2のMC型炭化物およびMC型炭化物やCaOを主成分とする非金属介在物に起因するクラックなどの発生を抑制する。
以上のべたように、本発明においては、溶製合金鋼中に含有する粗大なMC型炭化物(第1のMC型炭化物)の大きさと面積率、MC型炭化物(第2のMC型炭化物)とMC型炭化物の微粒子が寄り集まってできた粗大な凝集体の大きさ及びCaOを主成分とする非金属介在物の大きさと量を一定量に制限することで耐摩耗性および疲労特性が向上したので、冷間加工用の金型などへの広範な用途展開が可能となった。
また、請求項2に係る発明においては、請求項1に記載の溶製合金鋼により作製した金型を用いることで第1および第2のMC型炭化物およびMC型炭化物やCaOを主成分とする非金属介在物に起因するクラックなどの発生を抑制したので、金型の長寿命化を実現できた。
以下、本発明に係る溶製合金鋼の成分範囲について、その限定理由を説明する。
Cは、第1および第2のMC型炭化物を形成し、耐摩耗性を改善する役割があるが、C量があまりに多いと靱性が低下する。そこで、C量は0.6〜1.0%に限定した。
Si及びMnは、脱酸剤として添加するが、Si及びMnの量があまりに多いと靱性が低下する。そこで、Si及びMnの重量比をSi:2%以下、Mn:1%以下に限定した。
Crは、焼入れ性を高めるため3.5〜6.5%添加される。Cr量が3.5%よりも少ないと焼入れ性が低下し、6.5%を超えると全体の靭性を低下させる。
Mo及びWは、MC型炭化物を形成し、耐摩耗性を改善する。しかし、Mo及びWの量があまりに多いと靱性が低下するので、Mo:5%以下、W:3.5%以下とした。
Vは、MC型炭化物を形成し、耐摩耗性を著しく高めるが、あまりに多いと靱性と被研削性の低下を招くため、V量は1.8〜4.0%とした。
Coは、鋼の耐熱性を高めて、熱処理硬度を高くする作用があるが、多すぎると靱性を低下させ、熱間加工性も悪化させるため、Co量は0.1〜5.5%に限定した。
Nは、MC型炭化物のサイズを大きくし、靱性および被研削性を著しく悪化させるため、N量は100ppm以下に限定した。
本発明に係る溶製合金鋼により冷間加工用金型を作製して、その金型寿命を確認するために打ち抜き加工試験を行ったので、その結果について説明する。本実施例に使用した金型の鋼材は、本発明に係る化学成分および第1のMC型炭化物の最大粒子の等価円直径などの材料履歴がそれぞれ異なる溶製合金鋼6種類と本発明外の比較鋼材12種類の計18種類とした。
表1は、本発明に係る溶製合金鋼(試験片番号:1〜6)および比較鋼材(試験片番号:7〜18)における、(1)化学成分、(2)第1のMC型炭化物の最大粒子の等価円直径A1(μm)及び第1のMC型炭化物の面積率A2(%)(鍛造、圧延軸と平行する断面での直径)、(3)第2のMC型炭化物とMC型炭化物から成る最大凝集体の等価円直径B(μm)(鍛造、圧延軸と平行する断面での直径)、(4)CaOを主成分とする平均径で20μmを超える大きさの非金属介在物の10mmあたりの個数C(鍛造、圧延軸と平行する断面での個数)を示したものである。
Figure 2009197271
表1に示す試験片に含有される炭化物等の確認作業は、金型から切り出した試料を鍛造、圧延軸と平行する面にて鏡面研磨して、腐食液で腐食(エッチング)することにより行った。また、MC型炭化物は10%クロム酸による電解腐食を用いて、MC型炭化物は村上試薬を用いて、CaOなどの非金属介在物はEPMA(X線マイクロアナライザー)を用いて、それぞれ識別した。また、等価円直径は、光学画像測定マイクロスコープを用いて測定した。
図1は、金型の打ち抜き加工試験に使用した金型形状を示すものである。当該金型は、表1に示す化学成分に調整された500kgの鋼塊から鍛造、圧延の熱間加工を経た直径50mmの棒鋼より採取し、図1に示す金型形状に加工した後、焼入焼戻しの熱処理を施して、ロックウェル硬さ(Cスケール)で約62HRCに調整した。
表1に示す化学成分など材料履歴が異なる本発明に係る溶製合金鋼6種類と本発明外の比較鋼材12種類の計18種類の鋼材を用いて、図1に示す形状の金型を作製して、打ち抜き加工試験を行った。本試験は、被加工物にバリが発生するまで連続して加工を行い、被加工物の加工個数を以って金型寿命を調査したものである。打ち抜き加工試験に用いた被加工物(ワーク)には日本工業規格(JIS)のG4053に規定されるクロムモリブデン鋼SCM420の板材(板厚:3.0mm)を用いた。表2は、本発明に係る溶製合金鋼および本発明外の比較鋼材により作製した図1に示す金型を用いて打ち抜き加工試験を行い、被加工物に一定の大きさのバリが発生するまでの加工個数と試験終了後に金型先端部に発生したチッピング個数およびチッピング最大幅を示すものである。チッピング個数が増加するか、またはチッピング最大幅が大きくなるほど、金型の破壊が進行していることを示す。また、被加工物のバリは、金型先端部のチッピングと摩耗とが合わさって被加工物へ転写された結果、発生するものであるため、金型のチッピングの発生を間接的に把握する指標となる。
Figure 2009197271
表2より、本発明に係る溶製合金鋼製の金型(試験片番号:1〜6)は、加工個数が27000〜30000個にまで達しており長期にわたる金型寿命を示す結果となった。一方、本発明外である比較鋼材製の金型(試験片番号:7〜18)の加工個数は10000〜21500個となり、本発明に係る溶製合金鋼製の金型寿命の1/3〜2/3を示すに留まった。中でも、本発明外の比較鋼材製の試験片のデータのみに着目すると、表1および表2より、金型の加工個数が10000〜15500個の範囲となった試験片番号10、11および13は、試験片に含有される第1のMC型炭化物の等価円直径A1がいずれも20μmを超えており、その面積率A2も10%を超えていた。一方、金型の加工個数が20000〜21500個の範囲であった試験片番号8、16および18については、等価円直径A1が20μm以内であり、その面積率A2も10%以内であった。以上の結果は、前述した本発明が具備すべき1点目の要件である、鋼材中の第1のMC型炭化物の大きさと面積率を制御することで金型寿命を長期化できることを裏付けるものとなった。
また、表1より本発明外の比較鋼材製の金型である試験片番号8、16および18は、第2のMC型炭化物とMC型炭化物から成る最大凝集体の等価円直径Bが20μmを超えているか、もしくはCaOを主成分とする平均径で20μmを超える大きさの非金属介在物の10mmあたりの個数Cが2個以上存在していた。一方、本発明に係る溶製合金鋼製の金型である試験片番号1〜6は、等価円直径Bが20μm以内であり、かつ個数Cも1個以下であった。打ち抜き加工試験の金型の加工個数(金型寿命)について比較すると、前述したように本発明外の比較鋼材製の試験片番号8、16および18の金型は20000〜21500個の範囲であるのに対して、本発明に係る溶製合金鋼製の試験片番号1〜6の金型は27000〜30000個であった。
以上の結果は、本発明が具備すべき2点目および3点目の要件である、含有する第2のMC型炭化物とMC型炭化物から成る凝集体の大きさ、およびCaOを主成分とする非金属介在物の大きさと量を制御することにより、前述の特許文献1および2に記載された金型用鋼および溶製材が有するクラックの起点となる因子を解消して、金型寿命の更なる長期化を実現した。また、前述の特許文献3に記載されている金型のように、PVDによるチタンコーティング等を施すことなく、金型寿命の長期化を実現した。
次に、本発明に係る溶製合金鋼の疲労強度を確認するために長期疲労試験を行ったので、その結果について説明する。本試験は、各試験片に対して超音波(20kHz)を発して高サイクルの繰返し引張・圧縮応力を与えることによって、短時間で疲労強度の測定ができる超音波疲労試験機を用いて行った。表3は、前述の500kgの鋼塊から採取した本発明に係る溶製合金鋼(試験片番号1〜6)および本発明外の比較鋼(試験片番号7〜18)の疲労強度測定結果を示す。
Figure 2009197271
表3の結果より、本発明に係る溶製合金鋼製の試験片(試験片番号1〜6)は、その10回での疲労強度が1200〜1386MPaを示した。一方、本発明外である比較鋼材製の試験片(試験片番号7〜18)は、一部の試験片を除いて、10回での疲労強度は667〜1140MPaの範囲となり、本発明に係る溶製合金鋼製の試験結果を下回った。比較鋼材製の試験片番号7、8および18については、1200〜1320MPaの疲労強度を示し、本発明に係る溶製合金鋼製の試験結果である1200〜1386MPaとほぼ同等であった。これは、試験片番号7および8は粉末冶金により作製した試験片(焼結合金)であり、溶解法により作製した場合に比べて、その炭化物が微細であったためと考えられる。また、試験片番号18の化学成分は、本発明に係る溶製合金鋼の化学成分の範囲と近似していたためと考えられる。
しかし、表2より金型使用後の金型表面に見られるチッピング個数とその最大幅については、本発明に係る溶製合金鋼製の試験片(試験片番号1〜6)に見られたチッピング個数が2〜4個であった。一方、粉末冶金により作製した本発明外である試験片番号7および8や化学成分が本発明の溶製合金鋼に類似している試験片番号18については、チッピング個数がそれぞれ16個、14個および19個であり、前述したように応力集中により金型破壊を起こす危険性が本発明に係る溶製合金鋼よりも高いことを示している。
以上の実施例の結果から、重量%で、C:0.6〜1.0%、Si:2.0%以下、Mn:1.0%以下、Cr:3.5〜6.5%、Mo:5.0%以下、W:3.5%以下、V:1.8〜4.0%、Co:0.1〜5.5%、N:100ppm以下を含み、残余がFe及び不可避不純物からなる溶製合金鋼の鍛造・圧延軸に平行な任意の断面において、溶製合金鋼中に含有する粗大なMC型炭化物(第1のMC型炭化物)の大きさと面積率、MC型炭化物(第2のMC型炭化物)とMC型炭化物の微粒子が寄り集まってできた粗大な凝集体の大きさ及びCaOを主成分とする非金属介在物の大きさと量を一定量に制限することで、耐摩耗性および疲労特性を向上させて、材料組織中の炭化物や介在物などに起因する割れ(クラック)を抑制した金型材料を提供することができた。
本発明の実施例1の金型打ち抜き加工試験にて使用した金型形状を示すものである。

Claims (2)

  1. 重量%で、C:0.6〜1.0%、Si:2.0%以下、Mn:1.0%以下、Cr:3.5〜6.5%、Mo:5.0%以下、W:3.5%以下、V:1.8〜4.0%、Co:0.1〜5.5%、N:100ppm以下を含み、残余がFe及び不可避不純物よりなる溶製合金鋼において、鍛造・圧延軸に平行な任意の断面中に、含有する第1のMC型炭化物の大きさが等価円直径で4〜20μmの範囲にあると同時にその面積率が3〜10%であり、かつ第2のMC型炭化物とMC型炭化物から成る最大凝集体の大きさが等価円直径で4〜20μmの範囲にあり、かつCaOを主成分として平均径で20μmを超える非金属介在物が10mm当たり1個以下である溶製合金鋼。
  2. 請求項1に記載の溶製合金鋼により作製されることを特徴とする金型。
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