JP2009196490A - 歩行者衝突検知装置及び歩行者保護システム - Google Patents

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Abstract

【課題】歩行者の体重や車両の走行状況に拘わらず歩行者との衝突を正確に検知することが可能な歩行者衝突検知装置を提供する。
【解決手段】車両の前端部に設置された複数の加速度センサと、前記複数の加速度センサの出力信号をそれぞれ1次積分または2次積分する積分回路と、前記積分回路によって算出された各加速度センサに対応する積分値同士の関連性を基に判別される歩行者の状態及び加速度センサの出力変化要因に応じて、衝突判定閾値を各加速度センサ毎に設定する衝突判定閾値設定回路と、前記積分回路によって算出された各加速度センサに対応する積分値と、前記衝突判定閾値設定回路によって設定された衝突判定閾値とを比較し、少なくとも1つの加速度センサに対応する積分値が前記衝突判定閾値を越えた場合に歩行者と衝突したと判定する衝突判定回路と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、歩行者衝突検知装置及び歩行者保護システムに関する。
走行中の車両が歩行者に衝突した場合、車両のフロントバンパと歩行者の下半身とが衝突するため、歩行者は車両のフード上に跳ね上げられて頭部をフード表面に強打してしまい、深刻な傷害を負う恐れがある。特に、フロントエンジンタイプの車両では、デザイン上の制約からフード(エンジンフード)とエンジンルームに配置された部品との間に十分な空間を確保できない場合があり、頭部への衝撃の度合いは大きくなる。このように車両と歩行者との衝突事故が発生した場合に歩行者の傷害を軽減するために、車両が歩行者と衝突した際にエンジンフードの後端を持ち上げることにより、エンジンフードとエンジンルームに配置された部品との間に空間を生じさせ、歩行者の頭部への衝撃を緩和する技術が開発されている。
例えば、下記特許文献1には、走行中の車両が歩行者に衝突した場合に、フードを所定量持ち上げると共に、その持ち上げた位置にて保持する車両用フード装置が開示されている。また、下記特許文献2には、車両のフロントバンパに第1バンパセンサ〜第3バンパセンサ(加速度センサ)を設け、第1バンパセンサの出力信号を基に算出した変形速度と第2バンパセンサの出力信号を基に算出した変形速度との加算値を所定の閾値と比較すると共に、第2バンパセンサの出力信号を基に算出した変形速度と第3バンパセンサの出力信号を基に算出した変形速度との加算値を所定の閾値と比較し、いずれか一方の加算値が閾値を越えた場合にアクチュエータを作動させてフードを持ち上げる車両用センサシステムが開示されている。
特開平9−315266号公報 特開2002−87204号公報
上述したように、従来技術(特に特許文献2の技術)は、車両のフロントバンパの幅方向に配置された3つの加速度センサ(第1バンパセンサ〜第3バンパセンサ)の出力信号を基に算出した変形速度の加算値が、ある一定の閾値を越えた場合に歩行者と衝突したと判定してフードを持ち上げるものである。
しかしながら、衝突時において車両前端部で検出される加速度は、歩行者の体重や車両の走行状況などの要因によって大きく変化するため、上記従来技術のようにある一定の閾値との比較判定を行うと正確に衝突を判定できない場合がある。例えば、同じ車速でも大人に衝突した場合と子供に衝突した場合との加速度変化は大きく異なるため、単純な閾値判定では衝突を正確に判定することは困難である。また、体重の軽い子供との衝突による加速度変化は、悪路走行時やABS作動時の振動による加速度変化と区別しにくく、誤判定によって走行中にフードが持ち上がったり、実際に子供と衝突した場合であってもフードが持ち上がらない恐れもある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、歩行者の体重や衝突位置により車両の走行状況に拘わらず歩行者との衝突を正確に検知することが可能な歩行者衝突検知装置を提供すると共に、当該歩行者衝突検知装置を備えることにより、衝突時に確実に歩行者を保護することが可能な歩行者保護システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、歩行者衝突検知装置に係る第1の解決手段として、車両の前端部に設置された複数の加速度センサと、前記複数の加速度センサの出力信号をそれぞれ積分する積分回路と、前記積分回路によって算出された各加速度センサに対応する積分値同士の関連性を基に判別される歩行者の状態及び加速度センサの出力変化要因に応じて、衝突判定閾値を各加速度センサ毎に設定する衝突判定閾値設定回路と、前記積分回路によって算出された各加速度センサに対応する積分値と、前記衝突判定閾値設定回路によって設定された衝突判定閾値とを比較し、少なくとも1つの加速度センサに対応する積分値が前記衝突判定閾値を越えた場合に歩行者と衝突したと判定する衝突判定回路と、を備えることを特徴とする。
また、歩行者衝突検知装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記車両の車速を検出する車速センサを備え、前記衝突判定閾値設定回路は、前記積分回路によって算出された各加速度センサに対応する積分値がそれぞれ最大値になるように保持すると共に、各積分値の最大値の中での最大値と最小値の差を第1の変数の値に設定し、前記最小値を第2の変数の値に設定するデータ処理回路と、前記第1の変数に関する第1の軸と、前記第2の変数に関する第2の軸とから成る2次元マップ上において、前記車速センサにて検出される車速に応じて、前記第2の軸に沿って前記歩行者の状態に関する歩行者の体重別に区分された複数の体重領域を設定すると共に、前記第1の軸に沿って前記加速度センサの出力変化要因が歩行者との衝突によるものか否かを判別するための歩行者判別閾値を前記複数の体重領域毎に設定し、前記2次元マップ上における前記データ処理回路にて設定された前記第1及び第2の変数の値に応じて前記衝突判定閾値を各加速度センサ毎に設定する閾値設定回路と、を備えることを特徴とする。
また、歩行者衝突検知装置に係る第3の解決手段として、上記第2の解決手段において、前記積分回路は、各加速度センサの出力信号の各々を所定時間区間で積分する短区間積分回路と、各加速度センサの出力信号の各々を前記所定時間区間よりも長い時間区間で積分する長区間積分回路と、各加速度センサの出力信号の各々を少なくとも自装置の動作中において歩行者との衝突を監視する必要のある時間区間で積分する最長区間積分回路と、を備え、前記データ処理回路は、前記最長区間積分回路によって算出された各加速度センサに対応する積分値を基に前記第1及び第2の変数の値を設定し、前記閾値設定回路は、前記2次元マップ上における前記データ処理回路にて設定された前記第1及び第2の変数の値に応じて、前記短区間積分回路によって算出された各加速度センサに対応する積分値と比較するための短区間衝突判定閾値と、前記長区間積分回路によって算出された各加速度センサに対応する積分値と比較するための長区間衝突判定閾値とを各加速度センサ毎に設定し、前記衝突判定回路は、前記短区間積分回路によって算出された各加速度センサに対応する積分値と、前記閾値設定回路によって設定された短区間衝突判定閾値とを比較する短区間比較回路と、前記長区間積分回路によって算出された各加速度センサに対応する積分値と、前記閾値設定回路によって設定された長区間衝突判定閾値とを比較する長区間比較回路と、前記短区間比較回路と前記長区間比較回路の内、少なくとも1つの加速度センサに対応する積分値が前記短区間衝突判定閾値または前記長区間衝突判定閾値を越えたと判定された場合に歩行者と衝突したと判定する判定回路と、を備えることを特徴とする。
また、歩行者衝突検知装置に係る第4の解決手段として、上記第1〜第3のいずれかの解決手段において、前記各加速度センサの出力信号に重畳する、車両走行時の振動に起因するノイズを低減するためのフィルタを備えることを特徴とする。
さらに、本発明は、歩行者保護システムに係る解決手段として、車両の前端部が歩行者と衝突した場合に、当該車両に設けられたフードを持ち上げることにより前記歩行者が負う傷害を軽減する歩行者保護システムであって、前記フードを持ち上げるためのアクチュエータと、上述した第1〜第4のいずれかの解決手段を有する歩行者衝突検知装置と、前記歩行者衝突検知装置にて前記歩行者と衝突したと判定された場合に、前記アクチュエータを制御することにより前記フードを持ち上げる制御装置と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る歩行者衝突検知装置は、車両の前端部に配置された複数の加速度センサの出力信号の積分値同士の関連性を基に判別される歩行者の体重及び加速度センサの出力変化要因に応じて、衝突判定閾値を各加速度センサ毎に設定する。
体重の軽い歩行者と体重の重い歩行者とでは、衝突した場合の加速度センサの出力変化は異なる。また、車両が歩行者と衝突した場合、衝突箇所の局所的な塑性変形が支配的となり、衝突箇所から離れた位置には衝突による振動及び弾性たわみが発生する。従って、衝突箇所に最も近い位置に設置されている加速度センサと、衝突箇所から離れた位置に設置されている加速度センサの出力変化には違いが生じる。一方、悪路走行時やABS作動時の振動では、車両前端部が同じように振動するため、各加速度センサの出力変化は同じ特徴を持つ。すなわち、各加速度センサの出力信号の積分値同士の関連性から歩行者の体重及び加速度センサの出力変化要因を判別できるので、この判別結果に応じて衝突判定閾値を設定することにより、歩行者の体重や車両の走行状況に拘わらず歩行者との衝突を正確に検知することが可能となる。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る歩行者衝突検知装置を備える歩行者保護システムの構成概略図である。なお、図1(a)は、本実施形態に係る歩行者保護システムが搭載された車両100の側面図であり、図1(b)は、この車両100の上面図である。また、本実施形態では、車両100としてフロントエンジンタイプの車両を想定しており、エンジンルーム上にはエンジンフード130が開閉自在に設けられている。
この図1に示すように、本実施形態に係る歩行者保護システムは、車両100の前端部(フロントバンパ110)の車幅方向に沿って左側、中央、右側の各々に設置された3つの加速度センサ10L、10C、10Rと、車両100の前輪120に設置された車速センサ20と、ECU(Electronic Control Unit)30と、車両100のエンジンフード130の後端部を持ち上げるためのアクチュエータであるパワーユニット50とから構成されている。
フロントバンパ110の内部には、バンパビーム140と、歩行者との衝突時における歩行者脚部保護用のセーフティプレート150とが設けられており、加速度センサ10L、10C、10Rは、セーフティプレート150の下部に設置されている。一般的に、フロントバンパ110は樹脂製であるが、セーフティプレート150は衝突時に変形して衝突エネルギーを吸収しやすいような形状(例えば図1(a)に示すような「くの字」型)に成形された鉄板が用いられる。つまり、加速度センサ10L、10C、10Rは、フロントバンパ110と歩行者とが衝突し、その衝撃によりセーフティプレート150が変形した場合に各々の設置位置において発生する加速度変化を検出し、当該加速度変化に応じた信号をECU30に出力する。
車速センサ20は、前輪120の回転速度を車速として検出し、当該車速に応じた信号をECU30に出力する。
ECU30は、加速度センサ10L、10C、10Rの出力信号と、車速センサ20の出力信号とを入力とし、これらの出力信号に基づいて、車両100が歩行者と衝突したか否かを判定し、衝突したと判定した場合に、パワーユニット50を制御してエンジンフード130を持ち上げる。また、車速センサ30は、本実施例においては車両100の前輪120の回転速度を車速として検出しているが、後輪または変速機等により車速を検出するものも含む。
図2は、上記のECU30のブロック構成図である。この図2に示すように、ECU30は、第1のA/Dコンバータ31L、第2のA/Dコンバータ31C、第3のA/Dコンバータ31R、第1のLPF(Low Pass Filter)32L、第2のLPF32C、第3のLPF32R、第1の短区間積分回路33L、第2の短区間積分回路33C、第3の短区間積分回路33R、第1の長区間積分回路34L、第2の長区間積分回路34C、第3の長区間積分回路34R、第1の最長区間積分回路35L、第2の最長区間積分回路35C、第3の最長区間積分回路35R、データ処理回路36、閾値設定回路37、第1の短区間比較回路38L、第2の短区間比較回路38C、第3の短区間比較回路38R、第1の長区間比較回路39L、第2の長区間比較回路39C、第3の長区間比較回路39R、判定回路40及びエンジンフード制御装置41から構成されている。
第1のA/Dコンバータ31Lは、加速度センサ10Lの出力信号を入力とし、当該出力信号をデジタル信号に変換して第1のLPF32Lに出力する。第2のA/Dコンバータ31Cは、加速度センサ10Cの出力信号を入力とし、当該出力信号をデジタル信号に変換して第2のLPF32Cに出力する。第3のA/Dコンバータ31Rは、加速度センサ10Rの出力信号を入力とし、当該出力信号をデジタル信号に変換して第3のLPF32Rに出力する。
第1のLPF32Lは、第1のA/Dコンバータ31Lから出力されるデジタル信号を入力とし、当該デジタル信号に含まれる所定の周波数以上の周波数成分を除去し、当該除去した後のデジタル信号を第1の短区間積分回路33L、第1の長区間積分回路34L及び第1の最長区間積分回路35Lに出力する。第2のLPF32Cは、第2のA/Dコンバータ31Cから出力されるデジタル信号を入力とし、当該デジタル信号に含まれる所定の周波数以上の周波数成分を除去し、当該除去した後のデジタル信号を第2の短区間積分回路33C、第2の長区間積分回路34C及び第2の最長区間積分回路35Cに出力する。
第3のLPF32Rは、第3のA/Dコンバータ31Rから出力されるデジタル信号を入力とし、当該デジタル信号に含まれる所定の周波数以上の周波数成分を除去し、当該除去した後のデジタル信号を第3の短区間積分回路33R、第3の長区間積分回路34R及び第3の最長区間積分回路35Rに出力する。
上述したように、加速度センサ10L、10C、10Rが設置されているセーフティプレート150は、衝突時に変形して衝突エネルギーを吸収しやすいような形状に成形された鉄板が用いられているため、車両走行時において振動しやすい構造となっている。よって、加速度センサ10L、10C、10Rの出力信号には車両走行時の振動に起因する高周波のノイズが重畳するため、歩行者との衝突による加速度変化に起因する信号成分と上記ノイズ成分とを分離する必要がある。すなわち、上記の第1のLPF32L、第2のLPF32C、第3のLPF32Rのカットオフ周波数は、車両走行時の振動に起因する高周波ノイズ成分を除去可能な値に設定されている。なお、このノイズ成分は、車両100の車体構造によって変化するため、各LPF32L、32C、32Rのカットオフ周波数は車体構造に応じて適宜設定すれば良い。また、全てのLPF32L、32C、32Rのカットオフ周波数を同一にする必要はなく、個別に設定しても良い。
第1の短区間積分回路33Lは、第1のLPF32Lから出力されるデジタル信号を入力とし、当該デジタル信号(つまり加速度センサ10Lにて検出した加速度変化を表す信号)を所定時間区間で1次積分し、当該1次積分の結果である積分値を第1の短区間比較回路38Lの非反転入力端子に出力する。この第1の短区間積分回路33Lが算出する積分値は、加速度センサ10Lの設置位置における速度変化を示すものであるので、以下では第1の短区間積分回路33Lが出力する積分値を、第1の短区間速度変化V1Lと称す。
第2の短区間積分回路33Cは、第2のLPF32Cから出力されるデジタル信号を入力とし、当該デジタル信号(つまり加速度センサ10Cにて検出した加速度変化を表す信号)を所定時間区間で1次積分し、当該1次積分の結果である積分値を第2の短区間比較回路38Cの非反転入力端子に出力する。この第2の短区間積分回路33Cが算出する積分値は、加速度センサ10Cの設置位置における速度変化を示すものであるので、以下では第2の短区間積分回路33Cが出力する積分値を、第2の短区間速度変化V1Cと称す。
第3の短区間積分回路33Rは、第3のLPF32Rから出力されるデジタル信号を入力とし、当該デジタル信号(つまり加速度センサ10Rにて検出した加速度変化を表す信号)を所定時間区間で1次積分し、当該1次積分の結果である積分値を第3の短区間比較回路38Rの非反転入力端子に出力する。この第3の短区間積分回路33Rが算出する積分値は、加速度センサ10Rの設置位置における速度変化を示すものであるので、以下では第3の短区間積分回路33Rが出力する積分値を、第3の短区間速度変化V1Rと称す。
なお、上述した第1の短区間積分回路33L、第2の短区間積分回路33C、第3の短区間積分回路33Rにおいて1次積分する時間区間は、車両100が体重の軽い(およそ25kg程度)の子供と衝突した場合であっても、その衝突による速度変化を検出できるように設定されている。体重の軽い子供は、衝突後の短時間でエンジンフード130上に跳ね上げられてしまい、衝突に起因する加速度センサの出力変化も数ms〜約10msオーダの時間区間内で生じるため、1次積分する時間区間も同様に数ms〜約10msオーダで設定することが望ましい。
第1の長区間積分回路34Lは、第1のLPF32Lから出力されるデジタル信号を入力とし、当該デジタル信号(つまり加速度センサ10Lにて検出した加速度変化を表す信号)を、短区間積分回路よりも長い時間区間で1次積分し、当該1次積分の結果である積分値を第1の長区間比較回路39Lの非反転入力端子に出力する。以下では、第1の長区間積分回路34Lが出力する積分値を、第1の長区間速度変化V2Lと称す。
第2の長区間積分回路34Cは、第2のLPF32Cから出力されるデジタル信号を入力とし、当該デジタル信号(つまり加速度センサ10Cにて検出した加速度変化を表す信号)を、短区間積分回路よりも長い時間区間で1次積分し、当該1次積分の結果である積分値を第2の長区間比較回路39Cの非反転入力端子に出力する。以下では、第2の長区間積分回路34Cが出力する積分値を、第2の長区間速度変化V2Cと称す。
第3の長区間積分回路34Rは、第3のLPF32Rから出力されるデジタル信号を入力とし、当該デジタル信号(つまり加速度センサ10Rにて検出した加速度変化を表す信号)を、短区間積分回路よりも長い時間区間で1次積分し、当該1次積分の結果である積分値を第3の長区間比較回路39Rの非反転入力端子に出力する。以下では、第3の長区間積分回路34Rが出力する積分値を、第3の長区間速度変化V2Rと称す。
なお、上述した第1の長区間積分回路34L、第2の長区間積分回路34C、第3の長区間積分回路34Rにおいて1次積分する時間区間は、車両100が体重の重い(およそ60kg程度)の大人と衝突した場合に、その衝突による速度変化を検出できるように設定されている。体重の重い大人は、衝突後にある程度の時間が経過した後にエンジンフード130上に跳ね上げられるので、衝突に起因する加速度センサの出力変化も数ms〜約20msオーダの時間区間内で生じるため、1次積分する時間区間も同様に数ms〜約20msオーダで設定することが望ましい。
第1の最長区間積分回路35Lは、第1のLPF32Lから出力されるデジタル信号を入力とし、当該デジタル信号(つまり加速度センサ10Lにて検出した加速度変化を表す信号)を、少なくともECU30の動作中において歩行者との衝突を監視する必要のある時間区間で1次積分し、当該1次積分の結果である積分値をデータ処理回路36に出力する。以下では、第1の最長区間積分回路35Lが出力する積分値を、第1の最長区間速度変化V3Lと称す。
第2の最長区間積分回路35Cは、第2のLPF32Cから出力されるデジタル信号を入力とし、当該デジタル信号(つまり加速度センサ10Cにて検出した加速度変化を表す信号)を、少なくともECU30の動作中において歩行者との衝突を監視する必要のある時間区間で1次積分し、当該1次積分の結果である積分値をデータ処理回路36に出力する。以下では、第2の最長区間積分回路35Cが出力する積分値を、第2の最長区間速度変化V3Cと称す。
第3の最長区間積分回路35Rは、第3のLPF32Rから出力されるデジタル信号を入力とし、当該デジタル信号(つまり加速度センサ10Rにて検出した加速度変化を表す信号)を、少なくともECU30の動作中において歩行者との衝突を監視する必要のある時間区間で1次積分し、当該1次積分の結果である積分値をデータ処理回路36に出力する。以下では、第3の最長区間積分回路35Rが出力する積分値を、第3の最長区間速度変化V3Rと称す。
なお、上述した第1の最長区間積分回路35L、第2の最長区間積分回路35C、第3の最長区間積分回路34Rでは、ECU30が起動(電源オン)してから停止(電源オフ)するまでの時間区間で1次積分しても良いし、車両100が走行している時間区間で1次積分するようにしても良い。このように、第1の最長区間積分回路35L、第2の最長区間積分回路35C、第3の最長区間積分回路34Rでは、長区間積分回路や短区間積分回路よりも極めて長い時間区間で1次積分を行うため、加速度センサ10L、10C、10Rの出力信号が正負に変動すると積分値の現在値が負の値になる場合がある。負の積分値は衝突とは無関係であると考えられる(例えば急加速等が原因)ので、本実施形態では、負の積分値は「0」と看做すものとする。また、ブレーキなどの急停止の影響を削除するために一定減速度の減算(加算)を行い、さらに一次積分する。
データ処理回路36は、第1の最長区間速度変化V3L、第2の最長区間速度変化V3C及び第3の最長区間速度変化V3Rを入力とし、これらの値がそれぞれ最大値V3LMAX、V3CMAX、V3RMAXになるように保持すると共に、各最大値V3LMAX、V3CMAX、V3RMAXの中での最大値VMAXと最小値VMINの差を第1の変数ΔVMAX(=VMAX−VMIN)の値に設定し、最小値VMINを第2の変数VMINの値に設定する。データ処理回路36は、上記のように設定した第1の変数ΔVMAXと第2の変数VMINを閾値設定回路37に出力する。
閾値設定回路37は、上記データ処理回路36にて設定された第1の変数ΔVMAX及び第2の変数VMINと、車速センサ20の出力信号とを入力とし、図3に示すように、第1の変数ΔVMAXに関する第1の軸と、第2の変数VMINに関する第2の軸とから成る2次元マップ(以下、閾値選択マップと称す)上において、車速センサ20にて検出される車速に応じて、第2の軸に沿って歩行者の体重別に区分された複数の体重領域を設定すると共に、第1の軸に沿って加速度センサ10L、10C、10Rの出力変化要因が歩行者との衝突によるものか否かを判別するための歩行者判別閾値を上記複数の体重領域毎に設定する。
本実施形態では、図3に示すように、閾値選択マップ上において、第2の軸上の値MINTHを境界として、子供の体重(例えば25kg、或いは加速度センサから遠いところでの衝突)に対応する体重領域(以下、Aゾーンと称す)と、大人の体重(例えば60kg、或いは加速度センサから近いところでの衝突)に対応する体重領域(以下、Bゾーンと称す)との2つを設定し、また、Aゾーンでは、第1の軸上に歩行者判別閾値MMTHAを設定し、Bゾーンでは、第1の軸上に歩行者判別閾値MMTHBを設定するものとする。
また、閾値設定回路37は、上記の閾値選択マップ上におけるデータ処理回路36にて設定された第1の変数ΔVMAX及び第2の変数VMINの値に応じて、衝突判定閾値を各加速度センサ10L、10C、10R毎に設定する。より具体的には、この閾値設定回路37は、第1の短区間積分回路33Lによって算出された第1の短区間速度変化V1Lと比較するための第1の短区間衝突判定閾値V1L_THを設定し、この設定値を第1の短区間比較回路38Lの反転入力端子に出力する。また、閾値設定回路37は、第2の短区間積分回路33Cによって算出された第2の短区間速度変化V1Cと比較するための第2の短区間衝突判定閾値V1C_THを設定し、この設定値を第2の短区間比較回路38Cの反転入力端子に出力する。また、閾値設定回路37は、第3の短区間積分回路33Rによって算出された第3の短区間速度変化V1Rと比較するための第3の短区間衝突判定閾値V1R_THを設定し、この設定値を第3の短区間比較回路38Rの反転入力端子に出力する。
また、閾値設定回路37は、第1の長区間積分回路34Lによって算出された第1の長区間速度変化V2Lと比較するための第1の長区間衝突判定閾値V2L_THを設定し、この設定値を第1の長区間比較回路39Lの反転入力端子に出力する。また、閾値設定回路37は、第2の長区間積分回路34Cによって算出された第2の長区間速度変化V2Cと比較するための第2の長区間衝突判定閾値V2C_THを設定し、この設定値を第2の長区間比較回路39Cの反転入力端子に出力する。また、閾値設定回路37は、第3の長区間積分回路34Rによって算出された第3の長区間速度変化V2Rと比較するための第3の長区間衝突判定閾値V2R_THを設定し、この設定値を第3の長区間比較回路39Rの反転入力端子に出力する。
第1の短区間比較回路38Lは、例えばコンパレータであり、非反転入力端子に入力される第1の短区間速度変化V1Lと、反転入力端子に入力される第1の短区間衝突判定閾値V1L_THとを比較し、その比較結果に応じた信号を判定回路40に出力する。本実施形態では、第1の短区間速度変化V1Lが第1の短区間衝突判定閾値V1L_THを越えた場合にハイレベル信号が出力されるものとする。
第2の短区間比較回路38Cは、例えばコンパレータであり、非反転入力端子に入力される第2の短区間速度変化V1Cと、反転入力端子に入力される第2の短区間衝突判定閾値V1C_THとを比較し、その比較結果に応じた信号を判定回路40に出力する。本実施形態では、第2の短区間速度変化V1Cが第2の短区間衝突判定閾値V1C_THを越えた場合にハイレベル信号が出力されるものとする。
第3の短区間比較回路38Rは、例えばコンパレータであり、非反転入力端子に入力される第3の短区間速度変化量V1Rと、反転入力端子に入力される第3の短区間衝突判定閾値V1R_THとを比較し、その比較結果に応じた信号を判定回路40に出力する。本実施形態では、第3の短区間速度変化量V1Rが第3の短区間衝突判定閾値V1R_THを越えた場合にハイレベル信号が出力されるものとする。
第1の長区間比較回路39Lは、例えばコンパレータであり、非反転入力端子に入力される第1の長区間速度変化V2Lと、反転入力端子に入力される第1の長区間衝突判定閾値V2L_THとを比較し、その比較結果に応じた信号を判定回路40に出力する。本実施形態では、第1の長区間速度変化V2Lが第1の長区間衝突判定閾値V2L_THを越えた場合にハイレベル信号が出力されるものとする。
第2の長区間比較回路39Cは、例えばコンパレータであり、非反転入力端子に入力される第2の長区間速度変化V2Cと、反転入力端子に入力される第2の長区間衝突判定閾値V2C_THとを比較し、その比較結果に応じた信号を判定回路40に出力する。本実施形態では、第2の長区間速度変化V2Cが第2の長区間衝突判定閾値V2C_THを越えた場合にハイレベル信号が出力されるものとする。
第3の長区間比較回路39Rは、例えばコンパレータであり、非反転入力端子に入力される第3の長区間速度変化V2Rと、反転入力端子に入力される第3の長区間衝突判定閾値V2R_THとを比較し、その比較結果に応じた信号を判定回路40に出力する。本実施形態では、第3の長区間速度変化V2Rが第3の長区間衝突判定閾値V2R_THを越えた場合にハイレベル信号が出力されるものとする。
判定回路40は、例えば論理和回路であり、第1の短区間比較回路38L、第2の短区間比較回路38C、第3の短区間比較回路38R、第1の長区間比較回路39L、第2の長区間比較回路39C及び第3の長区間比較回路39Rの出力信号の少なくとも1つがハイレベル信号の場合に歩行者と衝突したと判定し、当該判定結果を示すハイレベル信号をエンジンフード制御装置41に出力する。
このように、本実施形態では、加速度センサ10L、10C、10R、第1のA/Dコンバータ31L、第2のA/Dコンバータ31C、第3のA/Dコンバータ31R、第1のLPF32L、第2のLPF32C、第3のLPF32R、第1の短区間積分回路33L、第2の短区間積分回路33C、第3の短区間積分回路33R、第1の長区間積分回路34L、第2の長区間積分回路34C、第3の長区間積分回路34R、第1の最長区間積分回路35L、第2の最長区間積分回路35C、第3の最長区間積分回路35R、データ処理回路36、閾値設定回路37、第1の短区間比較回路38L、第2の短区間比較回路38C、第3の短区間比較回路38R、第1の長区間比較回路39L、第2の長区間比較回路39C、第3の長区間比較回路39R及び判定回路40によって、歩行者衝突検知装置が構成されている。
エンジンフード制御装置41は、判定回路40からハイレベル信号が入力された場合、つまり歩行者と衝突したと判定された場合に、パワーユニット50を制御することによりエンジンフード130を持ち上げる。
以上がECU30の詳細な説明であり、以下、図1に戻って説明を続ける。パワーユニット50は、例えばエアシリンダから構成されており、ECU30(エンジンフード制御装置41)の制御によってシャフト50aが上昇しエンジンフード130を持ち上げる。また、このパワーユニット50にはシャフトロック機構50bが設けられており、エンジンフード130を持ち上げた後、シャフトロック機構50bによってシャフト50aをロックすることにより、エンジンフード130の上昇位置を保持する機能も備えている。なお、エンジンフード130を持ち上げるためのパワーユニット50として、例えば衝突判定時に膨張するエアバッグ等、他のアクチュータを用いても良い。
次に、上記のように構成された本実施形態に係る歩行者保護システムの動作について説明する。
図4は、本実施形態に係る歩行者保護システムの動作を表すフローチャートである。この図4に示すように、ECU30には、加速度センサ10L、10C、10Rから各々の設置位置における加速度変化に応じた出力信号が入力される(ステップS1)。ECU30に入力された加速度センサ10L、10C、10Rの出力信号は、第1のA/Dコンバータ31L、第2のA/Dコンバータ31C、第3のA/Dコンバータ31Rによってデジタル変換処理されると共に、第1のLPF32L、第2のLPF32C、第3のLPF32Rによってフィルタリング処理(車両走行時の振動に起因する高周波ノイズ成分の除去)される(ステップS2)。
上記のようにデジタル変換処理及びフィルタリング処理された加速度センサ10Lの出力信号は、第1の短区間積分回路33L、第1の長区間積分回路34L及び第1の最長区間積分回路35Lに入力され、加速度センサ10Cの出力信号は、第2の短区間積分回路33C、第2の長区間積分回路34C及び第2の最長区間積分回路35Cに入力され、また、加速度センサ10Rの出力信号は、第3の短区間積分回路33R、第3の長区間積分回路34R及び第3の最長区間積分回路35Rに入力される。
続いて、第1の最長区間積分回路35L、第2の最長区間積分回路35C及び第3の最長区間積分回路35Rにて算出される積分値(第1の最長区間速度変化V3L、第2の最長区間速度変化V3C、第3の最長区間速度変化V3R)に基づいて、衝突判定閾値の設定が行われる(ステップS3)。以下、このステップS3における衝突判定閾値設定処理の詳細について、図5のフローチャートを参照して説明する。
図5に示すように、デジタル変換処理及びフィルタリング処理された加速度センサ10L、10C、10Rの出力信号が、第1の最長区間積分回路35L、第2の最長区間積分回路35C、第3の最長区間積分回路35Rにそれぞれ入力されると(ステップS30)、第1の最長区間積分回路35Lは、加速度センサ10Lの出力信号の1次積分値である第1の最長区間速度変化V3Lを算出してデータ処理回路36に出力する(ステップS31)。同様に、第2の最長区間積分回路35Cは、加速度センサ10Cの出力信号の1次積分値である第2の最長区間速度変化V3Cを算出してデータ処理回路36に出力し(ステップS32)、第3の最長区間積分回路35Rは、加速度センサ10Rの出力信号の1次積分値である第3の最長区間速度変化V3Rを算出してデータ処理回路36に出力する(ステップS33)。
データ処理回路36は、第1の最長区間速度変化V3Lが「0」より大きいか否かを判定し(ステップS34)、「No」、つまりV3L≦0の場合、V3L=0と設定してステップS46に移行する(ステップS35)。一方、上記ステップS34において、「Yes」、つまりV3L>0の場合、データ処理回路36は、V3Lが最大値V3LMAXより大きいか否かを判定し(ステップS36)、「Yes」、つまりV3L>V3LMAXの場合、今回得られたV3Lを新たな最大値V3LMAXとして更新してステップS46に移行する(ステップS37)。また、データ処理回路36は、上記ステップS36において、「No」、つまりV3L≦V3LMAXの場合、最大値V3LMAXの更新は行わずステップS46に移行する。
このようなデータ処理回路36におけるステップS34〜S37の処理により、図6(a)に例示するように、第1の最長区間速度変化V3Lは最大値V3LMAXに保持される。
同様に、データ処理回路36は、第2の最長区間速度変化V3Cが「0」より大きいか否かを判定し(ステップS38)、「No」、つまりV3C≦0の場合、V3C=0と設定してステップS46に移行する(ステップS39)。一方、上記ステップS38において、「Yes」、つまりV3C>0の場合、データ処理回路36は、V3Cが最大値V3CMAXより大きいか否かを判定し(ステップS40)、「Yes」、つまりV3C>V3CMAXの場合、今回得られたV3Cを新たな最大値V3CMAXとして更新してステップS46に移行する(ステップS41)。また、データ処理回路36は、上記ステップS40において、「No」、つまりV3C≦V3CMAXの場合、最大値V3CMAXの更新は行わずステップS46に移行する。
このようなデータ処理回路36におけるステップS38〜S41の処理により、図6(b)に例示するように、第2の最長区間速度変化V3Cは最大値V3CMAXに保持される。
同様に、データ処理回路36は、第3の最長区間速度変化V3Rが「0」より大きいか否かを判定し(ステップS42)、「No」、つまりV3R≦0の場合、V3R=0と設定してステップS46に移行する(ステップS43)。一方、上記ステップS42において、「Yes」、つまりV3R>0の場合、データ処理回路36は、V3Rが最大値V3RMAXより大きいか否かを判定し(ステップS44)、「Yes」、つまりV3R>V3RMAXの場合、今回得られたV3Rを新たな最大値V3RMAXとして更新してステップS46に移行する(ステップS45)。また、データ処理回路36は、上記ステップS44において、「No」、つまりV3R≦V3RMAXの場合、最大値V3RMAXの更新は行わずステップS46に移行する。
このようなデータ処理回路36におけるステップS42〜S45の処理により、図6(c)に例示するように、第3の最長区間速度変化V3Rは最大値V3RMAXに保持される。
なお、上述したステップS34〜S37の処理と、ステップS38〜S41の処理と、ステップS42〜S45の処理は並列的に行われるものである。
そして、データ処理回路36は、上記の最大値V3LMAX、V3CMAX、V3RMAXの中での最大値をVMAXとして設定する(ステップS46)と共に、最大値V3LMAX、V3CMAX、V3RMAXの中での最小値をVMIN(第2の変数)として設定する(ステップS47)。そして、データ処理回路36は、最大値VMAXと最小値VMINの差を第1の変数ΔVMAX(=VMAX−VMIN)の値に設定し、第1の変数ΔVMAXと第2の変数VMINを閾値設定回路37に出力する(ステップS48)。
ここで、上述したように、閾値設定回路37は、車速センサ20にて検出される車速に応じて、図3に示すような閾値選択マップを設定し、この閾値選択マップ上における第1の変数ΔVMAX及び第2の変数VMINの値に応じて、衝突判定閾値を各加速度センサ10L、10C、10R毎に設定する。
以下では、ステップS49以降の説明をする前に、閾値選択マップを使用した衝突判定閾値の設定手法について説明する。
図3に示すように、閾値選択マップ上には、第2の軸上の値MINTHを境界として、子供の体重に対応するAゾーンと、大人の体重に対応するBゾーンとの2つの領域が設定されている。体重の軽い子供は大人と比べて衝突時の加速度変化が小さいため、第2の変数VMINの値はAゾーンに含まれることになる。一方、体重の重い大人は衝突時の加速度変化が大きいため、第2の変数VMINの値はBゾーンに含まれることになる。つまり、第2の変数VMINの値を基に、歩行者の体重の軽重(子供か大人か)を判別することができる。
また、車両100が歩行者と衝突した場合、衝突箇所の局所的な塑性変形が支配的となり、衝突箇所から離れた位置には衝突による振動及び弾性たわみが発生する。従って、衝突箇所に最も近い位置に設置されている加速度センサの出力変化(加速度変化)と、衝突箇所から離れた位置に設置されている加速度センサの出力変化には違いが生じる。具体的には、衝突箇所に最も近い位置に設置されている加速度センサの出力変化は大きく、衝突箇所から離れた位置に設置されている加速度センサの出力変化は小さくなる。つまり、加速度センサの出力変化要因が歩行者との衝突による場合、第1の変数ΔVMAXの値は大きくなる。
一方、悪路走行時やABS作動時の振動では、車両前端部が同じように振動するため、3つの加速度センサ10L、10C、10Rの出力変化は同じ特徴を持つ。つまり、加速度センサの出力変化要因が悪路走行時やABS作動時の振動である場合、第1の変数ΔVMAXの値は小さくなる。すなわち、第1の変数ΔVMAXの値を基に、加速度センサの出力変化要因が歩行者との衝突によるものか、悪路走行時やABS作動時の振動によるものかを判別することができる。上記のAゾーンとBゾーンに設定されている歩行者判別閾値MMTHA、MMTHBは、歩行者が子供である場合と大人である場合とで、加速度センサの出力変化要因を判別可能な値に設定されている。
なお、体重の軽い子供は大人と比べて衝突時の加速度変化が小さいため、図3に示すように、Aゾーンの歩行者判別閾値MMTHAをBゾーンの歩行者判別閾値MMTHBより低く設定する。また、このような閾値選択マップに設定されるAゾーン、Bゾーン、歩行者判別閾値MMTHA、MMTHBは、車速によってその最適値が変化するため、車速センサ20にて検出した車速に応じて適宜変更することが望ましい。具体的には、車速が高くなる程、衝突時の加速度変化は大きくなるため、AゾーンとBゾーンとの境界値MINTH、及び歩行者判別閾値MMTHA、MMTHBを高く設定する。
このように、各加速度センサ10L、10C、10Rの出力信号の1次積分値(速度変化)同士の関連性を表す閾値選択マップを基に、歩行者の体重の軽重(子供か大人か)及び加速度センサの出力変化要因(歩行者との衝突によるものか、悪路走行時やABS作動時の振動によるものか)を判別できるので、この判別結果に応じて衝突判定閾値を設定することにより、歩行者の体重や車両100の走行状況に拘わらず歩行者との衝突を正確に検知することが可能となる。
図7(a)は、第1の短区間積分回路33Lによって算出される第1の短区間速度変化V1Lと比較するための第1の短区間衝突判定閾値V1L_THとして選択される閾値を示したものである。この図7(a)において、V1L_THB_Lowは、閾値選択マップ上において、第2の変数VMIN>MINTH、且つ第1の変数ΔVMAX>MMTHBの場合、つまり歩行者は大人と判別され、且つ加速度センサの出力変化要因は歩行者との衝突によるものと判別された場合に、第1の短区間衝突判定閾値V1L_THとして選択される閾値である。また、V1L_THA_Lowは、閾値選択マップ上において、第2の変数VMIN≦MINTH、且つ第1の変数ΔVMAX>MMTHAの場合、つまり歩行者は子供と判別され、且つ加速度センサの出力変化要因は歩行者との衝突によるものと判別された場合に、第1の短区間衝突判定閾値V1L_THとして選択される閾値である。このように、加速度センサの出力変化要因が歩行者との衝突によるものと判別された場合は、歩行者との衝突を確実に検知するように比較的低い値の閾値にすると共に、子供の方が衝突時の加速度変化が小さいため、V1L_THB_LowよりV1L_THA_Lowを低い値とする。
また、図7(a)において、V1L_THB_Hiは、閾値選択マップ上において、第2の変数VMIN>MINTH、且つ第1の変数ΔVMAX≦MMTHBの場合、つまり歩行者は大人と判別され、且つ加速度センサの出力変化要因は悪路走行時やABS作動時の振動によるものと判別された場合に、第1の短区間衝突判定閾値V1L_THとして選択される閾値である。また、V1L_THA_Hiは、閾値選択マップ上において、第2の変数VMIN≦MINTH、且つ第1の変数ΔVMAX≦MMTHAの場合、つまり歩行者は子供と判別され、且つ加速度センサの出力変化要因は悪路走行時やABS作動時の振動によるものと判別された場合に、第1の短区間衝突判定閾値V1L_THとして選択される閾値である。このように、加速度センサの出力変化要因が悪路走行時やABS作動時の振動によるものと判別された場合は、歩行者との衝突を誤検知しないように比較的高い値の閾値にすると共に、子供の方が衝突時の加速度変化が小さいため、V1L_THB_HiよりV1L_THA_Hiを低い値とする。
図7(b)は、第2の短区間積分回路33Cによって算出される第2の短区間速度変化V1Cと比較するための第2の短区間衝突判定閾値V1C_THとして選択される閾値を示したものである。この図7(b)において、V1C_THB_Lowは、閾値選択マップ上において、第2の変数VMIN>MINTH、且つ第1の変数ΔVMAX>MMTHBの場合に選択される閾値である。また、V1C_THA_Lowは、閾値選択マップ上において、第2の変数VMIN≦MINTH、且つ第1の変数ΔVMAX>MMTHAの場合に選択される閾値である。また、V1C_THB_Hiは、閾値選択マップ上において、第2の変数VMIN>MINTH、且つ第1の変数ΔVMAX≦MMTHBの場合に選択される閾値である。また、V1C_THA_Hiは、閾値選択マップ上において、第2の変数VMIN≦MINTH、且つ第1の変数ΔVMAX≦MMTHAの場合に選択される閾値である。
図7(c)は、第3の短区間積分回路33Rによって算出される第3の短区間速度変化V1Rと比較するための第3の短区間衝突判定閾値V1R_THとして選択される閾値を示したものである。この図7(c)において、V1R_THB_Lowは、閾値選択マップ上において、第2の変数VMIN>MINTH、且つ第1の変数ΔVMAX>MMTHBの場合に選択される閾値である。また、V1R_THA_Lowは、閾値選択マップ上において、第2の変数VMIN≦MINTH、且つ第1の変数ΔVMAX>MMTHAの場合に選択される閾値である。また、V1R_THB_Hiは、閾値選択マップ上において、第2の変数VMIN>MINTH、且つ第1の変数ΔVMAX≦MMTHBの場合に選択される閾値である。また、V1R_THA_Hiは、閾値選択マップ上において、第2の変数VMIN≦MINTH、且つ第1の変数ΔVMAX≦MMTHAの場合に選択される閾値である。
図7(d)は、第1の長区間積分回路34Lによって算出される第1の長区間速度変化V2Lと比較するための第1の長区間衝突判定閾値V2L_THとして選択される閾値を示したものである。この図7(d)において、V2L_THB_Lowは、閾値選択マップ上において、第2の変数VMIN>MINTH、且つ第1の変数ΔVMAX>MMTHBの場合に選択される閾値である。また、V2L_THA_Lowは、閾値選択マップ上において、第2の変数VMIN≦MINTH、且つ第1の変数ΔVMAX>MMTHAの場合に選択される閾値である。また、V2L_THB_Hiは、閾値選択マップ上において、第2の変数VMIN>MINTH、且つ第1の変数ΔVMAX≦MMTHBの場合に選択される閾値である。また、V2L_THA_Hiは、閾値選択マップ上において、第2の変数VMIN≦MINTH、且つ第1の変数ΔVMAX≦MMTHAの場合に選択される閾値である。
図7(e)は、第2の長区間積分回路34Cによって算出される第2の長区間速度変化V2Cと比較するための第2の長区間衝突判定閾値V2C_THとして選択される閾値を示したものである。この図7(e)において、V2C_THB_Lowは、閾値選択マップ上において、第2の変数VMIN>MINTH、且つ第1の変数ΔVMAX>MMTHBの場合に選択される閾値である。また、V2C_THA_Lowは、閾値選択マップ上において、第2の変数VMIN≦MINTH、且つ第1の変数ΔVMAX>MMTHAの場合に選択される閾値である。また、V2C_THB_Hiは、閾値選択マップ上において、第2の変数VMIN>MINTH、且つ第1の変数ΔVMAX≦MMTHBの場合に選択される閾値である。また、V2C_THA_Hiは、閾値選択マップ上において、第2の変数VMIN≦MINTH、且つ第1の変数ΔVMAX≦MMTHAの場合に選択される閾値である。
図7(f)は、第3の長区間積分回路34Rによって算出される第3の長区間速度変化V2Rと比較するための第3の長区間衝突判定閾値V2R_THとして選択される閾値を示したものである。この図7(f)において、V2R_THB_Lowは、閾値選択マップ上において、第2の変数VMIN>MINTH、且つ第1の変数ΔVMAX>MMTHBの場合に選択される閾値である。また、V2R_THA_Lowは、閾値選択マップ上において、第2の変数VMIN≦MINTH、且つ第1の変数ΔVMAX>MMTHAの場合に選択される閾値である。また、V2R_THB_Hiは、閾値選択マップ上において、第2の変数VMIN>MINTH、且つ第1の変数ΔVMAX≦MMTHBの場合に選択される閾値である。また、V2R_THA_Hiは、閾値選択マップ上において、第2の変数VMIN≦MINTH、且つ第1の変数ΔVMAX≦MMTHAの場合に選択される閾値である。
これらの閾値は、加速度センサ10L、10C、10Rについて個別に設定しても良いし、同一に設定しても良い。例えば、車幅方向の中央に設置された加速度センサ10Cは、最も衝撃に対して感度が高いと考えられるので、加速度センサ10C用の閾値は他の加速度センサ10L、10R用の閾値より高く設定しても良い。また、左側、右側に設置された加速度センサ10L、10Rの衝撃に対する感度は同程度と考えられるので、これら加速度センサ10L、10R用の閾値を同一に設定しても良い。
なお、これらの閾値は、閾値設定回路37の内部メモリに予め保存されているものであり、以下で説明するステップS49以降の処理によって、閾値選択マップ上における第1の変数ΔVMAX及び第2の変数VMINの値に応じて上記内部メモリから適宜読み出されるものである。また、これらの閾値も車速によって最適値が変化するため、複数の車速に応じた閾値を用意して内部メモリに保存しておくことが望ましい。
以上説明した衝突判定閾値の設定手法を前提として、以下、ステップS49以降の処理について説明する。
閾値設定回路37は、データ処理回路36から入力される第2の変数VMINの値が閾値選択マップの第2の軸に設定された境界値MINTHより大きいか否か、つまり第2の変数VMINの値がAゾーンに含まれるかBゾーンに含まれるかを判定する(ステップS49)。すなわち、ステップS49では、第2の変数VMINの値を基に、歩行者の体重の軽重(子供か大人か)が判別される。
上記ステップS49において、「Yes」、つまりVMIN>MINTH(Bゾーン:大人)の場合、閾値設定回路37は、第1の変数ΔVMAXの値がBゾーンの歩行者判別閾値MMTHBより大きいか否かを判定する(ステップS50)。つまり、このステップS50では、加速度センサの出力変化要因が歩行者との衝突によるものか、悪路走行時やABS作動時の振動によるものかが判別される。
このステップS50において、「Yes」、つまりΔVMAX>MMTHBの場合(歩行者が大人と判別され、且つ加速度センサの出力変化要因が歩行者との衝突によるものと判別される場合)、閾値設定回路37は、図7(a)に示すV1L_THB_Lowを選択して第1の短区間衝突判定閾値V1L_THとして設定し、当該設定値を第1の短区間比較回路38Lの反転入力端子に出力する(ステップS51)。また、このステップS51において、閾値設定回路37は、図7(b)に示すV1C_THB_Lowを選択して第2の短区間衝突判定閾値V1C_THとして設定し、当該設定値を第2の短区間比較回路38Cの反転入力端子に出力すると共に、図7(c)に示すV1R_THB_Lowを選択して第3の短区間衝突判定閾値V1R_THとして設定し、当該設定値を第3の短区間比較回路38Rの反転入力端子に出力する。
また、このステップS51において、閾値設定回路37は、図7(d)に示すV2L_THB_Lowを選択して第1の長区間衝突判定閾値V2L_THとして設定し、当該設定値を第1の長区間比較回路39Lの反転入力端子に出力し、図7(e)に示すV2C_THB_Lowを選択して第2の長区間衝突判定閾値V2C_THとして設定し、当該設定値を第2の長区間比較回路39Cの反転入力端子に出力すると共に、図7(f)に示すV2R_THB_Lowを選択して第3の長区間衝突判定閾値V2R_THとして設定し、当該設定値を第3の長区間比較回路39Rの反転入力端子に出力する。
一方、上記ステップS50において、「No」、つまりΔVMAX≦MMTHBの場合(歩行者が大人と判別され、且つ加速度センサの出力変化要因が悪路走行時やABS作動時の振動によるものと判別される場合)、閾値設定回路37は、図7(a)に示すV1L_THB_Hiを選択して第1の短区間衝突判定閾値V1L_THとして設定し、当該設定値を第1の短区間比較回路38Lの反転入力端子に出力する(ステップS52)。また、このステップS52において、閾値設定回路37は、図7(b)に示すV1C_THB_Hiを選択して第2の短区間衝突判定閾値V1C_THとして設定し、当該設定値を第2の短区間比較回路38Cの反転入力端子に出力すると共に、図7(c)に示すV1R_THB_Hiを選択して第3の短区間衝突判定閾値V1R_THとして設定し、当該設定値を第3の短区間比較回路38Rの反転入力端子に出力する。
また、このステップS52において、閾値設定回路37は、図7(d)に示すV2L_THB_Hiを選択して第1の長区間衝突判定閾値V2L_THとして設定し、当該設定値を第1の長区間比較回路39Lの反転入力端子に出力し、図7(e)に示すV2C_THB_Hiを選択して第2の長区間衝突判定閾値V2C_THとして設定し、当該設定値を第2の長区間比較回路39Cの反転入力端子に出力すると共に、図7(f)に示すV2R_THB_Hiを選択して第3の長区間衝突判定閾値V2R_THとして設定し、当該設定値を第3の長区間比較回路39Rの反転入力端子に出力する。
一方、上記ステップS49において、「No」、つまりVMIN≦MINTH(Aゾーン:子供)の場合、閾値設定回路37は、第1の変数ΔVMAXの値がAゾーンの歩行者判別閾値MMTHAより大きいか否かを判定する(ステップS53)。このステップS53において、「Yes」、つまりΔVMAX>MMTHAの場合(歩行者が子供と判別され、且つ加速度センサの出力変化要因が歩行者との衝突によるものと判別される場合)、閾値設定回路37は、図7(a)に示すV1L_THA_Lowを選択して第1の短区間衝突判定閾値V1L_THとして設定し、当該設定値を第1の短区間比較回路38Lの反転入力端子に出力する(ステップS54)。
また、このステップS54において、閾値設定回路37は、図7(b)に示すV1C_THA_Lowを選択して第2の短区間衝突判定閾値V1C_THとして設定し、当該設定値を第2の短区間比較回路38Cの反転入力端子に出力すると共に、図7(c)に示すV1R_THA_Lowを選択して第3の短区間衝突判定閾値V1R_THとして設定し、当該設定値を第3の短区間比較回路38Rの反転入力端子に出力する。
また、このステップS54において、閾値設定回路37は、図7(d)に示すV2L_THA_Lowを選択して第1の長区間衝突判定閾値V2L_THとして設定し、当該設定値を第1の長区間比較回路39Lの反転入力端子に出力し、図7(e)に示すV2C_THA_Lowを選択して第2の長区間衝突判定閾値V2C_THとして設定し、当該設定値を第2の長区間比較回路39Cの反転入力端子に出力すると共に、図7(f)に示すV2R_THA_Lowを選択して第3の長区間衝突判定閾値V2R_THとして設定し、当該設定値を第3の長区間比較回路39Rの反転入力端子に出力する。
一方、上記ステップS53において、「No」、つまりΔVMAX≦MMTHAの場合(歩行者が子供と判別され、且つ加速度センサの出力変化要因が悪路走行時やABS作動時の振動によるものと判別される場合)、閾値設定回路37は、図7(a)に示すV1L_THA_Hiを選択して第1の短区間衝突判定閾値V1L_THとして設定し、当該設定値を第1の短区間比較回路38Lの反転入力端子に出力する(ステップS55)。また、このステップS55において、閾値設定回路37は、図7(b)に示すV1C_THA_Hiを選択して第2の短区間衝突判定閾値V1C_THとして設定し、当該設定値を第2の短区間比較回路38Cの反転入力端子に出力すると共に、図7(c)に示すV1R_THA_Hiを選択して第3の短区間衝突判定閾値V1R_THとして設定し、当該設定値を第3の短区間比較回路38Rの反転入力端子に出力する。
また、このステップS55において、閾値設定回路37は、図7(d)に示すV2L_THA_Hiを選択して第1の長区間衝突判定閾値V2L_THとして設定し、当該設定値を第1の長区間比較回路39Lの反転入力端子に出力し、図7(e)に示すV2C_THA_Hiを選択して第2の長区間衝突判定閾値V2C_THとして設定し、当該設定値を第2の長区間比較回路39Cの反転入力端子に出力すると共に、図7(f)に示すV2R_THA_Hiを選択して第3の長区間衝突判定閾値V2R_THとして設定し、当該設定値を第3の長区間比較回路39Rの反転入力端子に出力する。
以上が図4のステップS3における衝突判定閾値設定処理の説明であり、以下では図4のステップS4以降の処理について説明する。
第1の短区間積分回路33Lは、デジタル変換処理及びフィルタリング処理された加速度センサ10Lの出力信号を所定時間区間で1次積分し、この積分値を第1の短区間速度変化V1Lとして第1の短区間比較回路38Lの非反転入力端子に出力する(ステップS4)。第2の短区間積分回路33Cは、デジタル変換処理及びフィルタリング処理された加速度センサ10Cの出力信号を所定時間区間で1次積分し、この積分値を第2の短区間速度変化V1Cとして第2の短区間比較回路38Cの非反転入力端子に出力する(ステップS5)。第3の短区間積分回路33Rは、デジタル変換処理及びフィルタリング処理された加速度センサ10Rの出力信号を所定時間区間で1次積分し、この積分値を第3の短区間速度変化V1Rとして第3の短区間比較回路38Rの非反転入力端子に出力する(ステップS6)。
さらに、第1の長区間積分回路34Lは、デジタル変換処理及びフィルタリング処理された加速度センサ10Lの出力信号を所定時間区間(短区間積分回路より長い時間区間)で1次積分し、この積分値を第1の長区間速度変化V2Lとして第1の長区間比較回路39Lの非反転入力端子に出力する(ステップS7)。第2の長区間積分回路34Cは、デジタル変換処理及びフィルタリング処理された加速度センサ10Cの出力信号を所定時間区間(短区間積分回路より長い時間区間)で1次積分し、この積分値を第2の長区間速度変化V2Cとして第2の長区間比較回路39Cの非反転入力端子に出力する(ステップS8)。第3の長区間積分回路34Rは、デジタル変換処理及びフィルタリング処理された加速度センサ10Rの出力信号を所定時間区間(短区間積分回路より長い時間区間)で1次積分し、この積分値を第3の長区間速度変化V2Rとして第3の長区間比較回路39Rの非反転入力端子に出力する(ステップS9)。
なお、上記のステップS4〜S9の処理は並列的に行われるものである。
そして、第1の短区間比較回路38Lは、第1の短区間速度変化V1Lと第1の短区間衝突判定閾値V1L_THとを比較し(ステップS10)、V1L>V1L_THの場合(「Yes」)、歩行者と衝突したことを示すハイレベル信号を判定回路40に出力する(ステップS11)。第2の短区間比較回路38Cは、第2の短区間速度変化V1Cと第2の短区間衝突判定閾値V1C_THとを比較し(ステップS12)、V1C>V1C_THの場合(「Yes」)、歩行者と衝突したことを示すハイレベル信号を判定回路40に出力する(ステップS13)。第3の短区間比較回路38Rは、第3の短区間速度変化V1Rと第3の短区間衝突判定閾値V1R_THとを比較し(ステップS14)、V1R>V1R_THの場合(「Yes」)、歩行者と衝突したことを示すハイレベル信号を判定回路40に出力する(ステップS15)。
さらに、第1の長区間比較回路39Lは、第1の長区間速度変化V2Lと第1の長区間衝突判定閾値V2L_THとを比較し(ステップS16)、V2L>V2L_THの場合(「Yes」)、歩行者と衝突したことを示すハイレベル信号を判定回路40に出力する(ステップS17)。第2の長区間比較回路39Cは、第2の長区間速度変化V2Cと第2の長区間衝突判定閾値V2C_THとを比較し(ステップS18)、V2C>V2C_THの場合(「Yes」)、歩行者と衝突したことを示すハイレベル信号を判定回路40に出力する(ステップS19)。第3の長区間比較回路39Rは、第3の長区間速度変化V2Rと第3の長区間衝突判定閾値V2R_THとを比較し(ステップS20)、V2R>V2R_THの場合(「Yes」)、歩行者と衝突したことを示すハイレベル信号を判定回路40に出力する(ステップS21)。
なお、上記のステップS10〜S21の処理は並列的に行われるものである。
そして、判定回路40は、少なくとも1つのハイレベル信号が入力された場合に、歩行者と衝突したと判定し、当該判定結果を示すハイレベル信号をエンジンフード制御装置41に出力する(ステップS22)。エンジンフード制御装置41は、判定回路40からハイレベル信号が入力された場合、つまり歩行者と衝突したと判定された場合に、パワーユニット50を制御することによりエンジンフード130を持ち上げる(ステップS23)。
なお、ステップS10、S12、S14、S16、S18、S20の全てにおいて、「No」の場合、つまり全ての速度変化が衝突判定閾値以下であった場合、判定回路40からローレベル信号がエンジンフード制御装置41に出力されるため、エンジンフード130の制御は行われず、ステップS1に戻って引き続き歩行者との衝突を監視する。
以上のように、本実施形態に係る歩行者衝突検知装置を備えた歩行者保護システムによれば、歩行者の体重や車両100の走行状況に拘わらず歩行者との衝突を正確に検知することが可能であると共に、衝突時に確実に歩行者を保護することが可能である。
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では、3つの加速度センサ10L、10C、10Rを車両前端部に設置した場合を例示して説明したが、加速度センサの個数はこれに限定されず、少なくとも加速度センサの出力信号の1次積分値(速度変化)同士の関連性がわかれば良いので、2つ以上の加速度センサを設置すれば良い。また、上記実施形態では、加速度センサ10L、10C、10Rの出力信号の1次積分値(速度変化)を用いた場合を例示して説明したが、2次積分値(変位量)を用いても良い。
(2)上記実施形態では、閾値選択マップの第2の軸に沿って子供と大人に対応する2つ体重領域(Aゾーン、Bゾーン)を設定した場合を例示して説明したが、この体重領域をさらに細かく体重別に区分しても良い。この場合、歩行者判別閾値もそれぞれの体重領域毎に設定すれば良い。
(3)上記実施形態では、フロントエンジンタイプの車両100を想定して説明したが、例えば、ミッドシップエンジンタイプ、リアエンジンタイプの車両の場合でも、車両前方部に設けたトランク上に開閉自在のフードを設置することが一般的であるため、本発明を適用することができる。
本発明の一実施形態に係る歩行者衝突検知装置を備えた歩行者保護システムの構成概略図である。 本発明の一実施形態に係る歩行者保護システムにおけるECU30の詳細説明図である。 本発明の一実施形態に係る歩行者保護システムで使用される閾値選択マップの一例である。 本発明の一実施形態に係る歩行者保護システムの動作を示す第1フローチャートである。 本発明の一実施形態に係る歩行者保護システムの動作を示す第2フローチャートである。 本発明の一実施形態に係る歩行者保護システムにおけるデータ処理回路36の動作に関する説明図である。 本発明の一実施形態に係る歩行者保護システムにおける衝突判定閾値の設定手法に関する説明図である。
符号の説明
100…車両、110…フロントバンパ、120…前輪、130…エンジンフード、140…バンパビーム、150…セーフティプレート、10L、10C、10R…加速度センサ、20…車速センサ、30…ECU(Electronic Control Unit)、31L…第1のA/Dコンバータ、31C…第2のA/Dコンバータ、31R…第3のA/Dコンバータ、32L…第1のLPF(Low Pass Filter)、32C…第2のLPF、32R…第3のLPF、33L…第1の短区間積分回路、33C…第2の短区間積分回路、33R…第3の短区間積分回路、34L…第1の長区間積分回路、34C…第2の長区間積分回路、34R…第3の長区間積分回路、35L…第1の最長区間積分回路、35C…第2の最長区間積分回路、35R…第3の最長区間積分回路、36…データ処理回路、37…閾値選択回路、38L…第1の短区間比較回路、38C…第2の短区間比較回路、38R…第3の短区間比較回路、39L…第1の長区間比較回路、39C…第2の長区間比較回路、39R…第3の長区間比較回路、40…判定回路、41…エンジンフード制御装置、50…パワーユニット

Claims (5)

  1. 車両の前端部に設置された複数の加速度センサと、
    前記複数の加速度センサの出力信号をそれぞれ積分する積分回路と、
    前記積分回路によって算出された各加速度センサに対応する積分値同士の関連性を基に判別される歩行者の状態及び加速度センサの出力変化要因に応じて、衝突判定閾値を各加速度センサ毎に設定する衝突判定閾値設定回路と、
    前記積分回路によって算出された各加速度センサに対応する積分値と、前記衝突判定閾値設定回路によって設定された衝突判定閾値とを比較し、少なくとも1つの加速度センサに対応する積分値が前記衝突判定閾値を越えた場合に歩行者と衝突したと判定する衝突判定回路と、
    を備えることを特徴とする歩行者衝突検知装置。
  2. 前記車両の車速を検出する車速センサを備え、
    前記衝突判定閾値設定回路は、
    前記積分回路によって算出された各加速度センサに対応する積分値がそれぞれ最大値になるように保持すると共に、各積分値の最大値の中での最大値と最小値の差を第1の変数の値に設定し、前記最小値を第2の変数の値に設定するデータ処理回路と、
    前記第1の変数に関する第1の軸と、前記第2の変数に関する第2の軸とから成る2次元マップ上において、前記車速センサにて検出される車速に応じて、前記第2の軸に沿って前記歩行者の状態に関する歩行者の体重別に区分された複数の体重領域を設定すると共に、前記第1の軸に沿って前記加速度センサの出力変化要因が歩行者との衝突によるものか否かを判別するための歩行者判別閾値を前記複数の体重領域毎に設定し、前記2次元マップ上における前記データ処理回路にて設定された前記第1及び第2の変数の値に応じて前記衝突判定閾値を各加速度センサ毎に設定する閾値設定回路と、
    を備えることを特徴とする請求項1記載の歩行者衝突検知装置。
  3. 前記積分回路は、
    各加速度センサの出力信号の各々を所定時間区間で積分する短区間積分回路と、
    各加速度センサの出力信号の各々を前記所定時間区間よりも長い時間区間で積分する長区間積分回路と、
    各加速度センサの出力信号の各々を少なくとも自装置の動作中において歩行者との衝突を監視する必要のある時間区間で積分する最長区間積分回路と、
    を備え、
    前記データ処理回路は、前記最長区間積分回路によって算出された各加速度センサに対応する積分値を基に前記第1及び第2の変数の値を設定し、
    前記閾値設定回路は、前記2次元マップ上における前記データ処理回路にて設定された前記第1及び第2の変数の値に応じて、前記短区間積分回路によって算出された各加速度センサに対応する積分値と比較するための短区間衝突判定閾値と、前記長区間積分回路によって算出された各加速度センサに対応する積分値と比較するための長区間衝突判定閾値とを各加速度センサ毎に設定し、
    前記衝突判定回路は、
    前記短区間積分回路によって算出された各加速度センサに対応する積分値と、前記閾値設定回路によって設定された短区間衝突判定閾値とを比較する短区間比較回路と、
    前記長区間積分回路によって算出された各加速度センサに対応する積分値と、前記閾値設定回路によって設定された長区間衝突判定閾値とを比較する長区間比較回路と、
    前記短区間比較回路と前記長区間比較回路の内、少なくとも1つの加速度センサに対応する積分値が前記短区間衝突判定閾値または前記長区間衝突判定閾値を越えたと判定された場合に歩行者と衝突したと判定する判定回路と、を備える、
    ことを特徴とする請求項2記載の歩行者衝突検知装置。
  4. 前記各加速度センサの出力信号に重畳する、車両走行時の振動に起因するノイズを除去するためのフィルタを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の歩行者衝突検知装置。
  5. 車両の前端部が歩行者と衝突した場合に、当該車両に設けられたフードを持ち上げることにより前記歩行者が負う傷害を軽減する歩行者保護システムであって、
    前記フードを持ち上げるためのアクチュエータと、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の歩行者衝突検知装置と、
    前記歩行者衝突検知装置にて前記歩行者と衝突したと判定された場合に、前記アクチュエータを制御することにより前記フードを持ち上げる制御装置と、
    を備えることを特徴とする歩行者保護システム。
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