JP2009195059A - 電力変換方法および電力変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転座標系で行う電力変換において、交流入力電圧に高調波が含まれる場合や交流入力電圧が急激に変動した場合に、交流入力電流の変動を抑制する。
【解決手段】単相電力変換器を回転座標系で電流制御し、単相交流電力と直流電力との間で電力変換を行う電力変換において、単相電力変換器の入力電流値を静止座標系から回転座標系に変換し、この回転座標系に変換した入力電流値を用いて電流制御を行い、単相コンバータを制御する電圧制御値を形成し、さらに、この電圧制御値に回転座標系に変換した単相コンバータの入力電圧分を加算して、入力電圧分をバイアスした電圧制御値を用いて単相コンバータを制御する。回転座標系で電流制御を行うと共に、この電流制御で形成した電圧制御値に、回転座標系に変換した単相コンバータの入力電圧分を加算することによって交流入力電流の変動を抑制する。
【選択図】図1

Description

本発明は、単相交流電力を一定電圧の直流電力に変換する交流-直流電力変換装置などの単相交流電力と直流電力との間で電力変換を行う電力変換装置に関する。
交流と直流間の電力変換において、交流から直流への順変換はコンバータと呼ばれる変換装置によって行われ、直流から交流への逆変換はインバータと呼ばれる変換装置によって行われる。
このような電力変換を静止座標系で行う場合には、制御偏差によって交流電力を高速、高精度に制御することが困難であるという問題がある。そこで、三相交流においては、静止座標上の電圧・電流値を交流入力電圧の位相と同期した回転座標上のd軸、q軸に変換して直流値で制御を行うことが一般に行われている。
単相交流においても、交流値に対して位相が90°ずれた信号を得ることによって、交流入力電圧に同期した回転座標上に変換することが提案されている。この単相交流の有効電力や無効電力の制御において、電流、電圧等の制御対象を回転座標(dq座標)上で演算することで、交流電力の制御を高速、高精度で行うことが期待される。
単相交流の電力変換の制御を回転座標上で行うものとして、例えば特許文献1,2が知られている。
特許文献1の単相電圧形PWM制御インバータ装置では、インバータ装置の出力の検出電圧と、この検出電圧を90°遅らせた補助基準とを回転座標変換器に入力し、出力電圧のd軸成分とq軸成分とを算出し、算出したd軸成分とq軸成分を用いてインバータ装置を制御することが開示されている。
また、特許文献2の半導体電力変換装置の制御回路は、ヒルベルト変換を用いて交流電圧および交流電流の瞬時値の複素ベクトルを検出し、有効電力や無効電力の制御に必要な電流や電圧を回転座標上で演算可能とすることが開示されている。また、ヒルベルト変換で得られる交流電源の複素ベクトルの瞬時位相角を同期運転の基準信号として用いることが開示されている。特許文献2の回路構成では、ヒルベルト変換によって虚軸成分を算出し、遅延回路によってヒルベルト変換による群遅延を補償した実軸成分を算出し、算出した虚軸成分と実軸成分とを用いてdq変換を行い、回転座標上での演算を行っている。
特開平1−209960号公報(第2頁右上欄17行〜19行、第2頁左下欄1行〜右下欄5行、第3頁左上欄14,15行) 特開2003−143860号公報(段落0005,0056,0060,0062) 特許第2509890号明細書(第2頁第4欄33行〜40行)
従来のフルブリッジ構成の単相コンバータでは、運転中に交流入力電圧に高調波が含まれる場合、交流入力電流にも高調波が生じる。交流入力電圧の高調波のレベルによっては、交流入力電流に過大なピーク電流が流れる。過大なピーク電流は、コンバータ等の電力変換装置に損傷を与えるおそれがある。また、交流入力電圧に急激な変動が発生した場合のおいても、制御応答の遅れによって瞬間的に入力に過大な電流が流れる場合がある。
電力変換装置は、このような過剰電流による損傷を回避するために、過電流から装置を保護するための機能を備えるものがある。この過電流保護では、過剰電流が発生した場合に装置を停止させることによって装置の損傷を防いでいる。
一方、電力変換装置は、例えば無停電電源装置に適用され、コンピュータなど瞬時停電も許されない装置に接続されている。したがって、電力変換装置は、交流入力電圧に高調波が含まれる場合や交流入力電圧が急激に変動した場合であっても、装置が停止しないことが求められる。
交直変換装置において、電源電圧の急変やひずみに対応するために、電源電圧の瞬時値を交流のまま制御出力に加算することが提案されている。(例えば、特許文献3参照)
図17は、特許文献3による交直変換装置の制御態様の概要を説明するための図である。図17に示す構成例では、交流電源102をコンバータ103によって直流に変換して負荷104に供給する。この構成において、制御回路114は、検出器121で検出した交流電源102側の電流値Isおよび電圧値Vsと、検出器122で検出した負荷104側の電圧値Vdとを入力して静止座標系において電流制御を行って電圧補正量を算出し、この電圧補正量を用いてコンバータ制御部118によってコンバータ103を駆動する。このとき、電圧補正量に電源電圧の電圧値Vsを加算する。
この構成では、交流側電圧補正量に電源電圧の瞬時値を合成して交直変換装置の出力電圧を交流量として求めることによって、電源電圧の急変を交直変換装置の出力に直接反映させている。
しかしながら、上記した特許文献3に開示されるものは、電源電圧の瞬時値を交流のまま制御出力に加算するという静止座標上で行う制御であり、回転座標上で行う制御に適用することができない。
したがって、回転座標系で行う電力変換において、交流入力電圧に高調波が含まれる場合や交流入力電圧が急激に変動した場合に、交流入力電流の変動を抑制することを第1の目的とする。
また、回転座標系による電流制御では、逆変換によって電圧指令値を回転座標系から静止座標系に変換する必要がある。この逆変換では、演算パラメータとして入力電圧の位相角が必要となる。上記した特許文献1では、この位相角として基準位相θを用いているが、この基準位相θの具体的な形成方法については明記されていない。
また、上記した特許文献2では、ヒルベルト変換器で求めた虚軸成分と遅延回路で求めた実軸成分とから演算によって求めることが示されている。この構成では、ヒルベルト変換器に含まれる群遅延を補償するために遅延回路が必要となり、入力電圧の位相角を算出するための構成が複雑となるという問題がある。また、虚軸成分および実軸成分は、ヒルベルト変換器および遅延回路の出力信号が変動した場合に、算出された入力電圧の位相角の値に誤差が含まれるおそれがあるという問題も含んでいる。
したがって、回転座標系で行う電力変換において、変換および逆変換に用いる入力電圧の位相角を簡易で高精度に検出することを第2の目的とする。
上記した第1の交流入力電流の変動を抑制する目的、および第2の入力電圧の位相角を簡易で高精度に検出する目的は、共に電力変換を回転座標系で行う際の課題を解決するものであり、交流入力電圧の変動という共通の要因によって生じる課題を解決するものである。
本発明は、単相電力変換器を回転座標系で電流制御し、単相交流電力と直流電力との間で電力変換を行う電力変換において、単相電力変換器の入力電流値を静止座標系から回転座標系に変換し、この回転座標系に変換した入力電流値を用いて電流制御を行い、単相コンバータを制御する電圧制御値を形成し、さらに、この電圧制御値に回転座標系に変換した単相コンバータの入力電圧分を加算して、入力電圧分をバイアスした電圧制御値を用いて単相コンバータを制御する。
本発明によれば、回転座標系で電流制御を行うと共に、この電流制御で形成した電圧制御値に、回転座標系に変換した単相コンバータの入力電圧分を加算することによって交流入力電流の変動を抑制する。
交流入力電流の変動要因は、交流入力電圧に含まれる高調波や、交流入力電圧の急激な変動等の交流入力の電圧変動によるものである。本発明は、この交流入力の電圧変動に対して同電圧変動分をバイアスすることで交流入力電流の変動を抑制する。本発明は、回転座標系に変換した入力電圧分を、回転座標系で電流制御して得た電圧制御値に加算することで、回転座標系において交流入力電流の変動を抑制することができる。
本発明は、交流から直流への順変換を行うコンバータの態様において、方法の形態と装置の形態に適用することができる。
本発明の電力変換方法の形態では、単相コンバータを回転座標系で電流制御し、単相交流電力を直流電力に変換する電力変換方法において、単相コンバータへの入力電流値を回転座標系に変換し、当該回転座標系の入力電流値を電流制御して単相コンバータを制御する電圧制御値を形成し、単相コンバータへの入力電圧分を回転座標系に変換し、この電圧制御値に回転座標系に変換した単相コンバータの入力電圧分をバイアスし、バイアスした電圧制御値を用いて単相コンバータを制御する。
また、本発明の電力変換装置の形態では、単相交流電力を直流電力に変換する単相コンバータと、回転座標系において電流制御を行う回転座標系制御部と、静止座標系の電圧値および電流値を回転座標系に変換する第1の座標変換部と、回転座標系の電圧値を静止座標系に変換する第2の座標変換部と、単相交流の電圧および電流の検出値の位相を+90°又は−90°シフトする位相シフタとを備える。
図1は、本発明の電力変換装置の概略構成を説明するための図である。
図1において、電力変換装置1は、コンバータ3によって電源2の単相交流を直流に電力変換して負荷4に供給する。コンバータ3は、負荷4に供給する電圧が所定電圧となるように、また、力率が1となるように制御される。このコンバータ制御は、コンバータ3の入力側の電流を検出し、この検出電流を回転座標系制御部13において回転座標上で電流制御し、コンバータ3を制御する電圧制御値を形成する。
回転座標系制御部13では回転座標上で電流制御の演算を行うため、検出器21で検出した入力側の電流値iおよび電圧値eを、第1座標変換部11によって静止座標系から回転座標系に変換し、回転座標系制御部13で形成した電圧制御値を第2座標変換部12によって回転座標系から静止座標系に変換する。これによって、コンバータ制御部18は、静止座標系の電圧制御値でコンバータ3を制御して電力変換を行う。
回転座標系制御部13は、コンバータ3を制御するために、電圧制御値を算出する電流制御手段14と、入力電圧変動による電流変動を抑制する電流変動抑制手段15の構成を備える。電流変動抑制手段15は、電流制御手段14で求めた電圧制御値に第1座標変換部11で変換した入力電圧eを加算する。なお、電流変動抑制手段15は、電流制御手段14が電圧制御値を出力する加算器を兼用し、この加算器に第1座標変換部11で変換した入力電圧eを加算する構成とすることができる。
また、第1座標変換部11および第2座標変換部12で行う座標変換の演算では、90°位相がずれた信号が必要であるため、位相シフタ16によって、検出器21で検出した入力側の電流値iおよび電圧値eの位相を90°ずらし、回転座標系制御部13の電流制御手段14に送る。
また、位相検出部17を位相シフタ16に接続し、位相シフタ16の出力に基づいて入力電圧の位相角ωtを求める。この入力電圧の位相角ωtは、第1座標変換部11および第2座標変換部12で行う座標変換演算に要する演算パラメータとして用いられる。
上記した各構成において、電流変動抑制手段15、位相シフタ16、および位相シフタ16をローパスフィルタとしその出力を用いた位相検出部17の各手段は、本発明が特徴的に備える構成である。
第1の座標変換部は、単相交流の入力電流値と、位相シフタによって入力電流値を90°位相シフトした電流値とを入力して回転座標系の電流値に変換する。
また、回転座標系制御部は、電流制御手段と電流変動抑制手段とを備え、いずれの手段も回転座標上の演算処理で行うことができる。電流制御手段は、第1の座標変換部で変換した回転座標系の電流値を電流制御して回転座標系の電圧制御値を形成する。電流変動抑制手段は、電圧制御値に単相コンバータに入力する入力電圧分を加算して、入力電圧変動による電流変動を抑制する。
第2の座標変換手段は、回転座標系制御部が出力する回転座標系の電圧指令値を静止座標系の電圧指令値に変換する。単相コンバータは、第2の座標変換手段が出力する静止座標系の電圧指令値に基づいて交流電力を直流電力に電力変換する。
電流変動抑制手段は、電流制御手段が出力する電圧制御値に、第1の座標変換手段で変換した回転座標系の電圧値を加算する。
電流制御手段は、回転座標系のq軸の指令電流を零とし、回転座標系のd軸の指令電流を、単相コンバータの出力電圧と電圧指令値との偏差を零とするPI制御で得た値とするPI制御を行う。回転座標系のq軸の指令電流を零とすることによって、力率を改善して力率を1とし、単相PFC(Power Factor Correction)コンバータを構成することができる。
本発明の位相シフタは、単相交流の電圧および電流の検出値の位相を+90°又は−90°シフトする装置であり、例えば、オペアンプを用いた90°進み回路により構成することができる。本発明が備えるオペアンプを用いた90°進み回路は、オペアンプの帰還抵抗を、第1のコンデンサと、接続点を第2のコンデンサを介して接地した直列抵抗との並列回路で構成することができる。この90°進み回路の周波数特性は抵抗およびコンデンサを調整することで定めることができる。この位相シフタの周波数特性は、所定周波数において所定のゲインを有すると共に、90°の位相ずれを有する特性とする。この所定周波数として、電力変換装置によって変換する交流の周波数とすることで、電力変換を行う周波数において、大きさを変えることなく位相のみを90°進ませることができる。
本発明の電力変換装置は、位相シフタとして90°進み回路に限らず90°遅れ回路を用いて構成してもよい。90°遅れ回路は、例えば、上述した90°進み回路に位相反転回路を接続することによって構成することができる。
本発明の電力変換装置は、電流制御を回転座標上の演算で行うため、静止座標系の電圧値および電流値を回転座標系に変換する第1の座標変換部を備える。また、回転座標上の電流制御で得られた電圧制御値を用いて単相コンバータを制御するには、静止座標上で駆動する単相コンバータに合わせて、回転座標上の電圧制御値を静止座標上の電圧制御値に逆変換する必要がある。本発明の電力変換装置は、この回転座標系から静止座標系への逆変換を行うために第2の座標変換部とを備える。
第1の座標変換部および第2の座標変換部は、座標変換の演算を行うために入力電圧の位相角を演算パラメータとして必要としている。本発明電力変換装置は、この入力電圧の位相角を検出する位相検出手段を備える。この位相検出手段は、位相シフタの出力を用いるものであり、位相シフタによるローパスフィルタ出力の零点を基準として入力電圧の位相角を検出する。
本発明のオペアンプを用いた90°進み回路により構成される位相シフタは、入力電圧の位相を90°進める特性の他にローパスフィルタの特性を有している。したがって、入力電圧信号に高周波成分やピーク成分が含まれている場合であっても、このローパスフィルタの特性によってこれらの高周波成分やピーク成分は除去され、基本波を抽出することができる。
また、本発明のオペアンプを用いた90°進み回路の直流分に対するゲインを有限値とすることによって、入力信号に含まれるオフセット電圧が増幅されることによる飽和を防ぐことができる。
位相検出手段は、位相シフタの出力が零となる零点を基準として位相角を検出する際、信号成分から高周波成分やピーク成分を除去することによって、零点を誤って検出することを防ぐことができ、位相角を高精度で検出することができる。
また、本発明の構成によれば、入力電圧値を回転座標系に変換するために備える位相シフタを位相検出に兼用することができるため、回路構成を簡略化し小型化することができる。
本発明が備える単相コンバータは、例えば、入力端と出力端との間に、自己消弧形素子とダイオードとを並列接続したスイッチ素子をブリッジ接続してなる単相ブリッジ回路で構成することができる。各スイッチ素子を電圧指令値に従って開閉制御することにより交流電力を直流電力に電力変換する。
本発明の態様によれば、回転座標系に変換した入力電圧を、回転座標上の電圧指令値に加算することによって、交流入力電圧の変動に起因する交流入力電流の変動を抑制することができる。
本発明の態様によれば、位相シフタにローパスフィルタの特性を持たせることによって、座標変換に用いる位相角の演算パラメータを簡易で高精度で検出することができる。
本発明の態様によれば、位相シフタとしてオペアンプを用いた90°進み回路を用い、この90°進み回路の直流信号のゲインを有限値とすることで、入力電圧に含まれるオフセット電圧が増幅されて飽和することを防ぐことができる。
以上説明したように、本発明の電力変換装置によれば、交流入力電圧の変動に起因する課題を解決することができる。
より詳細には、本発明の電力変換装置によれば、回転座標系で行う電力変換において、交流入力電圧に高調波が含まれる場合や交流入力電圧が急激に変動した場合に、交流入力電流の変動を抑制することができる。
また、回転座標系で行う電力変換において、変換および逆変換の座標変換に用いる入力電圧の位相角を簡易で高精度に検出することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照しながら詳細に説明する。
図2は本発明の電力変換装置の一構成例を説明するための図である。図2は、前記した図1に示す概略構成を詳細に示した図である。
図2において、電源2は交流電源2Aとし、コンバータ3は、自己消弧形素子とダイオードとを並列接続したスイッチ素子3a〜3dをブリッジ接続してなる単相ブリッジ回路で構成し、入力端はインダクタンスLを介して交流電源2Aと接続し、出力端は平滑コンデンサを介して負荷4と接続する。
スイッチ素子3a〜3dは、制御パルス生成手段18bからの制御パルス信号によって開閉のタイミングと開閉間隔が制御され、交流電源2Aからの交流電力は直流電力に変換されて負荷4に供給される。
電流検出手段21Aは、交流電源2A側の入力電流値を検出し、また、電圧検出手段21Bは交流電源2A側の入力電圧値を検出する。電流検出手段21Aは、検出した電流値を、第1座標変換部11を構成する回転座標変換手段11Aに入力すると共に、位相シフタ16を構成する90°進み回路16Aに入力する。また、電圧検出手段21Bは、検出した電圧値を、第1座標変換部11を構成する回転座標変換手段11Bに入力すると共に、位相シフタ16を構成する90°進み回路16Bに入力する。
90°進み回路16Aおよび90°進み回路16Bは、オペアンプにより構成することができ、所定周波数において所定のゲインを有し、90°の位相ずれを有する周波数特性を備える。この90°進み回路の詳細については後述する。
回転座標変換手段11Aは、電流検出手段21Aから静止座標系の交流入力電流ia′を入力し、90°進み回路16Aから静止座標系の交流入力電流ib′を入力する。交流入力電流ib′は交流入力電流ia′に対して90°位相が進んだ信号である。回転座標変換手段11Aは、入力した静止座標系の交流入力電流ia′および交流入力電流ib′に対して座標変換の演算を施して回転座標系(dq座標変換系)のd軸電流id′およびq軸電流iq′を算出する。
また、回転座標変換手段11Bは、電圧検出手段21Bから静止座標系の交流入力電圧ea′を入力し、90°進み回路16Bから静止座標系の交流入力電圧eb′を入力する。交流入力電圧eb′は交流入力電圧ea′に対して90°位相が進んだ信号である。回転座標変換手段11Bは、入力した静止座標系の交流入力電圧ea′および交流入力電圧eb′に対して座標変換の演算を施して回転座標系(dq座標変換系)のd軸電圧ed′およびq軸電圧eq′を算出する。
また、位相検出部17は、90°進み回路16Bから静止座標系の交流入力電圧eb′を入力し、この交流入力電圧eb′が零点をなる時点を検出することで入力電圧の位相角ωtを算出する。回転座標変換手段11A,11Bは、位相検出部17で求めた位相角ωtを演算パラメータとして座標変換を行う。また、この位相角ωtは、回転座標系から静止座標系に逆変換を行う回転座標変換部12にも送られる。
回転座標系制御部13は、d軸電流id′とその目標値id *との偏差を求める減算器31と、減算器31で求めた(id′−id *)を入力して、d軸電流id′を目標値id *に制御するためのPI制御器14aと、q軸電流iq′をωL倍するための掛算器14eと、掛算器14eの出力とPI制御器14aの出力との偏差を求める減算器33を備えると共に、q軸電流iq′とその目標値iq *との偏差を求める減算器32と、減算器32で求めた(iq′−iq *)を入力して、q軸電流iq′を目標値iq *に制御するためのPI制御器14bと、d軸電流id′をωL倍するための掛算器14fと、掛算器14fの出力とPI制御器14bの出力とを加算する加算器34を備える。
また、減算器33には回転座標変換手段11Bからのd軸電圧ed′が加算され、加算器34には回転座標変換手段11Bからのq軸電圧eq′が減算される。
この構成によって、回転座標系制御部13の減算器33からはd軸制御電圧vd′が出力され、回転座標系制御部13の加算器34からはq軸制御電圧vq′が出力される。
減算器33および加算器34は、回転座標系制御部13の電流変動抑制手段を構成する。減算器33による電流変動抑制手段は、電流制御で得られたd軸制御電圧vd′にd軸電圧ed′を加算することによって、入力電圧変動による電流変動を抑制する。また、加算器34による電流変動抑制手段は、電流制御で得られたq軸制御電圧vq′にq軸電圧ed′を加算することによって、入力電圧変動による電流変動を抑制する。
回転座標系制御部13では、d軸電流の目標値としてid *を入力し、q軸電流の目標値としてiq *を入力する。
目標値id *は、単相コンバータ3の直流出力電圧vdc′が直流電圧指令値vdc *となるように、回転座標系制御部13を制御する。この目標値id *を求める構成は、単相コンバータ3の直流出力電圧vdc′を検出する検出器22と、直流電圧指令値vdc *を出力する指定電圧設定手段14dと、直流出力電圧vdc′と直流電圧指令値vdc *との偏差を求める減算器30と、求めた偏差(vdc *−vdc′)をPI制御して直流出力電圧vdc′を一定に保持させるためのPI制御器14cとを備え、このPI制御器14cの出力id *を目標値としてPI制御器14aの入力側の減算器31に入力する。
一方、目標値iq *は無効電流指令とし、単相コンバータ3による電力変換において無効電力が零となるように回転座標系制御部13を制御する。無効電流指令は無効電力を零として力率を1とするために、目標値iq *を“0”に設定し、この目標値iq *=0を目標値としてPI制御器14bの入力側の減算器32に入力する。
座標変換部12は、回転座標系制御部13で得られたd軸制御電圧vd′とq軸制御電圧vq′の制御出力を逆変換して、回転座標系から静止座標系に再変換する。
制御パルス生成手段18bは、座標変換部12の再変換で得られた静止座標系の制御電圧va′を用いて単相コンバータ3を制御する制御パルス信号を生成する。制御パルス信号の生成は、例えば、制御電圧va′の電圧値と三角波形のキャリア信号とを比較することで行う。
以下、上述した電力変換装置が備える各構成部分において、90°進み回路の構成および動作について図3〜図6を用いて説明し、回転座標上で行う電流制御について図7〜図10を用いて説明し、電流制御の指令値について図11を用いて説明し、PWMパスルの出力について図12を用いて説明し、本発明の実施例について図13〜図16を用いて説明する。
[90°進み回路の構成および動作]
本発明は、交流電圧あるいは交流電流に対して位相が90°ずれた信号を形成する回路として、オペアンプを用いた新規な構成の回路を用いる。この90°進み回路は一定の周波数以上において位相が90°進んだ信号を出力する周波数特性を備えるもので、電力変換装置の単相コンバータが電力変換する交流信号の周波数において、入力した電流信号あるいは電圧信号の位相を90°進める。
一般に、オペアンプを用いて90°進み回路を構成することが知られている。図3は一般的なオペアンプを用いた90°進み回路の構成例である。
図3に示す回路構成の90°進み回路は、オペアンプOPの入力抵抗にR1を接続し帰還抵抗にC1を接続して構成され、入力信号eaの位相を90°ずらした出力信号eoを出力する。
この回路の伝達関数は、
o/ea=−(1/C11)・(1/s)
で表され、上記式でs→0とすることで得られる、時間が充分経過したときの直流分のゲインは無限大となる。そのため、入力信号に含まれるオフセット電圧の直流分が積分されて出力eoは飽和することになる。
そこで、本発明では、90°進み回路は図4に示す回路構成とすることで、所定の周波数特性を備えると共に、上記した飽和の問題を解消する。図4に示す90°進み回路40は、オペアンプOPに接続する帰還抵抗として、第1のコンデンサC1と、接続点を第2のコンデンサC2を介して接地した抵抗RF1とRF2の直列抵抗との並列回路とする構成である。
一般に、交流電圧を式(1)で表されるeaとしたとき、このeaに対して位相が90°進んだ交流入力電圧ebは式(2)で表される。
図4で示される90°進み回路40の伝達関数は式(3)で表される。式(3)中のeaは90°進み回路の入力信号であり、eoは90°進み回路の出力信号である。ここでは、90°進み回路への入力信号と交流電圧の一般式とを、共に位相進めを行う前の信号として共通するeaで表している。
上記式(3)において、sが以下の式(4)の関係を満たすような領域では、
式(3)で示される伝達関数(eo/ea)は、式中のsにωtを代入して近似式を求めると以下の式(5)で表される。
式(4)を満たすsの領域は、例えば、周波数ωと時間tとの積が1/(C1(RF1+RF2+sCFF1F2)よりも充分に大きい領域であり、所定の周波数ωでは充分な時間が経過した後の状態であることを表し、所定の時間tが経過した時点においては周波数ωが充分な大きな状態であることを表している。
ここでR1、C1の各定数を以下の条件を満たすように選定する。
選定の条件は、式(2)のeb中の基本波成分(n=1)が式(4)を満たす領域であって、かつ、1/R11ω1=1を満たすものである。
なお、1/R11ω1=1の条件は、式(4)を満たすような領域において、ゲインが“1”となる条件を表している。
上記の条件を満たすR1、C1の各定数を選定すると、交流入力電圧eaとebの基本波の振幅はEb1≒Ea1と近似することができる。
したがって、この振幅の関係から、90°進み回路の出力信号eoは90°位相を進めた出力信号ebとして利用することができ、以下の式(6)で表される。
これにより、本発明の図4に示す90°進み回路40の回路構成は、入力信号eaの位相を90°進めた出力信号eoを出力する。
なお、図2に示した本発明の電力変換装置1では、位相シフタとして90°進み回路40を用いる構成例を示しているが、90°遅れ回路を用いる構成例とすることもできる。この場合には、図4に示した90°進み回路に代えて、図5に示す構成の90°遅れ回路を用いることができる。
図5に示す90°遅れ回路42は、図4に示した90°進み回路40の出力端に位相反転回路41を接続することで構成することができる。位相反転回路41は、例えば、オペアンプOPに入力抵抗R2と帰還抵抗R3を接続することで構成することができる。位相反転回路41は、90°進み回路40の出力の位相を反転する。この90°遅れ回路42の出力信号ebは以下の式(7)で表される。
以下では、本発明の電力変換装置が備える位相シフタは90°進み回路の例を用いて説明するが、90°遅れ回路を用いた構成についても同様とすることができる。
本発明の電力変換装置に用いる、図4に示す90°進み回路の一例について説明する。ここで示す例は、基本波が50Hzにおいて、入力電圧eaの基本波の振幅Ea1と、90°位相を進めた出力電圧ebの基本波の振幅Eb1がほぼ等しくなる(Ea1≒Eb1)ようにC1,C2,R1,R2,R3の定数を選定する。
この定数の選定では、帰還抵抗(RF1+RF2)と入力抵抗R1との抵抗比((RF1+RF2)/R1)を例えば4程度に設定し、オペアンプOPの内部抵抗を充分に大きな値としている。
図6は、上記で選定した定数で90°進み回路を構成したときの周波数特性を示し、非反転回路として計算したシミュレーション結果を示している。
この90°進み回路は、基本波が50Hzにおいて、入力電圧eaと出力電圧ebの各基本波の振幅がほぼ等しくなるようにゲインを設定しているため、ゲインは50Hz付近で0dBを示し、位相はほぼ20Hz以上の周波数で−90°を維持する特性を示している。
本発明の90°進み回路の回路構成によれば、直流成分のゲインは
(RF1+RF2)/R1
で表すことができる。このゲインは、式(3)においてs=0とおくことによって求めることができる。
したがって、直流成分のゲインは有限であるため、入力信号にオフセット電圧が生じたとしても、出力信号が飽和することはなく、前記した図3に示した90°進み回路の回路構成の場合のように、時間経過とともに出力信号が飽和するという問題は生じない。
例えば、上記回路構成において上述したように定数を選定すると、5mVのオフセット電圧が生じた場合には、
a×(RF1+RF2/R1)=5mV×4=20mV
の直流分が出力されるに過ぎず、出力が飽和するという問題は生じない。
[回転座標上で行う電流制御]
次に、本発明の回転座標上で行うコンバータの電流制御について、図7〜図10を用いて説明する。図7はコンバータの入出力関係を説明するための図であり、図8は静止座標系と回転座標系との関係を説明するための図であり、図9は90°位相進め回路のローパスフィルタ特性を説明するための図であり、図10はコンバータを電流制御する電流制御ブロックを示す図である。
図7において、単相コンバータ3は、入力端と出力端との間に、自己消弧形素子とダイオードとを並列接続したスイッチ素子3a〜3dをブリッジ接続してなる単相ブリッジ回路から構成される。単相コンバータ3の入力端にはインダクタンスLを介して交流電源2Aが接続され、単相コンバータ3の出力端には平滑コンデンサと負荷4が接続されている。
単相コンバータ3の各スイッチ素子3a〜3dは、電圧指令値に従って開閉制御され、交流電力を直流電力に電力変換して負荷4に供給する。なお、eaは交流入力電圧、iaは交流入力電流、vaはコンバータの入力側電圧である。
この単相コンバータにおいて、入力電圧eaを回転ベクトルの実軸成分(図8中の実軸(a軸)で示す)とすると、90°進め回路で位相を90°進めた電圧ebを回転ベクトルの虚軸成分(図8中の虚軸(b軸)で示す)で表すことができる。
また、交流入力電流ia、および入力側電圧vaについても回転ベクトルの実軸成分とし、90°進め回路で位相を90°進めた電流ib、および電圧vbを回転ベクトルの虚軸成分で表すことができる。
これらの実軸成分ea,ia,およびvaと虚軸成分eb,ib,およびvbの各電圧・電流の関係は以下の式(8)で表される行列[C]を用いて、入力電圧に同期した回転座標上(dq軸座標上)に変換することができる。また、この逆行列[C]-1により回転座標上から静止座標上に逆変換することができる。
ここで、交流入力電圧の回転座標(dq軸座標)上の値をed(d軸成分),eq(q軸成分)とすると、上記した変換行列[C]を用いることによって以下の式(9)で表される。
また、同様にして、交流入力電流の回転座標(dq軸座標)上の値をid(d軸成分),iq(q軸成分)とし、コンバータの入力電圧の回転座標(dq軸座標)上の値をvd(d軸成分),vq(q軸成分)とすると、上記した変換行列[C]を用いることによって、それぞれ以下の式(9)、(10)で表される。
上記した座標変換を行うためには、入力電圧の位相角ωtが必要である。交流の位相角を得るには電圧の零点を基準にしてωtを決定するのが一般的である。しかしながら、入力電圧の波形に高調波が含まれるときにはゼロクロスを複数回行う場合がある。このように、複数回のゼロクロスが行われると、ゼロクロス毎に零点が検出され、本来1点で検出されるべき零点が複数の検出されることになり、結局誤った位相が検出されることになる。
これに対して、本発明は座標変換のために90°位相をずらせるために用いた位相シフタが備えるローパスフィルタの特性を利用することで、入力電圧の波形に含まれる高調波を除去し、位相シフタの出力から位相角ωを求める。
前記した本発明が備える90°位相進め回路は、前記した図6の周波数特性に示すように、高調波成分を減衰してノイズや高調波が除去するローパスフィルタの特性を有し、さらに、本回路構成では50Hzや60Hz等の所定の周波数に対して位相のずれがほぼ90°の一定となるため、本回路構成の90°位相進め回路の出力について零点を基準にしてsinωt,cosωtを求めることで、位相を正確に検出することができる。
また、本回路構成では、座標変換するための回路の一部を流用するため、新たにフィルタ回路を設ける必要が無いという効果を有している。
図9は本発明の電力変換装置が備える90°位相進め回路のローパスフィルタ特性を説明するための図である。図9(a),(b)に示すシミュレーション結果によれば、高調波成分を含む入力電圧を90°位相進め回路に通すと、位相が90°ずれた出力電圧が出力されると共に、入力電圧に含まれていた高調波成分は除去される。
ここで、図7の回路において交流入力電圧e,交流入力電流i,コンバータの入力電圧vの関係は次式の式(12)、(13)で表される。
上記式(13)の各交流入力電圧ea,eb、交流入力電流ia,ib、コンバータの入力電圧va,vbに、式(9),(10),(11)を代入し展開すると、交流入力電圧e,交流入力電流i,コンバータの入力電圧vを回転座標(dq軸)上で表した次式(14)を得る。
式(14)からコンバータの入力電圧vを回転座標(dq軸)で表したvd(d軸)、vq(q軸)は次式(15)、(16)で表される。
ここで、交流入力電流iのd軸電流idの制御目標値をid *とし、交流入力電流iのq軸電流iqの制御目標値をiq *とし、式(15),(16)の右辺第3項部分をPI制御器によって同様な機能を持たせると、式(15),(16)は、回転座標上の電流制御系では以下の式(17),(18)に写像することができる。なお、式(17),(18)では、コンバータの主回路上の各電圧(e、v)、電流(i)に対し、電流制御上の値は「′」を付して表している。
図10は上記式(17),(18)を電流制御ブロック図で表したものである。
式(17)は、回転座標系の電流制御において、d軸上においてインバータの入力電圧vd′の生成を示している。式(17)において、右辺第2項部分と右辺第3項部分は電流制御手段14に相当し、右辺第1項部分は電流変動抑制手段15に相当している。
電流制御機能において、右辺第2項部分である(ωLiq′)は、回転座標変換手段11Aで生成されたq軸電流iq′に(ωL)を乗じることで生成され、右辺第3項部分である(kp+ki/s)(id *−id′)は、減算器31で算出した(id *−id′)を、(kp+ki/s)の機能を有するPI制御器14aに通すことで生成され、生成された(ωLiq′)と(kp+ki/s)(id *−id′)とを減算器33に入力して(ωLiq′)から(kp+ki/s)(id *−id′)を減算することよって、電流制御を行うd軸上の制御電圧vd′が得られる。
また、電流変動抑制機能は、右辺第1項部分であるed′は回転座標変換手段11Bで生成されたd軸電圧ed′を減算器33に加算して、制御電圧vd′をed′分だけバイアスすることで行われる。
一方、式(18)は、回転座標系の電流制御において、q軸上においてインバータの入力電圧vq′の生成を示している。式(18)において、右辺第2項部分と右辺第3項部分は電流制御手段14に相当し、右辺第1項部分は電流変動抑制手段15に相当している。
電流制御機能において、右辺第2項部分である(ωLid′)は、回転座標変換手段11Aで生成されたd軸電流id′に(ωL)を乗じることで生成され、右辺第3項部分である(kp+ki/s)(iq *−iq′)は、減算器32で算出した(iq *−iq′)を、(kp+ki/s)の機能を有するPI制御器14bに通すことで生成され、生成された(ωLid′)と(kp+ki/s)(iq *−iq′)とを加算器34に符号を反転させて入力して(ωLid′)と(kp+ki/s)(iq *−iq′)を加算して符号を変えることよって、電流制御を行うq軸上の制御電圧vq′が得られる。
また、電流変動抑制機能は、右辺第1項部分であるeq′は回転座標変換手段11Bで生成されたq軸電圧eq′を加算器34に加算して、制御電圧vq′をeq′分だけバイアスすることで行われる。これによって、dq軸上の制御出力値vd′,vq′を得ることができる。
[電流制御の指令値]
本発明の電力変換装置において単相コンバータは、直流出力電圧を定電圧に保つと同時に入力電流を交流電圧と同相として、力率1の正弦波にすることを目的の一つとしている。回転座標上においてq軸電流iqを0とすれば入力電流が入力電圧と同相になるため、q軸電流iq の指令値iq *=0とすることによって、入力電流を交流電圧と同相する機能を達成することができる。
一方、d軸電流idは直流出力電圧を一定に保つために必要な電流に制御されればよい。そこで、図11に示すように、d軸電流id の指令値id *は、直流出力電圧の検出値vdc′とその指令値vdc *との偏差(vdc *−vdc′)をPI制御器14cに入力し、PI制御器14cによってこの偏差(vdc *−vdc′)を零となるようすることで得る。
[PWMパスルの出力]
回転座標系制御部13で得たd軸の制御電圧vd′およびq軸の制御電圧vq′は、式(8)の逆変換行列[C]-1を用いて(13)式を変形し、図12に示す静止座標上の交流値va′,vb′に戻される。ここで得られる交流値va′,vb′のうち、b軸は仮想的に設けたものであるため、制御出力としてはvb′を使用せずva′のみを用いる。
制御パルス生成手段18bは、このva′とキャリア三角波信号生成手段18aで生成したキャリア周波数の三角波と比較することにより、単相コンバータ3のIGBT等のスイッチング素子を駆動する制御パルスを生成し、PWMパルス制御を行う。
なお、この制御パルス信号の生成は、PWM制御としてよく知られているため、ここでの説明は省略する。
[本発明の電力変換装置の波形例]
本発明の電力変換装置によって電力変換した際の波形例について、特に電流変動抑制の効果について図13〜図16を用いて説明する。
図13,図14は、入力電圧が急変したときの交流入力電流の変化と直流出力電圧の変化を示し、図13は電流変動抑制を行わない場合の波形例を示し、図14は電流変動抑制を行った場合の波形例を示している。
図13に示す波形例は、電流制御によって得られる制御出力vd′、vq′のみで単相コンバータを制御した場合を示し、図14に示す波形例は、電流制御によって得られる制御出力vd′、vq′に入力電圧ed′、eq′を加算した信号を用いて単相コンバータを制御した場合を示している。
両場合において、図中の矢印は交流入力電圧が急変した時点を示している。この入力電圧の急変時において、図13と図14の交流入力電流および直流出力電圧を比較すると、共に電流変動抑制時には変動幅が低減することが確認される。
また、図15,図16は、入力電圧の歪みに対する交流入力電流の変化を示し、図15は電流変動抑制を行わない場合の波形例を示し、図16は電流変動抑制を行った場合の波形例を示している。
図15に示す波形例は、電流制御によって得られる制御出力vd′、vq′のみで単相コンバータを制御した場合を示し、図16に示す波形例は、電流制御によって得られる制御出力vd′、vq′に入力電圧ed′、eq′を加算した信号を用いて単相コンバータを制御した場合を示している。
入力電圧に同じ歪みが含まれるとしたとき、図15と図16の交流入力電流を比較すると、電流変動抑制を行うことによってが入力電流歪率が大きく低減されることが確認される。
本発明のコンバータの実施例によれば、単相コンバータへの入力電流は、直流定電圧制御系からの指令値にもとづいて制御され、また、本発明の制御によれば、入力電圧が変動したときでも、電流制御のPI制御器の出力に加算されたed′,eq′が入力電圧の変動に応じて変化するため、交流入力電圧の急変時や、入力電圧に高調波が含まれる場合でも、電力変換器の交流入力側の電圧を交流入力電圧と同じように変動させ、PI制御器の応答を待つことなく過渡変動を抑制することができる。
また、本発明の電力変換装置が備える90°進み回路の位相シフタによれば、そのローパスフィルタ特性を有する周波数特性を利用することによって入力電圧に高調波が含まれている場合であっても、高調波を除去し入力電圧の電圧位相を検出することによって、位相検出の誤差を低減し、電力変換後の電流変動を低減させることができる。
本発明の電力変換装置によれば、入力電源の品質が低水準の場合であっても、出力電圧を安定させると共に出力電流の変動を抑制することによって、この電源を接続した装置の稼働率が向上させることができる。
本発明の電力変換装置によれば、出力電流の変動が抑えられるため、電力変換部の過電流耐量を下げた設計が可能となり、小型化、廉価化が容易となる。
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨に基づいて種々変形することが可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
本発明の電力変換装置の電流制御部は、デジタル信号で行うことができ、コンピュータ上のソフトウエア出力を行うことができる。
また、本発明の電力変換装置の後段にDC/DCコンバータを接続することによって、高力率のAC/DCコンバータを構成することができる。
また、本発明の電力変換装置によるコンバータを蓄電池の充電装置として使用し、後段に蓄電装置・逆変換装置をすることによって無停電電源装置を構成することができる。
本発明の電力変換装置1の概略構成を説明するための図である。 本発明の電力変換装置の一構成例を説明するための図である。 一般的なオペアンプを用いた90°進み回路の構成例である。 本発明の電力変換装置が備える90°進み回路の回路構成を説明するための図である。 本発明の電力変換装置が備える90°遅れ回路の回路構成を説明するための図である。 本発明の電力変換装置が備える90°進み回路の周波数特性を示す図である。 コンバータの入出力関係を説明するための図である。 静止座標系と回転座標系との関係を説明するための図である。 90°位相進め回路のローパスフィルタ特性を説明するための図である。 コンバータを電流制御する電流制御ブロックを示す図である。 電流制御の指令値を説明するための図である。 PWMパスルの出力生成を説明するための図である。 入力電圧が急変したときの交流入力電流の変化と直流出力電圧の変化を示す図である。 入力電圧が急変したときの交流入力電流の変化と直流出力電圧の変化を示す図である。 入力電圧の歪みに対する交流入力電流の変化を示す図である。 入力電圧の歪みに対する交流入力電流の変化を示す図である。 従来の交直変換装置の制御態様の概要を説明するための図である。
符号の説明
1 電力変換装置
2 電源
2A 交流電源
2B 直流電源
3 単相コンバータ
3a-3d スイッチ素子
3a-3d 各スイッチ素子
4 負荷
5 インバータ
11 座標変換部
11A,11B 回転座標変換手段
12 座標変換部
13 回転座標系制御部
14 電流制御手段
14a 制御器
14b 制御器
14c 制御器
14d 指定電圧設定手段
14e 掛算器
14f 掛算器
15 電流変動抑制手段
16 位相シフタ
16A 回路
16B 回路
17 位相検出部
18 コンバータ制御部
18a キャリア三角波信号生成手段
18b 制御パルス生成手段
19 インバータ制御部
21 検出器
21A 電流検出手段
21B 電圧検出手段
22 検出器
30 減算器
31 減算器
32 減算器
33 減算器
34 加算器
40 回路
41 位相反転回路
42 回路
102 交流電源
103 コンバータ
104 負荷
114 制御回路
118 コンバータ制御部
121 検出器
122 検出器
1 コンデンサ
2 コンデンサ

Claims (8)

  1. 単相電力変換器を回転座標系で電流制御し、単相交流電力と直流電力との間で電力変換を行う電力変換方法において、
    回転座標系に変換した単相電力変換器の入力電流値を用いた電流制御により単相コンバータを制御する電圧制御値を形成し、
    前記電圧制御値に回転座標系に変換した単相コンバータの入力電圧分をバイアスし、
    当該電圧制御値を用いて単相コンバータを制御することを特徴とする、電力変換方法。
  2. 単相コンバータを回転座標系で電流制御し、単相交流電力を直流電力に変換する電力変換方法において、
    単相コンバータへの入力電流値を回転座標系に変換し、当該回転座標系の入力電流値を電流制御して単相コンバータを制御する電圧制御値を形成し、
    単相コンバータへの入力電圧分を回転座標系に変換し、
    前記電圧制御値に回転座標系に変換した単相コンバータの入力電圧分を加算し、
    前記加算した電圧制御値を用いて単相コンバータを制御することを特徴とする、電力変換方法。
  3. 単相交流電力を直流電力に変換する単相コンバータと、
    回転座標系において電流制御を行う回転座標系制御部と、
    静止座標系の電圧値および電流値を回転座標系に変換する第1の座標変換部と、
    回転座標系の電圧値を静止座標系に変換する第2の座標変換部と、
    前記単相交流の電圧および電流の検出値の位相を+90°又は−90°シフトする位相シフタとを備え、
    前記第1の座標変換部は、単相交流の入力電流値と前記位相シフタによって当該入力電流値を90°位相シフトした電流値とを入力して回転座標系の電流値に変換し、
    前記回転座標系制御部は、前記第1の座標変換部で変換した回転座標系の電流値を電流制御して回転座標系の電圧制御値を形成する電流制御手段と、
    前記電圧制御値に、前記単相コンバータに入力する入力電圧分を加算して、入力電圧変動による電流変動を抑制する電流変動抑制手段とを有し、
    前記第2の座標変換手段は、前記回転座標系制御部が出力する回転座標系の電圧指令値を静止座標系の電圧指令値に変換し、
    前記単相コンバータは、前記第2の座標変換手段が出力する静止座標系の電圧指令値に基づいて交流電力を直流電力に電力変換することを特徴とする、電力変換装置。
  4. 前記電流変動抑制手段は、前記電流制御手段が出力する電圧制御値に、前記第1の座標変換手段で変換した回転座標系の電圧値を加算することを特徴とする、請求項3に記載の電力変換装置。
  5. 前記電流制御手段は、
    回転座標系のq軸の指令電流を零とし、回転座標系のd軸の指令電流を、単相PFCコンバータの出力電圧と電圧指令値との偏差を零とするPI制御で得た値とするPI制御を行うことを特徴とする、請求項3に記載の電力変換装置。
  6. 前記位相シフタは、オペアンプを用いた90°進み回路であり、
    当該オペアンプの帰還抵抗を、第1のコンデンサと、接続点を第2のコンデンサを介して接地した直列抵抗との並列回路とする構成であり、
    前記抵抗およびコンデンサは、当該位相シフタの周波数特性を、所定周波数において所定のゲインを有し、90°の位相ずれを有する特性とする値であることを特徴とする、請求項3から5の何れか一つに記載の電力変換装置。
  7. 単相交流電力の入力電圧の位相角を検出する位相検出手段を備え、
    前記位相検出手段は、前記位相シフタによるローパスフィルタ出力の零点を基準として入力電圧の位相角を検出し、
    前記第1の座標変換部および第2の座標変換部は、前記位相検出手段が検出した入力電圧の位相角を演算パラメータとして座標変換を行うことを特徴とする、請求項3から6のいずれか一つに記載の電力変換装置。
  8. 前記単相コンバータは、入力端と出力端との間に、自己消弧形素子とダイオードとを並列接続したスイッチ素子をブリッジ接続してなる単相ブリッジ回路であり、
    前記各スイッチ素子を前記電圧指令値に従って開閉制御することにより交流電力を直流電力に電力変換することを特徴とする、請求項3から7のいずれか一つに記載の電力変換装置。
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