JP2009194986A - 車両の充電装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両外部の電源から車両に搭載された蓄電装置を充電する際の充電効率の低下を防ぐことが可能な車両の充電装置を提供する。
【解決手段】整流回路51は商用電源90からの交流電力を整流してノードND1,ND2間に出力する。昇圧コンバータ12Bは、ノードND1と接地ノードとの間に直列に接続されるIGBT素子Q1B,Q2Bと、IGBT素子Q1B,Q2Bの接続点と、ノードND1とに接続されるリアクトルL1Bとを含み、電圧VLBを電圧VHに変換する。昇圧コンバータ12Aは、電圧VHを電圧VLAに変換する。制御装置30は、IGBT素子Q1B,Q2Bのスイッチング動作と昇圧コンバータ12Aとを制御し、かつ選択部(接続部40A,40B、システムメインリレーSMRG,SR1G)を制御して、バッテリBA,BBのうちの選択されたバッテリを充電する。
【選択図】図1
【解決手段】整流回路51は商用電源90からの交流電力を整流してノードND1,ND2間に出力する。昇圧コンバータ12Bは、ノードND1と接地ノードとの間に直列に接続されるIGBT素子Q1B,Q2Bと、IGBT素子Q1B,Q2Bの接続点と、ノードND1とに接続されるリアクトルL1Bとを含み、電圧VLBを電圧VHに変換する。昇圧コンバータ12Aは、電圧VHを電圧VLAに変換する。制御装置30は、IGBT素子Q1B,Q2Bのスイッチング動作と昇圧コンバータ12Aとを制御し、かつ選択部(接続部40A,40B、システムメインリレーSMRG,SR1G)を制御して、バッテリBA,BBのうちの選択されたバッテリを充電する。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両の充電装置に関し、特に、車両に搭載された複数の蓄電装置を外部電源により充電するための充電装置に関する。
近年、環境に配慮した自動車として、電気自動車、ハイブリッド自動車および燃料電池自動車などのように、電源装置を搭載し、その電力でモータを駆動する車両が注目されている。
このような車両では、外部から充電可能な構成とすることも検討されている。たとえば特開平8−126121号公報(特許文献1)には、電気自動車に搭載されて、駆動用モータのコイルをリアクトルとして使用する充電装置が開示されている。この充電装置は、2個の車両駆動用永久磁石モータと、その2個の永久磁石モータごとに設けられ当該永久磁石モータのコイルに流れる電流を制御する2個のインバータと、その永久磁石モータに電力を供給するバッテリと、2個のモータの各々の中性点に商用電源を接続する接続回路と、制御回路とを備える。制御回路は、インバータの回路素子を制御して、永久磁石モータの3相のコイルに互いに等しい電流を商用電源から流し、これらのコイルを昇圧用リアクトルとしてバッテリに対し充電を行なう。
特開平8−126121号公報
特開平9−233710号公報
特開2007−110856号公報
特開2000−354331号公報
車両に搭載された蓄電装置を充電するために家庭等の商用電源を用いて蓄電装置を充電することが検討されている。
車両に搭載されたモータおよびそれを駆動するインバータは、大きな電力を扱うのに適した構成を有している。しかしながら、家庭等の商用電源は、車両の走行時にモータおよびインバータによって蓄電装置に供給される電力に比べて小さな電力しか供給できない。このため、特開平8−126121号公報に記載された充電方法にしたがって蓄電装置を充電する場合には、インバータが受ける電力に対してインバータ等の損失が相対的に大きくなる。言い換えると充電効率が低下する可能性がある。外部電源から充電損失をできる限り少なくして充電を行なうことができるのが望ましい。
本発明の目的は、車両外部の電源から車両に搭載された蓄電装置を充電する際の充電効率の低下を防ぐことが可能な車両の充電装置を提供することである。
本発明は要約すれば、車両負荷と、車両負荷に直流電力を供給する第1および第2の蓄電装置とを備える車両の外部の交流電源から交流電力を受けて、第1および第2の蓄電装置を充電する充電装置である。充電装置は、整流回路と、第1のコンバータと、第2のコンバータと、選択部と、制御部とを備える。整流回路は、車両負荷に接続される第1のノードと、第2のノードとを有する。整流回路は、交流電源からの交流電力を整流して、整流された交流電力を第1および第2のノード間に出力する。第1のコンバータは、第1のノードと接地ノードとの間に直列に接続される第1および第2のスイッチング素子と、第1および第2のスイッチング素子の接続点と、第1のノードとに接続されるリアクトルとを含む。第1のコンバータは、第1および第2のスイッチング素子がスイッチング動作を行なうことによって、第2のノードと接地ノードとの間の第1の電圧と、第2のノードと接地ノードとの間の第2の電圧とを相互に変換する。第2のコンバータは、第2の電圧を第1および第2の蓄電装置を充電するための充電電圧に変換して出力する。選択部は、充電電圧を第1および第2の蓄電装置のいずれか一方に選択的に供給可能に構成される。制御部は、第1および第2のスイッチング素子のスイッチング動作と第2のコンバータとを制御し、かつ選択部を制御して、第1および第2の蓄電装置のうちの選択された蓄電装置を充電する。
好ましくは、制御部は、交流電源の力率が実質的に1に達するようにスイッチング動作を制御する。
好ましくは、第1の電圧は、前記充電電圧よりも低い。制御部は、第2の電圧が充電電圧よりも高くなるようにスイッチング動作を制御する。
好ましくは、制御部は、充電電圧が一定になるように、第1および第2のコンバータを制御する。
好ましくは、制御部は、選択された蓄電装置が第1および第2の蓄電装置の間で切り換わるように選択部を制御することによって、第1および第2の蓄電装置を充電する。
本発明によれば、車両外部の電源から車両に搭載された蓄電装置を充電する場合において、充電効率の低下を防ぐことが可能になる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、本発明の実施の形態に係る車両1の主たる構成を示す図である。
図1を参照して、車両1は、蓄電装置であるバッテリBA,BBと、昇圧コンバータ12A,12Bと、平滑用コンデンサC1,C2,CHと、電圧センサ10A,10B,13,21A,21Bと、インバータ14,22と、エンジン4と、モータジェネレータMG1,MG2と、動力分割機構3と、車輪2と、制御装置30とを含む。
図1を参照して、車両1は、蓄電装置であるバッテリBA,BBと、昇圧コンバータ12A,12Bと、平滑用コンデンサC1,C2,CHと、電圧センサ10A,10B,13,21A,21Bと、インバータ14,22と、エンジン4と、モータジェネレータMG1,MG2と、動力分割機構3と、車輪2と、制御装置30とを含む。
平滑用コンデンサC1は、電源ラインPL1Aと接地ラインSL2との間に接続される。電圧センサ21Aは、平滑用コンデンサC1の両端間の電圧VLAを検出して、その検出した電圧VLAを制御装置30に対して出力する。昇圧コンバータ12Aは、平滑用コンデンサC1の端子間電圧を昇圧する。
昇圧コンバータ12Aは、一方端が電源ラインPL1Aに接続されるリアクトルL1Aと、電源ラインPL2と接地ラインSL2との間に直列に接続されるIGBT素子Q1A,Q2Aと、IGBT素子Q1A,Q2Aにそれぞれ並列に接続されるダイオードD1A,D2Aとを含む。
リアクトルL1Aの他方端はIGBT素子Q1AのエミッタおよびIGBT素子Q2Aのコレクタに接続される。ダイオードD1AのカソードはIGBT素子Q1Aのコレクタと接続され、ダイオードD1AのアノードはIGBT素子Q1Aのエミッタと接続される。ダイオードD2AのカソードはIGBT素子Q2Aのコレクタと接続され、ダイオードD2AのアノードはIGBT素子Q2Aのエミッタと接続される。
平滑用コンデンサC2は、電源ラインPL1Bと接地ラインSL2との間に接続される。電圧センサ21Bは、平滑用コンデンサC2の両端間の電圧VLBを検出して、その検出した電圧VLBを制御装置30に対して出力する。昇圧コンバータ12Bは、平滑用コンデンサC2の端子間電圧を昇圧する。
昇圧コンバータ12Bは、一方端が電源ラインPL1Bに接続されるリアクトルL1Bと、電源ラインPL2と接地ラインSL2との間に直列に接続されるIGBT素子Q1B,Q2Bと、IGBT素子Q1B,Q2Bにそれぞれ並列に接続されるダイオードD1B,D2Bとを含む。
リアクトルL1Bの他方端はIGBT素子Q1BのエミッタおよびIGBT素子Q2Bのコレクタに接続される。ダイオードD1BのカソードはIGBT素子Q1Bのコレクタと接続され、ダイオードD1BのアノードはIGBT素子Q1Bのエミッタと接続される。ダイオードD2BのカソードはIGBT素子Q2Bのコレクタと接続され、ダイオードD2BのアノードはIGBT素子Q2Bのエミッタと接続される。
平滑用コンデンサCHは、昇圧コンバータ12A,12Bによって昇圧された電圧を平滑化する。電圧センサ13は、平滑用コンデンサCHの端子間電圧VHを検出して、その検出した電圧VHを制御装置30に出力する。
インバータ14は、昇圧コンバータ12Bまたは12Aから与えられる直流電圧を三相交流電圧に変換してモータジェネレータMG1に出力する。インバータ22は、昇圧コンバータ12Bまたは12Aから与えられる直流電圧を三相交流電圧に変換してモータジェネレータMG2に出力する。
動力分割機構3は、エンジン4とモータジェネレータMG1,MG2に結合されてこれらの間で動力を分配する機構である。たとえば動力分割機構としてはサンギヤ、プラネタリキャリヤ、リングギヤの3つの回転軸を有する遊星歯車機構を用いることができる。遊星歯車機構は、3つの回転軸のうち2つの回転軸の回転が定まれば、他の1つの回転軸の回転は強制的に定まる。この3つの回転軸がエンジン4、モータジェネレータMG1,MG2の各回転軸にそれぞれ接続される。なおモータジェネレータMG2の回転軸は、図示しない減速ギヤや差動ギヤによって車輪2に結合されている。また動力分割機構3の内部にモータジェネレータMG2の回転軸に対する減速機をさらに組み込んだり、自動変速機を組み込んだりしてもよい。
車両1は、さらに、バッテリBAの正極側に設けられる接続部40Aと、バッテリBAの負極側に設けられる接続部であるシステムメインリレーSMRGとを含む。接続部40Aは、バッテリBAの正極と電源ラインPL1Aとの間に接続されるシステムメインリレーSMRBと、システムメインリレーSMRBに対して並列に接続され、かつ互いに直列に接続されたシステムメインリレーSMRPおよび制限抵抗R0とを含む。システムメインリレーSMRGは、バッテリBAの負極(接地ラインSL1)と接地ラインSL2との間に接続される。
システムメインリレーSMRP,SMRB,SMRGは、制御装置30から与えられる制御信号CONT1〜CONT3にそれぞれ応じて導通/非導通状態が制御される。
電圧センサ10Aは、バッテリBAの端子間の電圧VBAを測定する。図示しないが、電圧センサ10AとともにバッテリBAの充電状態(SOC:State Of Charge)を監視するために、バッテリBAに流れる電流を検知する電流センサが設けられている。バッテリBAとしては、たとえば、鉛蓄電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等の二次電池や、電気二重層コンデンサ等の大容量キャパシタなどを用いることができる。
車両1は、さらに、バッテリBBの正極側に設けられる接続部40Bと、バッテリBBの負極側に設けられる接続部であるシステムメインリレーSR1Gとを含む。接続部40Bは、バッテリBBの正極と電源ラインPL1Bとの間に接続されるシステムメインリレーSR1Bと、システムメインリレーSR1Bに対して並列接続され、かつ互いに直列に接続されたシステムメインリレーSR1Pおよび制限抵抗R1とを含む。システムメインリレーSR1Gは、バッテリBBの負極と接地ラインSL2との間に接続される。
システムメインリレーSR1P,SR1B,SR1Gは、制御装置30から与えられる制御信号CONT4〜CONT6にそれぞれ応じて導通/非導通状態が制御される。
電圧センサ10Bは、バッテリBBの端子間の電圧VBBを測定する。図示しないが、電圧センサ10BとともにバッテリBBの充電状態を監視するために、各バッテリに流れる電流を検知する電流センサが設けられている。バッテリBBとしては、たとえば、鉛蓄電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等の二次電池や、電気二重層コンデンサ等の大容量キャパシタなどを用いることができる。
接地ラインSL2は、昇圧コンバータ12A,12Bの中を通ってインバータ14および22側に延びている。
インバータ14は、電源ラインPL2と接地ラインSL2とに接続されている。インバータ14は、昇圧コンバータ12Aおよび12Bから昇圧された電圧を受けて、たとえばエンジン4を始動させるために、モータジェネレータMG1を駆動する。また、インバータ14は、エンジン4から伝達される動力によってモータジェネレータMG1で発電された電力を昇圧コンバータ12Aおよび12Bに戻す。このとき昇圧コンバータ12Aおよび12Bは、降圧回路として動作するように制御装置30によって制御される。
電流センサ24は、モータジェネレータMG1に流れる電流をモータ電流値MCRT1として検出し、その検出したモータ電流値MCRT1を制御装置30へ出力する。
インバータ22は、インバータ14と並列的に、電源ラインPL2と接地ラインSL2とに接続されている。インバータ22は、車輪2を駆動するモータジェネレータMG2に対して昇圧コンバータ12Aおよび12Bの出力する直流電圧を三相交流電圧に変換して出力する。またインバータ22は、回生制動に伴い、モータジェネレータMG2において発電された電力を昇圧コンバータ12Aおよび12Bに戻す。このとき昇圧コンバータ12Aおよび12Bは、降圧回路として動作するように制御装置30によって制御される。
電流センサ25は、モータジェネレータMG2に流れる電流をモータ電流値MCRT2として検出し、その検出したモータ電流値MCRT2を制御装置30へ出力する。
電源ラインPL1Aと接地ラインSL2との間にはエアコン62およびDC/DCコンバータ64が並列的に接続される。DC/DCコンバータ64は、電源ラインPL1Aと接地ラインSL2との間の直流電圧を所定の大きさを有する直流電圧(たとえばDC12V)に変換して、その変換された直流電圧を補機バッテリ66に出力する。補機バッテリ66は、DC/DCコンバータ64からの出力電圧により充電される。
この車両1においては、たとえばバッテリBAを、モータジェネレータMG1およびDC/DCコンバータ64等を動作させるための主バッテリとして用い、バッテリBBを、これらの負荷の動作のためにバッテリBAとともに電力を供給する副バッテリとして用いる。したがってバッテリBAの蓄電容量はバッテリBBの蓄電容量より大きい。ただし、本発明は互いに蓄電容量が異なる蓄電装置に対してのみ適用されるものと限定されない。したがって、バッテリBBの蓄電容量がバッテリBAの蓄電容量と同じであってもよい。
制御装置30は、モータジェネレータMG1,MG2の各トルク指令値および回転速度、電圧VBA,VBB,VLA,VLB,VHの各値、モータ電流値MCRT1,MCRT2および起動信号IGONを受ける。そして制御装置30は、昇圧コンバータ12Bに対して昇圧指示を行なう制御信号PWUB,降圧指示を行なう制御信号PWDBおよび動作禁止を指示するシャットダウン信号を出力する。
さらに、制御装置30は、インバータ14に対して昇圧コンバータ12A,12Bの出力である直流電圧を、モータジェネレータMG1を駆動するための交流電圧に変換する駆動指示を行なう制御信号PWMI1と、モータジェネレータMG1で発電された交流電圧を直流電圧に変換して昇圧コンバータ12A,12B側に戻す回生指示を行なう制御信号PWMC1とを出力する。
同様に制御装置30は、インバータ22に対してモータジェネレータMG2を駆動するための交流電圧に直流電圧を変換する駆動指示を行なう制御信号PWMI2と、モータジェネレータMG2で発電された交流電圧を直流電圧に変換して昇圧コンバータ12A,12B側に戻す回生指示を行なう制御信号PWMC2とを出力する。
この車両に搭載される蓄電装置(バッテリBA,BB)は、外部から充電が可能である。このために、車両1は、さらに、電力入力インレット50と、整流回路51と、充電用リレーであるリレーSRCHとを含む。
電力入力インレット50は、車両外部の商用電源90をこの車両1に接続するための端子である。この車両1においては、電力入力インレット50に接続される車両外部の商用電源90からバッテリBAまたはBBを充電することができる。なお、商用電源90としては、たとえば家庭等の商用電源(たとえば交流100V)を用いることができる。
整流回路51は、商用電源90からの交流電力を整流して出力する。具体的には整流回路51はダイオードブリッジ整流器である。整流回路51は2つの出力ノードであるノードND1,ND2を有する。ノードND1,ND2は、電源ラインPL2,PL1Bにそれぞれ接続される。
リレーSRCHは、電源ラインPL1Aと、バッテリBBの正極との間に接続される。リレーSRCHは、制御装置30から与えられる制御信号CONT7に応じて導通/非導通状態が制御される。
以上の説明に基づいて、本実施の形態における車両の充電装置を説明する。車両の充電装置は、車両負荷(インバータ14,22およびモータジェネレータMG1,MG2)と、その車両負荷に直流電力を供給するバッテリBA,BBとを備える車両1の外部の交流電源(商用電源90)から交流電力を受けて、バッテリBA,BBを充電する充電装置である。本実施の形態における車両の充電装置は、整流回路51と、昇圧コンバータ12B,12Aと、選択部(接続部40A,40B、システムメインリレーSMRG,SR1G)と、制御装置30とを備える。
整流回路51は、車両負荷に接続されるノードND1と、ノードND2とを有する。整流回路51は、商用電源90からの交流電力を整流して、整流された交流電力をノードND1,ND2間に出力する。
昇圧コンバータ12Bは、ノードND1と接地ノード(接地ラインSL)との間に直列に接続される第1および第2のスイッチング素子であるIGBT素子Q1B,Q2Bと、リアクトルL1Bとを含む。リアクトルL1は、IGBT素子Q1B,Q2Bの接続点と、ノードND1とに接続される。昇圧コンバータ12Bは、IGBT素子Q1B,Q2Bがスイッチング動作を行なうことによって、ノードND2と接地ノードとの間の電圧VLBと、ノードND2と接地ノードとの間の電圧VHとを相互に変換する。
昇圧コンバータ12Aは、電圧VHを変換して、バッテリBA,BBを充電するための電圧VLAに変換して出力する。
接続部40A,40BおよびシステムメインリレーSMRG,SR1Gは、電圧VLA)をバッテリBA,BBのいずれか一方に選択的に供給可能に構成された選択部である。
制御装置30は、昇圧コンバータ12Bに含まれるIGBT素子Q1B,Q2Bのスイッチング動作、および昇圧コンバータ12A(IGBT素子Q1A,Q2Aのスイッチング動作)を制御し、かつ上記選択部を制御して、バッテリBA,BBのうちの選択されたバッテリを充電する。
バッテリBAの充電時において、制御装置30は、システムメインリレーSMRB,SMRGを導通状態に設定し、かつ、システムメインリレーSR1P,SR1B,SR1GおよびリレーSRCHを非導通状態に設定する。そして、制御装置30は、昇圧コンバータ12Bを昇圧回路として動作させる。なお、後に詳細に説明するが、昇圧コンバータ12Bは力率改善回路(PFC;Power Factor Controller)としても機能する。
「力率」とは交流電力の効率に関して定義された値である。交流電力の場合、電圧と電流の積によって算出される電力のすべてが負荷で消費される電力にならないことが多い。電圧および電流の位相差によって、その消費電力が異なる。力率とは、具体的には皮相電力(電圧実効値と電流実効値の積)に対する有効電力(負荷で消費される電力)の割合である。なお電圧および電流の位相差をθとすると力率はcosθと示される。理想的な状態では、力率は1(θ=0)である。本実施の形態では昇圧コンバータ12Bは商用電源90(交流電源)の力率を1にする(あるいは力率を1に近づける)力率制御を行なう。
さらに制御装置30は、昇圧コンバータ12Aを降圧回路として動作させる。これにより、バッテリBAに充電電圧が供給される。
一方、バッテリBBの充電時において、制御装置30は、リレーSRCHおよびシステムメインリレーSR1Gを導通状態に設定し、かつ、システムメインリレーSMRP,SMRB,SMRG,SR1P,SR1Bを非導通状態に設定する。バッテリBAの充電時と同様に制御装置30は、昇圧コンバータ12Bを昇圧回路(および力率改善回路)として動作させるとともに、昇圧コンバータ12Aを降圧回路として動作させる。これにより、バッテリBBに充電電圧が供給される。
以上説明したように、車両1は、バッテリBA、BBを充電するために車両1の内部で発電できるよう構成されている。本実施の形態によれば、このように構成された車両に、電力入力インレット50、整流回路51およびリレーSRCHを追加することによって、外部電源からの電力によりバッテリBA、BBを充電できる。すなわち本実施の形態によれば、既存の車両(その内部で発電することにより蓄電装置を充電可能に構成された車両を意味し、たとえばハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車等である)の構成に少ない数の部品を追加することによって、外部電源により蓄電装置を充電するための充電回路を構成できる。
上述のように、商用電源90によりバッテリBAまたはBBが充電される時において、昇圧コンバータ12Bは昇圧回路および力率改善回路として機能する。特に昇圧コンバータ12Bが力率改善回路としても動作するので、力率を実質的に1に等しくすることができる。この場合、力率に関する上記の説明において「負荷で消費される電力」を「バッテリBAまたはBBに蓄積される電力」と置き換えることができる。すなわち、本実施の形態によれば、昇圧コンバータ12Bを力率改善回路として動作させることにより充電効率をより高めることができる。
また、昇圧コンバータ12Bが力率改善回路としても動作することにより、商用電源90の電圧波形に高調波が重畳するのを回避できる。一般的に商用電源に接続して使用される電気機器は、商用周波数での使用を前提に作られている。したがって、その電気機器に商用電源90に高調波が重畳された電圧波形が印加されると、その電気機器の動作の不具合が生じる可能性がある。しかし本実施の形態によれば、昇圧コンバータ12Bが力率改善回路としても動作するので、たとえば、車両1の充電によって、商用電源90に接続された電気機器(たとえば家電製品)に動作の不具合が生じるのを防ぐことができる。
次に、昇圧コンバータ12Bの動作についてより詳細に説明する。図2は、図1に示す車両1のうちの昇圧コンバータ12Bおよびその周辺部分を示した図である。図2を参照しながら、昇圧コンバータ12Bおよびその周辺部分の構成を確認的に再度説明する。
整流回路51の2つの出力ノードND2,ND1はリアクトルL1Bの一方端および電源ラインPL2にそれぞれ接続される。リアクトルL1Bと、IGBT素子Q1B,Q2Bと、IGBT素子Q1B,Q2Bにそれぞれ並列に接続されるダイオードD1B,D2Bとは、昇圧コンバータ12Bを構成する。IGBT素子Q1B,Q2Bの各々のスイッチング動作が制御装置30(図1参照)により制御される。これにより昇圧コンバータ12Bは、平滑用コンデンサC2の両端の電圧を昇圧する。平滑用コンデンサCHは、電源ラインPL2と接地ラインSL2との間に接続され、昇圧コンバータ12Bにより昇圧された電圧を平滑化する。
図3は、図2に示した昇圧コンバータ12Bの第1の動作を示す図である。図3を参照して、IGBT素子Q1Bがオン状態となり、IGBT素子Q2Bがオフ状態となる。このときの電流の経路を破線の矢印により示す。整流回路51から出た電流は、電源ラインPL2、IGBT素子Q1B、およびリアクトルL1Bを経由して整流回路51に戻る。なお、このように電流が流れることでリアクトルL1Bにエネルギが蓄積される。
図4は、図2に示した昇圧コンバータ12Bの第2の動作を示す図である。図4を参照して、第2の動作では、IGBT素子Q1B,Q2Bがいずれもオフ状態となる。このときの電流の経路を図3と同様に破線の矢印により示す。電流は接地ラインSL2からダイオードD2Bおよび整流回路51を通り電源ラインPL2に流れる。このときには、リアクトルL1Bに蓄積されたエネルギが放出され、平滑用コンデンサCHがその放出されたエネルギ(電力)を蓄積する。
なお図2には、昇圧コンバータ12Bの構成を示すための破線の枠が示されてあるが、図3および図4では、図が煩雑になるのを避けるために、この破線の枠を示していない。
図2〜図4を参照して、昇圧コンバータ12Bは、上記第1および第2の動作を交互に繰返すことによって、平滑用コンデンサC2の両端の電圧を昇圧して、電源ラインPL2と接地ラインSL2との間にその昇圧された電圧を出力する。また、平滑用コンデンサCHはその昇圧された電圧を平滑化する。なお、昇圧された電圧の大きさは、たとえば、制御装置30がIGBT素子Q1Bのオンデューティ(オン時間とオフ時間との和に対するオン時間の比)を制御することによって制御される。
次に昇圧コンバータ12Bによる力率制御について説明する。ここで図2に戻り、商用電源90の電圧をVと表し、商用電源90に流れる電流(商用電源90と整流回路51との間に流れる電流)をiと表すことにする。
図5は、図2に示した電圧Vおよび電流iの理想的な状態を示す波形図である。図5を参照して、理想的な状態では電圧Vの波形および電流iの波形はともに正弦波である。さらに、電流iの位相は電圧Vの位相に一致する。この場合、力率は1となる。
図6は、力率が低い状態での電圧Vおよび電流iを示す波形図である。図6を参照して、電圧Vの波形はほぼ正弦波であるが、電流iの波形は、尖った波形である。電流iの波形から、短時間に大きな電流が流れることが分かる。たとえば力率制御を特に行なっていないスイッチング電源において、図6に示した電圧波形および電流波形が得られることがある。
ここで、商用電源90と整流回路51との間の電力線は抵抗成分を有しているので、電流が流れることによって電圧降下が発生する。図6に示した波形を有する電流iが流れた場合、電源ラインでの電圧降下は、電流が流れたときのみ発生する。したがって図6に示した電圧Vの波形では、ピークの部分が平坦である。すなわち電圧波形が歪む。このことは、電圧Vの波形に高調波が重畳していることを示す。
図7は、昇圧コンバータ12Bによる力率制御を説明するための図である。図7および図2を参照して、電流iのピークが正弦波状に変化し、かつその正弦波の位相が電圧の位相と同相となるように、IGBT素子Q1Bのオンオフのタイミングが制御される。これによって、力率を理想値である1に実質的に等しくなるよう制御できる。なお、IGBT素子Q1Bのオンオフのタイミングの制御については、公知のさまざまな方法を適用できる。
本実施の形態では、整流回路51の2つの出力ノードND2,ND1をリアクトルL1Bの一方端および電源ラインPL2にそれぞれ接続する。これによって、昇圧コンバータ12Bを力率改善回路として動作させることが可能になる。
図8は、整流回路51と昇圧コンバータ12Bとの接続形態の比較例を説明する図である。図8を参照して、整流回路51の2つの出力ノードND1,ND2は、平滑用コンデンサC2の2つの端子にそれぞれ接続される。なお、昇圧コンバータ12Bの構成自体は図2に示した構成と同様である。ただし図8では、この比較例に直接的に関係する昇圧コンバータ12Bの構成要素として、リアクトルL1B、ダイオードD1BおよびIGBT素子Q2Bのみを示す。
。図8に示した整流回路51および昇圧コンバータ12Bはコンデンサ入力型の整流回路を構成する。しかし、この回路では力率制御を実現できない。つまり力率制御が可能な点において、図2に示した回路は図8に示した回路よりも優れている。
。図8に示した整流回路51および昇圧コンバータ12Bはコンデンサ入力型の整流回路を構成する。しかし、この回路では力率制御を実現できない。つまり力率制御が可能な点において、図2に示した回路は図8に示した回路よりも優れている。
なお、車両1に搭載された蓄電装置を充電するための構成として、図9に示した構成も考えられる。図9を参照して、車両1Aは、整流回路51およびリレーSRCHを含まない点で図1に示した車両1と異なる。車両1Aは、さらに、電力入力インレット50の2つの端子が、モータジェネレータMG1の中性点N1およびモータジェネレータMG2の中性点N2にそれぞれ接続される点において、車両1と異なる。なお車両1Aの他の部分の構成は車両1の対応する部分の構成と同様である。
バッテリBA、BBは車両1Aの非走行時(たとえば駐車時)に充電される。車両1Aにおいては、2つのモータジェネレータのステータコイル(より厳密にはステータコイルの漏れインダクタンス)、インバータ14,22および昇圧コンバータ12A、12Bにより充電器が構成される。
ただし、商用電源90が家庭等の商用電源である場合、商用電源90からの電力は車両走行時にバッテリBA,BBに充電される電力(モータジェネレータMG1,MG2の発電による電力)よりはるかに小さい。したがって、バッテリBA,BBの充電は長時間かけて行なわれると予想される。
一方、モータの動作効率をできるだけ高めるため、ステータコイルの漏れインダクタンスは小さい。インバータ14、22の各々には3つのアーム(3相アーム)が含まれている。漏れインダクタンスが小さいため、インバータ14,22を動作させることによって商用電源90からの交流電力を直流電力に変換する場合には、各インバータにおいて3つのアームを同時に駆動する必要がある。
各インバータに含まれるアームには、たとえば大電流制御が可能なIGBT素子が用いられる。IGBT素子を動作させることによってドライブ損失が生じる。なおドライブ損失の大きさは一般的にはIGBT素子に流れる電流には依存しない。各インバータでは、3つのアームが同時に駆動されるため、そのドライブ損失が全体的に大きくなる。一方、インバータ14,22に入力される電力は小さい。このため、充電効率が低下する。
さらに、インバータは、モータジェネレータを駆動するために最適化されている。たとえばインバータ(IGBT素子)のスイッチング速度を高めるほど、モータジェネレータに印加される逆起電力も高くなる。この逆起電力によるモータジェネレータへの影響(たとえば逆起電力がモータジェネレータの耐圧を超えることによるモータジェネレータの絶縁性能の低下)を回避するために、逆起電力は低いほうが好ましい。したがって、インバータ(IGBT素子)のスイッチング速度を遅くする。しかしながら、インバータのスイッチング速度を遅くすることによってIGBT素子の過渡損失(たとえばスイッチング損失)が大きくなる。この理由によっても充電効率が低下する。
また、上述のように、図9に示した車両1Aでは、ステータコイルの漏れインダクタンスを利用してバッテリBA、BBが充電される。漏れインダクタンスは、モータの構造上生じるものであるため、漏れインダクタンスの大きさはモータジェネレータごとに異なり得る。したがって、漏れインダクタンスの大きさを制御することは困難である。
また、外部電源からの電力をモータの中性点に供給するためには、その中性点から電力線を引き出す必要がある。しかしながら、外部電源による蓄電装置の充電を行なわない車両にとって、中性点から電力線を引き出すことは不要である。
一方、本実施の形態によれば、インバータ14,22を駆動することなくバッテリBA,BBを充電できるので、上述のような、インバータに含まれるIGBT素子に起因するドライブ損失および過渡損失を抑制できる。これによって商用電源90からの電力が小さくても高い充電効率でバッテリBA,BBを充電できる。
特に、本実施の形態では、昇圧コンバータ12Bに昇圧動作を行なわせるとともに昇圧コンバータ12Aに降圧動作を行なわせる。昇圧コンバータ12B、12Aは、これらの動作を最適に行なうように設計されている。したがって、昇圧コンバータ12B、12Aの動作時の損失を小さくできる。よって、本実施の形態によれば、充電効率を高めることができる。
さらに、本実施の形態によれば、ステータコイルの漏れインダクタンスを利用しなくてもバッテリBA、BBの充電が可能である。つまり本実施の形態によれば、バッテリの充電に際して不確定要素が多い部品を利用しなくてもよい。これにより、バッテリBA,BBの充電を安定的に行なうことができる。
さらに、本実施の形態によれば、整流回路の2つの出力端がリアクトルL1Bの一方端と、電源ラインPL2とにそれぞれ接続される。これにより、昇圧コンバータ12Bを力率改善回路として動作させることができる。これによって、力率を実質的に1に等しくする(厳密に1でなくてもよく、1に近い値(たとえば0.98等)であってもよい)ことができる。さらに、昇圧コンバータ12Bを力率改善回路として動作させることにより商用電源90の電圧波形に高調波が重畳するのを抑制できる。したがって、たとえば商用電源90に接続される他の電気製品の動作への影響を回避することが可能になる。
さらに、本実施の形態によれば、モータジェネレータの中性点から電力線を引き出す必要がない。これにより、たとえば外部電源による蓄電装置の充電が可能な車両と、外部電源による蓄電装置の充電が不要な車両とで、同じ構成を有するモータ(中性点から電力線が引き出されていないモータ)を用いることができる。
次に、バッテリBA,BBの充電についてより詳しく説明する。上述のように、本実施の形態に従う車両1ではバッテリBAを負荷を動作させるための主バッテリとして用い、バッテリBBをバッテリBAとともに電力を供給する副バッテリとして用いる場合がある。そこで以下では、昇圧コンバータ12Aを「マスタ側昇圧コンバータ」、昇圧コンバータ12Bを「スレーブ側昇圧コンバータ」と呼ぶ場合もある。
また、以下では、リレー(システムメインリレーおよび充電用リレーを含む)が導通状態になることを「リレーがオンする」とも称し、リレーが非導通状態になることを「リレーがオフする」とも称する。
図10は、バッテリBAの充電時における昇圧コンバータ12A,12Bの動作を説明するための図である。
図10を参照して、商用電源90からの交流電力(たとえばAC100V)は整流回路51により整流される。システムメインリレーSMRB,SMRGがオンするとともに、システムメインリレーSR1GおよびリレーSRCHがオフする。なお、図示しないがシステムメインリレーSR1Bもオフする。
そして、昇圧コンバータ12B(スレーブ側昇圧コンバータ)は、平滑用コンデンサC2の両端間の電圧(たとえばDC144V)を昇圧して、電源ラインPL2と接地ラインSL2との間(平滑用コンデンサCHの両端間)に、たとえば400〜500V程度の直流電圧を出力する。一方、昇圧コンバータ12Aは、平滑用コンデンサCHの両端間の電圧を降圧する。バッテリBAはその降圧された電圧(たとえばDC300V)によって充電される。
図11は、バッテリBBの充電時における昇圧コンバータ12A,12Bの動作を説明するための図である。
図11を参照して、リレーSRCHおよびシステムメインリレーSR1Gがオンするとともに、システムメインリレーSMRB,SMRGがオフする。この場合にもシステムメインリレーSR1Bはオフしている。そして、バッテリBAの充電時と同様に、昇圧コンバータ12Bは、平滑用コンデンサC2の両端間の電圧を昇圧して、平滑用コンデンサCHの両端間に、その昇圧された電圧を出力する。一方、昇圧コンバータ12Aは、平滑用コンデンサCHの両端間の電圧を降圧する。これにより、バッテリBBは、昇圧コンバータ12Aからの電圧によって充電される。
このように、本実施の形態では、昇圧コンバータ12Bおよび昇圧コンバータ12Aの各々の電圧変換動作を組み合わせることによって、昇圧コンバータ12Bに入力された電圧と、バッテリBA,BBの充電電圧とが異なる場合においても、バッテリBA,BBを充電できる。すなわち、本実施の形態では、昇圧コンバータ12Bが、その入力電圧をバッテリBA,BBの充電電圧以上の電圧まで昇圧して電源ラインPL2と接地ラインSL2との間に出力するとともに、昇圧コンバータ12Aが、その電源ラインPL2と接地ラインSL2との間の電圧をバッテリBA(およびBB)の充電電圧まで降圧する。したがって、バッテリBA,BBの充電電圧が商用電源90の電圧より高い場合においても、バッテリBA,BBの充電が可能になる。
また、制御装置30によって、昇圧コンバータ12B,12Aは、バッテリBA(およびバッテリBB)の充電電圧が一定に保たれるようにその充電電圧を制御する。これにより、バッテリBA,BBの充電状態を所望の状態にするためのバッテリBA,BBの充電制御を安定させることができる。
なお、本実施の形態では、バッテリBA,BBは別々に充電されるが、この理由は以下の通りである。バッテリBA,BBの充電開始時において、バッテリBAの残存容量とバッテリBBの残存容量とが互いに異なることが考えられる。すなわち、バッテリBAの電圧とバッテリBBの電圧とが異なることが考えられる。バッテリBA,BBを同時に充電するためには、システムメインリレーSMRB,SMRG、リレーSRCHおよびシステムメインリレーSR1Gを一斉にオンする必要がある。しかし、この場合、高電圧のバッテリから低電圧のバッテリに電流(この電流は大きいと考えられる)が流れることによって、これらのリレー、あるいは電源ライン等への影響が懸念される。バッテリBA、BBを別々に充電することによって、2つのバッテリを直接的に結ぶ電流経路が形成されないので、このような問題が生じるのを防ぐことができる。
図12は、本実施の形態に従う車両の充電装置が実行するバッテリBA,BBの充電制御を説明するフローチャートである。なおこのフローチャートに示す処理は、たとえば電力入力インレット50に商用電源90が接続されたときにメインルーチンから呼び出されて実行される。
図12および図1を参照して、処理が開始されると、ステップS1において制御装置30は、システムメインリレーSMRB,SMRGをオンし、かつ、リレーSRCHおよびシステムメインリレーSR1Gをオフする。なお、システムメインリレーSR1Bはオフしている。
ステップS2において、制御装置30は、昇圧コンバータ12B(スレーブ側コンバータ)に昇圧動作および力率制御を行なわせるとともに、昇圧コンバータ12A(マスタ側コンバータ)に降圧動作および充電制御を行なわせる。
ステップS3において、制御装置30は、電圧センサ10Aが検出したバッテリBAの電圧VBA等に基づいて、バッテリBAのSOC値であるSOCAが目標値に到達したか否かを判定する。この目標値は、たとえば満充電状態を示すSOC値(たとえば100%)であると予め設定される。
SOCAが目標値に到達していない場合(ステップS3においてNO)、処理はステップS2に戻る。一方、SOCAが目標値に到達した場合(ステップS3においてYES)、処理はステップS4に進む。
処理がステップS4に進むということはバッテリBAの充電が完了したことを意味する。ステップS4において、制御装置30は、昇圧コンバータ12A,12Bを停止する。
ステップS5において、制御装置30は、システムメインリレーSMRB,SMRGをオフする。ステップS6において、制御装置30は、リレーSRCHおよびシステムメインリレーSR1Gをオンする。
ステップS7において、制御装置30は、昇圧コンバータ12B(スレーブ側コンバータ)に昇圧動作および力率制御を行なわせるとともに、昇圧コンバータ12A(マスタ側コンバータ)に降圧動作および充電制御を行なわせる。
ステップS8において、制御装置30は、電圧センサ10Bが検出したバッテリBBの電圧VBB等に基づいて、バッテリBBのSOC値であるSOCBが目標値に到達したか否かを判定する。この目標値は、SOCAの目標値と同様に、たとえば満充電状態を示すSOC値(たとえば100%)であると予め設定される。
SOCBが目標値に到達していない場合(ステップS8においてNO)、処理はステップS7に戻る。一方、SOCBが目標値に到達した場合(ステップS8においてYES)、処理はステップS9に進む。
処理がステップS9に進むということはバッテリBBの充電が完了したことを意味する。ステップS9において、制御装置30は、昇圧コンバータ12A,12Bを停止する。ステップS10において、制御装置30は、リレーSRCHおよびシステムメインリレーSR1Gをオフする。ステップS10の処理が終了すると全体の処理が終了する。
以上説明したように、本実施の形態では、昇圧コンバータ12Bに昇圧動作を行なわせるとともに昇圧コンバータ12Aに降圧動作を行なわせる。昇圧コンバータ12B,12Aは、これらの動作を最適に行なうように設計されている。したがって、昇圧コンバータ12B,12Aの動作時の損失を小さくできる。よって、本実施の形態によれば、充電効率を高めることができる。
また、本実施の形態では、昇圧コンバータ12Bを力率改善回路として動作させることにより充電効率をより高めることができる。
なお、本実施の形態では、バッテリBA、BBの順に充電処理が実行されるが、これらのバッテリを充電する順番は、この順と逆でもよい。
また、図1には、動力分配機構によりエンジンの動力を車軸と発電機とに分割して伝達可能なシリーズ/パラレル型ハイブリッドシステムに本発明を適用した例を示した。しかし本発明は、車両負荷と、その車両負荷に並列的に設けられかつ車両負荷に直流電力を供給する第1および第2の蓄電装置を備える車両に適用可能である。
したがって、本発明が適用可能な車両の構成は図1に示した構成に限定されるものではない。たとえば本発明は、発電機を駆動するためにのみエンジンを用い、発電機により発電された電力を使うモータでのみ車軸の駆動力を発生させるシリーズ型ハイブリッド自動車や、モータのみで走行する電気自動車にも適用できる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 車両、1A 車両、2 車輪、3 動力分割機構、4 エンジン、10A,10B,13,21A,21B 電圧センサ、12A,12B 昇圧コンバータ、14,22 インバータ、24,25 電流センサ、30 制御装置、40A,40B 接続部、50 電力入力インレット、51 整流回路、62 エアコン、64 DC/DCコンバータ、66 補機バッテリ、90 商用電源、BA,BB バッテリ、C1,C2,CH 平滑用コンデンサ、D1A,D2A,D1B,D2B ダイオード、L1A,L1B リアクトル、MG1,MG2 モータジェネレータ、N1,N2 中性点、ND1,ND2 ノード、PL1A,PL1B,PL2 電源ライン、Q1A,Q2A,Q1B,Q2B IGBT素子、R0,R1 制限抵抗、SL1,SL2 接地ライン、SMRP,SMRB,SMRG,SR1P,SR1B,SR1G システムメインリレー、SRCH リレー。
Claims (5)
- 車両負荷と、前記車両負荷に直流電力を供給する第1および第2の蓄電装置とを備える車両の外部の交流電源から交流電力を受けて、前記第1および第2の蓄電装置を充電する充電装置であって、
前記車両負荷に接続される第1のノードと、第2のノードとを有し、前記交流電源からの前記交流電力を整流して、整流された前記交流電力を前記第1および第2のノード間に出力する整流回路と、
前記第1のノードと接地ノードとの間に直列に接続される第1および第2のスイッチング素子と、前記第1および第2のスイッチング素子の接続点と、前記第1のノードとに接続されるリアクトルとを含み、第1および第2のスイッチング素子がスイッチング動作を行なうことによって、前記第2のノードと接地ノードとの間の第1の電圧と、前記第2のノードと接地ノードとの間の第2の電圧とを相互に変換する第1のコンバータと、
前記第2の電圧を前記第1および第2の蓄電装置を充電するための充電電圧に変換して出力する第2のコンバータと、
前記充電電圧を前記第1および第2の蓄電装置のいずれか一方に選択的に供給可能に構成された選択部と、
前記第1および第2のスイッチング素子の前記スイッチング動作と前記第2のコンバータとを制御し、かつ前記選択部を制御して、前記第1および第2の蓄電装置のうちの選択された蓄電装置を充電する制御部とを備える、車両の充電装置。 - 前記制御部は、前記交流電源の力率が実質的に1に達するように前記スイッチング動作を制御する、請求項1に記載の車両の充電装置。
- 前記第1の電圧は、前記充電電圧よりも低く、
前記制御部は、前記第2の電圧が前記充電電圧よりも高くなるように前記スイッチング動作を制御する、請求項1または2に記載の車両の充電装置。 - 前記制御部は、前記充電電圧が一定になるように、前記第1および第2のコンバータを制御する、請求項1から3のいずれか1項に記載の車両の充電装置。
- 前記制御部は、前記選択された蓄電装置が前記第1および第2の蓄電装置の間で切り換わるように前記選択部を制御することによって、前記第1および第2の蓄電装置を充電する、請求項1から4のいずれか1項に記載の車両の充電装置。
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