JP2009194220A - シリコンウェーハの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】固着効果のみに依らずにシリコンウェーハの転位の成長を抑制しうる歪み層の作製を、元素を1回のみの注入によっても、十分に転位成長抑制効果のあるシリコンウェーハの製造方法を提供する。
【解決手段】シリコンウェーハの製造方法であって、少なくとも、チョクラルスキー法によってシリコン単結晶棒を育成し、該シリコン単結晶棒をスライスしてシリコン単結晶基板に加工した後、該シリコン単結晶基板の素子が形成される面とは反対の面の全面に元素の注入を行って歪み層を形成することを特徴とするシリコンウェーハの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、シリコンウェーハの製造方法に関するものであり、特に熱処理の際にシリコンウェーハに発生するスリップや転位が成長することを抑制することのできるシリコンウェーハの製造方法に関するものである。
半導体の製造工程ではIG(Intrinsic Gettering)、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)、ウェルドライブ、酸化などの熱処理が、拡散炉やRTP(Rapid Thermal Process)を用いて600℃から1200℃程度の温度範囲で行われる。
このような熱処理においてはシリコンウェーハの自重による応力や、シリコンウェーハ面内の温度不均一性に起因する応力によって結晶がすべり面に沿って変形する、いわゆるスリップが発生する。スリップの伝播はシリコンウェーハに生じる応力によって異なるが、裏面に支持部材などとの接触キズを有するシリコンウェーハの場合は、キズを起点として裏面から表面に向かってスリップが成長する。スリップがシリコンウェーハ表面に到達すると、肉眼でもスリップラインとして観察できるようになる。スリップがシリコンウェーハ表面にまで達すると、表面に数ナノから数ミクロンの段差が生じ、フォトリソグラフィー工程におけるDOF(Depth of Focus)の低下をもたらす、または素子の活性領域を横切ることによって接合のリーク電流を増大させるなど、スリップは歩留り低下の大きな原因の一つとなっている。近年では、シリコンウェーハの大口径化に伴い、熱処理時に発生するスリップはさらに深刻な問題となっており、スリップの発生を抑制することが重要となっている。
単結晶のシリコンウェーハは熱処理装置との接触部で機械的なストレスやキズが生じ、熱処理時にこの部分を核として転位が発生する。転位の成長に伴って結晶がすべり面に沿って変形し、スリップが成長する。一般に結晶は最密面上で最密方向にすべりやすい。シリコン単結晶の場合、すべり面は(111)面である。このとき、スリップは(100)面と約55度の角度で伸びている。
近年半導体集積回路製造には主にCZ法で製造されたシリコンウェーハが使用されている。CZ法は多結晶シリコンを石英るつぼ内で溶融させ、シリコン溶融液を回転させながら引き上げるものであり、石英るつぼから溶融する酸素が通常5〜20×1017atoms/cm程度シリコン結晶内に格子間酸素として含まれる。
スリップ抑制の観点からは、シリコンウェーハ中の酸素濃度は高いほうが好ましいが、酸素濃度が10×1017atoms/cm以上のシリコン結晶では熱処理時に酸素がシリコン酸化物としてシリコン結晶中に析出する。その際の体積膨張による応力によって、素子形成領域に微視的な転位を発生させ、リーク電流の増加など素子特性の劣化を引き起こすために、現在の半導体集積回路製造に使用されるシリコンウェーハは低酸素濃度化をはかったものが主流となっており、スリップが発生しやすい状況になっている。
前記スリップを抑制する従来の技術には大きく2つの方向がある。第一に熱処理装置、熱処理方法の改善である。スリップは転位の成長によって結晶がすべり面に沿ってずれることで成長していくが、転位はシリコンウェーハと熱処理装置との接触部分、例えば拡散炉の石英ボートとウェーハ裏面の接触部分で結晶が機械的な衝撃によって非晶質になる部分を起点にして発生する。従って、この接触部分を滑らかにして応力を分散させることで転位を発生しにくくすることが可能となる。
また、シリコンウェーハの自重により発生するせん断応力をウェーハ保持方法の最適化により低減させることで転位の成長を抑制することが可能である。シリコンウェーハの自重により発生するせん断応力を最小にするためにはウェーハ中心部からウェーハ半径の約0.7倍の部分の円周上を保持することが有効であると示されている。
さらに、転位は熱処理中のウェーハ面内の温度不均一に起因する熱ストレスによっても成長が助長される。通常の縦型バッチ式拡散炉の場合、ウェーハ保持ボートを炉内に挿入していく場合と昇温時は、シリコンウェーハ中心部の温度がウェーハ外周部よりも低くなっており、逆にウェーハ保持ボートを炉から引き出す場合と降温時はシリコンウェーハ外周部の温度がウェーハ中心部の温度よりも低くなっている。この時の温度差は数十℃から数百℃に達する場合があり、この温度差により発生する応力によってスリップが成長する。従って、熱処理中のウェーハ面内の温度不均一性を低減し、熱ストレスを減らすことによってスリップを抑制することが可能である。このための具体的な方法として、シリコンウェーハを保持しているボートを熱処理炉に出し入れする際の速度を遅くすること、ボートの溝間隔を広げて保持されているウェーハ間隔を広くすること、昇温、降温レートを下げることなどが挙げられる。
スリップを抑制する第二の方法はウェーハ強度の改善である。シリコンウェーハ裏面を保護膜で覆ってウェーハを機械的な衝撃から保護して転位核の発生を抑制することが可能である。保護膜としては、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜などが用いられる。
従来技術において考案されているウェーハ強度改善のための他の方法は、シリコンウェーハの外周部に発生する転位部のシリコンに固着して転位の成長を抑制しうる元素を注入するものである。
例えば、特許文献1には、シリコンウェーハの外周部5mmの領域をフォトリソグラフィーで開口し、1×1015atoms/cm以上の窒素イオンを注入して、高温で数時間の熱処理を行うことによってスリップの成長を抑制する方法が示されている。
また、特許文献2には、シリコンウェーハの外周部10mm以下の領域に1×1018〜1×1020atoms/cmの酸素イオンを注入して、更に窒素雰囲気中で熱処理を行うことによって前記領域に1×10〜1×1010個/cmの多面体酸素析出物を形成してスリップの成長を抑制する方法が示されている。
また、特許文献3には、酸素、砒素またはシリコン、ホウ素をそれぞれシリコンウェーハの裏面外周部の全部またはその一部にイオン注入することで、800−1100℃程度の中高温熱処理の場合にホウ素が増速拡散によって速やかに拡散して転位部分に達して、転位成長の初期段階で転位部に固着し、転位が不動化されスリップの抑制効果が高まる方法が示されている。
特開平7−86291号公報 特開平9−190954号公報 特開2001−332559号公報
スリップを抑制するために熱処理装置、熱処理シーケンスを最適化する従来の方法、すなわちシリコンウェーハと熱処理装置との接触領域の平坦化、ウェーハ保持方法の最適化は装置構造やボート構造の複雑化を伴い、装置コストの増大、メンテナンスの煩雑化をもたらす。また、熱処理中のウェーハ面内温度不均一性を低減し熱ストレスを減らすための従来の方法、すなわちボート挿入引き出し速度の低速化、ボート溝間隔の拡大、熱処理における昇降温レートの低減は、処理枚数の低下を伴い、熱処理のスループットを著しく低下させる問題がある。
スリップを抑制するために従来技術において考案されている、シリコンウェーハ裏面を保護膜で覆って転位核の発生を抑制する方法には、保護膜の応力によってウェーハが反る問題、裏面の放熱、絶縁性の変化が他のプロセス、例えばプラズマエッチングなどに影響を及ぼす問題がある。また、熱処理前の工程が増えることでウェーハコストの増大をもたらす。
シリコンウェーハの周辺部の転位部のシリコンに固着して転位の成長を抑制しうる元素を注入する従来の方法には、以下の問題点が挙げられる。
従来方法において転位部のシリコンに固着する際にポイントとなるのは注入した元素の転位部分でのクラスタ化のしやすさの他に、注入された元素が転位部分に速やかに拡散することである。すなわち、注入した元素が速やかに拡散して転位部分に達しなければ固着による転位成長抑制効果が低減する。他の問題としては、1100℃以上の高温熱処理においては転位を酸素固着から開放する応力が小さくなるために、酸素やホウ素の固着による転位の成長抑制効果が減少し、転位の成長を抑制できなくなることである。さらに、砒素やホウ素などのドーパントとして作用する元素の注入では、熱処理時における拡散によってウェーハ抵抗を変化させるなどの影響が懸念される。また、元素を複数回にわたって注入する方法では、大幅なコスト増加とスループットの低下という問題が挙げられる。
前述した従来技術の問題点を鑑み、本発明では、固着効果のみに依らずにシリコンウェーハの転位の成長を抑制しうる歪み層の作製を、元素を1回のみの注入によっても、十分に転位成長抑制効果のあるシリコンウェーハの製造方法を提供する。
上記課題を解決するため、本発明では、シリコンウェーハの製造方法であって、少なくとも、チョクラルスキー法によってシリコン単結晶棒を育成し、該シリコン単結晶棒をスライスしてシリコン単結晶基板に加工した後、該シリコン単結晶基板の素子が形成される面とは反対の面の全面に元素の注入を行って歪み層を形成することを特徴とするシリコンウェーハの製造方法を提供する(請求項1)。
このように、本発明では、シリコンウェーハを製造するにあたって、シリコン単結晶棒をスライスして得たシリコン単結晶基板に対して元素の注入を行う。この元素の注入は素子が形成される面とは反対の面の全面に対して行うことを特徴とする。
シリコン単結晶基板に元素を注入すると、注入エネルギーに応じた深さに歪み層が形成される。先述のように、一般的な熱処理工程において、転位はシリコンウェーハと熱処理装置との接触部分で結晶が機械的な衝撃によって非晶質になる部分を起点にして発生する。すなわち、転位は裏面から導入されて表面に向かって成長する。しかし、本発明のように歪み層をウェーハ裏面の全面の所定の深さに形成することで、転位の成長を初期の段階で抑制することができる。すなわち、歪み層には転位が多数存在するため、転位同士の相互作用によって運動を阻害するため、転位の成長を抑制することができる。このため、ウェーハの表面(素子が形成される面)までスリップや転位が成長することを防止することができ、よって表面の結晶欠陥の少ないシリコンウェーハを得ることができる。
また、元素の注入は複数回行わなくとも一回で十分に効果があるため、製造コストが増加することおよびスループットが低下することを防止することができるシリコンウェーハの製造方法となっている。
そして、表面に元素を注入する従来の方法では、注入後に表面品質を良好にするため回復熱処理を施す必要があるが、本発明ではウェーハの裏面に元素が注入されているため、結晶性の回復のための熱処理を省くことができるという利点もある。
更に、シリコン単結晶基板の裏面全面に元素注入を行うため、マスキングなどが不要であり、また一般的なイオン注入装置によって元素注入を行うことができるので、容易に実施することができる。
また、前記注入する元素を、酸素、空孔、格子間シリコンのいずれかと反応する非ドーパント元素とすることが好ましい(請求項2)。
このように、注入する元素を非ドーパント元素とすることによって、注入した元素によってシリコンウェーハの抵抗率が変化することを防止することができる。また、酸素、空孔、格子間シリコンのいずれかと反応する元素とすることによって、シリコン単結晶基板中のこれらと反応させてより大きな格子歪みを有する歪み層をシリコンウェーハに付与することができ、よってよりウェーハの表面までスリップや転位が成長することを防止することができる。
また、前記注入する元素を、希ガス元素またはIV族元素とすることが好ましい(請求項3)。
このような元素をシリコン単結晶基板に注入することによって、作製されたシリコンウェーハの抵抗率が変化することを防止することができ、またシリコンウェーハに大きな格子歪みを導入することができる。
また、前記注入する元素を、アルゴン、炭素、シリコン、ゲルマニウムのいずれかとすることが好ましい(請求項4)。
このように注入する元素を上述のような元素にすると、上述効果をより一層向上させることができる。
また、前記注入する元素のドーズ量を、5×1013〜1×1016atoms/cmとすることが好ましい(請求項5)。
このような範囲のドーズ量とすることによって、後のデバイス熱処理工程時に、歪み層の結晶性が回復しきることがなく、また元素注入にかかる時間を短時間とすることができ、製造コストの低減を図ることができる。
また、前記歪み層形成後に、更に800〜1200℃の熱処理を行うことができる(請求項6)。
本発明では、シリコンウェーハの裏面に元素が注入されており、表側の面には元素が注入されていないため、結晶性回復のための熱処理を必ずしも行わなくとも良いが、回復熱処理を行うこともでき、より結晶性の良好なシリコンウェーハを得ることができる。
また、本発明では、エピタキシャルウェーハの製造方法であって、本発明に記載のシリコンウェーハの製造方法によって製造されたシリコンウェーハの元素注入が行われた面とは反対の面の上に、エピタキシャル層を形成することを特徴とするエピタキシャルウェーハの製造方法を提供する(請求項7)。
本発明のシリコンウェーハの製造方法によれば、デバイス工程において素子が形成される面に結晶欠陥が非常に少ないとともに、スリップが発生し難いシリコンウェーハを製造することができるため、このようなシリコンウェーハの表面にエピタキシャル層を形成することによって、スリップのない結晶性が良好なエピタキシャルウェーハを製造することができる。
また、本発明は、本発明に記載のシリコンウェーハの製造方法によって製造されたシリコンウェーハを提供する(請求項8)。
本発明のシリコンウェーハの製造方法によって製造されたシリコンウェーハであれば、裏面にイオン注入によって形成された歪み層が存在するので、ウェーハの裏面の接触キズから発生する転位やスリップがウェーハ表面の素子形成領域にまで抜けることを抑制することができる。
以上説明したように、本発明のシリコンウェーハの製造方法によれば、元素が注入されたことによってウェーハ裏面に歪み層が形成されたシリコンウェーハを製造することができる。このようなシリコンウェーハは、元素が注入された領域(歪み層)の結晶構造が変化しており、強力なブロッキング効果および固着効果によってスリップおよび転位の伸長を抑制することができる。また、元素の注入は一回で十分であるので、製造コストを低減させることができ、またスループットの向上を図ることができる。またウェーハの裏面に元素を注入することで効果があるため、高ドーズ量の注入の場合でも回復熱処理を必ずしも必要としないものとすることができる。そして、シリコンウェーハ中の酸素濃度に左右されないため、シリコン単結晶棒製造時の製造パラメータを自由度の高いものとすることができる。さらに、結晶粒界によるブロッキング効果によってスリップや転位が成長することを抑制しているため、注入した元素の拡散速度に影響されないものとすることができる。
以下、本発明についてより具体的に説明する。
前述のように、固着効果のみに依らずにシリコンウェーハの転位の成長を抑制しうる歪み層の作製を、元素を1回のみの注入によっても、十分に転位成長抑制効果のあるシリコンウェーハの製造方法の開発が待たれていた。
そこで、本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、シリコン単結晶基板の素子が形成される面とは反対の面の全面に元素を注入する、特に酸素、空孔、格子間シリコンのいずれかと反応する非ドーパント元素を注入することによって上記課題を解決できることを発想し、本発明を完成させた。
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1は本発明のシリコンウェーハの製造方法によって製造されたシリコンウェーハの構造の一例を示した概略図である。
図1において、シリコンウェーハ101は、シリコン単結晶基板102の素子が形成される面とは反対の面(裏面)に元素注入層(歪み層)103が形成されている。
この様なシリコンウェーハは、以下に示すようなシリコンウェーハの製造方法によって製造することができるが、もちろんこれに限定されるものではない。
本発明においては、先ずチョクラルスキー法によってシリコン単結晶棒を育成する。
次に育成したシリコン単結晶棒を内周刃スライサあるいはワイヤソー等の切断装置によってスライスした後、面取り、ラッピング、エッチング、研磨等の工程を経てシリコン単結晶基板102を作製する。
その後、作製したシリコン単結晶基板102において、後のデバイス工程において素子が形成される面とは反対の面の全面に元素注入を行い元素注入層(歪み層)103を形成することによって、歪み層103を有するシリコンウェーハ101を得ることができる。
ここで、この元素の注入には、一般的に用いられているイオン注入装置を用いることができ、例えば高電流イオン注入機を用いることができる。
ここで、注入する元素を、酸素、空孔、格子間シリコンのいずれかと反応する非ドーパント元素とすることができる。
シリコン単結晶基板の裏面に注入する元素を非ドーパント元素とすると、元素が注入されたことによってシリコンウェーハの抵抗率が変化することを防止することができる。また、酸素、空孔、格子間シリコンのいずれかと反応する元素を注入することによって、シリコン単結晶基板中のこれらと反応させて、より大きな格子歪みを有する歪み層をシリコン単結晶基板に形成することができ、よってウェーハの表面までスリップや転位が成長することをより防止することができる。
また、注入する元素を、希ガス元素またはIV族元素とすることができる。
このような元素であれば、基板の電気特性を変化させることもなく、また各種特性の劣化をもたらす金属汚染の原因となる可能性もない。
そして、注入する元素を、アルゴン、炭素、シリコン、ゲルマニウムのいずれかとすることができる。
本発明におけるスリップおよび転位の抑制は、歪み層に存在する転位による作用が大きい。一般的に、イオン注入による歪みの大きさは注入元素の質量による。そのため、注入する元素は比較的質量の大きいアルゴン、炭素、シリコン、ゲルマニウムが有効である。
更に、注入する元素のドーズ量を、5×1013〜1×1016atoms/cmとすることができる。
このような範囲のドーズ量とすることによって十分に歪み層が導入されるので、後のデバイス熱処理工程時に、歪み層の結晶性が回復して、スリップ防止効果がなくなってしまうことを防止することができ、また元素注入にかかる時間を短い時間で終了することができるため、製造コストの低減を達成することができる。
ここで、注入する元素の加速エネルギーによってスリップや転位を止めるための歪み層の深さが決定される。この歪み層は、スリップや転位の発生源に近いほど効果があると考えられるが、あまり浅いと、それよりも深いところで発生したキズから転位が発生した場合に成長を防止することができない恐れがある。このため、注入元素の加速エネルギーは30〜200keVが望ましい。加速エネルギーをこのような範囲とすることによって、スリップや転位の発生源に近い深さに歪み層を形成することができ、またそれより深い位置で発生したキズから発生した転位が成長することを抑制することができる。
また、この歪み層形成後に、更に800〜1200℃の熱処理を行うことができる。
本発明では、シリコンウェーハの裏面に元素が注入されており、表側の面には元素が注入されていないため、素子が形成される側(表面側)の結晶性は良好なものであるが、800〜1200℃の熱処理を行うことによって、より結晶性の良好なシリコンウェーハを得ることができる。
このように、本発明のシリコンウェーハの製造方法によれば、素子が形成される側の面の反対の面の全面に元素を注入して歪み層を形成することによって、固着効果のみならず強力なブロッキング効果をシリコンウェーハが有し、これによってスリップおよび転位の伸長を抑制することができる。また、元素の注入は一回で十分に効果があるため、工程を簡略化することができ、よって製造コストの低減およびスループットの向上を図ることができる。またウェーハの裏面に元素を注入するので、例えばドーズ量が多い場合でも回復熱処理を必ずしも行う必要がないシリコンウェーハを製造することができる。そして、裏面全面に元素注入を行うため、マスキング等の工程が不要であり、また一般的なイオン注入装置を用いることができ、容易に実施することが可能である。さらに、結晶粒界によるブロッキング効果によってスリップや転位が成長することを抑制しているため、注入した元素の拡散速度に影響されないものとすることができる。
また、本発明に記載のシリコンウェーハの製造方法によって製造されたシリコンウェーハの元素注入が行われた面とは反対の面の上に、エピタキシャル層を形成することによってエピタキシャルウェーハを製造することができる。
上述のように、本発明のシリコンウェーハの製造方法によれば、素子が形成される面は結晶欠陥の非常に少ないとともに、スリップが発生し難いシリコンウェーハとすることができるため、このようなシリコンウェーハの表面にエピタキシャル層を形成すると、結晶性が非常に良好なエピタキシャルウェーハとすることができる。
本発明のシリコンウェーハの製造方法によって製造されたシリコンウェーハは、裏面にイオン注入によって形成された歪み層が存在するので、ウェーハの裏面の接触キズから発生する転位やスリップがウェーハ表面の素子形成領域にまで抜けることを抑制することができるものとなっている。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例)
まず、CZ法で作製した直径200mmのシリコン単結晶棒をスライスして基板に加工してp型シリコン単結晶基板を準備した。このシリコン単結晶基板の初期酸素濃度は11〜13×1017atoms/cm(old ASTM)であった。
次に、歪み層を作製するため、シリコン単結晶基板の裏面にアルゴンを注入した。アルゴンのドーズ量を5×1014/cm、加速エネルギーを150keVとした。この時のアルゴンの注入深さは約0.2μmであった。
その後、形成した歪み層がどの程度転位の成長を抑制するかを評価するために、製造したシリコンウェーハの裏面側に50gの荷重で打痕を付与し、熱処理を行った後、ライトエッチングによって転位ピットを観察した。
また、シリコンウェーハ裏面に発生したスリップが表面側に成長することをどの程度抑制することができるかどうか評価するため、縦型バッチ式拡散炉内に製造したシリコンウェーハを設置した後に熱処理を行い、その後のシリコンウェーハの表面と裏面のスリップの評価を行った。
(比較例)
実施例において、p型シリコン単結晶基板の裏面にアルゴンの注入を行わなかった以外は実施例と同様のシリコンウェーハを製造し、実施例と同様の評価を行った。
図2は実施例のシリコンウェーハの裏面への打痕によって発生・成長した転位の長さを観察した一例を示す図である。図3は比較例のシリコンウェーハの裏面への打痕によって発生・成長した転位の長さを観察した一例を示す図である。実施例のシリコンウェーハは、図2に示すように、打痕からは全く転位が発生・成長していないことがわかった。これは、歪み層に存在する転位によって、打痕から発生する転位の成長が抑制されているためである。
これに対し、図3に示すように、比較例のシリコンウェーハは、打痕を中心として、転位が発生・成長したことがわかった。
図4は実施例のシリコンウェーハの熱処理後のスリップを観察した一例を示す図である。図4において(a)はウェーハ表面側、(b)はウェーハ裏面側のスリップの評価結果である。図5は比較例のシリコンウェーハの熱処理後のスリップを観察した一例を示す図である。図5においても(a)は表面側、(b)は裏面側である。
図4に示すように、実施例のシリコンウェーハの裏面には、ウェーハ周辺に熱処理装置との接触によって非晶質となった部分からスリップが発生していたが、表面にはスリップは全く発生していないことがわかった。すなわち、アルゴン注入によって生じた歪み層に存在する転位によって、裏面からのスリップの成長が抑制され、表面にまで到達しなかったことを示している。
これに対し、図5に示したように、比較例のシリコンウェーハは、ウェーハ表面および裏面のどちらにもウェーハ周辺にスリップが発生していることがわかった。つまり、比較例のシリコンウェーハはアルゴン注入による歪み層が形成されていないため、裏面から発生したスリップが表面にまで達したことを示している。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
本発明のシリコンウェーハの製造方法によって製造されたシリコンウェーハの構造の一例を示した概略図である。 本発明の実施例のシリコンウェーハの裏面への打痕によって発生・成長した転位の長さを観察した一例を示す図である。 比較例のシリコンウェーハの裏面への打痕によって発生・成長した転位の長さを観察した一例を示す図である。 本発明の実施例のシリコンウェーハの熱処理後のスリップを観察した一例を示す図である。 比較例のシリコンウェーハの熱処理後のスリップを観察した一例を示す図である。
符号の説明
101…シリコンウェーハ、 102…シリコン単結晶基板、 103…歪み層(元素注入層)。

Claims (8)

  1. シリコンウェーハの製造方法であって、
    少なくとも、チョクラルスキー法によってシリコン単結晶棒を育成し、該シリコン単結晶棒をスライスしてシリコン単結晶基板に加工した後、該シリコン単結晶基板の素子が形成される面とは反対の面の全面に元素の注入を行って歪み層を形成することを特徴とするシリコンウェーハの製造方法。
  2. 前記注入する元素を、酸素、空孔、格子間シリコンのいずれかと反応する非ドーパント元素とすることを特徴とする請求項1に記載のシリコンウェーハの製造方法。
  3. 前記注入する元素を、希ガス元素またはIV族元素とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシリコンウェーハの製造方法。
  4. 前記注入する元素を、アルゴン、炭素、シリコン、ゲルマニウムのいずれかとすることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のシリコンウェーハの製造方法。
  5. 前記注入する元素のドーズ量を、5×1013〜1×1016atoms/cmとすることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のシリコンウェーハの製造方法。
  6. 前記歪み層形成後に、更に800〜1200℃の熱処理を行うことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のシリコンウェーハの製造方法。
  7. エピタキシャルウェーハの製造方法であって、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のシリコンウェーハの製造方法によって製造されたシリコンウェーハの元素注入が行われた面とは反対の面の上に、エピタキシャル層を形成することを特徴とするエピタキシャルウェーハの製造方法。
  8. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のシリコンウェーハの製造方法によって製造されたものであることを特徴とするシリコンウェーハ。
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