JP2009191180A - 缶外面用水性塗料組成物及び該塗料組成物を被覆してなる被覆缶 - Google Patents

缶外面用水性塗料組成物及び該塗料組成物を被覆してなる被覆缶 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、塗装缶が高速で搬送される時の缶追随性(滑り性)、耐傷付性に優れ、かつ搬送ラインやレトルト処理時のワックス汚染性を起こし難いワックス組成を有した缶外面用水性塗料組成物を提供することである。
【解決手段】融点が40〜70℃である動物系ワックス(a)存在下で、N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド35〜50重量%とカルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーとを含むエチレン性不飽和モノマーを共重合した水溶性アクリル樹脂(A)、動物系ワックス(a)と融点が90〜120℃である酸成分含有合成ワックス(b)との重量比が(a)/(b)=70/30〜95/5の割合からなる水性ワックス分散体(B)、水溶性ポリエステル樹脂(C)、及び、アミノ樹脂(D)を含み、動物系ワックス(a)の含有量が、水性塗料組成物固形分中0.6〜2.0重量%である缶外面用水性塗料組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、滑り性、耐傷付き性に優れ、かつ滑り性や耐傷付き性向上の目的で添加したワックスが塗膜から脱離し難く、水中へも抽出されにくい塗膜を形成し、外面塗膜のオーバーラップ部の塗膜透明度が良好である缶外面用水性塗料組成物に関する。更に詳しくは、製缶工程や内容物を充填する工程における搬送設備や製缶工程における缶の加工ツールをワックスで汚染し難く、各工程における搬送時、特に高速搬送時の滑り性、耐傷付き性に優れる塗膜であって、インキ印刷部をオーバーコートしたクリアーニス塗膜の透明度を維持し、更に長距離・長時間輸送時の耐傷付き性にも優れ、内容物充填後のレトルト殺菌処理時にワックスが溶出し難い塗膜を形成し得る缶外面用水性塗料組成物に関する。
従来、飲料缶、食缶、キャップ、王冠栓等の外面は、その材質の保護と透明度、艶、美観の付与を目的として塗膜により被覆されている。飲料缶を例にとって説明すると、飲料缶自体を製造する工程及び内容物を充填する工程において搬送ラインで缶が搬送される際、外面塗膜は滑り易く、傷つきにくいことが要求される。塗膜の滑り性が不足すると、搬送中に缶の表面同士あるいは缶と搬送ラインのガイド等との摩擦抵抗が大きくなってしまい、缶が搬送ライン中を滑らかに移動することができず、搬送が停滞してしまうという不都合を生じる。又、塗膜の耐傷付き性が不足すると、缶同士の接触により塗膜表面が傷付いてしまい、缶表面の美観が損なわれてしまう。
近年では、高速での缶製造工程による作業効率化の中で、高速塗装機と焼き付けオーブンの短時間化で対応してきたものの、缶搬送ラインの缶集列部から単列部へ通じて缶が反転し、最終ネッキング工程までが、「缶詰り」と言われる外面塗膜の滑り性に起因する「滑り性不良」により効率化が進んでいない。2000cpm(cpmとは1分間に缶が製造または通過する数量)を超えた搬送ラインでの「缶詰り」を引き起こさない外面塗装缶が、求められている。
そこで、このような要求に応えるために、いわゆる滑剤あるいは潤滑剤などと呼ばれるものを外面塗料中に添加することが提案されてきた。潤滑剤としては、密蝋、鯨蝋、牛脂、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ラノリンワックス等の動植物性ワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の合成ワックス、シリコーン、四フッ化エチレン系樹脂等が知られている(特許文献1〜5参照)。
特許文献1には、カルボキシル基又は水酸基を有するポリオレフィン系ワックス、若しくは天然ワックスと、カルボキシル基又は水酸基と反応し得る官能基を有する塗料用樹脂との反応生成物を分散助剤の存在下に水中に分散せしめてなる水性分散体組成物が提案されている。
即ち、前記反応生成物は、ワックスの有するカルボキシル基や水酸基と、該ワックスを水性媒体に分散させるための分散剤的機能を担う塗料用樹脂とを反応させたものであり、この反応生成物は極めて親水性に富む。従って、この反応生成物の水性分散体を添加した水性塗料から形成される硬化塗膜は、親水性に富むものとなり、レトルト処理すると塗膜が白化する。
又、ポリオレフィンワックスや天然ワックスが、缶滑り性を向上するためには塗料中のワックス添加量を増やす手段が考えられるが、外面塗膜のオーバーラップ部で塗膜が白く濁る現象(塗膜白濁化)が発生しやすく、外観を損なう可能性が高い。
ところで、これまでは優れた滑り性を発現させる潤滑剤として、融点が100℃以下である天然ワックスや、変性シリコーン樹脂を選択することで、硬化塗膜表面の動摩擦係数をより小さくするものが、傷つき防止効果の点でも優れると一般に考えられてきた。天然ワックスとしては、代表的なものとしてラノリンワックスやカルナウバワックスが挙げられる。
ラノリンワックスは、脂肪酸エステルとして滑り性に優れ、搬送ラインでの汚染も少なく、レトルト水を汚染し難いという利点で有機溶剤を多く使用する油性塗料に使用されてきたが、耐傷付性の点では十分ではない。又、ラノリンワックスを有機溶剤に加熱溶解させて油性塗料に配合する手法で使用されてきた。環境対応対策として水性塗料を提示していくために、ラノリンワックスを水性塗料に使用するには、水分散体が数々開発されたものの、外面塗膜で濡れ不足である「ハジキ」が発生しやすく、水性塗料中では不安定に存在することが懸念点であった。
カルナウバワックスは、滑り性及び耐傷つき性の両方の点で優れているとされているが、カルナウバワックス含有塗料で外面が被覆された飲料缶等をレトルト処理すると、塗膜からカルナウバワックスがレトルト水に抽出され、レトルト水を汚染してしまうという問題があった。更に、飲料缶自体を製造する工程及び内容物を充填する工程において、缶胴部(ツーピース缶の場合は、底部と一体化した缶胴部、スリーピース缶の場合は、円筒状缶胴部に底部材を取り付けたもの)が搬送ラインを移動する際、カルナウバワックスは、塗膜から脱離し易く、ラインのガイドなどに付着、堆積して、ライン設備を汚染し易いという問題もあった。
他に融点が100℃以上である合成ワックスとして、マイクロクリスタリンワックスやポリエチレンワックスは、天然ワックスより外面塗膜の滑り性を向上させるまでには至らず、又、搬送ラインを汚染し易いという点で問題がある。
これに対して四フッ化エチレン系樹脂は、滑り性も良好で、耐傷つき性に極めて優れ、搬送ラインやレトルト水を汚染しにくい、という点でバランスのとれた性能を有する潤滑剤であったということができる。しかし、近年は四フッ化エチレン系樹脂といえども、更なる高速缶搬送性を満足する滑り性及び缶輸送時の耐傷つき性の要求される程度が高まってくるにつれ、必ずしも満足できるものではない。
ワックスの分散方法に関しては、従来、酸成分含有ワックスを樹脂と反応させ、中和して水に分散させる方法(特許文献1)や、カルナウバワックスを酸成分含有アクリル樹脂と中和剤とを混合して水に分散させる方法(特許文献2)や、天然ワックスや合成ワックスを、親水性有機溶剤を用いて水媒体中に分散させる方法(特許文献3)や、合成ワックス存在下でアクリル樹脂を合成する方法(特許文献4、5、6)等が開示されている。
一般的に、酸成分を有するカルナウバワックスや酸変性ポリオレフィンワックスを用いて、当該ワックス存在下で酸成分含有アクリル樹脂を重合して、中和剤を介して水に分散する手法が主である。最も滑り性と耐汚染性に優れた天然ワックスであるラノリンワックスを分散させ塗料中に安定化させる手法としては、特許文献7で最近提案されたが、缶搬送ラインでの2000cpmを超える缶搬送性を得るまでには至っていない。
特許第2599143号公報 特許第3921793号公報 特許第3817903号公報 特許第2557532号公報 特開平8−319459号公報 特許第3175519号公報 特開2007−9097号公報
本発明は、滑り性に優れた天然ワックスとして融点が40〜70℃である動物系ワックスを水性塗料中に安定して存在させることが可能となり、缶の搬送ラインやレトルト水を汚染しにくく、従来よりも高速で搬送される時の搬送性(滑り性)の点で優れ、長距離・長時間輸送時の耐傷つき性にも優れる塗膜を形成し得る缶外面用水性塗料組成物を提供することを目的とする。
即ち、第1の発明は、融点が40〜70℃である動物系ワックス(a)含有水溶性アクリル樹脂(A)、動物系ワックス(a)含有水性ワックス分散体(B)、水溶性ポリエステル樹脂(C)、及び、アミノ樹脂(D)を含む、缶外面用水性塗料組成物であって、
水溶性アクリル樹脂(A)が、エチレン性不飽和モノマーの合計100重量部に対して1〜5重量部の動物系ワックス(a)存在下で、N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド35〜50重量%とカルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーとを含むエチレン性不飽和モノマーを共重合し、更に塩基性化合物で中和してなる樹脂であり、
水性ワックス分散体(B)が、動物系ワックス(a)を、融点が90〜120℃である酸成分含有合成ワックス(b)によって、(a)と(b)との重量比が(a)/(b)=70/30〜95/5の割合で親水性有機溶剤中に分散してなる分散体であり、
更に動物系ワックス(a)の含有量が、水性塗料組成物固形分中0.6〜2.0重量%であることを特徴とする缶外面用水性塗料組成物に関する。
又、第2の発明は、更に融点が70〜90℃である酸成分含有動植物系ワックス(c)、及び融点が300〜350℃である四フッ化エチレン系ワックス(d)を含む第1の発明の缶外面用水性塗料組成物に関する。
又、第3の発明は、更に融点が110〜130℃である石油系ワックス(e)を含む第2の発明の缶外面用水性塗料組成物に関する。
又、第4の発明は、ワックス成分の合計量が、水性塗料組成物固形分中1.5〜2.6重量%である缶外面用水性塗料組成物であって、
ワックス成分の合計100重量%中、
融点が40〜70℃である動物系ワックス(a)60〜70重量%、
融点が90〜120℃である酸成分含有合成ワックス(b)1〜7重量%、
融点が70〜90℃である酸成分含有動植物系ワックス(c)0.1〜5重量%、
融点が300〜350℃である四フッ化エチレン系ワックス(d)20〜37重量%、
の構成比であることを特徴とする第2の発明の缶外面用水性塗料組成物に関する。
又、第5の発明は、ワックス成分の合計量が、水性塗料組成物固形分中1.5〜2.6重量%である缶外面用水性塗料組成物であって、
ワックス成分の合計100重量%中、
融点が40〜70℃である動物系ワックス(a)50〜60重量%、
融点が90〜120℃である酸成分含有合成ワックス(b)1〜7重量%、
融点が70〜90℃である酸成分含有動植物系ワックス(c)0.1〜5重量%、
融点が300〜350℃である四フッ化エチレン系ワックス(d)20〜30重量%、
融点が110〜130℃である石油系ワックス(e)10〜20重量%、
の構成比であることを特徴とする第3の発明の缶外面用水性塗料組成物に関する。
又、第6の発明は第1〜5いずれかの発明の缶外面用水性塗料組成物を、金属板、プラスチック板、及びプラスチックフィルム被覆金属板から選ばれる板を成形してなる缶に被覆してなる被覆缶に関する。
又、第7の発明は第1〜5いずれかの発明の缶外面用水性塗料組成物によって被覆された金属板、プラスチック板、及びプラスチックフィルム被覆金属板から選ばれる板を成形してなる被覆缶に関する。
本発明の水性塗料組成物は、缶外面用水性塗料として必要な要件とされる、滑り性と耐傷付性に優れており、又、本発明の水性塗料組成物を用いることにより、高速搬送時の滑り性、長距離・長時間輸送時の耐傷つき性にも優れ、且つ、製造設備やレトルト水を汚染することのない塗膜を得ることができるようになった。
本発明の缶外面用水性塗料組成物は、融点が40〜70℃である動物系ワックス(a)〔以下、単に「動物系ワックス(a)」とも表記する〕含有水溶性アクリル樹脂(A)、動物系ワックス(a)含有水性ワックス分散体(B)、水溶性ポリエステル樹脂(C)、及び、アミノ樹脂(D)を含む塗料組成物である。本発明では、融点が40〜70℃である動物系ワックス(a)を水性塗料組成物中に配合する全ワックス中に必須成分として使用することを特徴とする。更に本発明は、この動物系ワックス(a)を、動物系ワックス(a)含有水溶性アクリル樹脂(A)、及び動物系ワックス(a)含有水性ワックス分散体(B)として水性塗料組成物に使用することを特徴とする。
本発明は、融点が40〜70℃である動物系ワックス(a)を水性塗料組成物固形分中に0.6〜2.0重量%含有することを特徴とする。動物系ワックス(a)が、0.6重量%未満では、缶外面塗膜の滑り性が得られず、2.0重量%を超えると、ワックス総量が多くなることにより缶外面塗膜の透明感を損なうことで外観不良が発生する。
融点が40℃未満の動物系ワックスでは、滑り性の向上効果が得られない。融点が70℃を超える動物系ワックスでは、ワックス性状が常温でフレーク状又は粉状となるので、缶外面塗膜形成後の缶搬送時の汚染やレトルト処理時の処理液汚染の問題が発生しやすい。
融点が40〜70℃である動物系ワックス(a)の性状としては軟質であり、塗膜表面で滑り性を発揮しやすい材料として好適に使用されてきた。動物系ワックス(a)としては、例えば、蜜蝋、ラノリンワックス、鯨蝋、キャンデリラワックス、木蝋等種々のワックスが挙げられ、この中でも蜜蝋とラノリンワックスが好ましい。
まず、本発明の融点が40〜70℃である動物系ワックス(a)含有水溶性アクリル樹脂(A)〔以下、単に「水溶性アクリル樹脂(A)」とも表記する〕について説明する。動物系ワックス(a)は、脂肪酸エステルとして極性が高く酸成分を有していない。動物系ワックス(a)を水性塗料組成物中に安定して存在させるためには、動物系ワックス(a)の存在下でエチレン性不飽和モノマーを重合することが好ましい。但し、従来通り単純に、動物系ワックス(a)存在下で、酸基又は水酸基含有エチレン性不飽和モノマーを含むエチレン性不飽和モノマーを重合させた水溶性アクリル樹脂では、滑り性が狙い通りの性能として発揮できない。本発明では、エチレン性不飽和モノマーとしてN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミドを、使用するエチレン性不飽和モノマーの合計100重量%中、35〜50重量%使用することを特徴とする。これにより、得られた水溶性アクリル樹脂(A)中のN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド由来の官能基がアミノ樹脂(D)と熱硬化反応し、塗膜表面に動物系ワックス(a)が浮上する効果を得ることができ、滑り性が向上すると考えられる。
N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミドが、35重量%未満では、滑り性に有効な融点が40〜70℃である動物系ワックス(a)が塗膜表面に浮上しにくく、滑り性が得られず、50重量%を超えると、水溶性アクリル樹脂(A)の合成反応中にゲル化する。水溶性アクリル樹脂(A)中に含まれる融点が40〜70℃である動物系ワックス(a)の含有量は、水溶性アクリル樹脂(A)を製造する時に使用するエチレン性不飽和モノマーの合計100重量部に対して1〜5重量部であることを特徴とする。1重量部未満では、動物系ワックス(a)の特徴である滑り性の効果が得られず、5重量部を超えると得られる水溶性アクリル樹脂(A)溶液が濁り、動物系ワックス(a)が析出し保存安定性が劣る。
従来の技術では、融点が40〜70℃の動物系ワックス(a)を水性塗料組成物に分散させるためには、分散樹脂や界面活性剤や他の酸成分含有ワックスを分散助剤として活用してきた。期待される効果として滑り性を上げることに対し、性能に悪影響を及ぼす材料が塗料中に加わる点で好適ではない。分散樹脂や界面活性剤を水性塗料組成物へ導入すると、レトルト等熱処理時に塗膜の白濁が発生しやすく、他の酸成分含有ワックスでは、滑り性を低下させる可能性や、オーバーコート(厚膜)部の塗膜が白濁する可能性がある。本発明では、上述したよう水溶性アクリル樹脂(A)を使用することと、下記で説明する融点が40〜70℃である動物系ワックス(a)含有水性ワックス分散体(B)〔以下、単に「水性ワックス分散体(B)」とも表記する〕を併用することで上記問題点を解決できる。
水溶性アクリル樹脂(A)は、例えば以下のようにして得ることができるが、その製造方法はこれらに限定されるものではない。水溶性アクリル樹脂(A)は、N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミドとカルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーとを含むエチレン性不飽和モノマーを、融点が40〜70℃の動物系ワックス(a)の存在下、親水性有機溶剤中でラジカル開始剤を用いて重合することにより得られる。更に、塩基性化合物でカルボキシル基部分を中和することにより水溶性アクリル樹脂溶液を得ることができる。
N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等が挙げられ、その使用量は、水溶性アクリル樹脂(A)を製造する時に使用するエチレン性不飽和モノマーの合計100重量%中、3〜10重量%であることが好ましい。3重量%未満であると、水溶化が不十分になる場合があり、10重量%を超えると、塗膜の耐水性が悪化する場合がある。
本発明に用いる、その他のエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、2−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン等のスチレン系エチレン性不飽和モノマー類;
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸イソボニル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系エチレン性不飽和モノマー類;
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル等のヒドロキシル基含有エチレン性不飽和モノマー類;
N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のN−置換(メタ)アクリルアミド系エチレン性不飽和モノマー類等の1種もしくは2種以上が挙げられる。
又、ラジカル開始剤は、過酸化ベンゾイル等の一般的な過酸化物、あるいはアゾ化合物を使用することができる。親水性有機溶剤としては、後述する水性ワックス分散体(B)で使用する溶剤を使用することができる。
本発明で用いられる塩基性化合物としては、有機アミン化合物、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物等が挙げられるが、有機アミン化合物の例としては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチル−エタノールアミン、N,N−ジエチル−エタノールアミン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。これら塩基性化合物は、水溶性アクリル樹脂(A)中のカルボキシル基の全量100モル%に対して、50〜100モル%の割合で使用することが好ましい。又、塩基性化合物は、上記化合物の中でも常温で液体であり、揮発しにくいものが好ましい。
次に、水性ワックス分散体(B)について説明する。本発明は、融点が40〜70℃である動物系ワックス(a)を、融点が90〜120℃である酸成分含有合成ワックス(b)によって、(a)と(b)との重量比が(a)/(b)=70/30〜95/5の割合で親水性有機溶媒中に分散してなる水性ワックス分散体(B)を併用することを特徴とする。これにより、過剰なワックスによる缶外面クリアーニスのオーバーコート(厚膜)部分での塗膜白濁発生を防止する効果を生み出す。
このような動物系ワックス(a)を分散するために用いる融点が90〜120℃である酸成分含有合成ワックス(b)としては、例えば、酸化型マイクロクリスタリンワックス(酸価:5〜150mgKOH/g、融点:90〜115℃、重量平均分子量:450〜900)、酸化型ポリエチレンワックス(酸価:19〜25mgKOH/g、融点:94〜120℃、重量平均分子量:4000〜8000)等が挙げられる。
又、酸成分含有合成ワックス(b)と併用して、エチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドで変性されてなる融点が40〜70℃である水溶性変性動物系ワックスを使用することができる。エチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドで変性されてなる融点が40〜70℃である水溶性変性動物系ワックスとしては、例えば、ラノリンワックスをエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドでペンダント状に変性してなる水溶性変性動物系合成ワックス(酸価:0、融点:40〜70℃、重量平均分子量:300〜900)等のワックスが挙げられる。
水性ワックス分散体(B)は、例えば以下のようにして得ることができるが、その製造方法はこれらに限定されるものではない。加熱可能な容器中にて、別々にワックス(a)と、(b)とを、融点+20℃以上の温度まで加熱させ、溶解ワックスをそれぞれ作製する。次いで、溶解したワックス(a)中に溶解したワックス(b)を徐々に添加、攪拌して両者の混合ワックスを作製した後、ディスパー等により高速撹拌されている、密閉可能な容器中にあらかじめ仕込んでおいた親水性有機溶剤中に、上記混合ワックスを徐々に添加し分散することにより、好ましくは平均粒子径が3〜30μmである白色の水性ワックス分散体(B)を得ることができる。なおここでいう平均粒子径は、光散乱法粒子径測定器で測定した値をいう。
このようにして得られる水性ワックス分散体(B)は、ワックス(a)とワックス(b)とを、(a)/(b)=70/30〜95/5の重量比で含有することを特徴とし、(a)/(b)=80/20〜90/10の重量比で含有することが好ましい。又、分散体を構成している分散粒子の平均粒子経は、3〜30μmであることが好ましく、10〜20μmであることがより好ましい。分散体を構成している分散粒子においては、その存在形態は明確ではないが、ワックス(b)がシェル部を形成し、コア部であるワックス(a)の周囲を取り囲んだ状態で存在すると考えられる。
融点が40〜70℃である動物系ワックス(a)の重量比が95を超えた場合、得られた水性ワックス分散体(B)の粒子径が増大(凝集が始まる)し、これを用いて作成した水性塗料組成物においては、塗装後の塗膜欠陥(ブツ状)が発生しやすくなる。ワックス(a)の重量比が70未満の場合、水性ワックス分散体(B)は容易に得られるが、これを用いて作成した水性塗料組成物においては、必然的に増量されたワックス(b)により缶外面塗膜の滑り性が目標性能に対し未達となり、滑り性未達による耐傷付性も劣る傾向が見られる。又、分散粒子の平均粒子径が30μmを超えた場合、粗大粒子が分散体液中に存在することで、これを用いて作製した水性塗料組成物においてワックスが沈降したり、塗装後の塗膜表面で塗膜欠陥(ブツ状)が発生したりしやすい。一方、平均粒子径が3μm未満の場合、水性ワックス分散体(B)を用いて得られる水性塗料組成物が塗装されて硬化する際に、ワックス成分が塗膜の表面近傍に偏在しにくくなり、十分な滑り性が得られなくなる場合がある。
水性ワックス分散体(B)を得る際に用いられる親水性有機溶剤とは、水と容易に混合する有機溶剤であり、水に対する溶解性(wt%)が6〜100wt%の範囲である。このような親水性有機溶剤としては、アルコール系とグリコール系の有機溶剤を好ましく挙げることができる。アルコール系有機溶剤としては、具体的には、メタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、メチルアミルアルコール、アリルアルコール等を挙げることができる。その中で水と容易に混合するものとして、メタノール、アリルアルコール、n−プロパノール、イソプロパノール等が挙げられるが、これらは沸点が100℃未満であり、引火しやすいという懸念がある。又、グリコール系親水性有機溶剤としては、具体的に、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル(別名:ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、メチルプロピレングリコール、プロピルプロピレングリコール、ブチルプロピレングリコール等を挙げることができる。
本発明で水性ワックス分散体(B)を製造するために使用する親水性有機溶剤としては、前記アルコール類に比して引火点が高く、水性樹脂組成物と容易に混合し、溶剤臭気の低減化や、下地の印刷に使用される金属インキに対する相溶性に優れるという点で、グリコール系親水性有機溶剤が最も好ましい。昨今の環境衛生問題に対する関心の高まりや、非危険物化という観点を踏まえると、本発明で使用する親水性有機溶剤の沸点あるいは引火点は高い方が好ましく、かつ使用量も極力少なくすることが好ましい。
本発明の水性塗料組成物の好ましい態様は、上記で説明した、融点が40〜70℃である動物系ワックス(a)含有水溶性アクリル樹脂(A)と、動物系ワックス(a)含有水性ワックス分散体(B)とに加え、更に、融点が70〜90℃である酸成分含有動植物系ワックス(c)、及び融点が300〜350℃である四フッ化エチレン系ワックス(d)を含むことを特徴とする。
更に、融点が110〜130℃である石油系ワックス(e)を含むことを特徴とする。この様に、酸成分含有動植物系ワックス(c)、四フッ化エチレン系ワックス(d)、及び石油系ワックス(e)を使用することで、塗膜の耐傷付性、及び水性塗料組成物の安定性が容易に調整することができ好ましい。
更に本発明は、ワックス成分の合計量が水性塗料組成物固形分中1.5〜2.6重量%である缶外面用水性塗料組成物であって、前記ワックス成分の合計100重量%中、融点が40〜70℃である動物系ワックス(a)60〜70重量%、融点が90〜120℃である酸成分含有合成ワックス(b)1〜7重量%、融点が70〜90℃である酸成分含有動植物系ワックス(c)0.1〜5重量%、融点が300〜350℃である四フッ化エチレン系ワックス(d)20〜37重量%、の構成比であることが好ましい。ワックス含有合計量が1.5重量%未満では、缶外面塗膜の滑り性と耐傷付性が不足する場合がある。又、ワックス含有合計量が2.6重量%を超えると缶外面塗膜の表面にワックス層が厚く形成されることで、缶外面クリアーニスのオーバーコート(厚膜)部分での塗膜白濁が発生しやすくなり、缶外面塗膜の滑り性向上効果が見られない場合がある。
このような融点70〜90℃である酸成分含有動植物系ワックス(c)としては、例えば、カルナバワックス(酸価:2〜10mgKOH/g、融点:80〜82℃、重量平均分子量:500〜900)、モンタン酸ワックス(酸価:15〜150mgKOH/g、融点:75〜90℃、重量平均分子量:700〜900)、酸化型マイクロクリスタリンワックス(酸価:5〜150mgKOH/g、融点:70〜90℃、重量平均分子量:450〜900)等のワックスが挙げられる。
融点40〜70℃である動物系ワックス(a)が60重量%未満では、缶外面塗膜の滑り性が目標性能に対し未達となる場合があり70重量%を超えると他種ワックスが配合できず、耐傷付性が劣る場合がある。
融点が90〜120℃である酸成分含有合成ワックス(b)が1重量%未満では、前述動物系ワックス(a)配合で形成された缶外面塗膜の滑り性の維持と水性塗料組成物中の安定化が劣る場合がある。又、7重量%を超えると、ワックス(a)と(d)の成分比率が低くなり、本来ワックス(b)は滑り性と耐傷付性に寄与しにくいため当初の塗膜性能向上が期待できない。
融点70〜90℃である酸成分含有動植物系ワックス(c)が0.1重量%未満では、ワックス分散時の分散媒として機能させる役割が劣ることで、本発明の水性塗料組成物の保存安定性に問題を生じる場合がある。又、5重量%を超えると、缶外面塗膜の滑り性は向上するものの、缶高速搬送時に外面塗膜から粉状に脱離しやすく、酸成分を有するワックス故にレトルト高温処理時に溶融してレトルト処理水を汚染する場合がある。
融点300〜350℃である四フッ化エチレン系ワックス(d)が20重量%未満では、缶外面塗膜の耐傷付性が劣る傾向が強く、37重量%を超えると比重が高い特徴を持つ当該ワックスが故に本発明水性塗料組成物の保存時に容器下部へ沈降しやすくなり、場合によってはハードケーキ状に塊となる場合がある。
このような融点300〜350℃である四フッ化エチレン系ワックス(d)としては、例えば、四フッ化エチレン樹脂(融点320〜350℃、重量平均分子量:150,000〜200,000)からなるワックス等が挙げられる。
更に本発明は、耐傷付性を更に増しながら、水性塗料組成物の保存時のワックス分離を防止するために、融点110〜130℃の石油系ワックス(e)を使用することが好ましい。従来、このようなワックスは最も缶搬送ラインを汚染すると言われ、常温において粉状で存在し、焼き付け時に溶融するために形状が変化しやすく、缶外面塗膜のワックス層形成で突起状に存在することで、最も外面塗膜から脱落しやすいと考えられていた。しかし、本発明にて融点40〜70℃である動物系ワックス(a)を主体的に配合したワックス組成に併用することで缶搬送ラインの汚染を防止することが新たに知見として得られたため、好適に使用できると考えられる。
石油系ワックス(e)を使用する場合、ワックス成分の合計量が、水性塗料組成物固形分中1.5〜2.6重量%である缶外面用水性塗料組成物であって、ワックス成分の合計100重量%中、融点が40〜70℃である動物系ワックス(a)50〜60重量%、融点が90〜120℃である酸成分含有合成ワックス(b)1〜7重量%、融点が70〜90℃である酸成分含有動植物系ワックス(c)0.1〜5重量%、融点が300〜350℃である四フッ化エチレン系ワックス(d)20〜30重量%、融点が110〜130℃である石油系ワックス(e)10〜20重量%、の構成比であることが好ましい。
融点40〜70℃である動物系ワックス(a)が50重量%未満では、缶外面塗膜の滑り性が目標性能に対し未達となる場合があり、60重量%を超えると他種ワックスが配合できず、耐傷付性が劣る場合がある。
融点が90〜120℃である酸成分含有合成ワックス(b)が1重量%未満では、前述動物系ワックス(a)配合で形成された缶外面塗膜の滑り性の維持と水性塗料組成物中の安定化が劣る場合がある。又、7重量%を超えると、ワックス(a)と(d)との成分比率が低くなり、本来ワックス(b)は滑り性と耐傷付性に寄与しにくいため当初の塗膜性能向上が期待できない場合がある。
融点が70〜90℃である酸成分含有動植物系ワックス(c)が0.1重量%未満では、ワックス分散時の分散媒として機能させる役割が劣ることで、本発明の水性塗料組成物の保存安定性に問題を生じる場合がある。5重量%を超えると、缶外面塗膜の滑り性は向上するものの、缶高速搬送時に外面塗膜から粉状に脱離しやすく、酸成分を有するワックス故にレトルト高温処理時に溶融してレトルト処理水を汚染する場合がある。
融点300〜350℃である四フッ化エチレン系ワックス(d)が20重量%未満では、缶外面塗膜の耐傷付性が劣る傾向が強く、30重量%を超えると比重が高い特徴を持つワックスが故に本発明水性塗料組成物の保存時に容器下部へ沈降しやすくなり、場合によってはハードケーキ状に塊となる場合がある。
融点110〜130℃である石油系ワックス(e)が10重量%未満では、缶外面塗膜の耐傷付性がやや劣る傾向が見られ、20重量%を超えると缶外面塗膜に存在する確率が高くなり、缶搬送ラインでの汚染が見られる可能性が出てくる。石油系ワックス(e)としては、例えば、酸化マイクロクリスタリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリエチレンワックス、アマイドワックス、ポリプロピレンワックスなどが挙げられ、この中で1種類又は2種類以上が使用される。
水溶性ポリエステル樹脂(C)は、本発明の水性塗料組成物中において、前述の水溶性アクリル樹脂(A)と同様に塗膜形成成分のうち、最も多くの重量を占める主たる成分であり、強靭な連続硬化塗膜を形成する機能を担うものである。水溶性ポリエステル樹脂(C)の種類としては、特に限定されるものではないが、従来から缶外面用水性塗料組成物に用いられているモノマー(多価アルコール成分、二塩基酸成分)を使用して加熱反応により縮合されてなる水溶性ポリエステル合成樹脂を用いることが好ましい。又、水分散性変性エポキシ樹脂や水溶性変性エポキシ樹脂を使用しても良い。
アミノ樹脂(D)は、水性塗料組成物用に使用されるベンゾグアナミンとホルムアルデヒドとの付加縮合反応で得られるベンゾグアナミン樹脂、及び、メラミンとホルムアルデヒドとの付加縮合反応で得られるメラミン樹脂からなる硬化剤樹脂群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含有することがより好ましい。
本発明の缶外面用水性塗料組成物は、缶の外面構成用の金属上や、プラスチックフィルム被覆金属上に塗布し、硬化させ、被覆された金属を得るために好適に用いられる。本来の目的である金属の表面保護や、缶搬送性の確保等に加えて、外観上透明感と高光沢を満たす必要性がある。
本発明は、上記缶外面用水性塗料組成物を、金属板、及びプラスチックフィルム被覆金属板から選ばれる板を成形してなる缶に被覆してなる被覆缶、又は、上記缶外面用水性塗料組成物によって被覆された金属板、及びプラスチックフィルム被覆金属板から選ばれる板を成形してなる被覆缶である。
本発明の缶外面用水性塗料組成物は、塗装に適した粘度に調整した後、ドクターコーター、エアナイフコーター、リバースコーター等の各種コーターや、ローラやブラシを用いて、金属板、プラスチック板、及びプラスチックフィルム被覆金属板に塗布することができる。またスプレー塗装、静電塗装等の方法を用いることもできる。膜厚は、用途によって適宜選定すれば良いが、通常、乾燥・硬化後において3〜8μm程度が好ましい。
上記したように本発明の缶外面用水性塗料組成物を金属板、プラスチック板、及びプラスチックフィルム被覆金属板に塗布し、乾燥、加熱することによって、硬化塗膜を有する金属板、プラスチック板、及びプラスチックフィルム被覆金属板などの塗装板を得ることができる。乾燥、加熱は、電熱オーブン、ガス燃焼オーブン、各種熱源から発生させた熱風オーブン等による雰囲気加熱方式などを採用することができ、150〜250℃で10〜90秒程度加熱することが好ましい。本発明では、上記塗装板を成形して被覆缶を作製してもよいし、塗装前の板を成型した後に塗装して被覆缶を作製しても良い。
本発明で用いられるプラスチックフィルムとしては、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム等が挙げられ、ポリエステルフィルムが好ましい。 ポリエステルフィルムとしてはポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETと略す)が好ましい。又、本発明で用いられる金属板としては、鋼板、アルミニウム板等が挙げられる。
以下に、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例における「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」をそれぞれ表す。
[製造例1]:水溶性アクリル樹脂(A−1)溶液の製造
温度計、撹拌機、還流冷却機、滴下槽、窒素ガス吹き込み管を備えた四ツ口フラスコに、ブチルセロソルブ100部、ラノリンワックス[クローダジャパン(株)社製商品名:「コロネット」]3部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ撹拌しながら115℃に昇温し、滴下槽からアクリル酸エチル10部、アクリル酸ブチル9部、メタクリル酸メチル30部、N−イソブトキシメチルメタアクリルアミド45部、アクリル酸6部からなる混合物100部に過酸化ベンゾイル5部を溶解させたものを3時間にわたって滴下した。その後、115℃に保ち1時間反応し、過酸化ベンゾイル0.5部を添加し、更に1時間反応させて終了した。これを減圧下110℃で、ブチルセロソルブを不揮発分71%になるまで留去し、その後ジメチルエタノールアミン7部と水を入れ、不揮発分50%、残留ブチルセロソルブ20%の褐色透明で粘調な水溶性アクリル樹脂(A−1)溶液を得た。水溶性アクリル樹脂(A−1)の重量平均分子量は16000、ガラス転移温度(Tg)は50℃であった。
[製造例2]:水溶性アクリル樹脂(A−2)溶液の製造
温度計、撹拌機、還流冷却機、滴下槽、窒素ガス吹き込み管を備えた四ツ口フラスコに、ブチルセロソルブ100部、ラノリンワックス[クローダジャパン(株)社製商品名:「クロダモルODL」]3部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ撹拌しながら115℃に昇温し、滴下槽からアクリル酸エチル10部、アクリル酸ブチル9部、メタクリル酸メチル30部、N−イソブトキシメチルメタアクリルアミド45部、アクリル酸6部からなる混合物100部に過酸化ベンゾイル5部を溶解させたものを3時間にわたって滴下した。その後、115℃に保ち1時間反応し、過酸化ベンゾイル0.5部を添加し、更に1時間反応させて終了した。これを減圧下110℃で、ブチルセロソルブを不揮発分71%になるまで留去し、その後ジメチルエタノールアミン7部と水を入れ、不揮発分50%、残留ブチルセロソルブ20%の褐色透明で粘調な水溶性アクリル樹脂(A−2)溶液を得た。水溶性アクリル樹脂(A−2)の重量平均分子量は16000、ガラス転移温度(Tg)は50℃であった。
[製造例3]:水溶性アクリル樹脂(A−3)溶液の製造
温度計、撹拌機、還流冷却機、滴下槽、窒素ガス吹き込み管を備えた四ツ口フラスコに、ブチルセロソルブ100部、ラノリンワックス[クローダジャパン(株)社製商品名:「コロネット」]3部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ撹拌しながら115℃に昇温し、滴下槽からアクリル酸エチル15部、アクリル酸ブチル9部、メタクリル酸メチル40部、N−イソブトキシメチルメタアクリルアミド30部、アクリル酸6部からなる混合物100部に過酸化ベンゾイル5部を溶解させたものを3時間にわたって滴下した。その後、115℃に保ち1時間反応し、過酸化ベンゾイル0.5部を添加し、更に1時間反応させて終了した。これを減圧下110℃で、ブチルセロソルブを不揮発分71%になるまで留去し、その後ジメチルエタノールアミン7部と水を入れ、不揮発分50%、残留ブチルセロソルブ20%の褐色透明で粘調な水溶性アクリル樹脂(A−3)溶液を得た。水溶性アクリル樹脂(A−3)の重量平均分子量は15000、ガラス転移温度(Tg)は45℃であった。
[製造例4]:水溶性アクリル樹脂(A−4)溶液の製造
温度計、撹拌機、還流冷却機、滴下槽、窒素ガス吹き込み管を備えた四ツ口フラスコに、ブチルセロソルブ100部、精製カルナバワックス(野田ワックス社製商品名:「精製カルナバワックスNo.1」)3部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ撹拌しながら115℃に昇温し、滴下槽からアクリル酸エチル10部、アクリル酸ブチル9部、メタクリル酸メチル30部、N−イソブトキシメチルメタアクリルアミド45部、アクリル酸6部からなる混合物100部に過酸化ベンゾイル5部を溶解させたものを3時間にわたって滴下した。その後、115℃に保ち1時間反応し、過酸化ベンゾイル0.5部を添加し、更に1時間反応させて終了した。これを減圧下110℃で、ブチルセロソルブを不揮発分71%になるまで留去し、その後ジメチルエタノールアミン7部と水を入れ、不揮発分50%、残留ブチルセロソルブ20%の褐色透明で粘調な水溶性アクリル樹脂(A−4)溶液を得た。水溶性アクリル樹脂(A−4)の重量平均分子量は15500、ガラス転移温度(Tg)は50℃であった。
[製造例5]:水溶性アクリル樹脂(A−5)溶液の製造
温度計、撹拌機、還流冷却機、滴下槽、窒素ガス吹き込み管を備えた四ツ口フラスコに、ブチルセロソルブ102部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ撹拌しながら115℃に昇温し、滴下槽からアクリル酸エチル15部、アクリル酸ブチル9部、メタクリル酸メチル40部、N−イソブトキシメチルメタアクリルアミド45部、アクリル酸6部からなる混合物100部に過酸化ベンゾイル5部を溶解させたものを3時間にわたって滴下した。その後、115℃に保ち1時間反応し、過酸化ベンゾイル0.5部を添加し、更に1時間反応させて終了した。これを減圧下110℃で、ブチルセロソルブを不揮発分71%になるまで留去し、その後ジメチルエタノールアミン7部と水を入れ、不揮発分50%、残留ブチルセロソルブ20%の褐色透明で粘調な水溶性アクリル樹脂(A−5)溶液を得た。水溶性アクリル樹脂(A−5)の重量平均分子量は16000、ガラス転移温度(Tg)は50℃であった。
[製造例6]:水溶性ポリエステル樹脂(C)溶液の製造
温度計、撹拌機、還流冷却機、滴下槽、窒素ガス吹き込み管を備えた四ツ口フラスコに、無水フタル酸12部、アジピン酸48部、エチレングリコール25部を仕込み、210℃に加熱し、エステル化反応を行なった。酸価が50mg/KOH以下になった時点で冷却を開始し、170℃においてブチルセロソルブ93部を添加し、冷却後、不揮発分50%、水酸基価45mg/KOH、重量平均分子量が2000、酸価が40mgKOH/gである透明状の粘調な水溶性ポリエステル樹脂(C)溶液を得た。
[製造例7]:ラノリンワックス/酸化型マイクロクリスタリンワックス共分散体(B−1)の製造
温度計、撹拌機、還流冷却機、滴下槽、窒素ガス吹き込み管を備えた四ツ口フラスコに、酸化型マイクロクリスタリンワックス(*1)5部を仕込み窒素気流下で撹拌しながら120℃に加熱し溶融させた。その中に予め別容器で70℃に加熱し溶融させたラノリンワックス(*2)15部を添加して、溶融物を混合した。その後、別の容器に仕込んだブチルセロソルブ80部をディスパーにて撹拌速度600rpmで高速撹拌しつつ、この中に前記のワックス混合溶融物を徐々に添加し、不揮発分20%である酸化型マイクロクリスタリンワックスとラノリンワックスとの共分散体(B−1)を得た。このワックス共分散体の分散粒子の光散乱法による平均粒子径は20μmであった。又、得られた分散体を37℃で3ヶ月保存したが、外観上の変化は認められなかった。
(*1):酸化型マイクロクリスタリンワックスは、東洋ペトロライト社製「カーディス320使用。融点は91℃、酸価は36mgKOH/g、重量平均分子量は約1000。
(*2):ラノリンワックスは、クローダジャパン(株)社製商品名「コロネット」使用。融点は42〜55℃。
[製造例8]:ラノリンワックス/酸化型マイクロクリスタリンワックス共分散体(B−2)の製造
「ラノリンワックス(*3)」15部、「酸化型マイクロクリスタリンワックス(*1)」5部とした以外は、製造例7と同様にして、不揮発分20%、平均粒子径20μmのワックス共分散体(B−2)を得た。
(*3):ラノリンワックスは、クローダジャパン(株)社製商品名「クロダモルODL」使用。融点は55〜65℃。
[製造例9]:ラノリンワックス/カルナバワックス共分散体(B−3)の製造
温度計、撹拌機、還流冷却機、滴下槽、窒素ガス吹き込み管を備えた四ツ口フラスコに、カルナバワックス(*4)5部を仕込み窒素気流下で撹拌しながら100℃に加熱し溶融させた。その中に予め別容器で70℃に加熱し溶融させたラノリンワックス(*2)15部を添加して、溶融物を混合した。その後、別の容器に仕込んだブチルセロソルブ80部をディスパーにて撹拌速度600rpmで高速撹拌しつつ、この中に前記のワックス混合溶融物を徐々に添加し、不揮発分20%であるカルナバワックスとラノリンワックスとの共分散体(B−3)を得た。このワックス共分散体の分散粒子の光散乱法による平均粒子径は15μmであった。又、得られた分散体を37℃で3ヶ月保存したが、外観上の変化は認められなかった。
(*4):カルナバワックスは、野田ワックス社製「精製カルナバワックスNo.1」使用。融点は80〜84℃。
[製造例10]:ラノリンワックス/酸化型マイクロクリスタリンワックス共分散体(B−4)の製造
「ラノリンワックス(*2)」10部、「酸化型マイクロクリスタリンワックス(*1)」10部とした以外は、製造例7と同様にして、不揮発分20%、平均粒子径15μmのワックス共分散体(B−4)を得た。
[製造例11]:酸化型マイクロクリスタリンワックス分散体(B−5)の製造
温度計、撹拌機、還流冷却機、滴下槽、窒素ガス吹き込み管を備えた四ツ口フラスコに、「酸化型マイクロクリスタリンワックス(*1)20部を仕込み窒素気流下で撹拌しながら115℃に加熱し溶融させた。その後、別の容器に仕込んだブチルセロソルブ80部をディスパーにて撹拌速度600rpmで高速撹拌しつつ、この中に前記のワックス溶融物を徐々に添加し、不揮発分20%である酸化型マイクロクリスタリンワックス分散体(B−5)を得た。このワックス分散体の分散粒子の光散乱法による平均粒子径は10μmであった。又、得られた分散体を37℃で3ヶ月保存したが、外観上の変化は認められなかった。
[製造例12]:カルナバワックス分散体(B−6)の製造
温度計、撹拌機、還流冷却機、滴下槽、窒素ガス吹き込み管を備えた四ツ口フラスコに、「カルナバワックス(*4)」20部を仕込み窒素気流下で撹拌しながら110℃に加熱し溶融させた。その後、別の容器に仕込んだブチルセロソルブ80部をディスパーにて撹拌速度600rpmで高速撹拌しつつ、この中に前記のワックス溶融物を徐々に添加し、不揮発分20%であるカルナバワックス分散体(B−6)を得た。このワックス分散体の分散粒子の光散乱法による平均粒子径は15μmであった。又、得られた分散体を37℃で3ヶ月保存したが、外観上の変化は認められなかった。
[実施例1]
製造例1で得られた水溶性アクリル樹脂(A−1)溶液、水性ポリエステル樹脂(C)溶液、ベンゾグアナミンとホルムアルデヒド重縮合型アミノ樹脂溶液[D(*5)]を表1に記載された配合量で混合した。更に製造例7で得られたワックス共分散体(B−1)、製造例9で得られたワックス共分散体(B−3)、及び四フッ化エチレンワックス[d(*6)]を混合した。更にp−トルエンスルフォン酸アミン塩:0.2部、レベリング剤を0.3部と、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及びイオン交換水とを添加して不揮発分が50%、有機溶剤が全揮発成分中の25%になるように調整して水性塗料組成物を得た。
(*5):ベンゾグアナミンとホルムアルデヒド重縮合型アミノ樹脂溶液は、日本サイテック社製「サイメル1123」(不揮発分98%)を使用。
(*6):四フッ化エチレンワックスは、エレメンティスジャパン社製「スリップエイド SL903(不揮発分100%)」を使用。融点321℃、平均粒子径3μm。
[実施例2]〜[実施例6]、[比較例1]〜[比較例7]
実施例1と同様にして、表1に示した配合表に従って配合し、水性塗料組成物を得た。なお、実施例6で示している石油系ワックスは、エレメンティスジャパン社製「スリップエイド SL3505(融点120℃、平均粒子径5μm、不揮発分100%)」を使用した。得られた各水性塗料について、以下に述べる方法により試験を行った。試験結果を表2に示す。
Figure 2009191180
<塗料安定性>
得られた各水性塗料組成物を40℃の恒温器に保存し、3ヶ月経過後に外観性状と凝集物の有無を確認した。
○・・・・「異常なし。」
△・・・・「ワックス沈降多い。」
×・・・・「凝集物が発生した。」
<塗膜性能評価>
各水性塗料組成物を、厚さ0.26mmの表面処理アルミ板にロールコート塗装により、乾燥膜厚が5μmになるように塗装し、ガスオーブンにより雰囲気温度200℃にて4分間焼付け、試験パネルを作成した。各試験パネルについて、塗膜の諸物性を評価した。結果を表2に示す。表2における各種の試験方法は下記の通りである。
(1)滑り性試験(低速):鋼球3点により支持された重さ1kgの重りを、塗膜上を150cm/分の速度で引っ張り、塗膜表面の動摩擦係数を算出した。
(2)滑り性試験(高速):鋼球3点により支持された重さ1kgの重りを、塗膜上を300cm/分の速度で引っ張り、塗膜表面の動摩擦係数を算出した。
(3)耐傷付き性試験(引っ掻き試験):引っ掻き試験機にて、引っ掻き用サファイア針(100μm)を用いて速度300mm/分にて所定の荷重を掛けて塗膜表面を引っ掻き、塗膜に傷が発生した時の荷重(g)により評価した。
(4)耐傷付き性試験(振動塗膜磨耗試験):市販飲料缶(350ml缶)の胴部に、試験パネルを縦10cm×横20cmの寸法で貼り付け両端をテープで止め固定させた。円筒状の内径65mmのダンボール製筒の中に上記試験パネル固定缶を挿入し、スキャンデックス(振動数10Hz、振幅5cm条件)を用いて、上記の試験パネル固定缶が挿入されたダンボール製筒を、筒の方向に振動させた。振動後の試験パネルの塗膜傷付き程度を目視にて評価した。なお、振動時間が5分間の試験を「短時間振動」、振動時間が40分の試験を「長時間振動」とした。
○ ・・・「塗膜に全く傷が発生しない。」
○〜△・・・「塗膜に軽微な傷が発生する。」
△ ・・・「塗膜にやや大きな傷が発生する。」
△〜×・・・「塗膜に大きな傷が発生する。」
× ・・・「塗膜に極めて大きな傷が発生し、塗膜が剥離する。」
(5)耐磨耗性試験:学振型堅牢度試験機を使用し、荷重300gの条件にて、対面が本評価用同塗膜となるようにして、100往復擦り、耐磨耗性を評価した。
○ ・・・「全く塗膜が磨耗していない。」
○〜△・・・「わずかに塗膜が磨耗する。」
△ ・・・「少し塗膜が磨耗する。」
△〜×・・・「かなり塗膜が磨耗する。」
× ・・・「完全に塗膜が磨耗する。」
(6)塗膜白濁状態:試験パネル(ii)の塗膜表面の曇りを目視で観察した。試験パネル(ii)としては、オーバーラップ部を想定し、塗膜の曇り度合いを判定しやすくするため、厚さ0.2mmのブリキ板に、乾燥・硬化後の膜厚が8μmとなる塗膜量条件で塗装し焼付けした塗装板を作成して目視評価を行なった。
○ ・・・「全く塗膜が白濁していない。」
○〜△・・・「わずかに塗膜が白濁する。」
△ ・・・「少し塗膜が白濁する。」
△〜×・・・「かなり塗膜が白濁する。」
× ・・・「完全に塗膜が白濁し白さが完全に目立つ。」
(7)ワックス転移性:試験パネル(幅20cm×長さ30cm)の塗膜表面に、有色ポリエチレン製シート(2×2cm)を接触させ、荷重100gを掛けつつ、20回往復させた。塗膜上の試験箇所を5箇所変更することにより合計100往復させて、シートに付着した転移物質の量を目視及び秤量により評価した。
○・・・「転移物無し(重量0.1mg未満)。」
△・・・「転移物有り(重量0.1mg以上1mg未満)。」
×・・・「転移物多い(重量1mg以上)。」
(8)耐水性試験:試験パネルを、加圧下にて125℃の熱水中に30分間浸漬し、塗膜の異常の有無を目視判定した。
○:「異常なし。」
△:「軽微な異常あるが実用域内。」
×:「異常有り(塗膜白濁及びブリスター発生)。」
(9)水抽出試験:試験パネル(幅20cm×長さ30cm)を17枚用意し、それぞれを幅5cm×長さ15cmの短冊状にカットする。すべてのカットされた試料を4つ折りに曲げて、3Lフラスコに入れ、水2Lを入れて、125℃−30分レトルト処理を行う。処理後の抽出液をエバポレーターで50℃にて減圧濃縮し、濃縮液を蒸発乾固させて乾固物を秤量した。
○・・・「乾固物200mg未満。」
△・・・「乾固物200mg以上500mg未満。」
×・・・「乾固物500mg以上。」
Figure 2009191180
表2に示すように、動物系ワックス(a)含有水溶性アクリル樹脂(A)と、動物系ワックス(a)含有水性ワックス分散体(B)とを必須成分として用いた実施例1〜6の缶外面用水性塗料組成物は、低速条件と高速条件での滑り性試験とワックス転移性試験が良好であり、耐傷付性試験及び塗膜白濁状態と水抽出試験も良好であったのに対し、比較例1〜7の缶外面用水性塗料組成物は、高速条件での滑り性試験、ワックス転移性試験、水抽出試験のいずれかが不良であり、全てが良好となるものは得られなかった。

Claims (7)

  1. 融点が40〜70℃である動物系ワックス(a)含有水溶性アクリル樹脂(A)、動物系ワックス(a)含有水性ワックス分散体(B)、水溶性ポリエステル樹脂(C)、及び、アミノ樹脂(D)を含む、缶外面用水性塗料組成物であって、
    水溶性アクリル樹脂(A)が、エチレン性不飽和モノマーの合計100重量部に対して1〜5重量部の動物系ワックス(a)存在下で、N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド35〜50重量%とカルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーとを含むエチレン性不飽和モノマーを共重合し、更に塩基性化合物で中和してなる樹脂であり、
    水性ワックス分散体(B)が、動物系ワックス(a)を、融点が90〜120℃である酸成分含有合成ワックス(b)によって、(a)と(b)との重量比が(a)/(b)=70/30〜95/5の割合で親水性有機溶剤中に分散してなる分散体であり、
    更に動物系ワックス(a)の含有量が、水性塗料組成物固形分中0.6〜2.0重量%であることを特徴とする缶外面用水性塗料組成物。
  2. 更に、融点が70〜90℃である酸成分含有動植物系ワックス(c)、及び融点が300〜350℃である四フッ化エチレン系ワックス(d)を含む請求項1記載の缶外面用水性塗料組成物。
  3. 更に、融点が110〜130℃である石油系ワックス(e)を含む請求項2記載の缶外面用水性塗料組成物。
  4. ワックス成分の合計量が、水性塗料組成物固形分中1.5〜2.6重量%である缶外面用水性塗料組成物であって、
    ワックス成分の合計100重量%中、
    融点が40〜70℃である動物系ワックス(a)60〜70重量%、
    融点が90〜120℃である酸成分含有合成ワックス(b)1〜7重量%、
    融点が70〜90℃である酸成分含有動植物系ワックス(c)0.1〜5重量%、
    融点が300〜350℃である四フッ化エチレン系ワックス(d)20〜37重量%、
    の構成比であることを特徴とする請求項2記載の缶外面用水性塗料組成物。
  5. ワックス成分の合計量が、水性塗料組成物固形分中1.5〜2.6重量%である缶外面用水性塗料組成物であって、
    ワックス成分の合計100重量%中、
    融点が40〜70℃である動物系ワックス(a)50〜60重量%、
    融点が90〜120℃である酸成分含有合成ワックス(b)1〜7重量%、
    融点が70〜90℃である酸成分含有動植物系ワックス(c)0.1〜5重量%、
    融点が300〜350℃である四フッ化エチレン系ワックス(d)20〜30重量%、
    融点が110〜130℃である石油系ワックス(e)10〜20重量%、
    の構成比であることを特徴とする請求項3記載の缶外面用水性塗料組成物。
  6. 請求項1〜5いずれか記載の缶外面用水性塗料組成物を、金属板、及びプラスチックフィルム被覆金属板から選ばれる板を成形してなる缶に被覆してなる被覆缶。
  7. 請求項1〜5いずれか記載の缶外面用水性塗料組成物によって被覆された金属板、及びプラスチックフィルム被覆金属板から選ばれる板を成形してなる被覆缶。
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