JP2009185229A - アクリル系粘着シート - Google Patents

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Abstract

【課題】新しい塗膜、耐酸性雨用の自動車用アクリル系塗膜に対して接着信頼性に優れる粘着シート、より具体的には、接着性、耐水性、一定応力による剥離に対する耐久性、高温接着特性及び低温接着特性に優れる塗膜用粘着剤組成物からなるアクリル系粘着シート、及びこのようなアクリル系粘着シートと耐酸性雨用の自動車用アクリル系塗膜とからなる積層体を提供する
【解決手段】中空微小球状体を含む粘弾性体層の少なくとも片面に、アルキル(メタ)アクリレートモノマー、N−ビニル環状アミド、酸性基含有モノマー及び共重合モノマーからなるモノマー組成物またはその部分重合物100重量部、光重合開始剤0.001〜0.5重量部、及び連鎖移動剤0.005〜0.5重量部からなるアクリル系重合性組成物に、紫外線照射して得られる粘着剤層が設けられていることを特徴とするアクリル系粘着シートを提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐酸性雨用の自動車用アクリル系塗膜などの新しい塗膜に対して、良好な接着性を示す塗膜用粘着シートに関する。又、本発明は、該粘着シートと耐酸性雨自動車塗膜とからなる積層体に関する。
従来、自動車の外装、ボディーの保護や装飾のために、モール、プレートなどを貼着するために、発泡体を基材とした粘着テープ又はシート(以下、「テープ又はシート」を、単に「シート」と総称する)が用いられている。このような自動車用塗膜に接着させる粘着シートとしては、例えば、粘着剤層中にガラスのミクロバブル(中空微粒子)を用いた粘着シートなどが知られている(特許文献1参照)。しかしながら、上記発泡体用粘着テープは、剪断強度は高いものの、接着性が十分でないという問題を有していた。
上記のような接着性の問題を解決する手段としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル成分単位を主構成単位とする重量平均分子量が50000以上である粘着性ポリマー、同じく重量平均分子量が20000以下である粘着付与樹脂及び(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマーからなる実質的に溶剤を含有していない粘着剤組成物(特許文献2参照)や、光活性官能基を有するアクリル系高分子量体を主成分とする光硬化型の粘着剤を用い、さらに基材層に無機中空粒子を添加した感圧性両面接着テープ(特許文献3参照)などが知られている。
しかしながら、近年、上記粘着テープまたはシートの被着体である自動車塗膜材料が変更されてきており、これに伴って新たな問題が生じてきている。従来、自動車塗料としては、靱性や外観が優れるという観点から主にアクリル−メラミン架橋物が用いられていたが、該塗料はメラミン樹脂のトリアジン環が加水分解してシミが発生するため、酸性雨に弱いという欠点を有する。よって、酸性雨対策の観点から、メラミン樹脂を未使用または使用量を低減させたアクリル系の塗料が用いられてきている(特許文献4参照)。
又、環境問題への配慮から、下塗り塗料が溶剤系から水系塗料に変更され、塗布時のはじき防止などの観点から塗料中に添加される表面調整剤として、シリコーン系の表面調整剤が多量に用いられるようになってきている(特許文献5、6参照)。しかしながら、上記、耐酸性雨塗料からなる表面は、従来のアクリル−メラミン架橋物からなる塗料に比べ、接着性が低下する傾向にあった。又、シリコーン系表面調整剤も、シリコーンのような低表面張力物質が塗膜表面に存在することにより、粘着シートとの濡れ性が低下するため接着力低下を招いており、この傾向は特に表面調整剤を多量に添加した場合には顕著であった。
さらに、ずれや高温下での接着特性が優れるという観点から、アクリル酸を併用したN−ビニル環状アミドモノマー系粘着剤が用いられている(特許文献7参照)。しかしながら、多量のアクリル酸を共重合させた粘着剤は、タックが損なわれやすく、特に低温環境下での接着性が低下する傾向にあった。
即ち、近年の新たな耐酸性雨性の自動車塗膜に対しては、未だ十分な接着力を発揮できる粘着シートが得られていないのが現状である。
特公昭57−17030号公報 特開2001−49200号公報 特開2000−248241号公報 特開平6−108001号公報 特開2002−241698号公報 特開2003−226834号公報 特開平6−166858号公報
従って、本発明の目的は、新しい塗膜、耐酸性雨用の自動車用アクリル系塗膜(耐酸性雨用塗膜と称される場合がある)に対しても接着信頼性に優れる粘着シート、より具体的には、接着性、耐水性、一定応力による剥離に対する耐久性、高温接着特性及び低温接着特性に優れる塗膜用粘着剤組成物からなるアクリル系粘着シート、及びこのようなアクリル系粘着シートと耐酸性雨自動車塗膜とからなる積層体を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意検討した結果、特定の単量体組成からなるアクリル系重合体を用いることにより、耐酸性雨用塗膜に対して、接着性、耐水性、一定応力による剥離に対する耐久性、高温接着特性及び低温接着特性に優れる塗膜用粘着剤組成物からなる粘着シートが得られることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
即ち、本発明は、中空微小球状体を含む粘弾性体層(X)の少なくとも片面に、下記の(a1)、(a2)、(a3)及び(a4)成分からなるモノマー組成物又はその部分重合物(a)100重量部、光重合開始剤(b)0.001〜0.5重量部、及び連鎖移動剤(c)0.005〜0.5重量部からなるアクリル系重合性組成物に、紫外線照射して得られる粘着剤層(Y)が設けられていることを特徴とするアクリル系粘着シートを提供する。
(a1):下記式(I)で表されるアルキル(メタ)アクリレートモノマー40〜74重量%
CH2=C(R1)COOR2 (I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数1〜20のアルキル基を示す)
(a2):下記式(II)で表されるN−ビニル環状アミド25〜33重量%
Figure 2009185229
(式中,R3は2価の有機基を示す)
(a3):酸性基を含むモノマー1〜2.5重量%
(a4):上記(a1)、(a2)及び(a3)と共重合可能な他のモノマー0〜25重量%
さらに、本発明は、当該粘着シートと被着体とを貼り合わせて40℃の温水に48時間浸漬し、その後常温で30分放置させてから、50mm/分の引張り速度で剥離試験を行った時、中空微小球状体を含む粘弾性体層(X)の部分で凝集破壊が起こることを特徴とするアクリル系粘着シートを提供する。
さらに又、本発明は、粘着シートの粘着剤層(Y)面が耐酸性雨自動車塗膜面に貼り合わされることによりなる、アクリル系粘着シートと、耐酸性雨自動車塗膜との積層体を提供する。
本発明の粘着シートによれば、前記構成を有しているので、新しい塗膜、特に耐酸性雨用塗膜に対しても、優れた接着性、耐水性、一定応力による剥離に対する耐久性、高温接着特性及び低温接着特性を示す。
本発明においては、特に記載がない限り、「主成分」とは、当該全成分の総重量に対して60重量%以上(60〜100重量%)であることをいい、好ましくは65重量%以上であることをいう。
[粘弾性体層(X)]
本発明において、中空微小球状体を含む粘弾性体層(X)は、粘弾性体を構成するベースポリマーと、中空微小球状体とを含む粘弾性体組成物からなる。
[ベースポリマー]
ベースポリマーとしては、特に制限されず、公知のベースポリマーから適宜選択して用いることができる。このようなベースポリマーとしては、例えば、アクリル系ポリマー、ゴム系ポリマー、ビニルアルキルエーテル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、ウレタン系ポリマー、フッ素系ポリマー、エポキシ系ポリマーなどを用いることが出来る。特に、本発明においては、これらのベースポリマーのうち、粘着剤層(Y)との接着性の良さから、アクリル系ポリマーが好適に用いられる。
前記アクリル系ポリマーは、アルキル(メタ)アクリレートをモノマー主成分とするポリマーである。アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレートなどの、炭素数1〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。上記の中でも、炭素数2〜14のアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、さらに好ましくは炭素数2〜10のアルキルメタアクリレートである。これらのアルキル(メタ)アクリレートは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
又、アルキル(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリレートとしては、例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等の脂環式担架水素基を有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
なお、アルキル(メタ)アクリレートは、アクリル系ポリマーのモノマー主成分として用いられているので、アクリル系ポリマーを調製するためのアルキル(メタ)アクリレートの割合は、例えば、アクリル系ポリマーを調製するためのモノマー成分全量に対して60重量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは80重量%以上である。
なお、アクリル系粘弾性体層のベースポリマーとしてのアクリル系ポリマーは、必要に応じて、極性基含有モノマーや多官能性モノマーなどの共重合性モノマーを含んでいてもよい。モノマー成分として、共重合性モノマーを用いることにより、例えば、弾性や柔軟性など基材としての特性を改良することができる。共重合性モノマーは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
前記極性基含有モノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー又はその無水物(無水マレイン酸など);(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホプロピルアクリレート等の燐酸基含有モノマーなどが挙げられる。又、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレートなどのグリシジル基含有モノマー;アクリロニトリルやメタアクリロニトリルなどのシアノアクリレート系モノマー;N−ビニル−2ピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリンの他、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール等の複素環含有ビニル系モノマーなどが挙げられる。
極性基含有モノマーとしては、アクリル酸やメタクリル酸等のカルボキシル基含有モノマー又はその無水物を好適に用いることができる。
極性基含有モノマーの使用量としては、アクリル系ポリマーを調製するためのモノマー成分全量に対して30重量%以下(例えば1〜30重量%)が好ましい。さらに好ましくは3〜20重量%である。極性基含有モノマーの使用量が30重量%を超えると、粘弾性体層(X)の柔軟性が損なわれ、粘着シートとして凹凸のある被着体などに対して、接着性が低下するおそれがある。又、極性基含有モノマーの使用量が1重量%未満であると、粘弾性体層(X)の凝集力が低下し、粘着シートとしての保持性能が低下したり、シートを切断若しくは打ち抜くなどする際の加工性が低下するおそれがある。
多官能性モノマーとしては、例えば、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ジブチル(メタ)アクリレート、ヘキシジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
多官能性モノマーの使用量としては、アクリル系ポリマーを調製するためのモノマー成分全量に対して2重量%以下(例えば0.01〜2重量%)であることが好ましい。さらに好ましくは0.02〜1重量%である。多官能性モノマーの使用量が2重量%を超えると、粘弾性体層(X)の柔軟性が損なわれ、粘着シートとしての凹凸のある被着体などに対する接着性が低下するおそれがある。又、多官能性モノマーの使用量が0.01重量%未満であると、粘弾性体層(X)の凝集力が乏しくなり、粘着シートとしての保持性能が低下したり、シートを切断あるいは打ち抜くなどする際の加工性が低下するおそれがある。
又、極性基含有モノマーや多官能性モノマー以外の共重合性モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、スチレンビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物、エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレンなどのオレフィン又はジエン類;ビニルアルキエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェートなどの、リン酸基含有モノマー;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有モノマー;フッ素原子含有(メタ)アクリレート、ケイ素原子含有(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
[重合開始剤]
本発明において、前記粘弾性体層(X)のベースポリマー(特にアクリル系ポリマー)は、前記モノマー成分を共重合することによって得られる。重合方法としては、従来公知の溶液重合、乳化重合、塊状重合などの重合方法を用いることができる。本発明においては、特に光重合開始剤(光開始剤)を用いた、活性エネルギー光線による硬化反応を利用することが好ましい。このように、光重合開始剤が含まれていると活性エネルギー光線による硬化が可能となり、粘着剤層(Y)と同時に粘弾性体層(X)を製造することが可能となる。なお、これらの重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
[光重合開始剤]
光重合開始剤としては、例えば、ケタール系光重合開始剤、α−ヒドロキシケトン系光重合開始剤、α−アミノケトン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤などが挙げられる。上記の光重合開始剤は、特に制限無く使用できる。
ケタール系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名「イルガキュア651」チバスペシャリティ・ケミカル社製)などが挙げられる。α−ヒドロキシケトン系光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(商品名「イルガキュア184」チバスペシャリティ・ケミカル社製)、2−ヒドロキシ2−メチル1−フェニル−プロパン−1−オン(商品名「ダロキュア1173」チバスペシャリティ・ケミカル社製)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−メチル−1−プロパン−1−オン(商品名「イルガキュア2959」チバスペシャリティ・ケミカル社製)などが挙げられる。α−アミノケトン系光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン(商品名「イルガキュア907」チバスペシャリティ・ケミカル社製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(商品名「イルガキュア369」チバスペシャリティ・ケミカル社製)などが挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(商品名「ルシリンTPO」BASF社製)などが挙げられる。ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、アニソールメチルエーテルなどが挙げられる。アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−(t−ブチル)ジクロロアセトフェノンなどが挙げられる。芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、例えば、2−ナフタレンスルホニルクロライドなどが挙げられる。
光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシムなどが挙げられる。ベンゾイン系光重合開始剤としては、例えばベンゾインなどが挙げられる。ベンジル系光重合開始剤としては、例えば、ベンジルなどが挙げられる。ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが挙げられる。チオキサントン系光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンなどが挙げられる。
これらの光重合開始剤の使用量は、前記モノマー成分100重量部に対して、0.001〜0.5重量部の割合である。さらに好ましくは、0.01〜0.1重量部の割合である。
光重合開始剤の活性化に関しては、活性エネルギー光線を粘弾性体組成物に照射することが重要である。このような活性エネルギー光線としては、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線、紫外線などが挙げられる。特に、紫外線が好適に用いられる。又、活性エネルギー光線の照射エネルギーやその照射時間などは、モノマー成分の反応を阻害しない範囲で特に制限されない。
又、本発明における粘弾性体層(X)を構成する粘弾性体組成物には、熱重合性開始剤が含まれていてもよい。熱重合性開始剤としては、例えば、アゾ系重合開始剤[例えば、2,2'−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4'−アゾビス−4−シアノバレアリン酸、アゾビスイソバレロニトリル、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(N,N'−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライドなど]、レドックス系重合開始剤などが挙げられる。熱重合開始剤の使用量としては、特に制限されず、重合開始剤として利用可能な範囲であればよい。
[中空微小球状体]
本発明の粘弾性体層(X)は、中空微小球状体を含む。中空微小球状体を用いることにより、粘弾性体層(X)における剪断接着力を高めることができ、又、加工性を向上させることができる。中空微小球状体は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明に用いる中空微小球状体としては、中空の無機系微小球状体であってもよく、中空の有機系微小球状体であってもよい。具体的には、中空微小球状体において中空の無機系微小球状体としては、例えば、中空ガラスバルーン等のガラス製の中空バルーン;中空アルミナバルーン等の金属化合物製の中空バルーン;中空セラミックバルーン等の磁器製中空バルーンなどが挙げられる。又、中空の有機系微小球状体としては、例えば中空アクリルバルーン、中空の塩化ビニリデンバルーン等の樹脂製の中空バルーンなどが挙げられる。
中空微小球状体の粒径(平均粒子径)としては特に制限されないが、例えば1〜500μm(好ましくは5〜200μm、さらに好ましくは10〜100μm)の範囲から選択することができる。
中空微小球状体の密度としては、特に限定されないが、例えば、0.1〜0.8g/cm3(好ましくは0.12〜0.5g/cm3)の範囲から選択することができる。中空微小球状体の密度が0.1g/cm3未満であると、中空微小球状体をアクリル系モノマー組成物又はその部分重合組成物に配合して混合する際に、浮き上がりが大きくなり、均一に分散させること難しくなる。一方、0.8g/cm3を超えると、高価になり、コストが高くなる。
中空微小球状体の使用量としては、特に限定されず、例えば、粘弾性体により形成された粘弾性体層(X)の全体積に対して5〜50容積%(体積%)、好ましくは10〜50容積%、さらに好ましくは15〜40容積%となるような範囲から選択することができる。中空微小球状体の使用量が粘弾性体により形成された粘弾性体層(X)の全体積に対して5容積%未満となるような使用量であると、中空微小球状体を添加した効果が低く、一方、50容積%を超えるような使用量であると、例えば、粘弾性体層(X)が気泡含有感圧性接着剤層である場合、接着力が低下する。
本発明の粘弾性体層(X)は、クッション性や密着性の向上の観点から、上記の中空微小球状体の他に、気泡を含有していてもよい。粘弾性体層(X)に含有可能な気泡としては、独立気泡タイプの気泡であることが望ましいが、独立気泡タイプの気泡と連続気泡タイプの気泡(半連続半独立気泡)が混在していてもよい。
本発明の粘弾性体層(X)に気泡が形成される方法としては、特に制限されず、例えば、予め、気泡を形成するガス成分(気泡形成ガスと称する場合がある)が混合されたアクリル系重合性組成物を用いて粘弾性体層(X)を形成する方法などが挙げられる。
気泡形成ガスとしては、気泡形成ガスを混合した後に重合反応等の反応を行う場合はその反応を阻害しないものであれば、特に限定されず、窒素、二酸化炭素、アルゴンなどの不活性ガスの他、空気などの各種気体成分を用いることができる。上記の中でも、反応を阻害しないことや、コスト的な観点などから窒素が好適である。
粘弾性体層(X)に混合可能な気泡量としては、接着特性等を損なわない範囲で適宜選択できるが、粘弾性体全体積に対して通常5〜50容積%(好ましくは10〜40体積%、さらに好ましくは12〜30体積%)である。気泡量が5%未満であると、応力緩和性が得られにくく、耐反発性に劣ることが多い。又、50体積%を超えるとシートを貫通する気泡が形成される可能性があり、接着性に劣ったり、粘弾性体が柔らかくなり過ぎ、剪断力が劣ることが多い。
上記気泡としては、球状の形状を有していてもよいし、いびつな形状の球状を有していてもよい。気泡の平均気泡径(直径)としては、特に限定されず、例えば1〜1000μm(好ましくは10〜500μm、さらに好ましくは30〜300μm)の範囲から選択することができる。
[フッ素系界面活性剤]
前記粘弾性体層(X)には、ベースポリマーと中空微小球状体に加え、フッ素系界面活性剤が含まれていてもよい。フッ素系界面活性剤を含有することにより、中空微小球状体と粘弾性体層(X)中のベースポリマーとの密着度や摩擦抵抗が低減され、応力が分散される。そのため、本発明の粘弾性体を用いて感圧性接着剤層を形成した場合は、高い接着性が得られる。又、気泡混合性及び気泡安定性を高める効果も得られる。
フッ素系界面活性剤としては、分子中にオキシC2-3アルキレン基及びフッ素化炭化水素基を有するフッ素系界面活性剤が用いられる。オキシC2-3アルキレン基は式;−R−O−(Rは炭素数2または3の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基を示す)で表される。フッ素系界面活性剤としては、分子中にオキシC2-3アルキレン基及びフッ素化炭化水素基を有していれば特に限定されないが、ベースポリマーに対する分散性の観点から非イオン型界面活性剤が好ましい。又、分子中にオキシエチレン基(−CH2CH2O−)、オキシプロピレン基[−CH2CH(CH3)O−]等の何れか1種を有していてもく、2種以上を有していてもよい。
上記オキシC2-3アルキレン基としては、例えば、末端の酸素原子に水素原子が結合したアルコール、他の炭化水素基と結合したエーテル、カルボニル基を介して他の炭化水素基と結合したエステルなどが挙げられるが、何れの形態を有していてもよい。また、環式エーテル類やラクトン類等、環状構造の一部にオキシC2-3アルキレン基を有する形態でもよい。
フッ素化炭化水素基としては、特に制限されないが、パーフルオロ基が好適に用いられる。該パーフルオロ基は、1価であってもよく、2価以上の多価であってもよい。又、フッ素化炭化水素基は二重結合や三重結合を有していてもよく、直鎖でも枝分かれ構造や環式構造を有していてもよい。フッ素化炭化水素基の炭素数としては特に制限されず、1又は2以上、好ましくは3〜30、さらに好ましくは4〜20の範囲である。
フッ素化界面活性剤の構造としては特に制限されないが、例えば、オキシC2-3アルキレン基を有するモノマー及びフッ素化炭化水素基を有するモノマーを、モノマー成分として含む共重合体を好適に用いることができる。このような共重合体としては、ブロック共重合体、グラフト共重合体など、何れも好適に用いられる。
ブロック共重合体(主鎖にオキシC2-3アルキレン基及びフッ素化炭化水素基を有する共重合体)としては、例えば、ポリオキシエチレンパーフルオロアルキルエーテル、ポリオキシエチレンパーフルオロアルキレート、ポリオキシプロピレンパーフルオロアルキルエーテル、ポリオキシイソプロピレンパーフルオロアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンパーフルオロアルキレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーパーフルオロアルキレート、ポリオキシエチレングリコールパーフルオロアルキレートなどが挙げられる。
グラフト共重合体(側鎖にオキシC2-3アルキレン基及びフッ素化炭化水素基を有する共重合体)としては、モノマー成分として少なくとも、ポリオキシアルキレン基を有するビニル系化合物及びフッ素化炭化水素基を有するビニル系化合物を含む共重合体、特に、アクリル系共重合体が好適に用いられる。
ポリオキシアルキレン基を有するビニル系化合物としては、例えば、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(メタ)アクリレートなどのポリオキシアルキレン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
フッ素化炭化水素基を有するビニル系化合物としては、例えば、パーフルオロブチル(メ)アクリレート、パーフルオロイソブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロペンチル(メタ)アクリレートなどのパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート等、フッ素化炭化水素を含有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
フッ素系界面活性剤は、分子中に上記構造の他に脂環式炭化水素基や芳香族炭化水素基などの構造を有していてもよく、ベースポリマーへの分散性を阻害しない範囲内でカルボキシル基、スルホン酸基、シアノ基、アミド基、アミノ基等様々な官能基を有していてもよい。例えば、フッ素系界面活性剤がビニル系共重合体である場合は、モノマー成分として、ポリオキシアルキレン基を有するビニル系化合物及びフッ素化炭化水素基を有するビニル系化合物と共重合可能なモノマー成分が用いられてもよい。このようなモノマーは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
前記共重合可能なモノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシルなどの(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステル;シクロペンチル(メタ)アクリレートなどの脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;フェニル(メタ)アクリレートなどの芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好適に用いられる。その他、マレイン酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有単量体;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有単量体;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;エチレン、ブタジエンなどのオレフィン又はジエン類;ビニルアルキルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリロイルモルホリンなどのアミノ基含有単量体;(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのグリシジル基含有単量体;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有単量体などが挙げられる。さらに又、ジペンタエリスルトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどの多官能性共重合性単量体(多官能モノマー)が用いられてもよい。
フッ素系界面活性剤の分子量は特に制限されないが、重量平均分子量が20000未満(例えば500〜20000)であるとき、粘弾性組成物中のベースポリマーと中空微小球状体との間で、密着性や摩擦抵抗を低減する効果が高い。さらに、重量平均分子量20000以上(例えば20000〜100000、好ましくは22000〜80000、さらに好ましくは24000〜60000)のフッ素系界面活性剤を併用すると、気泡の混合性や、混合された気泡の安定性が高まる。
オキシC2-3アルキレン基及びフッ素化炭化水素基を有し、且つ重量平均分子量20000未満であるフッ素系界面活性剤としては、例えば、「フタージェント251(株式会社ネオス製)」、「FTX−218(株式会社ネオス製)」、「メガファックF−477(大日本インキ化学工業株式会社製)」、「メガファックF−470(大日本インキ化学工業株式会社製)」、「サーフロンS−381(セイケミカル株式会社製)」、「サーフロンS−393(セイケミカル株式会社製)」、「サーフロンKH−20(セイケミカル株式会社製)」、「サーフロンKH−40(セイケミカル株式会社製)」などが挙げられ、何れも好適に用いることができる。
オキシC2-3アルキレン基及びフッ素化炭化水素基を有し、且つ重量平均分子量20000以上であるフッ素系界面活性剤としては、例えば、「エフトップEF−352(株式会社ジェムコ製)」、「エフトップEF−8041(株式会社ジェムコ製)」、「ユ二ダインTG−656(ダイキン工業株式会社製)」などが挙げられ、何れも好適に用いることができる。
フッ素系界面活性剤の使用量としては、特に制限されないが、例えば、粘弾性体のベースポリマーを形成するための全モノマー成分[特に(メタ)アクリル酸アルキルエステルをモノマー主成分とするアクリル系ポリマーを形成するための全モノマー成分]100重量部に対して、0.01〜5重量部(好ましくは0.02〜3重量部、さらに好ましくは0.03〜1重量部)の範囲で選択することができる。フッ素系界面活性剤の使用量が0.01重量部未満であると接着性能に対する効果が得られず、5重量部を超えると、接着性能が低下する。
弾性体層(X)を形成する樹脂組成物には、前記成分(フッ素系界面活性剤、ベースポリマー、中空微小球状体、重合開始剤など)の他に、粘弾性体層(X)の用途に応じて、適宜な添加剤が含まれていてもよい。例えば、粘弾性体層(X)が、気泡含有感圧性接着剤層である場合、気泡含有感圧性接着剤層を形成するための感圧性接着剤の種類に応じて、架橋剤(例えば、ポリイソシアネート系架橋剤、シリコーン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン系架橋剤など)、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂などからなる常温で固体、半固体、あるいは液状のもの)、可塑剤、充填剤、老化防止剤、着色剤(顔料や染料など)などの適宜な添加剤を含んでもよい。例えば、光重合開始剤を用いて弾性体層(X)を形成する場合、着色のためには、光重合を阻害しない程度の顔料(着色顔料)を使用することができる。弾性体層(X)を黒色とする場合、例えば、カーボンブラックを用いることができる。着色顔料としてのカーボンブラックの使用量としては、着色度合いや光重合反応を阻害しない観点から、例えば、気泡含有粘弾性組成物中のベースポリマーを形成するための全モノマー[特に(メタ)アクリル酸エステルをモノマーとするアクリル系ポリマーを形成するための全モノマー成分]100重量部に対して、0.15重量部以下(例えば0.001〜0.15重量部)が好ましく、より好ましくは0.02〜0.1重量部である。
本発明では、粘弾性体組成物中に気泡を安定的に混合して存在させるために、気泡は粘弾性体組成物中に最後の成分として配合し混合させることが好ましく、特に、気泡を混合する前の粘弾性体組成物(気泡含有粘弾性体前駆体と称する場合がある)の粘度を高くすることが好ましい。気泡含有粘弾性体前駆体の粘度としては、混合された気泡を安定的に保持することが可能な粘度であれば特に限定されないが、例えば、5〜50Pa・s(BH粘度計、ローター:No.5ローター、回転数:10rpm、測定温度:30℃)が好ましく、より好ましくは10〜40Pa・sである。粘度が5Pa・s未満では、粘度が低すぎて混合した気泡がすぐに合一して系外に抜けてしまう場合があり、50Pa・sを超えると、気泡含有粘弾性層を形成する際に粘度が高すぎて困難となる場合がある。
なお、気泡含有粘弾性体前駆体の粘度は、例えば、アクリルゴム、増粘性添加剤などの各種ポリマー成分を配合する方法、ベースポリマーを形成するためのモノマー成分[例えば、アクリル系ポリマーを形成させるための(メタ)アクリル酸エステルなどのモノマー成分など]を一部重合させる方法などにより、調整することができる。具体的には、例えば、ベースポリマーを形成するためのモノマー成分[例えば、アクリル系ポリマーを形成させるための(メタ)アクリル酸エステルなどのモノマー成分など]と、重合開始剤(例えば、光重合開始剤など)とを混合してモノマー混合物を調製し、該モノマー混合物に対して重合開始剤の種類に応じた重合反応を行って、一部のモノマー成分のみが重合した組成物(シロップ)を調製した後、該シロップにフッ素系界面活性剤と中空微小球状体と、必要に応じて各種添加剤とを配合して、気泡を安定的に含有することが可能な適度な粘度を有する気泡含有粘弾性体前駆体を調製することができる。さらに、この気泡含有粘弾性体前駆体に、気泡を導入して混合させることにより、気泡を安定的に含有している粘弾性体組成物を得ることができる。なお、前記シロップの調製に際しては、モノマー混合中に予め、フッ素系界面活性剤や、中空微小球状体が適宜配合されていてもよい。
本発明において、気泡を混合する方法としては特に限定されず、公知の気泡混合方法を利用することができる。例えば、装置の例としては、中央部に貫通孔を持った円盤上に、細かい歯が多数ついたステータと、歯のついているステータとを対向しており、円盤上にステータと同様の細かい歯がついているロータとを備えた装置などが挙げられる。この装置におけるステータ上の歯とロータ上の歯との間に気泡含有粘弾性体前駆体を導入し、ロータを高速回転させながら、貫通孔を通して気泡を形成させるためのガス成分(気泡形成ガス)を気泡含有粘弾性体前駆体中に導入させることにより、気泡形成ガスが気泡含有粘弾性体前駆体中に細かく分散され混合された粘弾性体組成物を得ることができる。
なお、気泡の合一を抑制又は防止するためには、気泡の混合から、弾性体層(X)の形成までの行程を一連の工程として連続的に行うことが好ましい。即ち、前述のようにして気泡を混合させて粘弾性体組成物を調整した後、続いて、該粘弾性体組成物を用いて、公知の感圧性接着剤層の形成方法を利用して粘弾性体層(X)を形成することが好ましい。
本発明の弾性体層(X)の形成は、特に制限されないが、例えば、剥離フィルムや基材等の適当な支持体上に、弾性体層(X)を形成する樹脂組成物を塗布し、樹脂組成物層を形成させ、該層を、必要に応じて、硬化(例えば、熱による硬化や、活性エネルギー線による硬化)や乾燥させることにより形成される。なお、活性エネルギー線による硬化(光硬化)を行う際には、光重合反応は空気中の酸素に阻害されるため、該層上に剥離フィルム(セパレータ)等を貼り合わせたり、又、窒素雰囲気下で光硬化を行うこと等により、酸素を遮断することが好ましい。弾性体層(X)の形成の際に用いられる剥離フィルム(セパレータ)等は、本発明のアクリル系粘着シートを作製する際、適宜な時期に剥離されてもよいし、作製後のアクリル系粘着シートを利用する際に剥離されてもよい。
本発明の粘弾性体層(X)の厚みとしては、特に制限されず、例えば、200〜5000μm(好ましくは300〜4000μm、さらに好ましくは400〜3000μm)の範囲から選択することができる。粘弾性体層(X)の厚みが200μmよりも小さいと、クッション性が低下して、曲面や凹凸面に対する接着性が低下し、5000μmよりも大きいと、均一な厚みの層又はシートが得られにくくなる。なお、粘弾性体層(X)は、単層、複層何れの形態を有していてもよい。
本発明の弾性体層(X)は、粘弾性体層(X)を構成する粘弾性体層組成物中に含まれるベースポリマーの種類や量、その他添加剤等の種類や量などを調整することにより、粘弾性体層(X)自身が粘着シートとしての必要な接着力を有する粘着シートとすることができる。また、配合を任意に選定することにより、接着力を有さない支持体としてのシートとすることもできる。
[粘着剤層(Y)]
本発明において、粘着剤層(Y)は、特定量の(a1)アルキル(メタ)アクリレートモノマー、(a2)N−ビニル環状アミドモノマー、(a3)酸性基含有モノマー、及び(a4)共重合可能な他のモノマーとからなるモノマー組成物又はその部分重合物(a)に、特定量の光重合開始剤(b)及び連鎖移動剤(c)を加えたアクリル系重合性組成物に、紫外線照射して得られる。
[アルキル(メタ)アクリレートモノマー(a1)]
(a1)成分としてのアルキル(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレートなどの、炭素数1〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。上記の中でも、炭素数2〜14のアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、さらに好ましくは炭素数2〜10のアルキルメタアクリレートである。これらのアルキル(メタ)アクリレートモノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(a1)成分としてのアルキル(メタ)アクリレートモノマーの割合としては、単量体全体量の40〜74重量%の範囲である。さらに好ましくは41〜72重量%である。40重量%未満では、アクリル系粘着剤としての性能が発揮されず、又、74重量%を超えると、そのぶん(a2)成分としての、N−ビニル環状アミドモノマーの絶対量が不足して、耐酸性雨用塗膜に用いる粘着剤としての好適な性能が得られない。
[N−ビニル環状アミドモノマー(a2)]
(a2)成分としての、N−ビニル環状アミドモノマーとしては、例えば、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−3−モルホリノン、N−ビニル−2−カプロラクタム、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−1,3−オキサジン−2−オン、N−ビニル−3,5−モルホリンジオンなどが挙げられる。上記の中でも、N−ビニル−2−ピロリドンが好ましい。これらのN−ビニル環状アミドモノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(a2)成分としてのN−ビニル環状アミドモノマーの割合としては、単量体全体量の25〜33重量%の範囲である。さらに好ましくは26〜32重量%である。33重量%を超えると、低温環境下における感圧性接着剤としての接着特性が損なわれ、又、25重量%未満では、塗膜に対する接着性が乏しくなる。
[酸性基含有モノマー(a3)]
(a3)成分としての、酸性基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシルエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体のほか、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのスルホン酸基含有単量体、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、2−ヒドロキシプロピルアクリロイルホスフェートなどのリン酸基含有単量体などが挙げられる。これらの酸性基含有モノマーは、使用目的に応じて、そのいずれかが選択使用され、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(a3)成分としての、酸性基含有モノマーの割合としては、単量体全体量の1.0〜2.5重量%の範囲である。さらに好ましくは1.3〜2.2重量%の範囲である。1.0重量%未満では、高温での接着性、及び一定応力存在下での剥がれに対する耐久性が不足する。又、2.5重量%を超えると、タックが低減したり、特に低温環境下における感圧性接着剤としての接着性が損なわれる。
[共重合可能モノマー(a4)]
(a4)成分としての、共重合可能な他のモノマーとしては、前記(a1)、(a2)及び(a3)の成分と共重合可能なモノマーであって、通常アクリル系重合体のガラス転移温度(Tg)が250℃以下となる範囲において、又、アクリル系重合体のタックを損なわない範囲において用いられる。
(a4)成分としての、共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレートなどのグリシジル基含有モノマー;アクリロニトリルやメタアクリロニトリルなどのシアノ基含有モノマー;(メタ)アクリロイルモルホリン、N−アクリロイルピロロジンなどの環状の(メタ)アクリルアミドモノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミドモノマー;アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有モノマー;N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド骨格含有モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレンなどのオレフィン系又はジエン類;ビニルアルキルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニル;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどのリン酸基含有モノマー;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有モノマー;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマー;フッ素原子含有(メタ)アクリレート等;ケイ素原子含有(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの共重合可能なモノマーは、使用目的に応じて、その何れかが選択使用され、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(a4)成分としての、共重合可能な他のモノマーの割合としては、単量体全体量の0〜25重量%の範囲である。さらに好ましくは0〜15重量%の範囲である。前記の範囲を超えると、所望の効果が得られない場合がある。
[光重合開始剤(b)]
光重合開始剤(b)としては、例えば、ケタール系光重合開始剤、α−ヒドロキシケトン系光重合開始剤、α−アミノケトン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤などが挙げられ、前記粘弾性体層(X)において例示した光重合開始剤を使用できる。
光重合開始剤(b)の使用量は、前記モノマー組成物、又はその部分重合物(a)100重量部に対して、0.001〜0.5重量部の割合である。さらに好ましくは、0.01〜0.1重量部の割合である。
[連鎖移動剤(c)]
本発明におけるアクリル系重合性組成物には、適度な分子量のポリマーを重合し耐水性を高めるために、連鎖移動剤(c)を用いる。適度な分子量からなるアクリル系粘着剤組成物からなるアクリル系粘着シートを用いると、例えば、その粘弾性体層とアクリル粘着シートを積層させた接着シートにて、自動車外装用物品を耐酸性雨塗膜に接合させ、その後温水中に長時間浸漬させ、その物品を引き剥がす際に、粘弾性体層の部分にて凝集破壊するほどの接着力を維持させることが可能となる。
連鎖移動剤(c)としては、チオール化合物やハロゲン化合物など連鎖移動性の高いものが好適に用いられる。例えば、チオール化合物としては、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグリコール酸ブチル、n−ドデシルメルカプタン、β−メルカプトプロビオン酸、β−メルカプトプロビオン酸オクチル、β−メルカプトプロビオン酸メトキシブチル、トリメチロールプロパントリス−(β−チオプロビオネート)、プロパンチオール類、ブタンチオール類、チオホスファイト類などが挙げられる。ハロゲン化物としては、四塩化炭素などが挙げられる。
上記連鎖移動剤の使用量は、前記モノマー組成物又はその部分重合物(a)100重量部に対して、0.005〜0.5重量部の割合である。さらに好ましくは、0.01〜0.1重量部の割合である。0.005重量部未満であると、好適な耐水性効果が得られない。又、0.5重量部を超えると、分子量が小さすぎるため、クリープ特性、高温接着特性が悪化する。
本発明におけるアクリル系重合性組成物は、粘着剤層(Y)のゲル分率を適度に高めるために、多官能(メタ)アクリレートを配合することもできる。多官能(メタ)アクリレートとしては、具体的には、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,2−エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの多官能(メタ)アクリレートとしては、少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を、特に制限無く使用できる。
多官能(メタ)アクリレートの使用量は、その分子量や官能基数によって異なるが、通常、前記ビニル系モノマー組成物(a)100重量部に対して、0.001〜30重量部の割合である。さらに好ましくは、0.002〜20重量部である。
多官能(メタ)アクリレートの使用量は、アルキル(メタ)アクリレートモノマー、N−ビニル環状アミド、酸性基含有モノマー、及び共重合性モノマーを含有するアクリル系粘着剤組成物から形成されるアクリル系粘着剤層のゲル分率が、10〜99重量%となるように、多官能(メタ)アクリレートを添加するのが好ましい。さらに好ましくは、15〜97重量%である。ゲル分率が10重量%未満であると、粘着剤層の凝集力が不足し、粘着性保持力や剪断方向への接着強さが不足する場合がある。又、ゲル分率が99重量%を超えると粘着剤層のタックが低下し、粘着性能や外観に悪影響を及ぼす場合がある。
なお、本発明においてゲル分率は以下のように求めた。即ち、粘着剤約1gを精秤し、酢酸エチル約40gに浸漬した後、40℃の環境下で4日間放置した。その後、酢酸エチルに対する不溶解分をすべて回収し、130℃で2時間乾燥した後、その重量を求め、得られた数値を以下の式に代入して、ゲル分率(溶剤不溶解分)を算出した。
ゲル分率(溶剤不溶解分)(%)=溶剤不溶解分重量(g)/浸漬前の粘着剤重量(g)×100
本発明のアクリル系粘弾性層は、前記モノマー組成物又はその部分重合物(a)と光重合開始剤(b)及び連鎖移動剤(c)を含有するアクリル系重合性組成物を光重合に付すことにより形成される。アクリル系重合性組成物は、層を形成する際、その取り扱い上、塗工に適した粘度(通常、B型粘度計における粘度測定において、測定温度:25℃の条件で測定された粘度として、0.3〜40Pa・s)に調整するのが好ましい。そのため、上記モノマー組成物は、モノマー成分を予備重合して、部分重合物としておくことができる。
モノマー組成物の部分重合は、モノマー組成物と前記光重合開始剤(b)の全部又は一部との混合物に、通常、酸素との接触を避けて活性エネルギー線を照射することにより行われる。上記活性エネルギーの中でも、特に紫外線が好適に用いられる。
モノマー組成物の部分重合物において、その重合率は、その部分重合が生じている部分のポリマー分子量にもよるが、2〜40重量%程度である。さらに好ましくは5〜20重量%程度である。
なお、本発明において、モノマー組成物の部分重合物の重合率は以下のように求めた。即ち、アクリル系モノマー部分重合物約0.5gを精秤し、これを130℃で2時間乾燥した後の重量を精秤して重量減少量[揮発分(未反応モノマー重量)]を求め、得られた数値を以下の式に代入して算出した。なお、粘着剤(Y)の重合率も同様にして求めることができる。
アクリル系モノマー部分重合物の重合率(%)=[1−(重量減少量)/(乾燥前のアクリル系モノマー部分重合物の重量)]×100
又、アクリル系重合性組成物は、増粘用ポリマーを適宜配合することにより粘度調整することもできる。増粘用ポリマーとしては、アクリル酸アルキルエステルにアクリル酸、アクリルアミド、アクリロニトリル、アクリロイルモルホリン等を共重合したアクリル酸ポリマーや、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、スチレンブタジエンブロック共重合体(SBS)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリルゴム、ポリウレタン、ポリエステル等を用いることができる。
増粘用ポリマーの使用量は、アクリル系重合性組成物に対して、40重量%以下の範囲である。さらに好ましくは、5〜40重量%の範囲である。
アクリル系重合性組成物には、光重合性を阻害しない範囲内で、可塑剤、軟化剤、充填剤、顔料、染料などの従来公知の各種の添加物を適宜配合することができる。
本発明における粘着剤層(Y)は、前記重合性組成物を、紫外線照射することにより得られる。通常は、波長は300〜400nmにおける照度が1〜200mW/cm2である紫外線を、光量400〜4000mJ/cm2程度照射して光重合させることによりアクリル系粘着剤層が得られる。
なお、前記粘着剤層(Y)の重合率は90%以上とすることが望ましく、未反応モノマーは公知の乾燥工程により除去することもできる。
粘着剤層(Y)の厚さは特に制限されないが、良好な接着強度を確保するため通常10μm以上、好ましくは20μm以上、さらに好ましくは30μm以上(通常400μmまで)であるものが好適に用いられる。
[アクリル系粘着シート]
本発明のアクリル系粘着シートは、中空微小球状体を含む粘弾性体層(X)の少なくとも片面に、アルキル(メタ)アクリレートモノマー(a1)、N−ビニル環状アミドモノマー(a2)、酸性基含有モノマー(a3)及び共重合可能なモノマー(a4)からなるモノマー組成物又はその部分重合物(a)、光重合開始剤(b)、及び連鎖移動剤(c)からなるアクリル系重合性組成物に、紫外線照射して得られる粘着剤層(Y)が設けられていることを特徴とする
[弾性体層(X)、粘着剤層(Y)以外の層]
本発明において、粘着剤層(Y)以外の粘着剤層を設けることができる。このような粘着剤層としえは、例えば、公知の粘着剤(例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤、エポキシ系粘着剤など)を用いて、公知の粘着剤層の形成方法を利用して形成することができる。なお、粘着剤層(Y)以外の粘着剤層の厚みは、特に制限されず、目的や使用方法などに応じて適宜選択することができる。
又、弾性体層(X)と粘着剤層(Y)の間には、1層又は2層以上の中間層を設けることができる。このような中間層としては、例えば、剥離性の付与を目的とした剥離剤のコーティング層、密着力の向上を目的とした下塗り剤のコーティング層、良好な変形性の付与を目的とした層、被着体への接着面積の増大を目的とした層、被着体への接着力の向上を目的とした層、被着体への表面形状に良好も追従させることを目的とした層、加熱による接着力低減の処理性の向上を目的とした層、加熱後の剥離性向上を目的とした層などが挙げられる。
本発明のアクリル系粘着シートは、ロール状に巻回された形態で形成されていてもよく、シートが積層された形態で形成されていてもよい。即ち、本発明のアクリル系粘着シートは、シート状、テープ状などの形態を有することができる。なお、ロール状に巻回された状態又は形態のアクリル系粘着シートとしては、粘着面を剥離フィルム(セパレータ)により保護した状態でロール状に巻回された状態又は形態を有していてもよく、粘着面を支持体の他方の面に形成された剥離処理層(背面処理層)により保護した状態でロール状に巻回された状態又は形態を有していてもよい。なお、支持体の面に剥離処理層(背面処理層)を形成させる際に用いられる剥離処理剤(剥離剤)としては、例えば、シリコーン系剥離剤や長鎖アルキル系剥離剤などが挙げられる。
[剥離フィルム(セパレータ)]
剥離フィルム(セパレータ)は、本発明のアクリル系粘着シート作製の際に用いられたり、又、作製後使用されるまでの間における粘着面等の保護材として用いられる。なお、本発明のアクリル系粘着シート作製の際、剥離フィルムは必ずしも用いられなくてもよいが、光重合反応は空気中の酸素等により反応が阻害されるため、剥離フィルムで表面を被覆し酸素との接触を防止するために、用いられいることが好ましい。なお、本発明のアクリル系粘着シートを利用する際には、通常、剥離フィルムは剥離される。
このような剥離フィルムとしては、酸素を遮断し、且つ光透過性を有する限り特に制限されないが、例えば剥離処理剤(離型処理剤)により少なくとも一方の面が剥離処理(離型処理)された基材の他、フッ素系ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等)からなる低接着性基材や、無極性ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂など)からなる低接着性基材などが挙げられる。なお、低接着性基材では、両面を剥離面として利用することができ、一方、剥離処理された基材では、剥離処理された面を剥離面として利用することができる。
剥離フィルムとして用いられる、少なくとも一方の面が剥離処理(離型処理)された基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルム;ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のオレフィン系樹脂フィルム;ポリ塩化ビニルフィルム;ポリイミドフィルム;ナイロンフィルムなどのポリアミドフィルム;レーヨンフィルムなどのプラスチック系基材フィルム(合成樹脂フィルム)が挙げられる。又、紙製基材(上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙など紙類から構成される基材)が用いられてもよい。中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルムが好適に用いられる。
剥離処理剤(離型処理剤)としては、特に制限されず、例えば、シリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤などを用いることができる。剥離処理剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。剥離フィルムは、例えば、公知慣用の方法により作製される。
剥離フィルムの厚さは、酸素を遮断し、且つ光透過性を有する限り、特に制限されない。又、剥離フィルムは、単層、積層の何れの形態を有していてもよい。
[アクリル系粘着シートの製造方法]
本発明のアクリル系粘着シートの製造方法としては、例えば、弾性体層(X)及び粘着剤層(Y)を別々に製造し、それらを貼り合わせる方法;予め製造した弾性体層(X)の片面又は両面にアクリル系重合性組成物を塗布し、アクリル系重合性組成物の層を設けた後、活性エネルギー線を照射することにより重合させて粘着剤層(Y)を形成させる方法;予め製造した粘着剤層(Y)の片面に弾性体層(X)を形成する樹脂組成物を塗布し、樹脂組成物層を設けた後、該層を重合させて弾性体層(X)を形成させる方法などが挙げられる。
さらに、光重合開始剤を含む弾性体層(X)を形成する樹脂組成物の層の片面又は両面に、アクリル系重合性組成物の層を積層させた構成の積層体に、活性エネルギー線を照射することにより、弾性体層(X)及び粘着剤層(Y)を同時に形成させる方法を用いてもよい。当該弾性体層(X)及び粘着剤層(Y)を同時に形成させるアクリル系粘着シートの製造方法は、生産性の点で優れるため好ましい。又、該製造方法により製造されたアクリル系粘着シートにおいて、弾性体層(X)及び粘着剤層(Y)が一体化するため、接着強さを向上するため好ましい。
[積層体]
本発明のアクリル系粘着シートは、特に、メラミン含有量の少ない、あるいはメラミンを含有しない塗膜に対して好適に用いられる。中でも、FT−IRを用いたATR測定法により得られる、[メラミン/エステルピーク比(メラミン/エステル強度比)]が、0.4以下である塗膜が耐酸性雨用塗膜であるものとする。本発明のアクリル系粘着シートと該耐酸性雨用塗膜とは積層し、積層体としてより好適に用いられる。
メラミン/エステルピーク比は、具体的には、パーキンエルマー社製「Spectrum2000FT−IR」FT−IRを用いたATR測定法(ゲルマニウム45度プリズムで積算回数:16回、分解能(Resolution):4.0cm-1、Gain:1)において算出する。得られるスペクトルにおいて、メラミンの強度を、725cm-1〜825cm-1を通る直線をベースラインとし、814cm-1のピークのピークトップまでの高さとする。一方、エステルの強度を、1660cm-1〜1780cm-1を通る直線をベースラインとし、1730cm-1のピークのピークトップまでの高さとする。そして、得られたメラミンピークの値及びエステルピークの値から、下記式を用いて算出する。
(メラミン/エステルのピーク比)=(メラミンのピーク)/(エステルピーク)
耐酸性雨用塗膜としては、例えば、ポリエステル・メラミン系、アルキド・メラミン系、アクリル・メラミン系、アクリル・ウレタン系、アクリル・多酸硬化剤系などの各種塗膜が挙げられる。
さらに、本発明のアクリル系粘着シートは、表面調整剤が偏析(ブリード)している塗膜に対しても好適に用いられる。このような表面調整剤としては、特に制限されず、例えばアクリル系、ビニル系、シリコーン系、フッ素系などが挙げられるが、特に、シリコーン系の表面調整剤が偏析している塗膜に対してより好適に用いられる。
前記シリコーン系の表面調整剤が偏析している塗膜としては、塗膜表面を光電子分光分析[ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)]で分析した際の表面に占めるSi元素比率が、1〜20%である塗膜が挙げられる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
[粘弾性体層(X)の作製]
モノマー成分として、2−エチルヘキシルアクリレート90重量部及びアクリル酸10重量部が混合されたモノマー混合物に、光重合開始剤として、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名「イルガキュア651」チバスペシャリティ・ケミカル社製)0.05重量部、及び1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(商品名「イルガキュア184」チバスペシャリティ・ケミカル社製)0.05重量部を混合し、粘度(BH粘度系No.5ローター、10rpm、測定温度30℃にて測定)が約15Pa・sになるまで紫外線を照射し、一部が重合した組成物(シロップA)を作製した。
前記モノマーシロップA100重量部に、内部架橋剤として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート0.1重量部を添加し、さらに、中空ガラスバルーン(商品名「セルスターZ−27」東海工業株式会社製)をシロップの全容積に対して30容積%の割合で添加した。さらに、フッ素系界面活性剤(セイケミカル株式会社製;側鎖にポリオキシエチレン基及びフッ素化炭化水素基を有するアクリル系共重合体、重量平均分子量:8300)1.0重量部添加して後、これらを均一に混合し、感圧性接着剤前駆体を作製した。なお、感圧性接着剤前駆体における中空ガラスバルーンの体積は、該感圧性接着剤前駆体の全体積に対して約23容積%とした。
前記感圧性接着剤前駆体に窒素を導入し、気泡を混合した。窒素の導入には、中央部に貫通孔を持った円盤上に、細かい歯が多数ついたステータと歯のついているステータとを対向しており、円盤上にステータと同様の細かい歯がついているロータとを備えた装置を用いた。気泡の混合量は吐出した液全体積に対して、約15容積%となるように導入し、気泡混合感圧性接着剤組成物を得た。
前記気泡混合感圧性接着剤組成物を、片面に剥離処理が施されているポリエチレンテレフタレート(三菱化学ポリエステルフィルム社製「MRF38」)製基材の剥離処理面の間に、乾燥及び硬化後の厚さが一方は0.8mm、もう一方が1.2mmとなるように塗布後乾燥させた。次いで、照度約5mW/cm2の紫外線(東芝社製「ブラックライトランプ」)を両面から3分間照射し[(株)トプコン製UVチェッカー「UVR−T1」(最大感度:約350nm)で測定)]、気泡混合感圧性接着剤を硬化させて、気泡混合感圧性接着剤からなる粘弾性体層(X1)(厚み:0.8mm)及び粘弾性体層(X2)(厚み:1.2mm)を作製した。
[粘着剤層(Y)の調製]
モノマー成分として、アクリル酸2−エチルヘキシル68.5重量部、N−ビニル−2−ピロリドン30重量部、アクリル酸1.5重量部からなるモノマー混合物100重量部に、光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名「イルガキュア651」チバスペシャリティ・ケミカル社製)0.05重量部、及び1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(商品名「イルガキュア184」チバスペシャリティ・ケミカル社製)0.05重量部を配合し、十分に窒素ガスで置換して紫外線照射を行い、重合率約11重量%の部分重合物(モノマーシロップ)を得た。
前記モノマーシロップ100重量部に、内部架橋剤として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート0.012重量部、連鎖移動剤として2−メルカプトエタノール0.025重量部を含有した後、これらを均一に混合した。塗布面がシリコーンで離型処理された厚み38μmポリエステルフィルムに、最終的な厚みが50μmになるように塗布し塗布層を形成した。この塗布層に塗布面がシリコーンで剥離処理された厚み38μmポリエステルフィルムを貼り合わせ、照度4mW/cm2((株)トプコン製UVチェッカー「UVR−T1」(最大感度:約350nm)で測定)、光量約720mJ/cm2となる条件にて紫外線照射を行い、ゲル分率37.2重量%の粘着剤層(Y)を得た。
前記粘弾性体層(X1あるいはX2)の一方の剥離処理したポリエチレンテレフタレート製基材を剥がし、粘弾性体面に、前記粘着剤層(Y)を一方のポリエステルフィルムを剥がして貼り合わせ、アクリル系粘着シートを作製した。
(実施例2)
アクリル酸2−エチルヘキシル70重量部、N−ビニル−2−ピロリドン28重量部、アクリル酸2重量部からなるモノマー混合物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、重合率約11重量%の部分重合物(モノマーシロップ)を得た。このモノマーシロップに対し、内部架橋剤として、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート0.02重量部、連鎖移動剤として2−メルカプトエタノール0.05重量部を添加し、実施例1と同様にして、ゲル分率24重量%の粘着剤層(Y)を得た。この粘着剤層(Y)を用いて、実施例1と同様にして、アクリル系粘着シートを作製した。
(比較例1)
アクリル酸2−エチルヘキシル90重量部、アクリル酸10重量部よりなるモノマー混合物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、重合率約8重量%の部分重合物(モノマーシロップ)を得た。このモノマーシロップに対し、内部架橋剤として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート0.02重量部を添加し、実施例1と同様にして、ゲル分率36.8重量%の粘着剤層(Y)を得た。この粘着剤層(Y)を用いて、実施例1と同様にして、アクリル系粘着シートを作製した。
(比較例2)
アクリル酸2−エチルヘキシル70重量部、N−ビニル−2−ピロリドン30重量部よりなるモノマー混合物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、重合率約11重量%の部分重合物(モノマーシロップ)を得た。このモノマーシロップに対し、内部架橋剤として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート0.0075重量部、連鎖移動剤として2−メルカプトエタノール0.025重量部を添加し、実施例1と同様にして、ゲル分率45.6重量%の粘着剤層(Y)を得た。この粘着剤層(Y)を用いて、実施例1と同様にして、アクリル系粘着シートを作製した。
(比較例3)
アクリル酸2−エチルヘキシル63重量部、N−ビニル−2−ピロリドン35重量部、アクリル酸2重量部よりなるモノマー混合物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、重合率約11重量%の部分重合物(モノマーシロップ)を得た。このモノマーシロップに対し、内部架橋剤として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート0.012重量部、連鎖移動剤として2−メルカプトエタノール0.05重量部を添加し、実施例1と同様にして、ゲル分率31.1重量%の粘着剤層(Y)を得た。この粘着剤層(Y)を用いて、実施例1と同様にして、アクリル系粘着シートを作製した。
(比較例4)
アクリル酸2−エチルヘキシル67重量部、N−ビニル−2−ピロリドン30重量部、アクリル酸3重量部よりなるモノマー混合物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、重合率約11重量%の部分重合物(モノマーシロップ)を得た。このモノマーシロップに対し、内部架橋剤として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート0.02重量部を添加し、実施例1と同様にして、ゲル分率63.3重量%の粘着剤層(Y)を得た。この粘着剤層(Y)を用いて、実施例1と同様にして、アクリル系粘着シートを作製した。
(比較例5)
アクリル酸2−エチルヘキシル80重量部、N−ビニル−2−ピロリドン20重量部よりなるモノマー混合物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、重合率約11重量%の部分重合物(モノマーシロップ)を得た。このモノマーシロップに対し、内部架橋剤として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート0.02重量部を添加し、実施例1と同様にして、ゲル分率54.9重量%の粘着剤層(Y)を得た。この粘着剤層(Y)を用いて、実施例1と同様にして、アクリル系粘着シートを作製した。
(比較例6)
アクリル酸2−エチルヘキシル70重量部、N−ビニル−2−ピロリドン28重量部、アクリル酸2重量部よりなるモノマー混合物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、重合率約11重量%の部分重合物(モノマーシロップ)を得た。このモノマーシロップに対し、内部架橋剤として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート0.02重量部、連鎖移動剤として2−メルカプトエタノール0.003重量部を添加し、実施例1と同様にして、ゲル分率34.9重量%の粘着剤層(Y)を得た。この粘着剤層(Y)を用いて、実施例1と同様にして、アクリル系粘着シートを作製した。
(比較例7)
アクリル酸2−エチルヘキシル70重量部、N−ビニル−2−ピロリドン28重量部、アクリル酸2重量部よりなるモノマー混合物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、重合率約11重量%の部分重合物(モノマーシロップ)を得た。このモノマーシロップに対し、内部架橋剤として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート0.4重量部、連鎖移動剤として2−メルカプトエタノール0.6重量部を添加し、実施例1と同様にして、ゲル分率58重量%の粘着剤層(Y)を得た。この粘着剤層(Y)を用いて、実施例1と同様にして、アクリル系粘着シートを作製した。
(物性の測定方法ならびに効果の評価方法)
実施例及び比較例で得られたアクリル系粘着シートについて下記評価を行った。結果を表1に示す。なお、耐酸性雨用塗膜としては、メラミン/エステルピーク比が0.03、表面に占めるSi元素比率が1.2%であるものを用いた。
(接着力)
実施例、比較例で得られたアクリル系粘着シートの、粘弾性体層(X1)側についている剥離フィルムを剥がし、粘弾性体層(X1)面に剥離処理をしていない厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを貼り合わせ、測定幅が25mmになるよう短冊状サンプルをカットした。粘着剤層(Y)面についている剥離フィルムを剥がし、その粘弾性体層(Y)面を、イソプロピルアルコールを染み込ませたクリーンウエスにて10往復擦り洗浄した清浄な耐酸性雨用塗膜に、5kgローラーで片道圧着させた。該サンプルを一方は、40℃で2日間放置した。もう一方は、40℃で浸水し2日間放置した。その後、両方の試験片を取り出し常温で30分放置させてから、50mm/分の引張り速度で180°ピールで接着力を測定した。該接着力としては、60N/mm以上(更に好ましくは64N/mm以上)であるものが好ましく、又、浸水接着力としては、45N/mm以上(更に好ましくは50N/mm以上)であるものが好ましい。
(凝集破壊)
実施例、比較例で得られたアクリル系粘着シートについて、上記接着力測定の剥離時に、粘弾性体層(X)の部分において、凝集破壊したものを良好とし、凝集破壊しなかったものを不良とした。
(接着力評価)
表1において、以下のように評価した。
○:剥離時に粘弾性体層(X)の部分において凝集破壊していた。
×:剥離時に粘弾性体層(X)の部分において凝集破壊していなかった。
(高温接着力)
実施例、比較例で得られたアクリル系粘着シートの、粘弾性体層(X1)側についている剥離フィルムを剥がし、粘弾性体層(X1)面に剥離処理をしていない厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを貼り合わせ、測定幅が25mmになるよう短冊状サンプルをカットした。粘着剤層(Y)面についている剥離フィルムを剥がし、その粘弾性体層(Y)面を、イソプロピルアルコールを染み込ませたクリーンウエスにて10往復擦り洗浄した清浄な耐酸性雨用塗膜に、5kgローラーで片道圧着させ、80℃の環境下に30分投入したのち、80℃の環境下、50mm/分の引張り速度で180°ピールで接着力を測定した。高温接着力としては、18N/mm以上(更に好ましくは20N/mm以上)であるものが好ましい。
(低温接着力)
実施例、比較例で得られたアクリル系粘着シートの、粘弾性体層(X1)側についている剥離フィルムを剥がし、粘弾性体層(X1)面に剥離処理をしていない厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを貼り合わせ、測定幅が25mmになるよう短冊状サンプルをカットした。粘着剤層(Y)面についている剥離フィルムを剥がし、その粘弾性体層(Y)面をイソプロピルアルコールを染み込ませたクリーンウエスにて10往復擦り洗浄した。その後5℃の環境下で30分放置した。5℃の環境下に30分投入させておいた清浄な耐酸性雨用塗膜に、5kgローラーで片道圧着させ、5℃の環境下に30分投入したのち、5℃の環境下、50mm/分の引張り速度で180°ピールで接着力を測定した。本発明においては、接着力のピークの山と谷の平均で評価した。低温接着力としては、20N/mm以上(更に好ましくは25N/mm以上)であるものが好ましい。
(定荷重剥離力)
実施例、比較例で得られたアクリル系粘着シートの、粘弾性体層(X2)側についている剥離フィルムを剥がし、粘弾性体層(X2)面に剥離処理をしていない厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを貼り合わせ、測定幅が15mm、長さが50mmになるよう短冊状サンプルにカットした。粘着剤層(Y)面についている剥離フィルムを剥がし、その粘弾性体層(Y)面を、イソプロピルアルコールを染み込ませたクリーンウエスにて10往復擦り洗浄した清浄な耐酸性雨用塗膜に、5kgローラーで片道圧着させた。さらに、常温で20分放置した後、粘着テープの端部に200gのおもりを取り付け、塗膜から粘着テープとおもりが宙吊りになるような形状にサンプルを固定させ、おもりの重さで、テープが90°に剥離されるような形状にした。その後、常温で24時間観察し、6時間後と24時間後のテープ端部からの剥がれ距離を測定した。定荷重剥離力としては、24時間後の剥がれ距離が15mm以下(更に好ましくは10mm以下)であるものが好ましい。
実施例、比較例の評価結果を表1に示す。
Figure 2009185229
(定荷重剥離力評価)
表1において、「落下」はアクリル系粘着シートが、耐酸性雨塗膜から落下したことを示す。
本発明の実施例1の粘着シートは、耐酸性雨用の自動車塗膜に積層して、特性バランスの取れた、良好な接着性を発揮するものであることが明らかである。又、浸水処理後の接着特性についても、剥離時に粘弾性体層(X)の部分において凝集破壊するほど接着を維持できており、良好な耐水性を有していることが明らかである。
本発明におけるアクリル系粘着シートを示す概略図(断面図)である。
符号の説明
1 アクリル系粘着シート
11 粘弾性体層(X)
12 粘着剤層(Y)
13 中空微小球状体

Claims (3)

  1. 中空微小球状体を含む粘弾性体層(X)の少なくとも片面に、下記の(a1)、(a2)、(a3)及び(a4)成分からなるモノマー組成物又はその部分重合物(a)100重量部、光重合開始剤(b)0.001〜0.5重量部、及び連鎖移動剤(c)0.005〜0.5重量部からなるアクリル系重合性組成物に、紫外線照射して得られる粘着剤層(Y)が設けられていることを特徴とするアクリル系粘着シート。
    (a1):下記式(I)で表されるアルキル(メタ)アクリレートモノマー40〜74重量%
    CH2=C(R1)COOR2 (I)
    (式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数1〜20のアルキル基を示す)
    (a2):下記式(II)で表されるN−ビニル環状アミド25〜33重量%
    Figure 2009185229
    (式中、R3は2価の有機基を示す)
    (a3):酸性基を含むモノマー1〜2.5重量%
    (a4):上記(a1)、(a2)及び(a3)と共重合可能な他のモノマー0〜25重量%
  2. 当該粘着シートと被着体とを貼り合わせて40℃の温水に48時間浸漬し、その後常温で30分放置させてから、50mm/分の引張り速度で剥離試験を行った時、中空微小球状体を含む粘弾性体層(X)の部分で凝集破壊が起こることを特徴とする請求項1記載のアクリル系粘着シート。
  3. 粘着シートの粘着剤層(Y)面が耐酸性雨自動車塗膜面に貼り合わされることによりなる、請求項1又は2記載のアクリル系粘着シートと耐酸性雨自動車塗膜とからなる積層体。
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