JP2009185076A - 慢性腎不全の形態形成因子処置 - Google Patents

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Abstract

【課題】慢性腎不全の哺乳動物被験体または慢性腎不全の危険性のある哺乳動物被験体、あるいは腎置換療法の必要の危険性のある哺乳動物被験体の処置において用いられる処置方法および薬剤を提供することを本発明の課題とする。
【解決手段】上記課題は、TGF-βスーパーファミリータンパク質の骨形成タンパク質/骨形態形成タンパク質(OP/BMP)ファミリーの特定のタンパク質またはこれに基づくタンパク質の投与、あるいは特定の形態形成因子、これらの形態形成因子の誘導因子、対応する形態形成因子レセプターのアゴニストの投与、あるいはこれらの形態形成因子を用いて誘導された腎細胞の移植を包含する、本発明の方法を提供することにより解決された。本発明において有用な形態形成因子はまた、OP/BMPファミリーのタンパク質のメンバーであるか、またはこれに基づく。
【選択図】なし

Description

発明の分野
本発明は一般に、腎疾患の処置方法に関する。詳細には、本発明は、ヒトを含む哺乳動物中に存在する慢性腎不全またはその危険性の症状の処置方法に関する。この方法は好ましくは、TGF-βスーパーファミリーのタンパク質中の骨形成タンパク質/骨形態形成タンパク質(OP/BMP)ファミリーの特定のタンパク質の投与を含む。さらに一般に、この方法は、特定の形態形成因子、これらの形態形成因子の誘導因子、または形態形成因子レセプターに対応するアゴニストの投与、あるいはこれらの形態形成因子で誘導される腎臓細胞の移植を含む。
発明の背景
哺乳動物腎臓系は、血流からの代謝排泄産物の除去、ならびに体内の体液および電解液平衡の維持の両方において重要な役割を担っている。従って腎不全は、代謝産物および他の毒素を蓄積する生命を脅かす状態であり、そして/または電解液もしくは体液の有意な不均衡の発生は、他の主要な器官系の不全および死を導き得る。一般的な事項として、腎不全は、「急性」または「慢性」として分類される。以下に詳述されるように、これらの2つの状態の差異は、単に重篤または迅速という事項だけではなく、病因、予後、および処置における差異を反映する。
急性腎不全
急性腎不全は、90〜95%の症例において、腎機能の突然の停止または実質的な低下として定義されており、二次的に外傷、外科的症状または他の急性の医学的な症状となり得る。急性腎不全は、以前の腎臓の原因(例えば、減少した心拍出量、血液量減少、変化した脈管抵抗力)または後の腎臓の原因(例えば、尿管、膀胱、または尿道の閉塞または狭窄)に起因し得、これらは腎臓には直接関係せず、迅速に処置される場合、ネフロンの有意な欠失または腎臓のその他の損傷を必然的に伴わない。あるいは、急性の腎不全は、腎臓のさらなる直接の傷害または損傷を含む内因性の腎臓の原因に起因し得、そしてこれは、ネフロンまたは他の腎臓の構造の永久的な損傷を必然的に伴い得る。急性腎不全の内因性の原因として、感染性疾患(例えば、種々の細菌、ウイルス、または寄生虫感染)、炎症性疾患(例えば、糸球体腎炎、全身性瘡状エリテマトーデス)、虚血(例えば、腎動脈閉塞)毒性症候群(例えば、重金属中毒、抗微生物処置または化学療法の副作用)、および直接的な外傷が挙げられるが、これらの限定されない。
急性腎不全の診断および処置は、その原因に伴って変化する。ヒト患者において、乏尿症(尿排出量<400ml/日)または無尿症(尿排出量<50ml/日)が50〜70%の症例において存在し得、BUNレベルは10〜20mg/dL/日またはそれより早く上昇し得、血漿クレアチニンレベルは0.5〜1.0mg/dL/日上昇し得、そして代謝アシドーシスはほとんどたいてい存在する。処置されない場合、急性腎不全に関連する電解液および体液の不均衡(例えば、高カルシウム血症、アシドーシス、水腫)は、生命を脅かす不整脈、鬱血症の心不全、または多臓器系の不全を導き得る。本発明の治療は、代表的には、急性腎不全のもととなる原因(例えば、以前の腎臓の原因、後の腎臓の原因、または感染性原因)および合併症の処置に対して指向される。急性腎不全の重篤度に起因して、エピソードが死に至らずに数週間より長く続き、そして患者に基づいて処置される。
慢性腎不全
慢性腎不全は、ネフロンの有意なおよび持続的な欠失による、糸球体濾過速度(GFR)の漸進的、永久的、および有意な減少として定義され得る。慢性腎不全は、代表的には、慢性腎不全(insufficiency)(すなわち、少なくとも50〜60%の腎機能の永久的な減少)がネフロン単位の有意な欠失を生じる腎組織に対していくらかの破壊を生じる時点から開始する。この最初の破壊は、急性腎不全のエピソードと関連し得るか、または関連していなくても良い。最初の破壊の性質に関係なく、慢性腎不全は、ネフロンが徐々に欠失し、そしてGFRが徐々に低下するという徴候および症状の「最終的な共通経路」を現す。腎機能におけるこの漸進的低下はゆっくりであり、代表的にはヒト患者において複数年または10年にわたるが、表面上は避けられない。
慢性腎不全の早期の段階は、代表的には、GFRが通常の約3分の1(例えば、平均的な成人については30〜40ml/分)まで減少した時に開始する。有意なネフロンの欠失の結果として、およびより少ないネフロンで全GFRを維持するための明らかな「試み」において、平均的な単一のネフロンGFR(SNGFR)が構造的および機能的レベルの両方で残存しているネフロンの適合によって増大される。バイオプシーサンプルの顕微鏡試験によって容易に検出可能であるこの適合の1つの構造的な明示は、腎臓の糸球体および細管の両方の「代償性肥大」であり、糸球体および細管の正確な肥大によって各残存ネフロンにより産生され得る濾過物の容量を実質的に増大させるプロセスである。実際、肥大または採集した管の透析の結果として、慢性腎不全を有する被験体の尿はしばしば、大きな「円柱(cast)」(代表的には、通常の直径の2〜6倍)を含み、これは診断を補助し、そして「腎不全円柱(cast)」とも呼ばれている。同時に、正常に排出される溶質の減少した吸収または増大した分泌のような残存しているネフロンにおける機能的変化が存在し、これは、身体の他の場所でのホルモンの変化またはパラクリンの変化(例えば、カルシウムおよびリン酸の血清レベルにおける変化に応答する副甲状腺ホルモン(PTH)のレベルの増大)に応答し得る。
慢性腎不全の早期の段階におけるこれらの適合は、GFRまたは腎機能の他のパラメーターの完全な回復をうまく行えず、実際、残存しているネフロンを欠失の増大した危険性に曝す。例えば、増大したSNGFRは、高血圧および過灌流による糸球体の機械的ストレスに関連する。有足突起接合部の完全性の欠失は、高分子への糸球体の透過性または糸球体カプセルの「漏出」を増大させるように導く。増殖性の効果がまた、糸球体間質の上皮細胞および内皮細胞において観察され、そしてコラーゲンおよび他のマトリックスタンパク質の沈着を増大させる。糸球体および細管の両方の硬化症が、肥大したネフロンの他の共通の症状であり、そして糸球体における凝固の危険性が増大する。特に、残存しているネフロンのそれらの正常なレベルよりはるかに下にSNGFRを下げることによるこれらの適用は、水中での急速な変化に応答する残存しているネフロン、溶質、または酸負荷の能力を実際に減少させ、従って、さらなるネフロンの欠失の可能性を実際に増大させる。
慢性腎不全の進行およびGFRが通常の10%未満まで減少を継続する(例えば、5〜10ml/分)に伴って、被験体は最終段階の腎不全(ESRD)に入る。この段階の間、残存しているネフロンの不能性は、血液由来の排泄産物を適切に除去し、一方、有用な産物の保持および体液および電解液の平衡の維持は、多臓器系(特に、心臓血管系)において不全にすることを開始し得る迅速な減少を導く。例えば、BUNおよびクレアチニンレベルは、上昇することが予想され得、BUNのレベルは60〜100mg/dLであり、そして血清クレアチニンレベルは8〜12mg/dLであり、尿毒症は代表的には、腎臓が窒素代謝の最終産物をもはや除去し得ない程度に進行する。この時点で、腎不全は迅速に進行し、被験体が腎置換治療(すなわち、長期にわたる血液透析、連続的な腹膜透析、または腎臓移植)を受けない限りは死に至る。
合衆国において毎年、百万人あたり約600人の患者が、1年あたり1人の患者あたり60,000〜80,000ドルに近づく平均費用で、慢性的透析を受けている。毎年の終期腎疾患の新たな症例のなかで、約28〜33%が糖尿病性腎症(または糖尿病性糸球体症もしくは糖尿病性腎肥大)に起因し、24〜29%が高血圧性腎硬化症(または高血圧性糸球体硬化症)に起因し、そして15〜22%が糸球体腎炎に起因する。全ての慢性的透析患者についての5年生存率は約40%であるが、65才を超える患者については、この率は約20%に低下する。
形態形成因子および増殖因子
細胞の増殖または分化を調節する形態形成または増殖因子として作用するようである非常に多くのタンパク質が現在同定されている。代表的には、これらの増殖因子は、細胞または組織の特異的なセットまたはサブセットに対してそれらの効果を発揮する。このように、例えば、上皮増殖因子、神経増殖因子、線維芽細胞増殖因子、種々のホルモン、および細胞の増殖または分化を誘導または阻害する多くの他のタンパク質が同定されており、そして細胞または組織のいくらかのサブグループに影響することが示されている。
1つの群の形態形成タンパク質(本明細書中で「形態形成因子(morphogen)」という)は、異所性の軟骨内の骨形態形成を誘導するそれらの能力により最初に同定された、骨形成タンパク質/骨形態形成タンパク質(OP/BMP)のファミリーのメンバーを含む。BMPの核酸およびアミノ酸配列の後の特徴付けは、それらが増殖因子のTGF-βスーパーファミリーのサブグループであることを示した。この形態形成因子ファミリーのメンバーは、哺乳動物骨形成タンパク質-1(OP-1、BMP-7としても知られる)、骨形成タンパク質-2(OP-2)、骨形成タンパク質-3(OP-3)、BMP-2(BMP-2AまたはCBMP-2Aとしても知られる)、BMP-3、BMP-4(BMP-2BまたはCBMP-2Bとしても知られる)、BMP-5、BMP-6、Vgr-1、およびGDF-1、ならびにXenopusホモログVgl、およびDrosophilaホモログDPPおよび60Aを含むことが現在示されている。このファミリーのメンバーは、共通の構造的特徴を共有し、そしてプロタンパク質から同様にプロセシングされて、保存されたパターンのシステインを有するカルボキシ末端成熟タンパク質を生じる、分泌されるポリペプチドをコードする。これらのタンパク質の活性形態は、単一のファミリーメンバーのジスルフィド結合されたホモダイマー、または2つの異なるメンバーのヘテロダイマーのいずれかである(例えば、Massague(1990) Annu. Rev. Cell Biol. 6:597;Sampathら、(1990) J. Biol. Chem.256:13198を参照のこと)。
タンパク質の形態形成因子ファミリーのメンバーは、発達の間に種々の組織において発現される。例えば、BMP-3は、発達中のヒト肺および腎臓において発現されることが示されており(Vukicevicら、(1994) J.Histochem. Cytochem. 42:869-875)、BMP-4は、胚性マウスにおける発達中の四肢、心臓、表面突起、および初期髭小胞に関連する凝縮間葉において発現することが示されており(Jonesら、(1991)Development 111:531-542)、そしてOP-1(BMP-7)は、発達中の肺、膵臓、皮膚、および曲尿細管の基底膜を含む、ヒト胚における基底膜に関連することが、免疫学的に示されている(Vukicevicら、(1994)Biochem. Biophys. Res. Commun. 198:693-700)。形態形成因子のいくつか(例えば、OP-2およびBMP-2)は、成体組織の分析においては検出されなかった。このことは、これらの形態形成因子についての初期の発達の役割のみを示唆する(Ozkaynakら、(1992)J. Biol. Chem. 267:25220-25227)。対照的に、高レベルのマウスOP-1発現が成体マウス腎臓において観察されている(Ozkaynakら、(1991)Biochem. Biophys. Res. Commun. 179:116-123)。このことは、腎臓において合成されるOP-1についての、骨成長のパラクリン調節物としての可能な役割を示唆し、そしてこれは骨カルシウム調節および骨ホメオスタシスにおける腎臓の役割と一致する。
腎臓組織の成長および修復の調節に関与し得る多様な増殖因子が考慮されている(例えば、Toback(1992) Kidney Intl. 41:226-246に概説されている)。例えば、EGF、TGF-α、TGF-β、IGF-I、IGF-II、PDGF、FGF、レニン/アンギオテンシンII、IL-1、およびOP-1がすべて、種々の成体腎臓細胞または組織により発現され、そして腎臓細胞の増殖または分化に対する効果を有することが見出されている(Toback(1992) 前出、Ozkaynakら、(1991) 前出を参照のこと)。さらに、これらのいくつか(IGF-I、TGF-β、およびOP-1を含む)は、発達中の腎臓において発現されることが見出されている(例えば、Bardら、(1994)Mech. Develop. 48:3-11に概説されている)。
興味深いことに、TGF-βは、マウス後腎器官培養系において、厚い上行肢−初期遠位管以外の発達中のネフロンの全ての分節の全体の成長および分節の分化を遅延させることが示されている(AvnerおよびSweeney(1990) Pediatr. Nephrol. 4:372-377)。さらに、TGF-β発現は、腎疾患のいくつかのモデルにおいて増加されることが見出されている。このことは細胞外マトリックス成分の合成におけるTGF-β媒介性増加が、糖尿病性腎症(または糖尿病性糸球体症もしくは糖尿病性腎肥大)、腎臓線維症、糸球体硬化症および糸球体腎炎、間質性線維症、ならびに高血圧性腎硬化症の病因に関与し得ることを示唆する(Shanklandら、(1994)Kidney Intl. 46:430-442;Yamamotoら、(1994) Kidney Intl. 45:916-927;Yamamotoら、(1993)PNAS 90:1814-1818;Tamakiら、(1994) Kidney Intl. 45:525-536;Borderら、(1990)Nature 346:371-374;Hamaguchiら、(1995) Hypertension 26:199-207)。
ヒト成長ホルモン(GH)の血清レベルが、慢性腎不全の被験体において上昇されるという事実もまた興味深い(Wrightら、(1968)Lancet 2:798;SamaanおよびFreeman (1970) Metabolism 19:102)。組換えGHは、栄養失調の慢性腎不全患者においてタンパク質バランスを維持することを助け、そして慢性腎不全の子供において「追い上げ(catch-up)」成長を促進することが示されている。これらの効果はIGF-Iにより媒介されることが示唆されている(例えば、Kopple(1992) Miner. Electrolyte Metab. 18:269-275を参照のこと)。いくつかの研究はIGF-Iの投与が慢性腎不全患者において腎臓血漿流およびGFRを増加させることを見出したが(例えば、Gulerら、(1989)PNAS 86:2868-2872;Hirschbergら、(1993) Kidney Intl. 43:387-397)、他の研究はこの効果が単に一過性であることを見出した(Millerら、(1994)Kidney Intl. 46:201-207)。
従って、いくつかの増殖因子は発達中および成体の両方の腎臓組織において発現されることが見出されたが、そして少なくとも1つは短期間、腎機能を増加させることが示されたが、慢性腎不全を特徴付ける腎機能の漸進的損失の防止、阻害、または遅延における治療的利益になることが示されているものは未だにない。それゆえ、数十万の患者が慢性的透析に依存するようになるようにする、そして毎年数万の未熟死亡を生じる、腎機能の漸進的損失を防止する処置についての必要性が残っている。
発明の要旨
本発明は、慢性腎不全である、もしくは慢性腎不全の危険性のある、または腎置換療法の必要性の危険性のある哺乳動物被験体の、処置方法、および処置における使用のための薬学的調製物に関する。そのような被験体は、既に慢性腎不全に罹患した、または既に腎置換療法を受けた被験体、ならびに機能的ネフロン単位の漸進的損失に関連する腎機能の漸進的損失を患うことが合理的に予想される任意の被験体を含む。特定の被験体に危険性があるかどうかは、関連する医学または獣医学の当業者により慣習的になされ得る決定である。慢性腎不全である、もしくは慢性腎不全の危険性のある、または腎置換療法の必要性の危険性のある被験体は、以下を含むがそれらに限定されない:慢性腎不全、終期腎疾患、慢性糖尿病性腎症、高血圧性腎硬化症、慢性糸球体腎炎、遺伝性腎炎、および/または腎臓形成異常に罹患していると見なされ得る被験体;糸球体肥大、尿細管肥大、慢性糸球体硬化症、および/または慢性尿細管間質硬化症を示すバイオプシーを有する被験体;腎臓線維症を示す超音波、MRI、CATスキャン、または他の非侵襲性検査を有する被験体;尿沈渣中に存在する通常でない数の広い円柱(broad cast)を有する被験体;被験体について予想されるGFRの約50%より慢性的に少ない、そしてより特定すると約40%、30%、または20%より少ないGFRを有する被験体;少なくとも約50kgの体重であり、そして慢性的に約50 ml/分より少ない、より特定すると約40ml/分、30ml/分、または20ml/分より少ないGFRを有するヒト雄性被験体;少なくとも約40kgの体重であり、そして慢性的に約40 ml/分より少ない、より特定すると約30ml/分、20ml/分、または10ml/分より少ないGFRを有するヒト雌性被験体;健常ではあるが他は同様な被験体により有される機能的ネフロン単位の数の、約50%より少ない、そしてより特定すると約40%、30%、または20%より少ない機能的ネフロン単位の数を有する被験体;単一の腎臓を有する被験体;および腎臓移植物レシピエントである被験体。
本発明の方法および組成物は、真核生物起源の特定のタンパク質が、本明細書中で規定されるような、慢性腎不全の危険性にあるか、または腎臓の補充療法を必要とする被検体の処置における腎治療因子として使用され得るという発見に部分的に基づく。一般に、これらの腎治療因子はタンパク質であるか、またはタンパク質に基づく。それらはタンパク質の骨原性タンパク質/骨形態形成タンパク質(OP/BMP)ファミリーのメンバーである。従って、本発明の有用なOP/BMP腎治療因子としては、ポリペプチド、またはポリペプチドの機能性変種が挙げられ、それらはOP-1、OP-2、OP-3、BMP2、BMP3、BMP4、BMP5、BMP6、およびヒトOP-1の7システインドメインのアミノ酸配列と少なくとも70%またはより好ましくは75%もしくは80%のアミノ酸配列相同性を有するタンパク質からなる群から選択される哺乳動物タンパク質のC末端の6または7システインドメインを少なくとも含み;そしてそれらは(a)Reddi-Sampath異所性骨アッセイ(SampathおよびReddi(1981),Proc.Natl.Acad.Sci.(USA) 78:7599-7603)または実質的に等価なアッセイにおいて軟骨形成を誘導し得、(b)慢性腎不全の標準的な動物モデルにおいて腎機能の漸進的損失を有意に防止、阻害、遅延または軽減し得、あるいは(c)慢性腎不全を有するか、またはその危険性にある哺乳動物に投与される場合に、腎機能の標準的マーカーにおいて臨床的に有意な改善を引き起こし得る。より一般的に言えば、本発明は、1以上の真核生物(例えば、哺乳動物)細胞、組織または器官の形態形成を誘導するダイマータンパク質である「形態形成因子」の使用を提供する。特に本明細書の目的は、少なくとも哺乳動物の腎臓組織の形態形成(機能的な腎臓上皮および特に機能的な糸球体および尿細管の上皮の形成を含む)を誘導する形態形成因子である。形態形成因子は、折り畳まれている場合には、その形態形成因子に特異的なレセプターを提示する細胞および組織において形態形成応答を誘発するダイマータンパク質を生じるのに十分な形態をとるポリペプチドの組を含む。すなわち、形態形成因子は、形態形成を許容する環境下で以下の生物学的機能の全てを一般に誘導する;前駆細胞の増殖を刺激すること;前駆細胞の分化を刺激すること;分化細胞の増殖を刺激すること;および分化細胞の増殖および維持を支持すること。「前駆」細胞は、ゲノムレパートリーおよび形態形成が誘導される許容環境の組織特異性に応じて、1以上の特定の型の分化細胞に分化するのに適性である、将来を定められていない細胞である。形態形成因子はさらに、表現型および/または組織機能の老化または静止状態に関連する損失の開始を遅延または軽減し得る。形態形成因子はさらに、分化細胞の表現型の発現(それらの代謝的および/または機能的(例えば、分泌)特性の発現を含む)を刺激し得る。さらに、形態形成因子は、適切な環境条件下での将来を定められた細胞の再分化を誘導し得る。上記のように、少なくとも哺乳動物の腎臓組織の増殖および/または分化を誘導し、そして/あるいは哺乳動物のネフロンの増殖、維持および/または機能的特性を支持する、形態形成因子が、特に本明細書の目的である。
好ましい実施態様において、形態形成因子ポリペプチドの組は、各々が参照形態形成因子のアミノ酸配列と規定された関係を共有する配列を含むアミノ酸配列
を有する。本明細書中において、好ましい形態形成因子ポリペプチドは、形態形成的に活性なヒトOP-1、配列番号4中に存在する配列と規定された関係を共有する。しかし、本明細書中に開示される、天然に存在するか、または生合成された任意の1以上の配列が同様に、参照配列として使用され得る。好ましい形態形成因子ポリペプチドは、少なくとも、配列番号4のヒトOP-1の残基43〜139のC末端の6システインドメインと規定された関係を共有する。好ましくは、形態形成因子ポリペプチドは、少なくとも、配列番号4のヒトOP-1の残基38〜139のC末端の7システインドメインと規定された関係を共有する。すなわち、形態形成活性を有するダイマータンパク質の好ましい形態形成因子ポリペプチドは各々、参照配列に対応するか、またはそれらに機能的に等価である配列を含む。
機能的に等価な配列は、参照配列内に配置されるシステイン残基の機能的に等価な配列を含み、それらはこれらのシステインの配列を変化させるが、ダイマーの形態形成因子タンパク質の折り畳まれた構造においてそれらの関係(形態形成活性に必要とされ得るような鎖内または鎖間のジスルフィド結合を形成する能力を含む)を実質的には損なわないアミノ酸の挿入または欠損を含む。機能的に等価な配列はさらに、1以上のアミノ酸残基が参照形態形成因子配列の対応する残基とは異なる配列(例えば、ヒトOP-1のC末端7システインドメイン(または「骨格」)(この差異が形態形成活性を破壊しない場合))を含む。従って、参照配列中の対応するアミノ酸の保存的置換が好ましい。参照配列中の対応する残基に対して「保存的置換」であるアミノ酸残基は、対応する参照残基に物理的または機能的に類似するアミノ酸残基(例えば、類似のサイズ、形状、電荷、共有結合または水素結合を形成する能力を含む化学的特性など)である。特に好ましい保存的置換は、Dayhoffら、(1978)、5Atlas of Protein Sequence and Structure, Suppl. 3, ch. 22(pp.354-352),Natl.Biomed.Res.Found., Washington, D.C. 20007の「受容される点変異」に規定された判定基準を満たす置換である。その開示は、参考として本明細書中に援用される。
特定の実施態様において、参照形態形成因子ポリペプチドに機能的に等価であると推測されるポリペプチドは、Needlemanら、(1970), J.Mol.Biol. 48:443-453の方法を用いて整列され、これはAlignプログラム(DNAstar,Inc)のようなコンピュータープログラムによって簡便に実行される。上記のように、候補配列内の内部ギャップおよびアミノ酸挿入は、規定された関係(候補配列と参照配列との間のアミノ酸配列相同性または同一性のレベルとして慣習的に表される)を計算する目的については無視される。「アミノ酸配列相同性」は、アミノ酸配列類似性を意味すると本明細書中では理解される。相同配列は、同一または類似のアミノ酸残基を共有する。ここで、類似の残基は、整列された参照配列中の対応するアミノ酸残基に対する保存的置換、または「許容される点変異」である。従って、参照配列と70%のアミノ酸相同性を共有する候補ポリペプチド配列は、整列された残基の任意の70%が、参照配列の対応する残基と同一であるか、保存的置換であるかのいずれかである。
特に本明細書の目的は、哺乳動物の腎臓に提供された場合に、ネフロン単位の分化および増殖の正常な状態を誘導または維持する形態形成因子である。本明細書のさらなる目的は、哺乳動物に投与された場合に、代償性の肥大(糸球体肥大および/または尿細管肥大を含む)の発生を防止、阻害、または遅延する形態形成因子である。このような形態形成因子は、機能的ネフロン単位の漸進的損失および引き続く腎機能の漸進的損失を予防、阻害、または遅延することにより、慢性腎不全を有するかまたはその危険性にある哺乳動物を処置するために使用され得る。
あるいは、本発明は、形態形成因子の代わりに形態形成因子刺激因子または形態形成因子誘導因子を含む方法および組成物で実施され得る。「形態形成因子誘導因子」は、腎臓組織を再生または維持するため、および/またはそのさらなる損失を阻害するために十分な、哺乳動物の体内における治療的に有効な濃度の内因性形態形成因子のインビボ産生(例えば、発現)を刺激する化合物である。このような化合物は、哺乳動物に投与した場合に、哺乳動物のゲノム内にコードされる形態形成因子を産生および/または分泌することと通常は競合する組織または器官の細胞に作用し、そして哺乳動物の体内の形態形成因子の改変された内因性レベルを生じる物質を含むと理解される。内因性または投与された形態形成因子は、エンドクリン、パラクリン、またはオートクリン因子として作用し得る。つまり、内因性形態形成因子は、隣接細胞により、または遠隔組織の細胞(この状況では、分泌された内因性形態形成因子は、例えば、個体の血流により形態形成因子生成部位に輸送される)により、形態形成因子生成性応答が誘導される細胞により合成され得る。好ましい実施態様では、因子は、内因性形態形成因子の発現および/または分泌を刺激し、その結果、腎臓組織におけるその量を増加させる。
さらに他の実施態様では、形態形成因子レセプターのアゴニストとして作用する因子は、形態形成因子自体の代わりに投与され得る。レセプター「アゴニスト」は、レセプターに結合し、そしてこのような結合が、レセプターの天然の内因性リガンドの結合と同様の機能的結果を有する化合物を意味する。つまり、化合物は、レセプターとの相互作用に際して、内因性リガンドと同じまたは実質的に同様の膜貫通および/または細胞内効果を生じなければならない。従って、形態形成因子レセプターのアゴニストは、レセプターに結合し、そしてこのような結合は、形態形成因子結合と同じまたは同様の機能的結果(例えば、形態形成因子生成の誘導)を有する。アゴニストの活性または効力は、天然のリガンドの活性または効力よりも小さくてもよい。この場合、アゴニストは、「部分的アゴニスト」であるといわれる。またはアゴニストの活性または効力は、天然のリガンドの活性または効力と同等またはそれより大きくてもよい。この場合、これは「完全なアゴニスト」であるといわれる。従って、例えば、形態形成因子のレセプターに結合することおよびそれを活性化することにおける形態形成因子の活性を模倣し得る、小ペプチドまたは他の分子は、形態形成因子の等価物として用いられ得る。好ましくは、アゴニストは完全なアゴニストであるが、しかし部分的な形態形成因子レセプターアゴニストはまた有利に用いられ得る。このようなアゴニストを同定する方法は当該分野で公知であり、そして形態形成因子媒介性応答を誘導する化合物についてのアッセイ(例えば、後腎間葉の分化の誘導、軟骨内骨形成の誘導など)を含む。このような因子はまた、形態形成因子「模倣物」、「模擬物」、または「アナログ」ともいわれる。
本発明のOP/BMP腎治療因子、または本発明の形態形成因子、形態形成因子誘導因子、および形態形成因子レセプターのアゴニストは、選択された因子と適合性である任意の投与経路により投与され得、そして投与経路に適切な任意の薬学的に受容可能なキャリアとともに処方され得る。投与の好ましい経路は非経口であり、特に、静脈内、腹腔内、および腎臓嚢内である。処置はまた、好ましくは、外来患者基準で延長された期間にわたって実施される。腎治療因子の1日あたりの投薬量は、約0.01〜1000μg/kg体重、より好ましくは約10〜300μg/kg体重の範囲であると予想されるが、正確な投薬量は、用いられる特定の腎治療因子、ならびに特定の被験体の医療的状態および病歴に依存して変化する。
最後に、なおさらなる実施態様では、腎臓細胞は、慢性腎不全の、もしくはその危険性のある、または腎置換療法を必要とする危険性のある被験体の肝臓中に、形態形成因子の供給源として作用するため、および/またはさらなる機能的腎臓組織の供給源を提供するために移植され得る。これらの細胞は、腎臓間葉前駆体細胞、または後腎分化を受けるように誘導された腎臓間葉前駆細胞であり得る。細胞は、ドナー(例えば、組織型が適合したドナー、兄弟、一卵性双生児)に由来し得るか、組織培養物(例えば、未分化の腎臓間葉培養物、胎児腎臓組織培養物)に由来し得るか、または被験体から外植されて次いで増殖および/または分化の後に再移植され得る。好ましくは、細胞は、移植の前または後ろのいずれかでの形態形成因子(例えば、OP-1)での処置により、後腎分化を受けるように誘導される。
本発明の処置は、漸進的な機能的ネフロン単位損失、および結果としての漸進的な腎機能損失(これらは、慢性腎不全を代表する)を予防、阻害、または遅延するのに有用である。このように、慢性の腎機能不全を患う被験体の慢性的透析または腎置換療法の必要性を予防または遅延すること、または末期の腎臓病を患う被験体における慢性腎臓透析の必要な頻度を減少させることに、これらは大きな価値がある。このように、慢性腎不全の危険性があるかまたは既にそれを患っている被験体を延命させることおよび生存の質を維持することにこれらは有用である。
本発明は、例えば以下を提供する。
(項目1) 慢性腎不全の哺乳動物または慢性腎不全の危険性のある哺乳動物の処置方法であって、該哺乳動物に、治療有効量のOP/BMP腎治療因子または形態形成因子を投与する工程を包含する、方法。
(項目2) 慢性腎不全の哺乳動物または慢性腎不全の危険性のある哺乳動物の処置方法であって、該哺乳動物に、治療有効量の内因性のOP/BMP腎治療因子または形態形成因子の発現の誘導因子を投与する工程を包含する、方法。
(項目3) 慢性腎不全の哺乳動物または慢性腎不全の危険性のある哺乳動物の処置方法であって、該哺乳動物に、治療有効量のOP/BMP腎治療因子または形態形成因子のレセプターのアゴニストを投与する工程を包含する、方法。
(項目4) 慢性腎不全の哺乳動物または慢性腎不全の危険性のある哺乳動物の処置方法であって、該哺乳動物の腎臓内で、治療有効量の腎臓間葉前駆細胞を誘導する工程を包含する、方法。
(項目5) 前記細胞をOP/BMP腎治療因子または形態形成因子と接触させることにより、前記細胞の後腎分化を誘導するさらなる工程を包含する、項目4に記載の方法。
(項目6) 前記細胞をOP/BMP腎治療因子または形態形成因子の誘導因子と接触させることにより、前記細胞の後腎分化を誘導するさらなる工程を包含する、項目4に記載の方法。
(項目7) 前記細胞をOP/BMP腎治療因子または形態形成因子のレセプターのアゴニストと接触させることにより、前記細胞の後腎分化を誘導するさらなる工程を包含する、項目4に記載の方法。
(項目8) 慢性的透析処置の必要性を遅延させるかまたはその頻度を減少させるための処置方法であって、哺乳動物に、治療有効量のOP/BMP腎治療因子または形態形成因子を投与する工程を包含する、方法。
(項目9) 慢性的透析処置の必要性を遅延させるかまたはその頻度を減少させるための処置方法であって、哺乳動物に、治療有効量の内因性のOP/BMP腎治療因子または形態形成因子の発現の誘導因子を投与する工程を包含する、方法。
(項目10) 慢性的透析処置の必要性を遅延させるかまたはその頻度を減少させるための処置方法であって、哺乳動物に、治療有効量のOP/BMP腎治療因子または形態形成因子のレセプターのアゴニストを投与する工程を包含する、方法。
(項目11) 前記哺乳動物が、慢性腎不全、末期腎疾患、慢性糖尿病性腎症、糖尿病性糸球体症、糖尿病性腎肥大、高血圧性腎硬化症、高血圧性糸球体硬化症、慢性糸球体腎炎、遺伝性腎炎、および腎異形成よりなる群から選択される状態に罹患している、項目1〜10のいずれかに記載の方法。
(項目12) 前記哺乳動物の腎バイオプシーの検査は、該哺乳動物が、糸球体肥大、尿細管肥大、糸球体硬化症、および細尿管間質硬化よりなる群から選択される状態に罹患していることを示す、項目1〜10のいずれかに記載の方法。
(項目13) 前記哺乳動物の検査が腎線維症を示す、項目1〜10のいずれかに記載の方法。
(項目14) 前記検査が、前記哺乳動物の超音波スキャン、MRIスキャンまたはCATスキャンである、項目13に記載の方法。
(項目15) 前記哺乳動物が、インタクトな健康な腎臓を有する哺乳動物に存在する機能的ネフロン単位の数の約50%未満の数の機能的ネフロン単位を有する、項目1〜10のいずれかに記載の方法。
(項目16) 前記哺乳動物が、インタクトな健康な腎臓を有する哺乳動物に存在する機能的ネフロン単位の数の約40%未満の数の機能的ネフロン単位を有する、項目1〜10のいずれかに記載の方法。
(項目17) 前記哺乳動物が、インタクトな健康な腎臓を有する哺乳動物に存在する機能的ネフロン単位の数の約30%未満の数の機能的ネフロン単位を有する、項目1〜10のいずれかに記載の方法。
(項目18) 前記哺乳動物が、インタクトな健康な腎臓を有する哺乳動物に存在する機能的ネフロン単位の数の約20%未満の数の機能的ネフロン単位を有する、項目1〜10のいずれかに記載の方法。
(項目19) 前記哺乳動物が腎移植レシピエントである、項目1〜10のいずれかに記載の方法。
(項目20) 前記哺乳動物が1つのみの腎臓を有する、項目1〜10のいずれかに記載の方法。
(項目21) 前記哺乳動物の尿沈渣の検査が、広い円柱の存在を示す、項目1〜10のいずれかに記載の方法。
(項目22) 前記哺乳動物が、慢性的に該哺乳動物のGFR exp の約50%未満であるGFRを有する、項目1〜10のいずれかに記載の方法。
(項目23) 前記哺乳動物が、慢性的に該哺乳動物のGFR exp の約40%未満であるGFRを有する、項目22に記載の方法。
(項目24) 前記哺乳動物が、慢性的に該哺乳動物のGFR exp の約30%未満であるGFRを有する、項目22に記載の方法。
(項目25) 前記哺乳動物が、慢性的に該哺乳動物のGFR exp の約20%未満であるGFRを有する、項目22に記載の方法。
(項目26) 前記哺乳動物が、少なくとも約50kgの体重であり、そして慢性的に約50ml/分未満であるGFRを有するヒト男性である、項目1〜10のいずれかに記載の方法。
(項目27) 前記哺乳動物が、少なくとも約50kgの体重であり、そして慢性的に約40ml/分未満であるGFRを有するヒト男性である、項目26に記載の方法。
(項目28) 前記哺乳動物が、少なくとも約50kgの体重であり、そして慢性的に約30ml/分未満であるGFRを有するヒト男性である、項目26に記載の方法。
(項目29) 前記哺乳動物が、少なくとも約50kgの体重であり、そして慢性的に約20ml/分未満であるGFRを有するヒト男性である、項目26に記載の方法。
(項目30) 前記哺乳動物が、少なくとも約40kgの体重であり、そして慢性的に約40ml/分未満であるGFRを有するヒト女性である、項目1〜10のいずれかに記載の方法。
(項目31) 前記哺乳動物が、少なくとも約40kgの体重であり、そして慢性的に約30ml/分未満であるGFRを有するヒト女性である、項目30に記載の方法。
(項目32) 前記哺乳動物が、少なくとも約40kgの体重であり、そして慢性的に約20ml/分未満であるGFRを有するヒト女性である、項目30に記載の方法。
(項目33) 前記哺乳動物が、少なくとも約40kgの体重であり、そして慢性的に約10ml/分未満であるGFRを有するヒト女性である、項目30に記載の方法。
(項目34) 前記処置が、前記哺乳動物中の血清クレアチニンレベルを3ヶ月にわたって少なくとも約5%減少させる、項目1〜10のいずれかに記載の方法。
(項目35) 前記処置の前に、前記哺乳動物が腎機能の臨床指標において慢性的な減少を示した;そして
該処置の少なくとも約3ヶ月後、該指標は安定している、項目1〜10のいずれかに記載の方法。
(項目36) 前記投与が経口である、項目1〜3のいずれかに記載の方法。
(項目37) 前記投与が非経口である、項目1〜3のいずれかに記載の方法。
(項目38) 前記投与が静脈内である、項目37に記載の方法。
(項目39) 前記投与が腹腔内である、項目37に記載の方法。
(項目40) 前記投与が腎嚢内である、項目37に記載の方法。
(項目41) ステントが前記投与のために前記哺乳動物中に移植されている、項目37に記載の方法。
(項目42) 前記ステントが静脈内ステントである、項目41に記載の方法。
(項目43) 前記ステントが腹腔内ステントである、項目41に記載の方法。
(項目44) 前記ステントが腎嚢内ステントである、項目41に記載の方法。
(項目45) 前記投与が、移植デバイスにより行われる、項目37に記載の方法。
(項目46) 前記投与が、少なくとも約1ヶ月の間、少なくとも1週間に一度である、項目1〜3のいずれかに記載の方法。
(項目47) 前記投与が、少なくとも約1年の間、少なくとも1ヶ月に一度である、項目1〜3のいずれかに記載の方法。
(項目48) 前記OP/BMP腎治療因子または形態形成因子が、前記哺乳動物の体重1kg当たり約0.01〜1000μg/kgの投与量で投与される、項目1に記載の方法。
(項目49) 前記OP/BMP腎治療因子または形態形成因子が、前記哺乳動物の体重1kg当たり約10〜300μg/kgの投与量で投与される、項目48に記載の方法。
(項目50) 腎糸球体前駆細胞の後腎分化を促進する方法であって、該細胞を、該分化を誘導するのに有効な量でOP/BMP腎治療因子または形態形成因子と接触させる工程を包含する、方法。
(項目51) 前記腎治療因子が、OP−1、OP−2、OP−3,BMP2、BMP3、BMP4、BMP5、BMP6、およびBMP9からなる群から選択されるポリペプチドのプロ形態、成熟形態、および可溶性形態よりなる群から選択されるタンパク質の少なくともC末端システインドメインからなるポリペプチドを含む、項目1に記載の方法。
(項目52) 前記腎治療因子が、ヒトOP−1のプロ形態、成熟形態、および可溶性形態よりなる群から選択されるタンパク質の少なくともC末端システインドメインからなるポリペプチドを含む、項目51に記載の方法。
(項目53) 前記腎治療因子が、ヒトOP−1のC末端の7システインドメインのアミノ酸配列と少なくとも70%の相同性を有するポリペプチドを含む、項目1に記載の方法。
(項目54) 前記ポリペプチドが、ヒトOP−1のC末端の7システインドメインのアミノ酸配列と少なくとも75%の相同性を有する、項目53に記載の方法。
(項目55) 前記ポリペプチドが、ヒトOP−1のC末端の7システインドメインのアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する、項目53に記載の方法。
(項目56) 前記ポリペプチドが、ヒトOP−1のC末端の7システインドメインのアミノ酸配列と少なくとも60%の同一性を有する、項目53に記載の方法。
(項目57) 前記ポリペプチドが、ヒトOP−1のC末端の7システインドメインのアミノ酸配列と少なくとも65%の同一性を有する、項目53に記載の方法。
(項目58) 前記ポリペプチドが、ヒトOP−1のC末端の7システインドメインのアミノ酸配列と少なくとも70%の同一性を有する、項目53に記載の方法。
(項目59) 前記治療因子が、
(a)異所性骨アッセイにおいて軟骨形成を誘導する;
(b)慢性腎不全の動物モデルにおいて腎機能の損失を防止、阻害、遅延または軽減する;または
(c)慢性腎不全の哺乳動物または慢性腎不全の危険性のある哺乳動物に投与された場合、腎機能の標準マーカーにおいて臨床的に有意な改善を引き起こす、
項目51〜58のいずれかに記載の方法。
(項目60) 前記腎治療因子がヒト骨形成タンパク質およびヒト骨形態形成タンパク質よりなる群から選択される、項目1に記載の方法。
図1。この図は、偽手術したラットの群(「偽」)または部分的に腎摘出したラットの群(「Nxコントロール」および「OP-1」)の平均血清クレアチニンレベルを示す棒グラフである。手術の5〜6ヶ月後に、ラットは、ビヒクル単独(「Nxコントロール」および「偽」)、または1、3、10、もしくは50μg/kg体重の可溶性OP-1(「OP-1」)の注射を、4〜8週間にわたって1週間に3回受けた。 図2。この図は、偽手術したラットの群(「偽」)または部分的に腎摘出したラットの群(「Nxコントロール」および「OP-1」)の平均血清尿素レベルを示す棒グラフである。手術後5〜6ヶ月に、ラットは、ビヒクル単独(「Nxコントロール」および「偽」)、または1、3、10、もしくは50μg/kg体重の可溶性OP-1(「OP-1」)の注射を、4〜8週間にわたって1週間に3回受けた。 図3。この図のパネルA〜Cは、10×の拡大率でのラットからの腎臓組織の顕微鏡写真である。(A)偽手術したラットからの組織。(B)5/6腎摘出後の慢性腎不全のラットからの組織(Nxコントロール)。(C)5/6腎摘出後にOP-1で処置したラットからの組織。 図4。この図のパネルA〜Cは、40×の拡大率でのラットからの腎臓組織の顕微鏡写真である。(A)偽手術したラットからの組織。(B)5/6腎摘出後の慢性腎不全のラットからの組織(Nxコントロール)。(C)5/6腎摘出後にOP-1で処置したラットからの組織。 図5。この図は、部分的に腎摘出したラットの群についての9週間にわたる平均血清クレアチニンレベルを示す折線グラフである。手術の2〜3週間後、ラットは、ビヒクル単独(「コントロール」)または10μg/kg体重の可溶性OP-1(「OP-1」)の注射を1週間に3回受けた。 図6。この図は、部分的に腎摘出したラットの群についての8週間にわたるGFRの尺度としての平均クレアチニンクリアランス速度を示す折線グラフである。手術の2〜3週間後、ラットは、ビヒクル単独(「コントロール」)または10μg/kg体重の可溶性OP-1(「OP-1」)の注射を1週間に3回受けた。 図7。この図のパネル7-1〜7-12は、種々の天然に生じる形態形成因子のアミノ酸配列と、ヒトOP-1(配列番号4の残基38〜139)の好ましい参照配列との、アラインメント表である。この図に示す形態形成因子ポリペプチドはまた、配列表にも同定される。 図7。この図のパネル7-1〜7-12は、種々の天然に生じる形態形成因子のアミノ酸配列と、ヒトOP-1(配列番号4の残基38〜139)の好ましい参照配列との、アラインメント表である。この図に示す形態形成因子ポリペプチドはまた、配列表にも同定される。 図7。この図のパネル7-1〜7-12は、種々の天然に生じる形態形成因子のアミノ酸配列と、ヒトOP-1(配列番号4の残基38〜139)の好ましい参照配列との、アラインメント表である。この図に示す形態形成因子ポリペプチドはまた、配列表にも同定される。 図7。この図のパネル7-1〜7-12は、種々の天然に生じる形態形成因子のアミノ酸配列と、ヒトOP-1(配列番号4の残基38〜139)の好ましい参照配列との、アラインメント表である。この図に示す形態形成因子ポリペプチドはまた、配列表にも同定される。 図7。この図のパネル7-1〜7-12は、種々の天然に生じる形態形成因子のアミノ酸配列と、ヒトOP-1(配列番号4の残基38〜139)の好ましい参照配列との、アラインメント表である。この図に示す形態形成因子ポリペプチドはまた、配列表にも同定される。 図7。この図のパネル7-1〜7-12は、種々の天然に生じる形態形成因子のアミノ酸配列と、ヒトOP-1(配列番号4の残基38〜139)の好ましい参照配列との、アラインメント表である。この図に示す形態形成因子ポリペプチドはまた、配列表にも同定される。 図7。この図のパネル7-1〜7-12は、種々の天然に生じる形態形成因子のアミノ酸配列と、ヒトOP-1(配列番号4の残基38〜139)の好ましい参照配列との、アラインメント表である。この図に示す形態形成因子ポリペプチドはまた、配列表にも同定される。 図7。この図のパネル7-1〜7-12は、種々の天然に生じる形態形成因子のアミノ酸配列と、ヒトOP-1(配列番号4の残基38〜139)の好ましい参照配列との、アラインメント表である。この図に示す形態形成因子ポリペプチドはまた、配列表にも同定される。 図7。この図のパネル7-1〜7-12は、種々の天然に生じる形態形成因子のアミノ酸配列と、ヒトOP-1(配列番号4の残基38〜139)の好ましい参照配列との、アラインメント表である。この図に示す形態形成因子ポリペプチドはまた、配列表にも同定される。 図7。この図のパネル7-1〜7-12は、種々の天然に生じる形態形成因子のアミノ酸配列と、ヒトOP-1(配列番号4の残基38〜139)の好ましい参照配列との、アラインメント表である。この図に示す形態形成因子ポリペプチドはまた、配列表にも同定される。 図7。この図のパネル7-1〜7-12は、種々の天然に生じる形態形成因子のアミノ酸配列と、ヒトOP-1(配列番号4の残基38〜139)の好ましい参照配列との、アラインメント表である。この図に示す形態形成因子ポリペプチドはまた、配列表にも同定される。 図7。この図のパネル7-1〜7-12は、種々の天然に生じる形態形成因子のアミノ酸配列と、ヒトOP-1(配列番号4の残基38〜139)の好ましい参照配列との、アラインメント表である。この図に示す形態形成因子ポリペプチドはまた、配列表にも同定される。
発明の詳細な説明
I.定義
請求された発明の主題をより明確にかつより正確に指摘するために、以下の記載された説明および添付の請求の範囲において用いる特定の用語について以下の定義を提供する。
腎治療因子。本明細書で使用される用語「腎治療因子」は、OP-1、OP-2、OP-3、BMP2、BMP3、BMP4、BMP5、BMP6、BMP9、ならびにヒトOP-1の7システインドメインのアミノ酸配列と少なくとも70%、またはより好ましくは75%もしくは80%のアミノ酸配列相同性を示し;かつ(a)Reddi-Sampath異所骨アッセイ(SampathおよびReddi(1981), Proc.Natl.Acad.Sci.(USA) 78:7599-7603)もしくは実質的に等価なアッセイにおいて軟骨形成を誘導し得るか、(b)慢性腎不全の標準的な動物モデルにおいて漸進的腎機能損失を有意に予防、阻害、遅延、もしくは緩和し得るか、または(c)慢性腎不全であるかまたはその危険性のある哺乳動物に投与した場合に、腎機能の標準的マーカーにおいて臨床的に有意な改善を生じ得るタンパク質からなる群より選択される哺乳動物タンパク質のC末端の6または7システインドメインを少なくとも含む、ポリペプチド、またはポリペプチドの機能的改変体を意味する。本明細書で使用される、2つのアミノ酸配列間の「相同性」%は、配列間で同一または類似であるアミノ酸残基の%を示し、そして本明細書で使用される「類似の」残基は、Dayhoffら(1978), Atlas of Protein Sequence and Structure 第5巻(補遺3), 354-352頁,Natl. Biomed. Res. Found., Washington, D.C.において「受け入れられる点変異」について定義した基準を満たす「保存的置換物」である。
治療的効力。本明細書中で使用される、本発明の腎治療因子は、「治療的効力」を有するといわれ、そしてある量の因子の投与が、慢性腎不全であるかまたはその危険性がある哺乳動物被験体(例えば、ヒト患者)に投与した場合に腎機能の標準的マーカーにおいて臨床的に有意な改善を生じるに十分であるならば、この因子の量は、「治療有効」であるといわれる。腎機能のこのようなマーカーは医学文献において周知であり、そしてBUNレベルの増加速度、血清クレアチニンの増加速度、BUNの静的測定、血清クレアチニンの静的測定、糸球体濾過速度(GFR)、BUN/クレアチニンの比、ナトリウム(Na+)の血清濃度、クレアチニンについての尿/血漿比、尿素についての尿/血漿比、尿重量オスモル濃度、1日あたりの尿排出量などを含むがこれらに限定されない(例えば、BrennerおよびLazarus(1994), Harrison's Principles of Internal Medicine, 第13版, Isselbacherら編,McGraw Hill Text, New York; LukeおよびStrom (1994), Internal Medicine, 第4版,J.H. Stein編, Mosby-Year Book, Inc. St. Louisを参照のこと)。
糸球体濾過速度(GFR) 「糸球体濾過速度」または「GFR」は、血清タンパク質によって結合されない血漿が担う基質の尿へのクリアランス速度に比例し、糸球体を横切って自由に濾過され、そして腎臓細管により分泌または再吸収されない。従って、本明細書で用いられるとき、好ましくは、GFRは以下の等式により規定される:
GFR = Uconc×V/Pconc
ここで、Uconcはマーカーの尿濃度であり、Pconcはマーカーの血漿濃度であり、そいてVはml/分で表した尿流速である。必要に応じて、GFRは、体表面積に対して補正される。従って、本明細書で用いられるGFR値は、ml/分/1.73m2の単位であると見なされ得る。
GFRの好適な測定は、イヌリンのクリアランスであるが、この物質の濃度を測定することの困難さのため、臨床設定では、代表的には、クレアチニンのクリアランスが用いられる。例えば、平均サイズの健康なヒト男性(70kg、20-40歳)について、クレアチニンクリアランスにより測定される代表的なGFRは、0.7-1.5mg/dLのクレアチニンの血漿濃度で約125ml/分であると予想される。比較のために、平均サイズの女性については、クレアチニンクリアランスにより測定される代表的なGFRは、0.5-1.3mg/dLのクレアチニンレベルで約115ml/分であると予想される。良好な健康の時間の間、ヒトGFR値は、約40歳まで比較的安定であり、代表的には、そのときにGFRは年齢とともに減少し始める。85または90歳まで生存する被験体については、GFRは、40歳における比較し得る値の50%まで減少し得る。
予測糸球体濾過速度(GFR exp ) 「予測GFR」または「GFRexp」の推定は、被験体の年齢、体重、性別、体表面積、および筋系の程度、および血液試験による測定される特定のマーカー化合物(例えばクレアチニン)の血漿濃度の考慮を基に提供され得る。従って、例として、予測GFRまたはGFRexpは、以下のように推定され得る:
GFRexp≒(140-年齢) ×体重(kg)/72×Pconc(mg/dl)
この推定は、表面積、筋系の程度、または体脂肪率のような因子を考慮していない。しかし、血漿クレアチニンレベルをマーカーとして用い、この式を、ヒト男性に対して、GFRを推定する安価な手段として採用されている。クレアチニンは横紋筋により産生されるので、ヒト女性被験体の予測GFRまたはGFRexpは、筋肉塊における予想される差異を考慮して0.85を乗じた同じ式により推定される。(Lemannら、(1990)Am.J.Kidney Dis. 16(3):236-243を参照のこと)。
広い円柱 形成された要素の存在に対する尿沈殿物の顕微鏡的検査は、尿検査における標準的手順である。尿中に存在し得る形成された要素の中に、代表的には、遠位回旋状細管または採集細管の管腔の型(mold)または「キャスト」を表す凝集物質の円筒形の塊がある。健康なヒト被験体では、代表的には、このようなキャストは、15-25μmの直径を有している。しかし、慢性腎不全を有する被験体では、細管の肥大により、正常なキャストの直径の2-6倍であり、そしてしばしば均質なワックス状の外観を有する「広い円柱」または「腎不全円柱」の存在を生じ得る。従って、本明細書で用いられる「広い円柱」は、ヒトのキャストについて、正常の2-6倍の、または約30-150μmの直径を有する尿沈殿物を意味する。
慢性。 尿円柱、測定されたGFR、または腎機能の他のマーカーのような臨床的徴候に関して本明細書中で使用される「慢性」は、少なくとも3ヶ月、そしてより好ましくは少なくとも6ヶ月の期間持続することを意味する。従って、例えば、測定されたGFRが慢性的にGFRexpの50%未満を有する被験体は、GFRが、少なくとも3ヶ月、そしてより好ましくは少なくとも6ヶ月の期間をあけた少なくとも2回の測定(この間の期間中に、GFRが実質的に(例えば、10%)高いことを信じる医学的に最もらしい理由はない)において測定され、そしてGFRexpの50%未満であることが見出された被験体である。
慢性腎不全のまたはその危険性のある被験体。 本明細書中で使用される場合、機能しているネフロン単位の漸進的損失に付随する腎機能の損失を患うことが被験体にかなり予想される場合に、被験体は、慢性腎不全のまたはその危険性がある、あるいは腎置換治療(すなわち、慢性血液透析、連続的腹膜透析、または腎移植)の必要の危険があると言われる。特定の被験体が慢性腎不全であるかまたはその危険性があるか否かは、関連する医学または獣医学の分野の当業者により日常的になされ得る決定である。慢性腎不全のまたはその危険性のある被験体、あるいは腎置換治療の必要性の危険のある被験体は、以下を含むがこれらに限定されない:慢性腎不全、末期腎疾患、慢性糖尿病性腎症、高血圧性腎硬化症、慢性糸球体硬化症、遺伝性腎炎、および/または腎異形成に罹患していると認められる被験体;糸球体肥大、尿細管肥大、慢性糸球体硬化症、および/または慢性尿細管間質性硬化症を示すバイオプシーを有する被験体;腎線維症を示す超音波スキャン、MRIスキャン、CATスキャン、または他の非侵襲性試験を有する被験体;尿沈渣に存在する異常な数の広い円柱を有する被験体;被験体について期待されるGFRの慢性的の約50%未満、そしてより好ましくは約40%、30%、または20%未満であるGFRを有する被験体;少なくとも約50kgの体重であり、そして慢性的に約50ml/分未満、そしてより好ましくは約40ml/分、30ml/分、または20ml/分未満であるGFRを有するヒト男性被験体;少なくとも約40kgの体重であり、そして慢性的に約40ml/分未満、そしてより特定的には約30ml/分、20ml/分、または10ml/分未満であるGFRを有するヒト女性被験体;健常であるがさもなければ類似の被験体によって保持される機能的ネフロン単位の数の約50%未満、そしてより特定的には約40%、30%、または20%未満である、機能的ネフロン単位の数を有する被験体;および腎移植レシピエントである被験体。
II. 好ましい実施態様の説明
A. 概論
本発明は、慢性腎不全のまたはその危険性のある被験体への特定のタンパク質ベースの腎治療因子の投与が、死亡率および/または罹患率を低減し、そして慢性腎不全を特徴づける腎機能の漸進的損失を防止、阻害、遅延、または軽減し得るという驚くべき知見に部分的に依存する。あるいは、またはさらに、本発明の腎治療因子の投与は、腎置換治療(すなわち、移植または慢性的透析)の必要性または死をゆっくりとしかし不可避的に導く機能的ネフロン単位の漸進的損失および糸球体濾過速度(GFR)の漸進的減少を防止、阻害または遅延し得る。好ましい実施態様において、本発明の治療因子は、タンパク質のTGF-βスーパーファミリー内の骨原性タンパク質/骨形成タンパク質(OP/BMP)ファミリーのメンバーである。
B.腎治療因子
本発明の腎治療因子は、タンパク質のTGF-βスーパーファミリー内の骨原性タンパク質/骨形成タンパク質(OP/BMP)ファミリーのメンバーにおいて、天然に存在するタンパク質または天然に存在するタンパク質の機能的改変体である。すなわち、これらのタンパク質は、TGF-βスーパーファミリーとして知られる配列に関連したタンパク質のゆるい進化的分類化において「OP/BMPファミリー」と本明細書中で呼ばれるはっきりとしたサブグループを形成する。このタンパク質ファミリーのメンバーは、共通の構造的特徴を共有し、そしてプロタンパク質から同様にプロセスされてカルボキシ末端成熟タンパク質を生じる分泌されたポリぺプチドを含む。この成熟タンパク質内に、全てのメンバーは、97〜106アミノ酸ドメインを規定する6または7個のシステイン残基の保存されたパターンを共有し、そしてこれらのタンパク質の活性形態は、単一のファミリーメンバーのジスルフィド結合ホモダイマーか、または2つの異なるメンバーのヘテロダイマーのいずれかである(例えば、Massague(1990),Annu. Rev. Cell Biol. 6:597; Sampathら(1990), J. Biol. Chem. 265:13198を参照のこと)。例えば、成熟ネイティブ形態において、天然供給源由来のヒトOP-1は、代表的にはSDS-PAGEで決定されるように、約30〜36kDaの見かけの分子量を有するグリコシル化ダイマーである。還元された場合、30kDaタンパク質は、約16kDaおよび18kDaの見かけの分子量を有する2つのグリコシル化ペプチドサブユニットを生じる。非グリコシル化タンパク質は約27kDaの見かけの分子量を有する。還元された場合、27kDaタンパク質は、約14kDa〜16kDaの分子量を有する2つの非グリコシル化ポリペプチド鎖を生じる。
代表的には、天然に生じるOP/BMPタンパク質は、N末端シグナルペプチド配列「プロ」ドメイン、および「成熟」タンパク質ドメインを有する前駆体として翻訳される。シグナルペプチドは、代表的には30残基未満であり、VonHeijne (1986), Nucleic Acids Research 14:4683-4691の方法を用いて予測され得る切断部位で、翻訳の際に迅速に切断される。「プロ」ドメインは配列および長さの両方において可変であり、約200〜400残基を超える範囲である。プロドメインは切断され、約115〜180残基の「成熟」C末端ドメインを生じる。これは97〜106残基の保存された6または7システインC末端ドメインを含む。本明細書中のOP/BMPファミリーメンバーの「プロ形態」は、各々がOP/BMPポリペプチドの成熟ドメインと共有または非共有結合したプロドメインを含むポリペプチドの折り畳まれた対を含むタンパク質をいう。代表的には、タンパク質のプロ形態は、生理学的条件下で、成熟形態よりも可溶性である。プロ形態は、培養哺乳動物細胞から分泌された1次形態であるようである。タンパク質の「成熟形態」は、プロドメインと共有または非共有のいずれでも結合していない成熟C末端ドメインをいう。OP-1の任意の調製物は、調製物におけるプロドメインの量が「成熟」C末端ドメインの量の5%を越えない場合、成熟形態を含むと考えられる。
本明細書中において有用なOP/BMPファミリーメンバーは、任意の公知の天然に存在するネイティブタンパク質(対立遺伝子対応物、系統学的対応物、およびそれらの変異体を含む(天然由来または生合成的に生成されたもの(例えば、「ムテイン」または「変異体タンパク質」を含む))、ならびにタンパク質のOP/BMPファミリーの新規の活性なメンバーを含む。
特に有用な配列は、哺乳動物、好ましくはヒトのC末端7システインドメイン(ヒトOP-1、OP-2、OP-3、BMP2、BMP3、BMP4、BMP5、BMP6、BMP8、およびBMP9)の配列を含む。本発明の実施において有用な他のタンパク質は、活性形態のGDF-5、GDF-6、GDF-7、DPP、Vgl、Vgr-1、60A、GDF-1、GDF-3、GDF-5、GDF-6、GDF-7、BMP10、BMP11、BMP13、BMP15、UNIVIN、NODAL、SCREW、ADMP、またはNURALおよびそれらのアミノ酸配列改変体を含む。現在好ましい1つの実施態様において、本発明の腎治療因子は、OP-1、OP-2、OP-3、BMP2、BMP3、BMP4、BMP5、BMP6、およびBMP9の任意の1つから選択される。
これらの配列、ならびにそれらの化学的および物理学的特性を開示する出版物は、以下を含む:OP-1およびOP-2:米国特許第5,011,691号、米国特許第5、266、683号、およびOzkaynakら(1990), EMBOJ.9:2085-2093;OP-3:WO94/10203; BMP2、BMP3、およびBMP4;米国特許第5,013,649号、WO91/18098、WO88/00205およびWozneyら(1988),Science 242:1528-1534; BMP5およびBMP6: WO90/11366、およびCelesteら(1991), Proc. Natl.Acad. Sci (USA) 87:9843-9847; Vgr-1: Lyonsら(1989), Proc. Natl. Acad.Sci.(USA)86:4554-4558: DPP: Padgettら(1987), Nature 325:81-84; Vgl: Weeks(1987),Cell 51:861-867; BMP-9: WO95/33830; BMP10; WO94/26893; BMP−11: WO94/26892;BMP12: WO95/16035; BMP-13: WO95/16031; GDF-1: WO92/00382、およびLeeら(1991),Proc.Natl.Acad.Sci.(USA) 88:4250-4254; GDF-8: WO94/21681; GDF-9: WO94/15966;GDF-10: WO95/10539; GDF-11: WO96/01845; BMP-15: WO96/36710; MP121: WO96/01316;GDF-5 (CDMP-1, MP52): WO94/15949, WO96/14335, WO93/16099、およびStormら(1994),Nature 368:639-643; GDF-6 (CDMP-2, BMP13): WO95/01801, WO96/14335、およびWO95/10635;GDF-7 (CDMP-3, BMP12): WO95/10802およびWO95/10635; BMP-3b: Takaoら(1996),Biochem.Biophys.Res.Comm.219:656-662; GDF-3: WO94/15965; 60A: Blasterら(1993),Cell 73:687-702およびGenBankアクセス番号L12032。別の実施態様において、有用なタンパク質は、新規な生合成タンパク質、および2つ以上の公知のOP/BMPファミリータンパク質由来の配列を用いて設計されたキメラタンパク質を含む、生物学的に活性な生合成構築物を含む。米国特許第5,011,691号(この開示は本明細書中に参照として援用される)において開示された生合成構築物もまた参照のこと(例えば、COP-1、COP-3、COP-4、COP-5、COP-7、およびCOP-16)。
他の好ましい実施態様において、本明細書中において有用な腎治療因子は、アミノ酸配列が、少なくとも70%のアミノ酸配列「相同性」、そして好ましくは、ヒトOP-1の活性形態に存在するC末端7システインドメイン(すなわち、米国特許第5,266,683号の配列番号2に示される残基330〜431)と75%または80%の同一性を共有する配列を含む、治療的に有効なタンパク質を含む。他の好ましい実施態様において、本明細書中において有用な腎治療因子は、アミノ酸配列が、少なくとも60%のアミノ酸相同性、そして好ましくは、ヒトOP-1の活性形態に存在するC末端7システインドメインと65%または70%の相同性を共有する配列を含む、治療的に有効なタンパク質を含む。従って、本発明における治療的効果を有すると考えられる候補アミノ酸配列は、Alignプログラム(DNAstar,Inc.)のようなコンピュータープログラムによって便利に実行されるNeedlemanら((1970), J.Mol.Biol.48:443-453)の方法を用いて、ヒトOP-1のC末端7システインドメインのアミノ酸配列と整列され得る。当業者によって理解されるように、相同性または機能的に等価な配列は、保存されたシステインドメイン内にシステイン残基の機能的に等価な配置を含む。これは、これらのシステインの直線状配置を改変するが、ダイマー性タンパク質の折り畳まれた構造におけるそれらの関係(生物学的活性に必要であり得る、例えば鎖内または鎖間ジスルフィド結合を形成するそれらの能力を含む)を物質的に損なわないアミノ酸挿入または欠失を含む。従って、候補配列における内部ギャップおよびアミノ酸挿入は、候補配列と参照配列との間のアミノ酸配列相同性または同一性のレベルを計算する目的のためには無視される。
「アミノ酸配列相同性」は、本明細書中で、アミノ酸配列同一性および類似性の両方を含むことが理解される。従って、本明細書中で使用される2つのアミノ酸配列の間の「相同性」割合は、配列の間で同一または類似であるアミノ酸残基の割合を示す。「類似」残基は、Dayhoffら(1978), Atlas of Protein Sequence and Structure、 第5巻、(補遺3)354〜352頁,Natl.Biomed.Res.Found., Washington, D.C.における「許容される点変異」について規定された基準を満たす「保存的置換」である。従って、「保存的置換」は、対応する参照残基に物理学的または機能的に類似し、類似のサイズ、形態、電荷、および/または化学的特性(例えば、共有または水素結合を形成する能力など)を有する残基である。保存的置換の例は、1つのアミノ酸と類似の特徴を有する別のアミノ酸との置換を含む。例えば、以下の群内での置換を含む:(a)バリン、グリシン;(b)グリシン、アラニン;(c)バリン、イソロイシン、ロイシン;(d)アスパラギン酸、グルタミン酸;(e)アスパラギン、グルタミン;(f)セリン、スレオニン;(g)リジン、アルギニン、メチオニン、;および(h)フェニルアラニン、チロシン。用語「保存的置換」または「保存的変異」もまた、生じる置換ポリペプチド鎖がまた、本発明の治療効果を有する限り、所定のポリペプチド鎖における置換されていない親アミノ酸の代わりに、置換されたアミノ酸の使用を含む。
本発明の腎治療因子はまた、当業者により容易に確認され得る生物学的活性によって特徴付けられる。詳細には、本発明の腎治療因子は、(a)Reddi-Sampath 異所性骨アッセイ(Sampath およびReddi (1981), Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)78:7599-7603)もしくは実質的に等価なアッセイにおいて軟骨形成を誘導し得るか、(b)慢性腎不全の標準的動物モデルにおける腎機能の漸進的損失を、有意に防止、阻害、遅延、または軽減し得るか、もしくは(c)慢性腎不全を罹患するか、または慢性腎不全の危険性を有する哺乳動物に投与された場合に、腎機能の標準的マーカーに臨床的に有意な改善を生じ得る。
Reddi-Sampath異所性骨アッセイは、軟骨形成活性のアッセイとして当該分野で周知である。容易に実施され得るアッセイは、例えば、SampathおよびReddi(1981),Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)78:7599-7603;ならびにWozney(1989)「BoneMorphogenetic Proteins」Progress in Growth Factor Research 1:267-280に記載されそして議論されている。他の動物および組織部位を使用する多くの等価なアッセイが、本発明の腎治療因子の生物学的活性を評価するために、当業者によって使用または開発され得る。例えば、米国特許第5,226,683号に記載のバイオアッセイを参照のこと。
本発明の腎治療因子はまた、慢性腎不全の動物モデルにおいて試験され得る。慢性腎不全の哺乳動物モデル(例えば、マウス、ラット、モルモット、ネコ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ、ウマ、および非ヒト霊長類)は、動物の腎臓組織に適切な直接的または間接的損傷または侵襲を生じさせることによって作製しされ得る。慢性腎不全の動物モデルは、例えば、部分的な(例えば、5/6)腎摘出を行うことによって作製され、これは、代償的な腎臓肥大、さらなるネフロン損失、および慢性腎不全を特徴づける腎機能の漸進的減少を開始させるレベルまで、機能しているネフロン単位の数を低減させる。
最後に、本発明の腎治療因子は、慢性腎不全の、またはその危険性のある哺乳動物被験体(例えば、ヒト患者)に投与する場合、腎機能の標準的なマーカーにおいて臨床的に有意な改善をもたらすことにおけるその治療的効果を評価され得る。このような腎機能のマーカーは、医学文献において周知であり、そして、BUNレベルにおける増加の割合、血清クレアニチンにおける増加の割合、BUNの静的測定、血清クレアニチンの静的測定、糸球体濾過速度(GFR)、BUN/クレアニチンの割合、ナトリウムの血清濃度(Na+)、クレアニチンについての尿/血漿比、尿素についての尿/血漿比、尿重量浸透圧モル濃度、日々の尿排出などが含まれるが、これらに限定されない(例えば、BrennerおよびLazarus(1994),Harrison's Principles of Internal Medicine,第13版、Isselbacherら編、McGraw Hill Text,New York;LukeおよびStrom(1994), Internal Medicine,第4版、J.H.Stein編、Mosby-Year Book,Inc. St. Louisを参照のこと)。
本明細書中で意図される腎治療因子は、無償もしくは切断されたゲノムもしくはcDNAまたは原核生物もしくは真核生物宿主細胞中の合成DNAから発現され得る。ダイマータンパク質は、培養培地から単離され、そして/またはインビトロでリフォールディングされ、そしてダイマー化され、生物学的に活性な組成物を形成し得る。ヘテロダイマーは、別々の異なるポリペプチド鎖を結合させることによってインビトロで形成され得る。あるいは、ヘテロダイマーは、別々の異なるポリペプチド鎖をコードする核酸を同時発現することによって単細胞中に形成され得る。例えば、いくつかの例示的な組換えヘテロダイマータンパク質生成プロトコルについては、WO93/09229または米国特許第5,411,941号を参照のこと。現在の好ましい宿主細胞としては、E.coliを含む原核生物、または酵母、Saccharomyces、昆虫細胞、または哺乳動物細胞(例えば、CHO、COS、またはBSC細胞)を含む真核生物が挙げられるが、これらに限定されない。当業者には、他の宿主細胞を使用して利点を得られ得ることは明白である。本発明の実施(軟骨形成活性についての作製法、使用法、および試験法を含む)に有用なタンパク質の詳細な説明は、米国特許第5,266,683号および同第5,011,691号を含む多数の刊行物に開示され、これらの開示を、本明細書中で参考として援用する。
C.形態形成因子、誘導因子、およびアゴニスト
表1(以下)は、現在までに同定されているOP/BMPファミリーの種々の天然に生じるメンバーを要約する。これは、本明細書中で使用されるそれらの命名法、それらの配列表、および配列表に含まれない完全長タンパク質のアミノ酸配列についての源刊行物(pablicationsource)を含む。表1に示される各一般用語は、以下の記載および配列表に示される同定された配列、または活性フラグメントもしくはその前駆体、または天然に存在するかまたは生合成的改変体のようなそれらの機能的等価物をコードする核酸から発現される治療的に有効なタンパク質を包括することが意図され、そして理解されるべきである。天然に存在する改変体としては、単一の生物学的種の他の個体から単離された対立遺伝子改変体形態、ならびに系統学的に個別の生物学的種から単離された種改変体(ホモログ)が挙げられる。
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図7に示されるように、OP-2およびOP-3タンパク質は、保存されたC末端領域にさらなるシステイン残基を有する(例えば、配列番号6および7の残基41を参照のこと)。GDF-1タンパク質は、保存されたC末端システインドメイン内に4つのアミノ酸挿入物を有する(配列番号13の残基44〜47)。さらに、BMP-2およびBMP-4タンパク質は、システインドメイン内の1つのアミノ酸残基を欠失する。従って、図7におけるこれらのアミノ酸配列のアラインメントは、ヒトOP-1、配列番号4の残基38〜139の好ましい参照配列に関して本明細書中で使用されるアラインメントの原則を示す。
以前の節において記載されたOP/BMP腎治療因子に加えて、本発明は、本明細書中に定義される「形態形成因子」を用いて実施され得る。本発明において有用な形態形成因子は、形態形成因子ポリぺプチドのアミノ酸配列が、前記の天然のOP/BMPファミリーメンバーから選択される参照配列に対して、少なくとも70%のアミノ酸配列相同性または「類似性」、そして好ましくは80%の相同性または類似性を含むものを含む。好ましくは、参照タンパク質は、ヒトOP-1であり、その参照配列は、ヒトOP-1(配列番号4の残基38〜139)の活性化形態で存在するC末端7システインドメインである。したがって、本明細書中で有用な形態形成因子は、好ましい参照配列の対立遺伝子対応物、系統学的な対応物、および他の改変体(天然に存在するかまたは生合成的に産生される(例えば、「ムテイン」または「変異体タンパク質」))、ならびに前記のそして先に同定された(例えば、表1に関連して)タンパク質のOP/BMPファミリーの新規なメンバーを含む。特定の特に好ましい形態形成因子は、ヒトOP-1の好ましい参照配列と少なくとも60%のアミノ酸同一性を、なおより好ましくは少なくとも65%のアミノ酸同一性を共有する。
他の好ましい実施態様において、本発明で有用な形態形成因子ポリぺプチドは、一般的なアミノ酸配列によって規定される。例えば、以下に開示される一般配列7(配列番号1)および一般配列8(配列番号2)は、現在までに同定されている好ましいOP/BMPタンパク質ファミリーメンバー(少なくとも、OP-1、OP-2、OP-3、BMP-2、BMP-3、BMP-4、60A、DPP、Vg1、BMP-5、BMP-6、Vgr-1、およびGDF-1(配列番号4〜15、24、および26〜29)の間で共有される相同性に適応する。一般配列は、6および7システインドメイン(それぞれ、一般配列7および8)によって規定されるC末端ドメインにおいてこれらの配列によって共有されるアミノ酸同一性、ならびに配列内の可変位置についての代替の残基の両方を含む。一般配列は、分子間または分子内ジスルフィド結合が、折り畳まれたタンパク質の三次構造に影響を与え得る特定の重要なアミノ酸を形成しそして含有し得る適切なシステインドメインを提供する。さらに、一般配列は、41位(一般配列7)または46位(一般配列8)に、さらなるシステインを許容し、それにより、OP-2およびOP-3の活性配列を包含する。
Figure 2009185076
ここで、各Xaaは、以下に規定される1つまたはそれ以上の特定のアミノ酸の群から独立して選択される:「Res.」は「残基」を意味し、そしてres.2でXaa=(TyrまたはLys);res.3でXaa=(ValまたはIle);res.4でXaa=(Ser、Asp、またはGlu); res.6でXaa=(Arg、Glu、Ser、Lys、またはAla); res.7でXaa=(AspまたはGlu);res.8でXaa=(Leu、Val、またはIle); res.11でXaa=(Gln、Leu、Asp、His、Asn、またはSer); res.12でXaa=(Asp、Arg、Asn、またはGlu);res.13でXaa=(TrpまたはSer); res.14でXaa=(IleまたはVal); res.15でXaa=(IleまたはVal); res.16でXaa=(AlaまたはSer);res.18でXaa=(Glu、Gln、Leu、Lys、Pro、またはArg); res.19でXaa=(GlyまたはSer); res.20でXaa=(TyrまたはPhe);res.21でXaa=(Ala、Ser、Asp、Met、His、Gln、Leu、またはGly); res.23でXaa=(Tyr、Asn、またはPhe);res.26でXaa=(Glu、His、Tyr、Asp、Gln、Ala、またはSer); res.28でXaa=(Glu、Lys、Asp、Gln、またはAla);res.30でXaa=(Ala、Ser、Pro、Gln、Ile、またはAsn); res.31でXaa=(Phe、Leu、またはTyr); res.33でXaa=(Leu、Val、またはMet);res.34でXaa=(Asn、Asp、Ala、Thr、またはPro); res.35でXaa=(Ser、Asp、Glu、Leu、Ala、またはLys) ;res.36でXaa=(Tyr、Cys、His、Ser、またはIle); res.37でXaa=(Met、Phe、Gly、またはLeu) ; res.38でXaa=(Asn、Ser、またはLys); res.39でXaa=(Ala、Ser、Gly、またはPro) ; res.40でXaa=(Thr、Leu、またはSer); res.44でXaa=(Ile、Val、またはThr);res.45でXaa=(Val、Leu、Met、またはIle); res.46でXaa=(GlnまたはArg); res.47でXaa=(Thr、Ala、またはSer);res.48でXaa=(LeuまたはIle); res.49でXaa=(ValまたはMet); res.50でXaa=(His、Asn、またはArg);res.51でXaa=(Phe、Leu、Asn、Ser、Ala、またはVal); res.52でXaa=(Ile、Met、Asn、Ala、Val、Gly、またはLeu);res.53でXaa=(Asn、Lys、Ala、Glu、Gly、またはPhe); res.54でXaa=(Pro、Ser、またはVal); res.55でXaa=(Glu、Asp、Asn、Gly、Val、Pro、またはLys);res.56でXaa=(Thr、Ala、Val、Lys、Asp、Tyr、Ser、Gly、Ile、またはHis); res.57でXaa=(Val、Ala、またはIle);res.58でXaa=(ProまたはAsp); res.59でXaa=(Lys、Leu、またはGlu); res.60でXaa=(Pro、Val、またはAla);res.63でXaa=(AlaまたはVal); res.65でXaa=(Thr、Ala、またはGlu); res.66でXaa=(Gln、Lys、Arg、またはGlu);res.67でXaa=(Leu、Met、またはVal); res.68でXaa=(Asn、Ser、Asp、またはGly); res.69でXaa=(Ala、Pro、またはSer);res.70でXaa=(Ile、Thr、Val、またはLeu); res.71でXaa=(Ser、Ala、またはPro); res.72でXaa=(Val、Leu、Met、またはIle);res.74でXaa=(TyrまたはPhe); res.75でXaa=(Phe、Tyr、Leu、またはHis); res.76でXaa=(Asp、Asn、またはLeu);res.77でXaa=(Asp、Glu、Asn、Arg、またはSer); res.78でXaa=(Ser、Gln、Asn、Tyr、またはAsp);res.79でXaa=(Ser、Asn、Asp、Glu、またはLys); res.80でXaa=(Asn、Thr、またはLys); res.82でXaa=(Ile、Val、またはAsn);res.84でXaa=(LysまたはArg); res.85でXaa=(Lys、Asn、Gln、His、Arg、またはVal); res.86でXaa=(Tyr、Glu、またはHis);res.87でXaa=(Arg、Gln、Glu、またはPro); res.88でXaa=(Asn、Glu、Trp、またはAsp); res.90でXaa=(Val、Thr、Ala、またはIle);res.92でXaa=(Arg、Lys、Val、Asp、Gln、またはGlu); res.93でXaa=(Ala、Gly、Glu、またはSer);res.95でXaa=(GlyまたはAla); res.97でXaa=(HisまたはArg)。

一般配列8(配列番号2)は、一般配列7の全てを含み、そしてさらに以下の配列(配列番号14)をそのN末端に含む:
Figure 2009185076

それゆえ、残基7から始まる、一般配列8における各「Xaa」は、一般配列7について定義される特定のアミノ酸であり、一般配列7について記載される番号が、一般配列8において5個シフトしていることで区別される。従って、一般配列7中の「残基2におけるXaa(TyrまたはLys)」は、一般配列8中の残基7におけるXaaを指す。一般配列8において、残基2におけるXaa=(Lys、Arg、Ala、またはGln)であり;残基3におけるXaa=(Lys、Arg、またはMet)であり;残基4におけるXaa=(His、Arg、またはGln)であり;そして残基5におけるXaa=(Glu、Ser、His、Gly、Arg、Pro、Thr、またはTyr)である。
上記のように、本発明において有用である現在好ましい形態形成因子ポリペプチド配列は、hOP-1の好ましい参照配列を定義する配列と60%を越える同一性、好ましくは65%を越える同一性を有する。これらの特に好ましい配列は、OP-1およびOP-2の対立改変体および系統的に相対する改変体(Drosophila60Aタンパク質を含む)を含む。それゆえ、特に好ましい実施態様において、有用な形態形成因子は、本明細書中で「OPX」(配列番号3)というジェネリックアミノ酸配列(これは、7つのシステインドメインを定義し、そしていくつかの同定されたOP-1およびOP-2の改変体との相同性に適応する)内のポリペプチド鎖の対を含む活性タンパク質を含む。そこに記載のように、所定の位置における各Xaaは、マウスまたはヒトOP-1およびOP-2のC末端配列における対応する位置に存在する残基から独立して選択される(配列番号4〜7および/または配列番号15〜22を参照のこと)。
さらに他の好ましい実施態様において、有用な形態形成因子ポリペプチドは、参照形態形成因子配列をコードするDNAまたはRNAに、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする核酸によってコードされる配列を含む、アミノ酸配列である(例えば、OP-1およびOP-2の保存されたC末端の7つのドメインを定義する末端配列、例えば、配列番号15および19の、それぞれヌクレオチド1036〜1341およびヌクレオチド1390〜1695)。本明細書中で使用される場合、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、40%ホルムアミド、5×SSPE、5×デンハート液、および0.1%SDS中で37℃にて一晩、そして0.1×SSPE、0.1%SDS中で50℃にて洗浄の、公知の技術に従うハイブリダイゼーションとして定義される。
上記のように、本発明に有用である形態形成因子は、一般的に、上記ポリペプチドの折り畳まれた対を含むダイマータンパク質である。形態形成因子は還元された場合には不活性であるが、酸化されたホモダイマーとしては、および本発明の他の形態形成因子ポリペプチドと組み合わせて酸化されてヘテロダイマーを生成する場合には、活性である。従って、形態形成的に活性なタンパク質中の形態形成因子ポリペプチドの折り畳まれた対のメンバーは、任意の特定の上記形態形成因子ポリペプチドから独立して選択され得る。上記のように、タンパク質は、一般的にそれが新規の器官特異的組織の形成の最高潮にある細胞性および分子性事象の発達的カスケードを誘導する場合、本明細書中では形態形成性である。形態形成因子は、一般的に、形態形成的に許容性の環境において以下の生物学的機能の全てを誘導し得る:前駆細胞の増殖の刺激;前駆細胞の分化の刺激;分化した細胞の増殖の刺激;ならびに分化した細胞の増殖および維持の支持。
本発明の方法、組成物、および装置において有用である形態形成因子は、天然に存在する供給源に由来するかまたは組換えDNAもしくは他の合成技術によって合成される、任意の上記ポリペプチド鎖を含むタンパク質を含み、そしてそれらのタンパク質の対立改変体または系統的に相対する改変体、ならびにそれらの生合成改変体(ムテイン)、ならびに種々の切断型および融合構築物を含む。欠失変異体または付加変異体もまた活性であると想定され、これらは保存されたC末端の6または7つのシステインドメインが変化し得る変異体を含む(ただし、この変化は、折り畳み構造におけるこれらシステインの関係を機能的に破壊しない)。それゆえ、このような活性形態は、本明細書中に開示される特定の記載された構築物の等価物であると考えられる。タンパク質は、種々のグリコシル化様式を有する形態、種々のN末端、アミノ酸配列相同性の領域を有する関連タンパク質のファミリー、および宿主細胞において組換えDNAの発現によって産生された天然タンパク質または生合成タンパク質の活性な切断型形態または変異形態を含む。
本明細書中の図7は、天然に存在するタンパク質(OP/BMP腎治療因子として本明細書中で同定または理解されている)の活性領域のアミノ酸配列の整列を示し、これには以下が含まれる:ヒトOP-1(hOP-1、配列番号4および15〜16)、マウスOP-1(mOP-1、配列番号5および17〜18)、ヒトOP-2およびマウスOP-2(配列番号6、7、および19〜22)、マウスOP-3(配列番号25〜26)、BMP-2(配列番号8)、BMP-4(配列番号9)、BMP-3(配列番号27)、DPP(Drosophila由来、配列番号10)、Vgl(Xenopus由来、配列番号11)、Vgr-1(マウス由来、配列番号12)、GDF-1(マウスおよび/またはヒト由来、配列番号13、30、および31)、60Aタンパク質(Drosophila由来、配列番号23および24)、BMP-5(配列番号28)、およびBMP-6(配列番号29)。配列は、Needlemanら(1970)J.Mol.Biol.,48:443-453の方法に本質的に従って整列させ、Align Program(DNAstar, Inc.)を用いて計算した。図7において、3つの点は、その位置におけるアミノ酸がhOP-1中の対応するアミノ酸と同じであることを示す。3つの横線は、その位置にアミノ酸が存在しないことを示し、そして相同性を例示する目的で含まれている。例えば、BMP-2(CBMP-2A)およびBMP-4(CBMP-2B)のアミノ酸残基60は「欠失」している。当然ながら、この領域におけるこれらアミノ酸配列の両方はAsn-Serを含み(残基58、59)、そしてBMP-2はLysおよびIleを含み、一方BMP-4はSerおよびIleを含む。図7はまた、形態形成因子アミノ酸配列における挿入の扱いを例示する:BMP-3の残基56と57との間にはVal残基が挿入される;GDF-1の残基43と44との間にはアミノ酸配列Gly-Gly-Pro-Proが挿入される。参照形態形成因子配列からのこのような偏差は、定義される関係(例えば、GDF-1とhOP-1との)を計算するためには無視される。図7に示されるアミノ酸配列の比較から明らかであるように、有意なアミノ酸変化が、活性を保持しつつ、参照配列からなされ得る。例えば、図7に示されるGDF-1配列がそこに記載されるhOP-1配列と約50%のアミノ酸相同性のみを共有する一方で、GDF-1配列はhOP-1配列と70%を越えるアミノ酸相同性(または「類似性」)を共有し、ここで「相同性」または「類似性」は、整列した配列内での許容される保存的アミノ酸置換(例えば、Dayhoffら(1979)5Atlas of Protein Sequence and Structure 補遺 3, 345-362頁(M.O. Dayhoff編,Natl. BioMed. Res. Found., Washington D.C.)によって定義される)を含む。
従って、さらに別に好ましい局面において、本発明は、本明細書中で「OPX」と呼ばれる一般的なアミノ酸配列を有するポリペプチド鎖の種を含む形態形成因子を含み、これは7つのシステインドメインを規定し、そして種々の同定されたOP-1タンパク質とOP-2タンパク質との間の同一性および相同性を供給する。OPXは、配列番号3中に示される。その中で記載されるように、所定の位置での各Xaaは、ヒトまたはマウスのOP-1もしくはOP-2のC末端配列内の対応する位置に存在する残基から独立して選択される(図7および配列番号4〜7、および/または配列番号15〜22を参照のこと)。
実施態様の別のセットにおいて、哺乳動物におけるOP/BMP腎治療因子または形態形成因子の内在性発現の増加を刺激するかまたは誘導する能力のある有効量の薬剤が、投与され得る。例えば、OP-1の生成および/または腎臓組織からの分泌を刺激または誘導する能力のある薬剤は、例えば哺乳動物への全身投与によるかまたは形態形成因子刺激因子の腎臓組織への直接投与により、哺乳動物へ提供され得る。あるいは、形態形成因子刺激因子または「形態形成因子誘導因子」は、離れた部位(例えば、腎臓組織以外の組織部位)での形態形成因子発現および/または分泌を誘導し得、発現された形態形成因子は腎臓組織へ循環する。所定の組織において内在性形態形成因子のレベルを調節する能力のある薬剤を同定および試験するための方法は、公開された出願WO93/05172およびWO93/05751(その教示は本明細書中に参考として援用される)に詳細に記載される。手短に言えば、候補化合物は、化合物がその組織の細胞により生成される形態形成因子の産生(すなわち、発現および/または分泌)に影響することを可能にするのに十分な時間の間、試験組織もしくはその細胞、またはそれらに由来する培養細胞株とのインビトロでのインキュベーションによって同定および試験され得る。ここで、適切な組織、または適切な組織の培養細胞は、好ましくは腎臓上皮細胞、線維芽細胞、および造骨細胞から選択され得る。
別のシリーズの実施態様において、OP/BMP腎治療因子または形態形成因子レセプターのアゴニストとして作用する因子は、OP/BMP腎治療因子または形態形成因子自体のかわりに投与され得る。このような因子はまた、形態形成因子「模倣体(mimic)」、「模倣物(mimetic)」または「アナログ」と呼ばれ得る。従って、例えば、OP/BMP腎治療因子または形態形成因子のレセプターへの結合およびその活性化において、OP/BMP腎治療因子または形態形成因子の活性を模倣し得る小ペプチドまたは他の分子は、OP/BMP腎治療因子または形態形成因子の同等物として使用され得る。好ましくはアゴニストは、完全なアゴニストであるが、部分的なレセプターアゴニストもまた、有利に使用され得る。このようなアゴニストを同定する方法は、当該分野で公知であり、そして形態形成因子仲介応答(例えば、後腎間葉の分化の誘導、軟骨内の骨形成の誘導)を誘導する化合物のためのアッセイを含む。例えば、形態形成因子誘導因子または形態形成因子レセプターのアゴニストを同定する方法は、1995年6月7日に出願された米国特許出願第08/478,097号、および1995年7月26日に出願された米国特許出願第08/507,598号、(これらの開示は、本明細書中で参考として援用される)において見出され得る。
最後に、別の実施態様において、OP/BMP腎治療因子または形態形成因子の供給源として作用するためおよび/またはさらなる機能的腎臓組織の供給源を提供するために、細胞は、慢性腎不全であるかもしくは慢性腎不全の危険性がある、または腎置換治療を必要とする危険性のある被験体の腎臓へ移植され得る。このような細胞は、OP/BMP腎治療因子もしくは形態形成因子を通常発現する、OP/BMP腎治療因子もしくは形態形成因子を発現するように形質転換されている、またはOP/BMP腎治療因子もしくは形態形成因子で処理されている宿主細胞またはドナー細胞であり得る。
D.処置のための被験体
一般的な問題として、本発明の方法は、慢性腎不全であるかもしくは慢性腎不全の危険性がある、または腎置換治療(すなわち、長期的透析または腎臓移植)を必要とする危険性のある任意の哺乳動物被験体について用いられ得る。本発明の方法に従って処置され得る哺乳動物被験体は、ヒト被験体または患者を含むが、これらに限定されない。しかし、さらに、本発明は、ヒトの仲間(companion)として養われるか(例えば、イヌ、ネコ、ウマ)、重要な商品的価値を有するか(例えば、乳牛、肉牛、スポーツ用動物)、重要な科学的価値を有するか(例えば、絶滅寸前の種の捕獲されたもしくは自由な標本)、または別の価値を有する家畜化哺乳動物の処置に使用され得る。さらに、一般的な問題として、本発明の方法を用いる処置のための被験体は、慢性腎不全の危険と関連する徴候以外の、OP/BMP腎治療因子または形態形成因子での処置のための徴候を示す必要はない。すなわち、処置のための被験体は、そうでなければ本発明に従う処置のための徴候のないことが期待される。しかし、いくつかの場合において、被験体は、OP/BMP腎治療因子または形態形成因子を用いる処置がそのために示される他の症状(例えば、骨異形成)を現し得る。そのような場合において、処置は、過剰な投薬を避けるために然るべく調整されるべきである。
医学または獣医学の当業者は、慢性腎不全の実質的な危険にあり得るか、または腎置換治療を必要とする実質的な危険にあり得る被験体を認識するために訓練される。特に、現在開示されるおよび他の処置の方法に関連する、臨床試験および非臨床試験、ならびに蓄積された経験は、所定の被験体が慢性腎不全であるかもしくは慢性腎不全の危険にあるか、または腎置換治療を必要とする危険にあるかどうか、そして任意の特定の処置が被験体の要求に最も一致するかどうかを決断することにおいて熟練した開業医に情報を与えることが期待され、これは本発明に従う処置を含む。
一般的な問題として、被験体が典型的に機能的ネフロン単位の漸進的損失に関連する腎機能の漸進的損失に導く状態にすでに罹患していると診断されているか、または罹患しているとみなされる場合、哺乳動物被験体は、慢性腎不全であるかもしくは慢性腎不全の危険にあるか、または腎置換治療を必要とする危険にあるとみなされ得る。そのような状態は、慢性腎不全、終期腎疾患、慢性糖尿病性腎症、高血圧性腎硬化症、慢性糸球体腎炎、遺伝的腎炎、腎異形成などを含むが、これらに限定されない。当該分野において公知のこれらならびに他の疾患および状態は、典型的には機能的ネフロンの漸進的損失および慢性腎不全の開始を導く。
頻繁に、医学または獣医学の当業者は、予後、診断または処置の決断を腎臓バイオプシーサンプルの試験に基づき得る。このようなバイオプシーは、腎臓の障害の診断に有用な豊富な情報を提供するが、手順の侵襲性、およびおそらく不健康な腎臓への付加的な傷により、全ての被験体に適切ではないかもしれない。それにもかかわらず、慢性腎不全であるかもしくは慢性腎不全の危険にあるか、または腎置換治療を必要とする危険にある被験体は、糸球体肥大、尿細管肥大、糸球体硬化症、尿細管硬化症などを含むがこれらに限定されない、腎臓のバイオプシーからの組織学的徴候により認識され得る。
腎臓の形態を評価するためのより侵襲性の少ない技法は、MRI、CAT、および超音波スキャンを含む。造影剤または画像化剤(例えば、放射活性色素)を使用するスキャン技法もまた利用可能であるが、それらのいくつかは、腎臓の組織および構造に特に毒性であり、そしてそれ故それらの使用は、慢性腎不全であるかまたは慢性腎不全の危険にある被験体において無分別であり得ることに留意すべきである。そのような非侵襲性スキャン技法は、腎臓の繊維症または硬化症、病巣の腎臓の壊死、腎臓の嚢胞(cysts)、および被験体を慢性腎不全にするかもしくは慢性腎不全の危険に置くか、または腎置換治療を必要とする危険に置く腎臓の顕著な(gross)肥大のような状態を検出するために使用され得る。
極めて頻繁に、予後、診断および/または処置の決定は、腎機能の臨床的徴候に基づく。このような徴候の一つは、異常な数の「広い(broad)」または「腎不全」の円柱(cast)の尿沈渣における存在であり、これは尿細管の肥大の指標であり、そして慢性腎不全を代表する代償的な腎肥大を示唆する。腎機能のよりよい指標は、糸球体の流速(GFR)であり、これは特定のマーカーのクリアランスの速度を数量化することにより直接測定され得るか、または間接的測定から推定され得る。
本発明は、GFRの測定にも慢性腎不全の診断にも関しないことに注意すべきである。したがって、本発明の処置方法は、GFRの特定の測定値または腎機能の他の特定のマーカーを提示する被験体に限定される必要はない。確かに、必ずしも、被験体のGFRまたは腎機能の他の特定のマーカーが、本発明の処置を実施する前に決定される必要はない。にもかかわらず、GFRの測定は、腎機能の評価の好適な手段であると考えられる。
当該分野において周知のように、GFRは、血漿から尿への参照化合物またはマーカー化合物のクリアランス速度を反映する。考慮されるべきマーカー化合物は、代表的には、腎糸球体によって自由に濾過されるが、尿細管によって能動的に分泌も再吸収もされず、そして循環タンパク質によって有意に結合されない化合物である。クリアランス速度は、代表的には、24時間で産生される尿量、および尿中および血漿中のマーカーの相対的濃度に関する上記の式によって定義される。より正確であるためには、GFRはまた、体表面積に関して較正されるべきである。「最も標準的な(gold standard)」参照化合物は、その濾過特性および血清結合の欠如のため、イヌリンである。しかし、この化合物の濃度は、血中または尿中で定量することが困難である。したがって、他の化合物(p-アミノ馬尿酸(PAH)およびクレアチニンを含む)のクリアランス速度が、しばしば、イヌリンに代えて使用される。さらに、マーカーの正確な尿中濃度、正確な1日尿量、または正確な体表面積の考慮を省略することによって、正確なGFRの推定を単純化しようとする種々の式が、しばしば用いられる。これらの値は、他の要因に基づく推定値、同じ被験体について確立されたベースライン値、または同様な被験体についての標準的な値で置換され得る。しかし、これらの推定値は、注意して使用されるべきである。なぜなら、これらは、正常または健康な被験体の腎機能に基づく不適切な仮定を強い得るからである。
特定の特徴を有する健康な被験体について予想されるGFR値を記述する種々の方法および式が、当該分野において開発された。特に、血漿クレアチニンレベル、年齢、体重および性別に基づいて予想されるGFR値を提供する式は利用可能である。予想されるGFRについての1つのそのような式は、上に記載される。他の式ももちろん用いられ得る。標準的な値の表は、所定の年齢、体重、性別、および/または血漿クレアチニン濃度の被験体について作成され得る。(例えば、NMRまたはMRI技術を使用して)GFRを測定または推定するより新規な方法もまた、今や当該分野において利用可能であり、そして本発明に従って使用され得る(例えば、米国特許第5,100,646号および第5,335,660号を参照)。
一般的なこととして、GFRが測定または推定される様式にかかわらず、被験体が、慢性的に、その被験体について予想されるGFRの約50%未満であるGFRを有する場合、被験体は、慢性腎不全であるかもしくはその危険にあるかまたは腎置換治療を必要とする危険にあると考えられ得る。GFRがより低く下がるにつれて、危険はより大きいと考えられる。したがって、被験体が、慢性的に、予想されるGFRの約40%、30%、または20%未満であるGFRを有する場合、被験体は、ますます危険であると考えられる。
一般的なこととして、GFRが測定または推定される様式にかかわらず、体重が少なくとも約50kgであるヒト男性被験体は、その被験体が、慢性的に、約50ml/分未満であるGFRを有する場合、慢性腎不全であるかもしくはその危険にあるかまたは腎置換治療を必要とする危険にあると考えられ得る。GFRがより低く下がるにつれて、危険はより大きいと考えられる。したがって、被験体が、慢性的に、約40、30、または20ml/分未満であるGFRを有する場合、被験体は、ますます危険であると考えられる。
一般的なこととして、GFRが測定または推定される様式にかかわらず、体重が少なくとも約40kgであるヒト女性被験体は、その被験体が、慢性的に、約40ml/分未満であるGFRを有する場合、慢性腎不全であるかもしくはその危険にあるかまたは腎置換治療を必要とする危険にあると考えられ得る。GFRがより低く下がるにつれて、危険はより大きいと考えられる。したがって、被験体が、慢性的に、約30、20、または10ml/分未満であるGFRを有する場合、被験体は、ますます危険であると考えられる。
組織学的検査、非侵襲的スキャン手順、臨床的指標の評価、ならびに上記および当該分野において公知の他の技術を含む、種々の方法を用いることによって、医学分野および獣医学分野の当業者は、被験体が有する機能しているネフロン単位数、または健康である以外は同様である被験体(例えば、ほぼ同じ年齢、体重、および性別の同種被験体)に対する、被験体が有する機能しているネフロン単位の割合のいずれかの推定値を提供し得る。したがって、例えば、バイオプシーは、機能的ネフロンの密度の減少を明らかにし得る。または濾過される薬剤を用いる画像化は、機能的腎組織および/または濾過能力の損失を示し得る。このような測定値または推定値は、被験体が、慢性腎不全であるかもしくはその危険にあるか、または腎置換治療を必要とする危険にあるときを表現する別の手段を提供する。したがって、一般的なこととして、被験体が、健康である以外は同様な被験体の機能的なネフロン単位数の約50%未満である機能的ネフロン単位数を有する場合、その被験体は、慢性腎不全であるかもしくはその危険にあるか、または腎置換治療を必要とする危険にあるとみなされ得る。上記のように、機能的ネフロンの数がさらに減少するにつれて、危険はより大きいと考えられる。したがって、したがって、被験体が、健康である以外は同様である被験体についての数の約40、30、または20%未満である機能的ネフロン数を有する場合、被験体は、ますます危険であると考えられる。
最後に、単一の腎臓を有する被験体は、他方の腎臓の欠失の様式に関わらず(例えば、内科的外傷、外科的除去、奇形)、一見、慢性腎不全の危険性があるか、または腎置換治療についての必要性があるとみなされ得る。これは、残留する腎臓を苦しめ得る疾患または状態のために1つの腎臓が欠失した被験体において特に真実である。同様に、すでに腎臓移植のレシピエントであるか、または長期の透析(例えば、長期の血液透析または継続的な通院での腹膜透析)をすでに受けている被験体は、一見、慢性腎不全の危険性があるか、またはさらな腎置換治療についての必要性があるとみなされ得る。
E.処置の処方および方法
本発明の、OP/BPM腎治療因子、形態形成因子、形態形成因子誘導因子、または形態形成因子レセプターのアゴニストは、使用される特定の形態形成因子、誘導因子、またはアゴニストに適合する任意の経路によって投与され得る。従って、適切な経路として、投与は、経口的または非経口的であり得、これは、静脈内、腹腔内、および腎嚢内の投与経路を含む。さらに、投与は、因子の大量瞬時投与の定期的な注射を用い得、または外部(例えば、i.v.バッグ)または内部(例えば、生体分解性移植)にあるリザーバからの静脈内または腹腔内投与により、より連続的になされ得る。
本発明の治療因子は、任意の適切な手段により、好ましくは直接(例えば、局所的、組織局所への注射によるかまたは局所投与)または全身的(例えば、非経口的または経口的)により固体に提供され得る。因子が非経口的(例えば、静脈内、皮下的、筋肉内、眼窩内、眼科的、脳室内、頭蓋内、間接内、脊髄内、大層内、腹腔内、口腔内、直腸内、膣内、鼻腔内、またはエアロゾルによる投与)に提供されるべき場合、因子は、好ましくは、水溶性溶液の一部を含む。溶液は、被験体への所望の因子の送達に加えて、溶液がそうでなければ被験体の電解質および/または容積の平衡に悪影響を与えないように、生理学的に受容可能である。従って、因子のための水溶性媒体は、正常生理的食塩水(例えば、9.85% NaCl、0.15M、pH7-7.4)を含み得る。このような因子を含む水溶性溶液は、例えば、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)もしくは0.1%のHCl、または同等溶媒中にアセトニトリルを含む50%のエタノールに因子を溶解することにより作製され得る。次いで、得られる溶液の1容量を、例えば10容量のリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)(これは、0.1〜0.2%のヒト血清アルブミン(HSA)をさらに含み得る。)に添加する。得られた溶液は、好ましくは徹底的にボルテックスされる。
所望な場合、因子は、適切な分子との会合によりより可溶性にし得る。例えば、成熟OP/MBPまたは形態形成因子ダイマーのプロドメインとの会合は、タンパク質のプロ形態を生じ、これは代表的には、対応する成熟形態よりも、生理学的溶液においてより可溶性であるかまたはより拡散性である。実際、内因性OP/BMPは、この形態で哺乳動物体内において輸送(例えば、分泌または循環)されると考えられる。タンパク質のこの可溶性形態は、哺乳動物細胞(例えば、OP/BMPタンパク質または形態形成因子をコードする核酸でトランスフェクトされ、そしてそれを発現するためにコンピテントである細胞)の培養培地から得られ得る。あるいは、可溶性の種は、成熟ダイマー(または、その活性なフラグメント)をそのプロドメインまたは可溶性促進フラグメント(以下により詳細に記載される)と複合させることにより処方され得る。可溶性を促進し得、そして経口投与に特に有用である別の分子は、カゼインである。例えば、0.2%カゼインの添加は、OP-1の成熟活性形態の可溶性を80%増大させる。乳汁中に見い出される他の成分および/または種々の血清タンパク質もまた、有用であり得る。
最後に、上記のように、別のシリーズの実施態様において、OP/BMP腎治療因子または形態形成因子の供給源として役立たせるために、そして/またはさらなる機能的腎臓組織の供給源を提供するために、腎細胞を、慢性腎不全状態またはその危険性があるか、または腎置換治療を必要とする危険がある被験体の腎臓に移植し得る。これらの細胞は、適合する任意の哺乳動物細胞であり得、これは、腎間葉前駆細胞か、または後腎分化を経験するように誘導されている腎臓間葉前駆細胞を含む。細胞は、ドナー(例えば、組織型が適合するドナー、兄弟姉妹、一卵性双生児)に由来し得るか、または被験体から外植され得、次いで増殖および/分化後に再移植され得る。好ましくは、細胞は、移植の前または後のいずれかで、OP/BMP腎治療因子または形態形成因子(例えば、OP-1)での処理により後腎分化を経験するように誘導される。従って、例えば、腎臓間葉前駆細胞は、被験体から外植され得、インビトロでの増殖を可能にするかまたは生じさせ、形態形成因子処理により後腎分化を経験するように誘導させ、そして形態形成因子の供給源を提供し得、そして/または機能的な腎臓組織へさらに分化させる場所へ再移植され得る。
さらなる好ましい局面およびそれらの実施態様を含む本発明の実施は、以下の例からなお一層完全に理解される。これらは、本明細書中で例示のためのみに提示され、そしてどのようにも、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
ラット残留腎臓モデル
ラットの部分(5/6)腎切除またはラット残留腎臓モデル(RRKM)モデルを、本質的に記載(Vukicevicら、(1987)J.Bone. Mineral Res. 2:533)のように使用した。雄性ラット(2〜3ヶ月齢、体重約150〜200g)を片側(左腎または右腎のいずれか)腎切除に供した。およそ1週間後、2/3の残留腎臓を外科的に取り出した。手術直後に、血漿クレアチニンレベルおよびBUNレベルは、腎臓重量および機能の欠失により劇的に上昇する。次の数週間のこの「急性」不全段階にわたって、生存動物の血漿クレアチニンレベルおよびBUNレベルは、いくらか正常値に向かって低減するが、高いままである。次いで、腎機能は、不定な期間の間、比較的定常であるか、または安定したままであるようである。この時点の後、動物は、慢性腎不全期に入り、ここで本質的に腎機能の線形的な低減があり、死に至る。
外科的なコントロールとして、さらなるラットを「偽」手術に供し、偽手術では、腎臓が被膜剥離されたが、腎組織は除去されなかった。
慢性腎不全のための介入モデル
このモデルにおいて、腎切除ラットおよび偽手術のラットを、手術後およそ5〜6ヶ月間、維持した。この時点において、生存する腎切除動物は安定期を通り過ぎて、そして慢性腎不全に入っていた。
ラットを、1群あたり12匹の8群に分割した。腎切除ラットの2群をコントロール(Nxコントロール)として使用し、その群のうち一群は全く処置を受けず、一方で他群はビヒクル緩衝液のみの注射を受けた。さらに、偽手術ラットの2群をコントロール(偽コントロール)として使用し、一群はビヒクル緩衝液のみを受け取り、一方で他群は、可溶性OP-1(sOP-1)を10μg/kg体重で受け取った。4つの腎切除ラットの実験群を使用し、これらのラット群は、sOP-1を1、3、10または50μg/kg体重で腹腔内注射により受け取った(OP-1Nx動物)。OP-1処置およびビヒクルのみのラットは、1週間あたり3回の注射を4〜8週間受けた。総注射容量は、300μlであった。2つのNxコントロール群の間、または2つの偽コントロール群の間には統計学的に有意な差は観察されなかった。
ビヒクルのみを受け取る偽群と比較して、ビヒクルのみを受け取るNxコントロールは、有意に(p<0.01)高い血清クレアチニン(図1)を研究の最後に実証した。これは、腎機能の有意な欠失を示す。1または3μg/kg体重のいずれかのsOP-1で処置した腎切除ラットは、Nxコントロールと比較した場合に有意に低減した血清クレアチニンを示さなかったものの、10または50μg/kg体重の用量でのsOP-1で処置した腎切除ラットは、血清クレアチニン値において有意な(p<0.05)低減を示した(図1)。同様の結果は、血清尿素レベルについても観察された。1または3μg/kg体重のいずれかのsOP-1で処置した腎切除ラットは、Nxコントロールと比較した場合に有意に(p<0.01)低減した血清尿素を示さなかったものの、10または50μg/kg体重の用量でのsOP-1で処置した腎切除ラットは、血清尿素値において有意な(p<0.01)低減を示した(図2)。すべての腎切除ラットは、偽手術ラットと比較した場合に、有意に(p<0.01)より高い血清尿素を示した(図2)。
組織学的な観察は、ビヒクル処置のNxコントロール群とは対照的に、OP-1処置腎切除ラットが、比較的正常な糸球体組織構造を提示することを示す。例えば、図3は、(A)正常ラット腎臓、(B)未処置のNxコントロール動物、および(C)OP-1処置の腎切除ラットからの代表的な腎臓サンプルを低倍率で(10×)示す。図4は、より高い倍率(40×)での同様のサンプルを示す。組織形態学的分析は、Nxコントロールラットに比較して、OP-1 Nxラットが糸球体硬化症およびループの崩壊の発生を低減すること、比較的散在した硬化症および毛細血管瘤、ならびにより生存可能なし球体を示したことを示す(表2)。
本研究においては、いずれの群においてもラットは死亡しなかった。
慢性腎不全のための予防的モデル
ラットを、上記のように部分的腎切除または偽手術に供した。このモデルにおいて、OP/BMP腎治療因子の、慢性腎不全の開始を予防、阻害、または遅延する能力を試験するために、ラットを、OP-1治療の開始前に、手術後およそ2週間回復させた。この時点において、生存している動物は急性腎不全期を通り過ぎて、そしてまだ慢性腎不全には入っていなかった。
ラットを15〜20ラットの2群に分割した。1群は、ビヒクル緩衝液(Nxコントロール)のみを受け取り、一方で他群はOP-1処置を1週間に3回腹腔内で与えられる10μg/kg体重で受け取った。Op-1またはビヒクルの投与は、およそ8〜9週間の期間の間継続した。
処置の1〜5週間目の間、偽コントロール(35±7μmol/L)と比較して、両群とも高い血清クレアチニン(>100μmol/L)を示した。約5週間目において両群とも血清クレアチニンにおける上昇を示し始め、これは漸進的または慢性腎不全の発症を示唆する。しかし、血清クレアチニンにおけるこの上昇は、OP-1処置群においてNxコントロールにおけるよりも顕著に遅く、そして有意により低かった(図5:6週目および8週目においてp<0.02;7週目および9週目においてp<0.01)。同様の結果は、血清BUN値においても同様に観察された。
より重要なことに、血清および尿クレアチニン値に基づくGFRの測定は、偽手術のコントロール(4.7±1.1ml/min)と比較して腎切除ラットの両群(<1.8ml/分)において、高度に有意な低減を示した。両群におけるGFRは、1〜3週間の治療の間、継続して低減した。しかし、およそ3週間目の時点で、OP-1処置群におけるGFRは安定化した一方で、Nxコントロールにおける腎機能における低減は継続した。5週目までに、OP-1処置ラットとNxコントロールラットとの間のGFR値における差違は、統計学的に有意(p<0.02)になった。GFRにおけるこの差違は、時間の経過と共に増大を続けた(6週目においてp<0.01;7週目および8週目においてp<0.001)。なぜなら、Nxコントロールが継続して低減したが、OP-1処置ラットは、安定なままであったからである(図6)。9週目の終わりまでに、40%のNxコントロールラットが死亡した一方、OP-1処置ラットは1匹も死亡しなかった。
組織薄片の組織学的評価は、OP-1処置ラットが糸球体、ならびに近位および遠位尿細管構造のより大きな保存または維持を示したことを検証した。OP-1処置ラットにおける腎臓形成性の間葉凝縮の徴候および発生的腎形成構造の外観もまた、存在した。表2は、NxコントロールおよびOP-1処置Nxラット由来の組織切片について得られたいくつかの標準定量的(例えば、細胞外マトリックスのPAS-染色)および半定量的(例えば、視覚的ランク付け)組織形態計測的測定の結果を報告する。これらの結果は、腎切除したラットのOP-1処置が、腎臓組織形態の全体的な改善(あるいは、低減した変性)、メサンギウムまたは末梢血管の増大した肥大化、低減した糸球体硬化症およびループの崩壊、「散在した」硬化症および毛細血管瘤の低減した存在、ならびに生存可能な糸球体における増大を生じたことを示す。
Figure 2009185076
同等性
本発明は、本発明の精神または本質的な特徴から逸脱することなく他の特定の形態において実施され得る。それゆえ、上記の実施態様は、すべての観点において、本明細書中に記載の本発明を、限定するというよりはむしろ、例示するとみなされるべきである。従って、本発明の範囲は、上記の記載によるよりはむしろ、添付の請求の範囲により表され、そして請求の範囲の同等性の意味および範囲内でもたらされるすべての変更が本発明の範囲内に包含されることが意図される。

(配列表)
(1)一般的情報:

出願人:
(A)名称:クリエイティブ バイオモレキュールズ, インコーポレイテ
ッド
(B)番地:サウス ストリート 45
(C)市:ホプキントン
(D)州:マサチューセッツ
(E)国:アメリカ合衆国
(F)郵便番号:01748
(G)電話:1-508-435-9001
(H)テレファックス:1-508-435-0454
(I)テレックス:

(ii)発明の名称:慢性腎不全の形態形成因子処置

(iii)配列数:31

(iv)連絡住所:
(A)名称:クリエイティブ バイオモレキュールズ, インコーポレイテ
ッド
(B)番地:サウス ストリート 45
(C)市:ホプキントン
(D)州:マサチューセッツ
(E)国:アメリカ合衆国
(F)郵便番号:01748

(v)コンピューター読み出し形態:
(A)媒体型:フロッピー(登録商標)ディスク
(B)コンピューター:IBM PC 互換用
(C)OS:PC-DOS/MS-DOS
(D)ソフトウェア:パテントイン リリース #1.0, バージョン #1.25

(vi)現在の出願データ:
(A)出願番号:
(B)出願日:
(C)分類:

(vii)先願データ:
(A)出願番号:US 08/643,321
(B)出願日:1996年5月6日

(viii)代理人/事務所情報:
(A)名称:ツーメイ,マイケル ジェイ
(B)登録番号:38,349
(C)照会/記録番号:CRP-118PC

(ix)通信情報
(A)電話:617/248-7000
(B)テレファックス:617/248-7100

(2)配列番号1の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:97アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(ix)配列の特徴
(A)特徴を表す記号:タンパク質
(B)存在位置:1..97
(D)他の情報:/ 標記=Generic-Seq-7
/ 注記=「ここで各Xaaは、明細書中で定義されるような1
つ以上の特定されたアミノ酸の群から独立して選
択される。」

(xi)配列:配列番号1:
Figure 2009185076
Figure 2009185076

(2)配列番号2の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:102アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(ix)配列の特徴
(A)特徴を表す記号:タンパク質
(B)存在位置:1..102
(D)他の情報:/ 標記=Generic-Seq-8
/ 注記=「ここで各Xaaは、明細書中で定義されるような1
つ以上の特定されたアミノ酸の群から独立して選
択される。」

(xi)配列:配列番号2:
Figure 2009185076

(2)配列番号3の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:102アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(ix)配列の特徴
(A)特徴を表す記号:タンパク質
(B)存在位置:1..102
(D)他の情報:/ 標記=OPX
/ 注記=「ここで各Xaaは、明細書中で定義されるような1
つ以上の特定されたアミノ酸の群から独立して選
択される。」

(xi)配列:配列番号3:
Figure 2009185076

(2)配列番号4の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:139アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(vi)起源:
(A)生物名:Homosapiens
(F)組織の種類:海馬
(ix)配列の特徴
(A)特徴を表す記号:タンパク質
(B)存在位置:1..139
(D)他の情報:/ 標記=hOP1-MATURE
(xi)配列:配列番号4:
Figure 2009185076
Figure 2009185076

(2)配列番号5の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:139アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(vi)起源:
(A)生物名:MURIDAE
(F)組織の種類:胚
(ix)配列の特徴
(A)特徴を表す記号:タンパク質
(B)存在位置:1..139
(D)他の情報:/ 標記=MOP1-MATURE
(xi)配列:配列番号5:
Figure 2009185076
Figure 2009185076

(2)配列番号6の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:139アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(vi)起源:
(A)生物名:HOMOSAPIENS
(F)組織の種類:海馬
(ix)配列の特徴
(A)特徴を表す記号:タンパク質
(B)存在位置:1..139
(D)他の情報:/ 標記=HOP2-MATURE
(xi)配列:配列番号6:
Figure 2009185076
Figure 2009185076

(2)配列番号7の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:139アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(vi)起源:
(A)生物名:MURIDAE
(F)組織の種類:胚
(ix)配列の特徴
(A)特徴を表す記号:タンパク質
(B)存在位置:1..139
(D)他の情報:/ 標記=MOP2-MATURE
(xi)配列:配列番号7:
Figure 2009185076
Figure 2009185076

(2)配列番号8の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:101アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(vi)起源:
(A)生物名:bovinae
(ix)配列の特徴
(A)特徴を表す記号:タンパク質
(B)存在位置:1..101
(D)他の情報:/ 標記=CBMP-2A-FX
(xi)配列:配列番号8:
Figure 2009185076
Figure 2009185076

(2)配列番号9の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:101アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(vi)起源:
(A)生物名:HOMOSAPIENS
(F)組織の種類:海馬
(ix)配列の特徴
(A)特徴を表す記号:タンパク質
(B)存在位置:1..101
(D)他の情報:/ 標記=CBMP-2B-FX
(xi)配列:配列番号9:
Figure 2009185076

(2)配列番号10の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:102アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(vi)起源:
(A)生物名:DROSOPHILAMELANOGASTER
(ix)配列の特徴
(A)特徴を表す記号:タンパク質
(B)存在位置:1..101
(D)他の情報:/ 標記=DPP-FX
(xi)配列:配列番号10:
Figure 2009185076

(2)配列番号11の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:102アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(vi)起源:
(A)生物名:XENOPUS
(ix)配列の特徴
(A)特徴を表す記号:タンパク質
(B)存在位置:1..102
(D)他の情報:/ 標記=VGL-FX
(xi)配列:配列番号11:
Figure 2009185076

(2)配列番号12の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:102アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(vi)起源:
(A)生物名:MURIDAE
(ix)配列の特徴
(A)特徴を表す記号:タンパク質
(B)存在位置:1..102
(D)他の情報:/ 標記=VGR-1-FX
(xi)配列:配列番号12:
Figure 2009185076

(2)配列番号13の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:106アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(iii)ハイポセティカル配列:NO
(iv)アンチセンス:NO
(vi)起源:
(A)生物名:Homosapiens
(F)組織の種類:脳
(ix)配列の特徴
(A)特徴を表す記号:タンパク質
(B)存在位置:1..106
(D)他の情報:/ 注記=「GDF-1(fx)」
(xi)配列:配列番号13:
Figure 2009185076

(2)配列番号14の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:5アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:ペプチド
(xi)配列:配列番号14:
Figure 2009185076

(2)配列番号15の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:1822塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:cDNA
(iii)ハイポセティカル配列:NO
(iv)アンチセンス:NO
(vi)起源:
(A)生物名:HOMOSAPIENS
(F)組織の種類:海馬
(ix)配列の特徴
(A)特徴を表す記号:CDS
(B)存在位置:49..1341
(C)特徴を決定した方法:実験による
(D)他の情報:/ 機能=「骨タンパク質」
/ 産物=「OP1」
/ 証拠=実験による
/ 標準名=「OP1」
(xi)配列:配列番号15:
Figure 2009185076
Figure 2009185076
Figure 2009185076

(2)配列番号16の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:431アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列:配列番号16:
Figure 2009185076
Figure 2009185076

(2)配列番号17の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:1873塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:cDNA
(iii)ハイポセティカル配列:NO
(iv)アンチセンス:NO
(vi)起源:
(A)生物名:MURIDAE
(F)組織の種類:胚
(ix)配列の特徴
(A)特徴を表す記号:CDS
(B)存在位置:104..1393
(D)他の情報:/ 機能=「骨タンパク質」
/ 産物=「MOP1」
/ 注記=「MOP1(CDNA)」
(xi)配列:配列番号17:
Figure 2009185076
Figure 2009185076
Figure 2009185076

(2)配列番号18の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:430アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列:配列番号18:
Figure 2009185076
Figure 2009185076

(2)配列番号19の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:1723塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:cDNA
(vi)起源:
(A)生物名:Homosapiens
(F)組織の種類:海馬
(ix)配列の特徴
(A)特徴を表す記号:CDS
(B)存在位置:490..1696
(D)他の情報:/ 機能=「骨タンパク質」
/ 産物=「hOP2-PP」
/ 注記=「hOP2(cDNA)」
(xi)配列:配列番号19:
Figure 2009185076
Figure 2009185076
Figure 2009185076

(2)配列番号20の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:402アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列:配列番号20:
Figure 2009185076
Figure 2009185076
Figure 2009185076

(2)配列番号21の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:1926塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(vi)起源:
(A)生物名:MURIDAE
(F)組織の種類:胚
(ix)配列の特徴
(A)特徴を表す記号:CDS
(B)存在位置:93..1289
(D)他の情報:/ 機能=「骨タンパク質」
/ 産物=「mOP2-PP」
/ 注記=「mOP2 cDNA」
(xi)配列:配列番号21:
Figure 2009185076
Figure 2009185076
Figure 2009185076
Figure 2009185076

(2)配列番号22の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:399アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列:配列番号22:
Figure 2009185076
Figure 2009185076

(2)配列番号23の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:1368塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:cDNA
(ix)配列の特徴
(A)特徴を表す記号:CDS
(B)存在位置:1..1368
(D)他の情報:/ 標記=「60A」
(xi)配列:配列番号23:
Figure 2009185076
Figure 2009185076
Figure 2009185076

(2)配列番号24の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:455アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列:配列番号24:
Figure 2009185076
Figure 2009185076

(2)配列番号25の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:1674塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(ix)配列の特徴
(A)特徴を表す記号:CDS
(B)存在位置:69..1268
(D)他の情報:/ 注記=「mOP3-PP」
(xi)配列:配列番号25:
Figure 2009185076
Figure 2009185076
Figure 2009185076

(2)配列番号26の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:399アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列:配列番号26:
Figure 2009185076
Figure 2009185076

(2)配列番号27の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:104アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(ix)配列の特徴
(A)特徴を表す記号:タンパク質
(B)存在位置:1..104
(D)他の情報:/ 注記=「BMP3」
(xi)配列:配列番号27:
Figure 2009185076
Figure 2009185076

(2)配列番号28の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:102アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(vi)起源:
(A)生物名:HOMOSAPIENS
(ix)配列の特徴
(A)特徴を表す記号:タンパク質
(B)存在位置:1..102
(D)他の情報:/ 注記=「BMP5」
(xi)配列:配列番号28:
Figure 2009185076
Figure 2009185076

(2)配列番号29の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:102アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(vi)起源:
(A)生物名:HOMOSAPIENS
(ix)配列の特徴
(A)特徴を表す記号:タンパク質
(B)存在位置:1..102
(D)他の情報:/ 注記=「BMP6」
(xi)配列:配列番号29:
Figure 2009185076

(2)配列番号30の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:1247塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:cDNA
(vi)起源:
(A)生物名:HOMOSAPIENS
(F)組織の種類:脳
(ix)配列の特徴
(A)特徴を表す記号:CDS
(B)存在位置:84..1199
(D)他の情報:/ 産物=「GDF-1」
/ 注記=「GDF-1 CDNA」
(xi)配列:配列番号30:
Figure 2009185076
Figure 2009185076
Figure 2009185076

(2)配列番号31の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:372アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列:配列番号31:
Figure 2009185076
Figure 2009185076

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  1. 慢性腎不全の処置方法。
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