JP2009184429A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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武史 坂田
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Abstract

【課題】製造ラインにおける電動パワーステアリング装置の性能検査において、電動パワーステアリング装置に組み込まれた制御手段や機能のうち、不要なものを予め無効に設定して検査を精度良く効率的に行い、生産コストを抑えることができる電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】ステアリング機構に操舵補助力を付与するモータを駆動制御する複数の制御手段で成るモータ駆動制御部と、各部の故障の有無を診断する複数の故障診断手段で成る故障診断部と、制御手段及び故障診断手段を選択的に無効にするマスク機能部とを備えた電動パワーステアリング装置において、検査装置を用いた検査時に、検査装置から検査モード信号を入力してマスク機能部により不要な制御手段及び故障診断手段を無効に設定する機能を設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両の操舵系にモータによる操舵補助力を付与するようにした電動パワーステアリング装置に関し、特に電動パワーステアリング装置の製造ラインにおいて、電動パワーステアリング装置の検査を精度良く、且つ効率的に行い得るようにした電動パワーステアリング装置に関する。
車両のステアリング装置をモータの回転力で補助負荷付勢する電動パワーステアリング装置は、モータの駆動力を減速機を介してギア又はベルト等の伝達機構により、ステアリングシャフト或いはラック軸に補助負荷付勢するようになっている。かかる従来の電動パワーステアリング装置は、アシストトルク(操舵補助力)を正確に発生させるため、モータ電流のフィードバック制御を行っている。フィードバック制御は、電流指令値とモータ電流検出値との差が小さくなるようにモータ印加電圧を調整するものであり、モータ印加電圧の調整は、一般的にPWM(パルス幅変調)制御のデュ−ティ比の調整で行っている。
ここで、電動パワーステアリング装置の一般的な構成を図10に示して説明すると、ハンドル1のコラム軸2は減速ギア3、ユニバーサルジョイント4a及び4b、ピニオンラック機構5を経て操向車輪のタイロッド6に連結されている。コラム軸2には、ハンドル1の操舵トルクを検出するトルクセンサ10が設けられており、ハンドル1の操舵力を補助するモータ20が、減速ギア3を介してコラム軸2に連結されている。パワーステアリング装置を制御するコントロールユニット30には、バッテリ14から電力が供給されると共に、イグニッションキー11を経てイグニッション信号が入力され、コントロールユニット30は、トルクセンサ10で検出された操舵トルクThと車速センサ12で検出された車速Vとに基づいてアシスト指令の操舵補助指令値Iの演算を行い、演算された操舵補助指令値Iに基づいてモータ20に供給する電流を制御する。
コントロールユニット30は主としてCPU(MPUやMCUを含む)で構成されるが、そのCPU内部においてプログラムで実行される一般的な機能を示すと図11のようになる。
図11を参照してコントロールユニット30の機能及び動作を説明すると、トルクセンサ10で検出された操舵トルクThは操舵補助指令値演算部32に入力され、車速センサ12で検出された車速Vも操舵補助指令値演算部32に入力される。操舵補助指令値演算部32は、入力された操舵トルクTh及び車速Vに基づいて、メモリ33に記憶されているアシストマップを参照してモータ20に供給する電流の制御目標値である操舵補助指令値Iを決定する。操舵補助指令値Iは減算部30Aに入力されると共に、応答速度を高めるためのフィードフォワード系の微分補償部34に入力され、減算部30Aの偏差(I−i)は比例演算部35に入力されると共に、フィードバック系の特性を改善するための積分演算部36に入力され、その比例出力は加算部30Bに入力される。微分補償部34及び積分補償部36の出力も加算部30Bに加算入力され、加算部30Bでの加算結果である電流制御値Eが、モータ駆動信号としてモータ駆動回路37に入力される。モータ駆動回路37にはバッテリ14から電力が供給され、モータ20のモータ電流値iはモータ電流検出部38で検出され、モータ電流値iは減算部30Aに入力されてフィードバックされる。
また、故障診断部40は、バッテリ14の電圧、トルクセンサ10の異常や故障、モータ20やモータ駆動回路37の異常や故障を、初期診断或いは動作中の通常診断で診断し、異常や故障発生時にはアシスト停止等の処理を行うようになっている。
このような電動パワーステアリング装置の製造ラインにおいて、車両搭載前の電動パワーステアリング装置の検査を行う場合の一般的な検査装置の構成例を図12に示して、以下に説明する。
図12は電動パワーステアリング装置を車両搭載前に検査する検査装置50の一例をブロック図で示しており、コントロールユニットに電力を供給する電力供給部57、検査装置50の全体を制御して検査を実行するCPU51、検査プログラムやパラメータ等を記憶保持しているROM52、演算処理結果等を一時的に記憶するRAM53、検査結果等を表示するための表示部54、パラメータや設定変更等の各種入力を行う入力部55、入力部55に入力された設定値やプログラムによる指令値等を電動パワーステアリング装置へ出力すると共に、各種センサ等からの検出値が入力される入出力インタフェース(IF)部56等で構成されている。
電動パワーステアリング装置は、その製造ラインにおいて、操舵トルクを検出するトルクセンサやモータ等を装填した後、電動パワーステアリング装置が正常な挙動を示すか否かを車両搭載前に、電動パワーステアリング装置のコントロールユニットと図12に示すような検査装置50とを接続させ、実際に動作させて検査を行う。
しかしながら、電動パワーステアリング装置の制御特性は、搭載される車種毎に異なるのが一般的であり、また複数種の電動パワーステアリング装置が混在する製造ラインにおいて、個々の電動パワーステアリング装置に対して詳細な検査を個別に実施するには、それぞれの制御特性に合わせて検査を行うことになるため、生産性の向上を阻害する要因となっている。
かかる問題を解決する装置として、例えば特開2003−261046号公報(特許文献1)に示される電動パワーステアリング装置の検査装置があり、特許文献1に示される検査装置では、検査対象となる電動パワーステアリング装置の種別に対応して検査制御部内にて記憶保持された制御特性を選択し、その制御特性に従って操舵アクチュエータであるモータを動作させて挙動検査を行うようにしている。即ち、操舵トルクを検出するトルクセンサ及び操舵力を発生する操舵アクチュエータを備える複数種の操舵装置を、車両への搭載前に検査すべく用いる検査装置において、トルクセンサの検出トルクに基づいて操舵アクチュエータを動作させるための制御特性を、操舵装置の種別に応じて変更可能に構成された検査制御部を設けている。
特開2003−261046号公報
しかしながら、特許文献1に開示された検査装置では、電動パワーステアリング装置の性能検査を行う場合に、複数種の種別に応じて制御特性を変更し、特に性能検査において必要ない機能についても、動作させた状態で検査を行っている。つまり、様々な制御手段や機能が組み込まれた後の検査では、不要な制御手段や機能を動作させて検査を行うことになるので、本来の電動パワーステアリング装置としての性能を正確に検出することが難しい。
本発明は上述のような事情によりなされたものであり、本発明の目的は、製造ラインにおける電動パワーステアリング装置の検査において、電動パワーステアリング装置に組み込まれた制御手段や機能のうち、不要なものを予め無効に設定することにより、より信頼性の高い検査が可能となるような電動パワーステアリング装置を提供すると共に、検査を効率的に行うことにより、生産コストを抑えることができる電動パワーステアリング装置を提供することにある。
本発明は、ステアリング機構に操舵補助力を付与するモータを駆動制御する複数の制御手段で成るモータ駆動制御部と、各部の故障の有無を診断する複数の故障診断手段で成る故障診断部と、前記制御手段及び前記故障診断手段を選択的に無効にするマスク機能部を備えた電動パワーステアリング装置に関し、本発明の上記目的は、検査装置を用いた検査時に、前記検査装置から検査モード信号を入力して前記マスク機能部により不要な前記制御手段及び前記故障診断手段を無効に設定する機能を設けることにより達成される。
また、本発明の上記目的は、前記検査モード信号が1つ若しくは複数の信号、或いは前記複数の信号の組合せから成ることにより、或いは前記検査装置から供給する電力をオフすることで、前記無効の設定をリセットすることにより、或いは前記検査装置から解除信号を入力することで、前記無効の設定をリセットすることにより、或いは前記検査装置から入力する電流値を“0”に設定することで、前記マスク機能部による前記無効の設定をリセットすることにより、より効果的に達成される。
本発明の電動パワーステアリング装置によれば、製造ラインにおいて電動パワーステアリング装置の検査を行う場合、検査に不要な制御手段や機能をマスク機能を用いて選択的に無効に設定するようにしているので、本来の電動パワーステアリング装置の特性を精度良く効率的に検出することができる。また、検査工程の作業時間を短縮すると共に、新たな制御手段等を設けることなく、電動パワーステアリング装置の機能や制御手段の検査を行うことができるので、コストの削減が可能である。
本発明に係る電動パワーステアリング装置は、制御手段及び故障診断手段に予め備えられているマスク機能を用いて、製造ラインの検査時において不要となる制御手段及び故障診断手段を、外部(検査装置)から入力される検査モード信号に基づいて無効に設定できるようにする。そして、検査を行う場合、マスク機能に対応した検査モード信号がコントロールユニットのマスク機能部に入力されることにより、電動パワーステアリング装置に組み込まれている制御手段及び故障診断手段の中から検査に不要なものを、マスク機能部のマスク処理により無効に設定する。つまり、マスク機能に対応した外部からの検査モード信号に基づいて、検査において不要な制御手段及び故障診断手段を無効に設定することができるので、電動パワーステアリング装置の検査を精度良く且つ効率的に行うことができる。また、検査時の検査仕様は略一定であることから、不要となる制御手段及び故障診断手段を事前に判断することができるので、検査時において不要となる制御手段及び故障診断手段の組合せを予め設定しておくことで、更に効率良く検査を行うことができる。
以下に本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る電動パワーステアリング装置の検査における構成例を図10及び図12に対応させて示しており、同一符号箇所には同一符号を付して説明を省略する。
先ず、製造ラインの検査時に、電動パワーステアリング装置と検査装置50が接続されて検査が行われる。また、図1においてコントロールユニット30に装填されているモータ駆動制御部301は複数の制御手段を示すと共に、故障診断部302は複数の故障診断手段を示している。
検査時の電動パワーステアリング装置のコントロールユニット30には、検査装置50の電力供給部57から電力が供給されると共に、入出力インタフェース部56から検査モード信号Cmsが、コントロールユニット30のマスク機能部303に入力される。検査モード信号Cmsはマスク機能に対応した信号であり、マスク機能部303に入力されることにより、当該車種の検査に不要な制御手段及び故障診断手段を無効に設定するためのマスク信号msがモータ駆動制御部301及び故障診断部302に入力される。また、コントロールユニット30に入力される各種センサの検査信号Csは、入出力インタフェース部56を経て検査装置50に入力される。更に、コントロールユニット30の電力が電力供給部57でOFFされることで、マスク機能部303により無効に設定されている各制御手段及び各故障診断手段が通常の状態に戻る。つまり、マスク機能部303により無効に設定された各制御手段及び各故障診断手段は、電力供給部57からの電力がOFFされることでマスク機能部303の設定が消去され、通常の設定に戻るようになっている。
ここで、本発明に係るマスク機能の一例を、図2に示す模式図を参照して説明する。
図2(a)の項目に示されているモータ駆動制御部301の制御手段A〜F及び故障診断部302の故障診断手段A〜Gは、電動パワーステアリング装置のコントロールユニット30に組み込まれており、マスク機能に対応した状態で動作するように設定されている制御手段及び故障診断手段である。マスク機能は、このようにコントロールユニット30に組み込まれた制御手段や故障診断手段のうち、一時的且つ選択的にその手段を機能させないようにするものであり、検査に不要な制御手段及び故障診断手段の指定されたビットを変更することで実現することができる。例えば、検査時において故障診断手段に関するマスクフラグを初期値「00(h)」から「01(h)」に変更することで、故障診断手段を機能させないようにするものである。
図2(a)の選択項目は、制御手段C、E及び故障診断手段B、D、Eが不要なものとして予めマスク機能部303に設定されている様子を示しており(○印)、図2(b)は、マスク機能部303に入力された検査モード信号Cmsによって、予め設定された制御手段C、E及び故障診断手段B、D、Eを機能しないようにするため、マスク信号msがマスク機能部303からモータ駆動制御部301及び故障診断部302に入力された様子を示している(図中斜線部)。
図2(c)は無効に設定された制御手段C、E及び故障診断手段B、D、Eが消去され、制御手段A、B、D、F及び故障診断手段A、C、F、Gのみが検査で有効となる様子を示している。即ち、図2(a)に示されるように、検査に不要な制御手段C、E及び故障診断手段B、D、Eが予めマスク機能部303に設定され、図2(b)に示されるように、検査モード信号Cmsが入力されると、マスク機能部303からマスク信号msがモータ駆動制御部301及び故障診断部302に入力され、検査に不要な制御手段及C、E及び故障診断手段B、D、Eがマスク処理によって無効に設定されたことにより、コントロールユニット30では、図2(c)に示されるように制御手段A、B、D、F及び故障診断手段A、C、F、Gのみが有効に設定される。
なお、検査モード信号Cmsは、1つ或いは複数の組合せによる信号でも良く、或いは信号の組合せにより所定数の制御手段及び故障診断手段を無効に設定するようにしても良い。
このような構成において、本発明の動作例を図3のフローチャートを参照して説明する。
製造ラインにおける電動パワーステアリング装置の検査において、車両搭載前の電動パワーステアリング装置と検査装置50とが接続され、検査装置50は、マスク機能部303に予め設定された電動パワーステアリング装置の各制御手段及び各故障診断手段を無効にするため、検査モード信号Cmsを、入出力インタフェース部56からコントロールユニット30のマスク機能部303へ入力する(ステップS10)。マスク機能部303は、検査モード信号Cmsが入力されたことにより、予め設定された選択項目に基づいてモータ駆動制御部301及び故障診断部302にマスク信号msを入力し、検査に不要な制御手段及び故障診断手段を無効に設定するマスク処理を行う(ステップS11)。検査装置50によりマスク処理で無効とされていない制御手段及び故障診断手段について検査が開始され(ステップS12)、各制御手段及び各故障診断手段の正常・異常の判定、性能の正否等の検査装置50による検査が終了する(ステップS13)。そして、検査装置50は電力供給部57の出力電力をOFFすることで、コントロールユニット30のマスク機能部303の設定をリセットし、制御手段及び故障診断手段の無効の設定を通常の状態に戻す(ステップS14)。このように、検査に不要な各制御手段及び各故障診断手段をマスク機能を用いて制御することにより、効率的に正確な電動パワーステアリング装置の検査を行う。
図4は、本発明に係る電動パワーステアリング装置の検査の別の構成例を図1に対応させて示すブロック図であり、コントロールユニット30のマスク機能部303には、検査装置50の入出力インタフェース部56から検査モード信号Cms及び解除信号Cfが入力される。マスク機能部303は、解除信号Cfが入力されるとマスク処理による設定をリセットし、マスク処理で無効とされた制御手段及び故障診断手段を通常の状態に戻すようになっている。
このような構成において、その動作例を図5のフローチャートを参照して説明する。
製造ラインにおける電動パワーステアリング装置の検査において、車両搭載前の電動パワーステアリング装置と検査装置50とが接続され、検査装置50は、マスク機能部303に予め設定された電動パワーステアリング装置の各制御手段及び各故障診断手段を無効にするため、検査モード信号Cmsを、入出力インタフェース部56からコントロールユニット30のマスク機能部303へ入力する(ステップS20)。マスク機能部303は、検査モード信号Cmsが入力されたことにより、予め設定された選択項目に基づいてモータ駆動制御部301及び故障診断部302にマスク信号msを入力し、検査に不要な制御手段及び故障診断手段を無効に設定するマスク処理を行う(ステップS21)。検査装置50によりマスク処理で無効とされていな制御手段及び故障診断手段について検査が開始され(ステップS22)、各制御手段及び各故障診断手段の正常・異常の判定、性能の正否等の検査装置50による検査が終了する(ステップS23)。そして、検査装置50は解除信号Cfをマスク機能部303に入力する(ステップS24)。ステップS24により、マスク機能部303の設定をリセットし、各制御手段及び各故障診断手段の無効の設定を通常の状態に戻す(ステップS25)。
図6は、本発明に係る電動パワーステアリング装置の更に別の構成例を図1に対応して示すブロック図であり、電動パワーステアリング装置のコントロールユニット30には、検査装置50の電流供給部57Aから出力電流Isが供給されると共に、検査モード信号Cmsが入出力インタフェース部56から入力される。また、マスク機能部303は、コントロールユニット30に入力される出力電流Isが検査装置50により“0”にされると、マスク処理による設定をリセットし、マスク処理で無効とされた制御手段及び故障診断手段を通常の状態に戻すようになっている。
一方、図7は、製造ラインの検査工程における検査の順番と検査項目を示す一例である。
例えば図6の構成例において、図7に示す検査工程(A)→検査工程(B)→検査工程(C)の順番で検査を行う場合、検査工程(A)は所定の各制御手段及び各故障診断手段の9項目を有効にして性能検査を行い、次に検査工程(B)は所定の各制御手段及び各故障診断手段の11項目を有効にして性能検査を行い、次に検査項目(C)は所定の各制御手段及び各故障診断手段の7項目を有効にした状態で性能検査を行う。つまり、図7の検査工程(A)→検査工程(B)→検査工程(C)の順序及び検査工程の内容に従い、不要な各制御手段及び各故障診断手段を無効にして性能検査を行う性能検査の一例を示している。
図8は、上記図6の構成で図7に示す検査を行う場合の動作例を示すフローチャートであり、図8を参照してその動作を説明する。
マスク機能部303は、図7の検査工程(A)に基づいて所定の制御手段及び故障診断手段の9項目のみ有効にするような選択項目が予め設定されており、検査装置50は、検査モード信号Cms(A)を、入出力インタフェース部56からコントロールユニット30のマスク機能部303へ入力する(ステップS30)。マスク機能部303は、入力された検査モード信号Cms(A)に従い、マスク信号ms(A)をモータ駆動制御部301及び故障診断部302に入力し、不要な制御手段及び故障診断手段を無効に設定するマスク処理を行う(ステップS31)。そして、検査装置50により図7の検査工程(A)の検査を開始し(ステップS32)、所定の検査の後に検査を終了する(ステップS33)。検査装置50は、電源供給部57Aの出力電流Isを“0”にすることでマスク機能部303の検査モード信号Cms(A)による設定をリセットする(ステップS34)。
次にマスク機能部303は、図7の検査工程(B)に基づいて所定の制御手段及び故障診断手段の11項目のみ有効にするような選択項目が予め設定されており、検査装置50は、検査モード信号Cms(B)を、入出力インタフェース部56からコントロールユニット30のマスク機能部303へ入力する(ステップS35)。マスク機能部303は、入力された検査モード信号Cms(B)に従い、マスク信号ms(B)をモータ駆動制御部301及び故障診断部302に入力し、不要な制御手段及び故障診断手段を無効に設定するマスク処理を行う(ステップS36)。そして、検査装置50により図7の検査工程(B)の検査を開始し(ステップS37)、所定の検査の後に検査を終了する(ステップS38)。検査装置50は、電源供給部57Aの出力電流Isを“0”にすることでマスク機能部303の検査モード信号Cms(B)による設定をリセットする(ステップS39)。
次にマスク機能部303は、図7の検査工程(C)に基づいて所定の制御手段及び故障診断手段の7項目のみ有効にするような選択項目が予め設定されており、検査装置50は、検査モード信号Cms(C)を、入出力インタフェース部56からコントロールユニット30のマスク機能部303へ入力する(ステップS40)。マスク機能部303は、入力された検査モード信号Cms(C)に従い、マスク信号ms(C)をモータ駆動制御部301及び故障診断部302に入力し、不要な制御手段及び故障診断手段を無効に設定するマスク処理を行う(ステップS41)。そして、検査装置50により図7の検査工程(C)の検査を開始し(ステップS42)、所定の検査の後に検査を終了する(ステップS43)。検査装置50は、電源供給部57Aの出力電流Isを“0”にすることでマスク機能部303の検査モード信号Cms(C)による設定をリセットする(ステップS44)。ステップS44によりマスク機能部303の設定がリセットされ、各制御手段及び各故障診断手段が通常の状態に戻る(ステップS45)。
図9は、図7に示したような各検査工程における選択項目を図2に対応させて詳しく示した模式図であり、1つ若しくは複数の信号或いは複数の信号の組合せによる検査モード信号によって、選択的に不要な制御手段及び故障診断手段を無効に設定する例を図9を参照して説明する。
図9(a)は、マスク機能部303に入力される検査モード信号Cmsのみ(上述した1つの検査モード信号)により、選択的に不要な制御手段及び故障診断手段を無効に設定して性能検査を行う例を示している。つまり、検査工程(A)において、検査モード信号Cmsがマスク機能部303に入力されると、予めマスク機能部303の選択項目に設定された制御手段B及び故障診断手段D、E、Fがマスク処理により無効に設定され、また検査工程(B)において、検査モード信号Cmsがマスク機能部303に入力されると、予めマスク機能部303の選択項目に設定された制御手段F及び故障診断手段Aがマスク処理により無効に設定され、また検査工程(C)において、検査モード信号Cmsがマスク機能部303に入力されると、予めマスク機能部303の選択項目に設定された制御手段C及び故障診断手段B、C、D、E、Fがマスク処理により無効に設定される状態を示している。
図9(b)は、検査工程(A)、(B)、(C)に対応した検査モード信号Cms(A)、(B)、(C)(複数の検査モード信号)により、選択的に不要な制御手段及び故障診断手段を無効に設定して性能検査を行う例を示している。つまり、検査工程(A)において、検査モード信号Cms(A)がマスク機能部303に入力されると、予めマスク機能部303の選択項目に設定された制御手段B及び故障診断手段D、E、Fがマスク処理により無効に設定され、また検査工程(B)において、検査モード信号Cms(B)がマスク機能部303に入力されると、予めマスク機能部303の選択項目に設定された制御手段F及び故障診断手段Aがマスク処理により無効に設定され、また検査工程(C)において、検査モード信号Cms(C)がマスク機能部303に入力されると、予めマスク機能部303の選択項目に設定された制御手段C及び故障診断手段B、C、D、E、Fがマスク処理により無効に設定される状態を示している。
図9(c)は、図9(b)で示した検査工程(A)、(B)、(C)に対応した検査モード信号Cms(A)、(B)、(C)(複数の検査モード信号)と検査モード信号Cmm(図中縦線部)を組合せて性能検査を行う例を示している。また、マスク機能部303には、予め検査モード信号Cmmに対応した選択項目が設定されている。検査工程(A)において、検査モード信号Cms(A)及び検査モード信号Cmmがマスク機能部303に入力されると、検査モード信号(A)及び検査モード信号Cmmの共通選択項目のみ無効に設定する。つまり、検査工程(A)において、検査モード信号Cms(A)及び検査モード信号Cmmがマスク機能部303に入力されると、予めマスク機能部303の選択項目に設定された検査モード信号(A)及び検査モード信号Cmmの共通選択項目である制御手段B及び故障診断手段E、Fがマスク処理により無効に設定され、また検査工程(B)において、検査モード信号Cms(B)及び検査モード信号Cmmがマスク機能部303に入力されると、予めマスク機能部303の選択項目に設定された検査モード信号(B)及び検査モード信号Cmmの共通選択項目である制御手段Fがマスク処理により無効に設定され、また検査工程(C)において、検査モード信号Cms(C)及び検査モード信号Cmmがマスク機能部303に入力されると、予めマスク機能部303の選択項目に設定された検査モード信号(C)及び検査モード信号Cmmの共通選択項目である故障診断手段C、Eがマスク処理により無効に設定される状態を示している。
なお、車両搭載前に行う性能検査を説明したが、車両搭載後においても不要な各制御手段及び各故障診断手段を無効に設定して性能検査を行うことができる。
本発明に係る電動パワーステアリング装置の検査における構成例を示すブロック図である。 マスク機能を説明するための模式図である。 検査の動作例を示すフローチャートである。 本発明に係る電動パワーステアリング装置の検査における別の構成例を示すブロック図である。 検査の動作例を示すフローチャートである。 本発明に係る電動パワーステアリング装置の検査における更に別の構成例を示すブロック図である。 製造ラインにおける検査工程の例を説明するための図である。 検査の動作例を示すフローチャートである。 マスク機能を説明するための模式図である。 従来の電動パワーステアリング装置の構成例を示すブロック図である。 従来のコントロールユニットの構成例を示すブロック図である。 一般的な電動パワーステアリング装置の検査装置の例を示すブロック図である。
符号の説明
1 ハンドル
2 コラム軸
10 トルクセンサ
12 車速センサ
20 モータ
30 コントロールユニット
32 操舵補助指令値演算部
40 故障診断部
50 検査装置
54 表示部
55 入力部
56 入出力インタフェース部
57、57A 電力供給部
301 モータ駆動制御部
302 故障診断部
303 マスク機能部

Claims (5)

  1. ステアリング機構に操舵補助力を付与するモータを駆動制御する複数の制御手段で成るモータ駆動制御部と、各部の故障の有無を診断する複数の故障診断手段で成る故障診断部と、前記制御手段及び前記故障診断手段を選択的に無効にするマスク機能部とを備えた電動パワーステアリング装置において、検査装置を用いた検査時に、前記検査装置から検査モード信号を入力して前記マスク機能部により不要な前記制御手段及び前記故障診断手段を無効に設定する機能を具備したことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記検査モード信号が1つ若しくは複数の信号、或いは前記複数の信号の組合せから成る請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 前記検査装置から供給する電力をオフすることで、前記無効の設定をリセットするようになっている請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 前記検査装置から解除信号を入力することで、前記無効の設定をリセットするようになっている請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 前記検査装置から入力する電流値を“0”に設定することで、前記無効の設定をリセットするようになっている請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。

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