JP2009178766A - 金属板材、フィルタ、及び金属基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】貫通孔52が複数開設された金属板材51の表面に、加圧塑性変形による球体を転動させた凹凸筋53を複数形成して、金属板材51に複数の球体の転動による凹凸筋53の転写による多方向の矯正力を作用させ、一工程で金属板材51を平面状に修正・維持する。
【選択図】図4
Description
このような金属板材に生じる反りの一般的な修正は、反りを発生させる応力を相殺するように応力を与えるローラー式レベラーを用いたり、残留応力を除去するためのアニール等の熱処理を施すことによって行われる。
しかし、一般的なローラー式レベラーでは、金属板材の厚みに制約があり、極薄の金属板材に微細な貫通孔を多数加工したものの反りの修正を行うことができないという問題がある。また、ローラー式レベラーでは、ローラーによって付与される矯正力が一方向であり、これに加えて交差する他方向の矯正力を付与しなければならず、少なくとも2段階の修正工程が必要となるという問題がある。
一方、アニールなどの熱処理については、加熱炉などの装置に多大な費用がかかるとともに、処理時間が長く生産性に欠けるという問題がある。
また、金属板材に球体の転動による加圧痕を表裏面に対をなした凹凸筋として形成し、均一な多方向の矯正力を加えて反りを修正することができ、また、クラックの発生を防止することも可能となる。
なお、前記した球体を転動させた加圧痕は、金属板材の表裏面に対をなした凹凸筋として形成されることが望ましく、均一に矯正力を作用させることができる。
なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定が成されているが、本発明はこれらの態様に限られるものではない。また、以下においては、金属板材およびフィルタを、代表的な液体噴射装置であるインクジェット式記録装置(以下、プリンタと略記する)のフィルタに適用した場合を例示する。このフィルタは、インク噴射ヘッドの圧力発生室に供給されるインク中の異物を捕捉するものである。
ここで、図1は、インクジェット式記録装置の斜視図、図2は、インク噴射ヘッドの主要部の断面図、図3は、インク噴射ヘッドの全体の断面図である。
フィルタ32は、図4に示すように、例えばステンレス製(SUS製)の平坦な極薄の金属板材(例えば、厚さ15μm)51に多数の貫通孔である微細穴52(例えば、直径あるいは対角線長が15μmの穴が1cm2に数万穴)が開設されて外形が円形状に切断して構成されたものであり、外径は、例えば8〜9mm程度とされている。貫通孔である微細穴52の大きさは、フィルタ32として機能させるため、ノズル開口20(図2参照)よりも小さく設定されている。なお、フィルタ32の穴形状としては、円形とする場合に限らず、正方形や六角形等の多角形にすることも可能であり、円形の場合には、直径をノズル開口20よりも小さく設定し、多角形の場合には、対角線の長さをプリンタ1のノズル開口20よりも小さく設定することで、フィルタとして機能させることができる。
なお、この金属板材51をフィルタ32とする場合には、例えば取り付け部分となる周囲に、凹凸筋53を形成しない平坦なフランジ部を設けることで、一層簡単に組み立てることができる。
前記した凹凸筋53は、薄い金属板材51に加圧塑性変形により形成するので、金属板材51の表面(狭義の表面と裏面)に対をなして形成される。
このような複数の球体を転動させた凹凸筋53の高さやピッチ、配列を変更することで、金属板材51やフィルタ32に加える矯正力を調整して多方向に付与することができ、金属板材51やフィルタ32ヘの加工度などで異なって生じる反りの大きさに応じて、これらを設定・調整して反りを修正すれば良い。
また、この凹凸筋53は、球体を転動させることで、球体の転動方向の先端面で矯正に方向性をなくすことができ、金属板材51やフィルタ32に均一に矯正力を付与することができる。したがって、ローラレベラーのように交差する方向での矯正を行うことなく一工程で金属板材51に発生する反りを修正することができる。
まず、金属基板となる金属板材51に貫通した微細穴52を多数開設するため、プレス装置による打抜き加工が行われる。このため、プレス装置54は、図5(a)に示すように、凹凸が形成されていない平盤状の台座55を備え、その上面と対向してストリッパ56を介してパンチ57が設けられる。平盤状の台座(受け台)55の上面には、弾性マット58として例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート:高分子材料)などからなるマット状の軟質部材が設けられ、この弾性マット58上に金属板材51がセットされるようになっている。パンチ57の先端は、例えば円柱状とされ、その直径はフィルタ32の微細穴52の径に対応しており、パンチ57を押圧することで、弾性マット58にパンチ57の先端が挿入されるようになっている。これにより、図5(b)(c)に示すように、金属板材51の多数の打ち抜き片62を弾性マット58に押し込んでそのまま保持することができ、ダイレス加工で微細穴52を打ち抜くことができる。また、台座55上の弾性マット58の表面が凹凸の無い平坦であるため、パンチ57の押し込み量を均一にすることができ、多数の打ち抜き片62を確実に弾性マット58の内部に留めることができる。
ここでは、弾性マット58を0.1mm〜0.2mm程度にすることにより、必要以上に厚さを厚くすることなく弾性マット58の内部に打ち抜き片62を確実に留めることができると共に、金属板材51に完全な貫通孔である微細穴52を形成することができ、貫通不良などによる微細穴52の周縁部のバリの発生をおさえることができる。これにより、台座55とパンチ57の先端との位置合わせが不要になり、微細穴52が形成された金属板材51やフィルタ32を容易に加工することができる。
この矯正加工には、図6に示すように、ボールが千鳥状に配置されたボールレベラー65が用いられ、レベラー本体66には、図6(a),(b)に示すように、表面から突出した球体が千鳥状に配置されて回転可能に保持された凸状押圧部67が設けられ、レベラー本体66と対向して金属板材51を支持する弾性体68が設けられ、例えばウレタンン製の弾性マットが用いられる。この凸状押圧部67の球体は、直径が1〜5mm、千鳥状の隣接する間隔、すなわちピッチが、例えば1〜10mmとしてある。
なお、凸状押圧部67の球体の直径や配列ピッチによって金属板材51やフィルタ32に加える矯正力を調整することができることから、金属板材51やフィルタ32ヘの加工度などにより異なって生じる反りの大きさに応じて設定・調整して反りを修正すれば良く、多数の球体を密集させるように配列したり、一列ないし、複数列の球体で構成することもできる。
この球体を転動するように凸状押圧部67と金属板材51とを相対移動する矯正加工では、例えば図6(c)に示すように、金属板材51を搬送しながらこの搬送方向と直交する金属板材51の幅方向に凸状押圧部67を往復移動させるようにすることで、図4(a)、(b)に示したように、球体が相対的に斜めに転動した状態の凹凸筋(ジグザグに連続した凹凸筋)53が形成され、これによって金属板材51を平坦に矯正することができる。
なお、凸状押圧部67の千鳥状に配列した球体を用いることで、凸状押圧部67の移動距離を小さくして金属板材51の全幅を矯正することが可能となる。また、凸状押圧部材67の移動方向に直角に少なくとも一列球体を配置して転動可能に支持して構成しても良く、この場合には、移動距離(転動距離)を長くすることで、金属板材51の全幅を矯正することができる。
Claims (7)
- 貫通孔が複数開設された金属板材であって、
その表面に、球体の押圧による加圧痕が形成されていることを特徴とする金属板材。 - 前記加圧痕が凹凸筋であって、金属板材の表裏面に対をなして形成されていることを特徴とする請求項1に記載の金属板材。
- 液体流路内に配されて、該液体流路内の液体を濾過するフィルタであって、
該フィルタは、貫通孔が複数開設された金属板材の表面に、球体を転動させて加圧塑性変形させた加圧痕が形成されていることを特徴とするフィルタ。 - 前記加圧痕が凹凸筋であって、金属板材の表裏面に対をなして形成されていることを特徴とする請求項3に記載のフィルタ。
- 貫通孔が複数開設された金属基板の製造方法であって、
表面から突出した球体が転動可能に設けられた凸状押圧部を複数備えたレベラー本体と、前記金属板材を支持する弾性体との間に、前記金属板材をセットし、
この状態で前記金属板材に向かって、前記レベラー本体を押圧するとともに、前記金属板材に対して相対移動させることで、前記金属板材の表面に、加圧痕を形成することを特徴とする金属基板の製造方法。 - 前記球体を樹脂材により構成したことを特徴とする請求項5に記載の金属基板の製造方法。
- 前記球体の転動による多方向の矯正力の付与により加圧痕を形成することを特徴とする請求項6に記載の金属基板の製造方法。
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