JP2009172613A - 金属板材用の矯正装置、及び、金属板材の製造方法 - Google Patents

金属板材用の矯正装置、及び、金属板材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】極薄板に貫通した微細穴を多数穿孔しても加工後の反りの発生を効率的に修正することができる金属板材用の矯正装置、及び、金属板材の製造方法を提供する。
【解決手段】加圧塑性変形による金属板材51用の矯正装置55であって、外周面に凹凸を交互に繰り返し反復して一面に設けた凹凸部を形成した矯正ローラ56を備え、該矯正ローラを前記金属板材の表面に圧接しながら回転させることで、前記金属板材の表面に前記凹凸部の凹凸形状を転写して金属板材を矯正する。
【選択図】図3

Description

本発明は、加圧塑性変形による金属板材用の矯正装置、及び、金属板材の製造方法に関し、金属板材の加工後の反りを矯正する矯正装置、及び、金属板材の製造方法に関する。
液体を噴射する液体噴射装置として、例えば、インクジェット式記録装置(以下、単にプリンタという)は、複数のノズル開口から液体であるインク滴を吐出する液体噴射ヘッドを備えており、インク中の微細な異物(微細片や気泡など)を捕捉する必要がある。この様なプリンタでは、液体噴射ヘッド内に設けられたインクの供給流路に、インク内に混入した異物、即ち、何らかの原因で供給流路内に残留している合成樹脂等の微細片や気泡を取り除くための平板状のフィルタが配置されている。そして、インクをフィルタに通過させて後に、このインク噴射ヘッドが、インク滴を媒体である記録紙等の表面に着弾させて画像や文字を印刷するようになっている。このフィルタは、通常、綾たたみフィルタや不織布フィルタ等が採用されている(特許文献1等参照)。
しかし、綾たたみフィルタは、開口率が低く圧力損失(流路抵抗)が大きくなるため、フィルタの面積を大きくする必要があり、フィルタの寸法が大きくなって液体噴射ヘッドの小型化が難しくなっている。また、フィルタ内部の流路の形状が複雑に入り込んでいるため、圧力損失がフィルタ毎にばらつき、圧力損失を許容範囲内に収めることが困難となり、異物のトラップ能力が不安定になる。さらに、フィルタ端縁部がほつれるために、フィルタの組み付け工程等において部品の損傷が発生しやすく、取り扱い難いものとなっている。また、不織布フィルタは、繊維の細片がフィルタからインクと共に流下する虞があり、性能上及び信頼性の問題が生じる虞がある。
そこで、極薄金属板、例えば、厚さ10〜20μmのステンレス板(SUS)に打ち抜きにより微細穴(例えば、径が15μmの穴)を多数形成したものをフィルタとして用いることが考えられる。このような微細穴が多数形成された極薄金属板をフィルタとすることで、圧力損失を減らしてインクの流量を十分に確保し、しかも安定した異物のトラップ機能を持たせることが可能になる。
特開平11−10904号公報
ところが、極薄の金属板材に微細な貫通孔をプレス加工で多数開設しようとすると、加工後の金属板材に反りが発生してしまうという問題がある。このような金属板材に生じる反りの一般的な修正は、反りを発生させる応力を相殺するように応力を与えるローラ式レベラーを用いたり、残留応力を除去するためのアニール等の熱処理を施すことによって行われる。しかし、一般的なローラ式レベラーでは、金属板材の厚みや大きさに制約があり、極薄の金属板材に微細な貫通孔を多数加工したフィルタなどの反りの修正を行うことができないという問題がある。また、アニールなどの熱処理については、加熱炉などの装置に多大な費用がかかるとともに、処理時間が長く生産性に欠けるという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、極薄板に貫通した微細穴を多数穿孔しても加工後の反りを効率的に矯正することができる金属板材用の矯正装置、及び、金属板材の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の矯正装置は、加圧塑性変形による金属板材用の矯正装置であって、
外周面に凹凸を交互に繰り返し反復して一面に設けた凹凸部を形成したローラを備え、
該ローラを前記金属板材の表面に圧接しながら回転させることで、前記金属板材の表面に前記凹凸部の凹凸形状を転写して金属板材を矯正することを特徴とする。
上記構成によれば、外周面に凹凸を交互に繰り返し反復して一面に設けた凹凸部を形成したローラを備え、該ローラを前記金属板材の表面に圧接しながら回転させることで、前記金属板材の表面に前記凹凸部の凹凸形状を転写して金属板材を矯正するので、ローラの回転に伴って外周面に設けられた凹凸形状を金属板材に効率良く転写させることができ、極薄板に貫通した微細穴を多数穿孔しても加工後の反りを効率的に矯正することができる。また、凹凸形状を設けたローラを使用するので、平面状の部材に凹凸形状を設けた場合に比べ、装置を小型化することができる。
また、上記構成において、前記凹凸部は、列状に並べられた複数の突起の列が複数本交差した状態で形成されていることが望ましい。
上記構成によれば、前記凹凸部は、列状に並べられた複数の突起の列が複数本交差した状態で形成されているので、交差する複数列の突起の形状を金属板材に転写することができ、突起形状で規定される凹凸によって金属板材をムラなく平らに修正することができる。また、均一な矯正力を作用させることで、製品の安定性や信頼性を向上することができる。
また、上記構成において、前記ローラと平行な受けローラを備え、両ローラの間に前記金属板材を挟んだ状態で、前記金属板材の表面に前記凹凸部の凹凸形状を転写することが望ましい。
上記構成によれば、前記ローラと平行な受けローラを備え、両ローラの間に前記金属板材を挟んだ状態で、前記金属板材の表面に前記凹凸部の凹凸形状を転写するので、フープ材であっても金属板材の表面に凹凸形状を効率良く転写することができる。
また、上記構成において、前記金属板材を搬送するテーブルを備え、該テーブルに前記金属板材を載置した状態で、前記金属板材の表面に前記凹凸部の凹凸形状を転写しても良い。
上記構成によれば、前記金属板材を搬送するテーブルを備え、該テーブルに前記金属板材を載置した状態で、前記金属板材の表面に前記凹凸部の凹凸形状を転写するので、テーブルに載置した金属板材を順次搬送することができ、短尺材などの金属板材であっても搬送を効率的に行いながら凹凸形状を転写することができる。
また、上記構成において、弾性変形するクッション材を備え、
該クッション材と前記金属板材とが重ねられた状態で、前記ローラを前記金属板材の表面に当接しながら回転させることが望ましい。
上記構成によれば、弾性変形するクッション材を備え、該クッション材と前記金属板材とが重ねられた状態で、前記ローラを前記金属板材の表面に当接しながら回転させるので、均一な矯正力を与えて、金属板材の局所への応力集中を防止することができる。これにより、クラックの発生を防止して加工することができる。
また、上記構成において、前記クッション材が、板状に形成され、前記金属板材のローラ当接側表面とは反対側の表面に重ねられることが望ましい。
上記構成によれば、前記クッション材が、板状に形成され、前記金属板材のローラ当接側表面とは反対側の表面に重ねられるので、ローラとクッション材との間に金属板材を挟むことができ、金属板材の厚みや材質に応じて適宜交換し易くすることができ、確実に金属板材を矯正することができる。
また、上記構成において、前記クッション材が、樹脂材からなり、前記受けローラの表面を被覆することが望ましい。
上記構成によれば、前記クッション材が、樹脂材からなり、前記受けローラの表面を被覆するので、クッション材と金属板材との相対的な位置ズレを防止して、金属板材を確実に搬送することでき、結果として、金属板材への凹凸形状を転写し易くすることができる。また、クッション材として用いる材料の量を抑えることができる。
また、本発明の金属板材の製造方法は、加圧塑性変形による矯正を行う金属板材の製造方法であって、
外周面に凹凸を交互に繰り返し反復して一面に設けた凹凸部を形成したローラを、前記金属板材の表面に圧接しながら回転させることで、前記金属板材の表面に、前記凹凸部の凹凸形状を転写して矯正することを特徴とする。
上記構成によれば、外周面に凹凸を交互に繰り返し反復して一面に設けた凹凸部を形成したローラを、前記金属板材の表面に圧接しながら回転させることで、前記金属板材の表面に、前記凹凸部の凹凸形状を転写して矯正するので、ローラの回転に伴って外周面に設けられた凹凸形状を金属板材に効率良く転写させることができる。そのため、極薄板に貫通した微細穴を多数穿孔しても加工後の反りを効率的に修正することができる。また、凹凸形状を設けた部材がロール状をなしているために、平面状に凹凸形状設けた場合に比べ、装置を小型化することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定が成されているが、本発明はこれらの態様に限られるものではない。また、以下においては、本発明における金属板材として、インクジェット式記録装置(以下、プリンタと略記する)に搭載されるインクジェット式記録ヘッド(以下、記録ヘッドと略記する)に用いられるフィルタ3を例示する。なお、このフィルタは、記録ヘッドの圧力発生室に供給されるインク中の異物を捕捉するものである。
まず、記録ヘッドの構成について説明する。
図1は、本実施形態における記録ヘッド1の構成を説明する要部断面図である。例示した記録ヘッド1は、インク導入針2、フィルタ3、及び、導入針ユニット4等からなるフィルタアセンブリ5と、振動子ユニット7、ヘッドケース8、及び、流路ユニット9等からなるヘッドユニット10とを備えて概略構成されている。この記録ヘッド1の内部には、液体供給源から後述するノズル開口35に至るまでの一連のインク流路(液体流路の一種)が形成されている。
インク導入針2(液体導入針)は、例えばエポキシ樹脂等の合成樹脂で成型された中空針状の部材であり、その内部空間は、インクカートリッジやサブタンク(自己封止弁)等の液体貯留部材(液体貯留源)内のインク(液体または流体の一種)が導入される針流路12となっている。このインク導入針2の尖端部分には、上記針流路12と連通する導入孔13が開設されており、インク導入針2が液体貯留部材の内部に挿入されると、この導入孔13を通じて液体貯留部材内のインクが針流路12内に導入されるようになっている。また、このインク導入針2の根本部分は、上流側(先端側)から下流側に向けて拡径した拡径部14となっている。この拡径部14は、インク流路内で発生した気泡を一時的に捕捉する機能を有している。そして、この拡径部14の下流側開口の近傍、即ち、インク導入針2の下流側開口の近傍には、針流路12に導入されたインクを濾過するためのフィルタ3を配設している。このフィルタ3の詳細については後述する。
導入針ユニット4は、インク導入針2と同様にエポキシ系樹脂等の合成樹脂によって成型されており、その内部には、インク導入針2毎に対応したインク供給路17が形成されている。そして、フィルタ3をインク供給路17の入口開口17′の周縁部に固定した状態でインク導入針2を導入針ユニット4に取り付けている。即ち、このインク供給路17は、針流路12と液密状態で連通している。また、インク供給路17の下流端は、流路ジョイント部材18(パッキン)を介してヘッドケース8の内部に形成されたケース流路19と液密状態で連通している。これにより、インク導入針2の導入孔13から導入されたインクは、フィルタ3で濾過された後、インク供給路17を通じてヘッドユニット10側に供給される。
ヘッドケース8は、振動子ユニット7を収容するための収容空部22が形成されている。そして、振動子ユニット7は、この収容空部22内に挿入され、接着等によって収容空部22の内壁に固定されている。このヘッドケース8の一方の面は、導入針ユニット4に接合され、ケース流路19が導入針ユニット4のインク供給路17と液密状態で連通する。また、ヘッドケース8の他方の面には、流路ユニット9が接着剤等により固定される。この流路ユニット9は、振動板23、流路形成基板24、及びノズルプレート25を積層した状態で接着剤等で接合して一体化することにより作製されている。
上記の振動子ユニット7は、圧力発生源としての圧電振動子30と、この圧電振動子30が接合される固定板31と、圧電振動子30に駆動信号を供給するための回路基板32と、この回路基板32と圧電振動子30を電気的に接続するフレキシブルケーブル33等から構成される。本実施形態の圧電振動子30は、櫛歯状に列設された複数の圧電振動子30を備える。各圧電振動子30は、固定端部が固定板31上に接合され、自由端部が固定板31の先端面よりも外側に突出している。
流路ユニット9の底部に配置されるノズルプレート25は、ドット形成密度に対応したピッチ(例えば180dpi)で複数のノズル開口35を列状に開設した金属製の薄い板材である。
ノズルプレート25と振動板23との間に配置される流路形成基板24は、インク流路となる流路基部、具体的には、共通液体室の一種である共通インク室37、インク供給口38、及び、圧力発生室39となる空部が区画形成された板状の部材である。本実施形態において、流路形成基板24は、結晶性を有する基材であるシリコンウェハーを異方性エッチング処理することによって作製されている。
流路形成基板24とヘッドケース8との間に配置される振動板23は、ステンレス鋼等の金属製の支持板上に弾性フィルムをラミネート加工した二重構造の複合板材である。この振動板23の圧力発生室39に対応する部分には、エッチングなどによって支持板を環状に除去することで、圧電振動子30の自由端部の先端面を接合するための島部41が形成されており、この部分はダイヤフラム部として機能する。即ち、この振動板23は、圧電振動子30の作動に応じて島部41の周囲の弾性フィルムが弾性変形するように構成されている。また、振動板23は、流路形成基板24の共通インク室37の開口面を封止してコンプライアンス部42としても機能する。このコンプライアンス部42に相当する部分についてはダイヤフラム部と同様にエッチングなどにより支持板を除去して弾性フィルムだけにしている。
そして、この記録ヘッド1において、上記回路基板32からフレキシブルケーブル33を通じて圧電振動子30に駆動信号が供給されると、この圧電振動子30が素子長手方向に伸縮し、これに伴い島部41が圧力発生室39に近接する方向或いは離隔する方向に移動する。これにより、圧力発生室39の容積が変化し、圧力発生室39内のインクに圧力変動が生じる。この圧力変動によってノズル開口35からインク滴が吐出(噴射)される。
ここで、フィルタ3について説明する。
フィルタ3は、図2に示すように、例えばステンレス製(SUS製)の平坦な極薄の金属板材(例えば、厚さ15μm。本発明における被加工板材に相当)51に貫通孔52(例えば、直径あるいは対角線長が15μmの穴が1cmに数万穴)が多数開設された円形板であり、その外径は、例えば8〜9mm程度とされている。貫通孔52は、金属板材51の一方の面から他方の面に向かって貫通しており、その大きさは、フィルタ3として機能させるため、ノズル開口35(図1参照)よりも小さく設定されている。なお、フィルタ3の穴形状としては、円形とする場合に限らず、正方形や六角形等の多角形にすることも可能であり、円形の場合には、直径をノズル開口35よりも小さく設定し、多角形の場合には、対角線の長さを記録ヘッド1のノズル開口35よりも小さく設定することで、フィルタとして機能させることができる。
また、極薄の金属板材51には、その表面に加圧塑性変形による凹凸筋が一面に複数本交差した状態で形成され、ここでは、互いに直交して格子状の凹凸筋53が形成されている。これにより、金属板材51に多数の貫通孔52が開設(穿孔)されたことに基づく反りを修正して格子状の凹凸筋53を備えて平坦状態が維持されている。したがって、凹凸筋53の凹凸高さを極く小さくすることで、交差する複数本の凹凸筋53が塑性変形して加圧痕として残った状態となっても平坦な金属板材51(フィルタ3)とすることができ、極薄のフィルタ3であっても反りが修正されて平坦状態が維持され、取り扱いが容易になって組み立て時の生産性を向上させることが可能になる。
前記した凹凸筋53は、薄い金属板材51に加圧塑性変形により形成するので、金属板材51の表面(狭義の表面と裏面)に一対に対応して形成される。
この金属板51(フィルタ3)では、隣接する貫通孔52のピッチが、例えば、45μm程度に設定され、交差する凹凸筋53は、その高さが、例えば、0.1mm程度、隣接する凹凸筋53同士のピッチが、例えば、0.6mm程度に設定されている。また、この凹凸筋53の断面形状は、その底面53aに向かって徐々に傾斜した逆ハ字谷形状(表裏では凹凸が対で対応するので、逆に見れば山形)にしてある。
このような交差する複数の凹凸筋53の高さやピッチ、底面53aの面積や底面53aに向かう傾斜角度を変更することで、金属板材51(フィルタ3)に加える矯正力を調整することができ、金属板材51(フィルタ3)ヘの加工度などに生じる反りの大きさに応じて凹凸筋53の高さ、ピッチ、先端(底面53a)の面積や傾斜角度を設定・調整して反りを修正すれば良い。
また、交差する凹凸筋53は、直角に交差する格子状に形成することで、矯正に方向性をなくすことができ、金属板材51(フィルタ3)に均一に矯正力を付与することができる。なお、交差角度は直交に限らず、菱形ができる角度に交差させてもよい。要するに、交差する2方向の凹凸筋53を形成することで、金属板材51に発生する反りを修正できれば良い。
前述したように、このフィルタ3は、金属板材51に多数の貫通孔51が形成される孔加工にともなって反りが発生してしまうため、反りを修正する加工が行われる。
次に、本発明の矯正装置55によって、金属板材51に複数の貫通孔52が形成されたフィルタ3の反りを矯正(修正)する方法について、図3〜図5に基づいて説明する。この金属板材51の反りの修正は、本発明の矯正装置55によるプレス加工によって金属板材51の表面に凹凸筋53を一面に複数塑性変形した状態で形成する。
矯正装置55は、図3に示すように、矯正ローラ(本発明のローラに相当)56と、弾性変形するクッション材57と、ダイとしての受けローラ58とを備えている。
矯正ローラ56は、その支持軸56aよりも拡径した円柱状に形成され、図示しないモータによって、軸心(図3中に符号Oで示す)を中心に回転するように構成されている(図3中に回転方向を矢印Lで示す)。
矯正ローラ56の外周面には、図4に示すように、例えば、格子状の溝60が複数研削されることで、凹凸部65が一面に設けられている。即ち、本発明の凹凸部65は、複数の突起66を備え、凹凸を交互に繰り返し反復して形成されている。溝60の断面形状は、軸芯Oに向かって逆ハ字谷形状に形成され、突起66の断面形状は、その頂面66aに向かって徐々に傾斜したハ字山形状に形成されている。
これらの突起66は、列状に並べられ、この突起66の列同士が複数本交差した状態で設けられている。なお、突起66の頂面66aは、軸芯Oを中心とした同心円上に配されているために、矯正ローラ56が軸芯Oを中心に回転する際に、それぞれの突起66の下死点を同一面に揃えることができる。また、突起66の高さは、例えば0.1mmに設定され、隣接する突起66同士の間隔(図5中に符号Dで示す)、すなわち突起66のピッチは、例えば0.6mmに設定してある。
なお、突起66の高さやピッチ、先端角度は、すでに説明した交差する複数の凹凸筋53を形成するためのものであり、これらの高さやピッチ、先端角度を変更することで、フィルタ3に加える矯正力を調整することができることから、フィルタ3ヘの加工度などにより生じる反りの大きさに応じて突起66の高さ、ピッチ、先端角度を設定・調整して反りを修正すれば良い。また、列状に並べた複数の突起66からなる凹凸部65は、凹凸筋53に相当し、突起66の列を直角に交差する格子状に形成することで、金属板材51(フィルタ3)に均一に矯正力を付与することができるが、これに限らず、交差する2方向に突起66を並べることで、金属板材51に発生する反りを修正できれば良い。さらに、断面形状も3角形状に限らず、半円形状など他の形状であっても良い。さらに、凹凸筋53は、直線に限らず円弧などの曲線でもよい。
そして、このように形成された矯正ローラ56は、図3に示すように、金属板材51とクッション材57とを間に挟んだ状態で、図示しない押圧手段によって、支持軸56aが受けローラ58に近接する方向に押圧される(図中に押圧方向を矢印Pで示す)。その押圧状態で、矯正ローラ56は、突起66で金属板材51を圧接しながら、前述した矢印Lに沿って回転するように構成されている。
クッション材57は、その表面が平坦な板状に形成されている。クッション材57は、受けローラ58の上に配置されて、フィルタ用素材である金属板材51を被加工板材として支持する。即ち、クッション材57は、金属板材51の矯正ローラ56とは反対側の表面に重ねられる。このクッション材57は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)やエラストマーなどの弾性を有する素材により作製された板材であり、金属板材51の厚さの数倍の厚さに設定されている。なお、クッション材57としては、PETに限らず、例えばPC(ポリカーボネート)、POM(ポリアセタール)、ABS(ABS樹脂)、PPS(ポリフェニンサルファイド)等の他の高分子材料等を用いることも可能であり、硬さは、金属板材の厚さ等により種々選択することが可能である。
このように、クッション材57は、プレス加工にともなう無用な応力集中を防止し、金属板材51に均一に矯正ローラ56の突起66によって加圧塑性変形を付与して金属板材51の反りを修正することができ、反り修正にともなうクラック、破断、傷等の発生を防止することができる。
なお、このクッション材57の材質や厚さによって、プレス加工による加圧塑性変形の度合い、すなわち矯正ローラ56の突起66による形状の転写具合が変化し、矯正力を調整することができる。
したがって、クッション材57の材質、厚みを変えることで、製品となる金属板材51(フィルタ3)として必要な状態に応じて反りの修正を行うことができる。
受けローラ58は、円柱形に形成されており、矯正ローラ56に平行に配されると共に、矯正ローラ56の下方に所定の間隔を空けて配置されている。受けローラ58は、その上に順にクッション材57及び金属板材51を載置し、図示しないモータによって、軸芯O´を中心にして回転して、クッション材57及び金属板材51を矯正ローラ56の軸芯Oに直交する方向に沿って搬送する(図3中に搬送方向を矢印Mで示す)。なお、受けローラ58が金属板材51を搬送する速度は、矯正ローラ56の周速度と同じ速さに設定されている。
このような列状に並べた複数の突起66の列が複数本交差した状態で形成された凹凸部65が設けられた矯正ローラ56と、金属板材51を矯正ローラ56の軸芯Oに直交する方向に搬送する受けローラ58との間に、クッション材57を重ねた状態で貫通孔52が複数開設された金属板材51をセットし、この状態で金属板材51に向かって、突起66を押圧することで、図5に示すように、金属板材51の表面に、凹凸筋53を複数本交差した状態で形成することができ、金属板材51の反りを修正することができる。これにより、金属板材51に凹凸筋53による凹凸が形成された状態で平坦な平面状態にすることができる。
そして、このようにして矯正された金属板材51は、例えば、圧力発生室39とノズル開口35を有する前述した記録ヘッド1では、圧力発生室39に供給されるインク中の異物を捕捉する記録ヘッド1用のフィルタ3として用いることができる。
ところで、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。
前述した実施形態では、受けローラ58を軸芯O´を中心にして回転させることで、金属板材51を搬送したが、本発明の矯正装置55は、図6に示すように、金属板材51と当接する面が平坦に形成され、図示しない駆動手段によって金属板材51を搬送するテーブル70を備えていても良い。これにより、金属板材51が短尺材などであっても、搬送を効率的に行いながら凹凸形状を転写することができ、反りの修正を行うことができる。
また、前述した実施形態では、貫通孔52が複数開設された金属板材51の反りを修正するため、金属板材51の矯正ローラ56当接側表面とは反対側の表面に板状に形成されたクッション材57を重ねることで、応力集中を防止し、クラックや傷等の発生を防止するようにしたが、図7に示すように、受けローラ58の外周面を樹脂からなるクッション材57で被覆することもできる。これにより、クッション材57と金属板材51との相対的な位置ズレを防止して、金属板材51を確実に搬送することができ、結果として、金属板材51への凹凸形状を転写し易くすることができる。また、金属板材51の長さに応じたクッション材57を用いる必要が無くなるので、クッション材57の材料量を抑えることができる。
また、本発明の金属板材は、液体流路内の液体を濾過するフィルタとして用いる場合に限らず、貫通孔が複数開設され、孔加工などによって反りが発生する場合の反りの修正が成されて使用される金属板材に広く適用することができるとともに、その製造方法として広く適用できるものである。
記録ヘッドの構成を説明する要部断面図である。 (a)フィルタの平面図、(b)はフィルタの要部拡大平面図、(c)はフィルタの要部拡大横断面図である。 矯正装置の概略構成図である。 矯正ローラに形成された凹凸部の突起を説明する拡大斜視図である。 矯正ローラで金属板材を押圧した状態を説明する拡大断面図である。 他の実施形態の矯正装置の概略構成図である。 他の実施形態の矯正装置の概略構成図である。
符号の説明
1…記録ヘッド、3…フィルタ、51…金属板材、52…貫通孔、55…矯正装置、56…矯正ローラ、57…クッション材、58…受けローラ、65…凹凸部、66…突起、70…テーブル

Claims (8)

  1. 加圧塑性変形による金属板材用の矯正装置であって、
    外周面に凹凸を交互に繰り返し反復して一面に設けた凹凸部を形成したローラを備え、
    該ローラを前記金属板材の表面に圧接しながら回転させることで、前記金属板材の表面に前記凹凸部の凹凸形状を転写して金属板材を矯正することを特徴とする金属板材用の矯正装置。
  2. 前記凹凸部は、列状に並べられた複数の突起の列が複数本交差した状態で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の金属板材用の矯正装置。
  3. 前記ローラと平行な受けローラを備え、両ローラの間に前記金属板材を挟んだ状態で、前記金属板材の表面に前記凹凸部の凹凸形状を転写することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属板材用の矯正装置。
  4. 前記金属板材を搬送するテーブルを備え、該テーブルに前記金属板材を載置した状態で、前記金属板材の表面に前記凹凸部の凹凸形状を転写することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属板材用の矯正装置。
  5. 弾性変形するクッション材を備え、
    該クッション材と前記金属板材とが重ねられた状態で、前記ローラを前記金属板材の表面に当接しながら回転させることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の金属板材用の矯正装置。
  6. 前記クッション材が、板状に形成され、前記金属板材のローラ当接側表面とは反対側の表面に重ねられることを特徴とする請求項5に記載の金属板材用の矯正装置。
  7. 前記クッション材が、樹脂材からなり、前記受けローラの表面を被覆することを特徴とする請求項5に記載の金属板材用の矯正装置。
  8. 加圧塑性変形による矯正を行う金属板材の製造方法であって、
    外周面に凹凸を交互に繰り返し反復して一面に設けた凹凸部を形成したローラを、前記金属板材の表面に圧接しながら回転させることで、前記金属板材の表面に、前記凹凸部の凹凸形状を転写して矯正することを特徴とする金属板材の製造方法。
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