JP2009175476A - 表示装置 - Google Patents

表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2009175476A
JP2009175476A JP2008014449A JP2008014449A JP2009175476A JP 2009175476 A JP2009175476 A JP 2009175476A JP 2008014449 A JP2008014449 A JP 2008014449A JP 2008014449 A JP2008014449 A JP 2008014449A JP 2009175476 A JP2009175476 A JP 2009175476A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
circuit
wiring
auxiliary wiring
unit
transistor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008014449A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Sagawa
裕志 佐川
Tetsuo Yamamoto
哲郎 山本
Katsuhide Uchino
勝秀 内野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP2008014449A priority Critical patent/JP2009175476A/ja
Publication of JP2009175476A publication Critical patent/JP2009175476A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)
  • Devices For Indicating Variable Information By Combining Individual Elements (AREA)

Abstract

【課題】アレイ部周辺に配置される付加回路の薄膜トランジスタの端子間ショートに対するリペア作業を補助配線を形成後にも実現できるようにする。
【解決手段】薄膜トランジスタを含む付加回路148を上部電極508の成膜領域外に配置し、さらに、薄膜トランジスタから引き出された配線の少なくとも一部(リペア箇所)の上層側は補助配線515が存在しないようにする。たとえば、付加回路148の全体を補助配線515の成膜領域外に配置しつつ、薄膜トランジスタの少なくともチャネル領域の上層側を補助配線515から延在した横延長配線515b1で覆う。チャネル領域以外の横延長配線515b1で覆われていない開口部515cをリペア用スリット部として利用する。
【選択図】図11B

Description

本発明は、駆動信号の大小によって輝度が変化する電流駆動型の電気光学素子(表示素子や発光素子とも称される)を具備する画素回路(画素とも称される)が行列状に配置された画素アレイ部を主要部に有する表示パネル部を具備し、画素回路ごとに能動素子を有して当該能動素子によって画素単位で表示駆動が行なわれるアクティブマトリクス型の表示装置に関する。
近年、表示装置の分野では、パネル型の表示装置が、薄型、軽量、高精細などの特長を有するために、従来のCRT(Cathode Ray Tube)表示装置に代わって主流になりつつある。
パネル型の表示装置の中には、画素の表示素子として、印加される電圧や流れる電流によって輝度が変化する電気光学素子を用いた表示装置がある。たとえば、印加される電圧によって輝度が変化する電圧駆動型の電気光学素子としては液晶表示素子が代表例であり、流れる電流によって輝度が変化する電流駆動型の電気光学素子としては、有機エレクトロルミネッセンス(Organic Electro Luminescence, 有機EL, Organic Light Emitting Diode, OLED;以下、有機ELと記す)素子が代表例である。後者の有機EL素子を用いた有機EL表示装置は、画素の表示素子として、自発光素子である電気光学素子を用いたいわゆる自発光型の表示装置である。
パネル型の表示装置では、TFTや電気光学素子などの画素回路を構成する素子を行列状に配置した画素アレイ部と、画素アレイ部の周辺に配置され、各画素を駆動するための走査線と接続された走査部(水平駆動部や垂直駆動部)を主要部とする制御部と、これらを制御部を動作させるための各種の信号を生成する駆動信号生成部や映像信号処理部を備えて装置の全体が構成されるのが一般的である。画素アレイ部と、画素アレイ部以外の走査回路などとの間は、走査線や電源線などが引き延ばされ、画素回路を構成する薄膜トランジスタや電気光学素子に電源電圧や信号を入力する走査回路から信号を供給する形態が採られる。
このとき、画素アレイ部以外の回路をどのように配置するかについては種々の方法が考えられているが、一例としては、画素アレイ部以外の回路をパネル外に配置して、パネル辺縁部の端子領域にまで走査線(たとえば書込走査線、電源供給線、映像信号線)を引き延ばして、走査回路や電源回路などから、画素回路を構成する薄膜トランジスタや電気光学素子に電源電圧や信号供給する形態が採られることがある(特許文献1参照)。
特開2007−041561号公報
ここで、電流駆動型の電気光学素子は、発光層と2つの電極(下部電極と上部電極と称する)で挟んだ積層構造をなしている。たとえば、有機EL素子は下部電極と上部電極との間に有機正孔輸送層や有機発光層を積層させてなる有機薄膜(有機層)を設けてなり、有機薄膜に電界をかけると発光する現象を利用した電気光学素子であり、有機EL素子を流れる電流値を制御することで発色の階調を得ている。一方の電極(上部電極)側から光を取り出すことで表示を行なう。
このため、光が透過する側(表示面側と称する)の上部電極は光透過性が必要であり電極抵抗が高くなり易い。この問題を緩和する仕組みとして、もう一方の下部電極が配される層と同じ層に補助配線を設ける仕組みが考えられている(特許文献2参照)。
特開2004−207217号公報
特許文献2に記載の仕組みでは、画素アレイ部内に2次元マトリクス状に配置される画素回路を取り囲むように補助配線を格子状に形成し、さらに、画素アレイ部の外周を取り囲むように補助配線を形成している。そして、この外周部の全体で上部電極との電気的な接続をとることでコンタクト抵抗を下げるようにしている。
一方、パネル型の表示装置では、TFTや電気光学素子などの画素回路を構成する素子を行列状に配置した画素アレイ部と、画素アレイ部の周辺に配置され、各画素を駆動するための走査線と接続された走査部(水平駆動部や垂直駆動部)を主要部とする制御部と、制御部を動作させるための各種の信号を生成する駆動信号生成部や映像信号処理部を備えて装置の全体が構成されるのが一般的である。
製品形態としては、画素アレイ部と制御部とを同一のガラス基板上に搭載した表示パネル部と駆動信号生成部や映像信号処理部を別体とする形態(パネル上配置構成と称する)や、表示パネル部には画素アレイ部を搭載し、それとは別基板(たとえばフレキシブル基板)上に制御部や駆動信号生成部や映像信号処理部などの周辺回路を搭載する形態(周辺回路パネル外配置構成と称する)などがある。
また、画素アレイ部と制御部とを同一のガラス基板上に搭載して表示パネル部を構成するパネル上配置構成の場合、画素アレイ部のTFTを生成する工程にて同時に制御部(必要に応じて駆動信号生成部や映像信号処理部も)用の各TFTを生成する仕組み(TFT一体構成と称する)と、COG(Chip On Glass )実装技術により画素アレイ部が搭載されたガラス基板上に制御部(必要に応じて駆動信号生成部や映像信号処理部も)用の半導体チップを直接実装する仕組み(COG搭載構成と称する)がある。
周辺回路パネル外配置構成やCOG搭載構成(纏めて制御部後付け構成とも称する)では、画素アレイ部と制御部とが別体である時点が存在する。画素アレイ部と制御部を接続しないと、画表示を行なうことができないために、画素アレイ部の各画素の欠陥(TFTの短絡や開放)や走査線の欠陥(断線や隣接する走査線との接触)などの検査を行なうことができない。
このため、制御部後付け構成を採る場合、画素アレイ部の周辺部に、制御部を画素アレイ部に接続せずに画素アレイ部の各画素や走査線の検査を行なうことを目的として、画素アレイ部の外部から各走査線にテスト信号を供給可能とするテストスイッチ回路を設けて簡易点灯検査を行なうことが考えられている。
テストスイッチ回路としては様々な構成が考えられるが、たとえば、静電気保護回路とテストスイッチ回路とを別の回路素子で構成する仕組みと、静電気保護回路の回路素子をテスト信号を走査線に供給するテストスイッチ回路を構成するスイッチ素子として兼用するようにした保護&テストスイッチ回路とする仕組みが考えられる。なお、静電気保護回路は、制御部後付け構成では、画素アレイ部と制御部とが別体である時点が存在するので、完成品にする過程で画素アレイ部上の走査線に人体や製造機材などを介して静電気が印加され回路素子が破壊される可能性がTFT一体構成の場合よりも多くなるため、静電気による静電破壊からの回路素子の保護を目的として走査線ごとに設けているものである。
ここで、保護回路やテストスイッチ回路(纏めて付加回路とも称する)を画素アレイ部の周辺に如何様に配置するかが問題となる。特許文献2に記載の仕組みのように、画素アレイ部の外周部の全体で補助配線と上部電極との電気的な接続をとるようにする場合、補助配線の下部に付加回路を配置することが考えられる。つまり、表示領域(画素アレイ部)外の付加回路を補助配線で覆うということである。
しかしながらこの場合、製造時にたとえば付加回路を構成する薄膜トランジスタの端子間ショートが生じた場合に、補助配線を形成後には薄膜トランジスタが覆われてしまっているので、薄膜トランジスタの端子間ショートに対するリペアが困難となり、パネルの歩留りを下げることになる。
加えて、特許文献2に記載の仕組みのように、画素アレイ部の外周部の全体で補助配線と上部電極との電気的な接続をとるようにすると、画素アレイ部の外部の回路との接続をとるための走査線が、画素アレイ部の外周部の補助配線とオーバーラップしてしまい、比較的大きな寄生容量が形成されてしまう。このために、パルス信号が鈍ってしまい実効パルス幅が短くなり、タイミングずれが生じてしまい、画質劣化の原因となる。また、補助配線と走査線(たとえば書込走査線、電源供給線、映像信号線)が広範囲でオーバーラップするので、異物を介しての層間ショートが多発して歩留まり低下を招く。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、表示領域外に配置される周辺回路部についてのリペア作業を補助配線を形成後にも実現できる仕組みを提供することを目的とする。好ましくは、画素アレイ部の各画素回路に信号を供給する走査線が画素アレイ部の外周部の補助配線とオーバーラップすることによる弊害を防止することのできる仕組みを提供することを目的とする。
本発明に係る表示装置の一形態は、信号振幅に応じた表示を行なう電気光学素子を含む画素回路が行列状に配された画素アレイ部と、画素回路を駆動するための各種の信号を伝送する走査線と、それぞれ画素アレイ部の周辺部に配置された、走査線に信号を供給する半導体素子を有する走査回路、あるいは製造検査を行なうための検査装置から入力されるテスト信号を走査線に供給するためのスイッチ素子を有するテストスイッチ回路、あるいは、走査線に印加される静電気による静電破壊からの保護を図る保護素子を有する静電気保護回路とを備えるものとする。そして、電気光学素子の表示面側とは反対側の第1電極が配置される層と同じ層にて、画素アレイ部の周辺を囲むように補助配線が形成され、当該補助配線は前記画素アレイ部の周辺にて電気光学素子の表示面側の第2電極と電気的な接続をとるようにする。
加えて、各回路を第2電極の成膜領域外に配置し、さらに、各回路を構成する各素子から引き出された配線の少なくとも一部(つまりリペア箇所)の上層側は、補助配線が存在しないようにする。少なくともリペアを要する箇所は事実上の補助配線で覆われていない状態とするという意味である。
たとえば、第1の仕組みとして、半導体素子やスイッチ素子や保護素子を含む各回路の全体を補助配線の成膜領域外に配置する。
あるいは、第2の仕組みとして、半導体素子やスイッチ素子や保護素子を含む回路を補助配線の成膜領域内に配置しつつ、半導体素子やスイッチ素子や保護素子から引き出された配線の少なくとも一部(つまりリペア箇所)の上層側では、補助配線に開口部を形成する。この開口部をリペア用スリット部として利用するのである。
あるいは、第3の仕組みとして、半導体素子やスイッチ素子や保護素子を含む各回路の全体を補助配線の成膜領域外に配置しつつ、半導体素子やスイッチ素子や保護素子を薄膜トランジスタとして、その少なくともチャネル領域の上層側を補助配線から延在した配線(延長配線)で覆う。チャネル領域以外の延長配線で覆われていない開口部をリペア用スリット部として利用するのである。
本発明の一形態によれば、補助配線を形成後であっても、少なくともリペアを要する箇所は事実上の補助配線が存在しない。よって、表示領域外に配置される周辺回路部についてのリペア作業を、補助配線を形成後にも実現できる。
また、第3の仕組みを採れば、走査線の上層側には補助配線が存在しない開口部となるので、その開口部分ではオーバーラップせず、その分、寄生容量が減少する。その結果、パルス信号が鈍る現象を緩和できタイミングずれを防止できるので、画質劣化を防止できる。加えて、補助配線と走査線のオーバーラップが少なくなるので、異物を介しての層間ショートも減少する。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
<表示装置の全体概要>
図1および図1Aは、本発明に係る表示装置の一実施形態であるアクティブマトリクス型表示装置の構成の概略を示すブロック図である。ここで、図1はCOG実装技術(詳細は後述する)により画素アレイ部が搭載されたガラス基板上に制御部用の半導体チップを直接実装するCOG搭載構成の場合を示し、図1Aは表示パネル部には画素アレイ部を搭載し、それとは別基板(たとえばフレキシブル基板)上に制御部を搭載する周辺回路パネル外配置構成の場合を示す。
ここで示す構成例では、たとえば画素の表示素子(電気光学素子、発光素子)として電流駆動型の素子である有機EL素子を、また能動素子として薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)をそれぞれ用い、薄膜トランジスタを形成した半導体基板上に有機EL素子を形成してなるアクティブマトリクス型有機ELディスプレイ(以下「有機EL表示装置」と称する)に適用した場合を例に採って説明する。
薄膜トランジスタとしては、大別すると、能動領域であるチャネル層を構成する半導体の種別によって、たとえば、非晶質シリコンからなるアモルファスシリコンTFT、微結晶シリコン(ナノ結晶シリコン)からなる微結晶シリコンTFT、多結晶シリコンからなる低温ポリシリコンTFT(無アルカリガラス基板)あるいは高温ポリシリコンTFT(石英ガラス基板)があるし、また、これらの組合せでチャネル層を2層構造にする仕組みも考えられている(参考文献1〜4を参照)。その種別によって、たとえば閾値電圧Vthや移動度μの大きさや素子ばらつきや経時的な安定性などの素子特性に相違があるが、本実施形態では、画素アレイ部102やその周辺部の全てに、チャネル層を構成する半導体には、閾値電圧Vthのばらつき(面内の均一性)や経時的な安定性が比較的良好で、またアモルファスシリコンTFTよりも大きな移動度が得られる微結晶シリコンTFTを適用する例で説明する。
参考文献1:特開平10−242052号公報
参考文献2:特開2007−5508号公報
参考文献3:特開2007−35964号公報
参考文献4:鵜飼育弘、“薄膜トランジスタ技術のすべて−構造,特性,製造プロセスから次世代TFTまで−”、初版、日本、工業調査会、2007年10月25日、特にp74〜88
表示装置1は、様々な電子機器、たとえば半導体メモリやミニディスク(MD)やカセットテープなどの記録媒体を利用した携帯型の音楽プレイヤー、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話などの携帯端末装置、ビデオカメラなど、電子機器に入力された映像信号や電子機器内で生成した映像信号を、静止画像や動画像(映像)として表示するあらゆる分野の電子機器の表示部に利用できる。
なお、以下の全体構成の説明においては、画素の表示素子として有機EL素子を例に具体的に説明するが、これは一例であって、対象となる表示素子は有機EL素子に限らない。一般的に電流駆動で発光する電気光学素子の全てに、後述する全ての実施形態が同様に適用できるし、電流駆動に限らず、電圧駆動で発光する電気光学素子の全てにも、後述する全ての実施形態が同様に適用できる。
図1や図1Aに示すように、表示装置1は、複数の表示素子としての有機EL素子(図示せず)を持った画素回路(画素とも称される)Pが表示アスペクト比である縦横比がX:Y(たとえば9:16)の有効映像領域を構成するように配置された画素アレイ部102を主要部に備える表示パネル部100と、この表示パネル部100を駆動制御する種々のパルス信号を発するパネル制御部の一例である駆動信号生成部(いわゆるタイミングジェネレータ)200と、映像信号処理部220を備えている。駆動信号生成部200と映像信号処理部220とは、1チップのIC(Integrated Circuit;半導体集積回路)に内蔵され、本例では、表示パネル部100の外部に配置されている。
図1に示すCOG搭載構成の場合、表示パネル部100は、基板101の上に、画素回路Pがn行×m列のマトリクス状に配列された画素アレイ部102が配置され、さらに画素回路Pを垂直方向に走査する垂直駆動部103、画素回路Pを水平方向に走査する水平駆動部(水平セレクタあるいはデータ線駆動部とも称される)106がCOG実装技術により搭載され、さらに、外部接続用の端子部(パッド部)108が表示パネル部100の一辺の端部に配置されている。なお、必要に応じて、各駆動部103,106と外部回路とのインタフェースをとるインタフェース(IF)部がCOG実装技術により搭載されることもある。
垂直駆動部103としては、たとえば、書込走査部(ライトスキャナWS;Write Scan)104や電源供給能力を有する電源スキャナとして機能する駆動走査部(ドライブスキャナDS;Drive Scan)105を有する。画素アレイ部102は、一例として、図示する左右方向の一方側もしくは両側から書込走査部104および駆動走査部105で駆動され、かつ図示する上下方向の一方側もしくは両側から水平駆動部106で駆動されるようになっている。
垂直駆動部103(書込走査部104および駆動走査部105)と水平駆動部106とで、信号電位の保持容量への書込みや、閾値補正動作や、移動度補正動作や、ブートストラップ動作を制御する制御部109が構成され、画素アレイ部102の画素回路Pを駆動する駆動回路として機能するようになっている。
図示した垂直駆動部103および対応する走査線の構成は、画素回路Pが後述する本実施形態の2TR構成の場合に適合させて示したものであるが、画素回路Pの構成によっては、その他の走査部および走査線が設けられることもある。
また、表示パネル部100上には、さらに、垂直駆動部103および水平駆動部106のそれぞれについて、周辺回路部140の一例として、保護回路142およびテストスイッチ回路144が搭載可能となっている。保護回路142とテストスイッチ回路144を纏めて付加回路148と称する。保護回路142としては、垂直駆動部103用の保護回路142Vと水平駆動部106用の保護回路142Hが走査線ごとに設けられ、テストスイッチ回路144としては垂直駆動部103用のテストスイッチ回路144Vと水平駆動部106用のテストスイッチ回路144Hが走査線ごとに設けられている。
保護回路142V,140Hおよびテストスイッチ回路144V,142Hは、COG実装技術ではなく、画素アレイ部102のTFTを生成する工程にて同時に各TFTを生成する仕組み(TFT一体構成)にて作り込まれている。なお、本実施形態においては、発明課題との関係から、保護回路142V(垂直駆動部103用),140H(水平駆動部106用)を備えることは必須ではない。
ここで、付加回路148として保護回路142やテストスイッチ回路144を設けることの意義について説明すると以下の通りである。先ず、製品形態としては、画素アレイ部102と制御部109とを同一のガラス基板上に搭載した表示パネル部100と駆動信号生成部200や映像信号処理部220を別体とする形態(パネル上配置構成と称する)や、表示パネル部100には画素アレイ部102を搭載し、それとは別基板(たとえばフレキシブル基板)上に制御部109や駆動信号生成部200や映像信号処理部220などの周辺回路を搭載する形態(周辺回路パネル外配置構成と称する)が考えられる。
また、画素アレイ部102と制御部109とを同一のガラス基板(基板101)上に搭載して表示パネル部100を構成するパネル上配置構成の場合、画素アレイ部102のTFTを生成する工程にて同時に制御部109(必要に応じて駆動信号生成部200や映像信号処理部220も)用の各TFTを生成する仕組み(TFT一体構成と称する)と、COG(Chip On Glass )実装技術により画素アレイ部102が搭載された基板101上に制御部109(必要に応じて駆動信号生成部200や映像信号処理部220も)用の半導体チップを直接実装する仕組み(COG搭載構成と称する)が考えられる。
周辺回路パネル外配置構成やCOG搭載構成(纏めて制御部後付け構成とも称する)では、画素アレイ部102と制御部109とが別体である時点が存在する。画素アレイ部102と制御部109を接続しないと、画表示を行なうことができないために、画素アレイ部102の各画素の欠陥(TFTの短絡や開放)や走査線の欠陥(断線や隣接する走査線との接触)などの検査を行なうことができない。
このため、制御部後付け構成を採る場合、画素アレイ部102の周辺部に、制御部109を画素アレイ部102に接続せずに画素アレイ部102の各画素や走査線の検査を行なうことを目的として、画素アレイ部102の外部から各走査線にテスト信号を供給可能とするテストスイッチ回路144を設けて簡易点灯検査を行なうのである。
テストスイッチ回路144としては様々な構成が考えられるが、たとえば、静電気保護用の保護回路142とテストスイッチ回路144とを別の回路素子で構成する仕組みと、保護回路142の回路素子をテスト信号を走査線に供給するテストスイッチ回路144を構成するスイッチ素子として兼用するようにした保護&テストスイッチ回路とする仕組みが考えられる(詳細は後述する)。なお、保護回路142は、制御部後付け構成では、画素アレイ部102と制御部109とが別体である時点が存在するので、完成品にする過程で画素アレイ部102上の走査線に人体や製造機材などを介して静電気が印加され回路素子が破壊される可能性がTFT一体構成の場合よりも多くなるため、静電気による静電破壊からの回路素子の保護を目的として走査線ごとに設けるものである。
このように、実装状態では、垂直駆動部103や水平駆動部106や保護回路142V,140Hおよびテストスイッチ回路144V,142Hなどの周辺駆動回路が、画素アレイ部102と同一の基板101上に搭載された構成となっている。図示した例では、制御部109を構成する書込走査部104、駆動走査部105、および水平駆動部106を半導体チップで構成しCOG実装技術で表示パネル部100上に搭載する例を示しており、このことを図からも明らかにするべく、制御部109(書込走査部104、駆動走査部105、水平駆動部106)を点線で示している。また、COG搭載時に表示パネル部100上の配線との接続をとるための電気的接続端子PAD1(Contact Pad )を模式的に示している。
COG実装技術により表示パネル部100に制御部109などのICチップ(IC:Integrated Circuit)を実装する方法としては、たとえば、電気的接合端子(バンプ)に電解めっきによる金バンプを使用し、表示パネル部100上の電極へACF(Anisotropic Conductive Film )により実装する手法が知られている。もちろん、これ以外の手法を適用してもよい。
保護回路142V,140Hおよびテストスイッチ回路144V,142Hとしては、たとえば、静電気保護回路とテストスイッチ回路とを別の回路素子で構成する仕組みを採用してもよいし、静電気保護回路の回路素子をテスト信号を走査線に供給するテストスイッチ回路を構成するスイッチ素子として兼用するようにした保護&テストスイッチ回路とする仕組みを採用してもよい。
なお図1に示す例では、パルス信号を表示パネル部100の外部から端子部108を介して入力する構成としているが、これらの各種のタイミングパルスを生成する駆動信号生成部200を半導体チップで構成しCOG実装技術で表示パネル部100上に搭載することも可能である。
端子部108には、表示装置1の外部に配された駆動信号生成部200から、種々のパルス信号が供給されるようになっている。また同様に、映像信号処理部220から映像信号Vsig が供給されるようになっている。カラー表示対応の場合には、色別(本例ではR(赤),G(緑),B(青)の3原色)の映像信号Vsig_R,G,Bが供給される。
一例としては、垂直駆動用のパルス信号として、垂直方向の書込み開始パルスの一例であるシフトスタートパルスSPDS,SPWSや垂直走査クロックCKDS,CKWS(必要に応じて位相反転した垂直走査クロックxCKDS ,xCKWS も)など必要なパルス信号が供給される。また、水平駆動用のパルス信号として、水平方向の書込み開始パルスの一例である水平スタートパルスSPH や水平走査クロックCKH (必要に応じて位相反転した水平走査クロックxCKHも)など必要なパルス信号が供給される。
端子部108の各端子は、信号線199を介して、垂直駆動部103や水平駆動部106に接続されるようになっている。たとえば、端子部108に供給された各パルスは、必要に応じて図示を割愛したレベルシフタ部で電圧レベルを内部的に調整した後、バッファを介して垂直駆動部103の各部や水平駆動部106に供給される。
画素アレイ部102は、図示を割愛するが(詳細は後述する)、表示素子としての有機EL素子に対して画素トランジスタが設けられた画素回路Pが行列状に2次元配置され、この画素配列に対して行ごとに走査線が配線されるともに、列ごとに信号線が配線された構成となっている。
たとえば、画素アレイ部102には、画素アレイ部102には、垂直走査側の各走査線104WS,105DSL と水平走査側の走査線である映像信号線(データ線)106HSが形成されている。垂直走査と水平走査の各走査線の交差部分には図示を割愛した有機EL素子とこれを駆動する薄膜トランジスタが形成される。有機EL素子と薄膜トランジスタの組み合わせで画素回路Pを構成する。
具体的には、マトリクス状に配列された各画素回路Pに対しては、書込走査部104によって書込駆動パルスWSで駆動されるn行分の書込走査線104WS_1〜104WS_nおよび駆動走査部105によって電源駆動パルスDSL で駆動されるn行分の電源供給線105DSL_1 〜105DSL_n が画素行ごとに配線される。
書込走査部104および駆動走査部105は、論理ゲートの組合せ(ラッチやシフトレジスタなども含む)によって構成され、画素アレイ部102の各画素回路Pを行単位で選択する、すなわち、駆動信号生成部200から供給される垂直駆動系のパルス信号に基づき、書込走査線104WSおよび電源供給線105DSL を介して各画素回路Pを順次選択する。
水平駆動部106は、論理ゲートの組合せ(ラッチやシフトレジスタなども含む)によって構成され、画素アレイ部102の各画素回路Pを列単位で選択する、すなわち、駆動信号生成部200から供給される水平駆動系のパルス信号に基づき、選択された画素回路Pに対し映像信号線106HSを介して映像信号Vsig の内の所定電位をサンプリングして保持容量に書き込ませる。
本実施形態の表示装置1は、線順次駆動や点順次駆動が可能になっており、垂直駆動部103の書込走査部104および駆動走査部105は線順次で(つまり行単位で)で画素アレイ部102を走査するとともに、これに同期して水平駆動部106が、画像信号を、1水平ライン分を同時に(線順次の場合)、あるいは画素単位で(点順次の場合)、画素アレイ部102に書き込む。
なお、製品形態としては、図示のように、表示パネル部100、駆動信号生成部200、および映像信号処理部220の全てを備えたモジュール(複合部品)形態の表示装置1として提供されることに限らず、たとえば、表示パネル部100のみで表示装置として提供することも可能であるし、画素アレイ部102のみで表示装置として提供することも可能である。
たとえば、表示装置1は、封止された構成のモジュール形状のものをも含む。たとえば、図1Aに示すように、周辺回路パネル外配置構成の場合が該当する。この場合、画素アレイ部102に透明なガラスなどの対向部に貼り付けられて形成された表示パネル部100のみでなる表示モジュールとして構成される。透明な対向部には、表示層(本例であれば有機層やその両側の電極層)、カラーフィルタ、保護膜、遮光膜などが設けられる。
図1Aに示す周辺回路パネル外配置構成(表示モジュール)の場合、画素アレイ部102の他にも、外部から画素アレイ部102への映像信号Vsig や各種の駆動パルスを入出力するための回路部(垂直駆動部103や水平駆動部106に相当するものやその出力ドライバなど)を搭載したFPC(フレキシブルプリントサーキット)との間で、TCP(Tape Carrier Package)方式やCOF(Chip On Flexible)方式で接続をとる際の外部接続端子となる電気的接続端子PAD2が、表示パネル部100の辺縁に設けられる。TCPは、フレキシブル・テープにドライバLSI(Large Scale Integrated Circuit)をボンディングで搭載したものの呼称であり、その手法は通常TAB(Tape Automated Bonding)が用いられる。因みに、図1AではCOF方式の例で示しているが、TCP方式の例は、後述する図6や図6Aで示す。その他の点は、基本的には、COG搭載構成の場合と同様である。
なお図1および図1Aでは、画素アレイ部102の一方側にのみ垂直駆動部103の各要素(書込走査部104や駆動走査部105)や保護回路142Vおよびテストスイッチ回路144Vを配置する構成を示しているが、これらを画素アレイ部102を挟んで左右両側に配置する構成を採ることも可能である。同様に、図1および図1Aでは、画素アレイ部102の一方側にのみ水平駆動部106や保護回路142Hおよびテストスイッチ回路144Hを配置する構成を示しているが、これらを画素アレイ部102を挟んで上下両側に配置する構成を採ることも可能である。
また、制御部109の実装形態に関しては、図1ではパネル上配置構成の一例としてCOG搭載構成の場合を示し、図1Aでは周辺回路パネル外配置構成の場合を示したが、前述のようにパネル上配置構成としては原理的にはCOG搭載構成に限らずTFT一体構成の場合であってもよい。ここで「原理的には」と称したのは、考え方としてはTFT一体構成を採ることができるが、付加回路148(保護回路142やテストスイッチ回路144)が必要となる背景を踏まえると、実体面としては、TFT一体構成を採りつつ保護回路142やテストスイッチ回路144を備える構成を採ることは殆ど無いと考えてよいからである。
ただし、TFT一体構成の場合において、後述する本実施形態の仕組みを制御部109へ適用することを排除するものではない。この場合、制御部109を構成するTFTは画素アレイ部102の各画素回路Pを構成するTFTと一体的に製造されるので、保護回路142やテストスイッチ回路144は基本的には不要となり、その代わりに制御部109を周辺回路部140として取り扱って、後述する実施形態を適用すればよい。もちろん、TFT一体構成の場合に、保護回路142やテストスイッチ回路144を備えておくことを排除するものでもない。この場合、制御部109や保護回路142やテストスイッチ回路144に、後述する実施形態を適用すればよい。
<画素回路>
図2は、本実施形態の基本構成の画素回路Pと、当該画素回路Pを備えた有機EL表示装置の一実施形態を示す図である。本実施形態の基本構成の画素回路Pを画素アレイ部102に備える表示装置1を本実施形態の基本構成の表示装置1と称する。なお、表示パネル部100の基板101上において画素アレイ部102の周辺部に配置される垂直駆動部103、水平駆動部106、保護回路142V,140H、およびテストスイッチ回路144V,142Hも合わせて示している。周辺回路パネル外配置構成やCOG搭載構成(纏めて制御部後付け構成とも称する)では制御部109が画素アレイ部102と別体である時点が存在することを示すために、制御部109(書込走査部104、駆動走査部105、水平駆動部106)を点線で示している。
ここで、前述のように、保護回路142V,140Hは、書込走査線104WS、電源供給線105DSL 、および映像信号線106HSの全てについて走査線ごとに設けられている。一方、テストスイッチ回路144V,142Hは、書込走査線104WSおよび映像信号線106HSについて走査線ごとに設けられるのに対して、電源供給線105DSL については設けられていない。
駆動トランジスタを始めとする各トランジスタとしてはMOSトランジスタを使用する。この場合、駆動トランジスタについては、ゲート端を制御入力端として取り扱い、ソース端およびドレイン端の何れか一方を入力端として取り扱い、他方を出力端として取り扱う。また、特に有機EL素子127に駆動電流を供給する駆動トランジスタに関してはソース端およびドレイン端の何れか一方(ここではソース端とする)を出力端として取り扱い、他方を電源供給端(ここではドレイン端とする)として取り扱う。
以下、2TR構成での画素回路Pの一例について具体的に説明する。図2に示す本実施形態の画素回路Pは、基本的にnチャネル型の薄膜電界効果トランジスタで駆動トランジスタが構成されている点に特徴を有する。また、有機EL素子の経時劣化による当該有機EL素子への駆動電流Idsの変動を抑制するための回路、すなわち電気光学素子の一例である有機EL素子の電流−電圧特性の変化を補正して駆動電流Idsを一定に維持する駆動信号一定化回路(その1)を備える。
また駆動トランジスタの特性変動(閾値電圧ばらつきや移動度ばらつき)による駆動電流変動を防ぐ閾値補正機能や移動度補正機能を実現して駆動電流Idsを一定に維持する駆動方式を採用した点に特徴を有する。駆動トランジスタ121の特性変動(たとえば閾値電圧や移動度などのばらつきや変動)による駆動電流Idsに与える影響を抑制する方法として、2TR構成の駆動回路をそのまま駆動信号一定化回路(その1)として採用しつつ、各トランジスタ121,125の駆動タイミングを工夫することで対処するのである。
また本実施形態の画素回路Pは、保持容量120の接続態様に特徴を有し、有機EL素子127の経時劣化による駆動電流変動を防ぐ回路として、駆動信号一定化回路(その2)の一例であるブートストラップ回路を構成している。有機EL素子の電流−電圧特性に経時変化があった場合でも駆動電流を一定にする(駆動電流変動を防ぐ)ブートストラップ機能を実現する駆動信号一定化回路(その2)を備えた点に特徴を有するのである。
因みに、駆動トランジスタ121は、低温ポリシリコンTFTを使用する場合は閾値電圧の基板面内の不均一性が大きく、閾値補正機能がほぼ必須となるのに対して、微結晶シリコンTFTを使用する場合は、閾値電圧の基板面内の不均一性が小さく要求仕様との関係では閾値補正機能を取り外すことも可能と考えられる。ここでは、前記の各機能(閾値補正機能、移動度補正機能、ブートストラップ機能)の全てを適用する例で説明する。
具体的には図2に示すように、本実施形態の画素回路Pは、それぞれnチャネル型の駆動トランジスタ121およびサンプリングトランジスタ125と、電流が流れることで発光する電気光学素子の一例である有機EL素子127を有する。一般に、有機EL素子127は整流性があるためダイオードの記号で表している。なお、有機EL素子127には、寄生容量Celが存在する。図では、この寄生容量Celを有機EL素子127(ダイオード状のもの)と並列に示す。
駆動トランジスタ121のソース端(ノードND121)とゲート端(ノードND122)の間に保持容量120が接続され、駆動トランジスタ121のソース端が直接に有機EL素子127のアノード端に接続されている。保持容量120は、ブートストラップ容量としても機能するようになっている。有機EL素子127のカソード端Kは基準電位としてのカソード電位Vcathとされる。このカソード電位Vcathは、基準電位を供給する全画素共通の接地配線Vcath(一例としてGND )に接続されている。
なお、接地配線Vcathは、それ用の単一層の配線(上層配線)のみとしてもよいし、たとえばアノード用の配線が形成されるアノード層に、カソード配線用の補助配線(補助電極)を設けてカソード配線の抵抗値を低減する。この補助配線は、たとえば、画素アレイ部102(表示エリア)内に格子状または列または行状に配線され、さらに画素アレイ部102の周辺部にも配線され、上層配線と同電位となるように接続され、固定電位が与えられる。この補助配線の詳細については後で説明する。
サンプリングトランジスタ125は、ゲート端が書込走査部104からの書込走査線104WSに接続され、ドレイン端が映像信号線106HSに接続され、ソース端が駆動トランジスタ121のゲート端(ノードND122)に接続されている。そのゲート端には、書込走査部104からアクティブHの書込駆動パルスWSが供給される。サンプリングトランジスタ125は、ソース端とドレイン端とを逆転させた接続態様とすることもできる。また、サンプリングトランジスタ125としては、ディプレション型およびエンハンスメント型の何れをも使用できる。
駆動トランジスタ121のドレイン端は、電源スキャナとして機能する駆動走査部105からの電源供給線105DSL に接続されている。電源供給線105DSL は、この電源供給線105DSL そのものが、駆動トランジスタ121に対しての電源供給能力を備える点に特徴を有する。具体的には、駆動走査部105は、駆動トランジスタ121のドレイン端に対して、それぞれ電源電圧に相当する高電圧側の第1電位Vccと低電圧側の第2電位Vssとを切り替えて供給する電源電圧切替回路を具備している。
第2電位Vssとしては、映像信号線106HSにおける映像信号Vsig のオフセット電位Vofs より十分低い電位とする。具体的には、駆動トランジスタ121のゲート・ソース間電圧Vgs(ゲート電位Vgとソース電位Vsの差)が駆動トランジスタ121の閾値電圧Vthより大きくなるように、電源供給線105DSL の低電位側の第2電位Vssを設定する。なお、オフセット電位Vofs は、閾値補正動作に先立つ初期化動作に利用するとともに映像信号線106HSを予めプリチャージにしておくためにも利用する。
画素回路Pを駆動するため、画素アレイ部102の周辺部には、書込走査部104、駆動走査部105および、水平駆動部106を配置する。制御部109は、駆動タイミングを適正化することで、駆動トランジスタ121に流れる駆動電流Idsを一定に維持する駆動信号一定化回路として機能するようにする。このため、先ず駆動走査部105は、好ましくは、保持容量120に信号振幅Vinに対応する情報が書き込まれた時点でサンプリングトランジスタ125を非導通状態にして駆動トランジスタ121の制御入力端への映像信号Vsig の供給を停止させ、駆動トランジスタ121の出力端の電位変動に制御入力端の電位が連動するブートストラップ動作を行なうように制御するのがよい。
制御部109は、好ましくは、ブートストラップ動作を、サンプリング動作の終了後の発光開始の初期でも実行するようにする。すなわち、信号電位がサンプリングトランジスタ125に供給されている状態でサンプリングトランジスタ125を導通状態にした後にサンプリングトランジスタ125を非導通状態にすることで、駆動トランジスタ121の制御入力端と出力端の電位差が一定に維持されるようにする。
また、制御部109は、好ましくはブートストラップ動作を、発光期間において電気光学素子(有機EL素子127)の経時変動補正動作を実現するように制御する。このため、制御部109は、保持容量120に保持された情報に基づく駆動電流Idsが電気光学素子(有機EL素子127)に流れている期間は継続的にサンプリングトランジスタ125を非導通状態にしておくことで、制御入力端と出力端の電圧を一定に維持可能にして電気光学素子の経時変動補正動作を実現するとよい。発光時における保持容量120のブートストラップ動作により有機EL素子127の電流−電圧特性が経時変動しても駆動トランジスタ121の制御入力端と出力端の電位差をブートストラップした保持容量120により一定に保つことで、常に一定の発光輝度を保つようにするのである。
また、好ましくは、制御部109は、オフセット電位Vofs がサンプリングトランジスタ125の入力端(ソース端が典型例)に供給されている時間帯でサンプリングトランジスタ125を導通させることで駆動トランジスタ121の閾値電圧Vthに対応する電圧を保持容量120に保持するための閾値補正動作を行なうように制御する。この閾値補正動作は、必要に応じて、信号振幅Vinに対応する情報の保持容量120への書込みに先行する複数の水平周期で繰り返し実行して、確実に駆動トランジスタ121の閾値電圧Vthに相当する電圧を保持容量120に保持させるのがよい。
また、さらに好ましくは、制御部109は、閾値補正動作に先立って、サンプリングトランジスタ125の入力端にオフセット電位Vofs が供給されている時間帯でサンプリングトランジスタ125を導通させて閾値補正用の準備動作(放電動作や初期化動作)を実行するように制御する。閾値補正動作前に駆動トランジスタ121の制御入力端と出力端の電位を初期化しておくのである。より詳しくは、制御入力端と出力端と間に保持容量120を接続しておくことで、保持容量120の両端の電位差が閾値電圧Vth以上になるように設定するのである。
<<駆動電流を一定に維持する基本動作>>
2TR駆動構成における閾値補正に当たっては、制御部109の駆動走査部105は、書込走査部104での走査に合わせて1行分の各画素回路Pに、駆動電流Idsを電気光学素子(有機EL素子127)に流すために使用される第1電位Vccと第1電位Vccとは異なる第2電位Vssとを切り替えて出力する。書込走査部104は、駆動トランジスタ121の電源供給端子に第1電位Vccに対応する電圧が供給され、かつサンプリングトランジスタ121に信号電位が供給されている時間帯でサンプリングトランジスタ125を導通させることで閾値補正動作を行なうように制御する。
また、2TR駆動構成における閾値補正の準備動作に当たっては、駆動トランジスタ121の電源供給端に第2電位Vssに対応する電圧が供給され、かつサンプリングトランジスタ125に信号電位が供給されている時間帯でサンプリングトランジスタ125を導通させて、駆動トランジスタ121の制御入力端の電位を基準電位Vinに、また出力端の電位を第2電位Vssに初期化するのがよい。
さらに好ましくは、制御部109は、閾値補正動作の後、駆動トランジスタ121に第1電位Vccに対応する電圧が供給され、サンプリングトランジスタ125に信号電位が供給されている時間帯でサンプリングトランジスタ125を導通させることで保持容量120に信号振幅Vinの情報を書き込む際、駆動トランジスタ121の移動度μに対する補正分を保持容量120に書き込まれる情報に加えるように制御する。この際には、サンプリングトランジスタ125に信号電位が供給されている時間帯内の所定位置で、その時間帯より短い期間だけサンプリングトランジスタ125を導通させるとよい。
駆動トランジスタ121のゲートとソースとの間に保持容量120を配置して、駆動トランジスタ121のソース端の電位Vsの変動にゲート端の電位Vgが連動するようにするブートストラップ機能を実現する回路構成および駆動タイミングとすることで、有機EL素子127の特性の経時変動による有機EL素子127のアノード電位変動(つまりソース電位変動)があっても、その変動を相殺するようにゲート電位Vgを変動させることで、画面輝度の均一性(ユニフォーミティ)を確保できる。ブートストラップ機能が、有機EL素子を代表とする電流駆動型の発光素子の経時劣化補正能力を向上させることができる。もちろん、このブートストラップ機能は、発光開始時点で、有機EL素子127に発光電流Ielが流れ始め、それによってアノード・カソード間電圧Velが安定となるまで上昇していく過程で、そのアノード・カソード間電圧Velの変動に伴って駆動トランジスタ121のソース電位Vsが変動する際にも機能する。
また、駆動トランジスタ121の製造プロセスのばらつきにより、画素回路Pごとに閾値電圧や移動度などの特性変動がある。駆動トランジスタ121を飽和領域で駆動する場合においても、この特性変動により、駆動トランジスタ121に同一のゲート電位を与えても、画素回路Pごとにドレイン電流(駆動電流Ids)が変動し、発光輝度のばらつきになって現れる。
これに対して、閾値補正機能および移動度補正機能を実現する駆動タイミングとすることで、それらの変動の影響を抑制でき、画面輝度の均一性(ユニフォーミティ)を確保できる。本実施形態の閾値補正動作および移動度補正動作では、詳細は割愛するが、書込みゲインが1(理想値)であると仮定した場合、発光時のゲート・ソース間電圧Vgsが“Vin+Vth−ΔV”で表されるようにすることで、ドレイン・ソース間電流Idsが、閾値電圧Vthのばらつきや変動に依存しないようにするとともに、移動度μのばらつきや変動に依存しないようにする。結果として、閾値電圧Vthや移動度μが製造プロセスにより変動しても、駆動電流Idsは変動せず、有機EL素子127の発光輝度も変動しない。
<画素回路の動作:本実施形態>
図2Aは、図2に示した本実施形態の画素回路Pに関する駆動タイミングの一例として、線順次方式で信号振幅Vinの情報を保持容量120に書き込む際の動作を説明するタイミングチャートである。ここで、図2Aに示す例は、信号振幅Vinに応じた情報を保持容量120に書き込む動作と移動度補正を、書込走査線104WSに印加する書込駆動パルスWSの立上りと立下りで決定する態様である。
図2Aにおいては、時間軸を共通にして、書込走査線104WSの電位変化、電源供給線105DSL の電位変化、および映像信号線106HSの電位変化を表してある。また、これらの電位変化と並行に、駆動トランジスタ121のゲート電位Vgおよびソース電位Vsの変化も表してある。基本的には、書込走査線104WSや電源供給線105DSL の1行ごとに、1水平走査期間だけ遅れて同じような駆動を行なう。
以下では、説明や理解を容易にするため、特段の断りのない限り、書込みゲインが1(理想値)であると仮定して、保持容量120に信号振幅Vinの情報を、書き込む、保持する、あるいはサンプリングするなどと簡潔に記して説明する。実際には、書込みゲインが1未満となり、保持容量120には信号振幅Vinの大きさそのものではなく、信号振幅Vinの大きさに対応するゲイン倍された情報が保持されることになる。また、説明や理解を容易にするため、特段の断りのない限り、ブートストラップゲインが1(理想値)であると仮定して簡潔に記して説明する。
本実施形態の画素回路Pにおいて、駆動タイミングとしては、先ず、サンプリングトランジスタ125は、書込走査線104WSから供給された書込駆動パルスWSに応じて導通し、映像信号線106HSから供給された映像信号Vsig をサンプリングして保持容量120に保持する。駆動タイミングにおいて、映像信号Vsig の信号振幅Vinの情報を保持容量120に書き込む際に、順次走査の観点からは、1行分の映像信号を同時に各列の映像信号線106HSに伝達する線順次駆動を行なう。
2TR構成の画素回路Pにおける駆動タイミングでの閾値補正と移動度補正を行なう際の基本的な考え方においては、先ず、映像信号Vsig をオフセット電位Vofs と信号電位(Vofs +Vin)とを1H期間内において時分割で有するものとする。具体的には、映像信号Vsig が非有効期間であるオフセット電位Vofs にある期間を1水平期間の前半部とし、有効期間である信号電位(Vofs +Vin)にある期間を1水平期間の後半部とする。
また、信号書込みに用いる書込駆動パルスWSを閾値補正や移動度補正にも用いることし、好ましくは書込駆動パルスWSを1H期間内に2回アクティブにしてサンプリングトランジスタ125をオンする。信号振幅Vinの情報のサンプリング(書き込む動作)と移動度補正を、書込走査線104WSに印加する書込駆動パルスWSの立上りと立下りで決定するためである。そして、1回目のオンタイミングにて閾値補正を行ない、2回目のオンタイミングにて信号電圧書込みと移動度補正を同時に行なう。その後、駆動トランジスタ121は、第1電位(高電位側)にある電源供給線105DSL から電流の供給を受け保持容量120に保持された信号電位(映像信号Vsig の有効期間の電位に対応する電位)に応じて駆動電流Idsを有機EL素子127に流す。
たとえば、発光期間B,Iでは電源駆動パルスDSL が第1電位Vccにあり、書込駆動パルスWSがインアクティブLでサンプリングトランジスタ125T1がオフした状態である。このとき、駆動トランジスタ121は飽和領域で動作するように設定されているため、有機EL素子127に流れる駆動電流Idsは駆動トランジスタ121のゲート・ソース間電圧Vgsに応じた値をとる。飽和領域で動作するトランジスタのドレイン端−ソース間に流れる電流をIds、移動度をμ、チャネル幅(ゲート幅)をW、チャネル長(ゲート長)をL、ゲート容量(単位面積当たりのゲート酸化膜容量)をCoxは、トランジスタの閾値電圧をVthとすると、駆動トランジスタ121は下記の式(1)に示した値を持つ定電流源となっている。式(1)から明らかなように、飽和領域ではトランジスタのドレイン電流Idsはゲート・ソース間電圧Vgsによって制御される。
Figure 2009175476
次に非発光期間に入ると、先ず放電期間Cにおいて、電源駆動パルスDSL を第2電位Vssとする。このとき、第2電位Vssが有機EL素子127の閾値VthELとカソード電圧Vcathの和よりも小さいとき、つまり“Vss<VthEL+Vcath”であれば有機EL素子127は消光し、電源駆動パルスDSL が駆動トランジスタ121のソースとなる。このとき有機EL素子127のアノードは第2電位Vssに充電される。
さらに、初期化期間Dにて映像信号線106HSの電位がオフセット電位Vofs なったときに書込駆動パルスWSをアクティブHにしてサンプリングトランジスタ125をオンさせて駆動トランジスタ121のゲート電位をオフセット電位Vofs とする。このとき駆動トランジスタ121のゲート・ソース間電圧Vgsは“Vofs −Vss”という値をとる。この“Vofs −Vss”が駆動トランジスタ121の閾値電圧Vthよりも大きくないと閾値補正動作を行なうことができないために、“Vofs −Vss>Vth”とする必要がある。
そして閾値補正期間Eにおいて、電源駆動パルスDSL を再び第1電位Vccとする。駆動トランジスタ121の電源供給端であるドレインを第1電位Vccとすることで、有機EL素子127のアノードが駆動トランジスタ121のソースとなり電流が流れる。有機EL素子127の等価回路は図2に示されるようにダイオードと寄生容量Celで表されるため、“Vel≦Vcath+VthEL”(有機EL素子127のリーク電流が駆動トランジスタ121に流れる電流よりもかなり小さい)である限り、駆動トランジスタ121の駆動電流Idsは保持容量120と寄生容量Celを充電するために使われる。このとき、Velは時間とともに上昇してゆく。一定時間経過後、書込駆動パルスWSをインアクティブLにしてサンプリングトランジスタ125をオフする。この動作が閾値補正機能を実現する。この閾値補正機能により、画素回路Pごとにばらつく駆動トランジスタ121の閾値電圧Vthの影響をキャンセルすることができる。閾値補正期間が十分であれば、この動作により、駆動トランジスタ121のゲート・ソース間電圧VgsはVthという値をとる。このとき、“Vel=Vofs −Vth≦Vcath+VthEL”となっている。
閾値補正期間Eでは、電源供給線105DSL の電位が低電位側の第2電位Vssから高電位側の第1電位Vccに遷移することで、駆動トランジスタ121のソース電位Vsが上昇を開始する。すなわち、駆動トランジスタ121のゲート端はオフセット電位Vofs に保持されており、駆動トランジスタ121のソース端の電位Vsが上昇して駆動トランジスタ121がカットオフするまでドレイン電流が流れようとする。カットオフすると駆動トランジスタ121のソース電位Vsは“Vofs −Vth”となる。
有機EL素子127の等価回路はダイオードと寄生容量Celの並列回路で表されるため、“Vel≦Vcath+VthEL”である限り、つまり、有機EL素子127のリーク電流が駆動トランジスタ121に流れる電流よりもかなり小さい限り、駆動トランジスタ121の電流は保持容量120と寄生容量Celを充電するために使われる。このとき、有機EL素子127には逆バイアスがかかっているため有機EL素子127が発光することはない。
この結果、駆動トランジスタ121を流れるドレイン電流の電流路が遮断されると、有機EL素子127のアノード端Aの電圧VelつまりノードND121の電位は、時間ともに上昇してゆく。そして、ノードND121の電位(ソース電位Vs)とノードND122の電圧(ゲート電位Vg)との電位差がちょうど閾値電圧Vthとなったところで駆動トランジスタ121はオン状態からオフ状態となり、ドレイン電流は流れなくなり、閾値補正期間が終了する。つまり、一定時間経過後、駆動トランジスタ121のゲート・ソース間電圧Vgsは閾値電圧Vthという値をとる。
ここで、閾値補正動作は1回のみ実行するものとすることもできるが、このことは必須ではない。必要に応じて、1水平期間を処理サイクルとして、閾値補正動作を複数回に亘って繰り返すようにしてもよい。たとえば、実際には、閾値電圧Vthに相当する電圧が、駆動トランジスタ121のゲート端とソース端と間に接続された保持容量120に書き込まれることになる。しかしながら、閾値補正期間Eは、書込駆動パルスWSをアクティブHにしたタイミングからインアクティブLに戻すタイミングまでであり、この期間が十分に確保されていないときには、それ以前に終了してしまうことなる。この問題を解消するには、閾値補正動作を複数回繰り返すのがよい。ここでは、そのタイミングについては図示を割愛するが、信号振幅Vinの保持容量120へのサンプリング(信号書込み)に先行する複数の水平周期で、閾値補正動作を繰り返し実行することで、確実に駆動トランジスタ121の閾値電圧Vthに相当する電圧を保持容量120に保持させるのである。
本実施形態の制御部109においては、閾値補正機能に加えて、移動度補正機能を備えている。すなわち、垂直駆動部103は、映像信号線106HSが映像信号Vsig の有効期間である信号電位(Vofs +Vin)にある時間帯にサンプリングトランジスタ125を導通状態にするため、書込走査線104WSに供給する書込駆動パルスWSを、上述の時間帯より短い期間だけアクティブ(本例ではHレベル)にする。この書込駆動パルスWSのアクティブ期間(サンプリング期間でもあり移動度補正期間でもある)を適切に設定することで、保持容量120に信号振幅Vinに応じた情報を保持する際、同時に駆動トランジスタ121の移動度μに対する補正を加える。水平駆動部106により映像信号線106HSに信号電位(Vofs +Vin)を実際に供給して、書込駆動パルスWSをアクティブHにする期間を、保持容量120への信号振幅Vinの書込み期間(サンプリング期間とも称する)とする。なお、図2Aでは、このサンプリング期間と移動度補正期間を同じに扱って、書込み&移動度補正期間Hと称している。
書込み&移動度補正期間Hにおいては、駆動トランジスタ121のゲート電位Vgが信号電位(Vofs +Vin)にある状態でサンプリングトランジスタ125が導通(オン)状態となる。したがって、書込み&移動度補正期間Hでは、駆動トランジスタ121のゲート端が信号電位(Vofs +Vin)に固定された状態で、駆動トランジスタ121に駆動電流Idsが流れる。駆動トランジスタ121のゲート電位Vgはサンプリングトランジスタ125をオンしているために信号電位(Vofs +Vin)となるが、電源供給線105DSL から電流が流れるためソース電位Vsは時間とともに上昇してゆく。
有機EL素子127の閾値電圧をVthELとしたとき、書込みゲインが理想的な“1”であるとしたときは“Vofs −Vth+ΔV<VthEL+Vcath”と設定しておくことで、有機EL素子127は、逆バイアス状態におかれ、カットオフ状態(ハイインピーダンス状態)にあるため、発光することはなく、また、ダイオード特性ではなく単純な容量特性を示すようになる。このときのソース電位Vsが有機EL素子127の閾値電圧VthELとカソード電位Vcathの和を越えなければ(有機EL素子127のリーク電流が駆動トランジスタ121に流れる電流よりもかなり小さければ)、駆動トランジスタ121に流れるドレイン電流(駆動電流Ids)は保持容量120の容量値Csと有機EL素子127の寄生容量(等価容量)Celの容量値Celの両者を結合した容量“C=Cs+Cel”に流れ込み充電を開始する。これにより、駆動トランジスタ121のソース電位Vsは上昇していく。このとき、駆動トランジスタ121の閾値補正動作は完了しているため、駆動トランジスタ121が流す駆動電流Idsは移動度μを反映したものとなる。
図2Aのタイミングチャートでは、この上昇分をΔVで表してある。この上昇分、すなわち移動度補正パラメータである負帰還量ΔVは、閾値補正によって保持容量120に保持されるゲート・ソース間電圧“Vgs=Vin+Vth”から差し引かれることになり、“Vgs=Vin+Vth−ΔV”となるので、負帰還をかけたことになる。このとき、駆動トランジスタ121のソース電位Vsは、ゲート電位Vg(=Vofs +Vin)から保持容量に保持される電圧“Vgs=Vin+Vth−ΔV”を差し引いた値“Vofs −Vth+ΔV”となる。 このようにして、書込み&移動度補正期間Hにおいて、信号振幅Vinのサンプリングと移動度μを補正する負帰還量(移動度補正パラメータ)ΔVの調整が行なわれる。書込走査部104は、書込み&移動度補正期間Hの時間幅を調整可能であり、これにより保持容量120に対する駆動電流Idsの負帰還量を最適化することができる。
ここで「負帰還量を最適化する」とは、映像信号電位の黒レベルから白レベルまでの範囲で、どのレベルにおいても適切に移動度補正を行なうことができるようにすることを意味する。ゲート・ソース間電圧Vgsにかける負帰還量は、ドレイン電流Idsの取り出し時間すなわち書込み&移動度補正期間Hに依存しており、この期間を長くとる程、負帰還量が大きくなる。負帰還量ΔVはΔV=Ids・t/Cel(Cel以外の寄生容量は無視する)である。
この式から明らかなように、駆動トランジスタ121のドレイン・ソース間電流である駆動電流Idsが大きい程、負帰還量ΔVは大きくなる。逆に、駆動トランジスタ121の駆動電流Idsが小さいとき、負帰還量ΔVは小さくなる。このように、負帰還量ΔVは駆動電流Idsに応じて決まる。移動度μが大きいものはこのときの駆動電流Idsが大きく、ソースの上昇も早い。逆に移動度μが小さいものは駆動電流Idsが小さく、ソースの上昇は遅くなる。これによって、駆動トランジスタ121のゲート・ソース間電圧Vgsは移動度μを反映して小さくなり一定時間経過後に完全に移動度μを補正するゲート・ソース間電圧Vgsとなる。
このようにして、本実施形態の画素回路Pにおける駆動タイミングでは、書込み&移動度補正期間Hにて、信号振幅Vinのサンプリングと移動度μのばらつきを補正するための負帰還量ΔVの調整が同時に行なわれる。もちろん、負帰還量ΔVは書込み&移動度補正期間Hの時間幅を調整することで最適化可能である。
また、本実施形態の制御部109は、ブートストラップ機能も備えている。すなわち、書込走査部104は、保持容量120に信号振幅Vinの情報が保持された段階で書込走査線104WSに対する書込駆動パルスWSの印加を解除し(すなわちインアクティブL(ロー)にして)、サンプリングトランジスタ125を非導通状態にして駆動トランジスタ121のゲート端を映像信号線106HSから電気的に切り離す(発光期間I)。発光期間Iに進むと、水平駆動部106は、その後の適当な時点で映像信号線106HSの電位をオフセット電位Vofs に戻す。この後、次のフレーム(もしくはフィールド)に移って、再び、閾値補正準備動作、閾値補正動作、移動度補正動作、および発光動作が繰り返される。
発光期間Iでは、駆動トランジスタ121のゲート端は映像信号線106HSから切り離される。駆動トランジスタ121のゲート端への信号電位(Vofs +Vin)の印加が解除されるので、駆動トランジスタ121のゲート電位Vgは上昇可能となる。駆動トランジスタ121のゲート端とソース端と間には保持容量120が接続されており、その保持容量120による効果によって、ブートストラップ動作が行なわれる。ブートストラップゲインが1(理想値)であると仮定した場合、駆動トランジスタ121のソース電位Vsの変動にゲート電位Vgが連動するようになり、ゲート・ソース間電圧Vgsを一定に維持することができる。
このとき、駆動トランジスタ121に流れる駆動電流Idsは有機EL素子127に流れ、有機EL素子127のアノード電位は駆動電流Idsに応じて上昇する。この上昇分をVelとする。やがて、ソース電位Vsの上昇に伴い、有機EL素子127の逆バイアス状態は解消されるので、駆動電流Idsの流入により有機EL素子127は実際に発光を開始する。このときの有機EL素子127のアノード電位の上昇(Vel)は、駆動トランジスタ121のソース電位Vsの上昇に他ならず、駆動トランジスタ121のソース電位Vsは、Vel分上昇する。
駆動電流Ids対ゲート電圧Vgsの関係は、書込みゲインを“1”とすれば先のトランジスタ特性を表した式(1)のVgsに“Vin−ΔV+Vth”を代入することで、式(2)のように表すことができる。式(2)において、k=(1/2)(W/L)Coxである。
Figure 2009175476
この式(2)から、閾値電圧Vthの項がキャンセルされており、有機EL素子127に供給される駆動電流Idsは駆動トランジスタ121の閾値電圧Vthに依存しないことが分かる。基本的に駆動電流Idsは信号振幅Vin(詳しくは信号振幅Vinに対応して保持容量120に保持されるサンプリング電圧=Vgs)によって決まる。換言すると、有機EL素子127は信号振幅Vinに応じた輝度で発光することになる。その際、保持容量120に保持される情報は帰還量ΔVで補正されている。この補正量ΔVはちょうど式(2)の係数部に位置する移動度μの効果を打ち消すように働く。したがって、駆動電流Idsは実質的に信号振幅Vinのみに依存することになる。駆動電流Idsは閾値電圧Vthに依存しないので、閾値電圧Vthが製造プロセスにより変動しても、ドレイン・ソース間の駆動電流Idsは変動せず、有機EL素子127の発光輝度も変動しない。
また、駆動トランジスタ121のゲート端Gとソース端Sとの間には保持容量120が接続されており、その保持容量120による効果により、発光期間の最初でブートストラップ動作が行なわれ、駆動トランジスタ121のゲート・ソース間電圧Vgsを一定に維持したまま、駆動トランジスタ121のゲート電位Vgおよびソース電位Vsが上昇し、ゲート電位Vgは“Vofs +Vin+Vel”となる。このとき、駆動トランジスタ121のゲート・ソース間電圧Vgsは一定であるので、駆動トランジスタ121は、一定電流(駆動電流Ids)を有機EL素子127に流す。その結果、有機EL素子127のアノード端Aの電位(=ノードND121の電位)は、有機EL素子127に飽和状態での駆動電流Idsという電流が流れ得る電圧まで上昇する。
ここで、有機EL素子127は、発光時間が長くなるとそのI−V特性が変化してしまう。そのため、時間の経過ともに、ノードND121の電位も変化する。しかしながら、このような有機EL素子127の経時劣化によりそのアノード電位が変動しても、保持容量120に保持されたゲート・ソース間電圧Vgsは常に一定に維持される。駆動トランジスタ121が定電流源として動作することから、有機EL素子127のI−V特性が経時変化し、これに伴って駆動トランジスタ121のソース電位Vsが変化したとしても、保持容量120によって駆動トランジスタ121のゲート・ソース間電位Vgsが一定(≒Vin−ΔV+Vthもしくは≒(1−g)Vin−ΔV+Vth)に保たれているため、有機EL素子127に流れる電流は変わらず、したがって有機EL素子127の発光輝度も一定に保たれる。
このような、有機EL素子127の特性変動に拘らず、駆動トランジスタ121のゲート・ソース間電圧を一定に維持し輝度を一定に維持する補正のための動作(保持容量120の効果による動作)をブートストラップ動作と呼ぶ。このブートストラップ動作により、有機EL素子127のI−V特性が経時的に変化しても、それに伴う輝度劣化のない画像表示が可能になる。
<<補助配線のレイアウト>>
図3および図3Aは、画素アレイ部102の周辺に配される制御部109(書込走査部104、駆動走査部105、水平駆動部106)と画素アレイ部102との間の配線に関する問題点を説明する図である。ここで、図3は、有機EL素子127の下部電極と補助配線の第1比較例のレイアウトを示した全体概要図である。図3Aは、図3に対する変形例である第2比較例のレイアウトを示した図である。
有機EL素子127の下部電極と補助配線の第1比較例のレイアウトが図3に示されている。この図に示すように、有機EL素子127の下部電極504は、マトリクス状に配置された画素回路Pの配列に対応して、2次元マトリクス状に配置されている。有機EL素子127は、下部電極504と有機層506と上部電極508の積層構造をなしている。そして、この下部電極504間に、下部電極504と同一層で構成された補助配線515が、下部電極504(つまり画素回路P)を取り囲むように格子状に配置され、さらに外周にも画素アレイ部102の全体を取り囲むように配線された構成となっている。下部電極504が形成されるアノード層L3の補助配線515は、適当な箇所にて(図の例では各画素間の中心および外周全体)、カソードコンタクトKCにより、その上層の上部電極508と接続される。
また、図3Aに示す第2比較例のレイアウトでは、トップエミッション方式での高精細画素構造とする場合において、画素開口率を稼ぐために、補助配線515を画素アレイ部102の全体を取り囲むように配置するだけで、画素アレイ部102(表示エリア)内に格子状または列または行状に配線するレイアウトを用いていない。たとえば、高精細画素では、開口率を稼ぐために、画素内の補助配線レイアウトを使用しないことがある。
何れの構成でも、補助配線515を画素アレイ部102の全体を取り囲むように配線して、外周全体で上部電極とのコンタクトをとることで、上部電極(カソード電極)とのコンタクト抵抗を下げるようにしている。このように、補助配線515が上部電極とのコンタクト抵抗を下げるために画素アレイ部102より広くとられると、図3や図3A(後述の図6や図7も参照)に示すように、補助配線515は、制御部109からそれぞれ画素アレイ部102へと接続される各走査線Lscan(書込走査線104WS、電源供給線105DSL 、映像信号線106HS)と広範囲でオーバーラップすることになる。
<<画素の層構造>>
図4〜図4Bは、電極の層構造を説明する図である。ここで、図4は、カラー表示用のR,B,Gの3画素分についての全体の層構造の平面透視図である。図4Aは、1画素分についての第1配線層L1および第2配線層L2に着目した平面透視図(図4A(1))と、1画素分についての第3配線層となるアノード層L3に着目した平面透視図(図4A(2))である。図4Bは、1画素分についての全体の層構造の平面透視図(図4B(1))と断面図(図4B(2))である。
図4や図4A(1)に示すように、画素回路P側は、基板101上に下部電極504(たとえばアノード電極)が配置され、その下部電極504上に有機EL素子127の開口部(以下EL開口部と称する)127aが形成されている。下部電極504には接続孔504a(たとえばTFT−アノードコンタクト)が設けられ、この接続孔504aを介して下部電極504下に配された駆動トランジスタ121の入出力端(本例ではソース電極)に下部電極504が接続されるようになっている。
下部電極504の周囲は絶縁膜パターンである開口規定絶縁膜505で覆われ、その上に上部電極508が画素アレイ部102のほぼ全面を覆うように設けられる。下部電極504は、画素回路Pの配列に対応してマトリクス状に配置される(図3や図3Aや図3Aを参照)。そして、本構成例では、開口規定絶縁膜505の周辺に補助配線515が形成される。また、有機EL素子127を構成する下部電極504、有機層506、および上部電極508が積層されている部分のみが発光領域となるように広く露出したEL開口部127aとされる。
図4A(2)に示すように、本構成例では、駆動トランジスタ121のゲートから延在する第1配線層L1の電極板と駆動トランジスタ121のソースから延在する第2配線層L2の電極板とで保持容量120を形成するようになっている。
図4Bには、1画素分の全体の層構造が示されている。因みに、図4B(1)は、図4A(1)上に図4A(2)を重ねた状態のものであり、図4B(2)は、図4B(1)におけるa−a’線の断面図である。図4B(2)に示すように、画素回路Pは、基板101上の各画素回路Pに対応する位置に、画素回路Pを構成する駆動トランジスタ121やサンプリングトランジスタ125などの薄膜トランジスタ(TFT)や保持容量120(容量値Cs)などの回路素子を形成するための最下部の層(第1配線層L1)やポリシリコン層が配置される。第1配線層L1の上部にはゲート絶縁膜として機能する層間絶縁膜502a(酸化膜)が設けられる。
層間絶縁膜502aのさらに上部には、薄膜トランジスタのソースやドレインあるいは保持容量120の一方の電極となるポリシリコン層が設けられる。このように、各素子(薄膜トランジスタ,保持容量120)を構成する導電層、およびソース電極およびドレイン電極を構成する導電層により、画素回路Pを構成する種々の配線が形成される。これら回路素子はチャネル保護膜(エッチングストッップ層)として機能する層間絶縁膜502b(酸化膜)で覆われる。層間絶縁膜502a,502bを纏めて単に層間絶縁膜502と称する。
層間絶縁膜502のさらに上部には、薄膜トランジスタのソース電極やドレイン電極やゲート電極と接続される走査線用の第2配線層L2が設けられる。そして、第2配線層L2を覆う状態で、さらに上層に平坦化膜として機能する層間絶縁膜503が設けられ、この層間絶縁膜503上に有機EL素子127が形成される。有機EL素子127は、下層側から順に積層された下部電極504(たとえばアノード電極)、有機層506、および上部電極508(たとえばカソード電極)で構成されており、下部電極504と上部電極508と間に誘電体である有機層506が挟まれた構造であるので、有機EL素子127は容量成分(寄生容量Cel)を持つことになる。有機層506は、詳細には、たとえば、低分子系の材料で多層構造を採用しており、下部電極504側から上部電極508側に向かって順に、たとえば、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層(電子注入層を兼ねる)を持つ。そして、カラー表示対応の場合は、発光層の有機材料として、表示色に適合したものを使用する。
基板101上の最初に設けられる第1配線層L1は、薄膜トランジスタ(駆動トランジスタ121やサンプリングトランジスタ125)などの回路素子を形成するレイヤとしても使用される。図示を割愛するが、基板101において、トランジスタや有機EL素子127が配置される側と反対側の面には、光リークや温度拡散のために遮光メタル層が設けられる。
このような層構造を持つ有機EL表示装置1においては、有機EL素子127が配列形成された基板101と反対側から発光光を取り出すいわゆるトップエミッション方式として構成することが、有機EL素子101の開口率を確保する上で有効になる。また、このようなトップエミッション方式であれば、有機EL素子127の開口率が、画素回路Pを構成する薄膜トランジスタのレイアウトには依存しない。このため、さらに複数の薄膜トランジスタや保持容量120を用いた画素回路Pを各画素に対応させて配置することもできる。
このような構造の表示装置1は、基板101と反対側から発光光を取り出すトプエミッション型であるため、下部電極504は遮光性が高く、かつ反射率の高い材料で構成される。一方、上部電極は、光透過性の高い材料を用いて構成される。したがって、上部電極の配線抵抗が大きくなる。上部電極をベタ配線としても抵抗値の低減には限界がある。補助配線515は、この高抵抗の上部電極508と電気回路的に並列に配線することで、カソード配線全体としての抵抗値を低減するのに寄与する。
<<保護回路とテストスイッチ回路の構成例>>
図5〜図5Cは、付加回路148(保護回路142とテストスイッチ回路144)の構成例を説明する図である。ここで、図5に示す第1の構成例は、保護回路142V,140Hとテストスイッチ回路144V,142Hを別の回路素子(MOSトランジスタ)で構成する仕組みを採用した場合の簡易点灯検査時および通常使用時の状態を示し、図5Aに示す第2の構成例は、保護回路142V,140Hの回路素子(MOSトランジスタ)をテストスイッチ回路144V,142Hを構成するスイッチ素子として兼用する仕組みを採用した場合の簡易点灯検査時および通常使用時の状態を示す。何れも、同一種類の3本(k−1,k,k+1番目)の走査線に関して示している。
図5Bは、付加回路148(保護回路142とテストスイッチ回路144)を画素アレイ部102の近傍に搭載する場合の概略構成図である。図5Cは、図5Bに対応するように、付加回路148(保護回路142とテストスイッチ回路144)を設けるようにした場合の表示装置1の等価回路図である。
制御部後付け構成を採る場合には、画素アレイ部102と制御部109とが別体である時点が存在するので、完成品にする過程で画素アレイ部102上の各走査線に人体や製造機材などを介して静電気が印加され回路素子が破壊される可能性が、TFT一体構成の場合よりも多くなる。この対処のため、画素アレイ部102の周辺部に、静電気による静電破壊からの回路素子の保護を目的として走査線ごとに保護回路142V,140Hを設ける。
また、制御部後付け構成を採る場合には、制御部109を画素アレイ部102の対応する各走査線に接続せずに、パネル作製時に簡易点灯検査(ラスター点灯検査)を行なう場合、テストスイッチ回路144V,142Hを設けて、全ての走査線にテスト信号を供給して各画素回路Pの有機EL素子127を発光させることで、TFTの欠陥(短絡や開放)、および、走査線の欠陥(開放や隣接間短絡)などの有無を検査する。
このため、たとえば図5に示すように、垂直駆動部103や水平駆動部106からの各走査信号INが供給される走査線301に対して、静電気保護用の素子やテスト信号の供給をオン/オフ制御可能なスイッチ素子を設ける。静電気保護用の素子の一例としては、MOSトランジスタをダイオード接続した構成をとることができ、またスイッチ素子の一例としても、MOSトランジスタを使用できる。MOSトランジスタを使用する場合、NチャネルおよびPチャネルの何れも使用することができ、また、NチャネルとPチャネルを組み合わせたCMOS構成を採ることもできる。
たとえば、図5に示す第1の構成例では、保護回路142(140V,140H)とテストスイッチ回路144(142V,142H)を別の回路素子で構成するとともに、その回路素子の全てにNチャネルのMOSトランジスタを使用した構成例を示している。具体的には、保護回路142は、ゲートとソースが共通に走査線302に接続され、ドレインが正側電源Vddの電源線304に接続されたダイオード接続のMOSトランジスタ312と、ゲートとソースが共通に負側電源Vss2 の電源線306に接続され、ドレインが走査線302に接続されたダイオード接続のMOSトランジスタ314とを有する。
テストスイッチ回路144は、走査線302とテスト信号供給線322との間にソースおよびドレインの一方が走査線302に接続されるように配置されたMOSトランジスタ332を有する。各走査線302に対して設けられる各MOSトランジスタ332はそれぞれ、ソースおよびドレインの他方がテスト信号供給線322に共通に(走査線の番号を問わず)接続され、ゲートがスイッチ制御線324に共通に(走査線の番号を問わず)接続されている。図5Dに示すように、簡易点灯検査時はスイッチ制御線324がHレベルに設定されることでMOSトランジスタ332がオンし、通常時にはスイッチ制御線324がLレベルに設定されることでMOSトランジスタ332がオフする。
一方、図5Aに示す第2の構成例では、保護回路142とテストスイッチ回路144を共通の回路素子で構成するとともに、その回路素子の全てにNチャネルのMOSトランジスタを使用した構成例を示している。具体的には、保護回路142およびテストスイッチ回路144は、ゲートとソースが共通に走査線302に接続され、ドレインが正側電源Vddの電源線304に接続されたダイオード接続のMOSトランジスタ312と、走査線302とテスト信号供給線322との間にソースおよびドレインの一方が走査線302に接続されるように配置されたMOSトランジスタ332を有する。各走査線に対して設けられる各MOSトランジスタ332はそれぞれ、ソースおよびドレインの他方がテスト信号供給線322に共通に(走査線の番号を問わず)接続され、ゲートがスイッチ制御線324に共通に(走査線の番号を問わず)接続されている。
つまり、図5に示す第1の構成例のダイオード接続されたMOSトランジスタ314を取り外したものが図5Aに示す第2の構成例である。簡易点灯検査時はスイッチ制御線324がHレベルに設定されることでMOSトランジスタ332がオンし、通常時にはスイッチ制御線324およびテスト信号供給線322が負側電源Vss2に設定されることでオフする。
ここで、前述のように、図5および図5Aに示す何れの構成例においても、製造段階における簡易点灯検査時に、テスト信号供給線322には画素回路Pを駆動するための信号に代わるテスト信号Vtestが、またスイッチ制御線324にはMOSトランジスタ332をオンさせるためのゲート制御信号(DC電位またはパルス)Ngateが、それぞれパネル外部から入力される。また、図5Aに示す構成例の場合には、製品化後は、テスト信号供給線322およびスイッチ制御線324には、負側電源Vss2 がパネル外部から与えられることになる。すなわち、製品化後のパネルにおいては、テスト信号供給線322およびスイッチ制御線324は、負側電源Vss2 を供給する電源線として機能する。
たとえば、図5Bでは、垂直走査系統の付加回路148Vは図5Aに示す第2の構成例を適用し、水平走査系統の付加回路148Hは図5に示す第1の構成例を適用した例で示している。垂直走査系統の回路配置(レイアウト)としては、図示する左右方向の両側から書込走査部104および駆動走査部105で駆動するようにし、それらに対応するように付加回路148Vも左右の両側に配置している。一方、水平走査系統の回路配置としては、図示する上下方向の一方側(上側のみ)から水平駆動部106で駆動するようにし、付加回路148Hにおけるテストスイッチ回路144は水平駆動部106側(つまり図示する上側のみ)に配置し、保護回路142は水平駆動部106とは反対側(つまり図示する下側のみ)に配置している。
この場合、図5Cにおいて、垂直走査系統の付加回路148V側は、ゲート制御信号NgateによりMOSトランジスタ332をオンさせ、テスト信号供給線322を介してMOSトランジスタ332のソースおよびドレインの他方に画素回路P側の書込駆動パルスWSや電源駆動パルスDSL 相当のテスト信号Vtestを供給し、水平走査系統の付加回路148H側は、ゲート制御信号NgateによりMOSトランジスタ332をオンさせ、テスト信号供給線322を介してMOSトランジスタ332のソースおよびドレインの他方に画素回路P側の映像信号Vsig 相当のテスト信号Vtestを供給してラスター点灯検査を行なう。
<<保護回路とテストスイッチ回路の配置態様の問題>>
図6〜図8Cは、画素アレイ部102周辺の実装態様の比較例を説明する図である。これらの図により、保護回路142とテストスイッチ回路144を画素アレイ部102の周辺に配置する際の配置態様の問題点が説明される。
ここで、図6および図6Aは図1Aに示した周辺回路パネル外配置構成の場合を示し、特に図6AはTCP実装の詳細を示す。図6Bは、周辺回路パネル外配置構成の場合に適用される電気的接続端子PAD2の一例を示す。図7は、有機EL素子の下部電極と補助配線の比較例のレイアウトを示したパネル辺縁の詳細図である。
図7A〜図7Cは、周辺回路部140の構成として保護回路142とテストスイッチ回路144を別の回路素子(MOSトランジスタ)で構成する図5に示した仕組みを適用した場合におけるトランジスタ部分に着目した配線構造(レイアウト)を示した図である。なお、図7Aは水平走査系の保護回路142Hに着目したレイアウト例であり、図7Bは垂直走査系の保護回路142Vに着目したレイアウト例であり、図7Cは水平走査系のR,G,B各色の映像信号線106HSに対するテストスイッチ回路144Hに着目したレイアウト例であり、それぞれ平面透視図である。
図7Dおよび図7Eは、比較例における異物による薄膜トランジスタの端子間ショートとリペア処理を説明する図である。なお、図7Dは、水平走査系の保護回路142Hに着目したもので、図7Eは、水平走査系のテストスイッチ回路144Hに着目したものである。図8は、比較例における異物による層間ショートを説明する図である。図8Aは、比較例における補助配線515と各走査線Lscanの配置関係を説明する図である。なお、図8A(1)は、垂直駆動部103と画素アレイ部102との間の配線に着目した平面透視図であり、図8A(2)は図8A(1)のb−b’線の断面図である。図8Bは、比較例における補助配線515と走査線Lscan(図では書込走査線104)との間で形成される寄生容量による起因する画像に現われる問題を説明する図である。図8Cは、比較例における電源配線の配線抵抗に起因する画像に現われる問題を説明する図である。
本実施形態の表示装置1は、制御部109と画素アレイ部102の間に、付加回路148(保護回路142やテストスイッチ回路144)などの周辺回路部140が配置される点に特徴がある。ここで、付加回路148を画素アレイ部102の周辺に、如何様にして配置するかが問題となり、本実施形態では、その点に着目したレイアウトを採る。そのため、先ず、付加回路148を画素アレイ部102の周辺に配置する場合の問題点について考察する。
図6や図6Aに示すように、表示パネル部100の基板101の端縁部分には、COF方式で接続をとるための電気的接続端子PAD2が設けられる。基板101上には、表示領域となる画素アレイ部102が設けられ、この画素アレイ部102の外側にまで補助配線515が設けられている。補助配線515は図示を割愛した上部電極とともに、全画素共通の接地配線Vcathとなるもので、表示パネル部100の基板101の端縁部分に設けられた電気的接続端子PAD2の一例である電源供給TCP520から基準電圧(一例としてGND )が供給される。図6では電源供給TCP520を2箇所設けており、また図6Aでは電源供給TCP520を4箇所設けているが、その数は任意である。
また、制御部109用の電気的接続端子PAD2に関しても電源供給TCP520と概ね同様であり、表示パネル部100の基板101の端縁部分に設けられた書込駆動パルスWS用の信号供給TAB530_WS ,電源駆動パルスDSL 用の電源入力部530_DSL、映像信号Vsig 用の信号供給TAB530_sigから各信号が供給される。各信号供給TAB530には、ドライバLSI532がTAB方式でボンディングされ、基板101のエッジにドライバの出力を接続し、ドライバLSI532が基板101の外になるように実装される。図示しないが、各信号供給TAB530の基板101とは反対側には、ドライバLSI532に信号を供給する前段回路(たとえばシフトレジスタなど)が搭載された回路基板が接続される。
電源供給TCP520は、図6B(1)に示すように、FPCとの接続端となるカソード電極パッド524が所定ピッチで複数本(図では3本)設けられており、このカソード電極パッド524が補助配線515の辺縁(表示領域である画素アレイ部102の周辺部)まで延在してコンタクト部526にて共通に接続される。
信号供給TAB530についても概ね電源供給TCP520と同様であり、図6B(2)に示すように、FPCとの接続端となる信号電極パッド534が所定ピッチで複数本(図では書込駆動パルスWS用と電源駆動パルスDSL 用の各3本設けられており、この信号電極パッド534が画素アレイ部102から延在した走査線(書込走査線104WS,電源供給線105DSL の2種)とコンタクト部536にて各別に接続される。図示を割愛するが、書込駆動パルスWSに関しても、FPCとの接続端となる信号電極パッド534が所定ピッチで複数本設けられ、この信号電極パッド534が画素アレイ部102から延在した走査線(映像信号線106HS)とコンタクト部536にて各別に接続される。
ここで、図6や図6Aに示した比較例の実装態様では、画素アレイ部102周辺部の付加回路148の全体を、図8Aや図7〜図7Cにも示すように、アノード層L3の補助配線515を用いてベタ膜で遮光している。つまり、比較例の実装態様では、補助配線515は、画素アレイ部102外周部のカソードコンタクトKC用の領域を超えてさらに広く設けられ、補助配線515が付加回路148の全体を覆うようになっている。こうすることで、光が周辺回路部140のトランジスタに入り込む現象を防止するようにしている。しかしながら、このような実装態様の場合、様々な問題を引き起こすことが考えられる。
たとえば、製造過程では、付加回路148を構成する薄膜トランジスタのドレイン・ソース間、ゲート・ドレイン間、あるいはゲート・ソース間が異物を介してショートすることがある。図7Dに示すように、図5に示した保護回路142の場合、MOSトランジスタ312,314のゲート・ソース間がショートしても不都合はないが、ドレイン・ソース間やゲート・ドレイン間がショートすると正常に機能しない。また、図7Eに示すように、図5に示したテストスイッチ回路144の場合、ドレイン・ソース間、ゲート・ドレイン間、およびゲート・ソース間の何れもショートすると正常に機能しない。また、図5Aに示した保護回路142とテストスイッチ回路144を兼用する回路構成の場合、MOSトランジスタ312はゲート・ソース間がショートしても不都合はないが、ドレイン・ソース間やゲート・ドレイン間がショートすると正常に機能しないし、MOSトランジスタ332はドレイン・ソース間、ゲート・ドレイン間、およびゲート・ソース間の何れもショートすると正常に機能しない。
このような場合、付加回路148を構成する薄膜トランジスタから引き出されている配線を切断することで、異物ショートの箇所をそのままとしておきつつ端子間ショートに対する修復作業(リペア)を行なうことが考えられる。因みに、配線を切断すると回路機能が働かなくなるが、静電保護対策や製造検査のための回路であるため、切断しても、表示装置の駆動に影響を与えない。
たとえば、図7Dに示すように、図5に示した保護回路142の場合、ショート箇所に関わらず、MOSトランジスタ312のドレインから引き出され正側電源Vddの電源線304に接続される配線304DやMOSトランジスタ314のソースから引き出され負側電源Vss2 の電源線306と接続される配線306Sをリペア箇所(図では×印で示す)として切断すればよい。原理的には、MOSトランジスタ312のゲートやソースやMOSトランジスタ314のゲートやドレインと走査線Lscanの間をリペア箇所とすることも可能であるが狭い範囲を切断しなければならず困難性があるが、配線304Dや配線306Sをリペア箇所とすることで容易に切断が可能となる。
また、図7Eに示すように、図5に示したテストスイッチ回路144の場合、MOSトランジスタ332のドレインから引き出されテスト信号供給線322に接続される配線322Dや、MOSトランジスタ332のゲートから引き出されスイッチ制御線324と接続される配線324Gや、MOSトランジスタ332のソースから引き出され画素アレイ部102側に延びる走査線Lscan(図の例では映像信号線106HS)をリペア箇所(図では×印で示す)として切断すればよい。
また、図5Aに示した保護回路142とテストスイッチ回路144が一部の回路素子(MOSトランジスタ332)を兼用する構成の場合、MOSトランジスタ312については図7Dに示す手法を適用し、MOSトランジスタ332については図7Eに示す手法を適用すればよい。
ここで、有機EL表示装置の表示画素は自発光であるために、自身の発する光がパネル内に存在す薄膜トランジスタのチャネル領域に照射されることで、薄膜トランジスタが光リーク電流を発生してしまい、表示領域外の駆動回路やESD回路やテストスイッチ回路などの周辺回路部が誤動作してしまう。また、外光の入射によっても前記同様の問題が発生してしまう。
この対策として、周辺回路内の薄膜トランジスタのチャネル領域上層に金属層を設けて薄膜トランジスタのチャネル領域を遮光する仕組みを採る。たとえば図7A〜図7Cのように、高画質化有機ELディスプレイにおいて、下部電極504(本例ではアノード電極)と同一層で構成された遮光性のあるAl合金やTiNなどの金属層である補助配線515を表示領域外の駆動回路やESD回路やテストスイッチ回路などの周辺回路部上まで拡大すれば、つまり補助配線515で付加回路148の全体を覆うような実装態様を採ると、周辺回路内の薄膜トランジスタのチャネル領域は上層の金属層(補助配線515)で遮光されることになる。その結果、周辺回路内の薄膜トランジスタの光リーク電流の発生を防ぐことができる。
しかしながら、補助配線515で付加回路148の全体を覆うような実装態様では、補助配線515を形成後にはリペア作業が困難になる。リペアが困難になると、パネルの歩留り低下を招くことになる。
また、画素アレイ部102の周辺部では、下部電極504(本例ではアノード電極)と同一層の補助配線515が、走査線Lscan(書込走査線104WS、電源供給線105DSL 、映像信号線106HS)と広範囲でオーバーラップするので、図8に示すように、異物を介しての層間ショート(クロスショートとも称する)が多発して歩留まり低下を招くことも懸念される。
さらに、画素回路Pが前述のような層構造であるのに対応するように、画素アレイ部102と制御部109との間の配線構造は、図8Aに示すように、概ね同じような層構造となる。なお、図8A(1)では、補助配線515が、画素アレイ部102外周部のカソードコンタクトKC用の領域を超えてさらに広く設けられ、補助配線515が付加回路148を覆う態様で示している。
図8A(2)に示すように、基板101上に層間絶縁膜502が設けられ、この層間絶縁膜502上に第2配線層L2として走査線Lscanが配置される。そして、層間絶縁膜502と第2配線層L2の走査線Lscanを覆うように層間絶縁膜503が順に設けられる。さらに、層間絶縁膜503の上層にアノード層L3と同層で補助配線515が配置されることになる。補助配線515は画素開口を規定する絶縁膜パターンである開口規定絶縁膜505で覆われる。画素アレイ部102と制御部109との間では、図8A(2)から分かるように、走査線Lscanと補助配線515と間に誘電体である層間絶縁膜502bおよび層間絶縁膜503が挟まれた構造(オーバーラップした構造)であるので、容量成分(寄生容量Cscan)を持つことになる。
図8Bに示すように、走査線Lscan(図8Bでは垂直走査用の書込走査線104WSに着目して示す)が横方向に配線される。画素アレイ部102の制御部109側(走査信号入力端側と称する)とその反対側(走査信号出力端側と称する)とでは、走査線Lscanの配線抵抗(図中では抵抗素子の記号で示す)と寄生容量Cscanに伴う配線遅延差により、走査信号入力端側よりも走査信号出力端側の方が入力パルスの鈍りが大きく、実効パルス幅は信号入力端側よりも走査信号出力端側で短くなる。本例のように、書込走査線104WSに着目したときには、実効パルス幅が狭くなるとタイミングがずれて十分な書込みができない現象が生じるが、信号入力端側と走査信号出力端側で実効パルス幅に差を持つことに伴い画像としては入力端側よりも出力端側の輝度が低下してしまいシェーディングが発生し画質劣化の原因となる。また、高精細になるにつれてパネル信号の1水平期間の時間が短くなると、書込み時間が厳しくなってしまい、さらに画質劣化が顕著となる。
なお、走査線Lscanの中でも、電源供給線105DSL については、さらに、配線抵抗に起因する問題も考慮する必要がある。図8Cは、この点を説明する図である。図2に示したように、2つのトランジスタ(駆動トランジスタ121およびサンプリングトランジスタ125)と1つの容量(保持容量120)で画素回路Pを構成し、閾値補正機能や移動度補正機能やブートストラップ機能を働かせようとする場合、駆動トランジスタ121の電源供給端であるドレイン側を第1電位Vccと第2電位Vssとでスイッチング駆動するので、図8C(1)に示すように、書込駆動パルスWS用の書込走査線104WSと同様に横方向に電源供給線105DSL が配線され、同列の画素回路Pの各駆動電流Idsは、基準電位を供給する全画素共通の接地配線Vcath(一例としてGND )に流れ込む。
したがって、映像パターンによって駆動トランジスタ121に流れる駆動電流Idsが異なると、電源配線(電源供給線105DSL と接地配線Vcath)の配線抵抗との関係で横方向に電源電圧(詳しくは駆動トランジスタ121のドレイン・ソース間電圧Vds)が変わる。特に、有機EL素子127のカソード側は同列の画素回路Pの全ての駆動電流Ids(その総和を全駆動電流Ids_allとする)が流れ込むことで、同列のカソード側はカソード配線抵抗Rcathと全駆動電流Ids_allの積の分だけ接地電位GND よりも浮くので、ドレイン・ソース間電圧Vdsが変動する。
駆動トランジスタ121は飽和領域で使用するのであるが、図8C(2)に示すように、駆動トランジスタ121のドレイン・ソース間電圧Vdsが変動すると、アーリー効果のため、同じ駆動電圧(ゲート・ソース間電圧Vgs)であっても駆動電流Idsに差が生じる。このため、たとえば、図8C(3)に示すように、ウィンドウパターンを表示したときには横クロストークとして視認される。この横クロストーク対策を行なうためには、たとえば、電圧降下による電流低下を抑える必要ある。一般的には、輝度差の視認レベルは1%以内であるので、これを満たすように対策を採る。
また、全駆動電流Ids_allに起因する接地電位GND に対するカソード電位の浮きは、駆動電流Idsつまり階調によって異なることになるので、階調ごとにγ特性が異なることになってしまい、カラー表示の場合は色相ずれが懸念される。
次に、前述の各種の問題を解消するための本実施形態の仕組みについて説明する。
<<第1実施形態>>
図9〜図9Bは、アノード層L3の補助配線515が付加回路148の全体を覆うことに基づく問題を改善し得るようにした配線構造(レイアウト)の第1実施形態を説明する図である。ここで、図9は、第1実施形態の表示装置1の全体概要を示す図である。図9Aは、第1実施形態の表示装置1の画素アレイ部102の周辺部における補助配線515と付加回路148のレイアウト関係を説明する図である。図9Bは、図9Aの(2)〜(4)におけるa−a’線の断面図である。
第1実施形態のレイアウトは、薄膜トランジスタを含んで構成される付加回路148(保護回路142やテストスイッチ回路144)の全体を、補助配線515の成膜領域外に配置する点に特徴を有する。結果としては、付加回路148の全体が光に曝される状態となる。
具体的には、図9に示すように、第1実施形態のレイアウトにおいては、複数種類の走査線が垂直、水平方向に交差する位置に画素回路Pがマトリクス状に配置された画素アレイ部102を備え、画素アレイ部102の周辺部(表示領域外)には、付加回路148などの周辺回路部140が配置される場合に、付加回路148(一例として保護回路142やテストスイッチ回路144)を、上部電極508(カソード電極)の製膜エリア外で、しかも、アノード層L3の補助配線515の製膜エリア外に配置する点に特徴を有する。
ここで、カソード電極となる上部電極508は蒸着により成膜されるため、スリットのような微細加工が困難である。蒸着マスクは一般に膜厚が薄く、微細加工を施すと強度が不十分になってしまう。こういった点から、周辺回路部140(保護回路142や保護回路142)を上部電極508の下部に配置した状態で、後述する第2実施形態や第3実施形態を適用することは困難である。このため、第1実施形態では、周辺回路部140(保護回路142やテストスイッチ回路144などの付加回路148)の全体を、補助配線515で覆わずに、光に曝される状態とする手法を採用した。
ここで、図9A(2)および図9B(2)に示すように、比較例のレイアウトでは、付加回路148の全体が補助配線515で覆われている。因みに、カソードコンタクトKCの幅は比較的狭い。これに対して、図9A(3)および図9B(2)に示すように、第1実施形態の第1例のレイアウトにおいては、図9A(2)および図9B(1)に示す比較例に対して、カソードコンタクトKCの幅を維持したままで、アノード層L3の補助配線515の製膜エリア外に付加回路148(一例として保護回路142やテストスイッチ回路144)を配置している。一方、図9A(4)および図9B(3)に示すように、第1実施形態の第2例のレイアウトにおいては、図9A(2)および図9B(1)に示す比較例に対して、カソードコンタクトKCの幅を広げて、さらに、アノード層L3の補助配線515の製膜エリア外に付加回路148(一例として保護回路142やテストスイッチ回路144)を配置している。
このように、アノード層L3の補助配線515の製膜エリア外に付加回路148の全体を配置することで、補助配線を形成後であっても、付加回路148の上層には補助配線515が存在しないので、付加回路148のリペア対象箇所の配線(たとえば配線304Dや配線306Sなど)をリペアし易くなる。
加えて、第2例のように、カソードコンタクトKCの幅を広げることで、補助配線515と上部電極508(カソード電極)とのコンタクト面積を拡大できる。上部電極508と補助配線515のコンタクト面積を比較例より拡大することで、カソード配線全体としての低抵抗化を図ることができ、全駆動電流Ids_allに起因する接地電位GND に対するカソード電位の浮きを小さくできる。コンタクト面積の拡大によりカソード配線抵抗Rcathを小さくすることができ、その結果、カソード配線抵抗Rcathと全駆動電流Ids_allの積が小さくなるので、カソード配線側の電圧浮きが小さくなり、駆動トランジスタ121のドレイン・ソース間電圧Vdsの変動を抑えられる。これにより、横クロストークやカラー表示の場合の色相ずれを防止できるようになる。
<<第2実施形態>>
図10〜図10Bは、アノード層L3の補助配線515が付加回路148の全体を覆うことに基づく問題を改善し得るようにした配線構造(レイアウト)の第2実施形態を説明する図である。ここで、図10は、第2実施形態の表示装置1の画素アレイ部102の周辺部における補助配線515と付加回路148のレイアウト関係を説明する図である。図10Aは、第2実施形態における付加回路148(特に垂直走査系統の保護回路142V)の薄膜トランジスタ近傍の配線構造を説明する平面透視図である。図10Bは、第2実施形態における付加回路148(特に水平走査系統の保護テストスイッチ回路144H)の薄膜トランジスタ近傍の配線構造を説明する平面透視図である。
因みに、図10(2)は付加回路148Vの全体が補助配線515で覆われている比較例のレイアウトを示す。図10(3)の第1例は、カソードコンタクトKCの幅を比較例と同じに維持したままで第2実施形態の仕組みを適用したレイアウトを示す。図10(4)の第2例は、カソードコンタクトKCの幅を比較例よりも広げて第2実施形態の仕組みを適用したレイアウトを示す。カソードコンタクトKCの幅を比較例や第1例よりも広げる目的は第1実施形態の第2例と同様である。
第2実施形態のレイアウトは、薄膜トランジスタを含んで構成される付加回路148(保護回路142やテストスイッチ回路144)を補助配線515の成膜領域内に配置しておき、さらに、補助配線515の薄膜トランジスタから引き出された配線の少なくとも一部(リペア箇所となる部分)の上層側に開口部を形成する点に特徴を有する。大局的には付加回路148の全体を補助配線515で覆いつつ、リペアが必要となる箇所(つまり薄膜トランジスタから引き出された配線の一部)は補助配線515で覆わないとうことである。
具体的には、図10(3)に示す第1例や図10(4)に示す第2例あるいは図10Aおよび図10Bに示すように、複数種類の走査線が垂直、水平方向に交差する位置に画素回路Pがマトリクス状に配置された画素アレイ部102を備え、画素アレイ部102の周辺部(表示領域外)には、付加回路148などの周辺回路部140が配置される場合に、付加回路148(一例として保護回路142やテストスイッチ回路144)を、上部電極508(カソード電極)の製膜エリア外で、しかも、アノード層L3の補助配線515の製膜エリア内に配置しつつ、補助配線515の付加回路148のリペア箇所の上層側に開口部を形成する点に特徴を有する。つまり、大局的には付加回路148の全体を補助配線515で覆うようにしつつ、付加回路148についての配線リペア部分にのみ補助配線515に開口部の一例であるリペア用スリット部515aを設けるのである。
こうすることで、付加回路148を構成する薄膜トランジスタ(特にチャネル領域)については補助配線515で遮光できる。さらに、リペア箇所(たとえば配線304Dや配線306S)の上層側の補助配線515にリペア用スリット部515aを形成することで、補助配線を形成後であってもリペア箇所の上層には補助配線515が存在しないので、付加回路148の薄膜トランジスタのソース・ドレインが同層ショートした場合やゲート・ドレインが層間ショートした場合に、リペア用スリット部515aを介して配線304Dや配線306Sを切断することでリペアができる。
加えて、付加回路148を構成する薄膜トランジスタ(特にチャネル領域)については補助配線515で遮光しているので、光起因のリーク特性の悪化を防止できる。第1実施形態の仕組みでは、付加回路148の全体が補助配線515の成膜エリア外に配置されるので、光起因のリーク特性の悪化により回路特性の低下が生じることが懸念されるが、第2実施形態の仕組みでは、この光リークの問題を防止できる。
光リークの対策としては、光がトランジスタに漏れ込まないようにすればよく、付加回路148を構成する薄膜トランジスタの光入射面側を遮光層で覆うことが考えられる。一例としては、付加回路148の薄膜トランジスタの光入力側に補助配線515が設けられる点に着目して、図10(2)に示す比較例のように補助配線515で付加回路148の薄膜トランジスタを覆うことが考えられる。つまり、光照射に起因する薄膜トランジスタのリーク電流発生を防止するための遮光層として補助配線515を利用するのである。このような仕組みを採ると、薄膜トランジスタに入射しようとする光は、遮光層として機能する補助配線515で遮られ、薄膜トランジスタへの光入射が防止され、光照射による薄膜トランジスタの特性変動が防止される。
しかしながら、比較例のままでは、補助配線515を形成後にはリペア作業が困難になる。そこで、全体的(大局的)には比較例の状態としつつ、リペア困難性の問題を、リペア用スリット部515aを補助配線515に形成することで解消するようにしたのが第2実施形態の仕組みである。
第2実施形態では、図10(3)に示す第1例や図10(4)に示す第2例のように、付加回路148(特にトランジスタのチャネル形成領域)上部のアノード層L3の補助配線515にはスリットを入れないことにする。こうすることで、図10Aにも示すように、付加回路148を構成する薄膜トランジスタ(特にそのチャネル領域)が、遮光性を有する補助配線515で覆われている構造となる。つまり、付加回路148を構成する薄膜トランジスタのチャネル領域は、遮光層として機能する補助配線515の下方のみに配置されている点に特徴を有する。
なお、薄膜トランジスタを遮光層(本例では補助配線515)で覆うに当たっては、薄膜トランジスタのチャネル部CH(ゲート電極Qgが積層されている部分)が、遮光層(補助配線515)の下方のみに配置されることが重要であり、薄膜トランジスタのソース、ドレインや、このソース、ドレインから延設された配線部分は、遮光層(補助配線515)で覆われている必要はない。その典型例として、第2実施形態では、薄膜トランジスタのチャネル部CH以外の部分にリペア用スリット部515aを設けてリペア対策を採っているのである。
また、第2実施形態の仕組みでは、付加的な効果として、面積の広いパネル辺縁部の付加回路148のリペア箇所の補助配線515にリペア用スリット部515aを形成したことで、有機EL素子127の各層を形成時(ベーキング工程時)に層間絶縁膜503からのガスを抜くためのガス抜き孔として、このリペア用スリット部515aを機能させることができる利点もある。
<<第3実施形態>>
図11〜図11Eは、アノード層L3の補助配線515が付加回路148の全体を覆うことに基づく問題を改善し得るようにした配線構造(レイアウト)の第3実施形態を説明する図である。ここで、図11は、第3実施形態(第1構成例)の表示装置1の画素アレイ部102の周辺部における補助配線515と付加回路148のレイアウト関係を説明する図である。図11Aは、第3実施形態(第2構成例)の表示装置1の画素アレイ部102の周辺部における補助配線515と付加回路148のレイアウト関係を説明する図である。図11Bは、第3実施形態(第1構成例)における付加回路148(特に垂直走査系統の保護回路142V)の薄膜トランジスタ近傍の配線構造を説明する平面透視図である。図11Cは、第3実施形態(第2構成例)における付加回路148(特に垂直走査系統の保護回路142V)の薄膜トランジスタ近傍の配線構造を説明する平面透視図である。図11Dは、図11Cのa−a’線とb−b’線の断面図である。図11Eは、第3実施形態(第2構成例)における付加回路148(特に水平走査系統のテストスイッチ回路144H)の薄膜トランジスタ近傍の配線構造を説明する平面透視図である。
因みに、図11(2)および図11A(2)は付加回路148の全体が補助配線515で覆われている比較例のレイアウトを示す。図11(3)および図11A(3)の第1例は、カソードコンタクトKCの幅を比較例と同じに維持したままで第3実施形態の仕組みを適用したレイアウトを示す。図11(4)および図11A(4)の第2例は、カソードコンタクトKCの幅を比較例よりも広げて第3実施形態の仕組みを適用したレイアウトを示す。カソードコンタクトKCの幅を比較例や第1例よりも広げる目的は第1実施形態の第2例と同様である。
第3実施形態のレイアウトは、薄膜トランジスタを含んで構成される付加回路148(保護回路142やテストスイッチ回路144)を補助配線515の成膜領域外に配置しておき、さらに、薄膜トランジスタの少なくともチャネル領域の上層側を補助配線515から延在した配線で覆う点に特徴を有する。大局的には、付加回路148の全体を補助配線515の成膜領域外にすることで補助配線515で覆わない状態にしつつ、遮光が必要となる箇所(つまり薄膜トランジスタ、特にそのチャネル領域)を補助配線515から延在した配線で覆うと言うことである。
具体的には、第1構成例(図11(3)および図11A(3)に示す第1例あるいは図11B)や第2構成例(図11(4)および図11A(4)に示す第2例あるいは図11Cや図11E)のように、複数種類の走査線が垂直、水平方向に交差する位置に画素回路Pがマトリクス状に配置された画素アレイ部102を備え、画素アレイ部102の周辺部(表示領域外)には、付加回路148などの周辺回路部140が配置される場合に、付加回路148(一例として保護回路142やテストスイッチ回路144)の薄膜トランジスタを、上部電極508(カソード電極)の製膜エリア外で、しかも、アノード層L3の補助配線515の製膜エリア外に配置し、薄膜トランジスタを補助配線515から延在する延長配線515b(少なくとも横延長配線515b1)で覆うことで、事実上、薄膜トランジスタ以外の部分の上層側に開口部515cを形成する点に特徴を有する。延長配線515bは補助配線515と電気的に接続されているので、延長配線515bも、事実上、補助配線515と同じものと見なすことができる。
つまり、第3実施形態の仕組みは、付加回路148の薄膜トランジスタの部分だけを事実上の補助配線515で覆うようにすることで、付加回路148の薄膜トランジスタ以外の補助配線515にリペア用スリット部としても機能する開口部515cを設けるのである。付加回路148の薄膜トランジスタの部分だけを補助配線515(詳しくは延長配線515b)で覆うようにすることに特徴があり、大局的には、付加回路148の上層側は、大部分が開口部515cとされることになる。
ここで、複数の走査線Lscanに亘って薄膜トランジスタを連続的に縦延長配線515b2で覆うようにしたのが第1構成例であり、複数の走査線Lscanの薄膜トランジスタを横延長配線515b1のみで個別に覆うようにしたのが第2構成例である。何れも、基本的な考え方は、薄膜トランジスタのみを補助配線515(詳しくは横延長配線515b1や縦延長配線515b2)で覆い遮光する点にある。特に第2構成例では、薄膜トランジスタのチャネル領域のみを上層の横延長配線515b1で覆い遮光する。
こうすることで、大局的には付加回路148を補助配線515の成膜エリア外に配置する、付加回路148を構成する薄膜トランジスタ(特にチャネル領域)については補助配線515(詳しくは少なくとも横延長配線515b1)で遮光できる。さらに、第2実施形態と同様に補助配線を形成後であってもリペア箇所の上層には補助配線515(詳しくは少なくとも横延長配線515b1)が存在しないので、リペア箇所(たとえば配線304Dや配線306S)の上層側に開口部515cを形成することで、付加回路148の薄膜トランジスタのソース・ドレインが同層ショートした場合やゲート・ドレインが層間ショートした場合に、開口部515cを介して配線304Dや配線306Sを切断することでリペアができる。加えて、付加回路148を構成する薄膜トランジスタ(特にチャネル領域)については補助配線515(詳しくは少なくとも横延長配線515b1)で遮光しているので、光起因のリーク特性の悪化を防止できる。
薄膜トランジスタのチャネル部CH以外の部分に開口部515cを設けてリペア対策を採ると言う点では第2実施形態と概ね同様である。ただし、第2実施形態では、付加回路148を補助配線515の成膜エリア内に配置しつつ、リペア箇所の補助配線515のみにリペア用スリット部515aを形成するので、付加回路148の大部分が補助配線515で覆われるのに対して、第3実施形態では、付加回路148を補助配線515の成膜エリア外に配置しつつ、薄膜トランジスタのみを補助配線515(詳しくは少なくとも横延長配線515b1)で覆い残りを開口部515cとするので、付加回路148の大部分が光に曝される状態となる点で異なる。よって、補助配線515で覆われていないリペア用スリット部515aと横延長配線515b1で覆われていない開口部515cは、開口部515cの方が広くなるので、第3実施形態の方がリペアがし易い利点がある。
また、第3実施形態の仕組みでは、第1構成例および第2構成例の何れも、薄膜トランジスタ以外の部分(開口部515c)はリペア用スリット部として機能することに加えて、走査線Lscanと補助配線515がオーバーラップすることに基づく問題を改善できる利点もある。すなわち、第3実施形態は、薄膜トランジスタのみを選択的に補助配線515(詳しくは少なくとも横延長配線515b1)で覆う仕組みであるので、補助配線515で覆われた遮光部以外は走査線Lscanと補助配線515のオーバーラップ面積を低減することができ、その結果、補助配線515と走査線Lscanとの間の寄生容量を削減でき、高画質化を図ることができる。
図11(2)および図11A(2)に示す比較例の場合、画素アレイ部102周辺部においては、走査線Lscanと補助配線515がオーバーラップすることで寄生容量Cscanが形成される。この寄生容量Cscanは、並走部の平行平板構造によって形成されるものである。よって、走査線Lscanと補助配線515の対向面積が、従前よりも十分に小さくなるようにレイアウトすると寄生容量Cscanを低減できる。
第3実施形態のレイアウトでは、補助配線515の走査線Lscanの上層側には、リペア用スリット部515として機能する開口部515cが形成される。構造的には、補助配線515の走査線Lscanの上層側に開口部515cを形成することで、補助配線515の走査線Lscanと対向する部分には電極が設けられていない部分が存在するようにする。端的に言うと、補助配線515の走査線Lscanと対向する部分に開口部515cを設けることで、オーバーラップ量を小さくすると言うことである。因みに、第1構成例では縦延長配線515b2と走査線Lscanが交差する部分でオーバーラップが発生するのに対して、究極的に対向面積(オーバーラップ)をゼロとするのが第2構成例である。
このように、第3実施形態では、開口部515cを、補助配線515と走査線Lscanとのオーバーラップを防止するためにも機能させることができる。事実上、第2配線層L2の走査線Lscan上のアノード層と同一の層に形成される補助配線515に開口部515cを施すことで、寄生容量Cscanを軽減して配線遅延を緩和するのである。これによって、信号書込み時間を高速化しシェーディングを防ぎ高画質化を図ることができるようになる。その結果、パネルの高精細高画質化が可能である。
また、開口部515cを設けたことで、走査線Lscanとの間の寄生容量が減るだけでなく、異物による走査線Lscanとの層間ショートを防ぐことができ、歩留まりの向上を図ることができる。走査線Lscanとしては、図2に示した画素回路Pの場合は書込走査線104WS、電源供給線105DSL 、映像信号線106HSが該当し、書込走査線104WSと補助配線515、電源供給線105DSL と補助配線515、水平駆動部106gsと補助配線515の層間ショートを防ぐことができる。因みに、第1構成例では縦延長配線515b2と走査線Lscanが交差する部分でオーバーラップが発生するのに対して、第2構成例ではオーバーラップが一切発生しないので、その効果は第1構成例よりも第2構成例の方が高い。
また、付加的な効果として、面積の広いパネル辺縁部の付加回路148の薄膜トランジスタ以外の部分の補助配線515に開口部515cを形成したことで、有機EL素子127の各層を形成時(ベーキング工程時)に層間絶縁膜503からのガスを抜くためのガス抜き孔として、この開口部515cを機能させることができる利点もある。開口部515cは、第2実施形態のリペア用スリット部515aよりも面積が広く、その効果が第2実施形態よりも高い。
本発明に係る表示装置の一実施形態であるアクティブマトリクス型表示装置の構成の概略を示すブロック図(COG搭載構成)である。 本発明に係る表示装置の一実施形態であるアクティブマトリクス型表示装置の構成の概略を示すブロック図(周辺回路パネル外配置構成)である。 本実施形態の基本構成の画素回路と、当該画素回路を備えた有機EL表示装置の一実施形態を示す図である。 図2に示した本実施形態の画素回路に関する駆動タイミングの一例を示すタイミングチャートである。 有機EL素子の下部電極と補助配線の第1比較例のレイアウトを示した全体概要図である。 図3に対する変形例である第2比較例のレイアウトを示した図である。 カラー表示用のR,B,Gの3画素分についての全体の層構造の平面透視図である。 1画素分についての第1配線層および第2配線層に着目した平面透視図とアノード層に着目した平面透視図である。 1画素分についての全体の層構造の平面透視図と断面図である。 保護回路とテストスイッチ回路を別の回路素子で構成する仕組みを採用した場合の簡易点灯検査時および通常使用時の状態を示す図である。 保護回路の回路素子をテストスイッチ回路のスイッチ素子として兼用する仕組みを採用した場合の簡易点灯検査時および通常使用時の状態を示す図である。 保護回路とテストスイッチ回路を搭載する場合の概略構成図である。 図5Bに対応するように、保護回路とテストスイッチ回路を設けるようにした場合の表示装置の等価回路図である。 図1Aに示した周辺回路パネル外配置構成の場合の実装例を説明する図である。 図1Aに示した周辺回路パネル外配置構成の場合のTCP実装の詳細を説明する図である。 周辺回路パネル外配置構成の場合に適用される電気的接続端子の一例を示す図である。 有機EL素子の下部電極と補助配線の比較例のレイアウトを示したパネル辺縁の詳細図である。 水平走査系の保護回路のトランジスタ部分に着目して配線構造を示した図である。 垂直走査系の保護回路のトランジスタ部分に着目して配線構造を示した図である。 水平走査系のテストスイッチ回路のトランジスタ部分に着目して配線構造を示した図である。 比較例の水平走査系の保護回路における異物による薄膜トランジスタの端子間ショートとリペア処理を説明する図である。 比較例の水平走査系のテストスイッチ回路における異物による薄膜トランジスタの端子間ショートとリペア処理を説明する図である。 比較例における異物による層間ショートを説明する図である。 比較例における補助配線と各走査線の配置関係を説明する図である。 比較例における補助配線と書込走査線との間で形成される寄生容量による起因する画像に現われる問題を説明する図である。 比較例における電源配線の配線抵抗に起因する画像に現われる問題を説明する図である。 第1実施形態の表示装置の全体概要を示す図である。 第1実施形態の画素アレイ部の周辺部における補助配線と付加回路のレイアウト関係を説明する図である。 図9Aの(2)〜(4)におけるa−a’線の断面図である。 第2実施形態の画素アレイ部の周辺部における補助配線と付加回路のレイアウト関係を説明する図である。 第2実施形態における保護回路の薄膜トランジスタ近傍の配線構造を説明する平面透視図である。 第2実施形態におけるテストスイッチ回路の薄膜トランジスタ近傍の配線構造を説明する平面透視図である。 第3実施形態(第1構成例)の画素アレイ部の周辺部における補助配線と付加回路のレイアウト関係を説明する図である。 第3実施形態(第2構成例)の画素アレイ部の周辺部における補助配線と付加回路のレイアウト関係を説明する図である。 第3実施形態(第1構成例)における保護回路の薄膜トランジスタ近傍の配線構造を説明する平面透視図である。 第3実施形態(第2構成例)における保護回路の薄膜トランジスタ近傍の配線構造を説明する平面透視図である。 図11Cのa−a’線とb−b’線の断面図である。 第3実施形態(第2構成例)におけるテストスイッチ回路の薄膜トランジスタ近傍の配線構造を説明する平面透視図である。
符号の説明
1…表示装置、100…表示パネル部、101…基板、102…画素アレイ部、103…垂直駆動部、104…書込走査部、104WS…書込走査線、105…駆動走査部、105DSL …電源供給線、106…水平駆動部、106HS…映像信号線、109…制御部、120…保持容量、121…駆動トランジスタ、125…サンプリングトランジスタ、127…有機EL素子、127a…EL開口部、140…周辺回路部、142…保護回路、144…テストスイッチ回路、200…駆動信号生成部、220…映像信号処理部、504…下部電極(アノード電極)、506…有機層、508…上部電極(カソード電極)、515…補助配線、515a…リペア用スリット部(開口部)、515b…延長配線、515c…開口部

Claims (4)

  1. 信号振幅に応じた表示を行なう電気光学素子を含む画素回路が行列状に配された画素アレイ部と、
    前記画素回路を駆動するための各種の信号を伝送する走査線と、
    前記画素アレイ部の周辺部に配置された、前記走査線に信号を供給する半導体素子を有する走査回路、あるいは製造検査を行なうための検査装置から入力されるテスト信号を前記走査線に供給するためのスイッチ素子を有するテストスイッチ回路、あるいは、前記走査線に印加される静電気による静電破壊からの保護を図る保護素子を有する静電気保護回路と、
    を備え、さらに、
    前記電気光学素子の表示面側とは反対側の第1電極が配置される層と同じ層にて、前記画素アレイ部の周辺を囲むように補助配線が形成され、当該補助配線は前記画素アレイ部の周辺にて前記電気光学素子の表示面側の第2電極と電気的な接続がとられており、
    前記各回路は前記第2電極の成膜領域外に配置され、さらに、各回路を構成する各素子から引き出された配線の少なくとも一部の上層側は、前記補助配線が存在しない
    ことを特徴とする表示装置。
  2. 前記各回路は前記補助配線の成膜領域外に配置されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
  3. 前記各回路は前記補助配線の成膜領域内に配置され、
    さらに、前記各回路を構成する各素子から引き出された配線の少なくとも一部の上層側は、前記補助配線に開口部が形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
  4. 前記各回路は前記補助配線の成膜領域外に配置され、
    さらに、前記各回路を構成する各素子は薄膜トランジスタであり、その少なくともチャネル領域の上層側が、前記補助配線から延在した配線で覆われている
    ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
JP2008014449A 2008-01-25 2008-01-25 表示装置 Pending JP2009175476A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008014449A JP2009175476A (ja) 2008-01-25 2008-01-25 表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008014449A JP2009175476A (ja) 2008-01-25 2008-01-25 表示装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009175476A true JP2009175476A (ja) 2009-08-06

Family

ID=41030627

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008014449A Pending JP2009175476A (ja) 2008-01-25 2008-01-25 表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009175476A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20120119546A (ko) * 2011-04-21 2012-10-31 엘지디스플레이 주식회사 유기전계발광 표시패널의 모기판 및 그의 제조방법
WO2014163118A1 (ja) * 2013-04-05 2014-10-09 堺ディスプレイプロダクト株式会社 アクティブマトリクス回路、アクティブマトリクス回路の製造方法、及び画像表示装置
US9443878B2 (en) 2012-06-25 2016-09-13 Joled Inc. Display device and method of manufacturing display device
JP2018055118A (ja) * 2017-11-16 2018-04-05 セイコーエプソン株式会社 電気光学装置および電子機器
WO2021159780A1 (zh) * 2020-02-10 2021-08-19 华为技术有限公司 一种oled显示屏模组及终端设备
US11864435B2 (en) 2019-11-15 2024-01-02 Chengdu Boe Optoelectronics Technology Co., Ltd. Array substrate and display device

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20120119546A (ko) * 2011-04-21 2012-10-31 엘지디스플레이 주식회사 유기전계발광 표시패널의 모기판 및 그의 제조방법
KR101695295B1 (ko) 2011-04-21 2017-01-23 엘지디스플레이 주식회사 유기전계발광 표시패널의 모기판 및 그의 제조방법
US9443878B2 (en) 2012-06-25 2016-09-13 Joled Inc. Display device and method of manufacturing display device
WO2014163118A1 (ja) * 2013-04-05 2014-10-09 堺ディスプレイプロダクト株式会社 アクティブマトリクス回路、アクティブマトリクス回路の製造方法、及び画像表示装置
US9740068B2 (en) 2013-04-05 2017-08-22 Sakai Display Products Corporation Active matrix circuit, method of manufacturing active matrix circuit and image display apparatus
JP2018055118A (ja) * 2017-11-16 2018-04-05 セイコーエプソン株式会社 電気光学装置および電子機器
US11864435B2 (en) 2019-11-15 2024-01-02 Chengdu Boe Optoelectronics Technology Co., Ltd. Array substrate and display device
US11963409B2 (en) 2019-11-15 2024-04-16 Chengdu Boe Optoelectronics Technology Co., Ltd. Array substrate and display device
WO2021159780A1 (zh) * 2020-02-10 2021-08-19 华为技术有限公司 一种oled显示屏模组及终端设备
US11869440B2 (en) 2020-02-10 2024-01-09 Huawei Technologies Co., Ltd. OLED display module and terminal device

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10431645B2 (en) Display device, method for driving the same, and electronic apparatus
JP4737221B2 (ja) 表示装置
JP4582195B2 (ja) 表示装置
US8847214B2 (en) Display, method for driving display, and electronic apparatus having parallel holding capacitors
JP2009169071A (ja) 表示装置
JP6111455B2 (ja) 表示パネル、表示装置および電子機器
JP2009175389A (ja) 表示装置
WO2016013264A1 (ja) 表示装置、表示装置の製造方法、及び、電子機器
US20110234925A1 (en) Display device and electronic device
JP4775408B2 (ja) 表示装置、表示装置における配線のレイアウト方法および電子機器
JP2010003880A (ja) 表示装置および電子機器
US20100149152A1 (en) Display device, driving method for the display device, and electronic apparatus
JP2009169070A (ja) カラー画像表示装置、シャドーマスクおよびシャドーマスクを使用したカラー画像表示装置の製造方法
JP2009175476A (ja) 表示装置
JP2010002531A (ja) 表示装置および電子機器
JP5617319B2 (ja) 表示装置および電子機器
JP2009229635A (ja) 表示装置およびその製造方法
JP2010002530A (ja) 表示装置および電子機器
JP2009244527A (ja) 表示装置
JP2010002676A (ja) 表示装置および電子機器
JP5217469B2 (ja) 表示装置
JP2009069325A (ja) 表示装置
JP2009244528A (ja) 表示装置
KR102652076B1 (ko) 표시장치
JP2011221204A (ja) 表示装置、電子機器、表示装置の駆動方法