JP2009174001A - 成膜装置および成膜方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】パーティクルの発生を抑制し、かつ成膜密度が高く緻密な薄膜を高速で連続成膜することができる成膜装置および成膜方法を提供する。
【解決手段】本発明の成膜装置は、長尺な基板を、搬送手段により所定の搬送経路で搬送しつつ、成膜部で基板に所定の膜を形成するものである。成膜部は、搬送経路に所定の隙間をあけて対向して平行に配置される第1の平板電極および第2の平板電極と、第1の平板電極に高周波電圧を印加する電源部と、第1の平板電極から第2の平板電極に向う方向で、かつ第2の平板電極の表面に対してなす角度が0°〜45°に、膜を形成するための原料ガスを第1の平板電極および第2の平板電極の間に供給する原料ガス供給手段とを備える。また、搬送手段は、基板を第1の平板電極と第2の平板電極との間を搬送させるものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、長尺の基板の表面に膜を形成する成膜装置および成膜方法に関し、特に、連続搬送される長尺フィルム上に、パーティクルの発生を抑制し、かつ成膜密度が高く緻密な薄膜を高速で連続成膜することができる成膜装置および成膜方法に関する。
現在、フィルム上にSiO、SiNx等の無機物の薄膜が形成されたバリアフィルムがある。このバリアフィルムは、透水率が低く、フレキシブルディスプレイ等に用いられている。
このバリアフィルムを製造する場合において、高密度な薄膜を均一に、かつ高速でフィルム上に連続成膜することが難しい。
バリアフィルムを製造するとき、成膜プロセスでパーティクルが発生した場合、形成される膜の中にパーティクルが入り込むと、形成される膜の密度が低下し、さらにこのパーティクルが膜から剥がれると欠陥となる。
このように、パーティクルは、バリアフィルムのバリア性能を著しく低下させる原因となる。このため、成膜時のパーティクルの発生を抑制することも望まれている。
そこで、パーティクルが発生することがなく、電気的・光学的特性に優れ、かつ高速で、フィルム上に薄膜を連続成膜する方法が提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1の成膜方法は、基板表面の近傍に厚さ及び密度が均一且つ厚さの薄い反応ガスの層流を形成するとともに、数Torr〜数気圧の高圧力プラズマ中で生成した高密度の中性ラジカルを含むラジカルガスを反応ガス層流の上層に、その流れを乱さないように供給し、反応ガス中に拡散してきた中性ラジカルによって反応ガスを分解し、膜形成元素を基板表面に堆積させて薄膜を連続的に形成するものである。
特許文献1においては、基板を直接プラズマに曝さず、すなわち、高いエネルギーの荷電粒子による欠陥等の損傷を導入せず、かつ300℃以下の低温度で成膜を行えるとともに、反応ガスが分解されて生成したラジカル種同士が気相中で凝集することを抑制し、その結果気相中でクラスタまたは粉の発生を防止し、電気的・光学的特性に優れた薄膜を基板表面に高速成膜することができる。
特開平8−81778号公報
特許文献1の成膜方法は、フィルム損傷および膜中欠陥をなくす目的で、フィルムに荷電粒子または熱が接触しないプロセスである。このため、バリア性能を大きく左右する膜密度を制御できないという問題点がある。このことから、特許文献1においては、膜の密度を高密度化できず、透水性のより低いものを要求された場合、バリアフィルムを製造することが難しいという問題点もある。
本発明の目的は、前記従来技術に基づく問題点を解消し、パーティクルの発生を抑制し、かつ成膜密度が高く緻密な薄膜を高速で連続成膜することができる成膜装置および成膜方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、長尺な基板を、搬送手段により所定の搬送経路で搬送しつつ、成膜部で、前記基板に所定の膜を形成する成膜装置であって、前記成膜部は、前記搬送経路に、所定の隙間をあけて対向して平行に配置される第1の平板電極および第2の平板電極と、前記第1の平板電極に高周波電圧を印加する電源部と、前記第1の平板電極から前記第2の平板電極に向う方向で、かつ前記第2の平板電極の表面に対してなす角度が0°〜45°に、前記膜を形成するための原料ガスを、前記第1の平板電極および第2の平板電極の間に供給する原料ガス供給手段とを備えるものであり、前記搬送手段は、前記基板を前記第1の平板電極と第2の平板電極との間を搬送させるものであることを特徴とする成膜装置を提供するものである。
本発明の成膜装置において、前記搬送手段は、前記基板と前記第2の平板電極との距離を一定に保って、前記基板を前記第1の平板電極と第2の平板電極との間を搬送させることが好ましい。
この場合、前記基板と前記第2の平板電極との距離は、0mmを超え10mm以下であることが好ましい。
また、本発明においては、前記搬送手段は、前記基板を前記第1の平板電極と第2の平板電極との間に搬送するとき、前記基板が載置され、前記基板の搬送に同調して移動または回転する支持具を備える搬送支持部を有することが好ましい。
さらに、本発明においては、前記搬送支持部は、前記基板の搬送方向に対して所定の間隔をあけて平行に配置された1対のローラにベルトが少なくとも1つ巻き掛けられており、一方のローラを回転させることにより、前記基板を搬送するものであることが好ましい。
この場合、前記ベルトは、誘電体により構成されることが好ましい。
さらにまた、本発明においては、前記原料ガス供給部は、前記搬送支持部の1対のローラのうち、前記基板の搬送方向の上流側のローラに向けて、前記原料ガスを供給することが好ましい。
また、本発明においては、前記搬送支持部は、前記基板の搬送方向に沿って、所定の間隔をあけて配置された複数のローラを有するものであることが好ましい。
この場合、前記ローラは、導電体または誘電体により構成されることが好ましい。
また、本発明においては、前記原料ガス供給部は、前記搬送支持部のいずれかのローラに向けて、前記原料ガスを供給することが好ましい。
また、本発明においては、前記搬送手段は、成膜時に、前記基板を前記第1の平板電極と第2の平板電極との間を搬送させるとき、前記原料ガスを供給し、かつ前記第1の平板電極に高周波電圧を印加することにより生成されるプラズマと前記第2の平板電極との間に形成されるシース領域に搬送させることが好ましい。
また、本発明においては、前前記第2の平板電極の温度を調節する温度調節部を有することが好ましい。
本発明の第2の態様は、長尺な基板を、対向して平行に配置される第1の平板電極および第2の平板電極の間を搬送しつつ、前記基板に所定の膜を形成する成膜方法であって、前記第1の平板電極および第2の平板電極の間に、前記膜を形成するための原料ガスを、前記第1の平板電極から前記第2の平板電極に向う方向で、かつ前記第2の平板電極の表面に対してなす角度が0°〜45°に供給し、かつ前記第1の平板電極に高周波電圧を印加することを特徴とする成膜方法を提供するものである。
本発明においては、前記基板と前記第2の平板電極との距離を一定に保って、前記基板を前記第1の平板電極と第2の平板電極との間を搬送させることが好ましい。
この場合、前記基板と前記第2の平板電極との距離は、0mmを超え、10mm以下であることが好ましい。
また、本発明においては、成膜時に、前記基板を第1の平板電極および第2の平板電極の間を搬送させるとき、前記原料ガスを供給し、かつ前記第1の平板電極に高周波電圧を印加することにより生成されるプラズマと前記第2の平板電極との間に形成されるシース領域に前記基板を搬送させることが好ましい。
本発明の成膜装置によれば、成膜部について、搬送経路に所定の隙間をあけて対向して平行に配置される第1の平板電極および第2の平板電極と、第1の平板電極に高周波電圧を印加する電源部と、第1の平板電極から第2の平板電極に向う方向で、かつ第2の平板電極の表面に対してなす角度が0°〜45°に、膜を形成するための原料ガスを第1の平板電極および第2の平板電極の間に供給する原料ガス供給手段とを備えるものとすることにより、成膜時に、第1の平板電極に高周波電圧を印加し、プラズマを生成させても、0°〜45°の角度で第1の平板電極および第2の平板電極の間に、膜を形成するための原料ガスを供給しているため、原料ガスが層流状に供給される。このため、原料ガスから生じるラジカルが凝集することが抑制され、ラジカル凝集によるパーティクルの発生を抑制することができる。これにより、形成する膜へのパーティクルの混入が抑制され、成膜密度を高くでき、緻密な膜を得ることができる。
また、パーティクルの発生を抑制することができるため、原料ガスのうち、成膜に利用されるものの利用効率が高くなり、成膜速度を速くすることができる。
さらには、原料ガスから生じるラジカルの凝集が抑制されるため、膜厚が均一な膜を形成することができる。
また、本発明の成膜方法によれば、第1の平板電極および第2の平板電極の間に、膜を形成するための原料ガスを、第1の平板電極から第2の平板電極に向う方向で、かつ第2の平板電極の表面に対してなす角度が0°〜45°に供給し、第1の平板電極に高周波電圧を印加することにより、0°〜45°の角度で、膜を形成するための原料ガスを第1の平板電極および第2の平板電極の間に供給するため、成膜時に、第1の平板電極に高周波電圧を印加し、プラズマを生成させても、原料ガスが層流状に供給される。このため、原料ガスが励起されて生じるラジカルが凝集することが抑制され、ラジカル凝集によるパーティクルの発生を抑制することができる。これにより、形成する膜へのパーティクルの混入が抑制され、成膜密度を高くでき、緻密な膜を得ることができる。
また、パーティクルの発生を抑制することができるため、原料ガスのうち、成膜に利用されるものの利用効率が高くなり、成膜速度を速くすることができる。
さらには、原料ガスから生じるラジカルの凝集が抑制されるため、膜厚が均一な膜を形成することができる。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の成膜装置および成膜方法を詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る成膜装置を示す模式図である。図2(a)は、図1に示す成膜装置の成膜室の要部を示す模式図であり、(b)は、ノズルの構成を示す模式図である。
図1に示す本発明の実施形態に係る成膜装置10は、磁気記録媒体の製造、光学膜の製造、またはガスバリアフィルムの製造等に利用されるものである。
成膜装置10は、長尺な基板Z(ウェブ状の基板Z)を真空中で所定の経路で搬送しつつ、長尺の基板Zに連続で、成膜部32で、例えば、プラズマCVD法により、成膜を行う装置である。
成膜装置10は、基本的に、長尺な基板Zを供給する供給室12と、長尺な基板Zに膜を形成する成膜室14と、膜が形成された長尺な基板Zを巻き取る巻取り室16とを備え、更に真空排気部18と、制御部46とを有する。この制御部46により、成膜装置10における各要素の動作が制御される。
成膜装置10においては、供給室12と成膜室14とを区画する壁13には、基板Zが通過するスリット状の開口13aが形成されており、成膜室14と巻取り室16とを区画する壁15には、基板Zが通過するスリット状の開口15aが形成されている。
成膜装置10においては、供給室12、成膜室14および巻取り室16には、真空排気部18が配管18aを介して接続されている。この真空排気部18により、供給室12、成膜室14および巻取り室16の内部が所定の真空度にされる。
真空排気部18は、供給室12、成膜室14および巻取り室16を排気して所定の真空度に保つものであり、ドライポンプおよびターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有するものである。また、供給室12、成膜室14および巻取り室16には、それぞれ内部の圧力を測定する圧力センサ(図示せず)が設けられている。
なお、真空排気部18による供給室12、成膜室14および巻取り室16の到達真空度には、特に限定はなく、実施する成膜方法等に応じて、十分な真空度を保てればよい。この真空排気部18は、制御部46により制御される。
供給室12は、長尺な基板Zを供給する部位であり、基板ロール20、およびガイドローラ22が設けられている。
基板ロール20は、長尺な基板Zを連続的に送り出すものであり、例えば、反時計回りに基板Zが巻回されている。
基板ロール20は、例えば、駆動源としてモータ(図示せず)が接続されている。このモータによって基板ロール20が基板Zを巻き戻す方向rに回転されて、本実施形態では、時計回りに回転されて、基板Zが連続的に送り出される。
ガイドローラ22は、基板Zを所定の搬送経路で成膜室14に案内するものである。このガイドローラ22は、公知のガイドローラにより構成される。
本実施形態の成膜装置10においては、ガイドローラ22は、駆動ローラまたは従動ローラでもよい。また、ガイドローラ22は、基板Zの搬送時における張力を調整するテンションローラとして作用するローラであってもよい。
本発明の成膜装置において、基板Zは、特に限定されるものではなく、プラズマCVD法による膜の形成が可能な各種の基板が全て利用可能である。基板Zとしては、例えば、PETフィルム等の各種の樹脂フィルム、またはアルミニウムシートなどの各種の金属シート等を用いることができる。
巻取り室16は、後述するように、成膜室14で、表面Zfに膜が形成された基板Zを巻き取る部位であり、ガイドローラ24および巻取ロール26が設けられている。
巻取ロール26は、成膜された基板Zをロール状に、例えば、時計回りに巻き取るものである。
この巻取ロール26は、例えば、駆動源としてモータ(図示せず)が接続されている。このモータにより巻取ロール26が回転されて、成膜済の基板Zが巻き取られる。
巻取ロール26においては、モータによって基板Zを巻き取る方向Rに回転されて、本実施形態では、時計回りに回転されて、成膜済の基板Zを連続的に、例えば、時計回りに巻き取る。
ガイドローラ24は、先のガイドローラ22と同様、成膜室14から搬送された基板Zを、所定の搬送経路で巻取ロール26に案内するものである。このガイドローラ24は、公知のガイドローラにより構成される。なお、供給室12のガイドローラ22と同様に、ガイドローラ24も、駆動ローラまたは従動ローラでもよい。また、ガイドローラ24は、テンションローラとして作用するローラであってもよい。
成膜室14は、真空チャンバとして機能するものであり、基板Zを搬送しつつ連続的に、基板Zの表面Zfに、例えば、プラズマCVDによって、膜を形成する部位である。
成膜室14は、例えば、ステンレスなど、各種の真空チャンバで利用されている材料を用いて構成されている。
成膜室14には、2つのガイドローラ30、34と、成膜部32とが設けられている。
ガイドローラ30は、供給室12に設けられたガイドローラ22から搬送された基板Zを成膜部32に搬送するものである。このガイドローラ30は、例えば、基板Zの搬送方向Dと直交する方向(以下、軸方向という)に回転軸を有し回転可能であり、かつガイドローラ30は、軸方向の長さが基板Zの長さ(以下、基板Zの幅という)よりも長い。
なお、基板ロール20、ガイドローラ22、ガイドローラ24、ガイドローラ30、ガイドローラ34、および巻取ロール26により、本発明の搬送手段が構成される。
ガイドローラ34は、成膜部32により、成膜された基板Zを、巻取り室16に設けられたガイドローラ30に搬送するものである。このガイドローラ34は、例えば、軸方向に回転軸を有し回転可能であり、かつガイドローラ34は、軸方向の長さが基板Zの幅よりも長い。
また、ガイドローラ30、ガイドローラ34は、上記構成以外は、供給室12に設けられたガイドローラ22と同様の構成であるため、その詳細な説明は省略する。
ガイドローラ30と、ガイドローラ34とは、搬送方向Dにおいて、成膜部32の下部電極36を挟むように、所定の間隔を設けて対向して、その長手方向を軸方向に平行にして配置されている。
図1に示すように、成膜部32は、搬送方向Dにおけるガイドローラ30と、ガイドローラ34との間に設けられている。成膜部32は、例えば、プラズマCVDを用いて膜を形成するものである。
この成膜部32は、基板Zの搬送経路に、この基板Zの搬送方向Dと直交する方向Vに、所定の隙間をあけて、上部電極(第1の平板電極)34と下部電極(第2の平板電極)36とが設けられている。
さらに、成膜部32は、電源部40、原料ガス供給部42を有する。制御部46により、成膜部32の電源部40、および原料ガス供給部42が制御される。
図2(a)に示すように、成膜部32においては、上部電極34および下部電極36は、平板状の平板電極である。
上部電極34と下部電極36とは、基板Zの搬送経路を挟むように、互いに表面34a、36aを対向させて配置されている。この上部電極34と下部電極36との間Sを基板Zが通過する。
上部電極34は、電源部40に接続されている。電源部40は、例えば、高周波電源を有するものであり、上部電極34に高周波電圧を印加するものである。
また、上部電極34と電源部40とは、必要に応じて、インピーダンス整合をとるためのマッチングボックスを介して接続してもよい。
下部電極36は、例えば、接地されている。なお、下部電極36は、直流電源、または高周波電源を接続してもよい。これらの直流電源、または高周波電源により下部電極36にバイアス電圧が付与される構成としてもよい。
本実施形態においては、搬送手段により、図2(a)に示すように、基板Zは成膜部32の上部電極34と下部電極36との間Sを、下部電極36の表面36aと基板Zの裏面Zbとの距離Aを一定に保った状態で搬送される。
例えば、下部電極36の表面36aとプラズマPとの間に形成されるシース領域は、下部電極36の表面36aに垂直な方向において、5〜10mm程度の位置に生じるため、この距離Aは、0mmを超え10mm以下であることが好ましく、より好ましくは、0mmを超え5mm以下である。
原料ガス供給部42は、配管44とともに、原料ガス供給手段を構成するものであり、この原料ガス供給部42は、プラズマCVD装置で用いられている各種のガス導入手段が用いられる。
図2(b)に示すように、原料ガス供給部42は、配管44が接続されている。この配管44の先端部がノズル44aとなっている。配管44は、このノズル44aと、ノズル44aに接続される調節部44bと、この調節部44bに接続された基部44cとを有する。基部44cは、原料ガス供給部42に接続されている。
配管44において、調節部44bは、例えば、蛇腹で構成されており、ノズル44aの回動に応じて、伸縮自在なものである。これにより、配管44のノズル44aは、開口部45の向きを下部電極36の表面36aに対して変えることができる。
配管44のノズル44aは、例えば、ノズル44aの中心軸Cが下部電極36の表面36aと交わる点Bを中心として、周方向θに回動可能である。これにより、配管44のノズル44aは、基板Zの表面Zfに対する原料ガスGの噴射角度(角度α)を変えることができる。
本実施形態において、原料ガス供給部42および配管44(原料ガス供給手段)は、成膜時に、上部電極34から下部電極36に向う方向で、かつ下部電極36の表面36aに対してなす角度αが0°〜45°に、配管44のノズル44aの開口部45から膜を形成するための原料ガスGを、上部電極34および下部電極36の間Sに供給するものである。
本発明においては、下部電極36の表面36aに対してなす角度αとは、搬送方向Dおよび垂直方向Vのいずれとも直交する方向からノズル44aおよび下部電極36を見た場合におけるノズル44aの中心軸Cと下部電極36の表面36aとのなす角度のことである。この角度αが0°〜45°である。
本発明においては、上部電極34から下部電極36に向う方向で、かつ下部電極36の表面36aに対してなすノズル44aの角度αを0°〜45°とすることにより、原料ガス供給部42および配管44(原料ガス供給手段)は、成膜時に、膜を形成する原料ガスGを、上部電極34と下部電極36との間Sに供給するとき、上部電極34と搬送される基板Zの表面Zfとの間の領域Spに、基板Zの表面Zfに対して層流となるように供給することができ、反応ガス流を基板Zの表面Zf上で層流にすることができる。上部電極34と搬送される基板Zの表面Zfとの間の領域SpがプラズマPの発生空間になる。
なお、角度αが0°の場合、下部電極36の表面36aと平行に原料ガスGが供給される。
また、本実施形態においては、ノズル44aの位置を固定する固定部材(図示せず)と、ノズル44aの角度を測定する基準点が設けられ、この基準点(ノズル44a)の角度を測定する分度器などの角度測定器とを設ける構成としてもよい。この構成により、ノズル44aは0°〜45°の所定の角度αにされたのち、固定部材により、その角度で固定される。
なお、本実施形態においては、ノズル44aの角度を変えるとともに、ノズル44aを保持する駆動保持部と、ノズル44aの角度を測定する角度測定部とを設け、ノズル44aを、0°〜45°の所定の角度αに保持するようにしてもよい。
本実施形態においては、原料ガスGは、例えば、SiO膜を形成する場合、TEOSガス、および活性種ガスとして酸素ガスが用いられる。
また、原料ガス供給部42においては、原料ガスのみならず、アルゴンガスまたは窒素ガスなどの不活性ガス、および酸素ガス等の活性種ガス等、プラズマCVDで用いられている各種のガスを、原料ガスと共に、上部電極34と搬送される基板Zの表面Zfとの間の領域Spに供給してもよい。このように、複数種のガスを導入する場合には、各ガスを同じ配管で混合して供給しても、各ガスを異なる配管から供給してもよい。
さらに、原料ガスまたはその他、不活性ガスおよび活性種ガスの種類または導入量も、形成する膜の種類、または目的とする成膜レート等に応じて、適宜、選択/設定すればよい。
また、下部電極36には、下部電極36を所定の温度に加熱する温度調節部(図示せず)を設けてもよい。この温度調節部は、例えば、下部電極36の下面36bに設けられるヒータである。
なお、電源部40、および高周波電源は、いずれも、プラズマCVDによる成膜に利用される公知の高周波電源を用いることができる。また、電源部40、高周波電源は、最大出力等にも、特に限定はなく、形成する膜または成膜レート、除去する反応生成物(堆積物)等に応じて、適宜、選択/設定すればよい。
次に、本実施形態の成膜装置10による成膜方法について説明する。
成膜装置10は、供給室12から成膜室14を経て巻取り室16に至る所定の経路で、真空雰囲気下で、供給室12から巻取り室16まで長尺な基板Zを通して搬送しつつ、成膜室14において、基板Zに膜を形成するものである。
成膜装置10においては、図1に示すように、長尺な基板Zが、例えば、反時計回り巻回された基板ロール20からガイドローラ22を経て、成膜室14に搬送される。成膜室14においては、ガイドローラ30、成膜部32、ガイドローラ34を経て、巻取り室16に搬送される。巻取り室16においては、ガイドローラ24を経て、巻取ロール26に、長尺な基板Zが巻き取られる。長尺な基板Zを、この搬送経路で通した後、供給室12、成膜室14および巻取り室16の内部を真空排気部18により、所定の真空度に保つ。
基板Zは、成膜部32の上部電極34と下部電極36との間Sを、例えば、0mmを超え10mm以下の距離Aで、一定に保持した状態で何に接触することなく搬送される。このとき、原料ガス供給手段においては、上部電極34から下部電極36に向う方向で、かつ下部電極36の表面36aに対してなすノズル44aの角度αを0°〜45°とし、原料ガス供給部42からノズル44aの開口部45を経て、基板Zの表面Zfに原料ガスGを層流状に供給する。
そして、電源部40から上部電極34に、例えば、高周波電圧を印加することにより、プラズマPが、上部電極34と搬送される基板Zの表面Zfとの間の領域Spで発生する。このプラズマPにより、原料ガスGが励起・解離され、ラジカルが生成され、最終的に、基板Zの表面Zfに所定の膜が形成される。
順次、長尺な基板Zが反時計回り巻回された基板ロール20をモータにより時計回りに回転させて、長尺な基板Zを連続的に送り出し、基板Zを、成膜部32の上部電極34と下部電極36との間Sを通過させつつ、成膜部32により長尺な基板Zの表面Zfに連続的に膜を形成する。そして、ガイドローラ34、およびガイドローラ24を経て、巻取ロール26に、成膜された長尺な基板Zが巻き取られる。
このように、本実施形態の成膜装置10においては、長尺の基板Zの表面Zfに膜を形成することができる。
本実施形態においては、原料ガスGは、基板Zの表面Zf上に層流状に供給されているため、原料ガスGから生成されるラジカルは凝集することが抑制される。このため、パーティクルの発生が抑制され、形成する膜にパーティクルが混入することが抑制される。このため、膜密度が高く、緻密な膜を形成することができる。
また、パーティクルの発生を抑制することができるため、原料ガスGのうち、成膜に利用されるものの利用効率を高くでき、成膜速度を速くすることができる。
さらには、原料ガスGから生じるラジカルの凝集が抑制されるため、膜厚が均一な膜を形成することができる。
このように、本実施形態においては、成膜速度および膜密度を制御することができ、原料ガスGの流量などを調整することにより、成膜速度および膜密度の最適化を図ることができる。よって、本実施形態においては、例えば、バリアフィルムを形成する場合には、透水性が低く、バリア性能が高いものを得ることができる。
また、本実施形態においては、基板Zの表面Zf上に、プラズマPを生成して成膜する。このため、プラズマPを基板Zの表面Zfで生成しないものに比して、形成する膜の密度を調節することができる。これにより、成膜密度が高い膜を形成することができる。このように、成膜密度が高く、膜質が良好なものが得られるため、得率(歩留まり)が高くなり、生産性も向上する。
更には、本実施形態においては、基板Zの表面Zf上に、プラズマPを生成して成膜するため、プラズマPを基板Zの表面Zfで生成しないものに比して、成膜速度を速くすることができる。
なお、本実施形態においては、成膜時に、原料ガスGを供給し、かつ上部電極34に高周波電圧を印加することによってプラズマPが生成された状態で、基板Zを、成膜部32の上部電極34と下部電極36との間Sを搬送するとき、上述のように、下部電極36の表面36aとプラズマPとの間に形成されるシース領域を通過させるようにしてもよい。このように基板Zを、シース領域を通過させることにより、基板Zの表面Zfにイオン引き込み電圧がかかり、イオンボンバードメント効果により、膜密度を高くし、より緻密な膜を形成することができる。
また、本実施形態においては、上述のように、パーティクルの発生が抑制されるため、成膜室14の汚染が小さくなり、クリーニングのメンテナンスの間隔を長くすることができる。このため、品質が良好な膜を、高い生産性で形成することができる。
さらに、本実施形態においては、下部電極36に、バイアスをかける直流電源、または高周波電源を設けることにより、イオンボンバードメント効果を得ることができ、形成する膜についてより高密度化を図ることができる。
また、下部電極36の裏面36bに下部電極36を加熱する温度調節部(図示せず)を設け、この下部電極36を加熱することにより、マイグレーション効果が得られる。このマイグレーション効果により、形成する膜についてより高密度化を図ることができる。
さらには、下部電極36に、バイアスをかけるとともに、加熱することにより、イオンボンバードメント効果およびマイグレーション効果が得られ、より一層、形成する膜についてより高密度化を図ることができる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図3(a)は、本発明の第2の実施形態に係る成膜装置の要部を示す模式図であり、(b)は、図3(a)のI−I線による断面図である。
図3(a)および(b)においては、第1の実施形態の成膜装置と相違するものを示し、それ以外の構成については図示を省略している。ここで、上部電極34は電源部40に接続されているが、その図示を省略している。
なお、本実施形態においては、図1に示す第1の実施形態の成膜装置と同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図3(a)に示すように、本実施形態の成膜装置は、第1の実施形態の成膜装置10(図1参照)に比して、成膜部50の構成が異なり、それ以外の構成は、第1の実施例の成膜装置10と同様の構成であり、その詳細な説明は省略する。
本実施形態において、図3(a)に示すように、成膜部50は、第1の実施形態の成膜部32(図2(a)参照)に比して、基板Zを搬送する第1の搬送部(搬送支持部)52を有する点が異なり、それ以外の構成は、第1の実施形態の成膜部32と同様であるため、その詳細な説明は省略する。なお、下部電極36は、例えば、接地されている。
本実施形態の成膜部50の第1の搬送部52は、本発明の搬送手段の一部を構成するものである。
本実施形態の成膜部50の第1の搬送部52においては、搬送方向Dにおいて、下部電極36を挟むようにして、円筒状の第1のプーリ54および円筒状の第2のプーリ56が配置されている。この第1のプーリ54および第2のプーリ56は、長手方向を軸方向W(図3(b)参照)と平行にして配置されている。
第1のプーリ54および第2のプーリ56にベルト(支持具)58が、複数本、幅方向Wに所定の間隔を設けて、多条に巻き掛けられている。このベルト58の上に基板Zの裏面Zbが載置される。
また、ベルト58は、図3(b)に示すように、例えば、断面形状が三角形であり、その頂点が基板Zの裏面Zbに接するように配置されている。ベルト58の断面形状を三角形とすることにより、ベルト58と基板Zの裏面Zbとの接触面積を極めて小さくすることができる。これにより、搬送中、基板Zの裏面Zbにキズが付くことを防止することができる。
更には、例えば、ベルト58の断面形状を三角形とし、ベルト58と基板Zの裏面Zbとの接触面積を極めて小さくすることにより、基板Zの表面Zfにイオン引き込み電圧がかかりやすくなり、イオンボンバードメント効果により、膜密度を高くし、より緻密な膜を形成することができる。
なお、ベルト58は、複数本設ける必要はなく、例えば、幅が広い1本のベルトを用いてもよい。
また、ベルト58は、例えば、誘電体により構成されるものである。このように、誘電体によりベルト58を構成することにより、導体で構成した場合に比して、プラズマPの形成に悪影響を与えることが抑制される。
なお、誘電体としては、ポリエチレン、ポリエステル、およひポリウレタン等の合成樹脂が用いられる。
第1のプーリ54には、モータ(図示せず)が接続されており、このモータにより、第1のプーリ54が回転すると、ベルト58を介して第2のプーリ56が回転する。この場合、ベルト58の移動速度は、基板Zの搬送速度と同じであり、ベルト58は基板Zと同調して移動するものである。
第1の搬送部52において、第1のプーリ54は、ノズル44a側に設けられている。この第1のプーリ54の上方にノズル44aの開口部45から原料ガスGが噴射される。
第1の搬送部52においては、ベルト58上に基板Zの裏面Zbを配置して搬送することにより、成膜部50を基板Zが通過する場合、基板Zの裏面Zbと、下部電極36の表面36aとの距離Aを、例えば、0mmを超え、10mm以下で一定に保つことができる。すなわち、基板Zが搬送時の張力の変動などにより、基板Zが振動して、基板Zの表面Zfの位置が変動することが抑制される。
また、第1のプーリ54の上方に、ノズル44aの開口部45から原料ガスGが噴射される。これにより、原料ガスGの噴射による基板Zの振動が抑制され、基板Zのばたつきが抑制される。
ベルト58の断面形状は、図3(b)に示す三角形に限定されるものではない。例えば、図4に示す成膜部60のように、ベルト62の断面形状は、円形であってもよい。このように、断面形状が円形であっても、ベルト62と基板Zの裏面Zbとの接触面積を極めて小さくすることができる。
次に、本実施形態の成膜装置の成膜方法について説明する。
本実施形態の成膜装置の成膜方法は、第1の実施形態の成膜装置10の成膜方法に比して、成膜部50で第1の搬送部52に基板Zが搬送されつつ、ベルト58上の基板Zの表面Zfに成膜される点が異なり、それ以外の工程は、第1の実施形態の成膜装置10の成膜方法と同様の工程であるため、その詳細な説明は省略する。
本実施形態の成膜装置の成膜方法においては、所定の真空度の環境下、長尺な基板Zが反時計回り巻回された基板ロール20(図1参照)を、モータにより時計回りに回転させて、長尺な基板Zを成膜室14(図1参照)に連続的に送り出す。そして、成膜室14の成膜部50の上部電極34と下部電極36との間Sを、第1の搬送部52で基板Zを、距離Aを、例えば、0mmを超え、10mm以下の範囲で一定に保ちつつ搬送する。
そして、原料ガス供給手段においては、上部電極34から下部電極36に向う方向で、かつ下部電極36の表面36aに対してなすノズル44aの角度αを0°〜45°として、原料ガス供給部42(図1参照)からノズル44aの開口部45を経て、基板Zの表面Zfに原料ガスGを層流状に供給する。
そして、電源部40から上部電極34に、例えば、高周波電圧を印加することにより、プラズマPが、上部電極34と搬送される基板Zの表面Zfとの間の領域Spで発生する。このプラズマPにより、原料ガスGが励起・解離される。これにより、基板Zの表面Zfに、所定の膜が形成される。そして、巻取ロール26に、成膜された長尺な基板Zを巻き取る。このようにして、本実施形態の成膜装置においては、長尺の基板Zの表面Zfに膜を形成する。
本実施形態においては、成膜部50の構成が第1の実施形態の成膜装置10と異なるだけであるため、第1の実施形態の成膜装置10および成膜方法と同様の効果を得ることができる。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図5は、本発明の第3の実施形態に係る成膜装置の要部を示す模式図である。
図5においては、第1の実施形態の成膜装置と相違するものを示し、それ以外の構成については図示を省略している。ここで、上部電極34は電源部40に接続されているが、その図示を省略している。
なお、本実施形態においては、図1に示す第1の実施形態の成膜装置と同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図5に示すように、本実施形態の成膜装置は、第1の実施形態の成膜装置10(図1参照)に比して、成膜部70の構成が異なり、それ以外の構成は、第1の実施例の成膜装置10と同様の構成であり、その詳細な説明は省略する。
本実施形態において、図5に示すように、成膜部70は、第1の実施形態の成膜部32(図2(a)参照)に比して、基板Zを搬送する第2の搬送部72を有する点が異なり、それ以外の構成は、第1の実施形態の成膜部32と同様であるため、その詳細な説明は省略する。なお、下部電極36は、例えば、接地されている。
本実施形態の成膜部50の第2の搬送部72は、本発明の搬送手段の一部を構成するものである。
本実施形態の成膜部70の第2の搬送部72においては、幅方向W(図3(b)参照)において、下部電極36を挟むようにして、円筒状の支持ローラ(支持具)74が、回転軸を幅方向Wと平行にして、かつ搬送方向Dにそって、所定の間隔をあけて配置されている。
支持ローラ74は、例えば、駆動ローラ、好ましくはテンデンシーローラにより構成されており、基板Zを載置した場合、基板Zの裏面Zbと下部電極36の表面36aとの距離Aが、0mmを超え10mm以下となるように配置されている。
この支持ローラ74は、例えば、導体または誘電体により構成されている。
導体としては、アルミニウム、アルミニウム合金、またはステンレス合金などの金属材料が用いられる。また、誘電体としては、アルミナなどの金属酸化物、ガラスまたはプラスチックが用いられる。
本実施形態においては、支持ローラ74は、第2の実施形態ベルト58のように、上部電極34と下部電極36との間に配置されるものではないため、プラズマPの形成に悪影響を及ぼすことがないため、導体で構成することがより好ましい。
各支持ローラ74上に、基板Zが載置されて基板Zが搬送方向Dに搬送されると、支持ローラ74が基板Zの移動に同調して回転する。これにより、基板Zは、搬送速度を変えることなく、成膜部70を搬送される。
第2の搬送部72においては、各支持ローラ74上に基板Zの裏面Zbを載置して、基板Zを、成膜部70を搬送する場合、基板Zの裏面Zbと下部電極36の表面36aとの距離Aを、例えば、0mmを超え、10mm以下で一定に保つことができる。すなわち、基板Zが搬送時の張力の変動などにより、基板Zが振動して、基板Zの表面Zfの位置が変動することが抑制される。このため、膜質が優れた膜を形成することができる。
本実施形態においては、いずれかの支持ローラ74の上方に、ノズル44aの開口部45から原料ガスGが噴射させる。これにより、原料ガスGの噴射による基板Zの振動が抑制され、基板Zのばたつきが抑制される。
次に、本実施形態の成膜装置の成膜方法について説明する。
本実施形態の成膜装置の成膜方法は、第1の実施形態の成膜装置10の成膜方法に比して、成膜部70で第2の搬送部72に基板Zが搬送されつつ、成膜される点が異なり、それ以外の工程は、第1の実施形態の成膜装置10の成膜方法と同様の工程であるため、その詳細な説明は省略する。
本実施形態の成膜装置の成膜方法においては、所定の真空度の環境下、長尺な基板Zが反時計回り巻回された基板ロール20(図1参照)を、モータにより時計回りに回転させて、長尺な基板Zを成膜室14(図1参照)に連続的に送り出す。そして、成膜室14の成膜部50の上部電極34と下部電極36との間Sを、第2の搬送部72で基板Zを、距離Aを、例えば、0mmを超え、10mm以下で一定に保ちつつ搬送する。
そして、上部電極34から下部電極36に向う方向で、かつ下部電極36の表面36aに対してなすノズル44aの角度αを0°〜45°として、原料ガス供給部42(図1参照)からノズル44aの開口部45を経て、基板Zの表面Zfに原料ガスGを層流状に供給する。
そして、電源部40から上部電極34に、例えば、高周波電圧を印加することにより、プラズマPが、上部電極34と搬送される基板Zの表面Zfとの間の領域Spで発生する。このプラズマPにより、原料ガスGが励起・解離される。これにより、基板Zの表面Zfに、所定の膜が形成される。そして、巻取ロール26に、成膜された長尺な基板Zを巻き取る。このようにして、本実施形態の成膜装置においては、長尺の基板Zの表面Zfに膜を形成する。
本実施形態においては、成膜部70の構成が第1の実施形態の成膜装置10と異なるだけであるため、第1の実施形態の成膜装置10および成膜方法と同様の効果を得ることができる。
上述の第2の実施形態および第3の実施形態において、下部電極36は、直流電源、または高周波電源を接続してもよい。これらの直流電源、または高周波電源により下部電極36にバイアス電圧が付与される構成としてもよい。これにより、イオンボンバードメント効果を得ることができ、形成する膜についてより高密度化を図ることができる。
また、上述の第2の実施形態および第3の実施形態において、下部電極36には、下部電極36を所定の温度に加熱する温度調節部(図示せず)を設けてもよい。本実施形態の温度調節部は、例えば、下部電極36の下面36bに設けられるヒータである。温度調節部で下部電極36を加熱することにより、マイグレーション効果が得られる。このマイグレーション効果により、形成する膜についてより高密度化を図ることができる。
さらには、上述の第2の実施形態および第3の実施形態において、成膜時に、原料ガスGを供給し、かつ上部電極34に高周波電圧を印加することによってプラズマPが生成された状態で、基板Zを、成膜部32の上部電極34と下部電極36との間Sを搬送するとき、下部電極36の表面36aとプラズマPとの間に形成されるシース領域を通過させるようにしてもよい。このように基板Zを、シース領域を通過させることにより、基板Zの表面Zfにイオン引き込み電圧がかかり、イオンボンバードメント効果により、膜密度を高くし、より緻密な膜を形成することができる。
また、第2の実施形態および第3の実施形態においても、パーティクルの発生が抑制されるため、成膜室14の汚染が小さくなり、クリーニングのメンテナンスの間隔を長くすることができる。このため、品質が良好な膜を、高い生産性で形成することができる。
以上、本発明の成膜装置および成膜方法について詳細に説明したが、本発明は、上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよいのは、もちろんである。
以下、本発明の成膜装置の実施例について、具体的に説明する。
本実施例においては、図6に示すように、ノズル100の基板102(下部電極36(図2(b)参照)に相当)に対する角度αを下記表1に示すように種々変えて、ノズル100からガスgを基板100の表面102aに流し、以下に示すように、ガス流fgの状態を観察し、ガス流を評価した。
このガス流の評価は、基板102の表面102aに煙を導入し、ガスgによる煙の動きを指標にガス流fgの状態を観察し、層流、乱流または層流と乱流との遷移状態であるかを評価した。
本実施例では、ノズル100の位置は、端部からの基板100の表面102aまでの高さLを15mmとした。また、ノズル100から基板100の表面102aに流すガスgには、Nガスを用い、その流量を4リットル/分とした。
また、本実施例においては、各ノズル角度αにおいて成膜実験を行い、成膜を評価した。
成膜の評価は、基板の表面にSiO膜を形成して、そのSiO膜を形成した際のパーティクルが発生した量で評価した。パーティクルは、光学顕微鏡により観察した。
ガス流の評価および成膜の評価を下記表1に示す。なお、下記表1に示す「層流−乱流」は、遷移状態であることを示す。
Figure 2009174001
上記表1に示すように、ノズル角度が0°、30°、45°では、ガス流が層流であり、パーティクルが殆ど発生せずに、成膜の評価は「○」であった。
これに対して、ノズル角度が60°で、乱流と層流との遷移流となり、パーティクルが発生し、成膜の評価は「×」であった。
ノズル角度が90°では、ガス流が乱流であり、成膜面上に、パーティクルが約30個/10μm□検出され、膜質の評価は「×」であった。このように、ガス流が、遷移流または乱流では、成膜時にラジカルが2次反応を起しパーティクルとして生じ、緻密な膜が得られず、バリア性が高い膜を得ることができない。
本発明の第1の実施形態に係る成膜装置を示す模式図である。 (a)は、図1に示す成膜装置の成膜室の要部を示す模式図であり、(b)は、ノズルの構成を示す模式図である。 (a)は、本発明の第2の実施形態に係る成膜装置の要部を示す模式図であり、(b)は、図3(a)のI−I線による断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る成膜装置の変形例の要部を示す断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る成膜装置の要部を示す模式図である。 本発明の実施例おいて、ガス流を評価するために用いたノズルと基板との配置状態を示す模式図である。
符号の説明
10 成膜装置
12 供給室
14 成膜室
16 巻取り室
18 真空排気部
20 基板ロール
22,24,30,34 ガイドローラ
26 巻取ロール
32、50、70 成膜部
34 上部電極
36 下部電極
40 電源部
42 原料ガス供給部
44 配管
44a ノズル
46 制御部
52 第1の搬送部
54 第1のプーリ
56 第2のプーリ
58、62 ベルト
72 第2の搬送部
74 支持ローラ
D 搬送方向
Z 基板
Zb 裏面
Zf 表面

Claims (16)

  1. 長尺な基板を、搬送手段により所定の搬送経路で搬送しつつ、成膜部で、前記基板に所定の膜を形成する成膜装置であって、
    前記成膜部は、
    前記搬送経路に、所定の隙間をあけて対向して平行に配置される第1の平板電極および第2の平板電極と、
    前記第1の平板電極に高周波電圧を印加する電源部と、
    前記第1の平板電極から前記第2の平板電極に向う方向で、かつ前記第2の平板電極の表面に対してなす角度が0°〜45°に、前記膜を形成するための原料ガスを、前記第1の平板電極および第2の平板電極の間に供給する原料ガス供給手段とを備えるものであり、
    前記搬送手段は、前記基板を前記第1の平板電極と第2の平板電極との間を搬送させるものであることを特徴とする成膜装置。
  2. 前記搬送手段は、前記基板と前記第2の平板電極との距離を一定に保って、前記基板を前記第1の平板電極と第2の平板電極との間を搬送させる請求項1に記載の成膜装置。
  3. 前記基板と前記第2の平板電極との距離は、0mmを超え10mm以下である請求項2に記載の成膜装置。
  4. 前記搬送手段は、前記基板を前記第1の平板電極と第2の平板電極との間に搬送するとき、前記基板が載置され、前記基板の搬送に同調して移動または回転する支持具を備える搬送支持部を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の成膜装置。
  5. 前記搬送支持部は、前記基板の搬送方向に対して所定の間隔をあけて平行に配置された1対のローラにベルトが少なくとも1つ巻き掛けられており、一方のローラを回転させることにより、前記基板を搬送するものである請求項4に記載の成膜装置。
  6. 前記ベルトは、誘電体により構成される請求項5に記載の成膜装置。
  7. 前記原料ガス供給部は、前記搬送支持部の1対のローラのうち、前記基板の搬送方向の上流側のローラに向けて、前記原料ガスを供給する請求項5または6に記載の成膜装置。
  8. 前記搬送支持部は、前記基板の搬送方向に沿って、所定の間隔をあけて配置された複数のローラを有するものである請求項4に記載の成膜装置。
  9. 前記ローラは、導電体または誘電体により構成される請求項8に記載の成膜装置。
  10. 前記原料ガス供給部は、前記搬送支持部のいずれかのローラに向けて、前記原料ガスを供給する請求項8または9に記載の成膜装置。
  11. 前記搬送手段は、成膜時に、前記基板を前記第1の平板電極と第2の平板電極との間を搬送させるとき、前記原料ガスを供給し、かつ前記第1の平板電極に高周波電圧を印加することにより生成されるプラズマと前記第2の平板電極との間に形成されるシース領域に搬送させる請求項1または2に記載の成膜装置。
  12. 前記第2の平板電極の温度を調節する温度調節部を有する請求項1または2に記載の成膜装置。
  13. 長尺な基板を、対向して平行に配置される第1の平板電極および第2の平板電極の間を搬送しつつ、前記基板に所定の膜を形成する成膜方法であって、
    前記第1の平板電極および第2の平板電極の間に、前記膜を形成するための原料ガスを、前記第1の平板電極から前記第2の平板電極に向う方向で、かつ前記第2の平板電極の表面に対してなす角度が0°〜45°に供給し、かつ前記第1の平板電極に高周波電圧を印加することを特徴とする成膜方法。
  14. 前記基板と前記第2の平板電極との距離を一定に保って、前記基板を前記第1の平板電極と第2の平板電極との間を搬送させる請求項13に記載の成膜方法。
  15. 前記基板と前記第2の平板電極との距離は、0mmを超え、10mm以下である請求項14に記載の成膜方法。
  16. 成膜時に、前記基板を第1の平板電極および第2の平板電極の間を搬送させるとき、前記原料ガスを供給し、かつ前記第1の平板電極に高周波電圧を印加することにより生成されるプラズマと前記第2の平板電極との間に形成されるシース領域に前記基板を搬送させる請求項13〜15のいずれか1項に記載の成膜方法。
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