JP2009172614A - アルミニウム系部材ろう付け用粉末状フラックスおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】水等の分散媒に懸濁させたままで、長期間安定的に用いることができる溶融点の低いアルミニウム系部材ろう付け用粉末状フラックスを提供する。
【解決手段】CsF、KF及びAlF3成分を含む素材物質をCsF:5〜15モル%、KF:42〜50モル%及びAlF3:42〜50モル%になるように成分調整し、その素材物質の全量を一旦水に懸濁させてスラリーとし、当該スラリーを乾燥・粉砕することによりX線回折によりCs2KAl3F12の存在が確認される粉末状のフラックスを得る。
【選択図】なし
【解決手段】CsF、KF及びAlF3成分を含む素材物質をCsF:5〜15モル%、KF:42〜50モル%及びAlF3:42〜50モル%になるように成分調整し、その素材物質の全量を一旦水に懸濁させてスラリーとし、当該スラリーを乾燥・粉砕することによりX線回折によりCs2KAl3F12の存在が確認される粉末状のフラックスを得る。
【選択図】なし
Description
本発明は、アルミニウム部材又はアルミニウム合金部材をろう付けする際に用いるフラックスおよびその製造方法に関する。
従来、一般にアルミニウム或いはアルミニウム合金部材のろう付けには、アルミニウム合金からなるろう材が用いられている。通常、ろう材として融点が約580℃のAl−Si系合金を用い、さらに接合部の酸化物を除去するために融点が約560℃のノコロック(登録商標)フラックスを用いてろう付けしている。しかし、ろう付け温度は、対象となるアルミニウム合金部材の材質によっては、それ自体の融点に近くなる。このため、より低い温度でろう付け可能なろう材およびフラックスが要求されている。
上記要求を満たすために、ろう材として低融点のAl−Cu−Si系合金を用いる技術が提案されている(特許文献1)。また、ろう材の低融点化に対応させるために、フラックス中にフッ化セシウム(CsF)を添加し、フラックスの融点を下げる技術が提案されている(特許文献2)。この特許文献2では、KFやCsFと、AlF3の混合物が用いられている。
ところが、このKF、CsFおよびAlF3の混合物を水等の分散媒に懸濁して、懸濁液、すなわちスラリーとして用いようとすると、時間の経過とともに混合物が沈澱後に固化してしまう。このため、スプレー塗布時に塗布装置に不具合を生じさせるおそれがある。
そこで、この問題点を解消するために、フラックス成分としてKF、CsFおよびAlF3を併用しようとするとき、CsF成分を他のフラックス成分と分離してろう付け面に適用する技術が特許文献4で提案されている。
特開平7−290272号公報
特開2003−48077号公報
特開2000−45453号公報
特開2006−346680号公報
そこで、この問題点を解消するために、フラックス成分としてKF、CsFおよびAlF3を併用しようとするとき、CsF成分を他のフラックス成分と分離してろう付け面に適用する技術が特許文献4で提案されている。
しかながら、特許文献4で提案された方法を採用すると、手間がかかるため生産効率が低下する。また、CsF成分と他のフラックス成分とを別々に供給することになるため、ろう付け面における各フラックス成分の存在比にムラが生じてしまう。このためフラックスの溶融にムラが生じて、ろう付け性にも影響を及ぼしてしまう。すなわち、設定温度でもフラックスが溶融しない部分が生じることがあるために、設定温度をより高くする必要があり、結果的にコストの上昇に繋がっている。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、水等の分散媒に懸濁させたままで、長期間安定的に用いることができる溶融点の低いアルミニウム系部材ろう付け用粉末状フラックスを提供することを目的とする。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、水等の分散媒に懸濁させたままで、長期間安定的に用いることができる溶融点の低いアルミニウム系部材ろう付け用粉末状フラックスを提供することを目的とする。
本発明のアルミニウム系部材ろう付け用粉末状フラックスは、その目的を達成するため、CsF:5〜15モル%、KF:42〜50モル%及びAlF3:42〜50モル%なる成分組成を有し、X線回折によりCs2KAl3F12の存在が確認されることを特徴とする。
また、アルミニウム系部材ろう付け用粉末状フラックスの製造方法は、CsF:5〜15モル%、KF:42〜50モル%及びAlF3:42〜50モル%なる成分組成を有するアルミニウム系部材ろう付け用フラックスを調製する際、前記成分を含む素材物質の全量を一旦水に懸濁させてスラリーとし、Cs2KAl3F12なる錯塩を生成させた後、当該スラリーを乾燥・粉砕することを特徴とする。
固化物は平均粒径30μm程度の大きさにまで粉砕されることが好ましい。
また、アルミニウム系部材ろう付け用粉末状フラックスの製造方法は、CsF:5〜15モル%、KF:42〜50モル%及びAlF3:42〜50モル%なる成分組成を有するアルミニウム系部材ろう付け用フラックスを調製する際、前記成分を含む素材物質の全量を一旦水に懸濁させてスラリーとし、Cs2KAl3F12なる錯塩を生成させた後、当該スラリーを乾燥・粉砕することを特徴とする。
固化物は平均粒径30μm程度の大きさにまで粉砕されることが好ましい。
本発明により提供されるアルミニウム系部材ろう付け用粉末状フラックスは、CsF成分、KF成分及びAlF3成分が予め水等の懸濁液中に分散され、沈殿する過程で形成されたCs−K−Al−F系の不溶性錯塩を含む懸濁液が乾燥・粉砕されている。このため、粉砕された固化物粉末を再び水等の懸濁液中に分散したとき、沈殿物が固化することはないので、再攪拌すれば、何の問題もなくスプレー塗布等を行うことができる。
したがって、本発明により提供されるアルミニウム系部材ろう付け用粉状粒フラックスを再び水に懸濁させて用いることにより、より低温でのろう付けで、接合精度に優れたアルミニウム系材料製の構造体が安定的に得られる。
したがって、本発明により提供されるアルミニウム系部材ろう付け用粉状粒フラックスを再び水に懸濁させて用いることにより、より低温でのろう付けで、接合精度に優れたアルミニウム系材料製の構造体が安定的に得られる。
融点を下げるためにCsFを添加したKF−CsF−AlF3系のろう付け用フラックスは、低融点のAl−Cu−Si系ろう材を用いて低温加熱でろう付けする際には極めて有用ではあるが、前記した通り、種々の問題点を有している。
その一つとして、スラリー状で塗布するときの塗布状態の不均一性や塗布機器に不具合を生じさせることが挙げられている。そして、その原因として、スラリー、すなわち懸濁液中でのフラックス成分の固化が指摘されている。
その一つとして、スラリー状で塗布するときの塗布状態の不均一性や塗布機器に不具合を生じさせることが挙げられている。そして、その原因として、スラリー、すなわち懸濁液中でのフラックス成分の固化が指摘されている。
そこで、本発明者等は、KF−CsF−AlF3系フラックスの懸濁液中でフラックス成分が固化する原因と対策について鋭意検討を重ねた。
その過程で、まず固化の原因がCs−K−Al−F系の不溶性錯塩の生成によるものであることを見出した。そして、沈殿・固化物を含む懸濁液、すなわちスラリーを乾燥・粉砕した後に再び懸濁液化すると、沈殿してもその沈殿物が固化することがないことを見出し、本発明に到達した。
以下にその詳細を説明する。
その過程で、まず固化の原因がCs−K−Al−F系の不溶性錯塩の生成によるものであることを見出した。そして、沈殿・固化物を含む懸濁液、すなわちスラリーを乾燥・粉砕した後に再び懸濁液化すると、沈殿してもその沈殿物が固化することがないことを見出し、本発明に到達した。
以下にその詳細を説明する。
なお、本発明において、「スラリーを乾燥・粉砕する」と「懸濁液を乾燥・粉砕する」との記載は同義であり、その態様としては、
(1)スラリーをスプレードライヤーを用いて一挙に粉末化した後、必要に応じて粉砕を行う。
(2)スラリー中の固形分を分別した後、乾燥し、必要に応じて粉砕を行う。
(3)固化した固形分を分別した後、乾燥し、粉砕を行う。
等が例示される。
また、本発明の趣旨に反しない限り、上記以外の態様も当然のことながら、本発明の範囲に含まれる。
さらに、本発明において、「%」とは、特に断りがない場合、「重量%=質量%」を示す。
(1)スラリーをスプレードライヤーを用いて一挙に粉末化した後、必要に応じて粉砕を行う。
(2)スラリー中の固形分を分別した後、乾燥し、必要に応じて粉砕を行う。
(3)固化した固形分を分別した後、乾燥し、粉砕を行う。
等が例示される。
また、本発明の趣旨に反しない限り、上記以外の態様も当然のことながら、本発明の範囲に含まれる。
さらに、本発明において、「%」とは、特に断りがない場合、「重量%=質量%」を示す。
まず、予備実験1として、第一稀元素化学工業株式会社製のCF−7粉末と、市販のフラックスであるノコロック(登録商標)粉末を用意した。このCF−7粉末はCs−Al−F系の化合物で、CsF:50〜60モル%、AlF3:40〜50モル%含有するものである。また、ノコロック粉末は、KF:50〜55モル%、AlF3:45〜50モル%なる組成を有するものである。
このCF−7粉末とノコロック粉末を1:3.6の比率で混ぜ、純水中に分散させて濃度20%のスラリーを調製した。
このCF−7粉末とノコロック粉末を1:3.6の比率で混ぜ、純水中に分散させて濃度20%のスラリーを調製した。
このフラックススラリー100gを、ビーカー中でマグネティックスターラにより5分間攪拌した後、放置した。24時間放置後ビーカー全体を45度傾けて沈殿層の流動状況を観察した。また沈殿物を薬さじですくってみた。
その結果、沈殿層は沈殿したままで全く流動せず、容易に再分散することが出来なかった。
その結果、沈殿層は沈殿したままで全く流動せず、容易に再分散することが出来なかった。
予備実験2として、第一稀元素化学工業株式会社製のCF−2スラリーと、市販のフラックスであるノコロック粉末を用意した。このCF−2スラリーはCsF,KF,AlF3の混合物で、固形分(CsF:43〜52モル%、KF:7〜11モル%、AlF3:40〜47モル%)は約50%であり、残りは水分である。
このCF−2スラリーとノコロック粉末を固形分として1:3の比率で混ぜ、一旦純水に懸濁させてスラリーとし、当該スラリーを乾燥・粉砕して粉体化した。この粉体を再び純水中に分散させて濃度20%のスラリーを調製した。
そして、予備実験1と同様、攪拌・放置後の沈殿層の状況を観察した。
ビーカーを傾けると沈殿層は直ちに流動し固化しておらず、流動性が良すぎるため沈殿物を薬さじですくうのが困難であった。
このCF−2スラリーとノコロック粉末を固形分として1:3の比率で混ぜ、一旦純水に懸濁させてスラリーとし、当該スラリーを乾燥・粉砕して粉体化した。この粉体を再び純水中に分散させて濃度20%のスラリーを調製した。
そして、予備実験1と同様、攪拌・放置後の沈殿層の状況を観察した。
ビーカーを傾けると沈殿層は直ちに流動し固化しておらず、流動性が良すぎるため沈殿物を薬さじですくうのが困難であった。
上記二つの予備実験から、予備実験1におけるCF−7粉末とノコロック粉末を1:3.6の比率で混ぜたスラリーにあっては、何らかの反応生成物が形成されていることが推測される。
そこで、僅かに水分を含ませたCF−7粉末、ノコロック粉末およびそれらの混合粉末について、それぞれX線回折を行った。その結果を図1に示す。
図1に見られる結果から、1週間放置後のものには混合後直ぐのものとは異なった結晶相が存在することがわかる。また、1週間放置後のものではCF−7に由来するピークがほとんど検出されないため、新規に現れたピークはCsとKのフルオロアルミン酸(Cs2KAl3F12)錯塩と推察される。なお、図1中、黒菱形で示すものがCs2KAl3F12であり、上位概念で表すとCsxK(3-x)AlyF3(1+y)(0<x<3、0<y≦3)となり、x=2、y=3の時、前記Cs2KAl3F12となる。混合フラックスは、水分の存在下でCsAlF4を消失させ、Cs2KAl3F12系錯塩を生成して固化するものと考えられる。
そこで、僅かに水分を含ませたCF−7粉末、ノコロック粉末およびそれらの混合粉末について、それぞれX線回折を行った。その結果を図1に示す。
図1に見られる結果から、1週間放置後のものには混合後直ぐのものとは異なった結晶相が存在することがわかる。また、1週間放置後のものではCF−7に由来するピークがほとんど検出されないため、新規に現れたピークはCsとKのフルオロアルミン酸(Cs2KAl3F12)錯塩と推察される。なお、図1中、黒菱形で示すものがCs2KAl3F12であり、上位概念で表すとCsxK(3-x)AlyF3(1+y)(0<x<3、0<y≦3)となり、x=2、y=3の時、前記Cs2KAl3F12となる。混合フラックスは、水分の存在下でCsAlF4を消失させ、Cs2KAl3F12系錯塩を生成して固化するものと考えられる。
次に、CF−7粉末とノコロック粉末を1:3.6の比率で混ぜた混合物に水分を5.7%含ませて1週間放置した混合品についてX線回折を行った。また上記予備実験2で調製した粉体化フラックスについて行ったX線回折結果と比較した。
両者は、図2に見られる通り、極めて近似している。なお、図2中、CF−15が予備実験2で調製した粉体化フラックスについてのものである。
したがって、CsF,KFおよびAlF3成分を混合したフラックスにあっては、水の存在下で不溶性のCs2KAl3F12系錯塩を生成して固化するが、予めCs2KAl3F12系錯塩を生成したフラックスの粉砕物は、再び懸濁液としても固化しないことがわかる。
両者は、図2に見られる通り、極めて近似している。なお、図2中、CF−15が予備実験2で調製した粉体化フラックスについてのものである。
したがって、CsF,KFおよびAlF3成分を混合したフラックスにあっては、水の存在下で不溶性のCs2KAl3F12系錯塩を生成して固化するが、予めCs2KAl3F12系錯塩を生成したフラックスの粉砕物は、再び懸濁液としても固化しないことがわかる。
この知見をもとに、本発明では、CsF‐KF‐AlF3系のアルミニウム系部材ろう付け用フラックスを調製する際、前記成分を含む素材物質の全量を一旦水に懸濁させてCs2KAl3F12系の錯塩を含むスラリーを得た後、当該スラリーを乾燥・粉砕した粉末をろう付け用のフラックスとすれば、再び水等の分散媒に分散させた懸濁液中にあっても固化することがないので、スプレー塗布等で均一な塗布状態が得られ、低温加熱で精度の優れたろう付け製品が得られる。塗布装置に不具合を生じさせることもない。
次に、本発明で特定したフラックスの成分組成について説明する。
本発明フラックスは、基本的には融点を510℃以下に下げることを目的に成分調整されている。
CsF:5〜15モル%
CsFが5モル%を下回るとフラックスの溶融温度低下が起こらず、融点が510℃以下にならない。また、CsF量を多くすると溶融温度が過剰に低くなって、ろう材の溶融前にフラックスが拡散してしまうおそれがある。しかもCsFは高価であるため、その量を増やすことはコスト的に得策ではない。この溶融温度の過剰な低下やコストの高騰を避けるために、CsFの上限は15モル%とした。
本発明フラックスは、基本的には融点を510℃以下に下げることを目的に成分調整されている。
CsF:5〜15モル%
CsFが5モル%を下回るとフラックスの溶融温度低下が起こらず、融点が510℃以下にならない。また、CsF量を多くすると溶融温度が過剰に低くなって、ろう材の溶融前にフラックスが拡散してしまうおそれがある。しかもCsFは高価であるため、その量を増やすことはコスト的に得策ではない。この溶融温度の過剰な低下やコストの高騰を避けるために、CsFの上限は15モル%とした。
KF:42〜50モル%
KFはCsFと全く逆の作用をなす。すなわち、KF量を増やすとCsF量が不足して融点低下の目的は達成できない。KF量が少なすぎると融点が下がりすぎ、ろう付け時にフラックスが拡散してしまう。この意味から、KF量は42〜50モル%とした。
AlF 3 :42〜50モル%
KおよびCsなるアルカリ金属のフッ化物とAlF3を共晶に近似した組成範囲、すなわち両者のモル比を1:1近傍にすることにより、溶融温度を下げることができる。AlF3量が42モル%を下回るほどに少なかったり、50モル%を上回るほどに多かったりすると、共晶組成から外れる度合いが大きく、フラックスの溶融温度が上昇する。したがって、この規定から外れる状態でCsFを添加しても十分な温度低下は望めなくなってしまう。
KFはCsFと全く逆の作用をなす。すなわち、KF量を増やすとCsF量が不足して融点低下の目的は達成できない。KF量が少なすぎると融点が下がりすぎ、ろう付け時にフラックスが拡散してしまう。この意味から、KF量は42〜50モル%とした。
AlF 3 :42〜50モル%
KおよびCsなるアルカリ金属のフッ化物とAlF3を共晶に近似した組成範囲、すなわち両者のモル比を1:1近傍にすることにより、溶融温度を下げることができる。AlF3量が42モル%を下回るほどに少なかったり、50モル%を上回るほどに多かったりすると、共晶組成から外れる度合いが大きく、フラックスの溶融温度が上昇する。したがって、この規定から外れる状態でCsFを添加しても十分な温度低下は望めなくなってしまう。
粉末状フラックスの調製方法
CsF,KFおよびAlF3を主成分とする物質を、水を分散媒として分散させてスラリーを得、それを乾燥・固化させた後、固化物を機械的に粉砕する。各工程に特段の制限はない。
原料物質としては、市販のK−Cs−Al−F系フラックスや、KF:50〜55モル%、AlF3:45〜50モル%なる組成を有するノコロック(登録商標)を用いることが簡便である。
乾燥は、自然乾燥でも構わないが、120℃程度で仮焼することが好ましい。
そして、機械的に粉砕する。再び水等に分散させてスラリー状で用い、均一に塗布するには、平均粒径30μm程度の大きさにまで粉砕することが好ましい。
CsF,KFおよびAlF3を主成分とする物質を、水を分散媒として分散させてスラリーを得、それを乾燥・固化させた後、固化物を機械的に粉砕する。各工程に特段の制限はない。
原料物質としては、市販のK−Cs−Al−F系フラックスや、KF:50〜55モル%、AlF3:45〜50モル%なる組成を有するノコロック(登録商標)を用いることが簡便である。
乾燥は、自然乾燥でも構わないが、120℃程度で仮焼することが好ましい。
そして、機械的に粉砕する。再び水等に分散させてスラリー状で用い、均一に塗布するには、平均粒径30μm程度の大きさにまで粉砕することが好ましい。
本発明粉末状フラックスの使用形態
本発明の粉末状フラックスは、従来のK−Cs−Al−F系フラックスやノコロックと同様、水等を分散媒として分散され、スラリー状で用いられることが好ましい。前記した通り、不溶性のCs2KAl3F12系錯塩が形成されているため、固化することはない。沈殿していても攪拌することにより、スプレー装置に不具合を生じさせることなくろう付け面にスプレー塗布することができる。
もちろん、粉末のままでろう付け面に散布してもよい。水分を吸着しても固化することがないので、粉末のままで長期間保管することができる。
本発明の粉末状フラックスは、従来のK−Cs−Al−F系フラックスやノコロックと同様、水等を分散媒として分散され、スラリー状で用いられることが好ましい。前記した通り、不溶性のCs2KAl3F12系錯塩が形成されているため、固化することはない。沈殿していても攪拌することにより、スプレー装置に不具合を生じさせることなくろう付け面にスプレー塗布することができる。
もちろん、粉末のままでろう付け面に散布してもよい。水分を吸着しても固化することがないので、粉末のままで長期間保管することができる。
第一稀元素化学工業株式会社製のCF−2スラリー(水分約50%)と、ノコロック粉末を用意した。このCF−2スラリーとノコロック粉末を固形分として1:3の比率で混ぜたものを120℃で仮焼した。その後、仮焼物をボールミルで平均粒径が30μmになるまで粉砕した。なお、このCF−2スラリーとノコロック粉末を1:3の比率で混合すると、仮焼物の組成は大よそCsF:12モル%,KF:43モル%,AlF3:45モル%となる。
この粉砕物をX線回折したところ、Cs2KAl3F12に由来するピークが検出された。
また、この粉砕物を水に分散させ、濃度20%、30%および40%のスラリーを調製した。
この粉砕物をX線回折したところ、Cs2KAl3F12に由来するピークが検出された。
また、この粉砕物を水に分散させ、濃度20%、30%および40%のスラリーを調製した。
各種フラックススラリーをビーカー内でマグネティックスターラにより5分間攪拌した後、放置した。24時間放置後ビーカー全体を45度傾けて沈殿層の流動状況を観察した。また沈殿物を薬さじですくってみた。いずれもビーカーを傾けると沈殿層は直ちに流動し固化しておらず、流動性が良すぎるため沈殿物を薬さじですくうのが困難であった。
なお、1週間放置後ビーカー全体を傾けて沈殿層の流動状況を観察したところ、24時間後の状況と大差なかった。
なお、1週間放置後ビーカー全体を傾けて沈殿層の流動状況を観察したところ、24時間後の状況と大差なかった。
また、比較例として、同じCF−2スラリーとノコロック粉末を固形分として1:3の比率で混ぜ、さらに純水を加えてビーカー内で5分間攪拌し、濃度20%、30%および40%のスラリーを調製した。
そして、実施例と同様、攪拌後、24時間放置した後にビーカー全体を45度傾けて沈殿層の流動状況を観察した。また沈殿物を薬さじですくってみた。
いずれも、沈殿層は沈殿したままで全く流動しなかった。また沈殿物を薬さじですくおうとしても、岩のように固くなっておりすくえなかった。
そして、実施例と同様、攪拌後、24時間放置した後にビーカー全体を45度傾けて沈殿層の流動状況を観察した。また沈殿物を薬さじですくってみた。
いずれも、沈殿層は沈殿したままで全く流動しなかった。また沈殿物を薬さじですくおうとしても、岩のように固くなっておりすくえなかった。
Claims (2)
- CsF:5〜15モル%、KF:42〜50モル%及びAlF3:42〜50モル%なる成分組成を有し、X線回折によりCs2KAl3F12の存在が確認されることを特徴とするアルミニウム系部材ろう付け用粉末状フラックス。
- CsF:5〜15モル%、KF:42〜50モル%及びAlF3:42〜50モル%なる成分組成を有するアルミニウム系部材ろう付け用フラックスを調製する際、前記成分を含む素材物質の全量を一旦水に懸濁させてスラリーとし、Cs2KAl3F12なる錯塩を生成させた後、当該スラリーを乾燥・粉砕することを特徴とするアルミニウム系部材ろう付け用粉末状フラックスの製造方法。
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- 2008-01-22 JP JP2008011450A patent/JP2009172614A/ja active Pending
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