JP2009170610A - GaN系LED素子およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便かつ安価に形成することのできる構造を用いて光取り出し効率を高めたGaN系LED素子を提供すること。
【解決手段】GaN系LED素子10は、結晶成長面側にウェットエッチングによりV溝を形成した単結晶基板11上に、n型層12−1とp型層12−2とを含む複数のGaN系半導体結晶層をp型層が最上層となるようにエピタキシャル成長させて積層することにより形成された半導体膜12を有し、半導体膜12は、前記V溝の近傍に形成された、部分的に増加した膜厚と粗化された表面とを有する異常成長部12aを有しており、半導体膜12の表面には、異常成長部12aから離れた部位に、p型層12−2に対するオーミック電極14が形成されている。
【選択図】図12
【解決手段】GaN系LED素子10は、結晶成長面側にウェットエッチングによりV溝を形成した単結晶基板11上に、n型層12−1とp型層12−2とを含む複数のGaN系半導体結晶層をp型層が最上層となるようにエピタキシャル成長させて積層することにより形成された半導体膜12を有し、半導体膜12は、前記V溝の近傍に形成された、部分的に増加した膜厚と粗化された表面とを有する異常成長部12aを有しており、半導体膜12の表面には、異常成長部12aから離れた部位に、p型層12−2に対するオーミック電極14が形成されている。
【選択図】図12
Description
本発明は、GaN系半導体を用いて形成したpn接合型の発光ダイオード構造を備えるGaN系LED素子と、その製造方法に関し、とりわけ、光取出し効率を向上させたGaN系LED素子と、その製造方法に関する。
GaN系半導体は、化学式AlaInbGa1−a−bN(0≦a≦1、0≦b≦1、0≦a+b≦1)で表される化合物半導体であり、3族窒化物半導体、窒化物半導体などとも呼ばれる。GaN系LED素子は、ウェハサイズの単結晶基板上に、n型層とp型層とを含む複数のGaN系半導体結晶層をp型層が最上層となるようにエピタキシャル成長させて積層し、n型層に接続した電極と、p型層に接続した電極とを、それぞれ形成することにより製造される。本明細書においては、ウェハ上に形成された状態のLED素子と、ウェハから切り出されたチップ状のLED素子とを、特に区別しないで「LED素子」と呼ぶ。チップ状のLED素子については「LEDチップ」と呼ぶ場合がある。
最近、GaN系LED素子の高出力化が進み、その需要が広がっているが、大型の液晶ディスプレイ用のバックライトユニットや、一般照明などにGaN系LED素子が本格的に採用されるためには、更なる高出力化が必須である。GaN系LED素子を高出力化するには、内部量子効率の向上と、光取り出し効率の向上が重要とされてきたが、結晶成長技術の進歩が進んだ現在、内部量子効率の更なる改善の余地は少なくなっており、光取り出し効率を改善する技術の方に重点が置かれつつある。
特開2002−164296号公報
国際公開第2005/62392号パンフレット
特開平7−169715号公報
GaN系LED素子の光取り出し効率を向上させる一手段として、LED素子の外表面を粗化する方法が古くから知られているが、最近では、フォトニック結晶のように、ナノメートルレベルで構造制御した微細構造化面を形成することが提案されている。しかし、このような構造の形成には精密な半導体プロセスが用いられることから、高価な製造装置が必要となるといった問題、あるいは、安価な装置を用いた場合には歩留りよく製造することが困難となるといった問題がある。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、その主な目的は、簡便かつ安価に形成することのできる構造を用いて光取り出し効率を高めたGaN系LED素子を提供することである。
上記課題は、以下の発明により解決することができる。
(1)結晶成長面側にウェットエッチングによりV溝を形成した単結晶基板上に、n型層とp型層とを含む複数のGaN系半導体結晶層をp型層が最上層となるようにエピタキシャル成長させて積層することにより形成された半導体膜を有し、前記半導体膜は、前記V溝の近傍に形成された、部分的に増加した膜厚と粗化された表面とを有する異常成長部を有しており、前記半導体膜の表面には、前記異常成長部から離れた部位に、前記p型層に対するオーミック電極が形成されている、GaN系LED素子。
(2)前記半導体膜の一部除去により形成された前記n型層の露出部上に、前記n型層に対するオーミック電極が形成されている、前記1に記載のGaN系LED素子。
(3)前記単結晶基板がサファイア基板である、前記(2)に記載のGaN系LED素子。
(4)前記V溝の壁面上に形成された、GaN系半導体結晶の成長を阻害するマスクを有する、前記(1)〜(3)のいずれかに記載のGaN系LED素子。
(5)結晶成長面側にウェットエッチングによりV溝を形成した単結晶基板上に、n型層とp型層とを含む複数のGaN系半導体結晶層をp型層が最上層となるようにエピタキシャル成長させて積層することにより、前記V溝の近傍に部分的に増加した膜厚と粗化された表面とを有する異常成長部を有する半導体膜を得るステップと、前記半導体膜の表面の、前記異常成長部から離れた部位に、前記p型層に対するオーミック電極を形成するステップと、を有するGaN系LED素子の製造方法。
(6)前記半導体膜を得るステップの後に、前記半導体膜の一部除去により前記n型層の露出部を形成し、該露出部上に前記n型層に対するオーミック電極を形成するステップを有する、前記(5)に記載の製造方法。
(7)前記単結晶基板がサファイア基板である、前記(6)に記載の製造方法。
(8)前記V溝の壁面上に、GaN系半導体結晶の成長を阻害するマスクが形成されている、前記(5)〜(7)のいずれかに記載の製造方法。
(9)前記オーミック電極を形成するステップの後に、前記単結晶基板を前記V溝の位置で割断するステップを有する、前記(5)〜(8)のいずれかに記載の製造方法。
(1)結晶成長面側にウェットエッチングによりV溝を形成した単結晶基板上に、n型層とp型層とを含む複数のGaN系半導体結晶層をp型層が最上層となるようにエピタキシャル成長させて積層することにより形成された半導体膜を有し、前記半導体膜は、前記V溝の近傍に形成された、部分的に増加した膜厚と粗化された表面とを有する異常成長部を有しており、前記半導体膜の表面には、前記異常成長部から離れた部位に、前記p型層に対するオーミック電極が形成されている、GaN系LED素子。
(2)前記半導体膜の一部除去により形成された前記n型層の露出部上に、前記n型層に対するオーミック電極が形成されている、前記1に記載のGaN系LED素子。
(3)前記単結晶基板がサファイア基板である、前記(2)に記載のGaN系LED素子。
(4)前記V溝の壁面上に形成された、GaN系半導体結晶の成長を阻害するマスクを有する、前記(1)〜(3)のいずれかに記載のGaN系LED素子。
(5)結晶成長面側にウェットエッチングによりV溝を形成した単結晶基板上に、n型層とp型層とを含む複数のGaN系半導体結晶層をp型層が最上層となるようにエピタキシャル成長させて積層することにより、前記V溝の近傍に部分的に増加した膜厚と粗化された表面とを有する異常成長部を有する半導体膜を得るステップと、前記半導体膜の表面の、前記異常成長部から離れた部位に、前記p型層に対するオーミック電極を形成するステップと、を有するGaN系LED素子の製造方法。
(6)前記半導体膜を得るステップの後に、前記半導体膜の一部除去により前記n型層の露出部を形成し、該露出部上に前記n型層に対するオーミック電極を形成するステップを有する、前記(5)に記載の製造方法。
(7)前記単結晶基板がサファイア基板である、前記(6)に記載の製造方法。
(8)前記V溝の壁面上に、GaN系半導体結晶の成長を阻害するマスクが形成されている、前記(5)〜(7)のいずれかに記載の製造方法。
(9)前記オーミック電極を形成するステップの後に、前記単結晶基板を前記V溝の位置で割断するステップを有する、前記(5)〜(8)のいずれかに記載の製造方法。
本発明により提供されるGaN系LED素子は、GaN系半導体膜に形成された、部分的に増加した膜厚と粗化された表面とを有する異常成長部の作用によって、光取出し効率が高められたものとなる。その理由のひとつには、異常成長部が部分的に増加した膜厚を有しているために、GaN系半導体膜中を膜表面に平行に伝播する光の伝播状態が異常成長部において不安定化され、膜内への光の閉じ込めが弱くなることが考えられる。他の理由としては、異常成長部の粗化された表面では光の全反射が抑制されるために、光が該異常成長部の表面からGaN系半導体膜外に漏れ出し易くなることが考えられる。
本発明により提供されるGaN系LED素子において、異常成長部はGaN系半導体膜のエピタキシャル成長の過程で形成される。従って、光取出し効率を向上させるための微細構造を半導体プロセスにより形成するGaNLED素子と比較して、本発明により提供されるGaN系LED素子は簡便かつ安価に製造することができる。
本発明により提供されるGaN系LED素子において、異常成長部はGaN系半導体膜のエピタキシャル成長の過程で形成される。従って、光取出し効率を向上させるための微細構造を半導体プロセスにより形成するGaNLED素子と比較して、本発明により提供されるGaN系LED素子は簡便かつ安価に製造することができる。
[実験例1]
C面サファイア基板の表面にエッチングマスクとして0.5μmのSiO2膜をプラズマCVD法により形成した。そして、このSiO2膜にフォトリソグラフィ技法を用いて、ストライプ状の窓部を設けた。窓部の方向はサファイアのM軸方向およびA軸方向とし、窓部の幅は設計値を4μm、10μm、20μmの3種類とした。エッチング液として、H2SO4:H3PO4:=4:1(体積比)の割合で混合した硫酸/リン酸の混酸を300℃に加熱したものを用いて、SiO2膜の窓部に露出したサファイア表面をエッチングした。
エッチングにより、サファイアのM軸方向に形成した窓部には、図1にSEM像を示すように、サファイアのM軸方向に伸びる、対称なV字型の断面を有するV溝(以下「M軸方向のV溝」ともいう)が形成された。一方、サファイアのA軸方向に形成した窓部には、図2にSEM像を示すように、サファイアのA軸方向に伸びる、非対称なV字型の断面を有するV溝(以下「A軸方向のV溝」ともいう)が形成された。
M軸方向のV溝およびA軸方向のV溝のいずれも、表1に示すように、その深さはSiO2膜に設けたストライプ状窓部の幅を広くする程深くなった。なお、使用した実験系に固有の性質によるものと考えられるが、窓部の幅が設計値よりも小さくなる傾向が見られ、V溝の幅は窓部の設計幅よりも狭くなった。
C面サファイア基板の表面にエッチングマスクとして0.5μmのSiO2膜をプラズマCVD法により形成した。そして、このSiO2膜にフォトリソグラフィ技法を用いて、ストライプ状の窓部を設けた。窓部の方向はサファイアのM軸方向およびA軸方向とし、窓部の幅は設計値を4μm、10μm、20μmの3種類とした。エッチング液として、H2SO4:H3PO4:=4:1(体積比)の割合で混合した硫酸/リン酸の混酸を300℃に加熱したものを用いて、SiO2膜の窓部に露出したサファイア表面をエッチングした。
エッチングにより、サファイアのM軸方向に形成した窓部には、図1にSEM像を示すように、サファイアのM軸方向に伸びる、対称なV字型の断面を有するV溝(以下「M軸方向のV溝」ともいう)が形成された。一方、サファイアのA軸方向に形成した窓部には、図2にSEM像を示すように、サファイアのA軸方向に伸びる、非対称なV字型の断面を有するV溝(以下「A軸方向のV溝」ともいう)が形成された。
M軸方向のV溝およびA軸方向のV溝のいずれも、表1に示すように、その深さはSiO2膜に設けたストライプ状窓部の幅を広くする程深くなった。なお、使用した実験系に固有の性質によるものと考えられるが、窓部の幅が設計値よりも小さくなる傾向が見られ、V溝の幅は窓部の設計幅よりも狭くなった。
断面SEM観察によれば、V溝の断面形状は溝深さによらず同じとなった。すなわち、M軸方向のV溝の2つの壁面の傾斜は溝深さによらず60度/60度となった。また、A軸方向のV溝の2つの壁面の傾斜は溝深さによらず67度/40度となった。このことから、V溝の壁面には、深さによらず、特定の結晶面が露出しているものと考えられる。
このようにして、エッチングマスクに設ける窓部の幅を制御パラメータとすることによって、結晶基板の表面に特定の断面形状を有するV溝を種々のサイズに形成できることが確認できた。
このようにして、エッチングマスクに設ける窓部の幅を制御パラメータとすることによって、結晶基板の表面に特定の断面形状を有するV溝を種々のサイズに形成できることが確認できた。
[実験例2]
実験例1の方法でV溝を形成した後、バッファーフッ酸(buffered HF)を用いてSiO2膜を除いた基板の、V溝を形成した側の面上に、MOVPE法によってGaN系半導体結晶をエピタキシャル成長させて薄膜を形成した。その結果、次の2つの知見が得られた。
そのひとつは、V溝の近傍に、GaN系半導体膜の異常成長部が形成されることである。この異常成長部は、正常に成長した部分よりも膜厚が大きく、かつ、表面はピットのようなものが多数形成された粗面となっており、エピタキシャルウェハを面上よりSEM観察すると、V溝に沿って帯状に形成されていた。
もうひとつの知見は、GaN系半導体膜の成長温度や、V溝のサイズ(幅、深さ)によって、この異常成長部の幅や膜厚が変化することである。具体的には、GaN系半導体膜の成長温度が高い程、異常成長部は幅が広く、膜厚の小さなものとなった。また、V溝のサイズが大きい程、異常成長部は幅が広いものとなった。
成長温度が上記のように異常成長部の幅および膜厚に影響を与えることから、この異常成長部の形成には、V溝の壁面上における原料ガスの分解により生成し、この壁面上を拡散してV溝から吐き出された原子が関与していることが示唆される。すなわち、成長温度が高い程、この原子がV溝から吐き出された後の拡散長が長くなるために、異常成長部の幅が広くなり、また、膜厚が小さくなると考えられる。一方、V溝の壁面上での結晶成長が抑制される理由そのものは不明であるが、上記の推定が妥当であるならば、V溝のサイズに応じて異常成長部の幅が変化する理由は、ウェットエッチングで形成されたV溝の壁面は特定の結晶面からなるために、その性質が一定であるからだと考えられる。
いずれにせよ、GaN系半導体膜に形成された上記の異常成長部は、その膜厚や幅が制御可能であるために、LED素子の光取出し効率を高めるための構造として利用できることが分かった。また、この異常成長部の幅が制御可能であることから、通常のフォトリソグラフィ技法を用いた方法によって、GaN系半導体膜上の異常成長部から離れた位置に電極を形成することが可能であることが分かった。LED素子の電気特性の低下(特に、逆耐圧、静電耐圧の低下。)を防ぐには、表面が粗面となった異常成長部を避けて電極を形成することが望ましい。
実験例1の方法でV溝を形成した後、バッファーフッ酸(buffered HF)を用いてSiO2膜を除いた基板の、V溝を形成した側の面上に、MOVPE法によってGaN系半導体結晶をエピタキシャル成長させて薄膜を形成した。その結果、次の2つの知見が得られた。
そのひとつは、V溝の近傍に、GaN系半導体膜の異常成長部が形成されることである。この異常成長部は、正常に成長した部分よりも膜厚が大きく、かつ、表面はピットのようなものが多数形成された粗面となっており、エピタキシャルウェハを面上よりSEM観察すると、V溝に沿って帯状に形成されていた。
もうひとつの知見は、GaN系半導体膜の成長温度や、V溝のサイズ(幅、深さ)によって、この異常成長部の幅や膜厚が変化することである。具体的には、GaN系半導体膜の成長温度が高い程、異常成長部は幅が広く、膜厚の小さなものとなった。また、V溝のサイズが大きい程、異常成長部は幅が広いものとなった。
成長温度が上記のように異常成長部の幅および膜厚に影響を与えることから、この異常成長部の形成には、V溝の壁面上における原料ガスの分解により生成し、この壁面上を拡散してV溝から吐き出された原子が関与していることが示唆される。すなわち、成長温度が高い程、この原子がV溝から吐き出された後の拡散長が長くなるために、異常成長部の幅が広くなり、また、膜厚が小さくなると考えられる。一方、V溝の壁面上での結晶成長が抑制される理由そのものは不明であるが、上記の推定が妥当であるならば、V溝のサイズに応じて異常成長部の幅が変化する理由は、ウェットエッチングで形成されたV溝の壁面は特定の結晶面からなるために、その性質が一定であるからだと考えられる。
いずれにせよ、GaN系半導体膜に形成された上記の異常成長部は、その膜厚や幅が制御可能であるために、LED素子の光取出し効率を高めるための構造として利用できることが分かった。また、この異常成長部の幅が制御可能であることから、通常のフォトリソグラフィ技法を用いた方法によって、GaN系半導体膜上の異常成長部から離れた位置に電極を形成することが可能であることが分かった。LED素子の電気特性の低下(特に、逆耐圧、静電耐圧の低下。)を防ぐには、表面が粗面となった異常成長部を避けて電極を形成することが望ましい。
[実験例3]
(WSPSSの作製)
C面サファイア基板の表面に、A軸方向のV溝とM軸方向のV溝をそれぞれ複数本形成した。V溝の形成方法は上記実験例と同様とし、エッチングマスクとして用いるSiO2マスクに形成したストライプ状の窓部の幅はいずれの方向についても5μmとし、また、各窓部の中心線間の間隔は350μmとした。この間隔設定は、後工程で基板をこのV溝の位置で割ったときに、350μm角のLEDチップが得られるようにするためである。以下では、基板表面においてこのV溝が形成された領域を「WSライン」と呼ぶ。ウェットエッチング後、バッファーフッ酸(buffered HF)を用いてSiO2膜を除去した。
V溝の形成後、V溝とその両側のそれぞれ幅5μmの領域(下記の「WSスペース」)を除く基板表面を加工して、GaN系半導体結晶のファセット構造成長(特許文献1)が可能な凹凸面とした。具体的には、凸部として残すべき部分を除いて基板の表面から1μmの部分をRIE(反応性イオンエッチング)によって除去し、図3にSEM像を示すように、上面の直径2μm、高さ1μmの円錐台状凸部を、各凸部が最近接する6個の凸部を有するパターンが構成されるように規則的に配置した、凹凸面とした。なお、最近接する凸部の上面の中心間の距離は4μmとした。
以下では、上記のRIE加工により凹凸面を形成した基板表面の領域を「PSS領域」と呼ぶ。また、基板表面においてWSラインとPSS領域とに挟まれた未加工領域を「WSスペース」と呼ぶ。また、表面にWSラインとPSS領域を形成した基板を「WSPSS」と呼ぶ。
図4にWSPSSの模式断面図を示す。
(WSPSSの作製)
C面サファイア基板の表面に、A軸方向のV溝とM軸方向のV溝をそれぞれ複数本形成した。V溝の形成方法は上記実験例と同様とし、エッチングマスクとして用いるSiO2マスクに形成したストライプ状の窓部の幅はいずれの方向についても5μmとし、また、各窓部の中心線間の間隔は350μmとした。この間隔設定は、後工程で基板をこのV溝の位置で割ったときに、350μm角のLEDチップが得られるようにするためである。以下では、基板表面においてこのV溝が形成された領域を「WSライン」と呼ぶ。ウェットエッチング後、バッファーフッ酸(buffered HF)を用いてSiO2膜を除去した。
V溝の形成後、V溝とその両側のそれぞれ幅5μmの領域(下記の「WSスペース」)を除く基板表面を加工して、GaN系半導体結晶のファセット構造成長(特許文献1)が可能な凹凸面とした。具体的には、凸部として残すべき部分を除いて基板の表面から1μmの部分をRIE(反応性イオンエッチング)によって除去し、図3にSEM像を示すように、上面の直径2μm、高さ1μmの円錐台状凸部を、各凸部が最近接する6個の凸部を有するパターンが構成されるように規則的に配置した、凹凸面とした。なお、最近接する凸部の上面の中心間の距離は4μmとした。
以下では、上記のRIE加工により凹凸面を形成した基板表面の領域を「PSS領域」と呼ぶ。また、基板表面においてWSラインとPSS領域とに挟まれた未加工領域を「WSスペース」と呼ぶ。また、表面にWSラインとPSS領域を形成した基板を「WSPSS」と呼ぶ。
図4にWSPSSの模式断面図を示す。
(エピタキシャル成長)
上記作製したWSPSSのV溝を形成した側の面上に、MOVPE法を用いて、複数のGaN系半導体結晶層をエピタキシャル成長させて積層し、総膜厚約8μmのGaN系半導体膜を形成した。詳しくは、まず、AlGaN低温バッファ層を介して、アンドープのGaN層を表面が平坦となるように成長させた。このGaN層の形成過程ではファセット構造成長を発生させて、PSS領域の凹部がGaN結晶で充填されるようにした。ファセット構造成長を発生させるためには、成長途中でPSS領域の凸部上に六角錐状のGaN結晶が形成される程度に、成長温度を低く設定すればよい。
アンドープGaN層の形成に続けて、Si添加GaNコンタクト層、InGaN/GaN多重量子井戸活性層、Mg添加AlGaNクラッド層、Mg添加AlGaNコンタクト層を順次成長させて積層した。Mg添加AlGaNコンタクト層の成長完了後、基板加熱を停止し、基板温度を室温まで下げた。降温の途中でMOVPE装置の成長炉内の雰囲気を窒素ガス雰囲気とした。
上記作製したWSPSSのV溝を形成した側の面上に、MOVPE法を用いて、複数のGaN系半導体結晶層をエピタキシャル成長させて積層し、総膜厚約8μmのGaN系半導体膜を形成した。詳しくは、まず、AlGaN低温バッファ層を介して、アンドープのGaN層を表面が平坦となるように成長させた。このGaN層の形成過程ではファセット構造成長を発生させて、PSS領域の凹部がGaN結晶で充填されるようにした。ファセット構造成長を発生させるためには、成長途中でPSS領域の凸部上に六角錐状のGaN結晶が形成される程度に、成長温度を低く設定すればよい。
アンドープGaN層の形成に続けて、Si添加GaNコンタクト層、InGaN/GaN多重量子井戸活性層、Mg添加AlGaNクラッド層、Mg添加AlGaNコンタクト層を順次成長させて積層した。Mg添加AlGaNコンタクト層の成長完了後、基板加熱を停止し、基板温度を室温まで下げた。降温の途中でMOVPE装置の成長炉内の雰囲気を窒素ガス雰囲気とした。
上記のようにしてWSPSS上にGaN系半導体膜をエピタキシャル成長させることにより得られたエピウェハのSEM像を図5、図6および図7に示す。
図5は、基板表面に形成したM軸方向のV溝とA軸方向のV溝とが交差する部分をエピ面の上方から観察したSEM像である。図5において、縦横にそれぞれ伸びる、2本が対になった明るく太い線は、ひとつのV溝の両側にそれぞれ成長したGaN系半導体膜の端部に、V溝に沿って形成された傾斜面を示している。方向の異なる2つのV溝のそれぞれに沿って、表面が粗面となった異常成長部が形成されていることが分かる。
図6は、M軸方向に伸びるV溝に略直交する断面を露出させたエピウェハを斜め方向から観察したSEM像である。V溝に沿って異常成長部が形成されている状態が明確に観察される。
図7は、A軸方向に伸びるV溝に略直交する断面を露出させたエピウェハを斜め方向から観察したSEM像である。V溝に沿って異常成長部が形成されている状態が明確に観察される。
図5は、基板表面に形成したM軸方向のV溝とA軸方向のV溝とが交差する部分をエピ面の上方から観察したSEM像である。図5において、縦横にそれぞれ伸びる、2本が対になった明るく太い線は、ひとつのV溝の両側にそれぞれ成長したGaN系半導体膜の端部に、V溝に沿って形成された傾斜面を示している。方向の異なる2つのV溝のそれぞれに沿って、表面が粗面となった異常成長部が形成されていることが分かる。
図6は、M軸方向に伸びるV溝に略直交する断面を露出させたエピウェハを斜め方向から観察したSEM像である。V溝に沿って異常成長部が形成されている状態が明確に観察される。
図7は、A軸方向に伸びるV溝に略直交する断面を露出させたエピウェハを斜め方向から観察したSEM像である。V溝に沿って異常成長部が形成されている状態が明確に観察される。
[実施例]
V溝の壁面上に膜厚が0.5μm〜1μm程度のSiO2膜をGaN系半導体結晶の成長を阻害する成長阻害マスクとして形成したことを除き、上記実験例3と同様にして、WSPSSの作製と、エピタキシャル成長によるWSPSS上へのGaN系半導体膜の形成を行った。
WSPSSのV溝壁面上への成長阻害マスクの形成は、RIEによるPSS領域の形成前に行った。この順序は逆であってもよいが、好ましくはPSS領域の形成を後に行う。本実施例では、成長阻害マスクをサブトラクティブ法でパターニングしたが、その際の成長阻害マスクの不要部の除去はCF4ガスを用いたRIEにより行った。また、成長阻害マスクのパターニングに用いたフォトレジスト膜の残渣除去(リムーバ液では除去しきれなかった残渣の除去)は、PSS領域の形成の際にエッチングマスクとして用いたフォトレジスト膜の残渣除去と同時に、酸素プラズマへの暴露により行った。
V溝の壁面上に形成した成長阻害マスクによって、エピタキシャル成長工程におけるV溝の壁面上の結晶成長は極めて効果的に抑制された。その様子を図8から図10に示す。図8から図10は、本実施例で得たエピタキシャルウェハのSEM像であり、図8はM軸方向に伸びるV溝に略直交する断面を斜め方向から観察したところ、図9はA軸方向に伸びるV溝に略直交する断面を斜め方向から観察したところ、図10はA軸方向に伸びるV溝に略直交する断面を、それぞれ示している。本実施例のようにV溝の壁面上へのGaN系半導体結晶の成長を抑制することにより、後のウェハ分割工程においてV溝以外の部分でウェハが割れる確率を下げることができた。
GaN系半導体膜の形成後、WSラインにより区分されたエピウェハ上の個々のLED素子部に対し電極を形成した。詳しくは、まず、GaN系半導体膜の表面に露出したAlGaNコンタクト層上に、ITOからなるオーミック電極を形成した。形成にあたっては、電子ビーム蒸着によってAlGaNコンタクト層上の全面にITO膜を形成した後、オーミック電極とGaN系半導体膜の異常成長部とが離間するように、フォトリソグラフィ技法を用いたサブトラクティブ法によってITO膜のパターニングを行った。次に、RIE法によりSi添加GaNコンタクト層の一部を露出させた。そして、露出したSi添加GaNコンタクト層の表面と、ITO膜の表面に、それぞれ、TiW層とAu層をこの順に積層してパッド電極を形成した。最後に、裏面をラッピングすることによりエピウェハの厚さを約80μmとなるまで減じたうえで、外力を加えることによってエピウェハをWSラインの位置で割って、350μm角のLEDチップを得た。図11は、このようにして作製したLEDチップを上面側(電極配置面側)から見た光学顕微鏡像であり、ちょうどV溝の位置でウェハが割断されていることが観察される。このように、本実施例においては、ダイシングの直前にサファイア基板にスクライブラインを形成する工程を行うことなしに、欠けのない正方形状のチップを高い歩留りで得ることができた。
V溝の壁面上に膜厚が0.5μm〜1μm程度のSiO2膜をGaN系半導体結晶の成長を阻害する成長阻害マスクとして形成したことを除き、上記実験例3と同様にして、WSPSSの作製と、エピタキシャル成長によるWSPSS上へのGaN系半導体膜の形成を行った。
WSPSSのV溝壁面上への成長阻害マスクの形成は、RIEによるPSS領域の形成前に行った。この順序は逆であってもよいが、好ましくはPSS領域の形成を後に行う。本実施例では、成長阻害マスクをサブトラクティブ法でパターニングしたが、その際の成長阻害マスクの不要部の除去はCF4ガスを用いたRIEにより行った。また、成長阻害マスクのパターニングに用いたフォトレジスト膜の残渣除去(リムーバ液では除去しきれなかった残渣の除去)は、PSS領域の形成の際にエッチングマスクとして用いたフォトレジスト膜の残渣除去と同時に、酸素プラズマへの暴露により行った。
V溝の壁面上に形成した成長阻害マスクによって、エピタキシャル成長工程におけるV溝の壁面上の結晶成長は極めて効果的に抑制された。その様子を図8から図10に示す。図8から図10は、本実施例で得たエピタキシャルウェハのSEM像であり、図8はM軸方向に伸びるV溝に略直交する断面を斜め方向から観察したところ、図9はA軸方向に伸びるV溝に略直交する断面を斜め方向から観察したところ、図10はA軸方向に伸びるV溝に略直交する断面を、それぞれ示している。本実施例のようにV溝の壁面上へのGaN系半導体結晶の成長を抑制することにより、後のウェハ分割工程においてV溝以外の部分でウェハが割れる確率を下げることができた。
GaN系半導体膜の形成後、WSラインにより区分されたエピウェハ上の個々のLED素子部に対し電極を形成した。詳しくは、まず、GaN系半導体膜の表面に露出したAlGaNコンタクト層上に、ITOからなるオーミック電極を形成した。形成にあたっては、電子ビーム蒸着によってAlGaNコンタクト層上の全面にITO膜を形成した後、オーミック電極とGaN系半導体膜の異常成長部とが離間するように、フォトリソグラフィ技法を用いたサブトラクティブ法によってITO膜のパターニングを行った。次に、RIE法によりSi添加GaNコンタクト層の一部を露出させた。そして、露出したSi添加GaNコンタクト層の表面と、ITO膜の表面に、それぞれ、TiW層とAu層をこの順に積層してパッド電極を形成した。最後に、裏面をラッピングすることによりエピウェハの厚さを約80μmとなるまで減じたうえで、外力を加えることによってエピウェハをWSラインの位置で割って、350μm角のLEDチップを得た。図11は、このようにして作製したLEDチップを上面側(電極配置面側)から見た光学顕微鏡像であり、ちょうどV溝の位置でウェハが割断されていることが観察される。このように、本実施例においては、ダイシングの直前にサファイア基板にスクライブラインを形成する工程を行うことなしに、欠けのない正方形状のチップを高い歩留りで得ることができた。
[好ましい実施形態]
図12に本発明の実施形態に係るGaN系LEDチップの模式断面図を示す。図12に示すLEDチップは、単結晶基板11上にGaN系半導体結晶をエピタキシャル成長させて形成した半導体膜12を有している。単結晶基板11はWSPSSが割断されたものであり、端部にV溝の壁面に由来する傾斜面11aを有するとともに、結晶成長面側にWSスペース11bとPSS領域11cとを有している。半導体膜12は、基板11側にn型層12−1、表面側にp型層12−2を有しており、これらの層の接合部が発光部となる。好ましくは、ダブルヘテロ構造が構成されるように、この接合部に活性層を設ける。
半導体膜12は、エピタキシャル成長の際にWSPSSに設けられたV溝の近傍に形成された異常成長部12aを有している。この異常成長部12aでは半導体膜12の膜厚が部分的に増加している。また、図面上では表されていないが、異常成長部12aの表面は粗面となっている。
半導体膜12の一部除去により形成されたn型層12−1の露出部上には、このn型層に対するオーミック電極13が形成されている。半導体膜12の表面には、異常成長部12aから離れた部位に、p型層12−2に対するオーミック電極14が形成されている。オーミック電極14の一部上にはパッド電極15が形成されている。
図12に本発明の実施形態に係るGaN系LEDチップの模式断面図を示す。図12に示すLEDチップは、単結晶基板11上にGaN系半導体結晶をエピタキシャル成長させて形成した半導体膜12を有している。単結晶基板11はWSPSSが割断されたものであり、端部にV溝の壁面に由来する傾斜面11aを有するとともに、結晶成長面側にWSスペース11bとPSS領域11cとを有している。半導体膜12は、基板11側にn型層12−1、表面側にp型層12−2を有しており、これらの層の接合部が発光部となる。好ましくは、ダブルヘテロ構造が構成されるように、この接合部に活性層を設ける。
半導体膜12は、エピタキシャル成長の際にWSPSSに設けられたV溝の近傍に形成された異常成長部12aを有している。この異常成長部12aでは半導体膜12の膜厚が部分的に増加している。また、図面上では表されていないが、異常成長部12aの表面は粗面となっている。
半導体膜12の一部除去により形成されたn型層12−1の露出部上には、このn型層に対するオーミック電極13が形成されている。半導体膜12の表面には、異常成長部12aから離れた部位に、p型層12−2に対するオーミック電極14が形成されている。オーミック電極14の一部上にはパッド電極15が形成されている。
図12に示すGaN系LEDチップにおいて、単結晶基板11は好ましくはC面サファイア基板であるが、限定されるものではなく、R面、M面、A面など、C面以外の面が結晶成長面に露出したサファイア基板も使用可能である。なお、「C面サファイア基板」がオフ角付き基板(結晶成長面がC面に対して僅かに傾斜している基板)を含むことは、当該技術分野の当業者にとって常識となっている。このことはC面基板以外のサファイア基板についても同様である。単結晶基板11の材料は、スピネル、SiC、GaN、AlN、AlGaN、Ga2O3、GaP、NGO、LGO、ZnO、TiB2、ZrB2などであってもよい。単結晶基板11が導電性を有する場合には、n型層12−1に電流を供給するための電極を、単結晶基板11上に形成することが可能となる。
単結晶基板11の出発基板(割断前のウェハサイズの基板)は、好ましくはWSPSSであり、特に好ましくはWSスペースを有するWSPSSであるが、WSスペースを有さないWSPSSを使用することも可能である。本発明のGaN系LEDチップは、図13に断面図を示すGaN系LEDチップのように、PSS領域を有さない単結晶基板11を用いたものであってもよい。
出発基板の結晶成長面に形成するV溝の幅は、限定されるものではないが、例えば3μm〜100μmであり、製造しようとするLEDチップのサイズに応じて適宜定めることができる。
C面サファイア基板を用いて300μm〜500μm角、厚さ120μm以下のLEDチップを製造する場合であれば、V溝を深さ2.5μm以上に形成すれば、これを割り溝として利用することが可能となる。製造しようとするLEDチップの面積が大きくなる程、割り溝に必要な深さは小さくなり、1mm角より大面積のLEDチップを製造する場合であれば、C面サファイア基板の厚さが250μmであっても、深さ3μmのV溝が割り溝として機能する。
前述のように、V溝を広くするにつれ、異常成長部の幅も広くなるために、半導体膜12上のオーミック電極14が形成可能な領域(すなわち、発光部の形成に利用できる領域)の面積が減少する。この観点からは、V溝の好ましい幅は20μm以下である。
単結晶基板11の端部の傾斜面11aの表面には、半導体膜12のエピタキシャル成長に先立ってV溝の壁面に形成した成長阻害マスクが残留していてもよい。成長阻害マスクの材料としては、GaN系半導体結晶の選択成長で用いられるマスクの材料を適宜用いることができ、具体的には、酸化ケイ素の他、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、タングステンなどが例示される。
出発基板の結晶成長面に形成するV溝の幅は、限定されるものではないが、例えば3μm〜100μmであり、製造しようとするLEDチップのサイズに応じて適宜定めることができる。
C面サファイア基板を用いて300μm〜500μm角、厚さ120μm以下のLEDチップを製造する場合であれば、V溝を深さ2.5μm以上に形成すれば、これを割り溝として利用することが可能となる。製造しようとするLEDチップの面積が大きくなる程、割り溝に必要な深さは小さくなり、1mm角より大面積のLEDチップを製造する場合であれば、C面サファイア基板の厚さが250μmであっても、深さ3μmのV溝が割り溝として機能する。
前述のように、V溝を広くするにつれ、異常成長部の幅も広くなるために、半導体膜12上のオーミック電極14が形成可能な領域(すなわち、発光部の形成に利用できる領域)の面積が減少する。この観点からは、V溝の好ましい幅は20μm以下である。
単結晶基板11の端部の傾斜面11aの表面には、半導体膜12のエピタキシャル成長に先立ってV溝の壁面に形成した成長阻害マスクが残留していてもよい。成長阻害マスクの材料としては、GaN系半導体結晶の選択成長で用いられるマスクの材料を適宜用いることができ、具体的には、酸化ケイ素の他、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、タングステンなどが例示される。
単結晶基板11の出発基板としてWSスペースを有するWSPSSを用いる場合、WSスペースの幅は、例えば、1μm〜50μmとすることができる。
ところで、単結晶基板11としてC面サファイア基板を材料としたWSPSSを用いた実験から、本発明者はWSスペース11bの幅が異常成長部12aの膜厚に影響することを見出している。具体的には、WSスペース11bの幅が広い程、GaN系半導体結晶をファセット構造成長させたときにWSスペース11b上に形成される山脈状の結晶体の高さが大きくなり、その結果として、最終的に得られる半導体膜12における異常成長部12aの膜厚も大きくなる。
異常成長部12aは膜厚が大きい程、光取出し効率を高める作用も大きくなるが、一方で、WSスペース11bの幅を広くすると異常成長部12aの幅も広くなるので、オーミック電極14が形成可能な領域の面積が減少することになる。よって、WSスペース11bの幅はこれらの事項を総合的に考慮して決定する必要がある。300μm角〜500μm角のチップを製造する場合であれば、WSスペースの幅は1μm〜10μmとすることが好ましい。より面積の大きなチップ(ラージサイズのチップ)を製造する場合には、WSスペースを更に広くしてもよい。
ところで、単結晶基板11としてC面サファイア基板を材料としたWSPSSを用いた実験から、本発明者はWSスペース11bの幅が異常成長部12aの膜厚に影響することを見出している。具体的には、WSスペース11bの幅が広い程、GaN系半導体結晶をファセット構造成長させたときにWSスペース11b上に形成される山脈状の結晶体の高さが大きくなり、その結果として、最終的に得られる半導体膜12における異常成長部12aの膜厚も大きくなる。
異常成長部12aは膜厚が大きい程、光取出し効率を高める作用も大きくなるが、一方で、WSスペース11bの幅を広くすると異常成長部12aの幅も広くなるので、オーミック電極14が形成可能な領域の面積が減少することになる。よって、WSスペース11bの幅はこれらの事項を総合的に考慮して決定する必要がある。300μm角〜500μm角のチップを製造する場合であれば、WSスペースの幅は1μm〜10μmとすることが好ましい。より面積の大きなチップ(ラージサイズのチップ)を製造する場合には、WSスペースを更に広くしてもよい。
単結晶基板11におけるPSS領域11cの表面形状は、好ましくは、GaN系半導体結晶のファセット構造成長が可能な形状である。具体的には、円柱、円錐台、角柱、角錐台などの形状を有する凸部を規則的に分散配置したパターン、または、これらの形状を有する凹部を規則的に分散配置したパターン、矩形または台形の断面を有するストライプ状の凹部と凸部を交互に配置したパターンなどが例示される。凹凸面における凸部の高さまたは凹部の深さは、例えば、0.1μm〜5μmとすることができ、好ましくは0.5μm〜2μmである。凸部または凹部を周期的に配列したパターンとする場合の周期は、例えば、1μm〜10μmとすることができる。
半導体膜12の成長条件については、公知技術を適宜参照することができる。好ましくは、発光部より基板側の部分、すなわち、n型層12−1側の部分を成長させる際には、初期には低い成長温度で結晶成長を行い、途中で成長温度を上昇させることが好ましい。前述のように、成長温度が低い程、異常成長部の膜厚が大きくなるので、光取り出し効率が高くなるからである。また、成長温度が低い程、異常成長部の表面にピットが高密度で形成されるために、全反射の抑制による光取出し効率の向上にも効果がある。一方で、低い成長温度のままで成長を続けると、正常に成長させるべき部分においても、半導体膜の表面が平坦化し難くなる。成長途中で成長温度を上昇させることにより、異常成長部の膜厚や表面状態を光取出し効率を高めるうえで好ましいものとしながら、異常成長部以外の部分は表面が十分に平坦となるように成長させることができる。
n型層12−1に対するオーミック電極13、p型層12−2に対するオーミック電極14およびパッド電極15の材料、積層構造、平面形状、配置、形成方法などは特に限定されるものではなく、従来公知の技術を適宜参照することができる。
本発明は上記に明示的に示した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
11 単結晶基板
11a 傾斜面
11b WSスペース
11c PSS領域
12 半導体膜
12−1 n型層
12−2 p型層
12a 異常成長部
13 n型層に対するオーミック電極
14 p型層に対するオーミック電極
15 パッド電極15
11a 傾斜面
11b WSスペース
11c PSS領域
12 半導体膜
12−1 n型層
12−2 p型層
12a 異常成長部
13 n型層に対するオーミック電極
14 p型層に対するオーミック電極
15 パッド電極15
Claims (9)
- 結晶成長面側にウェットエッチングによりV溝を形成した単結晶基板上に、n型層とp型層とを含む複数のGaN系半導体結晶層をp型層が最上層となるようにエピタキシャル成長させて積層することにより形成された半導体膜を有し、
前記半導体膜は、前記V溝の近傍に形成された、部分的に増加した膜厚と粗化された表面とを有する異常成長部を有しており、
前記半導体膜の表面には、前記異常成長部から離れた部位に、前記p型層に対するオーミック電極が形成されている、GaN系LED素子。 - 前記半導体膜の一部除去により形成された前記n型層の露出部上に、前記n型層に対するオーミック電極が形成されている、請求項1に記載のGaN系LED素子。
- 前記単結晶基板がサファイア基板である、請求項2に記載のGaN系LED素子。
- 前記V溝の壁面上に形成された、GaN系半導体結晶の成長を阻害するマスクを有する、請求項1〜3のいずれかに記載のGaN系LED素子。
- 結晶成長面側にウェットエッチングによりV溝を形成した単結晶基板上に、n型層とp型層とを含む複数のGaN系半導体結晶層をp型層が最上層となるようにエピタキシャル成長させて積層することにより、前記V溝の近傍に部分的に増加した膜厚と粗化された表面とを有する異常成長部を有する半導体膜を得るステップと、
前記半導体膜の表面の、前記異常成長部から離れた部位に、前記p型層に対するオーミック電極を形成するステップと、を有するGaN系LED素子の製造方法。 - 前記半導体膜を得るステップの後に、前記半導体膜の一部除去により前記n型層の露出部を形成し、該露出部上に前記n型層に対するオーミック電極を形成するステップを有する、請求項5に記載の製造方法。
- 前記単結晶基板がサファイア基板である、請求項6に記載の製造方法。
- 前記V溝の壁面上に、GaN系半導体結晶の成長を阻害するマスクが形成されている、請求項5〜7のいずれかに記載の製造方法。
- 前記オーミック電極を形成するステップの後に、前記単結晶基板を前記V溝の位置で割断するステップを有する、請求項5〜8のいずれかに記載の製造方法。
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JP2011134804A (ja) * | 2009-12-22 | 2011-07-07 | Showa Denko Kk | 半導体発光素子の製造方法および半導体積層基板 |
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-
2008
- 2008-01-15 JP JP2008006268A patent/JP2009170610A/ja active Pending
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