JP2009169391A - 光学物品の製造方法および製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】製造装置100は、樹脂原料を収納するタンク110と、タンク110内部で樹脂原料の反応により生成した原料組成物の粘度を測定する粘度計120と、原料組成物を重合硬化させるモールド130と、タンク110からモールド130の内部に原料組成物を供給する原料供給装置140と、原料組成物の供給や反応の進捗を制御する制御部150と、を備えている。
【選択図】図1
Description
例えば、特許文献1では、モールドに注入する前に予備反応および脱気処理を行っており、反応の進行度合いを反応組成物の屈折率を測定することによって検知する方法が提示されている。つまり、予備反応や脱気処理を行う調合タンクにインライン屈折率計を取り付け、反応組成物に屈折率計の検出部が常に浸漬した状態とすることで、常時反応生成物の屈折率を測定・監視し、調合操作の進捗を管理する方法である。
したがって、実際に使用している原料組成物の粘度に応じたポットライフ(使用の可否)を判定することができる。例えば、調合完了後から長時間経過した場合でも、原料組成物の粘度が問題ない範囲であればその原料組成物を継続して使用することができる。また、原料組成物の粘度がある一定値を超えた場合のみ原料組成物を廃棄すればよい。すなわち、従来はあらかじめ設定された時間のみでポットライフ管理を行っていたので原料を無駄に廃棄してしまったり、劣化した原料組成物を使用してしまうというおそれがあったが、この発明であれば、原料を無駄なく使用することができ、原料コストの削減および廃棄物の排出量を抑えることができるとともに、高品質の光学物品を提供することができる。
すなわち、原料組成物の粘度が問題ない範囲であれば使用可能であると判断し、キャビティへの注入を行う。一方、粘度がある一定値を超えると品質が劣化するので、使用を取りやめる。
また、キャビティへ注入する直前の粘度を下げたい場合は、原料組成物をヒータで加熱すると、スムーズにキャビティへ注入することができる。
このように、タンク内の原料組成物の粘度に応じて攪拌の制御を行うので、確実に反応を進めることができる。したがって、より確実に高品質の光学物品を製造することができる。また、誤って反応を進めすぎるという失敗も起こりにくいので、原料を無駄にすることがなく、原料コストの低減を図ることができる。
このように、タンク内の原料組成物の粘度に応じて温度の制御を行うので、より確実に反応を進めることができる。したがって、より確実に高品質の光学物品を製造することができる。また、誤って反応を進めすぎるという失敗も起こりにくいので、原料を無駄にすることがなく、原料コストの低減を図ることができる。
したがって、タンク内の組成物の粘度を常時監視することができるので、前述のような作用効果を奏することができる。
図1は本発明の一実施形態にかかる光学物品の製造装置の概略図である。
図1に示すように、製造装置100は、樹脂原料を収納するタンク110と、タンク110内部で樹脂原料の反応により生成した原料組成物の粘度を測定する粘度計120と、原料組成物を重合硬化させるモールド130と、タンク110からモールド130の内部に原料組成物を供給する原料供給装置140と、原料組成物の供給や反応の進捗を制御する制御部150と、を備えている。
粘度計120としては、一般に市販されている粘度計を使用することができる。例えば、CBC株式会社製のシールド型粘度計「FVM80A−ST」(商品名)などのインライン型粘度計を好適に使用することができる。
原料供給装置140は、モールド130の内部に原料組成物を注入するディスペンサ141と、このディスペンサ141の基端部に下端部が接続される原料流通管142と、を備え、原料流通管142の他端部は、タンク110内の原料組成物に浸漬された状態となっている。ディスペンサ141は、原料組成物の注入を調整する本体部1411と、原料組成物を吐出するノズル1412と、を有している。
第一の制御部151は、ディスペンサ141からの原料組成物の注入量を調整したり、原料流通管142を流通する原料組成物の流量を調節したり、モールド130の内部に原料組成物が所定位置まで注入されたことを検知したりする。
さらに、第二の制御部152は、原料組成物の粘度に応じて、モールド130への注入の可否の判断を行う。原料組成物の粘度が問題ない粘度であれば、モールド130に注入する。粘度がある一定値を超えると品質が劣化するため、モールド130に注入せず、使用をとりやめる。
本発明では、一般的に使用されている光学物品の材料を使用することができる。例えば、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アリル樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂(CR−39)等のアリルカーボネート樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、イソシアネート化合物とジエチレングリコールなどのヒドロキシ化合物との反応で得られたウレタン樹脂、イソシアネート化合物とポリチオール化合物とを反応させたチオウレタン樹脂、(チオ)エポキシ基を有する化合物を含有する重合性組成物を重合して得られるチオエポキシ系樹脂、分子内に1つ以上のジスルフィド結合を有する(チオ)エポキシ化合物を含有する重合性組成物を重合して得られる樹脂などが挙げられる。本実施形態では、チオウレタン樹脂を用いる。
次に、製造装置100による光学物品の製造方法を説明する。
まず、原料組成物をタンク110で調合する。具体的には、各種のモノマー、オリゴマー等の重合性原料を必要量秤量し、タンク110内に投入する。この重合性原料は、必要に応じて、2種類以上を用いてもかまわない。1種、または2種以上の重合性原料をタンク110内に投入した後、温度制御装置170によってウォータージャケット114を制御することでタンク110の温度を適切な温度に調整し、投入された原料組成物が均一になるように充分に撹拌を行う。この際、必要に応じて、内部離型剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、架橋剤、ブルーイング剤等を添加しても良い。
撹拌時のタンク温度は、一般的には、−10℃〜80℃であり、より好ましくは、0℃〜40℃である。あまり高温で行うと、早期に重合反応が始まってしまったり、原料組成物が黄色に着色するといった問題点がある。また、あまり低温で行うと、粉末(固体)の重合性原料や、紫外線吸収剤等の粉末(固体)の各種添加剤の溶解が不可能であったり、溶解が可能にしても、非常に時間がかかるといった問題が起こり易い。また、撹拌前、もしくは撹拌途中に、重合開始剤、重合触媒を添加してもよい。ただし、これらは、原料組成物のポットライフとの関係で、後述する脱気工程の前、または、後で添加しても良い。
また、原料組成物の調合にあたっては、上記の様に最初からタンク110を用いても良いし、あるいは、他のタンクを用いて、原料組成物を調合した後で、調合済みの原料組成物をタンク110へ移送して使用することも可能である。
さらに、原料組成物によっては、タンク110内で予備反応を行ってもよい。予備反応を行う場合には、単に、タンク温度を加温することによって反応させることも可能であるが、必要に応じて、予備反応用の重合開始剤、または重合触媒を少量添加してもよい。予備反応を行うことによって、重合成型時の重合収縮を低減させ、モールドと成型材料が重合途中で剥がれることを防止する効果がある。また、原料の種類によっては、予備反応を行うことにより、成型後の樹脂の透明性を改善する効果もある。
脱気工程は、一般的には、0.001torr〜100torrの減圧下で、−10℃〜80℃、1分間〜24時間行う。ただし、原料組成物によっては、あまり減圧をしすぎると、組成物中に含まれるモノマー自身が揮発してしまう問題があり、最適な圧力、温度、時間等は原料組成物によって異なる。
なお、原料流通管142のディスペンサ141の直前における原料組成物の粘度を測定するために、原料流通管142に粘度計を設けてもよい。
(1)本実施形態では、光学物品の製造段階において、タンク110内の原料組成物の粘度を測定する。すなわち、調合または反応途中の組成物の粘度を同時連続的に測定および監視することができる。
したがって、実際の原料組成物の粘度を把握することができるため、モールド130のキャビティ内へ注入する直前の粘度に応じた正確なポットライフを判定することができる。すなわち、時間経過によらず、原料組成物の状態に応じた調合および反応を行うことができるので、後の工程のモールド内での重合反応がより確実に行われ、より高品質の製品を製造することができる。
また、長時間経過した後であっても、粘度に応じてポットライフを判定できるため、原料を無駄にすることがなく、原料コストの低減を図ることができる。
したがって、より高品質の光学物品を製造することができる。
したがって、タンク110内の原料組成物の粘度を測定するために原料組成物の一部をタンク110の外に取り出して粘度を測定するという手間を省くことができる。また、タンク110の外部に取り出して粘度を測定すると誤差が生じるおそれがあったが、本実施形態では、タンク110内の原料組成物の正確な粘度を測定することができる。その結果、モールド注入時の最適粘度により近づけることができるとともに、高品質の製品を製造することができる。
そして、このような製造装置を用いることで、前述のような作用効果を得ることができる。
例えば、本実施形態では、粘度計120をタンク110にのみ取り付けたが、ディスペンサ141の直前の原料流通管142に取り付けてもよい。これによれば、モールド130に注入時の原料組成物の粘度を測定・監視することができるので、より確実なポットライフを判定することができる。
試験1では、プラスチックレンズ原料として、チオウレタン樹脂を用いて以下の試験を行った。
[実施例1]
インライン型粘度計(CBC株式会社製、製品名「FVM80A−ST」)を装着した反応容器中で、プラスチックレンズ原料として、全体調合量40kgに対して、m−キシレンジイソシアネートを50.6質量部、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン或いは4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン或いは5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンのいずれか一種の中から選ばれる化合物を49.4質量部、紫外線吸収剤として商標名「SEESORB701」(シプロ化成工業製)を1.25質量部、内部離型剤として商標名「ゼレックUN」(Stepan社製)を0.085質量部添加し、混合した後、十分に撹拌して、完全に分散又は溶解させた。
その後、ジメチルチンジクロライド0.004質量部とN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン0.004質量部を添加し、30℃に保持しながら良く攪拌して溶解させた後、5mmHgに減圧して攪拌しながら30分間脱気を行った。この時点の混合液を溶液Aとし、溶液Aをインライン型粘度計で測定した粘度(30℃変換値)は、15mPa・sであった。
得られた溶液Aを、二枚のガラス型を封止用テープで保持したレンズモールドに注入した。
その後、得られたレンズ原料入りのレンズモールドを温風加熱炉により30℃から120℃まで12時間で昇温し、最高温度120℃で0.5時間保持した後、2時間で70℃まで放冷した後、レンズモールドから離型し、反応生成物であるプラスチックレンズを得た。
実施例1で調合した溶液Aを30℃で2時間保持してから使用を開始した。なお、この時点で測定した粘度(30℃変換値)は17mPa・sであった。
そして、溶液Aを二枚のガラス型を封止用テープで保持したレンズモールドに注入した。
その後は、実施例1と同様にして反応生成物であるプラスチックレンズを得た。
実施例1で調合した溶液Aを30℃で4時間保持してから使用を開始した。なお、この時点で測定した粘度(30℃変換値)は25mPa・sであった。
そして、溶液Aを二枚のガラス型を封止用テープで保持したレンズモールドに注入した。
その後は、実施例1と同様にして反応生成物であるプラスチックレンズを得た。
実施例1で調合した溶液Aを30℃で6時間保持してから使用を開始した。なお、この時点で測定した粘度(30℃変換値)は56mPa・sであった。
そして、溶液Aを二枚のガラス型を封止用テープで保持したレンズモールドに注入した。
その後は、実施例1と同様にして反応生成物であるプラスチックレンズを得た。
全体調合量を10kgとした以外は、実施例1と同様の原料を同様の割合で配合し、攪拌、溶解、脱気の処理を行い、溶液Bを調合した。
その後、この溶液Bを30℃で5時間保持してから使用を開始した。なお、この時点で測定した粘度(30℃変換値)は37mPa・sであった。
そして、溶液Bを二枚のガラス型を封止用テープで保持したレンズモールドに注入した。
その後は、実施例1と同様にして反応生成物であるプラスチックレンズを得た。
実施例5で調合した溶液Bを30℃で6時間保持してから使用を開始した。なお、この時点で測定した粘度(30℃変換値)は52mPa・sであった。
そして、溶液Bを二枚のガラス型を封止用テープで保持したレンズモールドに注入した。
その後は、実施例1と同様にして反応生成物であるプラスチックレンズを得た。
実施例5で調合した溶液Bを30℃で7時間保持してから使用を開始した。なお、この時点で測定した粘度(30℃変換値)は68mPa・sであった。
そして、溶液Bを二枚のガラス型を封止用テープで保持したレンズモールドに注入した。
その後は、実施例1と同様にして反応生成物であるプラスチックレンズを得た。
全体調合量を80kgとした以外は、実施例1と同様の原料を同様の割合で配合し、攪拌、溶解、脱気の処理を行い、溶液Cを調合した。
その後、この溶液Cを30℃で5時間保持してから使用を開始した。なお、この時点で測定した粘度(30℃変換値)は51mPa・sであった。
そして、溶液Cを二枚のガラス型を封止用テープで保持したレンズモールドに注入した。
その後は、実施例1と同様にして反応生成物であるプラスチックレンズを得た。
反応温度を28℃とした以外は、実施例1と同様の原料を同様の割合で配合し、攪拌、溶解、脱気の処理を行い、溶液Dを調合した。
その後、この溶液Dを28℃で5時間保持してから使用を開始した。なお、この時点で測定した粘度(30℃変換値)は35mPa・sであった。
そして、溶液Dを二枚のガラス型を封止用テープで保持したレンズモールドに注入した。
その後は、実施例1と同様にして反応生成物であるプラスチックレンズを得た。
実施例9で調合した溶液Dを28℃で6時間保持してから使用を開始した。なお、この時点で測定した粘度(30℃変換値)は50mPa・sであった。
そして、溶液Dを二枚のガラス型を封止用テープで保持したレンズモールドに注入した。
その後は、実施例1と同様にして反応生成物であるプラスチックレンズを得た。
実施例9で調合した溶液Dを28℃で7時間保持してから使用を開始した。なお、この時点で測定した粘度(30℃変換値)は66mPa・sであった。
そして、溶液Dを二枚のガラス型を封止用テープで保持したレンズモールドに注入した。
その後は、実施例1と同様にして反応生成物であるプラスチックレンズを得た。
反応温度を32℃とした以外は、実施例1と同様の原料を同様の割合で配合し、攪拌、溶解、脱気の処理を行い、溶液Eを調合した。
その後、この溶液Eを32℃で5時間保持してから使用を開始した。なお、この時点で測定した粘度(30℃変換値)は59mPa・sであった。
そして、溶液Eを二枚のガラス型を封止用テープで保持したレンズモールドに注入した。
その後は、実施例1と同様にして反応生成物であるプラスチックレンズを得た。
実施例1で調合した溶液Aを30℃で7時間保持してから使用を開始した。なお、この時点で測定した粘度(30℃変換値)は78mPa・sであった。
そして、溶液Aを二枚のガラス型を封止用テープで保持したレンズモールドに注入した。
その後は、実施例1と同様にして反応生成物であるプラスチックレンズを得た。
実施例1で調合した溶液Aを30℃で8時間保持してから使用を開始した。なお、この時点で測定した粘度(30℃変換値)は100mPa・sであった。
そして、溶液Aを二枚のガラス型を封止用テープで保持したレンズモールドに注入した。
その後は、実施例1と同様にして反応生成物であるプラスチックレンズを得た。
実施例8で調合した溶液Cを30℃で6時間保持してから使用を開始した。なお、この時点で測定した粘度(30℃変換値)は72mPa・sであった。
そして、溶液Cを二枚のガラス型を封止用テープで保持したレンズモールドに注入した。
その後は、実施例1と同様にして反応生成物であるプラスチックレンズを得た。
実施例8で調合した溶液Cを30℃で7時間保持してから使用を開始した。なお、この時点で測定した粘度(30℃変換値)は94mPa・sであった。
そして、溶液Cを二枚のガラス型を封止用テープで保持したレンズモールドに注入した。
その後は、実施例1と同様にして反応生成物であるプラスチックレンズを得た。
実施例12で調合した溶液Eを32℃で6時間保持してから使用を開始した。なお、この時点で測定した粘度(30℃変換値)は82mPa・sであった。
そして、溶液Eを二枚のガラス型を封止用テープで保持したレンズモールドに注入した。
その後は、実施例1と同様にして反応生成物であるプラスチックレンズを得た。
実施例12で調合した溶液Eを32℃で7時間保持してから使用を開始した。なお、この時点で測定した粘度(30℃変換値)は98mPa・sであった。
そして、溶液Eを二枚のガラス型を封止用テープで保持したレンズモールドに注入した。
その後は、実施例1と同様にして反応生成物であるプラスチックレンズを得た。
判定基準は以下の通りである。
○:泡巻き込みなし
×:泡巻き込みあり
○:良好
△:薄い歪あり
×:不良(濃い歪あり)
また、実施例7および実施例11では、触媒添加後の経過時間が7時間で、従来のポットライフ管理の使用期限である6時間以内を超えていたが、注入時粘度が適度であったので、注入性およびレンズ外観も良好であった。
比較例1、2、4、6では、触媒添加後の経過時間が6時間を越えており、注入時粘度も大きいため、注入性またはレンズ外観のうち少なくともいずれか一方が不良であった。
また、比較例3および比較例5では、従来のポットライフ管理の使用期限である6時間以内であったが、注入時粘度が大きいためにレンズ外観が不良であった。
なお、本実施例から、注入時粘度が70mPa・s以下の原料組成物が使用可であると言える。
試験2では、プラスチックレンズ原料として、チオエポキシ系樹脂を用いて以下の試験を行った。
インライン型粘度計(CBC株式会社製、製品名「FVM80A−ST」)を装着した反応容器中で、プラスチックレンズ原料として、全体調合量40kgに対して、硫黄20質量%、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド80質量%を65℃でよく混合し均一とした。次いで、2−メルカプト−1−メチルイミダゾール0.5質量%を加え、60℃で約60分間反応させた(予備反応工程)。その後、得られた樹脂組成物を20℃に冷却した(冷却工程)。
一方、ベンジルメルカプタン5質量%、トリエチルベンジルアンモニウムクロライドを0.03質量%、ジn−ブチルスズジクロライド0.2質量%を加えてよく混合して均一とし、これをf溶液とした。
そして、このf溶液を前述の冷却した樹脂組成物に加えて均一な樹脂組成物とした。
次いで、得られた樹脂組成物を、10torr、10分間、20℃の条件下で脱気処理を行った(脱気工程)。この時点の混合液を溶液Fとし、溶液Fをインライン型粘度計で測定した粘度(30℃変換値)は、60mPa・sであった。
得られた溶液Fを、二枚のガラス型を封止用テープで保持したレンズモールドに注入した。
その後、得られたレンズ原料入りのレンズモールドを温風加熱炉により30℃から100℃まで20時間で昇温し、重合硬化させた。室温まで放冷した後、レンズモールドから離型し、反応生成物であるプラスチックレンズを得た。
実施例13で調合した溶液Fを20℃で2時間保持してから使用を開始した。なお、この時点で測定した粘度(30℃変換値)は100mPa・sであった。
そして、溶液Fを二枚のガラス型を封止用テープで保持したレンズモールドに注入した。その後は、実施例13と同様にして反応生成物であるプラスチックレンズを得た。
実施例13で調合した溶液Fを20℃で3時間保持してから使用を開始した。なお、この時点で測定した粘度(30℃変換値)は120mPa・sであった。
そして、溶液Fを二枚のガラス型を封止用テープで保持したレンズモールドに注入した。その後は、実施例13と同様にして反応生成物であるプラスチックレンズを得た。
実施例13で調合した溶液Fを15℃で2時間保持してから使用を開始した。なお、この時点で測定した粘度(30℃変換値)は90mPa・sであった。
そして、溶液Fを二枚のガラス型を封止用テープで保持したレンズモールドに注入した。その後は、実施例13と同様にして反応生成物であるプラスチックレンズを得た。
実施例13で調合した溶液Fを15℃で3時間保持してから使用を開始した。なお、この時点で測定した粘度(30℃変換値)は110mPa・sであった。
そして、溶液Fを二枚のガラス型を封止用テープで保持したレンズモールドに注入した。その後は、実施例13と同様にして反応生成物であるプラスチックレンズを得た。
実施例13で調合した溶液Fを15℃で4時間保持してから使用を開始した。なお、この時点で測定した粘度(30℃変換値)は130mPa・sであった。
そして、溶液Fを二枚のガラス型を封止用テープで保持したレンズモールドに注入した。その後は、実施例13と同様にして反応生成物であるプラスチックレンズを得た。
実施例13で調合した溶液Fを25℃で2時間保持してから使用を開始した。なお、この時点で測定した粘度(30℃変換値)は120mPa・sであった。
そして、溶液Fを二枚のガラス型を封止用テープで保持したレンズモールドに注入した。その後は、実施例13と同様にして反応生成物であるプラスチックレンズを得た。
実施例13で調合した溶液Fを20℃で4時間保持してから使用を開始した。なお、この時点で測定した粘度(30℃変換値)は140mPa・sであった。
そして、溶液Fを二枚のガラス型を封止用テープで保持したレンズモールドに注入した。その後は、実施例13と同様にして反応生成物であるプラスチックレンズを得た。
実施例13で調合した溶液Fを25℃で3時間保持してから使用を開始した。なお、この時点で測定した粘度(30℃変換値)は140mPa・sであった。
そして、溶液Fを二枚のガラス型を封止用テープで保持したレンズモールドに注入した。その後は、実施例13と同様にして反応生成物であるプラスチックレンズを得た。
実施例13で調合した溶液Fを25℃で4時間保持してから使用を開始した。なお、この時点で測定した粘度(30℃変換値)は160mPa・sであった。
そして、溶液Fを二枚のガラス型を封止用テープで保持したレンズモールドに注入した。その後は、実施例13と同様にして反応生成物であるプラスチックレンズを得た。
判定基準は、前述の試験1と同様である。
また、実施例18では、触媒添加後の経過時間が4時間で、従来のポットライフ管理の使用期限である3時間以内を超えていたが、注入時粘度が適度であったので、注入性およびレンズ外観も良好であった。
比較例7、9では、脱気後の経過時間が3時間を越えており、注入時粘度も大きいため、注入性またはレンズ外観のうち少なくともいずれか一方が不良であった。
また、比較例8では、従来のポットライフ管理の使用期限である3時間以内であったが、注入時粘度が大きいためにレンズ外観が不良であった。
なお、本実施例から、注入時粘度が130mPa・s以下の原料組成物が使用可であると言える。
Claims (6)
- タンク内に収納された原料組成物を、モールド型の内部に形成されたキャビティに注入する注入工程と、この注入工程で注入された原料組成物を重合硬化させる重合工程と、を備えた光学物品の製造方法であって、
前記タンク内に収納される原料組成物の粘度を測定することを特徴とする光学物品の製造方法。 - 請求項1に記載の光学物品の製造方法において、
前記粘度は、検出部が前記タンク内に収納された組成物に浸漬される粘度計により測定されることを特徴とする光学物品の製造方法。 - 請求項1または請求項2に記載の光学物品の製造方法において、
前記粘度に応じて前記キャビティへの原料組成物の注入の可否を決定することを特徴とする光学物品の製造方法。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の光学物品の製造方法において、
前記粘度に応じて前記タンク内に収納された原料組成物の攪拌を制御することを特徴とする光学物品の製造方法。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の光学物品の製造方法において、
前記粘度に応じて前記タンク内に収納された原料組成物の温度を制御することを特徴とする光学物品の製造方法。 - タンクと、このタンク内に収納された原料組成物をモールド型の内部に形成されたキャビティに注入する注入装置と、を備えた光学物品の製造装置であって、
前記タンク内に収納される原料組成物の粘度を測定するとともに、検出部が前記タンク内に収納された組成物に浸漬される粘度計を有することを特徴とする光学物品の製造装置。
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