JP2009169241A - モノクロトナー - Google Patents

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Abstract

【課題】コアにカーボンブラックを均一に分散させるとともに、カーボンブラックの影響がトナー表面に出さない様にシェルを有するモノクロトナーを提供する。
【解決手段】着色剤にpH2.0以上7.0以下のカーボンブラックを用い、100kHzにおける誘電正接が10以上40以下であるコアシェル構造のモノクロトナー。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成に使用されるモノクロトナーに関し、特に、低温定着性対応で、かつ、カーボンブラックの分散性に着目したコアシェル構造のモノクロトナーに関する。
近年、地球環境に優しい製品開発が求められ、電子写真方式の画像形成装置でもプリント作製時における環境負荷を低減させる技術が検討される様になってきた。その中でも、トナー画像を溶融させて支持体上に固定させる定着工程でエネルギー消費量を低減させようとする検討が行われ、従来よりも低い温度で定着が可能な低温定着トナーと呼ばれるトナーの検討が行われていた。
低温定着トナーは、低軟化点の樹脂が用いられているが、この様な樹脂を用いるとトナー同士が付着し易くなるため、保存時の安定化が求められた。つまり、トナーカートリッジ内に保管してあるトナーがくっついてしまうブロッキングの問題を解消させなくてはならなかった。そこで、低軟化点の樹脂を含有する粒子の周囲に高軟化点の樹脂を被覆したコアシェル構造と呼ばれる構造のトナーを設計することが行われた(たとえば、特許文献1参照)。また、定着温度をより低くするために、低融点のワックスや溶融粘度の低い樹脂を用いるといった技術がコアシェル構造のトナー設計に盛り込まれていった(たとえば、特許文献2、3参照)。
ところで、コアシェル構造のトナーは、シェルの存在により着色剤等の成分がトナー表面に露出しにくい構造をとり、これらの影響がトナー表面にあらわれにくくなるので、帯電性能等の表面性能を揃え易い性質が得られるものと考えられる。反面、シェルに着色剤を存在させないので、シェルの存在により画像濃度や色調に影響が出やすい構造になっていることも考えられる。本発明者は、帯電分布がシャープで、かつ、良好な画像濃度や色調が得られるコアシェル構造のトナーの開発をさらに検討した。
特開平11−231570号公報 特開2001−42564号公報 特開2004−163612号公報
上記思想に基づき、着色剤にカーボンブラックを用いたいわゆるモノクロトナーを設計したところ、本発明者は、コア内にカーボンブラックを均一に分散させること、及び、コア表面へのシェルの均一な形成が意外に困難なことであることに気がついた。たとえば、カーボンブラックが局所的に集中した領域を有するコアが形成されることがあり、この様なコアにシェルを形成させるとカーボンブラックが集中した領域でシェルの形成が進行しにくくなった。その結果、均一なシェル形成が行えくなり、ところどころコアが露出した構造のトナーや、不均一なシェル形成によりいびつな形状のトナーが形成された。
この様に、シェルが均一に形成されないトナーは、形状にばらつきが存在するために帯電分布にもばらつきが生ずる様になり、感光体表面に形成した潜像をムラなく現像することが困難になった。また、画像形成時に安定した帯電立ち上がり性能が発現しにくく、画像形成時に環境の影響が作製画像に反映され易くなった。さらに、コア表面にシェルが均一に形成されていないことにより、保存時にガラス転移温度の低い樹脂より構成されるコア領域を介してトナー同士が付着し、ブロッキングを発生させる原因となった。
この様に、カーボンブラックをムラなく均一に分散させた構造のコアを作製するとともに、コア表面にシェルを均一に形成することは意外に難しいものであった。本発明は、カーボンブラックをムラなく均一に分散させた構造のコアを形成し、カーボンブラックの影響を受けることなくコア表面にシェルを形成したコアシェル構造のモノクロトナーを提供することを目的とするものである。すなわち、本発明は、カーボンブラックを含有したコア表面にシェルをきちんと形成させることで、感光体上の静電潜像を所定レベルに現像することが可能な良好な帯電量分布を有するコアシェル構造のモノクロトナーを提供することを目的とする。
具体的には、作製画像に濃度ムラを発生させず、安定した帯電立ち上がり性能と環境の影響による帯電量の変動がない低温定着対応のモノクロトナーを提供することを目的とする。さらに、トナー同士がブロッキングを起こすことなく安定した保存性を発現することが可能なコアシェル構造のモノクロトナーを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題が以下に記載のいずれかの構成により解消されるものであることを見出した。
請求項1に記載の発明は、
『少なくとも樹脂と着色剤を含有するコアのまわりにシェルを被覆してなるコアシェル構造のモノクロトナーであって、
前記コアは、前記着色剤にpH2.0以上7.0以下のカーボンブラックが用いられるとともに、100kHzにおける誘電正接が10以上40以下であることを特徴とするモノクロトナー。』というものである。
請求項2に記載の発明は、『前記モノクロトナーの平均円形度が、0.895以上0.980以下であることを特徴とする請求項1に記載のモノクロトナー。』というものである。
本発明によれば、コア中にカーボンブラックを均一分散させることができる様になり、安定したシェル形成が行える様になった。その結果、カーボンブラックを含有したコア表面にシェルがきちんと形成された低温定着対応のコアシェルトナーが得られ、感光体上の静電潜像を所定レベルにムラなく現像することができる様になった。
また、画像形成時に安定した帯電立ち上がり性能が発現され、かつ、画像形成装置の設置環境の影響を受けて帯電量がみだりに変動することがなくなった。さらに、高温高湿環境の下でトナーを保管しても、トナー同士がブロッキングを起こさず、安定した保存性を発現することができる様になった。
本発明は、コアシェル構造のモノクロトナーに関し、コア構成樹脂相内でカーボンブラックをムラなく均一に分散させておき、かつ、コア表面にシェルを形成できる様にしたコアシェル構造のモノクロトナーに関する。本発明では、樹脂相内にカーボンブラックがムラなく均一に分散させる条件の下でコアの形成を行っている。そして、コア表面に樹脂粒子がムラなく付着する条件の下でシェルの形成を行う様にした。この様にしてトナーを作製することにより、感光体上の静電潜像を所定レベルに現像する良好な帯電量分布を有するコアシェル構造のトナーを見出すことができたのである。
本発明者は、カーボンブラックが分散した樹脂相表面に樹脂粒子が付着する条件を見出そうと考えた。そして、カーボンブラックの分散状態とシェル層の形成に相関性が存在するものと推測した。そこで、カーボンブラックの分散状態の指標である誘電正接tanδに着目した。
検討を重ねた末、本発明者は、誘電正接が特定範囲の時にカーボンブラックの影響を受けることなく、コア表面にシェルをムラなく形成することができることを見出したのである。さらに、本発明者は樹脂粒子を付着するコアの表面状態、すなわち、このときのカーボンブラック分散状態はカーボンブラックのpHに起因して形成されるものと考えた。そして、さらなる検討の結果、カーボンブラックのpHを特定範囲にしてコアを形成したとき、シェル形成可能な表面状態が得られることを見出し、本発明に至ったのである。
以下、本発明について詳細に説明する。
最初に、本発明に係るトナーの構造について説明する。本発明に係るトナーは、樹脂中に少なくとも着色剤であるカーボンブラックを含有するコアの表面に、樹脂を被覆して形成したシェルを有するいわゆるコアシェル構造と呼ばれる構造のトナーである。コアシェル構造のトナーの例を図1に示す。図1に示すトナーTは、いずれも着色剤1を含有する樹脂2からなるコアAと、コアA表面に樹脂3を被覆して形成されたシェルBから構成されるものである。
図1(a)に示すトナーTは、コアA表面がシェルBで完全に被覆された構造のものである。本発明に係るトナーは、図1(a)の様にコアA表面がシェルBで完全に被覆した構造のものが好ましいが、この構造のもののみに限定されるものではない。たとえば、図1(b)に示す様なシェルBがコアAを完全に被覆していない構造であっても、本発明の効果が発現されるものであればよい。つまり、本発明に係るトナーは、前述の構成を有するもので、トナー表面にところどころコアAが露出した構造であっても、シャープな帯電分布を有してムラのない現像が行えて、かつ、保存時にブロッキングを発生させないものである。
本発明では、コアA表面の30%以上をシェルBで被覆した構造のトナーを「コアシェル構造のトナー」という。なお、コアA表面の30%以上をシェルBで被覆した構造のトナーは、帯電量分布にばらつきがほとんどなく、保管時にブロッキングが発生しないものである。また、本発明では「シェルの形成」という用語を用いているが、コアAの表面をシェル形成用の樹脂3で30%以上被覆することを「シェルの形成」という。
たとえば、図1(b)のトナーTは、シェルBが、コアA表面の30%以上100%未満、好ましくは、50%以上95%以下を被覆している状態を示すものである。また、図1(c)のトナーTは、コアA表面に若干の凹凸が存在するものの、シェルBの一部がコアAの内部に入り込む等により、シェル形成後のトナーTの平均円形度が0.895以上0.980以下となるものである。また、シェル形成前のコアAの平均円形度とトナーTの平均円形度の差が、0.005以上0.090以下であることが好ましく、図1(c)に示すトナーTもコアAの平均円形度の差が上記範囲内にある。
本発明に係るトナーの断面構造やコア表面におけるシェルの被覆率は、たとえば、透過型電子顕微鏡(TEM)や走査型プローブ顕微鏡(SPM)等で観察することにより、確認できる。なお、走査型プローブ顕微鏡(SPM)は、トナーの断面形状観察に加えてトナー構成樹脂の硬さ等の物性も評価することができる。
透過型電子顕微鏡(TEM)によるトナーの断面構造の観察方法について説明する。トナーの断面構造は透過型電子顕微鏡によるトナーの断面構造の観察方法は、たとえば、以下の手順により、作製した試料を撮影された写真画像より観察することが可能である。
先ず、トナーを常温硬化性のエポキシ樹脂中に十分分散させた後、包埋し、粒径100nm程度のスチレン微粉末に分散させた後、加圧成形を行ってトナーを含有させてなるブロックを作製する。作製したブロックに、必要な場合には四三酸化ルテニウム、または、四三酸化オスミウムを併用して染色処理を行った後、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用いて、厚さ80〜200nmの薄片状に切り出して測定用試料を作製する。
この様にして薄片状にした測定用試料を、透過型電子顕微鏡(TEM)にセットして、トナーの断面構造を写真撮影する。このとき、電子顕微鏡の倍率はトナー1個の断面が視野に入る倍率とすることが好ましく、具体的には、約10,000倍程度にすることが好ましい。また、透過型電子顕微鏡で写真撮影を行うトナーの数は、最低でも10個以上とすることが好ましい。
透過型電子顕微鏡によるトナーの断面構造観察は、当業者の間で通常よく知られている機種で十分に対応可能で、具体的な機種としては、たとえば、「LEM−2000型(トプコン社製)」や「JEM−2000FX(日本電子製)」等が挙げられる。
本発明に係るトナーが、コアシェル構造を有することは、撮影した断面構造写真を観察すると、着色剤等が存在する領域とこれらが存在しない領域とが確認され、コアとシェルとの界面となる境界が存在することが確認できる。
また、コア表面におけるシェルの被覆率は、透過型電子顕微鏡(TEM)により、撮影された画像情報を画像処理装置「ルーゼックスF」(ニレコ社製)で演算処理することにより算出される。すなわち、「ルーゼックスF」による演算処理により、撮影されたトナーのコア領域とシェル領域の面積が算出され、少なくとも10個以上のトナーの断面構造写真よりコア表面におけるシェルの平均被覆率を算出することが可能である。
次に、トナーの誘電正接(tanδ)について説明する。前述したコアシェル構造のトナーを作製するにあたり、本発明では以下に示す様に、コアの誘電正接tanδの値が特定範囲にあるとき、コア表面に樹脂粒子が付着し易くシェルが確実に形成されることを見出したのである。
本発明者は、カーボンブラックが分散したコア表面に樹脂粒子を付着させてシェル形成を行うにあたり、コアの動的粘弾性の物性値を介して樹脂粒子の付着を可能にするカーボンブラックの分散状態を特定しようと考えた。そして、動的粘弾性の1つの形態である誘電正接tanδの値が特定範囲内にある時、コア内に分散しているカーボンブラックの影響を受けることなく、シェルの形成が促進されることを見出したのである。
誘電損率ε”と誘電率ε’の比で表される誘電正接tanδは、トナー中におけるカーボンブラックの分散性の程度を示す因子であるが、本発明ではコア中のカーボンブラックの分散性とコア表面へのシェル形成性能との関係を誘電正接を介して見出したのである。すなわち、シェル形成用の樹脂粒子がカーボンブラックの影響を受けずにコア表面に付着する条件が、周波数100kHzにおける誘電正接tanδの値が10以上40以下であることを見出したのである。
コアの誘電率ε’、誘電損率ε”、及び、誘電正接tanδは、誘電率測定に使用されるインピーダンス測定装置を用いて測定することが可能である。具体的な測定装置としては、たとえば、「4284AプレシジョンLCRメーター(ヒューレット・パッカード社製)」等が代表的なものである。
以下に、「4284AプレシジョンLCRメーター(ヒューレット・パッカード社製)」を用いて、トナーのトナーの誘電率ε’、誘電損率ε”、及び、誘電正接tanδを算出する手順を説明する。
(1)先ず、25℃、トナー0.6gを秤量し、34300kPa(350kgf/cm2)の荷重を2分間かけ、直径25mm、厚さ1mm以下(好ましくは、0.5〜0.9mm)の円盤状の測定試料を成形する。なお、秤量時のトナー量は0.5〜0.7gを目安にするとよい。
(2)作製した測定試料を、直径25mmの誘電率測定治具(電極)を装着した「ARES(レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製)」に装着して固定する。(3)その後、3.43N(350g)の荷重をかけた状態で、5Vの電圧を印加し、周波数105Hzの周波数で3回測定し、その平均値を算出する。
次に、本発明に係るトナーに使用されるカーボンブラックについて説明する。前述した様に、本発明ではコアシェル構造のトナーを作製するにあたり、コアの誘電正接tanδの値が上記範囲の時に、コア表面への樹脂粒子付着によるシェル形成が促進されることを見出している。そして、本発明では、コアに含有させるカーボンブラックについて、そのpHが2.0以上7.0以下のものを用いることにより、コアの誘電正接tanδの値が上記範囲となり、シェルを形成し易いコアを作製できることを見出している。
pHが2.0以上7.0以下のカーボンブラックを用いることにより、コアにおいて誘電正接の値が上記範囲となるカーボンブラックの分散状態が形成される理由は以下の様に考えられる。すなわち、pHが2.0以上7.0以下のカーボンブラックは、酸性処理を行うことにより、その表面にカルボキシル基やスルホン酸基等の酸性官能基が多く存在する様になる。そして、カーボンブラック表面の酸性官能基と樹脂を構成する分子に存在する極性基により、カーボンブラックと樹脂との間には適度な親和性が形成され、その結果、カーボンブラックが樹脂相中に適度に分散し易い状態が形成されるものと考えられる。また、表面の酸性官能基の存在によりカーボンブラック同士は相互に反発し易くなり、カーボンブラック同士が凝集しにくい状態になると考えられる。その結果、樹脂相中にカーボンブラックが局所的に集まった領域が形成されにくくなり、表面にシェルを形成し易い上記範囲の誘電正接の値を有するコアが形成されるものと推測される。
カーボンブラックのpHは、カーボンブラックを公知の方法により表面処理を行うことにより調整することが可能である。具体的には、酢酸溶液やスルホン酸溶液等の酸性溶液中にカーボンブラックを浸漬処理する湿式の表面処理方法や、空気酸化法、硝酸、窒素酸化物と空気の混合ガス、オゾン等の酸化剤に接触させる乾式の表面処理方法が挙げられる。の様な表面処理により調整することが可能である。また、市販のカーボンブラックには、すでにpH調整がなされて市場に提供されているものがある。
pHが2.0以上7.0以下の市販のカーボンブラックとしては、たとえば、以下の物が挙げられるが、本発明に使用されるpH2.0以上7.0以下のカーボンブラックはこれらに限定されるものではない。
(1)pHが2.0〜3.0のカーボンブラック
#2400(pH2.0(三菱化学社製))、Black Pearls L(pH2.5(キャボット社製))、MOGUL−L(pH2.5(キャボット社製))、MONARCH1300、MONARCH1400(いずれもpH2.5(キャボット社製)) Printex V(pH3.0(デグサ社製))、スペシャルブラック4(pH3.0(デグサ社製))、OIL7B(pH3.0(三菱化学(株)製))、MA−100(pH3.0(三菱化学(株)製))
(2)pHが3.1〜5.0のカーボンブラック
REGAL400R(pH4.0(キャボット社製))、CX−GLF−50(pH4.0(日本触媒(株)製))、Printex 140V(pH4.5(デグサ社製))
(3)pHが5.1〜7.0のカーボンブラック
PCF#10(pH7.0(三菱化学(株)製))、MONARCH1100(pH7.0(キャボット社製))
カーボンブラックのpHは、カーボンブラックを蒸留水に投入し、煮沸処理を行った後、得られた上澄液のpHをpHメータで測定することにより得られるものである。
カーボンブラックのpH測定は、具体的には以下の手順で行うことができる。
(1)試料5gを100mlの容器に採取し、これに蒸留水50mlを加える。
(2)これを15分間煮沸した後、常温まで冷却する。
(3)この溶液中にpHメータ(HM50S、東亜電波工業社製)の電極を浸し、その値を読み取る。
pHが2.0以上7.0以下となるカーボンブラックを作製する原料は、酸性処理によりpHを前述した範囲にすることが可能なものであれば、特に限定されるものではない。具体的な例としては、以下のものが挙げられる。すなわち、
ファーネスブラック、ガスブラック、チャンネルブラック、フレームブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、プラズマブラック、DE19521565号に開示されているインバーションブラック(Inversionsruss)、
WO98/45361号もしくはDE19613796号に開示されているSi含有カーボンブラック、WO98/42778号に開示の金属含有カーボンブラック、アーク放電ブラック(Lichbogenruss)、及び、化学的な製造方法で副生成物として得られるカーボンブラック等。
また、ゴム混合物中の補強充填剤として使用されるカーボンブラックやカラーブラック、あるいは、対紫外線安定化に使用されるカーボンブラック、ビチューメンなどのゴム以外の用途に補強充填剤として使用されるカーボンブラック等が挙げられる。さらには、プラスチックに充填剤として添加するカーボンブラックや、冶金において還元剤として使用されるカーボンブラック等も使用することが可能である。
次に、本発明に係るコアシェル構造のトナーを構成するコアに使用される樹脂について説明する。本発明者は、コアシェル構造のモノクロトナーを設計するにあたり、コア表面にシェルをむらなく形成させる条件として、着色剤として添加されるカーボンブラックをコア内に均一に分散させることが条件の1つと考えていた。すなわち、コアを構成する樹脂相内にカーボンブラックが凝集していたり、あるいは、カーボンブラックが局所的に集中する領域が存在すると、その領域でシェルが形成しにくいことから、カーボンブラックの均一分散が条件の1つと考えていたのである。
そして、本発明者は樹脂とカーボンブラックとの間に親和性を形成できれば、樹脂相内でのカーボンブラックの均一分散し易くなるものと考え、両者に同レベルの極性を付与することで本発明の効果をより発現させ易くしようと考えたのである。すなわち、カーボンブラックに酸性処理を施すことによりカーボンブラック表面に極性基を設けた。そして、樹脂を作製する際に、カルボキシル基等の極性基を有する重合性単量体を用いて分子構造中に極性基を含有する樹脂を形成した。この様な構造を有する樹脂と前述のカーボンブラックを用いてコアを形成したところ、樹脂相内にカーボンブラックがより均一分散し易くなると考えたのである。
この様に、樹脂とカーボンブラックにそれぞれ極性基を付与させ、お互いに極性基を有するものを用いることにより、両者間に親和性が作用することでカーボンブラックが樹脂相内でより均一分散し易い状態になると考えたのである。
そして、本発明に係るトナーを構成するコアを作製するにあたり、極性基を有する重合性単量体を用いて形成した樹脂により、pH2.0〜7.0のカーボンブラックがより均一分散し易いことを見出したのである。ここで、極性基とは、水系媒体中で解離性を示す官能基のことで、本発明では、水系媒体中で酸性を示す方向に解離する官能基である。具体的には、カルボキシル基−COOH、水酸基−OH、アルコキシ基−OR、エステル基−COOR、ホルミル基−CHO、ニトリル基−CN、アミノ基−NH2、ニトロ基−NO2等が挙げられる。
本発明では、コア形成に使用される極性基を有する重合性単量体としては、アクリル酸やメタクリル酸等に代表されるカルボキシル基を有するものが好ましく、カルボキシル基を有する重合性単量体を用いることにより、酸性の極性基を有する樹脂が形成される。つまり、本発明ではコア形成に使用される樹脂は、カルボキシル基等の酸性の極性基を有することから酸価を示すものになる。
ここで、酸価とは、試料である樹脂あるいはコア1g中に含有されるカルボキシル基等の極性基を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数のこという。酸価の測定は、たとえば、以下の手順で行うもので、これはJIS−0070−1972に示される方法に準ずるものである。
(1)試薬の作製
下記(a)〜(c)の試薬を用いて行う。
(a)エチルエーテル−エタノール混合溶液(体積比1:1または2:1)、または、ベンゼン−エタノール混合溶液(体積比1:1または2:1)
(b)フェノールフタレイン溶液
フェノールフタレイン1gをエタノール(95体積%)100mlに溶かして作製する。
(c)水酸化カリウム−エタノール溶液(0.1mol/リットル)
水酸化カリウム7.0gをできるだけ少量の水に溶解させ、これにエタノール(95体積%)を添加して1リットルにする。溶液は2〜3日放置した後にろ過を行う。なお、溶液の標定は、JIS K 8006(試薬の含量試験中滴定に関する基本事項)に準じて行う。
(2)測定手順
試料1〜20gを正しく秤量し、これに前記混合溶液100mlと指示薬であるフェノールフタレイン溶液数滴を添加し、試料が完全に溶解するまで撹拌する。固体試料の場合は水浴上で加温して溶かす。冷却後、これを水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、指示薬の微紅色が30秒間続いた時を中和の終点とする。
(3)酸価の算出
下記式により酸価を算出することができる。すなわち、酸価A(mgKOH/g)は、
酸価A=(B×f×5.611)/S
式中、Bは上記水酸化カリウム−エタノール溶液(0.1mol/リットル)の使用量(ml)を、fは上記水酸化カリウム−エタノール溶液のファクターを、さらに、Sは測定時の試料の質量(g)を表すものである。
なお、コアの酸価は、ラジカル重合により樹脂形成を行う場合には、カルボキシル基等の極性基を有する重合性単量体の組成比を調整したり、コア形成時における樹脂成分の比率を調整する等により制御が可能である。また、重縮合により樹脂形成を行う場合には、たとえば、トリメリト酸の様な2つ以上のカルボキシル基を有する重合性単量体を導入したり、重合段階における酸成分とアルコール成分の比率を制御する等により制御することができる。
ラジカル重合によりコア用樹脂を形成する場合、極性基を有する重合性単量体として、アクリル酸やメタクリル酸等の分子内にカルボキシル基を1つ含有する化合物の他に、イタコン酸やマレイン酸等のカルボキシル基を2つ以上含有するものも使用できる。また、アクリル酸−2−エチルヘキシルやメタクリル酸−2−エチルヘキシルの様なエステル基を有する重合性単量体を併用してコア用樹脂を形成することもできる。
また、コア用樹脂を作製する際に使用する重合性単量体に、上述した極性基を有する重合性単量体とともに、スチレン系単量体等の重合性単量体を用いて共重合体樹脂を形成することも可能である。この様に、スチレン系単量体を併用してコア用樹脂を形成することにより、スチレン系単量体を用いて形成されることの多いシェル用樹脂がコア表面に付着し易くなり、コア表面にシェル用樹脂がムラなく均一に付着するものと見られる。本発明で使用するコア用樹脂を限定するものではないが、コア用樹脂の具体例として、たとえば、スチレン35〜50質量%、メタクリル酸30〜50質量%、イタコン酸またはマレイン酸15〜20質量%の比率で重合して形成したビニル系共重合体がある。
なお、本発明に係るトナーを構成するコア形成用の重合性単量体の具体例としては、上記のものに加え、後述する重合性単量体も挙げられ、これらを併用してコアを構成する樹脂を形成することが可能である。
本発明では、トナーの平均円形度を0.895以上0.980以下とすることが好ましい。トナーの平均円形度は、下記式で定義されるトナーの円形度を足し合わせた値を測定を行った全トナー数で除して算出した値である。
円形度
=(トナー投影像と同じ投影面積を有する円の周囲長)/(トナー投影像の周囲長)
トナーの平均円形度は、例えば「FPIA−2100(Sysmex社製)」に代表されるフロー式粒子像分析装置を用いて算出することができる。
具体的には、トナーを界面活性剤入り水溶液にてなじませ、超音波分散処理を1分行って分散させた後、「FPIA−2100」を用いて行う。測定条件は、HPF(高倍率撮像)モードに設定して、HPF検出数を3000〜10000個の適正濃度にして測定を行う。この範囲であれば、再現性のある同一測定値が得られる。
次に、本発明に係るコアシェル構造のトナーを構成するシェルを形成する樹脂について説明する。本発明では、シェルとコアを形成する樹脂の溶解度パラメータ値の差を5.0〜10.0とすることが好ましく、溶解度パラメータの差を上記範囲にすることにより、コアとシェルの間に適度な非相溶の状態と、適度な接着力が発現されるものとみられる。
すなわち、コアとシェルとの間で非相溶の状態が維持され、コア構成樹脂やワックス、着色剤等のコア成分がトナー表面に析出することがなく、また、シェルとコアの間に作用する接着力により、トナーに強いストレスが加わっても破損することがない。その結果、トナーは、当初の構造や性能が維持されて、安定した耐熱保存性を発現するとともに、画像形成時にトナー破損による画像欠陥の発生を回避しているものとみられる。
ここで、溶解度パラメータ値(SP値)は、物質の凝集エネルギーの大きさを表す数値で、Feorsにより提案された方法「Polym.Eng.Sci.,vol14,p147(1974)」にしたがって算出することができる。すなわち、原子または原子団の蒸発エネルギー及びモル体積をそれぞれΔei、Δviとすると、結着樹脂の溶解度パラメータ値σは、下記式(1)により算出される。
式(1)
σ=(ΣΔei/ΣΔvi)1/2
また、各ビニル系共重合体の溶解度パラメータ値は、各成分の溶解度パラメータ値とモル比の積より算出されるものである。たとえば、共重合体樹脂がX、Yの2種類の単量体より構成されるものとした時、各単量体の質量組成比をx、y(質量%)、分子量をMx、My、及び、溶解度パラメータ値をSPx、SPyとすると、各単量体比はx/Mx、y/Myとなる。ここで、共重合体樹脂のモル比をCとすると、C=x/Mx+y/Myと表され、この共重合体樹脂の溶解度パラメータ値SPは下記式(2)のようになる。
式(2)
SP={(x×SPx/Mx)+(y×SPy/My)}×1/C
なお、各単量体の溶解度パラメータSPx、SPyは、前述の式(1)により算出されるもので、具体的な値としてはポリマーハンドブック(ワイリー社刊)第4版等の文献に記載されているものを利用することができる。
溶解度パラメータ値は、ビニル系共重合体を構成する単量体の組成比を変えることにより制御が可能である。たとえば、スチレンとメタクリル酸メチルを用いて形成した共重合体樹脂では、スチレンの組成比を減少させ、メタクリル酸メチルの組成比を増大させる方向に組成比を制御すると、溶解度パラメータ値が低減する傾向になる。
なお、高分子材料の溶解度パラメータの概要は、独立行政法人「物質・材料研究機構」提供のデータベース PolyInfoに記載の溶解度パラメータの項目等を参照することができる。
また、単量体の溶解度パラメータ値(SP値)は、以下の手順で求めることができる。
ある単量体Aの溶解度パラメータ値(SP値)を計算する場合、その単量体の分子構造中の原子または原子団に対して、Fedorsによって提案された「Polym.Eng.Sci.Voll14.p114(1974)」から蒸発エネルギー(Δei)及びモル体積(Δvi)を求め、前記式(1)より算出する。
ただし、重合時開裂する2重結合については、開裂した状態をその分子構造とする。
下記の各単量体の溶解度パラメータ値は、上記計算法により求めた値を用いる。
スチレン 10.55
ブチルアクリレート 9.77
2−エチルヘキシルメタクリレート 9.04
メチルメタクリレート 9.93
メタクリル酸 12.54
アクリル酸 14.04
この値を用い、前記式(2)に従い、共重合体の溶解度パラメータ値を求める。
なお、本発明でシェル形成に使用可能な重合性単量体の具体例については後述する。
次に、本発明に係るトナーの製造方法について説明する。
本発明に係るトナーを構成する着色粒子(外添処理前のトナー粒子のこと)は、少なくとも着色剤を含有する樹脂からなるコアの表面に樹脂を被覆してシェルを形成したコアシェル構造を有するものである。本発明に係るトナーの製造方法は、特に限定されるものではなく、従来のトナー製造方法により作製することが可能である。すなわち、混練、粉砕、分級工程を経てトナーを作製するいわゆる粉砕法や、重合性単量体を重合させ、同時に、形状や大きさを制御しながら粒子形成を行ういわゆる重合法により作製可能である。
この中でも、重合法によるトナー作製は、その製造工程で粒子の形状や大きさを制御しながら所望のトナーを形成することが可能で、微小なドット画像を忠実に再現することが可能な小径トナーの作製に最適である。この様な視点からも重合法によるトナー作製が好ましく、その中でも、乳化重合法や懸濁重合法により予め120nm前後の樹脂粒子を形成しておき、この樹脂粒子を凝集させる工程を経て粒子形成を行う乳化会合法は有効な作製方法の1つといえる。
以下に、乳化会合法によるコアシェル構造のトナー作製例を説明する。乳化会合法では概ね以下の様な手順を経てトナーを作製する。すなわち、
(1)コア形成用樹脂微粒子分散液の作製工程
(2)着色剤(カーボンブラック)微粒子分散液の作製工程
(3)コア用樹脂粒子の凝集・融着工程
(4)第1熟成工程
(5)シェル化工程
(6)第2熟成工程
(7)冷却工程
(8)洗浄工程
(9)乾燥工程
(10)外添剤処理工程
以下、各工程について説明する。
(1)樹脂微粒子分散液の作製工程
この工程は、コア用の樹脂粒子を形成する重合性単量体を水系媒体中に投入して重合を行って120nm程度の大きさの樹脂微粒子を形成する工程である。この工程では、樹脂微粒子中にワックスを含有させたものを形成することも可能で、この場合、ワックスを重合性単量体に溶解あるいは分散させておき、これを水系媒体中で重合させて、ワックスを含有する樹脂微粒子を形成する。
(2)着色剤微粒子分散液の作製工程
水系媒体中に着色剤であるカーボンブラックを分散させ、110nm程度の大きさの着色剤微粒子分散液を作製する工程である。
(3)コア用粒子の凝集・融着工程(コアの形成)
この工程は、水系媒体中で前述の樹脂微粒子と着色剤微粒子等を凝集させ、凝集させたこれらの粒子を融着させてコア用の粒子を作製する工程である。この工程では、樹脂粒子と着色剤粒子とを混合させた水系媒体中に、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等を凝集剤として添加した後、樹脂粒子のガラス転移温度以上で、混合物の融解ピーク温度以下に加熱して凝集を進行させ、同時に樹脂粒子同士を融着させる。
具体的には、前述の手順で作製した樹脂粒子と着色剤粒子とを反応系に添加し、塩化マグネシウム等の凝集剤を添加することにより、樹脂微粒子と着色剤粒子とを凝集させると同時に微粒子同士を融着させて粒子形成を行う。そして、粒子の大きさが目標の大きさになった時に、食塩水等の塩を添加して凝集を停止させる。
(4)第1熟成工程
この工程は、上記凝集・融着工程に引き続き、反応系を加熱処理することによりコアの形状が所望の形状になるまで熟成を行う工程である。
(5)シェル化工程
この工程は、第1熟成工程で形成されたコアの分散液仲に、シェル形成用の樹脂粒子を添加して、コア表面にシェルを形成する工程である。
(6)第2熟成工程
この工程は、上記シェル化工程に引き続き、反応系を加熱処理することにより、コア表面へのシェルの被覆を強化するとともに、着色粒子の形状が所望の形状になるまで熟成を行う工程である。
(7)冷却工程
この工程は、前記着色粒子の分散液を冷却処理(急冷処理)する工程である。冷却処理条件としては、1〜20℃/minの冷却速度で冷却する。冷却処理方法としては特に限定されるものではなく、反応容器の外部より冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法を例示することができる。
(8)洗浄工程
この工程は、上記工程で所定温度まで冷却された粒子分散液から粒子を固液分離する工
程と、固液分離されてウェットのケーキ状集合体にした粒子から界面活性剤や凝集剤等の付着物を除去するための洗浄工程からなる。
洗浄処理は、濾液の電気伝導度が10μS/cmになるまで水洗浄する。濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法などがあり、特に限定されるものではない。
(9)乾燥工程
この工程は、洗浄処理された粒子を乾燥処理し、乾燥された粒子を得る工程である。この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などを使用することが好ましい。
また、乾燥された粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下とされる。尚、乾燥処理された粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
(10)外添剤処理工程
この工程は、乾燥された粒子に必要に応じ外添剤を混合し、トナーを作製する工程である。外添剤の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル等の機械式の混合装置を使用することができる。
乳化会合法によるトナー製造方法は、以上の工程を経て、トナー作製を行うものであり、前述した理由により、本発明に係るコアシェル構造のトナーは上記乳化会合法で作製することが好ましい。
乳化会合法によるコアシェル構造のトナーを作製する方法は、以上の工程を経て行われ、前述の様に、本発明に係るコアシェル構造のトナーは上記乳化会合法で作製することが好ましい。
次に、本発明に係るトナーに使用可能な樹脂や着色剤、及び、ワックス等の構成要素について、具体例を挙げて説明する。
先ず、本発明に係るトナーに使用可能な樹脂としては、前述した重合性単量体の他に、下記(1)乃至(10)に示すビニル系単量体を用いて作製することも可能である。すなわち、本発明に係るトナーに使用可能な樹脂としては、下記に示すビニル系単量体を単独あるいは複数種類組み合わせて重合を行って得られるものが挙げられる。
(1)スチレンあるいはスチレン誘導体
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等
(2)メタクリル酸エステル誘導体
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等
(3)アクリル酸エステル誘導体
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等
(4)オレフィン類
エチレン、プロピレン、イソブチレン等
(5)ビニルエステル類
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等
(6)ビニルエーテル類
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等
(7)ビニルケトン類
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等
(8)N−ビニル化合物
N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等
(9)ビニル化合物類
ビニルナフタレン、ビニルピリジン等
(10)アクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等。
また、樹脂を構成する重合性単量体として、イオン性解離基を有する重合性単量体を組み合わせて使用することも可能である。イオン性解離基としては、たとえば、カルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等の置換基が挙げられ、イオン性解離基を有する重合性単量体はこれらの置換基を有するものである。
イオン性解離基を有する重合性単量体の具体例を以下に挙げる。
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、アシドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート等。
さらに、樹脂を構成する重合性単量体として、多官能性ビニル類を使用して架橋構造の樹脂とすることも可能である。多官能性ビニル類の具体例を以下に挙げる。
ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等。
次に、本発明に係るトナーに使用可能なワックスについて説明する。本発明に係るトナーに使用可能なワックスとしては、従来公知のものが挙げられ、具体的には、以下のものが挙げられる。
(1)長鎖炭化水素系ワックス
ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等
(2)エステル系ワックス
トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等
(3)アミド系ワックス
エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミド等
(4)ジアルキルケトン系ワックス
ジステアリルケトン等
(5)その他
カルナウバワックス、モンタンワックス等。
ワックスの融点は、通常40〜130℃であり、好ましくは50〜100℃、さらに好ましくは60〜80℃である。ワックスの融点を上記範囲内にすることにより、トナーの耐熱保存性が確保され、同時に、低温での定着を行う場合でもコールドオフセット等を発生させずに安定したトナー画像形成が行える。また、トナー中のワックス含有量は、1質量%〜30質量%が好ましく、さらに好ましくは5質量%〜20質量%である。
次に、本発明に係るトナーは、その製造工程で外部添加剤(=外添剤)として数平均一次粒径が40〜800nmの無機微粒子や有機微粒子等の粒子を添加して、トナー作製することが好ましい。
外添剤の添加により、トナーの流動性や帯電性が改良され、また、クリーニング性の向上等が実現される。外添剤の種類は特に限定されるものではなく、たとえば、以下に挙げる無機微粒子や有機微粒子、及び、滑剤が挙げられる。
無機微粒子としては、従来公知のものを使用することができる。具体的には、シリカ、チタニア、アルミナ、チタン酸ストロンチウム微粒子等が好ましく用いることができる。これら無機微粒子としては必要に応じて疎水化処理したものを用いても良い。具体的なシリカ微粒子としては、例えば日本アエロジル社製の市販品R−805、R−976、R−974、R−972、R−812、R−809、ヘキスト社製のHVK−2150、H−200、キャボット社製の市販品TS−720、TS−530、TS−610、H−5、MS−5等が挙げられる。
チタニア微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品T−805、T−604、テイカ社製の市販品MT−100S、MT−100B、MT−500BS、MT−600、MT−600SS、JA−1、富士チタン社製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510、TAF−510T、出光興産社製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等が挙げられる。
アルミナ微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品RFY−C、C−604、石原産業社製の市販品TTO−55等が挙げられる。
また、有機微粒子としては数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の有機微粒子を使用することができる。具体的には、スチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体やこれらの共重合体を使用することができる。
また、クリーニング性や転写性をさらに向上させるために滑剤を使用することも可能である。滑剤としては、たとえば、以下の様な高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。すなわち、ステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩が挙げられる。
これら外添剤や滑剤の添加量は、トナー全体に対して0.1〜10.0質量%が好ましい。また、外添剤や滑剤の添加方法としては、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を使用して添加する方法が挙げられる。
本発明に係るトナーは、キャリアとトナーより構成される二成分現像剤として、また、トナーのみから構成される非磁性一成分現像剤として使用することが可能である。
本発明に係るフルカラートナーキットを構成するトナーを二成分現像剤として使用する場合、たとえば、後述するタンデム方式の画像形成装置を用いて、高速でのフルカラープリント作成が可能である。また、トナーを構成する樹脂やワックスを選択することにより、定着時の紙温度が100℃程度のいわゆる低温定着によるフルカラープリントの作製も可能である。
また、二成分現像剤として使用する際に用いられる磁性粒子であるキャリアは、たとえば、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を使用することが可能である。これらの中ではフェライト粒子が好ましい。キャリアの体積平均粒径は15〜100μmのものが好ましく、25〜80μmのものがより好ましい。
本発明に係るトナーを用いて形成されるトナー画像は、転写紙P上に転写され、定着処理により転写紙Pの上に固定されるものである。ここでいう転写紙Pとは、像担持体より転写されたトナー画像を保持する支持体で、通常画像支持体、記録材、転写紙、あるいは、用紙等と呼ばれるものである。具体的には、薄紙から厚紙までの普通紙や上質紙、アート紙やコート紙等の塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布等の各種転写材料が挙げられる。
本発明に係るトナーは、コアシェル構造を有するもので、たとえば、コアのガラス転移温度を30℃以上40℃以下、シェルのガラス転移温度を45℃以上55℃以下にする等の対応により、現状の定着温度よりも低い温度でトナー画像を定着することができる。すなわち、本発明に係るトナーを用いて形成したトナー画像を定着するにあたり、用紙の表面温度を125℃以下にして、いいかえると、加熱ローラ表面温度を90℃乃至150℃にしても良好な定着処理が行える。具体的には、トナー画像を形成した用紙が定着ローラに巻き付いたり、形成したトナー画像が他の用紙に接触して擦れあうことがあってもトナー剥離を起こすことはない。
本発明に係るトナーを低温定着対応の画像形成装置で使用したとき、定着装置における加熱部材の表面温度を上記範囲、特に、140℃未満、さらに、加熱部材の表面温度を130℃未満に設定することが可能である。
具体的な定着装置の形態としては、たとえば、図2に示す加熱ローラ方式の定着装置が挙げられる。図2は、加熱ローラを用いた定着装置の一例を示す概略図である。
図2に示す定着装置24は、加熱ロール240と、これに当接する加圧ロール241とを備えている。なお、図2において、246は分離爪、Pはトナー像が形成された用紙(転写紙)である。
加熱ロール240aは、たとえば、フッ素樹脂や弾性体からなる被覆層82が芯金240aの表面に形成されてなり、線状ヒーターよりなる加熱部材244を内包している。
芯金240は、金属から構成され、その内径は10〜70mmとされる。芯金240を構成する金属は、特に限定されるものではないが、たとえば、鉄、アルミニウム、銅等の金属や、これらの合金を挙げることができる。
芯金240aの肉厚は0.1〜15mmとされ、省エネの要請(薄肉化)と、強度(構成材料に依存)とのバランスを考慮して決定することが好ましい。たとえば、0.57mmの鉄よりなる芯金と同等の強度を、アルミニウムよりなる芯金で保持するためには、その肉厚を0.8mmとする必要がある。
被覆層240cの表面を構成するフッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などが挙げられる。
フッ素樹脂からなる被覆層240cの厚みは10〜500μmとされ、好ましくは20〜400μmとされる。
フッ素樹脂からなる被覆層240cの厚みが10μm未満であると、被覆層としての機能を十分に発揮することができず、定着装置としての耐久性を確保することが困難になる。一方、被覆層240cの厚みが500μmを超えると、被覆層表面に紙粉によるキズがつき易くなる。発生したキズ部にはトナー等が付着し易いので、これに起因する画像汚れの発生が懸念されることになる。
また、被覆層240cを構成する弾性体としては、LTV、RTV、HTVなどの耐熱性の良好なシリコンゴム及びシリコンスポンジゴムなどを用いることが好ましい。
被覆層240cを構成する弾性体のアスカーC硬度は、80°未満とされ、好ましくは60°未満とされる。
また、被覆層240cの厚みは0.1〜30mmが好ましく、0.1〜20mmがより好ましい。
加熱部材244としては、ハロゲンヒーターを好適に使用することができる。
加圧ロール250は、弾性体からなる被覆層250bが芯金250a表面に形成されてなる。被覆層250bを構成する弾性体は、特に限定されるものではなく、ウレタンゴム、シリコンゴムなどの各種軟質ゴム及びスポンジゴムが挙げられるが、この中でも、シリコンゴム及びシリコンスポンジゴムが好ましい。
被覆層250bの厚みは0.1〜30mmが好ましく、0.1〜20mmがより好ましい。
また、定着温度(加熱ロール240の表面温度)は定着時に用紙の温度を100℃前後にすることのできる温度で、後述する定着線速にもよるが、70〜180℃である。また、定着線速は80〜640mm/secが好ましく、加熱ロール240と加圧ロール250のニップ幅は8〜40mm、好ましくは11〜30mmに設定する。
なお、分離爪246は、加熱ロール240に熱定着された用紙が、加熱ロールに巻き付くのを防止するため設けられている。
また、本発明に係るトナーを使用する場合、加熱部材から供給される熱を用紙に効率よく供給できる構造の定着装置を用いることが好ましい。具体的には、加熱部材あるいは加圧部材のいずれか一方に耐熱性のベルトを用いるベルト定着と呼ばれる方式の定着装置を用いることが好ましい。
図3に、ベルト定着方式の定着装置(ベルトと加熱ローラを用いたタイプ)の一例を示す。図3に示す定着装置24は、ニップ幅を確保するためにベルトと加熱ローラを用いたタイプのもので、加熱ローラ240とシームレスベルト241、及びシームレスベルト241を介して加熱ローラ240に押圧される圧力パッド(圧力部材)242a、圧力パッド(圧力部材)242b、前記潤滑剤供給部材243とで主要部が構成されている。
加熱ローラ240は、金属製のコア(円筒状芯金)240aの周囲に耐熱性弾性体層240b、及び離型層(耐熱性樹脂層)240cより形成され、コア240aの内部には加熱源としてハロゲンランプ244が配置されている。加熱ローラ240の表面温度は温度センサ245により計測され、その計測信号に基づいて図示しない温度コントローラによりハロゲンランプ244がフィードバック制御され、加熱ローラ240表面が一定温度になるように調整される。シームレスベルト241は、加熱ローラ240に対し所定の角度で巻き付けられるように接触し、ニップ部を形成している。
シームレスベルト241の内側には、低摩擦層を表面に有する圧力パッド242がシームレスベルト241を介して加熱ローラ240に押圧される状態で配置されている。圧力パッド242は、強いニップ圧がかかる圧力パッド242aと、弱いニップ圧がかかる圧力パッド242bとが設けられ、金属製等のホルダ242cに保持されている。
ホルダ242cには、シームレスベルト241がスムーズに摺動回転するようにベルト走行ガイドが取り付けられている。ベルト走行ガイドはシームレスベルト241内面と摺擦するため摩擦係数が低い部材が望ましく、かつ、シームレスベルト241から熱を奪いにくいように熱伝導の低い部材が好ましい。なお、シームレスベルト241の材質の具体例としては、たとえばポリイミドが挙げられる。
図4は、本発明に係るモノクロトナーが使用可能な加熱ローラ定着方式の画像形成装置の一例を示す概略図である。
図4において、50は像担持体である感光体ドラム(感光体)で、有機感光層をドラム上に塗布し、その上に樹脂層を塗設した構造を有し、接地されて時計方向に駆動回転される。52はスコロトロンの帯電装置(帯電手段)で、感光体ドラム50周面に対し一様な帯電をコロナ放電により行う。この帯電装置52による帯電に先だち、前画像形成での感光体の履歴をなくすために発光ダイオード等を用いた帯電前露光部51により露光を行い感光体周面を除電することができる。
感光体への一様帯電の後、像露光手段である像露光装置53により画像信号に基づいた像露光が行われる。この図の像露光装置53は図示しないレーザーダイオードを露光光源とする。回転するポリゴンミラー531、fθレンズ等を経て反射ミラー532により光路を曲げられた光により感光体ドラム上に走査されて静電潜像が形成される。
次に、静電潜像は現像手段である現像装置54により現像される。感光体ドラム50周縁には、たとえば、本発明に係るモノクロトナーとキャリアとからなる二成分現像剤を内蔵した現像器54が設けられている。現像装置54には、マグネットが内蔵されて現像剤を保持しながら回転することができる現像スリーブ(現像ローラ)541が設けられ、現像スリーブ541上に保持された現像剤が感光体ドラム50上に供給されることにより現像が行われる。現像装置54は、現像スリーブ541の他に、現像剤撹拌搬送部材543と544、図示しない搬送量規制部材等から構成され、現像剤は撹拌、搬送されて現像スリーブ541上に供給される。現像スリーブ541への現像剤供給量は、搬送量規制部材542により制御される。また、現像剤の搬送量は、使用される感光体の線速や現像剤の比重により異なるが、一般に20〜200mg/cm2の範囲である。現像スリーブ(現像ローラ)径は20〜5mm、好ましくは18〜7mmがよく、現像スリーブの線速は200〜1800mm/secが好ましい。
なお、図中の70は、感光体50、帯電装置52、転写装置58、分離装置59、及び、クリーニング装置62を一体にした構造のプロセスカートリッジで、プロセスカートリッジ70は画像形成装置に対して着脱可能な構造となっている。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれに限定されるものではない。
1.着色剤(カーボンブラック)分散液の調製
下記手順により、着色剤であるカーボンブラックを分散させてなる「着色剤分散液1〜8」を調製した。なお、使用したカーボンブラックのpHは、pHメータ「HM50S(東亜電波工業(株)製)」を用い、前述した手順で測定を行ったものである。
(1)「着色剤分散液1」の調製
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌溶解させて作製した溶液を撹拌させておき、当該溶液中に、市販のカーボンブラック「MA−100(pH3.0(三菱化学(株)製))」を420質量部を徐々に添加した。次いで、撹拌装置「クレアミックス(エム・テクニック社製)」を用いて撹拌速度250rpmで分散処理を行い、カーボンブラックの粒子径が140nmになるまで分散処理を行うことにより、「着色剤分散液1」を調製した。
(2)「着色剤分散液2」の調製
「着色剤分散液1」の調製において、カーボンブラック「MA−100」に代えて、市販のカーボンブラック「#2400(pH2.0(三菱化学(株)製))」を用いた他は同様の手順で「着色剤分散液2」を調製した。
(3)「着色剤分散液3」の調製
「着色剤分散液1」の調製において、カーボンブラック「MA−100」に代えて、市販のカーボンブラック「MONARCH1400(pH2.5(キャボット社製))」を用いた他は同様の手順で「着色剤分散液3」を調製した。
(4)「着色剤分散液4」の調製
「着色剤分散液1」の調製において、カーボンブラック「MA−100」に代えて、市販のカーボンブラック「Printex140V(pH4.5(デグサ(株)製))」を用いた他は同様の手順で「着色剤分散液4」を調製した。
(5)「着色剤分散液5」の調製
「着色剤分散液1」の調製において、カーボンブラック「MA−100」に代えて、市販のカーボンブラック「PCF#10(pH7.0(三菱化学(株)製))」を用いた他は同様の手順で「着色剤分散液5」を調製した。
(6)「着色剤分散液6」の調製
最初に「着色剤分散液5」の調製で用いた市販のカーボンブラック「PCF#10(三菱化学(株)製)」を、pH8.0の水酸化カリウム溶液中に室温下、35分間の浸漬処理を行うことにより、pH7.5のカーボンブラックを得た。得られたpH7.5のカーボンブラックを用いた他は「着色剤分散液1」の調製と同様の手順により「着色剤分散液6」を調製した。
(7)「着色剤分散液7」の調製
「着色剤分散液1」の調製において、カーボンブラック「MA−100」に代えて、市販のカーボンブラック「VULCAN XC72(pH8.5(キャボット社製))」を用いた他は同様の手順で「着色剤分散液7」を調製した。
(8)「着色剤分散液8」の調製
最初に「着色剤分散液2」の調製で用いた市販のカーボンブラック「#2400(三菱化学(株)製)」を、pH1.5の市販のフルオロスルホン酸で浸漬処理することにより、pH1.5のカーボンブラックを得た。得られたpH1.5のカーボンブラックを用いた他は「着色剤分散液1」の調製と同様の手順で「着色剤分散液8」を作製した。
2.「トナー1〜13」の作製
2−1.「コア形成用樹脂微粒子A、B」の作製
(1)「コア形成用樹脂微粒子A」の作製
(a)第1段重合
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、アニオン系界面活性剤ポリオキシ(2)ドデシルエーテル硫酸エステルナトリウム塩4.0質量部とイオン交換水3000質量部を投入して界面活性剤溶液を調製した。前記界面活性剤溶液を窒素気流下で230rpmの撹拌速度で撹拌しながら80℃に昇温した。
80℃に昇温後、過硫酸カリウム(KPS)10質量部をイオン交換水400質量部に溶解させてなる開始剤水溶液を添加して液温を75℃にして、下記化合物よりなる「単量体混合溶液1」を1時間かけて滴下した。
スチレン 532質量部
n−ブチルアクリレート 200質量部
メタクリル酸 68質量部
n−オクチルメルカプタン 16質量部
上記界面活性剤溶液中に「単量体混合溶液1」を滴下後、この系を75℃の下で2時間加熱し、230rpmの撹拌速度で処理を行って重合(第1段重合)させ、「樹脂微粒子分散液a1」を作製した。
(b)第2段重合
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、アニオン系界面活性剤ポリオキシ(2)ドデシルエーテル硫酸エステルナトリウム塩3.0質量部とイオン交換水3060質量部を投入して界面活性剤溶液を調製した。前記界面活性剤溶液を窒素気流下で撹拌しながら80℃に昇温した。
昇温後、上記樹脂微粒子a1 35質量部(固形分換算)と、下記化合物を含有してなる混合液を添加し、循環経路を有する機械式分散装置「クレアミックス(エム・テクニック社製)」により30分間混合分散処理を行って、乳化粒子(油滴)分散液を調製した。
スチレン 100質量部
n−ブチルアクリレート 62質量部
メタクリル酸 12質量部
n−オクチルメルカプタン 1.75質量部
パラフィンワックス「HNP−57(日本製蝋社製)」 96質量部
次に、上記乳化粒子分散液に、過硫酸カリウム(KPS)5質量部をイオン交換水100質量部に溶解させてなる開始剤水溶液を添加し、この系を80℃の下で1時間にわたり加熱し、かつ、撹拌速度230rpmで撹拌処理して重合(第2段重合)を行った。
(c)第3段重合
前記第2段重合実施後、さらに、過硫酸カリウム(KPS)5.45質量部をイオン交換水220質量部に溶解させてなる開始剤水溶液を添加し、前記反応系を80℃にして、下記化合物よりなる混合液を1時間かけて滴下した。
スチレン 294質量部
n−ブチルアクリレート 155質量部
n−オクチルメルカプタン 7.1質量部
滴下終了後、2時間にわたり加熱し、かつ、撹拌速度230rpmで撹拌処理を行って重合(第3段重合)を行い、その後反応系を28℃まで冷却することにより、コア形成用の樹脂微粒子を含有してなる分散液を作製した。得られた樹脂微粒子を「コア形成用樹脂微粒子A」とする。「コア形成用樹脂微粒子A」の粒径を電気泳動光散乱光度計「ELS−800(大塚電子社製)」を用いて測定したところ185nmであった。
(2)「コア形成用樹脂微粒子B」の作製
第1段重合を行う際の撹拌速度を270rpm、「単量体混合溶液1」に含有される化合物の量を以下の様に変更し、
スチレン 540質量部
n−ブチルアクリレート 210質量部
メタクリル酸 34質量部
n−オクチルメルカプタン 16質量部
その他は「コア形成用樹脂微粒子A」の第1段重合と同様の手順とすることにより「樹脂微粒子分散液b1」を作製した。
次に、第2段重合を行う際の撹拌速度を275rpm、重合に用いる化合物の量を以下の様に変更し、
スチレン 117質量部
n−ブチルアクリレート 80質量部
メタクリル酸 9質量部
n−オクチルメルカプタン 1.75質量部
パラフィンワックス「HNP−57(日本製蝋社製)」 96質量部
その他は「コア形成用樹脂微粒子A」の第2段重合と同様の手順とすることにより「樹脂微粒子分散液b2」を作製した。
さらに、第3段重合を行う際の撹拌速度を275rpm、重合に用いる化合物の量を以下の様に変更し、
スチレン 285質量部
n−ブチルアクリレート 158質量部
n−オクチルメルカプタン 7.1質量部
その他は「コア形成用樹脂微粒子A」の第3段重合と同様の手順とすることにより、コア形成用の樹脂微粒子を含有してなる分散液を作製した。得られた樹脂微粒子を「コア形成用樹脂微粒子B」とする。「コア形成用樹脂微粒子B」の粒径を電気泳動光散乱光度計「ELS−800(大塚電子社製)」を用いて測定したところ125nmであった。
2−2.「シェル形成用樹脂微粒子」の作製
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を備えた反応容器に、前記「コア形成用樹脂微粒子1」の第1段重合時に作製した界面活性剤溶液と同様のものを作製した。この界面活性剤溶液を、窒素気流下で230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。その後、前記界面活性剤溶液中に、過硫酸カリウム(KPS)10質量部をイオン交換水400質量部に溶解させてなる開始剤溶液を添加し、液温を80℃にして、下記「単量体混合溶液」を2時間かけて滴下した。
そして、80℃の下で2時間かけて加熱し、かつ、撹拌速度を250rpm撹拌処理することにより重合を行い、「シェル形成用樹脂微粒子1」の分散液を作製した。なお、単量体混合溶液は、
スチレン 624質量部
2−エチルヘキシルアクリレート 120質量部
メタクリル酸 56質量部
n−オクチルメルカプタン(NOM) 16.4質量部
よりなるものである。得られた「シェル形成用樹脂微粒子1」の粒径を電気泳動光散乱光度計「ELS−800(大塚電子社製)」を用いて測定したところ140nmであった。
2−3.「トナー1〜10」の作製
(1)「トナー1」の作製
(a)「凝集・融着工程(コアの形成)」
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を備えた反応容器に、
「コア形成用樹脂微粒子A」 360.6質量部(固形分換算)
「着色剤分散液2」 200質量部(固形分換算)
イオン交換水 1100質量部
を投入し、液温を30℃に調整した。その後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10.0に調整した。
上記反応系を撹拌させておき、この状態で塩化マグネシウム・6水和物60質量部をイオン交換水60質量部に溶解してなる水溶液を10分間かけて上記反応系に添加した。添加後、3分間放置した後、昇温を開始して、この系を60分間かけて80℃まで昇温させて、80℃を保持した状態で樹脂粒子の凝集を行い粒子を成長させた。この状態で「マルチサイザー3(ベックマンコールター社製)」を用いて凝集粒子の粒径測定を行った。体積基準メディアン系(D50)が6.5μmになった時に、塩化ナトリウム40質量部をイオン交換水160質量部に溶解させてなる水溶液を反応系に添加して粒子の成長を停止させた。
さらに、反応系の温度を70℃にして3時間にわたり、加熱撹拌を行うことにより粒子の融着を継続させて、熟成処理を行い、「コア」を形成させた。「コア」の酸価を前述したJIS−0070−1972に準ずる方法で酸価を測定したところ30であった。
(b)「シェル化工程」
次いで、上記「コア」の分散液に、
「シェル形成用樹脂微粒子1」 44質量部(固形分換算)
を添加し、さらに、塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解させてなる水溶液を10分間かけて添加した。
さらに、この系を80℃に昇温させて、1時間にわたり撹拌を継続して、「コア」表面に「シェル形成用樹脂微粒子1」を融着させ、その後、この系を75℃にして20分間にわたり加熱撹拌を行って熟成処理を行い、シェルを形成させた。
さらに、塩化ナトリウム40.2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解させた水溶液を添加して、8℃/分の条件で30℃まで冷却することにより、コアシェル構造を有する「着色粒子1」を作製した。
(c)「洗浄工程」
生成した着色粒子を、バスケット型遠心分離装置「MARKIII 型式番号60×40(松本機械社製)」で固液分離を行い、「着色粒子1」のウェットケーキを作製し、当該ウェットケーキに40℃のイオン交換水を加えて洗浄を行った。そして、ろ液の電気伝導度が5μS/cm以下になるまで、前記バスケット型遠心分離装置による固液分離と洗浄を繰り返した。
(d)「乾燥工程」
ろ液の電気伝導度が5μS/cm以下になった時に作製したウェットケーキを解砕し、「フラッシュジェットドライヤ(セイシン企業(株)製)」により、水分量が0.5質量%となるまで乾燥処理を行い、コアシェル構造を有する「着色粒子1」を得た。なお、「着色粒子1」表面のシェル被覆率を評価したところ98%であった。
(e)「外添剤処理工程」
上記「着色粒子1」に疎水性シリカ(個数平均粒径=12nm、疎水化度=68)1質量%を添加し、「ヘンシェルミキサー(三井三池化工社製)」にて処理を行うことにより、「トナー1」を作製した。なお、「トナー1」の平均円形度を「FPIA2000(システックス社製)」で測定したところ、0.950であった。
(2)「トナー2〜5、9」の作製
「トナー1」の作製において使用した「着色剤分散液2」に代えて、「着色剤分散液3」を用いた他は「トナー1」と同様の作製手順により「トナー2」を作製した。また、「着色剤分散液2」に代えて「着色剤分散液1」を用いた他は「トナー1」と同様の作製手順で「トナー3」を、「着色剤分散液2」に代えて「着色剤分散液4」を用いた他は「トナー1」と同様の作製手順で「トナー4」を作製した。さらに、「着色剤分散液2」に代えて「着色剤分散液5」を用いた他は「トナー1」と同様の作製手順で「トナー5」を、「着色剤分散液2」に代えて「着色剤分散液7」を用いた他は同様の作製手順で「トナー9」を作製した。なお、「トナー2〜5、9」の平均円形度は「トナー1」と同様、0.950であった。
(3)「トナー7、8」の作製
前記「トナー3」の作製条件で、コアを形成する「凝集・融着工程」で行っている70℃、3時間の熟成処理を2時間に短縮した他は同様の手順で「トナー7」を作製し、3時間の熟成処理を4時間に延長した他は同様の手順で「トナー8」を作製した。なお、「トナー7」の平均円形度は0.889、「トナー8」の平均円形度は0.992であった。
(4)「トナー6、10」の作製
「トナー1」の作製でコアを形成する「凝集・融着工程」で、撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を備えた反応容器に投入する樹脂微粒子と着色剤分散液を以下の様に変更した。
「コア形成用樹脂微粒子B」 360.6質量部(固形分換算)
「着色剤分散液1」 200質量部(固形分換算)
イオン交換水 1100質量部
それ以外は「トナー1」の時と同様の作製手順により、「トナー6」を作製した。
また、上記「トナー6」の作製で使用した「着色剤分散液1」に代えて、「着色剤分散液4」を用いた他は「トナー6」の作製と同様の手順で「トナー10」を作製した。なお、「トナー6、10」の平均円形度はいずれも0.950であった。
上記「トナー1〜10」について、コア形成用樹脂の比率、カーボンブラックのpH、コア特性を表1に示す。
Figure 2009169241
3.評価実験
(1)評価その1
最初に、上記手順で作製した「トナー1〜10」の耐熱保管性について下記の手順で評価を行った。
〈耐熱保管性〉
トナー0.5gを内径21mmの10mlガラス瓶に取り蓋を閉めて、タップデンサーKYT−2000(セイシン企業製)で室温にて600回振とうした後、蓋を取った状態で55℃、35%RHの環境下に2時間放置した。次いで、トナーを48メッシュ(目開き350μm)の篩上に、トナーの凝集物を解砕しないように注意しながらのせて、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)にセットし、押さえバー、ノブナットで固定し、送り幅1mmの振動強度に調整し、10秒間振動を加えた後、篩上の残存したトナー量の比率(質量%)を測定した。
トナー凝集率は下記式により算出される値である。
トナー凝集率(質量%)=(篩上の残存トナー質量(g)/0.5(g))×100
トナー凝集率が15質量%未満のものを合格とし、その中でも、10質量%未満のものはトナーの耐熱保管性が極めて良好なものと判定した。
(2)評価その2
上記耐熱保管性の評価を実施後、上記手順により作製した「トナー1〜10」に対し、シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを混合し、トナー濃度が6%となる様にして「2成分現像剤1〜10」を作製した。作製した上記「2成分現像剤1〜10」を所定の現像装置(トナーカートリッジ)にそれぞれ等量充填し、当該現像装置を市販のモノクロデジタルプリンタ「bizhub Pro 1050(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)」に搭載して評価を行った。すなわち、低温定着性、濃度ムラ、帯電立ち上がり性能、及び、画像濃度の環境依存性について評価を行った。
なお、定着装置は図3に示すベルト定着方式の定着装置を用い、低温定着性の評価を行う際はベルトの表面温度を後述する様に変化させた。それ以外の評価では、定着ベルトの表面温度を140℃に設定して評価を行った。
また、濃度ムラ、帯電立ち上がり性能、画像濃度の環境依存性を評価する際に使用したプリント画像は、プリント上の画素率が6%となる画像で、反射濃度が0.50となるハーフトーン画像、人物顔写真、白地画像、反射濃度が1.2のベタ画像がそれぞれ1/4等分されたA4サイズの画像を出力したものである。
〈低温定着性〉
以下に示す手順により、定着可能温度を算出して低温定着性を評価した。なお、定着可能温度とは定着率が90%以上となる定着温度のことをいう。
具体的には、常温常湿(20℃、50%RH)環境下で、定着ベルトの表面温度を100〜160℃まで5℃刻みで変更し、2.5cm角のベタ画像(トナー付着量0.3mg/m2)のプリントを作製した。作製した各ベタ画像の定着率を、メンディングテープ剥離法により測定し、定着率が90%以上となった定着温度を求め、その温度を定着可能温度として評価した。
以下、メンディングテープ剥離法について説明する。
(a)転写紙上の2.5cm角のベタ黒画像のトナー付着量が0.3mg/m2となる設定条件下で作製したトナー画像の絶対反射濃度D0を測定する。
(b)「メンディングテープ(住友3M社製:No.810−3−12)」をトナー画像に軽く貼り付ける。
(c)1kPaの圧力でテープの上を3.5回往復擦り付ける。
(d)剥離角度180°、剥離強度2Nの条件の下でテープを剥離する。
(e)剥離後の絶対反射濃度D1を測定する。
(f)上記絶対反射濃度D0とD1より、定着率を算出する。なお、定着率は下記式
定着率(%)=(D1/D0)×100
より算出される。また、絶対反射濃度の測定は反射濃度計「RD−918(マクベス社製)」を使用した。定着可能温度が150℃未満のものを合格とし、特に、定着可能温度が130℃未満のものを優れているものと評価した。
〈濃度ムラの評価〉
常温常湿環境下(20℃、50%RH)で3000枚の連続プリントを実施し、1000枚目、1500枚目、2000枚目、2500枚目、及び、3000枚目のプリント物上のハーフトーン画像を目視観察し、下記基準で評価を行った。◎と○のみのものを合格とした。
◎:ハーフトーン画像に濃度ムラが全くなく均一な画像
○:ハーフトーン画像に濃度ムラが若干見られるが、実用上全く問題がないレベル
×:ハーフトーン画像に濃度ムラが見られ、実用上問題となるレベル。
〈帯電立上り性能の評価〉
低温低湿環境下(10℃、20%RH)で1日3000枚の連続プリントを5日間続けて行い、作業開始1枚目のプリント物上のハーフトーン画像を目視観察して画像上に掃き目と呼ばれるスジ状の画像欠陥の発生を目視で観察した。5日間で画像欠陥の確認された回数を評価し、スジ状の画像欠陥の発生が2回以下だったものを合格とした。
〈画像濃度の環境依存性〉
高温高湿環境下(33℃、80%RH)及び低温低湿環境下(10℃、20%RH)でそれぞれ連続1000枚の連続プリントを行った。それぞれの環境下で1000枚目に出力したプリント物上のベタ画像上より任意の8点を反射濃度計「RD−918(マクベス社製)」を用いて測定し、その平均値を画像濃度とした。そして、高温高湿環境下で得られた画像濃度と低温低湿環境下で得られた画像濃度の差を算出し、両者の画像濃度差が0.04未満のものを合格とし、0.01以下のものを特に優れていると評価した。
以上の結果を表2に示す。
Figure 2009169241
表2に示す様に、本発明の構成要件を満たす実施例1〜8ではトナー凝集率がいずれも15%未満となり過酷な環境下でトナーを保管してもブロッキングの発生が懸念されないものであることが確認された。なお、請求項2の構成から外れるトナー7を用いた実施例7は、流動性が若干劣る傾向を示したが、実施例1〜6と同等レベルの結果が得られ、本発明の効果を発現するとともに良好な画像形成が行えるものであることが確認された。また、トナー8を用いた実施例8もクリーニング性に若干の難点が見られたが、実施例1〜6と同等レベルの結果が得られ、本発明の効果を発現するとともに良好な画像形成が行えるものであることが確認された。
一方、本発明の構成を満たしていない比較例1と2のトナーはいずれも15%を超えており、トナーの保管性能について本発明と差を有することが確認された。また、画像形成装置に搭載して評価を行ったところ、低温定着性については本発明と比較例との間に差はほとんど見られなかったが、連続プリント時における濃度ムラや帯電立ち上がり性能、及び、画像濃度の環境依存性の評価で、顕著な差を有することが確認された。
コアシェル構造を有するトナーの一例を示す模式図である。 加熱ローラ定着方式の定着装置の一例を示す概略図である。 ベルト定着方式の定着装置の一例を示す概略図である。 加熱ローラ定着方式の画像形成装置の一例を示す概略図である。
符号の説明
24 定着装置
50 感光体
52 帯電装置
53 像露光装置
54 現像装置
T トナー
A コア
B シェル

Claims (2)

  1. 少なくとも樹脂と着色剤を含有するコアのまわりにシェルを被覆してなるコアシェル構造のモノクロトナーであって、
    前記コアは、前記着色剤にpH2.0以上7.0以下のカーボンブラックが用いられるとともに、100kHzにおける誘電正接が10以上40以下であることを特徴とするモノクロトナー。
  2. 前記モノクロトナーの平均円形度が、0.895以上0.980以下であることを特徴とする請求項1に記載のモノクロトナー。
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JP2016184162A (ja) * 2015-03-26 2016-10-20 コニカミノルタ株式会社 静電荷像現像用黒色トナー

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