JP2009168836A - 感光性着色組成物、これを用いたカラーフィルタ、及び液晶表示装置 - Google Patents

感光性着色組成物、これを用いたカラーフィルタ、及び液晶表示装置 Download PDF

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総平 門田
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美絵 清水
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保浩 檜林
Toshihisa Watanabe
稔久 渡邊
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Abstract

【課題】 不純物イオンの溶出量が少なく、液晶表示装置に用いた場合に液晶汚染が少なく、表示ムラが発生しにくいカラーフィルタ用感光性樹脂組成物、これを用いたカラーフィルタ、及び液晶表示装置を提供すること。
【解決手段】 (A)光重合性モノマー、(B)樹脂バインダー、(C)重合開始剤、(D)着色剤及び(E)溶剤を含有するカラーフィルタ用感光性着色組成物であって、前記(B)樹脂バインダーは、メラミン樹脂とイソシアネート基を含有する化合物及び/又は酸無水物とを反応させてなる熱硬化性樹脂を含有し、該感光性着色組成物の硬化物をN−メチルピロリドンで溶出したときのナトリウムイオンの溶出量が3ng/cm以下、カルシウムイオンの溶出量が1ng/cm以下であることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、カラーフィルタ製造用感光性着色組成物に係り、特に、不純物イオンの溶出量の少ない感光性着色組成物、これを用いたカラーフィルタ、及び液晶表示装置に関する。
カラー液晶表示装置は、一般に、図3に示すように、カラーフィルタ基板14とTFTアレイ基板10との間に液晶を封入して構成される。カラーフィルタ基板14は、透明基板9を構造的支持体として備え、その画面観察者側には偏光膜17が積層されている。また、その反対側(背面側)は多数の画素領域に区分され、図1に示すように、画素領域と画素領域の境界に位置する画素間部位にはブラックマトリクス2が設けられ、画素領域のそれぞれには着色画素3が配置されている。
着色画素3は、画素ごとに透過光を着色するもので、一般に、光の三原色に相当する赤色(R),緑色(G),青色(B)の三色の着色画素3の配列からなる。なお、ブラックマトリクス2は、これら各色に着色された透過光の混色を防止するものである。
近年、カラー液晶表示装置は、さらなる高画質化、低消費電力化、及び低コストが求められており、カラーフィルタの要求特性としては高輝度化・高コントラスト化の表示特性に加えて、不純物が液晶中に溶出すると画像の焼き付き(可変すべき画像が従前の画像のまま固定的に表示されてしまうこと)や表示ムラを引き起こすことから、不純物が液晶に溶出しないことが求められている。
このような液晶汚染の問題に対しては、着色画素の上に保護層(オーバーコート)を設けることで解決できることが知られている。すなわち、顔料およびその分散体を含む、液晶を汚染しやすい感光性着色組成物で形成された着色画素3の上に透明樹脂層を形成し、該着色画素からの汚染物質が液晶中に溶出しないようにブロックする技術である。
しかし、このように保護層を形成する方法では、工程数が1工程増加することとなり、液晶表示装置全体のコストダウンにつながらないことや、保護層からの汚染物質の溶出も問題となるため、実際には保護層なしで用いられる場合が多い。
しかしながら、従来の、着色剤に少なくとも塩素化及び臭素化した金属フタロシアニン、もしくは臭素化した金属フタロシアニンを含有する感光性着色組成物では、感光性着色組成物の成膜、露光、及び現像により形成された着色画素の硬化度が低いため、顔料由来の臭素イオンが液晶中に溶出し、液晶表示装置の表示焼き付きなどの表示不良が生じていた。
溶出物による液晶汚染の影響については、実際に液晶に混ぜて溶出処理を行い、その液晶を用いて簡易セルを作製しての電圧保持率測定や残留DC測定を行うことで評価できることが知られている。しかし、この方法では、溶出物のみの影響を直接定量できないことや、評価までの工程が長く、時間を要するという問題があった。
それ以外の評価方法としては、配向膜形成工程で用いられる配向膜材料の主溶剤であるN−メチルピロリドンに対する溶出処理を行い、その溶出液をイオンクロマトグラフで測定する方法があり、溶出イオンを定量する場合には後者が好適に用いられる。
他方、感光性着色組成物中に、メラミン樹脂のような熱硬化性樹脂を配合させることで膜の架橋密度を増加させ、不純物イオンの溶出を防止する技術が報告されている(特許文献1参照)。
しかしながら、感光性着色組成物に従来のメラミン樹脂を多量に配合すると、感光性樹脂組成物の感度が低下して、十分な硬化に必要な露光時間が長くなり、生産性が低下するという問題があった。また、感光性樹脂組成物のアルカリ現像性が悪化し、現像速度が適度に調整できず、現像時間が長くなることや、逆に現像速度が速すぎて塗膜が基板から剥がれやすくなるといった不具合を生じることから、メラミン樹脂の添加量には限度があり、熱硬化性樹脂配合の効果を十分に発揮させることはできなかった。
特許第2937208号
本発明は、以上のような事情を考慮してなされ、不純物イオンの溶出量が少なく、液晶表示装置に用いた場合に液晶汚染が少なく、表示ムラが発生しにくいカラーフィルタ用感光性樹脂組成物、これを用いたカラーフィルタ、及び液晶表示装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、(A)光重合性モノマー、(B)樹脂バインダー、(C)重合開始剤、(D)着色剤及び(E)溶剤を含有するカラーフィルタ用感光性着色組成物であって、前記(B)樹脂バインダーは、メラミン樹脂とイソシアネート基を含有する化合物及び/又は酸無水物とを反応させてなる熱硬化性樹脂を含有し、該感光性着色組成物の硬化物をN−メチルピロリドンで溶出したときのナトリウムイオンの溶出量が3ng/cm以下、カルシウムイオンの溶出量が1ng/cm以下であることを特徴とするカラーフィルタ用感光性着色組成物を提供する。
かかるカラーフィルタ用感光性着色組成物において、(B)樹脂バインダーは、下記のメラミン樹脂と他の化合物とを反応させて得た熱硬化性樹脂を含むことができる。
(1)メラミン樹脂とイソシアネート基を含有する化合物とを反応させてなり、重量平均分子量が2500以上である熱硬化性樹脂。
(2)メラミン樹脂とイソシアネート基を含有する化合物とを反応させてなり、二重結合当量が100〜2000である熱硬化性樹脂。
(3)メラミン樹脂とイソシアネート基を含有する化合物と酸無水物とを反応させてなり、固形分酸価が60mgKOH/g以下である熱硬化性樹脂。
(4)メラミン樹脂と酸無水物とを反応させてなり、固形分酸価が60mgKOH/g以下である熱硬化性樹脂。
なお、以上の熱硬化性樹脂の含有量は、感光性着色組成物の固形分中の3〜60%とすることができる。
本発明の第2の態様は、透明基板と、この透明基板上に形成された、少なくとも2色以上の多色のフィルタセグメントを具備するカラーフィルタにおいて、前記フィルタセグメントが、上述の感光性着色組成物を硬化してなることを特徴とするカラーフィルタを提供する。
本発明の第3の態様は、上記カラーフィルタを備えることを特徴とする液晶表示装置を提供する。
本発明の感光性着色組成物によると、N−メチルピロリドンによるナトリウムイオンやカルシウムイオンのような不純物イオンの溶出が少ないため、液晶を汚染することのないカラーフィルタ及び液晶表示装置の提供が可能となる。
以下、発明の実施の形態について説明する。
本発明者らは、鋭意検討した結果、メラミン樹脂とイソシアネート基を含有する化合物及び/又は酸無水物とを反応させてなる特定の熱硬化性樹脂を含有する樹脂バインダーを用いることにより、液晶へのナトリウムイオン及びカルシウムイオンの溶出の少ない感光性着色組成物が得られることを見出した。
即ち、本発明の一実施形態に係る感光性着色組成物は、メラミン樹脂とイソシアネート基を含有する化合物及び/又は酸無水物とを反応させて得た熱硬化性樹脂を含む樹脂バインダーを用いており、該感光性着色組成物の硬化物をN−メチルピロリドンで溶出したときのナトリウムイオンの溶出量が3ng/cm以下、カルシウムイオンの溶出量が1ng/cm以下であることを特徴とする。
このような感光性着色組成物は、長期保存安定性、現像速度及び感光性に優れており、さらに、光照射及び/または焼成によって硬化した後の塗膜は、耐熱性、基板との密着性、硬度、耐溶剤性、耐アルカリ性、及び複屈折性に優れている。
また、このような感光性着色組成物を用いて得たカラーフィルタを備える液晶表示装置は、不純物イオンによる液晶の汚染が少なく、表示ムラが発生しにくい。
このような効果は、樹脂バインダーが、特に、メラミン樹脂とイソシアネート基を含有する化合物及び/または酸無水物とを反応させてなる種々の熱硬化性樹脂を含有することにより、得ることができる。
樹脂バインダーが、メラミン樹脂とイソシアネート基を含有する化合物とを反応させてなる熱硬化性樹脂を含む場合、メラミン樹脂骨格中に複数個存在するイミノ基、メチロール基、アルコキシメチル基などの熱反応性基のいくつかをイソシアネート基を含有する化合物の該イソシアネート基と反応させることで、重量平均分子量が2500以上である熱硬化性樹脂を得ることが可能となる。イソシアネート基を少なくとも2つ以上含有する化合物を用いた場合には、該熱硬化性樹脂の重量平均分子量をさらに大きくすることができる。
このように、重量平均分子量が2500以上に制御された熱硬化性樹脂を含む樹脂バインダーを感光性樹脂組成物に配合することにより、重量平均分子量が2500未満のメラミン樹脂を用いた場合の不具合、すなわち感光性樹脂組成物のアルカリ現像性が悪化し、現像速度が適度に調整できず現像時間が長くなることや、逆に現像速度が速すぎて塗膜が基板から剥がれやすくなるといった弊害を生じさせることなく、熱硬化性樹脂の効果を十分に発揮させることが可能となる。
樹脂バインダーが、メラミン樹脂とイソシアネート基を含有する化合物とを反応させてなり、二重結合当量が100〜2000である熱硬化性樹脂を含む場合、メラミン樹脂骨格中に複数個存在するイミノ基、メチロール基、アルコキシメチル基などの熱反応性基のいくつかをイソシアネート基と二重結合性基とを含有する化合物の該イソシアネート基と反応させることで、熱硬化性樹脂に感光性を付与することができる。
これら感光性が付与された熱硬化性樹脂を含む樹脂バインダーを感光性樹脂組成物に配合することにより、従来の非感光性のメラミン樹脂を用いた場合の不具合、すなわち感光性樹脂組成物の感度が低下して、十分な硬化に必要な露光時間が長くなり、生産性が悪くなるという弊害を生じさせることなく、熱硬化性樹脂の効果を十分に発揮させることが可能となる。
樹脂バインダーが、メラミン樹脂とイソシアネート基を含有する化合物と酸無水物とを反応させてなり、固形分酸価が60mgKOH/g以下である熱硬化性樹脂を含む場合、及びメラミン樹脂と酸無水物とを反応させてなり、固形分酸価が60mgKOH/g以下である熱硬化性樹脂を含む場合、メラミン樹脂骨格中に複数個存在するイミノ基、メチロール基、アルコキシメチル基などの熱反応性基のいくつかと酸無水物の酸性基とを、及び/またはメラミン樹脂とイソシアネート基を含有する化合物とを反応させた化合物の該イソシアネート基と酸無水物の酸性基とを反応させることで、熱硬化性樹脂にカルボン酸基を導入することができ、アルカリ可溶性すなわち現像性を付与することができる。
このように、現像性が付与された熱硬化性樹脂を含む樹脂バインダーを感光性樹脂組成物に配合することにより、従来のメラミン樹脂を用いた場合の不具合、すなわち感光性樹脂組成物のアルカリ現像性が悪化し、現像速度が適度に調整できず現像時間が長くなることや、逆に現像速度が速すぎて塗膜が基板から剥がれやすくなるといった弊害を生じさせることなく、熱硬化性樹脂の効果を十分に発揮させることが可能となる。
また、熱硬化性樹脂の重量平均分子量を2500以上とすることと組み合わせることで、さらに感光性の優れた、すなわち露光/未露光部のアルカリ可溶性のコントラストがはっきりし、パターンエッジ形状が良好で、マスク形状を忠実に再現する微細加工性の優れた感光性樹脂組成物を得ることが可能となる。
以上説明した熱硬化性樹脂の含有量を感光性着色組成物の固形分中の3〜60%とすることにより、熱硬化性樹脂の有する耐熱性、基板との密着性、硬度、耐溶剤性、耐アルカリ性、臭素イオンの溶出防止に優れた性質を十分に発揮させることができる。すなわち、この熱硬化性樹脂は、上述したような長期保存安定性、現像速度及び感光性に優れた性質を付与されているために、アルカリ現像型感光性のカラーフィルタ着色層形成用感光性組成物に好適な熱硬化性樹脂として多量に用いることができる。
また、以上説明した熱硬化性樹脂に、酸価が50〜130mgKOH/gのアクリル樹脂を併用することで、現像速度が適度に調整できず現像時間が長くなることや、逆に現像速度が速すぎて塗膜が基板から剥がれやすくなるという不具合を生じさせることなく、感光性樹脂組成物のアルカリ現像性を最適な状態に調整することが可能となる。
さらに、以上説明した感光性樹脂組成物に、二重結合当量が100〜2000のアクリル樹脂を併用することで、光性樹脂組成物の感度が不足して、十分な硬化に必要な露光時間が長くなり、生産性が悪くなるという不具合を生じさせることなく、感光性樹脂組成物の露光感度を十分に保つことが可能となる。
以下、本発明の一実施形態に係る感光性樹脂組成物の各成分について説明する。
[熱硬化性樹脂]
<メラミン樹脂>
本実施形態に用いるメラミン樹脂として、下記構造式(I)により表される化合物およびその多量体を挙げることができる。
Figure 2009168836
式中、R〜Rは、それぞれ水素原子又はCHOR(Rは水素原子又はアルキル基を表す)を表し、R〜Rは同一であっても異なっていても良い。CHOR基のRは、上記構造式(I)において同一であっても異なっていても良い。二種類以上のホモポリマーまたはコポリマーを併用してもよい。また、上記以外に1,3,5−トリアジン環を有する化合物であって、例えば、特開2001−166144公報に記載のものを使用することができる。また、下記構造式(II)により表される化合物を用いることも可能である。
Figure 2009168836
式中、R7からR14はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基である。水素原子であることが特に好ましい。
<イソシアネート基を含有する化合物>
本実施形態で使用されるイソシアネート基を含有する化合物は、芳香族、脂肪族または脂環族の各種公知のイソシアネート類を使用することができる。
例えば、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4‘−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネート、ダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等を例示することができる。また、該熱硬化性樹脂に感光性を付与させる場合には、イソシアネート基と二重結合性基とを含有する化合物を好適に用いることができ、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、1、1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、ペンタエリスリトールトリアクリレートとトリレンジイソシアナートとを反応させてなるモノイソシナネート等を例示することができる。
<酸無水物>
本実施形態で使用される酸無水物としては、マロン酸無水物、コハク酸無水物、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、フタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、トリメリット酸無水物等が挙げられる。本実施形態に係る熱硬化性樹脂においては、その酸価が固形分換算で3〜60mgKOH/gであることが好ましく、20〜50mgKOH/gであればより好ましい。従って、酸無水物の付加反応は、酸価がこの範囲内になるように定量的に反応させる。熱硬化性樹脂の酸価が3mgKOH/g未満であると、アルカリ現像において現像不良となるおそれがあり、酸価が60mgKOH/gより大きくなると、アルカリ現像において露光部分の表面が現像液で浸食されたり、感光性樹脂組成物の長期保存安定性が低下する等の不具合が生じ易くなる。
[熱硬化性樹脂の調製方法]
本発明の一実施形態に係る熱硬化性樹脂は、以下の方法のいずれかにより調製することができる。
(1)メラミン樹脂及びイソシアネ―ト基を含有する化合物を加温下で混合して反応させる方法、
(2)メラミン樹脂及びイソシアネ―ト基を含有する化合物を加温下で混合して反応させた後、さらに酸無水物を加温下で混合して反応させる方法、
(3)メラミン樹脂及び酸無水物を加温下で混合して反応させる方法。
また、前処理としてエバポレーターなどを用いて低沸アルコール化合物等の不要物を留去する工程と、感光性樹脂組成物に適した溶剤に溶剤置換する工程を含んでいてもよい。
メラミン樹脂などの熱硬化性樹脂は、熱反応性が高く一般的にも長期保存安定性に劣るため、感光性樹脂組成物中に多量に用いることは困難であった。しかしながら本発明の熱硬化性樹脂においては、メラミン樹脂骨格中に複数個存在する熱反応性基のいくつかがイソシアネート基を含有する化合物または酸無水物との反応に使用されるために、熱反応性が適度に低下し該感光性樹脂組成物の長期保存安定性が良くなる効果が得られる。また、前記イソシアネート基を含有する化合物または酸無水物との反応の結果、メラミン樹脂のポリマー鎖が長くなりメラミン樹脂骨格の自由な動きが束縛されるために保存安定性が向上する利点もある。
前記イソシアネート基を含有する化合物または酸無水物との反応により、アルカリ現像型の感光性樹脂組成物に必要なアルカリ現像性及び/または感光性をメラミン樹脂に付与することが可能となる。このようにアルカリ現像性及び/または感光性を持たせることで基板との密着性が向上し、現像工程中の不具合を生じさせることのないプロセスマージン良好な感光性樹脂組成物が実現できる。さらには、前記感光性樹脂組成物に本発明の熱硬化性樹脂を含有させることで、硬化した塗膜に十分な耐熱性や硬度を付与することができるだけでなく、耐溶剤性、耐アルカリ性の機能も備えることができる。
本発明の一実施形態に係る感光性樹脂組成物に用いるアクリル系樹脂としては、以下のものが例示できる。
アクリル系樹脂の材料は、単量体として、例えば(メタ)アクリル酸や、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等のエーテル基含有(メタ)アクリレート及びシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、p−クミルフェニル(メタ)アクリレート等の芳香族含有(メタ)アクリレート等を使用した重合体があげられる。なお、これらの単量体は、単独で、または、2種以上を併用して使用することができる。さらに、これら(メタ)アクリレートと共重合可能なスチレン、シクロヘキシルマレイミド、及びフェニルマレイミド等の化合物を共重合させることができる。
また、例えば(メタ)アクリル酸等のエチレン性不飽和基を有するカルボン酸を共重合し、得られた樹脂とグリシジルメタクリレート等のエポキシ基と不飽和二重結合を含有する化合物を反応させることや、グリシジルメタクリレート等のエポキシ、含有(メタ)アクリレートの単重合またはそれらとその他の(メタ)アクリレートの共重合の樹脂に(メタ)アクリル酸等のカルボン酸含有化合物を付加させることによって、感光性を有する樹脂を得ることができる。
さらに、例えばヒドロキシエチルメタアクリレート等をモノマーとする水酸基を有する樹脂にメタクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基とエチレン性不飽和基を有する化合物を反応させ、感光性を有する樹脂を得ることができる。
また、上記詳述したように、ヒドロキシエチルメタクリレート等の共重合により調製され、かつ複数の水酸基を有する樹脂にさらに多塩基酸無水物を反応させて、樹脂にカルボキシル基を導入し、カルボキシル基を有する樹脂とすることができるが、その製造方法は上記記載の方法のみに限るものではない。
上記の反応に用いる酸無水物の例として、例えばマロン酸無水物、コハク酸無水物、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、フタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、及びトリメリト酸無水物等が挙げられる。
上述したアクリル系樹脂の固形分酸価としては50〜130mgKOH/gであることが好ましい。酸価が50mgKOH/gより小さい場合には、感光性樹脂組成物の現像速度が遅すぎて現像に要する時間が多くなり生産性に劣る結果となる。また酸価が130mgKOH/gより大きい場合には逆に現像速度が速すぎて、現像後でのパターンハガレやパターン欠けの不具合が生じる。
さらに、前記アクリル系樹脂が感光性を有する場合、該アクリル樹脂の二重結合当量は100〜2000であることが好ましく、さらに好ましくは100〜1000である。二重結合当量が2000以上の場合には十分な光硬化性が得られない。
[カラーフィルタ着色層形成用感光性着色組成物]
本発明の一実施形態に係る感光性樹脂組成物は、光重合性モノマー、非感光性樹脂及び/又は感光性樹脂、光重合開始剤、及び溶剤を含有してなり、これらはUV露光、DeepUV露光のいずれの硬化方法を用いてもよい。
熱硬化性樹脂は、1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。さらに熱硬化性樹脂の添加量は特に限定されるものではないが、顔料の配合量100質量%に対して、1〜200質量%とすることが好ましく、5〜100質量%とすることがさらに好ましく、10〜70質量%とすることが最も好ましい。
(光重合性モノマー)
前記光重合性モノマーの例として、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。また、水酸基を有する(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られる(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタンアクリレートを用いることが好ましい。なお、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートとの組み合わせは任意であり、特に限定されるものではない。また、1種の多官能ウレタンアクリレートを単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
(非感光性樹脂及び/又は感光性樹脂)
本発明の一実施形態に係る感光性樹脂組成物には、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の非感光性透明樹脂及び/又は感光性透明樹脂を併用することができる。透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂が含まれ、熱可塑性樹脂としては、例えば, ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
(着色剤)
着色剤は、透明着色皮膜を着色して、液晶表示装置の表示光を着色するものである。本発明においては、顔料又は染料を用いることが出来、或いはこれらを併用することができるが、耐久性に優れている点で、顔料を使用することが望ましい。顔料としては、有機顔料と無機顔料のいずれであっても良いが、有機顔料が好ましく使用できる。また、その配合量は特に限定されるものではないが、組成物の総量100質量%に対して、5〜70質量%程度であることが好ましく、5~50重量%程度であることがより好ましく、20〜50重量%程度であることがさらに好ましく、その残部は、顔料担体により提供される樹脂質バインダーから実質的になる。また、カラーフィルタの分光調整等のために、複数の顔料を組み合わせて用いることもできる。顔料は、着色組成物の全固形分量を基準(100重量%)として5〜70重量%の割合で含有されることが好ましい。
本発明の一実施形態に係る感光性樹脂組成物に併用することのできる着色層用の有機顔料の具体例をカラーインデックス(C.I.)ナンバーで示す。
Pigment Blue: <C.I>1,1:2,1:x,9:x,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:5,15:6,16,22,24,24:x,56,60,61,62,80
Pigment Violet: <C.I>1,1:x,3,3:3,3:x,5:1,19,23,27,29,30,32,37,40,42,50
Pigment Green: <C.I>1,1:x,2,2:x,4,7,10,36,37
Pigment Orange: <C.I>2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,55,59,60,61,62,64,71,73
Pigment Red:<C.I>1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:3,81:x,83,88,90,97,112,119,122,123,144,146,149,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,180,184,185,187,188,190,192,200,202,206,207,208,209,210,215,216,217,220,223,224,226,227,228,240,246,254,255,264,272,279
Pigment Yellow: <C.I>1,2,3,4,5,6,10,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,138,139,144,146,147,148,150,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,193,194,199,213,214
また、上記有機顔料と組み合わせて、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、無機顔料を組み合わせて用いることも可能である。無機顔料としては、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑等の金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉等が挙げられる。さらに、調色のため、耐熱性を低下させない範囲内で染料を添加することもできる。
(分散剤)
顔料を顔料担体および有機溶剤中に分散する場合には、顔料を分散させるための分散剤、界面活性剤を含有させる必要がある。分散剤としては、界面活性剤、顔料の中間体、染料の中間体、ソルスパース等が使用され、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、顔料担体と相溶性のある部位とを有し、顔料に吸着して顔料の顔料担体への分散を安定化する働きをするものである。具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩などの油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル系等が用いられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。分散剤の添加量は特に限定されるものではないが、顔料の配合量100質量%に対して、1〜10質量%とすることが好ましい。また、着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
(界面活性剤)
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
(光重合開始剤)
前記光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系化合物、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系化合物、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリルs−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、O−(アセチル)-N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ-ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物、ボレート系化合物、カルバゾール系化合物、イミダゾール系化合物、チタノセン系化合物等が挙げられる。
これらは1種を単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
(光増感剤)
また、重合開始剤と光増感剤とを併用することが好ましい。増感剤として、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物を併用することもできる。
増感剤は、光重合開始剤100重量部に対して、0.1〜60重量部の量で含有させることができる。
(多官能チオール)
感光性樹脂組成物には、連鎖移動剤としての働きをする多官能チオールを含有させることができる。多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。これらの多官能チオールは、1種または2種以上混合して用いることができる。多官能チオールは、着色組成物中の顔料100重量部に対して、0.2〜150重量部、好ましくは0.2〜100重量部の量で用いることができる。
(貯蔵安定剤)
感光性樹脂組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。貯蔵安定剤としては、例えばベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、トリエチルホスフィン、トリフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、0.1〜10重量部の量で含有させることができる。
(密着向上剤)
感光性樹脂組成物には、基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。シランカップリング剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等が挙げられる。シランカップリング剤は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、0.01〜100重量部の量で含有させることができる。
(溶剤)
感光性樹脂組成物には、基板上への均一な塗布を可能とするために、水や有機溶剤等の溶剤が配合される。また、本発明の組成物がカラーフィルタの着色層である場合、溶剤は、顔料を均一に分散させる機能も有する。溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。溶剤は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、800〜4000重量部、好ましくは1000〜2500重量部の量で用いることができる。
[感光性着色組成物の調製方法]
感光性着色組成物は、特定の熱硬化性樹脂を用いる以外は、公知の方法により調製することができる。例えば、光重合性モノマーと本発明の熱硬化性樹脂と顔料と分散剤と溶剤とからなる感光性着色組成物は以下の方法により調製することができる。
(1)光重合性モノマー及び本発明の熱硬化性樹脂、あるいはこれらを溶剤に溶解した溶液に、顔料と分散剤を予め混合して調製した顔料組成物を添加して分散させ、残りの成分を添加する。
(2)光重合性モノマー及び本発明の熱硬化性樹脂、あるいはこれらを溶剤に溶解した溶液に、顔料と分散剤を別々に添加して分散させた後、残りの成分を添加する。
(3)光重合性モノマー及び本発明の熱硬化性樹脂、あるいはこれらを溶剤に溶解した溶液に、顔料を分散させた後、顔料分散剤を添加し、残りの成分を添加する。
(4)光重合性モノマー及び本発明の熱硬化性樹脂、あるいはこれらを溶剤に溶解した溶液を2種類調製し、顔料と分散剤を予め別々に分散させてから、これらを混合し、残りの成分を添加する。なお、顔料と分散剤のうち一方は溶剤にのみ分散させても良い。
ここで、光重合性モノマー及び本発明に用いて好適な熱硬化性樹脂、あるいはこれらを溶剤に溶解した溶液への顔料や分散剤の分散は、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、ディゾルバー、ハイスピードミキサー、ホモミキサー、アトライター等の各種分散装置を用いて行うことができる。また、分散を良好に行うために、各種界面活性剤を添加して分散を行っても良い。また、顔料と分散剤を予め混合して顔料組成物を調製する場合、粉末の顔料と粉末の分散剤を単に混合するだけでも良いが、(a)ニーダー、ロール、アトライター、スーパーミル等の各種粉砕機により機械的に混合する、(b)顔料を溶剤に分散させた後、分散剤を含む溶液を添加し、顔料表面に分散剤を吸着させる、(c)硫酸等の強い溶解力を持つ溶媒に顔料と分散剤を共溶解した後、水等の貧溶媒を用いて共沈させるなどの混合方法を採用することが好ましい。
以下、上述した本発明の一実施形態に係る感光性樹脂組成物を用いた、本発明の他の実施形態に係るカラーフィルタについて、図1を参照して説明する。
図1において、基板1上には、クロムなどの金属もしくは感光性黒色樹脂組成物をパターン加工してなるブラックマトリクス2が公知の方法により形成されている。用いる基板1としては、透明基板が好適であり、具体的には、ガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンフタレート等の樹脂基板が好適に用いられる。また、ガラス板や樹脂板の表面には、液晶パネル化後の液晶駆動のために、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化アンチモンなどの金属酸化物の組み合わせからなる透明電極が形成されていてもよい。
最初に、基板1上に、スプレーコート法、スピンコート法、ロールコート等により、本発明の一実施形態に係る感光性組成物を均一に塗布し、乾燥させる。この工程において形成される層のことを「感光性組成物層」と称す。
次いで、フォトリソグラフィ法により、形成した感光性組成物層をパターニングする。すなわち、感光性組成物層に所望の遮光パターンを有するフォトマスクを介して紫外線、電子線等の活性エネルギー線を照射して露光した後、有機溶剤やアルカリ水溶液等の現像液を用いて現像する。ここで、露光工程においては、活性エネルギー線が照射された部分の光重合性モノマーが重合し、硬化する。また、感光性樹脂を含有する場合には、感光性樹脂も架橋し、硬化する。なお、露光感度を向上させるために、感光性組成物層を形成した後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂(例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等)の溶液を塗布し、乾燥させることにより、酸素による重合阻害を抑制する膜を形成してから、露光を行っても良い。
次に、現像工程において、活性エネルギー線が照射されなかった部分を現像液により洗い流すことで所望のパターンが形成される。現像処理方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。なお、現像液としては、炭酸ソーダ、苛性ソーダ等の水溶液や、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリ溶液等のアルカリ現像液が主流になっている。また、現像液としては、必要に応じて消泡剤や界面活性剤が添加されたものが用いられる。
その後、焼成し、同様の操作を他色について繰り返して、着色画素3R(赤)、3G(緑)、及び3B(青)を形成する。
最後に、液晶表示装置のセルギャップを均一化するための対向基板担持層4を形成して、カラーフィルタが完成する。
図2は、図1に示すカラーフィルタにおいて、着色画素3R(赤)、3G(緑)、及び3B(青)と対向基板担持層4との間に、セルギャップ制御用かさ上げ層5及び位相差層6設けた構造のカラーフィルタを示す。このような構成のカラーフィルタにおいても、上述した着色画素3R(赤)、3G(緑)、及び3B(青)の形成方法を同様に適用することができる。
次に、以上説明したカラーフィルタを備えた、本発明の更に他の実施形態に係る液晶表示装置について、図3を参照して説明する。
図3に示す液晶表示装置7は、ノート型パソコン用のTFT駆動型液晶表示装置の典型例であって、離間対向して配置された一対の透明基板8および9を備え、それらの間に、液晶(LC)が封入されている。
液晶(LC)は、TN(Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)、IPS(In−Plane switching)、VA(Vertical Alignment)、OCB(Optically Compensated Birefringence)等の液晶配向モードに応じて配向される。
第1の透明基板8の内面には、TFT(薄膜トランジスタ)アレイ10が形成されており、その上には例えばITOからなる透明電極層11が形成されている。透明電極層11の上には、配向層12が設けられている。また、透明基板8の外面には、位相差フィルムを含む偏光板13が形成されている。
他方、第2の透明基板9の内面には、上述した本発明の一実施形態に係る感光性樹脂組成物を用いて形成されたカラーフィルタ14が設けられている。カラーフィルタ14を構成する赤色、緑色および青色の画素は、ブラックマトリックス(図示せず)により分離されている。カラーフィルタ14を覆って、必要に応じて透明保護膜(図示せず)が形成され、さらにその上に、例えばITOからなる透明電極層15が形成され、透明電極層15を覆って配向層16が設けられている。また、透明基板9の外面には、偏光板17が形成されている。なお、偏光板13の下方には、三波長ランプ18を備えたバックライトユニット19が設けられている。
以上のように構成される液晶表示装置は、上述した本発明の一実施形態に係る感光性樹脂組成物を用いて形成されたカラーフィルタ14を備えているため、不純物イオンによる液晶の汚染が少なく、表示ムラが発生しにくいといという利点がある。
次に、本発明の実施例及び比較例について具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いる材料は光に対して極めて敏感であるため、自然光などの不要な光による感光を防ぐ必要があり、全ての作業を黄色、または赤色灯下で行うことは言うまでもない。なお、実施例および比較例中、「部」とは「重量部」を意味する。また、顔料の記号はカラーインデックスナンバーを示し、例えば、「PG36」は「C.I.Pigment Green36」を、「PY150」は「C.I.Pigment Yellow 150」を表す。
[樹脂溶液の調製]
実施例および比較例で用いたアクリル樹脂溶液を以下のように調製した。樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
<メラミン樹脂の溶剤置換>
内容量が500ミリリットルのフラスコに不揮発分73.5重量%のアルキル化メラミン樹脂/1−ブタノール溶液(日本カーバイド工業(株)製 商品名:ニカラックMX−750)を300g収容し、エバポレーターを用いて1−ブタノール等の不要物を除去した。このアルキル化メラミン樹脂に、シクロヘキサノン781.8gを加え、不揮発分22重量%になるように溶剤置換メラミン樹脂Aを調製した。
<合成例1>熱硬化性樹脂1
内容量が1リットルの5つ口反応容器に、調製した不揮発分22重量%の溶剤置換メラミン樹脂A(シクロヘキサノン)溶液596.2g、トリレンジイソシアネート7.7gを仕込み、60℃で2時間反応させた。
赤外分光分析により反応生物中に2280cm−1付近のイソシアネート基が存在しないことを確認した。
次に、上記生成物の不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンで希釈し、熱硬化性樹脂1を得た。得られた熱硬化性樹脂1の重量平均分子量は11200であった。
<合成例2>熱硬化性樹脂2
内容量が1リットルの5つ口反応容器に、調製した不揮発分22重量%の溶剤置換メラミン樹脂A(シクロヘキサノン)溶液596.2g、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工(株)製 商品名:カレンズMOI)9.8gを仕込み、60℃で2時間反応させて生成物を得た。なお、赤外分光分析により反応生物中に2280cm−1付近のイソシアネート基の吸収が存在しないことを確認した。
次に、上記生成物の不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンで希釈し、熱硬化性樹脂2を得た。得られた熱硬化性樹脂1の重量平均分子量は4900であった。
<合成例3>熱硬化性樹脂3
メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを3.2g用いた以外は合成例1と同様にして熱硬化性樹脂3を得た。得られた熱硬化性樹脂3の重量平均分子量は6700であった。それらの結果を下記表1に示す。
Figure 2009168836
<合成例4>熱硬化性樹脂4
内容量が1リットルの5つ口反応容器に、調製した不揮発分22重量%の溶剤置換メラミン樹脂A(シクロヘキサノン)溶液596.2g、ブタンテトラカルボン酸二無水物(新日本理化(株)製 商品名:リカシッドBT−100)6.3gを仕込み、60℃で24時間反応させて、生成物を得た。なお赤外分光分析により生成物中に1780cm−1付近の酸無水物基の吸収が存在しないことを確認した。
次に、上記生成物の不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンで希釈し、熱硬化性樹脂4を得た。
<合成例5> 熱硬化性樹脂5
ブタンテトラカルボン酸二無水物を12.6g用いた以外は、合成例4と同様にして、熱硬化性樹脂5を得た。
<合成例6>熱硬化性樹脂6
内容量が1リットルの5つ口反応容器に、調製した不揮発分22重量%の溶剤置換メラミン樹脂A(シクロヘキサノン)溶液596.2g、トリレンジイソシアネート7.7gを仕込み、60℃で2時間反応させた。
赤外分光分析により反応生物中に2280cm−1付近のイソシアネート基が存在しないことを確認した後、コハク酸無水物6.8gを加え、60℃で24時間反応させて生成物を得た。なお、赤外分光分析により生成物中に1780cm−1付近の酸無水物の吸収が存在しないことを確認した。
次に、上記生成物の不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンで希釈し、熱硬化性樹脂6を得た。
<合成例7>熱硬化性樹脂7
コハク酸二無水物を14.6g用いた以外は、合成例4と同様にして、熱硬化性樹脂5を得た。
<合成例8>アクリル樹脂1
内容量が2リットルの5つ口反応容器内に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート800g、メタクリル酸10g、メチルメタクリレート40g、ブチルメタクリレート80g、ヒドロキシエチルメタクリレート40gおよびアゾビスイソブチロニトリル2gを加え、窒素ガスを吹き込みながら、80℃で6時間加熱し、アクリル樹脂1を得た。得られたアクリル樹脂1の重量平均分子量は40000であった。
<合成例9>アクリル樹脂2
メタクリル酸を40g用いた以外は、合成例8と同様にして、アクリル樹脂2を得た。得られたアクリル樹脂2の重量平均分子量は40000であった。
<合成例10>アクリル樹脂3
内容量が2リットルの5つ口反応容器内に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート800g、メタクリル酸30g、ブチルメタクリレート70g、ヒドロキシエチルメタクリレート40g、pクミルフェノキシエチルアクリレート60gおよびアゾビスイソブチロニトリル2gを加え、窒素ガスを吹き込みながら、80℃で6時間加熱し、アクリル樹脂3を得た。得られたアクリル樹脂3の重量平均分子量は30000であった。
<合成例11>アクリル樹脂4
メタクリル酸33gを用いた以外は、合成例10と同様にして、アクリル樹脂4を得た。得られたアクリル樹脂4の重量平均分子量は30000であった。
<合成例12>アクリル樹脂5
内容量が2リットルの5つ口反応容器内に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート800g、メタクリル酸40g、ブチルメタクリレート40g、ヒドロキシエチルメタクリレート60g、pクミルフェノキシエチルアクリレート60gおよびアゾビスイソブチロニトリル4gを加え、窒素ガスを吹き込みながら、80℃で6時間加熱し、アクリル樹脂を得た。
このアクリル樹脂にさらにメタクリロイルオキシエチルイソシアネート45gを60℃で8時間反応させ、アクリル樹脂5を得た。このアクリル樹脂5の重量平均分子量は25000であった。
<合成例13>アクリル樹脂6
メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを15g用いた以外は、合成例10と同様にして、アクリル樹脂6を得た。このアクリル樹脂6の重量平均分子量は25000であった。それらの結果を下記表2に示す。
Figure 2009168836
(実施例1)
[着色組成物1の調製]
下記の要領でカラーフィルタ作製に用いる緑の着色組成物を調製した。
<緑色着色組成物>
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して、緑色顔料の分散体を作製した。
緑色顔料:C.I. Pigment Green36 7.9部
(東洋インキ製造社製「LIONOL GREEN 6YK」)
黄色顔料:C.I. Pigment Yellow150 5.8部
BAYER社製「FANCHON FAST YELLOW Y-5688」)
分散剤(味の素ファインテクノ社製「アジスパーPB821」) 1.8部
アクリル樹脂2(固形分20%) 36.5部
シクロヘキサノン 48部
その後、下記組成の混合物を均一になるように攪拌し、混合した後、5μmのフィルターで濾過して、緑色着色組成物1を得た。
上記分散体 52質量部
メラミン樹脂1 16質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート
(大阪有機化学工業(株)製 ビスコート#295) 4.8質量部
光重合開始剤
(チバガイギー社製「イルガキュア−369」) 2.8質量部
光増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) 0.2質量部
シクロヘキサノン 40.2質量部
(実施例2〜9、比較例1〜11)
分散体中の顔料、分散体中及び着色組成物中に用いる樹脂に下記表3に記載の樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして、着色組成物2〜9および11〜21を得た。
(実施例10、比較例12)
分散体中の緑色顔料に亜鉛フタロシアニンを、分散体中及び着色組成物中に用いる樹脂に下記表3に記載の樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして、着色組成物10および22を得た。
Figure 2009168836
(長期保存安定性評価)
緑色着色組成物を調製した翌日の初期粘度と、40℃で1週間、経時促進させた経時粘度を、E型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて、25℃において回転数20rpmという条件で測定した。この初期粘度および経時粘度の値から、下記式で経時粘度変化率を算出した。
[経時粘度変化率]=|([初期粘度]−[経時粘度])/[初期粘度]|×100
経時粘度変化率の評価基準は、下記の通りである。
○:経時粘度変化率が10%以下
△:経時粘度変化率が10%より大きく、20%以下
×:経時粘度変化率が20%より大きい
(感光性評価)
上記表3に示した各感光性着色組成物の感度を以下のようにして評価した。
はじめに、得られた感光性着色組成物をガラス基板上にスピンコート法により塗布し、膜厚2.3μmの塗布膜を形成した。次いで、露光光源に紫外線を使用した近接露光方式で、50μmの細線パターンを有するフォトマスクを介して紫外線露光を行なった。露光量は、30、40、50、60、70、80、90、100mJ/cmの8水準とした。
次に、1.25質量%の炭酸ナトリウム溶液を用いてシャワー現像した後、水洗して、230℃で20分の加熱処理を行い、パターニングを完了した。
得られたパターンの膜厚を未露光・未現像部分の膜厚(2.3μm)で割ってその残膜率を算出した。そして、横軸を露光量、縦軸を現像後残膜率として、露光感度曲線をプロットした。得られた露光感度曲線から、残膜率が80%以上に達する最小露光量を飽和露光量とし、下記の基準で評価した。
○:飽和露光量が50mJ/cm以下
△:飽和露光量が50mJ/cmより大きく100mJ/cm以下
×:飽和露光量が100mJ/cmより大きい
(パターニング性評価)
各実施例及び比較例において調製した各感光性着色組成物について、そのパターニング性能を、以下のようにして評価を行った。
はじめに、得られた感光性組成物をガラス基板上にスピンコート法により塗布し、70℃で15分のプリベークを行い、膜厚2.3μmの塗布膜を形成した。次いで、露光光源に紫外線を使用した近接露光方式で、幅6〜20μmの線幅のストライプパターンを備えたフォトマスクを介して紫外線露光を行なった。露光量は、上述した飽和露光量とした。
次に、1.25質量%の炭酸ナトリウム溶液を用いてシャワー現像した後、水洗した。現像時間は、それぞれ、未露光の塗布膜を洗い流すのに適正な時間とした。その後、230℃で20分間加熱処理をして評価用基板を作製し、光学顕微鏡にて観察した。評価基準は、下記の基準とした。
○:エッジ形状の直線性が優れている
×:パターンハガレやカケ、ガタツキなどの不具合が見られる。
(耐溶剤性評価)
上記パターニング性評価と同様にして、ストライプパターンを形成したガラス基板を下記条件下にさらし、その前後でのパターンの外観変化を光学顕微鏡にて観察した。
N−メチル−2−ピロリドン溶剤 浸漬 30分(温度24℃)
イソプロピルアルコール溶剤 浸漬 30分(同上)
γ−ブチロラクトン溶剤 浸漬 30分(同上)
下記の基準で耐溶剤性評価を評価した。
○:外観変化なし
×:パターンハガレ、カケ、クラックなどの不具合が見られる
(イオン溶出評価)
前述の方法で作製した緑色塗膜を150℃のホットプレート上で加熱し、基板上にN−メチルピロリドン(関東化学製サルファ処理瓶入りELグレード)を0.5mリットル滴下する。その上にあらかじめ自然酸化膜を除去したSiウエハーをかぶせ、15分加熱する。Siウエハーおよび塗膜表面のN−メチルピロリドンを4.5mlの超純水で回収し、エタノール(関東化学製サルファ処理瓶入りELグレード)5.0mlで希釈しイオンクロマトグラフ(DIONEX社製DX−500)でナトリウムイオン及びカルシウムイオンmp分析を行った。得られたナトリウムイオン及びカルシウムイオンの濃度から下記式1よりナトリウムイオン及びカルシウムイオンの溶出量を算出し、下記の基準で評価した。
(式1)
イオン溶出量(ng/cm)=イオン濃度(ng/ml)×溶出液量(ml)/Siウエハー面積(cm
○:ナトリウムイオン溶出量が3ng/cm以下である
×:ナトリウムイオン溶出量が3ng/cmを越えている
○:カルシウムイオン溶出量が1ng/cm以下である
×:カルシウムイオン溶出量が1ng/cmを越えている
それらの結果を下記表4に示す。
Figure 2009168836
上記表4より、所定の熱硬化性樹脂を含有する感光性樹脂組成物(実施例1〜10)は、長期保存安定性、感光性、パターニング性、さらには該感光性樹脂組成物を硬化して得られる塗膜の耐溶剤性及びN−メチルピロリドンにより溶出するナトリウムイオン及びカルシウムイオン量のいずれもが良好となる結果が得られた。
このような実施例1〜10に係る感光性樹脂組成物を用いて得たカラーフィルタは、耐熱性、基板との密着性、硬度、耐溶剤性、及び耐アルカリ性に優れ、特に液晶汚染が低減されていることから、焼付き不具合の発生し難い優れた液晶表示装置を提供することが可能となる。
これに対し、所定の熱硬化性樹脂を含有しない感光性樹脂組成物(比較例1〜12)は、長期保存安定性、感光性、パターニング性、さらには該感光性樹脂組成物を硬化して得られる塗膜の耐溶剤性のいずれかの特性において劣っており、特に、N−メチルピロリドンにより溶出するナトリウムイオン量は3ng/cmを越えているか、又はカルシウムイオン量は1ng/cmを越えている。
このような比較例1〜12に係る感光性樹脂組成物を用いて得たカラーフィルタは、耐熱性、基板との密着性、硬度、耐溶剤性、及び耐アルカリ性の少なくともいずれかが劣っており、特に液晶汚染が生ずるため、焼付き不具合が発生しやすい液晶表示装置を提供してしまう。
本発明の一実施形態に係るカラーフィルタを示す概略断面図である。 図1に示すカラーフィルタの変形例を示す概略断面図である。 本発明のカラーフィルタを備えた液晶表示装置の一例を示す概略断面図である。
符号の説明
1・・・ガラス基板、2・・・ブラックマトリックス、3・・・着色画素、4・・・対向基板担持層、5・・・セルギャップ制御用かさ上げ層、6・・・位相差層、7・・・液晶表示装置、8、9・・・透明基板、10・・・TFTアレイ、11、15・・・透明電極、12、16・・・配向層、13、17・・・偏光板、14・・・カラーフィルタ、18・・・三波長ランプ、19・・・バックライトユニット。

Claims (8)

  1. (A)光重合性モノマー、(B)樹脂バインダー、(C)重合開始剤、(D)着色剤及び(E)溶剤を含有するカラーフィルタ用感光性着色組成物であって、前記(B)樹脂バインダーは、メラミン樹脂とイソシアネート基を含有する化合物及び/又は酸無水物とを反応させてなる熱硬化性樹脂を含有し、該感光性着色組成物の硬化物をN−メチルピロリドンで溶出したときのナトリウムイオンの溶出量が3ng/cm以下、カルシウムイオンの溶出量が1ng/cm以下であることを特徴とするカラーフィルタ用感光性着色組成物。
  2. 前記(B)樹脂バインダーは、メラミン樹脂とイソシアネート基を含有する化合物とを反応させてなり、重量平均分子量が2500以上である熱硬化性樹脂を含有することを特徴とする請求項1に記載の感光性着色組成物。
  3. 前記(B)樹脂バインダーは、メラミン樹脂とイソシアネート基を含有する化合物とを反応させてなり、二重結合当量が100〜2000である熱硬化性樹脂を含有することを特徴とする請求項1に記載の感光性着色組成物。
  4. 前記(B)樹脂バインダーは、メラミン樹脂とイソシアネート基を含有する化合物と酸無水物とを反応させてなり、固形分酸価が60mgKOH/g以下である熱硬化性樹脂を含有することを特徴とする請求項1に記載の感光性着色組成物。
  5. 前記(B)樹脂バインダーは、メラミン樹脂と酸無水物とを反応させてなり、固形分酸価が60mgKOH/g以下である熱硬化性樹脂を含有することを特徴とする請求項1に記載の感光性着色組成物。
  6. 前記熱硬化性樹脂の含有量が前記感光性着色組成物の固形分中の3〜60%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  7. 透明基板と、この透明基板上に形成された、2色以上の多色のフィルタセグメントを具備するカラーフィルタにおいて、前記フィルタセグメントが、請求項1〜6のいずれかに記載の感光性着色組成物を硬化してなることを特徴とするカラーフィルタ。
  8. 請求項7に記載のカラーフィルタを備えることを特徴とする液晶表示装置。
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