JP2009168058A - 作業車輌 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】最高速設定機構870は、人為操作可能な最高速設定部材871と、最高速設定部材871の操作量を検出する最高速設定センサ872とを有し、制御装置800が、副変速装置200の変速段毎に、副変速装置200が何れか一の変速段に係合している状態における最高速設定部材871の操作量に基づいた最高速値を前記一の変速段の最高速設定値として記憶することで、作業車輌1の最高速を副変速装置200の変速段毎に設定可能とされている。
【選択図】図5
Description
例えば、前記主変速装置としてHSTが備えられた作業車輌には、前記HSTの出力調整部材(可動斜板)を作動させる主変速アクチュエータと、前記ポテンショメータからの信号に基づき前記主変速アクチュエータを作動制御する制御装置とが備えられ、前記HSTの可動斜板は、前記HSTが前記主変速操作部材の操作位置に応じた変速比となるように制御される。
例えば、前記主変速操作部材が0から100までの範囲で操作可能とされ且つ前記HSTが0から100までの範囲で出力可能である場合において、前記最高速設定部材が0から100までの範囲で最高速を設定可能であると仮定する。
この場合に、前記最高速設定部材を50に設定すると、前記制御装置は、前記主変速操作部材の0から100までの操作に応じて前記HSTの出力回転数が0から50まで変化するように、前記主変速アクチュエータの作動制御を行う。
即ち、前記仮定において、前記HSTの出力を50に保持したい場合、前記最高速設定機構を50に設定すれば、前記主変速操作機構を最大操作位置に位置させることで前記HSTの出力を50に保持することができる。
例えば、一の圃場での作業走行時等におけるように、前記副変速装置を低速段に係合させた状態で定速走行が必要な場合に、前記最高速設定部材によって所定の最高速を設定したと仮定する。この場合、前記作業の終了後に、前記一の圃場から他の圃場へ移動する際に前記副変速装置を高速段に係合させると、前記最高速設定部材によって設定されている最高速が前記副変速装置の高速段係合時にも適用されることになり、所望の速度が迅速に得られない。
なお、前記副変速装置を高速段に係合させた際に、前記最高速設定部材を最大位置(例えば100)に変更することも当然に可能であるが、これによると、前記他の圃場での作業開始時に、再度、前記最高速設定部材を前記所定の最高速に設定し直す必要があり、煩雑であった。
ここで、副変速装置が何れか一の変速段に係合していることを副変速検出センサが検出している状態において、最高速設定機構の最高速設定部材を人為操作すると、最高速設定センサが最高速設定部材の操作量を検出し、当該操作量に基づいた最高速値が制御装置により前記一の変速段の最高速設定値として記憶される。また、副変速装置が何れか他の変速段に係合していることを副変速検出センサが検出している状態において、最高速設定機構の最高速設定部材を人為操作すると、最高速設定センサが最高速設定部材の操作量を検出し、当該操作量に基づいた最高速値が制御装置により前記他の変速段の最高速設定値として記憶される。こうして作業車輌の最高速が副変速装置の変速段毎に設定される。
従って、副変速装置として作用する多段変速装置の変速操作毎に最高速の設定を繰り返す必要を無くし、操作性を向上させることができる。
このように、最高速設定センサにより検出させる最高速設定部材の操作量を操作方向とともに出力可能な構成を上記のようなロータリエンコーダにより実現することにより、前記最高速設定部材の構成を簡単にすることができるとともに、最高速設定センサによる操作量検出を確実に行うことができる。
これにより、誤って最高速設定部材に触れた場合等においてオペレータの意思に反して最高速設定値が変更されることを防止することができる。
従って、最高速設定部材を微小操作することにより、別途、最高速設定値確認用の操作具を設けることなく、現在係合中の変速段における最高速設定値を容易に確認することができる。しかも、この際の操作量は制御装置において操作量として計数されないため、最高速設定値の確認時に最高速設定値が変更されることを有効に防止することができる。
これにより、最高速設定部材を操作軸回り何れか一方側に回転操作し、所望の位置で停止させる際に、オペレータが意に反して微小な時間逆回転操作を入力してしまった場合であっても、当該逆回転操作が無効とされるため、所望の操作量をより確実且つより容易に入力することができる。
これにより、最高速設定値の記憶時にオペレータが別途操作する必要がなくなるとともに、記憶操作をし忘れたりすることもない。また、最高速設定部材の操作後すぐに記憶することとすると、最高速設定部材の操作量を微調整している場合等において、何度も記憶し直す必要が生じ、処理回数が増加した結果処理速度が低下する不具合が生じ得るが、前記所定時間の経過又は副変速装置の変速段の変更を待って記憶することにより、このような不具合を未然に防止することができるとともに、書き込み回数に制限がある電源を切っても失われない記憶領域(EEPROM等)を用いた場合に書き込み回数を減少させることができるため、当該記憶領域の寿命をより長くすることができる。
これにより、書き込み回数に制限がある電源を切っても失われない記憶領域を用いた場合に無駄な書き込みをなくし、書き込み回数を減少させることにより、当該記憶領域の寿命をより長くすることができる。
従って、副変速装置として作用する多段変速装置の変速操作毎に最高速の設定を繰り返す必要を無くし、操作性を向上させることができる
図1に、本発明の一実施形態における作業車輌1の側面図を示す。又、図2に、図1の作業車輌1における伝動模式図を示す。
詳しくは、前記作業車輌1は、車輌フレーム5と、当該車輌フレーム5に支持される駆動源10と、前記駆動源10に直列配置された状態で車輌フレーム5に支持されるトランスミッション100とを備えている。
前記トランスミッション100は、走行系伝動経路として、駆動源10からの出力が入力され、主変速装置として機能する無段変速装置であるHST110と、前記駆動源10からの同期出力及び前記HST110からの変速出力が入力され、前記HST110と組み合わされてHMTを形成する遊星ギヤユニット150と、前記遊星ギヤユニット150から出力される回転動力の伝動経路を切り換える走行系油圧式切換ユニット300と、前記走行系油圧式切換ユニット300からの回転動力を変速する機械式の多段変速装置として機能する副変速装置200と、前記副変速装置200からの回転動力を一対の主駆動車軸へ差動的に伝達するディファレンシャルギヤユニット400とを備えている。
従って、前記HST110は、前記構成に加えて、前記油圧ポンプ本体112の給排油量を変更する可動斜板及び前記可動斜板を傾転させる制御軸を含む出力調整部材115を備えている。
前記制御軸は、前記同期出力軸111と直交する方向に延び且つ一端部が外方へ延在されている。また、前記可動斜板は、連結アームを介して前記制御軸の他端部に連結されおり、前記制御軸の軸線回りの回転に応じて傾転するようになっている。
また、前記インターナルギヤ153は、前記同期伝達軸157と同軸に遊嵌された中空の変速伝達軸159に軸線回り相対回転不能に固定されている。前記変速伝達軸159の前端部には、変速伝達ギヤ160が軸線回り相対回転不能に固定されており、前記変速出力軸113に軸線回り相対回転不能に固定された変速入力ギヤ117と噛合することにより、HST110の変速出力が前記インターナルギヤ153に伝達される。
前記合成出力部材154は、前端部が前記同期伝達軸157と同軸に遊嵌され、後端部には、前進側低速伝達ギヤ161が軸線回り相対回転不能に固定されている。
本実施形態において、前記走行系油圧式切換ユニット300は、前記遊星ギヤユニット150から作動的に入力される回転動力を、選択的に結合される前進低速経路、前進高速経路又は後進経路を介して、合成出力軸301へ伝達し得るように構成されている。
より具体的には、前記走行系油圧式変換ユニット300は、後続する前記副変速装置200ヘ向けて回転動力を出力する前記合成出力軸301(本実施形態においては前記中空の同期伝達軸157と同軸上に配置されている)と、前記合成出力軸301に軸線回り相対回転不能に支持された前進側クラッチハウジング302及び後進側クラッチハウジング303と、前記前進側クラッチハウジング302に軸線回り相対回転不能且つ軸線方向摺動可能に指示された前進側高速従動部材3042H及び前進側低速従動部材3042Lと、前記後進側クラッチハウジング303に軸線回り相対回転不能且つ軸線方向摺動可能に支持された後進側従動部材3042Rと、前記遊星ギヤ152に作動連結された前進側高速駆動部材3041Hであって、油圧の作用によって前記前進側高速従動部材3042Hに対して係合状態又は非係合状態を選択的に取り得る前進側高速駆動部材3041Hと、前記合成出力部材154に作動連結された前進側低速駆動部材3041Lであって、油圧の作用によって前記前進側低速従動部材3042Lに対して係合状態又は非係合状態を選択的に取り得る前進側低速駆動部材3041Lと、前記合成出力部材154に反転ギヤ列を介して作動連結された後進側駆動部材3041Rであって、油圧の作用によって前記後進側従動部材3042Rに対して係合状態又は非係合状態を選択的に取り得る後進側駆動部材3041Rとを有している。
そして、前記前進側高速従動部材3042H及び前記前進側低速従動部材3042Lは、前記隔壁302aを挟んで車輌前後方向一方側(ここでは前方側)及び他方側(後方側)に位置した状態で、前記周壁302bに軸線回り相対回転不能且つ軸線方向摺動可能に支持されている。
また、前記後進側クラッチハウジング303は、基端部が前記合成出力軸301に相対回転不能に支持され且つ先端部が径方向外方へ延びる前記隔壁303aと、前記隔壁303aの先端部から車輌前後方向他方側(ここでは後方側)へ延びる周壁303bとを有している。
そして、前記後進側従動部材3042Rは、前記周壁303bに軸線回り相対回転不能且つ軸線方向摺動可能に支持されている。
本実施形態においては、前記前進側高速駆動部材3041Hは、前進側高速ギヤ列を介して前記遊星ギヤ152に作動連結されている。
前記前進側高速ギヤ列は、図2に示すように、前記遊星ギヤ152を相対回転不能に支持する前進側高速第1伝動軸155aと、前記前進側高速第1伝動軸155aに相対回転不能に支持された前進側高速第1ギヤ155bと、前記前進側高速第1ギヤ155bに噛合された前進側高速第2ギヤ155cと、前記前進側高速第2ギヤ155cを相対回転不能に支持する前進側高速第2伝動軸155dとを有している。
そして、前記前進側高速駆動部材3041Hは、前記前進側高速従動部材3042Hに対向した状態で、前記前進側高速第2伝動軸155dに相対回転不能且つ軸線方向摺動可能に支持されている。
前記前進側高速駆動部材3041H及び前記前進側高速従動部材3042Hは、油圧の作用によって選択的に係合状態又は非係合状態となる前進側高速クラッチ315H(図4参照)を形成している。
なお、本実施形態においては、前記前進側高速第1伝動軸155aは、前記合成出力部材154が相対回転自在に内挿される中空軸とされている。また、前記前進側高速第2伝動軸155dは、前記合成出力軸301が内挿される中空軸とされている。
本実施形態において、前記前進側低速駆動部材3041Lは、前記前進側低速伝達ギヤ161を介して前記合成出力部材154に作動連結されている。
詳しくは、前記前進側低速伝達ギヤ161は、図2に示すように、前記合成出力部材154の前記サンギヤ151回りの公転に従って、前記サンギヤ151と同軸上に配置された前記合成出力軸301回りに公転するように、前記合成出力軸301に相対回転自在に支持されている。
そして、前記前進側低速駆動部材3041Lは、前記前進側低速従動部材3042Lに対抗した状態で、前記前進側低速伝達ギヤ161に相対回転不能且つ軸線方向摺動可能に支持されている。
前記前進側低速駆動部材3041L及び前記前進側低速従動部材3042Lは、油圧の作用によって選択的に係合状態又は非係合状態となる前進側低速クラッチ315L(図4参照)を形成している。
前記反転ギヤ列は、前進側低速伝達ギヤ161を利用して、前記後進側駆動部材3041Rに反転動力を伝達するように構成されている。
具体的には、前記反転ギヤ列は、図2に示すように、前記前進側低速伝達ギヤ161に噛合された後進側第1ギヤ164と、前記後進側第1ギヤ164を相対回転不能に支持する後進側伝動軸163と、前記後進側伝動軸163に相対回転不能に支持された後進側第2ギヤ165と、前記後進側第2ギヤ165に噛合された逆転ギヤ166と、前記逆転ギヤ166に噛合された状態で前記合成出力軸301に相対回転自在に支持された後進側第3ギヤ162とを有している。
そして、前記後進側駆動部材3041Rは、前記後進側従動部材3042Rに対抗した状態で、前記後進側第3ギヤ162に相対回転不能且つ軸線方向摺動可能に支持されている。
前記後進側駆動部材3041R及び前記後進側従動部材3042Rは、油圧の作用によって選択的に係合状態又は非係合状態となる後進側クラッチ315R(図4参照)を形成している。
即ち、前記前進側高速駆動部材3041Hは、駆動側摩擦板とされ、前記前進側高速従動部材3042Hは、従動側摩擦板とされている。
同様に、前記前進側低速クラッチ315Lを形成する前記前進側低速駆動部材3041L及び前記前進側低速従動部材3042L、並びに、前記後進側クラッチ315Rを形成する前記後進側駆動部材3041R及び前記後進側従動部材3042Rも、摩擦板の形態をなしている。
詳しくは、前記走行系油圧式変換ユニット300が前進側高速伝動状態となると(即ち、前記前進側高速駆動部材3041H及び前記前進側高速従動部材3042Hが係合されると)、前記遊星ギヤ152の前記合成出力部材154の軸線回りの回転成分が前記合成出力軸301に作動的に伝達される。
前記走行系油圧式変換ユニット300が前進側低速伝動状態となると(即ち、前記前進側低速駆動部材3041L及び前記前進側低速従動部材3042Lが係合されると)、前記合成出力部材154の前記サンギヤ151回りの回転成分が前記合成出力軸301に作動的に伝達される。
そして、前記走行系油圧式変換ユニット300が後進側伝動状態となると(即ち、前記後進側駆動部材3041R及び前記後進側従動部材3042Rが係合されると)、前記合成出力部材154回りの前記サンギヤ151回りの回転成分が前記反転ギヤ列を介して前記合成出力軸301に作動的に伝達される。
かかる構成を備えることにより、前記HST110への操作量に対する前進側の変速範囲を大きくとることができるとともに、作業時に使用される前進側低速伝動状態FL時に前記HST110の可動斜板の傾転位置を小さくすることができ、これにより、前記HST110の伝動効率を向上させることができる。
本実施形態において、前記副変速装置200は、高速段及び低速段の2段変速を行うように構成されている。
具体的には、前記副変速装置200は、図2に示すように、前記合成出力軸301に作動連結された駆動軸201と、前記駆動軸201に対して平行に配置されたプロペラ軸206と、前記駆動軸201及び前記プロペラ軸206に支持された高速ギヤ列及び低速ギヤ列と、前記高速ギヤ列又は前記低速ギヤ列を選択低に動力伝達状態とさせるシフタ209とを備えている。
前記プロペラ軸206は、前記合成出力軸301と同軸上に配置されている。
前記低速ギヤ列は、前記駆動軸201に支持された低速側駆動ギヤ205と、前記低速側駆動ギヤ205に噛合された状態で前記プロペラ軸206に支持された低速側従動ギヤ208とを有している。
本実施形態において、前記高速側駆動ギヤ204及び前記低速側駆動ギヤ205は、前記駆動軸201に相対回転不能に支持され、前記高速側従動ギヤ207及び前記低速側従動ギヤ208は、前記プロペラ軸206に軸線回り相対回転自在に支持されている。
従って、本実施形態において、前記シフタ209は、前記プロペラ軸206に支持されている。詳しくは、前記シフタ209は、前記高速側従動ギヤ207及び前記低速側従動ギヤ208の間において前記プロペラ軸206に軸線回り相対回転不能且つ軸線方向摺動可能に支持されている。
即ち、前記シフタ209が前記プロペラ軸206の軸線方向位置に関し高速段位置に位置されると、前記副変速装置200は、前記駆動軸201の回転動力が前記高速ギヤ列のギヤ比に応じた速度で前記プロペラ軸206へ伝達される高速段状態となる。
また、前記シフタ209が前記プロペラ軸206の軸線方向位置に関し低速段位置に位置されると、前記副変速装置200は、前記駆動軸201の回転動力が前記低速ギヤ列のギヤ比に応じた速度で前記プロペラ軸206へ伝達される低速段状態となる。
そして、前記シフタ209が、高速段位置から低速段位置又は低速段位置から高速段位置へ移行する際の過渡状態として、前記プロペラ軸206の軸線方向位置に関し高速段位置及び低速段位置の間の中立位置に位置されると、前記副変速装置200は、前記駆動軸201から前記プロペラ軸206への動力伝達が遮断される動力遮断状態となる。
詳しくは、前記プロペラ軸206の後端には、主駆動輪用のディファレンシャルギヤユニット400の入力傘歯車401に噛合される小傘歯車402が設けられている。
また、本実施形態において、前記プロペラ軸206は、副駆動輪として作用する前記前輪35へも回転動力を出力し得るように構成されている。
即ち、前記トランスミッション100の底部には、副駆動輪である前輪35へ向けて回転動力を出力する前輪駆動力取り出し軸210が配設されており、前記プロペラ軸206は、伝達ギヤ列211,212を介して前記前輪駆動力取り出し軸210に作動連結されている。
図4に、図1の作業車輌1における油圧回路図を示す。
本実施形態においては、前記作業車輌1は、前記補助ポンプ本体として第1及び第2補助ポンプ本体51,52を有している。
即ち、前記作業車輌1は、前記第1及び第2補助ポンプ本体51,52と、一端部がミッションケース等の油源に流体接続され且つ他端部が前記第1及び第2補助ポンプ本体51,52の吸引側に流体接続された吸引ライン601と、一端部が前記第1補助ポンプ本体51の吐出側に流体接続された第1吐出ライン611と、一端部が前記第2補助ポンプ本体の吐出側に流体接続された第2吐出ライン612とを備えている。
なお、図4中の符号50は、作業機の各種姿勢制御等を油圧作動させるためのメインポンプであり、前記第1及び第2補助ポンプ本体51,52と油源を共通としている。図4においては、作業機の各種姿勢制御等のための油圧回路は省略している。
本実施形態において、副変速バルブ80には、前記第2吐出ライン612に流体接続された副変速給排ライン660が流体接続されている。
なお、PTO用油圧回路70には、作業車輌1の副駆動輪にも駆動力を伝達するか否かを切り換える2駆/4駆切換バルブ90が流体接続されており、前記パワーステアリング用油圧回路60には、駆動輪にブレーキを掛け得る走行系ブレーキユニット95が流体接続されている。
また、前記HST110における前記油圧ポンプ本体112を傾転させる前記出力調整部材115の制御軸は、変速レバー等の操作部材の操作に応じて操作される油圧サーボ機構125によって軸線回りに回転されるようになっている。
本実施形態において、前記油圧サーボ機構125は、前記出力調整部材115を操作する出力調整部材用油圧アクチュエータ119と、前記出力調整部材用油圧アクチュエータ119への作動油の給排を切り換える油圧サーボ弁120と、前記油圧サーボ弁120を操作するサーボ用油圧アクチュエータ(油圧シリンダ及び油圧ピストン)121と、前記サーボ用油圧アクチュエータ121への作動油の給排を切り換える電磁比例弁122とを備えている。
後述する主変速操作部材の人為操作に応じて前記電磁比例弁122が電気的に切り換えられると、前記供給ライン620からの作動油が油圧アクチュエータ121に供給され、油圧アクチュエータ121が移動する。前記油圧アクチュエータ121の移動に応じて油圧サーボ機構120が切り換えられることにより、前記油圧サーボ機構120は、前記電磁比例弁122からの作動油をトリガにして別途前記供給ライン620から供給される作動油を前記出力調整部材115に供給し、可動斜板を傾転させる。
なお、図4中の符号605は、前記チャージライン705から対応するHST作動油路701への作動油の流入を許容し且つ逆向きの流れを防止するチェック弁であり、符号606は、一対のHST作動油路701が異常高圧になることを防止するための高圧リリーフ弁である。
また、前記PTO用油圧回路70は、前記PTO油圧クラッチ75に対する作動油が給排されるPTO給排ライン645と、前記PTO油圧クラッチ75から前記PTO給排ライン645を介して排出される作動油を油溜めへドレンするためのPTOドレンライン650と、前記PTO給排ライン645の給排制御を司るPTO切換バルブ655とを備えている。
本実施形態において、前記走行系供給ライン631は、前記副変速給排ライン660にクラッチバルブ85を介して流体接続されており、前記副変速給排ライン660を通じて前記第2吐出ライン612からの作動油が給排される。
従って、前記走行系供給ライン631は、前進側高速供給ライン631H、前進側低速供給ライン631L及び後進側供給ライン631Rを含み、前記走行系給排ライン630は、高速側前進給排ライン630H、低速側前進給排ライン630L及び後進側給排ライン630Rを含み、前記走行系切換バルブ640は、前記前進側高速給排ライン630Hの給排制御を司る前進側高速切換バルブ640H、前記前進側低速給排ライン630Lの給排制御を司る前進側低速切換バルブ640L及び前記後進側給排ライン630Rの給排制御を司る後進側切換バルブ640Rを含んでいる。
また、前記PTO用油圧回路70は、前記PTO油圧クラッチ75へ潤滑油を供給するためのPTO系潤滑油ライン735を備えている。前記走行系潤滑油ライン730とPTO系潤滑油ライン735とは、流体接続されている。
なお、前記前進側高速伝動状態及び前進側低速伝動状態の間の切り換え時に動力が一旦遮断され、再度接続される場合に生じるいわゆる変速ショックを防止するために、微小な所定時間、前記前進側高速クラッチ315H及び前進側低速クラッチ315Lの何れにも圧油が流入した状態(クラッチダブル噛み状態)を設けることができ、これにより、前進側高速伝動状態から前進側低速伝動状態、及び前進側低速伝動状態から前進側高速伝動状態への切り換えをスムーズに行うことができる。
具体的には、前記副変速アクチュエータ81は、前記副変速バルブ80を介して前記副変速給排ライン660から作動油が供給されるシリンダ機構を有している。
即ち、前記副変速バルブ80は、前記副変速アクチュエータ81を介して前記シフタ209を前記プロペラ軸206の車輌前後方向一方側(ここでは前方側)に移動させて、前記プロペラ軸206を前記高速側従動ギヤ207に凹凸結合させる高速段位置と、前記副変速アクチュエータ81を介して前記シフタ209を前記プロペラ軸206の車輌前後方向他方側(ここでは後方側)に移動させて、前記プロペラ軸206を前記低速側従動ギヤ208に凹凸結合させる低速段位置とを選択的に取り得るようになっている。
なお、前記副変速バルブ80は、例えば、人為操作可能な副変速操作部材の操作位置を電気的に検出することにより位置制御される。
また、本実施形態において、前記副変速バルブ80は、前記シフタ209を高速段位置又は低速段位置の何れかを選択的に取り得る2位置バルブとされているが、これに代えて、前記副変速バルブ80が、前記高速段位置及び前記低速段位置に加えて、前記シフタ209が前記高速側従動ギヤ207及び前記低速側従動ギヤ208の何れとも凹凸係合しないように、前記シフタ209を前記高速段位置及び前記低速段位置の間に位置させる遮断位置を選択的取り得るように構成することも可能である。
まず、副変速装置200における変速段毎の最高速設定制御について説明する。
図5に、図1の作業車輌1の制御系に関する概略構成図を示す。
本実施形態における作業車輌1は、図5に示すように、主変速装置である前記HST110を変速操作するための主変速操作部材(例えば、主変速レバー等)810であって、所定の操作可能範囲に亘って人為操作可能とされた主変速操作部材810と、前記主変速操作部材810の操作位置を検出する主変速操作検出センサ820と、前記HST110の出力調整部材115の可動斜板を傾転させる主変速アクチュエータ830(本実施形態においては、前記油圧サーボ機構125)と、前記副変速装置200を変速操作するための副変速操作部材840と、前記副変速操作部材840の操作に応じて前記副変速装置200を変速させる前記副変速アクチュエータ81と、前記副変速装置200が係合している変速段を検出する副変速検出センサ850と、前記主変速検出センサ820からの信号に基づき前記主変速アクチュエータ830の作動制御を行う制御装置800と、前記主変速操作部材810が前記操作可能範囲内において最大操作された際の前記HST110の変速比を変更するための最高速設定機構870とを備えている。
本実施形態においては、前記副変速操作部材840の操作は、後述する副変速操作検出センサ890を介して前記制御装置800に伝えられる。
即ち、前記主変速操作部材810を最大操作しても、前記制御装置800は、前記最高速設定部材870によって設定された所定速度となるように前記HST110の出力回転数を制御する。
即ち、前記最高速設定機構870は、人為操作可能な単一の最高速設定部材871と、前記最高速設定部材871の操作量を検出する最高速設定センサ872とを有している。
そして、前記制御装置800は、前記副変速装置200が何れか一の変速段に係合している状態における前記最高速設定部材871の操作量に基づいた最高速値を前記一の変速段の最高速設定値として記憶し得るように構成されている。
前記副変速装置200が前記一の変速段から他の変速段(例えば、低速段)に変速操作されると、前記制御装置800は、前記副変速検出センサ850からの検出信号に基づいて前記副変速装置200が他の係合段に係合されたことを認識する。この状態において、前記最高速設定機構870の最高速設定部材871が人為操作されると、前記最高速設定センサ872が最高速設定部材871の操作量を検出し、前記制御装置800は、当該操作量に基づいた最高速値を前記他の変速段の最高速設定値として電源を切っても失われない記憶領域(図5においてはEEPROM)805に記憶する。
従って、かかる従来の作業車輌においては、例えば、一の圃場での作業走行時に、副変速装置を低速段に係合させた状態で最高速設定部材によって所望の最高速を設定した場合において、前記作業の終了後に、前記一の圃場から他の圃場へ移動する際に副変速装置を高速段に係合させると、最高速設定部材の操作位置によって定まる最高速が副変速装置の高速段係合時にも適用されることになり、所望の速度が迅速に得られないという不都合が生じる。
なお、前記副変速装置を高速段に係合させた際に、前記最高速設定部材を最大位置(例えば100)に変更することも当然に可能であるが、これによると、前記他の圃場での作業開始時に、再度、前記最高速設定部材を前記所定の最高速に設定し直す必要があり、煩雑であった。
従って、一の変速段における最高速設定値を変更しても他の変速段における最高速設定値に影響を与えることがなく、一の変速段における最高速設定後に他の変速段に係合した場合でも変速段に応じた適切な最高速で走行することができる。
また、前記最高速設定センサ872は、前記最高速設定部材871の前記操作軸874回りの操作量に応じて波形が同じで互いに位相が異なる第1及び第2パルス列P1,P2を出力するロータリエンコーダ873を有している。
前記制御装置800は、前記最高速設定部材871の前記操作軸874回りの回転量に応じて前記ロータリエンコーダ873から出力されたパルス数を検出することにより、操作量を検出するとともに、前記第1パルス列P1の出力がONに変化した際に前記第2パルス列P2の出力がON又はOFFの何れであるかを検出することにより、操作方向を検出する。
なお、操作量の検出においては、第1及び第2パルス列P1,P2の何れか一方のパルス数を計数すればよいが、第1及び第2パルス列P1,P2の出力のうち、何れか一方の出力値が変化してから何れか他方の出力値が変化しない場合には、操作量として検出しないことが好ましい。これにより、出力線が断線又は短絡している故障時において意に反した最高速設定値の更新が行われることを有効に防止することができる。
制御装置800に入力されたロータリエンコーダ873の出力のうち、ロータリエンコーダ873から出力されたパルス数を検出することにより、最高速設定部材871の操作量が検出される。また、制御装置800に入力されたロータリエンコーダ873の出力のうち、ロータリエンコーダ873から出力された第1パルス列P1の出力がONに変化した際(時刻Ton)の第2パルス列P2の出力の状態がON又はOFFの何れであるかを検出することにより、最高速設定部材871の操作方向が検出される。
即ち、ロータリエンコーダ873から出力される第1パルス列P1と第2パルス列P2とは、波形が同じで互いに位相が異なるため、本実施形態において、ロータリエンコーダ873を操作軸874回り時計回りに操作した場合、第1パルス列P1の出力がONに変化した際の第2パルス列P2の出力がOFFとなり(図6(a))、操作軸874回り反時計回りに操作した場合、第1パルス列P1の出力がONに変化した際の第2パルス列P2の出力がONとなる(図6(b))。
なお、前記ロータリエンコーダ873を操作速度(回転速度)に応じて出力されるパルス数が変化する(操作量が同じでも回転速度が速いほどパルス数が多く出力される)ように構成することにより、最高速設定変更量の多少に関わらず短時間で容易に最高速設定値の更新を行うことも可能である。
図7に、本実施形態における最高速設定制御における最高速設定部材操作量検出処理に関するフローチャートを示す。
まず、最高速設定部材871が操作されると、前記制御装置800は、前記ロータリエンコーダ873が出力する第1及び第2パルス列P1,P2の出力パルスのうち第1番目の開始パルスを検出する(ステップS11)。開始パルスの検出をトリガとして前記制御装置800は、内蔵されたタイマ806を作動させ計時を開始する(ステップS12)。即ち、開始パルス検出時が時刻T=0となる。
前記制御装置800は、人為操作信号に基づいて、前記副変速装置200において現在係合中の変速段での前記最高速設定値を前記作業車輌1に備えられた表示器880に表示させることができる。かかる構成を備えることにより、操作性を向上させることができる。
前記表示器880における表示態様は特に限定されるものではないが、例えば、前記表示器880に設けられた液晶表示部881に最高速設定値を数字又はレベルゲージ等を用いて表示したり、前記表示器880の車速表示部882において最高設定値に対応する箇所を点灯又は別の色で表示することができる。
詳しくは、本実施形態において、前記制御装置800は、前記ロータリエンコーダ873が出力する第1及び第2パルス列P1,P2の出力パルスのうち第1番目の開始パルス(時刻T0)から所定時間Td内に検出される出力パルスを操作量としては計数しない。
即ち、前記制御装置800は、開始パルス検出時(T=0)から前記所定時間Td(例えば、100ms)経過した後に、検出されるパルス列のパルス数を最高速を変更するための信号として検出する(ステップS13,S15)。このとき、所定時間Td経過後にタイマがリセットされる(ステップS14)。
これにより、誤って最高速設定部材871に触れた場合等においてオペレータの意思に反して最高速設定値が変更されることを防止することができる。加えて、上記のように現在の最高速設定値を確認するだけのために最高速設定部材871を操作した場合に、当該最高速設定値が変化することを防止することができる。
前記時刻がT1を経過するまでに次のパルスが検出された場合において、当該次のパルスの出力がONに変化した際の第2パルス列P2の出力が、その前のパルスまでの出力状態(第1出力状態)と同じであれば、前記制御装置800は、当該パルスを前記最高速設定部材871操作量として計上する。
一方、前記次のパルスの出力がONに変化した際の第2パルス列P2の出力が、その前のパルスまでの出力状態(第1出力状態)とは異なる出力状態(第2出力状態)となった場合(ステップS17でNo且つステップS20でYes)、再びタイマ806を再計測させて(ステップS21)、時刻が第2所定時間T2を経過するまで当該第2出力状態のパルス量を検出しない(ステップS22,S24)ように制御される。従って、第2所定時間T2を超えた逆回転入力分のパルス出力から操作量が検出される(ステップS24)。このとき、第2所定時間T2経過後にタイマがリセットされ(ステップS23)、第2出力状態を検出した後、再びタイマ計測が開始される(ステップS25)。
これにより、最高速設定部材871を操作軸874回り何れか一方側に回転操作し、所望の位置で停止させる際に、オペレータが意に反して微小な時間逆回転操作を入力してしまった場合であっても、当該逆回転操作が無効とされるため、所望の操作量をより確実且つより容易に入力することができる。
これにより、書き込み回数に制限があるEEPROM805を用いた場合に無駄な書き込みをなくし、書き込み回数を減少させることにより、当該記憶領域の寿命をより長くすることができる。
この場合、前記副変速装置200が一の変速段に係合している際に、前記電気スイッチをON状態に保持している時間(例えば、押しボタン式の電気式スイッチであれば、押し続けている時間)に応じて入力される最高速値が変化し、前記電気スイッチをOFF状態にする(前記押しボタン式の場合は、手を離す)ことにより、前記制御装置800は、入力された最高速値を前記一の変速段における最高速設定値として記憶する。これを変速段毎に行うことにより、副変速装置200の各変速段毎の最高速を記憶することができる。
即ち、制御装置800は、1)副変速装置200が何れか一の変速段に係合している状態での前記ポテンショメータからの位置信号に基づき、前記一の変速段用の最高速設定値を記憶し、2)前記一の変速段用の最高速設定値を記憶した後に前記副変速装置200が前記一の変速段に係合された状態で前記最高速設定部材871が操作された場合には、前記最高速設定部材871が記憶されている前記最高速設定値に対応する操作位置まで操作されない限り最高速設定値を更新しないように構成され得る。
なお、この場合は、最高速設定の更新が許可されない状態で前記最高速設定部材871が操作されている場合には、その旨を表示器880等に表示することが好ましい。
本実施形態において、前記作業車輌1は、図5に示すように、前記駆動輪30の回転速度を直接又は間接的に検出する車速センサ860をさらに備えている。
前記通常制御モード及び前記初期調整モード間のモード切換は、例えば、前記表示器880を用いて対話形式で入力を行う、若しくは、所定の操作スイッチを押しながら駆動源10を始動させる等のモード移行操作を行うことにより、行われる。
具体的には、まず、前記車速センサ860に基づいて前記駆動輪30の回転速度が所定の第1速度V1となるように前記主変速アクチュエータ830が作動され、そのときのHSTモータ軸回転数におけるHST110の可動斜板傾斜角R1及び作動制御量(電磁比例弁122への印加電流値)S1を前記EEPROM806に記憶させる。
次に、前記車速センサ860に基づいて前記駆動輪30の回転速度が第1速度V1とは異なる所定の第2速度V2、具体的には零、即ち作業車輌1が停止する状態となるように前記主変速アクチュエータ830が作動され、そのときのHSTモータ軸回転数におけるHST110の可動斜板傾斜角R2及び作動制御量(電磁比例弁122への印加電流値)S2を前記EEPROM806に記憶させる。
このようにして得られた前記第1及び第2作動制御量S1,S2に基づいて線形補間が行われ、前記主変速アクチュエータ830の作動制御量に対する前記駆動輪30の回転速度変化(車速変化)についての制御関数が算出され、前記EEPROM806に記憶される。
図9に、初期調整モードにより算出されるHST110の制御関数のグラフを示す。
図9においては、縦軸であるHST110の可動斜板傾斜角(主変速アクチュエータ830の作動制御量)が無次元化した値(正転又は逆転方向にそれぞれ1000段階)により表示されている。
従って、制御装置800が主変速アクチュエータ830を介して出力調整部材115を所定位置に位置させているにも拘わらず、作業車輌1の実際の車速が前記主変速操作部材810が位置されている所定の速度位置に対応した速度にならない状態が生じるのを防止することができ、HST110の製造誤差に拘わらず、前記主変速操作部材115の操作位置に応じた車速を容易に得ることができる。
なお、本実施形態においては、前記第1及び第2速度V1,V2における制御電流値を検出することとしているが、さらに多くの速度地点における制御電流値を検出し、隣り合う2点間を線形補完することとしてもよい。特に、HST110の出力特性が二次曲線となるような仕様においては有効である。
このような作業車輌1においては、作業車輌1を停止させる際の主変速アクチュエータ830の作動制御量を正確に有していないと、主変速操作部材810を車輌停止位置に位置させているにも拘らず、作業車輌1が前進又は後進するという不都合が生じる。
従って、前記制御関数を、作業車輌1の停止状態における主変速アクチュエータ830の作動制御量については実測値を用いて算出することは、かかる作業車輌1において特に有効である。
また、フィードフォワード制御を行った上で、フィードバック制御を行うことにより、単にフィードバック制御のみを行った場合に比べて、適正値への制御をより迅速に行うことができる。
本実施形態において、前記作業車輌1は、前記副変速装置200の切換動作の異常の有無を検出するとともに、異常時には下記制御を行うように構成されている。
図10に、本実施形態の作業車輌1における副変速装置200及び副変速アクチュエータ81の部分断面図を示す。
本実施形態において、前記作業車輌1は、前記副変速アクチュエータ81の動作に応じて前記シフタ209を軸線方向に移動させる副変速操作機構を有している。
詳しくは、前記副変速操作機構は、図10に示すように、前記シフタ209が支持されている軸(本実施形態においては前記プロペラ軸206)に平行に配設されたフォーク軸221と、基端部が前記フォーク軸221に固定され且つ先端部に前記シフタ209に係合するフォークが設けられたシフトフォーク222とを備えている。
前記ピストン81bの前記基端部は、前記シリンダ81aの内部空間を低速室及び高速室に区画している。
前記シフタ209は、以下のようにして移動される。
即ち、前記副変速バルブ80によって前記低速室及び前記高速室に対する作動油給排を切り換えることにより、前記ピストン81bが軸線方向に進退動作し、前記フォーク軸221を軸線方向に進退動作させる。かかる前記フォーク軸221の軸線方向移動によって、前記フォーク軸221に固定された前記シフトフォーク222を介して、前記シフタ209が前記プロペラ軸206の軸線方向に移動する。
この際、前記シフタ209は、動力が遮断される位置を挟んで軸線方向一方側の高速段位置と軸線方向他方側の低速段位置とに選択的に位置される。
前記副変速検出センサ850は、前記副変速アクチュエータ81の作動状態を直接又は間接的に検出する。
本実施形態においては、前記副変速検出センサ850は、一体的に軸線方向に沿って進退動作する前記ピストン81b、前記フォーク軸221、前記シフトフォーク222及び前記シフタ209からなる副変速操作アッセンブリの軸線方向位置を検出することで、前記副変速操作機構の作動状態(即ち、前記副変速装置200の係合段)を検出するように構成されている。
具体的には、前記副変速検出センサ850は、図10に示すように、前記フォーク軸221に対して略直交する状態で軸線回り回転自在に配置された検出軸851と、前記副変速アッセンブリ(本実施形態においては前記シフトフォーク222)に設けられた係合片852であって、前記副変速アッセンブリの軸線方向移動に応じて前記検出軸852が軸線回りに回転するように前記検出軸851が軸線回りに回転するように前記検出軸851に連結された係合片852とを有している。
前記制御装置800は、前記副変速操作検出センサ890からの信号に基づき前記副変速アクチュエータ81の作動制御を行う。
前記副変速操作検出センサ890は、前記副変速操作部材840の操作位置を検出する接触スイッチ等の位置検出センサ、又は、前記副変速操作部材840の操作量を検出するポテンショセンサ等の操作量検出センサとされる。
前記副変速操作部材840が高速段位置又は低速段位置の一方に位置されている状態においては、前記副変速アクチュエータ81は、前記制御装置800によって前記一方の変速段位置に対応した作動状態に制御されている。
この状態から前記副変速操作部材840を高速段位置又は低速段位置の他方へ操作すると、前記制御装置800は、前記副変速操作検出センサ890から前記副変速操作部材840の高速段位置又は低速段位置の一方から他方への操作に応じた信号を受信し(ステップS21)、前記副変速装置200が前記一方の変速段位置に対応した一方の変速段状態から前記他方の変速段位置に対応した他方の変速段状態へ移行するように前記副変速アクチュエータ81の作動制御を行う。
詳しくは、前記副変速アクチュエータ81は、前記副変速操作機構を介して前記シフタ209を前記一方の変速段位置に対応した位置(以下、変速前位置と言う)から動力遮断位置を経て前記他方の変速段位置に対応した位置(以下、変速後位置と言う)へ移動させるように、作動する。
一方、本実施形態においては、前記副変速操作部材840が低速段位置から高速段位置へ操作された場合には、前記制御装置800は、前記ステップS22において常に変速可能範囲内であると判断する。
前記操作時点の車速が前記副変速装置200の低速段状態における変速可能範囲にない場合(ステップS22でNo)、前記車速センサ860により検出される車速が前記変速可能範囲内の車速となるまで、前記副変速アクチュエータ81の作動制御を許可しない(ステップS24)。
具体的には、オペレータの減速操作の有無に拘わらず前記駆動源10及び/又は前記HST110の出力を減速制御させる。
そこで、副変速操作部材840の高速段位置から低速段位置への操作時点の車速が副変速装置200の低速段への変速可能囲にあるか否か(前記副変速装置200が低速段状態において出力可能な範囲にあるか否か)を判断し、前記変速可能範囲内にある場合にのみ副変速装置200が低速段状態へ変速動作するのを許可し、これにより、前記不都合を防止している。
即ち、このステップS25では、前記副変速検出センサ850から検出された前記副変速装置200の変速段状態と、前記副変速操作検出センサ890から検出された副変速操作部材840の変速段位置とが整合されているか否かが判断される。
前記副変速アクチュエータ81が前記シフタ209を変速前位置から動力遮断位置を経て変速後位置へ移動させた場合、係合される変速段が一方から他方へと移ることにより変速比が変化するため、変速前後の出力軸(前記プロペラ軸206)の回転数(車速)に差が生じる。
即ち、前記動力遮断状態における車速(出力軸回転数)と前記一方の変速段(変速前位置)における車速との差は、前記動力遮断状態における車速と前記他方の変速段(変速後位置)における車速との差よりも大きいものとなる。
このような意に反した動力遮断状態が生じた場合、前記副変速装置200を他方の変速段状態へ移行させる作動制御を継続するよりも、前記副変速装置200を直近まで係合していた一方の変速段状態へ移行させる作動制御を行った方が、前記副変速装置200の動力遮断状態を回避し易い。
従って、前記シフタ209を動力遮断位置から変速前位置へ戻す際の前記副変速アクチュエータ81、前記副変速操作機構及び前記シフタ209によって構成されるリンク機構の移動抵抗は、前記シフタ209を動力遮断位置から変速後位置へ移動させる際の移動抵抗よりも小さくなる。
さらに、前記シフタ209が前記副変速アクチュエータ81によって目標位置へ向けて押動され続けることが防止される。従って、前記シフタ209、前記高速段ギヤ列の従動ギヤ207及び前記低速段ギヤ列の従動ギヤ208のそれぞれにおける凹凸係合部が摩耗及び/又は損傷することを有効に防止することができる。
本実施形態においては、1)走行系伝動経路に介挿されたクラッチ機構(即ち、本実施形態における走行系油圧式切換ユニット300)を動力遮断状態とすること、及び、2)前記HST110の前記出力調整部材115を車速が零となる位置に作動制御することの少なくとも何れか一方が挙げられる。
さらに、走行系異常処理として、前記副変速装置200の一方の変速状態への戻し変速作動が失敗した旨のアラーム(第2アラーム)を前記表示器880に表示させる。
なお、その他の走行系異常処理として、例えば、駆動源10が出力可変型とされている場合においては、前記駆動源10を低出力状態(アイドリング状態)とすること等を行うことも可能である。
より具体的には、前記車速センサ860により、前記副変速装置200の変速操作開始時点での車速が検出されるとともに、前記副変速操作検出センサ890により、前記他方の変速段が検出され、当該他方の変速段における変速比において前記車速と略等しい車速となるような前記HST110の出力回転数が前記制御装置800により算出され、当該算出された出力回転数となるように前記主変速アクチュエータ830が作動制御される。
なお、前記主変速アクチュエータ830の制御量において、前記副変速装置200が前記他方の変速段に係合されるまでの時間(空走期間)における車速変化を考慮することとしてもよい。
これに対し、上記構成においては前記副変速操作部材840の操作前後において車速が変化しないように、前記主変速アクチュエータ830が制御装置800により作動制御されるため、前記副変速装置200における変速前後の走行安定性を高めることができる。
例えば、本実施形態における前記副変速アクチュエータ81は、人為操作可能な副変速操作部材840の操作量を電気的に検出し、副変速バルブ80を油圧制御するものとして構成されているが、前記副変速装置200における切り換え異常時の制御を行わない作業車輌においては、前記構成に代えて、副変速操作部材840から機械式リンクを介して前記シフタ209に作動連結された構成としてもよい。
10 駆動源
30 主駆動輪
110 HST(無段変速装置)
115 出力調整部材
200 副変速装置(多段変速装置)
221 フォーク軸(副変速操作機構)
222 シフトフォーク(副変速操作機構)
800 制御装置
805 EEPROM(電源を切っても失われない記憶領域)
810 主変速操作部材
820 主変速操作検出センサ
830 主変速アクチュエータ
840 副変速操作部材
850 副変速検出センサ
870 最高速設定機構
871 最高速設定部材
872 最高速設定センサ
873 ロータリエンコーダ
Claims (7)
- エンジンから駆動輪へ至る走行系伝動経路に介挿された主変速装置として作用する無段変速装置及び副変速装置として作用する多段変速装置と、前記主変速装置を変速操作するための主変速操作部材であって、所定の操作可能範囲に亘って人為操作可能とされた主変速操作部材と、前記主変速操作部材の操作位置を検出する主変速操作検出センサと、前記主変速装置の出力調整部材を作動させる主変速アクチュエータと、前記副変速装置を変速操作するための副変速操作部材と、前記副変速操作部材の操作に応じて前記副変速装置を変速させる副変速アクチュエータと、前記副変速装置が係合している変速段を検出する副変速検出センサと、前記主変速検出センサからの信号に基づき前記主変速アクチュエータの作動制御を行う制御装置と、前記主変速操作部材が前記操作可能範囲内において最大操作された際の前記主変速装置の変速比を変更するための最高速設定機構とを備えた作業車輌であって、
前記最高速設定機構は、人為操作可能な最高速設定部材と、前記最高速設定部材の操作量を検出する最高速設定センサとを有し、
前記制御装置が、前記副変速装置の変速段毎に、前記副変速装置が何れか一の変速段に係合している状態における前記最高速設定部材の操作量に基づいた最高速値を前記一の変速段の最高速設定値として記憶することで、前記作業車輌の最高速を前記副変速装置の変速段毎に設定可能とされていることを特徴とする作業車輌。 - 前記最高速設定部材は、操作軸回り双方向に回転操作可能とされ、
前記最高速設定センサは、前記最高速設定部材の前記操作軸回りの操作量に応じて波形が同じで互いに位相が異なる第1及び第2パルス列を出力するロータリエンコーダを有し、
前記制御装置は、前記最高速設定部材の前記操作軸回りの回転量に応じて前記ロータリエンコーダから出力されたパルス数を検出することにより、操作量を検出するとともに、前記第1パルス列の出力がONに変化した際に前記第2パルス列の出力がON又はOFFの何れであるかを検出することにより、操作方向を検出することを特徴とする請求項1に記載の作業車輌。 - 前記制御装置は、前記ロータリエンコーダが出力する第1及び第2パルス列の出力パルスのうち第1番目の開始パルスから所定時間内に検出される出力パルスを操作量として計数しないことを特徴とする請求項2に記載の作業車輌。
- 前記制御装置は、前記開始パルスの入力をトリガとして、前記副変速装置において現在係合中の変速段での前記最高速設定値を前記作業車輌に備えられた表示器に表示させることを特徴とする請求項3に記載の作業車輌。
- 前記制御装置は、前記第1パルス列の出力がONに変化した際に前記第2パルス列の出力がON又はOFFの何れか一方を出力する第1出力状態から、第1所定時間内に、前記第1パルス列の出力がONに変化した際に前記第2パルス列の出力がON又はOFFの何れか他方を出力する第2出力状態に変化した場合には、前記第2出力状態に変化した時から第2所定時間内に検出される出力パルスを操作量として計数しないことを特徴とする請求項2から4の何れかに記載の作業車輌。
- 前記制御装置は、前記副変速装置が何れか一の変速段に係合している状態における前記最高速設定部材の操作後に、所定時間が経過した段階、若しくは、前記所定時間内において前記副変速装置が他の変速段に係合された段階で、前記最高速設定部材の操作量に基づいた最高速値を前記一の変速段の最高速設定値として電源を切っても失われない記憶領域に記憶することを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の作業車輌。
- 前記制御装置は、前記副変速装置が何れか一の変速段に係合している状態における前記最高速設定部材の操作量に基づいた最高速値が操作前の最高速設定値と同じ場合には、前記電源を切っても失われない記憶領域への記憶を更新しないことを特徴とする請求項6に記載の作業車輌。
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