JP2009167234A - 硬化性難燃性樹脂組成物 - Google Patents

硬化性難燃性樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】耐加水分解性が高く、反応性オリゴマーや反応性樹脂への組み込みが容易で、良好な難燃性を付与し得る反応性リン化合物を配合した硬化性難燃性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)(メタ)アクリレート化合物、(C)エポキシ樹脂、(D)特定の式で表されるホスフィン酸誘導体である反応性リン化合物及び(E)光重合開始剤を含有してなる硬化性難燃性樹脂組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子回路基板や電子部品に用いられる電気絶縁材料、ソルダーレジスト材料、封止材などの用途に好適な硬化性難燃性樹脂組成物に関するものである。
電気機器、電子部品等に使用される樹脂は、火災の防止等の安全性の観点から、難燃性であることが望まれている。このため、上記樹脂として、これまで臭素化物を主とするハロゲン含有化合物が使用されてきた。ハロゲン含有化合物は優れた難燃性を有するが、燃焼の際に腐食性のハロゲン化水素等の有害な化合物を発生するおそれがあり、環境に与える影響が問題となっている。このような理由から、ハロゲン含有化合物に替わる難燃性樹脂としてリン含有化合物が検討されているが、リン酸エステル化合物を使用すると吸水性が悪化したり、加水分解によりリン酸が発生したり、樹脂性能を低下させるなどの問題がある。
これらの問題を解決するために耐加水分解性を向上させた縮合リン酸エステル(例えば特許文献1及び特許文献2参照)、ホスファゼン化合物(例えば、特許文献3参照)が提案されている。しかしながら、これらのリン含有化合物を含む樹脂組成物等においては、樹脂組成物等が硬化するときや経時的にブリードし、その結果、均一な難燃効果が得られないおそれがあり、また、硬化物の熱的、電気的、機械的特性等が低下するという問題があった。そこで、このような問題が解消された反応性リン化合物が求められている。
樹脂組成物に配合したときに充分な難燃性を付与し得る反応性リン化合物として、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドが有望視されており、例えば特許文献4及び特許文献5には、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドを配合した難燃性樹脂組成物が開示されている。しかしながら、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドは結晶性が高いため、例えば、樹脂組成物中の他の配合成分に容易には溶解しなかったり、溶解してもすぐ析出したりするため、均一に樹脂構造中に組み込むことができなかった。このため、硬化物の機械的特性が低下するおそれがあった。そこで、これらの問題点を解決した反応性リン化合物を配合した硬化性難燃性樹脂組成物の開発が求められている。
特開平5−1079号公報 特開平8−277344号公報 特開2004−115815号公報 特開平11−124489号公報 特開2000−7898号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、耐加水分解性が高く、反応性オリゴマーや反応性樹脂の骨格への組み込みが容易で、良好な難燃性を付与し得る新規な反応性リン化合物を配合した硬化性難燃性樹脂組成物を提供することを目的とするものである。ここで、「骨格に組み込む」とは、反応性オリゴマー又は反応性樹脂の主鎖や側鎖の一部としてその化学構造中に組み込むことを意味する。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、特定の反応性リン化合物を配合した硬化性難燃性樹脂組成物により、上記課題が解決されることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、以下の硬化性難燃性樹脂組成物を提供するものである。
1. (A)アルカリ可溶性樹脂、(B)(メタ)アクリレート化合物、(C)エポキシ樹脂、(D)下記一般式(1)で表される反応性リン化合物及び(E)光重合開始剤を含有してなる硬化性難燃性樹脂組成物。
Figure 2009167234
(式中、R1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基及び炭素数6〜10の芳香族炭化水素基から選ばれる基を示す。X1は、水素原子又はメチル基を示す。Yは、水素原子又は下記一般式(p)
Figure 2009167234
(式中、X2は、水素原子又はメチル基を示す。)
で表される基を示す。)
2. (A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対する(B)〜(D)成分の配合量が、(B)(メタ)アクリレート化合物10〜100質量部、(C)エポキシ樹脂10〜100質量部及び(D)反応性リン化合物を20〜80質量部であり、(A)〜(D)成分の合計100質量部に対する(E)光重合開始剤の配合量が1〜10質量部である上記1に記載の硬化性難燃性樹脂組成物。
3. 硬化性難燃性樹脂組成物が、(I)(A)アルカリ可溶性樹脂、(D)反応性リン化合物及び(E)光重合開始剤を含む主剤と、(II)(B)(メタ)アクリレート化合物及び(C)エポキシ樹脂を含む硬化剤とで構成され、(I)と(II)を混合して使用する上記2に記載の硬化性難燃性樹脂組成物。
4. 硬化性難燃性樹脂組成物が、(III)(A)アルカリ可溶性樹脂及び(E)光重合開始剤を含む主剤と、(IV)(B)(メタ)アクリレート化合物、(C)エポキシ樹脂及び(D)反応性リン化合物を含む硬化剤とで構成され、(III)と(IV)を混合して使用する上記2に記載の硬化性難燃性樹脂組成物。
5. ソルダーレジスト材料である上記1〜4のいずれかに記載の硬化性難燃性樹脂組成物。
本発明の硬化性難燃性樹脂組成物は、その硬化物の熱的、電気的、機械的特性等の基本性能が低下させることなく、充分な難燃性を有するものである。また、配合成分である反応性リン化合物は、環境汚染の要因となるハロゲンを含まないため、該反応性リン化合物を含む硬化性難燃性樹脂組成物は、車両、船舶、航空機、建材及びハウジングの用途に好適である。また、配合成分である反応性リン化合物は、化学的に安定なP−C結合を有することから、該反応性リン化合物を配合した硬化性難燃性樹脂組成物は、プリント配線板、封止材及びソルダーレジスト等の電気絶縁性が要求される用途に好適である。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の硬化性難燃性樹脂組成物は、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)(メタ)アクリレート化合物、(C)エポキシ樹脂、(D)反応性リン化合物及び(E)光重合開始剤を含有する。
(A)成分のアルカリ可溶性樹脂は、分子中にカルボキシル基を有する。このため、本発明の硬化性難燃性樹脂組成物において(A)成分のアルカリ可溶性樹脂を配合すると、該組成物の硬化皮膜に耐熱性、硬度及び柔軟性等の物性を付与することができる。例えば、本発明の硬化性難燃性樹脂組成物をソルダーレジストとして用いる場合、該組成物は、アルカリ現像液に溶解すると同時に、レジスト皮膜に上記物性を付与することができる。
(A)成分のアルカリ可溶性樹脂としては、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を付加してなるエポキシ(メタ)アクリレート樹脂の水酸基に、無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸又はヘキサヒドロ無水フタル酸等の酸無水物を反応させて得られたカルボキシル基を有するエポキシアクリレート樹脂を例示することができる。
上記エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、シクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂及びナフトールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
(A)成分のアルカリ可溶性樹脂としては、特開2002−229201公報に記載されているようなカルボキシル基を有するウレタン(メタ)アクリレート樹脂を使用することもできる。このウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート由来の単位と、ポリオール由来の単位と、ポリイソシアナート由来の単位とを構成単位として含む化合物である。
また、(A)成分のアルカリ可溶性樹脂としては、(メタ)アクリル酸及びアクリル酸ダイマー等のエチレン性不飽和基を有するカルボン酸と、他のエチレン性不飽和基を有するモノマーとを共重合させて得られた樹脂及び該樹脂のカルボキシル基の一部を、エポキシ基とエチレン性不飽和基を有する化合物と反応させて得られる樹脂を例示することができる。
上記他のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、例えばスチレン、メチルスチレン、酢酸ビニル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム及びN−(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
また、上記エポキシ基とエチレン性不飽和基を有する化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−(2,3−エポキシプロピル)ブチル(メタ)アクリレート及びアリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
さらに、上記エポキシ基とエチレン性不飽和基を有する化合物と、上記他のエチレン性不飽和基を有するモノマーとの共重合によって得られた樹脂及び該樹脂のエポキシ基に、(メタ)アクリル酸及びアクリル酸ダイマー等のエチレン性不飽和基を有するカルボン酸のカルボキシル基を付加した後、生成した水酸基と酸無水物等を反応させて得られた樹脂も例示することができる。上記酸無水物としては、無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸及びヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
本発明の硬化性難燃性樹脂組成物において(B)成分の(メタ)アクリレート化合物を配合すると、硬化性難燃性樹脂組成物に高い光硬化性を付与することができる。この(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート及びビス・グリシジル(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のポリアクリレート;ビスフェノールSのエチレンオキシド4モル付加ジアクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキシド4モル付加ジアクリレート、脂肪酸変性ペンタエリスリトールジアクリレート、トリメチロールプロパンのプロピレンオキシド3モル付加トリアクリレート及びトリメチロールプロパンのプロピレンオキシド6モル付加トリアクリレート等の変性ポリオールポリアクリレート等を例示することができる。
(B)成分の(メタ)アクリレート化合物の配合量は、(A)成分のアルカリ可溶性樹脂100質量部に対して10〜100質量部が好ましく、20〜80質量部がより好ましい。
本発明の硬化性難燃性樹脂組成物において(C)成分のエポキシ樹脂を配合すると、該組成物の硬化皮膜に耐熱性及び強靭性を付与することができる。このエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、N−グリシジル型エポキシ樹脂及び含リンエポキシ樹脂等を挙げることができる。
(C)成分のエポキシ樹脂の配合量は、(A)成分のアルカリ可溶性樹脂100質量部に対して10〜100質量部が好ましく、20〜80質量部がより好ましい。
本発明の硬化性難燃性樹脂組成物において(D)成分の反応性リン化合物は、下記一般式(1)で表される。
Figure 2009167234
上記一般式(1)において、R1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基及び炭素数6〜10の芳香族炭化水素基から選ばれる基を示す。R1〜R8で示される炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基及び2−エチルヘキシル基等を挙げることができる。炭素数6〜10の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、;メチル基等の置換基を有するフェニル基やナフチル基等が挙げられる。これらの中で、R1〜R8としては、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。X1は、水素原子又はメチル基を示す。Yは、水素原子又は下記一般式(p)で表される基を示す。
Figure 2009167234
上記一般式(p)において、X2は、水素原子又はメチル基を示す。
上記一般式(1)においてYが水素原子である反応性リン化合物、すなわち下記一般式(1−a)で表されるカルボキシル基含有反応性リン化合物は、下記一般式(2)で表されるリン化合物と、(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸とを反応させることにより製造することができる。ここで、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を指す。後述する(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル化合物についても同様である。
Figure 2009167234
上記一般式(2)及び(1−a)において、R1〜R8及びX1は、上記と同じである。
上記一般式(1−a)で表される反応性リン化合物は、(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸と、P−H結合を有する上記一般式(2)で表されるリン化合物との付加反応により得ることができる。(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸において、P−H結合を有するリン化合物が反応できる官能基としては、(メタ)アクリロイル基しか存在しないので、副反応が起こることはほとんどない。このため、一般式(1−a)で表される反応性リン化合物を高純度で得ることができる。
(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、アクリル酸ダイマー、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート及び2−(メタ)アクリロイロキシヘキサヒドロフタレート等を挙げることができる。これらの中で、一般式(1−a)で表される反応性リン化合物中のリン含有量を充分に高くできる観点から、(メタ)アクリル酸が好ましい。(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記一般式(2)で表されるリン化合物としては、例えば、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、8−メチル−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、2,6,8−トリ−t−ブチル−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド及び6,8−ジシクロヘキシル−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド等が挙げられる。上記9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドの市販品としては、例えば、HCA(商品名、三光社製)を用いることができる。上記一般式(2)で表されるリン化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸と上記一般式(2)で表されるリン化合物との反応の追跡方法は、特に限定されないが、GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィ)として、上記リン化合物の残存量で確認する方法等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸と、上記一般式(2)で表されるリン化合物の使用割合は、特に限定されないが、(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸1モルに対して、上記リン化合物が0.5〜1.0モルとなるように設定することが好ましい。
(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸と上記一般式(2)で表されるリン化合物との反応は、該反応に不活性な溶媒の存在下で行うことが好ましい。このような溶媒としては、沸点が80℃以上のものであればよく、特に限定されない。具体的には、例えば、トルエン、キシレン、スチレン、メチルブチルケトン、ブチルセルソルブ、エチレングリコールジエチルエーテル、酢酸ブチル及びN−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
反応条件は特に限定されないが、反応温度は通常80〜150℃程度の範囲内であり、好ましくは105〜130℃の範囲内である。また、反応の際の圧力は加圧でも常圧でもよい。反応時間は、反応が完結するように適宜設定すればよい。
原料である(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸のラジカル重合を起こすことなく、上記リン化合物との反応を促進させるために、反応触媒を添加することが好ましい。また、反応中における不飽和カルボン酸のラジカル重合を防止するために、重合禁止剤や分子状酸素を添加することが好ましい。上記反応触媒としては特に限定されず、例えば、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン等のアミン類;アミン類の酸付加物;テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩;アミド類;イミダゾール類;ピリジン類;トリフェニルホスフィン等のホスフィン類;テトラフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド等のホスホニウム塩やスルホニウム塩;スルホン酸類;有機金属塩等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記反応触媒の使用量は、反応原料の合計質量に対して、通常0.005〜3.0質量%程度となるように設定する。反応触媒の使用量が0.005質量%以上であると、反応が充分促進され、3.0質量%以下であると、反応の促進効果と経済性のバランスが良好となる。反応触媒の使用量は、好ましくは、0.05〜1.0質量%である。ここで、反応原料とは、上記一般式(1−a)で表されるカルボキシル基を有する反応性リン化合物の形成に関与する原料を意味する。
上記重合禁止剤としては特に限定されず、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、p−t−ブチルカテコール、2−t−ブチルハイドロキノン、トルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、メトキシハイドロキノン、フェノチアジン、メチルベンゾキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルベンゾキノン及び4−ヒドロキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記分子状酸素としては特に限定されず、例えば、空気、及び空気と窒素等の不活性ガスとの混合ガス等が挙げられる。分子状酸素は、いわゆるバブリングによって反応系に吹き込むようにして用いればよい。反応系において、原料である(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸のラジカル重合を充分に防止する観点から、重合禁止剤と分子状酸素とを併用することが好ましい。
上記一般式(1)においてYが上記一般式(p)で表される基である反応性リン化合物、すなわち下記一般式(1−b)で表される(メタ)アクリロイル基含有反応性リン化合物は、下記一般式(2)で表されるリン化合物と、(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸とを反応させることにより得られた下記一般式(1−a)で表されるカルボキシル基含有反応性リン化合物と、エポキシ基を有する(メタ)アクリル化合物とを反応させることにより製造することができる。
Figure 2009167234
上記一般式(2)、(1−a)及び(1−b)において、R1〜R8、X1は及びX2は、上記と同じである。
ここで、上記一般式(1−b)で表される反応性リン化合物を製造するための反応方法としては、一般式(1−a)で表される反応性リン化合物を製造し、該反応性リン酸化合物と、エポキシ基を有する(メタ)アクリル化合物とを反応させる方法(反応方法1)、エポキシ基を有する(メタ)アクリル化合物と、一般式(2)で表されるリン化合物と、(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸とを一括して反応させる方法(反応方法2)、エポキシ基を有する(メタ)アクリル化合物と(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸を予め反応させ、次いで、一般式(2)で表されるリン化合物を反応させる方法(反応方法3)等が挙げられる。上記反応性リン化合物(1−b)の製造方法は反応方法1によるものであり、反応方法1によれば、副反応が抑制される。
反応方法1による反応性リン化合物(1−b)の製造方法において、上記一般式(2)で表されるリン化合物と、(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸とを反応させることによって上記一般式(1−a)で表される反応性リン化合物を製造する方法については、上述したとおりである。
上記一般式(1−a)で表される反応性リン化合物と反応させる、エポキシ基を有する(メタ)アクリル化合物としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート及び4−(2,3−エポキシプロピル)ブチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの中で、一般式(1−b)で表される反応性リン化合物中のリン含有量を充分に高くできる観点から、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。エポキシ基を有する(メタ)アクリル化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記一般式(1−a)で表される反応性リン化合物と、エポキシ基を有する(メタ)アクリル化合物の使用割合は、特に限定されないが、一般式(1−a)で表される反応性リン化合物の有するカルボキシル基1当量に対して、エポキシ基を有する(メタ)アクリル化合物が0.9〜1.1当量の範囲内となるように設定することが好ましい。上記一般式(1−a)で表される反応性リン化合物のカルボキシル基の当量は、理論量を計算により求めるか、又は、実際に公知の方法により測定することによって求めることができる。上記反応において、第一の本発明の一般式(1)で表される反応性リン化合物を得る場合と同様の温度条件で、反応触媒、重合禁止剤や分子状酸素、溶媒を添加することが好ましい。
(D)成分の反応性リン化合物の配合量は、(A)成分のアルカリ可溶性樹脂100質量部に対して20〜80質量部が好ましく、30〜60質量部がより好ましい。
(D)成分の反応性リン化合物は、カルボキシル基又は(メタ)アクリロイル基を有することから、これを反応性オリゴマーや反応性樹脂と反応させることにより、それらの骨格に組み込むことができ、また、反応性オリゴマーや反応性樹脂に配合することにより、それらの硬化物において反応性オリゴマーや反応性樹脂の骨格に組み込むことができる。このため、硬化物の熱的、電気的、機械的特性等を低下させることなく、硬化物に充分な難燃性を付与することができる。また、これらの反応性オリゴマーや反応性樹脂において、リン含有量を充分なものとすることができることから、高度な難燃性を付与することができる。
(D)成分の反応性リン化合物は、加水分解に対して安定なP−C結合を形成するため、一般的なリン系難燃剤であるリン酸エステル系化合物と比較して耐加水分解性が高い。このため、反応性リン化合物を配合した本発明の硬化性難燃性樹脂組成物は、プリント配線板、電子部品等の絶縁性が必要とされる用途に好適に使用され、特にソルダーレジスト用途に好適に使用することができる。
(E)成分の光重合開始剤は、光、特に紫外線領域でラジカルを発生する化合物である。このため、本発明の硬化性難燃性樹脂組成物において、(E)成分の光重合開始剤を配合すると、硬化性難燃性樹脂組成物に光硬化性を付与することができる。例えば、本発明の硬化性難燃性樹脂組成物をソルダーレジストとして用いる場合、該組成物によりレジストパターンを形成することができる。
(E)成分の光重合開始剤として具体的には、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1等のアセトフェノン系化合物;メチルフェニルグリオキシレート等のグリオキシエステル系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸メチル、ヒドロキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系化合物;ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド等のビスアシルホスフィンオキサイド系化合物等が挙げられる。
(E)成分の光重合開始剤には、必要に応じて増感剤を併用することができる。増感剤としては、例えば、2,4−ジエチルチオキサントン及び2−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;4,4’−ビス(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾフェノン及び4,4’−ビス(N,N−ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
(E)成分の光重合開始剤の配合量は、(A)〜(D)成分の合計100質量部に対して1〜10質量部が好ましく、2〜8質量部がより好ましい。また、増感剤を併用する場合、その配合量は、(E)成分の光重合開始剤100質量部に対して、通常10〜50質量部程度である。
本発明の硬化性難燃性樹脂組成物には、必要に応じて(F)成分としてフィラーを配合することができる。フィラーを配合すると、硬化性難燃性樹脂組成物の粘度特性を改良することができる。フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、タルク、シリカ及びマイカ等が挙げられる。
(F)成分のフィラーの配合量は、(A)〜(E)成分の合計100質量部に対して、通常10〜100質量部程度、好ましくは20〜80質量部である。
本発明の硬化性難燃性樹脂組成物には、必要に応じて、エポキシ樹脂硬化促進剤、シランカップリン剤、レベリング剤、消泡剤、分散剤、酸化防止剤、重合禁止剤、染料、顔料等の添加剤を添加することができる。
エポキシ樹脂硬化促進剤としては、メラミン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビスシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール及び1−シアノエチル−2−メチルイミダゾールトリメリテート等が挙げられる。
エポキシ樹脂硬化促進剤の配合量は、(C)成分のエポキシ樹脂100質量部に対して0.1〜3質量部が好ましく、0.2〜2質量部がより好ましい。
シランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン及び3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
また、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、レゾルシノールビスフェニルホスフェート、レゾルシノールビスキシレニルホスフェート、プロポキシフォスファゼン及びフェノキシフォスファゼン等の添加型のリン系難燃剤を、硬化物からブリードしない範囲で少量添加することができる。さらに、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウム等の無機系難燃剤も硬化物の物性が低下しない範囲で添加することができる。また、特開2002−121245号公報において(A)成分として記載されている、分子内に少なくとも2個以上のアクリル基および/またはメタクリル基を有する化合物と、分子内に少なくとも1個のリン原子に直接結合した活性な水素を有するリン含有化合物とを反応させて得られた化合物をも併用することができる。
本発明の硬化性難燃性樹脂組成物は、上記(A)〜(E)成分に、必要に応じて(F)成分のフィラー及び上記添加剤等を加え、ロールミル、バンバリーミキサー、押出機等を用いて混練することにより得ることができる。混練に際しては、必要に応じて溶媒を添加することができる。溶媒としては、例えば、具体的には、例えば、トルエン、キシレン、メチルブチルケトン、ブチルセルソルブ、プロプレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、酢酸ブチル及びN−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
溶媒の使用量は、全配合成分100質量部に対して、通常5〜100質量部程度である。
本発明の硬化性難燃性樹脂組成物は、上記のように全ての配合成分を一括して混練してもよく、配合成分を主剤と硬化剤の2つに分けてそれそれぞれを混練し、使用時に混合してもよい。この場合、主剤と硬化剤との組み合わせとしては、(I)(A)アルカリ可溶性樹脂、(D)反応性リン化合物及び(E)光重合開始剤を含む主剤と、(II)(B)(メタ)アクリレート化合物及び(C)エポキシ樹脂を含む硬化剤との組み合わせ、(III)(A)アルカリ可溶性樹脂及び(E)光重合開始剤を含む主剤と、(IV)(B)(メタ)アクリレート化合物、(C)エポキシ樹脂及び(D)反応性リン化合物を含む硬化剤との組み合わせなどが挙げられる。
本発明の硬化性難燃性樹脂組成物に(F)成分のフィラーを配合する場合、主剤の不揮発成分中5〜50質量%、硬化剤の不揮発成分中5〜50質量%のフィラー配合することが好ましい。本発明の硬化性難燃性樹脂組成物にエポキシ樹脂硬化促進剤を配合する場合、主剤に配合することが好ましい。溶媒は、主剤と硬化剤の両方に配合することが好ましく、配合量は主剤及び硬化剤それぞれの配合成分量に応じて適宜選定すればよい。
本発明の硬化性難燃性樹脂組成物の配合成分を主剤と硬化剤の2つに分けることにより、製品の貯蔵安定性を長期間確保できるという効果が得られる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。以下において、「部」は、「質量部」を示す。
合成例1(カルボキシル基を有する反応性リン化合物(P−1)の合成)
温度計、攪拌機、ガス吹込管、還流冷却管及び滴下ロートを備えた四つ口フラスコを反応容器として用い、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(三光社製、商品名 HCA)216部、溶剤としてキシレン350部、反応触媒としてトリフェニルホスフィン0.7部、重合禁止剤としてメチルハイドロキノン0.1部を仕込んだ。これを空気気流中で攪拌しながら115℃まで昇温し、滴下ロートよりアクリル酸72部を2時間かけて滴下した。滴下終了後、この温度で12時間反応させ、GPCによる測定でHCAの面積計算値が0.7%以下になったことを確認した。反応終了後、キシレンを減圧下除去して、透明粘調液体の反応性リン化合物(P−1)(リン含有量 10.8質量%)を得た。この反応性リン化合物(P−1)の1H−NMR(CDCl3)による吸収ピークの帰属は下記の通りである。
2.3〜2.8ppm(4H)、7.2〜8.3ppm(8H)、10.3〜10.7ppm(1H)。
合成例2(メタクリロイル基を有する反応性リン化合物(P−2)の合成)
温度計、攪拌機、ガス吹込管、還流冷却管及び滴下ロートを備えた四つ口フラスコを反応容器として用い、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(三光社製、商品名 HCA)216部、溶剤としてキシレン350部、反応触媒としてトリフェニルホスフィン0.7部、重合禁止剤としてメチルハイドロキノン0.1部を仕込んだ。これを空気気流中で攪拌しながら115℃まで昇温し、滴下ロートよりアクリル酸72部を2時間かけて滴下した。
滴下終了後、この温度で12時間反応させ、GPCによる測定でHCAの面積計算値が0.7%以下になったことを確認した。反応終了後、キシレンを減圧下除去して、透明粘調液体の反応性リン化合物(P−1)を得た。次いで、トリフェニルホスフィン1.4部を加えた後、滴下ロートよりグリシジルメタクリレート142部を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間さらに反応させ、酸価が1.0mg/KOH以下になったことを確認した。反応終了後、キシレンを減圧下除去して、微黄色粘調液体の反応性リン化合物(P−2)(リン含有量 7.2質量%)を得た。この反応性リン化合物(P−2)の1H−NMR(CDCl3)による吸収ピークの帰属は下記の通りである。
1.8〜2.0ppm(3H)、2.3〜2.8ppm(4H)、3.4〜3.6ppm(1H)、3.8〜4.4ppm(5H)、5.5〜6.1ppm(2H)、7.2〜8.3ppm(8H)。
次に、得られた反応性リン化合物(P−2)について、難燃性を評価した。ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂46.4部、エトキシ-ジエチレングリコールアクリレート11.6部に、反応性リン化合物(P−2)42部を添加し、リン含有量が3質量%の混合物を得た。この混合物に、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名 IRGACURE 907)2部を加えて無色透明樹脂液を得た。得られた樹脂液を用い、アプリケーターにて、膜厚100μmの膜を作製した。この膜に露光量500mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させ、透明硬化物を得た。得られた硬化物について、JIS K 7201−2(ISO4589−2)に準拠して限界酸素指数を測定し、米国のUnderwriters Laboratories Inc.(ULと略す)の高分子材料の難燃性試験規格94UL−V試験に準拠した方法で難燃性を評価した。その結果、硬化物の酸素指数は40、難燃性はV−0であった。
合成例3(アルカリ可溶性樹脂の合成)
(A)成分のアルカリ可溶性樹脂として、カルボキシル基を有するウレタンアクリレート樹脂(UA−1)を以下のようにして合成した。
攪拌装置、温度計及びコンデンサーを備えた反応容器に、ポリテトラメチレングリコール(保土谷化学工業株式会社製、PTG−850SN、分子量850)850g(1モル)、ジメチロールプロピオン酸938g(7モル)、イソホロンジイソシアナート1998g(9モル)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート1006gを投入した。攪拌しながら60℃まで加熱して停止し、ジブチル錫ジラウレート1.4gを添加した。反応容器内の温度が低下し始めたときに再度加熱して80℃に昇温し、75〜85℃に保ちながら8時間攪拌を行ってウレタンオリゴマーを合成した。
さらに、p−メトキシフェノール及びジ−t−ブチル−ヒドロキシトルエンを各々0.9gずつ反応容器に導入してから、2−ヒドロキシエチルアクリレート238g(2.05モル)を加え、反応を再開した。赤外線吸収スペクトルでイソシアナート基の吸収スペクトル(2,280cm-1)が消失したことを確認して反応を終了させ、粘稠液体のウレタンアクリレート化合物を得た。得られたウレタンアクリレート(UA−1)の重量平均分子量は16,000、固形分酸価は90mgKOH/gで、不揮発分は80質量%であった。なお、これらの物性は以下のようにして測定した。
(1)重量平均分子量
カラムとしてShodex KF−805、KF−803、KF−802(昭和電工株式会社製)を用い、GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー)法により測定した。
(2)固形分酸価
JIS K 0070に準拠して測定した。
(3)不揮発分
合成したアルカリ可溶性樹脂を150℃で5時間乾燥させた後の質量と、乾燥前の質量を測定しこれらの測定値から不揮発分を算出した。
実施例1〜2及び比較例1
表1に示す配合成分を表1に示す配合割合(質量部)で用い、各実施例及び比較例の主剤及び硬化剤を調製し、その後、それぞれの主剤と硬化剤とを混合することにより、硬化性難燃樹脂組成物を調製した。各実施例及び比較例の主剤及び硬化剤は、別々に三本ロールミル(株式会社小平製作所製、型式RIII−1RM−2)に3回通して混練りすることにより調製した。
エポキシ樹脂としては、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名 EPICON N680)を使用した。光重合開始剤としては、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名 IRGACURE907、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキシド(BASF社製、商品名 LucirinTPO)及び4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(保土谷化学工業株式会社製、EAB−F)を使用した。エポキシ樹脂硬化促進剤としてはメラミン化合物(日産化学工業株式会社製、商品名 メラミンPC−1)を使用した。難燃性を有する無機系フィラーとして水酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製、商品名 ハイジライトH42ISTE)を使用した。無機系フィラーとしてタルク(松村産業株式会社製、商品名 ハイフィラー #5000PJ)を使用した。添加型リン化合物としてはホスファゼン化合物(大塚化学株式会社製、商品名 SPE−100)を使用した。
得られた硬化性難燃性樹脂組成物について下記の方法により評価を行った。結果を表1に示す。
(1)光感度
厚さ35μmの銅箔を厚さ50μmのポリイミドフィルムの片面に積層したプリント基板(宇部興産株式会社製、ユピセル(登録商標)Nを濃度1質量%の硫酸水溶液で洗浄し、水洗後、空気流で乾燥したもの)を60℃に加温した。この基板に、実施例1〜2及び比較例1で得た硬化性難燃性樹脂組成物を、150メッシュポリエステル版を用いたスクリーン印刷法により、厚み20〜25μmとなるように塗布した。この基板を80℃で30分間乾燥させて溶媒を除去した後、メタルハライドランプを有する露光機(オーク株式会社製、HMW−680GW)により、21段ステップタブレット(日立化成工業株式会社製、OD値0.05〜3.05、Δ(デルタ)D=0.15)を通して光量500mJ/cm2で露光した。次に、30℃で、濃度1質量%の炭酸ナトリウム水溶液を60秒間スプレーすることにより、未露光部分を除去して現像した後、完全に硬化した段数を読み取り、この段数を硬化性難燃性樹脂組成物の光感度とした。
(2)ブリードの有無
試験片は、以下の方法で作製した。厚み25μm、200mm×50mmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製、カプトン100H)の片面に、150メッシュポリエステル版を用いたスクリーン印刷法により、実施例1〜2及び比較例1で得た硬化性難燃性樹脂組成物を、厚みが20〜25μmになるように塗布した。これを80℃で30分間乾燥させて溶媒を除去した後、150℃で60分間加熱し、上記硬化性難燃性樹脂組成物を熱硬化させた。得られた硬化物を目視及び指触することで、ブリード物の有無の確認を行った。評価基準は、ブリード物が認められなかった場合を○、ブリード物があった場合を×とした。
(3)難燃性
燃焼性試験片は、以下の方法で作製した。厚み25μm、200mm×50mmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製、商品名 カプトン100H)からなる基板の片面に、150メッシュポリエステル版でスクリーン印刷法により、実施例1〜2、比較例1得た硬化性難燃性樹脂組成物を、厚みが20〜25μmになるように塗布し、80℃で30分間乾燥させて溶媒を除去した後、150℃で60分間加熱して上記硬化性難燃性樹脂組成物を熱硬化させた。
さらに、上記基板のもう一方の片面に同様にスクリーン印刷法により、厚みが20〜25μmとなるように実施例1〜2、比較例1の硬化性難燃性樹脂組成物を塗布した後、同様の条件で溶媒の除去、及び硬化性難燃性樹脂組成物の溶剤乾燥及び熱硬化を行い、試験片を作製した。
得られた試験片を用い、米国のUnderwriters Laboratories Inc.(ULと略す)の高分子材料の難燃性試験規格94UL−VTM試験に準拠した方法で難燃性を評価した。
Figure 2009167234
表1に示すように、(D)成分の反応性リン化合物を使用することにより、硬化物表面からのブリードもなく、十分な難燃性及び光感度を有することがわかる。
新規な反応性リン化合物を含む本発明の硬化性難燃性樹脂組成物は、車両、船舶、航空機、建材及びハウジングの用途、プリント配線板、封止材及びソルダーレジスト等の電気絶縁性が要求される用途に好適である。

Claims (5)

  1. (A)アルカリ可溶性樹脂、(B)(メタ)アクリレート化合物、(C)エポキシ樹脂、(D)下記一般式(1)で表される反応性リン化合物及び(E)光重合開始剤を含有してなる硬化性難燃性樹脂組成物。
    Figure 2009167234
    (式中、R1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基及び炭素数6〜10の芳香族炭化水素基から選ばれる基を示す。X1は、水素原子又はメチル基を示す。Yは、水素原子又は下記一般式(p)
    Figure 2009167234
    (式中、X2は、水素原子又はメチル基を示す。)
    で表される基を示す。)
  2. (A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対する(B)〜(D)成分の配合量が、(B)(メタ)アクリレート化合物10〜100質量部、(C)エポキシ樹脂10〜100質量部及び(D)反応性リン化合物を20〜80質量部であり、(A)〜(D)成分の合計100質量部に対する(E)光重合開始剤の配合量が1〜10質量部である請求項1に記載の硬化性難燃性樹脂組成物。
  3. 硬化性難燃性樹脂組成物が、(I)(A)アルカリ可溶性樹脂、(D)反応性リン化合物及び(E)光重合開始剤を含む主剤と、(II)(B)(メタ)アクリレート化合物及び(C)エポキシ樹脂を含む硬化剤とで構成され、(I)と(II)を混合して使用する請求項2に記載の硬化性難燃性樹脂組成物。
  4. 硬化性難燃性樹脂組成物が、(III)(A)アルカリ可溶性樹脂及び(E)光重合開始剤を含む主剤と、(IV)(B)(メタ)アクリレート化合物、(C)エポキシ樹脂及び(D)反応性リン化合物を含む硬化剤とで構成され、(III)と(IV)を混合して使用する請求項2に記載の硬化性難燃性樹脂組成物。
  5. ソルダーレジスト材料である請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性難燃性樹脂組成物。
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