JP2009166160A - 放熱基板の製造方法および放熱基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】放熱性を向上し、デバイスを形成でき、基板の厚みの制御性を向上できる、放熱基板の製造方法および放熱基板を提供する。
【解決手段】本発明の放熱基板10bの製造方法は、以下の工程を備えている。まず、0.4μm以上300μm以下の深さと、5μm2以上の面積とを有する凹部11a1が形成された第1の主面11aと、第1の主面11aと反対側の第2の主面11bとを含むとともに、ダイヤモンドを含まない材料よりなる基板11が準備される。そして、気相法により第1の主面11a上に、凹部11a1の深さ以上の厚みのダイヤモンド層13が成長される。そして、凹部11a1の内部に位置するダイヤモンド層13の凸部13a1を研磨のストッパとして用いて、第2の主面11bが研磨される。
【選択図】図10
【解決手段】本発明の放熱基板10bの製造方法は、以下の工程を備えている。まず、0.4μm以上300μm以下の深さと、5μm2以上の面積とを有する凹部11a1が形成された第1の主面11aと、第1の主面11aと反対側の第2の主面11bとを含むとともに、ダイヤモンドを含まない材料よりなる基板11が準備される。そして、気相法により第1の主面11a上に、凹部11a1の深さ以上の厚みのダイヤモンド層13が成長される。そして、凹部11a1の内部に位置するダイヤモンド層13の凸部13a1を研磨のストッパとして用いて、第2の主面11bが研磨される。
【選択図】図10
Description
本発明は、放熱基板の製造方法および放熱基板に関し、たとえば高輝度発光デバイスあるいは大電力パワーデバイス等の発熱密度の高いデバイスを形成するための放熱基板の製造方法および放熱基板に関する。
従来より、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)、HEMT(High Electron Mobility Transistor:高電子移動度トランジスタ)等の電子デバイス、LD(Laser Diode:レーザダイオード)、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)等の発光デバイスなどのデバイスが用いられている。このようなデバイスの発熱密度は高いため、サブマウント等の上に設置されて用いられている。
Si(シリコン)を用いたデバイスでは、Siの熱伝導度が低いため、デバイスのパワー密度を向上することができない。SiC(炭化珪素)、GaN(窒化ガリウム)などのワイドバンドギャップ材料の熱伝導度はSiの熱伝導度よりも高いが、より熱伝導度の高い材料としてダイヤモンドが知られている。このダイヤモンドをデバイスが取り付けられる放熱基板に適用する技術が、たとえば特開2001−284502号公報(特許文献1)に開示されている。図17は、特許文献1に開示の放熱基板の製造方法によって製造された放熱基板を概略的に示す断面図である。図17に示すように、特許文献1に開示の放熱基板109は、多結晶ダイヤモンド基板101と、この多結晶ダイヤモンド基板101上に形成された第1の中間接合層102と、この第1の中間接合層102上に形成された第2の中間接合層105と、この第2の中間接合層105上に形成された第3の中間接合層107と、この第3の中間接合層107上に形成された金属接合層108とを備えている。レーザなどのデバイスは、放熱基板109において金属接合層108上に形成される。
特開2001−284502号公報
しかし、上記特許文献1では、第1、第2および第3の中間接合層102、105、107および金属接合層108を介して、デバイスと多結晶ダイヤモンド基板101とが接続されている。このため、多結晶ダイヤモンド基板101の高い熱伝導度を十分に利用できないので、放熱性が十分でないという問題があった。
ダイヤモンドの高い熱伝導度を十分に利用するために、ダイヤモンドと接触するように、ダイヤモンド上に、デバイスの基板を成長することが考えられる。しかし、現状ではダイヤモンドの単結晶は数mm2程度の面積であり、これを超える面積を有するダイヤモンドは多結晶である。多結晶のダイヤモンド上には良好な結晶性の基板を成長することはできない。結晶性の良好な基板を成長するためには、単結晶のダイヤモンド上に基板を成長する必要があるため、結晶性の良好な基板をデバイスの作製に必要な大きさで成長することが困難であるという問題があった。
また、Si、SiCなどの基板上に、ダイヤモンドを成長することが考えられる。放熱性を向上するためには、基板の厚みを薄くして、デバイスに近い位置に熱伝導度の高いダイヤモンドを配置することが好ましい。基板の厚みを薄くするためには、ダイヤモンドを成長させた後の基板の残りの厚みがどの程度かを観察しながら、基板を研磨する必要がある。しかし、観察のタイミングを間違えると、基板の少なくとも一部がなくなるまで研磨してしまう。このため、薄く、かつ均一な厚みを残して基板を研磨することが難しいという問題があった。
そこで、本発明の目的は、放熱性を向上し、デバイスを形成でき、基板の厚みの制御性を向上できる、放熱基板の製造方法および放熱基板を提供することである。
本発明の放熱基板の製造方法は、以下の工程を備えている。まず、0.4μm以上300μm以下の深さと、5μm2以上の面積とを有する凹部が形成された第1の主面と、第1の主面と反対側の第2の主面とを含むとともに、ダイヤモンドを含まない材料よりなる基板が準備される。そして、気相法により第1の主面上に、凹部の深さ以上の厚みのダイヤモンドよりなる層が成長される。そして、凹部の内部に位置するダイヤモンドよりなる層の部分を研磨のストッパとして用いて、第2の主面が研磨される。
本発明の放熱基板の製造方法によれば、基板には上記形状の凹部が形成されているので、この凹部の内部を埋めるようにダイヤモンドを成長することができる。上記形状の凹部の内部に位置するダイヤモンドよるなる層の部分は、基板の第1の主面に対して、0.4μm以上300μm以下の厚みと、5μm2以上の面積とを有する凸部を形成する。ダイヤモンドは基板よりも高い硬度を有しているので、第2の主面を研磨する時に、ダイヤモンドよりなる凸部が基板の研磨のストッパとなる。また凹部の面積が5μm2以上であるので、第2の主面を研磨する時にダイヤモンドよりなる凸部(ダイヤモンドよりなる層の部分)に大きな圧力が加えられることを抑制できる。このため、ダイヤモンドよりなる凸部の表面に研磨材などが達した後は、第2の主面においてそれ以上に研磨が進むことを防止できる。したがって、基板の厚みの制御性を向上することができる。
また、凹部の深さが300μm以下であることから、基板の厚みが300μm以下になるので、ダイヤモンドの高い熱伝導度を利用できずに、基板により放熱性が悪くなることを抑制できる。また、ダイヤモンドよりなる層と接触するようにデバイスを形成するための基板を形成できるので、ダイヤモンドよりなる層をデバイスの発熱源の近くに配置できる。したがって、デバイスを形成したときの放熱性を向上できるので、出力密度を向上したデバイスを作製することができる。
さらに、ダイヤモンドよりなる層を成長すると、第1の主面はダメージを受けるが、凹部の深さが0.4μm以上であるので、第2の主面を研磨した後に露出している基板の表面(凹部に成長したダイヤモンドよりなる凸部の上部表面とほぼ同じレベルに位置する表面)に、このダメージが伝達することを抑制できる。このため、第2の主面を研磨した後に露出している基板の表面上に半導体結晶を成長すると、半導体結晶の結晶性の悪化を防止できる。また、上述したように基板の厚みの制御性を向上して薄くすることができるので、基板における必要な部分まで削り取られてしまうことを防止できる。このため、基板上にデバイスを構成する半導体結晶を成長できるので、半導体結晶の結晶性を良好にできる。また、成長するダイヤモンドが多結晶であっても、基板上にデバイスを構成する半導体結晶を成長することにより、半導体結晶の結晶性を良好にできる。したがって、良好な結晶性の半導体結晶を基板上に形成できるので、放熱基板上にデバイスを作製することができる。
以上より、放熱性を向上し、デバイスを形成でき、基板の厚みの制御性を向上できる放熱基板を製造することができる。
上記放熱基板の製造方法において好ましくは、ダイヤモンドよりなる層において第1の主面と接触している面と反対側の面について研磨および研削の少なくともいずれかを行なう工程をさらに備えている。
基板上に成長したダイヤモンドの成長表面は平坦でなく、たとえば数100μm以上の厚みに成長したダイヤモンドの成長表面には、数μmの凹凸が生じる。このため、ダイヤモンドよりなる層を研磨することによって、ダイヤモンドよりなる層において第1の主面と接触している面と反対側の面を平坦化することができる。
上記放熱基板の製造方法において好ましくは、上記基板は、珪素(Si)または炭化珪素(SiC)よりなる。
これにより、ダイヤモンドを成長する高温で原子状水素が多い雰囲気下でも、Si、SiCはダメージを受けにくい。このため、ダイヤモンドよりなる層を成長した後の基板上に、良好な結晶性の半導体結晶を成長することができる。
上記放熱基板の製造方法において好ましくは、上記第2の主面を研磨する工程後に、第1の主面と反対側の面上に、半導体結晶を成長する工程をさらに備えている。
これにより、基板上には良好な結晶性の半導体結晶を成長することができるので、良好な結晶性を有する半導体結晶をさらに備えた放熱基板が実現できる。
上記放熱基板の製造方法において好ましくは、上記半導体結晶は、基板を構成する材料と異なる材料よりなる。
これにより、基板上に種々の材料よりなる半導体結晶を成長できるので、所望の半導体結晶をさらに備えた放熱基板が実現できる。
上記放熱基板の製造方法において好ましくは、上記半導体結晶は、窒化物半導体結晶である。これにより、窒化物半導体結晶をさらに備えた放熱基板が実現できる。
本発明の放熱基板は、上記放熱基板の製造方法により製造される放熱基板であって、ダイヤモンドよりなる層と、ダイヤモンドよりなる層上に形成された基板と、基板上に形成された半導体結晶とを備えている。
本発明の放熱基板によれば、上述した放熱基板の製造方法により製造されるので、放熱性を向上し、デバイスを形成でき、基板の厚みの制御性を向上でき、結晶性の良好な半導体結晶を備えた放熱基板が実現できる。
上記放熱基板において好ましくは、上記基板は珪素または炭化珪素であり、上記半導体結晶は窒化物半導体結晶である。
基板が珪素または炭化珪素よりなるので、容易に放熱基板が得られる。半導体結晶が窒化物半導体結晶であるので、デバイスの出力密度をより向上できる。
上記放熱基板において好ましくは、基板の最大の厚みは、52μm以下である。これにより、基板によって放熱性が悪化することを抑制できる。
以上より、本発明の放熱基板の製造方法および放熱基板によれば、放熱性を向上し、デバイスを形成でき、基板の厚みの制御性を向上できる放熱基板が得られる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における放熱基板を示す概略断面図である。図1を参照して、本実施の形態における放熱基板10aを説明する。図1に示すように、本実施の形態における放熱基板10aは、ダイヤモンド層13と、ダイヤモンド層13上に形成された基板11とを備えている。
図1は、本発明の実施の形態1における放熱基板を示す概略断面図である。図1を参照して、本実施の形態における放熱基板10aを説明する。図1に示すように、本実施の形態における放熱基板10aは、ダイヤモンド層13と、ダイヤモンド層13上に形成された基板11とを備えている。
ダイヤモンド層13は、第1の主面13aと、第1の主面13aと反対側の第2の主面13bとを含んでいる。第1の主面13aには、凸部13a1が設けられている。ダイヤモンド層13は、たとえば多結晶のダイヤモンドよりなる。
基板11は、ダイヤモンド層13の第1の主面13aと接している第1の主面11aと、第1の主面11aと反対側の面11cとを含んでいる。基板11の面11cと、ダイヤモンド層13の第1の主面11aとは、略同一平面上に位置している。基板11の材料は、ダイヤモンドを含まず、たとえばSi、SiC、GaN、GaAs(ガリウム砒素)、AlN(窒化アルミニウム)などが挙げられる。
基板11の最大の厚みは、300μm以下が好ましく、52μm以下がより好ましい。300μm以下の場合、基板11による放熱性の低下を抑制できる。52μm以下の場合、基板11による放熱性の低下をより抑制できる。
図2は、本実施の形態における放熱基板の製造方法を示すフローチャートである。続いて、図2を参照して、本実施の形態における放熱基板の製造方法について説明する。
図3は、本実施の形態における凹部が形成されていない基板を準備する工程を説明するための概略断面図である。まず、図2および図3に示すように、第1の主面11aと第2の主面11bとを含む基板11を準備する(ステップS1)。基板11は、ダイヤモンドを含まない材料よりなる。基板11は、デバイスを構成する半導体結晶を容易に成長できるため、半導体基板であることが好ましく、後述するダイヤモンド層13の成長時に受けるダメージが小さいSi基板またはSiC基板であることがより好ましい。また、基板11は2インチ以上であることが好ましい。
図4は、本実施の形態における凹部が形成された基板を準備する工程を説明するための概略断面図である。次に、図2および図4に示すように、第1の主面11aに、0.4μm以上300μm以下の深さHと、5μm2以上の面積Sとを有する凹部11a1を形成する(ステップS2)。
具体的には、基板11の第1の主面11aに、凹部11a1を形成する領域上が開口された開口部を有するレジストをフォトリソグラフィにより形成する。レジストは特に限定されず、一般公知のフォトレジストを用いることができる。その後、基板11においてレジストから開口している部分を、たとえばRIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)などのドライエッチング、ウエットエッチングなどにより凹部11a1を形成する。
図5〜図7は、本実施の形態における凹部の別の形状を示す概略断面図である。図5〜図7に示すように、第1の主面11aに対して凹部11a1の側壁が傾斜してもよい。図5に示すように、凹部11a1は、第1の主面11aの上端から下端にかけて開口している領域が増えるような形状(たとえば断面形状が台形)であってもよい。この場合には、凹部11a1の側壁は第1の主面11aに対して鈍角である。また、図6に示すように、凹部11a1は、球状(たとえば断面形状が円形)であってもよい。また、図7に示すように、凹部11a1は、第1の主面11aの上端から下端にかけて開口している領域が減るような形状(たとえば断面形状が台形)であってもよい。この場合には凹部11a1の側壁は第1の主面11aに対して鋭角である。
凹部11a1の深さHは、0.4μm以上300μm以下であり、0.5μm以上52μm以下が好ましい。深さHが0.4μm以上の場合、後述するダイヤモンド層13を成長するステップS3において第1の主面11aが受けるダメージを、後述する第2の主面11bを研磨するステップS5後に露出している基板11の面11c(図1参照)に伝達することを抑制できる。このため、第2の主面11bを研磨した後に露出している基板11の面11c上に半導体結晶を成長すると、半導体結晶の結晶性の悪化を防止できる。深さHが0.5μm以上の場合、後述する第2の主面11bを研磨するステップS5後に露出している基板11の面11c(図1参照)に伝達することをより抑制できる。一方、深さHが300μm以下の場合、基板11の厚みが300μmを超えないように形成できるので、基板11により放熱性が悪くなることを抑制できる。また、ダイヤモンド層13と接触するようにデバイスを形成するための基板11を形成できるので、ダイヤモンド層13をデバイスの発熱源の近くに配置できる。このため、放熱性を向上できるので、高い出力密度のデバイスを配置できる。さらに、ダイヤモンド層13を成長するために、要する時間およびコストを低減できる。深さHが52μm以下の場合、放熱性をより向上できる。
ここで、凹部11a1の深さHは、図4〜図7に示すように、開口部の最も深い部分の長さである。
凹部11a1の面積Sは5μm2以上であり、79μm2以上が好ましい。面積Sが5μm2以上の場合、後述する第2の主面11bを研磨するステップS4時に、ダイヤモンド層13の凸部13a1に大きな圧力が加えられることを抑制できる。79μm2以上の場合、後述する第2の主面11bを研磨するステップS4時に、ダイヤモンド層13の凸部13a1に大きな圧力が加えられることをより抑制できる。一方、凹部11a1の面積Sの上限は、たとえば基板11の表面積の10%以下が好ましく、1%以下が好ましい。基板11の表面積の10%以下の場合、ダイヤモンド層13が露出している凸部13a1上には、良好な結晶性の半導体結晶を成長できないので、デバイスを作製できない無効面積を小さくできる。1%以下であると、無効面積をより小さくできる。このよな凹部11a1の面積Sの上限は、たとえば785000μm2である。
ここで、凹部11a1の面積Sは、図4〜図7に示すように、開口部の上端での面積であり、言い換えると、凹部11a1が形成されていない基板11の第1の主面11aを延ばしたときに開口している部分の面積である。
凹部11a1のアスペクト比(深さ/径)は1以下(すなわち、深さ:直径=1:1以上)が好ましく、アスペクト比(深さ/径)が0.2以下(すなわち、深さ:直径=1:5以下)がより好ましい。この範囲であれば、凹部11a1の内部を埋めるように後述するダイヤモンド層13を成長することができる。なお、径とは、矩形の場合は最も短い辺であり、円形の場合は直径である。
また凹部11a1の平面形状が矩形の場合には、最も短い辺に対する最も長い辺が100倍以下(すなわち、最も長い辺:最も短い辺=100:1〜1:1)であることが好ましい。凹部11a1の平面形状が楕円の場合には、短軸に対する長軸が100以下(すなわち、長軸:短軸=100:1〜1:1)であることが好ましい。この範囲であれば、凹部11a1の内部を埋めるように後述するダイヤモンド層13を成長することができる。このような凹部11a1の平面形状として、各辺の長さが略等しい矩形または円であることがより好ましい。
凹部11a1は、1個形成されていれば特に限定されないが、2個〜7個形成されていることが好ましく、3個〜7個形成されていることがより好ましい。2個以上であると、後述する第2の主面11bを研磨するステップS5時に、研磨機の軸ずれが生じにくくなり、研磨の制御性を良好に保つことができる。3個以上であると、この3箇所以上のダイヤモンドの凸部により平面が規定されるため、基板11が撓むことを抑制して研磨を行なうことができるので、研磨の制御性をより良好に保つことができる。7個以下であると、デバイスを形成できない無効面積を小さくできる。研磨の制御性の向上および無効面積を小さくする観点から、3個または4個の凹部11a1が形成されていることが最も好ましい。
凹部11a1が複数形成されている場合には、研磨の制御性を向上する観点から、偏りなく対称の位置に形成することが好ましい。
また、凹部11a1の下端面は平坦であることが好ましい。凹部11a1を埋めるようにダイヤモンドを成長するステップS3で良好にダイヤモンド層13を成長するためである。
以上のステップS1、S2により、0.4μm以上300μm以下の深さHと、5μm2以上の面積Sとを有する凹部11a1が形成された第1の主面11aと、第1の主面11aと反対側の第2の主面11bとを含むとともに、ダイヤモンドを含まない材料よりなる基板11を準備できる。なお、凹部11a1の形成されていない基板11を準備した後に、凹部11a1を形成する上述の方法に特に限定されず、市販の凹部11a1が形成された基板11を準備してもよい。
図8は、本実施の形態におけるダイヤモンド層を成長した状態を示す概略断面図である。次に、図2および図8に示すように、気相法により第1の主面11a上に、凹部11a1の深さ以上の厚みのダイヤモンド層13を成長する(ステップS3)。
ダイヤモンド層13の成長方法は気相法であれば特に限定されず、たとえばCVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法、PVD(Physical Vapor Deposition:物理気相成長)法などを採用できる。
成長するダイヤモンド層13の厚みは、特に限定されないが、たとえば250μm以上350μm以下である。
このステップS3を実施すると、凹部11a1の内部を埋め、かつ凹部11a1を含む第1の主面11aの全体を覆うようにダイヤモンド層13が成長する。このダイヤモンド層13の成長表面には凹凸が生じる。たとえばダイヤモンド層13を基板11の第1の主面11aから数100μm以上の厚みに成長すると、ダイヤモンド層13の成長表面には、数μmの凹凸が生じる。
図9は、本実施の形態におけるダイヤモンド層を研磨した状態を示す概略断面図である。次に、図2および図9に示すように、ダイヤモンド層13において基板11の第1の主面11aと接触している第1の主面13aと反対側の第2の主面13bについて研磨および研削の少なくともいずれかを行なう(ステップS4)。このステップS4では、基板11を構成する材料の高度よりも高く、かつダイヤモンドの硬度よりも高い材料を用いて、研磨および研削を行なう。
研磨および研削の方法は、特に限定されず、砥石を回転させながら表面に接触させて、厚み方向に削り取るような一般公知の方法を採用できる。このようにダイヤモンド層13の第2の主面13bについて研磨および研削の少なくともいずれかを行なうことにより、凹凸が形成されていた第2の主面13bから平坦な面13cが得られる。
なお、このダイヤモンド層13を研磨および研削するステップS4は、後述する基板11を研磨するステップS5後に実施してもよく、また、省略されてもよい。
次に、凹部11a1の内部に位置するダイヤモンド層13の凸部13a1を研磨のストッパとして用いて、基板11の第2の主面11bを研磨する(ステップS5)。
具体的には、たとえば、ダイヤモンド層13が形成された基板11を研磨機に配置して、砥石に研磨液を塗布し、基板11の第2の主面11bに砥石を接触させた状態で回転し、第2の主面11bを一定荷重で押し付ける。基板11は、第2の主面11bから厚み方向に削りとられる。研磨を続けると、やがて、ダイヤモンド層13の凸部13a1に砥石が達する。その後は、ダイヤモンド層13の凸部13a1が研磨のストッパとなるので、砥石と接触している基板11の面にこれ以上の研磨が進むことを防止できる。このため、第2の主面11bを研磨するステップS5後に露出している基板11の面11cは、凹部11a1に成長したダイヤモンド層13の凸部13a1の上部表面とほぼ同じレベルに位置する。
以上のステップS1〜S5を実施することにより、図1に示す本実施の形態における放熱基板10aを製造することができる。
以上説明したように、本実施の形態における放熱基板10aの製造方法は、以下の工程を備えている。まず、0.4μm以上300μm以下の深さHと、5μm2以上の面積Sとを有する凹部11a1が形成された第1の主面11aと、第1の主面11aと反対側の第2の主面11bとを含むとともに、ダイヤモンドを含まない材料よりなる基板11が準備される(ステップS1)。そして、気相法により第1の主面11a上に、凹部11a1の深さH以上の厚みのダイヤモンド層13が成長される(ステップS3)。そして、凹部11a1の内部に位置するダイヤモンド層13の凸部13a1を研磨のストッパとして用いて、第2の主面11aが研磨される(ステップS5)。
本発明の放熱基板10aの製造方法によれば、基板11には上記形状の凹部11a1が形成されているので、この凹部11a1の内部を埋めるようにダイヤモンド層13を成長することができる。上記形状の凹部11a1の内部に位置するダイヤモンド層13の凸部13a1は、基板11の第1の主面11aに対して、0.4μm以上300μm以下の厚みと、5μm2以上の面積とを有する。ダイヤモンドは基板よりも高い硬度を有しているので、第2の主面11bを研磨するステップS5時に、ダイヤモンド層13の凸部13a1が基板11の研磨のストッパとなる。このため、ダイヤモンド層13の凸部13a1の表面に砥石などの研磨材などが達した後は、第2の主面11bにおいてそれ以上に研磨が進むことを防止できる。このため、薄く、かつ均一な厚みを残して基板11を研磨することができる。また、研磨時に何度も観察する従来の方法と比べて、本実施の形態ではダイヤモンド層13の凸部13a1を研磨のストッパとして用いているので、手間を省くことができ、簡易である。さらに、研磨時の観察のタイミングを間違えることにより、基板を削り取ってしまう場合が発生しやすい従来の方法に比べて、本実施の形態では歩留まりを向上できる。したがって、基板11の厚みの制御性を向上することができる。
(実施の形態2)
図10は、本発明の実施の形態2における放熱基板を示す概略断面図である。図10を参照して、本実施の形態における放熱基板10bを説明する。本実施の形態における放熱基板10bは、基本的には図1に示す実施の形態1と同様の構成を備えているが、基板11上に半導体結晶15をさらに備えている点においてのみ異なる。
図10は、本発明の実施の形態2における放熱基板を示す概略断面図である。図10を参照して、本実施の形態における放熱基板10bを説明する。本実施の形態における放熱基板10bは、基本的には図1に示す実施の形態1と同様の構成を備えているが、基板11上に半導体結晶15をさらに備えている点においてのみ異なる。
具体的には、放熱基板10bは、ダイヤモンド層13と、ダイヤモンド層13上に形成された基板11と、基板11上に形成された半導体結晶15とを備えている。ダイヤモンド層13および基板11は、実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
半導体結晶15は、基板11において研磨により現れた面11cおよびダイヤモンド層13の凸部13a1に接して設けられている。半導体結晶15は、基板11と同じ材料であっても異なる材料であってもよいが、パワー密度が高いデバイスを作製できるので窒化物半導体結晶よりなることが好ましい。特に、基板11がSi基板またはSiC基板で、半導体結晶15が窒化物半導体結晶であることが好ましい。なお、半導体結晶15は、単一の層よりなっていても、複数の層を含んでいてもよい。
図11は、本実施の形態における放熱基板の製造方法を示すフローチャートである。続いて、図11を参照して、本実施の形態における放熱基板の製造方法について説明する。
図11に示すように、まず、0.4μm以上300μm以下の深さHと、5μm2以上の面積Sとを有する凹部11a1が形成された第1の主面11aと、第1の主面11aと反対側の第2の主面11bとを含むとともに、ダイヤモンドを含まない材料よりなる基板11を準備する(ステップS1、S2)。次に、気相法により第1の主面11a上に、凹部11a1の深さH以上の厚みのダイヤモンド層13を成長する(ステップS3)。次に、ダイヤモンド層13において第1の主面11aと接触している第1の主面13aと反対側の第2の主面13bについて研磨および研削の少なくともいずれかを行なう(ステップS4)。次に、凹部11a1の内部に位置するダイヤモンド層13の凸部13a1を研磨のストッパとして用いて、第2の主面11bを研磨する(ステップS5)。図1に示す放熱基板10aを製造する工程は、実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
次に、図11に示すように、第2の主面11bを研磨するステップS5後に、第1の主面11aと反対側の面11c上に、半導体結晶15を成長する(ステップS6)。半導体結晶15は、たとえば上述した材料よりなる。
半導体結晶15の成長方法は特に限定されず、たとえば昇華法、HVPE(Hydride Vapor Phase Epitaxy:ハイドライド気相成長)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy:分子線エピタキシ)法、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属化学気相堆積)法などの気相法および液相法の少なくともいずれか一方を採用できる。
以上のステップS1〜S6により、図10に示す放熱基板10bを製造することができる。なお、ダイヤモンド層13を研磨するステップS4は、半導体結晶15を成長するステップS6後に実施してもよい。
以上説明したように、本実施の形態における放熱基板10bの製造方法によれば、第2の主面11bを研磨するステップS5後に、第1の主面11aと反対側の面11c上に、半導体結晶15を成長する(ステップS6)。基板11上には良好な結晶性の半導体結晶15を成長することができるので、ダイヤモンド層13と、ダイヤモンド層13上に形成された基板11と、基板11上に形成された良好な結晶性を有する半導体結晶15とを備えた放熱基板10bを製造することができる。
上記放熱基板10bの製造方法において、基板11がSiまたはSiCであり、半導体結晶15が窒化物半導体結晶であることが好ましい。ダイヤモンド層13を成長する雰囲気に基板11が曝されても、Si基板およびSiC基板はエッチングされにくいので、Si原子およびC原子が表面から脱落することを防止できる。また、ダイヤモンドの原料である炭素が取り込まれにくい。このため、ダイヤモンド層13を成長するステップS3時に、基板11が受けるダメージを低減でき、基板を構成している結晶の消失を防止できる。このダメージが低減された基板11上に、半導体結晶15として窒化物半導体結晶を成長できるので、結晶性の良好な窒化物半導体結晶を成長できる。窒化物半導体結晶はパワー密度を向上したデバイスを構成するが、デバイスの発熱源に近い位置にダイヤモンド層13を配置できるので、出力密度の高いデバイスを形成することができる。
本実施例では、0.4μm以上300μm以下の深さと、5μm2以上の面積とを有する基板の凹部の内部に位置するダイヤモンドよりなる層の部分を研磨のストッパとして用いることの効果について調べた。
(本発明例1)
本発明例1では、実施の形態1における放熱基板の製造方法にしたがって放熱基板を製造した。
本発明例1では、実施の形態1における放熱基板の製造方法にしたがって放熱基板を製造した。
具体的には、まず、6H−SiCよりなり、3インチの直径と0.4mmの厚みとを有し、第1および第2の主面を有するSiC基板を準備した(ステップS1)。次に、この基板の第1の主面に、フォトリソグラフィーにより直径が30μmの円形状の開口部を3箇所有するレジストを形成した。その後、RIEによりレジストの開口部下の基板をエッチングすることで、深さが8μmで、直径が30μmの円形状の凹部を3箇所形成した(ステップS2)。その後、レジストを除去した。
次に、マイクロ波プラズマCVD法により、250μmの厚みのダイヤモンド層を成長した(ステップS3)。成長時間は100時間であり、成長したダイヤモンド層は、最大20μmの凹凸が生じた。
次に、ダイヤモンド層の成長表面をダイヤモンド研磨盤で研磨して、この成長表面を平坦化した(ステップS4)。このとき、ダイヤモンド層の厚みは、190〜210μmであった。このダイヤモンド層の厚みは、マイクロメータにより5箇所について測定した。
次に、SiC基板の凹部の内部に位置するダイヤモンド層の凸部を研磨のストッパとして用いて、ダイヤモンド砥粒で、基板の第2の主面を研磨した(ステップS5)。基板の凹部に形成されたダイヤモンド層の3箇所の凸部がすべて露出した時点で研磨を停止した。その後、さらに基板の研磨ダメージ層をCMP加工により除去した。以上のステップS1〜S5により、本発明例1における放熱基板を製造した。
(本発明例2)
本発明例2における放熱基板の製造方法は、基本的には本発明例1における放熱基板の製造方法と同様の構成を備えていたが、準備した基板がSi基板である点、第2の主面を研磨するステップS5時にアルミナ砥粒により研磨した点において異なる。
本発明例2における放熱基板の製造方法は、基本的には本発明例1における放熱基板の製造方法と同様の構成を備えていたが、準備した基板がSi基板である点、第2の主面を研磨するステップS5時にアルミナ砥粒により研磨した点において異なる。
具体的には、本発明例2では、第1および第2の主面が(111)であり、3インチの直径と0.35mmの厚みとを有するSi基板を準備した(ステップS1)。このSi基板について本発明例1と同様に凹部を形成した(ステップS2)。
次に、本発明例1と同様に、Si基板上にダイヤモンド層を形成した(ステップS3)。このとき、本発明例1と同様の測定方法により測定されたダイヤモンド層の厚みは、180〜210μmであった。
次に、本発明例1と同様に、ダイヤモンド層の成長表面を研磨し(ステップS4)、続いて基板の第2の主面を研磨した(ステップS5)。
(本発明例3〜8、比較例2、3)
本発明例3における放熱基板の製造方法は、基本的には本発明例1における放熱基板の製造方法と同様の構成を備えていたが、準備した基板の材料および凹部の形状において、本発明例1と異なる。
本発明例3における放熱基板の製造方法は、基本的には本発明例1における放熱基板の製造方法と同様の構成を備えていたが、準備した基板の材料および凹部の形状において、本発明例1と異なる。
具体的には、本発明例3〜8では、第1および第2の主面が(0001)面であり、1インチの直径と、0.4mmの厚みとを有するSi基板を準備した(ステップS1)。次に、4回対称位置に4箇所、下記の表1に記載の直径の円形状の開口部を有するレジストをフォトリソグラフィにより形成した。
次に、HF−CVD(Hot Filament Chemical Vapor Deposition:熱フィラメント気相化学合成)法により、成長時間を250時間として、下記の表1に記載の厚みのダイヤモンド層を成長した(ステップS3)。なお、ダイヤモンド層の厚みは、ダイヤモンド層を成長するステップS3の前後において、増加した重量を測定し、これをダイヤモンドの比重で除算して、さらにダイヤモンドの表面積(基板の第1および第2の主面の表面積)でさらに除算して算出した。このため、表1に記載のダイヤモンド層の厚みは、基板の凹部に形成されたダイヤモンドの部分を考慮しない厚み(凹部の形成されていない第1の主面との界面からダイヤモンドの成長表面までの距離)に近似される。
次に、本発明例1と同様に、ダイヤモンド層の成長表面を研磨した(ステップS4)。このとき、ダイヤモンド層の厚みは、下記の表1に記載の通りとなった。
次に、本発明例1と同様に、ダイヤモンド層の成長表面を研磨し(ステップS4)、続いて基板の第2の主面を研磨した(ステップS5)。
(比較例1)
比較例1における放熱基板の製造方法は、基本的には本発明例2における放熱基板の製造方法と同様の構成を備えていたが、準備した基板において本発明例1と異なる。
比較例1における放熱基板の製造方法は、基本的には本発明例2における放熱基板の製造方法と同様の構成を備えていたが、準備した基板において本発明例1と異なる。
図12および図13は、比較例1における放熱基板の製造方法を説明するための概略断面図である。図12に示すように、比較例1では、本発明例2と同様の第1および第2の主面111a、111bを有するSi基板111を準備した(ステップS1)。このSi基板111に凹部を形成せずに、図12に示すように、第1の主面111a上にダイヤモンド層113を、本発明例2と同様に成長した(ステップS3)。
次に、本発明例2と同様に、図13に示すようにダイヤモンド層113の成長表面113bを研磨した(ステップS4)。このとき、本発明例1と同様の測定方法により測定されたダイヤモンド層の厚みは、200〜220μmであった。
次に、本発明例2と同様に、ダイヤモンド層113の成長表面113bを研磨し(ステップS4)、続いてSi基板111の第2の主面111bを研磨した(ステップS5)。
(測定方法)
本発明例1〜8および比較例1〜3の放熱基板の製造方法により得られた放熱基板について、基板が残っていたかを確認した。
本発明例1〜8および比較例1〜3の放熱基板の製造方法により得られた放熱基板について、基板が残っていたかを確認した。
また、本発明例1〜8および比較例1〜3の放熱基板における第2の主面を研磨したステップS5により形成された面について、XPSにより元素分析を行なった。
(測定結果)
本発明例1〜8の放熱基板は、基板の凹部に成長したダイヤモンド層の凸部が基板の第2の主面を研磨するときのストッパの役割を果たしたので、ダイヤモンド層において凸部以外の領域が基板から露出することを防止でき、ダイヤモンド層の凸部以外の領域では、ダイヤモンド層の凸部の厚みと略同一の薄い厚みを有する厚みが残った。
本発明例1〜8の放熱基板は、基板の凹部に成長したダイヤモンド層の凸部が基板の第2の主面を研磨するときのストッパの役割を果たしたので、ダイヤモンド層において凸部以外の領域が基板から露出することを防止でき、ダイヤモンド層の凸部以外の領域では、ダイヤモンド層の凸部の厚みと略同一の薄い厚みを有する厚みが残った。
また、52μm以下の深さを有する凹部が形成された第1の主面を有する基板を用いた本発明例1〜7は、基板の厚みを薄くするための第2の主面を研磨する量が少なかった。
また、本発明例1〜8および比較例1、2の放熱基板において第2の主面を研磨したことにより露出した基板の面は、1%程度の酸素が検出された。この酸素は、表面に吸着したと考えられ、ダイヤモンド層を成長するステップS3時に基板はダメージを受けなかったと考えられる。
一方、比較例1の放熱基板は、Si基板の厚みが薄くなった時点で研磨を中止して、基板の厚みを測定したところ、厚みは20μm〜40μmであった。そこで、さらに研磨を進めた結果、図14に示すように、基板111の端部では基板111が削り取られてダイヤモンドが露出したが、中央部では32μmの厚みを有する基板が残っていた。なお、図14は、比較例1における放熱基板を示す概略断面図である。
また、基板の凹部の面積が小さかった比較例2における放熱基板は、ダイヤモンドよりなる凸部に局所的に圧力が加えられたので、2箇所の凹部に形成された凸部を構成するダイヤモンド層が脱落し、2箇所の研磨のストッパがなくなった。この結果から、凹部の面積が0.1μm2と小さい場合には、凹部を1箇所のみ形成すると、研磨のストッパが形成されない場合が生じるため、基板の厚みの制御性を向上できないことがわかった。
また、基板の凹部の深さが小さかった比較例3における放熱基板は、4箇所の凹部に形成された凸部を構成するダイヤモンド層は脱落しなかったものの、第2の主面の研磨により露出した基板の面は、1%の酸素と、1%の炭素とが検出された。このことから、ダイヤモンド層を成長するステップS3時に、Si基板にダイヤモンド層の原料が取り込まれたことがわかった。このため、この基板上に半導体結晶を成長させると、炭素を核として多結晶が発生するなど、結晶性が悪くなると考えられる。
以上より、本実施例によれば、0.4μm以上300μm以下の深さと、5μm2以上の面積とを有する基板の凹部の内部に位置するダイヤモンドよりなる層の部分を研磨のストッパとして用いることにより、基板の厚みを薄くするための研磨の制御性を向上でき、かつ基板上に半導体結晶を成長させる場合に結晶性を向上できる放熱基板を製造できることが確認できた。
本実施例では、0.4μm以上300μm以下の深さと、5μm2以上の面積とを有する基板の凹部の内部に位置するダイヤモンドよりなる層の部分を研磨のストッパとして用いることにより得られた放熱基板について、放熱性を向上できることの効果について調べた。
(本発明例9)
本発明例9は、実施の形態2における放熱基板の製造方法にしたがって、放熱基板を製造した。
本発明例9は、実施の形態2における放熱基板の製造方法にしたがって、放熱基板を製造した。
具体的には、本発明例1の放熱基板を準備した。図15は、実施例2における本発明例9における放熱基板を示す概略断面図である。次に、図15に示すように、研磨により露出した基板11の面11c上に、HVPE法で980℃の温度で、0.5μmの厚みを有するAlN層15a、2.5μmの厚みを有するi−Gan層15bおよび30nmの厚みを有するi−AlGaN層15cを、この順で成長した。これにより、図15に示す本発明例9における放熱基板が得られた。
(比較例4)
比較例4は、本発明例1と同様のSiC基板を準備し(ステップS1)、SiC基板に凹部を形成せずに、SiC基板上にダイヤモンドを成長し(ステップS3)、SiC基板を研磨せずに、SiC基板上に比較例1と同様の半導体層を形成した。
比較例4は、本発明例1と同様のSiC基板を準備し(ステップS1)、SiC基板に凹部を形成せずに、SiC基板上にダイヤモンドを成長し(ステップS3)、SiC基板を研磨せずに、SiC基板上に比較例1と同様の半導体層を形成した。
(測定方法)
本発明例9および比較例4における放熱基板について、図16に示す1mmのチャネル幅を有するHEMTを作製した。なお、図16は、図15における領域Rに形成された1つのデバイスとしてのHEMTを示す概略断面図である。
本発明例9および比較例4における放熱基板について、図16に示す1mmのチャネル幅を有するHEMTを作製した。なお、図16は、図15における領域Rに形成された1つのデバイスとしてのHEMTを示す概略断面図である。
具体的には、半導体結晶15の表面(本実施例ではi−AlGaN層15cの表面)上にSiO2(二酸化珪素)よりなる保護膜17を、CVD法により形成した。次に、保護膜17上にゲート電極23を蒸着法により形成した。次に、保護膜17上に開口部を有するレジストを形成して、開口部下の保護膜17を除去し、i−AlGaN層15cに接するように、ソース電極21およびドレイン電極25を蒸着法により形成した。セラミックフレーム28を介してパッケージ電極29と接続されているCuWよりなるパッケージベース27上に、このHEMTを配置した。
次に、このパッケージベースの裏面を20℃で固定し、それぞれ動作させて、動作電力の最大値を測定した。
(測定結果)
本発明例9の放熱基板を用いたHEMTの動作電力は25Wであり、比較例4の放熱基板を用いたHEMTの動作電力は13Wであった。この結果から、本発明例9の放熱基板は、基板の厚みを小さくできたので、HEMTから発生する熱をダイヤモンド層の高い熱伝導度により放出できたことがわかった。一方、比較例4の放熱基板を用いたHEMTは、基板の厚みが大きかったので、ダイヤモンド層の高い熱伝導度を利用できず、放熱性が悪いので、動作電力が低かった。
本発明例9の放熱基板を用いたHEMTの動作電力は25Wであり、比較例4の放熱基板を用いたHEMTの動作電力は13Wであった。この結果から、本発明例9の放熱基板は、基板の厚みを小さくできたので、HEMTから発生する熱をダイヤモンド層の高い熱伝導度により放出できたことがわかった。一方、比較例4の放熱基板を用いたHEMTは、基板の厚みが大きかったので、ダイヤモンド層の高い熱伝導度を利用できず、放熱性が悪いので、動作電力が低かった。
以上より、本実施例によれば、0.4μm以上300μm以下の深さと、5μm2以上の面積とを有する基板の凹部の内部に位置するダイヤモンドよりなる層の部分を研磨のストッパとして用いることにより、基板の厚みを薄くできるので、基板上にデバイスを形成すると、放熱性を向上できることが確認できた。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の放熱基板および放熱基板の製造方法によれば、基板の厚みの制御性を向上できるので、基板の厚みを薄くした放熱基板を製造できる。このため、放熱性を向上できるので、パワー密度の高いデバイスを形成するための放熱基板として好適に用いられる。
10a,10b 放熱基板、11 基板、11a,13a 第1の主面、11a1 凹部、11b,13b 第2の主面、11c,13c 面、13 ダイヤモンド層、13a1 凸部、15 半導体結晶、15a AlN層、15b i−Gan層、15c i−AlGaN層、17 保護膜、21 ソース電極、23 ゲート電極、25 ドレイン電極、27 パッケージベース、28 セラミックフレーム、29 パッケージ電極、S 面積、H 深さ。
Claims (9)
- 0.4μm以上300μm以下の深さと、5μm2以上の面積とを有する凹部が形成された第1の主面と、前記第1の主面と反対側の第2の主面とを含むとともに、ダイヤモンドを含まない材料よりなる基板を準備する工程と、
気相法により前記第1の主面上に、前記凹部の深さ以上の厚みのダイヤモンドよりなる層を成長する工程と、
前記凹部の内部に位置する前記ダイヤモンドよりなる層の部分を研磨のストッパとして用いて、前記第2の主面を研磨する工程とを備えた、放熱基板の製造方法。 - 前記ダイヤモンドよりなる層において前記第1の主面と接触している面と反対側の面について研磨および研削の少なくともいずれかを行なう工程をさらに備えた、請求項1に記載の放熱基板の製造方法。
- 前記基板は、珪素または炭化珪素よりなる、請求項1または2に記載の放熱基板の製造方法。
- 前記第2の主面を研磨する工程後に、前記第1の主面と反対側の面上に、半導体結晶を成長する工程をさらに備えた、請求項1〜3のいずれかに記載の放熱基板の製造方法。
- 前記半導体結晶は、前記基板を構成する材料と異なる材料よりなる、請求項4に記載の放熱基板の製造方法。
- 前記半導体結晶は、窒化物半導体結晶である、請求項5に記載の放熱基板の製造方法。
- 請求項4〜6のいずれかに記載の放熱基板の製造方法により製造される放熱基板であって、
前記ダイヤモンドよりなる層と、
前記ダイヤモンドよりなる層上に形成された前記基板と、
前記基板上に形成された前記半導体結晶とを備えた、放熱基板。 - 前記基板は、珪素または炭化珪素であり、
前記半導体結晶は、窒化物半導体結晶である、請求項7に記載の放熱基板。 - 前記基板の最大の厚みは、52μm以下である、請求項7または8に記載の放熱基板。
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KR101193370B1 (ko) | 2009-12-10 | 2012-10-19 | 인터실 아메리카스 엘엘씨 | 칩 스택 및 3차원 회로를 위한 열 전도 |
JPWO2020003436A1 (ja) * | 2018-06-28 | 2021-01-07 | 三菱電機株式会社 | 半導体装置、および、半導体装置の製造方法 |
-
2008
- 2008-01-15 JP JP2008005916A patent/JP2009166160A/ja not_active Withdrawn
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