JP2009163989A - リチウム電池、リチウム電池用正極およびその製造方法 - Google Patents

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【課題】 出力特性を向上して大電流の充放電を可能にする、薄膜のマンガン酸リチウムを含むリチウム電池用正極、その正極を備えたリチウム電池(一次、二次)、および上記正極の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のリチウム電池用正極3は、気相成長法による薄膜を主構成部とし、該薄膜が、リチウムおよびマンガンを含む複合酸化物と、カーボンとを備えることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、リチウム電池、リチウム電池用正極およびその製造方法に関し、より具体的には、薄膜において出力特性に優れた、リチウム電池、リチウム電池用正極およびその製造方法に関するものである。
電池の分野ではリチウム電池に注目が集まり、多くの研究開発が進行している。とくに全固体リチウム電池は安全性が高いので、電池容量を高めるため、正負極材料および固体電解質の開発が盛んになされている。全固体リチウム電池では、正極に含リチウム金属酸化物(リチウム複合酸化物)を、また負極に金属リチウムを用いたものが一般に知られている。このようなリチウム電池について、固体電解質と負極との接続をリフロー工程で実現するために、負極の固体電解質に接する層に炭素材料を用い、固体電解質より遠い部分に金属リチウムを配置した負極が開示されている(特許文献1)。この特許文献1に開示の全固体リチウム電池では、正極にリチウム複合酸化物を用いている。
また、薄膜リチウム二次電池の充放電容量の増大を目的に、正極におけるリチウムイオンの移動度を高めるために、その正極を単結晶のLiMn24で形成した発明が開示されている(特許文献2)。単結晶LiMn24では、リチウムイオンは結晶粒界に邪魔されずに、単結晶LiMn24のトンネル状空間を移動するため、移動度を向上することができる。
特開2004−127743号公報 特開平6−187994号公報
しかしながら、特許文献2に開示されたリチウム二次電池用正極についていえば、リチウムイオンの移動度を向上させただけでは、リチウム二次電池は良好な出力特性を発揮することはできない。また、正極に、単結晶LiMn24を形成する工程は、能率が悪く、大量生産品が一般的な電池には採用しにくい。さらに、特許文献1に開示の薄膜電池に用いられるリチウム複合酸化物についても改良が認められない。特許文献1には、リチウム複合酸化物としてLICoO2,LiNiO2,LiMn24があげられているが、これまでLiMn24を含めてマンガン酸リチウムの薄膜の正極を用いて、実際に使用可能な出力特性を有するリチウム電池が開発されたことはほとんど知られていない。
しかし、LiMn24などの(Li,Mn,X)複合酸化物(X=Noneでもよい)の原料のうち、Mnは潤沢に存在する資源であり、正極の薄膜を安価に作製しうる可能性を秘めている。しかし、リチウム電池の薄膜正極に上記単結晶などを用いないで、通常のマンガン酸リチウムを用いて実用化された例は、上述のように、これまでのところほとんど知られていない。薄膜リチウム電池の正極に、薄膜の(Li,Mn)複合酸化物を使用できれば、原料の安価入手ができるので、薄膜リチウム電池の可能性がより大きく拓けると考えられる。本発明は、出力特性を向上して大電流の充放電を可能にする、薄膜のマンガン酸リチウムを含むリチウム電池用正極、その正極を備えたリチウム電池(一次、二次)、および上記正極の製造方法を提供することを目的とする。なお、以後の説明で、「(Li,Mn,X)酸化物」、「マンガン酸リチウム」、および「リチウム複合酸化物」を、ほとんど同じ意味で用いるが、マンガン酸リチウムは、LiMn24などマンガンとリチウムとを主元素とする酸化物を強調する場合に用い、(Li,Mn,X)酸化物はX=無しの場合以外は、マンガン酸リチウムの部分置換化合物を強調する場合に用い、またリチウム複合酸化物は、両方の中間的な意味合いで用いる。
本発明のリチウム電池用正極は、気相成長法による薄膜を主構成部とし、該薄膜が、リチウムおよびマンガンを含む複合酸化物と、カーボンとを備えることを特徴とする。
リチウム電池の正極は、リチウムイオンの移動度が高いことと同じ重要度で、電子伝導性が高いことが必要である。これまでマンガン酸リチウムは、リチウムイオンの移動度および電子伝導度に改良の余地があると考えられてきた。しかし、実際には、マンガン酸リチウムは、リチウムイオン伝導性は十分そなえており、電子伝導度が低いために、リチウム電池の正極に使用しても大電流の充放電を得ることができなかった。上記構成によれば、薄膜の正極にカーボンを混入させることにより、正極はマンガン酸リチウムとともに導体であるカーボンを備えるので、電子伝導度を向上させることができ、大電流の充放電が可能になる。また、安価な原料を使用できる可能性があるMnを含むリチウム複合酸化物の実用化により、薄膜リチウム電池の利用可能範囲をさらに拡げることができる。なお、リチウム電池は、一次および二次のどちらでもよく、また電解質は固体電解質の場合、すなわち全固体電池の場合が多いが、固体電解質に限定されず、その他の任意の電解質(電解液、ポリマー液など)であってもよい。カーボンは、グラファイトなど炭素(C)により形成される導電性の材料であれば何でもよい。
上記のカーボンとマンガンのモル比は、0.01以上0.5以下とするのがよい。カーボンは電子伝導度は高めるが、リチウムイオン伝導性はほとんどなく、一方、(Li,Mn,X)酸化物は、リチウムイオン伝導性は高いが、電子伝導度はカーボンよりかなり低いがゼロではない。上記のモル比を得ることによって、カーボンとマンガン酸リチウムとの量的なバランスをとり、したがって、電子伝導度と、リチウムイオンの移動度とのバランスをとることができる。カーボンとマンガンとのモル比が0.01未満では電子伝導性が低く、また上記モル比が0.5を超えると正極で反応に与るリチウムイオンの量が不足して、どちらの場合にも電池全体の反応が円滑に進行しない。カーボンとマンガンとのモル比の、より望ましい範囲は、0.03以上0.25以下である。
前記薄膜のいずれの位置のミクロ組成分析においても、前記カーボンとマンガンのモル比が0.01以上0.5以下にあるようにするのがよい。上記のミクロ組成分析結果は、上記のカーボンと、リチウム複合酸化物とを、相互に稠密(超微細、均一)に分布させることによって得られる。具体的にはカーボン、リチウム、マンガン等を同時に蒸着することによって得られる。このようなカーボンとリチウム複合酸化物の分布形態によって、正極のいたる所でリチウム複合酸化物のどのような近くにもカーボンが存在するので、正極のどの位置でも高いリチウムイオン伝導性と電子伝導性を両方とも備えることができる。この結果、電池の正極での反応を正極全体で一様に行わせることができ、充放電容量の増大を得ることができる。さらに正極全体で均一に反応が行われ、反応が局所的な部分に偏在しないので、正極の耐久性向上にも有効である。ここで、ミクロ組成分析法としては、SIMS(二次イオン質量分析法:Secondary Ion Mass Spectroscopy)、ICP(誘導結合プラズマ発光分析法:Inductively coupled plasma)などを用いることができ、直径0.1μm〜1.0μm程度の範囲の平均値とするのがよい。
本発明の全固体リチウム電池は、上記のどれかひとつのリチウム電池用正極を用いたことを特徴とする。これによって、リチウム電池は、上述の各正極が有する特徴を得ることができる。
本発明のリチウム電池用正極の製造方法は、蒸着による薄膜の製造方法である。この製造方法では、チャンバ内に基材を配置し、その基材に、リチウム、マンガン、酸素、カーボンを同時に蒸着することを特徴とする。
この方法によって、効率よくカーボンとリチウム複合酸化物とを含む正極を製造することができる。また、同時進行的にカーボンとリチウム複合酸化物を蒸着するので、カーボンとリチウム複合酸化物とが均質に配置された正極を得ることができ、出力特性および耐久性の向上を得ることができる。
上記の蒸着において、一つの蒸着原料容器にリチウム、マンガンおよびカーボンの原料を装入して蒸発エネルギを投入するのがよい。これによって、非常に簡単に蒸着層(正極)を得ることができ、またるつぼ費用を節減することができる。
上記の蒸着において、少なくともカーボンの原料を装入する蒸着原料容器と他の元素の原料を装入する蒸着原料容器とを別にして、その複数の蒸着原料容器にそれぞれの原料を装入して蒸発エネルギを投入してもよい。これによって、カーボンおよび(Li,Mn)複合酸化物の組成、蒸着量などの調整を容易に行うことができる。
本発明のリチウム電池用正極、リチウム電池、およびリチウム電池用正極の製造方法によれば、マンガン酸リチウムを含む薄膜の正極を用いながら、出力特性を向上して大電流の充放電を得ることが可能となる。
図1は、本発明の実施の形態における全固体薄膜リチウム二次電池の正極3を示す断面図である。本実施の形態における正極3は、カーボンと(Li,Mn,X)複合酸化物との混合体で形成されている点に特徴を持つ。Xは存在せず、リチウムとマンガンだけで構成されていてもよい。従来の全固体薄膜リチウム電池の正極3は、LiCoO2やLiNiO2などのMnを用いないリチウム複合酸化物で構成されていた。その理由は、マンガン酸リチウムは、リチウムイオンの移動度などが低く、改良の余地があるからと考えられていた。そのために、特許文献2に示すように、LiMn24単結晶化によるリチウムイオン移動度の向上の開発がなされた。しかし、マンガン酸リチウムの薄膜正極への利用においては、リチウムイオン移動度の向上よりは、電子伝導度の向上が重要である。
リチウム電池の正極3内では、(1)放電の際は、負極で蓄積されていたリチウムがイオンLi+となって固体電解質5を伝導してきて、図示しない配線から基材11を経て伝導してきた電子e-と結合して、リチウムが蓄積される。また(2)充電の際には、正極3に蓄積されたLiがイオンLi+になって固体電解質5へと送り出されて負極に向かい、同時に電子e-が基材11から配線へと流れる。上記の充放電プロセスにおいて、仮に正極3の電子伝導度が低ければ、正極3の全厚みの固体電解質5に近い側の部分において、電子が反応に与りにくくなり、したがって大電流の充放電ができにくくなる。このため、電子伝導度の低いマンガン酸リチウムは、リチウム電池に実用化されることはなく、もっぱらLiCoO2やLiNiO2が用いられていた。
図1に示すように、カーボンを含むことによって、薄膜正極の電子伝導性を向上させることができ、またリチウムイオン伝導性はリチウムマンガン複合酸化物で確保できるので、薄膜リチウム二次電池の正極3の全部分が反応に与ることができる。その結果、上述の電気化学反応を正極3内のどの場所でも、時間をかけずに行わせることができ、大電流の充放電が可能となる。
薄膜リチウム電池の正極には、これまで電子伝導性の高いLiCoO2やLiNiO2が用いられ、それで事は片付いていたため、薄膜のマンガン酸リチウムを用いるという発想はなかった。しかし、(Li,Mn)酸化物は安価な原料を用いられる可能性があり、本実施の形態におけるリチウム複合酸化物を、カーボンとともに正極に用いることによって、薄膜リチウム電池の利用範囲をさらに拡げられる可能性が出てきた。
カーボンは電子伝導度は高めるが、リチウムイオン伝導性はほとんどない。一方、(Li,Mn,X)酸化物は、リチウムイオン伝導性は高いが、電子伝導度はカーボンよりかなり低いがゼロではない。このため、リチウムイオン移動度を、正極3の厚み全体にわたって確保できるように、カーボンの比率は、モル比で0.01〜0.5の範囲とするのがよい。カーボンは、あくまで電子伝導度を向上させるための補助的役割を担うものとして混入する。そして、正極3の全厚みにわたってくまなく電子伝導度を向上させるために、カーボンと(Li,Mn,X)酸化物とは、上記のモル比の範囲内で、相互に入り組んで稠密であることが望ましい。
次に、製造方法のポイントについて説明する。
1.真空蒸着
本発明の薄膜正極3は、真空蒸着によって作製する。真空蒸着のイメージを図2に示す。図2において、真空蒸着は、真空チャンバ30内で行われる。リチウム、マンガン、カーボン等の原料を、蒸着原料容器であるるつぼ21に装入し、蒸発エネルギに電子ビームまたはレーザービーム31を投入する。るつぼ21は、図2では模式的に一つのみを示すが、このあと説明するように、一つでもよいし、複数あってもよい。蒸発エネルギ31の電子ビームまたはレーザービームの投入によってるつぼ21からは、リチウム、マンガン、カーボン等の蒸気23が、基板ホルダー26に保持された導電性の基材11に向けて蒸発する。蒸気23の状態が安定するまで、図示しないシャッタで遮断しておき、蒸気23の状態が安定したらシャッタを開いて、基材11の上にリチウムマンガン複合酸化物およびカーボンが混在した蒸着層を形成する。この蒸着層におけるリチウムマンガン複合酸化物は単結晶である必要はない。
(1)るつぼ
(A)上記の薄膜正極3を作製する際、原料の正極活物質(リチウム、マンガン、酸素、X)と、カーボンとを一つのるつぼに装入して、蒸着することができる。
(B)また、上記の正極活物質と、カーボンとを別々のるつぼに装入して、蒸発エネルギを投入してもよい。この場合、正極活物質を形成するリチウム原料、マンガン原料等を別々のるつぼに装入してもよいし、同じ一つのるつぼに装入して蒸発エネルギを投入してもよい。図3に、蒸着に際し、原料のるつぼへの装入から基材11への蒸着にいたるフローチャートを示す。るつぼの構成材料には、銅、アルミナ(Al23)、グラファイト等を用いることができる。
(2)蒸発源原料
リチウム蒸発源には、Li2O、Li2CO3、LiNO3等を用いることができる。またマンガン蒸発源には、MnO2、Mn23、Mn34等を使用できる。
(3)真空蒸着の条件
電子ビームを蒸発エネルギとする場合、電子加速電圧の範囲は、8V〜30V、また電子電流の範囲は、40mA〜2Aとするのがよい。
(4)基板または基材
基材11は、リチウム電池用集電体として用いられ、アルミニウム、銅、ステンレススティールなどの導電性基板を用いるのがよい。また、真空蒸着の際の基材温度は、200℃以上400℃以下とするのがよいが、この温度範囲外であってもかまわない。
2.薄膜リチウム電池
(1)正極
正極の活物質は、LiMnO3、LiMn23、LiMnO2等を形成するのがよい。さらに、上記マンガン酸リチウムの部分置換化合物(Li,Mn,X)複合酸化物(X≠None)を形成することもできる。カーボンとマンガンとのモル比は、0.01〜0.5の範囲とするのがよい。蒸着されたカーボンを含む正極の厚みは、0.5μm〜100μmとするのがよい。カーボンと(Li,Mn,X)複合酸化物との分布は、稠密(超微細、均一)であることが望ましい。
(2)蒸着層の確認
上記の蒸着層の確認のために、結晶構造はX線回折(XRD:Xray Diffraction)により、また組成は誘導結合プラズマ発光分析法(ICP)によって、検証することが望ましい。
(3)負極および電解質
電解質には任意の固体電解質を用い、負極にはリチウム金属またはリチウム合金を用いるのがよい。
上記のように、カーボンと(Li,Mn,X)複合酸化物とによって、正極3を形成することによって、どの箇所でも高いイオン伝導性と電子伝導性とを備えた正極3を得ることができる。この結果、薄膜リチウム二次電池において、大電流の充放電が可能となる。さらに、正極3を安価な原料を用いて作製できる可能性が出てきて、薄膜リチウム電池の利用範囲をさらに拡大することができる。
次に実施例により本発明の作用効果を検証する。試験体として、本発明例および比較例の全固体リチウム電池を作製し、出力特性を測定した。
(本発明例の試験体作製)
マンガン酸リチウムとカーボンの混合物をターゲットとして1つのるつぼに装入した。電子加速電圧10V、電子電流120mAの条件で、電子ビームをるつぼに投入し、蒸気をステンレススティール基材上に蒸着させた。薄膜正極の厚みは5μmとした。XRDおよびICPによって、薄膜が単相で、化学量論的組成であり、またカーボンとマンガンとのモル比が0.1であることを確認した。このあと、P25粉末およびLi2S粉末を原料として、2元の抵抗加熱蒸着法によって、P25/Li2S=7/3のモル比の固体電解質膜を厚み3μmで形成した。次いで、負極として、薄膜金属リチウムを厚み1μmに形成した。
(比較例の試験体作製)
マンガン酸リチウムをターゲットとして1つのるつぼに装入した。電子加速電圧10V、電子電流120mAの条件で、電子ビームをるつぼに投入し、蒸気をステンレススティール基材に蒸着させた。薄膜正極の厚みは5μmとした。XRDおよびICPによって、薄膜が単相で、化学量論的組成であることを確認した。このあと、P25粉末およびLi2S粉末を原料として、2元の抵抗加熱蒸着法によって、P25/Li2S=7/3のモル比の固体電解質膜を厚み3μmで形成した。次いで、負極として、薄膜金属リチウムを厚み1μmに形成した。
(出力特性の測定結果)
本発明例:0.1mA/cm2の電流密度、0.2mAh/cm2の容量密度で充放電試験を行った。初期放電容量は、理論容量の98%であった。また100サイクルの充放電後においては、理論値の85%の放電容量を得ることができた。
比較例:本発明例と同様に、0.1mA/cm2の電流密度、0.2mAh/cm2の容量密度で充放電試験を行った。初期放電容量は、理論容量の52%であった。また20サイクルの充放電後において、理論値の23%の放電容量しか得ることができなかった。
上記の測定結果より、本発明例では、初期放電容量がほぼ理論値と同じであり、100サイクルの充放電後でも85%という高い放電容量が得られた。この結果は、比較例に比べて格段に優れており、また出力特性の耐久性においても粘りがある薄膜リチウム二次電池を得ることが可能となる。
上記した本発明の実施の形態のリチウム電池用正極、リチウム電池用正極の製造方法について、次のような作用効果および他の製造方法例に注意を払うべきである。
(1)上記の実施の形態では、正極として、マンガン酸リチウムのものを例示したが、マンガン酸リチウムの遷移金属元素による部分置換型化合物もある。
(2)リチウム電池は、薄膜リチウム二次電池および薄膜リチウム一次電池を含み、電解質は固体電解質がもっとも適しているが、液相の電解質であってもかまわない。
(3)カーボンとリチウム複合酸化物の分布は、径0.1μm程度以下のオーダーで稠密であることが望ましいが、これほど稠密でなくてもよい。化学反応の結果、カーボンの領域とリチウム複合酸化物の領域に別れてしまい、カーボンおよびリチウム複合酸化物が、径0.1μm〜数十μmを超える領域ごとに分離して分布してもよい。リチウム複合酸化物は、電子伝導度が低いといってもゼロではないので、カーボンがある程度、近くにいれば、正極全体で電子伝導度向上を得ることができるからである。
上記において、本発明の実施の形態および実施例について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態および実施例は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
本発明のリチウム電池、リチウム電池用正極およびその製造方法によれば、正極はリチウム複合酸化物とともに導電材であるカーボンを備えるので、電子伝導度を向上させることができ、大電流の充放電が可能になる。また、安価な原料を使用できる可能性があるMnを含むリチウム複合酸化物の実用化により、薄膜リチウム電池の利用可能範囲をさらに拡げることができる。
本発明の実施の形態におけるリチウム電池用正極を示す図である。 本発明の実施の形態において正極を真空蒸着法で作製するときのイメージ図である。 真空蒸着における蒸着原料の装入から蒸着膜作製までの操作を占める図である。
符号の説明
3 正極、5 電解質、11 基材、21 るつぼ、23 蒸気、29 基板ホルダー、30 チャンバ、31 蒸発エネルギ(電子ビーム、レーザービーム)。

Claims (7)

  1. 気相成長法による薄膜を主構成部とし、該薄膜が、
    リチウムおよびマンガンを含む複合酸化物と、
    カーボンとを備えることを特徴とする、リチウム電池用正極。
  2. 前記カーボンとマンガンのモル比が、0.01以上0.5以下であることを特徴とする、請求項1に記載のリチウム電池用正極。
  3. 前記薄膜のいずれの位置のミクロ組成分析においても、前記カーボンとマンガンのモル比が0.01以上0.5以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のリチウム電池用正極。
  4. 請求項1〜3のいずれかひとつに記載のリチウム電池用正極を用いたことを特徴とする、リチウム電池。
  5. 蒸着による薄膜の製造方法であって、
    チャンバ内に基材を配置し、前記基材に、リチウム、マンガン、酸素、カーボンを同時に蒸着することを特徴とする、リチウム電池用正極の製造方法。
  6. 前記蒸着において、一つの蒸着原料容器に前記リチウム、マンガンおよびカーボンの原料を装入して蒸発エネルギを投入することを特徴とする、請求項5に記載のリチウム電池用正極の製造方法。
  7. 前記蒸着において、少なくともカーボンの原料を装入する蒸着原料容器と他の元素の原料を装入する蒸着原料容器とを別にして、前記複数の蒸着原料容器にそれぞれの原料を装入して蒸発エネルギを投入することを特徴とする、請求項5に記載のリチウム電池用正極の製造方法。
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