JP2009163106A - 透過率可変電子デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】分光透過率特性が一定で、長寿命、製造が容易で、コストに優れる透過率可変電子デバイスの提供を目的とする。
【解決手段】側鎖結晶性ポリマーを含む感温性樹脂組成物を用いた透過率可変電子デバイスであって、透明基板Aと、前記透明基板Aの一方の面に密着して設けられた透明発熱体と、前記透明発熱体の他方の面に密着して設けられた前記感温性樹脂組成物を用いて形成されてなる感温性樹脂膜と、前記感温性樹脂膜の他方の面に密着し、かつ、前記透明基板Aに対向して設けられた透明基板Bとを備えることを特徴とする透過率可変電子デバイス。
さらに、いずれかの透明基材に密着して、顔料及び/又は染料を用いて構成されるフィルタを設けても良い。また、光透過率を人為的に変更可能な透過率制御手段や、発熱体の温度を検知し、自動的に使用環境との温度差を補正する手段をさらに設けて、透過率を自動設定してもよい。
【選択図】図1
【解決手段】側鎖結晶性ポリマーを含む感温性樹脂組成物を用いた透過率可変電子デバイスであって、透明基板Aと、前記透明基板Aの一方の面に密着して設けられた透明発熱体と、前記透明発熱体の他方の面に密着して設けられた前記感温性樹脂組成物を用いて形成されてなる感温性樹脂膜と、前記感温性樹脂膜の他方の面に密着し、かつ、前記透明基板Aに対向して設けられた透明基板Bとを備えることを特徴とする透過率可変電子デバイス。
さらに、いずれかの透明基材に密着して、顔料及び/又は染料を用いて構成されるフィルタを設けても良い。また、光透過率を人為的に変更可能な透過率制御手段や、発熱体の温度を検知し、自動的に使用環境との温度差を補正する手段をさらに設けて、透過率を自動設定してもよい。
【選択図】図1
Description
本発明は、透過率可変電子デバイスに関する。さらに詳しくは、長期安定性に優れ、又透過性変換温度の調整が容易で、かつ調整領域の広い透過率可変電子デバイスに関する。
光の透過量を変えることが可能な電子デバイスの一つとして、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化ニッケル等の無機材料を、それぞれのガラス内面に形成した透明電極間に挟み、透明電極間に電圧を印加することによって、上記の無機材料に電気化学的発色を起こさせ、透過率を変化させるエレクトロクロミックデバイスが知られている。
エレクトロクロミックデバイスは、自動車ミラー等の小型の製品に実用化されるまでに技術も向上してきている(特許文献1)。
しかし、分光透過率特性が一様ではなく、透過率が小さい領域では青色に着色し、透過物体の色が正確でなくなる。また、長時間通電中に生じる構成材料の電気化学的変化等による変質が避けられず、寿命の問題が懸念される。
また、光の透過量を変えることが可能な他の電子デバイスとして、ネマティック液晶のカプセルを分散させた透明なポリマーフィルムを、それぞれのポリエステルフィルム内面に形成した透明電極間に挟み、透明電極間に電圧を印加することによって、フィルムを透過してきた光を各方位に分散して透過率を変化させるポリマー分散型液晶デバイスが提案されている(特許文献2)。
このポリマー分散型液晶デバイスは、透明電極間に電圧が印加されていない状態では、棒状の分子である液晶がカプセルの内壁に沿って並ぶので、入射した光はポリマーフィルムと液晶の屈折率の違い、及び液晶の複屈折性によって、カプセルの表面や内部で屈折する。その結果、光は直進できず散乱し不透明に見える。透明電極間に電圧が印加されると、棒状の液晶分子は電圧を印加した方向と平行に並ぶ。すなわち、電極に対して垂直に配列する。このように並んだ状態で、屈折率がポリマーフィルムのそれと一致する液晶であれば、カプセルの界面がないのに等しい状態となり、光は散乱せず直進し透明に見えるようになる。すなわち、透明電極間に印加する電圧の大きさにより、ポリマー分散型液晶デバイスに直行に入射する光に対する透過率の大きさが変化する。
ポリマー分散型液晶デバイスは、エレクトロクロミックデバイスが問題としている分光透過率特性が一様ではないことや、寿命については改善されるが、紫外線、水分などによりデバイスの劣化あるいは変化が生じる可能性があるため、屋外での使用では信頼性に懸念が残る。また、ポリマー分散型液晶デバイスの透過率は、透明電極がそれぞれのポリエステルフィルムの内面に形成されているので、透明電極のもつ透過率によるデバイス全体の透過率が下がる欠点を有する。
熱可塑性エラストマーとα、β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体及びその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマーの重合体からなるフィルムを用いて、光の透過性を制御する方法が提案されている(特許文献3)。
しかし、この場合の制御はフィルムを伸縮することにより得られるものであるため、実際の適用には課題があり、さらには伸縮を繰り返した際の耐久性に課題がある。
非イオン性の両親媒性官能基を付加した多糖類誘導体の等方性水溶液を用いて、温度変化により光の透過性を制御する積層体とそれを使用した窓が提案されている(特許文献4)。
これは、加温により白濁させるものであり、さらには、長期の安定化のために不活性ガスによる置換や純水の使用など、製造に特殊な装置を必要としコストに課題があった。
ポリマーブレンドの温度による相分離を利用した系も提案されている(特許文献5)。
これは温度により完全な相溶系と相分離系を制御するものであるが、ポリマーの運動性を利用したものであるため、その安定性や繰り返し時の耐久性に課題がある。
側鎖結晶性ポリマーを用いた感温性樹脂組成物及びその成形体が提案されている(特許文献6)。
これは側鎖結晶性ポリマーを用い、環境温度で光の透過性が変化することが記載されているが、もっと積極的に温度を変えて光の透過性を制御するデバイスには触れられていない。
しかし、分光透過率特性が一様ではなく、透過率が小さい領域では青色に着色し、透過物体の色が正確でなくなる。また、長時間通電中に生じる構成材料の電気化学的変化等による変質が避けられず、寿命の問題が懸念される。
また、光の透過量を変えることが可能な他の電子デバイスとして、ネマティック液晶のカプセルを分散させた透明なポリマーフィルムを、それぞれのポリエステルフィルム内面に形成した透明電極間に挟み、透明電極間に電圧を印加することによって、フィルムを透過してきた光を各方位に分散して透過率を変化させるポリマー分散型液晶デバイスが提案されている(特許文献2)。
このポリマー分散型液晶デバイスは、透明電極間に電圧が印加されていない状態では、棒状の分子である液晶がカプセルの内壁に沿って並ぶので、入射した光はポリマーフィルムと液晶の屈折率の違い、及び液晶の複屈折性によって、カプセルの表面や内部で屈折する。その結果、光は直進できず散乱し不透明に見える。透明電極間に電圧が印加されると、棒状の液晶分子は電圧を印加した方向と平行に並ぶ。すなわち、電極に対して垂直に配列する。このように並んだ状態で、屈折率がポリマーフィルムのそれと一致する液晶であれば、カプセルの界面がないのに等しい状態となり、光は散乱せず直進し透明に見えるようになる。すなわち、透明電極間に印加する電圧の大きさにより、ポリマー分散型液晶デバイスに直行に入射する光に対する透過率の大きさが変化する。
ポリマー分散型液晶デバイスは、エレクトロクロミックデバイスが問題としている分光透過率特性が一様ではないことや、寿命については改善されるが、紫外線、水分などによりデバイスの劣化あるいは変化が生じる可能性があるため、屋外での使用では信頼性に懸念が残る。また、ポリマー分散型液晶デバイスの透過率は、透明電極がそれぞれのポリエステルフィルムの内面に形成されているので、透明電極のもつ透過率によるデバイス全体の透過率が下がる欠点を有する。
熱可塑性エラストマーとα、β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体及びその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマーの重合体からなるフィルムを用いて、光の透過性を制御する方法が提案されている(特許文献3)。
しかし、この場合の制御はフィルムを伸縮することにより得られるものであるため、実際の適用には課題があり、さらには伸縮を繰り返した際の耐久性に課題がある。
非イオン性の両親媒性官能基を付加した多糖類誘導体の等方性水溶液を用いて、温度変化により光の透過性を制御する積層体とそれを使用した窓が提案されている(特許文献4)。
これは、加温により白濁させるものであり、さらには、長期の安定化のために不活性ガスによる置換や純水の使用など、製造に特殊な装置を必要としコストに課題があった。
ポリマーブレンドの温度による相分離を利用した系も提案されている(特許文献5)。
これは温度により完全な相溶系と相分離系を制御するものであるが、ポリマーの運動性を利用したものであるため、その安定性や繰り返し時の耐久性に課題がある。
側鎖結晶性ポリマーを用いた感温性樹脂組成物及びその成形体が提案されている(特許文献6)。
これは側鎖結晶性ポリマーを用い、環境温度で光の透過性が変化することが記載されているが、もっと積極的に温度を変えて光の透過性を制御するデバイスには触れられていない。
本発明は、このような状況下で、分光透過率特性が一定で、長寿命、製造が容易でコストに優れる透過率可変電子デバイスの提供を目的とするものである。
すなわち、本発明は、
1.側鎖結晶性ポリマーを含む感温性樹脂組成物を用いた透過率可変電子デバイスであって、透明基板Aと、前記透明基板Aの一方の面に密着して設けられた透明発熱体と、前記透明発熱体の他方の面に密着して設けられた前記感温性樹脂組成物を用いて形成されてなる感温性樹脂膜と、前記感温性樹脂膜の他方の面に密着し、かつ、前記透明基板Aに対向して設けられた透明基板Bとを備えることを特徴とする透過率可変電子デバイス、
2.側鎖結晶性ポリマーを含む感温性樹脂組成物を用いた透過率可変電子デバイスであって、透明基板Aと、前記透明基板Aの一方の面に密着して設けられた、顔料及び/又は染料を用いて構成されるフィルタと、前記フィルタの他方の面に密着して設けられた透明発熱体と、前記透明発熱体の他方の面に密着して設けられた前記感温性樹脂組成物を用いて形成されてなる感温性樹脂膜と、前記感温性樹脂膜の他方の面に密着し、かつ、前記透明基板Aに対向して設けられた透明基板Bとを備えることを特徴とする透過率可変電子デバイス、
3.側鎖結晶性ポリマーを含む感温性樹脂組成物を用いた透過率可変電子デバイスであって、透明基板Aと、前記透明基板Aの一方の面に密着して設けられた透明発熱体と、前記透明発熱体の他方の面に密着して設けられた前記感温性樹脂組成物を用いて形成されてなる感温性樹脂膜と、前記感温性樹脂膜の他方の面に密着して設けられた、顔料及び/又は染料を用いて構成されるフィルタと、前記フィルタの他方の面に密着して設けられ、かつ前記透明基板Aに対向して設けられた透明基板Bとを備えることを特徴とする透過率可変電子デバイス、
4.前記フィルタの塗布パターンが任意な形状で形成されている上記2又は3に記載の透過率可変電子デバイス、
5.さらに透過率制御指示手段と、前記指示手段からの信号を受けて制御電圧を発生させる制御電圧発生器とを設けた請求項1〜4のいずれかに記載の透過率可変電子デバイス、
6.さらに前記感温性樹脂膜、又は前記透明発熱体の温度検出手段と、前記温度検出手段からの信号を受けて変動用制御電圧を発生する変動用制御電圧手段と、前記指示手段からの信号と変動用制御電圧手段からの信号から制御信号を加減算する制御信号加減算手段とを設けた上記5に記載の透過率可変電子デバイス、
7.前記結晶性ポリマーを含む感温性樹脂組成物が、側鎖結晶性ポリマー3〜60質量%と、オレフィン系エラストマー97〜40質量%とからなる組合せを含む上記1〜6のいずれかに記載の透過率可変電子デバイス。
8.側鎖結晶性ポリマーが、以下の(1)〜(6)の少なくともひとつを満足する上記1〜7のいずれかに記載の透過率可変電子デバイス、
(1)融点(Tm)が1つ存在し,かつ100℃以下である。
(2)広角X線散乱強度分布における、15deg<2θ<30degに観測される側鎖結晶化に由来する、単一のピークX1が観測される。
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)法により測定したポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が1,000〜10,000,000の範囲にある。
(4)ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)法により測定したポリスチレン換算分子量において、重量平均分子量/数平均分子量 (Mw/Mn)が5.0以下である。
(5)立体規則性指標値M2が30モル%以上である。
(6)示差走査型熱量計(DSC)による融解吸熱カーブから観測される半値幅(Wm)が10℃以下である。
9.前記側鎖結晶性ポリマーが、炭素数10以上のα−オレフィン重合体、又は炭素数10以上のα−オレフィン単位50モル%以上と他のオレフィン単位一種以上50モル%以下との共重合体である上記1〜8のいずれかに記載の透過率可変電子デバイス、
10.前記オレフィン系エラストマーが、以下のひとつを満足するものである上記7〜9のいずれかに記載の透過率可変電子デバイス、
(a)エチレン、プロピレン、及び1−ブテンから選ばれる少なくとも1種のモノマーと他のα−オレフィンとの共重合体からなるエラストマー。
(b)密度が910(kg/m3)以下であるエラストマー。
を提供するものである。
すなわち、本発明は、
1.側鎖結晶性ポリマーを含む感温性樹脂組成物を用いた透過率可変電子デバイスであって、透明基板Aと、前記透明基板Aの一方の面に密着して設けられた透明発熱体と、前記透明発熱体の他方の面に密着して設けられた前記感温性樹脂組成物を用いて形成されてなる感温性樹脂膜と、前記感温性樹脂膜の他方の面に密着し、かつ、前記透明基板Aに対向して設けられた透明基板Bとを備えることを特徴とする透過率可変電子デバイス、
2.側鎖結晶性ポリマーを含む感温性樹脂組成物を用いた透過率可変電子デバイスであって、透明基板Aと、前記透明基板Aの一方の面に密着して設けられた、顔料及び/又は染料を用いて構成されるフィルタと、前記フィルタの他方の面に密着して設けられた透明発熱体と、前記透明発熱体の他方の面に密着して設けられた前記感温性樹脂組成物を用いて形成されてなる感温性樹脂膜と、前記感温性樹脂膜の他方の面に密着し、かつ、前記透明基板Aに対向して設けられた透明基板Bとを備えることを特徴とする透過率可変電子デバイス、
3.側鎖結晶性ポリマーを含む感温性樹脂組成物を用いた透過率可変電子デバイスであって、透明基板Aと、前記透明基板Aの一方の面に密着して設けられた透明発熱体と、前記透明発熱体の他方の面に密着して設けられた前記感温性樹脂組成物を用いて形成されてなる感温性樹脂膜と、前記感温性樹脂膜の他方の面に密着して設けられた、顔料及び/又は染料を用いて構成されるフィルタと、前記フィルタの他方の面に密着して設けられ、かつ前記透明基板Aに対向して設けられた透明基板Bとを備えることを特徴とする透過率可変電子デバイス、
4.前記フィルタの塗布パターンが任意な形状で形成されている上記2又は3に記載の透過率可変電子デバイス、
5.さらに透過率制御指示手段と、前記指示手段からの信号を受けて制御電圧を発生させる制御電圧発生器とを設けた請求項1〜4のいずれかに記載の透過率可変電子デバイス、
6.さらに前記感温性樹脂膜、又は前記透明発熱体の温度検出手段と、前記温度検出手段からの信号を受けて変動用制御電圧を発生する変動用制御電圧手段と、前記指示手段からの信号と変動用制御電圧手段からの信号から制御信号を加減算する制御信号加減算手段とを設けた上記5に記載の透過率可変電子デバイス、
7.前記結晶性ポリマーを含む感温性樹脂組成物が、側鎖結晶性ポリマー3〜60質量%と、オレフィン系エラストマー97〜40質量%とからなる組合せを含む上記1〜6のいずれかに記載の透過率可変電子デバイス。
8.側鎖結晶性ポリマーが、以下の(1)〜(6)の少なくともひとつを満足する上記1〜7のいずれかに記載の透過率可変電子デバイス、
(1)融点(Tm)が1つ存在し,かつ100℃以下である。
(2)広角X線散乱強度分布における、15deg<2θ<30degに観測される側鎖結晶化に由来する、単一のピークX1が観測される。
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)法により測定したポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が1,000〜10,000,000の範囲にある。
(4)ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)法により測定したポリスチレン換算分子量において、重量平均分子量/数平均分子量 (Mw/Mn)が5.0以下である。
(5)立体規則性指標値M2が30モル%以上である。
(6)示差走査型熱量計(DSC)による融解吸熱カーブから観測される半値幅(Wm)が10℃以下である。
9.前記側鎖結晶性ポリマーが、炭素数10以上のα−オレフィン重合体、又は炭素数10以上のα−オレフィン単位50モル%以上と他のオレフィン単位一種以上50モル%以下との共重合体である上記1〜8のいずれかに記載の透過率可変電子デバイス、
10.前記オレフィン系エラストマーが、以下のひとつを満足するものである上記7〜9のいずれかに記載の透過率可変電子デバイス、
(a)エチレン、プロピレン、及び1−ブテンから選ばれる少なくとも1種のモノマーと他のα−オレフィンとの共重合体からなるエラストマー。
(b)密度が910(kg/m3)以下であるエラストマー。
を提供するものである。
本発明によれば、分光透過率特性が一定で、長寿命、製造が容易で、かつコストに優れる透過率可変電子デバイスが提供される。
本発明は、側鎖結晶性ポリマーを含む感温性樹脂組成物を用いた透過率可変電子デバイスであって、透明基板Aと、前記透明基板Aの一方の面に密着して設けられた透明発熱体と、前記透明発熱体の他方の面に密着して設けられた前記感温性樹脂組成物を用いて形成されてなる感温性樹脂膜と、前記感温性樹脂膜の他方の面に密着し、かつ、前記透明基板Aに対向して設けられた透明基板Bとを備えることを特徴とする透過率可変電子デバイスである。
又、本発明は、側鎖結晶性ポリマーを含む感温性樹脂組成物を用いた透過率可変電子デバイスであって、透明基板Aと、前記透明基板Aの一方の面に密着して設けられた、顔料及び/又は染料を用いて構成されるフィルタと、前記フィルタの他方の面に密着して設けられた透明発熱体と、前記透明発熱体の他方の面に密着して設けられた前記感温性樹脂組成物を用いて形成されてなる感温性樹脂膜と、前記感温性樹脂膜の他方の面に密着し、かつ、前記透明基板Aに対向して設けられた透明基板Bとを備えることを特徴とする透過率可変電子デバイスとすることができる。
さらに本発明は、側鎖結晶性ポリマーを含む感温性樹脂組成物を用いた透過率可変電子デバイスであって、透明基板Aと、前記透明基板Aの一方の面に密着して設けられた透明発熱体と、前記透明発熱体の他方の面に密着して設けられた前記感温性樹脂組成物を用いて形成されてなる感温性樹脂膜と、前記感温性樹脂膜の他方の面に密着して設けられた、顔料及び/又は染料を用いて構成されるフィルタと、前記フィルタの他方の面に密着して設けられ、かつ前記透明基板Aに対向して設けられた透明基板Bとを備えることを特徴とする透過率可変電子デバイスとすることができる。
又、本発明は、側鎖結晶性ポリマーを含む感温性樹脂組成物を用いた透過率可変電子デバイスであって、透明基板Aと、前記透明基板Aの一方の面に密着して設けられた、顔料及び/又は染料を用いて構成されるフィルタと、前記フィルタの他方の面に密着して設けられた透明発熱体と、前記透明発熱体の他方の面に密着して設けられた前記感温性樹脂組成物を用いて形成されてなる感温性樹脂膜と、前記感温性樹脂膜の他方の面に密着し、かつ、前記透明基板Aに対向して設けられた透明基板Bとを備えることを特徴とする透過率可変電子デバイスとすることができる。
さらに本発明は、側鎖結晶性ポリマーを含む感温性樹脂組成物を用いた透過率可変電子デバイスであって、透明基板Aと、前記透明基板Aの一方の面に密着して設けられた透明発熱体と、前記透明発熱体の他方の面に密着して設けられた前記感温性樹脂組成物を用いて形成されてなる感温性樹脂膜と、前記感温性樹脂膜の他方の面に密着して設けられた、顔料及び/又は染料を用いて構成されるフィルタと、前記フィルタの他方の面に密着して設けられ、かつ前記透明基板Aに対向して設けられた透明基板Bとを備えることを特徴とする透過率可変電子デバイスとすることができる。
上記の通り、本発明は、一対のガラス等の透明基板A、Bの間に、感温性樹脂組成物を用いて形成されてなる感温性樹脂膜が密着された透明発熱体、及び必要により顔料及び/又は染料を用いて構成されるフィルタを積層されてなる透過率可変電子デバイスに関する。
先ず、本発明で使用される側鎖結晶性ポリマーを含む感温性樹脂組成物について、説明する。
先ず、本発明で使用される側鎖結晶性ポリマーを含む感温性樹脂組成物について、説明する。
本発明は、側鎖結晶性ポリマー(以下、P1と呼ぶことがある。)を含む感温性樹脂組成物を用いて形成されてなる感温性樹脂膜を使用するが、前記感温性樹脂組成物としては、P1が3〜60質量%と、オレフィン系エラストマー(以下、P2と呼ぶことがある。)が97〜40質量%とからなる組合せを含むことが好ましい。この組合せにおいて、P1が3質量%未満では、変換温度における透過−非透過のコントラストが小さくなる傾向となり、好ましくない。一方、P1が60質量%を越えると、成形性が低下する傾向となるので、やはり好ましくない。特にP1成分の含有割合は5〜50質量%、より好ましくは7〜40質量%、特に好ましくは10〜35質量%である。P2の好ましい含有量は50〜95質量%、より好ましくは60〜93質量%、特に好ましくは65〜90質量%である。
本発明のP1の側鎖結晶性ポリマーは、くし型ポリマーとも呼ばれるものであり、有機構造体からなる骨格(主鎖)に対し、脂肪族及び/又は芳香族からなる側鎖をもったポリマーであって、側鎖は結晶構造に入りうる構造であることを特徴としている。側鎖部分の長さは、通常側鎖間の距離の5倍以上である。
このP1の側鎖結晶性ポリマーとしては、α−オレフィン系ポリマー、アルキルアクリレート系ポリマー、アルキルメタクリレート系ポリマー、アルキルエチレンオキシド系ポリマー、ポリシロキサン系ポリマー、及びアクリルアミド系ポリマーなどが挙げられる。
この中でも、特に原料が安価で入手しやすいα−オレフィンを重合したα−オレフィン系ポリマーが好ましく、α−オレフィン系ポリマーの中でも、炭素数10以上の高級α−オレフィン、又は炭素数10以上の高級α−オレフィン単位50モル%以上と他のオレフィン単位一種以上50モル%以下とを重合して得られる高級α−オレフィン系ポリマーがより好ましい。
ここで、P1の側鎖結晶性ポリマーが、炭素数10以上の高級α−オレフィンを含むものであると、側鎖結晶性ポリマーの側鎖結晶性が高くなるため、変換温度での透明と不透明のコントラストが良好な成形体を与える感温性樹脂組成物を得ることができる。
上記高級α−オレフィンの炭素数は、より好ましくは12以上、さらに好ましくは12〜50、特に好ましくは14〜30である。また、高級α−オレフィン単位の含有量が50モル%を超えると、側鎖結晶性ポリマーの側鎖結晶性が高くなるため、変換温度での透明と不透明のコントラストが良好な成形体を与える感温性樹脂組成物を得ることができる。
P1の側鎖結晶性ポリマーは、上記のうち一種を単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
上記高級α−オレフィン単位の含有量は、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
本発明のP1の側鎖結晶性ポリマーは、くし型ポリマーとも呼ばれるものであり、有機構造体からなる骨格(主鎖)に対し、脂肪族及び/又は芳香族からなる側鎖をもったポリマーであって、側鎖は結晶構造に入りうる構造であることを特徴としている。側鎖部分の長さは、通常側鎖間の距離の5倍以上である。
このP1の側鎖結晶性ポリマーとしては、α−オレフィン系ポリマー、アルキルアクリレート系ポリマー、アルキルメタクリレート系ポリマー、アルキルエチレンオキシド系ポリマー、ポリシロキサン系ポリマー、及びアクリルアミド系ポリマーなどが挙げられる。
この中でも、特に原料が安価で入手しやすいα−オレフィンを重合したα−オレフィン系ポリマーが好ましく、α−オレフィン系ポリマーの中でも、炭素数10以上の高級α−オレフィン、又は炭素数10以上の高級α−オレフィン単位50モル%以上と他のオレフィン単位一種以上50モル%以下とを重合して得られる高級α−オレフィン系ポリマーがより好ましい。
ここで、P1の側鎖結晶性ポリマーが、炭素数10以上の高級α−オレフィンを含むものであると、側鎖結晶性ポリマーの側鎖結晶性が高くなるため、変換温度での透明と不透明のコントラストが良好な成形体を与える感温性樹脂組成物を得ることができる。
上記高級α−オレフィンの炭素数は、より好ましくは12以上、さらに好ましくは12〜50、特に好ましくは14〜30である。また、高級α−オレフィン単位の含有量が50モル%を超えると、側鎖結晶性ポリマーの側鎖結晶性が高くなるため、変換温度での透明と不透明のコントラストが良好な成形体を与える感温性樹脂組成物を得ることができる。
P1の側鎖結晶性ポリマーは、上記のうち一種を単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
上記高級α−オレフィン単位の含有量は、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
P1成分の側鎖結晶性ポリマーは、上記以外に、以下の(1)〜(6)の少なくとも一つの物性を満足する化合物から選択することもできる。特に、以下の(1)及び(2)の少なくとも一つ、及び/又は以下の(3)〜(6)の少なくとも一つを満足することがより好ましく、以下の(1)〜(6)すべてを満足することがさらに好ましい。
(1)融点(Tm)が1つ存在し、かつ100℃以下である。
(2)広角X線散乱強度分布における、15deg<2θ<30degに観測される側鎖結晶化に由来する、単一のピークX1が観測される。
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が1,000〜10,000,000の範囲にある。
(4)GPC法により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)から求めた分子量分布(Mw/Mn)が5.0以下である。
(5)炭素数10以上の高級α−オレフィン連鎖部に由来する立体規則性指標値M2が3
0モル%以上である。
(6)示差走査型熱量計(DSC)を用いることにより得られた融解吸熱カーブから観測される半値幅(Wm)が10℃以下である。
(1)融点(Tm)が1つ存在し、かつ100℃以下である。
(2)広角X線散乱強度分布における、15deg<2θ<30degに観測される側鎖結晶化に由来する、単一のピークX1が観測される。
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が1,000〜10,000,000の範囲にある。
(4)GPC法により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)から求めた分子量分布(Mw/Mn)が5.0以下である。
(5)炭素数10以上の高級α−オレフィン連鎖部に由来する立体規則性指標値M2が3
0モル%以上である。
(6)示差走査型熱量計(DSC)を用いることにより得られた融解吸熱カーブから観測される半値幅(Wm)が10℃以下である。
ここで、上記(1)における融点(Tm)は以下のようにして測定される。
すなわち、示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−30℃で5分間保持した後、190℃まで、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから観測される最大ピークのピークトップとして定義される融点(TmD)を有し、さらに、190℃で5分保持した後、−30℃まで、5℃/分で降温させ、−30℃で5分保持した後、190℃まで10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから観測されるピークトップを融点(Tm)として定義する。この融点(Tm)を測定する2回目の昇温過程にて、複数のピーク(ショルダーピークを含む)が観測されることがあるが、当該側鎖結晶性ポリマーとしては、1つのピークが観測されることが好ましい。ピークが1つであることは、他のピークやショルダーと見られる吸収が無いことを意味し、上記ピークが1つであると透過性の変換が狭い温度範囲で起こるという利点がある。
上記融点(Tm)は、通常100℃以下であるが、0〜100℃が好ましく、さらに好ましくは20〜100℃、特に好ましくは25〜80℃である。融点(Tm)が100℃以上である場合、主鎖型の結晶性ポリマーを使用するほうが、樹脂の入手性からみてメリットが大きくなる。
すなわち、示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−30℃で5分間保持した後、190℃まで、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから観測される最大ピークのピークトップとして定義される融点(TmD)を有し、さらに、190℃で5分保持した後、−30℃まで、5℃/分で降温させ、−30℃で5分保持した後、190℃まで10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから観測されるピークトップを融点(Tm)として定義する。この融点(Tm)を測定する2回目の昇温過程にて、複数のピーク(ショルダーピークを含む)が観測されることがあるが、当該側鎖結晶性ポリマーとしては、1つのピークが観測されることが好ましい。ピークが1つであることは、他のピークやショルダーと見られる吸収が無いことを意味し、上記ピークが1つであると透過性の変換が狭い温度範囲で起こるという利点がある。
上記融点(Tm)は、通常100℃以下であるが、0〜100℃が好ましく、さらに好ましくは20〜100℃、特に好ましくは25〜80℃である。融点(Tm)が100℃以上である場合、主鎖型の結晶性ポリマーを使用するほうが、樹脂の入手性からみてメリットが大きくなる。
上記(2)記載の広角X線散乱強度分布において、側鎖結晶に由来する単一ピークX1が観測されると、融解ピークがシャープとなるため、変換温度における透過性のシャープな変化が、成形体において発現される。X強度分布において、側鎖結晶に由来するピークが観測されない場合や側鎖結晶に由来するピークが単一でない場合には、結晶成分が広く、強度低下、特に、融解ピークがシャープでなくなる事により、変換温度でのシャープな透過性の変化が達成できなくなる。
広角X線散乱強度分布における、20deg<2θ<30degに観測される側鎖結晶化に由来する、単一のピークX1及びその強度比(%)は以下の方法により測定される。
すなわち、理学電機工業株式会社製の対陰極型ロータフレックスRU−200を用い、
30kV、100mA出力のCuKα線(波長=0.154nm)の単色光を、径2mmのピンホールによって平行とし、位置敏感型比例計数管を用い、露光時間1分で広角X線散乱(WAXS)強度分布を測定することにより、単一のピークX1を測定する。強度比は、複数のピーク(ピークX)が観測された場合、ピーク分離を行い、それぞれの強度比を計算することにより求められる。
広角X線散乱強度分布における、20deg<2θ<30degに観測される側鎖結晶化に由来する、単一のピークX1及びその強度比(%)は以下の方法により測定される。
すなわち、理学電機工業株式会社製の対陰極型ロータフレックスRU−200を用い、
30kV、100mA出力のCuKα線(波長=0.154nm)の単色光を、径2mmのピンホールによって平行とし、位置敏感型比例計数管を用い、露光時間1分で広角X線散乱(WAXS)強度分布を測定することにより、単一のピークX1を測定する。強度比は、複数のピーク(ピークX)が観測された場合、ピーク分離を行い、それぞれの強度比を計算することにより求められる。
上記(3)において、GPC法により測定したポリスチレン換算された重量平均分子量(Mw)が1,000以上であると、成形体にブリードの発生が抑制され、また、後述のP2成分のオレフィン系エラストマーとの粘度差が小さくなるため、P2成分との混練性が向上する。また、10,000,000以下である場合、感温性樹脂組成物の混錬や成形が良好となる。成形体における光の透過性の変換を良好なものとする観点から、上記重量平均分子量(Mw)は、好ましくは3,000〜5,000,000、より好ましくは5,000〜2,000,000、特に好ましくは10,000〜1,000,000である。
上記(4)において、GPC法により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(M
w)と数平均分子量(Mn)から求めた分子量分布(Mw/Mn)が5.0以下であると、組成分布が広くなりすぎず、適度のものとなるため、成形体の表面特性が向上し、特にべたつきやブリードの発生が抑制され、また、熱安定性が向上する。これらの観点から、上記分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは4.0以下、より好ましくは3.5以下、さらに好ましくは3.0以下、特に好ましくは2.3以下である。
w)と数平均分子量(Mn)から求めた分子量分布(Mw/Mn)が5.0以下であると、組成分布が広くなりすぎず、適度のものとなるため、成形体の表面特性が向上し、特にべたつきやブリードの発生が抑制され、また、熱安定性が向上する。これらの観点から、上記分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは4.0以下、より好ましくは3.5以下、さらに好ましくは3.0以下、特に好ましくは2.3以下である。
上記(5)は、本発明で用いるP1成分の側鎖結晶性ポリマーが、アイソタクチック構造であることを示すものである。立体規則性指標値M2が30モル%以上であると、変換温度における透過性のシャープな変化が、成形体において発現される。なお、立体規則性指標値M2が90モル%程度でも結晶性が高すぎず、適度のものとなるため、主鎖の結晶性が発現することがなく、変換温度による透過性のシャープな変化が見られる。
立体規則性指標値M2は、好ましくは50〜90モル%、より好ましくは55〜85モル%、さらに好ましくは55〜75モル%である。
また、ペンタッドアイソタクティシティーと同様の指標である立体規則性指標値M4は、25〜60モル%であることが好ましく、より好ましくは25〜45モル%である。
さらに、立体規則性の乱れの指数である立体規則性指標値MRは、2.5モル%以上であることが好ましく、より好ましくは5モル%以上、さらに好ましくは10モル%以上である。
立体規則性指標値M2は、好ましくは50〜90モル%、より好ましくは55〜85モル%、さらに好ましくは55〜75モル%である。
また、ペンタッドアイソタクティシティーと同様の指標である立体規則性指標値M4は、25〜60モル%であることが好ましく、より好ましくは25〜45モル%である。
さらに、立体規則性の乱れの指数である立体規則性指標値MRは、2.5モル%以上であることが好ましく、より好ましくは5モル%以上、さらに好ましくは10モル%以上である。
これらの立体規則性指標値M2、M4及びMRは、T.Asakura,M.Demura,Y.Nishiyamaにより報告された「Macromolecules,24,2334(1991)」で提案された方法に準拠して求めることができる。すなわち、13C−NMRスペクトルで側鎖α位のCH2炭素が立体規則性の違いを反映して分裂して観測されることを利用して求める。上記M2又はM4の値が小さいほどアイソタクティシティーが小さいことを示し、上記MRの値が大きいほど、立体規則性に乱れがあることを示す。
13C−NMRの測定は、下記の装置及び条件にて行う。
13C−NMRの測定は、下記の装置及び条件にて行う。
装置:日本電子株式会社製JNM−EX400型13C−NMR装置
方法:プロトン完全デカップリング法
濃度:220mg/mL
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼンと重ベンゼンの90:10(容量比)混合溶媒温度:130℃
パルス幅:45°
パルス繰り返し時間:4秒
積算:1000回
方法:プロトン完全デカップリング法
濃度:220mg/mL
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼンと重ベンゼンの90:10(容量比)混合溶媒温度:130℃
パルス幅:45°
パルス繰り返し時間:4秒
積算:1000回
また、立体規則性指標値M2、M4及びMRは、以下のようにして計算した。すなわち、混合溶媒に基づく大きな吸収ピークが127〜135ppmに6本見られ、これらのピークのうち、低磁場側から4本目のピーク値を131.1ppmとし、化学シフトの基準とする。このとき側鎖α位のCH2炭素に基づく吸収ピークが34〜37ppm付近に観測される。そして、以下の式を用いてM2、M4及びMR(モル%)を求める。
M2=[(36.2〜35.3ppmの積分強度)/(36.2〜34.5ppmの積分強度)]×100
M4=[(36.2〜35.6ppmの積分強度)/(36.2〜34.5ppmの積分強度)]×100
MR=[(35.3〜35.0ppmの積分強度)/(36.2〜34.5ppmの積分強度)]×100
M2=[(36.2〜35.3ppmの積分強度)/(36.2〜34.5ppmの積分強度)]×100
M4=[(36.2〜35.6ppmの積分強度)/(36.2〜34.5ppmの積分強度)]×100
MR=[(35.3〜35.0ppmの積分強度)/(36.2〜34.5ppmの積分強度)]×100
上記(6)における半値幅(Wm)は、上記(1)における融点(Tm)測定において、融点の融解ピーク全体のベースラインからピークトップまでの高さの中点におけるピーク幅として定義される融解ピーク半値幅である。半値幅(Wm)が10℃以下であると、所定の温度でシャープに融解・結晶化が起こり、変換温度における透過性のシャープな変化が、成形体において発現される。この半値幅(Wm)は、好ましくは7℃以下、より好ましくは6℃以下、さらに好ましくは5℃以下、特に好ましくは2〜4℃である。
融点(Tm)測定において得られる融解ピークの面積から計算される、P1成分の側鎖結晶性ポリマーの融解熱(ΔH)は、通常30J/g以上、好ましくは50J/g以上、より好ましくは60J/g以上、さらに好ましくは75J/g以上である。ΔHが30J/g以上であると、変換温度における透明と不透明のコントラストが良好となる。
また、融点(TmD)測定において得られる融解ピークの面積から計算される、P1成分の側鎖結晶性ポリマーの融解熱(ΔHD)は、通常30J/g以上、好ましくは50J/g以上、より好ましくは60J/g以上、さらに好ましくは75J/g以上である。
ΔHDが30J/g以上であると、変換温度における透明と不透明のコントラストが良好となる。
融点(Tm)測定において得られる融解ピークの面積から計算される、P1成分の側鎖結晶性ポリマーの融解熱(ΔH)は、通常30J/g以上、好ましくは50J/g以上、より好ましくは60J/g以上、さらに好ましくは75J/g以上である。ΔHが30J/g以上であると、変換温度における透明と不透明のコントラストが良好となる。
また、融点(TmD)測定において得られる融解ピークの面積から計算される、P1成分の側鎖結晶性ポリマーの融解熱(ΔHD)は、通常30J/g以上、好ましくは50J/g以上、より好ましくは60J/g以上、さらに好ましくは75J/g以上である。
ΔHDが30J/g以上であると、変換温度における透明と不透明のコントラストが良好となる。
P1成分の側鎖結晶性ポリマーの合成法は特に限定されないが、この側鎖結晶性ポリマーが、炭素数10以上の高級α−オレフィン含む結晶性高級α−オレフィン系ポリマーである場合、いわゆるメタロセン触媒と呼ばれる均一系の触媒で合成されることが好ましい。
例えば、国際公開WO03/070790号公報に記載されているように、以下に示すメタロセン系触媒を用いて結晶性高級α−オレフィン系ポリマーを製造することができ、その中でも特に、アイソタクチックポリマーを合成できる、C2対称及びC1対称の遷移金属化合物を用いることが好ましい。
例えば、国際公開WO03/070790号公報に記載されているように、以下に示すメタロセン系触媒を用いて結晶性高級α−オレフィン系ポリマーを製造することができ、その中でも特に、アイソタクチックポリマーを合成できる、C2対称及びC1対称の遷移金属化合物を用いることが好ましい。
すなわち、(a)二架橋型の遷移金属化合物、及び(b)(b−1)この(a)成分の遷移金属化合物又はその派生物と反応してイオン性の錯体を形成しうる化合物及び(b−2)アルミノキサンから選ばれる少なくとも一種類の成分を含有する重合用触媒の存在下、炭素数10以上の高級α−オレフィン系ポリマーを重合させる方法である。
上記二架橋型の遷移金属化合物としては、二重架橋型ビスシクロペンタジエニル誘導体を配位子とする遷移金属化合物であって、配位子間の架橋基に珪素を含むものが好ましく、例えば(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドなどが挙げられる。
(b−1)成分としては、ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートなどが挙げられる。(b−2)成分としては、メチルアルミノキサン等の鎖状アルミノキサン、環状アルノキサンが挙げられる。また、上記(a)成分及び(b)成分に加えて(c)成分として、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物を用いることができる。
上記二架橋型の遷移金属化合物としては、二重架橋型ビスシクロペンタジエニル誘導体を配位子とする遷移金属化合物であって、配位子間の架橋基に珪素を含むものが好ましく、例えば(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドなどが挙げられる。
(b−1)成分としては、ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートなどが挙げられる。(b−2)成分としては、メチルアルミノキサン等の鎖状アルミノキサン、環状アルノキサンが挙げられる。また、上記(a)成分及び(b)成分に加えて(c)成分として、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物を用いることができる。
本発明における感温性樹脂膜は、P1成分の側鎖結晶性ポリマーの融解と結晶化を利用して透過性を制御するものである。
すなわち、この側鎖結晶性ポリマーが結晶化している場合、透過性が低く、融解している場合は透過性が高い。したがって、P1成分の側鎖結晶性ポリマーに配合する樹脂としては、この側鎖結晶性ポリマーの融解時の特性(特に屈折率)に近く、かつこの側鎖結晶性ポリマーの融点付近で形状を保つことができ、それ自体が透明性の高い樹脂であることが肝要である。このような樹脂として最適なものがP2のオレフィン系エラストマーである。
すなわち、この側鎖結晶性ポリマーが結晶化している場合、透過性が低く、融解している場合は透過性が高い。したがって、P1成分の側鎖結晶性ポリマーに配合する樹脂としては、この側鎖結晶性ポリマーの融解時の特性(特に屈折率)に近く、かつこの側鎖結晶性ポリマーの融点付近で形状を保つことができ、それ自体が透明性の高い樹脂であることが肝要である。このような樹脂として最適なものがP2のオレフィン系エラストマーである。
P2のオレフィン系エラストマーとしては、以下のα−オレフィン系エラストマーやスチレン系熱可塑性エラストマーなど、ゴム弾性的な性質を持つ物質を挙げることができる。
α−オレフィン系エラストマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、及び1−オクテンなどから選ばれる少なくとも一種のモノマー、好ましくはエチレン、プロピレン及び1−ブテンから選ばれる少なくとも一種のモノマーと、他のα−オレフィンとが共重合してなるエラストマー、あるいは上記α−オレフィンの少なくとも一種と環状オレフィン、スチレン系モノマー又は非共役ジエンとが共重合してなるエラストマーやプラストマーなどを挙げることができる。
上記非共役ジエンとしては、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン及び5−エチリデン−2−ノルボルネンなどを挙げることができる。
一般的に、密度が910kg/m3以下の物質をプラストマーやエラストマーと呼ばれており、P2成分のオレフィン系エラストマーとしては910kg/m3以下のものが好ましいが、ゴム弾性的な性質を持つものであれば密度には制限されず、化学的架橋されているものでも化学的架橋されていないものでもよい。
α−オレフィン系エラストマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、及び1−オクテンなどから選ばれる少なくとも一種のモノマー、好ましくはエチレン、プロピレン及び1−ブテンから選ばれる少なくとも一種のモノマーと、他のα−オレフィンとが共重合してなるエラストマー、あるいは上記α−オレフィンの少なくとも一種と環状オレフィン、スチレン系モノマー又は非共役ジエンとが共重合してなるエラストマーやプラストマーなどを挙げることができる。
上記非共役ジエンとしては、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン及び5−エチリデン−2−ノルボルネンなどを挙げることができる。
一般的に、密度が910kg/m3以下の物質をプラストマーやエラストマーと呼ばれており、P2成分のオレフィン系エラストマーとしては910kg/m3以下のものが好ましいが、ゴム弾性的な性質を持つものであれば密度には制限されず、化学的架橋されているものでも化学的架橋されていないものでもよい。
上記α−オレフィン系エラストマーとして具体的には、エチレン・プロピレン共重合体エラストマー、エチレン・1−ブテン共重合体エラストマー、エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体エラストマー、エチレン・1−ヘキセン共重合体エラストマー、エチレン・1‐オクテン共重合体エラストマー、エチレン・スチレン共重合体エラストマー、エチレン・ノルボルネン共重合体エラストマー、プロピレン・1−ブテン共重合体エラストマー、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体エラストマー、エチレン・1−ブテン−非共役ジエン共重合体エラストマー及びエチレン・プロピレン・1−ブテン−非共役ジエン共重合体エラストマーなどの、オレフィンを主成分とする無定型の弾性共重合体を挙げることができる。これらのなかでも、炭素数2〜8のオレフィンを主な構成単位とするエラストマーが好ましく、エチレン単位を主な構成単位とする共重合体エラストマーがより好ましい。
上記α−オレフィン系エラストマーの230℃及び荷重−Nで測定されるメルトフローレート(MFR)は、通常0.01〜50g/10分程度、好ましくは0.1〜30g/10分、より好ましくは0.5〜20g/10分である。
また、α−オレフィン系エラストマーとしては、立体規則性を制御したポリプロピレンやポリブテンなども挙げられる。これは、立体規則性を下げることにより結晶性を下げ、ゴム的な弾性を発現させたものであり、このようなα−オレフィン系エラストマーとしては、特開2001−172325号公報に記載のプロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜20のα−オレフィンを重合させてなるプロピレン系重合体、特開2002−322213公報に記載の1−ブテンとエチレン及び/又は炭素数3〜20のα−オレフィン(ただし、1−ブテン除く)との共重合体などが挙げられる。
また、α−オレフィン系エラストマーとしては、立体規則性を制御したポリプロピレンやポリブテンなども挙げられる。これは、立体規則性を下げることにより結晶性を下げ、ゴム的な弾性を発現させたものであり、このようなα−オレフィン系エラストマーとしては、特開2001−172325号公報に記載のプロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜20のα−オレフィンを重合させてなるプロピレン系重合体、特開2002−322213公報に記載の1−ブテンとエチレン及び/又は炭素数3〜20のα−オレフィン(ただし、1−ブテン除く)との共重合体などが挙げられる。
スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系化合物と共役ジエン化合物のブ
ロック共重合体及びその水添体が挙げられる。このスチレン系化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレンなどのアルキルスチレン、p−メトキシスチレン及びビニルナフタレンなどが挙げられる。これらの中でもスチレンが好ましい。
上記共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、メチルペンタジエン、フェニルブタジエン、3,4−ジメチル−1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエンなどが挙げられる。これらの中でもブタジエン、イソプレンが好ましい。
スチレン系熱可塑性エラストマーの分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状又はこれらの組み合わせなどいずれであってもよい。このようなスチレン系熱可塑性エラストマーとして具体的には、スチレン・ブタジエンジブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレントリブロック共重合体、スチレン・イソプレンジブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレントリブロック共重合体、スチレン・ブタジエンジブロック共重合体の水素添加物、スチレン・ブタジエン・スチレントリブロック共重合体の水素添加物、スチレン・イソプレンジブロック共重合体の水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレントリブロック共重合体の水素添加物などを挙げることができる。P2成分のオレフィン系エラストマーは、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
ロック共重合体及びその水添体が挙げられる。このスチレン系化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレンなどのアルキルスチレン、p−メトキシスチレン及びビニルナフタレンなどが挙げられる。これらの中でもスチレンが好ましい。
上記共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、メチルペンタジエン、フェニルブタジエン、3,4−ジメチル−1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエンなどが挙げられる。これらの中でもブタジエン、イソプレンが好ましい。
スチレン系熱可塑性エラストマーの分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状又はこれらの組み合わせなどいずれであってもよい。このようなスチレン系熱可塑性エラストマーとして具体的には、スチレン・ブタジエンジブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレントリブロック共重合体、スチレン・イソプレンジブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレントリブロック共重合体、スチレン・ブタジエンジブロック共重合体の水素添加物、スチレン・ブタジエン・スチレントリブロック共重合体の水素添加物、スチレン・イソプレンジブロック共重合体の水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレントリブロック共重合体の水素添加物などを挙げることができる。P2成分のオレフィン系エラストマーは、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
P2成分のオレフィン系エラストマーとしては、特に下記の少なくともいずれかの項目を満足するものが好ましい。
(a)エチレン、プロピレン及び1−ブテンから選ばれる少なくとも一種のモノマーと、他のα−オレフィンとの共重合体からなるエラストマーである。
(b)密度が910kg/m3以下である。
P1成分の側鎖結晶性ポリマーの側鎖がアルキル基である場合、この側鎖結晶性ポリマーとの相溶性を考慮すると、P2成分のオレフィン系エラストマーとしては、α−オレフィン系エラストマーが好ましく、入手の容易さ、コストの面から上記(a)のものがより好ましく、エチレン・α−オレフィン共重合体エラストマーがさらに好ましい。
また、P1成分の側鎖結晶性ポリマーの融解時の屈折率を考慮すると、P2成分のオレフィン系エラストマーの密度は910kg/m3以下であることが好ましい。この密度は、より好ましくは905〜850kg/m3、さらに好ましくは900〜860kg/m3、特に好ましくは890〜865kg/m3である。この密度が910kg/m3以下であると、変換温度における透過と非透過のコントラストが良好となる。
(a)エチレン、プロピレン及び1−ブテンから選ばれる少なくとも一種のモノマーと、他のα−オレフィンとの共重合体からなるエラストマーである。
(b)密度が910kg/m3以下である。
P1成分の側鎖結晶性ポリマーの側鎖がアルキル基である場合、この側鎖結晶性ポリマーとの相溶性を考慮すると、P2成分のオレフィン系エラストマーとしては、α−オレフィン系エラストマーが好ましく、入手の容易さ、コストの面から上記(a)のものがより好ましく、エチレン・α−オレフィン共重合体エラストマーがさらに好ましい。
また、P1成分の側鎖結晶性ポリマーの融解時の屈折率を考慮すると、P2成分のオレフィン系エラストマーの密度は910kg/m3以下であることが好ましい。この密度は、より好ましくは905〜850kg/m3、さらに好ましくは900〜860kg/m3、特に好ましくは890〜865kg/m3である。この密度が910kg/m3以下であると、変換温度における透過と非透過のコントラストが良好となる。
本発明で使用する感温性樹脂組成物においては、上記P1成分及びP2成分以外に、必要に応じて他の熱可塑性樹脂を本発明の効果を損なわない範囲で配合することもできる。この熱可塑性樹脂としては、オレフィン単独重合体又は二種以上のオレフィンの共重合体、例えば、α−オレフィン単独重合体(ポリプロピレン等)、α−オレフィン共重合体(プロピレン・α−オレフィン・ランダム共重合体、プロピレン・α−オレフィン・プロック共重合体等)、高中密度ポリエチレン、ポリ1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、極低密度ポリエチレン、α−オレフィンとビニルモノマーとの共重合体などが挙げられる。また、エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン・カルボン酸不飽和エステル共重合体などの極性基含有ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレンやゴム強化ポリスチレン(HIPS)、アイソタクティックポリスチレン、シンジオタクタクティックポリスチレンなどのポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS)やアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)などのポリアクリルニトリル系樹脂、ポリメタクリレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニレンスルフォン系樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、クロマン・インデン系樹脂及び石油樹脂なども用いることができる。これらの熱可塑性樹脂は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
上記熱可塑性樹脂の配合量は、P1成分とP2成分の合計100質量部に対して、通常10〜50質量部程度である。
上記熱可塑性樹脂の配合量は、P1成分とP2成分の合計100質量部に対して、通常10〜50質量部程度である。
本発明で使用する感温性樹脂組成物を調製する方法としては、例えば、(1)P1の側鎖結晶性ポリマー、P2のオレフィン系エラストマー、及び必要に応じて用いる上記熱可塑性樹脂を溶融混練する方法、(2)P1の側鎖結晶性ポリマー、P2のオレフィン系エラストマー、及び必要に応じて用いる上記熱可塑性樹脂を共通の溶媒に溶解してブレンドする方法、などが挙げられる。
各成分を溶融混練する方法としては、従来公知の方法を広く採用することができる。溶融混練装置としては、ミキシングロール、インテンシブミキサー、例えばバンバリーミキサー、ニーダー、一軸又は二軸押出機を用いることができる。
各成分を溶融混練する方法としては、従来公知の方法を広く採用することができる。溶融混練装置としては、ミキシングロール、インテンシブミキサー、例えばバンバリーミキサー、ニーダー、一軸又は二軸押出機を用いることができる。
本発明で使用する感温性樹脂組成物には、必要に応じて、さらに従来公知の無機充填剤、有機充填剤などの充填剤を配合することができる。用いられる無機充填剤や有機充填剤の形状については特に制限はなく、粒状、板状、棒状,繊維状及びウイスカー状などいずれの形状のものも使用することができる。
無機充填剤としては、例えばシリカ、ケイ藻土、バリウムフェライト、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、軽石、軽石バルーンなどの酸化物、水酸化アルミニルム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウムなどの水酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、ドーソナイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウムなどの硫酸塩又は亜硫酸塩、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスバルーン、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、カオリナイトなどの粘土鉱物・ケイ酸塩及びその有機化物(有機化クレー)、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素中空球などの炭素類や、硫化モリブデン、ボロン繊維、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム、マグネシウムオキシサルフェイト、各種金属繊維などを挙げることができる。一方、有機充填剤としては、例えばモミ殻などの殻繊維、木粉、木綿、ジュート、紙細片、セロハン片、芳香族ポリアミド繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、熱硬化性樹脂粉末などを挙げることができる。
無機充填剤としては、例えばシリカ、ケイ藻土、バリウムフェライト、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、軽石、軽石バルーンなどの酸化物、水酸化アルミニルム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウムなどの水酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、ドーソナイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウムなどの硫酸塩又は亜硫酸塩、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスバルーン、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、カオリナイトなどの粘土鉱物・ケイ酸塩及びその有機化物(有機化クレー)、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素中空球などの炭素類や、硫化モリブデン、ボロン繊維、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム、マグネシウムオキシサルフェイト、各種金属繊維などを挙げることができる。一方、有機充填剤としては、例えばモミ殻などの殻繊維、木粉、木綿、ジュート、紙細片、セロハン片、芳香族ポリアミド繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、熱硬化性樹脂粉末などを挙げることができる。
これらの無機充填剤や有機充填剤は一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。射出成形においては、これらの中で、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、ガラス繊維が好ましく、特にタルクが好ましい。このタルクの大きさとしては、得られる感温性樹脂膜の剛性、耐衝撃性、耐傷付き白化性、ウエルド外観、光沢ムラなどの物性の点から、平均粒径1〜8μmで、平均アスペクト比が4以上のものが好適である。特に加工粉砕法により得られたものが、物性、剛性などの点でとりわけ好ましい。
上記無機充填剤や有機充填剤の配合量は、樹脂成分(P1成分、P2成分)100質量部に対して、通常1〜100質量部、好ましくは3〜60質量部、より好ましくは5〜40質量部の範囲である。
この配合量が1質量部以上であると、得られる感温性樹脂膜の剛性が充分となり、100質量部以下であると、得られる感温性樹脂膜にウエルド外観や光沢ムラなどの外観不良が生じることがなく、また、耐衝撃性や耐傷付き白化性が向上する。
上記無機充填剤や有機充填剤の配合量は、樹脂成分(P1成分、P2成分)100質量部に対して、通常1〜100質量部、好ましくは3〜60質量部、より好ましくは5〜40質量部の範囲である。
この配合量が1質量部以上であると、得られる感温性樹脂膜の剛性が充分となり、100質量部以下であると、得られる感温性樹脂膜にウエルド外観や光沢ムラなどの外観不良が生じることがなく、また、耐衝撃性や耐傷付き白化性が向上する。
本発明で使用する感温性樹脂組成物には、さらに必要に応じて、従来公知の結晶核剤、耐侯安定剤、紫外線吸収剤,光安定剤,耐熱安定剤、帯電防止剤、離型剤,難燃剤,合成油,ワックス、電気的性質改良剤、スリップ防止剤、アンチブロックング剤、粘度調節剤、着色防止剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、塩素捕捉剤及び酸化防止剤などの添加剤を配合することができる。
上記着色剤の配合量は、樹脂成分と無機充填剤や有機充填剤との合計100質量部に対して、通常5質量部以下、好ましくは3質量部以下である。この配合量が5質量部以下であると、得られる成形体は高温時の剛性が向上し、かつコストが抑えられる。
また、安定剤としては、フェノール系安定剤、有機フォスファイト系安定剤、チオエーテル系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤及び高級脂肪酸の金属塩などが挙げられ、その配合量は、樹脂成分と無機充填剤や有機充填剤との合計100質量部に対して、通常0.001〜10質量部程度である。
上記着色剤の配合量は、樹脂成分と無機充填剤や有機充填剤との合計100質量部に対して、通常5質量部以下、好ましくは3質量部以下である。この配合量が5質量部以下であると、得られる成形体は高温時の剛性が向上し、かつコストが抑えられる。
また、安定剤としては、フェノール系安定剤、有機フォスファイト系安定剤、チオエーテル系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤及び高級脂肪酸の金属塩などが挙げられ、その配合量は、樹脂成分と無機充填剤や有機充填剤との合計100質量部に対して、通常0.001〜10質量部程度である。
本発明で、上記P1の側鎖結晶性ポリマーとP2のオレフィン系エラストマーとからなる組合せを含む感温性樹脂組成物を用いて感温性樹脂膜を製造する。
感温性樹脂膜を製造する方法としては、前記感温性樹脂組成物を工程用シートであるポリエステルやテフロン(登録商標)製のシート上に所定の厚さとなるように供給し、プレス加工後、冷却して成形する方法や、透明発熱体に直接所定の厚さとなるように前記感温性樹脂組成物を塗布し、そのまま乾燥させるか、又は塗布後にそれに接して積層する物を押し当て、全体を加熱・乾燥させて膜を形成する方法などが挙げられる。
本発明においては、感温性樹脂膜の厚さは、1〜1,000μm程度であることが好ましい。この厚さがこの範囲から逸脱すると、透過率制御範囲が狭くなったり、制御速度が低下するなどの問題を起こす可能性があり、好ましくない。より好ましい膜厚は2〜500μmである。
感温性樹脂膜を製造する方法としては、前記感温性樹脂組成物を工程用シートであるポリエステルやテフロン(登録商標)製のシート上に所定の厚さとなるように供給し、プレス加工後、冷却して成形する方法や、透明発熱体に直接所定の厚さとなるように前記感温性樹脂組成物を塗布し、そのまま乾燥させるか、又は塗布後にそれに接して積層する物を押し当て、全体を加熱・乾燥させて膜を形成する方法などが挙げられる。
本発明においては、感温性樹脂膜の厚さは、1〜1,000μm程度であることが好ましい。この厚さがこの範囲から逸脱すると、透過率制御範囲が狭くなったり、制御速度が低下するなどの問題を起こす可能性があり、好ましくない。より好ましい膜厚は2〜500μmである。
本発明で使用される透明発熱体は、特に制限されないが、例えば、透明導電膜ガラスが挙げられ、これは電圧を印加すると、電圧の大きさに対応して導電膜の温度が上昇するもので、ガラスそのものをヒーターとして機能させるものである。
導電膜の原材料としては、ZnO系、In2O3−ZnO系、Ga添加ZnO系、銀添加ITO系、CuAlO2、SrCu2O2系、又はp型酸化物系などを使用することができる。
これらの原材料を耐熱ガラスなどの一方の表面に塗布、蒸着、又はスパッタリングなどにより膜を形成し、電極を取り付けて、透明導電膜を含む透明発熱体を製造することができる。このような透明発熱体は一般に市販されており、それらを使用することができる。
導電膜の原材料としては、ZnO系、In2O3−ZnO系、Ga添加ZnO系、銀添加ITO系、CuAlO2、SrCu2O2系、又はp型酸化物系などを使用することができる。
これらの原材料を耐熱ガラスなどの一方の表面に塗布、蒸着、又はスパッタリングなどにより膜を形成し、電極を取り付けて、透明導電膜を含む透明発熱体を製造することができる。このような透明発熱体は一般に市販されており、それらを使用することができる。
本発明で使用される顔料及び/又は染料を用いて構成されるフィルタとしては、透過光量と色の調整が可能なものであれば特に制限されないが、例としてポリエステルやポリカーボネート、塩化ビニル樹脂、さらにはガラスなど、本来透明なフィルムを形成するものに対し、顔料及び/又は染料を添加してフィルム状に成型したものが挙げられる。成型法としては、溶融押出法などが挙げられ、その厚さは0.1〜100μmであることが好ましい。上記顔料や染料は公知のものを特に制限なく使用することができる。
本発明では、上記に述べた各部材を上記記載の順に積層化して、透過率可変電子デバイスが製造される。積層化方法としては公知の押出ラミネート法、熱プレス法等を適宜採用することができる。
本発明の一態様を、図1を用いて説明する。
図1は、本発明の一態様を示す透過率可変電子デバイスの断面図であり、透明基板A2、前記透明基板A2の一方の面に密着して透明発熱体3が設けられ、前記透明発熱体の他方の面には、感温性樹脂膜4が密着して形成され、さらに前記感温性樹脂膜4の他方の面に密着して、前記透明基板A2に対向して透明基板B5が設けられた透過率可変電子デバイスである。
透明基板としては、強化ガラス、Eガラス、ECRガラスなどを使用することができる。また、ポリエステル、ポリメチルメタクリレート、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂など、透明度と強度の高い合成樹脂を使用してもよい。
本発明では、透明基板と透明発熱体は、可視光線を極力透過する透明性の高いものを使用する。
図2は本発明の他の態様を示す透過率可変電子デバイスの断面図である。
図1との相違点は、透明基板2と透明発熱体3との間に、顔料及び/又は染料を用いて構成されるフィルタをさらに密着して設けた点である。
図1は、本発明の一態様を示す透過率可変電子デバイスの断面図であり、透明基板A2、前記透明基板A2の一方の面に密着して透明発熱体3が設けられ、前記透明発熱体の他方の面には、感温性樹脂膜4が密着して形成され、さらに前記感温性樹脂膜4の他方の面に密着して、前記透明基板A2に対向して透明基板B5が設けられた透過率可変電子デバイスである。
透明基板としては、強化ガラス、Eガラス、ECRガラスなどを使用することができる。また、ポリエステル、ポリメチルメタクリレート、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂など、透明度と強度の高い合成樹脂を使用してもよい。
本発明では、透明基板と透明発熱体は、可視光線を極力透過する透明性の高いものを使用する。
図2は本発明の他の態様を示す透過率可変電子デバイスの断面図である。
図1との相違点は、透明基板2と透明発熱体3との間に、顔料及び/又は染料を用いて構成されるフィルタをさらに密着して設けた点である。
さらに、図3は本発明の他の態様を示す透過率可変電子デバイスの断面図である。図2との相違点は、透明基板B5と、感温性樹脂膜4が形成された透明発熱体3との間に、顔料及び/又は染料を用いて構成されるフィルタ11を設けた点である。
次に、これらの透過率可変電子デバイスについて、作用機構を説明する。
先ず、図1の透過率可変電子デバイス1の作用機構を、透明発熱体3の温度特性例を示す図4を用いて説明すると、透明発熱体3に電圧を印加すると、その電圧の大きさに対応して透明発熱体3の温度が上昇する。すなわち、図4において、透明発熱体3に電圧V1(V)を印加すると、透明発熱体3の面上温度は全域にわたって温度T1(℃)になり、さらに電圧V4(V)を印加すると、透明発熱体3の面上温度は全域にわたって温度T4(℃)になることを示している。
このとき、透明発熱体3に密着して設けられた感温性樹脂膜4が発熱温度に応じて光透過率を変える。すなわち、感温性樹脂膜の温度変化により透過率が変わる特性例を示す図5に示すように、発熱温度がT1(℃)では、感温性樹脂膜は結晶化状態となっていて完全不透過(不透明)状態となる。
一方、温度がT4(℃)になると、感温性樹脂膜は融解状態となり、完全透過(透明)状態に変わる。すなわち、発熱温度を制御することにより、感温性樹脂膜を透過する光の量を任意の状態とすることができる。
透過率可変電子デバイスは、不透明な状態では透過率可変電子デバイスにより射出された光は全方位に分散されるので、完全に不透明となる。透過率可変電子デバイスが透明になるに従い、すなわち、図5における透過率がA1(%)からA4(%)に移行して行くに従い、完全不透明ガラス、濃いすりガラス、薄いすりガラス、及び透明ガラスのような見え方に変化する。
なお、感温性樹脂膜の膜厚を調整することにより、たとえば、図6に示すように、感温性樹脂膜厚が薄いと透過率が上がり、感温性樹脂膜の温度がT1(℃)より低く結晶化状態であっても、完全不透明にはならず、透過率がA5(%)のような透けた状態となる。また、図5に示したのと同じ温度変化でも、図6の場合には、より微妙な透過率の差とすることができる。
先ず、図1の透過率可変電子デバイス1の作用機構を、透明発熱体3の温度特性例を示す図4を用いて説明すると、透明発熱体3に電圧を印加すると、その電圧の大きさに対応して透明発熱体3の温度が上昇する。すなわち、図4において、透明発熱体3に電圧V1(V)を印加すると、透明発熱体3の面上温度は全域にわたって温度T1(℃)になり、さらに電圧V4(V)を印加すると、透明発熱体3の面上温度は全域にわたって温度T4(℃)になることを示している。
このとき、透明発熱体3に密着して設けられた感温性樹脂膜4が発熱温度に応じて光透過率を変える。すなわち、感温性樹脂膜の温度変化により透過率が変わる特性例を示す図5に示すように、発熱温度がT1(℃)では、感温性樹脂膜は結晶化状態となっていて完全不透過(不透明)状態となる。
一方、温度がT4(℃)になると、感温性樹脂膜は融解状態となり、完全透過(透明)状態に変わる。すなわち、発熱温度を制御することにより、感温性樹脂膜を透過する光の量を任意の状態とすることができる。
透過率可変電子デバイスは、不透明な状態では透過率可変電子デバイスにより射出された光は全方位に分散されるので、完全に不透明となる。透過率可変電子デバイスが透明になるに従い、すなわち、図5における透過率がA1(%)からA4(%)に移行して行くに従い、完全不透明ガラス、濃いすりガラス、薄いすりガラス、及び透明ガラスのような見え方に変化する。
なお、感温性樹脂膜の膜厚を調整することにより、たとえば、図6に示すように、感温性樹脂膜厚が薄いと透過率が上がり、感温性樹脂膜の温度がT1(℃)より低く結晶化状態であっても、完全不透明にはならず、透過率がA5(%)のような透けた状態となる。また、図5に示したのと同じ温度変化でも、図6の場合には、より微妙な透過率の差とすることができる。
次に図2に示した透過率可変電子デバイス10では、図1のものに、さらに顔料及び/又は染料を用いて構成されるフィルタ11を介在させたものであって、観察者13から見ると、常に前記フィルタ11の透過光が感温性樹脂膜4の透過光色に重畳された形で見える。
感温性樹脂膜4が不透明の場合、フィルタ11が透過率50%の黒色(グレー色)とすると、感温性樹脂膜4の乳白色にグレー色が合わさった色となる。感温性樹脂膜4が透明の場合、入射光の50%の光が観察者13側に届くので、グレー色となる。
このように、透明基板A2又はB5と、透明発熱体3との間に、顔料や染料を用いて構成されるフィルタ11を設けることにより、感温性樹脂膜4の透過光に前記フィルタ11の透過光を合わせることができる。すなわち、感温性樹脂膜4が不透明で乳白濁色の場合は、ほぼフィルタ11の色とすることができるので、透過光量と色の調整が可能となる。
なお、上記では、フィルタ11は、透過率50%の黒色(グレー色)程度のものを画面全体に形成した例について説明したが、前記フィルタの塗布パターンは任意な形状で形成しても、透過率可変電子デバイス10の効果は変わらない。
たとえば、図7の(1)に示すように横のストライプ状や、(2)に示すように縦ストライブ状のものでも良く、その形状はどのようなものであっても、透過率可変電子デバイス10の効果は変わらない。
感温性樹脂膜4が不透明の場合、フィルタ11が透過率50%の黒色(グレー色)とすると、感温性樹脂膜4の乳白色にグレー色が合わさった色となる。感温性樹脂膜4が透明の場合、入射光の50%の光が観察者13側に届くので、グレー色となる。
このように、透明基板A2又はB5と、透明発熱体3との間に、顔料や染料を用いて構成されるフィルタ11を設けることにより、感温性樹脂膜4の透過光に前記フィルタ11の透過光を合わせることができる。すなわち、感温性樹脂膜4が不透明で乳白濁色の場合は、ほぼフィルタ11の色とすることができるので、透過光量と色の調整が可能となる。
なお、上記では、フィルタ11は、透過率50%の黒色(グレー色)程度のものを画面全体に形成した例について説明したが、前記フィルタの塗布パターンは任意な形状で形成しても、透過率可変電子デバイス10の効果は変わらない。
たとえば、図7の(1)に示すように横のストライプ状や、(2)に示すように縦ストライブ状のものでも良く、その形状はどのようなものであっても、透過率可変電子デバイス10の効果は変わらない。
図8は、透過率可変電子デバイス10を観視者13の正面から見た時の、透過率ごとの透過イメージを例示する図である。
(1)は、透過率可変電子デバイス10が完全に透明な状態、すなわち、図5において、透過率がA4(%)の状態で、透過率可変電子デバイス10の前方側の図柄が完全に透けて見える。(2)〜(5)は、透過率可変電子デバイス10において、フィルタ11が透過率50%の黒色(グレー色)程度のものを用いた透過率ごとの透過イメージを示した図である。(2)は、感温性樹脂膜4の透過率がA4(%)の時で、前方の図柄が完全に透過する状態となる。入射光の50%の光が観視者13側に到達するので,グレー色の上に前方の図柄が見える。(3)は、感温性樹脂膜4の透過率がA3(%)であり、(2)のA4(%)に比べて図柄の透過する光量が低下するので、やや暗い図柄イメージとなる。(4)は、感温性樹脂膜4の透過率がA2(%)であり、A3(%)に比べて,さらに透過率が低下した状態のものである。(3)に比べて図柄の透過する光量が一段と低下するので、薄い図柄イメージとなる。(5)は、感温性樹脂膜4の透過率がA1(%)、すなわち完全不透過の状態のものである。前方の図柄がまったく見えないようになる。
このように、透明基板A2と、感温性樹脂膜4と密着した透明発熱体3との間に、顔料や染料を用いて構成されるフィルタ11を設けると、感温性樹脂膜4の透過光にフィルタ11の透過光を重複させることができる。また、感温性樹脂膜4が不透明で乳白濁色の場合は、ほぼフィルタ11の色とすることができるので、透過光量と色の調整が可能となる。
(1)は、透過率可変電子デバイス10が完全に透明な状態、すなわち、図5において、透過率がA4(%)の状態で、透過率可変電子デバイス10の前方側の図柄が完全に透けて見える。(2)〜(5)は、透過率可変電子デバイス10において、フィルタ11が透過率50%の黒色(グレー色)程度のものを用いた透過率ごとの透過イメージを示した図である。(2)は、感温性樹脂膜4の透過率がA4(%)の時で、前方の図柄が完全に透過する状態となる。入射光の50%の光が観視者13側に到達するので,グレー色の上に前方の図柄が見える。(3)は、感温性樹脂膜4の透過率がA3(%)であり、(2)のA4(%)に比べて図柄の透過する光量が低下するので、やや暗い図柄イメージとなる。(4)は、感温性樹脂膜4の透過率がA2(%)であり、A3(%)に比べて,さらに透過率が低下した状態のものである。(3)に比べて図柄の透過する光量が一段と低下するので、薄い図柄イメージとなる。(5)は、感温性樹脂膜4の透過率がA1(%)、すなわち完全不透過の状態のものである。前方の図柄がまったく見えないようになる。
このように、透明基板A2と、感温性樹脂膜4と密着した透明発熱体3との間に、顔料や染料を用いて構成されるフィルタ11を設けると、感温性樹脂膜4の透過光にフィルタ11の透過光を重複させることができる。また、感温性樹脂膜4が不透明で乳白濁色の場合は、ほぼフィルタ11の色とすることができるので、透過光量と色の調整が可能となる。
図3の透過率可変電子デバイス15についても、同様である。すなわち、図3は、透明基板B5と、感温性樹脂膜4と密着した透明発熱体3との間に、顔料や染料を用いて構成されるフィルタ11を設けた例であり、フィルタ11が透過率50%の黒色(グレー色)であれば、感温性樹脂膜4が透明のときには、透過率可変電子デバイス15からの透過光量は50%となるので、観視者13から見るとグレーの色となる。
感温性樹脂膜4が不透明の場合は、感温性樹脂膜4が観視者13側にあるので、フィルタ11の有無に関わらず、感温性樹脂膜4の色となるので、乳白濁色となる。
観視者13からは、感温性樹脂膜4が完全に不透明でない場合に、フィルタ11の透過光と感温性樹脂膜4の透過光が重畳された形で見える。
このように、透明基板B5と感温性樹脂膜4との間に、顔料や染料を用いて構成されるフィルタ11を設けると、感温性樹脂膜4が不透明でない場合は、フィルタ11の透過光と感温性樹脂膜4の透過光が重複することになる。感温性樹脂膜4の透過率が高いほどフィルタ11の透過光が観視者13に見える。感温性樹脂膜4が不透明になると、観視者13には感温性樹脂膜4の色である乳白濁色が見えることになる。
感温性樹脂膜4が不透明の場合は、感温性樹脂膜4が観視者13側にあるので、フィルタ11の有無に関わらず、感温性樹脂膜4の色となるので、乳白濁色となる。
観視者13からは、感温性樹脂膜4が完全に不透明でない場合に、フィルタ11の透過光と感温性樹脂膜4の透過光が重畳された形で見える。
このように、透明基板B5と感温性樹脂膜4との間に、顔料や染料を用いて構成されるフィルタ11を設けると、感温性樹脂膜4が不透明でない場合は、フィルタ11の透過光と感温性樹脂膜4の透過光が重複することになる。感温性樹脂膜4の透過率が高いほどフィルタ11の透過光が観視者13に見える。感温性樹脂膜4が不透明になると、観視者13には感温性樹脂膜4の色である乳白濁色が見えることになる。
本発明は、さらに上記透過率可変電子デバイスに透過率制御指示手段と、前記指示手段からの信号を受けて制御電圧を発生させる制御電圧発生器とを設けた透過率可変電子デバイスとすることができ、このものについて、図9を用いて説明する。
図9においては、図1に示した透過率可変電子デバイス1の透過率を任意の値に制御できるようにしたもので、透過率制御手段としての透過率制御ダイヤル21と、その透過率制御ダイヤル21の信号を受けて透過率可変電子デバイス1の透過率の制御電圧を発生する制御電圧発生器22とを設けて、前記制御電圧発生器22の信号により、透過率可変電子デバイス1の透明発熱体3が発する温度を変更し、感温性樹脂膜4の透過率を制御するシステム構成図である。
たとえば、透過率可変電子デバイス1が完全透過の状態、すなわち図5の透過率A4(%)の状態から、A3(%)の状態に透過率を変更したい場合、次のようにして行う。
観視者13は、透過率制御ダイヤル21を透過率小の方向に回すと、透過率制御ダイヤル21の出力信号a3が出力される。信号a3が制御電圧発生器22に入力されると、図9に示すように、透明発熱体3の温度がT3(℃)になるような電圧V3(V)信号を制御電圧発生器22が透明発熱体に発する。その結果、電圧V3(V)が透明発熱体3に入力されると、透明発熱体3の全域の温度はT3(℃)になるので、透明発熱体3の全域に密着して取り付けられている感温性樹脂膜4の温度も同様にT3(℃)となる。
このとき、図5に示すように感温性樹脂膜4の透過率は、温度T3(℃)に対応した透過率、すなわちA3(%)になる。透過率可変電子デバイス1の透過性がまだ不十分で透過率をA2(%)としたい場合には、観視者13は、同様にして透過率制御ダイヤル21を透過率小の方向に回して、同じ手順を行うことによって、透過率可変電子デバイス1の透過率の変更ができる。
このように、透過率可変電子デバイス1の透過率を透過率制御ダイヤル21と制御電圧発生器22とを用いると、任意に透過率可変電子デバイス1の透過率を制御することが可能となる。
図9においては、図1に示した透過率可変電子デバイス1の透過率を任意の値に制御できるようにしたもので、透過率制御手段としての透過率制御ダイヤル21と、その透過率制御ダイヤル21の信号を受けて透過率可変電子デバイス1の透過率の制御電圧を発生する制御電圧発生器22とを設けて、前記制御電圧発生器22の信号により、透過率可変電子デバイス1の透明発熱体3が発する温度を変更し、感温性樹脂膜4の透過率を制御するシステム構成図である。
たとえば、透過率可変電子デバイス1が完全透過の状態、すなわち図5の透過率A4(%)の状態から、A3(%)の状態に透過率を変更したい場合、次のようにして行う。
観視者13は、透過率制御ダイヤル21を透過率小の方向に回すと、透過率制御ダイヤル21の出力信号a3が出力される。信号a3が制御電圧発生器22に入力されると、図9に示すように、透明発熱体3の温度がT3(℃)になるような電圧V3(V)信号を制御電圧発生器22が透明発熱体に発する。その結果、電圧V3(V)が透明発熱体3に入力されると、透明発熱体3の全域の温度はT3(℃)になるので、透明発熱体3の全域に密着して取り付けられている感温性樹脂膜4の温度も同様にT3(℃)となる。
このとき、図5に示すように感温性樹脂膜4の透過率は、温度T3(℃)に対応した透過率、すなわちA3(%)になる。透過率可変電子デバイス1の透過性がまだ不十分で透過率をA2(%)としたい場合には、観視者13は、同様にして透過率制御ダイヤル21を透過率小の方向に回して、同じ手順を行うことによって、透過率可変電子デバイス1の透過率の変更ができる。
このように、透過率可変電子デバイス1の透過率を透過率制御ダイヤル21と制御電圧発生器22とを用いると、任意に透過率可変電子デバイス1の透過率を制御することが可能となる。
本発明は、さらに上記透過率可変電子デバイス1を使用して、さらに感温性樹脂膜、又は透明発熱体の温度検出手段と、前記温度検出手段からの信号を受けて変動用制御電圧を発生する変動用制御電圧手段と、前記指示手段からの信号と変動用制御電圧手段からの信号から制御信号を加減算する制御信号加減算手段とを設けた透過率可変電子デバイスとすることができ、このものについて、図10を用いて説明する。
図10は、透過率可変電子デバイス1の周辺温度や外光の影響により、透過率制御ダイヤル21だけでは感温性樹脂膜4の透過率制御がうまくできない場合のシステム構成例である。
まず、周辺温度や外光の影響がない場合は、図10においても図9と同様な透過率の調整を行う。透過率可変電子デバイス1が完全透過の状態、すなわち図5の透過率A4(%)の状態からA3(%)の状態に透過率を変更するには、観視者13は透過率制御ダイヤル21を透過率小の方向に回す。そうすることによって、透過率制御ダイヤル21の出力からは信号a3が出力される。この信号a3は制御信号加算器33に入力される。
制御信号加算器33の他方の入力には、温度変動用制御電圧発生器32からの制御信号36が入力されるが、周辺温度や外光の影響がないので、制御信号の大きさはゼロとなっている。従って、制御信号加算器33からは、制御信号37として信号a3が出力される。
この信号a3が制御電圧発生器22に入力されると、図4に示すように透明発熱体3の温度がT3(℃)になるような電圧V3(V)を発生する。電圧V3(V)が透明発熱体3に入力されると、透明発熱体3の全域の温度はT3(℃)になるので、透明発熱体3の全域に密着して取り付けられている感温性樹脂膜4の温度も同様にT3(℃)となる。図5に示すように、感温性樹脂膜4の透過率は、温度T3(℃)に対応した透過率、すなわちA3(%)になる。
ここで、透過率可変電子デバイス1の周辺温度や外光の影響により透過率制御ダイヤル21だけでは感温性樹脂膜4の透過率制御がうまくできない場合、温度検出器31、温度変動用制御電圧発生器32、加減算器33を用いて感温性樹脂膜4の透過率を適切に調整する方法について述べる。
図10は、透過率可変電子デバイス1の周辺温度や外光の影響により、透過率制御ダイヤル21だけでは感温性樹脂膜4の透過率制御がうまくできない場合のシステム構成例である。
まず、周辺温度や外光の影響がない場合は、図10においても図9と同様な透過率の調整を行う。透過率可変電子デバイス1が完全透過の状態、すなわち図5の透過率A4(%)の状態からA3(%)の状態に透過率を変更するには、観視者13は透過率制御ダイヤル21を透過率小の方向に回す。そうすることによって、透過率制御ダイヤル21の出力からは信号a3が出力される。この信号a3は制御信号加算器33に入力される。
制御信号加算器33の他方の入力には、温度変動用制御電圧発生器32からの制御信号36が入力されるが、周辺温度や外光の影響がないので、制御信号の大きさはゼロとなっている。従って、制御信号加算器33からは、制御信号37として信号a3が出力される。
この信号a3が制御電圧発生器22に入力されると、図4に示すように透明発熱体3の温度がT3(℃)になるような電圧V3(V)を発生する。電圧V3(V)が透明発熱体3に入力されると、透明発熱体3の全域の温度はT3(℃)になるので、透明発熱体3の全域に密着して取り付けられている感温性樹脂膜4の温度も同様にT3(℃)となる。図5に示すように、感温性樹脂膜4の透過率は、温度T3(℃)に対応した透過率、すなわちA3(%)になる。
ここで、透過率可変電子デバイス1の周辺温度や外光の影響により透過率制御ダイヤル21だけでは感温性樹脂膜4の透過率制御がうまくできない場合、温度検出器31、温度変動用制御電圧発生器32、加減算器33を用いて感温性樹脂膜4の透過率を適切に調整する方法について述べる。
図5に感温性樹脂膜4の透過率と温度の関係を示しているように、感温性樹脂膜4の透過率を見るには感温性樹脂膜4又は透明発熱体3の温度を測ればよい。
まず、ここでは温度センサーにて測られた感温性樹脂膜4の温度情報34が温度検出器31に送られる。この温度情報34をもとに温度検出器31からは、温度信号35(T1±Δt1〜T2±Δt2〜T3±Δt3〜T4±Δt4)が得られる。
ここで、周辺温度や外光の影響により透過率がA3(%)にならないで変動すると、その変動量に応じて温度検出器31の温度信号35も変化する。例えば、透過率がA3(%)+Δa3(%)になると温度検出器31の温度信号35はT3+Δt3となる。また、透過率がA3(%)−Δa3(%)であると、温度検出器31の温度信号35はT3−Δt3となる。
温度変動用制御電圧発生器32に温度信号35が入力されると、透過率可変電子デバイス1の透過率がA3(%)+Δa3(%)に変動していると、温度変動用制御電圧発生器32からは透過率を下げる方向の制御信号36が出力される。すなわち、温度変動用制御電圧発生器32からは−Δa3が出力される。この制御信号36は制御信号加算器33に入力される。制御信号加算器33には、透過率制御ダイヤル21からの信号a3と制御信号36からの−Δa3が入力されるので、制御信号加算器33から出力される制御信号37はa3−Δa3となる。この信号a3−Δa3が制御電圧発生器22に入力されると、透明発熱体3の温度がT3−Δt3(℃)になるような電圧V3−Δv3(V)を発生する信号が発せられ、この信号に基づいて電圧V3−Δv3(V)が透明発熱体3に入力されると、透明発熱体3の全域の温度がT3−Δt3(℃)になることによって、周辺温度や外光の影響により変動する分を補正した透過率A3(%)が得られる。
このように、透過率可変電子デバイス1の周辺温度や外光の影響があっても、温度検出器31、温度変動用制御電圧発生器32、加減算器33により、感温性樹脂膜4の透過率を正常に調整することが可能となる。
なお、上記では、透過率可変電子デバイス1について説明したが、他の本発明の実施例である透過率可変電子デバイス10、15についてもまったく同様に操作することができる。
まず、ここでは温度センサーにて測られた感温性樹脂膜4の温度情報34が温度検出器31に送られる。この温度情報34をもとに温度検出器31からは、温度信号35(T1±Δt1〜T2±Δt2〜T3±Δt3〜T4±Δt4)が得られる。
ここで、周辺温度や外光の影響により透過率がA3(%)にならないで変動すると、その変動量に応じて温度検出器31の温度信号35も変化する。例えば、透過率がA3(%)+Δa3(%)になると温度検出器31の温度信号35はT3+Δt3となる。また、透過率がA3(%)−Δa3(%)であると、温度検出器31の温度信号35はT3−Δt3となる。
温度変動用制御電圧発生器32に温度信号35が入力されると、透過率可変電子デバイス1の透過率がA3(%)+Δa3(%)に変動していると、温度変動用制御電圧発生器32からは透過率を下げる方向の制御信号36が出力される。すなわち、温度変動用制御電圧発生器32からは−Δa3が出力される。この制御信号36は制御信号加算器33に入力される。制御信号加算器33には、透過率制御ダイヤル21からの信号a3と制御信号36からの−Δa3が入力されるので、制御信号加算器33から出力される制御信号37はa3−Δa3となる。この信号a3−Δa3が制御電圧発生器22に入力されると、透明発熱体3の温度がT3−Δt3(℃)になるような電圧V3−Δv3(V)を発生する信号が発せられ、この信号に基づいて電圧V3−Δv3(V)が透明発熱体3に入力されると、透明発熱体3の全域の温度がT3−Δt3(℃)になることによって、周辺温度や外光の影響により変動する分を補正した透過率A3(%)が得られる。
このように、透過率可変電子デバイス1の周辺温度や外光の影響があっても、温度検出器31、温度変動用制御電圧発生器32、加減算器33により、感温性樹脂膜4の透過率を正常に調整することが可能となる。
なお、上記では、透過率可変電子デバイス1について説明したが、他の本発明の実施例である透過率可変電子デバイス10、15についてもまったく同様に操作することができる。
以上の通り、本発明は、分光透過率特性が一定で、長寿命、製造が容易でコストに優れる透過率可変電子デバイスを提供することができる。また、本発明は透過率可変電子デバイスの透過率を、周辺温度や外光の影響があっても、自動的に制御可能としたシステムを提供することができる。
以下に製造例、実施例、及び比較例を掲げて、本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの記載に何ら限定されない。
以下に製造例、実施例、及び比較例を掲げて、本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの記載に何ら限定されない。
製造例
(製造例1)
触媒調製((1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドの製造)
シュレンク瓶に(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)−ビス(インデン)のリチウム塩の3.0g(6.97ミリモル)をTHF(テトラヒドロフラン)50ミリリットルに溶解し−78℃に冷却した。
ついでヨードメチルトリメチルシラン2.1ミリリットル(14.2ミリモル)をゆっくりと滴下し、室温で12時間撹拌した。その後、溶媒を留去し、エーテル50ミリリットルを加えて飽和塩化アンモニウム溶液で洗浄した。
分液後、有機相を乾燥し、溶媒を除去して(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデン)を3.04g(5.88ミリモル)を得た(収率84%)。
次に、窒素気流下においてシュレンク瓶に前記で得られた(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデン)を3.04g(5.88ミリモル)とエーテル50ミリリットルを入れた。−78℃に冷却しn−BuLiのヘキサン溶液(1.54M、7.6ミリリットル(1.7ミリモル))を滴下した。温度を室温とし12時間撹拌後、エーテルを留去した。得られた固体をヘキサン40ミリリットルで洗浄することによりリチウム塩をエーテル付加体として3.06g(5.07ミリモル)を得た(収率73%)。1H−NMR(90MHz、THF−d8)による測定の結果は、δ:0.04(s、18H、トリメチルシリル);0.48(s、12H、ジメチルシリレン);1.10(t、6H、メチル);2.59(s、4H、メチレン);3.38(q、4H、メチレン)、6.2−7.7(m,8H,Ar−H)であった。
窒素気流下で得られたリチウム塩をトルエン50ミリリットルに溶解した。−78℃に冷却し、ここへ予め−78℃に冷却した四塩化ジルコニウム1.2g(5.1ミリモル)のトルエン(20ミリリットル)懸濁液を滴下した。
滴下後、室温で6時間撹拌した。その反応溶液の溶媒を留去した。
得られた残渣をジクロロメタンにより再結晶化することにより、(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドを0.9g(1.33ミリモル)を得た(収率26%)。
1H−NMR(90MHz、CDCl3)による測定の結果は、δ:0.0(s、18H、トリメチルシリル);1.02、1.12(s、12H、ジメチルシリレン);2.51(dd、4H、メチレン);7.1−7.6(m,8H,Ar−H)であった。
(製造例2)
(製造例1)
触媒調製((1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドの製造)
シュレンク瓶に(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)−ビス(インデン)のリチウム塩の3.0g(6.97ミリモル)をTHF(テトラヒドロフラン)50ミリリットルに溶解し−78℃に冷却した。
ついでヨードメチルトリメチルシラン2.1ミリリットル(14.2ミリモル)をゆっくりと滴下し、室温で12時間撹拌した。その後、溶媒を留去し、エーテル50ミリリットルを加えて飽和塩化アンモニウム溶液で洗浄した。
分液後、有機相を乾燥し、溶媒を除去して(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデン)を3.04g(5.88ミリモル)を得た(収率84%)。
次に、窒素気流下においてシュレンク瓶に前記で得られた(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデン)を3.04g(5.88ミリモル)とエーテル50ミリリットルを入れた。−78℃に冷却しn−BuLiのヘキサン溶液(1.54M、7.6ミリリットル(1.7ミリモル))を滴下した。温度を室温とし12時間撹拌後、エーテルを留去した。得られた固体をヘキサン40ミリリットルで洗浄することによりリチウム塩をエーテル付加体として3.06g(5.07ミリモル)を得た(収率73%)。1H−NMR(90MHz、THF−d8)による測定の結果は、δ:0.04(s、18H、トリメチルシリル);0.48(s、12H、ジメチルシリレン);1.10(t、6H、メチル);2.59(s、4H、メチレン);3.38(q、4H、メチレン)、6.2−7.7(m,8H,Ar−H)であった。
窒素気流下で得られたリチウム塩をトルエン50ミリリットルに溶解した。−78℃に冷却し、ここへ予め−78℃に冷却した四塩化ジルコニウム1.2g(5.1ミリモル)のトルエン(20ミリリットル)懸濁液を滴下した。
滴下後、室温で6時間撹拌した。その反応溶液の溶媒を留去した。
得られた残渣をジクロロメタンにより再結晶化することにより、(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドを0.9g(1.33ミリモル)を得た(収率26%)。
1H−NMR(90MHz、CDCl3)による測定の結果は、δ:0.0(s、18H、トリメチルシリル);1.02、1.12(s、12H、ジメチルシリレン);2.51(dd、4H、メチレン);7.1−7.6(m,8H,Ar−H)であった。
(製造例2)
加熱乾燥した10Lオートクレーブに、出光興産(株)製「リニアレン2024」(主として炭素数20、22、24のα−オレフィンの混合体)を2500mL、ヘプタン2500mLを入れ、80℃まで昇温した後、トリイソブチルアルミニウム6.0ミリモル、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドを20マイクロモル、ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート100マイクロモルを加え、水素0.8MPa導入し、5時間重合した。
重合反応終了後、反応物をアセトンにて沈殿させた後、加熱、減圧下、乾燥処理することにより、高級α−オレフィン共重合体2100gを得た。
(製造例3)
重合反応終了後、反応物をアセトンにて沈殿させた後、加熱、減圧下、乾燥処理することにより、高級α−オレフィン共重合体2100gを得た。
(製造例3)
加熱乾燥した1Lオートクレーブに、ヘプタン200mL、1−ヘキサデセン48mL、1−オクタデセン152mL、トリイソブチルアルミニウム1.0ミリモル、メチルアルミノキサン1.0ミリモルを加え、更に水素を0.03MPa導入した。
攪拌しながら温度を60℃にした後、製造例1で得られた(1,2‘−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドを1.0マイクロモル加え、60分間重合した。
重合反応終了後、アセトンで再沈操作を繰り返すことにより、反応物を析出させ、減圧下、加熱乾燥することにより、高級α−オレフィン重合体50gを得た。
得られた重合体の物性測定結果を表1に示す。
攪拌しながら温度を60℃にした後、製造例1で得られた(1,2‘−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドを1.0マイクロモル加え、60分間重合した。
重合反応終了後、アセトンで再沈操作を繰り返すことにより、反応物を析出させ、減圧下、加熱乾燥することにより、高級α−オレフィン重合体50gを得た。
得られた重合体の物性測定結果を表1に示す。
実施例1〜4、比較例1
表2に示す組成で、プラストミル(東洋精機製作所製)にて8分間、190℃にて混練することにより配合物を得た。この配合物を透明ポリエステルシート(厚み100μm)とテフロン(登録商標)シートの間に挟み、190℃でプレス成形を行った。冷却後にテフロン(登録商標)シートをはずし、その面と透明発熱体(坂口電熱社製クリアーヒーター)が合うようにし、透明発熱体を140℃に発熱させることで密着させた。
なお、透明発熱体には、温度コントローラー(坂口電熱社製ボルサット)を接続し、ポリエステルシート面には表面温度計を添付した。
また、透明性の評価は、以下のようにして実施した。すなわち、室温でのヘイズをヘイズメーターにより測定(H2)し、温度コントローラーにて各々所定の温度(AT)に設定しその温度に達した時のヘイズをヘイズメーターにより測定(H1)した。なお、透明ポリエステルシートと透明発熱体を重ねたときのヘイズは7であった。
表2に示す組成で、プラストミル(東洋精機製作所製)にて8分間、190℃にて混練することにより配合物を得た。この配合物を透明ポリエステルシート(厚み100μm)とテフロン(登録商標)シートの間に挟み、190℃でプレス成形を行った。冷却後にテフロン(登録商標)シートをはずし、その面と透明発熱体(坂口電熱社製クリアーヒーター)が合うようにし、透明発熱体を140℃に発熱させることで密着させた。
なお、透明発熱体には、温度コントローラー(坂口電熱社製ボルサット)を接続し、ポリエステルシート面には表面温度計を添付した。
また、透明性の評価は、以下のようにして実施した。すなわち、室温でのヘイズをヘイズメーターにより測定(H2)し、温度コントローラーにて各々所定の温度(AT)に設定しその温度に達した時のヘイズをヘイズメーターにより測定(H1)した。なお、透明ポリエステルシートと透明発熱体を重ねたときのヘイズは7であった。
(密度866kg/m3、MI:13.0 g/10min)
*2)ダウ社製 エチレン系エラストマー エンゲージ8150
(密度870kg/m3、MI:0.5 g/10min)
表2から、実施例1〜4では、室温から所定温度(AT)にすることで、素早く光の透過性が変化することがわかる。また、比較例1では、透過性の変化が小さいことがわかる。
本発明の透過率可変電子デバイスは、入射光量に対して透過光量を制御できるので、光エネルギーを制御できる分野に最適である。一例として建築物の窓ガラスや乗り物用の窓ガラスに付与することによって光エネルギーを最適利用ができる。また、表示板、玩具、さらには、感温性ガスバリア性フィルムなどとして好適である。
1、10、15 透過率可変電子デバイス
2、5 透明基材
3 透明発熱体
4 感温性樹脂膜
11 フィルタ
21 透過率制御ダイヤル
22 制御電圧発生器
31 温度検出器
32 温度変動用制御電圧発生器
33 制御信号加算器
34 温度情報
35 温度信号
36、37 制御信号
2、5 透明基材
3 透明発熱体
4 感温性樹脂膜
11 フィルタ
21 透過率制御ダイヤル
22 制御電圧発生器
31 温度検出器
32 温度変動用制御電圧発生器
33 制御信号加算器
34 温度情報
35 温度信号
36、37 制御信号
Claims (10)
- 側鎖結晶性ポリマーを含む感温性樹脂組成物を用いた透過率可変電子デバイスであって、透明基板Aと、前記透明基板Aの一方の面に密着して設けられた透明発熱体と、前記透明発熱体の他方の面に密着して設けられた前記感温性樹脂組成物を用いて形成されてなる感温性樹脂膜と、前記感温性樹脂膜の他方の面に密着し、かつ、前記透明基板Aに対向して設けられた透明基板Bとを備えることを特徴とする透過率可変電子デバイス。
- 側鎖結晶性ポリマーを含む感温性樹脂組成物を用いた透過率可変電子デバイスであって、透明基板Aと、前記透明基板Aの一方の面に密着して設けられた、顔料及び/又は染料を用いて構成されるフィルタと、前記フィルタの他方の面に密着して設けられた透明発熱体と、前記透明発熱体の他方の面に密着して設けられた前記感温性樹脂組成物を用いて形成されてなる感温性樹脂膜と、前記感温性樹脂膜の他方の面に密着し、かつ、前記透明基板Aに対向して設けられた透明基板Bとを備えることを特徴とする透過率可変電子デバイス。
- 側鎖結晶性ポリマーを含む感温性樹脂組成物を用いた透過率可変電子デバイスであって、透明基板Aと、前記透明基板Aの一方の面に密着して設けられた透明発熱体と、前記透明発熱体の他方の面に密着して設けられた前記感温性樹脂組成物を用いて形成されてなる感温性樹脂膜と、前記感温性樹脂膜の他方の面に密着して設けられた、顔料及び/又は染料を用いて構成されるフィルタと、前記フィルタの他方の面に密着して設けられ、かつ前記透明基板Aに対向して設けられた透明基板Bとを備えることを特徴とする透過率可変電子デバイス。
- 前記フィルタの塗布パターンが任意な形状で形成されている請求項2又は3に記載の透過率可変電子デバイス。
- さらに透過率制御指示手段と、前記指示手段からの信号を受けて制御電圧を発生させる制御電圧発生器とを設けた請求項1〜4のいずれかに記載の透過率可変電子デバイス。
- さらに前記感温性樹脂膜、又は前記透明発熱体の温度検出手段と、前記温度検出手段からの信号を受けて変動用制御電圧を発生する変動用制御電圧手段と、前記指示手段からの信号と変動用制御電圧手段からの信号から制御信号を加減算する制御信号加減算手段とを設けた請求項5に記載の透過率可変電子デバイス。
- 前記結晶性ポリマーを含む感温性樹脂組成物が、側鎖結晶性ポリマー3〜60質量%と、オレフィン系エラストマー97〜40質量%とからなる組合せを含む請求項1〜6のいずれかに記載の透過率可変電子デバイス。
- 側鎖結晶性ポリマーが、以下の(1)〜(6)の少なくともひとつを満足する請求項1〜7のいずれかに記載の透過率可変電子デバイス。
(1)融点(Tm)が1つ存在し,かつ100℃以下である。
(2)広角X線散乱強度分布における、15deg<2θ<30degに観測される側鎖結晶化に由来する、単一のピークX1が観測される。
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)法により測定したポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が1,000〜10,000,000の範囲にある。
(4)ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)法により測定したポリスチレン換算分子量において、重量平均分子量/数平均分子量 (Mw/Mn)が5.0以下である。
(5)立体規則性指標値M2が30モル%以上である。
(6)示差走査型熱量計(DSC)による融解吸熱カーブから観測される半値幅(Wm)が10℃以下である。 - 前記側鎖結晶性ポリマーが、炭素数10以上のα−オレフィン重合体、又は炭素数10以上のα−オレフィン単位50モル%以上と他のオレフィン単位一種以上50モル%以下との共重合体である請求項1〜8のいずれかに記載の透過率可変電子デバイス。
- 前記オレフィン系エラストマーが、以下のひとつを満足するものである請求項7〜9のいずれかに記載の透過率可変電子デバイス。
(a)エチレン、プロピレン、及び1−ブテンから選ばれる少なくとも1種のモノマーと他のα−オレフィンとの共重合体からなるエラストマー。
(b)密度が910(kg/m3)以下であるエラストマー。
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WO2021145422A1 (ja) * | 2020-01-16 | 2021-07-22 | ニッタ株式会社 | 感温性微粒子 |
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