JP2009162193A - 内燃機関の軸配置構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】内燃機関を小型化してマスの集中を図るとともに、内燃機関の重心を低く抑えることができる内燃機関の軸配置構造を供する。
【解決手段】変速機Mをクランク軸20の垂直方向側方に備え、シリンダ12aを変速機M側に傾斜させて斜め上方に起立させた内燃機関Eにおいて、クランク軸20に関して変速機Mとは反対側であってクランク軸20より上方位置にバランサ軸55が配置され、バランサ軸55のバランスウエイト55wの回転軌跡の上部がシリンダ12aの最下端よりも上方に位置する内燃機関の軸配置構造。
【選択図】図5

Description

本発明は、内燃機関の軸配置構造に関する。
車幅方向に指向したクランク軸の後方に変速機が配設された自動二輪車に搭載される内燃機関であって、クランク軸の上方に起立するシリンダが変速機側に後傾した内燃機関が、特許文献1等に開示されている。
特開2006−1507号公報
同特許文献1に開示された内燃機関には、クランク軸の前方にクランク軸と略同じ高さでバランサ軸が配置されており、バランサウエイトの回転軌跡はシリンダより下方に位置している。
また、クランク軸より後方の変速機の入力軸は多板クラッチを軸支してクランク軸より高い位置にあり、同入力軸より後方の出力軸はクランク軸と略同じ高さ位置にある。
バランサ軸がクランク軸と同じ高さで前方に位置するので、内燃機関は前後長が長くなって大型化していた。
また、クランク軸は、バランサ軸とともに比較的高い位置に配置され、内燃機関の重心が高かった。
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、内燃機関を小型化してマスの集中を図るとともに、内燃機関の重心を低く抑えることができる内燃機関の軸配置構造を供する点にある。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、変速機をクランク軸の垂直方向側方に備え、シリンダを前記変速機側に傾斜させて斜め上方に起立させた内燃機関において、クランク軸に関して前記変速機とは反対側であってクランク軸より上方位置にバランサ軸が配置され、バランサ軸のバランスウエイトの回転軌跡の上部がシリンダの最下端よりも上方に位置する内燃機関の軸配置構造とした。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の内燃機関の軸配置構造において、前記変速機における入力軸に前記クランク軸の回転を伝達制御する変速制御手段が軸支され、前記変速機における前記入力軸から動力伝達される出力軸が、前記入力軸に関して前記クランク軸と反対側で前記入力軸より上方に配置され、前記変速制御手段がシリンダの下端と前記入力軸の軸方向視で一部重なることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の内燃機関の軸配置構造において、前記内燃機関が変速機を後方に向けて自動二輪車に搭載され、前記クランク軸と略同じ高さに前記入力軸が配置され、後輪を支持するリヤフォークの枢支軸と略同じ高さに前記出力軸が配置されることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項記載の内燃機関の軸配置構造において、前記バランサ軸は、そのバランスウエイトが前記クランク軸の複数のクランクウエブの間を回転する位置に配置されることを特徴とする。
請求項1記載の内燃機関の軸配置構造によれば、シリンダを変速機側に傾斜させた内燃機関のクランク軸に関して変速機とは反対側に配置されるバランサ軸が、クランク軸より上方位置であって、バランスウエイトの回転軌跡の上部がシリンダの最下端よりも上方に位置するように配置されるので、クランク軸の斜め上方にバランサ軸があってクランク軸とバランサ軸との水平方向距離を小さくすることができ、内燃機関の小型化とマスの集中を図ることができるとともに、クランク軸はバランサ軸より下方位置にあって比較的低い位置に配置され、内燃機関の重心を低く抑えることができる。
請求項2記載の内燃機関の軸配置構造によれば、入力軸から動力伝達される出力軸が、入力軸に関してクランク軸と反対側で入力軸より上方に配置され、出力軸より下方に位置する入力軸にクランク軸の回転を伝達制御する変速クラッチ等の変速制御手段がシリンダの下端と入力軸の軸方向視で一部重なるように軸支されるので、内燃機関の上下幅を抑えてさらに小型化することができる。
請求項3記載の内燃機関の軸配置構造によれば、クランク軸と略同じ高さに入力軸が配置され、後輪を支持するリヤフォークの枢支軸と略同じ高さに出力軸が配置されるので、リヤフォークの枢支軸より下方に自身重量物であるクランク軸や変速制御手段などの重量物を軸支する入力軸が配置され、内燃機関のさらなる低重心化を図ることができる。
請求項4記載の内燃機関の軸配置構造によれば、クランク軸の複数のクランクウエブの間をバランスウエイトが回転する位置に、バランサ軸が配置されるので、クランク軸とバランサ軸を極力近づけてクランク室を小型化しながら、バランスウエイトを高い位置に配置してクランク室内でのオイルの攪拌を抑えてオイル内への気泡の混入を防止するとともに、バランサ軸の回転抵抗を抑制することができる。
以下、本発明に係る一実施の形態について図1ないし図7に基づいて説明する。
本実施の形態に係る内燃機関Eは、内燃機関Eの後方に変速機Mを一体に備えて自動二輪車に搭載される。
なお、本実施の形態において、前後左右は、車両を基準としたときの前後左右に一致するものとする。
自動二輪車の一部省略した部分側面図である図1および同平面図である図2を参照して、車体フレーム1のヘッドパイプ2から2股に分かれて後方へ斜め下向きに延出したメインフレーム3が後部を下向きに屈曲させてピボットプレート3pを形成しており、同左右一対のメインフレーム3の中央よりヘッドパイプ2寄り位置から垂設されたブラケット3bの下端の支軸4aとピボットプレート3pの上下部位の支軸4b,4cの3支軸4a,4b,4cで内燃機関Eは、メインフレーム3に懸架される。
左右一対のピボットプレート3p,3pの中央高さ位置に架設されたピボット軸5に、図示しない後輪を支持するリヤフォーク6が揺動自在に前端を軸支されている。
内燃機関Eは、水冷式の単気筒4ストローク内燃機関であり、図5を参照して、車両の車幅方向でもある左右方向に指向してクランク軸20を軸支するクランクケース11は、クランク軸20が配置されるクランク室Ccを形成するとともに、クランク室Ccの後方には垂直な仕切壁11mで仕切られて変速機Mを収容するミッション室Cmが形成され、クランク室Ccの下方には略水平な仕切壁11oで仕切られてオイルを貯留するオイルパン室Coが一体に形成される構造をしている。
単気筒4ストローク内燃機関Eは、上記クランクケース11のクランク室Ccの上に、1本のシリンダ12aを有するシリンダブロック12と、シリンダブロック12の上部にガスケットを介してヘッドボルトh1,h2により結合されるシリンダヘッド13と、シリンダヘッド13の上部に結合されるシリンダヘッドカバー14とから構成される機関本体を備える。
クランクケース11の上に重ねられるシリンダブロック12,シリンダヘッド13,シリンダヘッドカバー14は、クランクケース11から若干後傾した姿勢で上方に延出している(図1のクランク軸を通る垂直線Vおよび水平線Hとシリンダ軸線Lcを参照)。
このようにシリンダが後傾姿勢にある内燃機関Eのクランクケース11の前半上部がクランク室Ccであり、後半部がミッション室Cmとなっている。
なお、クランク室Ccの下方のオイルパン室Coは、クランクケース11の下方に延出して一体に形成されたオイルパン15の内側の室である。
メインフレーム3に支持された内燃機関Eは、メインフレーム3より下方で、ブラケット3bとピボットプレート3pとの間に懸架され、下方のクランクケース11から後傾して上方に延出したシリンダブロック12,シリンダヘッド13,シリンダヘッドカバー14のうちシリンダヘッド13とシリンダヘッドカバー14が、左右一対のメインフレーム3,3間に位置している。
クランクケース11のミッション室Cmには、変速機Mのメイン軸21とカウンタ軸22とが、クランク軸20と平行に左右水平方向に指向して配設されており、カウンタ軸22はクランクケース11を左方に貫通して外部に突出して出力軸となっており、突出した左端に駆動チェーンスプロケット23が嵌着されている。
カウンタ軸22はリヤフォーク6を軸支するピボット軸(枢支軸)5の前方に同じ高さで近接した位置にあり、カウンタ軸22に嵌着された駆動チェーンスプロケット23に巻き掛けられる駆動チェーン24が、リヤフォーク6の後端に設けられる図示されない被動チェーンスプロケットに架渡されてチェーン伝達機構が構成され後輪側に動力が伝達される。
なお、図4の内燃機関の右側面図には、クランク軸20,バランサ軸55,メイン軸21,カウンタ軸22,ピボット軸5の各回転中心20c,55c,21c,22c,5cを黒点で示している。
シリンダヘッド13は、前面から斜め上方に吸気ポート13iの延長である吸気通路16iが延出し、同吸気通路16iにスロットルボディ17が左右一対のメインフレーム3,3間で連結されており、スロットルボディ17の吸気通路上流側は開放されている。
また、若干後傾したシリンダヘッド13の後面からは、排気ポート13eの延長である排気通路16eが後方に略水平に延出しており、同排気通路16eに排気管18が左右一対のメインフレーム3,3間で連結されている。
排気通路17の連結出口は車体の右寄りに位置して、図2に示すように排気管18の上流連結端18aは、車体の左右方向中心軸Lbに対して右寄りの位置(内燃機関Eのシリンダ軸線Lcの存在する左右方向位置)で排気通路16eに連結されている。
このように後傾したシリンダヘッド13の後面の排気通路17に連結されて略水平に後方へ延出した排気管18は、クランクケース11の後半部の変速機Mが収納されるミッション室Cmの上方空間を左方向に湾曲し徐々に下降しながら前方に向きを変えて、左側のメインフレーム3の下を通り、内燃機関Eのシリンダブロック12の左側面に沿って前方斜め下向きに延び、クランクケース11の前面に回り込んだ後に急角度に下方に延びてクランクケース11の下端(オイルパン15の下端)に至ると、車体の左右方向中央でオイルパン15の下端を後方に回り込んでマフラー19に連結されている(図1,図2参照)。
クランクケース11の下面は、オイルパン15の前部が下方に突出して最低位置にあり、後方に行くに従い上昇する傾斜面をなし、後部のミッション室11の下方では概ね水平となっており、排気管18に連結されたマフラー19はこのクランクケース11の下面に沿って後方に延びている。
車体フレーム1は、各部に分割された合成樹脂製のカバー部材を連結した車体カバーにより全体が覆われており、特に内燃機関Eの左右側方はボディカバー7で覆われている。
左右のボディカバー7は、下部に行くにしたがい互いに接近して、最下端が互いに連結された先細形状を形成しており、前記排気管18およびマフラー19が下方をボディカバー7で覆われて保護されている(図7,図8参照)。
シリンダブロック12の下部に結合されるクランクケース11は、シリンダ軸線Lcを含むと共にクランク軸20と直交する平面で左右に2分割された1対のケースである左クランクケース11Lと右クランクケース11Rとが、互いの合せ面11Ls,11Rs(図5,図9も参照)が合わせられた状態で、ボルトにより結合されて構成される。
左右クランクケース11L,11Rが合わされて形成されるクランク室Ccに左右方向に指向して回転自在に軸支されるクランク軸20は、クランクピン20pで連結された左右クランクウエブ20w,20wから左右に軸体20L,20Rが同軸に延びた形状の一体に成型されたものである。
かかるクランク軸20における左右軸体20L,20Rのクランクウエブ20w,20wと隣接する部分が軸受されるジャーナル部20Lj,20Rjである。
左右クランクケース11L,11Rの主軸受部11Lb,11Rbに挟まれた空間がクランク室Ccで、左右クランクウエブ20w,20wが収容され、その左右のジャーナル部20Lj,20Rjがそれぞれメタル軸受25,25を介して主軸受部11Lb,11Rbに軸支される。
左右クランクケース11L,11Rの合体でクランク室Ccの上方に形成された円開口に、シリンダブロック12のシリンダ12aの下部が嵌入され、シリンダ12aのシリンダボア12b内にピストン30が往復摺動自在に嵌合される。
ピストン30のピストン頂部31の裏面に突出された一対のピンボス34,34間にピストンピン38が架設され、同ピストンピン38に小端部が軸支されクランク軸20のクランクピン20pに大端部が大端メタル39aを介して軸支されたコンロッド39によりピストン30とクラン軸20が連接されてクランク機構が構成されている。
左クランクケース11Lは左側主軸受部11Lbより左側にチェーン室11ccが形成され、クランク軸20の左側主軸受部11Lbより左方に突出した左軸体20Lは、チェーン室11ccを貫通し、さらに左クランクケース11Lの左側壁の開口を貫通しており、チェーン室11ccに相当する部分にはオイルポンプ駆動スプロケット20osと駆動カムチェーンスプロケット20csが形成され、左端にはACジェネレータ26のアウタロータ26rが嵌着されている。
左クランクケース11Lの左側壁におけるクランク室Ccおよびオイルパン15の側方の開口を塞ぐ左サイドカバー40に、ACジェネレータ26のコイルが巻回されるインナステータ26sが固定されて、その周囲に磁石を保持したアウタロータ26rが回転するACジェネレータ26が構成される。
左サイドカバー40は椀状をして、その底面中央から突出した円筒部41がクランク軸20の左端部に被せられて、同円筒部41にボルト26bによりインナステータ26sの固定子鉄心が固着される。
他方、クランク軸20における右クランクケース11Rの右側主軸受部11Rbより右方に突出した右軸体20Rには、主軸受部11Rb寄りからバランサ駆動ギヤ27aと主駆動ギヤ28aが嵌合されてワッシャ29wを介してフランジボルト29により固着されている(図6,図7参照)。
バランサ駆動ギヤ27aは、左クランクケース11Lおよび右クランクケース11Rに1対の軸受55b,55bを介して回転可能に支持されるバランサ軸55の右軸端部に設けられるバランサ被動ギヤ27bに噛合する(図7参照)。
なお、バランサ軸55の右軸端部には、バランサ被動ギヤ27bのほかに水ポンプ駆動ギヤ59aが嵌着されている。
左右クランクウエブ20w,20w間を回転するバランスウエイト55wを有するバランサ軸55は、クランク軸20の前方の斜め上方位置に配置され、バランサ駆動ギヤ27aとバランサ被動ギヤ27bの噛合を介してクランク軸20により該クランク軸20と等速で逆方向に回転駆動されて、ピストン30の往復運動により発生する1次振動を低減する。
クランク室Ccの後方のミッション室Cmに配設される変速機Mは、メインギヤ群21gおよびカウンタギヤ群22gがそれぞれ設けられた前記メイン軸21およびカウンタ軸22と、変速操作機構により操作されるシフトドラム53およびシフトフォーク54a,54b,54cを有する変速切換え機構52とを備える(図4参照)。
図4を参照して、右クランクケース11Rの上壁部の所定箇所にオイル注入口110が形成されており、同オイル注入口110の下方にメインギヤ群21gとカウンタギヤ群22gが噛合する部位があり、よって、オイル注入口110からオイルを注入してメンテナンスを終えた直後であってもメインギヤ群21gとカウンタギヤ群22gの噛合いの潤滑を良好にすることができる。
メイン軸21は、クランク軸20と略同じ上下位置にあって、左右クランクケース11L,11Rに軸受21b,21bを介して回転可能に軸支され、右側軸受21bより右方に突出した部分に変速制御手段としての多板摩擦式の変速クラッチ50が配置され、同変速クラッチ50に設けられる主被動ギヤ28bが前記主駆動ギヤ28aと噛合して1次減速機構が構成されている。
変速クラッチ50は、多数のクラッチ板50pを備え、クラッチ操作機構により操作されて変速機Mへのクランク軸20の動力の伝達および遮断を行う。
カウンタ軸22は、メイン軸21の後方の斜め上方に位置して、左右クランクケース11L,11Rに軸受22b,22bを介して回転可能に軸支され、左側軸受22bより外部に突出した左端に前記チェーン駆動スプロケット23が嵌着される。
したがって、内燃機関Eの動力は、クランク軸20から、1次減速機構28a,28bおよびクラッチ45を介して変速機Mに伝達され、変速機Mのメインギヤ群21gとカウンタギヤ群22gとの噛合において変速された出力が、カウンタ軸22からチェーン伝達機構を介して図示されないチェーン被動スプロケットに伝達され、さらに2次減速機構(図示されず)を介して後輪に伝達される。
右クランクケース11Rの右側面には、オイルパン15を除くクランク室Ccと変速室Cmの側方に右サイドカバー45が被せられる。
右サイドカバー45は、前記変速クラッチ50の周囲を覆い開口する円筒部45a、クランク軸20の軸方向箇所に円開口45bが形成されるとともに、円開口45bの上方に水ポンプ56のポンプボディ45cが形成されており、円筒部45aの開口にはクラッチカバー46が被せられ、円開口45bには蓋部材47が嵌合され、水ポンプボディ45cには水ポンプカバー48が被せられる。
なお、水ポンプ56は、水ポンプ駆動軸57が左右方向に指向して水ポンプボディ45cおよび右クランクケース11Rに回転自在に軸支され、同水ポンプ駆動軸57の右端に嵌着されたインペラ58が水ポンプカバー48に覆われる。
水ポンプ駆動軸56aには水ポンプ被動ギヤ59bが嵌着されていて、同水ポンプ被動ギヤ59bはより前方の前記バランサ軸55の右軸端部に嵌着された水ポンプ駆動ギヤ59aと噛合し、バランサ軸55の回転動力が水ポンプ56の駆動に伝達される。
内燃機関Eは、DOHC型の動弁機構を備え、図5および図6を参照して、シリンダヘッド13には、シリンダ12aに対応して、シリンダ軸線方向でピストン30に対向して燃焼室60が構成され、該燃焼室60に前記吸気ポート13iが前半部左右に1対開口し、前記排気ポート13eが後半部左右に1対開口しており、燃焼室60の天井壁中央には点火栓61が先端を燃焼室60に臨ませて取り付けられる。
シリンダヘッド3に一体に嵌着された弁ガイド64i,64eにそれぞれ摺動可能に支持される吸気弁62および排気弁63は、内燃機関Eに備えられる動弁装置65により駆動されて、吸気ポート13iの吸気開口および排気ポート27の排気開口をクランク軸20の回転に同期して開閉する。
動弁装置65は、シリンダヘッド13とシリンダヘッドカバー14により形成される動弁室14v内に設けられ、左右1対の吸気弁62の上を左右方向に指向して配設された吸気カム軸66と左右1対の排気弁63の上を左右方向に指向して配設された排気カム軸67が、シリンダヘッド13とカムホルダ68i,68eに挟まれるようにして回転自在に軸支されている。
吸気カム軸66のカムロブ66cが弁ばね62sにより上方に付勢された吸気弁62の上端に被せられたバルブリフタ62lの上面に接し、吸気カム軸66と一体のカムロブ66cの回転により吸気弁62が所要のタイミングで開閉駆動し、同様に排気カム軸67のカムロブ67cが弁ばね63sにより上方に付勢された排気弁63の上端に被せられたバルブリフタ63lの上面に接し、排気カム軸67と一体のカムロブ67cの回転により排気弁63が所要のタイミングで開閉駆動する。
吸気カム軸66と排気カム軸67は、それぞれの左軸端部に被動カムチェーンスプロケット66s,67sが嵌着されて、この2つの被動カムチェーンスプロケット66s,67sと前記クランク軸20の左軸体20Lに形成された駆動カムチェーンスプロケット20csとの間にカムチェーン69が架渡され(図6参照)、クランク軸20の回転動力がカムチェーン69を介して吸気カム軸66と排気カム軸67の回転に伝達され、クランク軸20に同期して吸気カム軸66と排気カム軸67が回転して吸気弁62と排気弁63が開閉駆動する。
内燃機関Eの潤滑系について部分的に説明すると、図5を参照して、クランクケース11のクランク室Ccと下方のオイルパン室Coとを仕切る仕切壁11oは、クランクウエブ20wの回転軌跡に沿ってクランク室Ccの下半部を略円弧状に仕切っており、その後部にトロコイド型のスカベンジポンプ70のロータ収容室71が形成されている。
ロータ収容室71は、左クランクケース11Lに合せ面11Lsに臨んで凹出形成される左ロータ収容凹部71Lと右クランクケース11Rに合せ面11Rsに臨んで凹出形成される右ロータ収容凹部71Rとがポンプ駆動軸72の軸方向に連通して構成されている(図7参照)。
本スカベンジポンプ70の左右ロータ収容凹部71L,71Rには、それぞれ左右アウタロータ73L,73Rが収容され、左右アウタロータ73L,73Rの内側にそれぞれ左右インナロータ74L,74Rが収容されており、左右インナロータ74L,74Rは共通のポンプ駆動軸72に嵌着されて一体に回動する。
このロータ収容室71から前方に仕切壁11oの上側に仕切壁11oに沿って延びる水平壁11hにより仕切壁11oとの間に吸入油路A1が形成され、ロータ収容室71の上壁部に吐出油口A2が上方に向けて開口している。
スカベンジポンプ70は、オイルパン室Coの上部にあって、吐出油口A2はオイルパン室Coの後方の上部空間に開口している。
この左右クランクケース11L,11Rの両合せ面11Ls,11Rsに構成されるスカベンジポンプ70の左方にトロコイド型のフィードポンプ80が、左クランクケース11Lにロータ収容室81を形成して設けられている(図7参照)。
ロータ収容室81の左側開口を蓋部材82が閉塞して内部にアウタロータ83とインナロータ84を収容する。
このフィードポンプ80と前記スカベンジポンプ70は、図7に示すように、ポンプ駆動軸72を共通とし、同ポンプ駆動軸72にフィードポンプ80のインナロータ84が嵌着されるとともに、スカベンジポンプ70の左右インナロータ74L,74Rが嵌着されて、一体に回動する。
ポンプ駆動軸72の蓋部材82より左方に突出した端部にオイルポンプ被動スプロケット86sが嵌着され、同オイルポンプ被動スプロケット86sと前記クランク軸20に形成されたオイルポンプ駆動スプロケット20osとの間にオイルポンプ駆動チェーン87が架渡され、クランク軸20の回転動力がスカベンジポンプ70とフィードポンプ80の駆動に伝達される。
図3を参照して、フィードポンプ80のロータ収容室81は、その吸入ポートから前方に通路壁81aが延出しており、その前端開口に吸油管91の上端が連結される。
吸油管91は、連結部からオイルパン室Co内を斜め下方に直線的に延び、下端に設けられたオイルストレーナ90がオイルパン室Coの前部の最低底面の近傍に配置されている。
したがって、オイルパン15のオイルパン室Coに貯留されたオイルは、フィードポンプ80の駆動によりオイルストレーナ90で浄化されて吸油管91内の吸入油路B1を吸い上げられ、通路壁81a内の吸入ケース油路B2を通って吸入される。
左クランクケース11Lにおけるフィードポンプ80のロータ収容室81の吐出ポートからは、後方斜め下向きに吐出ケース油路B3が形成され、同吐出ケース油路B3の後部から左クランクケース11Lの周壁に沿って左方に屈曲して吐出ケース油路B4が形成されている(図7参照)。
なお、吐出ケース油路B3の途中にはリリーフ弁85が設けられており、吐出油圧が設定圧を超えたときは吐出油の一部をオイルパン室Coに戻すようになっている。
左クランクケース11Lに左方から被せられる左サイドカバー40には、その合せ面で前記吐出ケース油路B4に連通する吐出ケース油路B5が、オイルフィルタ92まで延出形成されている(図3,図7参照)。
オイルフィルタ92は、左クランクケース11Lにおけるクランク軸20の左端部を覆う円筒部41と後端の吐出ケース油路B4に対応する部分との間に有底円筒状のフィルタハウジング93を形成して設けられる。
オイルフィルタ92は、図3の側面視で、フィードポンプ80(およびスカベンジポンプ70)と重なるとともに、変速機Mのメイン軸21の左端に支持される変速クラッチ50とも重なる。
図7を参照して、フィルタエレメント92eを収容するフィルタハウジング93の左方開口に嵌挿されるフィルタ蓋部材94に、オイルフィルタ92から流出するオイルを案内する流出ケース油路B6が形成され、同流出ケース油路B6に連通するケース油路B7が、左サイドカバー40に前記クランク軸20の左端部を覆う円筒部41内まで延びて形成されている。
クランク軸20が挿入された有底円筒部41は、クランク軸20の周囲に嵌装されたオイルシール100により底部の内空間41sが油密に仕切られて形成されており、この内空間41sにケース油路B7が連通している(図7参照)。
クランク軸20は、左軸体20L、左クランクウエブ20w、クランクピン20p、右クランクウエブ20w、右ジャーナル部20Rjの各内部に連続した軸油路C1,C2,C3が穿設されており、左軸体20L内部の軸油路C1は、左端が内空間41sに開口し、右側の左ジャーナル部20Ljからは枝軸油路Cjが径方向に分岐して延び左ジャーナル部20Ljの外周面に開口している。
軸油路C2と軸油路C3が交差するクランクピン20pからは枝軸油路Cpが径方向に分岐して延びクランクピン20pの外周面に開口し、軸油路C3の右端の右ジャーナル部20Rjからは径方向に軸油路C4が軸油路C3の延長として延び右ジャーナル部20Rjの外周面に開口している。
右側主軸受部11Rbにおいて、この軸受孔の段差部位に一端を開口したピストンジェット油路J1がシリンダボア12b内に向けて斜め上方に延び、他端開口にジェットノズルN1が装着されている。
該ジェットノズルN1からシリンダボア12b内に向けて斜め上方に噴射され(図5,図6参照)、シリンダボア12b内を往復摺動するピストン30の裏面にオイルが当たり飛散してピストン30を裏面から冷却する。
一方で、図3を参照して、左サイドカバー40のクランク軸20の左端が挿入される内空間41sから左サイドカバー40の側壁内を後方斜め上向きにケース油路D1が延び、次いで右方向に屈曲したケース油路D2が左クランクケース11Lの左側主軸受部11Lbのピストンジェット油路J2に連通している。
ジェットノズルN2は、ピストンジェット油路J2からオイルの供給を受け、シリンダボア12b内に向けて斜め上方にオイルを噴射し(図5,図6参照)、シリンダボア12b内を往復摺動するピストン30の裏面に当てピストン30を裏面から冷却する。
以上のような構造をなす内燃機関Eは、車体幅方向(左右方向)に指向させたクランク軸20の後方に変速機Mが設けられ、クランクケース11から上方に突出するシリンダ12aが幾らか後方に傾斜した後傾シリンダである。
そして、クランク軸20に関して後方の変速機Mとは反対側の前方に配置されるバランサ軸55は、図5に図示するように、クランク軸20より上方位置に位置している。
図5に、バランサ軸55のバランスウエイト55wの回転軌跡Tbを2点鎖線の円で示すとともに、後傾したシリンダ12aの最下端の上下位置Lsを2点鎖線の水平直線で示す。
バランサ軸55のバランスウエイト55wの回転軌跡Tbの上部がシリンダ12aの最下端の上下位置Lsよりも上方に位置している。
したがって、クランク軸20の斜め上方にバランサ軸55があってクランク軸20とバランサ軸55との水平方向距離を小さくすることができ、内燃機関Eの小型化およびマスの集中を図ることができるとともに、クランク軸20はバランサ軸55より下方位置にあって比較的低い位置に配置され、内燃機関Eの重心を低く抑えることができる。
メイン軸(入力軸)21から動力伝達されるカウンタ軸(出力軸)22が、メイン軸21に関してクランク軸20と反対側でメイン軸21より上方に配置され、図4に示すように、カウンタ軸22より下方に位置するメイン軸21にクランク軸20の回転を伝達制御する変速クラッチ50がシリンダ12aの下端と軸方向視で一部重なるように軸支されるので、内燃機関Eの上下幅を抑えてさらに小型化することができる。
図1を参照して、クランク軸20と略同じ高さに変速機Mの入力軸であるメイン軸21が配置され、後輪を支持するリヤフォーク6のピボット軸5と略同じ高さに出力軸であるカウンタ軸22が配置される。
図1を参照して、カウンタ軸22と略同じ高さにあるピボット軸5とを含む平面Sを想定すると、この平面Sより下方にクランク軸20とメイン軸21が配置される。
すなわち、リヤフォーク6のピボット軸5より下方に、ACジェネレータ26を備えるとともにそれ自体重量物であるクランク軸20や変速クラッチ50などの重量物を軸支するメイン軸21が配置され、内燃機関Eのさらなる低重心化を図ることができる。
図7に示すように、クランク軸20の2つのクランクウエブ20w,20wの間をバランスウエイト55wが回転する位置に、バランサ軸55が配置されるので、クランク軸20とバランサ軸55を極力近づけてクランク室Ccを小型化しながら、バランスウエイト55wを高い位置に配置してクランク室Cc内でのオイルの攪拌を抑えてオイル内への気泡の混入を防止するとともに、バランサ軸55の回転抵抗を抑制することができる。
図4に示すように、カウンタ軸22上のカウンタギヤ群22gが、シリンダ12aの最下端の上下位置Lsよりも上方にはみ出す位置まで高く配置されているので、メイン軸21より後方に配置されるカウンタ軸22をできるだけ前寄りに位置させて、マスの集中を図ることを可能としている。
また、図4を参照して、バランサ軸55のバランスウエイト55wの回転軌跡が、シリンダ12aの最前端の前後位置Fsに側面視で一部重なる程に、内燃機関Eの前部に位置するバランサ軸55が後方に引っ込んでいて、よって内燃機関Eの前後長を小さく抑えることができる。
本発明の一実施の形態に係る内燃機関を搭載した自動二輪車の一部省略した部分側面図である。 同平面図である。 内燃機関の左側面図である。 内燃機関の一部省略した右側面図である。 内燃機関のクランクケースの合せ面で切断した左断面図である。 図3のVI−VI線断面図である。 図3のVII−VII線断面図である。
符号の説明
E…内燃機関、M…変速機、3…メインフレーム、5…ピボット軸(枢支軸)、6…リヤフォーク、11…クランクケース、Cc…クランク室、Cm…ミッション室、Co…オイルパン室、11…クランクケース、12…シリンダブロック、12a…シリンダ、12b…シリンダボア、13…シリンダヘッド、14…シリンダヘッドカバー、15…オイルパン、
20…クランク軸、20p…クランクピン、20w…クランクウエブ、21…メイン軸、22…カウンタ軸(出力軸)、26…ACジェネレータ、30…ピストン、39…コンロッド、
50…変速クラッチ(変速制御手段)、55…バランサ軸、55w…バランスウエイト。

Claims (4)

  1. 変速機をクランク軸の垂直方向側方に備え、シリンダを前記変速機側に傾斜させて斜め上方に起立させた内燃機関において、
    クランク軸に関して前記変速機とは反対側であってクランク軸より上方位置にバランサ軸が配置され、
    バランサ軸のバランスウエイトの回転軌跡の上部がシリンダの最下端よりも上方に位置することを特徴とする内燃機関の軸配置構造。
  2. 前記変速機における入力軸に前記クランク軸の回転を伝達制御する変速制御手段が軸支され、
    前記変速機における前記入力軸から動力伝達される出力軸が、前記入力軸に関して前記クランク軸と反対側で前記入力軸より上方に配置され、
    前記変速制御手段がシリンダの下端と前記入力軸の軸方向視で一部重なることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の軸配置構造。
  3. 前記内燃機関が変速機を後方に向けて自動二輪車に搭載され、
    前記クランク軸と略同じ高さに前記入力軸が配置され、
    後輪を支持するリヤフォークの枢支軸と略同じ高さに前記出力軸が配置されることを特徴とする請求項2記載の内燃機関の軸配置構造。
  4. 前記バランサ軸は、そのバランスウエイトが前記クランク軸の複数のクランクウエブの間を回転する位置に配置されることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項記載の内燃機関の軸配置構造。
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