・第1実施形態
<全体構成>
図1は、本発明の第1実施形態としての画像形成装置1の概略構成を示す。ここに示す画像形成装置1は、外部のコンピュータから送信された画像情報に基づいて記録媒体の一例である用紙に画像を形成可能なインクジェットプリンタである。このような画像形成装置1は、画像形成部2と、用紙収納部3と、用紙搬送部4と、搬送ユニット移動機構5と、吐出回復装置67と、用紙保持機構8と、排出部9とを備えている(吐出回復装置67については図2を参照)。
画像形成部2は、画像情報に基づいて画像を形成する部分である。この画像形成部2は、複数のインク吐出部すなわち複数のインクジェットヘッド21を備えている。複数のインクジェットヘッド21は、後述する搬送ユニット4Aの搬送ベルト41dの上方に並べて配置されており、画像情報に基づいてインクを用紙に吐出する部分である。各インクジェットヘッド21は、用紙搬送方向に垂直な方向にインクを吐出して画像を形成することが可能なラインタイプのヘッドである。
ここでは、たとえば、4組のインクジェットヘッド(12個のインクジェットヘッド)21が、搬送ユニット4Aの搬送ベルト41dの上方に並べて配置されている。4組のインクジェットヘッド21には、各組ごとに異なる色のインクが収納されている。4組のインクジェットヘッド21それぞれは、インク吐出面22を有している。インク吐出面22には、インクを吐出する複数の孔が設けられている。図1では、インク吐出面22の1つにのみ符号を付して他は省略している。インク吐出面22は、インクジェットヘッド21の下面に設けられている。インク吐出面22は、用紙搬送方向に直交する方向に長い矩形状に形成されている。このインク吐出面22からインクを吐出させることによって、用紙上に画像が形成される。
なお、ここで、本実施形態で用いられる方向を示す文言の定義を示しておく。以下では、「前後方向」という文言が用いられることがある。この文言は、図1において紙面に垂直な方向(用紙搬送方向に直交する方向に対応)を示す文言である。また、以下では、「前方(前側)」という文言および「後方(後側)」という文言が用いられることがある。「前方(前側)」という文言は、図1の紙面に垂直な方向において手前側を示す文言である。「後方(後側)」という文言は、図1の紙面に垂直な方向において奥側を示す文言である。さらに、以下では、「左右方向」という文言および「上下方向」という文言が用いられることがある。「左右方向」という文言は、図1における左右方向(用紙搬送方向に対応)を示す文言である。「上下方向」という文言は、図1における上下方向を意味している。
用紙収納部3は、画像を形成する用紙を収納可能な部分であって、画像形成装置1の下部に配置されている。また、用紙収納部3は、用紙が収納される給紙カセット31と、搬送ユニット4Aに用紙を供給するための用紙供給ローラ32とを有している。
用紙搬送部4は、用紙収納部3から排出部9まで用紙を搬送する部分であって、用紙を搬送する複数のローラ33と用紙を一旦停止させて斜め補正等を行った後再度用紙を搬送ユニット4Aへ送り出すレジストローラ対34と搬送ユニット4Aを主に有する。搬送ユニット4Aは、画像形成部2の下方において画像形成部2に対向して配置されている。この搬送ユニット4Aは、画像形成部2により表面に画像が形成された用紙を排出部9に搬送する。具体的には、搬送ユニット4Aは、画像形成部2のインク吐出面22に対向してインク吐出面22の下方に配置されている。この搬送ユニット4Aは、インク吐出面22に対向する位置に用紙を搬送し、用紙に画像が形成されると、この用紙を排出部9に搬送する。
なお、用紙がレジストローラ34により搬送されると、用紙の先端が、インクジェットヘッド21の右方に配置された光学式の用紙先端検知センサ35により検知される。そして、用紙の先端が用紙先端検知センサ35により検知された時間を基準として、インクジェットヘッド21からインクが吐出され画像形成が行われる。
搬送ユニット4Aは、フレーム本体41aと、ローラ41b,41cと、搬送ベルト41dとを有している。フレーム本体41aは、インクジェットヘッド21の下方に配置されている。ローラ41b,41cは、用紙搬送方向に所定の間隔を隔ててフレーム本体41aに回転自在に装着されている。搬送ベルト41dは、無端ベルトになっており、ローラ41b,41cに架け渡されている。この搬送ベルト41dには、空気が通過可能な複数の孔が設けられている。これらの孔は、例えば直径4mm程度の大きさであり、20mm程度の間隔を隔てて搬送ベルト41d上に一様に設けられている。
なお、ここでは、搬送ベルト41dの上面が、搬送面47として定義されている。この搬送面47は、複数のインクジェットヘッド21のインク吐出面22の下方においてインク吐出面22に対向する。
搬送ユニット移動機構5は、搬送ユニット4Aを上下方向に移動させることにより、搬送面47をインク吐出面22に近接させたり、搬送面47をインク吐出面22から離反させたりするための装置である。搬送ユニット移動機構5は、搬送ユニット4Aの下方に配置されている。この搬送ユニット移動機構5によって、搬送ユニット4Aは、インク吐出面22に近接する方向およびインク吐出面22から離反する方向に移動させられる。
搬送ユニット移動機構5は、搬送ユニット4A移動用の一対の偏心カム5a,5bを有している。一対の偏心カム5a,5bのうち図1において左側に位置する偏心カム5a(以下、「第1偏心カム」と呼ぶ)は、軸部を中心に回転可能に設けられており、図示しない駆動モータによって回転駆動される。第1偏心カム5aには複数のベアリング51aが設けられており、第1偏心カム5aは、ベアリング51aを介して搬送ユニット4Aのフレーム本体41aを支持している。
図1において右側に位置する偏心カム5b(以下、「第2偏心カム」と呼ぶ)は、第1偏心カム5aと同様の構造であり、図1における第1偏心カム5aと左右に鏡像関係になるように配置されている。第2偏心カム5bには複数のベアリング51bが設けられており、第2偏心カム5bは、ベアリング51bを介して搬送ユニット4Aのフレーム本体41aを支持している。図1は、搬送ユニット4Aが上昇した状態を示している。この状態から、一対の偏心カム5a,5bが互いに内側に向けて回転すると、搬送ユニット4Aが下降する(図3を参照)。
搬送ユニット移動機構5は、画像形成部2により用紙上に画像が形成される際に、搬送ユニット4Aを上昇させて図1に示す位置(画像形成位置、近接位置)に移動させる。搬送ユニット4Aが画像形成位置に位置した状態では、インクジェットヘッド21のインク吐出面22と用紙との間の間隔が、印刷に最適な間隙たとえば約1.0mmに設定される。一方で、搬送ユニット移動機構5が、運転停止時にインクジェットヘッド21のインク吐出面22をキャップ部材61によって保護する場合や、搬送ベルト41d上で発生した用紙詰まりの処理を行う場合には、搬送ユニット4Aを下降させて図3に示す位置(離反位置)に移動させる。
吐出回復装置67は、インクを吐出するインク吐出面22を清掃するための装置である。また、吐出回復装置67は、インク吐出面22を埃や乾燥等から保護することにより、インクを吐出するインク吐出面22を清潔に保持するための装置でもある。このような吐出回復装置67は、図2に示すように、吐出回復部6と、回復部移動機構7と、吸引手段(図示しない)と、を備えている。
吐出回復部6は、第1吐出回復部260と、第2吐出回復部60と、第1吐出回復部260および第2吐出回復部60を支持する支持部材62とを有している。
支持部材62は、後述する、第1吐出回復部260の複数のワイパー装着部材262と、第2吐出回復部60の複数のキャップ部材61を支持している。支持部材62は、図2および図3に示すように、4個のワイパー装着部材262と12個のキャップ部材61とを支持する支持部62aと、支持部62aの両側において互いに対向する1対の壁部62bと、1対の壁部62bから外方に延びる1対のフランジ部62cとを有している。
支持部62aは、2層構造になっており、第1支持部162a(図3において上方に位置する支持部)および第2支持部162b(図3において下方に位置する支持部)を有している。第1支持部162aは、第2支持部162bの上方において第2支持部162bに支持されている。具体的には、第1支持部162aと第2支持部162bとは、矩形板状に形成されている。第1支持部162aは、第2支持部162bの上方において、第2支持部162bに設けられた間隔保持部材65を介して、第2支持部162bに支持されている。また、第1支持部162aには、キャップ部材61を装着するための貫通孔262aが形成されている(図5を参照)。
1対の壁部62bは、第2支持部162bの両端部において第2支持部162bと一体に形成されている。また、一対の壁部62bそれぞれには、回転部材たとえばコロ部材64が回転自在に装着されている(図2,図6,図7を参照)。ここでは、2個のコロ部材64が、各壁部62bに所定の間隔を隔てて回転自在に装着されている。1対のフランジ部62cは、回復部移動機構7に係合している(図2,図4,図6,図7を参照)。
第1吐出回復部260は、図8に示すように、清掃部材であるワイパー261と、ワイパー装着部材262(ワイパー用の本体部材)と、インク除去部材263とを有している。
ワイパー261は、インク吐出面22に付着したインクを除去しインク吐出面22を清掃するための部材である。ワイパー261は、ワイパー装着部材262に回転可能に設けられている。ワイパー261は、板状のワイパー本体261aと、ワイパー本体261aの一端部を支持する基端部261bとを有している。ワイパー本体261aは、弾性部材たとえばEPDMを用いて形成されている。ワイパーの基端部261bは、ワイパー装着部材262に回転自在に装着されている。具体的には、ワイパー261は、ワイパー261の基端部261bに設けられた回転軸261cを中心にして、ワイパー装着部材262に回転自在に装着されている。
ワイパー261は、インク吐出面22を清掃するときの清掃位置P1と、清掃位置P1から退避したときの退避位置P2との間で、回転自在になっている。言い換えると、ワイパー261は、インク吐出面22を清掃するときの清掃姿勢と、清掃位置から退避したときの退避姿勢とをとることが可能になっている。このワイパー261は、清掃姿勢と退避姿勢との間で、回転自在になっている。ここでは、ワイパー261が回転軸261cを中心にして回転することにより、ワイパー261の姿勢が、清掃姿勢から退避姿勢、又は退避姿勢から清掃姿勢へと変更される。このように、「清掃位置」および「退避位置」という文言は、「清掃姿勢」および「退避姿勢」という文言に対応している。
また、図9に示すように、ワイパー261の回転軸261cの一端には、ワイパー用のギア261dが回転不能に装着される。このワイパー用のギア261dには、駆動モータ261eに取り付けられた駆動ギア261fが噛合可能になっている。なお、図9では、インク除去部材263を省略している。
ワイパー装着部材262は、支持部材62(162a)に装着されている。ここでは、ワイパー装着部材262は、支持部材62(162a)にネジ止めされ固定されている。ワイパー装着部材262は、一面が開口した箱形に形成されている。具体的には、ワイパー装着部材262は、上面が開口した箱形に形成されている。ワイパー装着部材262は、内部に溜まったインクを外部に排出するためのインク排出孔262aを有している。このインク排出孔262aは、ワイパー装着部材262の底部に形成されている。
また、ワイパー装着部材262は、清掃位置P1においてワイパー261を位置決めするための第1位置決め部材262b、および退避位置P2においてワイパー261を位置決めするための第2位置決め部材262cを有している。第1位置決め部材たとえば第1突起262b、および第2位置決め部材たとえば第2突起262cは、ワイパー装着部材262の内壁に設けられる。ここでは、第1突起262bおよび第2突起262cは、たとえば、ワイパー261の回転軸261cの他端が回転自在に装着される側の内壁に設けられている。第2突起262cは、後述するインク除去部材263と第1突起262bとの間に配置されている。
さらに、ワイパー装着部材262は、図9に示すように、ワイパー261の回転軸261cの一端を挿通するための貫通孔262dを有している。この貫通孔262dは、ワイパー装着部材262の側壁に設けられている。ここでは、この貫通孔262dは、第1突起262bおよび第2突起262cが設けられた側壁に対向する側壁に設けられている。
なお、ワイパー261は、駆動モータ側のワイパー装着部材262の側壁とワイパー261の基端部261bとの間において、回転軸261cに抜け止め用のEリング(図示しない)を取り付けることにより、回転軸261cに位置決めされている。
このような第1吐出回復部260では、ワイパー261の回転軸261cの一端が、ワイパー装着部材262に設けられた貫通孔262dに、ワイパー装着部材262の内部から外部へと挿し通される。そして、ワイパー261の回転軸261cの他端が、貫通孔262dが設けられた側壁に対向する側壁に装着される。このようにして、ワイパー261は、ワイパー装着部材262に対して回転自在に装着される。この状態において、ワイパー装着部材262の外部に突出したワイパー261の回転軸261cの一端に、ワイパー用のギア261dが回転不能に装着される。そして、このワイパー用のギア261dに、駆動モータ261eに取り付けられた駆動ギア261fを噛合させる。これにより、駆動モータ261eが回転すると、この駆動モータ261eの回転に連動して、ワイパー261を回転させることができる。
特に、ここでは、ワイパー261が、インク吐出面22を清掃するときの清掃位置P1と、この清掃位置P1から退避したときの退避位置P2との間で、回転可能になっている。たとえば、ワイパー261が退避位置P2に位置している場合、図9において駆動モータ261eが反時計回りに回転すると、この回転に連動してワイパー261も反時計回りに回転する。すると、ワイパー261の基端部261bが第1突起262bに当接し、ワイパー261が清掃位置P1において位置決めされる。そして、ワイパー261が清掃位置P1において位置決めされると、駆動モータ261eの回転が停止される。
一方で、たとえば、ワイパー261が清掃位置P1に位置している場合、図9において駆動モータ261eが時計回りに回転すると、この回転に連動してワイパー261も時計回りに回転する。すると、ワイパー261の基端部261bが第2突起262cに当接し、ワイパー261が退避位置P2において位置決めされる。そして、ワイパー261が退避位置P2において位置決めされると、駆動モータ261eの回転が停止される。このようにして、ワイパー261は、清掃位置P1と退避位置P2との間で回転可能になっている。
なお、ワイパー261が清掃位置P1から退避位置P2へと回転する場合、ワイパー261は、第1吐出回復部260が移動する方向(ワイピングする方向、各図に示したA方向)に向かって清掃位置P1から退避位置P2へと回転を開始する。
インク除去部材263は、ワイパー261に付着したインクを除去するための部材である。ここでは、たとえば、ワイパー261のインクを吸収可能な、多孔構造を有する吸収体が、インク除去部材263として用いられている。具体的には、ワイパー261のインクを吸収可能なスポンジたとえば発泡ウレタンが、インク除去部材263として用いられている。
インク除去部材263は、図8に示すように、ワイパー装着部材262に装着されている。具体的には、インク除去部材263は、ワイパー装着部材262の底部に装着されている。より具体的には、インク除去部材263は、インク排出孔262aが設けられた部分の底面に当接するように、ワイパー装着部材262に装着されている。言い換えると、インク除去部材263は、ワイパー装着部材262の底面に設けられたインク排出孔262aの開口を覆うように、ワイパー装着部材262の底面に装着されている。
ここでは、インク除去部材263の厚みが、ワイパー261が退避位置に位置した状態におけるワイパー本体261aの下面と、ワイパー261が退避位置に位置した状態におけるワイパー本体261aの下方のワイパー装着部材262の底面との距離より、大きくなるように、設定されている。これにより、インク除去部材263の上面は、ワイパー261が退避位置に位置した状態におけるワイパー本体261aの下面より高くなる。このため、ワイパー261が清掃置位から退避位置P2へと駆動モータ261eにより回転させられると、ワイパー261がインク除去部材263に当接する。そして、ワイパー261に付着したインクが、インク除去部材263により除去される。
第2吐出回復部60は、図2から図3および図5に示すように、画像形成部2のインク吐出面22を保護するためのキャップ部材61と、キャップ部材61を支持部材62から離反する方向に付勢するバネ部材63と、キャップ部材61を支持部材62に係止するための係止部材67とを有している。
キャップ部材61は、インク吐出面22を覆うことによりインク吐出面22を保護するための部材である。このキャップ部材61は、プレート部61aと側壁部61bと軸部61cとを有する。プレート部61aは、インク吐出面22に対向する部分であり、インク吐出面22の形状に対応した矩形板状に形成されている。側壁部61bは、プレート部61aの上面すなわちインク吐出面22と対向する面に立設されている。具体的には、側壁部61bは、プレート部61aの外周に沿って立設されている。側壁部61bは、プレート部61aがインク吐出面22のインク吐出用の孔に接触しないようにプレート部61aの全周にわたって設けられている。軸部61cは、プレート部61aにおいて側壁部61bが形成された面とは反対側の面から外方に突出して設けられている。具体的には、プレート部61aの下面から外方に突出して設けられている。
バネ部材63は、図5に示すように、キャップ部材61と支持部材62(162a)との間に配置される。ここでは、バネ部材63の一端が支持部材62の上面に当接し、バネ部材63の他端がキャップ部材61の下面に当接する。具体的には、バネ部材63の一端が、第1支持部162aの第1面(以下、「第1支持部の上面」と呼ぶ)に当接し、バネ部材63の他端が、プレート部61aにおける側壁部61bが形成された面とは反対側の面(以下、「プレート部の下面」と呼ぶ)に当接する。このようにして、バネ部材63は、キャップ部材61と支持部材62との間で挟持される。
係止部材68は、図5に示すように、支持部材62からのキャップ部材61の抜け出しを防止するための抜け止め部材である。この係止部材68は、キャップ部材61の軸部61cの先端部に装着される。ここでは、抜け止め部材すなわち係止部材68として、たとえばEリングが用いられている。この係止部材68は、支持部材62の貫通孔262aの直径より大きな直径を有している。このため、係止部材68がキャップ部材61の軸部61cの先端部に装着されたときに、支持部材62の貫通孔262aからの軸部61c抜け出しを防止することができる。
このような第2吐出回復部60では、まず、バネ部材63の中心と第1支持部162aの貫通孔262aの中心とが一致するように、バネ部材63の一端が第1支持部162aの上面に当接させられる。次に、キャップ部材61の軸部61cが、バネ部材63の他端側からバネ部材63に挿通される。続いて、プレート部61aの下面が、バネ部材63の他端に当接させられる。そして、第1支持部162aの上面とキャップ部材61のプレート部61aの下面との間でバネ部材63が圧縮された状態で、キャップ部材61の軸部61cの先端部が、第1支持部162aの貫通孔262aに嵌合される。すると、キャップ部材61の軸部61cの先端部が、第1支持部162aの貫通孔262aを通過して、第1支持部162aの第1面と反対側の第2面(以下、「第1支持部の下面」と呼ぶ)から外方に突出する。次に、第1支持部162aの下面側において、係止部材68が、キャップ部材61の軸部61cの先端部に装着される。これにより、キャップ部材61が、支持部材62に装着される。
回復部移動機構7は、吐出回復部6を、搬送面47により定義される面上において用紙搬送方向と直交する方向(A方向、およびA方向とは反対の方向)、および搬送面47により定義される面に直交する方向に移動させるための装置である。具体的には、回復部移動機構7は、吐出回復部6を水平方向(前後方向)および上下方向に移動させるための装置である。
この回復部移動機構7により、吐出回復部6は、キャップ部材61によりインク吐出面22を保護可能な位置(保護位置)と、キャップ部材61によるインク吐出面22の保護を解除した位置(保護解除位置)と、キャップ部材61によりインク吐出面22を保護せず画像形成動作の実行中に待機する位置(待機位置)とに移動させられる。
回復部移動機構7は、図2、図6、および図7に示すように、フレーム本体71と、第1回復部移動機構72と、第2回復部移動機構73とを有している。
フレーム本体71は、吐出回復部6を水平方向および上下方向に移動可能に支持する。フレーム本体71は、吐出回復部6の移動をガイドするための1対のガイドレール71aを有している。1対のガイドレール71aは、用紙搬送方向に直交する方向に互いに平行に配置されている。また、1対のガイドレール71aそれぞれは、吐出回復部6の支持部材62と後述する回復部用の偏心カム73aとの間に配置される。
ここでは、1対のガイドレール71aそれぞれは、略Z字形状の断面を有している。このような断面を有するガイドレール71aは、一方向に長く形成されている。また、1対のガイドレール71aそれぞれには、図6および図7に示すように、回復部用の偏心カム73aをガイドレール71aに干渉することなく支持部材62に当接させることができるように、スリット171aが設けられている。このスリット171aは、回復部用の偏心カム73aの軸心に直交する面がガイドレール71aに交わる位置においてガイドレール71aに設けられている。このような1対のガイドレール71aそれぞれには、支持部材62の壁部62bに回転自在に装着されたコロ部材64が載置される。
第1回復部移動機構72は、吐出回復部6を水平方向に移動させるための装置であり、フレーム本体71に設けられている。この第1回復部移動機構72により、吐出回復部6が、待機位置と保護解除位置との間を水平方向に移動させられる。第1回復部移動機構72は、吐出回復部6の支持部材62に係合する係合部72aと、係合部72aに駆動力を入力するための駆動モータ72bとを有している。係合部72aは、搬送ユニット4Aが画像形成位置から離反した位置(離反位置)に停止した状態において、用紙の搬送方向に直交する方向に吐出回復部6の支持部材62を移動させる。言い換えると、係合部72aは、搬送ユニット4Aがインク吐出面22から離反する方向に移動し停止した状態において、水平方向(前後方向)に吐出回復部6の支持部材62を移動させる。
なお、ここでは、搬送ユニット4Aが離反位置に停止した状態において、吐出回復部6が、用紙の搬送方向に直交する方向に移動する場合の例が示されている。しかしながら、搬送ユニット4Aの離反位置とインク吐出面22との間に十分な距離を確保できるような場合は、搬送ユニット4Aがインク吐出面22から離反する方向に移動している状態で、吐出回復部6を、用紙の搬送方向に直交する方向に移動させることができる。すなわち、搬送ユニット4Aと吐出回復部6とが衝突しなければ、搬送ユニット4Aがインク吐出面22から離反する方向に移動している最中に、吐出回復部6を、用紙の搬送方向に直交する方向に移動させるようにしても良い。
駆動モータ72bは、フレーム本体71に装着されている。図2では、駆動モータ72bは、フレーム本体71の隅角部(図2の右奥の隅角部)の内部に固定されている。この駆動モータ72bのモータ軸先端には、歯車が取り付けられている。
係合部72aは、フレーム本体71に装着されている。係合部72aは、第1プーリ172aと、第2プーリ172bと、第3プーリ172cと、第4プーリ172dと、第5プーリ172eと、1対の移動用ベルト272(272a,272b)と、伝達用ベルト372と、を有している。
第1プーリ172aは、駆動モータ72bのモータ軸に取り付けられた歯車に噛み合う図示しない歯車を有している。図2では、第1プーリ172aは右奥隅に配置されており、第2プーリ172bは左奥隅に配置されている。また、図2では、第3プーリ172cは左前隅に配置されており、第4プーリ172dは右前隅に配置されている。さらに、図2では、第5プーリ172eは右奥に配置されており、第1プーリ172aに並べて配置されている。
1対の移動用ベルト272は、各ガイドレール71aに沿って循環可能なように設けられている。一方の移動用ベルト272(272a)は、第1プーリ172aと第4プーリ172dとに架け渡されている。他方の移動用ベルト272(272b)は、第2プーリ172bと第3プーリ172cとに架け渡されている。また、1対の移動用ベルト272(272a,272b)それぞれは、吐出回復部6の支持部材62に係合している。たとえば、1対の移動用ベルト272(272a,272b)それぞれの内側のベルトが、吐出回復部6の支持部材62のフランジ部62cの下面に固定されている。
伝達用ベルト372は、駆動モータ72bからの駆動力を、上記の一方の移動用ベルト272aに伝達するためのものである。伝達用ベルト372は、第5プーリ172eと第2プーリ172bとに架け渡されている。なお、駆動モータに取り付けられたギア(図示しない)と第5プーリ172eとの間には、アイドルギア172fが配置されている。このアイドルギア172fを介して、駆動モータ72bからの駆動力が第5プーリ172eへと伝達される(第5プーリ172eにはアイドルギア172fと噛合う図示しないギアが設けられている)。具体的には、駆動モータ72bからの駆動力は、駆動モータに取り付けられたギアからアイドルギア172fを経て第5プーリ172eに伝達される。
たとえば、インク吐出面22がワイパー261により清掃される場合、吐出回復部6が保護解除位置に位置した状態において、ワイパー261が退避位置P2から清掃位置P1に回転させられる。すると、ワイパー261の先端部が、インク吐出面22に当接する。そして、ワイパー261が清掃位置P1に位置した状態で、吐出回復部6が、第1回復部移動機構72により、インク吐出面22に対して水平方向に移動させられる。このときに、インク吐出面22が、ワイパー261によりワイピングされ清掃される。このような清掃動作が終了すると、ワイパー261は再び退避位置P2から清掃位置P1に回転させられる。そして、ワイパー261が退避位置P2に位置すると、吐出回復部6が、第1回復部移動機構72によりインク吐出面22に対してさらに水平方向に移動させられる。そして、吐出回復部6が、待機位置に配置される。
第2回復部移動機構73は、吐出回復部6を上下方向に移動させるための装置であり、フレーム本体71に設けられている。この第2回復部移動機構73により、吐出回復部6が、保護位置と保護解除位置との間を上下方向に移動させられる。たとえば、第2回復部移動機構73は、吐出回復部6が画像形成部2に対向する位置に位置した状態において、画像形成部2に近接する方向および画像形成部2から離反する方向に吐出回復部6を移動させる。具体的には、第2回復部移動機構73は、吐出回復部6の支持部材62がインク吐出面22に対向する位置に位置した状態において(保護解除位置又は保護位置に位置した状態において)、インク吐出面22に近接する方向およびインク吐出面22から離反する方向に、吐出回復部6の支持部材62を移動させる。
第2回復部移動機構73は、図6および図7に示すように、回復部用の複数の偏心カム73aと、回復部用の複数の偏心カム73aを回転駆動するための駆動モータ装置(図示しない)とを有している。
4個の回復部用の偏心カム73aは、フレーム本体71の前側に設けられている。ここでは、2個の回復部用の偏心カム73aが、一方のガイドレール71aの長手方向に所定の間隔を隔てて配置され(図4を参照)、残りの2個の回復部用の偏心カム73aが、他方のガイドレール71aの長手方向に所定の間隔を隔てて配置されている。なお、図4は、吐出回復部6、ガイドレール71a、および1対の移動用ベルト272を取り外したときの図を示している。
4個の回復部用の偏心カム73aは、フレーム本体71に回転自在に装着されている。ここでは、4個の回復部用の偏心カム73aは、回転軸方向とガイドレール71aが伸びる方向(ガイドレール71aの長手方向)とが平行になるように、フレーム本体71に回転自在に装着されている。
回復部用の偏心カム73aは、吐出回復部6の支持部材62に当接可能になっている。たとえば、回復部用の偏心カム73aは、ガイドレール71aに形成されたスリット171aを通過して、吐出回復部6の支持部材62のフランジ部62cの下面に当接可能になっている。
吸引手段は、インク除去部材263により除去されたインクを吸引するための手段である。吸引手段は、インク排出孔262aに連結されるチューブと、チューブに連結される吸引ポンプと、吸引ポンプにより吸引されたインクを収容する廃インク容器とを有している。この吸引手段では、吸引ポンプを動作させることにより、ワイパー装着部材262に溜まったインクが、インク排出孔262aから廃インク容器へとチューブを介して排出される。
用紙保持機構8は、用紙を搬送面47上に保持させるための機構である。用紙保持機構8は、図1に示すように、吸引装置81たとえば複数の送風ファンと、これらの送風ファン81を回転駆動するモータ(図示せず)を有している。用紙保持機構8は、送風ファン81によって搬送ベルト41dに設けられた孔を上方から下方に通過する空気の流れを生じさせる。これにより、用紙が、搬送面47上に吸引され保持される。
排出部9は、画像形成部2で画像が形成された用紙を排出するための部分であって、画像形成装置1の上部に設けられている。排出部9は、複数のローラ91を備えており、画像形成部2により画像が形成された用紙が、搬送ユニット4Aの搬送ベルト41dおよび排出部9のローラ91によって搬送され、排出口92から機外へ排出される。
<動作>
ここでは、画像形成動作について説明する。
まず、外部に接続されたコンピュータから画像を形成するための命令が発行されると、用紙収納部3から搬送ユニット4Aへと用紙が送り出される。そして、用紙が、搬送ユニット4Aの搬送ベルト41dで搬送されているときに、インクジェットヘッド21からインクが吐出され、用紙上に画像が形成される。そして、画像が形成された用紙は、排出部9のローラ91によって搬送され、排出口92から機外へ排出される。このようにして、画像形成動作が実行される。
次に、インクジェットヘッド21の保護動作の概要について説明する。
画像形成動作が終了した後に、所定時間の間、画像形成命令が発行されなかった場合や、電源スイッチ(図示しない)がオフされた場合等には、画像形成装置1は、画像を形成可能な状態から待機状態へと移行する。
このときには、搬送ユニット4Aが、搬送ユニット移動機構5により、画像形成位置(近接位置)から離反位置へと移動させられる。そして、搬送ユニット4Aが離反位置に位置すると、吐出回復部6が、第1回復部移動機構72により、待機位置から搬送ユニット4Aと画像形成部2との間の所定の位置に移動させられる。そして、吐出回復部6が保護解除位置に位置すると、吐出回復部6が、第2回復部移動機構73により、保護解除位置から保護位置へと移動させられる。すると、インクジェットヘッド21が、吐出回復部6のキャップ部材61により保護される。
なお、ここでは、搬送ユニット4Aが離反位置に位置した後に、吐出回復部6が移動を開始する場合の例が示されているが、搬送ユニット4Aが離反位置に位置する前に、吐出回復部6が移動を開始するようにしても良い。
一方で、吐出回復部6のキャップ部材61によりインク吐出面22がキャッピングされている状態において、画像形成命令が発行されたり電源スイッチがオンされたりした場合には、吐出回復部6が、第2回復部移動機構73により、保護位置から保護解除位置へと移動させられる。そして、吐出回復部6が保護解除位置に位置すると、吐出回復部6が、第1回復部移動機構72により、保護解除位置から待機位置へと移動させられる。このようにして、吐出回復部6のキャップ部材61によるインクジェットヘッド21の保護が解除される。続いて、吐出回復部6が待機位置に位置すると、搬送ユニット4Aが、搬送ユニット移動機構5により、離反位置から画像形成位置へと移動させられる。そして、搬送ユニット4Aが画像形成位置に位置すると、画像形成部2により用紙上に画像を形成可能になる。
なお、ここでは、吐出回復部6が待機位置に位置した後に、搬送ユニット4Aが移動を開始する場合の例が示されているが、吐出回復部6が待機位置に位置する前に、搬送ユニット4Aが移動を開始するようにしても良い。
最後に、インクジェットヘッド21の吐出回復動作の詳細について説明する。
インクジェットヘッド21が吐出回復部6(第1吐出回復部260および第2吐出回復部60を含む)のキャップ部材61により保護されている状態において、吐出回復命令が発行された場合、吐出回復部6が、第2回復部移動機構73により、保護位置から保護解除位置へと移動させられる。すると、吐出回復部6のキャップ部材61によるインクジェットヘッド21の保護が、解除される。すると、インクジェットヘッド21からインクが吐出され、吐出されたインクは、キャップ部材61に受け取られる。
次に、第1吐出回復部260のワイパー261が、ワイパー用の駆動モータにより退避位置P2から清掃位置P1に向けて回転させられる。そして、ワイパー261が第1突起262bに当接するとワイパー用の駆動モータが停止し、ワイパー261が清掃位置P1に位置決めされる。
続いて、吐出回復部6が、第1回復部移動機構72により、保護解除位置から待機位置へと水平方向に移動させられる。すなわち、第1吐出回復部260が、第1回復部移動機構72により、保護解除位置から待機位置へと水平方向(A方向)に移動させられる。すると、清掃位置P1に位置したワイパー261の先端部が、インクジェットヘッド21のインク吐出面22に当接し、ワイパー261がインク吐出面22をワイプしながら水平方向に移動する。このようにして、インク吐出面22が、ワイパー261により清掃される。
続いて、清掃動作が終了すると、ワイパー261が、ワイパー用の駆動モータ261eにより清掃位置P1から退避位置P2に向けて回転させられる。すると、ワイパー261が、インク除去部材263に当接してインク除去部材263を押圧し、インク除去部材263を押し潰す。このときに、ワイパー261に付着したインクが、インク除去部材263により吸収される。そして、ワイパー261が、第2突起262cに当接する。すると、ワイパー用の駆動モータが停止し、ワイパー261が退避位置P2に位置決めされる。そして、ワイパー261が退避位置P2に位置すると、吐出回復部6が、第1回復部移動機構72により、さらに水平方向(A方向)に移動させられる。そして、吐出回復部6が、待機位置に配置される。
なお、ここでは、ワイパー261が退避位置P2に位置した後に、吐出回復部6が、第1回復部移動機構72によって、さらに水平方向(A方向)に移動させられる場合の例を示している。ワイパー261の退避動作および吐出回復部6の水平移動については、次のようにしても良い。たとえば、清掃動作が終了した後も、第1回復部移動機構72による吐出回復部6の水平方向(A方向)への移動を継続しながら、ワイパー261を、ワイパー用の駆動モータ261eにより清掃位置P1から退避位置P2に向けて回転させるようにしても良い。この場合、上述した例よりも、吐出回復部6を待機位置に移動させるときに要する時間を短縮することができる。
<特徴>
本画像形成装置1では、インクジェットヘッド21に付着したインクを、ワイパー261により清掃することができる。また、インクジェットヘッド21に付着したインクがワイパー261により清掃された後には、ワイパー261に付着したインクを、インク除去部材263により除去することができる。すなわち、ワイパー261による清掃動作が繰り返し実行されても、その都度、ワイパー261に付着したインクを、インク除去部材263によりワイパー261から除去することができる。このため、ワイパー261による清掃動作が繰り返し実行されても、ワイパー261により、インクジェットヘッド21が汚染されることなく、インクジェットヘッド21を確実に清掃することができる。
・第2実施形態
ここでは、第2実施形態としての画像形成装置の概略構成を示す。ここに示す画像形成装置は、吐出回復装置67を除き、第1実施形態と同じ構成を有している。具体的には、ここに示す画像形成装置は、吐出回復装置67の第1吐出回復部260を除き、第1実施形態と同じ構成を有している。このため、第1実施形態と同じ構成である部分については、説明を省略し、第1実施形態と異なる構成である部分についての説明を、詳細に行うものとする。なお、第2実施形態に対応する図面(図10)では、第1実施形態と同じ部材については、第1実施形態と同じ部材番号を付している。
第1吐出回復部260は、図10に示すように、ワイパー261と、ワイパー装着部材262と、インク除去部材263とを有している。ここでは、ワイパー261が第1実施形態のものと同じであるので、ワイパー装着部材262およびインク除去部材263についての説明のみを、詳細に行うものとする(261、262、263が付番されていません)。
ワイパー装着部材262は、第1実施形態の構成に加えて、インクの飛散を防止するための飛散防止カバー262eをさらに有している。飛散防止カバー262eは、ワイパー装着部材262の上部に設けられている。たとえば、飛散防止カバー262eは、ワイパー装着部材262の側壁上部から内方に突出するように設けられている。言い換えると、飛散防止カバー262eは、後述するインク除去部材263の上方において、ワイパー装着部材262の側壁上部に設けられている。具体的には、飛散防止カバー262eは、後述する第2インク除去部材263の上方において、ワイパー装着部材262の側壁上部に設けられている。
インク除去部材263は、ワイパー261に付着したインクを除去するための部材である。たとえば、インク除去部材263は、ワイパー261のインクを吸収可能な吸収体である第1インク除去部材263aと、ワイパー261からインクを飛散可能な棒状部材である第2インク除去部材263bとからなっている。
第1インク除去部材263aは、多孔構造を有する吸収体たとえば発泡ウレタンからなっている。
第1インク除去部材263aは、ワイパー装着部材262に装着されている。具体的には、第1インク除去部材263aは、ワイパー装着部材262の底部に装着されている。より具体的には、第1インク除去部材263aは、インク排出孔262aが設けられた部分の底面に当接するように、ワイパー装着部材262に装着されている。言い換えると、第1インク除去部材263aは、ワイパー装着部材262の底面に設けられたインク排出孔262aの開口を覆うように、ワイパー装着部材262の底面に装着されている。
ここでは、第1インク除去部材263aの厚みが、ワイパー261が退避位置に位置した状態におけるワイパー本体261aの下面と、ワイパー261が退避位置に位置した状態におけるワイパー本体261aの下方のワイパー装着部材262の底面との距離より、小さくなるように、設定されている。これにより、第1インク除去部材263aの上面は、ワイパー261が退避位置に位置した状態におけるワイパー本体261aの下面より低くなる。
このため、ワイパー261が清掃置位から退避位置P2へと駆動モータにより回転させられると、ワイパー261は第2突起262cに当接し、第1インク除去部材263aの上面から所定の間隔を隔てた位置において停止する。このときには、ワイパー261は第2突起262cに当接したときの衝撃力により振動し、ワイパー261に付着したインクが、第1インク除去部材263aに振り落とされる。すると、ワイパー261に付着したインクが、第1インク除去部材263aに吸収される。
第2インク除去部材263bは、ワイパー装着部材262に設けられている。ここでは、第2インク除去部材263bは、ワイパー装着部材262の側壁から内方に突出して設けられている。具体的には、第2インク除去部材263bは、第1インク除去部材263aの上方において、ワイパー装着部材262の側壁から内方に突出して設けられている。より具体的には、第2インク除去部材263bは、飛散防止カバー262eと第1インク除去部材263aとの間において、ワイパー装着部材262の内壁に設けられている。異なる言い方をすると、第2インク除去部材263bは、ワイパー261の回転方向において清掃位置P1に位置するワイパー261と第1インク除去部材263aとの間に設けられている。
このため、ワイパー261が清掃位置P1と退避位置P2の間を回転すると、ワイパー261が第2インク除去部材263bにより弾かれる。そして、ワイパー261に付着したインクがワイパー261から第1インク除去部材263aへと振り落とされる。すると、ワイパー261に付着したインクが、第1インク除去部材263aに吸収される。
このような第1吐出回復部260を有する画像形成装置における、インクジェットヘッド21の吐出回復動作を、以下に説明する。
インクジェットヘッド21が吐出回復部6(第1吐出回復部260および第2吐出回復部60を含む)のキャップ部材61により保護されている状態において、吐出回復命令が発行された場合、吐出回復部6が、第2回復部移動機構73により、保護位置から保護解除位置へと移動させられる。すると、吐出回復部6のキャップ部材61によるインクジェットヘッド21の保護が、解除される。すると、インクジェットヘッド21からインクが吐出され、吐出されたインクは、キャップ部材61に受け取られる。
次に、第1吐出回復部260のワイパー261が、ワイパー用の駆動モータにより退避位置P2から清掃位置P1に向けて回転させられる。そして、ワイパー261が第1突起262bに当接するとワイパー用の駆動モータが停止し、ワイパー261が清掃位置P1に位置決めされる。
続いて、吐出回復部6が、第1回復部移動機構72により、保護解除位置から待機位置へと水平方向に移動させられる。すなわち、第1吐出回復部260が、第1回復部移動機構72により、保護解除位置から待機位置へと水平方向(A方向)に移動させられる。すると、清掃位置P1に位置したワイパー261の先端部が、インクジェットヘッド21のインク吐出面22に当接し、ワイパー261がインク吐出面22をワイプしながら水平方向に移動させられる。このようにして、インク吐出面22が、ワイパー261により清掃される。
続いて、清掃動作が終了すると、ワイパー261が、ワイパー用の駆動モータ261eにより清掃位置P1から退避位置P2に向けて回転させられる。すると、ワイパー261が第2インク除去部材263bに弾かれ、ワイパー261に付着したイングがワイパー261から第1インク除去部材263aへと振り落とされる。すると、ワイパー261に付着したインクが、第1インク除去部材263aに吸収される。そして、ワイパー261が第2突起262cに当接し退避位置P2に位置すると、ワイパー261が第2突起262cに当接したときの衝撃力により振動し、ワイパー261に付着したインクがワイパー261から振り落とされる。すると、ワイパー261に付着したインクが、第1インク除去部材263aに吸収される。また、ワイパー261が第2突起262cに当接し退避位置P2に位置すると、ワイパー用の駆動モータ261eが停止し、ワイパー261が退避位置P2に位置決めされる。そして、吐出回復部6が、第1回復部移動機構72により、さらに水平方向に移動させられる。そして、吐出回復部6が、待機位置に配置される。
なお、ここでは、ワイパー261が退避位置P2に位置した後に、吐出回復部6が、第1回復部移動機構72によって、さらに水平方向(A方向)に移動させられる場合の例を示している。ワイパー261の退避動作および吐出回復部6の水平移動については、次のようにしても良い。たとえば、清掃動作が終了した後も、第1回復部移動機構72による吐出回復部6の水平方向(A方向)への移動を継続しながら、ワイパー261を、ワイパー用の駆動モータ261eにより清掃位置P1から退避位置P2に向けて回転させるようにしても良い。この場合、上述した例よりも、吐出回復部6を待機位置に移動させるときに要する時間を短縮することができる。
このような構成を有する第2実施形態の画像形成装置では、ワイパー261による清掃動作が繰り返し実行されても、その都度、ワイパー261に付着したインクを、第1インク除去部材263aと第2インク除去部材263bとにより、ワイパー261から除去することができる。この場合は、たとえば、ワイパー261に付着したインクが、清掃位置P1と退避位置P2の間の位置において、第2インク除去部材263bにより、ワイパー261から飛散させられる。そして、ワイパー261に付着したインクが、第1インク除去部材263aにより、ワイパー261から吸収され除去される。これにより、ワイパー261による清掃動作が繰り返し実行されても、ワイパー261により、インクジェットヘッド21が汚染されることなく、インクジェットヘッド21をより確実に清掃することができる。
〔他の実施形態〕
(a)前記実施形態では、第1回復部移動機構72において、ベルトおよびプーリを用いることにより、吐出回復部6が水平方向に移動するようになっている。しかしながら、上記とは異なる機構を用いて、吐出回復部6を水平方向に移動させるようにしても良い。
(b)前記実施形態では、搬送面47の用紙側から反対側へと向かう空気の流れを生成して用紙を吸引することによって、用紙を搬送面47上に保持している。しかしながら、電気的な吸着方法を用いる等の上記とは異なる機構を用いて、用紙を搬送面47上に保持しても良い。
(c)前記実施形態では、画像形成装置の一実施形態として、カラープリンターの例が示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。たとえば、コピー機、ファクシミリ機としての機能を有する複合機やコピー機能のみを備えたものでも良い。また、カラー画像を形成可能なものに限らずモノクロ画像のみを形成可能な画像処理装置であっても良い。
(d)前記実施形態では、ワイパーが1個である場合の例が示されているが、ワイパーによりインクジェットヘッド21が汚染されないようにすることができれば、ワイパーの本数は、複数本であってもよい。
たとえば、図11には、ワイパーの本数が2本である場合の例が示されている。図11に示した2本のワイパー(以下、図11の左側のワイパー261aを「第1ワイパー」と呼び、図11の右側のワイパー261bを「第2ワイパー」と呼ぶ)では、ワイパーの回転軸からワイパーの先端までの長さ(以下、「ワイパー長さ」と呼ぶ)が、互いに異なっている。すなわち、第1ワイパー261aのワイパー長さと第2ワイパー261bのワイパー長さとが、異なっている。ここでは、第1ワイパー261aのワイパー長さは、第2ワイパー261bのワイパー長さより短くなっている。
具体的には、図11(a)に示すように、第1ワイパー261aのワイパー長さが、第1ワイパー261aの回転軸とインク吐出面22との間の垂直距離より短くなるように、第1ワイパー261aは設計されている。ここでは、第1ワイパー261aのワイパー長さが、第1ワイパー261aの回転軸とインク吐出面22との間の垂直距離より短くなるように、第1ワイパー261aのワイパー本体261aが形成されている。具体的には、第1ワイパー261aは、インク吐出面22に付着したインク滴には接触するが、インク吐出面22には接触しない長さに設定されている。
また、図11(a)に示すように、第2ワイパー261bのワイパー長さが、第2ワイパー261bの回転軸とインク吐出面22との間の垂直距離より長くなるように、第2ワイパー261bは設計されている。ここでは、第2ワイパー261bのワイパー長さが、第2ワイパー261bの回転軸とインク吐出面22との間の垂直距離より長くなるように、第2ワイパー261bのワイパー本体261aが形成されている。
このような2本のワイパーを有する画像形成装置における、インクジェットヘッド21の吐出回復動作を、以下に説明する。
インクジェットヘッド21が吐出回復部6(第1吐出回復部260および第2吐出回復部60を含む)のキャップ部材61により保護されている状態において、吐出回復命令が発行された場合、吐出回復部6が、第2回復部移動機構73により、保護位置から保護解除位置へと移動させられる。すると、吐出回復部6のキャップ部材61によるインクジェットヘッド21の保護が、解除される。すると、インクジェットヘッド21からインクが吐出され、吐出されたインクは、キャップ部材61に受け取られる。
次に、第1吐出回復部260の第1ワイパー261aおよび第2ワイパー261bが、ワイパー用の駆動モータ により退避位置P2から清掃位置P1に向けて回転させられる。そして、第1ワイパー261aおよび第2ワイパー261bそれぞれが第1突起262bに当接するとワイパー用の駆動モータ が停止し、第1ワイパー261aおよび第2ワイパー261bが清掃位置P1に位置決めされる。
続いて、吐出回復部6が、第1回復部移動機構72により、保護解除位置から待機位置へと水平方向(A方向)に移動させられる。すなわち、第1吐出回復部260が、第1回復部移動機構72により、保護解除位置から待機位置へと水平方向に移動させられる。このときには、第1ワイパー261aおよび第2ワイパー261bが清掃位置P1に位置した状態において、第1ワイパー261aおよび第2ワイパー261bがインク吐出面22に対して水平方向に移動させられる。すると、インクジェットヘッド21のインク吐出面22から所定の距離を隔てた位置に配置される第1ワイパー261aにより、インク吐出面22に付着したインク滴がワイプされる。次に、インクジェットヘッド21に当接する第2ワイパー261bにより、インク吐出面22の表面に付着したインクがワイプされる。
続いて、清掃動作が終了すると、第1ワイパー261aおよび第2ワイパー261bが、ワイパー用の駆動モータ により清掃位置P1から退避位置P2に向けて回転させられる。そして、第1ワイパー261aおよび第2ワイパー261bが第2突起262cに当接し退避位置P2に位置すると、第1ワイパー261aおよび第2ワイパー261bそれぞれが第2突起262cに当接したときの衝撃力により振動し、第1ワイパー261aおよび第2ワイパー261bそれぞれに付着したインクが各ワイパーから振り落とされる。すると、各ワイパーに付着したインクが、インク除去部材263に吸収される。また、第1ワイパー261aおよび第2ワイパー261bが第2突起262cに当接し退避位置P2に位置すると、ワイパー用の駆動モータ が停止し、第1ワイパー261aおよび第2ワイパー261bーが退避位置P2に位置決めされる。そして、吐出回復部6が、第1回復部移動機構72により、さらに水平方向に移動させられる。そして、吐出回復部6が、待機位置に配置される。このような画像形成装置においても、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、ここでは、ワイパー261が退避位置P2に位置した後に、吐出回復部6が、第1回復部移動機構72によって、さらに水平方向(A方向)に移動させられる場合の例を示している。ワイパー261の退避動作および吐出回復部6の水平移動については、次のようにしても良い。たとえば、清掃動作が終了した後も、第1回復部移動機構72による吐出回復部6の水平方向(A方向)への移動を継続しながら、ワイパー261を、ワイパー用の駆動モータ261eにより清掃位置P1から退避位置P2に向けて回転させるようにしても良い。この場合、上述した例よりも、吐出回復部6を待機位置に移動させるときに要する時間を短縮することができる。