(実施形態1)
本実施形態の回路遮断器は、図1に示すように、直流電源(図示せず)の高電位側および低電位側にそれぞれ接続される高電位側電源端子10Hおよび低電位側電源端子10Lと、高電位側電源端子10Hに対応する負荷端子11Hおよび低電位側電源端子10Lに対応する負荷端子11Lとが設けられた器体1を備えている。この器体1は、絶縁性を有する樹脂材料(一例としてはフェノール樹脂)により形成された樹脂成形品からなる。
器体1に設けられている高電位側電源端子10Hおよび低電位側電源端子10Lは、直流電源との接続に用いられる電線や導電バーなどの接続部材が接続可能な形に形成され、負荷端子11H,11Lは、負荷(直流電力により駆動される負荷)との接続に用いられる電線などの接続部材が接続可能な形に形成されている。これら端子10H,10L,11H,11Lは従来周知のものを採用できるから詳細な説明は省略する。
このような器体1には、高電位側電源端子10Hと負荷端子11Hとの間および低電位側電源端子10Lと負荷端子11Lとの間それぞれに挿入された一対の開閉手段20と、器体1に変位自在(一例としては回動自在)に取り付けられた手動操作用の操作ハンドル(図示せず)を具備し当該操作ハンドルの操作に応じて一対の開閉手段20それぞれを開閉する開閉機構部21と、一対の開閉手段20それぞれを強制的に開放(釈放)させる引外し装置22とが収納されており、これらによって接点部2が構成されている。
ここで、開閉手段20は、器体1に固定された固定接点(図示せず)と、当該固定接点に接離する可動接点(図示せず)とで構成された機械接点からなる。開閉機構部21は、開閉手段20の固定接点が固着された固定端子板や、開閉手段20の可動接点が固着された可動接触子、ばね材、係止部材などを機械的に結合することによって構成されており、手動操作用の操作ハンドルの操作に応じて開閉手段20の開閉を行う。引外し装置22は、開閉機構部21により開閉手段20を強制的に開放させるものであって、例えば、筒状のコイルボビン、コイルボビンの外周面に巻装されたコイル、コイルボビン内の軸方向一端側に設けられた固定鉄芯、コイルボビン内の軸方向他端側に軸方向にスライド移動自在に設けられた可動鉄芯(プランジャ)、固定鉄芯と可動鉄芯との間に介装されるコイルスプリングからなる復帰ばねなどを備えた電動トリップ装置であり、コイルに通電することによって、可動鉄芯が固定鉄芯側に移動し、これによって、開閉手段20の可動接点を固定接点から引き外すようになっている。なお、上述した接点部2の構成(開閉手段20、開閉機構部21、引外し装置22の構成)は、従来周知のものを採用できるから詳細な説明は省略する。
また、器体1には、高電位側電源端子10Hの電位と誤結線検出用の閾値とを比較することで、誤結線か否かの判定を行う誤結線判定手段3と、当該誤結線判定手段3により誤結線であると判定されると一対の開閉手段20それぞれを釈放させる制御手段4とを有した回路ブロックが収納されている。また、器体1には、当該回路ブロックの動作電源を生成する電源生成手段5が収納されている。
電源生成手段5は、高電位側電源端子10Hと低電位側電源端子10Lとの間に印加される電圧を元にして回路ブロック(誤結線判定手段3および制御手段4)の動作電源を生成するものであり、ダイオードブリッジなどからなる全波整流回路50を有している。全波整流回路50の一方の入力端子は抵抗R50を介して高電位側電源端子10Hと負荷端子11Hとの間に接続され、他方の入力端子は低電位側電源端子10Lと負荷端子11Lとの間に接続されている。全波整流回路50の出力端間には電解コンデンサなどの大容量のコンデンサCが接続され、コンデンサCには、ツェナーダイオードZD50が、コンデンサCの高電位側をカソード側、低電位側をアノード側とする形で、並列接続されている。また、ツェナーダイオードZD50のカソードには高電位側出力端子51を、ツェナーダイオードZD50のアノードにはグラウンド端子52をそれぞれ接続してあり、高電位側出力端子51により電位Vccを、グラウンド端子52により電位(グラウンド電位)GNDを与えることができるようにしている。なお、電源生成手段5の回路構成は図示例に限定されるものではなく、同様な効果が得られる回路構成に適宜変更してもよい。
誤結線判定手段3は、図1に示すように、オペアンプ30と、抵抗R30〜33とからなる回路を備えている。この回路を構成するオペアンプ30の出力は、高電位側電源端子10Hの電位に応じた電位となる。オペアンプ30の出力端子は、コンパレータ31の反転入力端子に接続されている。コンパレータ31の非反転入力端子は、抵抗R34を介して高電位側出力端子51に接続されるとともに、ツェナーダイオードZD30を介してグラウンド端子52に接続されている。これによって、コンパレータ31の非反転入力端子には、不足電圧検出用閾値Vtha(ただしVtha>0)が入力されるようになっている。このコンパレータ31は、オペアンプ30の出力Voutが不足電圧検出用閾値Vthaを上回っているときには、”L”レベルの信号を出力し、出力Voutが不足電圧検出用閾値Vthaを下回った際に、”H”レベルの信号を出力する。なお、このコンパレータ31のプラス側の電源入力端子は電源生成手段5の高電位側出力端子51に、マイナス側の電源入力端子はグラウンド端子52にそれぞれ接続されている。
ここで、不足電圧検出用閾値Vthaは、結線が正しい場合における高電位側電源端子10Hの電位より低く、かつ低電位側電源端子10Lの電位より高い値、例えば回路遮断器に接続する予定の直流電源が、高電位側の電位Vphが24V、低電位側の電位Vplが0Vのものである場合には、高電位側電源端子10Hの電位VHである24Vより低く低電位側電源端子10Lの電位VLより高い電位である10Vに対応する値に設定すればよい。ただし、この不足電圧検出用閾値Vthaの値はあくまでも一例であって、不足電圧検出用閾値Vthaを上記の値に限定する趣旨ではなく、このような不足電圧検出用閾値Vthaの値は、実際に使用する直流電源の高電位側の電位Vphおよび低電位側の電位Vplや、交流電源の電圧値などを参照して定めればよい。
上述した誤結線判定手段3では、高電位側電源端子10Hが直流電源の高電位側に接続されている場合には、高電位側電源端子10Hの電位VHは24Vととなり、Vthaより高いからコンパレータ31から”H”レベルの信号が出力されることはないが、高電位側電源端子10Hを直流電源の低電位側に接続した場合や、交流電源を接続した場合には、高電位側電源端子10Hの電位VHは、不足電圧検出用閾値Vthaを下回ることがあるから、コンパレータ31から”H”レベルの信号が出力され、この”H”レベルの信号が、誤結線であることを示す検出信号となる。
制御手段4は、例えばCPUやロジック回路などを利用して構成されている。この制御手段4には、誤結線であることを報知する報知手段6と、電流検出手段7とが接続されている。なお、報知手段6および電流検出手段7は、誤結線判定手段3および制御手段4とともに上記回路ブロックを構成する。
ここで、報知手段6は、視覚的な報知を行う表示部60と、聴覚的な報知を行う鳴動部61とで構成されている。表示部60としては、発光ダイオードや、ネオンランプなどを採用することができ、鳴動部61としては、ブザーやスピーカなどを採用することができる。なお、器体1には、表示部60から放射する光を外部に出射させる窓部(図示せず)や、鳴動部61が発生した音波を外部に送波するための音孔(図示せず)が設けられる。
電流検出手段7は、高電位側電源端子10Hと負荷端子11Hとの間に流れる電流値を検出し、その検出結果を制御手段4に出力するものであって、例えば、カレントトランスを利用して構成されている。なお、電流検出手段7としては、高電位側電源端子10Hと負荷端子11Hとの間などに挿入した抵抗の両端電圧により電流検出を行うものを用いてもよく、この他、従来周知のものを採用することができる。
制御手段4は、誤結線判定手段3が出力する検出信号(コンパレータ31が出力する”H”レベルの信号)が入力されると、引外し装置22を動作させ、これにより一対の開閉手段20それぞれを釈放させ、また、報知手段6の表示部60を点灯させるとともに鳴動部61を鳴動させる。つまり、報知手段6は、誤結線判定手段3により誤結線であると判定されると誤結線であることを報知する。ここで、制御手段4は、検出信号が入力された後には、誤結線判定手段3から”L”レベルの信号が入力されても、報知手段6による報知は継続するようになっており、図示しないリセット釦などが操作された際に、報知手段6による報知を終了する。
さらに、制御手段4は、電流検出手段7の検出結果に基づいて、過電流が発生したか否かの判定を行う。ここで、過電流としては、過負荷電流と短絡電流とを考慮している。制御手段4は、過負荷電流判定用の第1の閾値(回路遮断器の定格電流値と同程度の値)と、短絡電流判定用の第2の閾値(第1の閾値より大きい値)とを有し、電流検出手段7で検出した電流値が、第2の閾値以上であるときに短絡電流が発生していると判定する。また、制御手段4は、電流検出手段7で検出した電流値が第1の閾値超過第2の閾値未満である状態が、所定時間継続された際に、過負荷電流が発生していると判定する。そして、制御手段4は、過負荷電流と短絡電流のいずれかが発生している(つまり過電流が発生している)と判定したときには、引外し装置22を動作させ、一対の開閉手段20を強制的に釈放させる。なお、この制御手段4を駆動するための電源(制御手段4が上記コイルに所定の電流を流すための電源や、表示部60の点灯、鳴動部61の鳴動に必要な電源を含む)は、電源生成手段5により与えられるようになっている。
以上により本実施形態の回路遮断器は構成されており、次に結線時の動作について説明する。まず、図2を参照して、直流電源の高電位側に高電位側電源端子10Hを、低電位側に低電位側電源端子10Lをそれぞれ接続した(すなわち正しく結線が行われた)場合について説明する。時刻t1において上述の結線が行われた場合、高電位側電源端子10Hの電位VHは、図2(a)に示すように直流電源の高電位側の電位Vph(=24V)と等しい値となる。このとき、誤結線判定手段3のオペアンプ30の出力Voutは、図2(b)に示すように電位Vphに対応する値となり、不足電圧検出用閾値Vtha(=10Vに対応する値)を上回るから、図2(c)に示すように、誤結線判定手段3からは”L”レベルの信号が出力される。この場合、制御手段4は引外し装置22を動作させないから、開閉手段20は釈放されない。
次に、図3を参照して、直流電源の低電位側に高電位側電源端子10Hを、高電位側に低電位側電源端子10Lをそれぞれ接続した(すなわち電線を逆に接続するという誤結線を行った)場合について説明する。時刻t2において上述の結線が行われた場合、高電位側電源端子10Hの電位VHは、図3(a)に示すように直流電源の低電位側の電位Vpl(=0V)と等しい値となる。このとき、誤結線判定手段3のオペアンプ30の出力Voutは、図3(b)に示すように電位Vplに対応する値となり、不足電圧検出用閾値Vthaを下回るから、図3(c)に示すように、誤結線判定手段3からは”H”レベルの信号が出力される。この場合、制御手段4は引外し装置22を動作させるため、開閉手段20が釈放され、かつ報知手段6による報知が行われる。なお、図3(b)では、説明を分かり易くするために、電位Vplを0よりやや大きい値として図示している。
最後に、図4を参照して、交流電源に回路遮断器を接続した(すなわち電源の種類を間違うという誤結線を行った)場合について説明する。時刻t3において上述の結線が行われた場合、低電位側電源端子10Lと高電位側電源端子10Hとの間には交流電圧が印加され、図4(a)に示すように正負が交互に現れ、誤結線判定手段3のオペアンプ30の出力Voutは、図4(b)に示すように交流電源の電位に対応する値となる。交流電源はゼロクロス点を有するから、不足電圧検出用閾値Vthaを下回った際に(時刻t4)、図4(c)に示すように、誤結線判定手段3からは”H”レベルの信号が出力される。この場合、制御手段4は引外し装置22を動作させるため、開閉手段20が釈放され、かつ報知手段6による報知が行われる。
以上述べた本実施形態の回路遮断器によれば、誤結線が行われた場合には、高電位側電源端子10Hと低電位側電源端子10Lの電位VH,VLは、正しく直流電源が接続された場合とは異なる電位となるので、高電位側電源端子10Hの電位VHと誤結線検出用の閾値とを比較することで、誤結線か否かの判定を行うことができ、誤結線であると判定された際には、制御手段4は、開閉手段20を釈放して、高電位側電源端子10Hおよび低電位側電源端子10Lそれぞれと負荷端子11H,11Lとの間を遮断して、負荷への給電を停止するから、誤結線によって負荷が破壊されてしまうことを防止できる。また、誤結線であることを報知する報知手段6を備えているので、誤結線が行われたことを報知することができるから、速やかに結線のやり直しを促すことができる。
特に、本実施形態の回路遮断器では、誤結線検出用の閾値として、結線が正しい場合における高電位側電源端子10Hの電位VH(すなわち直流電源の高電位側の電位Vph)より低く低電位側電源端子10Lの電位VL(すなわち直流電源の低電位側の電位Vpl)より高い不足電圧検出用閾値Vthaを採用し、高電位側電源端子10Hの電位VHが不足電圧検出用閾値Vthaを下回ったときに、誤結線であると判定するから、直流電源の高電位側と低電位側とを逆に接続するという誤結線と、直流電源ではなく交流電源を接続するという誤結線とを検出することができる。
さらに、誤結線判定手段3は、高電位側電源端子10Hの電位VHを不足電圧検出用閾値Vthaと比較するだけの簡単な回路構成であるから、コストの削減が図れる。
また、全波整流回路50の出力電圧は、入力端子間に印加された電圧(入力電圧)の絶対値となるので、高電位側電源端子10Hと低電位側電源端子10Lとの極性が逆極性であったり、交流電源が接続されたりした場合でも、全波整流回路50の出力電圧は、正の値をとるから、誤結線が行われた場合でも回路ブロックの動作電源を生成することができて、誤結線判定手段3および制御手段4を確実に動作させることができ、回路ブロックに動作電源を供給するための電池などが不要になる。
ところで、本実施形態の回路遮断器には、不足電圧検出用閾値Vthaを調整する閾値調整手段を設けるようにしてもよく、例えば、抵抗R34を可変抵抗により構成することで簡易に実現できる。このようにすれば、回路遮断器を接続する直流電源の電圧に応じて不足電圧検出用閾値Vthaを設定することが可能となり、様々な直流電源に採用することができるようになり、直流電源ごとに不足電圧検出用閾値Vthaが異なる回路遮断器を用意する必要がなくなり、このような回路遮断器を複数包含するシステムの構築にかかるコストを低く抑えたり、回路遮断器の規格間違いを抑制したりすることが可能となる。
なお、本実施形態では、開閉手段20として機械接点である接点部2を採用しているが、開閉手段20としては、例えばMOSFETなどの半導体スイッチを採用することができ、さらに、機械接点と半導体スイッチとを併用したハイブリッド形のものも採用することができる。また、報知手段6は、必ずしも表示部60と鳴動部61の両方を備える必要はなく、いずれか一方のみであってもよいし、また有線や無線などの通信手段によって外部の機器に誤結線が行われたことを報知するようなものであってもよい。また、本実施形態の回路遮断器では、高電位側電源端子10Hの電位VHを利用して誤結線の検出を行っているが、低電位側電源端子10Lの電位VLを利用して誤結線の検出を行うようにしてもよく、あるいは高電位側電源端子10Hおよび低電位側電源端子10Lの両方を利用して誤結線の検出を行ってもよい。要は、高電位側電源端子10Hおよび低電位側電源端子10Lの少なくとも一方の電位を利用して誤結線の検出を行うものであればよい。
ところで、本実施形態の直流開閉器は、例えば、図5に示すような直流配電システムにおける後述の直流ブレーカ114として用いられる。
図5では、直流配電システムを設置する建物として戸建て住宅の家屋を想定して説明しているが、集合住宅に適用してもよい。
図5に示す家屋Hには、直流電力を出力する直流電力供給部101と、直流電力により駆動される負荷としての直流機器102とが設けられ、直流電力供給部101の出力端部に接続した直流供給線路Wdcを通して直流機器102に直流電力が供給される。直流電力供給部101と直流機器102との間には、直流供給線路Wdcに流れる電流を監視し、異常を検知したときに直流給電線路Wdc上で直流電力供給部101から直流機器102への給電を制限ないし遮断する前述の直流ブレーカ114が設けられる。
直流供給線路Wdcは、直流電力の給電路であるとともに通信路としても兼用されており、高周波の搬送波を用いてデータを伝送する通信信号を直流電圧に重畳することにより直流供給線路Wdcに接続された機器間での通信を可能にしている。この技術は、交流電力を供給する電力線において交流電圧に通信信号を重畳させる電力線搬送技術と類似した技術である。
直流供給線路Wdcは、直流電力供給部101を介して宅内サーバ116に接続される。宅内サーバ116は、宅内の通信網(以下、「宅内網」という)を構築する主装置であり、宅内網において直流機器102が構築するサブシステムなどと通信を行う。
図示例では、サブシステムとして、パーソナルコンピュータ、無線アクセスポイント、ルータ、IP電話機のような情報系の直流機器102からなる情報機器システムK101、照明器具のような照明系の直流機器102からなる照明システムK102,K105、来客対応や侵入者の監視などを行う直流機器102からなるインターホンシステムK103、火災感知器のような警報系の直流機器102からなる住警器システムK104などがある。各サブシステムは、自立分散システムを構成しており、サブシステム単独でも動作が可能になっている。
上述した直流ブレーカ114は、サブシステムに関連付けて設けられており、図示例では、情報機器システムK101、照明システムK102およびインターホンシステムK103、住警器システムK104、照明システムK105に関連付けて4個の直流ブレーカ114を設けている。1台の直流ブレーカ114に複数個のサブシステムを関連付ける場合には、サブシステムごとに直流供給線路Wdcの系統を分割する接続ボックス121が設けられる。図示例においては、照明システムK102とインターホンシステムK103との間に接続ボックス121が設けられている。
情報機器システムK101としては、壁コンセントあるいは床コンセントの形態で家屋Hに先行配置(家屋Hの建築時に施工)される直流コンセント131に接続される直流機器102からなる情報機器システムK101が設けられる。
照明システムK102、K105としては、家屋Hに先行配置される照明器具(直流機器102)からなる照明システムK102と、天井に先行配置される引掛シーリング132に接続する照明器具(直流機器102)からなる照明システムK105とが設けられる。引掛シーリング132には、家屋Hの内装施工時に施工業者が照明器具を取り付けるか、または家人自身が照明器具を取り付ける。
照明システムK102を構成する直流機器102である照明器具に対する制御の指示は、赤外線リモコン装置を用いて与えるほか、直流供給線路Wdcに接続されたスイッチ141から通信信号を用いて与えることができる。すなわち、スイッチ141は直流機器102とともに通信の機能を有している。また、スイッチ141の操作によらず、宅内網の別の直流機器102あるいは宅内サーバ116から通信信号により制御の指示がなされることもある。照明器具への指示には、点灯、消灯、調光、点滅点灯などがある。
上述した直流コンセント131、引掛シーリング132には、任意の直流機器102を接続することができ、接続された直流機器102に直流電力を出力するから、以下では直流コンセント131、引掛シーリング132を区別する必要がない場合には「直流アウトレット」と呼ぶ。
これらの直流アウトレットは、直流機器102に直接設けた接触子(図示せず)または接続線を介して設けた接触子(図示せず)が差し込まれる差込式の接続口が器体に開口し、接続口に差し込まれた接触子に直接接触する接触子受けが器体に保持された構造を有している。すなわち、直流アウトレットは接触式で給電を行う。直流アウトレットに接続された直流機器102が通信機能を有する場合には、直流供給線路Wdcを通して通信信号を伝送することが可能になる。直流機器102だけではなく直流アウトレットにも通信機能が設けられている。
宅内サーバ116は、宅内網に接続されるだけではなく、インターネットを構築する広域網NTに接続される接続口を有している。宅内サーバ116が広域網NTに接続されている場合には、広域網NTに接続されたコンピュータサーバであるセンタサーバ200によるサービスを享受することができる。
センタサーバ200が提供するサービスには、広域網NTを通して宅内網に接続された機器(主として直流機器102であるが通信機能を有した他の機器も含む)の監視や制御を可能にするサービスがある。このサービスにより、パーソナルコンピュータ、インターネットTV、移動体電話機などのブラウザ機能を備える通信端末(図示せず)を用いて宅内網に接続された機器の監視や制御が可能になる。
宅内サーバ116は、広域網NTに接続されたセンタサーバ200との間の通信と、宅内網に接続された機器との間の通信との両方の機能を備え、宅内網の機器に関する識別情報(ここでは、IPアドレスを用いるものとする)の取得の機能を備える。
宅内サーバ116は、センタサーバ200との通信機能を用いることにより、広域網NTに接続された通信端末からセンタサーバ200を通して宅内の機器の監視や制御を可能にする。センタサーバ200は、宅内の機器と広域網NT上の通信端末とを仲介する。
通信端末から宅内の機器の監視や制御を行う場合は、監視や制御の要求をセンタサーバ200に記憶させ、宅内の機器は定期的に片方向のポーリング通信を行うことにより、通信端末からの監視や制御の要求を受信する。この動作により、通信端末から宅内の機器の監視や制御が可能になる。
また、宅内の機器において火災検知など通信端末に通知すべきイベントが生じたときには、宅内の機器からセンタサーバ200に通知し、センタサーバ200から通信端末に対して電子メールによる通知を行う。
宅内サーバ116における宅内網との通信機能のうち重要な機能は、宅内網を構成する機器の検出と管理である。宅内サーバ116では、UPnP(Universal Plug and Play)を応用して宅内網に接続された機器を自動的に検出する。宅内サーバ116はブラウザ機能を有する表示器117を備え、検出した機器の一覧を表示器117に表示する。この表示器117はタッチパネル式もしくは操作部が付設された構成を有し、表示器117の画面に表示された選択肢から所望の内容を選択する操作が可能になっている。したがって、宅内サーバ116の利用者(施工業者あるいは家人)は、表示器117の画面上で機器の監視ないし制御が可能になる。表示器117は宅内サーバ116とは分離して設けてもよい。
宅内サーバ116では、機器の接続に関する情報を管理しており、宅内網に接続された機器の種類や機能とアドレスとを把握する。したがって、宅内網の機器を連動動作させることができる。機器の接続に関する情報は上述のように自動的に検出されるが、機器を連動動作させるには、機器自身が保有する属性により自動的に関係付けを行うほか、宅内サーバ116にパーソナルコンピュータのような情報端末を接続し、情報端末のブラウザ機能を利用して機器の関係付けを行うこともできる。
機器の連動動作の関係は各機器がそれぞれ保持する。したがって、機器は宅内サーバ116を通すことなく連動動作することができる。各機器について、連動動作の関係付けを行うことにより、たとえば、機器であるスイッチの操作により、機器である照明器具の点灯あるいは消灯の動作を行うことが可能になる。また、連動動作の関係付けはサブシステム内で行うことが多いが、サブシステムを超える関係付けも可能である。
ところで、直流電力供給部101は、基本的には、商用電源のように宅外から供給される交流電源ACの電力変換により直流電力を生成する。図示する構成では、交流電源ACは、分電盤110に内器として取り付けられた主幹ブレーカ111を通して、スイッチング電源を含むAC/DCコンバータ112に入力される。AC/DCコンバータ112から出力される直流電力は、協調制御部113を通して各直流ブレーカ114に接続される。
直流電力供給部101には、交流電源ACから電力が供給されない期間(たとえば、商用電源ACの停電期間)に備えて二次電池162が設けられている。また、直流電力を生成する太陽電池161や燃料電池163を併用することも可能になっている。交流電源ACから直流電力を生成するAC/DCコンバータ112を備える主電源に対して、太陽電池161や二次電池162や燃料電池163は分散電源になる。なお、図示例において、太陽電池161、二次電池162、燃料電池163は出力電圧を制御する回路部を含み、二次電池162は放電だけではなく充電を制御する回路部も含んでいる。
分散電源のうち太陽電池161や燃料電池163は必ずしも設けなくてもよいが、二次電池162は設けるのが望ましい。二次電池162は主電源や他の分散電源により適時充電され、二次電池162の放電は、交流電源ACから電力が供給されない期間だけではなく必要に応じて適時に行われる。二次電池162の充放電や主電源と分散電源との協調は、協調制御部113により行われる。すなわち、協調制御部113は、直流電力供給部101を構成する主電源および分散電源から直流機器102への電力の配分を制御する直流電力制御部として機能する。なお、太陽電池161、二次電池162、燃料電池163の出力を交流電力に変換し、AC/DCコンバータ112の入力電力として用いる構成を採用してもよい。
直流機器102の駆動電圧は機器に応じた複数種類の電圧から選択されるから、協調制御部113にDC/DCコンバータを設け、主電源および分散電源から得られる直流電圧を必要な電圧に変換するのが望ましい。通常は、1系統のサブシステム(もしくは1台の直流ブレーカ114に接続された直流機器102)に対して1種類の電圧が供給されるが、1系統のサブシステムに対して3線以上を用いて複数種類の電圧を供給するように構成してもよい。あるいはまた、直流供給線路Wdcを2線式とし、線間に印加する電圧を時間経過に伴って変化させる構成を採用することも可能である。DC/DCコンバータは、直流ブレーカと同様に複数に分散して設けてもよい。
上述の構成例では、AC/DCコンバータ112を1個だけ図示しているが、複数個のAC/DCコンバータ112を並設することが可能であり、複数個のAC/DCコンバータ112を設けるときには、負荷の大きさに応じて運転するAC/DCコンバータ112の台数を増減させるのが望ましい。
上述したAC/DCコンバータ112、協調制御部113、直流ブレーカ114、太陽電池161、二次電池162、燃料電池163には通信機能が設けられており、主電源および分散電源や直流機器102を含む負荷の状態に対処する連携動作を行うことを可能にしている。この通信に用いる通信信号は、直流機器102に用いる通信信号と同様に直流電圧に重畳する形式で伝送する。
上述の例では主幹ブレーカ111から出力された交流電力をAC/DCコンバータ112により直流電力に変換するために、AC/DCコンバータ112を分電盤110内に配置しているが、主幹ブレーカ111の出力側において分電盤110内に設けた分岐ブレーカ(図示せず)で交流供給線路を複数系統に分岐し、各系統の交流供給線路にAC/DCコンバータを設けて系統ごとに直流電力に変換する構成を採用してもよい。
この場合、家屋Hの各階や各部屋を単位として直流電力供給部101を設けることができるから、直流電力供給部101を系統別に管理することができ、しかも、直流電力を利用する直流機器102との間の直流供給線路Wdcの距離が小さくなるから、直流供給線路Wdcでの電圧降下による電力損失を低減させることができる。また、主幹ブレーカ111および分岐ブレーカを分電盤110に収納し、AC/DCコンバータ112と協調制御部113と直流ブレーカ114と宅内サーバ116とを分電盤110とは別の盤に収納してもよい。
なお、本実施形態の回路遮断器はあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲を本実施形態の構成に限定する趣旨ではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更してもよい。これらの点は後述する実施形態2〜4においても同様である。
(実施形態2)
本実施形態の回路遮断器は、図6に示すように、誤結線判定手段3の構成が実施形態1と異なっており、その他の構成については実施形態1と同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態における誤結線判定手段3では、オペアンプ30の出力端子がコンパレータ31の非反転入力端子に接続され、コンパレータ31の反転入力端子が抵抗R34を介して高電位側出力端子51に接続されるとともに、ツェナーダイオードZD30を介してグラウンド端子52に接続されている。ここで抵抗R34の抵抗値は実施形態1と異なる値としてあり、コンパレータ31の反転入力端子には、過電圧検出用閾値Vthb(ただしVthb>0)が入力されるようになっている。
このコンパレータ31は、オペアンプ30の出力Voutが過電圧検出用閾値Vthbを下回っているときには、”L”レベルの信号を出力し、出力Voutが過電圧検出用閾値Vthbを上回った際に、”H”レベルの信号を出力する。なお、このコンパレータ31のプラス側の電源入力端子は電源生成手段5の高電位側出力端子51に、マイナス側の電源入力端子はグラウンド端子52にそれぞれ接続されている。
ここで、過電圧検出用閾値Vthbは、結線が正しい場合における高電位側電源端子10Hの電位VHより高い値、例えば回路遮断器に接続する予定の直流電源が、高電位側の電位Vphが24V、低電位側の電位Vplが0Vのものである場合には、高電位側電源端子10Hの電位VHである24Vより高い電位である40Vに対応する値に設定すればよい。ただし、この過電圧検出用閾値Vthbの値はあくまでも一例であって、過電圧検出用閾値Vthbを上記の値に限定する趣旨ではなく、このような過電圧検出用閾値Vthbの値は、実際に使用する直流電源の高電位側の電位Vphおよび低電位側の電位Vplや、交流電源の電圧値などを参照して定めればよい。
上述した誤結線判定手段3では、結線が正しく、高電位側電源端子10Hが適切な直流電源(上記の例でいう、高電位側の電位Vphが24V、低電位側の電位Vplが0Vの直流電源)の高電位側に接続されている場合には、高電位側電源端子10Hの電位VHは24Vととなり、Vthbより低いからコンパレータ31から”H”レベルの信号が出力されることはないが、高電位側電源端子10Hをより高い直流電源(例えば、高電位側の電位Vphが48V、低電位側の電位Vplが0Vの直流電源)の高電位側に接続した場合や、交流電源(一般の家庭用商用電源では、実効値が100Vあるいは200V)を接続した場合には、高電位側電源端子10Hの電位VHは、過電圧検出用閾値Vthbを上回ることがあるから、コンパレータ31から”H”レベルの信号が出力され、この”H”レベルの信号が、誤結線であることを示す検出信号となる。なお、誤結線判定手段3の他の構成は実施形態1と同様であるから説明を省略する。
次に本実施形態の回路遮断器における結線時の動作について説明する。まず、図7を参照して、適切な直流電源(本実施形態の場合、高電位側の電位Vphが24V、低電位側の電位Vplが0Vの直流電源)の高電位側に高電位側電源端子10Hを、低電位側に低電位側電源端子10Lをそれぞれ接続した(すなわち正しく結線が行われた)場合について説明する。時刻t5において上述の結線が行われた場合、高電位側電源端子10Hの電位VHは、図7(a)に示すように直流電源の高電位側の電位Vph(=24V)と等しい値となる。このとき、誤結線判定手段3のオペアンプ30の出力Voutは、図7(b)に示すように電位Vphに対応する値となり、過電圧検出用閾値Vthb(=40Vに対応する値)を下回るから、図7(c)に示すように、誤結線判定手段3からは”L”レベルの信号が出力される。この場合、制御手段4は引外し装置22を動作させないから、開閉手段20は釈放されない。
次に、図8を参照して、適切な直流電源より高い電圧の直流電源(本実施形態の場合、高電位側の電位Vphが48V、低電位側の電位Vplが0Vの直流電源)の高電位側に高電位側電源端子10Hを、端子10Hを、高電位側に低電位側電源端子10Lをそれぞれ接続した(すなわちより高い電圧の直流電源を接続するという誤結線を行った)場合について説明する。時刻t6において上述の結線が行われた場合、高電位側電源端子10Hの電位VHは、図8(a)に示すようにより高い直流電源の高電位側の電位Vph(=48V)と等しい値となる。このとき、誤結線判定手段3のオペアンプ30の出力Voutは、図8(b)に示すようにより高い直流電源の高電位側の電位Vphに対応する値となり、過電圧検出用閾値Vthbを上回るから、図8(c)に示すように、誤結線判定手段3からは”H”レベルの信号が出力される。この場合、制御手段4は引外し装置22を動作させるため、開閉手段20が釈放され、かつ報知手段6による報知が行われる。
最後に、図9を参照して、交流電源に回路遮断器を接続した(すなわち電源の種類を間違うという誤結線を行った)場合について説明する。時刻t7において上述の結線が行われた場合、低電位側電源端子10Lと高電位側電源端子10Hとの間には交流電圧が印加され、図9(a)に示すように正負が交互に現れ、誤結線判定手段3のオペアンプ30の出力Voutは、図9(b)に示すように交流電源の電位(一般の家庭用商用電源では、実効値が100Vあるいは200V)となるから、過電圧検出用閾値Vthbを上回った際に(時刻t8)、図9(c)に示すように、誤結線判定手段3からは”H”レベルの信号が出力される。この場合、制御手段4は引外し装置22を動作させるため、開閉手段20が釈放され、かつ報知手段6による報知が行われる。
以上述べた本実施形態の回路遮断器によれば、上記実施形態1と同様に、誤結線が行われた場合には、高電位側電源端子10Hと低電位側電源端子10Lの電位VH,VLは、正しく直流電源が接続された場合とは異なる電位となるので、高電位側電源端子10Hの電位VHと誤結線検出用の閾値とを比較することで、誤結線か否かの判定を行うことができ、誤結線であると判定された際には、制御手段4は、開閉手段20を釈放して、高電位側電源端子10Hおよび低電位側電源端子10Lそれぞれと負荷端子11H,11Lとの間を遮断して、負荷への給電を停止するから、誤結線によって負荷が破壊されてしまうことを防止できる。また、誤結線であることを報知する報知手段6を備えているので、誤結線が行われたことを報知することができるから、速やかに結線のやり直しを促すことができる。
特に、本実施形態の回路遮断器では、誤結線検出用の閾値として、結線が正しい場合における高電位側電源端子10Hの電位VH(すなわち直流電源の高電位側の電位Vpl)より高い過電圧検出用閾値Vthbを有し、高電位側電源端子10Hの電位が過電圧検出用閾値Vthbを上回ったときに、誤結線であると判定するから、より高い電圧の直流電源を接続するという誤結線と、直流電源ではなく交流電源を接続するという誤結線との2種類の誤結線を検出することが可能となる。
さらに、誤結線判定手段3は、高電位側電源端子10Hの電位VHを過電圧検出用閾値Vthbと比較するだけの簡単な回路構成であるから、コストの削減が図れる。
ところで、本実施形態の回路遮断器には、過電圧検出用閾値Vthbを調整する閾値調整手段を設けるようにしてもよく、例えば、抵抗R34を可変抵抗により構成することで簡易に実現できる。このようにすれば、回路遮断器を接続する直流電源の電圧に応じて過電圧検出用閾値Vthbを設定することが可能となり、様々な直流電源に採用することができるようになり、直流電源ごとに過電圧検出用閾値Vthbが異なる回路遮断器を用意する必要がなくなり、このような回路遮断器を複数包含するシステムの構築にかかるコストを低く抑えたり、回路遮断器の規格間違いを抑制したりすることが可能となる。
(実施形態3)
本実施形態の回路遮断器は、誤結線判定手段3の構成が実施形態1,2と異なっており、その他の構成については実施形態1と同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して図示および説明を省略する。
本実施形態における誤結線判定手段3では、オペアンプ30の出力端子は、コンパレータ31の反転入力端子と、コンパレータ32の非反転入力端子とにそれぞれ接続されている。コンパレータ31の非反転入力端子は、抵抗R34,R35の直列回路を介して高電位側出力端子51に接続されるとともに、ツェナーダイオードZD30を介してグラウンド端子52に接続されている。これによって、コンパレータ31の非反転入力端子には、不足電圧検出用閾値Vtha(ただしVtha>0)が入力されるようになっている。なお不足電圧検出用閾値Vthaについては上記実施形態1で述べたとおりである。
このコンパレータ31は、オペアンプ30の出力Voutが不足電圧検出用閾値Vthaを上回っているときには、”L”レベルの信号を出力し、出力Voutが不足電圧検出用閾値Vthaを下回った際に、”H”レベルの信号を出力する。なお、このコンパレータ31のプラス側の電源入力端子は電源生成手段5の高電位側出力端子51に、マイナス側の電源入力端子はグラウンド端子52にそれぞれ接続されている。
コンパレータ32の反転入力端子は、抵抗R34と抵抗R35との間に接続され、これによって、コンパレータ32の反転入力端子には、過電圧検出用閾値Vthb(ただしVthb>Vtha)が入力されるようになっている。なお過電圧検出用閾値Vthbについては上記実施形態2で述べたとおりである。
このコンパレータ32は、オペアンプ30の出力Voutが過電圧検出用閾値Vthbを下回っているときには、”L”レベルの信号を出力し、出力Voutが過電圧検出用閾値Vthbを上回った際に、”H”レベルの信号を出力する。なお、このコンパレータ32のプラス側の電源入力端子は電源生成手段5の高電位側出力端子51に、マイナス側の電源入力端子はグラウンド端子52にそれぞれ接続されている。
コンパレータ31,32の各出力は、ORゲート33に入力される。ORゲート33は、コンパレータ31,32の各出力の論理和を制御手段4に入力する。つまり、コンパレータ31,32のいずれかの出力が”H”レベルであれば、ORゲート33の出力も”H”レベルとなり、この”H”レベルの信号が上記検出信号として用いられる。
以下に本実施形態の回路遮断器における結線時の動作について説明する。まず、直流電源の高電位側に高電位側電源端子10Hを、低電位側に低電位側電源端子10Lをそれぞれ接続した(すなわち正しく結線が行われた)場合について説明する。上述の結線が行われた場合、高電位側電源端子10Hの電位VHは、直流電源の高電位側の電位Vph(=24V)と等しい値となる。このとき、誤結線判定手段3のオペアンプ30の出力Voutは電位Vphに対応する値となり(図2(a),図7(a)参照)、不足電圧検出用閾値Vthaと過電圧検出用閾値Vthbとの間の値となるから(図2(b),図7(b)参照)、コンパレータ31,32の出力は両方とも”L”レベルとなる(図2(c),図7(c)参照)。このように正しく結線が行われた場合、ORゲート33の出力は、”L”レベルとなる。
次に、直流電源の低電位側に高電位側電源端子10Hを、高電位側に低電位側電源端子10Lをそれぞれ接続した(すなわち電線を逆に接続するという誤結線を行った)場合について説明する。上述の結線が行われた場合、高電位側電源端子10Hの電位VHは、直流電源の低電位側の電位Vpl(=0V)と等しい値となる(図3(a)参照)。このとき、誤結線判定手段3のオペアンプ30の出力Voutは電位Vplに対応する値となり、不足電圧検出用閾値Vthaおよび過電圧検出用閾値Vthbを下回るから(図3(b),図7(b)参照)、コンパレータ31の出力は”H”レベルとなり(図3(c)参照)、コンパレータ32の出力は”L”レベルとなる(図7(c)参照)。このように電線を逆に接続するという誤結線が行われた場合も、ORゲート33の出力は、”H”レベルとなる。
次に、適切な直流電源より高い電圧の直流電源(本実施形態の場合、高電位側の電位Vphが48V、低電位側の電位Vplが0Vの直流電源)の高電位側に高電位側電源端子10Hを、端子10Hを、高電位側に低電位側電源端子10Lをそれぞれ接続した(すなわちより高い電圧の直流電源を接続するという誤結線を行った)場合について説明する。上述の結線が行われた場合、高電位側電源端子10Hの電位VHは、より高い直流電源の高電位側の電位Vph(=48V)と等しい値となる(図8(a)参照)。このとき、誤結線判定手段3のオペアンプ30の出力Voutはより高い直流電源の高電位側の電位Vphに対応する値となり、不足電圧検出用閾値Vthaおよび過電圧検出用閾値Vthbを上回る(図2(b),図8(b)参照)から、コンパレータ31の出力は”L”レベルとなり(図2(c)参照)、コンパレータ32の出力は”H”レベルとなる(図8(c)参照)。このようにより高い電圧の直流電源を接続するという誤結線が行われた場合も、ORゲート33の出力は、”H”レベルとなる。
最後に、交流電源に回路遮断器を接続した(すなわち電源の種類を間違うという誤結線を行った)場合について説明する。上述の結線が行われた場合、低電位側電源端子10Lと高電位側電源端子10Hとの間には交流電圧が印加され(図4(a),図9(a)参照)、誤結線判定手段3のオペアンプ30の出力Voutは交流電源の電位に対応する値となる(図4(b),図9(b)参照)から、不足電圧検出用閾値Vthaを下回った際、あるいは過電圧検出用閾値Vthbを上回った際に、誤結線判定手段3からは”H”レベルの信号が出力される(図4(c),図9(c)参照)。
このように電源の種類を間違うという誤結線が行われた場合も、ORゲート33の出力は、”H”レベルとなる。
そして、ORゲート33の出力が”L”レベルであるときには、制御手段4は引外し装置22を動作させないから、開閉手段20は釈放されず、”H”レベルであるときには、制御手段4は引外し装置22を動作させるため、開閉手段20が釈放され、かつ報知手段6による報知が行われる。
以上述べた本実施形態の回路遮断器によれば、上記実施形態1と同様に、誤結線が行われた場合には、高電位側電源端子10Hと低電位側電源端子10Lの電位VH,VLは、正しく直流電源が接続された場合とは異なる電位となるので、高電位側電源端子10Hの電位VHと誤結線検出用の閾値とを比較することで、誤結線か否かの判定を行うことができ、誤結線であると判定された際には、制御手段4は、開閉手段20を釈放して、高電位側電源端子10Hおよび低電位側電源端子10Lそれぞれと負荷端子11H,11Lとの間を遮断して、負荷への給電を停止するから、誤結線によって負荷が破壊されてしまうことを防止できる。また、誤結線であることを報知する報知手段6を備えているので、誤結線が行われたことを報知することができるから、速やかに結線のやり直しを促すことができる。
特に、本実施形態の回路遮断器では、誤結線検出用の閾値として、不足電圧検出用閾値Vthaと、過電圧検出用閾値Vthbとを有し、高電位側電源端子10Hの電位VHが不足電圧検出用閾値Vthaを下回ったとき、あるいは過電圧検出用閾値Vthbを上回ったときに、誤結線であると判定するから、直流電源の高電位側と低電位側とを逆に接続するという誤結線と、より高い電圧の直流電源を接続するという誤結線と、直流電源ではなく交流電源を接続するという誤結線との3種類の誤結線を検出することが可能となる。
さらに、誤結線判定手段3は、高電位側電源端子10Hの電位VHを不足電圧検出用閾値Vthaまたは過電圧検出用閾値Vthbと比較するだけの簡単な回路構成であるから、コストの削減が図れる。
また本実施形態の回路遮断器においても、不足電圧検出用閾値Vthaおよび過電圧検出用閾値Vthbそれぞれを調整する閾値調整手段を設けるようにしてもよく、例えば、抵抗R34,R35を可変抵抗により構成することで簡易に実現できる。
(実施形態4)
本実施形態の回路遮断器は、制御手段4の構成が実施形態1と異なっており、その他の構成については実施形態1と同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して図示および説明を省略する。
本実施形態における制御手段4は、上記実施形態1のものとは異なり、上記検出信号が入力された際には、報知手段6のみを動作させ、引外し装置22は動作させないようになっている。つまり、本実施形態では誤結線が検出された際に報知のみを行うようになっている。
したがって本実施形態の回路遮断器によれば、誤結線が行われた場合には、高電位側電源端子10Hと低電位側電源端子10Lの電位VH,VLは、正しく直流電源が接続された場合とは異なる電位となるので、高電位側電源端子10Hの電位VHと誤結線検出用の閾値とを比較することで、誤結線か否かの判定を行うことができ、誤結線であると判定された際には、報知手段6によって報知が行われるから、速やかに結線のやり直しを促すことができ、誤結線によって負荷が破壊されてしまうことを防止できる。
また、上記実施形態1と同様に、誤結線が行われた場合でも電源生成手段5により回路ブロックの動作電源が生成されるから、回路ブロックを確実に動作させることができ、回路ブロックに動作電源を供給するための電池などが不要になる。さらに、本実施形態のように報知のみを行う場合には、引外し装置22として、バイメタルなどを採用することができ、この場合、電流検出手段7および制御手段4による制御が不要となるから、回路構成を簡単にすることができ、低コスト化が図れる。
なお、本実施形態の技術的思想は、上記実施形態2,3にも適用することができる。