本発明の一実施形態の直流配電システムは、図1に示すように、直流電力の給電経路となる直流配電路1と、直流配電路1に分岐接続され直流配電路1より直流電力が供給される直流機器100と直流配電路1との間に挿入された直流配線用機器である分岐ブレーカ2および接続器3と、直流機器100に関連する情報を表示する表示部40を有した表示装置4とを備える。
なお、以下の説明では直流機器100を区別するために必要に応じて直流機器100を符号100A〜100Gで表す。また、直流機器100A〜100Cは住戸の寝室に設置されているとし、直流機器100D,100Eは住戸の子供部屋に設置されているとし、直流機器100F,100Gは住戸の廊下に設置されているとする。
直流配電路1は、母線である主幹電路10と、主幹電路10から分岐する分岐線である複数の分岐電路11とで構成される。直流配電路1の主幹電路10および分岐電路11は、例えば、金属材料(特に銅などの導電性が良好な金属材料が好ましい)により長尺板状に形成された導電バーなどからなる。なお、以下の説明では複数の分岐電路11を区別するために必要に応じて分岐電路11を符号11A〜11Cで表す。
このような主幹電路10には、電力変換装置5より直流電力が供給される。電力変換装置5は、電力系統(一例としては商用電源などの交流電源)ACより得た交流電力を主幹電路10に供給する直流電力に変換するものであり、例えばAC/DCコンバータなどを利用して構成される。
電力変換装置5と電力系統ACとの間には、主幹ブレーカ6が挿入される。主幹ブレーカ6は、電力系統ACに接続された一次側(入力側)の接続端子(図示せず)と、電力変換装置5に接続されたニ次側(出力側)の接続端子(図示せず)とを備える。この他、主幹ブレーカ6は、一次側の接続端子と二次側の接続端子との間に挿入された機械接点部などの開閉部(図示せず)を、手動操作用の操作ハンドル(図示せず)の操作に応じて開閉機構や、一次側の接続端子と二次側の接続端子との間に過電流(短絡電流や過負荷電流)が流れた際に開閉部を釈放させる引外し機構などを備える。このような主幹ブレーカ1は従来周知のものであるから、詳細な説明は省略する。
なお、上述した主幹ブレーカ6および電力変換装置5は、直流配電路1および分岐ブレーカ2とともに直流配電用の分電盤110(図3参照)を構成するものであって、これらはキャビネット(図示せず)に収納される。
分岐ブレーカ2は、直流配電路1の分岐電路11が接続される(直流配電路1より直流電力が供給される)入力側(電源側)となる一次側接続部20と、給電線となる直流供給線路Wdcが接続される出力側(負荷側)となる二次側接続部21とを具備した器体(図示せず)を備えている。分岐ブレーカ2は、一次側接続部20に分岐電路11を、二次側接続部21に直流供給線路Wdcをそれぞれ接続されることによって、直流機器100と直流配電路1との間に挿入される。なお、図1に示すように直流配電路1には、複数の分岐ブレーカ2が接続されているので、以下の説明では複数の分岐ブレーカ2を区別するために必要に応じて分岐ブレーカ2を符号2A〜2Cで表す。
分岐ブレーカ2の器体は、絶縁性を有する樹脂材料(一例としてはフェノール樹脂)により形成された樹脂成形品からなる。一次側接続部20は、例えば、ねじ端子や、速結端子、刃受けなどを利用して、分岐電路11が接続可能な形に形成され、二次側接続部21は、例えば、ねじ端子や速結端子などを利用して、給電路兼伝送路となる直流供給線路Wdcが接続可能な形に構成されている。なお、このような一次側接続部20および二次側接続部21については従来周知のものを採用できるから詳細な説明は省略する。
上述した分岐ブレーカ2の器体には、一次側接続部20と二次側接続部21との間に挿入された開閉手段22と、器体に変位自在(一例としては回動自在)に取り付けられた手動操作用の操作ハンドル(図示せず)を有し当該操作ハンドルの操作に応じて開閉手段22を開閉する開閉機構部23と、一次側接続部20と二次側接続部21との間に過電流が流れた際に開閉手段22を強制的に開放(釈放)させる引外し装置24とが収納される。
本実施形態では、開閉手段22として、器体に対して固定される固定接点(図示せず)と、当該固定接点に接離する可動接点(図示せず)とで構成された機械接点を採用している。なお、開閉手段22としては、MOSFETなどの半導体スイッチング素子を用いたものや、半導体スイッチング素子と機械接点とを併用したハイブリッド形のものであってもよい。
開閉機構部23は、開閉手段22の固定接点が固着された固定端子板や、開閉手段22の可動接点が固着された可動接触子、ばね材、係止部材などを機械的に結合することによって構成されており、手動操作用の操作ハンドルの操作に応じて開閉手段22の開閉を行う。引外し装置24は、過電流を検出した際に、開閉機構部23により開閉手段22を強制的に開放させるものであって、例えば、筒状のコイルボビン、コイルボビンの外周面に巻装されたコイル、コイルボビン内の軸方向一端側に設けられた固定鉄芯、コイルボビン内の軸方向他端側に軸方向にスライド移動自在に設けられた可動鉄芯(プランジャ)、固定鉄芯と可動鉄芯との間に介装されるコイルスプリングからなる復帰ばねなどを備えた電動トリップ装置や、バイメタルなどを備えている。このような引外し装置24では、短絡電流が流れた際に、可動鉄芯が固定鉄芯側に移動し、これによって開閉手段22の可動接点を固定接点から引外したり、過負荷電流が流れた際に、バイメタルが曲がり、これによって開閉手段22の可動接点を固定接点から引外したりするようになっている。なお、上述した開閉機構部23や、引外し装置24は、従来周知のものを採用できるから詳細な説明は省略する。
ここで、分岐ブレーカ2Bの構成は、分岐ブレーカ2A,2Cと異なっている。分岐ブレーカ2A〜2Cは上述したように一次側接続部20と、二次側接続部21と、開閉手段22と、開閉機構部23と、引外し装置24とを共通に備えているが、分岐ブレーカ2Bには、これらに加えて、分岐ブレーカ2Bに接続される直流機器100F,100Gの設置場所情報が格納された書き換え可能なメモリ(一例としてはフラッシュメモリ)からなる記憶部25と、記憶部25に格納された設置場所情報を表示装置4に送信する送信部26とが設けられる。
送信部26は、直流配電路1を伝送路(通信路)として表示装置4の後述する受信部41と通信を行うものである。送信部26と受信部41との間の通信に使用される通信信号は、高周波の搬送波を用いてデータを伝送する通信信号であって、直流電圧に重畳された形で直流配電路1上に送出される。このような通信技術は、交流電力を供給する電力線において交流電圧に通信信号を重畳させる電力線搬送技術と類似した技術である。
つまり、本実施形態の直流配電システムでは、複数の分岐ブレーカ2A〜2Cのうち、分岐ブレーカ2Bにのみ、直流機器100の設置場所情報を持たせている。
さらに、分岐ブレーカ2Bには、一次側接続部20と二次側接続部21との間に流れる電流を検出するカレントトランスなどの電流センサ27と、マイクロコンピュータ(マイコン)などからなる制御部28とが設けられる。
制御部28は、電流センサ27の検出結果に基づいて分岐ブレーカ2Bより直流機器100に供給される消費電力量(換言すれば、分岐ブレーカ2Bに接続された直流機器100の総消費電力量)を算出し、算出した消費電力量を記憶部25に格納された設置場所情報とともに表示装置4に送信させる。
本実施形態においては、直流機器100F,100Gは廊下に設置されているから、分岐ブレーカ2Bの記憶部25に格納される設置場所情報は、直流機器100F,100Gの設置場所である「廊下」となる。
そのため、分岐ブレーカ2Bは、直流機器100に関連する情報として、廊下に設置された直流機器100F,100Gの総消費電力量を、その設置場所情報とともに表示装置4に送信する。
このような分岐ブレーカ2Bには、設置場所情報を入力するための入力手段(図示せず)が具備される。ここで、入力手段としては、ディップスイッチが挙げられる。例えば、複数(例えば4つ)のディップスイッチの組み合わせによって、設置場所を、「寝室」、「台所」、「リビング」、「子供部屋」などから選択できるようにすればよい。また、上記入力手段は、必ずしも分岐ブレーカ2Bに設ける必要はなく、例えば、入力手段として専用のリモートコントローラ(リモコン)を採用することができる。つまり、リモコンが送信する通信信号(無線、有線の別を問わない)を受信する受信手段を分岐ブレーカ2Bに持たせることで、リモコンを利用して設置場所情報を入力することができるようにしてもよい。
一方、分岐ブレーカ2Aには、接続器3が複数接続される。以下の説明では複数の接続器3を区別するために必要に応じて符号3A〜3Eで表す。
接続器3は、任意の直流機器100を接続することができる直流アウトレットであり、直流機器100を接続する負荷接続部30を有している。このような負荷接続部30は、直流機器100に直接設けた接触子(図示せず)または接続線を介して設けた接触子(図示せず)が差し込まれる差込式の接続口が開口された器体と、当該器体に収納され接続口に差し込まれた接触子に直接接触する接触子受とで構成される。すなわち、接続器3は接触式で給電を行う。なお、接続器3に接続された直流機器100が通信機能を有する場合には、直流供給線路Wdcを通して通信信号を伝送することが可能になる。
本実施形態における接続器3A〜3Dは住戸の壁に設置されたコンセント(直流コンセント)であり、負荷接続部30としてはピン・ジャックが接続可能なピン・プラグなどが採用される。一方、接続器3Eは住戸の天井に設置された引掛シーリングであり、負荷接続部30としては引掛栓刃を係止する引掛刃受などが採用される。
本実施形態における接続器3は、負荷接続部30の他に、接続器3に接続される直流機器100の設置場所情報が格納された書き換え可能なメモリ(一例としてはフラッシュメモリ)からなる記憶部31と、直流配電路1を伝送路として記憶部31に格納された設置場所情報を表示装置4に送信する通信部32とを有する。この通信部32は、分岐ブレーカ2の送信部26と同様の通信技術を用いて、表示装置4の受信部41と通信を行うものである。なお、接続器3は、直流供給線路Wdcおよび分岐ブレーカ2を介して直流配電路1に接続されているから、直流供給線路Wdcも伝送路となる。
つまり、本実施形態の直流配電システムでは、複数の接続器3それぞれに直流機器100の設置場所情報を持たせている。
さらに、接続器3は、負荷接続部30に接続された直流機器100に流れる電流を検出するカレントトランスなどの電流センサ33と、マイクロコンピュータ(マイコン)などからなる制御部34とを有している。この制御部34は、電流センサ33の検出結果に基づいて負荷接続部30に接続された直流機器100に供給される消費電力量を算出し、算出した消費電力量を記憶部31に格納された設置場所情報とともに表示装置4に送信させる。なお、本実施形態の直流配電システムでは、直流機器100A〜100Cの設置場所は寝室であるから、接続器3A〜3Cの記憶部31に格納される設置場所情報は「寝室」に設定される。一方、直流機器100D,100Eの設置場所は子供部屋であるから、接続器3D,3Eの記憶部31に格納される設置場所情報は「子供部屋」に設定される。
ところで、接続器3には、分岐ブレーカ2Bと同様に、設置場所情報を入力するための入力手段(図示せず)が具備される。ここで、入力手段としては、上述したようなディップスイッチなどが挙げられる。また、上記入力手段は、必ずしも接続器3に設ける必要はなく、上述したように入力手段として専用のリモコンを採用することができる。入力手段としてリモコンを採用する場合には、通信部32をリモコンからの通信信号の受信手段として利用することが考えられる。すなわち、リモコンに接続器3の負荷接続部30に対応するジャック(図示せず)を設けるとともに、当該ジャックを接続器3の負荷接続部30に接続することで接続器3の通信部32と通信可能となる通信手段(図示せず)を設ければ、リモコンと接続器3とが通信可能となり、これによって設置場所情報の入力が行えるようになる。
表示装置4は、分岐ブレーカ2Cに接続されている。この表示装置4は、直流配電路1に接続されて直流配線用機器より設置場所情報を受信する前述の受信部41を有している。図1に示す例では、接続器3A〜3E、および分岐ブレーカ2Bが送信した直流機器100に関する情報とその設置場所情報とが受信部41で受信される。
また、表示装置4は、上述した表示部40と、マイコンなどからなり表示部40を制御する表示制御部42とを有している。なお、表示部40としては、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)や有機ELディスプレイなどを採用している。
表示制御部42は、受信部41で受信した直流機器100に関する情報(本実施形態では消費電力量)を表示部40で表示するのであるが、直流機器100に関する情報(本実施形態では消費電力量)を表示部40で表示するにあたっては、図2に示すように、直流機器100の情報を当該直流機器100が接続されている直流配線用機器の設置場所情報と関連付けて表示する。図2に示す例では、表示制御部42は、直流機器100A〜100Cの消費電力量の合計値をこれらの設置場所を表す「寝室」という文字とともに表示し、直流機器100D,100Eそれぞれの消費電力量の合計値をこれらの設置場所を表す「子供部屋」という文字とともに表示し、直流機器100E,100Fによる総消費電力量をこれらの設置場所を表す「廊下」という文字とともに表示する。なお、図2に示す例では、表示内容を示す文字として、「電力使用状況」を表示するとともに、「寝室」と「子供部屋」と「廊下」との消費電力量の合計値と、最大容量とを表示するようにしている。なお、表示部40に表示させる画像は図2に示す例に限定されない。
以上述べた本実施形態の直流配電システムによれば、直流配電路1と当該直流配電路1に分岐接続される直流機器100との間に挿入される直流配線用機器である分岐ブレーカ2Bおよび接続器3A〜3Eに設置場所情報を持たせて、当該設置場所情報を表示装置4に送信するようにしているから、直流機器100に関連する情報をその設置場所とともに表示することができ、直流機器100の管理が容易に行えるようになる。そのため、直流機器100に異常があると判断した場合に、異常の原因となっている直流機器100を容易に探し出すことができる。
また、本実施形態の直流配電システムでは、直流配線用機器として、直流配電路1の主幹電路10から分岐する分岐電路11に接続された分岐ブレーカ2Bを用いている。ここで、分岐ブレーカ2は、住戸の部屋や廊下などのブロック毎に設置されることが多いから、このような分岐ブレーカ2に設置場所情報を持たせることによって、直流機器100の設置場所情報を、部屋(居室、寝室、子供部屋など)や廊下(一階廊下、二階廊下など)といった住戸のブロック毎に設定することが可能になる。
また、直流配線用機器として、直流機器100の接続に用いられる接続器3を用いており、接続器3は住戸内の様々な場所に設置されるものであるから、直流機器100の設置場所を部屋(居室、寝室、子供部屋など)や廊下(一階廊下、二階廊下など)といったブロック毎、さらにはブロック内の所定場所(例えば部屋の入り口や窓側など)毎に設定することが可能になる。
上述した本実施形態の直流配電システムは、例えば、図3に示すような配電システムに適用することができる。なお、図3では、配電システムを設置する建物として戸建て住宅の家屋Hを想定して説明しているが、集合住宅に適用してもよい。
家屋Hには、図3に示すように、直流電力を出力する直流電力供給部101と、直流電力により駆動される負荷としての直流機器100とが設けられ、直流電力供給部101の出力端部に接続した直流供給線路Wdcを通して直流機器100に直流電力が供給される。直流電力供給部101と直流機器100との間には、直流供給線路Wdcに流れる電流を監視し、異常を検知したときに直流供給線路Wdc上で直流電力供給部101から直流機器100への給電を制限ないし遮断する直流ブレーカ114が設けられる。
直流供給線路Wdcは、直流電力の給電路であるとともに通信路としても兼用されており、高周波の搬送波を用いてデータを伝送する通信信号を直流電圧に重畳することにより直流供給線路Wdcに接続された機器間での通信を可能にしている。この技術は、交流電力を供給する電力線において交流電圧に通信信号を重畳させる電力線搬送技術と類似した技術である。
直流供給線路Wdcは、直流電力供給部101を介して宅内サーバ116に接続される。宅内サーバ116は、宅内の通信網(以下、「宅内網」という)を構築する主装置であり、宅内網において直流機器100が構築するサブシステムなどと通信を行う。
図示例では、サブシステムとして、パーソナルコンピュータ、無線アクセスポイント、ルータ、IP電話機のような情報系の直流機器100からなる情報機器システムK101、照明器具のような照明系の直流機器100からなる照明システムK102,K105、来客対応や侵入者の監視などを行う直流機器100からなるインターホンシステムK103、火災感知器のような警報系の直流機器100からなる住警器システムK104などがある。各サブシステムは、自立分散システムを構成しており、サブシステム単独でも動作が可能になっている。
上述した直流ブレーカ114は、サブシステムに関連付けて設けられており、図示例では、情報機器システムK101、照明システムK102およびインターホンシステムK103、住警器システムK104、照明システムK105に関連付けて4個の直流ブレーカ114を設けている。1台の直流ブレーカ114に複数個のサブシステムを関連付ける場合には、サブシステムごとに直流供給線路Wdcの系統を分割する接続ボックス121が設けられる。図示例においては、照明システムK102とインターホンシステムK103との間に接続ボックス121が設けられている。
情報機器システムK101としては、壁コンセントあるいは床コンセントの形態で家屋Hに先行配置(家屋Hの建築時に施工)される直流コンセント131に接続される直流機器100からなる情報機器システムK101が設けられる。
照明システムK102、K105としては、家屋Hに先行配置される照明器具(直流機器100)からなる照明システムK102と、天井に先行配置される引掛シーリング132に接続する照明器具(直流機器100)からなる照明システムK105とが設けられる。引掛シーリング132には、家屋Hの内装施工時に施工業者が照明器具を取り付けるか、または家人自身が照明器具を取り付ける。
照明システムK102を構成する直流機器100である照明器具に対する制御の指示は、赤外線リモコン装置を用いて与えるほか、直流供給線路Wdcに接続されたスイッチ141から通信信号を用いて与えることができる。すなわち、スイッチ141は直流機器100とともに通信の機能を有している。また、スイッチ141の操作によらず、宅内網の別の直流機器100あるいは宅内サーバ116から通信信号により制御の指示がなされることもある。照明器具への指示には、点灯、消灯、調光、点滅点灯などがある。
上述した直流コンセント131、引掛シーリング132には、任意の直流機器100を接続することができ、接続された直流機器100に直流電力を出力するから、以下では直流コンセント131、引掛シーリング132を区別する必要がない場合には「直流アウトレット」と呼ぶ。
これらの直流アウトレットは、直流機器100に直接設けた接触子(図示せず)または接続線を介して設けた接触子(図示せず)が差し込まれる差込式の接続口が器体に開口し、接続口に差し込まれた接触子に直接接触する接触子受けが器体に保持された構造を有している。すなわち、直流アウトレットは接触式で給電を行う。直流アウトレットに接続された直流機器100が通信機能を有する場合には、直流供給線路Wdcを通して通信信号を伝送することが可能になる。直流機器100だけではなく直流アウトレットにも通信機能が設けられている。
宅内サーバ116は、宅内網に接続されるだけではなく、インターネットを構築する広域網NTに接続される接続口を有している。宅内サーバ116が広域網NTに接続されている場合には、広域網NTに接続されたコンピュータサーバであるセンタサーバ200によるサービスを享受することができる。
センタサーバ200が提供するサービスには、広域網NTを通して宅内網に接続された機器(主として直流機器100であるが通信機能を有した他の機器も含む)の監視や制御を可能にするサービスがある。このサービスにより、パーソナルコンピュータ、インターネットTV、移動体電話機などのブラウザ機能を備える通信端末(図示せず)を用いて宅内網に接続された機器の監視や制御が可能になる。
宅内サーバ116は、広域網NTに接続されたセンタサーバ200との間の通信と、宅内網に接続された機器との間の通信との両方の機能を備え、宅内網の機器に関する識別情報(ここでは、IPアドレスを用いるものとする)の取得の機能を備える。
宅内サーバ116は、センタサーバ200との通信機能を用いることにより、広域網NTに接続された通信端末からセンタサーバ200を通して宅内の機器の監視や制御を可能にする。センタサーバ200は、宅内の機器と広域網NT上の通信端末とを仲介する。
通信端末から宅内の機器の監視や制御を行う場合は、監視や制御の要求をセンタサーバ200に記憶させ、宅内の機器は定期的に片方向のポーリング通信を行うことにより、通信端末からの監視や制御の要求を受信する。この動作により、通信端末から宅内の機器の監視や制御が可能になる。
また、宅内の機器において火災検知など通信端末に通知すべきイベントが生じたときには、宅内の機器からセンタサーバ200に通知し、センタサーバ200から通信端末に対して電子メールによる通知を行う。
宅内サーバ116における宅内網との通信機能のうち重要な機能は、宅内網を構成する機器の検出と管理である。宅内サーバ116では、UPnP(Universal Plug and Play)を応用して宅内網に接続された機器を自動的に検出する。宅内サーバ116はブラウザ機能を有する表示器117を備え、検出した機器の一覧を表示器117に表示する。この表示器117はタッチパネル式もしくは操作部が付設された構成を有し、表示器117の画面に表示された選択肢から所望の内容を選択する操作が可能になっている。したがって、宅内サーバ116の利用者(施工業者あるいは家人)は、表示器117の画面上で機器の監視ないし制御が可能になる。表示器117は宅内サーバ116とは分離して設けてもよい。
宅内サーバ116では、機器の接続に関する情報を管理しており、宅内網に接続された機器の種類や機能とアドレスとを把握する。したがって、宅内網の機器を連動動作させることができる。機器の接続に関する情報は上述のように自動的に検出されるが、機器を連動動作させるには、機器自身が保有する属性により自動的に関係付けを行うほか、宅内サーバ116にパーソナルコンピュータのような情報端末を接続し、情報端末のブラウザ機能を利用して機器の関係付けを行うこともできる。
機器の連動動作の関係は各機器がそれぞれ保持する。したがって、機器は宅内サーバ116を通すことなく連動動作することができる。各機器について、連動動作の関係付けを行うことにより、たとえば、機器であるスイッチの操作により、機器である照明器具の点灯あるいは消灯の動作を行うことが可能になる。また、連動動作の関係付けはサブシステム内で行うことが多いが、サブシステムを超える関係付けも可能である。
ところで、直流電力供給部101は、基本的には、商用電源のように宅外から供給される交流電源ACの電力変換により直流電力を生成する。図示する構成では、交流電源ACは、分電盤110に内器として取り付けられた主幹ブレーカ111を通して、スイッチング電源を含むAC/DCコンバータ112に入力される。AC/DCコンバータ112から出力される直流電力は、協調制御部113を通して各直流ブレーカ114に接続される。
直流電力供給部101には、交流電源ACから電力が供給されない期間(たとえば、商用電源ACの停電期間)に備えて二次電池162が設けられている。また、直流電力を生成する太陽電池161や燃料電池163を併用することも可能になっている。交流電源ACから直流電力を生成するAC/DCコンバータ112を備える主電源に対して、太陽電池161や二次電池162や燃料電池163は分散電源になる。なお、図示例において、太陽電池161、二次電池162、燃料電池163は出力電圧を制御する回路部を含み、二次電池162は放電だけではなく充電を制御する回路部も含んでいる。
分散電源のうち太陽電池161や燃料電池163は必ずしも設けなくてもよいが、二次電池162は設けるのが望ましい。二次電池162は主電源や他の分散電源により適時充電され、二次電池162の放電は、交流電源ACから電力が供給されない期間だけではなく必要に応じて適時に行われる。二次電池162の充放電や主電源と分散電源との協調は、協調制御部113により行われる。すなわち、協調制御部113は、直流電力供給部101を構成する主電源および分散電源から直流機器100への電力の配分を制御する直流電力制御部として機能する。なお、太陽電池161、二次電池162、燃料電池163の出力を交流電力に変換し、AC/DCコンバータ112の入力電力として用いる構成を採用してもよい。
直流機器100の駆動電圧は機器に応じた複数種類の電圧から選択されるから、協調制御部113にDC/DCコンバータを設け、主電源および分散電源から得られる直流電圧を必要な電圧に変換するのが望ましい。通常は、1系統のサブシステム(もしくは1台の直流ブレーカ114に接続された直流機器100)に対して1種類の電圧が供給されるが、1系統のサブシステムに対して3線以上を用いて複数種類の電圧を供給するように構成してもよい。あるいはまた、直流供給線路Wdcを2線式とし、線間に印加する電圧を時間経過に伴って変化させる構成を採用することも可能である。DC/DCコンバータは、直流ブレーカと同様に複数に分散して設けてもよい。
上述の構成例では、AC/DCコンバータ112を1個だけ図示しているが、複数個のAC/DCコンバータ112を並設することが可能であり、複数個のAC/DCコンバータ112を設けるときには、負荷の大きさに応じて運転するAC/DCコンバータ112の台数を増減させるのが望ましい。
上述したAC/DCコンバータ112、協調制御部113、直流ブレーカ114、太陽電池161、二次電池162、燃料電池163には通信機能が設けられており、主電源および分散電源や直流機器100を含む負荷の状態に対処する連携動作を行うことを可能にしている。この通信に用いる通信信号は、直流機器2に用いる通信信号と同様に直流電圧に重畳する形式で伝送する。
上述の例では主幹ブレーカ111から出力された交流電力をAC/DCコンバータ112により直流電力に変換するために、AC/DCコンバータ112を分電盤110内に配置しているが、主幹ブレーカ111の出力側において分電盤110内に設けた分岐ブレーカ(図示せず)で交流供給線路を複数系統に分岐し、各系統の交流供給線路にAC/DCコンバータを設けて系統ごとに直流電力に変換する構成を採用してもよい。
この場合、家屋Hの各階や各部屋を単位として直流電力供給部101を設けることができるから、直流電力供給部101を系統別に管理することができ、しかも、直流電力を利用する直流機器100との間の直流供給線路Wdcの距離が小さくなるから、直流供給線路Wdcでの電圧降下による電力損失を低減させることができる。また、主幹ブレーカ111および直流ブレーカ114を分電盤110に収納し、AC/DCコンバータ112と協調制御部113と直流ブレーカ114と宅内サーバ116とを分電盤110とは別の盤に収納してもよい。
このような図3に示す配電システムにおいて、いずれかの直流供給線路Wdcに本実施形態の表示装置4を接続するとともに、直流ブレーカ114を、設置場所情報を持たせた分岐ブレーカ2(上記の例では分岐ブレーカ2B)に置き換えるか、あるいは直流アウトレットを、設置場所情報を持たせた接続器3に置き換えることによって、本実施形態の直流配電システムを図3に示す配電システムに組み込むことができる。
以上述べた本実施形態の直流配電システムは、あくまでも本発明の一実施形態に過ぎないものであって、本発明の技術的範囲を本実施形態の直流配電システムに限定する趣旨ではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変更は当然に行える。
例えば、上記の例では、分岐ブレーカ2Bや接続器3は直流機器100に関連する情報として消費電力量を検出可能なものであるが、必ずしも直流機器100に関連する情報を検出可能とする必要はなく、例えば、直流機器100が自身の情報を分岐ブレーカ2Bや接続器3に送信し、分岐ブレーカ2Bや接続器3で受信した情報に、その設置場所情報を付して表示装置4に送信するようにしてもよい。
また、上記の例では、直流機器100に関連する情報として、消費電力量を採用しているが、直流機器100が火災感知器や、人体検知器や電気錠などの防犯機器である場合には、その検知結果(火災感知器にあっては火災の有無、防犯機器にあっては侵入者の有無など)を、直流機器100に関連する情報として採用することができる。さらに、直流機器100に関連する情報としては、直流機器100の寿命や、故障など種々のものを採用することができる。
また、図1に示す例では、分岐ブレーカ2Bにのみ設置場所情報を持たせているが、分岐ブレーカ2A,2Cにも設置場所を持たせるようにしてもよく、この場合、接続器3A〜3Eは設置場所情報を持たない構成とすることができる。さらに、直流機器100自体に設置場所情報を持たせるようにしてもよく、このような直流機器100は、分岐ブレーカ2Bや接続器3の構成を転用することによって容易に実現できる。