JP2009157409A - 光導波路の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の光導波路構造体は、光を伝送するコア部および前記コア部の外周に接合されたクラッド部を有する光導波路と、前記コア部の光の伝送方向に対して傾斜した傾斜面を有する反射部と、を有する光導波路構造体であって、前記傾斜面の平滑度を向上する処理を施していることを特徴とする。また、本発明の電子機器は、上記に記載の光導波路構造体を用いることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
(1)光を伝送するコア部および前記コア部の外周に接合されたクラッド部を有する光導波路と、前記コア部の光の伝送方向に対して傾斜した傾斜面を有する反射部と、を有する光導波路構造体であって、前記傾斜面の平滑度を向上する処理を施していることを特徴とする光導波路構造体。
(2)前記平滑度を向上する処理は、前記傾斜面に設けられた樹脂層である上記(1)に記載の光導波路構造体。
(3)前記樹脂層の屈折率は、前記コア部の屈折率と同じまたはそれより高いものである上記(2)に記載の光導波路構造体。
(4)前記樹脂層の屈折率と、前記コア部の屈折率との差が4%以下である上記(3)に記載の光導波路構造体。
(5)前記樹脂層の厚さは、0.1〜10μmである上記(2)ないし(4)のいずれかに記載の光導波路構造体。
(6)前記樹脂層は、エポキシ樹脂を含む樹脂組成物で構成されているものである上記(2)ないし(5)のいずれかに記載の光導波路構造体。
(7)前記樹脂層は、アクリル樹脂を含む樹脂組成物で構成されているものである上記(2)ないし(5)のいずれかに記載の光導波路構造体。
(8)前記コア部は、ノルボルネン系樹脂を含む樹脂組成物で構成されているものである上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の光導波路構造体。
(9)上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の光導波路構造体を用いることを特徴とする電子機器。
また、前記平滑度を向上する処理を前記斜面に設けられた樹脂層とした場合、反射部の平滑度を特に向上することができ、それによって光損失をより低減することができる。
また、光導波路を構成する材料としてノルボルネン系樹脂を用いた場合、光導波路構造体の絶縁性および耐熱性をより向上することができることに加え、吸湿性を低くすることもできる。
図1は、光導波路構造体の一例を模式的に示す断面図である。図2は、光導波路の反射部を拡大して示した断面図である。
(光導波路構造体)
図1に示すように、光導波路構造体100は、光導波路形成基板1の一方面側に、光デバイス2および電子デバイス3が端子部4を介して設けられている。端子部4は、封止樹脂5で封止されている。光デバイス2の下部(図1中の下部)には、受発光部21が設けられている。
光導波路形成基板1の他方面側には電気配線6が設けられており、電気配線6と、端子部4とが、光導波路形成基板1を貫通するように設けられたプラグ61を介して電気的に接続されている。
光導波路形成基板1は、絶縁層11と、光導波路12と、絶縁層13とがこの順に積層されている。
光導波路12は、光を伝送するコア部121と、コア部の外周に接合されたクラッド部122とで構成されている。
光導波路形成基板1には、光導波路12中を伝送してきた光を反射させる反射部7が受発光部21の下部(図1中の下部)に設けられている。
絶縁層11は、電気配線6と、電子デバイス3および光デバイス2との絶縁性を維持するために設けられるものである。
絶縁層11を構成する樹脂としては、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、未変性のレゾールフェノール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油等で変性した油変性レゾールフェノール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂等のフェノール系樹脂、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂等のトリアジン環を有する樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ビスマレイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂、シアネートエステル系樹脂、ポリイミド樹脂等のポリイミド系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等のポリアミド系樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、特に、ポリイミド系樹脂およびエポキシ系樹脂の中から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂を用いることが好ましい。これにより、絶縁性をより向上できる。
絶縁層11と絶縁層13とは、同じ樹脂で構成されていても、異なる樹脂で構成されていても良い。
絶縁層13を構成する樹脂としては、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、未変性のレゾールフェノール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油等で変性した油変性レゾールフェノール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂等のフェノール系樹脂、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂等のトリアジン環を有する樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ビスマレイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂、シアネートエステル系樹脂、ポリイミド樹脂等のポリイミド系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等のポリアミド系樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、特に、ポリイミド系樹脂およびエポキシ系樹脂の中から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂を用いることが好ましい。これにより、絶縁性をより向上できる。
光導波路12は、光を伝送するコア部121と、コア部の外周に接合されたクラッド部122とで構成されている。
コア部121を構成する材料としては、例えばアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、ノルボルネン系樹脂等の環状オレフィン系樹脂等の樹脂材料が挙げられる。これらの中でもノルボルネン系樹脂(特に、ノルボルネン系樹脂の付加重合体)が好ましい。これにより、絶縁性および耐熱性に優れる。さらに、他の樹脂を用いた場合と比較して吸湿性を低くすることもできる。
前記露光に用いる活性放射線としては、可視光、紫外光、赤外光、レーザー光等の活性エネルギー光線や電子線、X線等が挙げられる。電子線は、例えば50〜2,000KGy程度の照射量で照射することができる。
クラッド部122を構成する材料としては、コア部121を構成する材料より屈折率が低いものであれば、特に限定されない。具体的には、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノルボルネン系樹脂等の環状オレフィン系樹脂等の樹脂材料が挙げられる。これらの中でもノルボルネン系樹脂(特に、ノルボルネン系樹脂の付加重合体)が好ましい。これにより、絶縁性および耐熱性に優れる。さらに、他の樹脂を用いた場合と比較して吸湿性を低くすることもできる。
上述のような光導波路12は、例えば「予め形成した凹部にコア部を設け、その周囲をクラッド材で覆う方法」、「クラッド層、コア層、クラッド層で構成されている積層体に紫外線等の活性化エネルギーを照射してコア層の一部の構造を変化させることによりコア部を形成する方法」等の公知の方法によって得ることができる。
上述のような方法で得た光導波路12と、絶縁層11等とを接合して光導波路形成基板1を得ることができる。
図2に示すように、反射部7は、上述のような光導波路形成基板1の下方面側から断面が三角形状の空間を設けることによって形成された傾斜面71を有している。
傾斜面71は、コア部121の光の伝送方向に対して傾斜するようになっている。これにより、例えば図2中の矢印Aに示すようにコア部121を伝送してきた光が反射されて光の伝送方向を変更することができる。
本発明では、この傾斜面71には、傾斜面71の平滑度を向上する処理が施されていることを特徴とする。従来の光導波路に形成されているミラー等の反射部では、ダイシング加工により反射面を形成するために表面に微小な凹凸が形成されることが原因となって反射面での光の散乱等によって光損失が大きくなる場合があった。そのため、受発光部に光信号を十分に伝送することができない場合があった。
本発明者らは、この原因について究明し、その対応策として反射部7の傾斜面71の平滑度を向上させることで光の損失をより低下させることができることを見出した。
この前記式(4)で示されるエポキシ系樹脂に対する屈折率調整剤も、前記エポキシ系樹脂に対して相溶性を有し、かつ前記エポキシ系樹脂の屈折率よりも低いものであれば、特に限定されない。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ、ビスフェノールF型エポキシ、シクロヘキセンオキシド、脂肪族エポキシ等が挙げられる。これらの中でも下記式(6)で示されるシクロヘキセンオキシド化合物の屈折率調整剤が好ましい。
前記有機溶媒としては、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のプロピレングリコールエーテル系溶媒、イソプルパノール等のアルコール系溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒の中でも、光導波路12を構成する材料に対して貧溶媒となる溶媒が特に好ましい。これにより、傾斜面71が溶媒で膨潤等されるのを防止することができる。
まず、反射部7の形成方法について説明する。
本発明の反射部7の形成方法を簡単に説明すると、図3に示すようにコア部121と、コア部121の外周に接合されたクラッド部122とで構成される光導波路12の反射部7を形成する部分7’にレーザー8を照射して、照射部分の光導波路12の構成材料を除去して反射部7を形成するものである。このように、レーザー8の照射により反射部7を形成することができるので、任意の位置に、任意のパターンで反射部7を形成することが容易となる。ゆえに、光配線のパターンの形成を容易にできる。
まず、マスク81を介してレーザー8を照射すると共に、光導波路12をレーザー8に対して水平方向(A方向)に移動させる(レーザー8と、マスク81は移動しない)。その際に、光導波路12の各部分に照射されるレーザー8の照射時間が変化するので、レーザー8の光導波路12に対する深さ方向の到達度が異なり、光導波路12の構成材料を深さ方向に連続的に除去して傾斜面71を形成する(図4)。
次に、光導波路12は水平方向に移動するので、レーザー8により照射される照射部分82が水平方向に移動することになる。ここで、レーザー8が照射される照射部分82のサイズは変わらないので、照射部分82の左側部(図4中の左側)では、光導波路12の移動により、レーザー8が照射されず、光導波路12を構成する材料がこれ以上除去されないことになる。
一方、照射部分82の中央近傍は、依然としてレーザー8が照射されているので、左側部分よりも深く光導波路12を構成する材料が除去されることになる。
また、照射部分82の右側の部分は、光導波路12の移動によってレーザー8が新たに照射されるようになった部分である。ゆえに、レーザー8が新たに照射された時間分だけ、光導波路12を構成する材料が除去される。
このようにして得られる反射部7の傾斜面71の角度は、例えば光導波路12の移動速度と、照射するレーザー8のエネルギー密度を調整することにより適宜調整することができる。特に、傾斜面71の角度を45度近傍にする場合、45度よりも若干低い角度にすることが好ましい。
ここでは、傾斜面71の平滑度を向上する処理として樹脂層72を形成する方法について説明する。
図5に示すように、レーザー8の照射で光導波路12の構成材料が除去された部分(傾斜面71が形成されている近傍の部分)に最終的に樹脂層72(不図示)を形成する樹脂組成物72’を滴下する。
これに対して、本発明の光導波路構造体ではレーザー8の利用により、反射部7を形成することができるので、任意の位置に、任意のパターンで反射部7を容易に形成することができ、光配線の自由度を向上することができる。
例えば、図6に示すように光導波路12は、一端側(図6中右側)に5本のコア部121に対応する5つの反射部7aと、中央部に3つの反射部7bと、他端部に2つの反射部7cとを有している。これにより、コア部121を介して基板(不図示)からの信号を伝送し、その一部を反射部7bによって途中で光信号を受信、発信することができ、残りを反射部7cによって光信号を受信、発信することができる。
(実施例1)
1.光導波路の製造
・触媒前駆体C1:Pd(OAc)2(P(Cy)3)2の合成
漏斗を装備した2口丸底フラスコで、Pd(OAc)2(5.00g、22.3mmol)とCH2Cl2(30mL)からなる赤茶色懸濁液を−78℃で攪拌した。Cyはシクロヘキシル基を表し、Acは、アセチル基を表す。
漏斗に、P(Cy)3(13.12mL(44.6mmol))のCH2Cl2溶液(30mL)を入れ、そして、15分かけて上記攪拌懸濁液に滴下した。その結果、徐々に赤褐色から黄色に変化した。
−78℃で1時間攪拌した後、懸濁液を室温に温め、さらに2時間攪拌して、ヘキサン(20mL)で希釈した。
次に、この黄色の固体を空気中でろ過し、ペンタンで洗浄し(5×10mL)、真空乾燥して1次収集物を得た。
2次収集物は、ろ液を0℃に冷却して分離し、上記と同様に洗浄して乾燥させた。
収率は、15.42g(88%)であった。NMRのデータは次のようになった。1H−NMR(δ,CD2Cl2):1.18−1.32(br m,18H,Cy),1.69(br m,18H,Cy),1.80(br m,18H,Cy),1.84(s,6H,CH3),2.00(br d,12H,Cy),31P−NMR(δ,CD2Cl2):21.2(s)。以下、得られた1次収集物および2次収集物を、触媒前駆体C1とした。
・ポリマーP1:ヘキシルノルボルネン(HxNB)/ジフェニルメチルノルボルネンメトキシシラン(diPhNB)コポリマーの合成
HxNB(8.94g,0.05mol)、diPhNB(16.1g,0.05mol)、1−ヘキセン(4.2g,0.05mol)およびトルエン(142.0g)を、250mLのシーラムボトルで混合し、オイルバスで120℃に加熱して溶液を形成した。
この溶液に、[Pd(PCy3)2(O2CCH3)(NCCH3)]テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(以下、「Pd1446」と略す。)(5.8×10−3g,4.0×10−6mol)およびN,N−ジメルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(以下、「DANFABA」と略す。)(3.2×10−3g,4.0×10−6mol)を、それぞれ濃縮ジクロロメタン溶液の形態で加えた。
添加後、得られた溶液を120℃で6時間維持した。勢いよく攪拌された混合物にメタノールを滴下すると共重合体が沈殿した。沈殿した共重合体をろ過して集め、80℃のオーブンで、真空乾燥した。乾燥後の重量は、12.0gであった(収率:48%)。得られた共重合体の分子量を、THFを溶媒としてGPC法(ゲル浸透クロマトグラフィー法)で測定すると(ポリスチレン換算)、Mw=16,196およびMn=8,448であった。共重合体の組成を、1H−NMRで測定すると、1H−NMR:54/46=HxNB/diPhNBコポリマーであった。以下、HxNB/diPhNBコポリマーを、ポリマーP1とした。
ポリマーP1(共重合体)の屈折率(屈折率は、プリズムカップリング法で測定、以下、同じ)は、波長633nmで、TEモードで1.5569であり、TMモードで1.5555であった。
ヘキシルノルボルネン(42.03g,0.24mol)およびジメチルビス(ノルボルネンメトキシ)シラン(7.97g,0.026mol)を秤量し、ガラス瓶にいれた。
このモノマー溶液に、酸化防止剤として、Ciba IRGANOX 1076(0.5g)およびCiba IRGAFOS 168(0.125g)を加え、モノマー酸化防止剤溶液を得た。
上記のポリマーP1を10wt%となるようにメシチレンに溶解した溶液(30.0g)に、モノマー酸化防止剤溶液(3.0g)、上記の触媒前駆体C1(4.94×10−4g,6.29×10−7mol、メチレンクロライド0.1mL中)、光酸発生剤(助触媒)として、RHODORSIL PHOTOINITIATOR 2074(2.55×10−3g,2.51×10−6mol、メチレンクロライド0.1mL中)を加えて、ワニスV1を調製した。
このワニスV1を0.2μmの細孔のフィルターでろ過して使用した。以下、Ciba IRGANOX 1076を「IRGANOX 1076」と、Ciba IRGAFOS 168を「IRGAFOS 168」と、RHODORSIL PHOTOINITIATOR 2074を「RHODORSIL 2074」とした。
・ポリマーP2:デシルノルボルネン(DeNB)/メチルグリシジルエーテルノルボルネン(AGENB)コポリマーの合成
DeNB(16.4g,0.07mol)、AGENB(5.41g,0.03mol)およびトルエン(58.0g)を、ドライボックス内のシーラムボトルに加えた。この溶液を80℃のオイルバス中で攪拌した。
この溶液に、(η6−トルエン)Ni(C6F5)2(0.69g,0.0014mol)のトルエン溶液(5g)を加えた。
添加後、得られた混合物を室温で4時間維持した。トルエン溶液(87.0g)を反応溶液に加えた。勢いよく攪拌した反応混合物にメタノールを滴下すると共重合体が沈殿した。
沈殿した共重合体をろ過して集め、60℃のオーブンで真空乾燥した。乾燥後の重量は、17.00gであった(収率:87%)。得られた共重合体の分子量を、THFを溶媒としてGPC法で測定すると(ポリスチレン換算)、Mw=75,000およびMn=30,000であった。
共重合体の組成を、1H−NMRで測定すると、1H−NMR:77/23=DeNB/AGENBコポリマーであった。以下、DeNB/AGENBコポリマーをポリマーP2とした。
ポリマーP2(共重合体)の屈折率は、波長633nmで、TEモードで1.5153であり、TMモードで1.5151であった。
上記のポリマーP2を30wt%となるようにトルエンに溶解した溶液(16.7g)に、酸化防止剤として、IRGANOX 1076(0.05g)およびIRGAFOS 168(1.25×10−2g)、および、光酸発生剤として、RHODORSIL 2074(0.1g、メチレンクロライド0.5mL中)を加えて、ワニスV2を調製した。
このワニスV2を0.2μmの細孔のフィルターでろ過して使用した。
コア層形成用材料として、ろ過したワニスV1を、ガラス基板上に注ぎ、ドクターブレードで実質的に一定の厚さに広げた。その後、このガラス基板を換気された水平台に一夜置いて溶剤を蒸発させ、実質的に乾燥した固体フィルムを形成した。
フィルムにフォトマスクを通してUV光(波長:365nm)を照射し(照射量=3J/cm2)、次に、オーブン中で、85℃で30分間加熱し、さらに150℃で60分加熱した。これにより、コア層(単層光導波路)を得た。なお、コア部のパターンは、第1回目の加熱後、目視で確認することができた。
また、クラッド層形成用材料として、ワニスV2を用いて、平均厚さ50μmのクラッド層を2つ形成した。そして、コア層を、上記の2つのクラッド層の間に挟み、10MPaの圧力を掛けながらオーブン内で150℃×1時間加熱した。これにより、光導波路を得た。
なお、光導波路は、コア幅50μm、コア間隔250μm、コアの本数12本、コアの長さ10cmの直線状とした。コア部の屈折率1.555、クラッド部の屈折率1.542であった。
上記で作製した光導波路12を、ガラス基板を支持体として貼り付け、エキシマレーザー(波長193nm、機器名:ProMaster(OPTEC社))のサンプルホルダーに、真空チャックで固定した。レーザー強度を7mJ、レーザー発振周波数を250Hz、レーザー光をカットするステンレスマスクの開口部が1mm×1mm、加工台の移動速度を45μm/s、加工台に移動距離を150μmに設定し、導波路のコアの中心線上を加工した。加工後の断面(反射部)を顕微鏡で観察した結果、上部クラッド層、コア層の樹脂を除去した領域は二等辺三角形となっており、頂角はほぼ90°となっていた。
ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレートを10g、光重合開始剤としてIRGACURE651(CIBA SPECIALITY CHEMICALS製)を0.3g秤量し、プロピレングリコールモノメチルエーテル90gに溶解し、0.02μmの細孔のフィルターでろ過を行い、コーティング剤とした。ガラス基板にこのコーティング剤をスピンコート法で塗布を行い、50℃のクリーンオーブンに30分投入し、超高圧水銀灯で3J/cm2露光後、85℃のオーブンに10分投入した後、プリズムカプラで屈折率の測定を行ったところ、850nmの波長で、1.60であった。上記の光導波路の溝加工部(反射部)に前述のコーティング剤をシリンジで滴下後、シリコンゴム製のスキージで溝部以外のコーティング剤の除去を行った。
この導波路を50℃のクリーンオーブンに30分投入し、超高圧水銀灯で3J/cm2露光後、85℃のオーブンに10分投入した。
溝部を顕微鏡で観察を行ったところ、コア部のコーティング部分が滑らかであった。なお、樹脂層の厚さは5μmであった。
この光導波路と、銅箔付きポリイミドフィルムとを積層して光導波路構造体を得た。
樹脂層の形成を以下のようにした以外は、実施例1と同様にした。
ビスフェノールA型エポキシ5g、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート5g、アデカオプトマーSP170(旭電化工業製、以下SP−170と略す)を0.15g秤量し、プロピレングリコールモノメチルエーテル45gに溶解したものをコーティング剤として用いた以外は、実施例1と同様に行った。樹脂層の屈折率は、850nmの波長で、1.55であった。実施例1と同様にコーティングを行い、顕微鏡で観察を行ったところ、コア部のコーティング部分は滑らかであった。なお、樹脂層の厚さは5μmであった。
樹脂層の形成を以下のようにした以外は、実施例1と同様にした。
ビスフェノールA型エポキシ10g、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’4’-エポキシシクロヘキセンカルボキシレート10g、アデカオプトマーSP170(旭電化工業製、以下SP−170と略す)を0.15g秤量し、プロピレングリコールモノメチルエーテル30gに溶解したものをコーティング剤として用いた以外は、実施例1と同様に行った。樹脂層の屈折率は、850nmの波長で、1.55であった。実施例1と同様にコーティングを行い、顕微鏡で観察を行ったところ、コア部のコーティング部分は滑らかであったが、形状が湾曲しており、溝部分は長円形となっていた。なお、樹脂層の厚さは10μmであった。
樹脂層の形成を以下のようにした以外は、実施例1と同様にした。
ビスフェノールA型エポキシ2.5g、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート2.5g、アデカオプトマーSP170(旭電化工業製、以下SP−170と略す)を0.15g秤量し、プロピレングリコールモノメチルエーテル95gに溶解したものをコーティング剤として用いた以外は、実施例1と同様に行った。樹脂層の屈折率は、850nmの波長で、1.55であった。実施例1と同様にコーティングを行い、顕微鏡で観察を行ったところ、コア部のコーティング部分に緩衝縞が見られ、0.5〜1μm周期の段差がコア上に認められた。なお、樹脂層の厚さは0.5μmであった。
光導波路として以下のものを用いた以外は、実施例1と同様にした。
クラッド層形成用材料として、脂肪族炭化水素基を持った分岐型ポリシランを含有するワニスを、離型処理済みのガラス基板の上に塗布し、80℃、20分乾燥させて、平均厚さ50μmのクラッド層を形成した。
次に、その上に、コア層形成用材料として、前記分岐型ポリシランよりも屈折率の高い芳香族炭化水素基を持った分岐型ポリフェニルシランを含有するワニスを塗布し、80℃、20分乾燥させた。その後、コア部となるところに遮蔽部が設けられたフォトマスクを介し、超高圧水銀ランプにて露光し、250℃で熱処理して、コア部(幅:50μm)を有する平均厚さ50μmのコア層を形成した。その上に、クラッド層形成用材料として、前記と同じポリシランワニスを塗布し、300℃で熱処理して、平均厚さ50μmのクラッド層を形成した。以上のようにして、光導波路を作製した。なお、光導波路は、幅0.5cm、長さ10cmの直線状とした。コア部の屈折率が1.475、クラッド部の屈折率が1.415であった。
光導波路として以下のものを用いた以外は、実施例1と同様にした。
クラッド層形成用材料として、UV硬化型エポキシ樹脂ワニス(NTT−AT製E3129)を、離型処理したガラス基板上にスピンコートし、次いでUV照射して硬化して、平均厚さ50μmのクラッド層を形成した。次に、その上に、コア層形成用材料として、前記UV硬化型エポキシ樹脂よりも屈折率の高いUV硬化型エポキシ樹脂(NTT−AT製E3135)をスピンコートし、フォトリソグラフィー法により、直接コア部(幅50μm×厚さ50μm)をパターニングした。その後、クラッド層形成用材料として、前記と同じUV硬化型エポキシ樹脂ワニスをスピンコートし、次いでUV照射して硬化して、平均厚さ50μmのクラッド層を形成した。以上のようにして、光導波路を作製した。なお、光導波路は、幅0.5cm、長さ10cmの直線状とした。コア部の屈折率が1.532、クラッド部の屈折率が1.512であった。
反射部の平滑化処理を以下のようにした以外は、実施例1と同様にした。
上記の光導波路を、プラズマアッシャー(OPM−EM−1000、東京応化製)のチャンバー内に入れ、O2流量を200sccm、高周波出力を400Wで5分間、平滑化処理を行った。
プラズマ処理前は、溝加工部(反射部)の表面には0.5〜1μm周期の段差が認められたが、処理後は前記のような周期模様は無く、滑らかであった。
反射部の形成を以下のようにした以外は、実施例1と同様にした。
上記の光導波路を、ダイシングソー(DAD321、ディスコ製)のスピンドルにダイシングブレード(NBC−ZH226J−D−T4B−SE、ディスコ製)を取り付け、コアのライン方向に対し、垂直な方向に、0.2mm/sで切断を行った。断面を観察したところ、下部クラッドの面と切断面が45°となっていた。切断面は、ブレードの回転方向に1μm周期の溝が認められた。
実施例1と同じコーティング剤を用いて同条件でコーティングを行った(樹脂層を形成した)。コーティング面を顕微鏡で観察したところ、滑らかであった。なお、樹脂層の厚さは5μmであった。
反射部の形成を以下のようにし、平滑化処理をしなかった以外は、実施例1と同様にした。
上記の光導波路を、ダイシングソー(DAD321、ディスコ製)のスピンドルにダイシングブレード(NBC−ZH226J−D−T4B−SE、ディスコ製)を取り付け、コアのライン方向に対し、垂直な方向に、0.2mm/sで切断を行った。断面を観察したところ、下部クラッドの面と切断面が45°となっていた。切断面は、ブレードの回転方向に1μm周期の溝が認められた。
1.光損失
レーザーダイオードから発生させた波長850nmの光を、光ファイバーを通して、この導波路の端部に入力し、溝部の反対側の面で光ファイバーを用いて出力を検出して光損失を下記式で評価した。
総光損失(dB)=−10log(Pn/P0)
式中、Pnは反射部の反対側で測定された値であり、P0は、光ファイバーを導波路端部に結合する前の光ファイバーの端部における光源の測定出力である。
光導波路構造体の耐熱性は、リフロー処理(260℃以上15秒、最高265℃)を2回通し、その外観を観察し評価した。
◎:溝加工部(反射部)に膨れ、剥がれ等の異常が無かった。
○:溝加工部(反射部)周辺部の製品部分以外に、剥がれが発生した。
△:溝加工部(反射部)の製品部分に1mm未満の大きさの膨れ、剥がれが発生した。
×:溝加工部(反射部)の製品部分に1mm以上の大きさの膨れ、剥がれ等の異常が発生した。
光導波路構造体の屈曲性は、ヒンジ評価用開閉試験機で評価した(評価は、n=10枚で行った)。各符号は、以下の通りである。
◎:全てのサンプルに、50,000回以上で抵抗の上昇および断線が無かった。
○:7〜9枚のサンプルに、50,000回以上でも抵抗の上昇および断線が無かった。
△:3〜6枚のサンプルに、50,000回以上で抵抗の上昇および断線が無かった。
×:2枚以下のサンプルが、50,000回未満で抵抗の上昇および断線があった。
光導波路構造体の吸湿性は、JIS−K7209に準じ、光導波路構造体の5cm×5cmサイズのフィルムを、85℃/85%の湿度下で168時間処理した前後の重量差により評価した(評価は、n=10枚で行った)。
◎:全てのサンプルの吸湿率が、0.2%未満であった。
○:7〜9枚のサンプルの吸湿率が、0.2%未満であった。
△:3〜6枚のサンプルの吸湿率が、0.2%未満であった。
×:2枚以下のサンプルの吸湿率が、0.2%以上であった。
また、実施例1〜5は、特に耐熱性にも優れていることが示された。
また、実施例1〜4は、屈曲性にも優れていることが示された。
また、実施例1〜4は、吸湿性が特に低いことが示された。
100 光導波路構造体
11 絶縁層
12 光導波路
121 コア部
122 クラッド部
13 絶縁層
2 光デバイス
21 受発光部
3 電子デバイス
4 端子部
5 封止樹脂
6 電気配線
61 プラグ
7 反射部
7’ 部分
7a 反射部
7b 反射部
7c 反射部
71 傾斜面
72 樹脂層
72’ 樹脂組成物
8 レーザー
81 マスク
82 照射部分
Claims (9)
- 光を伝送するコア部および前記コア部の外周に接合されたクラッド部を有する光導波路と、
前記コア部の光の伝送方向に対して傾斜した傾斜面を有する反射部と、を有する光導波路構造体であって、
前記傾斜面の平滑度を向上する処理を施していることを特徴とする光導波路構造体。 - 前記平滑度を向上する処理は、前記傾斜面に設けられた樹脂層である請求項1に記載の光導波路構造体。
- 前記樹脂層の屈折率は、前記コア部の屈折率と同じまたはそれより高いものである請求項2に記載の光導波路構造体。
- 前記樹脂層の屈折率と、前記コア部の屈折率との差が4%以下である請求項3に記載の光導波路構造体。
- 前記樹脂層の厚さは、0.1〜10μmである請求項2ないし4のいずれかに記載の光導波路構造体。
- 前記樹脂層は、エポキシ樹脂を含む樹脂組成物で構成されているものである請求項2ないし5のいずれかに記載の光導波路構造体。
- 前記樹脂層は、アクリル樹脂を含む樹脂組成物で構成されているものである請求項2ないし5のいずれかに記載の光導波路構造体。
- 前記コア部は、ノルボルネン系樹脂を含む樹脂組成物で構成されているものである請求項1ないし7のいずれかに記載の光導波路構造体。
- 請求項1ないし8のいずれかに記載の光導波路構造体を用いることを特徴とする電子機器。
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