JP2011209664A - 感光性樹脂組成物、光導波路形成用フィルム、光導波路、光配線、光電気混載基板および電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の感光性樹脂組成物は、光導波路形成用の感光性樹脂組成物であって、(A)官能基を2つ以上有する脂環式エポキシモノマー及び/又は(B)官能基を2つ以上有するオキセタンモノマーと、(C)酸発生剤とを含むことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
また、前記感光性樹脂組成物を用いることにより、生産性が高く、光損失の少ない光導波路形成用フィルム、光導波路、光配線、光電気混載基板および電子機器を提供することを目的とする。
(1)光導波路形成用の感光性樹脂組成物であって、(A)官能基を2つ以上有する脂環式エポキシモノマー及び/又は(B)官能基を2つ以上有するオキセタンモノマーと、(C)酸発生剤とを含むことを特徴とする感光性樹脂組成物。
(2)前記(A)官能基を2つ以上有する脂環式エポキシモノマーは、(3'−4'−Epoxycyclohexane)methyl 3'−4'−Epoxycyclohexyl−carboxylate、(3'−4'−Epoxycyclohexane)methyl 3'−4'−Epoxycyclohexyl−carboxylate modified −caprolactoneからなる群より選ばれるものである前記(1)に記載の感光性樹脂組成物。
(3)前記(B)官能基を2つ以上有するオキセタンモノマーは、シルセスキオキサンである前記(1)又は(2)に記載の感光性樹脂組成物。
(4)前記シルセスキオキサンは、下記式(24)で表されるものである前記(3)に記載の感光性樹脂組成物。
(6)前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の感光性樹脂組成物が用いられることを特徴とする光導波路形成用フィルム。
(7)前記(6)に記載の光導波路形成用フィルムを用いて形成されることを特徴とする光導波路。
(8)環状オレフィン樹脂を用いて形成されるコア部を有するものである前記(7)に記載の光導波路。
(9)前記環状オレフィン樹脂は、ノルボルネン樹脂である前記(8)に記載の光導波路。
(10)前記ノルボルネン樹脂は、下記式(10)で表されるものである前記(12)に記載の光導波路。
(12)電気配線と、前記(11)に記載の光配線とを有することを特徴とする光電気混載基板。
(13)前記(7)乃至(10)のいずれかに記載の光導波路を備えたことを特徴とする電子機器。
また、前記感光性樹脂組成物を用いることにより、生産性が高く、光損失が少ない光導波路形成用フィルム、光配線、光電気混載基板および電子機器を得ることができる。
本発明の光導波路形成用フィルムは前記感光性樹脂組成物が用いられることを特徴とする。
本発明の光導波路は前記光導波路形成用フィルムを用いて形成されることを特徴とする。
本発明の光配線は、前記光導波路を備えたことを特徴とする。
本発明の光電気混載基板は、電気配線と、前記光配線とを有することを特徴とする。
本発明の電子機器は、前記光導波路を備えたことを特徴とする。
光導波路形成用の感光性樹脂組成物であって、(A)官能基を2つ以上有する脂環式エポキシモノマー及び/又は(B)官能基を2つ以上有するオキセタンモノマーと、(C)酸発生剤とを含む。
前記脂環式エポキシモノマーは他のエポキシモノマーに比べ構造上ひずみが大きいことから反応性に富む。前記(A)官能基を2つ以上有する脂環式エポキシモノマーは特に限定はされないが、1,2:脂環式エポキシ8,9ジエポキシリモネン(ダイセル化学工業株式会社 CEL3000)、3'−4'−Epoxycyclohexane)methyl 3'−4'−Epoxycyclohexyl−carboxylate(ダイセル化学工業株式会社 CEL2021)、(3'−4'−Epoxycyclohexane)methyl 3'−4'−Epoxycyclohexyl−carboxylate modified −caprolactone(ダイセル化学工業株式会社 CEL−2081)、1,4−Cyclohexanedimethanol bis(3,4−epoxycyclohexanecarboxylate)(北村産業化学株式会社 ERLX−4360)などがあげられ、特に(3'−4'−Epoxycyclohexane)methyl 3'−4'−Epoxycyclohexyl−carboxylate(ダイセル化学工業株式会社 CEL2021)、(3'−4'−Epoxycyclohexane)methyl 3'−4'−Epoxycyclohexyl−carboxylate modified −caprolactone(ダイセル化学工業株式会社 CEL−2081)、1,4−Cyclohexanedimethanol bis(3,4−epoxycyclohexanecarboxylate)(Synasia社 ERLX−4360)が好ましい。これにより、反応性が高く、柔軟性に優れ、透明性の高い感光性樹脂組成物を得ることができる。
例えば、トリフェニルスルフォニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム−トリフルオロメタンスルホネートなどのスルホニウム塩類、p−ニトロフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェートなどのジアゾニウム塩類、アンモニウム塩類、ホスホニウム塩類、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、(トリキュミル)ヨードニウム−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどのヨードニウム塩類、キノンジアジド類、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタンなどのジアゾメタン類、1−フェニル−1−(4−メチルフェニル)スルホニルオキシ−1−ベンゾイルメタン、N−ヒドロキシナフタルイミド−トリフルオロメタンサルホネートなどのスルホン酸エステル類、ジフェニルジスルホンなどのジスルホン類、トリス(2,4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−4,6−ビス−(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどのトリアジン類などの化合物を挙げることができる。これらの光酸発生剤は、単独、または複数を組み合わせて使用することができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、前記(A)官能基を2つ以上有する脂環式エポキシモノマー、前記(B)官能基を2つ以上有するオキセタンモノマー、前記(C)酸発生剤および溶剤の他に、増感剤、シランカップリング剤等の添加物を必要に応じて添加しても良い。
本発明の感光性樹脂組成物は、柔軟性を付与する前記(A)官能基を2つ以上有する脂環式エポキシモノマーを含むことから、基材上に塗布することによって容易に柔軟性を有する光導波路形成用フィルムを得ることができる。本発明の感光性樹脂組成物は架橋密度が高いため、他の材料を前記光導波路形成用フィルムに密着させた場合に、その界面において一方の材料の一部(例えば、モノマー等の分子量の小さい化合物)が他方に浸透することがない。したがって、例えば、本発明の光導波路形成用フィルムを第一クラッド層とし、異なる組成の樹脂組成物を用いたコア層を前記第一クラッド層上において直接形成しても、前記コア層の機能を損なわず、高い光伝搬性能を有する光導波路を形成することが出来る。
図1は、本発明の光導波路の一例を示す断面図である。
図1に示すように、光導波路10は、第1クラッド層1と、第1クラッド層よりも屈折率の高いコア層2と、コア層2よりも屈折率の低い第2クラッド層3とが積層されている。
コア層2は、コア部21と、コア部21よりも屈折率が低い側面クラッド部22とで構成されている。なお、コア部21の屈折率は、第1クラッド層1および第2クラッド層3よりも高くなっている。
このような構成を有することにより、コア部21の一端側に入射された光信号は、コア部21と第1クラッド層1、第2クラッド層3および側面クラッド部22との界面で全反射し、他端側に伝達され、光通信が可能となる。
ここで、環状オレフィン樹脂は、無置換のものであってもよいし、水素が他の基により置換されたものであってもよい。環状オレフィン樹脂としては、たとえばノルボルネン系樹脂や、ベンゾシクロブテン系樹脂である。
なかでも、耐熱性、透明性等の観点からノルボルネン系樹脂を使用することが好ましい。
(1)ノルボルネン型モノマーを付加(共)重合して得られるノルボルネン型モノマーの付加(共)重合体、
(2)ノルボルネン型モノマーとエチレンやα−オレフィン類との付加共重合体、
(3)ノルボルネン型モノマーと非共役ジエン、および必要に応じて他のモノマーとの付加共重合体のような付加重合体、
(4)ノルボルネン型モノマーの開環(共)重合体、および必要に応じて該(共)重合体を水素添加した樹脂、
(5)ノルボルネン型モノマーとエチレンやα−オレフィン類との開環共重合体、および必要に応じて該(共)重合体を水素添加した樹脂、
(6)ノルボルネン型モノマーと非共役ジエン、または他のモノマーとの開環共重合体、および必要に応じて該(共)重合体を水素添加したポリマーのような開環重合体が挙げられる。これらの重合体としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体等が挙げられる。
側鎖にR1を有するノルボルネンと、側鎖にエポキシ基を有するノルボルネンとをトルエンに溶かし、Ni化合物(式(2))を触媒に用いて溶液重合させることで式(1)のノルボルネン系樹脂を得ることができる。
(i)ノルボルネンメタノール(NB−CH2−OH)の合成
DCPD(ジシクロペンタジエン)のクラッキングにより生成したCPD(シクロペンタジエン)とαオレフィン(CH2=CH−CH2−OH)を高温高圧下で反応させる。
ノルボルネンメタノールとエピクロルヒドリンとの反応により生成する。
式(1)で表されるノルボルネン系樹脂の中でも、可撓性と耐熱性の両立を図ることが可能との観点から、特に、R1が炭素数4〜10のアルキル基であり、aおよびbがそれぞれ1である化合物、例えば、ブチルボルネンとメチルグリシジルエーテルノルボルネンとのコポリマー、ヘキシルノルボルネンとメチルグリシジルエーテルノルボルネンとのコポリマー、デシルノルボルネンとメチルグリシジルエーテルノルボルネンとのコポリマー等が好ましい。
さらには、可撓性、耐熱性および屈折率制御の観点から特に、R7が炭素数4〜10のアルキル基であり、X1が酸素原子、X2がシリコン原子、Arがフェニル基、R8がメチル基、iが1、jが2である化合物、例えば、ブチルボルネンとジフェニルメチルノルボルネンメトキシシランとのコポリマー、ヘキシルノルボルネンとジフェニルメチルノルボルネンメトキシシランとのコポリマー、デシルノルボルネンとジフェニルメチルノルボルネンメトキシシランとのコポリマー等が好ましい。
さらに、ノルボルネン系樹脂として、次のようなものを使用してもよい。
具体的には、分子構造中に、−O−構造、−Si−アリール構造および−O−Si−構造のうちの少なくとも1つを有するものが好ましい。かかる酸離脱性基は、カチオンの作用により比較的容易に離脱する。
たとえば、式(9)で表されるノルボルネン系ポリマーの中で、X1が酸素原子、X2がシリコン原子、Arがフェニル基であるものが脱離性基を有するものとなる。
また、式(4)においては、アルコキシシリル基のSi−O−X3の部分で脱離する場合がある。
)から発生した酸により、以下のように反応が進むと推測される。なお、ここでは、脱離性基の部分のみを示し、また、i=1の場合で説明している。
ノルボルネン メトキシシラン(側鎖に−CH2−O−Si(CH3)(Ph)2を含むノルボルネン)およびエポキシノルボルネンをトルエンに溶かし、Ni化合物を触媒に用いて溶液重合させることで得ることができる。
なお、前記環状エーテル基を有するモノマーおよび環状エーテル基を有するオリゴマーの屈折率は、前記環状オレフィン樹脂よりも高いものであってもよいが、前記環状オレフィン樹脂よりも屈折率が低いことが好ましい。これにより、前述した離脱により樹脂の屈折率を低下させる離脱性基を有するノルボルネン樹脂と併用することにより、その相乗効果によってコア部と側面クラッド部の屈折率差をより大きくし、光伝搬性能に優れる光導波路を製造することができる。
前記環状エーテル基は、たとえば、オキセタニル基あるいは、エポキシ基を有する。このような環状エーテル基は、酸により開環しやすいため、好ましい。
また、オキセタニル基を有する化合物としては、以下の式(23)、式(24)を使用することもできる。式(23)は、TESOX(東亞合成)等、式(24)は、OX−SQ(東亞合成)等を使用することができる。
エポキシ基を有するモノマー、エポキシ基を有するオリゴマーとしては、下記式(25)〜(30)に示すものを使用することができる。なかでも、エポキシ環のひずみエネルギーが大きく反応性に優れるという観点から脂環式エポキシモノマー(27)〜(30)を使用することが好ましい。
なお、式(25)は、エポキシノルボルネンであり、たとえば、EpNB(プロメラス)を使用することができる。式(26)は、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランであり、たとえば、Z−6040(東レ・ダウコーニング・シリコーン)を使用することができる。また、式(27)は、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランであり、たとえば、E0327(東京化成)を使用することができる。
さらに、式(28)は、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチルー3、‘4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートであり、たとえば、CEL2021P(ダイセル化学工業)を使用することができる。また、式(29)は、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサンであり、CEL2000(ダイセル化学工業)を使用することができる。
さらに、式(30)は、1,2:8,9ジエポキシリモネンであり、たとえば、CEL3000(ダイセル化学工業)を使用することができる。
オキセタニル基を有するモノマー、オキセタニル基を有するオリゴマーは重合を開始する開始反応が遅いが、生長反応が速い。これに対し、エポキシ基を有するモノマー、エポキシ基を有するオリゴマーは、重合を開始する開始反応が速いが、生長反応が遅い。そのため、オキセタニル基を有するモノマー、オキセタニル基を有するオリゴマーと、エポキシ基を有するモノマー、エポキシ基を有するオリゴマーとを併用することで、光を照射した際に、光照射部分と、未照射部分との屈折率差を確実に生じさせ、1枚のフィルム中にコア部と側面クラッド部を形成することができる。
このような増感剤としては、光酸発生剤の感度や増感剤の吸収のピーク波長に応じて適宜選択され、特に限定されないが、たとえば、9,10−ジブトキシアントラセン(CAS番号第76275−14−4番)のようなアントラセン類、キサントン類、アントラキノン類、フェナントレン類、クリセン類、ベンツピレン類、フルオラセン類(fluoranthenes)、ルブレン類、ピレン類、インダンスリーン類、チオキサンテン−9−オン類(thioxanthen−9−ones)が挙げられ、これらを単独または混合物として用いられる。
前記溶媒は、特に限定されないが、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロペンタン、シクロペンタノン、メチルエチルケトン、2−ヘプタノン、リモネン、デカリン等が挙げられる。これらの溶媒を1種又は2種以上混合して使用してもよい。前記樹脂ワニスにおける前記環状オレフィン系共重合体の含有量は、前記樹脂ワニス中で5〜50重量%であることが好ましい。これにより、前記樹脂ワニスに、塗布に適した粘性を付与して塗布性能を向上させることができる。なかでも、10〜30重量%であることがさらに好ましい。これにより、前記コア材を基材等に塗布する際に、気泡の巻き込みが防止され、かつ、一定の厚みを得るために適した粘度を得ることが出来る。
本発明の感光性樹脂組成物を基材6上に塗布し、感光により硬化させ、第1クラッド層1を得る。このとき、基材は特に限定はしないが、Si−ウェハ、ポリイミドなどのプラスチックフィルム、ガラスなどが用いられる。
この第一クラッド層1の上に光導波路形成用フィルムを積層、もしくはコア材を塗布してコア層2を形成する。例えば、上述した環状オレフィン樹脂を用いたコア材を用いると、以下のような原理で光導波路を発生させることができる。
上述の第一クラッド層1に環状オレフィン樹脂を含むコア材を塗布し、乾燥させて溶剤を除去しコア層2aを形成する。さらに図2に示すようにコア層2aに、マスク4を用いて光5を照射する。これにより、コア層2aに選択的に光5を照射することにより、照射領域に側面クラッド部22を形成し、未照射領域にコア部21を形成することができる。
照射領域(側面クラッド部22)では、光導波路形成用フィルムを構成している感光性樹脂組成物中の酸発生剤が光照射により酸を発生し、これにより第1モノマーが開環してカチオン重合を開始する。これにより、マトリクス中の未反応モノマーの濃度勾配を解消する力が働き、未照射領域(コア部21)から第一モノマーが一部照射領域へ拡散して重合するために、照射領域(側面クラッド部22)の屈折率が相対的に未照射領域よりも低くなる。
また、光照射により酸発生剤から発生した酸が、前記環状オレフィン樹脂の側鎖の一部である脱離性基の脱離を促進する。これにより、高屈折率部分が脱離するために照射領域(側面クラッド部22)の屈折率がさらに低くなる。
以上のような原理でコア層2が作製され、光5の照射領域が側面クラッド部22になり、未照射領域がコア部21となる。
さらに、このコア層2の上に第2クラッド層3を積層させる。第2クラッド層3は低屈折率材料であれば制約は無く、本発明の感光性樹脂組成物及び光導波路形成用フィルムを用いることも出来る。第2クラッド層3は、ラミネート、塗布などの一般的な方法によって形成することができる。
本発明の光配線は、上述したような光導波路10を有している。これにより、導波路製造プロセスにおいて現像やRIE(リアクティブイオンエッチング)などを経る必要がないために加工の自由度を向上することができる。
また、本発明の光電気混載基板は、電気配線と、上述したような光導波路10を有する光配線とを有している。これにより、従来の電気配線で問題となっていたEMI(電磁波障害)の改善が可能となり、従来よりも信号伝達速度を大幅に向上することができる。
また、本発明の電子機器は、上述したような光導波路10を有している。これにより、省スペース化を図ることができる。
このような電子機器としては、具体的にはコンピューター、サーバー、携帯電話、ゲーム機器、メモリーテスター、外観検査ロボット等を挙げることができる。
(1)感光性樹脂組成物の調製
CEL2021P(ダイセル化学工業)48g、OS−SQ−H(東亞合成)12g、アデカオプトマーSP−170(ADEKA)1.8gを均一に溶解させた後、孔径0.2μmのPTFEフィルターによりろ過を行い、清浄なクラッド層用の感光性樹脂組成物1を調製した。また感光性樹脂組成物1の屈折率は、METRICON モデル2010(セキテクノトロン株式会社製)を用いて測定したところ、1.52(測定波長;633nm)であった。
水分および酸素濃度がいずれも1ppm以下に制御され、乾燥窒素で充満されたグローブボックス中において、ヘキシルノルボルネン(HxNB)7.2g(40.1mmol)、ジフェニルメチルノルボルネンメトキシシラン12.9g(40.1mmol)を500mLバイアル瓶に計量し、脱水トルエン60gと酢酸エチル11gを加え、シリコン製のシーラーを被せて上部を密栓した。
次に、100mLバイアルビン中に下記式(2)で表わされるNi触媒1.56g(3.2mmol)と脱水トルエン10mLを計量し、スターラーチップを入れて密栓し、触媒を十分に撹拌して完全に溶解させた。
この下記式(2)で表わされるNi触媒溶液1mLをシリンジで正確に計量し、上記2種のノルボルネンを溶解させたバイアル瓶中に定量的に注入し室温で1時間撹拌したところ、著しい粘度上昇が確認された。この時点で栓を抜き、テトラヒドロフラン(THF)60gを加えて撹拌を行い、反応溶液を得た。
100mLビーカーに無水酢酸9.5g、過酸化水素水18g(濃度30%)、イオン交換水30gを加えて撹拌し、その場で過酢酸水溶液を調製した。次にこの水溶液全量を上記反応溶液に加えて12時間撹拌してNiの還元処理を行った。
次に、処理の完了した反応溶液を分液ロートに移し替え、下部の水層を除去した後、イソプロピルアルコールの30%水溶液を100mL加えて激しく撹拌を行った。静置して完全に二層分離が行われた後で水層を除去した。この水洗プロセスを合計で3回繰り返した後、油層を大過剰のアセトン中に滴下して生成したポリマーを再沈殿させ、ろ過によりろ液と分別した後、60℃に設定した真空乾燥機中で12時間加熱乾燥を行うことにより、側鎖に脱離性基を有するノルボルネン系樹脂を得た。ノルボルネン系樹脂の分子量は、GPC測定によりMw=10万、Mn=4万、ノルボルネン系樹脂中の各構造単位のモル比は、NMRによる同定により、ヘキシルノルボルネン構造単位が50mol%、ジフェニルメチルノルボルネンメトキシシラン構造単位が50mol%であった。また、前記ノルボルネン系樹脂の屈折率は、METRICON モデル2010(セキテクノトロン株式会社製)を用いて測定したところ、により1.55(測定波長;633nm)であった。
精製したノルボルネン系樹脂10gを100mLのガラス容器に秤量し、これにメシチレン40g、酸化防止剤Irganox1076(チバガイギー)0.01g、シクロヘキシルオキセタンモノマー(前記式(22)で示した第1モノマー、CHOX(東亞合成))、CAS#483303−25−9、分子量186、沸点125℃/1.33kPa)2g、光酸発生剤RhodorsilPhotoinitiator 2074(Rhodia社製、CAS# 178233−72−2)(1.36E−2g、酢酸エチル0.1mL中)を加え均一に溶解させた後、0.2μmのPTFEフィルターによりろ過を行い、清浄なコア層用樹脂ワニスを調製した。
(第一クラッド層の作製)
シリコンウエハ上に感光性樹脂組成物1をドクターブレードにより均一に塗布した後、塗布された全面に紫外線を700mJ照射し、乾燥機中150℃で10分間加熱して、塗膜を硬化させて、第一クラッド層を形成させた。形成された第一クラッド層1は、厚みが20μmであり、無色透明であり、屈折率は1.52(測定波長;633nm)であった。
上記第一クラッド層上に、調製して得られた上述のコア層用樹脂ワニスをドクターブレードによって均一に塗布した後、45℃の乾燥機に15分間投入した。溶剤を完全に除去した後、フォトマスクを圧着して紫外線を500mJ/cm2で選択的に照射した。マスクを取り去り、乾燥機中45℃で30分間、85℃で30分間、150℃で1時間と三段階で加熱を行った。加熱後、非常に鮮明な導波路パターンが現れたコア層が確認された。
上記コア層上に、感光性樹脂組成物1をドクターブレードにより均一に塗布した後、塗布された全面に紫外線を700mJ照射し、乾燥機中150℃で10分間加熱して、塗膜を硬化させて、第2クラッド層を形成させた。
(光導波路の損失評価)
850nmVCSEL(面発光レーザー)より発せられた光を50μmφの光ファイバーを経由して、得られた光導波路に導入し、200μmφの光ファイバーで受光を行って光の強度を測定した。尚、測定にはカットバック法を採用した。導波路長を横軸にとり、挿入損失を縦軸にプロットしていったところ、測定値はきれいに直線上に並び、その傾きから伝搬損失は0.039dB/cmと算出することができた。
前記光導波路の任意のコア部に光が入射するように光軸を調芯後、光を入射させ、前記光導波路の出射側において、対物レンズを通して赤外ビジコンカメラにより、コア部と前記コア部の両隣のコア部が含まれる範囲の近視野像を撮影した。前記近視野像において、出射した伝搬光は可視化され、出射光の強度が高い部分ほど明度が高く白色に近くなり、一方、出射光の強度が低いほど明度が低く、全く光が伝搬しなかった部分は黒色で示されている。
>前記近視野像により、前記光導波路は、伝搬光を入射させたコア部にのみ出射光を確認し、両隣のコア部及び隣接する側面クラッド部に伝搬光の漏れが無いことが確認された。
感光性樹脂組成物の調製において、CEL2021P(ダイセル化学工業)57g、OS−SQ(東亞合成)3g、アデカオプトマーSP−170(ADEKA)1.8gを均一に溶解させた後、孔径0.2μmのPTFEフィルターによりろ過を行い、清浄なクラッド層用の感光性樹脂組成物2を調製した。前記感光性樹脂組成物2の屈折率は、METRICON モデル2010(セキテクノトロン株式会社製)を用いて測定したところ、1.52(測定波長;633nm)であった。
感光性樹脂組成物1に代わり、感光性樹脂組成物2を用いる以外は実施例1と同様にした。得られた光導波路の伝搬損失は0.051dB/cmであった。また、近視野像を確認したところ、伝搬光を入射させたコア部にのみ出射光を確認し、両隣のコア部及び隣接する側面クラッド部に伝搬光の漏れが無いことを確認した。
感光性樹脂組成物の調製において、ERLX−4360(Synasia)57g、OS−SQ(東亞合成)3g、アデカオプトマーSP−170(ADEKA)1.8gを均一に溶解させた後、孔径0.2μmのPTFEフィルターによりろ過を行い、清浄なクラッド層用の感光性樹脂組成物3を調製した。前記感光性樹脂組成物3の屈折率は、METRICON モデル2010(セキテクノトロン株式会社製)を用いて測定したところ、1.52(測定波長;633nm)であった。
感光性樹脂組成物1に代わり、感光性樹脂組成物3を用いる以外は実施例1と同様にした。得られた光導波路の伝搬損失は0.053dB/cmであった。また、近視野像を確認したところ、伝搬光を入射させたコア部にのみ出射光を確認し、両隣のコア部及び隣接する側面クラッド部に伝搬光の漏れが無いことを確認した。
感光性樹脂組成物の調製において、CEL2081(ダイセル化学工業)48g、OS−SQ(東亞合成)12g、アデカオプトマーSP−170(ADEKA)1.8gを均一に溶解させた後、孔径0.2μmのPTFEフィルターによりろ過を行い、清浄なクラッド層用の感光性樹脂組成物4を調製した。また前記感光性樹脂組成物4の屈折率は、METRICON モデル2010(セキテクノトロン株式会社製)を用いて測定したところ、1.52(測定波長;633nm)であった。
感光性樹脂組成物1に代わり、感光性樹脂組成物4を用いる以外は実施例1と同様にした。得られた光導波路の伝搬損失は0.152dB/cmと光学特性が悪いことが分かった。これは、近視野像に示されるように得られた光導波路は側面クラッド部への光の漏れが著しく、コア部と側面クラッド部との界面における屈折率差が十分にではないと考えられる。コア層用樹脂ワニスが、感光性樹脂組成物4で作製された第一クラッド層に浸透してしまい、側面クラッド部とコア部の屈折率差が小さくなり、結果的に伝搬損失が悪化したと考えられる。
感光性樹脂組成物の調製において、EMI−3580(ユーヴィックス株式会社)を感光性樹脂組成物5として用いた。この感光性樹脂組成物の屈折率は、METRICON モデル2010(セキテクノトロン株式会社製)を用いて測定したところ、1.48(測定波長;633nm)であった。
感光性樹脂組成物1に代わり、感光性樹脂組成物5を用いる以外は実施例1と同様にした。得られた光導波路の伝搬損失は0.136dB/cmと光学特性が悪いことが分かった。近視野像により、得られた導波路のコア層下部に光の漏れが確認されたことから、比較例1と同様にコア層用樹脂ワニスが、感光性樹脂組成物5で作製された第一クラッド層に浸透してしまい、側面クラッド部とコア部の屈折率差が小さくなり、結果的に伝搬損失が悪化したと考えられる。
感光性樹脂組成物の調製において、V−9520(DIC株式会社)をメシチレンを溶剤にRC=20%に希釈して、感光性樹脂組成物6として用いた。この感光性樹脂組成物の屈折率は、METRICON モデル2010(セキテクノトロン株式会社製)を用いて測定したところ、1.48(測定波長;633nm)であった。
感光性樹脂組成物1に代わり、感光性樹脂組成物6を用いる以外は実施例1と同様にした。その結果、得られた光導波路の伝搬損失は0.573dB/cmと光学特性が非常に悪いことが分かった。比較例1と同様にコア層用樹脂ワニスが、感光性樹脂組成物6で作製された第一クラッド層に浸透してしまい、側面クラッド部とコア部の屈折率差が小さくなったためと考えられる。または、感光性樹脂組成物6に、コア層の酸を補足する成分が含まれていたため、側面クラッド部の屈折率が十分に低下せず、光導波路の発現が阻害されたと考えられる。
ことが示された。一方、比較例1〜3は、実施例1〜3に比べ、伝搬損失において劣る結果となった。これは、実施例1〜3のクラッド層の架橋密度が高かったために、コア層に含まれる成分(酸、モノマー等)がクラッド層に浸透することを防ぎ、側面クラッド部とコア部の屈折率差を十分に生じさせることが出来たためと考えられる。
2 コア層
2a コア層(光5照射前)
21 コア部
22 側面クラッド部
3 第2クラッド層
4 マスク
5 光
6 基板
10 光導波路
Claims (13)
- 光導波路形成用の感光性樹脂組成物であって、(A)官能基を2つ以上有する脂環式エポキシモノマー及び/又は(B)官能基を2つ以上有するオキセタンモノマーと、(C)酸発生剤とを含むことを特徴とする感光性樹脂組成物。
- 前記(A)官能基を2つ以上有する脂環式エポキシモノマーは、(3'−4'−Epoxycyclohexane)methyl 3'−4'−Epoxycyclohexyl−carboxylate、(3'−4'−Epoxycyclohexane)methyl 3'−4'−Epoxycyclohexyl−carboxylate modified −caprolactoneからなる群より選ばれるものである請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(B)官能基を2つ以上有するオキセタンモノマーは、シルセスキオキサンである請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(A)官能基を2つ以上有する脂環式エポキシモノマーと前記(B)官能基を2つ以上有するオキセタンモノマーの重量比(A)/(B)は、99/1〜20/80である請求項1乃至4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物が用いられることを特徴とする光導波路形成用フィルム。
- 請求項6に記載の光導波路形成用フィルムを用いて形成されることを特徴とする光導波路。
- 環状オレフィン樹脂を用いて形成されるコア部を有するものである請求項7に記載の光導波路。
- 前記環状オレフィン樹脂は、ノルボルネン樹脂である請求項8に記載の光導波路。
- 請求項7乃至10のいずれかに記載の光導波路を備えたことを特徴とする光配線。
- 電気配線と、請求項11に記載の光配線とを有することを特徴とする光電気混載基板。
- 請求項7乃至10のいずれかに記載の光導波路を備えたことを特徴とする電子機器。
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