JP2009157254A - 液体現像剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子写真又は静電記録用の液体現像剤において、環境問題に配慮しながらも、系の粘度を低粘度化することにより、電気泳動性が良好な液体現像剤を提供する。
【解決手段】絶縁性炭化水素系有機溶媒である2−オクチル−1−ドデセン及び/又は2−オクチルドデカン(溶媒(a))、少なくとも顔料及び上記溶媒(a)に溶解しないバインダー樹脂(バインダー樹脂(i))の2成分からなる着色樹脂粒子、上記溶媒(a)に溶解する分散剤(分散剤(A))、並びに、荷電制御剤を含有し、上記溶媒(a)の合計含有量が、液体現像剤に含まれる絶縁性炭化水素系有機溶媒の全量100質量%中、70質量%以上である液体現像剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、印刷機、複写機、プリンター、ファクシミリ等に用いられる電子写真又は静電記録用の液体現像剤に関する。
液体現像剤では、一般的に、顔料等の着色剤を含有する着色樹脂粒子(以下、トナー粒子ともいう)を電気絶縁性分散媒体中に分散させた形態のものが使用されている。そして、このような液体現像剤を製造する方法として湿式粉砕法、コアセルベーション法等がある。
湿式粉砕法とは、予め、溶融させた樹脂で着色剤を混練して得られる着色樹脂を、乾式の粉砕機を用いて粗粉砕した後、更に電気絶縁性分散媒体や溶媒等を加え、湿式の粉砕機で微粉砕して電気絶縁性分散媒体中に着色樹脂粒子を分散させる方法である。この方法では、比較的簡単に液体現像剤が得られるという利点がある。
また、コアセルベーション法とは、樹脂を溶解する溶剤と、樹脂を溶解しない電気絶縁性分散媒体との混合液から、溶剤を除去することにより、混合液中に溶解状態で含まれていた樹脂を、着色剤を内包する様に析出させ、着色樹脂粒子を電気絶縁性分散媒体中に分散させる方法である。この様な方法から得られる液体現像剤は、湿式粉砕法により得られるものより着色樹脂粒子の形状が球形に近く、粒子径も均一となるため、電気泳動性も良好になると考えられている。
一方、従来、液体現像剤で用いられてきた電気絶縁性分散媒体として、低粘度の液体現像剤を得るために、低沸点(高揮発性)の石油系炭化水素やシリコーンオイル等が用いられてきた。ところが、近年、画像形成装置等から外部へ出た際の、環境への影響等の問題点から、電気絶縁性分散媒体として、植物油等の油脂類(例えば、特許文献1参照)若しくは高沸点(低揮発性)の電気絶縁性分散媒体を用いる方法が提案されている。
しかしながら、通常、油脂類や高沸点の炭化水素等の電気絶縁性分散媒体は、単独では高粘度であるため、それを用いた液体現像剤も高粘度となり、着色樹脂粒子の泳動性の悪化をまねき、良好な画像品質が得られないという問題がある。また、油脂類は、一般的に、酸化されやすく、このような油脂類を電気絶縁性分散媒体として用いた液体現像剤を長時間画像形成装置内で使用すると、電気絶縁性分散媒体としての機能が低下し、得られる画像の画質が更に低下してしまうといった問題が生じる。
特開2000−162829号公報
そこで、本発明は、電子写真又は静電記録用の液体現像剤において、環境問題に配慮しながらも、系の粘度を低粘度化することにより、電気泳動性が良好な液体現像剤を提供する事を課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、着色樹脂粒子を分散させるために下記の特定の電気絶縁性分散媒体を使用する事により、液体現像剤の粘度が低粘度で、着色樹脂粒子の電気泳動性が良好である事を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、(1)絶縁性炭化水素系有機溶媒である2−オクチル−1−ドデセン及び/又は2−オクチルドデカン(溶媒(a))、少なくとも顔料及び前記溶媒(a)に溶解しないバインダー樹脂(バインダー樹脂(i))の2成分からなる着色樹脂粒子、前記溶媒(a)に溶解する分散剤(分散剤(A))、並びに、荷電制御剤を含有し、上記溶媒(a)の合計含有量が、液体現像剤に含まれる絶縁性炭化水素系有機溶媒の全量100質量%中、70質量%以上であることを特徴とする液体現像剤に関する。
また、本発明は、(2)溶媒(a)、少なくとも顔料、上記溶媒(a)に不溶性又は難溶性の分散剤(分散剤(B))及びバインダー樹脂(i)の3成分からなる着色樹脂粒子、分散剤(A)、並びに、荷電制御剤を含有し、コアセルベーション法を利用して得られる上記(1)項に記載の液体現像剤に関する。
また、本発明は、(3)溶媒(a)、少なくとも顔料及びバインダー樹脂(i)の2成分からなる着色樹脂粒子、分散剤(A)、並びに、荷電制御剤を含有し、湿式粉砕法を利用して得られる上記(1)項に記載の液体現像剤に関する。
また、本発明は、(4)溶媒(a)、顔料、バインダー樹脂(i)、上記バインダー樹脂(i)を溶解し、かつ上記溶媒(a)より高SP値である溶媒(b)、上記溶媒(a)及び(b)の両方に溶解する分散剤(A1)、並びに、上記溶媒(b)に溶解し、かつ上記溶媒(a)に不溶性又は難溶性の分散剤(B1)を含有する混合液から、上記溶媒(b)を留去して、溶解状態にあった上記バインダー樹脂(i)と上記分散剤(B1)とを析出させるコアセルベーション法を利用して得られる分散液に、荷電制御剤を配合した上記(1)項に記載の液体現像剤に関する。
また、本発明は、(5)顔料及びバインダー樹脂(i)を加熱混練して得られる着色チップを、溶媒(a)に溶解する分散剤(A)の存在下で溶媒(a)に分散させる湿式粉砕法を利用して得られる分散液に、荷電制御剤を配合した上記(1)項に記載の液体現像剤に関する。
以下、本発明の液体現像剤について詳細に説明する。
本発明は、絶縁性炭化水素系有機溶媒(電気絶縁性分散媒体)である2−オクチル−1−ドデセン及び/又は2−オクチルドデカン(溶媒(a))、少なくとも顔料及び上記溶媒(a)に溶解しないバインダー樹脂(バインダー樹脂(i))の2成分からなる着色樹脂粒子、上記溶媒(a)に溶解する分散剤(分散剤(A))、並びに、荷電制御剤を含有する液体現像剤であり、種々の製造方法により得ることができるが、代表的なコアセルベーション法、湿式粉砕法を利用して得られる液体現像剤について具体的に説明する。
<コアセルベーション法を利用して得られる液体現像剤>
(構成材料)
本発明で使用する絶縁性炭化水素系有機溶媒(溶媒(a))は、2−オクチル−1−ドデセン及び/又は2−オクチルドデカンである。液体現像剤の電気絶縁性分散媒体として、このような特定の溶媒を使用すると、良好な着色樹脂粒子の電気泳動性、画像品質を得ることができる。これは、これらの溶媒が低粘度であることによって低粘度の液体現像剤が得られ、その結果、上記の優れた特性が得られると推察される。また、低粘度の溶媒であるにもかかわらず低揮発性(高沸点)であるため、環境への影響も少ない。
上記溶媒(a)の市販品としては、例えば、リニアレンダイマーA−20、A−20H(以上いずれも出光興産(株)製)等を好適に使用できる。更に、系の粘度を高くしない範囲で他の高沸点の脂肪族系炭化水素等の絶縁性炭化水素系有機溶媒を併用してもよい。
上記溶媒(a)の合計含有量(2−オクチル−1−ドデセン及び2−オクチルドデカンの合計量)は、上記液体現像剤に含まれる絶縁性炭化水素系有機溶媒の全量100質量%中、70質量%以上が好ましく、80質量%以上が更に好ましい。これにより、良好な電気泳動性、画像品質を得ることができ、また、環境面でも望ましい。
次に、使用する顔料としては、無機顔料、有機顔料を使用でき、アセチレンブラック、黒鉛、ベンガラ、黄鉛、群青、カーボンブラック等の無機顔料や、アゾ顔料、レーキ顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料が好適である。
これら顔料の含有量は特に限定されないが、画像濃度の点から、最終的な液体現像剤中に2〜20質量%となることが好ましい。
次に、使用するバインダー樹脂(i)としては、従来から液体現像剤で使用されている公知のバインダー樹脂であって、上記溶媒(a)に溶解せず、かつ下記の溶媒(b)に溶解するという条件を満足する樹脂を使用でき、例えば、このような条件を満足するエポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、アルキド系樹脂、ロジン変性系樹脂等の樹脂を使用できる。また、必要に応じ、これら樹脂は単独又は2種以上を併用することができる。
コアセルベーション法においては、上記バインダー樹脂(i)を溶解し、かつ上記溶媒(a)より高SP値である溶媒(b)と、当該溶媒(b)より低SP値である絶縁性炭化水素系有機溶媒(上記溶媒(a)等)とを併用することができる。例えば、上記溶媒(b)を用いて、上記バインダー樹脂(i)を溶解状態にしてから、更に上記溶媒(b)より低SP値である絶縁性炭化水素系有機溶媒(上記溶媒(a)等)を加えて、バインダー樹脂(i)を析出させる操作を行うことができる。
具体的に、上記バインダー樹脂(i)を溶解する溶媒(溶媒(b))としては、SP値が8.5以上である事が好ましく、テトラヒドロフラン等のエーテル類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類を挙げることができ、更に、樹脂の溶解能力がある場合には、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類であっても良い。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、本発明において、溶媒のSP値(溶解度パラメーター)とは、分子凝集エネルギーの平方根で表される値で、Polymer HandBook(Second Edition)第IV章 Solubility Parameter Valuesに記載の値を用いる。単位は(MPa)1/2であり、25℃における値を指す。なお、データの記載がないものについては、R.F.Fedors,Polymer Engineering Science,14,p147(1967)に記載の方法で計算できる。
次に、コアセルベーション法で使用する分散剤としては、上記溶媒(a)及び上記溶媒(b)の両方に溶解する分散剤(A1)と、上記溶媒(b)には溶解するが上記溶媒(a)には不溶性又は難溶性の分散剤(B1)の2種を併用することができる。
本発明において、分散剤(A1)が溶媒(a)、溶媒(b)に溶解し、分散剤(B1)が溶媒(b)に溶解し、溶媒(a)に不溶性又は難溶性であることの指標としては、分散剤(A1)又は分散剤(B1)の溶媒(a)又は溶媒(b)に対する溶解度を用いることができる。本発明では、分散剤(A1)の溶媒(a)、溶媒(b)に対する溶解度が25℃で1.0g/100g(溶剤(a)、(b))以上である場合を溶解するとし、分散剤(B1)の溶媒(b)に対する溶解度が25℃で1.0g/100g(溶剤(b))以上である場合を溶解するとし、分散剤(B1)の溶媒(a)に対する溶解度が25℃で1.0g/100g(溶剤(a))未満である場合を不溶性又は難溶性とする。ここで、溶解度は、溶解限界まで溶解した液をろ過した後、ろ液の固形分率を重量法によって測定した値である。
なお、上記バインダー樹脂(i)について、「バインダー樹脂(i)が溶媒に溶解する(溶媒がバインダー樹脂(i)を溶解する)」、「バインダー樹脂(i)が溶媒に溶解しない(溶媒がバインダー樹脂(i)を溶解せず)」の意義も同様である。
このような分散剤としては、既知の分散剤が利用でき、それぞれの条件を満足する限り、分散剤(A1)と分散剤(B1)との組み合わせに特に制限はない。しかしながら、利用する溶媒によって、同じ分散剤であっても、(A1)の条件になる場合、(B1)の条件になる場合、又はどちらの条件にも相当しない場合と異なる可能性がある。そこで、溶媒(a)と溶媒(b)を定めた時点で、予備試験的に分散剤(A1)としての条件を満足するもの、分散剤(B1)としての条件を満足するものに分類し、それぞれの分類の中から組み合わせを適宜選択することが好ましい。
ちなみに、上記分散剤(A1)又は分散剤(B1)の候補となり得るものは、具体的には、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等の界面活性剤及びその誘導体、ポリウレタン系樹脂、芳香環及びヒドロキシカルボン酸由来のカルボキシル基によるエポキシ基の開環構造を有する変性ノボラック樹脂及び/又はグラフト共重合体(特開平9−302259号公報)、ポリ(ヒドロキシカルボン酸エステル)やその末端に塩基等の極性基をもつ分散剤、(ポリ)アミン化合物のアミノ基及び/又はイミノ基にポリエステルが導入された(ポリ)アミン誘導体、ポリエステル側鎖、ポリエーテル側鎖又はポリアクリル側鎖を有するカルボジイミド化合物(国際公開WO03/076527号)、塩基性窒素含有基を有し、かつ側鎖にポリエステル側鎖、ポリエーテル側鎖又はポリアクリル側鎖を有するカルボジイミド化合物(国際公開WO04/000950号)、顔料吸着部を有する側鎖を有するカルボジイミド化合物(国際公開WO04/003085号)等の高分子型の顔料分散樹脂等を挙げることができる。市販されているものとしては、例えば、BYK−160、162、164、182(ビックケミー社製)、EFKA−47、4050(EFKA社製)、ソルスパーズ17000、24000(ゼネカ社製)、アジスパーPB−817、821(味の素社製)等が挙げられる。
上記分散剤(A1)、(B1)としては、ポリアミン化合物とヒドロキシカルボン酸自己縮合物との反応物を使用することもできる。
上記ポリアミン化合物としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアミン系重合物、ポリアリルアミン系重合物、ポリジアリルアミン系重合物、ジアリルアミン−マレイン酸共重合物等が挙げられ、更にポリアニリン単位、ポリピロール単位等を含む重合物も挙げられる。また、上記ポリアミン化合物としては、エチレンジアミン等の脂肪族ポリアミン、シクロペンタンジアミン等の脂環式ポリアミン、フェニレンジアミン等の芳香族ポリアミン、キシリレンジアミン等の芳香脂肪族ポリアミン、ヒドラジン及びその誘導体等も挙げられる。なかでも、ポリアリルアミン等のポリアリルアミン系重合物が好ましい。
上記ヒドロキシカルボン酸自己縮合物を構成するヒドロキシカルボン酸としては特に限定されず、例えば、グリコール酸、乳酸、オキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドキシカプロン酸、ヒドロキシカプリル酸、ヒドロキシカプリン酸、ヒドロキシラウリン酸、ヒドロキシミリスチン酸、ヒドロキシパルミチン酸、ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、ひまし油脂肪酸、それらの水添物等が挙げられる。好ましくは炭素数12〜20のヒドロキシカルボン酸、より好ましくは炭素数12〜20の12−ヒドロキシカルボン酸、特に好ましくは12−ヒドロキシステアリン酸である。
特に好適な例として、ポリアミン化合物とヒドロキシステアリン酸自己縮合物との反応物を挙げることができ、なかでも、ポリアミン化合物と12−ヒドロキシステアリン酸自己縮合物(ポリアリルアミンと12−ヒドロキシステアリン酸自己縮合物との反応物、ポリエチレンポリアミンと12−ヒドロキシステアリン酸自己縮合物との反応物、ジアルキルアミノアルキルアミンと12−ヒドロキシステアリン酸自己縮合物との反応物、ポリビニルアミンと12−ヒドロキシステアリン酸自己縮合物との反応物等)が好適である。更にその中でも好ましいのは、ポリアリルアミンと12−ヒドロキシステアリン酸自己縮合物との反応物である。市販品としては、アジスパーPB817(味の素社製)、ソルスパーズ11200、13940、17000、18000(日本ルブリゾール社製)等を挙げることができる。
上記ポリアミン化合物とヒドロキシカルボン酸自己縮合物との反応物のアミン価は5〜300mgKOH/gであることが好ましい。
なお、本願明細書において、アミン価は固形分1gあたりのアミン価を意味し、0.1Nの塩酸水溶液を用い、電位差滴定法(例えば、COMTITE(AUTO TITRATOR COM−900、BURET B−900、TITSTATIONK−900)、平沼産業社製)によって測定した後、水酸化カリウムの当量に換算した値をいう。
上記分散剤(A1)、(B1)は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
更に、上記分散剤(A1)及び分散剤(B1)の最適な使用量比率(配合比率)も、それぞれの分散剤自身の性能の他、溶媒との組み合わせによって異なる可能性があるが、概ね、分散剤(A1):分散剤(B1)の質量比率=99:1〜1:99程度が好ましく、より好ましくは95:5〜5:95である。また、上記分散剤(A1)及び(B1)の合計使用量(合計配合量)は、本発明の液体現像剤中の顔料100質量部に対して0.1〜200質量部が好ましく、より好ましくは10〜100質量部である。
なお、コアセルベーション法を利用して得られる液体現像剤中に含まれる分散剤(B1)と顔料とバインダー樹脂(i)の合計配合量は、10〜50質量%が好ましく、より好ましくは15〜40質量%である。10質量%より少ないと、高濃度のものが得られず、50質量%より多いと、粘度が上がり過ぎる問題が生じるおそれがある。
次に、使用する荷電制御剤としては、上記溶媒(a)に溶解するもので、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸鉄、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸コバルト、オクチル酸ニッケル、オクチル酸亜鉛、ドデシル酸コバルト、ドデシル酸ニッケル、ドデシル酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸コバルト等の金属石鹸類、石油系スルホン酸金属塩、スルホコハク酸エステルの金属塩等のスルホン酸金属塩類、レシチン等の燐脂質、ジ−t−ブチルサリチル酸金属クロム塩、ジ−t−ブチルサリチル酸金属アルミニウム塩、ジ−t−ブチルサリチル酸金属ジルコニウム塩等のサリチル酸金属塩類、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリアミド樹脂、スルホン酸含有樹脂、ヒドロキシ安息香酸誘導体等を使用できる。
また、本発明の液体現像剤には、その他にも、必要に応じて他の添加剤を配合することができる。
<コアセルベーション法を使用して得られる液体現像剤の製造方法>
次に、以上の材料を用いてコアセルベーション法を使用して得られる液体現像剤を製造する方法を説明する。このような製法は一例であり、これらに限定されるものではない。
液体現像剤の製造方法としては、例えば、下記のような方法が挙げられる。
顔料、分散剤(A1)、分散剤(B1)及び溶媒(b)の一部を混合し、アトライター、ボールミル、サンドミル、ビーズミル等のメディア型分散機、高速ミキサー、高速ホモジナイザー等の非メディア型分散機で顔料を分散させた顔料分散溶液を得る。更に、この顔料分散溶液に、バインダー樹脂(i)、残りの溶媒(b)を加えた後、高速せん断装置で攪拌しながら溶媒(a)を添加して混合液を得る。なお、予めバインダー樹脂(i)を添加した後に顔料分散してもかまわない。
次いで、上記混合液を高速せん断攪拌装置により攪拌を行いながら、溶媒(b)の留去を行うことにより、分散剤(B1)及びバインダー樹脂(i)を析出させ、少なくとも顔料、分散剤(B1)及びバインダー樹脂(i)の3成分からなる着色樹脂粒子を含有する液体現像剤を得る。また、得られる液体現像剤の固形分が高い場合は、要求される固形分濃度となるように溶媒(a)を加え、更に、荷電制御剤、必要に応じてその他添加剤を加え、本発明の液体現像剤を得る。
なお、上記高速せん断攪拌装置としては、攪拌・せん断力をかけられるもので、ホモジナイザー、ホモミキサー等が利用できる。更に、容量、回転数、型式等、種々のものがあるが、生産様式に応じて適当なものを用いれば良い。ホモジナイザーを使用した場合の回転数としては、500回転(rpm)以上が好ましい。
<湿式粉砕法を利用して得られる液体現像剤>
(構成材料)
使用する顔料としては、上記コアセルベーション法を利用して得られる液体現像剤で説明したものと同様の無機顔料、有機顔料を使用できる。
これら顔料の含有量は特に限定されないが、画像濃度の点から、最終的な液体現像剤中に2〜20質量%となることが好ましい。
次に、使用するバインダー樹脂(i)としては、従来から液体現像剤で使用されている公知のバインダー樹脂(i)(溶媒(a)に溶解しない樹脂)が使用でき、例えば、上記コアセルベーション法を利用して得られる液体現像剤で説明したものと同様の樹脂を使用できる。
次に、湿式粉砕法で利用する絶縁性炭化水素系有機溶媒(溶媒(a))は、2−オクチル−1−ドデセン及び/又は2−オクチルドデカンである。このような特定の溶媒を使用することにより、コアセルベーション法の箇所で述べたことと同様の優れた効果を得ることができる。上記溶媒(a)の市販品としては、例えば、上記コアセルベーション法の箇所で説明したものと同様のものを使用できる。更に、系の粘度を高くしない範囲で他の高沸点の脂肪族系炭化水素等の絶縁性炭化水素系有機溶媒を併用してもよい。
上記溶媒(a)の合計含有量(2−オクチル−1−ドデセン及び2−オクチルドデカンの合計量)は、上記液体現像剤に含まれる絶縁性炭化水素系有機溶媒の全量100質量%中、70質量%以上が好ましく、80質量%以上が更に好ましい。これにより、良好な電気泳動性、画像品質を得ることができ、また、環境面でも望ましい。
次に、湿式粉砕法で使用する分散剤としては、上記溶媒(a)に溶解する分散剤(A)を使用する。
本発明において、分散剤(A)が溶媒(a)に溶解することの指標は、上記コアセルベーション法を利用して得られる液体現像剤で説明した指標と同様である。
なお、上記バインダー樹脂(i)について、「バインダー樹脂(i)が溶媒に溶解しない(溶媒がバインダー樹脂(i)を溶解しない)の意義も同様である。
上記分散剤(A)の具体例としては、上記コアセルベーション法を利用して得られる液体現像剤で説明した分散剤(A1)で例示した分散剤が使用できる。
また、上記分散剤(A)の使用量は、下記記載の着色チップ100質量部に対して2〜100質量部が好ましく、より好ましくは2〜50質量部である。
湿式粉砕法を利用して得られる液体現像剤中に含まれるバインダー樹脂(i)と顔料の合計配合量は、10〜50質量%が好ましく、より好ましくは15〜40質量%である。10質量%より少ないと、高濃度のものが得られず、50質量%より多いと、粘度が上がり過ぎる問題が生じるおそれがある。
次に、湿式粉砕法で使用する荷電制御剤としては、上記溶媒(a)に溶解するもので、上記コアセルベーション法を利用して得られる液体現像剤で説明した荷電制御剤と同様のものを使用することができる。また、湿式粉砕法を利用して得られる液体現像剤には、その他にも、必要に応じて他の添加剤を配合することができる。
<湿式粉砕法を使用して得られる液体現像剤の製造方法>
次に、以上の材料を用いて湿式粉砕法を使用して得られる液体現像剤を製造する方法を説明する。このような製法は一例であり、これらに限定されるものではない。
湿式粉砕法による液体現像剤の製造方法としては、例えば、下記のような方法が挙げられる。
顔料とバインダー樹脂(i)とを加熱混練(3本ロール、2軸押し出し機等)し、冷却後、得られた着色チップを乾式粉砕機を用いて乾式粉砕する(乾式粉砕により得られる祖粉砕物は平均粒子径が7〜12μmであることが好ましい)。尚、乾式粉砕する混練物が柔らかい場合、例えば軟化点が100℃以下の場合は、液体窒素或いは固体の二酸化炭素等で冷却、脆化して粉砕する。次いで湿式粉砕機を用い、上記乾式粉砕により得られた祖粉砕物を、分散剤(A)を溶解させた溶媒(a)中で湿式粉砕して湿式粉砕物を得る。更に、湿式粉砕物に、荷電制御剤、必要に応じてその他添加剤を加え、本発明の液体現像剤を得る。尚、荷電制御剤は湿式粉砕後に添加しているが、湿式粉砕時に添加することもできる。
上記乾式粉砕機としては、例えば、ハンマーミル、ジェットミル、ピンミル、ターボミル、カッターミル、ボールミル等が適宜使用できる。また、上記湿式粉砕機としては、例えば、アイガーミル、アトライター、サンドミル、ダイノミル、ボールミル、DCPミル、アペックスミル、パールミル等のメディア型分散機、アルティマイザー((株)スギノマシン製)、ナノマイザー(ナノマイザー(株)製)、マイクロフルダイザー(みずは工業(株)製)、DeBee2000(DeBee社製)等のメディアレス粉砕機等が適宜使用できる。湿式粉砕により得られた液体現像剤中のトナー粒子は、高精細画像を得る点からは、平均粒子径が0.1〜5μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。
本発明の液体現像剤は、上述の構成からなるので、電気泳動性に優れ、低粘度で、着色樹脂粒子の分散安定性も良好である。また、環境への影響少ない。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味するものとする。
実施例及び比較例で使用した顔料、分散剤(A1)、分散剤(B1)、バインダー樹脂(i)、荷電制御剤、溶媒(a)、溶媒(b)は以下のとおりである。
<顔料>
MA285(三菱化学社製、カーボンブラック)
<分散剤(A1)>
アジスパーPB817(味の素社製、塩基性基を有する分散剤:ポリアリルアミンと12−ヒドロキシステアリン酸自己縮合物との反応物、アミン価15mgKOH/g)
分散剤(A1)の溶媒(a)〔下記リニアレンダイマーA−20、A−20H〕に対する溶解度は1.0g/100g以上であった。分散剤(A1)のTHF(溶媒(b))に対する溶解度は1.0g/100g以上であった。
<分散剤(B1)>
還流冷却管、窒素ガス導入管、攪拌棒、温度計を備えた四つ口フラスコに、イソシアネート基を有するカルボジイミド当量316のポリカルボジイミド化合物のトルエン溶液(固形分50%)132.6部、N−メチルジエタノールアミンを12.8部仕込み、約100℃で3時間保持して、イソシアネート基と水酸基とを反応させた。次いで、末端にカルボキシル基を有する数平均分子量2000のポリカプロラクトンの開環物169.3部を仕込み、約80℃で2時間保持して、カルボジイミド基とカルボキシル基とを反応させた後、減圧下でトルエンを留去して顔料分散剤(固形分100%、塩基性基を有する分散剤)を得た。
分散剤(B1)の溶媒(a)〔下記リニアレンダイマーA−20、A−20H〕に対する溶解度は0.01g/100g(測定限界値)未満であった。分散剤(B1)のTHF(溶媒(b))に対する溶解度1.0g/100g以上であった。
<バインダー樹脂(i)>
YD−011(エポキシ樹脂/東都化成社製)
<荷電制御剤>
ジ−t−ブチルサリチル酸金属クロム塩
<溶媒(a)>
リニアレンダイマーA−20(出光興産社製、2−オクチル−1−ドデセン、SP値8.5未満/実施例1)
リニアレンダイマーA−20H(出光興産社製、2−オクチルドデカン、SP値8.5未満/実施例2)
モレスコホワイトP−55(松村石油化学研究所製(比較溶媒)SP値8.5未満/比較例1)
<溶媒(b)>
テトラヒドロフラン(THF)(SP値9.1)
(実施例1)
MA285の20.0部、分散剤(B1)8.0部、THF72.0部を混合し、直径5mmのスチールビーズを用いてペイントシェーカーで15分間混練後、直径0.05mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーモーターミルM−250(アイガージャパン社製)により更に2時間混練した。この混練物の17.5部に、バインダー樹脂(i)21部、THF61.5部を添加し、50℃で加熱攪拌した。その後、分散剤(A1)を1.0部を添加攪拌した後、リニアレンダイマーA−20の73.1部で希釈しながら攪拌し、混合液を得た。次いで、密閉式攪拌槽よりなるホモジナイザーに溶剤留去装置(減圧装置に接続)を接続した装置を用い、混合液をホモジナイザーで高速攪拌(回転数5,000rpm)しながら減圧装置により混合液温が50℃になるように減圧し、THFを密閉式攪拌槽より完全に留去して、液体現像剤を得た。次いで、荷電制御剤を1質量%の配合量となるように添加して、実施例1の液体現像剤(固形分26.9質量%)を得た。
(実施例2、比較例1)
上記実施例1にて、リニアレンダイマーA−20をリニアレンダイマーA−20H、モレスコホワイトP−55に変更した以外は上記実施例1と同様な方法で、実施例2、比較例1の液体現像剤を得た。
<性能評価>
以下のような評価方法により、リニアレンダイマーA−20、A−20H、モレスコホワイトP−55単独の粘度及び液体現像剤の粘度、泳動速度、揮発性を評価した。それらの結果を表1に示す。
(粘度)
25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製、50rpm)にて60秒後の粘度として測定した。
(泳動速度)
泳動セルを用いて粒子の泳動速度を目視にて観察した(条件:電極間距離:80μm、印加電圧:200V)。
○:粒子がスムーズに泳動する
△:粒子の泳動速度がやや遅い
×:粒子の泳動速度が遅い
(揮発性)
液体現像剤をアルミホイルに展色し(0.1mmメアバー)、160℃のオーブンで5秒乾燥後の重量減について測定した。
Figure 2009157254
表1から、溶媒(a)としてリニアレンダイマーA−20及びA−20Hを使用したものは、液体現像剤の粘度が低粘度で、粒子の泳動速度もスムーズで、実用性に問題がなかった。一方、溶媒(a)としてモレスコホワイトP−55を使用したものは、液体現像剤の粘度が高粘度で、粒子の泳動速度が劣っていた。
本発明の液体現像剤は、印刷機、複写機、プリンター、ファクシミリ等に好適に用いられる。

Claims (5)

  1. 絶縁性炭化水素系有機溶媒である2−オクチル−1−ドデセン及び/又は2−オクチルドデカン(溶媒(a))、少なくとも顔料及び前記溶媒(a)に溶解しないバインダー樹脂(バインダー樹脂(i))の2成分からなる着色樹脂粒子、前記溶媒(a)に溶解する分散剤(分散剤(A))、並びに、荷電制御剤を含有し、
    前記溶媒(a)の合計含有量が、液体現像剤に含まれる絶縁性炭化水素系有機溶媒の全量100質量%中、70質量%以上である
    ことを特徴とする液体現像剤。
  2. 溶媒(a)、少なくとも顔料、前記溶媒(a)に不溶性又は難溶性の分散剤(分散剤(B))及びバインダー樹脂(i)の3成分からなる着色樹脂粒子、分散剤(A)、並びに、荷電制御剤を含有し、コアセルベーション法を利用して得られる請求項1記載の液体現像剤。
  3. 溶媒(a)、少なくとも顔料及びバインダー樹脂(i)の2成分からなる着色樹脂粒子、分散剤(A)、並びに、荷電制御剤を含有し、湿式粉砕法を利用して得られる請求項1記載の液体現像剤。
  4. 溶媒(a)、顔料、バインダー樹脂(i)、前記バインダー樹脂(i)を溶解し、かつ前記溶媒(a)より高SP値である溶媒(b)、前記溶媒(a)及び(b)の両方に溶解する分散剤(A1)、並びに、前記溶媒(b)に溶解し、かつ前記溶媒(a)に不溶性又は難溶性の分散剤(B1)を含有する混合液から、前記溶媒(b)を留去して、溶解状態にあった前記バインダー樹脂(i)と前記分散剤(B1)とを析出させるコアセルベーション法を利用して得られる分散液に、荷電制御剤を配合した請求項1記載の液体現像剤。
  5. 顔料及びバインダー樹脂(i)を加熱混練して得られる着色チップを、溶媒(a)に溶解する分散剤(A)の存在下で溶媒(a)に分散させる湿式粉砕法を利用して得られる分散液に、荷電制御剤を配合した請求項1記載の液体現像剤。
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