JP5010436B2 - 液体現像剤 - Google Patents

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Description

本発明は、印刷機、複写機、プリンター、ファクシミリ等に用いられる電子写真又は静電記録用の液体現像剤に関する。
液体現像剤としては、一般的に、顔料等の着色剤を含有する着色樹脂粒子(以下、トナー粒子ともいう)を電気絶縁性媒体中に分散させた形態のものが使用されている。本発明では、このような液体現像剤を製造する方法の一つであるコアセルベーション法について説明する。コアセルベーション法とは、樹脂を溶解する溶剤と、樹脂を溶解しない電気絶縁性媒体との混合液から、溶剤を除去することにより、混合液中に溶解状態で含まれていた樹脂を、着色剤を内包する様に析出させて着色樹脂粒子とし、更に着色樹脂粒子を電気絶縁性媒体中に分散させる方法である。
この様な方法から得られる液体現像剤は、湿式粉砕法により得られる液体現像剤より着色樹脂粒子の形状が球形に近く、粒子径も均一となるため、電気泳動性も良好になると考えられている。
しかしながら、コアセルベーション法で得られる液体現像剤を用いて印刷して得られる画像は、一般に耐摩擦性が低いという問題を有する。
従来、液体現像剤の耐摩擦性を向上させる方法として、コアセルベーション法ではないが、ワックスを添加する方法(例えば、特許文献1の従来技術の欄参照)、特定の溶融温度を有するトナー粒子構成樹脂と添加材料(ポリエチレンワックス等)を組み合わせて用いる方法(例えば、特許文献2参照)等が提案されている。
そこで、コアセルベーション法で得られる液体現像剤の耐磨耗性を改善させるために、上記提案のポリエチレンワックス等を含有させることも考えられるが、そのようなポリエチレンワックス等を含有させても、得られる画像の耐磨耗性が改善されず不充分であり、コアセルベーション法での製造における特有の問題を有している。
特開昭60−098446号公報 特表平10−510063号公報
そこで、本発明は、電子写真又は静電記録用の液体現像剤、特に、コアセルベーション法を利用して得られる電子写真又は静電記録用の液体現像剤において、良好な耐磨耗性を有する液体現像剤を提供する事を課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、少なくとも顔料及びバインダー樹脂の2成分からなる着色樹脂粒子、上記バインダー樹脂を溶解しない絶縁性炭化水素系有機溶媒、上記絶縁性炭化水素系有機溶媒に溶解する分散剤、並びに、荷電制御剤を含有する液体現像剤に、更に、塩基性基を有する化合物の存在下で処理された酸化ポリエチレンワックスを含有させた液体現像剤を使用することにより、得られる印刷物の耐磨耗性が向上する事を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、(1)少なくとも顔料及びバインダー樹脂の2成分からなる着色樹脂粒子、上記バインダー樹脂を溶解しない絶縁性炭化水素系有機溶媒(溶媒(b))、上記溶媒(b)に溶解する分散剤(分散剤(A))、塩基性基を有する化合物の存在下で処理された酸化ポリエチレンワックス、並びに、荷電制御剤を含有することを特徴とする液体現像剤に関する。
また、本発明は、(2)少なくとも顔料、溶媒(b)に不溶性又は難溶性の分散剤(分散剤(B))及びバインダー樹脂の3成分からなる着色樹脂粒子、溶媒(b)、分散剤(A)、並びに、荷電制御剤を含有し、コアセルベーション法を利用して得られる液体現像剤中に、更に、酸化ポリエチレンワックスを塩基性基を有する化合物の存在下、溶媒(b)に分散させた酸化ポリエチレンワックス分散体を配合した上記(1)項に記載の液体現像剤に関する。
また、本発明は、(3)少なくとも顔料及びバインダー樹脂の2成分からなる着色樹脂粒子、溶媒(b)、分散剤(A)、並びに、荷電制御剤を含有し、湿式粉砕法を利用して得られる液体現像剤中に、更に、酸化ポリエチレンワックスを塩基性基を有する化合物の存在下、溶媒(b)に分散させた酸化ポリエチレンワックス分散体を配合した上記(1)項に記載の液体現像剤に関する。
また、本発明は、(4)顔料、バインダー樹脂、上記バインダー樹脂を溶解する溶媒(溶媒(a))、上記バインダー樹脂を溶解せず、かつ上記溶媒(a)より低SP値である溶媒(b)、上記溶媒(a)及び(b)の両方に溶解する分散剤(A)、上記溶媒(a)には溶解し、かつ上記溶媒(b)に不溶性又は難溶性の分散剤(B)、並びに、酸化ポリエチレンワックスを含有する混合液から、上記溶媒(a)を留去して、溶解状態にあった上記バインダー樹脂と上記分散剤(B)とを析出させるコアセルベーション法を利用して得られる分散液に、荷電制御剤を配合した液体現像剤であって、上記分散剤(A)及び/又は(B)が塩基性基を有する分散剤である上記(1)項に記載の液体現像剤に関する。
また、本発明は、(5)顔料及びバインダー樹脂を加熱混練して得られる着色チップを、分散剤(A)としての塩基性基を有する分散剤、酸化ポリエチレンワックス及び溶媒(b)を含有する混合物中に分散させ、湿式粉砕法を利用して得られる分散液に、荷電制御剤を配合した顔料及びバインダー樹脂を加熱混練して得られる着色チップを、分散剤(A)としての塩基性基を有する分散剤及び酸化ポリエチレンワックスを分散させた溶媒(b)中に、湿式粉砕法を利用して分散し、得られた分散液に、荷電制御剤を配合した上記(1)項に記載の液体現像剤に関する。
また、本発明は、(6)塩基性基を有する化合物が、ポリアミン化合物と12−ヒドロキシステアリン酸自己縮合物との反応物である上記(1)項〜(3)項のいずれかに記載の液体現像剤に関する。
また、本発明は、(7)荷電制御剤が、サリチル酸金属塩類である上記(1)項〜(6)項のいずれかに記載の液体現像剤に関する。
以下、本発明の液体現像剤について詳細に説明する。
本発明の液体現像剤である少なくとも顔料及びバインダー樹脂の2成分からなる着色樹脂粒子、上記バインダー樹脂を溶解しない絶縁性炭化水素系有機溶媒(溶媒(b))、上記溶媒に溶解する分散剤(分散剤(A))、塩基性基を有する化合物の存在下で処理された酸化ポリエチレンワックス、並びに、荷電制御剤を含有する液体現像剤は、種々の製造方法により得ることができるが、本発明の液体現像剤が得ることができる代表的なコアセルベーション法、湿式粉砕法を利用して得られる液体現像剤について具体的に説明する。
<コアセルベーション法を利用して得られる液体現像剤>
(構成材料)
使用する顔料としては、無機顔料、有機顔料が使用でき、アセチレンブラック、黒鉛、ベンガラ、黄鉛、群青、カーボンブラック等の無機顔料や、アゾ顔料、レーキ顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料が好適である。
これら顔料の含有量は特に限定されないが、画像濃度の点から、最終的な液体現像剤中に2〜20質量%となることが好ましい。
次に、使用するバインダー樹脂としては、従来から液体現像剤で使用されている公知のバインダー樹脂(後述する溶媒(a)に溶解し、かつ後述する溶媒(b)に溶解しない樹脂)が使用でき、例えば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、アルキド系樹脂、ロジン変性系樹脂等の樹脂が使用でき、必要に応じ、これら樹脂を単独又は2種以上を併用することができる。
次に、コアセルベーション法で利用する溶媒としては、上記バインダー樹脂を溶解する溶媒(溶媒(a))と、上記バインダー樹脂を溶解せず、かつ上記溶媒(a)より低SP値である絶縁性炭化水素系有機溶媒(溶媒(b))との2種が併用される。
具体的に、上記バインダー樹脂を溶解する溶媒(溶媒(a))としては、SP値が8.5以上である事が好ましく、テトラヒドロフラン等のエーテル類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類を挙げることができ、更に、樹脂の溶解能力がある場合には、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類であっても良い。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
一方、上記絶縁性炭化水素系有機溶媒(溶媒(b))としては、上記バインダー樹脂を溶解せず、電気絶縁性を有し、上記溶媒(a)より低SP値を有する炭化水素類を使用できる。上記溶媒(b)のSP値は8.5未満である事が好ましい。
具体的には、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素を挙げることができ、更に上記のバインダー樹脂を溶解しない範囲であれば、芳香族炭化水素やハロゲン化炭化水素等であっても良い。その中でも特に、臭気、無害性、コストの点から、ノルマルパラフィン系溶媒、イソパラフィン系溶媒、シクロパラフィン系溶媒が好ましい。市販品としては、例えば、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、エクソールD130、エクソールD140(以上いずれもエクソン化学(株)製)、シェルゾール71(シェル石油化学(株)製)、IPソルベント1620、IPソルベント2080、IPソルベント2835(以上いずれも出光石油化学(株)製)、モレスコホワイトP−40、モレスコホワイトP−55、モレスコホワイトP−80(以上いずれも松村石油研究所社製)、流動パラフィンNo.40−S、流動パラフィンNo.55−S(以上いずれも中央化成社製)等が好ましい。
なお、本発明において、溶媒のSP値(溶解度パラメーター)とは、分子凝集エネルギーの平方根で表される値で、Polymer HandBook(Second Edition)第IV章 Solubility Parameter Valuesに記載の値を用いる。単位は(MPa)1/2であり、25℃における値を指す。なお、データの記載がないものについては、R.F.Fedors,Polymer Engineering Science,14,p147(1967)に記載の方法で計算できる。
次に、コアセルベーション法で使用する分散剤としては、上記溶媒(a)及び上記絶縁性炭化水素系の溶媒(b)の両方に溶解する分散剤(A)と、上記溶媒(a)には溶解するが上記絶縁性炭化水素系の溶媒(b)には不溶性又は難溶性の分散剤(B)の2種を併用する。
本発明において、分散剤(A)が溶媒(a)、溶媒(b)に溶解し、分散剤(B)が溶媒(a)に溶解し、溶媒(b)に不溶性又は難溶性であることの指標としては、分散剤(A)又は分散剤(B)の溶媒(a)又は溶媒(b)に対する溶解度を用いることができる。本発明では、分散剤(A)の溶媒(a)、溶媒(b)に対する溶解度が25℃で1.0g/100g(溶剤(a)、(b))以上である場合を溶解するとし、分散剤(B)の溶媒(a)に対する溶解度が25℃で1.0g/100g(溶剤(a))以上である場合を溶解するとし、分散剤(B)の溶媒(b)に対する溶解度が25℃で1.0g/100g(溶剤(b))未満である場合を不溶性又は難溶性とする。ここで、溶解度は、溶解限界まで溶解した液をろ過した後、ろ液の固形分率を重量法によって測定した値である。
なお、上記バインダー樹脂について、「バインダー樹脂を溶解する」、「バインダー樹脂を溶解せず」の意義も同様である。
このような分散剤としては、既知の分散剤が利用でき、それぞれの条件を満足する限り、分散剤(A)と分散剤(B)との組み合わせに特に制限はない。しかしながら、利用する溶媒によって、同じ分散剤であっても、(A)の条件になる場合、(B)の条件になる場合、あるいはどちらの条件にも相当しない場合と異なる可能性がある。そこで、溶媒(a)と絶縁性炭化水素系の溶媒(b)を定めた時点で、予備試験的に分散剤(A)としての条件を満足するもの、分散剤(B)としての条件を満足するものに分類し、それぞれの分類の中から組み合わせを適宜選択することが好ましい。
ちなみに、上記分散剤(A)又は分散剤(B)の候補となり得るものは、具体的には、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等の界面活性剤及びその誘導体、ポリウレタン系樹脂、芳香環及びヒドロキシカルボン酸由来のカルボキシル基によるエポキシ基の開環構造を有する変性ノボラック樹脂及び/又はグラフト共重合体(特開平9−302259号公報)、ポリ(ヒドロキシカルボン酸エステル)やその末端に塩基等の極性基をもつ分散剤、(ポリ)アミン化合物のアミノ基及び/又はイミノ基にポリエステルが導入された(ポリ)アミン誘導体、ポリエステル側鎖、ポリエーテル側鎖又はポリアクリル側鎖を有するカルボジイミド化合物(国際公開WO03/07652号)、塩基性窒素含有基を有し、かつ側鎖にポリエステル側鎖、ポリエーテル側鎖又はポリアクリル側鎖を有するカルボジイミド化合物(国際公開WO04/000950号)、顔料吸着部を有する側鎖を有するカルボジイミド化合物(国際公開WO04/003085号)等の高分子型の顔料分散樹脂等を挙げることができる。市販されているものとしては、例えば、BYK−160、162、164、182(ビックケミー社製)、EFKA−47、4050(EFKA社製)、ソルスパーズ17000、24000(ゼネカ社製)、アジスパーPB−817、821(味の素社製)等が挙げられる。上記分散剤(A)、(B)は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
更に、上記分散剤(A)及び分散剤(B)の最適な使用量比率(配合比率)も、それぞれの分散剤自身の性能の他、溶媒との組み合わせによって異なる可能性があるが、概ね、分散剤(A):分散剤(B)の質量比率=99:1〜1:99程度が好ましく、より好ましくは95:5〜5:95である。また、上記分散剤(A)及び(B)の合計使用量(合計配合量)は、本発明の液体現像剤中の顔料100質量部に対して0.1〜200質量部が好ましく、より好ましくは10〜100質量部である。
なお、コアセルベーション法を利用して得られる液体現像剤中に含まれる絶縁性炭化水素系の溶媒(b)に不溶性又は難溶性の分散剤(B)と顔料とバインダー樹脂の合計配合量は、10〜50質量%が好ましく、より好ましくは15〜40質量%である。10質量%より少ないと、高濃度のものが得られず、50質量%より多いと、粘度が上がり過ぎる問題が生じるおそれがある。
次に、塩基性基を有する化合物の存在下で処理された酸化ポリエチレンワックスとしては、絶縁性炭化水素系の溶媒(b)中で、酸化ポリエチレンワックスと塩基性基を有する化合物が撹拌・混合されたものを使用する。
上記撹拌・混合されたものとしては、予め、絶縁性炭化水素系の溶媒(b)中で、酸化ポリエチレンワックスと塩基性基を有する化合物が撹拌・混合された混合物であってもよいし、下記に記載のコアセルベーション法(分散剤(A)及び/又は分散剤(B)が塩基性基を有する分散剤(塩基性基を有する化合物)である)で着色樹脂粒子を形成させる時に、予め酸化ポリエチレンワックスを含有させ、製造時に絶縁性炭化水素系の溶媒(b)中で、酸化ポリエチレンワックスと塩基性基を有する分散剤が撹拌・混合されたものであってもよい。
この塩基性基を有する化合物の存在下で処理された酸化ポリエチレンワックスを使用することにより、耐摩耗性に優れた液体現像剤を得ることができる。
上記酸化ポリエチレンワックスとしては、(i)ラジカル触媒により高圧高温下でエチレン重合する方法、(ii)チーグラー触媒により低圧でエチレン重合する方法、(iii)一般成型用ポリエチレンを熱分解により低分子量化する方法、(iv)一般成型用ポリエチレンを製造する際に副生する低分子量ポリエチレンを分離精製して利用する方法等で得られたポリエチレンワックスを空気酸化等の酸化法で酸化して、カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルボニル基等を付加したもの、又は、(v)一般成型用ポリエチレンを酸化する方法で製造されたもの等、公知のものを使用できる。
上記酸化ポリエチレンワックスは、分散液のものと粉体のものがあるが、分散液の場合は、上記絶縁性炭化水素系の溶媒(b)を加え、撹拌しながら分散液に含まれている分散溶剤を減圧蒸留して得られる分散体を、粉体の場合は、上記絶縁性炭化水素系の溶媒(b)を加え撹拌した分散体を使用することが好ましい。
本発明で使用する酸化ポリエチレンワックスは、酸価が0.5〜20mgKOH/gの範囲にあるものが好ましい。
本発明において、酸化ポリエチレンワックスの酸価はJIS K5902にて測定される。
なお、上記酸化ポリエチレンワックス(固形分)の好適な使用量(配合量)は、上記液体現像剤の全固形分100質量%中、0.1〜10質量%の範囲である。
また、上記に記載したように酸化ポリエチレンワックスは、泳動性を向上させ、液体現像剤を印刷して得られる印刷物の耐摩性を向上させるために、塩基性基を有する化合物の存在下で処理されている。上記塩基性基を有する化合物としては、好ましくは上記分散剤(A)、分散剤(B)に記載したもので塩基性基を有する分散剤が使用できる。
上記塩基性基を有する化合物として、ポリアミン化合物とヒドロキシカルボン酸自己縮合物との反応物を使用することがより好ましい。
上記ポリアミン化合物としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアミン系重合物、ポリアリルアミン系重合物、ポリジアリルアミン系重合物、ジアリルアミン−マレイン酸共重合物等が挙げられ、更にポリアニリン単位、ポリピロール単位等を含む重合物も挙げられる。また、上記ポリアミン化合物としては、エチレンジアミン等の脂肪族ポリアミン、シクロペンタンジアミン等の脂環式ポリアミン、フェニレンジアミン等の芳香族ポリアミン、キシリレンジアミン等の芳香脂肪族ポリアミン、ヒドラジン及びその誘導体等も挙げられる。なかでも、ポリアリルアミン等のポリアリルアミン系重合物が好ましい。
上記ヒドロキシカルボン酸自己縮合物を構成するヒドロキシカルボン酸としては特に限定されず、例えば、グリコール酸、乳酸、オキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドキシカプロン酸、ヒドロキシカプリル酸、ヒドロキシカプリン酸、ヒドロキシラウリン酸、ヒドロキシミリスチン酸、ヒドロキシパルミチン酸、ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、ひまし油脂肪酸、それらの水添物等が挙げられる。好ましくは炭素数12〜20のヒドロキシカルボン酸、より好ましくは炭素数12〜20の12−ヒドロキシカルボン酸、特に好ましくは12−ヒドロキシステアリン酸である。
上記塩基性基を有する化合物の特に好適な例として、ポリアミン化合物とヒドロキシステアリン酸自己縮合物との反応物を挙げることができ、なかでも、ポリアミン化合物と12−ヒドロキシステアリン酸自己縮合物(ポリアリルアミンと12−ヒドロキシステアリン酸自己縮合物との反応物、ポリエチレンポリアミンと12−ヒドロキシステアリン酸自己縮合物との反応物、ジアルキルアミノアルキルアミンと12−ヒドロキシステアリン酸自己縮合物との反応物、ポリビニルアミンと12−ヒドロキシステアリン酸自己縮合物との反応物等)が好適である。更にその中でも好ましいのは、ポリアリルアミンと12−ヒドロキシステアリン酸自己縮合物との反応物である。市販品としては、アジスパーPB817(味の素社製)、ソルスパーズ11200、13940、17000、18000(日本ルブリゾ−ル社製)等を挙げることができる。
上記ポリアミン化合物とヒドロキシカルボン酸自己縮合物との反応物のアミン価は5〜300mgKOH/gであることが好ましい。
なお、本願明細書において、アミン価は固形分1gあたりのアミン価を意味し、0.1Nの塩酸水溶液を用い、電位差滴定法(例えば、COMTITE(AUTO TITRATOR COM−900、BURET B−900、TITSTATIONK−900)、平沼産業社製)によって測定した後、水酸化カリウムの当量に換算した値をいう。
塩基性基を有する化合物の存在下で処理した酸化ポリエチレンワックスとしては、上記に記載した絶縁性炭化水素系の溶媒(b)中で、酸化ポリエチレンワックスと塩基性基を有する化合物が撹拌・混合されたもので、泳動性を向上させ、液体現像剤を印刷して得られる印刷物の耐摩性をより向上させる点からは、予め、絶縁性炭化水素系の溶媒(b)中で、酸化ポリエチレンワックスと塩基性基を有する化合物が撹拌・混合された混合物を使用することが好ましい。具体的には、上記酸化ポリエチレンワックスが分散溶剤中に分散されている分散液の場合は、酸化ポリエチレンワックスの分散液に、上記絶縁性炭化水素系の溶媒(b)、塩基性基を有する化合物を加え、撹拌しながら酸化ポリエチレンワックスの分散液に含まれている分散溶剤を減圧蒸留して得られる分散体、粉体の場合は、粉体の酸化ポリエチレンワックスに上記絶縁性炭化水素系の溶媒(b)、塩基性基を有する化合物を加え撹拌した分散体が例示できる。
次に、使用する荷電制御剤としては、上記絶縁性炭化水素系の溶媒(b)に溶解するもので、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸鉄、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸コバルト、オクチル酸ニッケル、オクチル酸亜鉛、ドデシル酸コバルト、ドデシル酸ニッケル、ドデシル酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸コバルト等の金属石鹸類、石油系スルホン酸金属塩、スルホコハク酸エステルの金属塩等のスルホン酸金属塩類、レシチン等の燐脂質、t−ブチルサリチル酸金属クロム塩、t−ブチルサリチル酸金属アルミニウム塩、t−ブチルサリチル酸金属ジルコニウム塩等のサリチル酸金属塩類、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリアミド樹脂、スルホン酸含有樹脂、ヒドロキシ安息香酸誘導体等を使用でき、この中でも酸化ポリエチレンワックスの帯電性の点からサリチル酸金属塩類が好適である。
また、本発明の液体現像剤には、その他にも、必要に応じて他の添加剤を配合することができる。
<コアセルベーション法を使用して得られる液体現像剤の製造方法>
次に、以上の材料を用いてコアセルベーション法を使用して得られる液体現像剤を製造する方法を説明する。このような製法は一例であり、これらに限定されるものではない。
液体現像剤の製造方法としては、例えば、下記(1)、(2)が挙げられる。
(1)顔料、分散剤(A)、分散剤(B)及び溶媒(a)の一部を混合し、アトライター、ボールミル、サンドミル、ビーズミル等のメディア型分散機、高速ミキサー、高速ホモジナイザー等の非メディア型分散機で顔料を分散させた顔料分散溶液を得る。更に、この顔料分散溶液に、バインダー樹脂、残りの溶媒(a)を加えた後、高速せん断装置で攪拌しながら絶縁性炭化水素系の溶媒(b)を添加して混合液を得る。なお、予めバインダー樹脂を添加した後に顔料分散してもかまわない。
次いで、上記混合液を高速せん断攪拌装置により攪拌を行いながら、溶媒(a)の留去を行うことにより、着色樹脂粒子を含有する液体現像剤を得る。また、得られる液体現像剤の固形分が高い場合は、要求される固形分濃度となるように絶縁性炭化水素系の溶媒(b)を加え、更に、荷電制御剤、酸化ポリエチレンワックスを塩基性基を有する化合物の存在下、絶縁性炭化水素系の溶媒(b)に分散させた酸化ポリエチレンワックス分散体、必要に応じてその他添加剤を加え、本発明の液体現像剤を得る。
(2)顔料、分散剤(A)、分散剤(B)及び溶媒(a)の一部を混合し、アトライター、ボールミル、サンドミル、ビーズミル等のメディア型分散機、高速ミキサー、高速ホモジナイザー等の非メディア型分散機で顔料を分散させた顔料分散溶液を得る。更に、この顔料分散溶液に、バインダー樹脂、酸化ポリエチレンワックス、残りの溶媒(a)を加えた後、高速せん断装置で攪拌しながら絶縁性炭化水素系の溶媒(b)を添加して混合液を得る。なお、予めバインダー樹脂を添加した後に顔料分散してもかまわない。
次いで、上記混合液を高速せん断攪拌装置により攪拌を行いながら、溶媒(a)の留去を行うことにより、着色樹脂粒子を含有する液体現像剤を得る。また、得られる液体現像剤の固形分が高い場合は、要求される固形分濃度となるように絶縁性炭化水素系の溶媒(b)を加え、更に、荷電制御剤、必要に応じてその他添加剤を加え、本発明の液体現像剤を得る(但し、分散剤(A)及び/又は分散剤(B)は塩基性基を有する分散剤(化合物)である)。
なお、上記高速せん断攪拌装置としては、攪拌・せん断力をかけられるもので、ホモジナイザー、ホモミキサー等が利用できる。更に、容量、回転数、型式等、種々のものがあるが、生産様式に応じて適当なものを用いれば良い。ホモジナイザーを使用した場合の回転数としては、500回転(rpm)以上が好ましい。
コアセルベーション法を利用して本発明の液体現像剤を得るには、上記(1)に記載した製造方法において、絶縁性炭化水素系の溶媒(b)と塩基性基を有する化合物と酸化ポリエチレンワックスとを含有する分散体として加えたものが、酸化ポリエチレンワックスの泳動性が優れ、得られる印刷物の耐摩擦性が向上する点から好ましい。
<湿式粉砕法を利用して得られる液体現像剤>
(構成材料)
使用する顔料としては、上記コアセルベーション法を利用して得られる液体現像剤で説明したものと同様の無機顔料、有機顔料を使用できる。
これら顔料の含有量は特に限定されないが、画像濃度の点から、最終的な液体現像剤中に2〜20質量%となることが好ましい。
次に、使用するバインダー樹脂としては、従来から液体現像剤で使用されている公知のバインダー樹脂(溶媒(b)に溶解しない樹脂)が使用でき、例えば、上記コアセルベーション法を利用して得られる液体現像剤で説明したものと同様の樹脂を使用できる。
次に、湿式粉砕法で利用する溶媒としては、上記バインダー樹脂を溶解しない絶縁性炭化水素系有機溶媒(溶媒(b))が使用できる。この絶縁性炭化水素系有機溶媒(溶媒(b))としては、上記バインダー樹脂を溶解せず、電気絶縁性を有する炭化水素類を使用できる。具体的には、上記コアセルベーション法を利用して得られる液体現像剤で説明した溶媒(b)と同じものが使用できる。
次に、湿式粉砕法で使用する分散剤としては、上記絶縁性炭化水素系の溶媒(b)に溶解する分散剤(A)を使用する。
本発明において、分散剤(A)が溶媒(b)に溶解することの指標は、上記コアセルベーション法を利用して得られる液体現像剤で説明した指標と同様である。
なお、上記バインダー樹脂について、「バインダー樹脂を溶解しない」の意義も同様である。
上記分散剤(A)の具体例としては、上記コアセルベーション法を利用して得られる液体現像剤で説明した分散剤(A)で例示した分散剤が使用できる。
また、上記分散剤(A)の使用量は、下記記載の着色チップ100質量部に対して2〜100質量部が好ましく、より好ましくは2〜50質量部である。
湿式粉砕法を利用して得られる液体現像剤中に含まれる絶縁性炭化水素系の溶媒(b)に溶解しないバインダー樹脂と顔料の合計配合量は、10〜50質量%が好ましく、より好ましくは15〜40質量%である。10質量%より少ないと、高濃度のものが得られず、50質量%より多いと、粘度が上がり過ぎる問題が生じるおそれがある。
次に、湿式粉砕法で使用する、塩基性基を有する化合物の存在下で処理された酸化ポリエチレンワックスとしては、絶縁性炭化水素系の溶媒(b)中で、酸化ポリエチレンワックスと塩基性基を有する化合物が撹拌・混合されたものを使用する。
上記撹拌・混合されたものとしては、予め、絶縁性炭化水素系の溶媒(b)中で、酸化ポリエチレンワックスと塩基性基を有する化合物が撹拌・混合された混合物であってもよいし、下記に記載の湿式粉砕法において着色チップを分散剤(A)としての塩基性基を有する分散剤を溶解させた絶縁性炭化水素系の溶媒(b)中で湿式粉砕させる時に、分散剤(A)を溶解させた絶縁性炭化水素系の溶媒(b)中に予め酸化ポリエチレンワックスを含有させ、製造時に、絶縁性炭化水素系の溶媒(b)中で酸化ポリエチレンワックスと塩基性基を有する分散剤が撹拌・混合されたものであってもよい。
この塩基性基を有する化合物の存在下で処理された酸化ポリエチレンワックスを使用することにより、耐摩耗性に優れた液体現像剤を得ることができる。
湿式粉砕法で使用する酸化ポリエチレンワックスとしては、上記コアセルベーション法を利用して得られる液体現像剤で説明した酸化ポリエチレンワックスと同様のものが使用できる。
なお、湿式粉砕法において、上記酸化ポリエチレンワックス(固形分)の使用量(配合量)は、上記液体現像剤の全固形分100質量%中、0.1〜10質量%の範囲である。
また、上記に記載したように酸化ポリエチレンワックスは、泳動性を向上させ、液体現像剤を印刷して得られる印刷物の耐摩性を向上させるために、塩基性基を有する化合物の存在下で処理されている。好ましくは上記分散剤(A)に記載したもので塩基性基を有する分散剤が使用できる。上記塩基性基を有する化合物として、上記コアセルベーション法を利用して得られる液体現像剤で説明した化合物と同様のものが使用できる。
湿式粉砕法で使用する、塩基性基を有する化合物の存在下で処理した酸化ポリエチレンワックスとしては、上記コアセルベーション法を利用して得られる液体現像剤で好適な例として記載したものと同様のものが好ましい。
次に、湿式粉砕法で使用する荷電制御剤としては、上記絶縁性炭化水素系の溶媒(b)に溶解するもので、上記コアセルベーション法を利用して得られる液体現像剤で説明した荷電制御剤と同様のものを使用することができる。この中でも酸化ポリエチレンワックスの帯電性の点からサリチル酸金属塩類が好適である。
また、湿式粉砕法を利用して得られる液体現像剤には、その他にも、必要に応じて他の添加剤を配合することができる。
<湿式粉砕法を使用して得られる液体現像剤の製造方法>
次に、以上の材料を用いて湿式粉砕法を使用して得られる液体現像剤を製造する方法を説明する。このような製法は一例であり、これらに限定されるものではない。
湿式粉砕法による液体現像剤の製造方法としては、例えば、下記(1)、(2)が挙げられる。
(1)顔料とバインダー樹脂とを加熱混練(3本ロール、2軸押し出し機等)し、冷却後、得られた着色チップを乾式粉砕機を用いて乾式粉砕する(乾式粉砕により得られる祖粉砕物は平均粒子径が7〜12μmであることが好ましい)。尚、乾式粉砕する混練物が柔らかい場場合、例えば軟化点が100℃以下の場合は、液体窒素或いは固体の二酸化炭素等で冷却、脆化して粉砕する。次いで湿式粉砕機を用い、上記乾式粉砕により得られた祖粉砕物を、分散剤(A)を溶解させた絶縁性炭化水素系の溶媒(b)中で湿式粉砕して湿式粉砕物を得る。更に、湿式粉砕物に、酸化ポリエチレンワックスを塩基性基を有する化合物の存在下、絶縁性炭化水素系の溶媒(b)に分散させた酸化ポリエチレンワックス分散体及び荷電制御剤、必要に応じてその他添加剤を加え、本発明の液体現像剤を得る。尚、荷電制御剤は湿式粉砕後に添加しているが、湿式粉砕時に添加することもできる。
(2)上記(1)と同じように乾式粉砕により得られた粉砕物を、分散剤(A)としての塩基性基を有する分散剤を溶解させ、酸化ポリエチレンワックスを分散させた絶縁性炭化水素系の溶媒(b)中で湿式粉砕して湿式粉砕物を得る。更に、湿式粉砕物に、荷電制御剤、必要に応じてその他添加剤を加え、本発明の液体現像剤を得る。尚、荷電制御剤は湿式粉砕後に添加しているが、湿式粉砕時に添加することもできる。
上記乾式粉砕機としては、例えば、ハンマーミル、ジェットミル、ピンミル、ターボミル、カッターミル、ボールミル等が適宜使用できる。
また、上記湿式粉砕機としては、例えば、アイガーミル、アトライター、サンドミル、ダイノミル、ボールミル、DCPミル、アペックスミル、パールミル等のメディア型分散機、アルティマイザー((株)スギノマシン製)、ナノマイザー(ナノマイザー(株)製)、マイクロフルダイザー(みずは工業(株)製)、DeBee2000(DeBee社製)等のメディアレス粉砕機等が適宜使用できる。湿式粉砕により得られた液体現像剤中のトナー粒子は、高精細画像を得る点からは、平均粒子径が0.1〜5μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。
湿式粉砕法を利用して本発明の液体現像剤を得るには、上記(1)に記載した製造方法において、酸化ポリエチレンワックスを、絶縁性炭化水素系の溶媒(b)と塩基性基を有する化合物と酸化ポリエチレンワックスとを含有する分散体として加えたものが、酸化ポリエチレンワックスの泳動性が優れ、得られる印刷物の耐摩擦性が向上する点から好ましい。
本発明の液体現像剤は、上述の構成からなるので、優れた耐磨耗性を有している。また、帯電性、泳動性も良好である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味するものとする。
実施例及び比較例で使用した顔料、分散剤(A)、分散剤(B)、塩基性基を有する化合物、バインダー樹脂、ワックス、荷電制御剤、溶媒(a)、絶縁性炭化水素系の溶媒(b)は以下のとおりである。
<顔料>
MA285(三菱化学社製、カーボンブラック)
<分散剤(A)>
アジスパーPB817(味の素社製、塩基性基を有する分散剤)
分散剤(A)のTHF(溶媒(a))に対する溶解度は1.0g/100g以上であった。
分散剤(A)のモレスコホワイトP−40(溶媒(b))に対する溶解度は1.0g/100g以上であった。
<分散剤(B)>
還流冷却管、窒素ガス導入管、攪拌棒、温度計を備えた四つ口フラスコに、イソシアネート基を有するカルボジイミド当量316のポリカルボジイミド化合物のトルエン溶液(固形分50%)132.6部、N−メチルジエタノールアミンを12.8部仕込み、約100℃で3時間保持して、イソシアネート基と水酸基とを反応させた。次いで、末端にカルボキシル基を有する数平均分子量2000のポリカプロラクトンの開環物169.3部を仕込み、約80℃で2時間保持して、カルボジイミド基とカルボキシル基とを反応させた後、減圧下でトルエンを留去して顔料分散剤(固形分100%、塩基性基を有する分散剤)を得た。
分散剤(B)のTHF(溶媒(a))に対する溶解度1.0g/100g以上であった。
分散剤(B)のモレスコホワイトP−40(溶媒(b))に対する溶解度は0.01g/100g(測定限界値)未満であった。
<塩基性基を有する化合物>
アジスパーPB817(味の素社製、ポリアリルアミンと12−ヒドロキシステアリン酸自己縮合物との反応物、アミン価15mgKOH/g)
<バインダー樹脂>
YD−011(エポキシ樹脂/東都化成社製)
<ワックス>
酸化ポリエチレンワックス(酸価10mgKOH/g、平均粒子径14μm、固形分10%)
酸化ポリエチレンワックス(酸価1mgKOH/g、平均粒子径20μm、固形分10%%)
ポリエチレンワックス(PA60、ポリコン社製、固形分26%)
パラフィンワックス(アミキュスト1204、ハネウェル社製、固形分100%)
<荷電制御剤>
t−ブチルサリチル酸金属クロム塩
<溶媒(a)>
テトラヒドロフラン(THF)(SP値9.1)
<絶縁性炭化水素系の溶媒(b)>
モレスコホワイトP−40(松村石油化学研究所製、SP値8.5未満)
(ワックス分散体)
ワックス分散体1
酸価10mgKOH/gの酸化ポリエチレンワックス200質量部、塩基性基を有する化合物としてアジスパーPB817分散体2質量部、モレスコホワイトP−40の78質量部を混合し、撹拌しながら酸化ポリエチレンワックスに含まれる分散溶剤を減圧蒸留し、ワックス分散体1を得た。
ワックス分散体2
酸価10mgKOH/gの酸化ポリエチレンワックス200質量部、モレスコホワイトP−40の80質量部を混合し、撹拌しながら酸化ポリエチレンワックスに含まれる分散溶剤を減圧蒸留し、ワックス分散体2を得た。
ワックス分散体3
酸価1mgKOH/gの酸化ポリエチレンワックス200質量部、塩基性基を有する化合物としてアジスパーPB817分散体2質量部、モレスコホワイトP−40の78質量部を混合し、撹拌しながら酸化ポリエチレンワックスに含まれる分散溶剤を減圧蒸留し、ワックス分散体3を得た。
ワックス分散体4
ポリエチレンワックス77質量部、モレスコホワイトP−40の80質量部を混合し、撹拌しながらポリエチレンワックスに含まれる分散溶剤を減圧蒸留し、ワックス分散体4を得た。
ワックス分散体5
パラフィンワックス20質量部、モレスコホワイトP−40の80質量部を混合し、撹拌しながらパラフィンワックスに含まれる分散溶剤を減圧蒸留し、ワックス分散体5を得た。
(コアセルベーション法を利用して得られる着色樹脂粒子を含有する液体現像剤)
MA285の20.0部、分散剤(B)8.0部、THF72.0部を混合し、直径5mmのスチールビーズを用いてペイントシェーカーで15分間混練後、直径0.05mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーモーターミルM−250(アイガージャパン社製)により更に2時間混練した。この混練物の17.5部に、バインダー樹脂21部、THF61.5部を添加し、50℃で加熱攪拌した。その後、分散剤(A)を1.0部を添加攪拌した後、モレスコホワイトP−40(松村石油化学研究所製)73.1部で希釈しながら攪拌し、混合液を得た。次いで、密閉式攪拌槽よりなるホモジナイザーに溶剤留去装置(減圧装置に接続)を接続した装置を用い、混合液をホモジナイザーで高速攪拌(回転数5,000rpm)しながら減圧装置により混合液温が50℃になるように減圧し、THFを密閉式攪拌槽より完全に留去して、液体現像剤(固形分26.9質量%)を得た。
(実施例1〜4、比較例1〜3のコアセルベーション法を利用して得られる液体現像剤)
上記コアセルベーション法を利用して得られた着色樹脂粒子を含有する液体現像剤に、ワックス分散体1〜5、荷電制御剤を表1の組成となるように配合し、実施例1〜4及び比較例1〜3の液体現像剤を得た。
(湿式粉砕法を利用して得られる着色樹脂粒子を含有する液体現像剤)
MA285の250部とバインダー樹脂の750部とを3本熱ロールを用いて140℃にて溶融混練して得られた練肉物(着色チップ)を冷却後、ジェットミル(日本ニューマチック(株)製)を用いて粉砕した。次に、この粉砕物140部、分散剤(A)の8.8部、絶縁性炭化水素系の溶媒(b)としてモレスコホワイトP−40(松村石油化学研究所製)の551.2部を直径0.5mmのジルコニアビーズを充填したアイガーミル(商品名M−250)を用いて温度40℃で約90分間湿式粉砕し、液体現像剤(固形分21.3質量%)を得た。得られた着色樹脂粒子の平均粒子径は1〜2μmであった(光学顕微鏡(オリンパス(株)製で目視にて測定)。
(実施例5〜6、比較例4の湿式粉砕法を利用して得られる液体現像剤)
上記湿式粉砕法を利用して得られた着色樹脂粒子を含有する液体現像剤に、ワックス分散体1〜2、荷電制御剤を表1の組成となるように配合し、実施例5〜6、比較例4の液体現像剤を得た。
<性能評価>
以下のような評価方法により帯電性、泳動性、耐摩擦性を評価した。それらの結果を表1に示す。
(帯電性及び泳動性)
ワックス分散体1〜5の99部に荷電制御剤1部を加え撹拌したものについて、泳動セルを用いてワックス粒子の観察を行った(条件:電極間距離:80μm、印加電圧:20V)。
(1)泳動性
○:ワックス粒子が凝集することなくスムーズに泳動する
△:ワックス粒子が凝集体を形成しながら泳動する
×:ワックス粒子が電極間で凝集し動かない
(2)帯電性
泳動セルに電圧をかけたときに、
+:−電極側に90%以上のワックス粒子が泳動する
−:+電極側に90%以上のワックス粒子が泳動する
±:上記以外
(耐摩擦性試験)
ローラー間に各液体現像剤を供給し、その後、印加電圧を加え、液体現像剤中の粒子を電気泳動させた後、−電極側のロールの液体現像剤を紙に転写させ、140℃のオーブンで10秒乾燥後、学振動型の耐摩擦試験機(500g、10回)で摩擦試験を行った。
○:印刷面に傷が無いもの
△:摩擦試験を行った面積の10%未満ではがれるもの
×:摩擦試験を行った面積の10%以上ではがれるもの
Figure 0005010436
表1から、塩基性基を有する化合物の存在下で処理された酸化ポリエチレンワックスを用いた実施例の液体現像剤の耐摩擦性は実用性に問題がなかった。一方、ワックスを添加しなかったものやポリエチレンワックスやパラフィンワックスを用いた比較例では、耐摩擦性が劣っていた。また、酸化ポリエチレンワックス分散体の泳動性及び帯電性は実用性に問題がなかったのに対し、ポリエチレンワックス分散体やパラフィンワックスでは特性が劣っていた。
本発明の液体現像剤は、印刷機、複写機、プリンター、ファクシミリ等に好適に用いられる。

Claims (7)

  1. 少なくとも顔料及びバインダー樹脂の2成分からなる着色樹脂粒子、前記バインダー樹脂を溶解しない絶縁性炭化水素系有機溶媒(溶媒(b))、前記溶媒(b)に溶解する分散剤(分散剤(A))、塩基性基を有する化合物の存在下で処理された酸化ポリエチレンワックス、並びに、荷電制御剤を含有することを特徴とする液体現像剤。
  2. 少なくとも顔料、溶媒(b)に不溶性又は難溶性の分散剤(分散剤(B))及びバインダー樹脂の3成分からなる着色樹脂粒子、溶媒(b)、分散剤(A)、並びに、荷電制御剤を含有し、コアセルベーション法を利用して得られる液体現像剤中に、
    更に、酸化ポリエチレンワックスを塩基性基を有する化合物の存在下、溶媒(b)に分散させた酸化ポリエチレンワックス分散体を配合した請求項1記載の液体現像剤。
  3. 少なくとも顔料及びバインダー樹脂の2成分からなる着色樹脂粒子、溶媒(b)、分散剤(A)、並びに、荷電制御剤を含有し、湿式粉砕法を利用して得られる液体現像剤中に、
    更に、酸化ポリエチレンワックスを塩基性基を有する化合物の存在下、溶媒(b)に分散させた酸化ポリエチレンワックス分散体を配合した請求項1記載の液体現像剤。
  4. 顔料、バインダー樹脂、前記バインダー樹脂を溶解する溶媒(溶媒(a))、前記バインダー樹脂を溶解せず、かつ前記溶媒(a)より低SP値である溶媒(b)、前記溶媒(a)及び(b)の両方に溶解する分散剤(A)、前記溶媒(a)には溶解し、かつ前記溶媒(b)に不溶性又は難溶性の分散剤(B)、並びに、酸化ポリエチレンワックスを含有する混合液から、前記溶媒(a)を留去して、溶解状態にあった前記バインダー樹脂と前記分散剤(B)とを析出させるコアセルベーション法を利用して得られる分散液に、荷電制御剤を配合した液体現像剤であって、
    前記分散剤(A)及び/又は(B)が塩基性基を有する分散剤である請求項1記載の液体現像剤。
  5. 顔料及びバインダー樹脂を加熱混練して得られる着色チップを、分散剤(A)としての塩基性基を有する分散剤、酸化ポリエチレンワックス及び溶媒(b)を含有する混合物中に分散させ、湿式粉砕法を利用して得られる分散液に、荷電制御剤を配合した請求項1記載の液体現像剤。
  6. 塩基性基を有する化合物が、ポリアミン化合物と12−ヒドロキシステアリン酸自己縮合物との反応物である請求項1、2又は3記載の液体現像剤。
  7. 荷電制御剤が、サリチル酸金属塩類である請求項1、2、3、4、5又は6記載の液体現像剤。
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