JP2009154239A - 砥石 - Google Patents

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Abstract

【課題】砥石の使用開始から終了までの加工精度を安定化する。
【解決手段】セグメントチップ20は、砥粒22をビトリファイドボンド23によって結合することで多数の気孔24が形成されている砥石本体21の表面側を、その表面から熱硬化性樹脂からなる封着剤25が気孔24内に封着された気孔封着層26とし、砥石本体21の気孔封着層26以外の残部を、封着剤25で封着されない気孔24のままの有気孔層27としている。気孔封着層26の封着剤25の表面を後退させることで該気孔封着層26の表面上に砥粒22の一部を突出させる。
【選択図】図3

Description

本発明は、砥石に関する。
例えば、自動車用エンジンのカムシャフト、クランクシャフト等のシャフト材の研削に使用される砥石としては、砥粒を結合剤によって結合することで多数の気孔が形成されているビトリファイド砥石が挙げられる。ビトリファイド砥石は、隣り合う砥粒の相互間に多数の気孔が存在するため、切り屑の排出性に優れ、切れ味が良好となることから、良好な表面あらさに研削加工することができる利点がある。
また、ビトリファイド砥石において、気孔をさらに多くすると、砥石の切れ味をより高めることができるが、反面、砥粒保持力が低下して研削時に砥粒が脱落しやすくなり、また、砥石の曲げ強度にも限界が生ずるという問題がある。このような問題に鑑み、砥粒保持力を高めて砥粒の脱落を抑制するものとして、特許文献1に記載されたビトリファイド砥石がある。この特許文献1には、多数の連続気孔を有する多孔質のビトリファイド砥石組織内に、液状フェノール樹脂が含浸され、その後乾燥機内で乾燥させて含浸した樹脂を硬化させることにより、ビトリファイド砥石組織内の空隙がフェノール樹脂で適度に埋められている。詳しくは、ビトリファイド砥石全体の気孔に樹脂が含浸されている。
特開2001−205566号公報
従来のビトリファイド砥石では、砥石交換後の砥石(新品)をしばらく使用した後において、ワーク(例えばカムシャフトのカム部)の研削後の形状精度(プロフィル精度)すなわち加工精度が安定しているが、砥石(新品)の使用開始からしばらく使用するまでの間(「初期使用時」という。)においては、ワークの研削後の形状精度すなわち加工精度が変化しやすいという問題があった。なお、本明細書でいう「砥石交換後の砥石」、「使用開始時の砥石」とは、新品の砥石に相当する。
前記問題に鑑み、出願人が検討を重ねた結果、砥石の加工精度は、研削に使用するクーラントが砥石とワークとの間に入り込むことによって発生する動圧に大きく左右されることが判明した。すなわち、研削時にクーラントによる動圧が低ければ、砥石とワークの相対位置の変化が小さいことから加工精度が良いが、その動圧が高くなるにしたがって、砥石とワークの相対位置の変化が大きくなるために加工精度が低下している。このような加工精度の変化のメカニズムを検討したところ、次のような結論が得られた。
ビトリファイド砥石は、砥粒を結合剤によって結合することで多数の気孔が形成されている。この砥石の使用開始時には、砥石の気孔が空孔であるため、ワーク(例えば、カムシャフトのカム部)の研削中のクーラントが気孔を通じて速やかに外部へ逃げる。このため、ワークに対する動圧の影響が少ない。しかし、砥石をしばらく使用した後の安定使用時では、ワークの研削によって発生した切り屑がクーラントと一緒に気孔内に入り込んで堆積することにより、気孔内で切り屑により目詰まりを起こすため、クーラントの逃げ場が少なくなることにより、ワークに対する動圧が高くなる。この状態は、砥石をしばらく使用した後から砥石使用限界(約60,000本程度)まで安定的に継続する。なお、この期間を「安定使用時」という。
なお、砥石の使用開始から終了までの加工精度の変化を防止する従来の対策として次のものが挙げられる。
(1)加工精度(ワークの形状精度)の変化に合わせて、設備(例えば研削盤)の動作に補正を加える。
(2)砥石洗浄装置を付加し、高圧洗浄により切り屑の目詰まりを防止する。
(3)砥石全体の気孔内に樹脂を含浸させる(特許文献1参照)。
しかしながら、従来の対策(1)では、設備の動作の補正、及び、補正後の品質確認に係る作業の間、ライン設備を停止しなければならず、ライン設備停止ロスによるライン可動率の低下を招くことになる。また、従来の対策(2)では、コストアップを余儀なくされるだけでなく、高圧洗浄では砥石の気孔内に堆積した切り屑を完全に除去する効果も薄い。また、従来の対策(3)では、砥石全体の気孔内に樹脂を含浸させているが空気孔が存在するため、使用開始から終了に至るまでのクーラントによる動圧を均一化することが難しい。したがって、従来の対策(1)、(2)、(3)はいずれも実用的とはいえない。
本発明が解決しようとする課題は、砥石の使用開始から終了までの加工精度を安定化することのできる砥石を提供することにある。
前記課題は、特許請求の範囲の欄に記載された構成を要旨とする砥石により解決することができる。
すなわち、特許請求の範囲の請求項1に記載された砥石によると、砥粒を結合剤によって結合することで多数の気孔が形成されている砥石本体の表面側を、その表面から熱硬化性樹脂からなる封着剤が気孔内に封着された気孔封着層とし、前記砥石本体の気孔封着層以外の残部を、前記封着剤で封着されない気孔のままの有気孔層としたものである。このように構成すると、砥石の初期使用時には、気孔封着層により研削を行うことにより、クーラントによる動圧を、安定使用時におけるクーラントによる動圧と均一化することができる。また、研削により砥石の表面が後退していき、気孔封着層がなくなってくると、有気孔層の気孔内に切り屑が堆積することにより、安定使用時におけるクーラントによる動圧となる。したがって、砥石の使用開始から終了までのクーラントによる動圧が均一化されることにより、加工精度を安定化することができる。
また、特許請求の範囲の請求項2に記載された砥石によると、気孔封着層の封着剤の表面を後退させることで該気孔封着層の表面上に砥粒の一部を突出したものである。したがって、砥石の使用開始時から安定使用時と同じ砥石表面にすることとなり、砥石を機械へ取り付けたときのドレス作業などの時間を短縮することができる。
以下に本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて説明する。
本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。なお、図1は砥石車を示す斜視図、図2はセグメントチップを示す斜視図である。
図1に示すように、砥石車10は、円板形状のベース12と、そのベース12の外周面に接着された所定個数(図1では16個を示す。)のセグメントチップ20とを備えている。ベース12は、例えば金属製で、中央部には設備(例えば研削盤)の工作主軸(図示しない)に対する取付孔13が形成されている。また、ベース12に対するセグメントチップ20の接着には、例えばエポキシ系の接着剤が用いられている。また、セグメントチップ20は、ベース12の外周面に倣う円弧板状に形成されている(図2参照)。なお、セグメントチップ20は、本明細書でいう「砥石」に相当する。また、図3はセグメントチップ20を模式的に示す断面図であって、図2のIII−III線矢視断面図に相当する。
図3に示すように、前記セグメントチップ20は、砥石本体21を主体としている。砥石本体21は、砥粒22をビトリファイドボンド23によって結合することで多数の気孔24が形成されているビトリファイド砥石からなる。砥石本体21は、周知のビトリファイド砥石の製造方法によって製造されている。また、砥粒22は、CBN(立方晶窒化硼素)の超砥粒であるが、ダイヤモンドの超砥粒でもよい。なお、ビトリファイドボンド23は、本明細書でいう「結合剤」に相当する。
前記砥石本体21の表面側(図3において左側)を、その表面から熱硬化性樹脂からなる封着剤25が気孔24内に封着された気孔封着層26としている。また、砥石本体21の気孔封着層26以外の残部を、封着剤25で封着されない気孔24のままの有気孔層27としている。また、封着剤25の熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂が用いられるが、フェノール樹脂を用いることもできる。また、封着剤25は、硬化前のペースト状態で砥石本体21の表面(図3において左側面)上にへら等により塗り込まれることにより、その表面から気孔封着層26における気孔24内に埋め込まれている。その後、熱処理が施されることにより硬化されている。
前記封着剤25は、前記砥粒22の2〜4個相当分程度、すなわち砥粒22の平均粒径値を0.12mmとした場合、0.2〜0.5mm程度の深さの塗り込み量をもって塗り込まれている。なお、このときの封着剤25の塗り込み量は、気孔封着層26の厚さ(深さ)26tに相当する。また、砥石本体21の径方向(表裏方向)の厚さ21tを5mmとすると、気孔封着層26の厚さ26tは4〜10%程度である。また、封着剤25の塗り込み量は熱硬化性樹脂の粘性に応じて決められる。なお、気孔封着層26と有気孔層27との境界付近では、封着剤25で封着される気孔24と、封着剤25で封着されない気孔24とが混在している。なお、封着剤25で封着される気孔24と、封着剤25で封着されない気孔(空孔)24とが混在している層を「中間層」という。
前記砥石本体21に対する封着剤25の塗り込み後において、封着剤25の表面は、砥石本体21の表面とほぼ同一面になる。しかし、本実施例では、封着剤25の表面を後退すなわち図3において右方へずらすことで、前記気孔封着層26の表面上に砥粒22の一部(詳しくは、表面側に位置する砥粒22における表面側の端部)が所定の突き出し量Aをもって突出されている。また、封着剤25の表面の後退量すなわち砥粒22の突き出し量Aは、砥石本体21の表面から1個目の砥粒22(符号、(1)を付す)と2個目の砥粒22(符号、(2)を付す)とを結合するビトリファイドボンド23(符号、(a)を付す)が露出しない程度(例えば、30〜50μm)が望ましい。また、封着剤25の表面は、セグメントチップ20にドレッシングを施すことによって後退させる。
次に、前記砥石車10の製造工程を説明する。なお、図4は砥石車の製造工程を示す工程図である。
まず、第1工程P1は、チップ製作工程であり、チップすなわち砥石本体21が製作される。続いて、第2工程P2は、ベース製作工程であり、ベース12が製作される。
次に、第3工程P3は、接着工程であり、前記ベース12の外周面に前記砥石本体21が接着される。このようにして、砥石車10の基本形ができる。
次に、第4工程P4は、仮ツルーイング工程であり、前記砥石本体21の表面(外周面)に仮ツルーイングが施される。これにより、後工程での封着剤25の塗り込み量のばらつきを低減することができる。
次に、第5工程P5は、樹脂封着工程であり、前記砥石本体21の表面(外周面)側に封着剤(樹脂剤)25が塗り込まれかつ熱処理が施されることにより封着される。これにより、セグメントチップ20が完成する(図3参照)。また、砥石本体21の1個毎に封着剤25の塗り込み量を管理することにより、その塗り込み量のばらつきを低減することができる。
次に、第6工程P6は、ツルーイング・ドレス工程であり、前記セグメントチップ20の表面(外周面)にツルーイング、ドレスが施される。これにより、封着剤25の最表面が均一化されたのち、後退されて砥粒22の突き出し量A(図3参照)が確保される。また、ドレス量は、砥粒22の突き出し量Aを考慮すると、従来の砥石車の場合のドレス量の2倍以上となる。
上記のようにして、砥石車10の製造工程が終了する。
ここで、従来の砥石車の製造工程を述べる。なお、図5は従来の砥石車の製造工程を示す工程図である。
図5に示すように、従来の砥石車の製造工程は、第1工程P1〜第3工程P3については、実施例の砥石車10の製造工程と同じである。また、従来の砥石車の製造工程では、第3工程P3の次に第6工程P6xのツルーイング・ドレス工程があり、セグメントチップ20の表面(外周面)にツルーイング、ドレスが施される。ここでのドレス量は、前記実施例の第6工程P6(図4参照)におけるドレス量と比べると半分程度と少ない。
次に、従来のビトリファイド砥石(「従来砥石」という。)と、前記実施例を適用した砥石(「樹脂封着砥石」という。)のベンチ試験を行なった結果について説明する。
ワークは、エンジンのカムシャフトのカム部である。とくに、エンジンの低燃費化・高出力化を目的としたカムシャフトであって、ダルマ形状のカムプロフィル(輪郭)を採用したカム部とする。なお、ダルマ形状のカムプロフィルとは、図6に示すように、長円側の半円状部31aと、短円側の半円状部31bと、両半円状部31a,31bの両端を結ぶ略直線状部31c,31dとを有するタマゴ形状のカムプロフィル31Aを基本形として、両略直線状部31c,31dに代えてそれぞれ凹状円弧部31e,31fを有しており、両半円状部31a,31b及び両凹状円弧部31e,31fがなだらかに連続されているカムプロフィル31のことをいう。このようなダルマ形状のカムプロフィル31は、タマゴ形状のカムプロフィル31Aと比べて曲率変化が大きいため、プロフィル研削が難しいとされている。なお、「プロフィル研削」とは、設備の工作主軸(いわゆるC軸)の回転運動と砥石台(いわゆるX軸)の往復運動とで決められたカム形状に加工する輪郭研削のことである。
また、ダルマ形状のプロフィル研削の難しさについて試験した結果を述べる。ダルマ形状のプロフィル研削に係る研削除去量(mm2/sec)は、タマゴ形状のプロフィル研削に係る除去量と比べて3.2倍増加していることが確認された。また、ダルマ形状のプロフィル研削に係る工作物と砥石の接触弧長さ(mm)は、タマゴ形状のプロフィル研削に係る接触弧長さと比べて1.7倍増加していることが確認された。また、ダルマ形状のプロフィル研削に係る設備砥石台の加速度(mm2/sec)は、タマゴ形状のプロフィル研削に係る接触弧長さと比べて3.0倍増加していることが確認された。したがって、ダルマ形状のプロフィル研削は、タマゴ形状のプロフィル研削と比べて難しい研削加工であるといえる。
従来砥石の使用開始から安定使用時に至る加工精度の変化をみるため、ベンチ試験によりカムプロフィルの集積誤差(μm)と隣接誤差(μm)を測定した。なお、図7はカムプロフィルの規格幅と集積誤差に係る説明図である。図7に示すように、集積誤差Eは、カムプロフィル31の理想値からの最大ズレ量である。また、隣接誤差(図示されない)は、カムプロフィル31の回転角1°毎の形状誤差の変化量の最大値である。なお、図7において、幅W1は、カムプロフィル31の理想値に対して許容される規格幅である。
測定に使用した従来砥石に係る砥石車の仕様は次のとおりである。
(1)砥石(セグメントチップ)・・・CBN砥石
(2)粒径・・・φ0.12mm
(3)結合度・・・K
(4)砥石厚さ・・・5mm
(5)砥石車の外径・・・φ350mm
また、樹脂封着砥石に係る砥石車の基本的仕様は従来砥石と同じである。しかし、樹脂封着砥石では、砥石の表面側にエポキシ樹脂を封着剤25として気孔24内に封着された気孔封着層26が0.3mmの深さ(厚さ)で形成されており、その残部の有気孔層27が4.7mmの深さ(厚さ)となっている。
測定結果を説明する。なお、図8は加工本数と加工精度との関係を示す図である。図8において、横軸は加工本数(本)を示し、縦軸の上段は集積誤差(μm)を示し、縦軸の下段は隣接誤差(μm)を示す。また、線L1は集積誤差の規格値(μm)を示し、線L2は隣接誤差の規格値(μm)を示す。また、◇印は従来砥石の集積誤差の測定値であり、◆印は樹脂封着砥石の集積誤差の測定値である。また、□印は従来砥石の隣接誤差の測定値であり、■印は樹脂封着砥石の隣接誤差の測定値である。
図8から明らかなように、従来砥石では、使用開始から500本までの間に、集積誤差(◇印参照)の悪化の影響により隣接誤差(□印参照)が悪化するために、180本付近と450本付近の2回において設備の動作に補正(プロフィル補正入力)を加える必要が生じた。なお、500本以降では、集積誤差及び隣接誤差がほとんど変化せず、安定していることがわかる。この集積誤差及び隣接誤差がほとんど変化しない使用期間を「安定使用時」という。なお、安定使用時は500本から砥石使用限界まで継続する。
したがって、従来砥石では、加工精度(集積誤差及び隣接誤差)の悪化に対して、設備の動作に補正を加えて対応する必要がある。このため、設備の動作の補正作業、及び、補正後の品質確認に係る作業の間、ライン設備を停止しなければならず、ライン設備の停止ロスが発生する。このライン設備の停止ロスは、ライン可動率の低下に大きく影響する。したがって、ライン可動率を向上するためには、砥石の初期使用時における加工精度の悪化によるライン設備の停止時間を低減する必要がある。なお、樹脂封着砥石の測定結果については後で説明する。
また、従来砥石の加工精度の変化に係るメカニズムを検討したところ、研削抵抗の増加により設備の一部が歪む又は砥石台の追従性の誤差が発生するため、加工精度が低下していることがわかった。
また、従来砥石による使用開始から連続加工(200本)の研削抵抗の変化をベンチ試験で確認したところ、接線抵抗については、使用開始時(砥石交換直後)と比べて連続加工後には多少増加する程度でほとんど変化が見られないが、法線抵抗については、使用開始時と比べて連続加工後には1.38倍に増加することが確認された。したがって、法線抵抗の増加を低減することで、砥石の初期使用時における加工精度を安定化することが可能であるといえる。
また、従来砥石の法線抵抗の増加のメカニズムを検討したところ、次のような結論が得られた。なお、図9は砥石の使用開始時におけるクーラントの流れを示す模式図、図10は砥石の安定使用時におけるクーラントの流れを示す模式図である。
図9に示すように、従来砥石すなわちビトリファイド砥石は、砥粒22をビトリファイドボンド23によって結合することで多数の気孔24が形成されている。この砥石の使用開始時には、気孔24が空孔であるため、ワーク(例えば、カムシャフトのカム部)Wの研削中のクーラント(図9中、矢印参照)が気孔24を通じて速やかに外部へ逃げる。このため、ワークWに対する動圧の影響が少なく、法線抵抗は低い。
しかし、砥石を使用していくにしたがって、ワークの研削によって発生した切り屑がクーラントと一緒に気孔24を通じて外部へ逃げるものの、切り屑が気孔内に次第に堆積していく。そして、砥石をしばらく使用した後の安定使用時では、図10に示すように、気孔24内に入り込んた切り屑40が目詰まりを起こすため、クーラントの逃げ場が少なくなることにより、ワークに対する動圧が高くなる(図10中、矢印参照)。このため、カム部が動圧の影響を受けることにより、法線抵抗が増加する。この状態は、砥石をしばらく使用した後から砥石使用限界までの安定使用時で安定的に継続する。
したがって、砥石の初期使用時における法線抵抗の変化を抑制するには、砥石の表面側の気孔24内を塞ぐことにより、安定使用時と同等の法線抵抗にすることが有効である。このため、樹脂封着砥石は、砥石の表面側に封着剤25が気孔24内に封着された気孔封着層26を形成することにより、砥石の初期使用時における法線抵抗が安定使用時と同等となり、法線抵抗の変化を抑制することができることになる。
次に、樹脂封着砥石の使用開始からの安定使用時に至る加工精度の変化をベンチ試験により測定した結果について説明する。
図8から明らかなように、樹脂封着砥石では、使用開始から500本までの間に、集積誤差(◆印参照)の変化がほとんどなく、隣接誤差(■印参照)の変化もほとんどない。このため、従来砥石で必要とされた設備の動作の補正回数を「0」(ゼロ)にすることができる。
したがって、樹脂封着砥石によれば、ライン設備の停止ロスが発生せず、ライン可動率を向上することができる。なお、500本以降においても、集積誤差及び隣接誤差がほとんど変化せず、安定していることがわかる。したがって、使用開始から終了まで、集積誤差及び隣接誤差がほとんど変化することなく、安定使用時として使用することができる。
また、樹脂封着砥石の使用開始にともない、封着剤25は、その性質から研削によって発生する切り屑40や熱により、砥石の表面から次第に除去されていくため、砥石本体21の研削性能は損なわれない。この繰り返しで、封着剤25が無くなるまで行なわれる。また、封着剤25がなくなると、有気孔層27の気孔(空孔)24に切り屑40を含んだクーラントが流れ込み、次第に切り屑40の目詰まり形態に変わっていく。
また、ベンチ試験によると、従来砥石では、使用開始時における法線抵抗に対して連続加工(120本)後の法線抵抗が1.61倍に増大した。これに対して、樹脂封着砥石では、使用開始時における法線抵抗に対して連続加工(120本)後の法線抵抗が1.08倍であり、法線抵抗の変化が低減されていることが確認された。なお、連続加工(120本)後から砥石使用限界までの法線抵抗の最大値は、従来砥石と樹脂封着砥石ともほぼ同じであった。したがって、樹脂封着砥石によれば、初期使用時の法線抵抗の変化を抑制することができ、初期使用時における設備の動作の補正回数をなくすことができる。
また、樹脂封着砥石の加工結果による加工本数と隣接誤差と砥石車の外径(「砥石外径」という。)との関係について説明する。なお、図11は加工本数と隣接誤差と砥石外径との関係を示す図である。図11において、横軸は加工本数(本)を示し、左側の縦軸は隣接誤差(μm)を示し、右側の縦軸は砥石外径(mm)を示す。また、線L3は隣接誤差の規格値(μm)を示し、線L4は砥石外径の変化を示す。また、□印は従来砥石の隣接誤差の測定値であり、■印は樹脂封着砥石の隣接誤差の測定値である。
図11から明らかなように、樹脂封着砥石(■印参照)によると、使用開始からの隣接誤差は、プロフィール補正を実施することなく、3500本の加工を実施することができる。また、気孔封着層から有気孔層にに切り替わる中間層付近で、隣接誤差が発生したが、性能上の問題がない。また、中間層の前後における隣接誤差は中間層付近よりも若干高くなるが、従来砥石の精度程度と差が無かった。なお、砥石車の外径寸法の減少から、加工本数が1〜1600本前後までは気孔封着層による研削加工であり、1600本前後〜2600本程度までは気孔封着層と有気孔層との間の中間層による研削加工であり、2600本前後以降は有気孔層による研削加工である。
また、樹脂封着砥石の累積集積誤差について説明する。なお、図12は加工本数と累積集積誤差との関係を示す図である。図12において、横軸は加工本数(本)を示し、縦軸は累積集積誤差(μm)を示す。◇は従来砥石の測定値、◆は樹脂封着砥石の測定値を示す。
図12からわかるように、樹脂封着砥石は、従来砥石と比べて、累積集積誤差の変化量が75%低減されたことになる。なお、樹脂封着砥石の表面粗さ、ビビリ、研削割れ、加工品質についても測定したが全て判定値内で問題は見当たらなかった。
上記した砥石(セグメントチップ)20(図3参照)によると、砥石の初期使用時には、気孔封着層26により研削を行うことにより、クーラントによる動圧を、安定使用時におけるクーラントによる動圧と均一化することができる。また、研削により砥石の表面が後退していき、気孔封着層26がなくなってくると、有気孔層27の気孔24内に切り屑40が入り込んで堆積することにより、安定使用時におけるクーラントによる動圧となる。したがって、砥石の使用開始から終了までのクーラントによる動圧が均一化されることにより、加工精度を安定化することができる。
また、使用開始からの研削にともなって、封着剤25が後退されていくため、砥石本体21の研削性が損なわれない。
また、砥石本体21の表面側を、その表面から熱硬化性樹脂からなる封着剤25が気孔24内に封着された気孔封着層26とするといった簡単な構成であるため、安価で製造管理が容易である。
また、気孔封着層26の封着剤25の表面を後退させることで該気孔封着層26の表面上に砥粒22の一部を突出したものである。したがって、砥石の使用開始時から安定使用時と同じ砥石表面にすることとなり、機械に取り付けたときのドレス作業などの時間を短縮することができる。
また、前に述べたように、設備の動作に補正を加える必要がなくなるため、前記従来の対策(1)のライン設備停止ロスによるライン可動率の低下という問題も解消することができる。また、砥石洗浄装置を付加する必要がないため、従来の対策(2)のコストアップ、効果の薄いという問題も解消することができる。また、砥石全体の気孔内に樹脂を含浸させるもの(特許文献1参照)とは異なるため、従来の対策(3)の使用開始から終了に至るまでのクーラントによる動圧を均一化することが難しいという問題も解消することができる。
本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、封着剤25としては、熱硬化性樹脂の他、研削により発生する熱に耐える樹脂であれば、熱可塑性樹脂を用いてもよい。
本発明の一実施例に係る砥石車を示す斜視図である。 セグメントチップを示す斜視図である。 セグメントチップを模式的に示す断面図である。 砥石車の製造工程を示す工程図である。 従来の砥石車の製造工程を示す工程図である。 ダルマ形状のカム部を示す説明図である。 カムプロフィルの規格幅と集積誤差に係る説明図である。 加工本数と加工精度との関係を示す図である。 砥石の使用開始時におけるクーラントの流れを示す模式図である。 砥石の安定使用時におけるクーラントの流れを示す模式図である。 加工本数と隣接誤差とと砥石外径との関係を示す図である。 加工本数と累積集積誤差との関係を示す図である。
符号の説明
20 セグメントチップ(砥石)
21 砥石本体
22 砥粒
23 ビトリファイドボンド(結合剤)
24 気孔
25 封着剤
26 気孔封着層
27 有気孔層

Claims (2)

  1. 砥粒を結合剤によって結合することで多数の気孔が形成されている砥石本体の表面側を、その表面から熱硬化性樹脂からなる封着剤が気孔内に封着された気孔封着層とし、前記砥石本体の気孔封着層以外の残部を、前記封着剤で封着されない気孔のままの有気孔層としたことを特徴とする砥石。
  2. 請求項1に記載の砥石であって、
    前記気孔封着層の封着剤の表面を後退させることで該気孔封着層の表面上に砥粒の一部を突出したことを特徴とする砥石。
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