JP2009151273A - レンズモジュール - Google Patents

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幸一 岡本
Daisuke Yamazaki
大輔 山崎
Kazunori Honda
和徳 本多
Tomohiro Yonezawa
友浩 米澤
Atsushi Sasaki
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Abstract


【課題】 光学レンズの移動速度を安定化できるだけでなく、繰り返し動作において耐久性のある信頼性に優れたレンズモジュールを提供すること。
【解決手段】 ハウジング51と、所定方向に伸縮するようにしてそのハウジング51に一端が固定された圧電セラミック素子11と、この圧電セラミック素子11の伸縮に併せて所定方向に変位するように圧電セラミック素子11の他端に固定された磁石21と、その磁石21に吸着可能な移動体31を一体に支持するレンズホルダー41と、そのレンズホルダー41に支持または一体化された光学レンズ10と、を備えるレンズモジュールであって、磁石に吸着し摺動する部分の移動体表面または磁石の表面の少なくともいずれか一方にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)からなる薄膜部32がコーティングされている構成とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、所定の方向に移動する光学レンズを備えるレンズモジュールに係り、特に、デジタルビデオカメラ、デジタルカメラあるいは携帯電話のカメラに用いて好適なレンズモジュールに関し、さらに詳しくは、オートフォーカスやズーム機構を有する光学機器に好適なレンズモジュールに関する。
カメラにオートフォーカスやズーム機能を持たせるためには、光軸に沿って光学レンズを精密に制御しながら移動させる機構が必要であり、従来から電磁式のモータを用いた方法が知られている。近年、デジタルカメラやカメラ付き携帯電話にみられるように、機器の小型化が急速に進み、それに伴って電磁式のモータから、圧電素子に代表される電気機械変換素子によるレンズ移動の方法が提案されている。
こうした周知技術としては、例えば、特許文献1に開示される技術がある。特許文献1は、装置作動時の振動音が聞えない電気−機械変換素子を使用した駆動装置を提供するものである。そのための構成は、以下のようになっている。圧接ばねにより摩擦板が駆動軸を被駆動部材との間に挟む方向に押圧されるので、駆動軸は被駆動部材及び摩擦板と面接触し、接触面に適当な摩擦力を発生させる。鋸歯状波の駆動パルスを印加された圧電素子の緩やかな厚み方向の伸び変位では、駆動軸は所定の方向へ緩やかに変位し被駆動部材は駆動軸と共に実質的に移動する。また、圧電素子の急速な厚み方向の縮み変位では駆動軸は所定の方向と反対方向へ急速に移動するが、被駆動部材及び摩擦板はその慣性力が摩擦力に打ち勝ち、実質的にその位置に留まり移動しない。可聴周波数以上の周波数の駆動パルスを使用するので駆動時の振動音が人間の耳に聞えるおそれがないというものである。特許文献1の第2実施例においては、この駆動装置をズームレンズ機構に応用した例が示されており、摩擦板を永久磁石とし、被駆動部材であるズームレンズ鏡筒を磁性材料としたものが開示されている。
また、特許文献2には、振動波モータの摩擦材として、耐摩耗性が良くて摩擦係数が高く、かつ安定駆動できる振動波モータ用摩擦材を提供する技術が開示されている。その構成は、振動波モータの振動体と接触体との少なくとも一方の摩擦接触部分に用いられる摩擦材として、相手材との接触面に硬化層を有する金属であり、この硬化層の表面にFe23を含む酸化皮膜を形成するというものである。
さらに、特許文献3には、摩擦接触面の摩耗を減少させて駆動性能を安定化し、低コスト、長寿命であり、高負荷での使用に耐えうる振動波モータとその製造方法を提供する技術が開示されている。その構成は、振動波モータは、圧電体の励振により、弾性体に振動を発生する振動子と、振動子の弾性体に加圧接触され、振動により、その振動子との間で相対運動を行う移動体等とを備え、振動子の弾性体と移動体との摩擦接触面を含む部分の少なくとも一方は、窒化クロム系皮膜層であり、他方は、ビッカース硬度が450以下のステンレスであるというものである。
また、特許文献4には、光及び光磁気ディスク装置等に用いるレンズアクチェータにおいて、軸受の摺動が良く、高速応答性が良く、軸水平姿勢でも性能が発揮できるレンズアクチェータを提供する技術が開示されている。その構成は、軸を表面粗さ0.3ミクロンメータ以下の鋼材とし、スリーブ内周はPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)粉を重量比15〜30%有するニッケル系無電解メッキを施すことにより、軸受の摺動が良好であり性能の良いレンズアクチェータを得ることができるというものである。
特開平7−274546号公報 特開2003−134854号公報 特開2005−269770号公報 特開平5−89497号公報
しかし、特許文献1に開示されているような方法では、光学レンズを移動させる移動軸が他の部材と実質的に摩擦係合している箇所が多いため、摩擦係合部分の摩擦力を制御するのが煩雑となることにより、光学レンズを安定駆動することが困難であるという課題がある。
この課題を解決するための本発明の基となる技術である小型で安定な駆動を可能とする方法としては、例えば図3に示すレンズモジュールのようなインパクト駆動方式の構造がある。そのインパクト駆動方式とは、たとえば駆動体をゆっくりと伸ばし、その後、急速に縮めるようなノコギリ波形の連続パルスで駆動し、前半では移動体が駆動体とともに変位し、後半では慣性力が摩擦力を超えてスリップが起こり移動体を変位しないようにする駆動方式であり、小型のレンズモジュールに適した駆動方式である。すなわち、インパクト駆動方式では、振動波モータや光磁気記録ディスク用レンズアクチュエータに要求されるのとは異なる条件で、駆動体と移動体の摺動面の摩擦係数を制御する必要がある。
図3は、インパクト駆動方式のレンズモジュールの基本構成を示したもので、図3(a)は上面方向からの外観平面図であり、図3(b)は図3(a)のC−C線方向における側面断面図である。ハウジング51と、所定方向に伸縮するようにしてハウジング51に固定された圧電セラミック素子11と、圧電セラミック素子11の伸縮に併せて所定方向に変位するように圧電セラミック素子11に固定された磁石21と、レンズホルダー41と、レンズホルダー41に保持された光学レンズ10と、レンズホルダー41の一部に設けられた、磁石21に対して吸着可能な材質からなる移動体35と、を備えて成り、圧電セラミック素子11で発生する振動により磁石21を振動させ、その振動を駆動力として移動体35を駆動することによりレンズホルダー41を光軸方向に沿って移動させる機能のレンズ駆動機構を有している。レンズホルダー41は、チルトあるいは回転防止のために、ガイドピン61に移動可能に支持されている。
図3にその基本構成を示すレンズモジュールは、公知の従来技術と比較して、レンズモジュールでの光学レンズの移動速度を安定化できるレンズ駆動機構を備えているが、繰り返し動作における耐久性と信頼性に関しては、未だ十分とは言えない。
このレンズモジュールは、伸長時と縮小時とで異なる速度で伸縮をする電圧を電気機械変換素子である圧電セラミック素子11に印加して伸縮時間の差による摩擦と滑りを利用して駆動するものである。駆動体と移動体とは物理的に接触しているため、繰り返し往復動作させた場合に磁石または移動体の摩耗が進みやすく、摩耗によって発生した摩耗粉が摺動部分へ入り込み、動作が不安定となり、または最悪の場合、動作不能となり耐久寿命が短くなるという課題が依然としてある。
他方、特許文献2または特許文献3に開示されるような振動波モータにおいては、振動子に進行波を発生させ、弾性体に円運動または楕円運動させて、弾性体と加圧接触させた移動体を相対的に移動させる原理のため、駆動効率やトルク特性を向上させるために大きな摩擦力を利用する。そのため摩擦材料として酸化鉄(Fe23)や窒化クロム系の摩擦係数が大きな皮膜が利用されている。
また、特許文献4に開示されるような光磁気記録ディスク用レンズアクチュエータにおいては、摺動性能に優れた軸受けを持ち、その駆動部はコイルと磁石を利用した非接触電磁方式であり、通電によって発生した電磁力でコイルに結合されたレンズを移動する原理である。このため、別の構造体である軸と軸受けが移動の際のガイドの役割を果たしている。すなわち、軸受けは直接的にはレンズの移動量には影響しないため、駆動部によるレンズの移動を妨げないように軸と軸受けの摺動接触面は極力小さな摩擦係数を有するように設定できる。
しかしながら、これらの公知技術を図3に示すレンズモジュールのようなインパクト駆動方式にそのまま応用すると、接触面での摩擦力が大きい場合には、接触する相手側の表面の摩耗を増大させ、耐久寿命が短くなるという課題が残る。または、摩擦力が小さすぎると、レンズの移動量も小さくなってしまう課題も依然として残る。
この状況にあって、本発明の課題は、小型化が可能で、微小駆動時も含めて光学レンズの移動量および移動速度を安定化するだけでなく、繰り返し動作においても動作を安定化し、摩耗等の少ない耐久性のある信頼性に優れたレンズモジュールを提供することにある。
本発明では、上記課題を解決するために、摺動部(接触面)に硬質かつ摩擦係数の小さい薄膜をコーティングすることにより、摩擦による摩耗を低減している。また、異なる材質からなる摩擦係数の小さい薄膜を加えてコーティングすることにより、磨耗をさらに低減している。
すなわち、本発明のレンズモジュールは、静止部材と、所定方向に伸縮するようにしてその静止部材に一端が固定された電気機械変換素子と、この電気機械変換素子の伸縮に併せて所定方向に変位するように電気機械変換素子の他端に固定された磁石と、その磁石に吸着可能な移動体を支持するレンズホルダーと、そのレンズホルダーに支持または一体化されるように保持される光学レンズと、を備えるレンズモジュールであって、磁石に吸着し摺動する部分の移動体表面または磁石の表面の少なくともいずれか一方にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)薄膜がコーティングされていることを特徴としている。
静止部材と電気機械変換素子と磁石とは、一体の構成として、移動体に対して駆動体と呼ぶことができる。また、このレンズモジュールは、電気機械変換素子で発生する振動により磁石を振動させ、磁石の振動を駆動力として移動体を摺動駆動することによりレンズホルダーを光学レンズの光軸方向に沿って移動させる機能を有している。
さらに、磁石の摺動に寄与する表面は、平滑であり、その磁石の平坦な表面と摺動する部分での移動体の表面形状は平滑であることが好ましい。磁石の平滑な表面および移動体の磁石に吸着し摺動する部分の表面は、いずれも表面粗さRaが0.05μm以上1μm未満であることが望ましい
また、本発明のレンズモジュールは、磁石に吸着し摺動する部分の移動体表面または磁石の表面の少なくともいずれか一方にフッ素系樹脂を含有した薄膜がコーティングされていることを特徴としている。
フッ素系樹脂を含有した薄膜は、例えば揮発性の液体を溶媒とし、フッ素系樹脂粒子と不揮発性のフッ素系油からなる有効成分が20重量%以下である潤滑剤を塗布することによって形成することができる。
さらに、移動体の表面にDLC薄膜が形成されており、フッ素系樹脂を含有した薄膜が、磁石の表面にフッ素系樹脂粒子を含有した金属メッキとして形成されていても良い。そのような薄膜として、例えばフッ素系樹脂を含有した無電解Niメッキ膜をコーティングすることで、安定した移動量を得ることが出来る。加えて、磁石および移動体の摺動面の表面粗さRaを0.05μm以上1μm未満とし、摺動面の摩擦係数が0.1±0.05となるように、フッ素樹脂の含有量を5〜35vol%とすることで、安定した移動量を得るだけでなく、摺動部材からの磨耗粉発生を抑制することもできる。なお、表面粗さRaを前述の範囲とすれば、表面粗さが小さすぎるために摩擦係数が小さくなり過ぎて摩擦係合が不安定になり安定した駆動を得ることが困難となることや、表面粗さが大きすぎるため摺動面の凹凸によって移動量のバラツキが大きくなること、摩擦係数が大きくなりすぎて磨耗粉が発生しやすくなること、等の駆動を阻害する要因の発生を少なくすることができる。
そのようなフッ素樹脂としては、例えばPTFEなどの潤滑性に優れたフッ素系樹脂が適している。また、フッ素系油としては、PFPE(パーフルオロポリエーテル)などの不揮発性かつ潤滑性に優れたフッ素系油が適している。
本発明においては、電気機械変換素子に接着された磁石と、磁石に吸着可能な材質からなる移動体とを磁石の発生する磁力によって吸着係合しているが、摺動部分に硬質で摩擦係数の小さな薄膜が形成されるため、摺動部分において摩耗による劣化が軽減できる。また、硬質で摩擦係数の小さな薄膜を形成した上で、これとは異なる材質の潤滑性に優れた薄膜を形成すると、すべり性をさらに高めることができ、摺動部分の磨耗の低減が可能となる。このため、光学レンズを駆動する上で、長期間に渡って高い信頼性を保持したレンズモジュールを得ることができる。
なお、潤滑性に優れた薄膜をフッ素系樹脂粒子と不揮発性フッ素系油と揮発性溶媒から成る潤滑剤を塗布することによって形成したときには、フッ素系樹脂とフッ素系油をあわせて20重量%以下とすることで、摺動部分に均質で平滑な薄膜を形成することができ、光学レンズを駆動する上で、フッ素系樹脂やフッ素系油が摺動部分に溜まって停止することなく、安定した連続動作が可能となる。
以上のように、本発明により、光学レンズの移動速度を安定化できると共に、繰り返し動作(往復動作)において、耐久性(連続動作回数)が増し、高寿命で信頼性に優れたレンズモジュールを得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明によるレンズモジュールの一実施の形態の基本構成を示したものであり、図1(a)は、上面方向からの外観平面図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A線方向における側面断面図である。図1においても、図3のレンズモジュールと同様に、静止部材であるハウジング51と、所定方向に伸縮するようにしてハウジング51に一端が固定された圧電セラミック素子11と、圧電セラミック素子11の伸縮に併せて所定方向に変位するように圧電セラミック素子11の他端に固定された磁石21と、レンズホルダー41と、レンズホルダー41に保持された光学レンズ10と、レンズホルダー41の一部に一体に支持され磁石21に対して吸着可能な材質からなる移動体31と、を備えて成る。本実施の形態1では、移動体31の摺動部分の表面には硬質で摩擦係数の小さいDLC薄膜がコーティングされてなる薄膜部32が形成される。なお、移動体31ではなく、磁石21の摺動部分の表面にDLC薄膜が形成されても良いし、それらの両方に形成されていても良い。
この構造により、圧電セラミック素子11に対して、伸長時と縮小時とでそれぞれ異なる速度で伸縮する電圧を印加し、磁石21を光学レンズ10の光軸と平行に振動させ、移動体31を伸縮方向へ摺動するように移動させることで、レンズホルダー41を光軸方向に移動させる。
本実施の形態1においては、移動体31は磁石21の磁力によって吸着係合しているが、移動体31または磁石21の表面の少なくとも一方に硬質で摩擦係数の小さいDLC薄膜が形成されるため、摺動部分の磨耗を低減することができる。従って、繰り返し動作において耐久性のある信頼性に優れたレンズモジュールを提供することができる。
ところで、移動体31の摺動部分の表面形状は、例えば、従来では曲線(円筒面)であり、線接触であったのに対して、本実施の形態1では、移動体31の摺動部分の表面形状は平面であり、磁石面との接触状態は面接触となるようにしても良い。
(実施の形態2)
本発明によるレンズモジュールの実施の形態2の基本構成は、実施の形態1の説明に用いた図1の構造と同様であり、移動体31の摺動部分の表面には硬質で摩擦係数の小さいDLC薄膜がコーティングされてなる薄膜部32が形成される。図2は、本発明の実施の形態2での摺動部の構成を示す。本発明の実施の形態2では、図2(a)および図2(b)に示されるように、薄膜部32と磁石21との間にフッ素系樹脂を含有した摩擦係数の小さい薄膜がコーティングされてなる薄膜部33が形成される。すなわち、図2(a)は、潤滑剤塗布により薄膜部33を形成したときの図であり、図2(b)は、フッ素樹脂を含むNiメッキにより薄膜部33を形成したときの図である。
また、移動体31ではなく、磁石21の表面にDLC薄膜がコーティングされてなる薄膜部32が形成され、薄膜部32と移動体31との間にフッ素系樹脂を含有した薄膜である薄膜部33が形成されていても良い。フッ素系樹脂を含有した薄膜は、DLC薄膜の上に形成しても良いが、必ずしも、DLC薄膜の上に形成する必要はなく、DLC薄膜が一方にのみコーティングされている場合、他方のDLC薄膜がコーティングされていない表面に形成しても良い。当然に、両方の表面に形成しても問題はない。
薄膜部33は、揮発性の液体を溶媒とし、フッ素系樹脂粒子と不揮発性のフッ素系油からなる有効成分が20重量%以下である潤滑剤を塗布することで形成されていると良い。
また、薄膜部33は、磁石の表面にフッ素系樹脂粒子を含有した金属メッキをコーティングすることで形成されていても良い。薄膜部33としては、例えば、粒径1μm未満の四フッ化エチレン粉を5〜35vol%含有した無電解Niメッキとし、その厚みは3〜30μmとすることができる。
磁石21および移動体31の摺動面は、いずれも表面粗さRaが0.05μm以上1μm未満であると良い。
本実施の形態2においては、本実施の形態1と同様に、磁力によって吸着係合している磁石21と移動体31の少なくとも一方の表面に硬質で摩擦係数の小さいDLC薄膜を形成するのに加えて、摺動部分の間に摩擦係数の小さいフッ素系樹脂を含有した薄膜が形成されるため、すべり性がさらに向上し、摺動部分の磨耗を低減することができる。従って、繰り返し動作において耐久性のある信頼性に優れたレンズモジュールを提供することができる。
次に、本発明の具体的実施例であるレンズモジュールについて説明する。その構造は、実施の形態1で説明した図1と同様である。圧電セラミック素子11として、断面が1.0mm×1.0mm、高さ2.0mmの圧電積層セラミックを準備した。この圧電積層セラミック素子は、±3Vの電圧印加に対して、大略0.1μmの変位を発生するものである。この圧電セラミック素子の一端に、1.2mm×1.5mm、高さ1.0mmの表面をNiメッキ処理したネオジウム系の磁石21を熱硬化性エポキシ樹脂で接着した。ここでNiメッキの厚みは約5μmである。さらに、ポリカーボネートを材質とするハウジング51を作製し、図1に示した位置にエポキシ樹脂で接着してハウジング51と圧電セラミック素子11およびネオジウム系の磁石21からなる駆動体を作製した。
ステンレス鋼SUS430を材質とし外径8.5mm、内径7.5mm、高さ1.5mmの移動体31を作製した。この移動体の磁石との摺動部分にあたる箇所には、PVD法(物理気相成長法)により硬質薄膜であるDLCをコーティング処理して薄膜部32を形成した。この移動体31は、ポリカーボネートを材質とするレンズホルダー41にエポキシ樹脂で接着した。なお、上記DLC薄膜部32の厚さは約2μmである。
このレンズモジュールの圧電セラミック素子11に、ノコギリ波形の±3Vの交流電圧を印加し、レンズホルダー41を光軸方向に往復移動させた場合について、往復回数をカウントし、耐久性試験を実施した。往復移動の動作はノコギリ波形の向きを反対にすることで行った。以上のものを実施例1とした。また、図3に記載の本発明の基となるレンズモジュールとの比較のために、図3の構造のレンズモジュールについても同様に作製および評価し、比較例とした。
さらに、本発明の実施例2および実施例3として、実施例1における薄膜部32と磁石21との間に、フッ素系樹脂を含有した薄膜部33をコーティングしてなるレンズモジュールを作製し、同様に評価した。すなわち、実施例2および実施例3は、実施の形態2に対応するレンズモジュールの実施例である。
本発明の実施例2においては、薄膜部32の表面にフッ素系樹脂粒子およびフッ素系油を含有した潤滑剤のドライサーフ(MDF−2400E、株式会社ハーベス製)を塗布することで、図2(a)に示される薄膜部33を形成した。なお、本実施例2において使用したドライサーフ(MDF−2400E)は、ハイドロフルオロエーテル(HFE)を溶媒として、フッ素系樹脂粒子であるPTFE粒子を5重量%未満含有し、フッ素系油としてPFPEを5重量%未満含有している。
本発明の実施例3においては、表面をNiメッキ処理したネオジム系の磁石21について、表面のNiメッキを、粒径0.3μmのPTFE粉を25vol%含む無電解Niメッキとすることで、図2(b)に示される薄膜部33を形成した。なお、薄膜部33の厚さは約4μmである。
表1は、これら作製した4水準の実施例1ないし実施例3および比較例のレンズモジュールについて、耐久評価試験の結果をまとめたものである。
Figure 2009151273
表1から、比較例では往復動作回数が3000回程度であったものが、実施例1では30万回以上と飛躍的に向上する結果が得られた。また、実施例2および3については40万回以上の往復動作が可能であり、実施例1に比べても耐久性がさらに向上する結果が得られた。
続いて、本発明の実施例4および実施例5のレンズモジュールについて説明する。実施例4および実施例5は、実施の形態2のレンズモジュールに対応する実施例である。その構造は、実施例2と同様図2に示される構成であり、薄膜部32の表面にフッ素系樹脂粒子およびフッ素系油を含有した潤滑剤を塗布することで、薄膜部33が形成されている。但し、実施例4では、実施例2において使用したドライサーフMDF−2400Eに代えて、フッ素系油PFPEの重量を1割増したドライサーフMDF−2400Aを使用した。また、実施例5では、ドライサーフMDF−2400Eに代えて、フッ素系樹脂PTFE粒子の重量を1割増したドライサーフMDF−2400Bを使用した。なお、ドライサーフMDF−2400AおよびMDF−2400Bのいずれも、有効成分は20重量%以下である。
これらのレンズモジュールの圧電セラミック素子11に、ノコギリ波形の±3Vの交流電圧を印加し、レンズホルダー41を光軸方向に往復移動させた場合について、往復回数をカウントし、耐久性試験を実施した。往復移動の動作はノコギリ波形の向きを反対にすることで行った。また、有効成分が20重量%より多い潤滑剤との比較のために、実施例2、実施例4および実施例5で用いたドライサーフの溶媒を意図的に蒸発させて有効成分の割合を増加させたドライサーフを塗布したレンズモジュールについても評価した。
図4は、本発明のレンズモジュールの耐久性を示す図であり、縦軸は、繰返し動作回数を示し、横軸は、潤滑剤における有効成分の重量割合を示す。すなわち、図4は、異なる有効成分の潤滑剤を塗布することで薄膜部33を形成したレンズモジュールについて、耐久性を評価した結果である。なお、潤滑剤における有効成分の割合は10,15,20,25,30重量%であり、耐久性は往復回数をカウントして評価した。
図4から、有効成分におけるPTFE粒子とPFPE油の割合が異なっていても、潤滑剤における有効成分が20重量%以下の場合には、往復動作回数が35万回以上と高い耐久性が得られることがわかる。なお、有効成分の割合が範囲外の場合に往復動作回数が低下しているのは、揮発性溶媒に対する有効成分の分散性が悪くなり、潤滑剤を塗布した際に不均一になること、また、有効成分の割合が多いために厚膜が形成されてしまうことが原因である。すなわち、これにより往復動作の際に、フッ素系樹脂やフッ素系油が摺動部分の特定箇所に溜まっていき、駆動が停止する。
また、レンズ移動量の安定性の評価も行った。すなわち、実施例3のレンズモジュールの圧電セラミック素子11に、所定数の交流パルスを所定の時間間隔で印加し、レンズホルダー41を光軸方向に一定量ずつ段階的に移動させた場合について、レンズ移動量の安定性を評価した。なお、印加した交流パルスは、電圧±3Vのノコギリ波形であり、所定の時間間隔で入力した回数は20回である。また、レンズホルダー41の段階的な移動において、1回あたりの移動量は12μmを目標とした。さらに、前述の比較例のレンズモジュールも同様に評価した。
表2は、実施例3および比較例の2つのレンズモジュールについて、レンズ移動量安定性評価試験の結果をまとめたものであり、上記の駆動条件でのレンズ移動量の標準偏差を示す。横向きとは、レンズの駆動(光軸)方向が重力の方向に対して直交するようにレンズモジュールを配置した場合であり、上向きとは無限遠からマクロ側へのレンズ駆動が重力に逆らうようにレンズモジュールを配置した場合(図1(b)の上向き)であり、下向きとは無限遠からマクロ側へ焦点を移動する際のレンズ駆動方向が重力方向と同じになるようにレンズモジュールを配置した場合(図1(b)の下向き)を示す。
Figure 2009151273
表2から、比較例では全てのモジュール配置において、レンズ移動量の標準偏差が2μm以上であったものが、実施例3では1.5μm以下と飛躍的に向上する結果が得られた。
以上説明したように、本発明によれば、移動体の摺動部の表面にDLC薄膜をコーティングすることで、摺動部分を硬質で摩擦係数の小さな状態にすることが可能となるので、摺動部分の摩耗が低減可能となる。加えて、DLC薄膜と磁石との間にフッ素樹脂を含有した薄膜を形成することで、すべり性が向上し、摺動部分の磨耗による劣化をさらに軽減することができる。また、潤滑剤を塗布することで前記フッ素樹脂を含有した薄膜を形成する場合には、フッ素系樹脂粒子とフッ素系油からなる有効成分の割合を20重量%以下にすることで、摺動部分に均質で平滑な薄膜を形成することができ、摺動部分に有効成分が溜まることなく、連続動作が可能となる。
なお、上記の実施例では移動体の摺動面にDLC薄膜を形成したが、磁石の摺動面にDLC薄膜を形成しても、レンズ駆動において同様の耐久性向上が可能になる。また、薄膜コーティングを形成する場合、磁石もしくは移動体に直接形成するのではなく、薄膜がコーティングされた金属薄板を摺動部分にあたる箇所へ接着剤で貼り付けることも可能である。
以上述べたことから、本発明では、比較例に対しては、繰り返し動作(往復動作)において耐久性が増し、高寿命で信頼性に優れたレンズモジュールを得ることができる。また、従来公知の技術に対しては、レンズ移動量の安定度に優れたレンズモジュールを得ることができる。
なお、本発明は上記の実施の形態や実施例に限定されるものではないことは言うまでもなく、磁石や移動体の摺動面にコーティングする薄膜の材質や厚さ、摺動面の粗さや形状、寸法などは他の部分の形状や重量に応じて、必要な摩擦係数が得られるように変更することができる。例えば、DLC薄膜の代わりに酸化チタン膜を用いることも可能である。また、レンズモジュールの用途に応じて、圧電素子や磁石の構造や形状、材質、移動体やレンズホルダー、ハウジングの材質、形状などを選択、設計することができる。また、例えば、図1においてはガイドピン61を3箇所に設けているが、磁石21と移動体31との接触面積が充分確保出来て、動作が安定する場合、ガイドピン61の設置本数を減らす、或いはガイドピン61を設けなくても構わない。さらに、図1においては光学レンズが1枚の場合を示したが、より良好な結像性能を求められるレンズモジュールの場合には、搭載される光学レンズが2枚以上の場合もあり、その場合にも本発明を適用することが可能である。
本発明によるレンズモジュールの一実施の形態の基本構成を示す図。図1(a)は上面方向からの外観平面図、図1(b)は1図(a)のA−A線方向における側面断面図。 本発明の実施の形態2での摺動部の構成を示す図。図2(a)は潤滑剤塗布により薄膜部を形成したときの図、図2(b)はフッ素樹脂を含むNiメッキにより薄膜部を形成したときの図。 インパクト駆動方式のレンズモジュールの基本構成を示す図。図3(a)は上面方向からの外観平面図、図3(b)はC−C線方向における側面断面図。 本発明のレンズモジュールの耐久性を示す図。
符号の説明
10 光学レンズ
11 圧電セラミック素子
21 磁石
31、35 移動体
32、33 薄膜部
41 レンズホルダー
51 ハウジング
61 ガイドピン

Claims (5)

  1. 静止部材と、該静止部材に一端を固定された電気機械変換素子と、該電気機械変換素子の他端に固定された磁石と、前記磁石に対して吸着可能な材質からなる移動体を支持するレンズホルダーと、該レンズホルダーに保持された光学レンズと、を備えるレンズモジュールであって、
    前記磁石に吸着し摺動する部分の前記移動体表面または前記磁石の表面の少なくとも一方にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)薄膜がコーティングされていることを特徴とするレンズモジュール。
  2. 前記移動体表面または前記磁石の表面の少なくとも一方にフッ素系樹脂を含有した薄膜がコーティングされていることを特徴とする、請求項1に記載のレンズモジュール。
  3. 前記フッ素系樹脂を含有した薄膜が、揮発性の液体を溶媒とし、フッ素系樹脂粒子と不揮発性のフッ素系油からなる有効成分が20重量%以下である潤滑剤を塗布することによって形成されたものであることを特徴とする請求項2に記載のレンズモジュール。
  4. 前記移動体の表面に前記DLC薄膜が形成されており、前記フッ素系樹脂を含有した薄膜が前記磁石の表面に形成されたフッ素系樹脂粒子を含有した金属メッキであることを特徴とする請求項2に記載のレンズモジュール。
  5. 前記磁石の表面および前記磁石に吸着し摺動する部分の前記移動体の表面はいずれも表面粗さRaが0.05μm以上1μm未満であることを特徴とする請求項1ないし4に記載のレンズモジュール。
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