JP2009150865A - エッジ検出方法、エッジ検出装置及びこれを用いた工作機械 - Google Patents

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孝哲 矢澤
Yukio Maeda
幸男 前田
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Abstract

【課題】非接触で、加工途中のワークなどを精度高く、かつ、リアルタイムで輪郭形状を数値的に測定可能とする光学的なエッジ検出装置を提供すること
【解決手段】本発明のエッジ検出方法は、光源モジュール11と、0次光の光量を遮光するアンチピンホールフィルタ25とを備えた投影光学系を備えるレンズ鏡筒13と、撮像素子26と、コンピュータとを用い、光源モジュール11の平行光を遮るように置かれたワーク17の投影画像を撮像素子で撮像し、コンピュータは、エッジ近傍の信号強度を判定し、2本の帯状の高輝度の部分に挟まれた低輝度の線状部分をエッジと判定するエッジ判定の手順を実行する。そのため、ワークのエッジを正確に検出でき、これを画像処理により数値処理することでCADやNC制御と連動させることができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、エッジ検出方法、エッジ検出装置及びこれを用いた工作機械に係り、詳しくは、工具の振れ幅の測定に限らず、加工途中のワークなどを、非接触で、リアルタイムに形状を数値的に測定可能とする光学的なエッジ検出方法、エッジ検出装置及びこれを用いた工作機械に関する。
これまで精密な加工をする場合は、たとえば拡大投影機を設けた研削盤など、ワークの加工部分を光学的に拡大投影してNC加工するようなものが用いられてきた。
ところで、近年、いわゆるナノ工学が多方面に活用されるようになり、高い工作精度がますます要求され、μmオーダーや、いわゆるサブμmオーダーの加工が要求されている。例えば、ディンプルと呼ばれる微小なくぼみを規則的に配置したディンプルテクスチャが、光学やトライボロジー等の広範囲の分野で用いられている。また、マイクロチャンネルを用いて、ナノリッター(nL)からフェムトリッター(fL)の微小流体をハンドリングするマイクロ流体工学もバイオ関係などで活用されている。これらの場合、数十μmのディンプルやマイクロチャンネルを形成するには、直接ワークを、またはプレス若しくは成形のための型を正確に3次元的に造形する必要があった。
このような場合、露光装置を用いてリソグラフィで加工する方法も考えられるが、きわめてコストが高いばかりか、幅方向の精度は高くても深さ方向の精度は保証できないため、正確な3次元的造形ができない。また、放電加工などもコストは低いがやはり正確な3次元的造形ができない。この点、研削加工によれば、理論的には正確な3次元的造形が可能であり、比較的コストも低く、多品種少量生産にも適している。このような超精密加工をするには、ボールエンドミルのような高速回転する回転工具を用いた精密機械加工が一般的であるが、まず精度の高い工具が不可欠である。さらに、この高速に回転する工具を振れがないように正確に工作機械に装着することも不可欠である。ところが、これらの加工に際し、研削盤等の精度がいくら高くても、これまでのようにワークを光学的に20〜50倍程度に拡大して投影しただけでは工具の振れはもちろんその形状も確認できず、上述のような精密な加工は達成できなかった。
一方、図11に示すようなレーザを用いた拡大投影光学系で加工対象である回転工具の像を拡大投影し、これを撮像するような方法も考えられた。図11は、従来の輪郭を投影するための投影光学系3の1例を示す。レーザ発振器21から照射された光線はコリメータレンズ22により平行光とされワーク17を照射する。この光線は対物レンズ23、投影レンズ24により図示しないスクリーンに投影されたり、撮像素子26で撮像されたりした。
しかしながら、レーザなどの光源を測定物に当て拡大画像を取得する際、測定物のエッジ部で回折光を生じ、波源となった透過光と干渉することなどから映し出された像のエッジがぼやけるという問題があり、高い精度が得られにくかった。
そこで、本発明者らは以下の特許文献1に記載されたような発明を提案した。この発明では、0次光をカットして回折光のみで像を結像させ、これをCCDカメラなどで撮像して、高速回転する回転工具の切れ刃稜の振れを高精度に測定可能にして、この振れを補正できるようにした。その結果、微細な加工が可能となる高精度の回転工具を振れなく回転させ、前述のディンプルなどの加工が高精度でできるようになった。
特開2006−242605号公報
この方法は、極めて高速に回転するボールエンドミルのような回転工具においてもエッジに対応する画像を撮像し、その相対的な位置の差から回転工具の振れの大きさを極めて高精度に検出する。その測定結果に基づいて回転工具の振れがないように修正することができ、その結果、正確な中ぐり加工ができるようになった。
しかしながら、当時の知見では、得られたエッジ画像と実際のエッジの位置との関係が必ずしも明らかでなく、実際のエッジの絶対的な位置自体は必ずしも明らかではなかった。このような事情から特許文献1に記載された発明では、回転工具の輪郭形状は検出できず振れ幅のみの検出に止まっていた。
従って、実際のエッジの位置は別の方法で直接接触して測定するなどの必要があったため、加工作業中はできず、極めて煩雑な作業となっていた。また、撮像されたデータから形状を数値化することも困難で、このようなデータを利用することもできなかった。
本発明は、上記課題を解決するため、工具の振れ幅の測定に限らず、非接触で、加工後及び加工途中のワークなどをμmオーダ若しくはサブμmオーダで、かつ、リアルタイムで輪郭形状を数値的に測定可能とする光学的なエッジ検出装置を提供することに目的とする。また、併せて、このように測定された工作物の形状データに基づき正確かつ容易に、マニュアル制御若しくは自動制御可能な工作機械を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に係るエッジ検出方法では、平行光を発する光源モジュールと、該光源モジュール側に配置された対物レンズと、該対物レンズと共焦点を有するように前記光源モジュールと反対側に配置された投影レンズと、前記共焦点に配置され入射光のうちの0次光の光量を遮光するアンチピンホールフィルタとを備えた投影光学系を備えるとともに前記平行光の光軸と軸心を共通にするように配置されたレンズ鏡筒と、該レンズ鏡筒により投影された映像を撮像するように前記光軸と直交するように配置された撮像素子と、該撮像素子からの信号を演算処理するコンピュータとを用い、前記平行光を遮るように前記対物レンズの前記光源モジュール側の焦点位置に置かれた対象物の投影画像を前記撮像素子で撮像し、前記コンピュータは、前記撮像素子からの信号強度により輝度を判定し2本の帯状の高輝度の部分に挟まれた低輝度の線状部分をエッジと判定するエッジ判定の手順を実行することを要旨とする。
なお、対象物やアンチピンホールフィルタ、共焦点の位置は、厳密なものではなく実質的に等価の位置のものを含むことは言うまでもない。また、レンズ構成も複数で構成されるレンズ群を含むことももちろんである。さらに、リレーレンズ、補正レンズ、フィルタ、プリズム、ミラー、絞り、シャッタなど、本発明を本質的に変更しない光学要素を含むものも本発明と等価であり、本発明に含まれる。また、撮像素子は直接焦点であっても実像を撮影する撮影レンズを備えたものであってもよい。また、以下の本願に開示された発明においても同様である。
請求項1に記載のエッジ検出方法によれば、非接触で加工後及び加工途中のワークなどの輪郭形状を正確かつリアルタイムに数値的に測定し、コンピュータ処理することができる。
請求項2に係るエッジ検出装置では、平行光を発する光源モジュールと、該光源モジュール側に配置された対物レンズと、該対物レンズと共焦点を有するように前記光源モジュールと反対側に配置された投影レンズと、前記共焦点に配置され入射光のうちの0次光の光量を遮光するアンチピンホールフィルタとを備えた投影光学系を備えるとともに前記平行光の光軸と軸心を共通にするように配置されたレンズ鏡筒と、該レンズ鏡筒により投影された映像を撮像するように前記光軸と直交するように配置された撮像素子と、該撮像素子からの信号を演算処理するコンピュータとを備え、前記コンピュータは、前記撮像素子からの信号強度により輝度を判定し、帯状の2本の高輝度の部分に挟まれた低輝度の部分をエッジと判定するエッジ判定手段を備え、前記平行光を遮るように前記対物レンズの前記光源モジュール側の焦点位置に置かれた対象物の投影画像のエッジを検出することを要旨とする。
請求項2に記載のエッジ検出装置によれば、非接触で加工後及び加工途中のワークなどの輪郭形状を正確かつリアルタイムに数値的に測定し、コンピュータ処理することができる。
請求項3に係るエッジ検出装置では、請求項2に記載のエッジ検出装置において、前記投影レンズの焦点距離は、前記対物レンズの焦点距離より長いことを要旨とする。
請求項3に係るエッジ検出装置では、請求項2に記載のエッジ検出装置の効果に加えて、エッジの画像を光学的に拡大することで、エッジの検出がより正確にできる。
請求項4に係るエッジ検出装置では、請求項2又は請求項3に記載のエッジ検出装置において、表示装置をさらに備え、前記コンピュータは、前記撮像素子から入力された信号に基づき対象物のエッジをエッジデータとして検出するとともに、当該エッジデータに基づきエッジ画像を該表示装置に表示することを要旨とする。
請求項4に係るエッジ検出装置では、請求項2又は請求項3に記載のエッジ検出装置の効果に加えて、検出されたエッジを画像により直感的に把握でき、マニュアルの操作においても操作が容易になる。
請求項5に係るエッジ検出装置では、請求項2又は請求項3に記載のエッジ検出装置において、表示装置をさらに備え、前記コンピュータにより検出されたエッジを該表示装置に座標で表示することを要旨とする。
請求項5に記載のエッジ検出装置では、請求項2又は請求項3に記載のエッジ検出装置の効果に加え、その形状を座標値で正確に確認できる。
請求項6に係るエッジ検出装置では、請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載のエッジ検出装置において、前記光源モジュールの光源は、LEDを備えたことを特徴とする。
請求項6に記載のエッジ検出装置では、請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載のエッジ検出装置の効果に加え、特にシャープなエッジの画像が形成できる。
請求項7に係る工作機械では、請求項4に記載のエッジ検出装置が工作機械に搭載されるとともに、
入力された対象物の設計データに基づき、前記表示装置には、前記エッジ画像と重畳して該設計データに基づいた設計画像が表示されることを要旨とする。
請求項7に記載の工作機械では、請求項4に記載のエッジ検出装置の効果に加え、エッジが測定された工作物の形状データに基づき、画面に表示された形状を見ながらマニュアル制御により正確かつ容易に加工することができる。
請求項8に係る工作機械では、請求項2乃至請求項6のいずれかに記載のエッジ検出装置がNC制御可能な工作機械に搭載されるとともに、前記コンピュータは、当該工作機械の加工対象である工作物を前記対象物として前記撮像素子から入力された信号に基づき対象物のエッジをエッジデータとして検出するとともに、入力された対象物の設計データに基づき、前記エッジと前記設計データとの差分を演算し、この差分をフィードバックすることで工作機械をNC制御により自動制御して対象物を加工することを要旨とする。
請求項8に記載の工作機械では、請求項2乃至請求項6のいずれかに記載のエッジ検出装置の効果に加えエッジが測定された工作物の形状データに基づき、自動制御により正確かつ容易に加工することができる。
請求項9に係る工作機械では、請求項7又は請求項8に記載の工作機械において、前記エッジ検出装置は、光学収差測定装置を備えるとともに、該光学収差測定装置により測定した光学収差を予め前記コンピュータに入力し、少なくとも前記エッジデータ及び前記設計データのいずれかを前記光学収差に基づいて補正することを要旨とする。
請求項9に記載の工作機械では、請求項7又は請求項8に記載の工作機械の効果において、工作機械の固有の収差を考慮することなく、測定した形状と設計された形状とを比較しながら対象物の加工をすることができる。
請求項10に係る工作機械では、請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の工作機械において、前記工作機械は、研削盤であることを要旨とする。
請求項10に記載の工作機械では、請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の工作機械の効果に加え、正確な形状を検出しながら対象物を正確に加工できる成形研削盤とすることができる。
本発明のエッジ検出方法及び装置によれば、非接触で加工後及び加工途中のワークなどを正確かつリアルタイムに輪郭形状を数値的に測定可能とすることができる。また、本発明の工作機械によれば、このように測定された工作物の形状データに基づき、マニュアル及び自動制御により正確かつ容易に加工することができる。
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した成形研削盤の一実施例を図1〜図3を用いて説明する。図1には本発明のエッジ検出装置の一実施例を、図2には図1に示したエッジ検出装置を搭載した成形研削盤を、図3にはエッジ検出の原理を説明するための図を示す。
(エッジ検出装置全体) 図1に示すエッジ検出装置5は、対象物のエッジを検出するエッジ検出ユニット9と、ここにレーザ用の電力を供給する光源用電源12と、エッジ検出ユニット9からのデータを処理するパソコン20より構成されている。
(エッジ検出ユニット)エッジ検出ユニット9は、ベース10の上に設けられた対象物にレーザ光を発射する光源モジュール11と、このレーザ光を投影するための光学系を備えたレンズ鏡筒13と、投影された画像を検出する検出モジュール14が、共通な光軸16に沿って、この順に配置されている。
(ワーク)本実施形態のエッジ検出の対象物であるワーク17は、ピンゲージを例に挙げている。ピンゲージは、孔の径を測定するための円柱形の計測具で、ここでは砥石15により正確な外径に形成される。ワーク支持装置2(図2)のチャックで固定されたピンゲージの先端が光軸16を遮るような位置に光軸16と直交かつ回転軸が水平になるように支持されている。ここでは、加工対象物としてワーク17は、ワークテーブル4のワーク支持装置2(図2参照)で砥石15に対してX軸(前後)方向、Y軸(左右)方向、Z軸(上下)方向のうち必要な範囲で移動・回転可能となっている。もちろんワーク17は、ピンゲージに限るものではなく、各種ゲージ等はもちろん、ボールエンドミルを含む各種ミルなどの刃物など工具、ジグをはじめ、目的・材質を問わず正確な輪郭形状を必要とするものが挙げられる。
(砥石)本実施形態の工具の一例として砥石15を例に挙げている。砥石15は、ワーク17のボールエンドミルの軸心に平行な軸となるように配置されたスピンドル18に装着された円盤状の砥石で、ワーク17に対して接離可能に図示しない砥石支持手段で支持されており、X軸(前後)方向、Y軸(左右)方向、Z軸(上下)方向のうち必要な範囲で移動・回転可能に支持される。本実施形態の円盤状の砥石15は工具の一例であって、ボール状など各種の形状の砥石はもちろん、各種切削工具、研削工具、研磨工具等が挙げられ、その支持方法も目的に応じて各種の形態を取り得る。
(機器の接続)図1に示すように、光源用電源12は、光源モジュール11に電気的に接続され、この光源モジュール11に電力を供給している。
また、図4に示すように、光源モジュール11、検出モジュール14は、パソコン20にデータ送受信可能に接続されている。また、ワーク支持装置2、および砥石支持装置(不図示)は、NC制御装置8を介してパソコン20に接続されている。そしてパソコン20は、検出モジュール14からの画像信号を受信する。また、パソコン20は、NC制御装置8を介して、ワーク支持装置2および工具支持装置からのフィードバック信号を受信するとともに、それらに制御信号を送信して研削加工を制御する。
(成形研削盤)図2は、成形研削盤35の全体を示す。いわゆる倣い研削盤で、ワークの形状を確認しながらその形状を形成していく工作機械である。エッジ検出装置5は、その光軸16(図1参照)を、成形研削盤35のY軸方向に平行に採った場合を示している。もちろんいずれの方向にセットするかは、工具やワークにより適当な姿勢を選択すればよい。本実施形態では、上述のワーク17の中心を原点に、エッジ検出装置5の座標系に対して、成形研削盤35のX軸、Y軸およびZ軸方向のNC制御指令を用いて一致させ共通の座標系を用いる。また、実際のワーク17の動きと、エッジ検出のデータ、NC制御のデータ、CAD(Computer Aided Design)/CAE(Computer Aided Engineering)
/CAM(Computer Aided Manufacturing)の一連の設計・解析・製造データが相互に共有・互換・活用しやすいようになっている。そのため、本実施形態では、収差を補正しつつ、実際のワークの形状を測定しながら正確かつ自動的なNC加工が可能になっている。
(エッジ検出ユニット)図3は、本発明の測定原理を説明するために、図2に示したエッジ検出ユニット9の主要部を模式的に配置した光学系である。一点鎖線は光軸16、破線は遮光されたため光が通ってないことを示す。なお、ここでは説明のため単レンズとして表示してあるが、各レンズは、収差を補正するため、複数のレンズからなるレンズ群として構成されているのが通常である。本実施形態のエッジ検出装置5は、入射光学系である光源モジュール11から発射された平行光の中にワーク17のエッジを配置し、投影光学系であるレンズ鏡筒13に0次光の光量を遮光するアンチピンホールフィルタを挿入して、光源から発した透過光(0次光)が直接撮像素子26に到達しないように制限し、投影された画像は回折光(1次光)からなるワーク17のフラウンフォファ像のみが得られるようにしている。これにより、ワーク17の境界の判別精度が著しく向上でき、高精度に輪郭形状を求めることができるものである。
光源モジュール11、レンズ鏡筒13に対物レンズ23、アンチピンホールフィルタ25および投影レンズ24、検出モジュール14の一端に内蔵された撮像素子26がこの順序に、レーザ発振器21から出射されたレーザ光と共通な光軸16上に、配置されている。
(光源モジュール)光源モジュール11には、He−Neレーザ発振器からなるレーザ発振器21が内蔵され、ここから照射された波長λ=632.8のレーザ光は、拡散レンズ(図示せず)により拡散され、この拡散された光線を減光する光量調整手段としてのNDフィルタ(Neutral Density Filter)19が配置される。また、調光されたレーザ光線はコリメータレンズ22により光軸と平行な平行光に変換される。このレーザ光31は、回折光を生じやすいコヒーレントな状態が維持されている。したがって、光源モジュール11からは、均質でコヒーレントな平行光が照射される。
(レンズ鏡筒)レンズ鏡筒13には、光源モジュール11側から順に、対物レンズ23、アンチピンホールフィルタ25、投影レンズ24が光源の光軸16に沿って配置される。対物レンズ23は平行光を収束させるレンズで、光源モジュール11側に前側焦点27´を形成するとともに、検出モジュール14側に、後側焦点28を形成する。
また、投影レンズ24は光源モジュール側に前側焦点28´を備えており、この前側焦点28´は対物レンズの後側焦点28と一致しており、これをここでは共焦点と呼んでいる。
この共焦点である後側焦点28,前側焦点28´の位置には、対物レンズ23を通って後側焦点28に集光された透過光(0次光)30を遮光するフィルタ機能をもったアンチピンホールフィルタ25が配置されている。ここで、「アンチピンホール」とは、光軸(光源の光路中心線)上の対物レンズの後側焦点位置に配置され、透過光(0次光)のみを遮光してその通過を妨げ、回折光は通過を妨げないように構成されているものである。アンチピンホールフィルタ25は、そのようなアンチピンホールを有したフィルタである。なお、このアンチピンホールフィルタ25は、光軸方向に微調整可能な位置調整手段を備えている。
投影レンズ24の後側焦点26´は、検出モジュール14の撮像素子26の検出面と一致している。また、対物レンズ23の前側焦点27´を含む光軸16と直交する面に、被検出対象であるワーク17のエッジを一致させている。
(拡大投影)本実施形態のエッジ検出装置5では、投影レンズ24の焦点距離f2,f2と、対物レンズの焦点距離f1、f1との関係は、f1<f2となっており、f2の焦点距離の方がより長い。このため、エッジの画像は光学的に拡大され、エッジの検出がより正確にできる。拡大の倍率は、工作機械の種類、ワーク、工具などにより適宜選択できる。図4は、模式図であるため、その他の拡大投影系のレンズ構成を採用できることは言うまでもない。
このような光学系の構成とすることにより、レーザ発振器21から出射されたレーザ光31が、コリメータレンズ22を通って平行光に変換され、ワーク17のエッジ27に照射されると、エッジ27からは色々な次数の回折光29が発生する。また、レーザ光31のうちエッジ27から離れた箇所を通過する0次光成分の透過光30は、平行光として対物レンズ23に入射する。エッジ27は、対物レンズ23の前側焦点27´に一致しているので、エッジ27の周辺を通る透過光30や回折光29は、対物レンズ23のフーリエ変換作用により、対物レンズ23の後側焦点28で、空間周波数に分解される。すなわち透過光30を集光するが、回折光29を集光しない。この対物レンズ23の後側焦点28の位置に、0次光成分のみを遮るフィルタ機能をするアンチピンホールフィルタ25が設置されているので、集光された透過光30は完全に遮断される。 一方、アンチピンホールフィルタ25を透過した高周波成分の回折光29は、投影レンズ24の逆フーリエ変換作用によって、投影レンズ24の後側焦点26´に配置された撮像素子26の検出面上に結像する。このとき、エッジ27により生じた同心円状の干渉像のうち、アンチピンホールにより、干渉像の1次回折光すなわちエッジ27の形状を与えるエッジ像32のみが抽出される。このような光学系の構成としたことにより、ワーク17のエッジ27のシャープなエッジ像32を、干渉像の影響を受けることがなく高精度に識別できる。
(検出モジュール)検出モジュール14は、撮像素子26として、マトリクス状にCCDをアレー配置したCCDカメラである。ここで受信した光は電気信号に変換され、パソコン20で例えばドットマトリクスのデータとなり画像処理される。
(コンピュータ)図4に示すように、撮像素子26からの信号を演算処理するコンピュータであるパソコン20は、CPU20a、RAM20b、ROM20c、外部記憶装置としてのHDD20d、外部インターフェイス20eを備える。HDD20dには、エッジ判定プログラム、エッジ表示プログラム、収差修正処理プログラムが記憶されており、パソコン20をエッジ判定、エッジ表示、収差処理の各制御装置として機能させている。このパソコン20は、外部インターフェイス20eを介して、表示装置20fとしての例えばLCD(液晶ディスプレー)と、入力装置20gとしての例えばキーボード、マウスが接続されている。表示装置20fは、パソコン20にインストールされた上述の各プログラムを実行するためのモニター画面であるとともに、パソコン20により画像信号として処理されたエッジ画像を表示することができる。
(NC制御装置、CAD用コンピュータ)また、パソコン20は、成形研削盤35のNC制御装置8、CAD用コンピュータ7にもそれぞれ接続されている。NC制御装置8は、ワーク17と砥石15の相対位置をフィードバックしながら、入力された設計データに基づき制御信号をワーク支持装置2、砥石支持装置(図示せず)に送信して研削加工を行う。CAD用コンピュータ7は、ワーク17の設計データが記憶されており、このデータをNC制御装置に送信して、CADデータに基づくNC制御をすることができる。
(エッジ判定の手順)次に、図5に示すフローチャートに沿って本実施形態の成形研削盤35における、エッジ判定の手順およびその後のパソコン20の処理を説明する。まず、予めパソコン20を立ち上げて、エッジ判定プログラムを起動する。ワーク17をワーク支持装置に装着する(S1)。このとき、ワーク17の中心とNC制御の座標軸の原点が一致するようにする。そして、エッジを判定したい部分を対物レンズ23の前側焦点27´の平行光の範囲内にくるようにワーク支持装置により移動させる。続いて、入力装置20gから光源用電源12をコントロールし適当な出力になるように調整して光源モジュール11からレーザ光を射出する。次に、表示装置20fを見ながら、光量調整手段であるNDフィルタ19によりいわゆる白飛びや黒潰れにならないように光量を微調整する(S2)。また、アンチピンホールフィルタ25のエッジが明確になるように軸方向の位置を調整する。検出モジュール14の位置を軸方向に調整し画像のピントの微調整をする(S3)。また、表示装置20fを見ながら、必要があれば、エッジ画像が帯状の2本の高輝度の部分に挟まれた1本の低輝度の部分となるようにワーク17、光量、アンチピンホールフィルタ25、検出モジュール14の調整を繰り返す(S4:NO)。
調整ができれば、表示装置20fに表示されたワーク17は、エッジ部分が帯状の2本の高輝度の部分に挟まれた1本の低輝度の部分となって表示される(S4:YES)。
パソコン20は、エッジ判定プログラムによりエッジ判定手段として、画像処理により信号強度を判定し、帯状の2本の高輝度の部分に挟まれた低輝度の部分をエッジと判定する(S5)。具体的には、たとえば、高輝度のドットを選択し、ノイズ処理をした後、連続した帯状の領域を抽出する。さらに、この帯状の部分から低輝度の連続した部分を抽出する。複数抽出された場合は、例えば、最も長く連続するもの、帯状の高輝度部分の中央部に存在するもの、或いは低輝度部分の幅の最も大きなものなどの条件で1本のラインに絞り込む。さらに、予め設計データに基づき、設計上のエッジの位置近傍のデータのみアンド条件で取捨して判断することで誤認識を抑制してもよい。
エッジが検出されると、表示装置20fでは、この検出されたエッジを線図としたエッジ画像で表示することもできる。なお、アンチピンホールフィルタ25を可動式にして光路から待避するように構成すれば、従来の投影機と同様の画像を表示することも可能である。
なお、パソコン20は、検出されたエッジを表示装置20fに座標で表示することもできる。もちろん表示装置20fに表示されるワーク17の拡大された画像と比較しつつこの座標値を見たり、座標値によりワーク17の見たい部分を表示装置で表示することもできる。
(マニュアル操作)また、パソコン20は、ワーク17を対象物として撮像素子26から入力された信号に基づきワークのエッジを検出するとともに、エッジデータに基づきエッジ画像を表示装置20fに表示する。このとき、CADにより設計した設計データに基づいてエッジ27を表示装置20fでエッジ画像と重畳して表示させることもできる。このとき成形研削盤35のオペレータは、この表示された設計画像を参照しつつ、同じ表示装置20fに表示されたエッジ画像に基づいてマニュアル操作で研削加工をすることができる。そのため、NC制御ではできないような高いスキルの技術を発揮することもできる。
(NC自動制御)また、パソコン20は、CADを用いて設計されたワーク17の設計データを入力して、NC制御をおこなう。また、撮像素子26から入力された信号に基づきワーク17のエッジをエッジデータとして検出する。この設計データとエッジデータは同一の座標系を共有する。この座標系を用いて、現在エッジ検出装置5によりエッジが検出されている位置と同位置・同角度の設計データから、同位置・同角度で投影された計算上のエッジを演算して抽出する。そして、設計上のエッジの位置を表示装置20fで表示しつつ、実際に検出したエッジ画像を表示する。一方、コンピュータ内部でも、入力された対象物の設計データに基づき、逐次現状のワークの形状を測定して比較し、その差分を演算する(S6)。この差分をフィードバックすることで成形研削盤35によりワーク17の研削加工をNC制御により自動的に行う(S7)。この差分があれば、加工後のワーク17の形状を逐次測定し、加工を繰り返す(S8:NO)。そして、CADデータと抽出されたエッジの形状に差分がなくなれば加工は完了する(S8:YES)。
(自動収差補正)なお、本実施形態のエッジ検出装置は、拡大投影系の光学装置をもつため、平行光の精度やレンズの固有の収差の影響が大きくエッジの検出結果に影響する。このため、本実施形態のエッジ検出装置は、光学収差測定装置6を備えるとともに、この光学収差測定装置6により測定した光学収差を予め前記コンピュータに入力し、少なくともエッジデータ及び設計データのいずれかをこの光学収差に基づいて補正する。
具体的には、図3において、対物レンズ23の前側焦点27´に、ワーク17に替えて、正確な配列のマトリクス状のピンホール、好ましくは光ファイバーをアレー状に配置した検査用マスク39を配置する。この状態で光源モジュール11から平行光をこの検査用マスク39に照射し、この像を検出モジュール14の撮像素子26で撮像する。ここでは、エッジ検出ユニット9の光軸はY軸方向に沿って配置しているので、この検査用マスク39の画像の撮像素子26で撮像した画像の測定ポイントの位置を測定し、そのXZ平面でのずれをこのエッジ検出ユニット9の固有の光学系の収差として記録する。
次に、CADから設計データを入力する場合に、設計データ自体に、この光学収差測定装置6により得た光学系の収差を反映させたデータを作成する。具体的には、上述のように記録した各測定ポイントにおける位置ズレと隣接する測定ポイントの位置ズレを、それらの間にあるピクセルに比例配分してこれらの測定ポイント間の各ピクセルの位置を修正する。そして、この位置が修正されたピクセルに従って設計データに基づいてNC制御装置8に制御の指令を出す。
NC制御装置8により成形研削盤35で研削加工を行うが、エッジ検出装置により得たエッジ画像はそのまま加工をせずにNC制御装置8にフィードバックして加工を進める。この場合、エッジ検出装置により得たエッジ画像には収差が含まれているが、CADによる設計データの方でその補正が終了しているので、研削加工は正確に行われることになる。
ここではCADデータの方に収差を反映させているが、もちろん、エッジ画像を、そのつど収差に対する補正を反映させた状態でエッジ検出をしてもよい。この場合は、計算量が多くなるためコンピュータの負担が大きくなるが、表示装置20fに表示されるワーク17の表示画像も収差が補正された状態で表示されるため好ましいといえる。
次に、本発明のエッジ検出の原理について詳細に説明する。
図3に示す本実施形態の構成は、エッジ検出のためのフーリエ変換光学系である。その構成を示すと、図示しない拡散レンズは口径D=10[mm]、焦点距離f=10.8[mm]である、コリメータレンズ22は口径D=30[mm]、焦点距離f=220[mm]である、対物レンズ23は口径D=20[mm]、焦点距離f=20[mm]である、投影レンズは口径D=50[mm]、焦点距離f=300[mm]である。
また、レーザ発振器21は、He−Ne Leasrで、10mvの電圧が印加され、周波数λ=623.8、光路径φ=1.1[mm]のレーザ光を発する。NDフィルタ19は、10%の透過率としている。これを受ける撮像素子26は、1pixelが縦7.4μm、横7.4μmで、エリアイメージは、縦11.84[mm]×横8.88[mm]の1.92Mega pixelのCCDカメラである。
レーザ光は、コリメータレンズより平行光となり、測定物に照射される。レーザ光が被測定物のエッジ部分に照射されると、スリットでなくても回折が生じ、直進する0次光の他、ワーク17のエッジで回折する1次光、2次光、3次光…の回折光が発生する。このうち、2次光以降は、比較的光量が少ないので影響が小さい。
従来のように、アンチピンホールフィルタ25がない従来の構成では、この0次光と、回折光のうち主に1次光がCCD画面上で像を結び、干渉縞ができる。これらが原因となりエッジ部の画像がボヤけ、エッジ部の判別が困難となり、測定精度が低下する。この問題を解決するため、アンチピンホールを用いたフーリエ変換光学系とした。
ワーク17を対物レンズ23の前測焦点27´の位置に置き、後側焦点28の位置にアンチピンホールフィルタ25を置く。アンチピンホールフィルタ25は、0次光のみを遮るフィルタとなり、透過された1次光のみが投影レンズ24の逆フーリエ変換作用によって、その後側焦点に置かれたCCD画面上で像を結び、エッジ部の判別が容易となる。
ここで、図6〜10を参照して、従来のアンチピンホールフィルタ25を用いない投影光学系と本実施形態のエッジ検出装置5における投影画像の違いを説明する。図6は、従来の投影光学系(図11参照)を用いた投影画像である。全体に高輝度の背景に対して、ワークが低輝度の部分として表示される。一見エッジが明確に認識できるように見える。図7は、図6に示す投影画像の左側に示す枠内を拡大したものである。この図でわかるように、高輝度の部分と低輝度の部分は、徐々に輝度が変化している。図8は、本実施形態のエッジ検出装置5における投影画像である。本実施形態では、図8に示すように、0次光がほぼ完全に遮光され、ワーク17と背景がいずれも低輝度の部分として表示される。回折光(1次光)のみにより合焦した輪郭をなすエッジ部分のみが高輝度に表示される。一見輪郭がぼやけているようにも見える。図9は、図8に示す投影画像の左側に示す枠内を拡大したものである。この図でわかるように、高輝度の部分は、中央部に低輝度の部分があり、この部分は急激に輝度が変化している。図10の(a)は、図7の、図10の(b)は図9の画像の横方向の輝度の変化を示すグラフである。図10の(a)に示すグラフからもはっきりするように、高輝度の部分と低輝度の部分は、なだらかに変化しており、この傾斜したグラフのいずれかにエッジが存在する。このようになだらかになるのは、0次光と1次光などが干渉するためと考えられる。このような変化であると、しきい値の取り方により大きくエッジ部分がずれてしまうことになり、正確なエッジの位置は検出できない。
一方、図10の(b)に示すグラフからはっきりするように、本実施形態のエッジ検出装置5では、全体が低輝度になっている部分に2つの高輝度のピークがあり、その中間がはっきりした低輝度のピークがある。この高輝度の2つのピークは、回折光のうちの1次光により形成されたもので、0次光を遮光したため、はっきりと表れたものである。そして、この間の低輝度のピークは、本来0次光が到達する位置であり、言い換えれば正確なエッジの位置を示している。
なお、このパターンは、適切な照度の管理と、光学系の位置調整が重要である。そうしなければ、ピーク部分がぼけてしまう。特に、適切に0次光を遮光し、1次光を透過させなければ、ピーク自体が現れない、或いは干渉による複数のピークが現れるなどして、エッジは検出できない。つまり、アンチピンホールフィルタ25は、適切に0次光を遮光し、1次光を透過させる大きさに形成されている。
なお、アンチピンホールの最適な位置調整については、以下のような実験を行った。電気マイクロメータを使って、基準のアンチピンホールの位置から、±100[μm]、±200[μm]移動させて、画像を取得した。その結果、基準から±100[μm]の範囲で、エッジ部が明確に判断できる。アンチピンホールの位置調整は、±50[μm]での調整が必要だが、画像から容易に最適な位置調整が可能である。
(繰り返し精度検証実験)次に、繰り返し精度検証実験を行った結果を示す。拡大した画像の幅の測定結果は、図10の(b)のグラフで、輝度分布の極大値→極小値→極大値と谷の形状になっている極小値をエッジ部とした。比較的ピント調整が正確な部分で、幅の検討を行った。ピンゲージの幅の平均は、413[pixels]、標準偏差は、1.156[pixels]、分解能は、0.48[μm]、ばらつきは、0.56[μm]となった。このことから、サブミクロン以下のばらつきが得られた。
本実施形態は以上のような構成を備えるため、以下のような効果がある。
(1)本実施形態のエッジ検出方法によれば、正確なエッジ画像を得ることができる。
(2)また、非接触でエッジ画像をえられるため、加工途中のワークなどの輪郭形状も正確かつリアルタイムに得られる。
(3)エッジ画像は、撮像され、これをコンピュータで画像処理することで数値的に測定することができる。
(4)エッジの画像を光学的に拡大することで、エッジの検出がより正確にできる。
(5)前記光源モジュールは、光量調整手段を備えるため、エッジ近傍の信号強度が、帯状の2本の高輝度の部分に挟まれた低輝度の部分となるように適度な光量に調整することができる。
(6)光量調整手段は、NDフィルタ19であるため無段階に調整できる。
(7)撮像素子26は、高密度にマトリクス状にCCDを配置したCCDカメラであるため、低ノイズ・高感度でリアルタイムに画像処理することができる。
(8)アンチピンホールフィルタ25は、光軸方向に調整可能に配置されるため、鮮明なエッジ画像を得ることができる。
(9)検出されたエッジ画像を表示装置20fで確認できるだけでなく、同一の座標系とされたCADによる設計図面に重ねてモニターすることができるため、より直感的に把握でき、マニュアルの操作においても操作が容易になる。
(10)エッジ画像を表示するだけでなく、その形状を座標値で表示することにより、より形状を正確に確認できる。
(11)ワーク17の形状が数値的に把握されるため、この数値に基づきNC自動制御により正確かつ容易に加工することができる。特に、CADにより設計した設計データを、そのままパソコン20に入力し、これに基づきNC制御装置8と連動させてエッジ検出装置によりワーク17の形状をフィードバックしつつ自動制御することで、完全自動化された製造をすることができる。
(12)さらに、予めエッジ検出装置固有の収差を測定し、CADデータ若しくはエッジ画像について補正するため、エッジ検出装置固有の収差を考慮することなく、測定した形状と設計された形状とを比較しながら対象物の加工をすることができる。また、補正された形状を表示装置20fに表示することもできる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態においては、照明系にHe−Neレーザを用いているが、0次光を排除するため十分な光量を必要とすることと、コヒーレントな光源を用いることで、実験の評価を容易にしたものである。上述のとおり、その結果は良好であった、
そこで、本発明者らは、他の光源についても検証を進めた。第1の実施形態に用いた装置を、光源をLED( Light Emitting Diode )と置き換え比較をした。LEDは、紫(近紫外光、波長<380nm)、青(波長450nm)、緑(波長520nm)、橙(590nm)、赤(波長660nm)の他、3波長混合の白色を用いた。
ここで、図12に、白色LEDを用いた画像を示す。対象は、直径1mmの小径ドリルについて、その輪郭を示す。図12に示すように、図8、図9に示すものよりも、低輝度の部分から、光輝度の部分への境界がはっきりし、高輝度の部分に形成される低輝度の線も極めて輪郭がはっきりする。
また、単波長のLEDでは、図示しないが、紫が最もシャープで、青、緑、橙、赤の順でシャープな画像となった。
さらに、光源は、ハロゲンランプ、水銀灯なども使用可能であることを確認した。以上のことから、インコヒーレント光であっても、平行光が生成できれば、本願の発明は実施可能である。むしろ、インコヒーレント光の方が、干渉波の影響が小さく、エッジがシャープに観察、測定ができることがわかった。したがって、白熱灯、放電灯、蛍光灯などその光源は限定されない。
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 上記実施例は、光学系に、リレーレンズ(relay lens)を追加してもよい。リレーレンズとは、一つのレンズ系 によって作られた実像を、再び実像として結像させるレンズ系で、工作機械の構成などにより測定する実像を移動したい場合に用いられる。このように構成することで、エッジ検出装置5を、種々の工作機械に適切に配置することができる。
○ また、ミラーなどで光路を曲げることでコンパクトな構成とすることもできる。
○ また、投影光学系は、プロジェクターとして直接投影画面に照射できるような構成としてもよい。
○ さらに、投影光学系は、ズームレンズにより拡大率を変更するようにしてもよい。
○ 本発明のエッジ検出装置は、上述した成形研削盤35だけでなく、汎用フライス盤や多軸加工機、治具研削盤などにも搭載可能で、上記と同様の効果が得られる。
本発明のエッジ検出装置の一実施例を示す斜視図。 図1に示したエッジ検出装置を搭載した成形研削盤を示す斜視図。 エッジ検出の原理を説明するための模式図。 パソコンの構成を示すブロック図。 本実施形態のエッジ検出の手順等を示すフローチャート。 従来技術のエッジ画像をしめす写真。 従来技術のエッジ画像をしめす拡大写真。 本実施形態のエッジ画像をしめす写真。 本実施形態のエッジ画像をしめす拡大写真。 (a)は、図7の画像の横方向のエッジ近傍の輝度の変化を示すグラフである。(b)は、図9の画像の横方向のエッジ近傍の輝度の変化を示すグラフである。 従来の投影光学系を示す模式図。 白色LEDを用いた画像。
符号の説明
2…ワーク支持装置、3…投影光学系(従来技術)、4…ワークテーブル、5…エッジ検出装置、6…光学収差測定装置、7…CAD用コンピュータ、8…NC制御装置、9…エッジ検出ユニット、10…ベース、11…光源モジュール、12…光源用電源、13…レンズ鏡筒、14…検出モジュール、15…砥石、16…光軸、17…対象物としてのワーク、18…スピンドル、19…NDフィルタ(光量調整手段)、20…パソコン(コンピュータ)、20a…CPU、20b…RAM、20c…ROM、20d…HDD、20e…外部インターフェイス、20f…表示装置、20g…入力装置、21…レーザ発振器、22…コリメータレンズ、23…対物レンズ、24…投影レンズ、25…アンチピンホールフィルタ、26…撮像素子、26´…投影レンズの後側焦点、27…エッジ、27´…対物レンズの前側焦点、28…対物レンズの後側焦点(共焦点)、28´…投影レンズの前側焦点(共焦点)、29…回折光、30…透過光、31…レーザ光、32…エッジ像、35…成形研削盤(工作機械)、39…検査用マスク、f1,f2…焦点距離

Claims (10)

  1. 平行光を発する光源モジュールと、
    該光源モジュール側に配置された対物レンズと、該対物レンズと共焦点を有するように前記光源モジュールと反対側に配置された投影レンズと、前記共焦点に配置され入射光のうちの0次光の光量を遮光するアンチピンホールフィルタとを備えた投影光学系を備えるとともに前記平行光の光軸と軸心を共通にするように配置されたレンズ鏡筒と、
    該レンズ鏡筒により投影された映像を撮像するように前記光軸と直交するように配置された撮像素子と、
    該撮像素子からの信号を演算処理するコンピュータとを用い、
    前記平行光を遮るように前記対物レンズの前記光源モジュール側の焦点位置に置かれた対象物の投影画像を前記撮像素子で撮像し、
    前記コンピュータは、前記撮像素子からの信号強度により輝度を判定し、2本の帯状の高輝度の部分に挟まれた低輝度の線状部分をエッジと判定するエッジ判定の手順を実行することを特徴とするエッジ検出方法。
  2. 平行光を発する光源モジュールと、
    該光源モジュール側に配置された対物レンズと、該対物レンズと共焦点を有するように前記光源モジュールと反対側に配置された投影レンズと、前記共焦点に配置され入射光のうちの0次光の光量を遮光するアンチピンホールフィルタとを備えた投影光学系を備えるとともに前記平行光の光軸と軸心を共通にするように配置されたレンズ鏡筒と、
    該レンズ鏡筒により投影された映像を撮像するように前記光軸と直交するように配置された撮像素子と、
    該撮像素子からの信号を演算処理するコンピュータとを備え、
    前記コンピュータは、前記撮像素子からの信号強度により輝度を判定し、帯状の2本の高輝度の部分に挟まれた低輝度の部分をエッジと判定するエッジ判定手段を備え、
    前記平行光を遮るように前記対物レンズの前記光源モジュール側の焦点位置に置かれた対象物の投影画像のエッジを検出することを特徴とするエッジ検出装置。
  3. 前記投影レンズの焦点距離は、前記対物レンズの焦点距離より長いことを特徴とする請求項2に記載のエッジ検出装置。
  4. 表示装置をさらに備え、前記コンピュータは、前記撮像素子から入力された信号に基づき対象物のエッジをエッジデータとして検出するとともに、当該エッジデータに基づきエッジ画像を該表示装置に表示することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のエッジ検出装置。
  5. 表示装置をさらに備え、前記コンピュータにより検出されたエッジを該表示装置に座標で表示することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のエッジ検出装置。
  6. 前記光源モジュールの光源は、LEDを備えたことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載のエッジ検出装置。
  7. 請求項4に記載のエッジ検出装置が工作機械に搭載されるとともに、
    入力された対象物の設計データに基づき、前記表示装置には、前記エッジ画像と重畳して該設計データに基づいた設計画像が表示されることを特徴とする工作機械。
  8. 請求項2乃至請求項6のいずれか1項に記載のエッジ検出装置がNC制御可能な工作機械に搭載されるとともに、前記コンピュータは、当該工作機械の加工対象である工作物を前記対象物として前記撮像素子から入力された信号に基づき対象物のエッジをエッジデータとして検出するとともに、入力された対象物の設計データに基づき、前記エッジデータと前記設計データとの差分を演算し、この差分をフィードバックすることで工作機械をNC制御により自動制御して対象物を加工することを特徴とする工作機械。
  9. 前記エッジ検出装置は、光学収差測定装置を備えるとともに、該光学収差測定装置により測定した光学収差を予め前記コンピュータに入力し、少なくとも前記エッジデータ及び前記設計データのいずれかを前記光学収差に基づいて補正することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の工作機械。
  10. 前記工作機械は、成形研削盤であることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の工作機械。
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