JP2009150555A - 流量調節弁 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】互いに軸方向に摺動可能に嵌合された操作軸およびハウジング(20)と、この操作軸(12)およびハウジング(20)の少なくともいずれか一方の摺動面に流体通路を形成するスパイラル溝(14)と、ハウジング(20)に対して前記操作軸(12)を軸方向に移動させる操作軸移動機構とを有し、操作軸(12)の軸方向の任意の位置において前記操作軸(12)の一定移動量に対する前記流体通路の流量の変化率が指数関数的な傾きで表したとき一定になるようにスパイラル溝(14)を流体通路を流れる流体の流量抵抗が長さ方向に沿ってハーゲン・ポアズイユの式により求められる指数関数的に漸減又は漸増するように形成し、操作軸(14)とハウジング(20)とを互いに熱膨張係数の異なる材料により構成した。
【選択図】図1
Description
ほとんどすべての用途において、この誤差は小さいことが望ましく、温度補償としては、少なくとも、誤差を1℃当たり0.1%以下に抑えることが望ましい。
また、市販されているニードル弁の流量調整範囲は比較的狭い流量範囲なため使用者は多種類の流量調節範囲の製品の中から、用途に適した流量範囲のものを選定しなければならないが、予測を誤れば、また別の流量範囲のものを購入しなおすことなどが必要になり、不便であった。
図7に示す半径rの円管状の流路27に流体が流れる場合の流量は、ハーゲン・ポアズイユの式により求められる。この式は次の(1)式で表される。
Q=πr4Δp/8μL (1)
ここで、Qは円管を流れる流体の流量、rは円管の半径、Δpは円管の入り口と出口の流体の、流れ方向の圧力差、μは流体の粘性係数、Lは円管の入り口から出口までの管長である。
この場合に、移動論(非特許文献1参照)より、正三角形の高さをhとすると、この流路は、下記の(2)式で表される半径reの仮想円管の円管状の流路と等価なものとして計算をすることができる。
re=h/3 (2)
hは、図8に示すように正三角形の高さ(溝の深さ)である。
Q=πh4Δp/648μL (3)
円管内を流れる流体に対する円管の流量抵抗Rは、R=Δp/Q であるから、これを(3)式に代入すると、次の(4)式となる。
R=648μL/πh4 (4)
正三角形溝の深さhが、長手方向に指数関数的に漸減する場合を考える。
流路29の入り口の座標をx=0とする。x軸を、流路の長手方向に平行に設定すると、x点での溝の深さh(x)は、次式で表すことができる。
ここで、aとbは任意の定数、eは自然対数の底である。
h(x)=ae-bx (5)
dR=648μ・dx/π(ae-bx)4 (6)
と表すことができる。故に、
dR/dx=648μ・e4bx/πa4 (7)
R(x)=162μ・e4bx/πa4b (8)
無限遠から位置xまでの正三角形溝を流れる流量は、下式で表される。
Q(x)=πa4b・e-4bx・Δp/162μ (9)
(1) 互いに軸方向に摺動可能に嵌合された操作軸およびハウジングと、
この操作軸およびハウジングの少なくともいずれか一方の摺動面に流体通路を形成するスパイラル溝と、
前記ハウジングに対して前記操作軸を軸方向に移動させる操作軸移動機構とを有し、
前記操作軸の軸方向の任意の位置において前記操作軸の一定移動量に対する前記流体通路の流量の変化率が指数関数的な傾きで表したとき一定になるように、前記スパイラル溝を、前記流体通路を流れる流体の流量抵抗が長さ方向に沿ってハーゲン・ポアズイユの式により求められる指数関数的に漸減又は漸増するように形成し、
前記操作軸とハウジングとを、互いに熱膨張係数の異なる材料により構成し、
温度変化での、前記スパイラル溝の流体通路位置の変化による流量変化量と流体の粘性抵抗の変化による流量変化量とが打ち消し合うように、前記スパイラル溝の形状を選定した流量調節弁。
(2) 前記流体通路位置の変化は、流体通路の部分での操作軸とハウジングとの相対的な位置ずれによる変化である上記(1)の流量調節弁。
(3) 前記操作軸とハウジングとの間に設けられ、かつこれらのいずれか一方に固定され他方に摺動する補助スリーブを有する上記(1)または(2)の流量調節弁。
(4) 前記補助スリーブは、前記操作軸に設けられたスパイラル溝と接している部分が前記ハウジング内の空間に延出している上記(3)の流量調節弁。
(5) 前記補助スリーブと、これに摺動可能に接する操作軸又は前記ハウジングとを、同一材料、または熱膨張係数が接近した材料により構成した上記(3)または(4)の流量調節弁。
(6) 前記ハーゲン・ポアズイユの式は、長手方向に深さが漸減する断面形状が正三角形で全長がxの流路に、粘性係数がμの流体が流れたときの、流体の流量を表す下記(9)式である上記(1)〜(5)のいずれかの流量調節弁。
Q(x)=πa4b・e-4bx・Δp/162μ (9)
(aとbは任意の定数、eは自然対数の底)
(7) 互いに軸方向に摺動可能に嵌合された操作軸およびハウジングと、
この操作軸およびハウジングの少なくともいずれか一方の摺動面に流体通路を形成するスパイラル溝と、
前記ハウジングに対して前記操作軸を軸方向に移動させる操作軸移動機構とを有し、
前記操作軸の軸方向の任意の位置において前記操作軸の一定移動量に対する前記流体通路の流量の変化率が指数関数的な傾きで表したとき一定になるように、前記スパイラル溝を、前記流体通路を流れる流体の流量抵抗が長さ方向に沿ってハーゲン・ポアズイユの式により求められる指数関数的に漸減又は漸増するように形成した流量調節弁。
従って、広い調整範囲に対応するための多種の弁を用意しておく必要がなく、容量選定作業がかなり簡単である。
図1において、実施例1の流体調節弁10は、操作軸12と、操作軸12の終端側外周に嵌着された補助スリーブ18と、操作軸12及び補助スリーブ18に、互いに軸方向に移動可能に嵌合されたハウジング20とを備えている。補助スリーブ18の外周面の、一方にスパイラル溝14が形成され、他方にOリングを介在させたシール部26が設けられている。
この実施例では、流体は、矢印で示すように一方の流体出入口22から流入し、スパイラル溝14を経て他方の流体出入口24から流出する。この流体の流れは逆方向でもかまわない。
すなわち、スパイラル溝14の横断面形状を、長手方向に沿って深さが指数関数的に漸減する正三角形とする。操作軸とハウジングの軸方向の有効な(膨張係数の違いによる温度補償に有効な)長さを60mmとする。操作軸12には真鍮C3604BDを使用し、ハウジング20及び補助スリーブ18にはナイロン66を使用する。真鍮C3604BDの熱膨張係数(熱膨張係数)は、2×10-5/℃であり、ナイロン66の熱膨張係数は、9×10-5/℃である。従って、操作軸12とハウジング20の熱膨張係数の差は、7×10-5/℃である。
すなわち、スパイラル溝14の長さが9mm増えると流量抵抗が2倍になるようにスパイラル溝14を設計すると、上記の条件を満たす。
操作軸12上の位置に応じたスパイラル溝14の深さhの計算は、上記の(9)式を利用すればよい。
e4bx0.9(cm)=2
b=19.254
Δpが105 Pa(パスカル)のとき、流量が10-5m3/sec(=600ml/min)に設計する。
(9)式から、
πa4b×105/162μ=10-5
μ=1.38×10-5 (m2/s)
a4=162μ×10-10/πb
a=4.38×10-4
h(x)=4.38×10-4e-19.254x
流量の温度補償は、ハウジングと操作軸の各熱膨張による長手方向の変位差を利用しているが、スパイラル溝を設けた部分、すなわち補助スリーブと、このスパイラル溝の外面に接する円筒面部分、すなわちハウジングとは同じ熱膨張係数の材料で構成することが好ましい。
図2において、実施例2の流体調節弁30は、ハウジング34の一端側内周の縮径部34aにスパイラル溝33を設け、操作軸31の終端側外周に嵌着された補助スリーブ32の外周面を、スパイラル溝33の外面に沿って往復動するようにしたものである。他の構成は、図1に示した構成と同じである。図2中、35はつまみ、36は一方の流体出入口、38は他方の流体出入口、39はシール部をそれぞれ示している。
図3において、実施例3の流体調節弁40は、操作軸41と、操作軸41の終端側外周に嵌着された補助スリーブ42と、操作軸41及び補助スリーブ42に嵌合されたハウジング43とを備えている。補助スリーブ42の外周面にスパイラル溝44が形成されている。操作軸41の中間部の外周上にはOリングを介在させたシール部46が設けられている。
図4において、実施例4の流体調節弁50は、スパイラル溝51をハウジング52の側面の縮径部52aに設け、操作軸53の終端側外周に嵌着された補助スリーブ54の外周面を、スパイラル溝51の外面に沿って摺動するようにしたものである。他の構成は、図3に示した構成と同じである。図4中、55はつまみ、56は一方の流体出入口、57は他方の流体出入口、58はシール部をそれぞれ示している。
図5において、実施例5の流体調節弁60は、終端側の外周面にスパイラル溝61が形成された操作軸62と、この操作軸62の終端側外周に圧入され、かつスパイラル溝61の開口を開閉する補助スリーブ63を内周に固設したハウジング64とを備えている。
ハウジング64をナイロン66、四フッ化エチレン樹脂のいずれかで構成し、操作軸62及び補助スリーブ63を真鍮、ステンレス鋼のいずれかで構成し、操作軸62の熱膨張係数よりも補助スリーブ63及びハウジング64の熱膨張係数が大きくなるように選定されている。
図6に示す実施例6の流体調節弁70は、操作軸71と、操作軸71に嵌合されたハウジング72とを備えている。流体調節弁70は全体構成としては、図示を省略したが、図1ないし5に示した実施例における操作軸とこの操作軸に嵌合されたハウジングの構成と基本的に同じである。
両スパイラル溝75、76は、操作軸の軸方向の任意の位置において操作軸の一定回転角度に対する、流体通路の流量の変化の割合が一定になるように、流体通路を流れる流体の流量抵抗が長さ方向に沿って指数関数的に漸減又は漸増するように形成されている。例えば、操作軸71を1回転する毎に流量が半減するように形成される。
すなわち、操作軸71の一端部の外周面にテーパを設け、このテーパ面上にねじ溝75を設ける。一方、ハウジング72の円筒状の内周面に、操作軸71のねじ溝に合致するねじ溝76を設ける。次に、操作軸71のねじ溝75の山部を、上記した条件を満たすように切削する。操作軸71のねじ溝75の山部は、図示したように操作軸71の先端に向かって漸次深く切削される。
12 操作軸
13 ねじ溝
14 スパイラル溝
15 つまみ
16 終端
18 補助スリーブ
20 ハウジング
22 一方の流体出入口
24 他方の流体出入口
26 シール部
Claims (7)
- 互いに軸方向に摺動可能に嵌合された操作軸およびハウジングと、
この操作軸およびハウジングの少なくともいずれか一方の摺動面に流体通路を形成するスパイラル溝と、
前記ハウジングに対して前記操作軸を軸方向に移動させる操作軸移動機構とを有し、
前記操作軸の軸方向の任意の位置において前記操作軸の一定移動量に対する前記流体通路の流量の変化率が指数関数的な傾きで表したとき一定になるように、前記スパイラル溝を、前記流体通路を流れる流体の流量抵抗が長さ方向に沿ってハーゲン・ポアズイユの式により求められる指数関数的に漸減又は漸増するように形成し、
前記操作軸とハウジングとを、互いに熱膨張係数の異なる材料により構成し、
温度変化での、前記スパイラル溝の流体通路位置の変化による流量変化量と流体の粘性抵抗の変化による流量変化量とが打ち消し合うように、前記スパイラル溝の形状を選定した流量調節弁。 - 前記流体通路位置の変化は、流体通路の部分での操作軸とハウジングとの相対的な位置ずれによる変化である請求項1の流量調節弁。
- 前記操作軸とハウジングとの間に設けられ、かつこれらのいずれか一方に固定され他方に摺動する補助スリーブを有する請求項1または2の流量調節弁。
- 前記補助スリーブは、前記操作軸に設けられたスパイラル溝と接している部分が前記ハウジング内の空間に延出している請求項3の流量調節弁。
- 前記補助スリーブと、これに摺動可能に接する操作軸又は前記ハウジングとを、同一材料、または熱膨張係数が接近した材料により構成した請求項3または4の流量調節弁。
- 前記ハーゲン・ポアズイユの式は、長手方向に深さが漸減する断面形状が正三角形で全長がxの流路に、粘性係数がμの流体が流れたときの、流体の流量を表す下記(9)式である請求項1〜5のいずれかの流量調節弁。
Q(x)=πa4b・e-4bx・Δp/162μ (9)
(aとbは任意の定数、eは自然対数の底) - 互いに軸方向に摺動可能に嵌合された操作軸およびハウジングと、
この操作軸およびハウジングの少なくともいずれか一方の摺動面に流体通路を形成するスパイラル溝と、
前記ハウジングに対して前記操作軸を軸方向に移動させる操作軸移動機構とを有し、
前記操作軸の軸方向の任意の位置において前記操作軸の一定移動量に対する前記流体通路の流量の変化率が指数関数的な傾きで表したとき一定になるように、前記スパイラル溝を、前記流体通路を流れる流体の流量抵抗が長さ方向に沿ってハーゲン・ポアズイユの式により求められる指数関数的に漸減又は漸増するように形成した流量調節弁。
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