JP2009150538A - コグドvベルト - Google Patents
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Abstract
【課題】高負荷を伝達する用途に用いる場合であってもディッシングの発生を押さえることができ、且つ心線を埋設した部分でのベルトの上下間剥離や心線の飛び出しといった問題も起きないようにし、また、ベルトの屈曲性も備えたベルトを提供する。
【解決手段】コグドVベルト1において、伸張ゴム層5のゴム硬度(JIS−A)が85〜92の範囲内であり、圧縮ゴム層2のゴム硬度(JIS−A)が90〜98の範囲内であり、圧縮ゴム層2のゴム硬度は伸張ゴム層5のゴム硬度よりも3〜10(JIS−A)以上高く設定してなることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】コグドVベルト1において、伸張ゴム層5のゴム硬度(JIS−A)が85〜92の範囲内であり、圧縮ゴム層2のゴム硬度(JIS−A)が90〜98の範囲内であり、圧縮ゴム層2のゴム硬度は伸張ゴム層5のゴム硬度よりも3〜10(JIS−A)以上高く設定してなることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は駆動装置などの動力伝動に用いられる伝動ベルトに関する。
従来から、自動2輪車やATV、スノーモービルなどの用途に向けられるCVT用のVベルトとしてコグドVベルトが用いられている。コグドVベルトはベルトに厚みをもたせることができてベルト側面の単位面積当たりにかかる側圧を小さくすることができ、しかも屈曲性に優れているという利点を持っている。ベルトの背面側にもコグを有するダブルコグドVベルトは、更にベルトに厚みを持たせることができる。
近年、2輪自動車やATV、スノーモービルの大排気量化などに伴って、高負荷化が進んでおり、また、CVTシステムのコンパクト化への要求もあり、ベルトの厚みを厚くすることによる対応は限界に近づいていた。
また、CVTに使用されるベルトの環境温度が高くなっており、従来、動力伝動に用いられるベルトは、主として天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴムなどが使用されてきたが、高温雰囲気下では、硬化した圧縮ゴム層で早期にクラックが生じるという問題が発生した。
特許文献1には、ダブルコグドVベルトにおいて、上コグ(伸張ゴム層)側の材質硬度を下コグ(圧縮ゴム層)側の材質硬度よりも大きくし、ベルトが大きな側圧を受けたときにベルトが皿形状に弾性変形するディッシング現象を抑制し、動力伝達効率を向上させることが開示されている。
特許文献2には、コグドVベルトの伸張ゴム層及び圧縮ゴム層の少なくとも一方のゴム硬度を90〜96°(JIS−A)とし、接着ゴム層のゴム硬度を83〜89°(JIS−A)とすることが記載されており、そうすることによってプーリからの側圧に耐えて伝動効率を高めると共に、接着ゴム層における心線の飛び出しやセパレーションといった問題を防止することを目的としている。
特許文献1のように、伸張ゴム層の硬度を圧縮ゴム層の硬度よりも高くすると、ディッシングが発生したときに最も変形の大きくなる伸張ゴム層側でベルトの変形をしにくくすることで、より効果的にディッシングの防止をすることができるが、伸張ゴム層の硬度を高くすることで心線が埋設されている部分との間で変形の差が大きくなって、ベルトの上下剥離が生じやすくなるといった問題があった。
特許文献2のように心線を埋設した接着ゴム層の硬度を低く設定することによって、接着ゴム層が伸張ゴム層や圧縮ゴム層の変形に追従しやすくなり、心線の飛び出しやセパレーションといった問題は少なくすることができ、伸張ゴム層と圧縮ゴム層の硬度を高く設定することでディッシングの問題も抑制することができる。しかし、ベルトを構成するゴム材料の硬度を上げすぎると屈曲性を損なう結果となり、ベルト表面への亀裂の発生や更にベルトの切断といった問題につながってしまう。
そこで本発明では、コグドVベルトにおいて、より高負荷を伝達する用途に用いる場合であってもディッシングの発生を押さえることができ、且つ心線を埋設した部分でのベルトの上下間剥離や心線の飛び出しといった問題も起きないようにし、また、ベルトの屈曲性も備えたベルトの提供を目的とする。
本発明の請求項1に関わる発明では、圧縮ゴム層および伸張ゴム層を有しベルト長手方向に沿って心線を埋設してなるコグドVベルトにおいて、伸張ゴム層のゴム硬度(JIS−A)が85〜92の範囲内であり、圧縮ゴム層のゴム硬度(JIS−A)が90〜98の範囲内であり、圧縮ゴム層のゴム硬度は伸張ゴム層のゴム硬度よりも3〜10(JIS−A)以上高く設定してなることを特徴とする。
請求項2では、圧縮ゴム層を構成するゴムの5%変形時に生じる圧縮応力が、JIS K 6254に準じて測定された値で0.8〜2.0MPaであり、伸張ゴム層と圧縮ゴム層をそれぞれ構成するゴムの5%変形時の圧縮応力の比率が、伸張ゴム層/圧縮ゴム層で0.70〜0.95の範囲内である請求項1記載のコグドVベルトとしている。
請求項3では、伸張ゴム層を構成するゴムの引き裂き力(JIS−A)が50N/mm以上である請求項1〜2記載のコグドVベルトとしている。
請求項4では、少なくとも圧縮ゴム層が、水素化ニトリルゴムもしくは水素化ニトリルゴムに不飽和カルボン酸金属塩を配合したゴム組成物からなる請求項1〜3記載のコグドVベルトとしている。
本発明の請求項1では、圧縮ゴム層のゴム硬度を高く設定してプーリからの側圧に対して耐えうるように構成しているが、伸張ゴム層については比較的低目の硬度設定をしており、プーリからの側圧に逆らうことなく弾性変形してプーリになじむと共にベルト内に埋設されている心線との密着状態を維持するようにしているので、心線の飛び出しや心線付近での層間剥離といった問題が起きるのも防止することができる。
また請求項2では、圧縮ゴム層を構成するゴムの5%変形時に生じる圧縮応力が0.8〜2.0MPaで、且つ、伸張ゴム層と圧縮ゴム層をそれぞれ構成するゴムの5%変形時の圧縮応力の比率が、伸張ゴム層/圧縮ゴム層で0.70〜0.95の範囲内であるとしており、プーリからの側圧に対し、伸張ゴム層が負担する側圧を低減することができる。
請求項3では、伸張ゴム層を構成するゴムの引き裂き力が50N/mm以上であるとしていることから、屈曲による伸張ゴム層のクラックの早期発生を防止することができる。
請求項4では、少なくとも圧縮ゴム層が、水素化ニトリルゴムもしくは水素化ニトリルゴムに不飽和カルボン酸金属塩を配合したゴム組成物からなるとしており、より高剛性なベルトとすることができ、高負荷を伝達する場合であってもベルトのディッシング現象を防止することができる。
以下、図面を参照しつつ本発明を説明する。
本発明に係る伝動ベルトの一例としてコグドVベルト1を図1に示す。
本発明に係る伝動ベルトの一例としてコグドVベルト1を図1に示す。
コグドVベルト1は、内周側の圧縮ゴム層2と、外周側の伸張ゴム層5と、両ゴム層2、5間に接着ゴム層8を積層した構成を有し、該接着ゴム層8にはベルト長手方向に伸延した心線9が埋設されている。また、圧縮ゴム層2および伸張ゴム層5には、ベルト幅方向に伸延したコグ山3、6とコグ谷4、7とがベルト長手方向に沿って交互に形成されている。
そして、圧縮ゴム層2、伸張ゴム層5および接着ゴム層8はゴム組成物で構成されている。本発明においては、伸張ゴム層5と圧縮ゴム層2のゴムの硬度を所定の範囲に設定しており、具体的には伸張ゴム層5の硬度を85〜92(JIS−A)の範囲内とし、圧縮ゴム層2の硬度を90〜98(JIS−A)の範囲内とし、且つ、圧縮ゴム層2が伸張ゴム層5よりも硬度が高く、その硬度の差が3〜10の差があることを必須要件としている。
このようなコグドVベルトを、有効径が変化する変速プーリに用いた場合は特に、プーリから大きな側圧がかかるが、その側圧は圧縮ゴム層2の硬度の高いゴムで受け持ち、高トルクの伝達を行うことができ、伸張ゴム層5は硬度を低く設定していることから屈曲性も損なうことがない。特にプーリに巻きかかって伸張ゴム層5側が引き伸ばされる屈曲に関しては優れており、小プーリ径に巻きかけた場合でも亀裂などが発生しにくいといえる。
また、圧縮ゴム層2に用いられるゴム組成物は、5%変形時に生じる圧縮応力がJIS K 6254に準じて測定された値で0.8〜2.0MPaであり、伸張ゴム層と圧縮ゴム層をそれぞれ構成するゴムの5%変形時の圧縮応力の比率が、伸張ゴム層/圧縮ゴム層で0.70〜0.95の範囲内とすることが好ましい。ベルトがプーリから大きな側圧を受けた場合でもその側圧に対して十分に耐えうることができると共にベルトの屈曲性も確保され、またこのような範囲内に設定することによって伸張ゴム層が変形し過ぎることもないのでディッシングによるベルトの層間剥離や破壊といった現象の発生を防止することができる。
更に、伸張ゴム層5に用いられるゴム組成物の引き裂き力が50Nmm(JIS Aタイプ)以上とすることが好ましく、そうすることによって伸張ゴム層5から亀裂の発生を防止することができる。
本発明のベルトの伸張ゴム層5および圧縮ゴム層2として用いられる主ポリマーとなるゴムとしては、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン・α−オレフィンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレン、アルキル化クロロスルフォン化ポリエチレン、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、水素化ニトリルゴム、水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩との混合ポリマー等を単独、またはこれらの混合物が挙げられる。
これらの中でも水素化ニトリルゴムあるいは水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩とのブレンド物を用いることが必要な物性を得るためには好ましい。水素化ニトリルゴムは、水素添加率80%以上、更に好ましくは耐熱性及び耐オゾン性の特性を発揮するためには90%以上が良い。水素添加率80%未満の水素化ニトリルゴムは、耐熱性及び耐オゾン性は極度に低下する。耐油性及び耐寒性を考慮すると、結合アクリロニトリル量は20〜45%の範囲が好ましい。
また、これらの主ポリマーを伸張ゴム層5や圧縮ゴム層2に必要とされるゴム硬度に調整するために、カーボンブラックや短繊維を配合する。伸張ゴム層5の場合は、硬度を85〜92(JIS−A)の範囲に設定する必要があり、カーボンブラックはゴム100質量部に対して5〜20質量部の範囲で、短繊維はゴム100質量部に対して3〜15質量部の範囲で配合することで、所要の硬度を得ることができる。
圧縮ゴム層2の場合は、硬度を90〜98(JIS−A)の範囲で用いることになり、カーボンブラックはゴム100質量部に対して10〜30質量部の範囲で、短繊維はゴム100質量部に対して5〜30質量部の範囲で配合することで、所要の硬度を得ることができる。
短繊維として用いることができるのはポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、綿繊維、ポリビニルアルコール繊維等を挙げることができ、これらの短繊維はベルトの幅方向に配向を保って混入することによって、ベルトの幅方向の剛性を高めてくれるのでディッシングの問題が発生しにくくすることができると共にベルト側面の耐摩耗性を向上させることができる。繊維長は繊維種によって異なるが、1〜10mmの短繊維が適当であり、具体的にはアラミド繊維では3〜5mm、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維または綿では5〜10mmのものを使用することができる。なかでも、耐摩耗性、補強性などを考慮するとアラミド繊維を選択することが好ましい。アラミド短繊維は、例えば商品名コーネックス、ノーメックス、ケブラー、テクノーラ、トワロン等である。
上記ゴムにはその他公知のゴム配合剤、例えばシリカなどの補強材、クレー、炭酸カルシウムなどの充填剤、可塑剤、軟化剤、加工助剤、老化防止剤、架橋剤、架橋助剤、共架橋剤などを所望に応じて配合することができる。
図2は本発明に係わる別のコグドVベルト1の要部断面斜視図であり、伸張ゴム層5にコグを形成していない例である。この例では、圧縮ゴム層2の下面には少なくとも1層の下布10が積層されており、伸張ゴム層5の上面にも同様に少なくとも1層の上布11が積層されてゴムの表面を保護するようになっている。
下布10や上布11として用いることができる基布としては、不織布、織布、編物などから選択される繊維機材である。繊維基材を構成する繊維素材としては、綿、麻などの天然繊維、金属繊維、ガラス繊維などの向き繊維、そしてポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、全芳香族ポリエステル、アラミドなどの化学合成繊維を用いることができる。
これらの基布は、必要に応じてRFL(レゾルシン−ホルマリン−ラテックス溶液)やゴム糊などの処理液で接着処理がなされていてもよく、またRFL溶液で接着処理後に、スプレディング、フリクション、コーティングなどの方法で基布の表面にゴムを付着させることができる。
ここで使用するRFL溶液は、レゾルシンとホルマリンの初期縮合物とゴムラテックスとを混合したものであり、レゾルシンとホルマリンのモル比は1:0.5〜1:3程度の範囲とすることが接着力を高める上で好適である。また、レゾルシンとホルマリンの初期縮合物は、これをラテックスのゴム分に100質量部に対してその樹脂分が10〜100質量部になるようにラテックスと混合した上、全固形分濃度が5〜40%濃度になるように調節されることが望ましい。ゴムラテックスとしては、スチレン−ブタジエン−ビニルピリジン三元共重合体、クロロスルフォン化ポリエチレン、水素化ニトリルゴム、エピクロルヒドリン、天然ゴム、SBR、クロロプレンゴム、オレフィン−ビニルエステル共重合体などのラテックスを例として挙げることができる。
更に、上記RFL液には加硫促進剤や加硫剤を添加してもよく、加硫剤としては、硫黄、金属酸化物(酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉛)、有機化酸化物などがある。上記加硫剤と併用される加硫促進剤は、例えば含硫黄加硫促進剤があり、具体的には2−メルカプトベンゾチアゾール(M)やその塩類(たとえは、亜鉛塩、ナトリウム塩、シクロヘキシルアミン塩等)、ジベンゾチアジルスルフィド(DM)等のチアゾール類、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CZ)等のスルフェンアミド類、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TS)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TT)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(TRA)等のチウラム類、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸ナトリウム(TP)、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(PZ)ジエチルジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(EZ)等のジチオカルバミン酸塩類等がある。
心線2は、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリエチレンナフタレート(PEN)繊維、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維、ポリブチレンテレフタレート(PBT)繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維、ポリアミド繊維、ガラス繊維、またはアラミド繊維などから構成される撚糸コードが使用できる。
次に、本発明の実施例に係わるベルトと本発明の範囲から外れるベルトを作成して、走行試験を行い、その結果を比較することによって本発明の効果を確認した。
(実施例)
実施例のベルトとしては、伸張ゴム層には表1に示す配合1(硬度90 圧縮応力1.21MPa 引裂き力64.3Nm)のゴム組成物を用い、圧縮ゴム層には配合2(硬度99 圧縮応力1.64MPa 引裂き力72.8Nm)のゴム組成物を用いたベルトとした。そのベルトを表2に示すレイアウトと走行条件を示す試験機に巻きかけて走行させ故障が発生したときの走行時間を記録し、故障現象を観察した。その結果を表3に示す。
実施例のベルトとしては、伸張ゴム層には表1に示す配合1(硬度90 圧縮応力1.21MPa 引裂き力64.3Nm)のゴム組成物を用い、圧縮ゴム層には配合2(硬度99 圧縮応力1.64MPa 引裂き力72.8Nm)のゴム組成物を用いたベルトとした。そのベルトを表2に示すレイアウトと走行条件を示す試験機に巻きかけて走行させ故障が発生したときの走行時間を記録し、故障現象を観察した。その結果を表3に示す。
(比較例1)
比較例1では、伸張ゴム層には表1に示す配合1のゴム組成物を用いるとともに圧縮ゴム層にも同様に配合1のゴム組成物を用いたベルトを作成した。そのベルトを表2に示すレイアウトと走行条件を示す試験機に巻きかけて走行させ故障が発生したときの走行時間を記録し、故障現象を観察した。その結果を表3に示す。
比較例1では、伸張ゴム層には表1に示す配合1のゴム組成物を用いるとともに圧縮ゴム層にも同様に配合1のゴム組成物を用いたベルトを作成した。そのベルトを表2に示すレイアウトと走行条件を示す試験機に巻きかけて走行させ故障が発生したときの走行時間を記録し、故障現象を観察した。その結果を表3に示す。
(比較例2)
比較例2では、伸張ゴム層には表1に示す配合2のゴム組成物を用いるとともに圧縮ゴム層にも同様に配合2のゴム組成物を用いたベルトを作成した。そのベルトを表2に示すレイアウトと走行条件を示す試験機に巻きかけて走行させ故障が発生したときの走行時間を記録し、故障現象を観察した。その結果を表3に示す。
比較例2では、伸張ゴム層には表1に示す配合2のゴム組成物を用いるとともに圧縮ゴム層にも同様に配合2のゴム組成物を用いたベルトを作成した。そのベルトを表2に示すレイアウトと走行条件を示す試験機に巻きかけて走行させ故障が発生したときの走行時間を記録し、故障現象を観察した。その結果を表3に示す。
(比較例3)
比較例3では、伸張ゴム層には表1に示す配合2のゴム組成物を用いるとともに圧縮ゴム層には配合1のゴム組成物を用いたベルトを作成した。そのベルトを表2に示すレイアウトと走行条件を示す試験機に巻きかけて走行させ故障が発生したときの走行時間を記録し、故障現象を観察した。その結果を表3に示す。
比較例3では、伸張ゴム層には表1に示す配合2のゴム組成物を用いるとともに圧縮ゴム層には配合1のゴム組成物を用いたベルトを作成した。そのベルトを表2に示すレイアウトと走行条件を示す試験機に巻きかけて走行させ故障が発生したときの走行時間を記録し、故障現象を観察した。その結果を表3に示す。
(比較例4)
比較例4では、伸張ゴム層には表1に示す配合3のゴム組成物を用いるとともに圧縮ゴム層には配合4のゴム組成物を用いたベルトを作成した。そのベルトを表2に示すレイアウトと走行条件を示す試験機に巻きかけて走行させ故障が発生したときの走行時間を記録し、故障現象を観察した。その結果を表3に示す。
比較例4では、伸張ゴム層には表1に示す配合3のゴム組成物を用いるとともに圧縮ゴム層には配合4のゴム組成物を用いたベルトを作成した。そのベルトを表2に示すレイアウトと走行条件を示す試験機に巻きかけて走行させ故障が発生したときの走行時間を記録し、故障現象を観察した。その結果を表3に示す。
表3の結果からわかるように伸張ゴム層に比較的硬度の低いゴム組成物を配置し、圧縮ゴム層には硬度の高いゴム組成物を配置することによって、本試験条件においても25.8時間走行した末に心線の下側で剥離するという故障が発生した。それに対して、圧縮ゴム層にも伸張ゴム層と同じ硬度の低いゴム組成物を配置した比較例1のベルトは3時間で実施例と同じ心線の下が剥離するという故障が発生した。また、伸張ゴム層と圧縮ゴム層共に比較的硬度の高いゴム組成物を配置した比較例2では、8.5時間走行時点でベルト上面のコグ谷部にクラックを発生する故障が発生した。比較例3は、実施例とは逆の構成で伸張ゴム層において硬度の高いゴム組成物を配置し、圧縮ゴム層に硬度の低いゴム組成物を配置しているが、10.3時間で下接着層に挫屈破壊が発生する故障が発生した。
このように本発明の構成を採ることによって心線部分にて発生しやすい層間剥離の問題と、ベルト上面側にて発生しやすいクラックの発生による故障を抑制することができ、より寿命の長いベルトとすることができることがわかった。
本発明にかかる伝動ベルトは自動車用あるいは一般産業用の駆動装置などに装着することができる。
1 コグドVベルト
2 圧縮ゴム層
3,6 コグ山
4,7 コグ谷
5 伸張ゴム層
8 接着ゴム層
9 心線
2 圧縮ゴム層
3,6 コグ山
4,7 コグ谷
5 伸張ゴム層
8 接着ゴム層
9 心線
Claims (4)
- 圧縮ゴム層および伸張ゴム層を有しベルト長手方向に沿って心線を埋設してなるコグドVベルトにおいて、伸張ゴム層のゴム硬度(JIS−A)が85〜92の範囲内であり、圧縮ゴム層のゴム硬度(JIS−A)が90〜98の範囲内であり、圧縮ゴム層のゴム硬度は伸張ゴム層のゴム硬度よりも3〜10(JIS−A)以上高く設定してなることを特徴とするコグドVベルト。
- 圧縮ゴム層を構成するゴムの5%変形時に生じる圧縮応力が、JIS K 6254に準じて測定された値で0.8〜2.0MPaであり、伸張ゴム層と圧縮ゴム層をそれぞれ構成するゴムの5%変形時の圧縮応力の比率が、伸張ゴム層/圧縮ゴム層で0.70〜0.95の範囲内である請求項1記載のコグドVベルト。
- 伸張ゴム層を構成するゴムの引き裂き力(JIS−A)が50N/mm以上である請求項1〜2記載のコグドVベルト。
- 伸張ゴム層および圧縮ゴム層が、水素化ニトリルゴムもしくは水素化ニトリルゴムに不飽和カルボン酸金属塩を配合したゴム組成物からなる請求項1〜3記載のコグドVベルト。
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