JP2009149918A - 銅微粒子の製造方法および銅微粒子 - Google Patents

銅微粒子の製造方法および銅微粒子 Download PDF

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Abstract

【課題】簡便で生産性の良い化学合成により酸化に安定な微細粒径の銅微粒子を得る方法を提供することである。
【解決手段】一価または二価の銅化合物に式1で示される化合物の存在下でヒドラジン化合物、アルミニウムハイドライド化合物、ホウ素ハイドライド化合物のいずれかを作用させる工程を含む銅微粒子の製造方法。
【化1】

【選択図】なし

Description

本発明は、エレクトロニクス用配線形成材料などに有用な銅微粒子とその製造方法に関する。
従来から、金属微粒子は、エレクトロニクス用配線形成材料として、プリント配線、回路基板の内部配線、回路基板と電子部品の接続等に利用されている。近年は、微細な、具体的には概ね粒径10〜100nmの金属微粒子の利用が盛んに検討されている。(特許文献1、2)
このような金属微粒子としては、導電率が高く、かつ酸化に安定な銀からなるものが多く検討され、これを用いたインクやペーストが上市されている。しかし、銀は高価なうえ、マイグレーションを起こしやすいという性質があり、その用途は限定されている。
このような背景から、銀と同等の導電率を有し、銀より安価でマイグレーションを起こしにくい銅微粒子およびこれを用いたインクやペーストが望まれており、銅微粒子の製造方法の様々な検討が行われている。
銅微粒子の製法としては、金属銅から物理的な処理により製造する方法と、銅化合物から化学的に合成する方法がある。
金属銅から物理的な処理により製造する方法としては、蒸発法(特許文献3)、プラズマを用いる方法(特許文献4)などが知られている。これらの方法は、特殊な装置が必要で、安価に大量に銅粒子を生産するには必ずしも適していない。
これに対し、銅化合物から化学的に合成する方法は、通常の合成設備で容易に対応できるため大量生産には適している。銅化合物から化学的に合成する方法の多くは、液中で1価または2価の銅化合物に還元剤を作用させて銅微粒子を析出させる方法である(例えば特許文献5)。
このとき、分散剤の存在下に上記の反応を行うことがある。ここで、分散剤とは、粒子の表面に付着する性質を有する有機物質を意味する。同義の技術用語として、キャッピング剤、保護コロイドなどがあるが、本明細書では分散剤という用語を統一して用いる。分散剤が存在すると、分散剤が銅粒子の表面に付着することにより成長が抑止されて、微細な銅粒子を安定して得ることが容易になるためである。分散剤としては、ゼラチン(特許文献6)やポリビニルピロリドン(特許文献7)のような高分子化合物、キサントゲン酸塩(非特許文献1)、ジチオリン酸エステル(特許文献8)、タンニン酸(特許文献9)のような低分子化合物が提案されている。
また、銅微粒子を得るための合成反応上の工夫として、撹拌方法に関しては混合反応器を用いる方法(特許文献10)や超音波照射を用いる方法(特許文献11)などが提案されている。また、エネルギー源としてマイクロ波照射を行う方法(非特許文献2)なども提案されている。
このような様々な検討が多く行われているが、銅は銀と比べて酸化されやすく、粒子が微細になるほど比表面積が増大して酸化の影響を受けやすくなるため、酸化に対して安定かつ微細な(概ね粒径10〜100nmの)銅微粒子を簡便に得る方法が確立されておらず、かかる銅微粒子およびそれを用いたインクやペーストは、未だ実用化には至っていない。
また、特許文献12には、溶融銅の二段冷却法によって得られた偏平状またはフレーク状の銅粒子をカテコールなどの化合物で表面処理することより銅粒子の酸化を抑制する方法が開示されている。このような一旦調製した銅粒子に後から表面処理する方法は、比較的粒径の大きい(100nmより大きい)銅粒子では有効であるが、酸化を受けやすい微細な銅粒子では、粒子の調製から表面処理の間に酸化が進行する恐れがあるため必ずしも有効ではない。
特開昭2002−299833号公報 特開昭2002−324966号公報 特開平3−34261号公報 特開2004−256857号公報 特許第2621915号公報 特開2005−240088号公報 特開2005−281781号公報 米国特許出願公開2006/0053972号明細書 特開2007−200775号公報 特表2004−533912号公報 特開2005−023417号公報 特許第3662715号公報 H・チャイクら、「ラングミュア」、18巻、3364−3369頁(2002年) 朱海涛ら、「ジャーナル・オブ・クリスタル・グロース」、270巻、722−728頁(2004年)
本発明が解決しようとする課題は、簡便で生産性の良い化学合成により、酸化に安定な微細粒径の銅微粒子を得る方法を提供することである。
発明者らは、上記の課題を適切な新規分散剤を用いることにより解決すべく検討を重ねた結果、還元力を有する特定の化合物を分散剤とし、該化合物よりも強い還元力を有する還元剤を作用させる銅微粒子の製造方法が有効であることを見出した。
すなわち、本発明は、一価または二価の銅化合物に式1で示される化合物の存在下でヒドラジン化合物、アルミニウムハイドライド化合物、ホウ素ハイドライド化合物のいずれかの還元剤を作用させる工程を含む銅微粒子の製造方法である。
式1において、Rは水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、
は水素、水酸基または炭素数1〜50の有機の基を示し、
、Rはそれぞれ独立に水素または炭素数1〜50の有機の基を示し、またはRとRは一緒になって縮合環を示し、またはRとRとRが一緒になって縮合環を示す。
また、本発明は、表面に式1で示される化合物が付着した銅微粒子、より好ましくは平均粒径10〜100nmの銅微粒子である。
本発明の銅微粒子の製造方法によれば、式1で示される化合物が分散剤として作用することにより、容易に微細な銅微粒子を得ることができる。また、本発明の銅微粒子は、式1で示される分散剤が付着しており、酸化に対し安定である。
本発明の銅微粒子の製造方法では、分散剤として式1で示される化合物を用いる。
分散剤を用いる金属微粒子の製造方法としては、没食子酸、タンニン酸、カテキン類などを分散剤として作用させる方法がすでに前記特許文献9に開示されている。しかし、この文献の方法では、これらの化合物を分散剤兼還元剤として用いているが、この方法では金属微粒子表面に付着した分散剤が酸化され、還元力を失っている可能性が高い。
これに対し、本発明の銅微粒子の製造方法では、式1で示される化合物の存在下、一価または二価の銅化合物に還元剤としてヒドラジン化合物、アルミニウムハイドライド化合物、ホウ素ハイドライド化合物のいずれかを作用させる。式1で示される化合物よりも還元力の強い還元剤を銅化合物の還元剤として用いることにより、式1で示される化合物は酸化されずに、すなわち還元力を有したまま銅微粒子表面に付着する。
本発明の銅微粒子の製造方法に用いる還元剤としては、還元が比較的穏やかで制御が容易であるヒドラジン化合物が好ましく、その中でも、ヒドラジン水和物が、還元剤由来の副生物がほとんど生じず、精製が容易になるため最も好ましい。
ヒドラジン化合物とは、ヒドラジン、ヒドラジンの水和物、ヒドラジンの塩、ヒドラジンの置換基誘導体、ヒドラジンの置換基誘導体の塩を含む総称である。ヒドラジン化合物に属する化合物の具体例を示すと、ヒドラジン水和物、一塩酸ヒドラジン、二塩酸ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、臭酸ヒドラジン、炭酸ヒドラジン、メチルヒドラジン、フェニルヒドラジン、tert-ブチルヒドラジン塩酸塩、カルボヒドラジド、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−3−ピラゾリドンなどが挙げられる。
アルミニウムハイドライド化合物とは、アルミニウム−水素結合を有する還元性の化合物を意味し、具体的には、水素化リチウムアルミニウム、水素化ジイソプロピルアルミニウムなどが挙げられる。
ホウ素ハイドライド化合物とは、ホウ素−水素結合を有する還元性の化合物を意味し、具体的には、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、シアノトリヒドロホウ酸ナトリウム、リチウムトリエチルボロハイドライド、テトラヒドロフラン・ボラン錯体、ジメチルアミン・ボラン錯体、ジフェニルアミン・ボラン錯体、ピリジン・ボラン錯体などを挙げることができる。
本発明の銅微粒子の製造方法では、原料として一価または二価の銅化合物を用いる。一価または二価の銅化合物はあらゆる公知のものが使用できる。
一価の銅化合物の具体例としては、塩化銅(I)、臭化銅(I)、酢酸銅(I)、酸化銅(I)を挙げることができるが、これらに限定されない。
二価の銅化合物の具体例としては、塩化銅(II)、塩化銅(II)二水和物、臭化銅(II)、酢酸銅(II)、酢酸銅(II)一水和物、硫酸銅(II)五水和物、硝酸銅(II)三水和物、塩基性炭酸銅(II)、塩化二アンモニウム銅(II)二水和物、銅(II)アセチルアセトナト、クエン酸銅(II)2.5水和物、ネオデカン酸銅(II)、オレイン酸銅(II)、水酸化銅(II)、酸化銅(II)を挙げることができるが、これらに限定されない。
これらのうち、酸化銅(I)、酸化銅(II)、水酸化銅(II)は、還元により副生する銅化合物由来の成分が水だけであり、精製が容易になるので、最も好ましい。
式1で示される化合物は、分散剤すなわち本発明の製造方法によって得られる銅微粒子の表面に付着する性質を有する有機物質として機能する。一価または二価の銅化合物に還元剤を作用させる際に、式1で示される化合物が存在すると、析出してきた銅微粒子の表面に式1で示される化合物が付着する。分散剤が付着することにより、銅微粒子の成長が抑止され、また銅微粒子同士が合体して大きな粒子となることも阻害され、安定して微細な銅微粒子が得られる。
本発明の製造方法によって得られる銅微粒子は、粒径が微小であるにもかかわらず酸化に対し安定である。これは、式1で示される化合物が穏和な還元性を有しているため、酸化防止剤として機能しているからだと発明者らは推定している。
式1で示される化合物において、Rは水素または炭素数1〜8のアルキル基を示す。これらのうち、Rとしては、銅表面との立体障害が少ないという観点から水素、メチル基、エチル基が特に好ましい。
式1において、Rは水素、水酸基または炭素数1〜50の有機の基を示し、R、Rはそれぞれ独立に水素または炭素数1〜50の有機の基を示し、またはRとRは一緒になって縮合環を示し、またはRとRとRが一緒になって縮合環を示す。
ここで、炭素数1〜50の有機の基とは、少なくとも1〜50の炭素原子と炭素以外の原子を含む基である。炭素以外の原子としては、水素原子、酸素原子、窒素原子が特に好ましい。炭素数1〜50の有機の基の具体例として、以下の(1)〜(4)のような基を挙げることができる。
(1)炭化水素または複素環化合物から導かれる1価の基。ただし、この炭化水素または複素環化合物は置換基を有してもよい。この炭化水素は、鎖状、分岐状、環状のいずれの構造であってもよく、不飽和結合を有さなくても有してもよく、脂肪族であっても芳香族であってもよい。複素環化合物の具体例としては、フラン、ピロール、ピロリジン、ピリジン、ピペリジン、モルホリン、ジヒドロピラン、4H−1−ベンゾピラン、2H−1−ベンゾピラン、3,4−ジヒドロ−4H−1−ベンゾピランなどを挙げることができる。炭化水素や複素環化合物に置換する置換基の具体例としては、水酸基、ケト基、カルボキシル基、アミノ基を挙げることができる。
炭化水素(置換基を有してもよい)から導かれる1価の基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert-ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、3−メチルブチル基、ヘキシル基、オクチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、アリル基、オレイル基、シクロヘキシル基、フェニル基、p−トリル基、ベンジル基、フェネチル基、2−フェニルビニル基、2−アミノエチル基、2−カルボキシビニル基、3−ヒドロキシ−1−プロペニル基、2−アミノ−1−ヒドロキシエチル基、2−アミノ−2−カルボキシエチル基、ベンゾイル基、4−ヒドロキシベンゾイル基、2,4−ジヒドロキシベンゾイル基、3,4,5−トリヒドロキシベンゾイル基などを挙げることができる。複素環化合物(置換基を有してもよい)から導かれる基の具体例としては、以下に示す基を挙げることができる。なお、式中の*印は自由原子価を明示するために付与した。
(2)複数の炭化水素または複素環化合物が単結合で結合した化合物、または後述の結合基を介して結合した化合物から導かれる1価の基。ただし、この炭化水素あるいは複素環化合物は置換基を有してもよい。この場合の置換基の具体例は上記(1)と同様である。
結合基の具体例としては、以下のような基を挙げることができる。
複数の炭化水素(置換基を有してもよい)または複素環化合物(置換基を有してもよい)が、単結合で結合した化合物、または結合基を介して結合した化合物から導かれる1価の基の具体例を以下に示す。式中の*印は自由原子価を明示するために付与した。
(3)上記(1)または(2)の1価の基と結合基が結合した基。結合基の具体例は、上記(2)と同様である。結合基が3価の場合は、結合基1個に対し(1)または(2)の1価の基2個が結合するものとする。
(1)または(2)の1価の基と結合基が結合した基の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、3−メチルブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、ヘキサデシルオキシカルボニル基、N−ブチルカルバモイル基、N−ドデシルカルバモイル基、N−ヘキサデシルカルバモイル基、N−ドデシル−N−ドデシルカルバモイル基、N,N−ジドデシルカルバモイル基、N,N−ジベンジルカルバモイル基、ピペリジノカルボニル基、ピロリジノカルボニル基および以下に示す基を挙げることができる。式中の*印は自由原子価を明示するために付与した。
(4)カルボキシル基またはカルバモイル基。
式1で示される化合物において、RとRは一緒にRとなって縮合環をなしてもよい。具体的には、式1で示される化合物が式4で示される化合物であってもよい。
ここで、Rは炭素数2〜100の2価の有機の基である。具体的には、以下の(5)〜(7)のような基である。
(5)炭化水素または複素環化合物から導かれる2価の基。ただし、この炭化水素または複素環化合物は置換基を有してもよい。このような2価の基の具体例を以下に示す。式中の*印は自由原子価を明示するために付与した。
(6)複数の炭化水素または複素環化合物が単結合で結合した化合物、または結合基を介して結合した化合物から導かれる2価の基。ただし、この炭化水素または複素環化合物は置換基を有してもよい。このような2価の基の具体例を以下に示す。式中の*印は自由原子価を明示するために付与した。
(7)上記(5)または(6)の2価の基の自由原子価の少なくとも一つに2価の結合基が結合した2価の基。このような2価の基の具体例を以下に示す。式中の*印は自由原子価を明示するために付与した。
さらに、式1で示される化合物において、RとRとRは、一緒にRとなって縮合環をなしてもよい。具体的には、式1で示される化合物が式5で示される化合物であってもよい。
ここで、Rは炭素数3〜150の3価の有機の基である。より具体的には以下の(8)〜(10)のような基である。
(8)炭化水素または複素環化合物から導かれる3価の基。ただし、この炭化水素または複素環化合物は置換基を有してもよい。
(9)複数の炭化水素または複素環化合物が単結合で結合した化合物、または結合基を介して結合した化合物から導かれる3価の基。ただし、この炭化水素または複素環化合物は置換基を有してもよい。
(10)上記(8)または(9)の3価の基の自由原子価の少なくとも一つに2価の結合基が結合した3価の基。
の具体例を以下に示す。
式1で示される化合物のうち、Rが水素で、Rが水酸基であり、Rを含む3個の水酸基が隣接する構造を持つ化合物、具体的には、式2で示される化合物が、微細粒径の銅粒子を安定に製造するために特に適しており好ましい。本発明者らは、式2で示される化合物が、隣接する3個の水酸基の効果によって銅粒子に付着する力が強いためであろうと推定している。また、式2で示される化合物は還元力も強いため、得られた銅微粒子の酸化安定性も優れたものとなる。
式2中、R、Rはそれぞれ独立に水素または炭素数1〜50の有機の基を示し、またはRとRは一緒になって縮合環を示す。
また、式2で示される化合物のうち、R(またはR)が水素で、R(またはR)が−CO−X−Rである式3で示される化合物は、この化合物が付着した銅微粒子の溶媒に対する分散性が優れるため、特に好ましい。
式3中、Rは水素または炭素数1〜24の有機の基を示し、XはOまたはNRを示し、Rは水素または炭素数1〜24の有機の基を示し、またはXがNRの場合に、RとRは一緒になって縮合環を示す。
式3で示される化合物のうち、XがO、Rが炭素数4〜24の炭化水素から導かれる基である化合物は、分散性が優れる上に合成や入手が容易であるため特に好ましい。炭素数4〜24の炭化水素から導かれる基の具体例としては、ブチル基、3−メチルブチル基、ヘキシル基、ドデシル基、ベンジル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基などのアルキル基や、フェニル基などのアリール基が挙げられる。
また、式3で示される化合物のうち、XがNR、Rが炭素数1〜24の有機の基、Rが水素である化合物は、合成が容易であり好ましい。
以下に式1で示される化合物の好ましい具体例を示すが、これらには限定されない。これらのうち、式41〜式68の化合物は、式2で示される化合物の具体例である。式48〜式68の化合物は、式3で示される化合物の具体例である。式66、式67の化合物は、式3の化合物において、XがNRであって、RとRが一緒になって縮合環を示す場合の具体例である。また、式39、式47の化合物は、式4で示される化合物の具体例である。式40の化合物は、式5で示される化合物の具体例である。
式8〜式20、式23〜式58の化合物は、東京化成工業株式会社、シグマ・アルドリッチ・ジャパン株式会社、Alfa Aesar社などから入手できることができる。式21の化合物は、「ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサイエティ」、78巻、6095頁(1956年)に記載の方法により合成できる。式22の化合物は、「ケミカル・ファーマスーティカル・ブレティン」、39巻、1736頁(1991年)に記載の方法に従い合成できる。式68の化合物は、「ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー」、40巻,2035頁、(1997年)に記載の方法に従い合成できる。式60〜式67の化合物は、式68の化合物の合成と同様の方法で合成できる。
本発明の銅微粒子の製造方法は、一価または二価の銅化合物に、式1で示される化合物の存在下で、ヒドラジン化合物、アルミニウムハイドライド化合物またはホウ素ハイドライド化合物のいずれかの還元剤を作用させる工程を含む。この工程は、通常、一価または二価の銅化合物を溶解または分散させた液体に、還元剤の溶液を加えることにより行われる。このとき式1で示される化合物は、一価または二価の銅化合物を溶解または分散させる液体に溶解してもよく、還元剤の溶液に溶解させてもよく、両方に溶解してもよい。
一価または二価の銅化合物を溶解または分散させる液体と、還元剤の溶液に用いる溶媒は、同じであってもよく、異なっていても良い。異なる場合は、両者は混和することが好ましい。これら液体および/または溶液は混合溶媒であってもよい。一価または二価の銅化合物を溶解または分散させる液体と、還元剤の溶液に用いる溶媒としては、反応を阻害しない限り、特に制限はないが、水、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンおよびこれらの混合溶媒を好ましい例として挙げることができる。
一価または二価の銅化合物を溶解または分散させた液体および還元剤の溶液には、pH制御のために、酸、塩基、塩などを添加してもよい。
還元剤は、一価または二価の銅化合物に対して通常過剰に用いる。具体的には等量比で1.1〜10倍程度加えることが好ましい。
反応温度には、特に制限はないが、概ね0〜100℃の範囲が好ましい。
通常、一価または二価の銅化合物を溶解または分散させた液体を反応槽に入れ、攪拌下に還元剤の溶液を滴下する方法が用いられる。このとき、超音波やマイクロ波を照射してもよい。一価または二価の銅化合物を溶解または分散させた液体と還元剤の溶液を混合反応器に導入して反応させてもよい。
反応により得られた銅粒子の単離は、いくつかの方法をとることができる。銅粒子を適切なフィルターを用いて濾取し、適切な溶媒で洗浄し、加熱や減圧、通風などにより乾燥する方法をとることが可能である。また、遠心分離して液相を除き、洗浄溶媒を加えて攪拌した後遠心分離する操作を行った後、乾燥する方法をとることも可能である。あるいは、限外濾過により精製したのち、加熱、減圧、スプレードライのような方法で溶媒を除去する方法も可能である。
本発明の銅微粒子は、表面に式1で示される化合物が付着した銅微粒子である。表面に式1で示される化合物が付着することにより、分散媒への分散性が優れ、また粒径が微小であっても酸化に安定であるという利点を有する。粒径が微小すぎると酸化の寄与が無視できなくなり、逆に粗大すぎると分散性が低下してしまうことから、粒径としては10〜100nmの範囲が好ましい。
得られた銅微粒子の粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、動的光散乱測定(DLS)、レーザー回折式粒度分布測定などで測定することができる。
得られた銅微粒子の酸化の程度は、粉末X線回折を測定し、特徴的な回折ピークたとえば、2θ=43.3゜(銅)、2θ=36.4(酸化銅(I))、2θ=38.7(酸化銅(II))を調べることにより行うことができる。
また、本発明の製造方法により得られる銅微粒子に式1で示される化合物が付着していることを確認する方法としては、例えば熱重量分析・質量分析(TG−MS)または昇温熱脱着・熱分解質量分析(TPD−MS)により加熱により脱離する成分を同定すること、または固液抽出法により液相に抽出された成分を同定することにより確認することができる。
本発明の製造方法により得られる銅微粒子は、適切な分散媒に分散し、必要に応じバインダーなどの成分を配合してインク、ペーストを調製し、これをプラスチックフィルム、ガラス繊維強化プラスチック基板、ガラス基板、セラミック基板、セラミックグリーンシートなどに印刷し、加熱処理することにより銅からなる導電パターンを形成するために使用することができる。
分散媒としては、適度な揮発性を有する液体であれば、あらゆるものが使用可能であり、複数の液体を混合して用いることもできる。分散媒に用いることのできる液体の具体例を挙げると、水、2−プロパノール、ブタノール、オクタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、1,2−ジメトキシエタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、乳酸エチル、プロピレンカーボネート、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、トルエン、キシレン、デカリン、テトラリンなどを挙げることができる。
さらに、液状の熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂も分散媒として用いることができる。
バインダーとしては、溶剤可溶性のあらゆる高分子化合物が使用可能である。具体的にはポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタンなどを挙げることができる。
本発明の製造方法により得られる銅微粒子は、導電性接着剤の導電フィラー、プラスチックの熱伝導率を高めるためのフィラー、触媒などの用途にも使用することができる。
以下、本発明を実施例により説明する。
[実施例1]
テフロンコートした攪拌子を備えたナス型フラスコ中で水酸化銅(II)(和光純薬、品番:031−04215、98mg、1mmol) をメタノール(10cm)に懸濁させ、ここにピロガロール(式41の化合物、ナカライテスク、品番:29703−52、42mg、0.33mmol)とヒドラジン水和物80%水溶液(関東化学、品番:18383−01、1g、20mmol)をメタノール(10cm)に溶解させたものを加えた。室温で一晩攪拌し、析出した固体をメンブレンフィルターでろ取後、メタノールで十分に洗浄した。その後得られた固体を減圧乾燥させることにより、銅微粒子59mgを得た。走査型電子顕微鏡(SEM)により粒径を測定した結果、得られた銅微粒子は粒径が30〜50nmであった。図1に走査型電子顕微鏡像(SEM像)を示す。また粉末X線回折測定の結果、銅による回折ピークのみが見られ、得られた粒子が酸化されていないことがわかった。
[実施例2]
実施例1で加えた分散剤(ピロガロール)を没食子酸(式49の化合物、ナカライテスク、品番:16520−42、63mg、0.33mmol)に変えた以外は実施例1と同様にして、銅微粒子69mgを得た。走査型電子顕微鏡による測定の結果、得られた銅微粒子は粒径が50〜80nmであった。
[実施例3]
実施例1で加えた分散剤(ピロガロール)をシリンガ酸(4−ヒドロキシ−3、5−ジメトキシ安息香酸、式14の化合物;東京化成、品番:G0014、66mg、0.33mmol)に変えた以外は実施例1と同様にして、銅微粒子64mgを得た。走査型電子顕微鏡による測定の結果、得られた銅微粒子は粒径が40〜70nmであった。
[実施例4]
実施例1で加えた分散剤(ピロガロール)を没食子酸イソアミル(式57の化合物、東京化成、品番:G0012、80mg、0.33mmol)に変えた以外は実施例1と同様にして、銅微粒子56mgを得た。走査型電子顕微鏡による測定の結果、得られた銅微粒子は粒径が30〜40nmであった。
[実施例5]
実施例1で加えた分散剤(ピロガロール)を没食子酸ドデシル(式54の化合物、東京化成、品番:G0015、113mg、0.33mmol)に変えた以外は実施例1と同様にして、銅微粒子87mgを得た。走査型電子顕微鏡による測定の結果、得られた銅微粒子は粒径が40〜80nmであった。
[実施例6]
実施例1で加えた分散剤(ピロガロール)を1,2,4−トリヒドロキシベンゼン(式23の化合物、東京化成、品番:H0249、42mg、0.33mmol)に変えた以外は実施例1と同様にして、銅微粒子58mgを得た。走査型電子顕微鏡による測定の結果、得られた銅微粒子は粒径が30〜40nmであった。
[比較例1]
実施例1で加えた分散剤(ピロガロール)をレゾルシノール(関東化学、品番:36004−30、37mg、0.33mmol)に変えた以外は実施例1と同様にして、銅粉64mgを得た。走査型電子顕微鏡による測定の結果、得られた銅粉は明確な粒子形状をしていなかった。図3に走査型電子顕微鏡像(SEM像)を示す。
[比較例2]
実施例1で加えた分散剤(ピロガロール)をフェノール(関東化学、品番:32080−20、31mg、0.33mmol) に変えた以外は実施例1と同様にして、銅粉64mgを得た。走査型電子顕微鏡による測定の結果、得られた銅粉は明確な粒子形状をしていなかった。
実施例1で得られた銅微粒子のSEM像。 実施例1で得られた銅微粒子の粉末X線回折スペクトル。 比較例1で得られた銅微粒子のSEM像。

Claims (8)

  1. 一価または二価の銅化合物に、式1で示される化合物の存在下で、ヒドラジン化合物、アルミニウムハイドライド化合物またはホウ素ハイドライド化合物のいずれかの還元剤を作用させる工程を含む銅微粒子の製造方法。
    (式中、Rは水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、Rは水素、水酸基または炭素数1〜50の有機の基を示し、R、Rはそれぞれ独立に水素または炭素数1〜50の有機の基を示し、またはRとRは一緒になって縮合環を示し、またはRとRとRが一緒になって縮合環を示す。)
  2. 還元剤がヒドラジン化合物である請求項1に記載の銅微粒子の製造方法。
  3. ヒドラジン化合物がヒドラジン誘導体、ヒドラジン水和物、ヒドラジンの塩、ヒドラジン誘導体の塩のいずれかである請求項2に記載の銅微粒子の製造方法。
  4. 一価または二価の銅化合物が、酸化銅(II)、酸化銅(I)、水酸化銅(II)のいずれかである請求項1〜3のいずれかに記載の銅微粒子の製造方法。
  5. 式1で示される化合物が、式2で示される化合物である請求項1〜4のいずれかに記載の銅微粒子の製造方法。
    (式中、R、Rはそれぞれ独立に水素または炭素数1〜50の有機の基を示し、またはRとRは一緒になって縮合環を示す。)
  6. 式1で示される化合物が、式3で示される化合物である請求項1〜4のいずれかに記載の銅微粒子の製造方法。
    (式中、Rは水素または炭素数1〜24の有機の基を示し、XはOまたはNRを示し、Rは水素または炭素数1〜24の有機の基を示し、またはXがNRの場合に、RとRは一緒になって縮合環を示す。)
  7. 表面に式1で示される化合物が付着した銅微粒子。
  8. 平均粒径が10〜100nmである請求項7に記載の銅微粒子。
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