JP2009149787A - 蛍光材料 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、蛍光材料、及びそれを用いた光デバイスに関する。本発明の蛍光材料は、優れた蛍光特性、高い耐熱性、優れた機械特性、及び可視光領域での高い透明性を有すると共に高効率の各色蛍光を有しており、光デバイス用材料として使用可能なものである。また、この蛍光材料を用いて作製された光デバイスは、従来にない優れた特性を有する。
近年、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子や、発光型の空間光変調素子、波長変換素子等に使用される有機発光材料として、種々の低分子化合物や高分子化合物が開発されている。発光デバイス等の製造において、低分子化合物を用いる場合、製造プロセスが蒸着方式に制約されるのに対して、高分子化合物は、溶液にして製膜、又はインクジェットプリント方式等により製造できることから製造コストを安くできるという利点を有している。また、高分子化合物は、微細加工なしに微細な塗り分けができる点、そして膜厚を容易に製膜できる等の優れた特徴を有している。そのため、高効率な蛍光発光を示し、かつ発光波長の制御が容易な高分子系の発光材料の開発が望まれている。
高分子発光材料としては、従来よりポリ−p−フェニレンやポリフェニレンビニレン等のπ共役型高分子が知られている。しかし、このようなπ共役型高分子は、耐熱性や耐環境性(蛍光強度及び蛍光スペクトル形状の長期安定性)が十分でなく、また、製膜や微細加工が容易ではないという問題があった。一方、代表的な耐熱性高分子であるポリイミドは、優れた耐熱性や電気特性を有しており、前駆体であるポリアミド酸が製膜等の加工性に優れていることから、表示用デバイス材料としての用途が期待されている。例えば、非特許文献1には、主鎖や側鎖に蛍光性のフリル基を導入して青色の蛍光発光を示すポリイミドが開示されており、また、特許文献1及び特許文献2には、発光機能あるいは電荷輸送機能を有するポリイミドを用いた有機EL素子が開示されている。しかし、上記文献等に開示されたポリイミドの蛍光発光は、ポリイミドの主鎖又は側鎖に導入された蛍光性官能基によるものであり、また、その蛍光強度は、ポリイミド分子間の強い相互作用と、それに伴う濃度消失によって、同一の蛍光性官能基を有する低分子化合物の蛍光強度に比べると、その蛍光強度は非常に低いものである。
また、非特許文献2等に開示されているように、ポリイミド自体が紫外線の照射により、可視光の蛍光発光を示すことは、従来から知られていた。この蛍光は、ポリイミドの分子構造中のジアミン部分(電子供与性)と酸無水物部分(電子吸引性)との間で形成される電荷移動錯体(CT錯体)に起因する蛍光(CT蛍光)である(例えば、非特許文献3参照)。しかし、芳香族ポリイミドの場合には、CT相互作用が強く、無輻射失活過程が増加するため、その蛍光強度は必然的に弱くなる。代表的な全芳香族ポリイミドであるピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルから合成されるポリイミド(PMDA/ODA)においては、通常の蛍光分光計では観測が困難なほどの弱い蛍光しか観測されない。また、非特許文献4には、全芳香族ポリイミドでも、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンから合成されるポリイミド(BPDA/PDA)は相対的に強い蛍光を示すことが報告されている。しかし、既存の蛍光性高分子化合物に比べると、その蛍光強度は非常に弱く、蛍光の量子収率は1%以下であって発光デバイスや波長変換デバイスには適用が困難である。
また、特許文献3には、三次元的な立体構造を有し、芳香環に直接フッ素が結合した芳香族酸二無水物と脂環式構造を有するジアミンとからなる構造単位を有するポリイミドを用いることで、優れた蛍光発光特性(蛍光強度の強さ、緑色から赤色領域における蛍光波長の制御性、蛍光強度の長期安定性)を有するとともに、耐熱性、化学安定性、製膜性に優れた単色発光性の蛍光性ポリイミドが得られることが開示されている。また、特許文献4には、屈曲性の2,2’,3,3’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物と脂環式ジアミンの組み合わせから合成されたポリイミドを用いることで、優れた緑色蛍光発光特性を有し、耐熱性、化学安定性、製膜製に優れた単色発光性の蛍光ポリイミドが得られることが開示されている。加えて、特許文献5には、三次元的な構造を有し、電子受容性の低い酸二無水物と脂環式構造を有するジアミンとからなる構造単位を有するポリイミドを用いることで、優れた青色蛍光発光特性を有し、耐熱性、化学安定性、製膜製に優れた単色発光性の蛍光性ポリイミドが得られることが開示されている。さらに、非特許文献5には、これらの蛍光性ポリイミドの薄膜を発光層あるいはホール輸送層として用いて有機電界発光(エレクトロルミネッセンス)による発光デバイスを作製した例が報告されている。
上記特許文献3〜5によれば、優れた蛍光特性を有する蛍光性ポリイミドを得られることが開示されている。上記特許文献3〜5に開示された蛍光性ポリイミドは、それぞれ、緑色から赤色領域における蛍光波長の制御性、及び青色蛍光特性を示すものである。 また、一般にポリイミドは、テトラカルボン酸二無水物(以下、酸二無水物)とジアミンとを極性溶媒中で反応させことによりポリアミド酸を得、これを加熱処理あるいは化学的脱水処理によりイミド化することにより得られる。本発明者らの検討により、ポリイミドの蛍光発光波長は、ジアミンに比して酸二無水物の電子構造および立体構造に強く依存することが明らかとなっている。すなわち、電子親和力の弱い非フッ素化酸二無水物から合成されたポリイミド(以下、非フッ素化無水物ポリイミド)は可視領域での高い透明性と青色蛍光発光を有する。一方、電子親和力が強い全フッ素化酸二無水物から合成されたポリイミド(以下、フッ素化無水物ポリイミド)又は屈曲性酸二無水物から合成されたポリイミドは緑色・赤色発光を呈し、非フッ素化酸二無水物に数モル%のフッ素化酸二無水物、又はペリレン構造を含有する酸二無水物を添加した混合物を原料として用いて合成したポリイミドは白色の蛍光を示す。
一方、1マイクロメートル(μm)以下の直径を有する繊維は一般に“ナノファイバ”と呼ばれているが、ナノファイバの作製法には、おもにセルフアッセンブリー法、フェイズ・セパレーション法、そして静電紡糸法(エレクトロスピニング法)の3種類が知られている。中でも静電紡糸法はファイバ形状の制御が簡便であり、多種のポリマーをナノファイバ形状に紡糸することが可能である。今までの研究では、ポリスチレン、ポリカーボネ―ト、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン66、ナイロン46、ポリアミドなどの工業用熱可塑性ポリマー、生分解性ポリマー、ポリマーブレンド、そして、無機化合物を混入した複合材のファイバが静電紡糸法で作製されている。また、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、チタン酸ジルコン酸鉛等のセラミックスナノファイバの作製例も報告されている。(非特許文献6、7)
一般に静電紡糸装置は、直流高圧電源、ポリマー溶液貯蔵容器、ポリマー溶液供給用ポンプ、紡糸ノズル、および、接地されたコレクター電極(対電極)から構成される。ポリマー溶液は貯蔵容器から紡糸ノズルまで一定の速度で供給される。紡糸ノズルには5〜30キロボルトの高電圧が印加される。このときポリマー溶液に高電圧を印加するための電極はノズル内に設置されているものでもノズルと一体化したものであっても良い。電圧の印加によりノズル先端のポリマー溶液表面では電荷が誘起され、電荷の蓄積によって溶液表面にはたらく静電反発力が溶液の表面張力を越える時、ポリマー溶液のジェットがコレクターに向けて噴射される。ジェットがコレクターに到達するまでの間に、溶媒の蒸発に伴ってジェットの体積電荷密度が増加し、その結果、ジェットにはたらく静電反発力も増加する。したがって、ジェットがコレクターに到達する際には、静電反発力による延伸効果によってジェットのサイズはナノレベルにまで減少する。また、一定時間以上紡糸を行うとコレクター上には、無秩序(ランダム)に配列した直径数マイクロメートル以下のナノファイバの堆積によって不織布状の多孔性膜が形成される。この膜は比表面積が非常に大きく、また、紡糸条件を変えることによって、ファイバ径および膜の空孔径、空孔率、厚さの制御も可能である。
S. M. Pyo et al., Polymer, 40, 125-130 (1999)
特開平03−274693号公報
特開平04−93389号公報
E. D. Wachsman and C. W. Frank Polymer, 29, 1191-1197 (1988)
M. Hasegawa and K. Horie, Progress in Polymer Science, 26, 259-335 (2001)
M. Hasegawa et al., Journal of Polymer Science Part C: Polymer Letters, 27, 263-269(1998)
特開平04−307857号公報
特開平06−235133号公報
特開平05−320393号公報
Sho-ichi MATSUDA, Yuichi URANO, Jin-Woo PARK, Chang-Sik HA, Shinji ANDO, J. Photopolym. Sci. Technol., 17(2), 241-246 (2004).
Dan Li and Younun Xia, Adv. Mater. , 16, 1151-1171 (2004)
Andreas Greiner and Joachim H. Wendorff, Angew. Chem. Int. Sci., 46, 5670 -5703(2007)
上述したように、蛍光性ポリイミドとしては種々のものが報告されているが、優れた蛍光特性を有すると共に、高い耐熱性、優れた機械的特性及び可視光領域における高い透明性等の特性を併せ持つものは知られていなかった。従って、本発明の目的は、優れた蛍光特性(蛍光強度の強さ、蛍光強度の長期安定性)と高い耐熱性(ガラス転移点:200℃以上、熱分解開始温度:350℃以上)に加え、優れた機械的特性(高い弾性率、可撓性、高靱性)、可視光領域で高い透明性などの特性を持つ蛍光性ポリイミドをナノファイバ化することで、蛍光の取り出し効率を飛躍的に向上させた新規の蛍光材料とそれを用いた光デバイスを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために検討を重ねた結果、近年急速に研究が進展している静電紡糸法(エレクトロスピニング法)を用いて作製したポリイミドナノファイバを不織布状に積層するか、又は不織布状の積層体を板状あるいは塊状に成形した物が上記目的を達成し得るという知見を得、その知見を基に鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
本発明は、上記の知見に基づいてなされたものであり、下記一般式(1)で表わされる繰り返し単位からなるポリイミドを含み、静電紡糸法(エレクトロスピニング法)を用いて作製されたナノファイバの集積体からなる、不織布状又は板状、塊状の形状を有する蛍光材料を提供するものである。
(式中、R1は、4価の脂環式アルキル基又は一般式(2)〜(4)で表わされる4価の芳香族基を示し、またR2は2価の有機基を示す。)
(式中、R3は、ハロゲンで置換されていてもよい脂肪族基、酸素原子、硫黄原子、1つ以上の2価元素を介した芳香族基のいずれかであるか、又はそれらの組み合わせによって構成される2価の置換基を示す。)
(式中、R4及びR5は、同一であっても異なっていてもよく、ハロゲンで置換されていてもよい脂肪族基、酸素原子、硫黄原子、1つ以上の2価元素を介した芳香族基のいずれかであるか、又はそれらの組み合わせによって構成される2価の置換基を示す。)
(式中、R6及びR7は、ハロゲンで置換されていてもよい脂肪族基、1つ以上の2価元素を介した芳香族基、ハロゲンのいずれかであるか、またはそれらの組み合わせによって構成される1価の置換基を示し、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
上記集積体は、その直径が、好ましくは10μm以下、更に好ましくは1μm以下のナノファイバの集積体である。
本発明の発光材料に含有されるポリイミドの好適な例としては、上記一般式(1)におけるR1が、下記式(5)〜(26)からなる群から選択される芳香族基又は脂環式アルキル基であるものが挙げられる。
また、本発明の発光材料に含有されるポリイミドとしては、上記一般式(1)におけるR2が脂環式構造又は芳香族構造であるものが挙げられる。
また、本発明の発光材料に含有されるポリイミドとしては、上記一般式(1)におけるR2が、下記式(27)〜(31)からなる群から選択されるものが挙げられる。
式中、R8はアルキル基あるいはフルオロアルキル基を含む2価の有機基を示す
式中、R9はアルキル基又はフルオロアルキル基を含む1価の有機基を示す
式中、R10はハロゲン又はフルオロアルキル基を含む1価の有機基を示す
また、本発明は、上記蛍光材料を用いて製造された有機発光デバイスを提供するものである。このような有機発光デバイスとしては、有機EL素子や有機レーザーなどの発光素子、波長変換素子及び空間光変調素子などが挙げられる。
また、本発明は、上記蛍光材料を用いて製造された有機光波長変換デバイスを提供するものである。すなわち、本発明による蛍光材料は、紫外域や可視短波長域(紫〜青)に発光を有するレーザーや発光ダイオード(LED)を光源として、それを可視光や近赤外光に変換する“色変換膜”あるいは“色変換樹脂”として使用することができる。
加えて、本発明は、上記蛍光材料の製造方法を提供するものであり、該製造方法は、(a)エレクトロスピニング装置のコレクター電極上に基板を配置する工程;(b)前記電極上に配置された基板に向けて、高電圧を印加した紡糸ノズルから、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリイミド前駆体溶液もしくはポリイミド溶液をスプレーし、基板上に多数のナノファイバを集積する工程;及び(c)該ナノファイバが集積された基板をナノファイバとともに焼成して、不織布状あるいは板状、塊状の形状を有するナノファイバの積層体を形成する工程;を含むことを特徴とする。
加えて、本発明は、上記蛍光材料の製造方法を提供するものであり、該製造方法は、(a)エレクトロスピニング装置のコレクター電極上に基板を配置する工程;(b)前記電極上に配置された基板に向けて、高電圧を印加した紡糸ノズルから、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリイミド前駆体溶液もしくはポリイミド溶液をスプレーし、基板上に多数のナノファイバを集積する工程;及び(c)該ナノファイバが集積された基板をナノファイバとともに焼成して、不織布状あるいは板状、塊状の形状を有するナノファイバの積層体を形成する工程;を含むことを特徴とする。
本発明によれば、優れた蛍光特性、すなわち高い蛍光発光効率と高い蛍光取り出し効率を有し、高い耐熱性、優れた機械特性、及び可視光領域での高い透明性を有する新規の蛍光材料が提供される。
以下に、本発明を詳細に説明する。まず、本発明の蛍光材料について説明する。
本発明の蛍光材料は、下記一般式(1)で表わされる繰り返し単位からなるポリイミドを含み、静電紡糸法(エレクトロスピニング法)を用いて作製されたナノファイバの集積体からなり、不織布状又は板状、塊状の形状を有する。
本発明の蛍光材料は、下記一般式(1)で表わされる繰り返し単位からなるポリイミドを含み、静電紡糸法(エレクトロスピニング法)を用いて作製されたナノファイバの集積体からなり、不織布状又は板状、塊状の形状を有する。
上記式(1)において、R1は、4価の脂環式アルキル基又は一般式(2)〜(4)で表わされる4価の芳香族基を示し、またR2は脂環式構造又は芳香環構造を含む2価の有機基を示す。
上記一般式(2)中において、R3は炭素-炭素の一重結合、酸素原子、硫黄原子、スルホニル基、ハロゲンで置換されていてもよい脂肪族基、1つ以上の2価元素を介した芳香族基のいずれかであるか、又はそれらの組み合わせによって構成される2価の置換基である。
上記脂肪族基としては、例えばメチレン基、エチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサメチレン基等の長鎖アルキル基等が挙げられる。これらの脂肪族基は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲンで置換されていてもよい。また、1つ以上の2価元素を介した芳香族基とは、例えば酸素原子(−O−)を介して結合した芳香族基やスルホニル基(−SO2−)を介して結合した芳香族基を意味するものとし、この芳香族基の一部はフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲンで置換されていてもよい基のいずれかであるか、又はそれらの組み合わせによって構成される2価の置換基を示す。
上記脂肪族基としては、例えばメチレン基、エチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサメチレン基等の長鎖アルキル基等が挙げられる。これらの脂肪族基は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲンで置換されていてもよい。また、1つ以上の2価元素を介した芳香族基とは、例えば酸素原子(−O−)を介して結合した芳香族基やスルホニル基(−SO2−)を介して結合した芳香族基を意味するものとし、この芳香族基の一部はフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲンで置換されていてもよい基のいずれかであるか、又はそれらの組み合わせによって構成される2価の置換基を示す。
上記一般式(3)中において、R4及びR5は、同一であっても異なっていてもよく、炭素-炭素の一重結合、酸素原子、硫黄原子、スルホニル基、ハロゲンで置換されていてもよい脂肪族基、1つ以上の2価元素を介した芳香族基のいずれかであるか、又はそれらの組み合わせによって構成される2価の置換基である。
脂肪族基としては、例えばメチレン基、エチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサメチレン基等の長鎖アルキル基等が挙げられる。これらの脂肪族基は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲンで置換されていてもよい。また、1つ以上の2価元素を介した芳香族基とは、例えば酸素原子(−O−)を介して結合した芳香族基やスルホニル基(−SO2−)を介して結合した芳香族基を意味するものとし、この芳香族基の一部はフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲンで置換されていてもよい。
脂肪族基としては、例えばメチレン基、エチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサメチレン基等の長鎖アルキル基等が挙げられる。これらの脂肪族基は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲンで置換されていてもよい。また、1つ以上の2価元素を介した芳香族基とは、例えば酸素原子(−O−)を介して結合した芳香族基やスルホニル基(−SO2−)を介して結合した芳香族基を意味するものとし、この芳香族基の一部はフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲンで置換されていてもよい。
上記一般式(4)中において、R6及びR7は、同一であっても異なっていてもよく、ハロゲンで置換されていてもよい脂肪族基、1つ以上の2価元素を介した芳香族基、ハロゲンのいずれかであるか、またはそれらの組み合わせによって構成される2価の置換基である。
脂肪族基としては、例えばメチレン基、エチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサメチレン基等の長鎖アルキル基等が挙げられる。これらの脂肪族基は、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲンで置換されていてもよい。また、1つ以上の2価元素を介した芳香族基とは、例えば酸素原子を介して結合した芳香族基を意味するものとし、この芳香族基は塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲンで置換されていてもよい。
脂肪族基としては、例えばメチレン基、エチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサメチレン基等の長鎖アルキル基等が挙げられる。これらの脂肪族基は、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲンで置換されていてもよい。また、1つ以上の2価元素を介した芳香族基とは、例えば酸素原子を介して結合した芳香族基を意味するものとし、この芳香族基は塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲンで置換されていてもよい。
本発明の発光材料に含有されるポリイミドの好適な例としては、上記一般式(4)におけるR1が、下記式(5)〜(26)からなる群から選択される芳香族基又は脂環式アルキル基であるものが挙げられる。
上記一般式(1)において、R2は、脂環式構造又は芳香族構造を含む2価の有機基である。
脂環式構造としては、例えばシクロアルカン構造、シクロアルケン構造等が挙げられる。脂環式構造を構成する炭素数に特に制限はないが、通常は4〜30個程度、好ましくは5〜20個程度、更に好ましくは5〜15個程度である。炭素数が上記範囲内であると、耐熱性に優れた蛍光材料を得ることができる。また、上記芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香環を1個以上含むものが挙げられる。R6が芳香環である場合、R6の2個の結合部位は、得られるポリイミドに剛直性を持たせる観点から、芳香環上に直接存在していることが好ましい。
これらの構造としては、例えば、下記式(27)〜(31)で表されるものが挙げられる。
脂環式構造としては、例えばシクロアルカン構造、シクロアルケン構造等が挙げられる。脂環式構造を構成する炭素数に特に制限はないが、通常は4〜30個程度、好ましくは5〜20個程度、更に好ましくは5〜15個程度である。炭素数が上記範囲内であると、耐熱性に優れた蛍光材料を得ることができる。また、上記芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香環を1個以上含むものが挙げられる。R6が芳香環である場合、R6の2個の結合部位は、得られるポリイミドに剛直性を持たせる観点から、芳香環上に直接存在していることが好ましい。
これらの構造としては、例えば、下記式(27)〜(31)で表されるものが挙げられる。
上記式(28)において、R8はアルキル基又はフルオロアルキル基を含む2価の有機基である。上記アルキル基としては、例えばメチレン基、エチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサメチレン基等の長鎖アルキル基等が挙げられる。また、フルオロアルキル基としては、ジフルオロメチレン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基等が挙げられる。
上記式(29)において、R9はアルキル基又はフルオロアルキル基を含む1価の有機基である。上記アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、ヘキサメチル基等の長鎖アルキル基等が挙げられる。また、フルオロアルキル基としてはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられる。
上記式(30)において、R10はハロゲン又はフルオロアルキル基を含む1価有機基である。ハロゲンとしては塩素、臭素、ヨウ素等が上げられる。また、フルオロアルキル基としてはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられる。
上記式(29)において、R9はアルキル基又はフルオロアルキル基を含む1価の有機基である。上記アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、ヘキサメチル基等の長鎖アルキル基等が挙げられる。また、フルオロアルキル基としてはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられる。
上記式(30)において、R10はハロゲン又はフルオロアルキル基を含む1価有機基である。ハロゲンとしては塩素、臭素、ヨウ素等が上げられる。また、フルオロアルキル基としてはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられる。
本発明の蛍光材料に含まれるポリイミドは、上記一般式(1)で表わされる繰り返し単位からなる。また、本発明の蛍光材料に含まれるポリイミドとしては、二種類の繰り返し単位からなる共重合ポリイミドであってもよい。本発明の蛍光材料に含まれるポリイミドの具体例としては、例えば、下記式(32)〜(85)で表わされる繰り返し単位のいずれか、又は下記式(32)〜(85)で表わされる繰り返し単位のうち異なる2つ以上の繰り返し単位とを含有するポリイミドが挙げられる。
本発明の蛍光材料に含有されるポリイミドの分子量は、その蛍光特性が発揮される範囲であれば特に限定されない。
本発明の蛍光材料は、上記一般式(1)で表わされる繰り返し単位からなるポリイミドを含み、静電紡糸法(エレクトロスピニング法)を用いて作製されたナノファイバの集積体からなる。ここで、ナノファイバとは、直径が、好ましくは10μm以下、更に好ましくは1μm以下の繊維を意味する。また、含フッ素ポリイミドに代表されるように、ポリイミドが溶媒溶解性を有する場合は、ポリアミド酸溶液の代わりにポリイミド溶液を原料として用いることも可能である。ポリイミドナノファイバは、例えば、2種類の酸二無水物からなる混合物と前記のジアミン化合物とを重縮合して得られるポリアミド酸を静電紡糸法によりナノファイバ化し、その後、加熱閉環(イミド化)することによって製造することができる。加熱閉環する方法に特に制限はなく、従来公知の方法が用いられる。
酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、3,3’,4,4’−オキシビスフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシ)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシ)メタン二無水物等が挙げられる。なお、これらと同じ基本骨格を有するテトラカルボン酸やその酸塩化物、エステル化物等も、本発明の蛍光材料に含有されるポリイミドを製造するための原料として用いることができる。
用いられる酸二無水物としては、例えば、下記一般式(86)〜(88)で表されるものが挙げられる。
用いられる酸二無水物としては、例えば、下記一般式(86)〜(88)で表されるものが挙げられる。
上記一般式(86)及び(87)において、R11、R12およびR13は、それぞれR3、R4、R5と同一であり、ハロゲンで置換されていてもよい脂肪族基、酸素原子、硫黄原子、1つ以上の2価元素を介した芳香族基のいずれかであるか、又はそれらの組み合わせによって構成される2価の置換基を示す。すなわち、R11、R12およびR13は、炭素−炭素の一重結合、炭素−酸素−炭素のエーテル結合又はハロゲン元素(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)を含んでいてもよく、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)プロパン二無水物や1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラクロロベンゼン二無水物、2,2’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロ−3,3’,4,4’,−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。また、上記一般式(88)において、R14、R15はハロゲンで置換されていてもよい脂肪族基、1つ以上の2価元素を介した芳香族基、ハロゲンのいずれかであるか、またはそれらの組み合わせによって構成される1価の置換基を示し、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、ジフルオロピロメリット酸二無水物、ジクロロピロメリット酸二無水物等も用いることができる。
ジアミン化合物としては、例えば、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビシクロヘキサン、2,2’−ビス(4−アミノシクロヘキシル)−ヘキサフルオロプロパン、等やこれらの構造異性体が挙げられる。
本発明の蛍光材料は、静電紡糸法(エレクトロスピニング法)を用いて作製されたナノファイバの集積体からなり、不織布状又は板状、塊状の形状を有している。他の高分子材料を用いて作製されるナノファイバと同様、本発明のポリイミドナノファイバも作成直後は不織布状の形態を有していることから、薄膜あるいはフィルム形状の蛍光材料としては、そのままの形状で使用することができる.また、高蛍光性ポリイミドのガラス転移温度(軟化温度)は通常180〜250℃に現れることから、ガラス転移温度よりも高い温度であれば、熱圧縮による成型加工機を用いて板状あるいは塊状に成形することが可能である.但し、温度条件や成形条件によってはナノファイバ同士が融合し、微細な繊維の形状が保てなくなる可能性があるので、注意を要する。
静電紡糸法について、また、本発明の蛍光材料を不織布状又は板状、塊状とする手段については後述する。
静電紡糸法について、また、本発明の蛍光材料を不織布状又は板状、塊状とする手段については後述する。
次に、本発明の蛍光材料を製造するための、本発明の蛍光材料の製造方法について説明する。
本発明の蛍光材料の製造方法は、(a)エレクトロスピニング装置のコレクター電極上に基板を配置する工程;(b)前記電極上に配置された基板に向けて、高電圧を印加した紡糸ノズルから、前記ポリイミド前駆体溶液もしくはポリイミド溶液をスプレーし、基板上に多数のナノファイバを集積する工程;及び(c)該ナノファイバが集積された基板をナノファイバとともに焼成して、不織布状あるいは板状、塊状の形状を有するナノファイバの積層体を形成する工程;を含む。
本発明の蛍光材料の製造方法は、(a)エレクトロスピニング装置のコレクター電極上に基板を配置する工程;(b)前記電極上に配置された基板に向けて、高電圧を印加した紡糸ノズルから、前記ポリイミド前駆体溶液もしくはポリイミド溶液をスプレーし、基板上に多数のナノファイバを集積する工程;及び(c)該ナノファイバが集積された基板をナノファイバとともに焼成して、不織布状あるいは板状、塊状の形状を有するナノファイバの積層体を形成する工程;を含む。
すなわち、本発明の蛍光材料は静電紡糸法によって作製することができる。静電紡糸法について説明する。まず、静電気紡糸法においては、まず、エレクトロスピニング装置のコレクター電極上に基板を配置する。コレクター電極は、導電性を示す必要があり、導電性を示すものであれば、金属、無機物、又は有機物のいかなるものであってもよい。また、絶縁物上に導電性を示す金属、無機物又は有機物の薄膜を有するものであってもよい。次いで、前記電極上に配置された基板に向けて、高電圧を印加した紡糸ノズルから、前記ポリイミド前駆体溶液もしくはポリイミド溶液をスプレーし、基板上に多数のナノファイバを集積する。ここで、用いられる高電圧としては、例えば、100V以上の電圧を意味する。紡糸ノズルからポリイミド前駆体溶液又はポリイミド溶液をスプレーし、基板上に多数のナノファイバを集積する際に、捕集基板として平面状のものを用いれば、不織布状の蛍光材料が得られるが、捕集基板の形状を変えることによって、所望の形状の蛍光材料、例えば板状や塊状の蛍光材料を作製することもできる。また、蛍光材料が基板上の1箇所に集中して積層される場合など、均一性が低い場合には、基板を揺動させたり、回転させてもよい。次いで、上記ナノファイバが集積された基板をナノファイバとともに焼成して、不織布状あるいは板状、塊状の形状を有するナノファイバの積層体を形成する。焼成する手段としては特に制限はなく、一般的な電気炉を用いて実施することができるが、必要に応じて炉内の気体を置換可能な電気炉を用いてもよい。また、焼成温度は、通常は、180〜400℃の温度で実施するが、更に好ましくは200〜350℃で実施する.
以下に、本発明の蛍光材料の製造方法の一例を示す。
まず、極性有機溶媒中で、3,3’,4,4’,-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンとを重縮合し、ポリアミド酸溶液を得る。この時、N,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミドやN,O-ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミドのようなシリルエステル化物を混合すると、原料の会合体や生成物の不溶化(ゲル化)が起こりにくくなる。用いられる極性有機溶媒としては、例えば、N-メチル-4-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。重合溶液中の原料化合物の濃度は、好ましくは5〜40重量%であり、更に好ましくは10〜25重量%である。この反応を下記式に示す。
まず、極性有機溶媒中で、3,3’,4,4’,-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンとを重縮合し、ポリアミド酸溶液を得る。この時、N,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミドやN,O-ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミドのようなシリルエステル化物を混合すると、原料の会合体や生成物の不溶化(ゲル化)が起こりにくくなる。用いられる極性有機溶媒としては、例えば、N-メチル-4-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。重合溶液中の原料化合物の濃度は、好ましくは5〜40重量%であり、更に好ましくは10〜25重量%である。この反応を下記式に示す。
上述のようにして得られたポリアミド酸溶液を、静電紡糸(エレクトロスピニング)法を用いて基板上に集積し、それを脱水・閉環してイミド化することにより、ポリイミドナノファイバを得る。ここで、ナノファイバとは直径が10μm以下、好ましくは1μm以下の繊維を指す。また、含フッ素ポリイミドに代表されるように、ポリイミドが溶媒溶解性を有する場合は、ポリアミド酸溶液の代わりにポリイミド溶液を原料として用いることも可能である。静電紡糸法については上述した通りであり、導電性のある基板をエレクトロスピニング装置の電極基板上に配置し、100V以上の高電圧を印加されたポリアミド溶液もしくはポリイミド溶液をその基板に向けてキャピラリー電極のキャピラリーからスプレーし、基板上に多数のナノファイバを集積する方法を指している。この工程で得られた紡糸直後のナノファイバは、溶媒を含むポリアミド酸あるいはポリイミドであるので、これらを基板をとともに真空下あるいは窒素雰囲気下で焼成することによりイミド化あるいは脱溶媒し、不織布状のナノファイバの積層体を形成することが必要である。なお、イミド化の処理は、無水酢酸のような脱水剤を用いた化学的イミド化でも問題なく進行する。この反応を下記式に示す。イミド化後、空気中でSi板から剥離することによりポリイミドナノファイバ膜を得る。その後、得られたナノファイバの積層体を用いて、熱圧縮等により板状あるいは塊状に成形加工することが可能である.
通常、静電紡糸には、基材としてシリコン(Si)基板または石英基板を用い、この上にポリアミド酸溶液あるいはポリイミド溶液を用いてナノファイバを集積し、真空下あるいは窒素気流下、220℃程度で加熱して脱水・イミド化する。また、これらの工程により得られるナノファイバは基板上への集積体であり、平均膜厚は1〜30μmであるので、これらをさらに積層することにより、平均膜厚のさらに大きなナノファイバ積層体や板状、塊状形状を有するポリイミド蛍光材料を得ることができる。
本発明で得られる蛍光材料は、紫外域や可視短波長域(紫〜青)に発光を有するレーザーや発光ダイオード(LED)を光源として、それを可視光や近赤外光に変換する“色変換膜”あるいは“色変換樹脂”として使用することができる。また、有機EL素子、有機レーザー、空間光変調素子等の有機発光デバイスの材料として用いることができる。例えば、本発明の蛍光材料のフィルムを発光層/受光層として用いて、透明基板/透明電極/電荷輸送層/発光層/受光層/電極の積層体を形成することにより有機EL素子にすることができる。その他、通信用の光導波路や光源、光ファイバー増幅器、蛍光増白剤、塗料、インク、蛍光コレクター、シンチレータ、植物育成用フィルム、蛍光性表面コーティング材等に利用することができる。
すなわち、本発明は、本発明の蛍光材料を用いて製造された有機発光デバイスをも提供する。
また、本発明による蛍光材料は、紫外域や可視短波長域(紫〜青)に発光を有するレーザーや発光ダイオード(LED)を光源として、それを可視光や近赤外光に変換する“色変換膜”あるいは“色変換樹脂”として使用することができる。すなわち、本発明は、本発明の蛍光材料を用いて製造された有機光波長変換デバイスをも提供する。
すなわち、本発明は、本発明の蛍光材料を用いて製造された有機発光デバイスをも提供する。
また、本発明による蛍光材料は、紫外域や可視短波長域(紫〜青)に発光を有するレーザーや発光ダイオード(LED)を光源として、それを可視光や近赤外光に変換する“色変換膜”あるいは“色変換樹脂”として使用することができる。すなわち、本発明は、本発明の蛍光材料を用いて製造された有機光波長変換デバイスをも提供する。
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。
実施例1
三角フラスコに、3,3’,4,4’,-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s-BPDA)0.894g(1.03mmol)、及び4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン(DCHM)0.639g(1.03mmol)を加え、溶液の原材料の濃度が12重量%になるようにN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)11.2gを加えた。三角フラスコ中の溶液を窒素雰囲気中、室温で24時間攪拌し、ポリアミド酸のDMAc溶液を得た。得られたポリアミド酸のDMAc溶液を、静電紡糸法を用いて、印加電圧15kV、ノズル−基板間距離15cm、溶液供給流速15μL/分の条件で紡糸したナノファイバをSi基板上に積層し、真空下で、220℃程度の温度で1時間加熱閉環(イミド化)した。イミド化後、空気中でSi板から剥離することによりポリイミドナノファイバ膜を得た。得られたナノファイバ膜は、Si基板上に作製され、その厚みは約5μmで、不織布状であった。
得られたポリイミドナノファイバ膜を操作型電子顕微鏡により観察した。その結果を図1に示す。図1は、実施例1で得られたポリイミドナノファイバ膜の操作型電子顕微鏡写真であり、図1によれば、得られたナノファイバの直径は、平均300nmであることがわかった。
実施例1
三角フラスコに、3,3’,4,4’,-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s-BPDA)0.894g(1.03mmol)、及び4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン(DCHM)0.639g(1.03mmol)を加え、溶液の原材料の濃度が12重量%になるようにN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)11.2gを加えた。三角フラスコ中の溶液を窒素雰囲気中、室温で24時間攪拌し、ポリアミド酸のDMAc溶液を得た。得られたポリアミド酸のDMAc溶液を、静電紡糸法を用いて、印加電圧15kV、ノズル−基板間距離15cm、溶液供給流速15μL/分の条件で紡糸したナノファイバをSi基板上に積層し、真空下で、220℃程度の温度で1時間加熱閉環(イミド化)した。イミド化後、空気中でSi板から剥離することによりポリイミドナノファイバ膜を得た。得られたナノファイバ膜は、Si基板上に作製され、その厚みは約5μmで、不織布状であった。
得られたポリイミドナノファイバ膜を操作型電子顕微鏡により観察した。その結果を図1に示す。図1は、実施例1で得られたポリイミドナノファイバ膜の操作型電子顕微鏡写真であり、図1によれば、得られたナノファイバの直径は、平均300nmであることがわかった。
実施例1で得られたナノファイバの蛍光発光スペクトルを、励起波長365nm、蛍光観測波長350〜700nmで測定したところ、波長395nmを中心とした青紫色の蛍光発光が観測された。なお、常法(ポリアミド酸の溶液を基板上に回転塗布(スピンコート)した後、乾燥、熱処理して作製)により得られた、同じ化学構造を有するポリイミドフィルム(石英基板上;約10μm)についても同様に測定を行った。それぞれの結果を図2に示す。図2は、実施例1で得られたナノファイバ及び常法により得られたポリイミドフィルムについて、蛍光発光スペクトルを測定した結果を示すグラフである。図2から明らかなように、実施例1で得られたナノファイバについて395nmを中心に観測された青紫色蛍光の強度は、常法により得られたポリイミドフィルムの約3倍であることがわかった。
実施例2
三角フラスコに、3,3’,4,4’,-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s-BPDA)0.304g(1.03mmol)、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物(PTDA)0.000405g(0.00103mmol)、及び4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン(DCHM)0.217g(1.03mmol)を加え、溶液の原材料の濃度が10重量%になるようにN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)4.69gを加えた。三角フラスコ中の溶液を窒素雰囲気中、室温で24時間攪拌し、ポリアミド酸のDMAc溶液を得た。得られたポリアミド酸のDMAc溶液を、静電紡糸法を用いて印加電圧15kV、ノズル−基板間距離15cm、溶液供給流速10μL/分の条件で紡糸したナノファイバをSi基板上に積層し、真空下で、例えば220℃程度の温度で1時間加熱閉環(イミド化)した。イミド化後、空気中でSi板から剥離することによりポリイミドナノファイバ膜を得た。得られたナノファイバ膜は、Si基板上に作製され、その厚みは約5μmで、不織布状であった。
得られたポリイミドナノファイバ膜を操作型電子顕微鏡により観察した。その結果を図3に示す。図3は、実施例2で得られたポリイミドナノファイバ膜の操作型電子顕微鏡写真であり、図2によれば、得られたナノファイバの直径は、平均200nmであることがわかった。
三角フラスコに、3,3’,4,4’,-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s-BPDA)0.304g(1.03mmol)、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物(PTDA)0.000405g(0.00103mmol)、及び4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン(DCHM)0.217g(1.03mmol)を加え、溶液の原材料の濃度が10重量%になるようにN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)4.69gを加えた。三角フラスコ中の溶液を窒素雰囲気中、室温で24時間攪拌し、ポリアミド酸のDMAc溶液を得た。得られたポリアミド酸のDMAc溶液を、静電紡糸法を用いて印加電圧15kV、ノズル−基板間距離15cm、溶液供給流速10μL/分の条件で紡糸したナノファイバをSi基板上に積層し、真空下で、例えば220℃程度の温度で1時間加熱閉環(イミド化)した。イミド化後、空気中でSi板から剥離することによりポリイミドナノファイバ膜を得た。得られたナノファイバ膜は、Si基板上に作製され、その厚みは約5μmで、不織布状であった。
得られたポリイミドナノファイバ膜を操作型電子顕微鏡により観察した。その結果を図3に示す。図3は、実施例2で得られたポリイミドナノファイバ膜の操作型電子顕微鏡写真であり、図2によれば、得られたナノファイバの直径は、平均200nmであることがわかった。
実施例2で得られたナノファイバの蛍光発光スペクトルを、励起波長365nm、蛍光観測波長350〜700nmで測定したところ、波長395nmおよび525nmを中心に2つのピークからなる蛍光発光が観測された。この蛍光色は、やや青みがかった白色であった.なお、常法(ポリアミド酸の溶液を基板上に回転塗布(スピンコート)した後、乾燥、熱処理して作製)により得られた、同じ化学構造を有するポリイミドフィルム(Si基板上;約5μm)についても同様に測定を行った。それぞれの結果を図4に示す。図4は、実施例2で得られたナノファイバ及び常法により得られたポリイミドフィルムについて、蛍光発光スペクトルを測定した結果を示すグラフである。図2から明らかなように、実施例1で得られたナノファイバについての395nmおよび525nmを中心に観測された白色の蛍光強度は、常法により得られたポリイミドフィルムの約3倍であることがわかった。
実施例3
三角フラスコに、4,4’-(2,2-ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)1.040g(2.34mmol)、及び4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン(DCHM)0.493g(2.34mmol)を加え、溶液の原材料の濃度が12重量%になるようにN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)4.69gを加えた。三角フラスコ中の溶液を窒素雰囲気中、室温で24時間攪拌し、ポリアミド酸のDMAc溶液を得た。得られたポリアミド酸のDMAc溶液を、静電紡糸法を用いて印加電圧15kV、ノズル−基板間距離15cm、溶液供給流速15μL/分の条件で紡糸したナノファイバをSi基板上に積層し、真空下で、例えば220℃程度の温度で1時間加熱閉環(イミド化)した。イミド化後、空気中でSi板から剥離することによりポリイミドナノファイバ膜を得た。得られたナノファイバ膜は、Si基板上に作製され、その厚みは約4μmで、不織布状であった。
得られたポリイミドナノファイバ膜を操作型電子顕微鏡により観察した。その結果を図5に示す。図5は、実施例3で得られたポリイミドナノファイバ膜の操作型電子顕微鏡写真であり、図5によれば、得られたナノファイバの直径は、平均200nmであることがわかった。
三角フラスコに、4,4’-(2,2-ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)1.040g(2.34mmol)、及び4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン(DCHM)0.493g(2.34mmol)を加え、溶液の原材料の濃度が12重量%になるようにN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)4.69gを加えた。三角フラスコ中の溶液を窒素雰囲気中、室温で24時間攪拌し、ポリアミド酸のDMAc溶液を得た。得られたポリアミド酸のDMAc溶液を、静電紡糸法を用いて印加電圧15kV、ノズル−基板間距離15cm、溶液供給流速15μL/分の条件で紡糸したナノファイバをSi基板上に積層し、真空下で、例えば220℃程度の温度で1時間加熱閉環(イミド化)した。イミド化後、空気中でSi板から剥離することによりポリイミドナノファイバ膜を得た。得られたナノファイバ膜は、Si基板上に作製され、その厚みは約4μmで、不織布状であった。
得られたポリイミドナノファイバ膜を操作型電子顕微鏡により観察した。その結果を図5に示す。図5は、実施例3で得られたポリイミドナノファイバ膜の操作型電子顕微鏡写真であり、図5によれば、得られたナノファイバの直径は、平均200nmであることがわかった。
実施例3で得られたナノファイバの蛍光発光スペクトルを、励起波長365nm、蛍光観測波長350〜700nmで測定したところ、波長420nmを中心に青色の蛍光発光が観測された。なお、常法(ポリアミド酸の溶液を基板上に回転塗布(スピンコート)した後、乾燥、熱処理して作製)により得られた、同じ化学構造を有するポリイミドフィルム(Si基板上;約8μm)についても同様に測定を行った。それぞれの結果を図6に示す。図6は、実施例3で得られたナノファイバ及び常法により得られたポリイミドフィルムについて蛍光発光スペクトルを測定した結果を示すグラフである。図6から明らかなように、実施例3で得られたナノファイバの蛍光強度は、常法により得られたポリイミドフィルムに比して蛍光強度はわずかに増加したものの、6FDA/DCHMは元来、無蛍光性であることから、ナノファイバ形状とした場合であっても、蛍光性の顕著な上昇は見られなかった。
実施例4
三角フラスコに、1,4−ジフルオロピロリメット酸二無水物(P2FDA)0.843g(3.32mmol)、及び4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン(DCHM)0.698g(3.32mmol)を加え、溶液の原材料の濃度が13重量%になるようにN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)10.3gを加えた。三角フラスコ中の溶液を窒素雰囲気中、室温で24時間攪拌し、ポリアミド酸のDMAc溶液を得た。得られたポリアミド酸のDMAc溶液を、静電紡糸法を用いて印加電圧17kV、ノズル−基板間距離15cm、溶液供給流速10μL/分の条件で紡糸したナノファイバをSi基板上に積層し、真空下で、例えば220℃程度の温度で1時間加熱閉環(イミド化)した。イミド化後、空気中でSi板から剥離することによりポリイミドナノファイバ膜を得た。得られたナノファイバ膜は、Si基板上に作製され、その厚みは約7μmで、不織布状であった。
得られたポリイミドナノファイバ膜を操作型電子顕微鏡により観察した。その結果を図7に示す。図7は、実施例4で得られたポリイミドナノファイバ膜の操作型電子顕微鏡写真であり、図7によれば、得られたナノファイバの直径は、平均120nmであることがわかった。
三角フラスコに、1,4−ジフルオロピロリメット酸二無水物(P2FDA)0.843g(3.32mmol)、及び4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン(DCHM)0.698g(3.32mmol)を加え、溶液の原材料の濃度が13重量%になるようにN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)10.3gを加えた。三角フラスコ中の溶液を窒素雰囲気中、室温で24時間攪拌し、ポリアミド酸のDMAc溶液を得た。得られたポリアミド酸のDMAc溶液を、静電紡糸法を用いて印加電圧17kV、ノズル−基板間距離15cm、溶液供給流速10μL/分の条件で紡糸したナノファイバをSi基板上に積層し、真空下で、例えば220℃程度の温度で1時間加熱閉環(イミド化)した。イミド化後、空気中でSi板から剥離することによりポリイミドナノファイバ膜を得た。得られたナノファイバ膜は、Si基板上に作製され、その厚みは約7μmで、不織布状であった。
得られたポリイミドナノファイバ膜を操作型電子顕微鏡により観察した。その結果を図7に示す。図7は、実施例4で得られたポリイミドナノファイバ膜の操作型電子顕微鏡写真であり、図7によれば、得られたナノファイバの直径は、平均120nmであることがわかった。
実施例2で得られたナノファイバの蛍光発光スペクトルを、励起波長510nm、蛍光観測波長350〜700nmで測定したところ、波長590nmおよび715nmを中心に2つのピークからなる蛍光発光が観測された。この蛍光色は、鮮やかな赤橙色であった.なお、常法(ポリアミド酸の溶液を基板上に回転塗布(スピンコート)した後、乾燥、熱処理して作製)により得られた、同じ化学構造を有するポリイミドフィルム(Si基板上;約13 μm)についても同様に測定を行った。それぞれの結果を図8に示す。図8は、実施例4で得られたナノファイバ及び常法により得られたポリイミドフィルムについて、蛍光発光スペクトルを測定した結果を示すグラフである。図8から明らかなように、実施例4で得られたナノファイバについての590nmおよび715nmを中心に観測された赤橙色の蛍光強度は、常法により得られたポリイミドフィルムの約3倍であることがわかった。
実施例5
実施例2で得た強い白色蛍光を示すポリイミドナノファイバ膜(平均膜厚5μm)をSi基板から剥離し、それを2〜8層重ね合わせて150〜180℃で圧縮成形した.その成形体を波長365nmの単色光を発する発光ダイオード(日亜化学製:NSHU550B)の発光先端部に装着し、透過した光のスペクトルを測定したところ、波長380nm以上において、図2と同じ形状のスペクトルが得られた.すなわち、このポリイミドナノファイバ膜は、高効率の色変換膜(波長変換膜)あるいは色変換機能を有する耐熱性樹脂として使用することができ、また、紫外線発光素子と蛍光発光性ポリイミドを組み合わせたものが、色変換デバイスとして使用することができることがわかった。
実施例2で得た強い白色蛍光を示すポリイミドナノファイバ膜(平均膜厚5μm)をSi基板から剥離し、それを2〜8層重ね合わせて150〜180℃で圧縮成形した.その成形体を波長365nmの単色光を発する発光ダイオード(日亜化学製:NSHU550B)の発光先端部に装着し、透過した光のスペクトルを測定したところ、波長380nm以上において、図2と同じ形状のスペクトルが得られた.すなわち、このポリイミドナノファイバ膜は、高効率の色変換膜(波長変換膜)あるいは色変換機能を有する耐熱性樹脂として使用することができ、また、紫外線発光素子と蛍光発光性ポリイミドを組み合わせたものが、色変換デバイスとして使用することができることがわかった。
Claims (8)
- 下記一般式(1)で表わされる繰り返し単位からなるポリイミドを含み、静電紡糸法(エレクトロスピニング法)を用いて作製されたナノファイバの集積体からなる、不織布状又は板状、塊状の形状を有する蛍光材料。
- 上記一般式(1)において、R2が脂環式構造又は芳香族構造を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の蛍光材料。
- 上記一般式(1)において、請求項1〜4のいずれか一項に記載される2種類の繰り返し単位からなる共重合ポリイミドを含み、静電紡糸法(エレクトロスピニング法)を用いて作製されたナノファイバの集積体からなる、不織布状又は板状、塊状の形状を有する蛍光材料
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の蛍光材料を用いて製造された有機発光デバイス。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の蛍光材料を用いて製造された有機光波長変換デバイス。
- (a)エレクトロスピニング装置のコレクター電極上に基板を配置する工程;
(b)前記電極上に配置された基板に向けて、高電圧を印加した紡糸ノズルから、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリイミド前駆体溶液もしくはポリイミド溶液をスプレーし、基板上に多数のナノファイバを集積する工程;及び
(c)該ナノファイバが集積された基板をナノファイバとともに焼成して、不織布状あるいは板状、塊状の形状を有するナノファイバの積層体を形成する工程;
を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項記載の蛍光材料の製造方法。
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