JP2009149728A - ポリエーテルの製造方法 - Google Patents

ポリエーテルの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009149728A
JP2009149728A JP2007327277A JP2007327277A JP2009149728A JP 2009149728 A JP2009149728 A JP 2009149728A JP 2007327277 A JP2007327277 A JP 2007327277A JP 2007327277 A JP2007327277 A JP 2007327277A JP 2009149728 A JP2009149728 A JP 2009149728A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyether
gly
group
formula
derivatives
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007327277A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5105166B2 (ja
Inventor
Shuichi Sugawara
州一 菅原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Noguchi Institute
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Noguchi Institute
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp, Noguchi Institute filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP2007327277A priority Critical patent/JP5105166B2/ja
Publication of JP2009149728A publication Critical patent/JP2009149728A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5105166B2 publication Critical patent/JP5105166B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Polyethers (AREA)

Abstract

【課題】ペンダント状にカルボキシメチル基を導入することで薬物の担持能力に優れ、しかも薬物を標的部位に移行させることのできるポリエーテルによる薬物送達用担体を提供する。
【解決手段】下式(I)及び式(II)で表される化合物から得られるランダム共重合式。
Figure 2009149728

Figure 2009149728

(式中、Rは−ORまたは−NHRで示される基を表し、R及びRは水素、ナトリウムなどの無機塩基あるいは有機塩基またはC〜C15の炭化水素を含む基、または薬理作用を有する基を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、側鎖にペンダント状カルボキシメチル基を導入したポリエーテル、これを用いた薬物送達用担体及び薬物複合体に関する。また、医薬化合物を標的部位に到達させるためのポリエーテルの製造方法に関する。
例えば抗腫瘍薬等の薬物(医薬化合物)は、静脈内投与や経口投与などの投与経路により全身的に投与されると、特定の腫瘍部位に移行して癌細胞の増殖を阻害ないし抑制することにより治療効果を発揮する。しかしながら、全身投与された抗腫瘍薬は、血中から肝臓、脾臓、骨髄といった網内系臓器に取り込まれる、あるいは腎臓を介し尿中に排泄されるために血中濃度が低下し、腫瘍部位への移行が十分に行われない、また場合によっては毒性発現する場合がある。
また、通常の抗腫瘍薬を単独で全身投与した場合には、腫瘍部位への移行選択性(腫瘍選択性)が低いために、抗腫瘍薬が全身の様々な細胞・組織・臓器に満遍なく分布してしまい、正常な細胞や組織に対しても細胞毒として作用し、嘔吐、発熱、あるいは脱毛などの副作用を極めて高率に発生させるという問題が指摘されている。そこで、抗腫瘍薬を効率的かつ選択的に腫瘍部位に移行させる技術の開発、更には到達した腫瘍部位からの制御された薬物放出を行う技術が求められてきた。
このような技術の一つとして、例えば、多糖の様な水溶性高分子に抗腫瘍薬を結合させて、抗腫瘍薬の血中からの消失を遅延させ、かつ、癌組織への指向性を高める方法が提案されている。例えば、種々の多糖に対してアドリアマイシンを結合させた複合体が開示されている例がある(特許文献1)。また、カルボキシメチルデキストランを含む種々の多糖誘導体にアンスラサイクリン系抗腫瘍薬を結合させた錯体が開示されている例もある(非特許文献1)。さらに、カルボキシアルキルデキストランポリアルコールに対してペプチドを介して薬物を結合させた複合体が開示されている例がある(特許文献2)。これらの天然由来の多糖は水酸基等の官能基を有し薬物担持能力に優れるものの、天然物であることから均一な品質のものを容易に得られないといった問題点がある。
一方、合成高分子を薬物送達用担体として用いた例としては、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)にリンカーを介し血管新生阻害薬(TNP−470)を結合させた例が報告されている(非特許文献2)。また、ポリエチレングリコール(PEG)にパクリタキセルを結合させた複合体が開示されている例がある(非特許文献3)。これらの合成高分子は生体内で分解されないという特徴があるものの、血漿増量剤などとして生体に投与されるなど、安全性の面ではハードルが低い。
米国特許第5,688,931号公報 特開2002-30002号公報 Biol. Pharm. Bull., 24, 535-543(2001) Nature Medicine, 10, 255-261(2004) J. Med. Chem., 39, 424-431(1996)
従来のポリエチレングリコールは、薬物の担持能力及び薬物送達などの面で十分満足できるものではなかった。従って、薬物の担持能力に優れ、しかも薬物を標的部位に移行させることのできるポリエーテルによる薬物送達用担体、及びこの担体を用いた薬物複合体を提供すること及びこのようなポリエーテルの簡易な製造方法を提供することが望まれている。
本発明は上記課題に鑑み鋭意研究した結果、ペンダント状にカルボキシメチル基を導入した特定の構造単位からなるポリエーテルを薬物送達用の担体として用いることで本課題を解決することに成功した。すなわち、本発明は以下の構成からなる。
(1)式(I)および式(II)で表される化合物を共重合して得られる、式(III)および式(IV)で表される繰り返し単位を有するポリエーテル。
Figure 2009149728
Figure 2009149728
Figure 2009149728
Figure 2009149728
(式中、Rは−ORまたは−NHRで示される基を表し、RおよびRは水素、無機塩基あるいは有機塩基またはC〜C15の炭化水素を含む基、または薬理作用を有する基を表す。ここで同一の共重合体内でR1、RまたはRは同一であっても異なっていてもよい。各構造単位のモル比は、(III)/((III)+(IV))=0.001〜0.5であり、構造単位(III)および(IV)のモル%はそれぞれ(III)=0.1〜99.9および(IV)=0.1〜99.9である。ここで、式(III)および式(IV)を構造単位として含むポリエーテルは、ポリエチレングリコール(PEG)換算重量平均分子量が1,000〜100,000である。)
(2)下式(V)および式(VI)を構造単位として含むポリエーテルに対し、薬理作用を有する基を、薬理作用を有する基自身が有するアミノ基を介して、あるいは、アミノ基を有するリンカーを介して結合させることにより得られる式(VII)を含みかつ(V)、(VI)を構造単位として含む前記(1)に記載のポリエーテル。
Figure 2009149728
Figure 2009149728
Figure 2009149728
(式中、Rは水素、無機塩基あるいは有機塩基を示し、NH−Rは自身が有するアミノ基を介し、あるいは自身が結合したリンカーが有するアミノ基を介し結合した薬理作用を有する基を示す。各構造単位のモル比は、(VII)/((V)+(VI)+(VII))=0.001〜0.5である。各構造単位(V)、(VI)および(VII)のモル%はそれぞれ(V)=0〜99.9、(VI)=0.1〜99.8および(VII)=0.1〜99.8である。ここで、式(V)、(VI)および式(VII)を構造単位として含むポリエーテルは、PEG換算重量平均分子量が1,000〜100,000である。)
(3)ポリエチレングリコール(PEG)換算重量平均分子量/PEG換算数平均分子量(Mw/Mn)が1.1〜2.7である前記(1)または(2)に記載のポリエーテル。
(4)薬理作用を有する基がリンカーと結合した基である前記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリエーテル。
(5)リンカーがアミノ酸もしくはペプチドである前記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリエーテル。
(6)リンカーがGly,Ala,Leu,Ile,Pheで示されるアミノ酸から選択または組み合わせて用いられる前記(1)〜(5)のいずれかに記載のポリエーテル。
(7)リンカーがGly−Gly,Ala−GLy,Gly−Ala,Leu−Gly,Gly−Leu,Ile−Gly,Gly−Ile,Phe−Gly,Gly−Phe,Gly−Gly−Gly,Gly−Phe−Gly,Phe−Gly−Gly,Gly−Gly−Phe,Gly−Gly−Phe−Glyから選択される前記(1)〜(6)のいずれかに記載のポリエーテル。
(8)薬理作用を有する基が分子中に官能基としてアミノ基、またはカルボキシル基、または水酸基を有する前記(1)〜(7)のいずれかに記載のポリエーテル。
(9)薬理作用を有する基が抗悪性腫瘍薬、抗炎症薬、抗リウマチ薬、酵素阻害薬または核酸である前記(1)〜(8)のいずれかに記載のポリエーテル。
(10)抗悪性腫瘍薬がアルキル化薬、代謝拮抗薬、抗腫瘍性抗生物質、微小管阻害薬、ホルモン類似薬、白金製剤、トポイソメラーゼ阻害薬、生物製剤(サイトカイン)、分子標的治療薬、非特異的免疫賦活薬およびその誘導体から選択される前記(9)に記載のポリエーテル。
(11)アルキル化薬がシクロフォスファミドなどのマスタード薬、ニムスチンなどのニトロソウレア類およびその誘導体から選択される前記(10)に記載のポリエーテル。
(12)代謝拮抗薬が葉酸代謝拮抗薬であるメトトレキセート、ピリミジン代謝拮抗薬である5−フルオロウラシル、プリン代謝拮抗薬の6−MPおよびその誘導体から選択される前記(10)に記載のポリエーテル。
(13)抗腫瘍性抗生物質がアンスラサイクリン系のドキソルビシン、ダウノルビシン、マイトマイシンCおよびそれらの誘導体から選択される前記(10)に記載のポリエーテル。
(14)微小管阻害薬がタキサン系のパクリタキセル、ドセタキセルおよびその誘導体から選択される前記(10)に記載のポリエーテル。
(15)ホルモン類似薬がタモキシフェンおよびその誘導体から選択される前記(10)に記載のポリエーテル。
(16)白金製剤がシスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチンおよびその誘導体から選択される前記(10)に記載のポリエーテル。
(17)トポイソメラーゼ阻害薬がトポイソメラーゼI阻害薬のイリノテカン、ノギテカンおよびその誘導体から選択される前記(10)に記載のポリエーテル。
(18)生物製剤がインターフェロンおよびその誘導体から選択される前記(10)に記載のポリエーテル。
(19)分子標的治療薬がイマチニブ、ゲフィチニブ、リツキシマブおよびその誘導体から選択される前記(10)に記載のポリエーテル。
(20)抗炎症薬が副腎皮質ステロイド薬、非ステロイド性抗炎症薬およびその誘導体から選択される前記(9)に記載のポリエーテル。
(21)副腎皮質ステロイド薬がヒドロコルチゾン、コルチゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾンおよびその誘導体から選択される前記(20)に記載のポリエーテル。
(22)非ステロイド性抗炎症薬がサリチル酸系のアスピリン、アントラニル系のメフェナム酸、プロピオン酸系のイブプロフェン、ロキソプロフェン、アリール酢酸系のジクロフェナク、インドメタシンおよびその誘導体から選択される前記(20)に記載のポリエーテル。
(23)抗リウマチ薬が免疫調節薬、免疫抑制薬、生物学的製剤およびその誘導体から選択される前記(9)に記載のポリエーテル。
(24)免疫調節薬が金チオリンゴ酸ナトリウム、ペニシラミン、ロベンザリットおよびその誘導体から選択される前記(23)に記載のポリエーテル。
(25)免疫抑制薬がミゾリビン、メトトレキサート、レフルノミド、タクロリムスおよびその誘導体から選択される前記(23)に記載のポリエーテル。
(26)生物学的製剤がインフリキシマブ、エタネルセプトおよびその誘導体から選択される前記(23)に記載のポリエーテル。
(27)酵素阻害薬がファスジルおよびその誘導体から選択される前記(9)に記載のポリエーテル。
(28)前記(1)〜(27)のいずれかに記載のポリエーテルを含む製剤。
(29)前記(1)におけるRが水素又は無機塩基、または有機塩基であるポリエーテルを用いた生体内組織への薬物、遺伝子、あるいは生体内イメージング用造影剤に対する送達用担体。
(30)前記(1)におけるRが水素又は無機塩基、または有機塩基であるポリエーテルを用いた薬剤、ペプチド、核酸または蛋白を担持あるいは固定化するための担体。
(31)前記(1)〜(27)のいずれかに記載のポリエーテルを架橋してなる構造体を疾患部位に投与することによる治療方法。
(32)薬物送達製剤の製造における前記(1)〜(27)のいずれかに記載のポリエーテルの使用。
(33)式(I)および式(II)で表される化合物をランダム共重合して、式(III)および式(IV)で表される繰り返し単位を有するポリエーテルを製造する方法。
Figure 2009149728
Figure 2009149728
Figure 2009149728
Figure 2009149728
(式中、Rは−ORまたは−NHRで示される基を表し、RおよびRは水素、無機塩基あるいは有機塩基またはC〜C15の炭化水素を含む基、または−NHRは薬理作用を有する基を表す。ここで同一の共重合体内でR1、RまたはRは同一であっても異なっていてもよい。各構造単位のモル比は、(III)/((III)+(IV))=0.001〜0.5であり、構造単位(III)および(IV)のモル%はそれぞれ(III)=0.1〜99.9および(IV)=0.1〜99.9である。ここで、式(III)および式(IV)を構造単位として含むポリエーテルは、ポリエチレングリコール(PEG)換算重量平均分子量が1,000〜100,000である。)
(34)重合に用いる触媒が塩基およびルイス酸から選択される前記(33)に記載のポリエーテルを製造する方法。
(35)重合に用いる触媒が水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウムやナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリムプロポキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムプロポキシド、カリウムt−ブトキシド、カリウム−t−2−メチル−2−ブトシキドおよび三フッ化ホウ素エーテル錯体、トリアルキルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリブチルアルミニウムから選択され、単独もしくは混合して使用される前記(33)に記載のポリエーテルを製造する方法。
(36)前記(1)〜(27)のいずれかに記載のポリエーテルを静脈内より生体内に投与することによる治療方法。
(37)前記(1)〜(27)のいずれかに記載のポリエーテルを疾患部位に投与することによる治療方法。
(1)本発明のポリエーテルは、側鎖に任意の数のカルボキシル基がペンダント状に導入されたポリエーテルであって、従来のポリエチレングリコール(以下、PEGということがある)の場合のようにポリマーの主鎖両端にのみ薬物が担持されるのでなく、ポリマーの側鎖にも化合物や薬物が容易に結合され得る。その結果、化合物や薬物の導入量を制御することが可能となり、結果として高導入量あるいは高薬物含量の複合体あるいは製剤が調製可能となる。製剤として生体に投与する場合には、総投与量を減じることが可能となり投与時間の減少、投与液量の減少等、患者に対する負荷が減少する。
(2)本発明のポリエーテルは、ペンダント状側鎖カルボキシル基を有するためにアミド結合を利用する事により高収率で容易に薬物担持が可能となる。
(3)本発明のポリエーテルは、ペンダント状側鎖カルボキシル基を無機塩あるいは有機塩に変換することで、水に対する溶解性がより高くなり、例えば難水溶性化合物の可溶化に優れる。特に注射剤用の薬物送達用担体として有用である。
(4)本発明のポリエーテルは特に、薬物送達用担体として用いる場合は、生体に対する安全性が高い。これは、側鎖に導入された適度な量のカルボキシル基による負電荷のために、肝臓、脾臓、骨髄といった代謝臓器、副作用発現臓器への分布が軽減され、臓器障害や細胞毒性を引き起こす可能性が低減されると考えられるからである。従って、本発明のポリエーテルを医療用として用いた場合、生体との相互作用が極めて少なく安全な材料といえる。
(5)本発明のポリエーテルは特に、薬物送達用担体として用いられた場合は、担持した薬物を標的とする腫瘍臓器あるいは炎症臓器に選択的に集積させることが可能となる。
本発明のポリエーテルは、ランダム共重合ポリエーテルからなり、下記式(III)及び(IV)で表される構造単位を含む。本発明のポリエーテルの分子量は、PEG換算重量平均分子量で1,000〜200,000である。前記の重量平均分子量が1,000未満になるとポリエーテルは極めて水に溶けやすいが体内からの排泄速度も極めて大きい、200,000を越えるとポリエーテルは水に溶けるものの粘度が上昇するからである。薬物送達用担体としての生体への安全性を考慮するとポリエーテルの重量平均分子量は1,000〜150,000が好ましく、1,000〜100,000がより好ましい。さらに、血中滞留性向上と腎排泄の容易さから判断すれば1,000〜70,000が好ましい。生体中の血漿アルブミンの分子量(約67,000)よりも低い場合、ポリエーテルの体外への排泄が迅速に進行するためである。従って、特に、体外への排泄が制御されながら生体への安全性も高い10,000〜70,000程度の分子量であることがより好ましい。また、生体内に投与した場合の血中滞留性をより向上させるためには、30,000〜70,000が更に好ましい。
ここでPEG換算重量平均分子量とは、GPCにより分子量の測定を実施した場合において、PEGを標準試料(TSKstandard POLY(ETHYLENE OXIDE)、TOSOH(株)製)とし、その重量平均分子量に換算して得られた分子量をいう。PEGは水溶性溶媒及び有機溶媒にも可溶なため、親水性重合体及び疎水性重合体の分子量測定の際に分子量標準物質として用いる。
本発明のポリエーテルは、同一分子中における親水性部分と疎水性部分をランダムに分散させるためにランダム共重合により製造されることを特徴としている。本発明のポリエーテルを、ブロック共重合により製造すると、界面活性剤として作用するポリエーテルが生成される可能性があり、そのようなポリエーテルを生体内に投与した場合溶血作用を発現する可能性があり、生体にとって悪影響を及ぼす危険性があるからである。
Figure 2009149728
Figure 2009149728
本発明のポリエーテルの各構造単位のモル比は、(III)/((III)+(IV))=0.001〜0.5であり、構造単位(III)及び(IV)のモル%はそれぞれ(III)=0.1〜99.9及び(IV)=0.1〜99.9である。
本発明の薬物複合体ならびに薬物送達用担体における重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)で表示する分子量分布としては、目的とする薬理効果を十分に発揮するために薬物複合体ならびに薬物送達用担体の品質の均一性が重要であることから、上記の分子量分布が1.2〜2.7であることが望ましい。該薬物複合体ならびに該薬物送達用担体に関し品質確保のためには1.2〜2.2であることが好ましく、1.1〜1.8であることがより好ましく、さらに1.0〜1.5であることがなお一層好ましい。
一般式(III)、(IV)式中、Rは−ORまたは−NHRで示される基を表し、R及びRは水素、ナトリウムなどの無機塩基あるいは有機塩基またはC〜C15の炭化水素を含む基、または薬理作用を有する基を表す。ここで、同一の共重合体内でR1、RまたはRは同一であっても異なっていてもよい。
一般式(III)の例として、一般式(V)及び(VII)が挙げられ、これら一般式(III)、(V)、(VII)で表されるポリエーテルを製造するためのモノマー原料の例としては、エチレンオキサイド及びグリシドールの水酸基を有機置換基で置換したグリシジルエーテル誘導体(一般式(VIII))、アミノ酸またはペプチドを導入したグリシジルエーテル誘導体(一般式(IX))等を挙げることができる。
Figure 2009149728
(式中、Rは水素、ナトリウム等の無機塩基あるいは有機塩基を示す。)
Figure 2009149728
(式中、Rは自身が有するアミノ基を介し、あるいは自身が結合したリンカーが有するアミノ基を介し結合した薬理作用を有する基を示す。

Figure 2009149728
(式中、RはC〜C15の炭化水素を含む基を表し、同一の共重合体においてRは同一であっても異なっていてもよい。)
Figure 2009149728
(式中、RはC〜C20の脂肪族炭化水素を有する基、又はC〜C20の芳香族炭化水素誘導体を有する基を示し、同一の共重合体内でRは同一であっても異なっていても良い。)
ここで一般式(VIII)で表されるグリシジルエーテル誘導体は例えば下記に示すようなスキームに従い製造することができるが、以下の方法に限定されるわけではない。例えば一般式(VIII)におけるRがCの場合については、ヒドロキシ酢酸とエピクロロヒドリンを出発原料として2,3-epoxypropyl epoxypropoxyacetateを得る合成例について1960年に開示されている(特許文献3)。また一般式(VIII)におけるRがエチル基の場合については、グリシドールを原料とする合成例が報告されている(非特許文献4)。本発明においては、下記に示すようなスキームに従い製造した。すなわちアリルアルコール(A)を原料とし水素化ナトリウム等の塩基の存在下、クロロ酢酸を反応させその後酸性条件下にて有機溶媒にて抽出することでカルボキシメチル基導入体(B)を得、ジシクロヘキシルカルボジイミド等の縮合剤存在下でアルコールを反応させることでエステル体(C)を得る。その後、3−クロロ過安息香酸、過酢酸等の酸化剤によりオレフィン部分の酸化反応を行い目的とする上述一般式(VIII)で示されるグリシジルエーテル誘導体(D)を得る。
米国 2925426号公報 油化学,36,874-881 (1987)
Figure 2009149728

例えば、グリシジルエーテル誘導体としては、Rとしてメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等の脂肪族炭化水素、あるいはフェニル、p−ニトロフェニル、ベンジル、p−メトキシベンジル等の芳香族炭化水素及び誘導体、グリシジル、さらには窒素原子で結合した無水コハク酸を挙げることができる。これらのRに関してはエポキシの開環重合が終了した後、酸処理、塩基処理、水素添加などの通常の有機合成で用いる脱保護の条件により除去することでカルボン酸を形成することが可能である。あるいはRとして、例えばp−ニトロフェニル、無水コハク酸等のペプチド合成で用いられる活性エステルと呼ばれる基を導入した場合には、カルボン酸を経由することなくRに対してアミノ基を有する化合物を直接反応させることでアミド結合(ペプチド結合)を形成させることも可能である。
また、下式(IX)で示される様にグリシジルエーテル誘導体としてアミノ酸またはペプチドを導入したモノマー原料もまた本発明のモノマー原料である。
Figure 2009149728

(式中、RはC〜C20の脂肪族炭化水素を有する基、C〜C20の芳香族炭化水素誘導体を有する基を示し、同一の共重合体内でRは同一であっても異なっていても良い。)
ここで一般式(IX)で表されるグリシジルエーテル誘導体は下記に示すようなスキームに従い製造することができる。例えば上述のカルボキシメチル基導入体(B)を原料として用い、ジシクロヘキシルカルボジイミド等の縮合剤存在下でアミン類を反応させることでアミド体(E)を得る。その後3−クロロ過安息香酸等の酸化剤によりオレフィン部分の酸化反応を行い目的とする上述一般式(IX)で示されるグリシジルエーテル誘導体(F)を得る。
Figure 2009149728
例えば上述のアミン類としては必要に応じて側鎖及びカルボキシル基が保護されたアミノ酸、ペプチド、あるいはベータアラニン等のアミノカルボン酸などが挙げられる。ここで式(IX)の具体例としては下式(X)で示される様なグリシンベンジルエステルが導入されてなるグリシジルエーテル誘導体を挙げることが出来る。
Figure 2009149728
本発明のポリエーテルの製造における最大の特徴は、モノマーとしてカルボキシメチル基が導入されているものを用いるため、一段階の重合工程でポリマーに直接カルボキシル基が導入されることである。更に、カルボキシメチル基導入量をエチレンオキサイドに対するモノマー使用量の調節によって制御可能であることも特徴である。
このように、カルボキシル基を有するモノマーを用いてランダム重合して得られた本発明のポリエーテルは、従来技術であるPEGに比べ様々な点において優れている。すなわち、本発明のポリエーテルは、側鎖に反応性の高いカルボキシメチル基が導入されていることから、水溶解性、水和能力、保水能力及び官能基導入能力に優れる。また、導入量が制御された側鎖カルボキシル基を有効に用いることにより、薬物等を結合させて所望の薬物含有量からなる薬物複合体を得ることが可能となる。より具体的には、アルゴン雰囲気下、THF、トルエン等の溶媒中、あるいは場合によってはDMFやDMSO等を用い水−有機溶媒の混合系、あるいは水溶液中においてペプチド合成で使用される縮合剤等の存在下で本発明のポリエーテルのカルボキシメチル基に対して薬物、ペプチド、生体イメージング用造影剤、核酸及び蛋白を結合させることが可能である。
このようにして得られる機能基導入ポリエーテルは、薬物送達医薬や蛋白精製用担体など医療行為のために用いられる医療用材料として非常に優れている。また、カルボキメチル基が特に活性エステルに変換された場合は縮合剤の存在無しにアルゴン雰囲気下、THF、エーテル、DMF、DMSO、トルエン等の有機溶媒中、あるいは含水有機溶媒中、あるいは場合によってはPBS等の緩衝液中あるいは水溶液中において薬剤、ペプチド、核酸及び蛋白を結合させることが可能である。このような機能基導入ポリエーテルは、薬物送達医薬や蛋白精製用担体など医療行為のために用いられる医療用材料として優れている。
従来技術として、PEGは、医薬用途として広く用いられているが、両末端だけにしか官能基導入に使える水酸基が存在しないために薬物担持能力が極めて低く、薬物送達のための担体としては適切でない。また、薬物の血中滞留性を向上させて標的臓器への薬物送達を試みた場合、PEGの分子量を増加させて腎排泄を妨げなければならない問題が生じる。例えば、PEG分子量が6万であるとき薬剤が500とすればPEGの一分子には両端の水酸基に2分子の薬物しか導入されないため薬剤の導入量は重量%では1.6%となる。更に例えばPEG分子量4万にカンプトテシンを導入したプロドラッグ製剤PROTHECANにおいて薬物含量は1.7%(w/w)となることが報告されている(非特許文献5)。
TRENDS in Biotechnology, 24(1), 39-47 (2006)
これらの場合、例えば患者にPEGを担体として用い製剤化した薬物を投与しようとすると、必要薬剤量の60倍のPEG製剤を投与する必要があり、患者にとって薬剤投与時の負荷が極めて大きい。これに対し、本発明のポリエーテルは、側鎖にカルボキシル基を多数導入することが可能であるために薬物の導入量を自由に増加させることができ、例えば複合体に対する薬剤導入量を10%以上とすることも可能である。従って、本発明の薬物複合体の総投与量を従来のPEG複合体投与量に比べて大幅に減らすことができ、患者に対する投与時の負荷を大幅に軽減することが可能となる。
本発明のポリエーテルの組成については、反応に用いる原料の種類、原料の重量、重合開始剤の種類、重合開始剤の添加量、反応溶媒の有無、反応溶媒の選択、反応温度、反応時間、原料濃度、重合開始剤濃度、反応雰囲気、反応圧力、撹拌状態、撹拌速度等の調整により、種々の組成比を有するポリエーテルが製造される。例えばトルエン、ヘキサン、ヘプタン、2−メトキシエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル等の反応溶媒中または無溶媒で、エチレンオキサイドと共に種々のグリシジルエーテル類を、例えば三フッ化ホウ素エーテル錯体、トリアルキルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウムやトリブチルアルミニウムなどのルイス酸等の金属重合開始剤あるいは水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウムやナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリムプロポキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムプロポキシド、カリウムt−ブトキシド、カリウム−t−2−メチル−2−ブトシキド等などの重合開始剤を単独あるいは混合して使用し、氷冷、室温下または必要に応じて加熱下にて常圧もしくは加圧下で開環重合させることにより得られる。
重合後に塩酸、硫酸等の酸、あるいは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の塩基、あるいはパラジウムカーボン等の触媒存在下における水素添加等の操作により、目的とするカルボン酸を生成させることができる。あるいは活性エステル型の場合は重合後の酸、塩基、水素添加処理の必要が無く、そのまま薬剤、ペプチド、核酸及び蛋白を結合させることが可能である。
本発明におけるポリエーテルの重量平均分子量は、前述のとおり、安全性の面から生体内からの体外への排泄が容易な分子量の大きさであることが重要であるが、例えば、GPC分析におけるPEG換算重量平均分子量が1,000〜100,000を達成するには、必要に応じて例えば、出発原料の精製、反応後に高分子量分画または低分子量分画の分別除去を行ってもよい。例えば、分子量分画の具体的方法は、サイズエクスクルージョンクロマトグラフィー(SEC)、GPC等のクロマトグラフィー、UFモジュール等を含む限外ろ過、超遠心分離法、エーテル、エタノールなどの有機溶媒等を用いた沈殿分画等の種々の手法により行うことができる。
以上のとおり、本発明のポリエーテルを、例えば薬物複合体及び薬物送達用担体として用いる場合には、最適な分子量を選択し、かつ側鎖カルボキシメチル基を使用目的に応じて最適な量だけ導入することが可能である。
本発明に含まれる薬物複合体は、薬物送達用担体に直接又はリンカーを介して薬物(医薬化合物)が結合している。すなわち、本発明のポリエーテルの構造単位を表す一般式(I)においてR、R、Rが薬理作用を有する基(リンカーに結合した薬理作用を有する基も含む)である場合がこれに相当する。薬物としては、カルボキシル基又は当該リンカーに反応し得る官能基を有する医薬化合物であれば特に制限されないが、例えば金属原子、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキサミド基、ウレタン基等を有する医薬化合物が好ましい。このうちでもアミノ基を有する医薬化合物は、リンカーの有無にかかわらず容易に本発明のポリエーテルに結合させることができる。また、このようなアミノ基を有さない医薬化合物については、リンカーによって官能基を導入することにより担体と結合可能となる。例えば、パクリタキセル、デキサメタゾン、カンプトテシン等は薬物中に存在する水酸基をリンカーによってアミノ基に変換することにより、本発明のポリエーテルに容易に結合することが可能となる。
該医薬化合物としては、抗悪性腫瘍薬、抗炎症薬、抗リウマチ薬、酵素阻害剤または核酸等が挙げられる。
抗悪性腫瘍薬としては、アルキル化薬、代謝拮抗薬、抗腫瘍性抗生物質、微小管阻害薬、ホルモン類似薬、白金製剤、トポイソメラーゼ阻害薬、生物製剤(サイトカイン)、分子標的治療薬、非特異的免疫賦活薬及びその誘導体が挙げられる。ここでアルキル化薬としてはシクロフォスファミドなどのマスタード薬、ニムスチン等のニトロソウレア類などが挙げられる。代謝拮抗薬としては葉酸代謝拮抗薬のメトトレキサート、ピリミジン代謝拮抗薬の5−FU、プリン代謝拮抗薬の6−MPなどが挙げられる。抗腫瘍性抗生物質としてはアントラサイクリン系のドキソルビシン、ダウノルビシンに加えその他として、マイトマイシンCなどが挙げられる。微小管阻害薬としてパクリタキセル、ドセタキセルなどが挙げられる。ホルモン類似薬としてタモキシフェンなどが挙げられる。白金製剤としてシスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチンなどが挙げられる。トポイソメラーゼ阻害薬として、トポイソメラーゼI阻害薬のイリノテカン、ノギテカン、エトポシドなどが挙げられる。生物製剤としてはインターフェロンなどが挙げられる。分子標的治療薬としてはイマチニブ、ゲフィチニブ、リツキシマブなどが挙げられる。
抗炎症薬としては、副腎皮質ステロイド、非ステロイド性抗炎症薬が挙げられる。副腎皮質ステロイドとしてヒドロコルチゾン、コルチゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾンなどが挙げられる。非ステロイド性抗炎症薬としてサリチル酸系のアスピリン、アントラニル系のメフェナム酸、プロピオン酸系のイブプロフェン、ロキソプロフェン、アリール酢酸系のジクロフェナク、インドメタシンなどが挙げられる。またこれら非ステロイド性抗炎症薬の分類にはCOX選択性による分類もある。
抗リウマチ薬としては、免疫調節薬、免疫抑制薬、生物学的製剤などが挙げられる。免疫調節薬として金チオリンゴ酸ナトリウム、ペニシラミン、ロベンザリットなどが挙げられる。免疫抑制薬としてミゾリビン、メトトレキサート、レフルノミド、タクロリムスなどが挙げられる。生物学的製剤としてインフリキシマブ、エタネルセプトなどが挙げられる。
該薬物送達用担体と薬物とを結合させて本発明の薬物複合体を製造するには、例えばこれらを錯体形成配位結合、エステル結合、チオエステル結合、酸アミド結合、酸無水物形成などの手段で結合させることにより製造される。例えば、錯体形成反応の場合には、通常、水溶液中で反応させればよい。エステル結合形成反応の場合には、種々のカルボジイミド類などの脱水縮合剤存在下に行い、その際必要に応じてジメチルアミノピリジンなどの活性剤を加えるとよい。また、酸アミド結合形成反応の場合には、種々カルボジイミド類等、脱水縮合剤の存在下に行えばよい。
本発明では、該薬物送達用担体と薬物とを結合させるためにリンカーを介して結合させる場合がある。本発明のリンカーとしては、担体との距離を調整する、いわゆるスペーサも含まれる。リンカーとしては、例えば、1個のアミノ酸、ペプチド結合した2〜4個のアミノ酸等が挙げられる。より具体的には、1個のアミノ酸の残基(アミノ酸のアミノ基及びカルボキシル基からそれぞれ1個の水素原子及び1個の水酸基を除いた残基を意味する)、又はペプチド結合した2ないし4個のアミノ酸からなるオリゴペプチドの残基(N末端のアミノ基及びC末端のカルボキシル基からそれぞれ1個の水素原子及び1個の水酸基を除いた残基を意味する)の形態を有している。好ましいリンカーは1アミノ酸残基または、2〜4個のアミノ酸からなるオリゴペプチドの残基である。このようなアミノ酸の立体障害の違いにより担体に結合した薬物の遊離速度を調整することが可能となる。
リンカーを構成するアミノ酸の種類は特に限定されないが、例えば、L−又はD−アミノ酸、好ましくはL−アミノ酸を用いることができ、α−アミノ酸のほか、β−アラニン、ε−アミノカプロン酸、γ−アミノ酪酸などを用いてもよい。このようなα−アミノ酸以外のアミノ酸は、薬物送達用担体に近接した位置に配置されることが好ましい。介在基の結合方向は特に限定されないが、一般的には、カルボキシアルキルポリエーテルのカルボキシル基に介在基のN末端を酸アミド結合によって結合し、医薬化合物のアミノ基もしくは水酸基に介在基のC末端を結合することができる。また、例えば、ペプチドリンカーの構成単位としてリジン残基を含めておき、リジン残基のα−アミノ基及びε−アミノ基をそれぞれ他のアミノ酸のカルボキシル基と酸アミド結合させると、ペプチドリンカーの両末端がN末端になるので、医薬化合物のカルボキシル基を結合することが可能になる。さらに、リンカー中に1個又は2個以上のジアミン化合物又はジカルボン酸化合物の残基(例えばエチレンジアミンなどのジアミンの残基やコハク酸などのジカルボン酸の残基)を構成単位として含めておき、それぞれ両末端がN末端の介在基及び両末端がC末端のリンカーを利用してもよい。
リンカーのアミノ酸配列は特に限定されないが、ジペプチド構造を含むリンカーを用いると、ペプチダーゼが豊富であると考えられる腫瘍部位や炎症部位で加水分解が促進され、当該部位において医薬化合物が高濃度に遊離する。上記ジペプチドを含むリンカーと医薬化合物とが結合して形成される部分構造は本発明の薬物複合体の部分構造である。医薬化合物の残基として、例えば、濃度依存型の抗腫瘍薬(例えば、ドキソルビシン)などを用いる場合には、ジペプチド残基を部分ペプチド配列として含むリンカーを用いることが特に好ましい。また、医薬化合物の残基として、一定の濃度以上で作用時間の持続を必要とする時間依存型の抗腫瘍薬(例えば、パクリタキセル)を用いる場合にも、上記のリンカーを用いることによって高い抗腫瘍効果を達成できる場合がある。一般的には、上記のリンカーに限定されることなく、抗腫瘍薬の作用機作、体内動態や毒性発現の特徴、体内での抗腫瘍薬の遊離性などの観点から好ましいリンカーを選択する必要がある。
リンカーのアミノ酸配列としては、具体的には、Gly,Ala,Leu,Ile,Phe,Gly−Gly,Ala−GLy,Gly−Ala,Leu−Gly,Gly−Leu,Ile−Gly,Gly−Ile,Phe−Gly,Gly−Phe,Gly−Gly−Gly,Gly−Phe−Gly,Phe−Gly−Gly,Gly−Gly−Phe,Gly−Gly−Phe−Glyから選択される配列が望ましい。
リンカーを介して結合する薬物複合体に関しては、本発明のポリエーテルのカルボキシル基に対して、医薬化合物の残基と結合させたリンカーを結合することにより本発明の薬物複合体を製造することができる。リンカーと本発明のポリエーテルのカルボキシル基との結合は、一般的には、リンカーのN末端アミノ基と本発明のポリエーテルのカルボキシル基とを酸アミド結合により結合させることにより形成できる。もっとも、リンカーと本発明のポリエーテルのカルボキシル基との結合は上記のものに限定されることはなく、他の化学結合や1又は2以上のリンカーを利用した結合であってもよい。例えば、リンカーのC末端カルボキシル基と本発明のポリエーテルのカルボキシル基とにより酸無水物を形成させてもよく、また、エチレンジアミン等のジアミン化合物をリンカーとして用いてそれぞれのカルボキシル基をジアミンの各アミノ基に酸アミド結合させてもよい。リンカーのN末端アミノ基と本発明のポリエーテルのカルボキシル基とを酸アミド結合により結合させる場合には、ペプチド類の合成に用いる通常の脱水縮合剤、例えば、N,N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)のようなN,N′−ジシクロアルキルカルボジイミド類、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDAPC)等のカルボジイミド誘導体のほか、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキシキノリン(EEDQ)などを用いることができる。また、活性エステル法や酸ハライド法などにより反応を行ってもよい。また本発明のポリエーテルで活性エステル型の場合は脱水縮合剤を用いる必要はない。
薬理作用を有する基の具体例について以下に示す。
下記式(X)で表される薬剤化合物に対して、リンカーとしてグリシン(H2N−CH2−COOH)を用いてこれらを結合すると下記式(Y)で示されるアミノ基を有する化合物となる。これを薬理活性を有する基としてポリエーテルに結合して用いることができる。
Figure 2009149728

(X)
Figure 2009149728


(Y)
また、下記式で示される化合物は、薬理活性を有する基自身がイミノ基を有しており、該イミノ基を介してポリエーテルに結合される。
Figure 2009149728


さらに、上記薬剤にグリシンをリンカーとして結合させた下記式で示される化合物を薬理作用を示す基として用いることもできる。
Figure 2009149728

本発明のポリエーテルに導入する医薬化合物残基の量は、特に限定されないが、医薬化合物残基の物理化学的性質、並びに本発明の薬物複合体の体内動態、薬効、及び毒性などの観点から適宜選択すべきである。一般的には、0.1〜40重量%、好ましくは1〜20重量%、さらに好ましくは2〜20重量%、特に好ましくは3〜15重量%程度の範囲を選択することができる。ポリエーテルに導入された医薬化合物残基の割合は、例えば、紫外吸光分析、蛍光光度分析、吸光度分析などにより容易に決定することが可能である。
本発明の薬物複合体は、医薬化合物が有する官能基(例えば、抗腫瘍剤又は抗炎症剤などの医薬化合物の有する官能基)を利用して高分子修飾することが可能であり、高分子修飾により所望の標的臓器に医薬化合物を送達することができる。従って、医薬化合物の有する所望の医薬活性を腫瘍部位や炎症部位などの局所において特異的に発現させることができる。さらに側鎖に導入された適当量のカルボキシル基による負電荷のために、代謝・副作用(毒性)発現臓器である肝臓・脾臓・骨髄への分布が減少し医薬化合物の副作用(毒性)発現が軽減されるので、医薬化合物自体の有する毒性を低減することできるという特徴を有する。
本発明のポリエーテルは極めて優れた血中滞留性及び腫瘍・炎症部位への集積性を有するので薬物送達用の担体として有用であり、本ポリエーテルからなる担体と薬物を結合させた薬物複合体は非常に有効に標的臓器に送達され、薬物の作用を発揮させることができる。また、薬物担体は、従来のPEGとは構造的に異なり側鎖に多数のカルボキシル基を有するため、医薬化合物の担持能力に優れている。さらに、本発明の薬物複合体は、水に対する溶解性が特に向上していることから、難水溶性薬物等における注射剤として用いる場合に特に有用である。特に本発明の薬物複合体は、PEGを薬物送達用担体として用いた場合に比べて、1モル当たりの医薬化合物の担持能力が特に優れているため、投与される患者にとっての負担が少なくてすむ。
本発明の薬物複合体を含む医薬は、通常、凍結乾燥品などの形態でバイアル等に充填することができ、用時溶解型の注射用又は点滴用製剤等の非経口投与用製剤として臨床に提供されるが、本発明の医薬の製剤形態は上記態様に限定されることはない。上記製剤の製造には、例えば、溶解補助剤、pH調整剤、安定化剤など当業界で利用可能な製剤用添加物を用いることができる。
本発明の医薬の投与量は特に限定されないが、通常は、医薬化合物残基を構成する医薬化合物の投与量、本発明の薬物複合体中に導入された医薬化合物の残基の量、患者の状態や疾患の種類などを勘案して決定すべきである。例えば、カンプトテシンが約5重量%程度の割合で導入された本発明の薬物複合体を非経口投与する場合には、一般に一日あたり体表面積1mにつき約0.1〜100mg程度、好ましくは約1〜30mgの範囲で一回投与し、3〜4週毎に繰り返すことが好ましい。
本発明は、前記薬物複合体を静脈内より生体内に、また疾患部位に投与することにより
治療する方法に関する。さらに、該薬物複合体であるポリエーテルを架橋してなる構造体
を疾患部位に投与することにより治療する方法にも関する。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例
に限定されることはない。
また本実施例におけるGPCの条件は、以下のとおりである。
カラム:G4000PWXL(東ソー社製)
移動相:20%アセトニトリルin 50mM塩化リチウム
流速:0.8ml/min
カラム温度:40℃
ポンプ:L−6200(日立製作所製)
検出器:L−3300(RI:示差屈折計、日立製作所製)
化合物の分子量及び分子量分布を算出するための検量線は、スタンダードポリエチレンオキサイド(TOSOH製、重量平均分子量が2.4×10,5.00×10,1
・ 7×10,14.0×10)を用いて作成した。
以下の実施例中、共重合体(番号)は単に化合物(同番号)と記載することがある。
[実施例1]
水素化ナトリウム(13.2g)のテトラヒドロフラン(300ml)懸濁液に氷冷下、アリルアルコール(20.4ml)のTHF溶液(THF200ml)を添加し30分間攪拌した。その後ブロモ酢酸(34.7g)のテトラヒドロフラン(150ml)溶液を90分間に渡り滴下した。反応液を室温下5日間攪拌した。溶媒を減圧下留去し、水を加え酢酸エチルで洗浄した。その後5N塩酸でpHを2に調製し水相を酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し粗精製物(1)26.7gを得た。
この粗精製物(1)(15g)を塩化メチレン200mlに溶解し、エタノール(11.4ml)、N−メチルモルホリン(NMM;14.2ml)及びジメチルアミノピリジン(DMAP;1.5g)を添加し、氷冷後水溶性カルボジイミド(EDC;24.2g)の塩化メチレン溶液を30分間に渡り滴下した。この反応液を室温下2日間攪拌した。反応液を飽和重曹水溶液、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し粗精製物26.3gを得た。シリカゲルクロマトグラフィー(メルク社製シリカゲル60,240g,ヘキサン/エーテル5:1)により精製し表記化合物(2)(11.2g)を得た。
化合物(2)(11.0g)を塩化メチレン150mlに溶解し、氷冷下、3−クロロ過安息香酸(MCPBA;15.9g)の塩化メチレン溶液を90分間に渡り滴下した。室温で2日間攪拌し、2N水酸化ナトリウム水溶液、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去し粗精製物(19.3g)を得た。シリカゲルクロマトグラフィー(メルク社製シリカゲル60,140g,ヘキサン/エーテル2:1)により精製し表記化合物(3)(11.1g)を得た。
Figure 2009149728
表記化合物(3)に関する化合物分析データを下記に示す。NMRの基準は3−トリメチルシリルプロピオン酸−2,2,3,3−d4ナトリウム塩を使用した。
測定条件:H−NMR(400MHz、日本電子製JNM−LA400)、13C−NMR(150MHz、BrukerBiospin製Advance600)、GC/MS (HP製 HP5973)
H−NMR(CDCl):δ1.29(3H,t,J=7.2Hz),2.64(1H,dd,J=5.1,2.7Hz),2.82(1H,dd,J=5.1,4.2Hz),3.21(1H,m),3.50(1H,dd,J=11.6,6.0Hz),3.91(1H,dd,J=11.6,2.8Hz),4.14(1H,d,J=16.4Hz),4.19(1H,d,J=16.4Hz),4.23(2H,q,J=7.2Hz)
13C−NMR(CDCl):δ14.2,44.1,50.6,61.0,68.5,72.1,170.2
MS:m/z 161[M+H]
[実施例2]
実施例1の粗成生物(1)(11.6g)を塩化メチレン200mlに溶解し、イソプロパノール(15.3ml)、N−メチルモルホリン(11.0ml)及びジメチルアミノピリジン(1.2g)を添加し、氷冷後水溶性カルボジイミド(18.6g)の塩化メチレン溶液を30分間に渡り滴下した。この反応液を室温下2日間攪拌した。反応液を飽和重曹水溶液、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し粗精製物22.5gを得た。このものをシリカゲルクロマトグラフィー(メルク社製シリカゲル60,240g,ヘキサン/エーテル5:1)により表記化合物(4)(9.7g)を得た。
化合物(4)(7.9g)を塩化メチレン150mlに溶解し、氷冷下、3−クロロ過安息香酸(16.1g)の塩化メチレン溶液を90分間に渡り滴下した。室温で2日間攪拌し、2N水酸化ナトリウム水溶液、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去し粗精製物(14.5g)を得た。シリカゲルクロマトグラフィー(メルク社製シリカゲル60,150g,ヘキサン/エーテル2:1)により精製し表記化合物(5)(9.2g)を得た。
Figure 2009149728
表記化合物(5)に関する化合物分析データを下記に示す。
測定条件:H−NMR(400MHz、日本電子製JNM−LA400)、13C−NMR(150MHz、BrukerBiospin製Advance600)、GC/MS (HP製 HP5973)
H−NMR(CDCl):δ1.27(6H,t,J=6.3Hz),2.63(1H,dd,J=4.9,2.7Hz),2.81(1H,dd,J=4.9,4.3Hz),3.21(1H,m),3.50(1H,dd,J=11.6,6.0Hz),3.90(1H,dd,J=11.6,2.9Hz),4.10(1H,d,J=16.4Hz),4.15(1H,d,J=16.4Hz),5.10(1H,m)
13C−NMR(CDCl):δ21.8,44.1,50.6,68.6,72.1,169.7
MS:m/z 175[M+H]
[実施例3]
水素化ナトリウム(10.5g)のテトラヒドロフラン懸濁液(200ml)に氷冷下、アリルアルコール(16.3ml)のTHF溶液(THF200ml)を添加し30分間攪拌した。その後ブロモ酢酸(27.8g)のテトラヒドロフラン溶液(150ml)を60分間に渡り滴下した。反応液を室温下3日間攪拌した。溶媒を減圧下留去し、水を加え酢酸エチルで洗浄した。その後5N塩酸でpHを2に調製し水相を酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し粗成生物(6)22.1gを得た。
この粗成生物(6)(22g)を塩化メチレン150mlに溶解し、ベンジルアルコール(21.6ml)、N−メチルモルホリン(20.9ml)及びジメチルアミノピリジン(1.1g)を添加し、氷冷後水溶性カルボジイミド(35.3g)の塩化メチレン溶液を60分間に渡り滴下した。この反応液を室温下2日間攪拌した。反応液を飽和重曹水溶液、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し粗精製物66.0gを得た。シリカゲルクロマトグラフィー(メルク社製シリカゲル60,240g,ヘキサン/エーテル5:1)により精製し表記化合物(7)(31.5g)を得た。
化合物(7)(31.5g)を塩化メチレン200mlに溶解し、氷冷下、3−クロロ過安息香酸(28.9g)の塩化メチレン溶液を90分間に渡り滴下した。室温で2日間攪拌し、2N水酸化ナトリウム水溶液、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去し粗精製物(38.4g)を得た。シリカゲルクロマトグラフィー(メルク社製シリカゲル60,150g,ヘキサン/エーテル2:1)により精製し表記化合物(8)(30.0g)を得た。
Figure 2009149728
表記化合物(8)に関する化合物分析データを下記に示す。
測定条件:H−NMR(400MHz、日本電子製JNM−LA400)、13C−NMR(150MHz、BrukerBiospin製Advance600)、GC/MS (HP製 HP5973)
H−NMR(CDCl):2.62(1H,dd,J=4.9,2.7Hz),2.79(1H,dd,J=4.9,4.4Hz),3.20(1H,m),3.49(1H,dd,J=11.6,6.0Hz),3.91(1H,dd,J=11.6,2.8Hz),4.18(1H,d,J=16.6Hz),4.24(1H,d,J=16.6Hz),5.20(2H,s),7.31−7.39(5H)
13C−NMR(CDCl):δ44.0,50.6,66.6,68.4,72.1,128.4−128.6,135.3,170.0
MS:m/z 223[M+H]
[実施例4]
実施例3と同様な条件下で、純度60%の水素化ナトリウム(22.0g)のテトラヒドロフラン懸濁液に氷冷下、アリルアルコール(20.4ml)を添加し30分間攪拌した。その後ブロモ酢酸(34.7g)のテトラヒドロフラン溶液を60分間に渡り滴下した。反応液を室温下3日間攪拌した。溶媒を減圧下留去し、水を加え酢酸エチルで洗浄した。その後5N塩酸でpHを2に調製し水相を酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し粗精製物(9)26.4gを得た。
この粗精製物(9)(3.0g)を塩化メチレン50mlに溶解し、グリシン・ベンジルエステル・p−トルエンスルホン酸塩(11.4g)及びジメチルアミノピリジン(317mg)及びN−メチルモルホリン(3.7ml)を添加し、氷冷後水溶性カルボジイミド(4.0g)の塩化メチレン溶液を60分間に渡り滴下した。この反応液を室温下2日間攪拌した。反応液を飽和重曹水溶液、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し粗精製物6.8gを得た。シリカゲルクロマトグラフィー(メルク社製シリカゲル60,140g,塩化メチレン/アセトニトリル=90:10)により精製し表記化合物(10)(6.2g)を得た。
化合物(10)(6.1g)を塩化メチレン100mlに溶解し、氷冷下、3−クロロ過安息香酸(4.6g)の塩化メチレン溶液を90分間に渡り滴下した。室温で2日間攪拌し、2N水酸化ナトリウム水溶液、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去し粗精製物(8.6g)を得た。シリカゲルクロマトグラフィー(メルク社製シリカゲル60,140g,塩化メチレン/アセトニトリル=90:10)により精製し、再度化合物をシリカゲルクロマトグラフィー(メルク社製シリカゲル60,120g,塩化メチレン/アセトニトリル=80:20)により精製し表記化合物(11)(5.5g)を得た。
Figure 2009149728
表記化合物(11)に関する化合物分析データを下記に示す。
測定条件:H−NMR(400MHz、日本電子製JNM−LA400;;600MHz Bruker Advance600 )、13C−NMR(100MHz、日本電子社製JNM−LA400)、GC/MS(サーモエレクトロン製 Voyager)
H−NMR(CDCl):2.67(1H,dd,J=2.7,4.9Hz),2.82(1H,t,J=4.3,4.9),3.18(1H,m),3.49(1H,dd,J=5.9,11.6Hz)、3.87(1H,dd,J=2.6,11.6Hz),4.04(1H,d,J=15.5Hz),4.10(1H,d,J=15.5Hz),4.11(1H,d,J=5.6,18.2Hz),4.16(1H,d,J=5.6,18.2Hz),5.19(2H,s),7.32−7.40(5H)
13C−NMR(CDCl):δ40.7,44.1,50.4,67.2,70.4,71.8,128.4−128.6,135.2,169.5,169.8
MS:m/z 280[M+H]
[実施例5] 重合反応1
アルゴン雰囲気下、耐圧反応容器に実施例1で得られた化合物(3)10.6g、エチレンオキサイド70ml、カリウムt−ブトキシド1Mテトラヒドロフラン溶液1ml及びトリイソブチルアルミニウム1Mヘキサン溶液10ml、及び溶媒としてヘキサン300mlを加え、30℃で4.5時間反応を行った。反応終了後、反応生成物を回収し、減圧下で溶媒を除去することによって目的とするランダム共重合体(12)41gを白色固体として得た。得られた共重合体のPEG換算分子量をGPCにより測定した結果は、80,000であった。更に 1H−NMR分析によると、TSP(3−トリメチルシリルプロピオン酸−2,2,3,3−d4重水素化ナトリウム塩)を標準とする重水中での測定によるカルボン酸エチルエステルの導入率は、2.9mol%であった。
上記共重合体(12)10.2gを30mlジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、1N−水酸化ナトリウム溶液30mlを加えて50℃で24時間撹拌した。反応終了後、米国スペクトラポア社製透析膜(Spectra/Por2、分子量分画12,000−14,000)を用い、精製水を外液とした2日間の透析を行った。次いで、ミリポア社製メンブランフィルター(DURAPORE、0.45μm)を用いたろ過後、凍結乾燥の工程を経て、白色非晶質の目的とするエチル基が脱保護されたランダム共重合体(13)9.4gを得た。下記式においてa,bは整数を表す。
Figure 2009149728
1H−NMR分析より、エチル基が除去されたことを確認し、更にカルボキシメチル基の導入率は、モル比で2.7mol%であった。得られた共重合体のPEG換算分子量をGPCにより測定した結果は、89,000であり、Mw/Mn=2.7であった。GPC分析の結果を図1に示す。
[実施例6] 重合反応2
アルゴン雰囲気下、耐圧反応容器に実施例3で得られた化合物(8)9.3g、エチレンオキサイド70ml、カリウム2−メチル−2−ブトキシド1Mテトラヒドロフラン溶液1.1ml及びトリイソブチルアルミニウム1Mヘキサン溶液11.1ml、及び溶媒としてヘキサン300mlを加え、25℃で5時間反応を行った。反応終了後、反応生成物を回収し、減圧下で溶媒を除去することにより、目的とするランダム共重合体(14)50gを白色固体として得た。得られた共重合体のPEG換算分子量をGPCにより測定した結果は、39,000であった。更に1H−NMR分析によるカルボン酸ベンジルエステルの導入率は、モル比で2.0mol%であった。
上記共重合体(14)20.1gを60mlDMSOに溶解し、1N−水酸化ナトリウム溶液60mlを加えて50℃で20時間撹拌した。反応終了後、米国スペクトラポア社製透析膜(Spectra/Por2、分子量分画12,000−14,000)を用い、精製水を外液とした2日間の透析を行った。次いで、ミリポア社製メンブランフィルター(DURAPORE、0.45μm)を用いたろ過後、凍結乾燥の工程を経て、白色非晶質の目的とするベンジル基が脱保護されたランダム共重合体(15)16.0gを得た。下記式においてc,dは整数を表す。
Figure 2009149728
1H−NMR分析より、ベンジル基が除去されたことを確認し、更にカルボキシメチル基の導入率は、モル比で2.1mol%であった。得られた共重合体のPEG換算分子量をGPCにより測定した結果は、58,000であり、Mw/Mn=1.6であった。GPC分析の結果を図2に示す。
[実施例7] 重合反応3
アルゴン雰囲気下、耐圧反応容器に実施例3で得られた化合物(8)9.3g、エチレンオキサイド70ml、カリウムt−ブトキシド1Mテトラヒドロフラン溶液1ml及びトリイソブチルアルミニウム1Mヘキサン溶液10ml、及び溶媒としてヘキサン300mlを加え、30℃で4.5時間反応を行った。反応終了後、反応生成物を回収し、減圧下で溶媒を除去することにより、目的とするランダム共重合体(16)50gを白色固体として得た。得られた共重合体のPEG換算分子量をGPCにより測定した結果は、35,000であった。更に1H−NMR分析によるカルボン酸ベンジルエステルの導入率は、モル比で2.1mol%であった。
上記共重合体(16)20.1gを60mlDMSOに溶解し、1N−水酸化ナトリウム溶液60mlを加えて50℃で20時間撹拌した。反応終了後、米国スペクトラポア社製透析膜(Spectra/Por2、分子量分画12,000−14,000)を用い、精製水を外液とした2日間の透析を行った。次いで、ミリポア社製メンブランフィルター(DURAPORE、0.45μm)を用いたろ過後、凍結乾燥の工程を経て、白色非晶質の目的とするベンジル基が脱保護されたランダム共重合体(17)16.9gを得た。下記式においてe,fは整数を表す。
Figure 2009149728
1H−NMR分析によりベンジル基が除去されたことを確認し、更にカルボキシメチル基の導入率は、モル比で2.1mol%であった。得られた共重合体のPEG換算分子量をGPCにより測定した結果は、54,000であり、Mw/Mn=1.7であった。GPC分析の結果を図3に示す。
[実施例8] 毒性評価
上記実施例6中の化合物(15)に関し生理食塩水を投与溶媒として、更に生理食塩水を比較対照として、化合物(15)投与量1000mg/kg、500mg/kgについて、投与液量25ml/kgの条件で6週齢BALB/c雌性マウス(各群n=5、日本エスエルシー(株)から購入)の尾静脈より0日目、3日目、6日目の3回にわたり間歇投与を行った。その結果を図4に示す。
体重減少を指標として評価を実施した。実験開始日におけるマウスの体重を100%とした場合の体重変化を評価し、10%の体重減少が起きた場合に毒性有りと判断した。その結果、投与開始日以後の10%以上の体重減少は見られず、しかも体重に関し投与後25日目における有意な差は見られず、毒性無しと判断された。図中の各ポイントは各投与群における平均体重±標準偏差(SD)を示す。図中の上向き矢印は投与日(0日目、3日目、6日目)を示す。
以下の実施例では次の略号を使用する。
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド、Trt:トリフェニルメチル基(トリチル基)、Z:ベンジルオキシカルボニル基、Fmoc:9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基、DMAP:N,N−ジメチルアミノピリジン、HBTU:2−(1−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルアミニウム ヘキサフルオロフォスフェート、DIPC:N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、tBuOK: Potassium t-butoxide,DMSO−d6:重水素化ジメチルスルホキシド
〔実施例9〕
(工程1)2’−Gly−paclitaxel塩酸塩(18)の製造
米国、ハウザー社製のパクリタキセルを原料として、パクリタキセルの2’位水酸基にアミノ酸リンカーを導入し2’−Gly−paclitaxel塩酸塩(18)を調製した。
生成物についてはH−NMR及びHRMS(high-resolution mass spectrometry)により構造確認した。すなわち、Fmoc−Gly(178mg、0.6mmol)及び、ジメチルアミノピリジン(73mg、0.6mmol)及びパクリタキセル(米国、HAUSER社製、427mg、0.5mmol)を塩化メチレン(20ml)に溶解した。次いで、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(76mg、0.6mmol)を加え、室温で終夜撹拌した。反応溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:独国Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×30cm、溶離液:塩化メチレン/アセトニトリル=70/30)で精製し、2’−Fmoc−Gly−パクリタキセル(489mg)を得た。
この化合物(420mg)をN,N−ジメチルホルムアミド(10ml)に溶解し、室温下ピペリジン(2ml)を加え、5分間撹拌し、溶媒を留去して、脱Fmoc化し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×50cm、溶離液:アセトニトリル/塩化メチレン=80/20)で精製し、標記化合物(18)(145mg)を得た。テトラメチルシランを標準とするDMSO-d6溶媒におけるNMRデータを下記に示す。
1H−NMR(DMSO−d6):δ1.01(s,3H,Me−17)1.05(s,3H,Me−16)1.52(dd,1H,J=14.6,9.2Hz,H−14b)1.51(s,3H,Me−19)1.65(t,1H,J=11.6Hz,H−6b)1.81(dd,1H,J=15.5,9.6Hz,H−14a)1.86(s,3H,Me−18)2.11(s,3H,Ac−10)2.23(s,3H,Ac−4)2.32(m,1H,H−6a)3.58(d,1H,J=7.0Hz,H−3)3.96−4.07(m,3H,GlyCH2,H−20)4.10(dd,1H,J=6.7,10.7,H−7)4.63(s,1H,OH−1)4.90(brs,1H,OH−7)4.91(dd,1H,J=4.9Hz,H−5)5.43(d,1H,J=7.0,H−2)5.46(d,1H,J=8.2Hz,H−2’)5.58(t,1H,J=8.4Hz,H−3’)5.87(t,1H,J=8.6Hz,H−13)6.30(s,1H,H−10)7.19−8.00(aromatic,15H)8.40(brs,2H,GlyNH2)9.25(d,1H,J=8.6Hz,CONH−3’)
HRMS:m/z 911.3604
(M+H)+:C49H55O15N2としての計算値 911.3602
(工程2)ポリエーテル−2’−Gly−パクリタキセル(19)の製造
実施例6で得た、共重合体(15)(100mg)をDMF5mlに溶解し、氷冷下、この溶液に本実施例(工程1)で得た、2’−Gly−パクリタキセル(18)(10mg)を溶解したDMF(0.5ml)及びHBTU(52mg)を溶解したDMF(0.5ml)を加え、室温で2時間撹拌した。この反応液を透析膜(分子量カットオフ12,000−14,000、米国、スペクトラム社製)を用い、精製水に対して4℃で2日間透析した。この内液をメンブランフィルター(0.45μm)にて濾過した後、凍結乾燥し、表記化合物(19)(102mg)を得た。本複合体の薬物の導入量は、254nmにおける紫外吸光度及び複合体の総重量から算出したところ、6.1%(重量%)であった。
〔実施例10〕
(工程1)2’−Ala−パクリタキセル(20)の製造
Z−Ala(145mg、0.65mmol)及び、DMAP(79mg,0.65mmol)及びパクリタキセル(427mg、0.5mmol)を塩化メチレン(20ml)に溶解した。次いで、DIPC(82mg、0.65mmol)を加え室温で終夜撹拌した。反応溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×30cm、溶離液:塩化メチレン/アセトニトリル=70/30)で精製し、2’−Z−Ala−パクリタキセル(435mg)を得た。この化合物(400mg)をジオキサン(20ml)に溶解しパラジウム−炭素触媒(200mg)を加え、水素雰囲気下、4時間撹拌し、触媒を濾去した後、減圧下で溶媒を留去し、残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400mesh,カラム:2.0×30cm、溶離液:塩化メチレン/メタノール/アセトニトリル=95/5/5)で精製し、標記化合物(20)(220mg)を得た。テトラメチルシランを標準とするDMSO-d6溶媒におけるNMRデータを下記に示す。
1H−NMR(DMSO−d6):δ1.01(s,3H,Me−17)1.03(s
,3H,Me−16)1.14(s,3H,Me−Ala)1.51(s,3H,Me−
19)1.61(dd,1H,J=15.6,9.2Hz,H−14b)1.64(t,
1H,J=12.8Hz,H−6b)1.81(s,3H,Me−18)1.88(dd
,1H,J=15.3, 9.5Hz,H−14a)2.11(s,3H,Ac−10)
2.27(s,3H,Ac−4)2.33(m,1H,H−6a)3.52(q,1H,
J=7.0Hz,H−Ala)3.60(d,1H,J=7.3Hz,H−3)4.02
(d,1H,J=15.0Hz,H−20)4.03(d,1H,J=15.0Hz,H
−20)4.12(ddd,1H,J=6.6,6.6,17.4Hz,H−7)4.6
6(s,1H,OH−1)4.91(d,1H,J=6.6,OH−7)4.92(dd
,1H,J=9.8Hz,H−5)5.35(d,1H,J=8.6,H−2’)5.4
3(d,1H,J=7.0Hz,H−2)5.64(t,1H,J=8.6Hz,H−3
’)5.87(t,1H,J=9.2Hz,H−13)6.30(s,1H,H−10)
7.20−8.00(aromatic,15H)9.17(d,1H,J=8.9Hz
,CONH−3’)
HRMS:m/z 925.3797
(M+H)+:C50H57O15N2としての計算値 925.3759
(工程2)ポリエーテル−2’−Ala−パクリタキセル(21)の製造
実施例6で得た、共重合体(15)(100mg)に対し、本実施例10(工程1)で得た、2’−Ala−パクリタキセル(20)(25mg)を用いた以外は実施例9(工程2)と同様に行い、標記化合物(21)(103mg)を得た。本複合体の薬物の導入量は、254nmにおける紫外吸光度及び複合体の総重量から算出したところ、3.7%(重量%)であった。
〔実施例11〕
(工程1)2’−Leu−パクリタキセル(22)の製造
Z−Leu(172mg、0.65mmol)を用いた以外は実施例10(工程1)と同
様に行い2’−Z−Leu−パクリタキセル(450mg)を得た。この化合物(400mg)をジオキサン(20ml)に溶解しパラジウム−炭素触媒(200mg)を加え、水素雰囲気下、4時間撹拌し、触媒を濾去した後、減圧下溶媒を留去し、残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×30cm、溶離液:塩化メチレン/メタノール/アセトニトリル=95/5/5)で精製し、標記化合物(22)(280mg)を得た。テトラメチルシランを標準とするDMSO-d6溶媒におけるNMRデータを下記に示す。
1H−NMR(DMSO−d6):δ0.66(d,3H,Me−Leu)0.70(d,3H,Me−Leu)1.01(s,3H,Me−17)1.03(s,3H,Me−16)1.26(ddd,1H,J=6.4,8.5,13.4Hz,H−Leu)1.36(ddd,1H,J=5.8,7.6,13.4Hz,H−Leu)1.51(s,3H,Me−19)1.56(dd,1H,J=15.3,9.0Hz,H−14b)1.64(m,1H,H−6b)1.67(m,1H,H−Leu)1.79(s,3H,Me−18)1.84(dd,1H,J=15.3,9.5Hz,H−14a)2.10(s,3H,Ac−10)2.25(s,3H,Ac−4)2.33(ddd,1H,J=14.7,9.5,6.4Hz,H−6a)3.38(dd,1H,J=8.6,5.8Hz,H−Leu)3.59(d,1H,J=7.0Hz,H−3)4.01(d,1H,J=16.8Hz,H−20)4.03(d,1H,J=16.8Hz,H−20)4.12(ddd,1H,J=6.9,6.9,11.0Hz,H−7)4.64(s,1H,OH−1)4.90(d,1H,J=7.0,OH−7)4.92(d,1H,J=10.1Hz,H−5)5.34(d,1H,J=9.2,H−2’)5.42(d,1H,J=7.0Hz,H−2)5.62(t,1H,J=9.0Hz,H−3’)5.86(t,1H,J=9.2Hz,H−13)6.30(s,1H,H−10)7.20−8.00(aromatic,15H)9.16(d,1H,J=8.9Hz,CONH−3’)
HRMS:m/z 967.4321
(M+H)+:C53H63O15N2としての計算値 967.4228
(工程2)
ポリエーテル−2’−Leu−パクリタキセル(23)の製造
実施例6で得た、共重合体(15)(100mg)に対し、本実施例11(工程1)で得た、2’−Leu−パクリタキセル(22)(25mg)を用いた以外は実施例9(工程2)と同様に行い、標記化合物(23)(97mg)を得た。本複合体の薬物の導入量は、254nmにおける紫外吸光度及び複合体の総重量から算出したところ、4.0%(重量%)であった。
〔実施例12〕
(工程1)2’−Ile−パクリタキセル(24)の製造
Fmoc−Ile(212mg,0.6mmol)及び、DMAP(73mg、0.6mmol)及びパクリタキセル(427mg、0.5mmol)を塩化メチレン(20ml)に溶解した。次いで、DIPC(76mg、0.6mmol)を加え室温で終夜撹拌した。反応溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマト・グラフィー(シリカゲル:Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:2.0×30cm、溶離液:塩化メチレン/アセトニトリル=70/30)で精製し、2’−Fmoc−Ile−パクリタキセル(553mg)を得た。この化合物(470mg)をDMF(10ml)に溶解し、室温下ピペリジン(2ml)を加え、5分間撹拌した後、減圧下溶媒を留去し、残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Merck社製Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×30cm、溶離液:塩化メチレン/メタノール/アセトニトリル=95/5/5)で精製し、標記化合物(24)(350mg)を得た。テトラメチルシランを標準とするDMSO-d6溶媒におけるNMRデータを下記に示す。
1H−NMR(DMSO−d6):δ0.62(t,3H,J=7.5Hz,Me−Ile)0.81(d,3H,J=6.7Hz,Me−Ile)1.01(s,3H,Me−17)1.03(s,3H,Me−16)1.07(ddd,1H,J=14.4,7.3,4.9Hz,H−Ile)1.32(ddd,1H,J=13.4,7.6,4.6Hz,H−Ile)1.51(s,3H,Me−19)1.56(dd,1H,J=15.3,9.2Hz,H−14b)1.56−1.61(m,1H,H−Ile)1.64(dd,1H,J=13.7,3.1Hz,H−6b)1.79(s,3H,Me−18)1.87(dd,1H,J=15.3,9.8Hz,H−14a)2.10(s,3H,Ac−10)2.29(s,3H,Ac−4)2.33(ddd,1H,J=14.4,9.6,6.4Hz,H−6a)3.60(d,1H,J=7.3Hz,H−3)3.60−3.67(m,1H,H−Ile)4.02(d,1H,J=16.6Hz,H−20)4.03(d,1H,J=16.6Hz,H−20)4.12(ddd,1H,J=10.8,6.7,6.7Hz,H−7)4.64(s,1H,OH−1)4.90(d,1H,J=7.0,OH−7)4.92(d,1H,J=9.8Hz,H−5)5.37(d,1H,J=8.9Hz,H−2’)5.43(d,1H,J=7.3Hz,H−2)5.64(t,1H,J=8.7Hz,H−3’)5.85(dt,1H,J=0.9,9.2Hz,H−13)6.30(s,1H,H−10)7.20−8.00(aromatic,15H)9.15(d,1H,J=9.2Hz,CONH−3’)
HRMS:m/z 967.4234
(M+H)+:C53H63O15N2としての計算値 967.4228
(工程2)ポリエーテル−2’−Ile−パクリタキセル(25)の製造
実施例6で得た、共重合体(15)(100mg)に対し、本実施例12(工程1)で得た、2’−Ile−パクリタキセル(24)(30mg)を用いた以外は実施例9(工程2)と同様に行い、標記化合物(25)(92mg)を得た。本複合体の薬物の導入量は、254nmにおける紫外吸光度及び複合体の総重量から算出したところ、2.5%(重量%)であった。
〔実施例13〕
(工程1)2’−Phe−Gly−パクリタキセル塩酸塩(26)の製造
Phe−Gly(ペプチド研究所製、1.1g、5mmol)を水(2ml)、2−プロパノール(2ml)及びジエチルアミン(1.5ml)の混合溶液に溶かし、この反応液にトリチルクロライド(1.8g、6.5mmol)を徐々に加え、1時間撹拌した。反応液に水を加え、生じた沈殿を水で洗浄した。次に、沈殿に酢酸5mlを加えて酸性にした後、溶媒を減圧下留去することによりTrt−Phe−Gly1.4gを得た。得られたTrt−Phe−Gly(604mg、1.3mmol)及び、DMAP(158mg、1.3mmol)及びパクリタキセル(853mg、1.0mmol)を塩化メチレン(20ml)に溶解した。次いで、DIPC(164mg、1.3mmol)を加え室温下終夜撹拌した。反応溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×30cm、溶離液:塩化メチレン/アセトニトリル=80/20)で精製し、2’−Trt−Phe−Gly−パクリタキセル(990mg)を得た。この化合物(800mg)を90%酢酸(10ml)で処理して脱N−トリチル化し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:独国Merck社製Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×30cm、溶離液:塩化メチレン/メタノール/アセトニトリル=95/5/5)で精製し、次に酢酸塩をイオン交換樹脂により塩酸塩へ変換して標記化合物(26)(450mg)を得た。テトラメチルシランを標準とするDMSO-d6溶媒におけるNMRデータを下記に示す。
1H−NMR(DMSO−d6);δ1.01(s,3H,Me−17)1.03(s,3H,Me−16)1.42(dd,1H,J=15.5,9.1Hz,H−14b)1.50(s,3H,Me−19)1.63(t,1H,J=12.2Hz,H−6b)1.75(dd,1H,J=12.3,9.5Hz,H−14a)1.81(s,3H,Me−18)2.12(s,3H,Ac−10)2.23(s,3H,Ac−4)2.29(ddd,1H,J=14.4,9.2,7.0Hz,H−6a)2.90(dd,1H,14.2,7.8Hz,PheCH2)3.08(dd,1H,14.4,5.2Hz,PheCH2)3.56(d,1H,J=7.0Hz,H−3)4.05−4.10(m,2H,H−7,PheCH)4.15(dd,1H,J=18.0,5.8Hz,Gly)4.61(brs,1H,OH−1)4.90(brs,1H,OH−7)4.90(d,1H,J=5.3Hz,H−5)5.38(d,1H,J=8.9Hz,H−2’) 5.41(d,1H,J=7.0Hz,H−2)5.53(t,1H,J=8.6Hz,H−3’)5.83(t,1H,J=8.8Hz,H−13)6.29(s,1H,H−10)7.16〜8.00(m,20H,aromatic)8.15(brs,2H,NH2)9.02(t,1H,J=5.8Hz,Gly−NH)9.29(d,1H,J=8.9Hz,CONH−3’)
HRMS:m/z 1058.4241
(M+H)+:C58H64O16N3としての計算値 1058.4287
(工程2)
ポリエーテル−2’−Phe−Gly−パクリタキセル(27)の製造
実施例6で得た、共重合体(15)(100mg)に対し、本実施例13(工程1)で得た、2’−Phe−Gly−パクリタキセル(26)(30mg)を用いた以外は実施例9(工程2)と同様に行い、標記化合物(27)(95mg)を得た。本複合体の薬物の導入量は、254nmにおける紫外吸光度及び複合体の総重量から算出したところ、3.5%(重量%)であった。
〔実施例14〕
Trt−Gly−Gly−Phe−Gly(28)の製造
(1)Phe−Gly−OBn(29)の合成
Phe−Gly・H2O(国産化学製、25g、104mmol)をパラトルニンスルホン酸1水和物(19.8g、104mmol)、ベンジルアルコール(25ml)及びトルエン(200ml)混合液に溶かし、Dean-Stark装置により5時間加熱環流する。反応後、溶媒を留去し、ジエチルエーテルを加えることで標記化合物であるPhe−Gly−OBn(29)のパラトルエンスルホン酸塩(34g)を得た。
(2)Trt−Gly−Gly(30)の合成
Gly−Gly(ペプチド研究所製、6.6g、50mmol)を精製水(20ml)、2−プロパノール(40ml)及びジエチルアミン(15ml)の混合溶液に溶かし、この反応液にトリチルクロライド(18.1g、65mmol)を徐々に加え、1時間撹拌する。反応液に精製水を加え、生じた沈殿を水で洗浄した。次に、沈澱に酢酸5mlを加えて酸性にした後、溶媒を減圧下で留去することにより標記化合物(30)13.3gを得た。
(3)Trt−Gly−Gly−Phe−Gly−OBn(31)の合成
乾燥DMF(10ml)に、Trt−Gly−Gly(30)(1.54g)、N−ヒドロキシコハク酸イミド(0.52g)及びDCC(0.93g)を加え、4℃で3時間反応した。反応溶液にPhe−Gly−OBn(29)のパラトルエンスルホン酸塩(2.0g)及びN−メチルモルホリン(0.41g)を溶かしたDMF溶液(DMF10ml)を加え、4℃で15時間反応する。沈殿物を除き、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:独国Merck社製 Art No.9365,Silica gel 60,200-400mesh,溶離液:クロロホルム/メタノール=20/1)で精製することにより、標記生成物(31)(1.6g)を得た。
(4)Trt−Gly−Gly−Phe−Gly(28)の合成
化合物(31)Trt−Gly−Gly−Phe−Gly−OBn(1.3g)をDMF(20ml)に溶かし、10%パラジウム−炭素(0.5g)及び1,4−シクロヘキサジエン(0.4g)を加え、室温下30分反応する。反応液をろ過し、触媒を除き、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Merck社製 Art No.9365,Silica gel60,200-400 mesh,溶離液:クロロホルム/メタノール=7/1)で精製することにより、標記化合物(28)(1.1g)を得た。
Anal.Calcd for: C34H34N4O5:C,70.57;H,5.92;N,9.68
Found: C,70.03;H,6.07;N,9.67
アミノ酸分析:Phe(1)1.00,Gly(3)2.91
加水分解条件:6NHCl、110℃、22hrs
〔実施例15〕
2’−Gly−Gly−Phe−Gly−パクリタキセル塩酸塩(32)の製造
実施例14で得た(28)Trt−Gly−Gly−Phe−Gly(739mg、1.3mmol)及び、DMAP(158mg、1.3mmol)及びパクリタキセル(853mg、1.0mmol)を塩化メチレン(20ml)に溶解した。次いで、DIPC(164mg、1.3mmol)を加え室温下4時間撹拌した。反応溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:独国Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×50cm、溶離液:塩化メチレン/メタノール/アセトニトリル=95/5/30)で精製し、2’−Nα−Trt−Gly−Gly−Phe−Gly−パクリタキセル(33)(1250mg)を得た。
HRMS:m/z 1414.5763
(M+H)+:C81H84O18N5としての計算値 1414.5811
この化合物(33)(1100mg)を75%酢酸(10ml)で処理して脱N−トリチル化し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×50cm、溶離液:塩化メチレン/メタノール/アセトニトリル=85/15/5)で精製し、次に陰イオン交換樹脂により塩酸塩へ変換して表記化合物(32)(533mg)を得た。テトラメチルシランを標準とするDMSO-d6溶媒におけるNMRデータを下記に示す。
1H−NMR(DMSO−d6):δ1.00(s,3H,Me−17)1.03(s,3H,Me−16)1.42(dd,1H,J=15.4,9.2Hz,H−14b)1.49(s,3H,Me−19)1.63(brt,1H,J=12.1Hz,H−6b)1.74(dd,1H,J=15.4, 9.2Hz,H−14a)1.80(s,3H,Me−18)2.11(s,3H,Ac−10)2.23(s,3H,Ac−4)2.30(m,1H,H6a)2.72(dd,1H,J=13.9,10.2Hz,PheCH2Hb)3.02(dd,1H,J=13.9,3.8Hz,PheCH2CHa)3.52(brs,2H,GlyCH2)3.56(d,1H,J=7.2Hz,H−3)3.66(dd,1H,16.9,5.4Hz,GlyCH2b)3.84(dd,1H,16.9,5.4Hz,GlyCH2a)4.01(dd,2H,J=14.5,8.4Hz,H−20a,H−20b)4.01(2H,GlyCH2)4.09(m,1H,H−7)4.55(ddd,1H,J=10.2,8.5,3.8Hz,PheCH2CH)4.61(s,1H,OH−1)4.89(dd,1H,J=8.9,1.3Hz,H−5)4.92(brs,1H,OH−7)5.41(d,1H,J=7.2,H−2)5.43(d,1H,J=6.3Hz,H−2’)5.51(t,1H,J=8.5Hz,H−3’)5.83(t,1H,J=9.2Hz,H−13)6.29(s,1H,H−10)7.10−8.00(aromatic,20H)8.33(d,1H,PheCONH)8.51(t,1H,J=5.5Hz,GlyCONH)8.69(t,1H,J=6.0Hz,GlyCONH)9.34(d,1H,J=8.5Hz,CONH−3’)
HRMS:m/z 1172.4711
(M+H)+:C62H70O18N5としての計算値 1172.4716
Anal.Calcd for: C62H69O18N5・HCl・2.5H2O:C,59.40;H,6.
03;N,5.59.
Found: C,59.55;H,6.04;N,5.60
〔実施例16〕
ポリエーテル−2’−Gly−Gly−Phe−Gly−パクリタキセル(34)の製造
実施例6で得た、共重合体(15)(103mg)をDMF5mlに溶解し、この溶液に実施例15で得た、2’−Gly−Gly−Phe−Gly−パクリタキセル(32)(10.3mg)を溶解したDMF(0.5ml)及びHBTU(53mg)を溶解したDMF(0.5ml)を加え、室温で2時間撹拌した。この反応液を透析膜(分子量カットオフ12,000−14,000、米国、スペクトラム社製)を用い、精製水に対して4℃で2日間透析した。この内液をメンブランフィルター(0.45μm)にて濾過した後、凍結乾燥し、表記化合物(34)(113mg)を得た。本複合体の薬物の導入量は、254nmにおける紫外吸光度及び複合体の総重量から算出したところ、6.4%(重量%)であった。
〔実施例17〕
20−Gly−カンプトテシン塩酸塩(35)の製造
(工程1)20−BOC−Gly−カンプトテシン(36)の製造
BOC−Gly(263mg、1.5mmol)及び、ジメチルアミノピリジン(122mg、1.0mmol)及び(S)−(+)−Camptothesin(東京化成製、174mg、0.5mmol)を塩化メチレン(20ml)に溶解した。次いで、DIPC(189mg、1.5mmol)を加え室温で3.5時間撹拌した。反応溶液を0.1N塩酸及び飽和食塩水で洗浄しその後、溶媒を減圧下で留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×30cm、溶離液:塩化メチレン/アセトニトリル=70/30)で精製し、20−BOC−Gly−カンプトテシン(36)(315mg)を得た。
(工程2)20−Gly−カンプトテシン塩酸塩(35)の製造
化合物(36)(300mg)を塩化メチレン(5ml)に溶解し、室温下トリフルオロ酢酸(TFA;2ml)を加え、5分間撹拌し、ついで溶媒を留去した。脱BOC化した化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×50cm、溶離液:アセトニトリル/メタノール/塩化メチレン=10/10/90)で精製し、その後陰イオン交換樹脂で処理することで、標記化合物(35)(214mg)を得た。テトラメチルシランを標準とするDMSO-d6溶媒におけるNMRデータを下記に示す。
1H−NMR(DMSO−d6):δ0.97(s,3H)2.20(m,2H)4.08,4.34(dd,2H)5.32(s,2H)5.56(s,2H)7.32(s,1H)7.73(t,1H)7.88(t,1H)8.15(d,1H)8.17(d,1H)8.56(brs,2H)8.72(s,1H)
13C−NMR(DMSO−d6):7.53,30.18,38.6−40.2,50.10,66.29,77.42,95.51,118.78,127.63,127.82,128.45,128.66,129.49,130.43,131.58,144.72,145.97,147.77,152.13,156.39,166.77
〔実施例18〕
ポリエーテル−20−Gly−カンプトテシン(37)の製造
実施例6で得た、共重合体(15)(103mg)DMF5mlに溶解し、この溶液に実施例17で得た、20−Gly−カンプトテシン塩酸塩(35)(20mg)を溶解したDMF(0.5ml)及びHBTU(108mg)を溶解したDMF(0.5ml)を加え、室温で2時間撹拌した。この反応液を透析膜(分子量カットオフ12,000−14,000、米国、スペクトラム社製)を用い、精製水に対して4℃で2日間透析した。この内液をメンブランフィルター(0.22μm)にて濾過した後、凍結乾燥し、表記化合物(37)(105mg)を得た。本複合体の薬物の導入量は、254nmにおける紫外吸光度及び複合体の総重量から算出したところ、3.5%(重量%)であった。
〔実施例19〕
20−GlyGlyPheGly−カンプトテシン塩酸塩(38)の製造
(工程1)20−TrtGlyGlyPheGly−カンプトテシン(39)の製造
実施例14で得られた(28)Trt−GlyGlyPheGly(1736mg、3mmol)及び、ジメチルアミノピリジン(244mg、2mmol)及び(S)−(+)−Camptothesin(348mg、1mmol)を塩化メチレン(100ml)に溶解した。次いで、DIPC(378mg、3mmol)を加え室温で終夜撹拌した。反応溶液を0.1N塩酸及び飽和食塩水で洗浄しその後、溶媒を減圧下で留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×30cm、溶離液:塩化メチレン/アセトニトリル=70/30)で精製し、20−TrtGlyGlyPheGly−カンプトテシン(39)(754mg)を得た。
(工程2)20−GlyGlyPheGly−カンプトテシン塩酸塩(38)の製造
化合物(39)(700mg)を75%酢酸(8ml)に溶解し、20分間撹拌後、溶媒を留去した。脱Trt化した化合物を陰イオン交換樹脂(バイオラッド社AG1−X8)により酢酸塩を塩酸塩に変換し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×50cm、溶離液:メタノール/塩化メチレン=15/85)で精製し、標記化合物(38)(535mg)を得た。テトラメチルシランを標準とするDMSO-d6溶媒におけるNMRデータを下記に示す。
1H−NMR(DMSO−d6):δ0.93(t,3H)2.32(m,2H)2.77,3.06(dd,dd,2H)3.27(s,2H)3.61,3.76(d,d,2H)4.11,4.21(dd,dd,2H)4.55(m,1H)5.27(s,2H)5.51(s,2H)7.15(m,1H)7.19(s,1H)7.22(m,4H)7.71(t,1H)7.87(t,1H)8.12(d,1H)8.17(d,1H)8.23(brs,1H)8.31(d,1H)8.68(s,1H)8.68(brs,2H)
13C−NMR(DMSO−d6):7.52,30.42,37.43,40.41,41.64,42.21,50.08,53.96,66.28,76.27,95.20,118.87,126.20,127.59,127.80,128.01,128.39,128.79,129.06,129.50,130.37,131.49,137.82,145.11,145.87,147.72,152.12,156.41,167.00,168.35,168.84,171.68
〔実施例20〕
ポリエーテル−20−GlyGlyPheGly−カンプトテシン(40)の製造
実施例6で得た、共重合体(15)(100mg)をDMF(5ml)に溶解し、この溶液に実施例19で得た、20−GlyGlyPheGly−カンプトテシン塩酸塩(38)(20mg)をDMF(0.5ml)及びHBTU(100mg)を溶解したDMF(0.5ml)を加え、室温で2時間撹拌した。この反応液を透析膜(分子量カットオフ12,000−14,000、米国、スペクトラム社製)を用い、精製水に対して4℃で2日間透析した。この内液をメンブランフィルター(0.22μm)にて濾過した後、凍結乾燥し、表記化合物(40)(101mg)を得た。本複合体の薬物の導入量は、254nmにおける紫外吸光度及び複合体の総重量から算出したところ、4.5%(重量%)であった。
〔実施例21〕
21−Ala−デキサメタゾン塩酸塩(41)の製造
(工程1)21−BOC−Ala−デキサメタゾン(42)の製造
BOC−Ala(568mg、3mmol)及び、ジメチルアミノピリジン(244mg、2mmol)及びデキサメタゾン(392mg、1mmol)を乾燥塩化メチレン(30ml)に溶解した。次いで、DIPC(252mg、2mmol)を加え室温で0.5時間撹拌した。反応溶液を0.1N塩酸及び飽和食塩水で洗浄しその後、溶媒を減圧下留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×30cm、溶離液:塩化メチレン/アセトニトリル=80/20)で精製し、21−BOC−Ala−デキサメタゾン(42)(553mg)を得た。
(工程2)21−Ala−デキサメタゾン塩酸塩(41)の製造
化合物(42)(500mg)を塩化メチレン(10ml)に溶解し、室温下トリフルオロ酢酸(TFA;1ml)を加え2時間撹拌後に溶媒を留去した。脱BOC化した化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×50cm、溶離液:アセトニトリル/メタノール/塩化メチレン=5/15/85)で精製し、その後陰イオン交換樹脂で処理することで、標記化合物(41)(412mg)を得た。テトラメチルシランを標準とするDMSO-d6溶媒におけるNMRデータを下記に示す。
1H−NMR(DMSO−d6):δ0.80(d,3H)0.90(s,3H)1.09(s,1H)1.33−1.79(m,4H)1.49(s,3H)1.50(d,3H)2.08−2.91(m,6H)3.35(brs,1H)4.17(m,1H)4.24(q,1H)4.95(d,1H)5.20(d,1H)5.27(s,1H)5.53(d,1H)6.01(s,1H)6.23(dd,1H)7.33(d,1H)8.46(brs,1H)
13C−NMR(DMSO−d6):15.20,16.09,16.29,23.08,27.41,30.41,32.05,33.70,35.61,35.83,43.42,47.80,48.05,48.25,69.38,70.41,90.61,101.42,124.19,129.03,152.94,167.17,169.98,185.41,204.30
〔実施例22〕
ポリエーテル−21−Ala−デキサメタゾン(43)の製造
実施例6で得た、共重合体(15)(100mg)をDMF(5ml)に溶解した。この溶液に実施例21で得た、21−Ala−デキサメタゾン塩酸塩(41)(20mg)を溶解したDMF(0.5ml)及びHBTU((100mg)を溶解したDMF(0.5ml)を加え、室温で2時間撹拌した。この反応液を透析膜(分子量カットオフ12,000−14,000、米国、スペクトラム社製)を用い、精製水に対して4℃で2日間透析した。この内液をメンブランフィルター(0.22μm)にて濾過した後、凍結乾燥し、表記化合物(43)(92mg)を得た。本複合体の薬物の導入量は、240nmにおける紫外吸光度及び複合体の総重量から算出したところ、3.5%(重量%)であった。
〔実施例23〕21−Leu−デキサメタゾン塩酸塩(44)の製造
(工程1) 20−BOC−Leu−デキサメタゾン(45)の製造 BOC−Leu・H2O(747mg、3mmol)及び、ジメチルアミノピリジン(244mg、2mmol)及びデキサメタゾン(392mg、1mmol)を塩化メチレン(30ml)に溶解した。次いで、DIPC(252mg、2mmol)を加え室温で13時間撹拌した。反応溶液を0.1N塩酸及び飽和食塩水で洗浄しその後、溶媒を減圧下留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×30cm、溶離液:塩化メチレン/アセトニトリル=80/20)で精製し、20−BOC−Leu−デキサメタゾン(45)(605mg)を得た。
(工程2)21−Leu−デキサメタゾン塩酸塩(44)の製造
化合物(45)(500mg)を塩化メチレン(5ml)に溶解し、室温下トリフルオロ酢酸(TFA;1ml)を加え、2時間撹拌後、溶媒を留去した。脱BOC化した化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×50cm、溶離液:アセトニトリル/メタノール/塩化メチレン=5/15/85)で精製し、その後陰イオン交換樹脂で処理することで、標記化合物(44)(510mg)を得た。テトラメチルシランを標準とするDMSO-d6溶媒におけるNMRデータを下記に示す。
1H−NMR(DMSO−d6):δ0.79(d,3H)0.88(d,3H)0.89(s、3H)0.92(d,3H)1.08(m,1H)1.34−1.81(m,6H)1.49(s,3H)1.86(m,1H)2.12−2.88(m,6H)3.35(s,2H)3.44(q,1H)4.16(m,1H)4.85(d,1H)5.02(d,1H)5.17(s,1H)5.47(d,1H)6.01(s,1H)6.23(dd,1H)7.31(d,1H)
13C−NMR(DMSO−d6):15.27,16.30,21.87,23.11,23.15,24.15,27.46,30.50,32.13,33.79,35.52,35.79,43.46,43.56,48.15,48.16,52.16,68.21,70.62,90.67,101.47,124.24,129.06,153.04,167.27,175.47,185.48,204.90
〔実施例24〕
ポリエーテル−21−Leu−デキサメタゾン(46)の製造
実施例6で得た、共重合体(15)(100mg)を水20mlに溶解し、氷冷下、この溶液にDMF5mlを加えた。この溶液に実施例23で得た、21−Leu−デキサメタゾン塩酸塩(44)(20mg)を溶解したDMF(0.5ml)及びHBTU(100mg)を溶解したDMF(0.5ml)を加え、室温で2時間撹拌した。この反応液を透析膜(分子量カットオフ12,000−14,000、米国、スペクトラム社製)を用い、精製水に対して4℃で2日間透析した。この内液をメンブランフィルター(0.22μm)にて濾過した後、凍結乾燥し、表記化合物(46)(97mg)を得た。本複合体の薬物の導入量は、240nmにおける紫外吸光度及び複合体の総重量から算出したところ、4.1%(重量%)であった。
〔実施例25〕
21−Ile−デキサメタゾン塩酸塩(47)の製造
(工程1)20−BOC−Ile−デキサメタゾン(48)の製造
BOC−Ile(1040mg、4.5mmol)及び、ジメチルアミノピリジン(366mg、3mmol)及びデキサメタゾン(588mg、1.5mmol)を塩化メチレン(30ml)に溶解した。次いで、DIPC(378mg、3mmol)を加え室温で14時間撹拌した。反応溶液を0.1N塩酸及び飽和食塩水で洗浄しその後、溶媒を減圧下留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:独国Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×30cm、溶離液:塩化メチレン/アセトニトリル=80/20)で精製し、20−BOC−Ile−デキサメタゾン(48)(620mg)を得た。
(工程2)21−Ile−デキサメタゾン塩酸塩(47)の製造
化合物(48)(600mg)を塩化メチレン(5ml)に溶解し、室温下トリフルオロ酢酸(TFA;1ml)を加え、2時間撹拌後、溶媒を留去した。脱BOC化した化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×50cm、溶離液:アセトニトリル/メタノール/塩化メチレン=5/15/85)で精製し、その後陰イオン交換樹脂で処理することで、標記化合物(47)(584mg)を得た。テトラメチルシランを標準とするDMSO-d6溶媒におけるNMRデータを下記に示す。
1H−NMR(DMSO−d6):δ0.80(d,3H)0.90(s,3H)0.93(t,3H)1.03(d,3H)1.08(m,1H)1.33−1.86(m,6H)1.49(s,3H)1.50(d,1H)2.13−2.91(m,6H)4.11(d,1H)4.16(m,1H)4.99(d,1H)5.17(d,1H)5.26(s,1H)5.55(d,1H)6.01(s,1H)6.23(dd,1H)7.34(d,1H)8.44(s,1H)
13C−NMR(DMSO−d6):11.69,13.69,15.21,16.21,23.09,25.02,27.44,30.45,32.08,33.72,35.81,35.61,36.34,43.44,48.08,48.22,56.15,69.54,70.41,90.72,101.46,124.19,129.00,152.96,167.18,168.66,185.41,204.40
〔実施例26〕
ポリエーテル−21−Ile−デキサメタゾン(49)の製造
実施例6で得た、共重合体(15)(102mg)をDMF5mlに溶解した。この溶液に実施例25で得た、21−Ile−デキサメタゾン塩酸塩(47)(20mg)を溶解したDMF(0.5ml)及びHBTU(100mg)を溶解したDMF(0.5ml)を加え、室温で2時間撹拌した。この反応液を透析膜(分子量カットオフ12,000−14,000、米国、スペクトラム社製)を用い、精製水に対して4℃で2日間透析した。この内液をメンブランフィルター(0.22μm)にて濾過した後、凍結乾燥し、表記化合物(49)(0.97g)を得た。本複合体の薬物の導入量は、240nmにおける紫外吸光度及び複合体の総重量から算出したところ、3.0%(重量%)であった。
〔実施例27〕
Ala−ファスジル(50)の製造
(工程1)BOC−Ala−ファスジル(51)の製造
BOC−Ala(756mg、4mmol)及び、ジメチルアミノピリジン(122mg、1mmol)及び塩酸ファスジル水和物(673mg、2mmol)を乾燥塩化メチレン(30ml)に溶解した。次いで、WSCD・HCl(水溶性カルボジイミド、ペプチド研製、766mg、4mmol)を加え室温で終夜撹拌した。反応溶液を飽和重曹水及び飽和食塩水で洗浄しその後、溶媒を減圧下留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:2.0×30cm、溶離液:塩化メチレン/メタノール/アセトニトリル=95/5/5)で精製し、BOC−Ala−ファスジル(51)(713mg)を得た。
(工程2)Ala−ファスジル(50)の製造
化合物(51)(650mg)に対し、室温下トリフルオロ酢酸(TFA、5ml)を加え10分後に溶媒を留去した。脱BOC化した化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:2.0×30cm、溶離液:アセトニトリル/メタノール/塩化メチレン=85/15/5)で精製し、その後陰イオン交換樹脂で処理することで、標記化合物(50)(504mg)を得た。テトラメチルシランを標準とするDMSO-d6溶媒におけるNMRデータを下記に示す。
1H−NMR(DMSO−d6):δ1.30(dd,2H)1.7−2.0(2H)3.2−3.8(8H)4.3(1H)7.9(1H)8.1(2H)8.3−8.4(2H)8.5(1H)8.7(1H)9.5(1H)
13C−NMR(DMSO−d6):16.4,16.7,27.6,29.5,44.4−48.9,117.0,126.6,128.8,130.6,132.3,132.6,133.5,133.9,144.8,153.5,169.4
〔実施例28〕
ポリエーテル−Ala−ファスジル(52)の製造
実施例6で得た、共重合体(15)(104mg)をDMF5mlに溶解した。この溶液に実施例27で得た、Ala−ファスジル(50)(10mg)を溶解したDMF(0.5ml)及びHBTU(52mg)を溶解したDMF(0.5ml)を加え、室温で2時間撹拌した。この反応液を透析膜(分子量カットオフ12,000−14,000、米国、スペクトラム社製)を用い、精製水に対して4℃で2日間透析した。この内液をメンブランフィルター(0.45μm)にて濾過した後、凍結乾燥し、表記化合物(52)(110mg)を得た。本複合体の薬物の導入量は、270nmにおける紫外吸光度及び複合体の総重量から算出したところ、3.4%(重量%)であった。
〔実施例29〕
Leu−ファスジル(53)の製造
(工程1)BOC−Leu−ファスジル(54)の製造
BOC−Leu・HO(997mg、4mmol)及び、ジメチルアミノピリジン(122mg、1mmol)及び塩酸ファスジル水和物(673mg、2mmol)を乾燥塩化メチレン(30ml)に溶解した。次いで、WSCD・HCl(水溶性カルボジイミド、ペプチド研製、766mg、4mmol)を加え室温で終夜撹拌した。反応溶液を飽和重曹水及び飽和食塩水で洗浄しその後、溶媒を減圧下留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:2.0×30cm、溶離液:塩化メチレン/メタノール/アセトニトリル=95/5/5)で精製し、BOC−Leu−ファスジル(54)(718mg)を得た。
(工程2)Leu−ファスジル(53)の製造
化合物(54)(650mg)に対し、室温下トリフルオロ酢酸(TFA、5ml)を加え10分後に溶媒を留去した。脱BOC化した化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:2.0×30cm、溶離液:アセトニトリル/メタノール/塩化メチレン=85/15/5)で精製し、その後陰イオン交換樹脂で処理することで、標記化合物(53)(525mg)を得た。テトラメチルシランを標準とするDMSO-d6溶媒におけるNMRデータを下記に示す。
1H−NMR(DMSO−d6):δ0.9(6H)1.4−2.0(5H)3.2−3.8(8H)4.3(1H)7.9(1H)8.2(2H)8.3−8.4(2H)8.5(1H)8.7(1H)9.5(1H)
13C−NMR(DMSO−d6):21.0,21.2,23.1,23.4,27.8,29.4,40.0,45.9−48.6,117.1,126.7,128.8,130.6,132.5,132.7,133.5,133.9,144.6,153.4,169.1
〔実施例30〕
ポリエーテル−Leu−ファスジル(55)の製造
実施例6で得た、共重合体(15)(101mg)をDMF5mlに溶解した。この溶液に実施例29で得たLeu−ファスジル(53)(10.6mg)を溶解したDMF(0.5ml)及びHBTU(52mg)を溶解したDMF(0.5ml)を加え、室温で2時間撹拌した。この反応液を透析膜(分子量カットオフ12,000−14,000、米国、スペクトラム社製)を用い、精製水に対して4℃で2日間透析した。この内液をメンブランフィルター(0.45μm)にて濾過した後、凍結乾燥し、表記化合物(55)(106mg)を得た。本複合体の薬物の導入量は、270nmにおける紫外吸光度及び複合体の総重量から算出したところ、3.4%(重量%)であった。
〔実施例31〕
Ile−ファスジル(56)の製造
(工程1)BOC−Leu−ファスジル(57)の製造
BOC−Ile(766mg、4mmol)及び、ジメチルアミノピリジン(122mg、1mmol)及び塩酸ファスジル水和物(673mg、2mmol)を乾燥塩化メチレン(30ml)に溶解した。次いで、WSCD・HCl(水溶性カルボジイミド、ペプチド研製、766mg、4mmol)を加え室温で終夜撹拌した。反応溶液を飽和重曹水及び飽和食塩水で洗浄しその後、溶媒を減圧下留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:2.0×30cm、溶離液:塩化メチレン/アセトニトリル=70/30)で精製し、BOC−Leu−ファスジル(57)(826mg)を得た。
(工程2)Ile−ファスジル(56)の製造
化合物(57)(800mg)に対し、室温下トリフルオロ酢酸(TFA、5ml)を加え10分後に溶媒を留去した。脱BOC化した化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:2.0×30cm、溶離液:アセトニトリル/メタノール/塩化メチレン=85/15/5)で精製し、その後陰イオン交換樹脂で処理することで、標記化合物(56)(763mg)を得た。テトラメチルシランを標準とするDMSO-d6溶媒におけるNMRデータ及び質量分析データを下記に示す。
1H−NMR(DMSO−d6):δ0.85(tt、3H)0.96(dd、3H)1.14(1H)1.46(1H)1.7−2.0(3H)3.2−3.8(8H)4.2(1H)7.9(1H)8.1(2H)8.3−8.4(2H)8.5(dd、1H)8.7(dd、1H)9.5(1H)
13C−NMR(DMSO−d6):11.2,14.8,22.9,27.5,29.7,35.7,35.9,44.4,45.9,46.2、46.7,47.1,47.3,49.2,53.8,117.1,126.6,128.8,130.6,132.4,132.6,133.5,133.9,144.6,153.4,168.2
MS:m/z 405[M+H]
〔実施例32〕
ポリエーテル−Ile−ファスジル(58)の製造
実施例6で得た、共重合体(15)(101mg)をDMF5mlに溶解した。この溶液に実施例29で得たIle−ファスジル(56)(10.6mg)を溶解したDMF(0.5ml)及びHBTU(52mg)を溶解したDMF(0.5ml)を加え、室温で2時間撹拌した。この反応液を透析膜(分子量カットオフ12,000−14,000、米国、スペクトラム社製)を用い、精製水に対して4℃で2日間透析した。この内液をメンブランフィルター(0.45μm)にて濾過した後、凍結乾燥し、表記化合物(58)(109mg)を得た。本複合体の薬物の導入量は、270nmにおける紫外吸光度及び複合体の総重量から算出したところ、3.7%(重量%)であった。
〔実施例33〕
化合物(19)、(21)、(23)、(25)、(27)及び(34)の生理食塩水に対する溶解度
化合物(19)、(21)、(23)、(25)、(27)及び(34)をそれぞれ10mg量り取り、0.1mlの生理食塩水に加えたところ、加えた化合物はそれぞれ完全に溶解した。パクリタキセル換算では、化合物(19)は6.1mg/ml(生理食塩水)の溶解度であった。同様に(21)は3.7mg/ml(生理食塩水)の溶解度、(23)は4.0mg/ml(生理食塩水)の溶解度、(25)は2.5mg/ml(生理食塩水)の溶解度、(27)は3.5mg/ml(生理食塩水)の溶解度、(34)は6.4mg/ml(生理食塩水)の溶解度であった。
更に、パクリタキセル(米国、HAUSER社製)1mgは、10mlの生理食塩水に溶解しなかった。
〔実施例34〕
マウス及びヒト血漿中における化合物(19)、(21)、(23)及び(25)からのパクリタキセル遊離評価実験
実施例9で得た化合物(19)、実施例10で得た化合物(21)、実施例11で得た化合物(23)及び実施例12で得た化合物(25)をそれぞれ生理食塩水に溶解し、パクリタキセルに換算した濃度が125μg/mlとなるよう調製した。これらの溶液20μlをマウス及びヒト血漿200μlにそれぞれ添加し、37℃における薬物複合体からのパクリタキセル遊離量を測定した。薬学雑誌,114,351−355(1994)記載の方法に従い、血漿中からのパクリタキセル回収を行い、HPLCにより、化合物(19)、(21)、(23)及び(25)から血漿中に遊離したパクリタキセル量を評価した。
図5及び図6には、パクリタキセル遊離の経時変化を示した。その結果、薬物複合体からのパクリタキセルの遊離速度はマウス及びヒト血漿で同じ傾向が見られた。その順序は、遊離速度の大きい順に化合物(19)>(21)>(23)>(25)であり、これはリンカーであるアミノ酸の立体障害の大きさと相関が見られた。
〔実施例35〕
抗腫瘍効果の評価実験(1)
Colon26腫瘍細胞4%懸濁液を、Balb/C系の雌性マウス(6週齢)の側腹部皮下に移植し、被検化合物として実施例9で得た化合物(19)、実施例10で得た化合物(21)、実施例11で得た化合物(23)、実施例12で得た化合物(25)を生理食塩水に溶解した被検液、及びパクリタキセルをエタノール−クレモホールEL(米国、シグマ社製)−生理食塩水に溶解した被検液を、一群5匹として尾静脈内に投与した。投与量はパクリタキセル換算で50mg/kgとした。無処置群は、一群9匹とした。細胞移植後2日目に、第1回被検液を投与し、その後7日毎に、被検液を尾静脈内に合計4回投与した。マウスの腫瘍体積を測定することにより、抗腫瘍効果を判定した。無処置群及び被検液投与群の平均腫瘍体積の経時変化を示した。腫瘍体積Vは、腫瘍を外部から計測し、長径a(mm)及び短径b(mm)とするとき、下式(XI)により求めた。
Figure 2009149728

被検液投与後の、腫瘍体積の経時変化は、図7に示される通りであった。本発明による薬物複合体(19)及び(21)の50mg/kg投与群の抗腫瘍効果は、パクリタキセルの50mg/kg投与群の抗腫瘍効果と比較して、有意に優れていた。抗腫瘍効果の強さは[化合物(19)及び(21)>(23)>(25)及びパクリタキセル]の順序であった。
〔実施例36〕
抗腫瘍効果の評価実験(2)
Colon26腫瘍細胞4%懸濁液を、Balb/C系の雌性マウス(6週齢)の側腹部皮下に移植し、被検化合物として実施例16で得た化合物(34)を生理食塩水に溶解した被検液、及び対照としてパクリタキセルをエタノール−クレモホールEL(米国、シグマ社製)−生理食塩水に溶解した被検液を一群3匹として尾静脈内に投与した。投与量はパクリタキセル換算で50mg/kgとした。無処置群は、一群5匹とした。腫瘍細胞移植後2日目に、第1回被検液を投与し、その後4日毎に計7回、被検液を尾静脈内に投与した。マウスの腫瘍体積を測定し比較することにより、抗腫瘍効果を判定した。腫瘍体積Vは、腫瘍を外部から計測し、長径a(mm)及び短径b(mm)とするとき、実施例35における式(XI)により求めた。無処置群及び被検液投与群の平均腫瘍体積の経時変化を示した。
被検液投与後の、腫瘍体積の経時変化は、図8に示される通りであった。本発明による薬物複合体(34)の50mg/kg投与群の抗腫瘍効果は、パクリタキセルの50mg/kg投与群の抗腫瘍効果と比較して、有意に優れていた。
〔実施例37〕
化合物(37)、(40)、(43)、(46)、(49)、(52)、(55)及び(58)の生理食塩水に対する溶解度評価
化合物(37)、(40)、(43)、(46)、(49)、(52)、(55)及び(58)をそれぞれ10mg量り取り、0.1mlの生理食塩水に加えた、加えた化合物はそれぞれ完全に溶解した。カンプトテシン換算で化合物(37)は3.5mg/ml(生理食塩水)の溶解度であった。同様に化合物(40)はカンプトテシン換算で4.5mg/ml(生理食塩水)の溶解度、化合物(43)はデキサメタゾン換算で3.5mg/ml(生理食塩水)の溶解度、化合物(46)は同様にデキサメタゾン換算で4.1mg/ml(生理食塩水)の溶解度、化合物(49)は同様にデキサメタゾン換算で3.0mg/ml(生理食塩水)の溶解度であった。更に化合物(52)はファスジル換算で3.4mg/ml(生理食塩水)の溶解度、化合物(55)はファスジル換算で3.4mg/ml(生理食塩水)の溶解度、また化合物(58)はファスジル換算で3.7mg/ml(生理食塩水)の溶解度であった。
〔実施例38〕
マウス血漿中における、化合物(43)、(46)及び(49)からのデキサメタゾン遊離評価実験
実施例22で得た化合物(43)、実施例24で得た化合物(46)及び実施例26で得た化合物(49)をそれぞれ生理食塩水に溶解し、デキサメタゾン換算で80μg/mlとなるよう調製した。これらの溶液50μlをマウス血漿250μlにそれぞれ添加し、37℃におけるそれぞれの薬物複合体からのデキサメタゾン遊離量を測定した。血漿中のデキサメタゾン回収並びに定量は次のようにして行った。すなわち、血漿サンプル250μlに対し、250μlリン酸緩衝液(pH7.4)を加え、さらに内部標準として酢酸ヒドロコルチゾンを含むアセトニトリル−メタノール溶液(CH3CN/MeOH=4/1、酢酸ヒドロコルチゾン濃度=10ng/ml)を3ml加えた後遠心し、(3000rpm、10分、4℃)得られた上清700μlに、蒸留水700μlを加え、メンブランフィルター(0.4μm)にてろ過した後、HPLCにて定量した。
図9にマウス血漿中からのデキサメタゾン遊離の経時変化を示した。薬物複合体からのデキサメタゾンの遊離速度の順序は、遊離速度の大きい順に化合物(43)>(46)>(49)であり、これはリンカーであるアミノ酸の立体障害の大きさと相関が見られた。
<HPLCの条件>
カラム:Asahipak HIKARISIL C18(4.6×150mm) 流速:1.0ml/min
カラム温度:25℃
検出波長:240nm
移動相:Linear gradient
0min:20%アセトニトリル水溶液(20%CH3CN/H2O)
20min:50%アセトニトリル水溶液(50%CH3CN/H2O)
本発明のポリエーテルは、生体組織適合性及び体液適合性に優れるため、これを医療用材料として用いた場合には、材料全体の高い安全性が実現される。特に、本発明のポリエーテルは、生体との相互作用が極めて少なく、生体組織に認識されにくいために肝臓、脾臓、骨髄といった代謝臓器、副作用発現臓器に分布することが少なく、臓器障害や細胞毒性を引き起こす可能性が低減され、標的とする臓器に集積することが可能となる。
また、該ポリエーテルにアミノ酸やペプチドなどのリンカーを介して薬理活性を有する化合物を結合させて薬物複合体として用いた場合、これを生体内に投与した際に、生体組織に認識されずに薬物を標的組織に送達することが可能になる。薬物複合体は、薬物遊離速度の制御が可能であり、しかも結合前の薬物に比べ生理食塩水に対する溶解性が極めて向上し、溶解補助剤無しでの静脈内投与を可能とする。
実施例5の本発明の化合物(13)のGPCによる溶出曲線を示す図である。 実施例6の本発明の化合物(15)のGPCによる溶出曲線を示す図である。 実施例7の本発明の化合物(17)のGPCによる溶出曲線を示す図である。 実施例8の本発明の化合物(15)における毒性評価のグラフである。 実施例34の本発明の化合物(19)、(21)、(23)及び(25)のマウス血漿中薬物遊離のグラフである。 実施例34の本発明の化合物(19)、(21)、(23)及び(25)のヒト血漿中薬物遊離のグラフである。 実施例9の本発明の化合物(19)、実施例10の本発明の化合物(21)、実施例11の本発明の化合物(23)、実施例12の本発明の化合物(25)のColon26に対する抗腫瘍効果を表すグラフである。 実施例16の本発明の化合物(34)のColon26に対する抗腫瘍効果を表すグラフである。 実施例22の本発明の化合物(43)、実施例24の本発明の化合物(46)、実施例26の本発明の化合物(49)のマウス血漿中薬物遊離のグラフである。

Claims (37)

  1. 式(I)および式(II)で表される化合物を共重合して得られる、式(III)および式(IV)で表される繰り返し単位を有するポリエーテル。
    Figure 2009149728
    Figure 2009149728
    Figure 2009149728
    Figure 2009149728
    (式中、Rは−ORまたは−NHRで示される基を表し、RおよびRは水素、無機塩基あるいは有機塩基またはC〜C15の炭化水素を含む基、または薬理作用を有する基を表す。ここで同一の共重合体内でR1、RまたはRは同一であっても異なっていてもよい。各構造単位のモル比は、(III)/((III)+(IV))=0.001〜0.5であり、構造単位(III)および(IV)のモル%はそれぞれ(III)=0.1〜99.9および(IV)=0.1〜99.9である。ここで、式(III)および式(IV)を構造単位として含むポリエーテルは、ポリエチレングリコール(PEG)換算重量平均分子量が1,000〜100,000である。)
  2. 下式(V)および式(VI)を構造単位として含むポリエーテルに対し、薬理作用を有する基を、薬理作用を有する基自身が有するアミノ基を介して、あるいは、アミノ基を有するリンカーを介して結合させることにより得られる式(VII)を含みかつ(V)、(VI)を構造単位として含む請求項1に記載のポリエーテル。
    Figure 2009149728
    Figure 2009149728
    Figure 2009149728
    (式中、Rは水素、無機塩基あるいは有機塩基を示し、NH−Rは自身が有するアミノ基を介し、あるいは自身が結合したリンカーが有するアミノ基を介し結合した薬理作用を有する基を示す。各構造単位のモル比は、(VII)/((V)+(VI)+(VII))=0.001〜0.5である。各構造単位(V)、(VI)および(VII)のモル%はそれぞれ(V)=0〜99.9、(VI)=0.1〜99.8および(VII)=0.1〜99.8である。ここで、式(V)、(VI)および式(VII)を構造単位として含むポリエーテルは、PEG換算重量平均分子量が1,000〜100,000である。)
  3. ポリエチレングリコール(PEG)換算重量平均分子量/PEG換算数平均分子量(Mw/Mn)が1.1〜2.7である請求項1または2に記載のポリエーテル。
  4. 薬理作用を有する基がリンカーと結合した基である請求項1〜3のいずれかに記載のポリエーテル。
  5. リンカーがアミノ酸もしくはペプチドである請求項1〜4のいずれかに記載のポリエーテル。
  6. リンカーがGly,Ala,Leu,Ile,Pheで示されるアミノ酸から選択または組み合わせて用いられる請求項1〜5のいずれかに記載のポリエーテル。
  7. リンカーがGly−Gly,Ala−GLy,Gly−Ala,Leu−Gly,Gly−Leu,Ile−Gly,Gly−Ile,Phe−Gly,Gly−Phe,Gly−Gly−Gly,Gly−Phe−Gly,Phe−Gly−Gly,Gly−Gly−Phe,Gly−Gly−Phe−Glyから選択される請求項1〜6のいずれかに記載のポリエーテル。
  8. 薬理作用を有する基が分子中に官能基としてアミノ基、またはカルボキシル基、または水酸基を有する請求項1〜7のいずれかに記載のポリエーテル。
  9. 薬理作用を有する基が抗悪性腫瘍薬、抗炎症薬、抗リウマチ薬、酵素阻害薬または核酸である請求項1〜8のいずれかに記載のポリエーテル。
  10. 抗悪性腫瘍薬がアルキル化薬、代謝拮抗薬、抗腫瘍性抗生物質、微小管阻害薬、ホルモン類似薬、白金製剤、トポイソメラーゼ阻害薬、生物製剤(サイトカイン)、分子標的治療薬、非特異的免疫賦活薬およびその誘導体から選択される請求項9に記載のポリエーテル。
  11. アルキル化薬がシクロフォスファミドなどのマスタード薬、ニムスチンなどのニトロソウレア類およびその誘導体から選択される請求項10に記載のポリエーテル。
  12. 代謝拮抗薬が葉酸代謝拮抗薬であるメトトレキセート、ピリミジン代謝拮抗薬である5−フルオロウラシル、プリン代謝拮抗薬の6−MPおよびその誘導体から選択される請求項10に記載のポリエーテル。
  13. 抗腫瘍性抗生物質がアンスラサイクリン系のドキソルビシン、ダウノルビシン、マイトマイシンCおよびそれらの誘導体から選択される請求項10に記載のポリエーテル。
  14. 微小管阻害薬がタキサン系のパクリタキセル、ドセタキセルおよびその誘導体から選択される請求項10に記載のポリエーテル。
  15. ホルモン類似薬がタモキシフェンおよびその誘導体から選択される請求項10に記載のポリエーテル。
  16. 白金製剤がシスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチンおよびその誘導体から選択される請求項10に記載のポリエーテル。
  17. トポイソメラーゼ阻害薬がトポイソメラーゼI阻害薬のイリノテカン、ノギテカンおよびその誘導体から選択される請求項10に記載のポリエーテル。
  18. 生物製剤がインターフェロンおよびその誘導体から選択される請求項10に記載のポリエーテル。
  19. 分子標的治療薬がイマチニブ、ゲフィチニブ、リツキシマブおよびその誘導体から選択される請求項10に記載のポリエーテル。
  20. 抗炎症薬が副腎皮質ステロイド薬、非ステロイド性抗炎症薬およびその誘導体から選択される請求項9に記載のポリエーテル。
  21. 副腎皮質ステロイド薬がヒドロコルチゾン、コルチゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾンおよびその誘導体から選択される請求項20に記載のポリエーテル。
  22. 非ステロイド性抗炎症薬がサリチル酸系のアスピリン、アントラニル系のメフェナム酸、プロピオン酸系のイブプロフェン、ロキソプロフェン、アリール酢酸系のジクロフェナク、インドメタシンおよびその誘導体から選択される請求項20に記載のポリエーテル。
  23. 抗リウマチ薬が免疫調節薬、免疫抑制薬、生物学的製剤およびその誘導体から選択される請求項9に記載のポリエーテル。
  24. 免疫調節薬が金チオリンゴ酸ナトリウム、ペニシラミン、ロベンザリットおよびその誘導体から選択される請求項23に記載のポリエーテル。
  25. 免疫抑制薬がミゾリビン、メトトレキサート、レフルノミド、タクロリムスおよびその誘導体から選択される請求項23に記載のポリエーテル。
  26. 生物学的製剤がインフリキシマブ、エタネルセプトおよびその誘導体から選択される請求項23に記載のポリエーテル。
  27. 酵素阻害薬がファスジルおよびその誘導体から選択される請求項9に記載のポリエーテル。
  28. 請求項1〜27のいずれかに記載のポリエーテルを含む製剤。
  29. 請求項1におけるRが水素又は無機塩基、または有機塩基であるポリエーテルを用いた生体内組織への薬物、遺伝子、あるいは生体内イメージング用造影剤に対する送達用担体。
  30. 請求項1におけるRが水素又は無機塩基、または有機塩基であるポリエーテルを用いた薬剤、ペプチド、核酸または蛋白を担持あるいは固定化するための担体。
  31. 請求項1〜27のいずれかに記載のポリエーテルを架橋してなる構造体を疾患部位に投与することによる治療方法。
  32. 薬物送達製剤の製造における請求項1〜27のいずれかに記載のポリエーテルの使用。
  33. 式(I)および式(II)で表される化合物をランダム共重合して、式(III)および式(IV)で表される繰り返し単位を有するポリエーテルを製造する方法。
    Figure 2009149728
    Figure 2009149728
    Figure 2009149728
    Figure 2009149728
    (式中、Rは−ORまたは−NHRで示される基を表し、RおよびRは水素、無機塩基あるいは有機塩基またはC〜C15の炭化水素を含む基、または−NHRは薬理作用を有する基を表す。ここで同一の共重合体内でR1、RまたはRは同一であっても異なっていてもよい。各構造単位のモル比は、(III)/((III)+(IV))=0.001〜0.5であり、構造単位(III)および(IV)のモル%はそれぞれ(III)=0.1〜99.9および(IV)=0.1〜99.9である。ここで、式(III)および式(IV)を構造単位として含むポリエーテルは、ポリエチレングリコール(PEG)換算重量平均分子量が1,000〜100,000である。)
  34. 重合に用いる触媒が塩基およびルイス酸から選択される請求項33に記載のポリエーテルを製造する方法。
  35. 重合に用いる触媒が水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウムやナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリムプロポキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムプロポキシド、カリウムt−ブトキシド、カリウム−t−2−メチル−2−ブトシキドおよび三フッ化ホウ素エーテル錯体、トリアルキルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリブチルアルミニウムから選択され、単独もしくは混合して使用される請求項33に記載のポリエーテルを製造する方法。
  36. 請求項1〜27のいずれかに記載のポリエーテルを静脈内より生体内に投与することによる治療方法。
  37. 請求項1〜27のいずれかに記載のポリエーテルを疾患部位に投与することによる治療方法。
JP2007327277A 2007-12-19 2007-12-19 ポリエーテルの製造方法 Expired - Fee Related JP5105166B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007327277A JP5105166B2 (ja) 2007-12-19 2007-12-19 ポリエーテルの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007327277A JP5105166B2 (ja) 2007-12-19 2007-12-19 ポリエーテルの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009149728A true JP2009149728A (ja) 2009-07-09
JP5105166B2 JP5105166B2 (ja) 2012-12-19

Family

ID=40919247

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007327277A Expired - Fee Related JP5105166B2 (ja) 2007-12-19 2007-12-19 ポリエーテルの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5105166B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013511539A (ja) * 2009-11-18 2013-04-04 ネクター セラピューティックス ポリマー−薬物コンジュゲートの酸性塩形態及びアルコキシル化方法
CN107868243A (zh) * 2017-12-11 2018-04-03 江苏苏博特新材料股份有限公司 一种氨基酸衍生化的亚磷酸减水剂的制备方法
WO2019151478A1 (ja) * 2018-02-01 2019-08-08 国立大学法人東京大学 核酸送達用ポリマー化合物
WO2020193802A1 (en) * 2019-03-28 2020-10-01 Fundación De La Comunidad Valenciana Centro De Investigación Príncipe Felipe Polymeric conjugates and uses thereof
KR102182288B1 (ko) * 2019-06-26 2020-11-24 주식회사 쎄코 약물 전달용 브러쉬 고분자 화합물 및 이의 제조방법

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006193627A (ja) * 2005-01-14 2006-07-27 Asahi Kasei Corp 薬物複合体および薬物送達用担体

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006193627A (ja) * 2005-01-14 2006-07-27 Asahi Kasei Corp 薬物複合体および薬物送達用担体

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013511539A (ja) * 2009-11-18 2013-04-04 ネクター セラピューティックス ポリマー−薬物コンジュゲートの酸性塩形態及びアルコキシル化方法
CN107868243A (zh) * 2017-12-11 2018-04-03 江苏苏博特新材料股份有限公司 一种氨基酸衍生化的亚磷酸减水剂的制备方法
CN107868243B (zh) * 2017-12-11 2020-10-23 江苏苏博特新材料股份有限公司 一种氨基酸衍生化的亚磷酸减水剂的制备方法
WO2019151478A1 (ja) * 2018-02-01 2019-08-08 国立大学法人東京大学 核酸送達用ポリマー化合物
WO2020193802A1 (en) * 2019-03-28 2020-10-01 Fundación De La Comunidad Valenciana Centro De Investigación Príncipe Felipe Polymeric conjugates and uses thereof
KR102182288B1 (ko) * 2019-06-26 2020-11-24 주식회사 쎄코 약물 전달용 브러쉬 고분자 화합물 및 이의 제조방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP5105166B2 (ja) 2012-12-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5944836B2 (ja) 高分子薬物送達結合体ならびにその製造および使用方法
JP4420472B2 (ja) 薬物複合体
AU723442B2 (en) Method for preparing drug complex
EP0916348B1 (en) alkyldextran-polyalcohol drug complexes
JP5856069B2 (ja) 新規なシチジン系代謝拮抗剤の高分子誘導体
JP2002543111A (ja) ポリマーを使用する葉酸で仲介された腫瘍細胞へのターゲッティングの増幅
WO2005121181A1 (fr) Polyethyleneglycol-oligopeptides de type branchement d'arbre multipoint et leurs derives actifs et composes
JPWO2009116509A1 (ja) 生理活性物質の高分子結合体
CA2529972A1 (en) Polymeric conjugates for tissue activated drug delivery
WO2006115293A1 (ja) pH応答性高分子ミセルの調製に用いる新規ブロック共重合体及びその製造法
WO2000074721A1 (en) Vitamin directed dual targeting therapy
JP5105166B2 (ja) ポリエーテルの製造方法
US20150320876A1 (en) Conformations of divergent peptides with mineral binding affinity
Tai et al. A novel rapamycin-polymer conjugate based on a new poly (ethylene glycol) multiblock copolymer
AU2017265310A1 (en) Multi-arm polymeric targeting anti-cancer conjugate
KR102279429B1 (ko) 멀티 암 표적 항암 콘쥬게이트
JPH1192405A (ja) 薬物複合体
JP6799823B2 (ja) ポリ(l−アルギニン)セグメント含有ブロック共重合体とポリアニオン性ポリマーのポリイオンコンプレックス
US20060263328A1 (en) Hydrophilic polymers with pendant functional groups and method thereof
US20050220754A1 (en) Vitamin directed targeting therapy
JP5189243B2 (ja) 薬物複合体および薬物送達用担体
CN1281270C (zh) 多肽、其与阿霉素的结合物和基于结合物的药物组合物
CN101265331B (zh) Peg改性phpma材料及其制备方法
CN106822913B (zh) 配合物、其制备方法及水凝胶
RU2493848C1 (ru) Биодеградируемый полимерный носитель для доставки противоопухолевого лекарственного средства (варианты)

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110119

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110126

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110325

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110622

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110810

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120424

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120622

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120905

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120919

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151012

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees