JP2009148971A - 型およびその製造方法等 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 基板の一方の面にマスクを形成するマスク形成工程と、前記マスクをエッチング用マスクとして用い、前記基板の厚み方向にエッチングして前記基板の表裏を貫通する貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、前記マスクの形成面を接合面として、前記基板と、前記基板を支持し、かつ前記基板とは異なる基体とを接合する接合工程とを有し、前記貫通孔形成工程において、プラズマによるドライエッチング法を用い、前記貫通孔の断面が、前記基板の前記マスクが形成された面から深さ方向に対して広がっていることを特徴とする。
【選択図】図2
Description
近年上述の型は様々な分野において適用されており、例えば、微細な流路や反応室を有する樹脂性の化学分析チップは当該型を用いて製造されるようになってきた。また、近年、微小な凹凸パターンを持った型に樹脂などを押し当て、型上の凹凸を樹脂上に転写する技術の研究および実用化が進んでいる。
図1(a)における型は、貫通孔(凹部)5が形成された基板1と支持基板2とが接合して一体として構成され、基板1に断面が順テーパー形状の凹部5を有している。凹部5は、基板1に順テーパー形状の貫通孔を形成しておき、貫通孔が形成された基板1と支持基板2とを接合して一体化することにより形成される。凹部5の開口および深さの寸法等は成形すべき部材、および型を用いて製造すべき別の型ごとに所定の値で設計されている。凹部5のテーパー角度は、例えば、86度〜89度である(本明細書におけるテーパー角度とは、基板平面と、基板の表裏の開口端を結ぶ線とが交差した角度を指すものとし、具体的には図1(a)におけるθである)。基板1は例えば、シリコン(あるいはシリコン基板上に二酸化珪素が成膜された基板)などからなり、支持基板2はシリコン、ガラス、金属、絶縁性樹脂などからなるものとする。また基板1および支持基板2の厚みは、例えば、それぞれ100μm〜725μm、50μm〜725μmである。
図1(b)における型は、基板1と支持基板2との間にマスク(接合材)3があること以外は図1(a)における型と略同一である。マスク(接合材)3は、例えば、ガラス、フォトレジストなどの材料からなり、厚みは、数百nm〜100μm程度である。
図2(a)〜(e)および図3(S11〜S15)を参照しながら、第1の実施形態に係る型100の製造方法について説明する。
基板1は、例えば、シリコンウェハであり、表裏両面が研磨されている。基板1の厚みは、型100を用いて製造される部材等により適宜設定しうるが、例えば600μmである。基板1におけるマスク(後述するマスク3)の形成面を1aとして、その反対側の面を1bとする。
マスク3を1aに形成する。マスク3は、後述する貫通孔5に対応した開口パターンを有している。マスクの材料は、フォトレジスト、ガラス、二酸化珪素、窒化珪素などの絶縁性材料、あるいはアルミニウム、クロムなどの金属等の周知の材料から選択され、後述するドライエッチングの際にエッチングガスに対するエッチング耐性を有しているものであればよい。例えば、マスク3がフォトレジストからなる場合には、フォトレジストを基板1に塗布し、所望のパターンのフォトマスクを介して露光、現像を行うことによってマスク3を形成することができる。また、マスク3が二酸化珪素、窒化珪素からなる場合には、基板1にCVD(Chemical Vapor Deposition)法により一面に形成し、その後、パターニングすることで形成することができる。また、マスク3が金属からなる場合には、基板1に蒸着あるいはスパッタ法により一面に形成してパターニングするなどして形成することができる。
マスク3をエッチング用マスクとして用い、基板1の厚み方向に表裏(1aから1bが)貫通するまでエッチングして貫通孔5を形成する。シリコンを深堀するためのエッチング方法として、例えば、DRIE(Deep Reactive Ion Etching)を用いることができる。DRIEでは材料層を厚み方向に侵食しながら掘り進むエッチングステップと、彫った穴の側壁にポリマーの壁を形成するデポジションステップとを交互に繰り返す。掘り進んだ穴の側壁は、順次ポリマーの壁が形成されて保護されるため、ほぼ厚み方向にのみ侵食を進ませることが可能であり、エッチングガスとしてSF6等のイオン・ラジカル供給ガスを用い、デポジションガスとしてC4F8等を用いることができる。
DRIEにより加工された対象物の特徴としてその断面にスキャロップとよばれる数μm間隔の微小な凹凸が見られる。通常、エッチング開始面からエッチングが進むにつれてエッチングガスの進入がしにくくなる傾向があるためエッチングレートが落ち、スキャロップの幅が狭まっていく。このため、後述の型(100〜400)の凹部5の断面は表面側から支持基板表面側にかけてスキャロップの幅が広くなっている。
マスク3がフォトレジストからなる場合には、レジスト剥離液への浸漬あるいは、O2プラズマによるアッシングにより除去される。絶縁性材料あるいは金属からなる場合にはエッチングにより除去できる。
基板1のマスク3が形成された面(1a)を接合面として、基板1と支持基板2を接合して一体化する。支持基板2の材料は、シリコン、ナトリウムイオンなどの可動イオンを含むガラス(いわゆるパイレックス(登録商標)ガラス)、あるいは、ステンレス、ニッケル、アルミニウムなどの金属、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂などの樹脂を用いる。シリコン面が露出した基板1と支持基板2との接合において、支持基板2がシリコンの場合、基板1との接合は直接接合を用いる。また、支持基板2がナトリウムイオンなどの可動イオンを含むガラスの場合には陽極接合を用いる。支持基板2が金属、絶縁性樹脂からなる場合は、接着剤を用いて基板1と支持基板2とを接合することができる。上述のように、断面が順テーパー形状である凹部5を有する型100が製造できる。
図4(a)〜(f)および図5(S21〜S26)を参照しながら、第2の実施形態に係る型200の製造方法について説明する。型100の貫通孔形成時に、1b面に保護層4を備えることを除き第1の実施形態に係る製造方法と略同一である。したがって、第1の実施の形態と同一部分については同一符号を付して、詳細な説明は省略する。
基板1は、第1の実施例と略同一の材料等を用いることができ、ここでは詳細な説明を省略する。
マスク3は、第1の実施例と略同一の材料等、方法を用いることができ、ここでは詳細な説明を省略する。
基板1のマスク3が形成された面(1a)の反対側の面(1b)に保護層4を形成する。保護層はドライエッチング時に、エッチングにより1aから1bを貫通する貫通孔が形成された際のプロセス異常、およびプラズマ曝露によるエッチング装置側の基板ステージの損傷を防ぐ効果を有する。保護層は水溶性高分子を溶剤(水、もしくは水とアルコール)に溶解させた溶液を塗布することで形成可能であり、例えば、ポリビニルアルコールを用いることができる。また、保護層の別の態様として、例えば、UV(紫外線)剥離シート(セルファBG(耐熱タイプ) 積水化学工業株式会社製)、もしくは、熱剥離シート(リバアルファ(型番:319Y−4H) 日東電工株式会社製)を用いることができる。これらエネルギー照射(加熱、露光等)により剥離可能となる粘着面を有するシートを用いることができる。
マスク3をエッチング用マスクとして用い、基板1の厚み方向に保護層4に到達するまでエッチングして貫通孔5を形成する。1b面に保護層4が形成されているので、貫通孔を形成する際に、エッチングガスによるエッチング装置(基板ステージ)の損傷や、プロセス異常を抑制することができる。
マスク3は、第1の実施例と略同一の方法により除去される。ここでは詳細な説明を省略する。
保護層4が水溶性高分子材料からなる場合には温水中で溶解除去したり、周知のプラズマアッシング法を用いることにより除去する。保護層4が熱剥離シートもしくはUV(紫外線)剥離シートである場合には、それぞれ、基板1の加熱もしくは紫外線照射により、基板1と保護層4とを分離する。
基板1の第1のマスク3が形成された面(1a)を接合面として、基板1と支持基板2を接合して一体化する。支持基板2の材料等および、接合方法に関しては第1の実施形態に示したものと略同一であり、ここでは詳細な説明は省略する。上述のように、断面が順テーパー形状である凹部5を有する型200を簡便に製造できる。
図6(a)〜(e)および図7(S31〜S35)を参照しながら、第3の実施形態に係る型300の製造方法について説明する。型300がマスク3を除去せず、該マスク3を介して基板1と支持基板2とが接合されている点を除き、型100および型200と略同一である。したがって、第2の実施形態と同一部分については同一符号を付して、詳細な説明は省略する。
基板1は、第2の実施例と略同一の材料等を用いることができ、ここでは詳細な説明を省略する。
マスク3は貫通孔5に対応した開口パターンを有している。マスク3の材料は、ガラスや常温もしくは加熱により接着性を有する樹脂などを用いることができる。例えば、マスクをガラスから構成する場合、基板1にスパッタ法により可動イオンを含むガラス(例えばパイレックス(登録商標)ガラス)を成膜してマスク3を形成することができる。マスク3がガラス膜からなる場合、後述するように陽極接合により、基板1と支持基板2を接合することができる。また、マスク3がフォトレジストを含む樹脂からなる場合には、フォトレジストを基板1に塗布し、所望のパターンのフォトマスクを介して露光、現像を行うことによってマスク3を形成することができる。マスクが樹脂からなる場合、後述するように加熱あるいは常温において基板1と支持基板2とを圧着することで基板1と基板2を接合することができる。このようにマスクを接着剤として用いることで、マスクを除去する工程がないため、より生産性に優れた型を提供できる。つまりマスク除去後に接合面を清浄にする工程を不要とする。
基板1のマスク3が形成された面(1a)の反対側の面(1b)に保護層を形成する。第1の実施形態に記載した材料および方法と略同一であるので、ここでは詳細な説明を省略する。貫通孔5を形成した後、第2の実施形態と略同様の方法により除去する。
マスク3をエッチング用マスクとして用い、基板1の厚み方向にエッチングして貫通孔5を形成する。第2の実施形態に記載した方法と略同一の方法により、形成することが可能であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
基板1のマスク3が形成されている面(1a)を接合面として、基板1と支持基板2を接合して一体化する。支持基板2の材料は、シリコン、ステンレス、ニッケル、アルミニウムなどの金属、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂の樹脂を用いる。
基板1上のマスク3と支持基板2との接合において、マスク3が可動イオンを含むガラス膜からなる場合には、このガラス膜を接合材として用い、該接合材を介して陽極接合により基板1と支持基板2とを接合することができる。支持基板2が樹脂成分よりなる場合には、接合時に常温あるいは加熱することによりマスク3を接着剤として用いて接合することができる。基板1と支持基板2がマスク(接合材)3を介して一体として接合され、かつ断面が順テーパー形状である凹部5を有する型300を簡便に製造できる。
図8(a)〜(e)および図9(S41〜S47)を参照しながら、第4の実施形態に係る型400の製造方法について説明する。型400が凹部5とは異なる深さの溝部7を有する点を除き、型100〜型300と略同一である。したがって、第1の実施形態と同一部分については同一符号を付して、詳細な説明は省略する。
基板1は、第1の実施例と略同一の材料等を用いることができ、ここでは詳細な説明を省略する。
1b面上のマスク(第2のマスク6)は溝部7に対応した開口パターンを有している。マスクの材料は、フォトレジスト、ガラス、二酸化珪素、窒化珪素などの絶縁性材料、アルミニウム、クロムなどの金属などの周知の材料から選択され、後述するドライエッチングの際にエッチング耐性を有しているものであればよい。例えば、第2のマスク6がフォトレジストからなる場合には、フォトレジストを基板1に塗布し、形成したい所望のパターンのフォトマスクを介して露光、現像を行うことによって第2のマスク6を形成することができる。
第2のマスク6をエッチング用マスクとして用い、基板1の厚み方向にエッチングして、基板の1の厚みよりも深さが小さい溝部7を形成する。このようなエッチング方法として、上述した、DRIE(Deep Reactive Ion Etching)、CF4ガス等を用いたRIE(Reactive Ion Etching)、ウェットエッチングを用いることができる。溝部7の形成後、第2のマスク6を除去する。
基板1の第2のマスクが形成されていない面(1a)に第1のマスクを形成する。第1のマスク3は、上述のマスク3の形成と略同一の材料、方法を用いて作成することができ、ここでは詳細な説明は省略する。
基板1の第1のマスク3が形成されていない面(1b)に保護層4を形成する。保護層4は、上述の保護層4の形成と略同一の材料、方法を用いて作成することができ、ここでは詳細な説明は省略する。
マスク3をエッチング用マスクとして用い、基板1の厚み方向にエッチングして貫通孔5を形成する。貫通孔5の形成方法は、第1の実施形態に示したものと略同一方法を用いて作成することができ、ここでは詳細な説明は省略する。
マスクと保護層を除去した後、基板1の第1のマスク3が形成された面(1a)を接合面として、基板1と支持基板2を接合して一体化する。支持基板2の材料等および、接合方法に関しては第1の実施形態に示したものと略同一であり、ここでは詳細な説明は省略する。
以下、本発明に係る型が適用される製品の一例について述べる。上記のように形成されたシリコンからなる型は、例えば、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)などの樹脂からなり、その外形が数cm角のチップ内に多数の流路を有する化学分析チップを作製するための型として用いることができる。本発明の係る型であって、凹部5の深さを例えば、100〜300μmとし、溝部7の深さを10〜150μmの範囲で適宜選択した。型に下地導電層を形成した後、電解めっき液槽に浸漬させ、ニッケル等の金属をめっきにより充填形成した後、離型して電鋳型を得る。電鋳型に樹脂を流し込み、成形された樹脂チップを取り出すことで化学分析チップを製造することができる。
図10に化学分析チップ500の例としてDNAチップを示す。微小な毛細官状の流路23を形成する溝、この流路と接続する反応領域としての反応室24を形成する凹部、反応液を注入する液注入部21、反応液(反応済液)を排出する液排出部22等が上記の製造方法により形成されている。
(特徴1)
従来の基板をDRIEでエッチングして形成した型を用いて製造される化学分析チップとは異なり、流路および/または反応室の底面はその平坦度が5μm以下であり、かつその表面粗さ(Ra)が0.1μm以下であり、本願実施形態で用いた支持基板の表面粗さ(Ra)は0.2nm〜0.3nmの範囲であった。
なお、平坦度は触針式の微細形状測定装置(KLA-Tencor社製 装置型番:P−15)を用いて測定した値であり、本明細書では最大−最小差で表現した値のことを指す。表面粗さは算術平均粗さRaであり、AFM(原子間力顕微鏡)により測定し、算出する。そのため、化学分析チップとして用いた場合、反応液の液詰まりなどがなく製品特性上優れる。
(特徴2)
貫通孔をエッチング開始面とは反対側から研磨して形成することがないため、転写された化学分析チップの表面にクラックがない。そのため、化学分析チップとして用いた場合、チップの密閉性に優れる。
以下、本発明に係る型が適用される製品の一例について述べる。上記の製造方法を用いて、上記のように形成されたシリコンからなる型をモールドとして、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)などからなるスタンパをガラス転移温度(Tg=105℃)以上に加熱して該モールドに押し当て、ガラス転移温度以下に冷却後、モールドとスタンパの引き離しを行う。このようにしてモールドの凹部形状が転写された樹脂性の成形品が製造される。UV(紫外線)を照射することにより硬化する樹脂からなるスタンパを用いることができることはいうまでもない。また、低融点ガラス、アルミニウム板、シリコン基板などへ直接転写出来ることも報告されており、このような材料をスタンパとして用いてもよい。
200:型(第2の実施形態)
300:型(第3の実施形態)
400:型(第4の実施形態)
1:基板
2:支持基板
3:マスク(第1のマスク)
4:保護層
5:貫通孔(凹部)
6:マスク(第2のマスク)
7:溝部
500:化学分析チップ
21:液注入部
22:液排出部
23:流路
24:反応室
Claims (8)
- 基板の一方の面にマスクを形成するマスク形成工程と、
前記マスクをエッチング用マスクとして用い、前記基板の厚み方向にエッチングして前記基板の表裏を貫通する貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記マスク形成面を接合面として前記基板と、前記基板を支持する支持基板とを接合する接合工程とを有し、
前記貫通孔形成工程において、プラズマによるドライエッチング法を用い、前記貫通孔の断面が、前記基板の前記マスク形成面から深さ方向に対して広がっていることを特徴とする型の製造方法。 - 前記貫通孔形成工程前に前記基板の前記マスク形成面側の反対側に保護層を形成する保護層形成工程を有することを特徴とする請求項1に記載の型の製造方法。
- 前記マスクを接合材として用い、前記マスクを介して前記基板と前記支持基板とを接合することを特徴とする請求項1または2に記載の型の製造方法。
- 前記マスクを第1のマスクとし、前記第1のマスク形成面の反対側の面に第2のマスクを形成し、前記第2のマスクをエッチング用マスクとして用いて前記基板の厚み方向にエッチングし、前記貫通孔とは異なる深さの溝部を形成する溝部形成工程とを含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の型の製造方法。
- 前記支持基板がシリコン、ガラス、金属、絶縁性樹脂のいずれかより構成されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の型の製造方法。
- 表裏を貫く貫通孔を備えた基板と、該基板の裏面と接合材を介して接合され、かつ前記基板を支持する支持基板と、からなり、前記貫通孔の断面が前記基板の表面から深さ方向に対して狭くなっていることを特徴とする型。
- 前記貫通孔により露出した前記支持基板の表面の平坦度が5μm以下であり、かつ前記貫通孔の端面にクラックがないことを特徴とする請求項6記載の型。
- 請求項7記載の型を用いて転写して成型されたことを特徴とする化学分析チップ。
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