JP2009148931A - プリフォームの製造装置および製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のプリフォームの製造装置1は、底面11および底面11に近づくにつれて開口面積が小さくなるように傾斜している側面12でキャビティ13が形成された雌型10と、型が閉じられたときに底面11に当接する上面21、および、型が閉じられたときに雌型10の側面12との間に間隔が生じるように対向する複数の側面22を有する雄型20とを具備する。
【選択図】図1
Description
プリフォームを製造する方法としては、例えば、プリプレグを複数枚積層し、そのプリプレグの周縁部を手作業であるいは成形機により折曲し、賦形する方法が知られている(特許文献1)。また、プリプレグが複数枚積層されたプリフォーム基材を、所定の凸型形状を有するプリフォームツール上に配置し、弾性体膜によってプリフォーム基材をプリフォームツール上に押し付け、減圧引きしながら賦形する方法が知られている(特許文献2)。
しかしながら、特許文献1,2に記載の方法では、賦形性が低く、得られたプリフォームが元のプリプレグの形状に戻ってしまうことがあった。
ところが、予備賦形の際に、雌型のキャビティの側面と雄型の側面との間に挟まれたプリプレグによって、雄型の移動が妨げられることがあった。その結果、雄型の上面がプリプレグを充分に押圧せず、得られるプリフォームの賦形性が不充分になることがあった。この問題はプリプレグを深絞りに賦形する場合にとりわけ顕著であった。
また、脱気工程を有するプリフォームの製造方法では、予備賦形品を脱気用の装置に移動させなければならず、工程数が多いため、生産性が高いとはいえなかった。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、プリフォームの賦形性を良好にでき、しかも生産性に優れるプリフォームの製造装置および製造方法を提供することを目的とする。
[1]底面とこの底面に近づくにつれて開口面積が小さくなるように傾斜している複数の側面とでキャビティが形成された雌型と、
型が閉じられたときに前記底面に当接する上面、および、型が閉じられたときに雌型の側面との間に間隔が生じるように対向する複数の側面を有する雄型とを具備することを特徴とするプリフォームの製造装置。
[2]底面とこの底面に近づくにつれて開口面積が小さくなるように傾斜している複数の側面とでキャビティが形成された雌型と、型が閉じられたときに前記底面に当接する上面、および、型が閉じられたときに雌型の側面との間に間隔が生じるように対向する複数の側面を有する雄型とを有する型を用い、
プリプレグとこのプリプレグの雄型側に重ねられたフィルムとを、雌型と雄型との間に配置し、
雌型と雄型とを閉じて、雌型の底面と雄型の上面との間にプリプレグとフィルムとを挟み、
次にフィルムと雌型との間を減圧引きして、プリプレグを賦形することを特徴とするプリフォームの製造方法。
本発明のプリフォームの製造装置(以下、製造装置と略す。)の一実施形態例について説明する。
図1に、本実施形態例の製造装置を示す。この製造装置1は、雌型10と、雄型20と、加熱機30とを具備して、プリプレグを賦形する装置である。
また、本実施形態例における加熱機30は、プリプレグを加熱するときに、型開きした雌型10と雄型20の間に位置し、それ以外のときには、雌型10と雄型20との間に位置しないように移動するようになっている。
本発明のプリフォームの製造方法(以下、製造方法と略す。)の一実施形態例について説明する。
本実施形態例の製造方法は、上記製造装置1を用いてプリフォームを製造する方法であり、雌型10と雄型20との間に、プリプレグおよび該プリプレグの雄型側に重ねられたフィルムを配置する工程と、雌型10の底面11と雄型20の上面21との間にフィルムおよびプリプレグを挟む工程と、フィルムと雌型10との間を減圧引きして、プリプレグを賦形する工程とを有する方法である。
ここで、プリプレグ50の形態は、強化繊維が一方向に引き揃えられたUDプリプレグであってもよいし、強化繊維が製織された織物プリプレグであってもよい。
プリプレグ50の形状としては、例えば、三角形状、矩形状、菱形状等の多角形状、円形状、楕円形状、扇形状などが挙げられるが、目的とするプリフォームの形状に応じて適宜選択すればよい。
プリプレグ50の周縁部、特に、図2に示すような隅部51には、賦形後に余剰部分が生じないように切り込み52を形成してもよい。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、硬化後の強度を高くできることから、エポキシ樹脂が好ましい。
プリプレグ50中には、硬化剤、離型剤、脱泡剤、紫外線吸収剤、充填材などの各種添加剤などが含まれてもよい。
板ばね40を上記のように配置することにより、雄型20がプリプレグ50を雌型10のキャビティ13内に押し込む際に、板ばね40がプリプレグ50の切り込み近傍部53を雄型20に押圧するようになる。切り込み近傍部53を雄型20に押圧することによって、プリプレグ50の切り込み近傍部53を、もう一方の片側の切り込み近傍部54より先に折曲させることができる。したがって、一方の切り込み近傍部53を他方の切り込み近傍部54に重ねることができる。
押圧時の圧力は0.01〜0.1MPaであることが好ましい。圧力を0.01MPa以上にすれば、所定のプリフォームの形状に容易に成形でき、0.1MPa以下にすれば、製造装置1を単純化できる。
上記のようにフィルム60を雌型10に張り付くように変形させることにより、プリプレグ50の、雄型20によって押圧されていない部分を、雌型10の側面12に押し付けて、密着させることができる。その結果、プリプレグ50を雌型10の側面12の形状に沿って賦形することができる。
また、雄型20の上面21によりプリプレグ50を押圧して固定した状態で真空成形するから、位置ずれを防止しながら賦形できる。しかもプリプレグ50が積層体である場合には、プリプレグ50,50間の気泡を除去できる。したがって、上記製造装置1および製造方法によれば、プリフォームの賦形性を良好にできる。
このような製造装置1および製造方法は、プリプレグを深絞りに賦形する場合にとりわけ効果を発揮する。
また、上記製造装置1および製造方法では、賦形と脱気とを同時に行うため、生産性に優れる。
また、雌型10の底面11および雄型20の上面21の形状は、得ようとするプリフォームの形状に応じて選択すればよく、例えば、三角形状、矩形状、菱形状等の多角形状、円形状、楕円形状、扇形状などが挙げられる。雄型20の上面21は雌型10の底面11と同一の形状である必要はなく、プリプレグ50が位置ずれしないように押圧できれば特に制限はない。
本実施例では、炭素繊維を一方向に引き揃えた一方向材にエポキシ樹脂を加熱含浸させて、一方向プリプレグを得た。このプリプレグを2枚重ねてプリプレグ積層体を得た。その際、炭素繊維の方向が交互に直交するようにプリプレグを積層した。
次いで、上記プリプレグ積層体を略正方形に裁断し、また、隅部に楔形状の切り込みを形成した。
さらに、そのプリプレグ50の上に、切り込みを形成したプリプレグ50を3枚積層した。その際にも、プリプレグ50の切り込み近傍部の下に板ばね40を配置させ、さらに、各プリプレグ50の切り込みが順次ずれるように、プリプレグ50を配置した。次いで、プリプレグ50の上に、ナイロン製のフィルム60を配置し、そのフィルム60の縁を雌型10の台座部14に固定した(図4参照)。
次いで、図5に示すように、赤外線ヒータ(加熱機30)をプリプレグ50と雄型20との間に配置させ、プリプレグ50を60℃になるように加熱して軟化させた後、雄型20を下降させ、プリプレグ50を雌型10内に押し込んだ。このとき、板ばね40によって、各プリプレグ50の切り込み近傍部を雄型20の側面22に押圧させた。
次いで、図6に示すように、雌型10と雄型20とを閉じて、雄型20の上面21を雌型10の底面11に押圧させて、雌型10の底面11と雄型20の上面21との間にフィルム60およびプリプレグ50を挟んだ。
次いで、図7に示すように、フィルム60と雌型10との間を減圧引きしてフィルム60を雌型10に張り付かせるように変形させることによって、プリプレグ50の、雄型20によって押圧されていない部分を、雌型10の側面12に密着させた。このようにしてプリプレグ50を雌型10の側面12の形状に沿って賦形して、プリフォームを得た。
その後、雌型10および雄型20に空気を吹き付けて冷却した後、雄型20を上昇させて、得られたプリフォームを雌型10のキャビティ13から取り出した。得られたプリフォームの賦形性は良好であった。
賦形性に優れたプリフォームから得た上記成形品は偏肉が緩和されており、その結果、強度、外観に優れていた。また、成形時の安定性にも優れていた。
10 雌型
11 底面
12 側面
13 キャビティ
14 台座部
20 雄型
21 上面
22 側面
30 加熱機
40 板ばね
50 プリプレグ
60 フィルム
Claims (2)
- 底面とこの底面に近づくにつれて開口面積が小さくなるように傾斜している複数の側面とでキャビティが形成された雌型と、
型が閉じられたときに前記底面に当接する上面、および、型が閉じられたときに雌型の側面との間に間隔が生じるように対向する複数の側面を有する雄型とを具備することを特徴とするプリフォームの製造装置。 - 底面とこの底面に近づくにつれて開口面積が小さくなるように傾斜している複数の側面とでキャビティが形成された雌型と、
型が閉じられたときに前記底面に当接する上面、および、型が閉じられたときに雌型の側面との間に間隔が生じるように対向する複数の側面を有する雄型とを有する型を用い、
プリプレグとこのプリプレグの雄型側に重ねられたフィルムとを、雌型と雄型との間に配置し、
雌型と雄型とを閉じて、雌型の底面と雄型の上面との間にプリプレグとフィルムとを挟み、
次にフィルムと雌型との間を減圧引きして、プリプレグを賦形することを特徴とするプリフォームの製造方法。
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