JP2009146821A - 燃料電池用電解質膜及び燃料電池用電解質膜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電極面積の大幅な増加による、燃料電池性能の向上を図る。
【解決手段】イオン照射し、損傷領域をエッチングすることによって表面に凹凸構造を生じさせた高分子電解質フィルム基材表面に触媒電極層が形成された燃料電池用電解質膜。
【選択図】図1
【解決手段】イオン照射し、損傷領域をエッチングすることによって表面に凹凸構造を生じさせた高分子電解質フィルム基材表面に触媒電極層が形成された燃料電池用電解質膜。
【選択図】図1
Description
本発明は、膜電極接合体にした時に、膜電極接合体の単位体積当りの電極面積が増加した、高性能の燃料電池用電解質膜及びその製造方法に関する。
燃料電池は、電池内で水素やメタノール等の燃料を電気化学的に酸化することにより、燃料の化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換して取り出すものであり、近年、クリーンな電気エネルギー供給源として注目されている。特にプロトン伝導膜を電解質として用いる固体高分子型燃料電池は、高出力密度が得られ、低温作動が可能なことから電気自動車用電源として期待されている。
このような固体高分子型燃料電池の基本構造は、高分子電解質膜と、その両面に接合された一対の、触媒層を有するガス拡散電極とで構成された膜電極接合体(MEA)、更に膜電極接合体の両側に集電体を配する構造からなっている。そして、一方のガス拡散電極(アノード)に燃料である水素やメタノールを、もう一方のガス拡散電極(カソード)に酸化剤である酸素や空気をそれぞれ供給し、両方のガス拡散電極間に外部負荷回路を接続することにより、燃料電池として作動する。このとき、アノードで生成したプロトンは電解質膜を通ってカソード側に移動し、カソードで酸素と反応して水を生成する。ここで電解質膜はプロトンの移動媒体、及び水素ガスや酸素ガスの隔膜として機能している。従って、燃料電池用高分子電解質膜としては、高いプロトン伝導性、強度、化学的安定性が要求される他に、ガスバリア性に優れている必要がある。
ところで、膜電極接合体を製造するに当たっては、電解電圧を低減させるため膜電極接合体の電気抵抗が小さく反応表面積が大きいこと、高い水素及び酸素の電流効率が得られること、膜電極接合体と拡散層の接着性などの性能が優れていることが望ましい。そのため、膜電極接合体の製造には、表面を粗面化した高分子電解質膜が用いられている。
高分子電解質膜の表面を粗面化する方法としては、例えば、
(1)下記特許文献1に開示されているように、電解質膜表面に電解質或いはその前駆体の粉末を付着させる方法(電解質粉末付着法)、
(2)下記特許文献2に開示されているように、電解質膜をサンドブラスト法(サンドブラスト法)、プラズマ・アーク放電・グロー放電により表面処理する方法(アーク・グロー放電法)、
(3)下記特許文献3に開示されているように、凹凸表面を有する拡散電極に電解質膜をホットプレスする方法(拡散層電極圧着法)、
(4)下記特許文献4に開示されているように、電解質粗面を有する金属箔に圧着後、金属箔を溶解する方法(金属箔圧着法)、
等が知られている。中でも、膜の粗面化を行う簡便な方法であるサンドブラスト法は、例えばガラスビーズのような粒子を高速で膜に衝突させて表面に凸凹を形成する。サンドブラスト法による粗面化処理膜を用いて作製した膜電極接合体は、適度な粗面化条件においては電解電圧の低減と電流効率の向上に効果がある。しかし、この方法は膜に損傷を与えることが多く、特に粗面化条件を厳しくするとかえって電流効率などの性能の低下を招くことがある。そのため、とりわけ膜厚の薄い膜への適用は困難であった。
(1)下記特許文献1に開示されているように、電解質膜表面に電解質或いはその前駆体の粉末を付着させる方法(電解質粉末付着法)、
(2)下記特許文献2に開示されているように、電解質膜をサンドブラスト法(サンドブラスト法)、プラズマ・アーク放電・グロー放電により表面処理する方法(アーク・グロー放電法)、
(3)下記特許文献3に開示されているように、凹凸表面を有する拡散電極に電解質膜をホットプレスする方法(拡散層電極圧着法)、
(4)下記特許文献4に開示されているように、電解質粗面を有する金属箔に圧着後、金属箔を溶解する方法(金属箔圧着法)、
等が知られている。中でも、膜の粗面化を行う簡便な方法であるサンドブラスト法は、例えばガラスビーズのような粒子を高速で膜に衝突させて表面に凸凹を形成する。サンドブラスト法による粗面化処理膜を用いて作製した膜電極接合体は、適度な粗面化条件においては電解電圧の低減と電流効率の向上に効果がある。しかし、この方法は膜に損傷を与えることが多く、特に粗面化条件を厳しくするとかえって電流効率などの性能の低下を招くことがある。そのため、とりわけ膜厚の薄い膜への適用は困難であった。
電解質粉末付着法は、凹凸構造制御が困難であり、プロトン伝導距離の増加による性能低下の懸念がある。凍結粉砕した電解質粉末を膜表面に塗布し、粉末の固定化の為にホットプレスする本方法では、粉砕粒子の粒子径分布が大きい、粉末の均一塗布が難しい、ホットプレスにより細孔閉塞などの理由により、凹凸構造最適化の為の精密制御は困難である。又、一般的にプロトン伝導性が低下する低加湿環境下での利用において、正味のプロトン伝導経路が増加する本方法は、電気デバイス(燃料電池)の初期性能の低下を生じるという問題があった。
サンドブラスト法は、サンドブラストの機械的圧力により膜が物理的損傷を受けることにより、膜の機械的特性が低下する。機械的特性の低下は、初期性能及び耐久性能の低下を生じるという問題があった。
アーク・グロー放電法は、凹凸構造は、放電幅、電流値、通電時間、位置制御、で決まると考えられるが、放電幅や位置制御は容易でないと考えられる為、最適化の為の凹凸構造の精密制御は困難である。
拡散層電極圧着法は、サンドブラスト法と同様に、圧着時の機械的圧力により膜が物理的損傷を受ける可能性が高い。
金属箔圧着法は、サンドブラスト法と同様に、圧着時の機械的圧力により膜が物理的損傷を受ける可能性が高い。
しかも、上記従来の表面粗化方法はいずれも高分子電解質膜の外面から粗面化を行うため、高分子電解質膜の内部まで粗面化を行い三次元的な構造を形成することが難しいため十分な表面積を得ることができず、それらの方法による粗面化処理膜を用いて膜電極接合体を作製しても十分な性能向上が果たせなかった。
本発明は、既存技術では実現できなかった電極面積の大幅な増加による、燃料電池性能の向上を図ることを目的とする。
本発明者らは、特定の方法で、高分子電解質フィルム基材表面に凹凸構造を生じさせることで上記課題が解決されることを見出し、本発明に到達した。
即ち、第1に、本発明は燃料電池用電解質膜の発明であり、イオン照射し、損傷領域をエッチングすることによって表面に凹凸構造を生じさせた高分子電解質フィルム基材表面に触媒電極層が形成されたことを特徴とする。
本発明の燃料電池用電解質膜は、膜電極接合体にした時に、膜電極接合体の単位体積当りの電極面積が増加しており、高性能の発電性能を発揮する。後述するように、特に、フィルム基材にイオン照射し、損傷領域をエッチングして表面に凹凸構造を有する高分子基材とした場合で、エッチングによる過剰な穿孔によって電子の伝導ロスが発生する場合には、その穿孔に電子伝導材料を充填して触媒電極層を形成することが出来る。つまり、過穿孔による導電ロスを導電性物質の充填により補償でき、穿孔による電極反応を全面的に享受できる。
前記表面に凹凸構造を有する高分子電解質フィルム基材としては、(1)高分子電解質フィルム基材にイオン照射し、損傷領域をエッチングしたものや、(2)非電解質高分子フィルム基材にイオン照射し、損傷領域をエッチングし、電子線又はγ線を照射してサンプル全体にラジカルを発生させ、ラジカルを起点としてスルホン酸基を有するか又は後工程でスルホン酸基を導入可能なモノマーをグラフト重合させ、スルホン酸基を導入可能なモノマーをグラフト重合させた場合はスルホン化したもの、が好ましく挙げられる。
前記表面に凹凸構造を有する高分子電解質フィルム基材の凹凸構造は両表面でも片表面でも良く、(1)カソード側及びアノード側の両表面に凹凸構造を有する高分子電解質フィルム基材表面に触媒電極層が形成されたものや、(2)カソード側表面のみに凹凸構造を有する高分子電解質フィルム基材表面に触媒電極層が形成されたもの、が好ましく挙げられる。
本発明においては、上述の表面に凹凸構造を有する高分子電解質フィルム基材表面に触媒電極層が形成された電解質膜の表面の凹凸が電子導電性材料で充填されていることが好ましい。
第2に、本発明は、上記の燃料電池用電解質膜の製造方法の発明であり、イオン照射し、損傷領域をエッチングして、表面に凹凸構造を生じさせた高分子電解質フィルム基材表面に触媒インクを塗布して触媒電極層を形成することを特徴とする。
前記表面に凹凸構造を生じさせた高分子電解質フィルム基材としては、(1)高分子電解質フィルム基材にイオン照射し、損傷領域をエッチングして製造されたものや、(2)非電解質の高分子フィルム基材にイオン照射し、損傷領域をエッチングし、電子線又はγ線を照射してサンプル全体にラジカルを発生させ、ラジカルを起点としてスルホン酸基を有するか又は後工程でスルホン酸基を導入可能なモノマーをグラフト重合させ、スルホン酸基を導入可能なモノマーをグラフト重合させた場合はスルホン化して製造されたもの、が好ましいことは上述の通りである。
又、(1)カソード側及びアノード側の両表面に凹凸構造を生じさせた高分子電解質フィルム基材表面に触媒電極層を形成しても、(2)カソード側表面のみに凹凸構造を有する高分子電解質フィルム基材表面に触媒電極層を形成してもよいことは上述の通りである。
本発明において、高分子フィルム基材としては各種のものが用いられる。例えば、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフロライド(PVDF)、ポリクロロフルオロエチレン(CTFE)などが好ましく例示される。
前記触媒インクを塗布する工程としては公知の方法が採用される。具体的には、触媒インクをスプレー塗布する方法が好ましく例示される。
前記イオン照射として、高エネルギー重イオン照射であることが好ましい。高分子フィルム基材に高エネルギー重イオン照射することによって、数十〜数百nm径の損傷領域を作ることができる。
前記損傷領域をエッチングするには、強アルカリ溶液によるエッチングが好ましく例示される。
本発明の燃料電池用電解質膜は、イオン照射し、損傷領域をエッチングすることによって表面に凹凸構造を生じさせた高分子電解質フィルム基材表面に触媒電極層が形成されたことによって、膜電極接合体にした時に、膜電極接合体の単位体積当りの電極面積が増加しており、高性能の発電性能を発揮する。
図1は、(1)非電解質フィルム表面に穿孔(くぼみ)形成⇒(2)フィルムの電解質膜化⇒(3)電極形成、のプロセスを示す模式図である。
(1)非電解質フィルム表面に穿孔(くぼみ)形成工程で、イオン穿孔が可能な高分子フィルム(PVdF、PI等)にイオンを照射すると、ポリビニリデンフロライド(PVdF)等の高分子フィルムのイオンのエネルギーを受けた領域(損傷領域)は高分子の低分子量化が起る。次に、フィルムをエッチング溶液(KOH水溶液)に浸漬すると、損傷領域がエッチングされる。
(2)フィルムの電解質膜化工程で、サンプルに電子線やγ線を照射すると、サンプル全体にラジカルが発生する。次いで、スチレン等のモノマー溶液に浸漬し、60℃に加熱すると、ラジカルを起点として、スチレンがグラフト重合される。この後、スチレンのスルホン化を行い、電解質膜化が行われる。
(3)電極形成工程で、触媒インクを電解質膜表面にスプレー塗装後、穿孔(くぼみ部分)に電子伝導性材料を充填して、電解質膜表面に触媒電極層が形成される。
これにより、電解質膜表面の細孔の表面積を大とし、電子伝導性材料を充填することで、電子移動律速領域における、電子伝導性パスが確保され、既存技術では実現し得ない大幅な電極面積増加による、電子デバイス性能の向上が可能となる。
[実施例1〜6]
下記手順にて電解質膜を得た。
1.非電解質高分子フィルムとして、ポリビニリデンフロライド(PVdF)を用いた。
2.サイクロトロンにて加速したXeイオンを、450MeVでフィルムに照射し多。照射密度は3×109[ions/cm2]であった。
3.各サンプルをエッチング溶液(3MのKOH溶液)に浸漬し、損傷領域をエッチングした。エッチング時間は、6時間(実施例1)、12時間(実施例2)、18時間(実施例3)、24時間(実施例4)、30時間(実施例5)、36時間(実施例6)であった。
4.各サンプルに電子線を150kGyで照射し、ラジカルを発生させた。
5.各サンプルをモノマー溶液に浸漬し、加温して、スチレンを6時間、グラフト反応させた。
6.サンプルをジクロロエタン/クロロスルホン酸溶液に浸漬して、スチレンをスルホン化し、電解質膜化した。
7.触媒インクをサンプル膜表面にスプレー塗布し、乾燥させた(触媒電極形成)。
8.カーボンとPVdFの粒子を混合した溶液をサンプル膜表面に塗布し、超音波による振動で細孔への電子伝導材侵入を促した後、溶媒を乾燥させて、表面の一様な電解質膜を得た。
9.得られた電解質膜を用いて膜電極接合体を作製した。
下記手順にて電解質膜を得た。
1.非電解質高分子フィルムとして、ポリビニリデンフロライド(PVdF)を用いた。
2.サイクロトロンにて加速したXeイオンを、450MeVでフィルムに照射し多。照射密度は3×109[ions/cm2]であった。
3.各サンプルをエッチング溶液(3MのKOH溶液)に浸漬し、損傷領域をエッチングした。エッチング時間は、6時間(実施例1)、12時間(実施例2)、18時間(実施例3)、24時間(実施例4)、30時間(実施例5)、36時間(実施例6)であった。
4.各サンプルに電子線を150kGyで照射し、ラジカルを発生させた。
5.各サンプルをモノマー溶液に浸漬し、加温して、スチレンを6時間、グラフト反応させた。
6.サンプルをジクロロエタン/クロロスルホン酸溶液に浸漬して、スチレンをスルホン化し、電解質膜化した。
7.触媒インクをサンプル膜表面にスプレー塗布し、乾燥させた(触媒電極形成)。
8.カーボンとPVdFの粒子を混合した溶液をサンプル膜表面に塗布し、超音波による振動で細孔への電子伝導材侵入を促した後、溶媒を乾燥させて、表面の一様な電解質膜を得た。
9.得られた電解質膜を用いて膜電極接合体を作製した。
[比較例1〜6]
実施例1〜6において、上記工程8を実施せず、膜電極接合体を作製した。
実施例1〜6において、上記工程8を実施せず、膜電極接合体を作製した。
[燃料電池放電評価]
下記の手順で、実施例1〜6及び比較例1〜6で得られた膜電極接合体の性能評価をした。
1.燃料電池用評価セルにセットし、セル温度80℃で調温した。
2.アノードガスとして水素、カソードガスとして空気を、それぞれバブラ温度85℃、70℃で加湿し、圧力0.1MPaGで調圧して、評価セルに導入した。
3.電子負荷装置を用いて、所定の電流密度に対するセル端子間電圧を測定した。
下記の手順で、実施例1〜6及び比較例1〜6で得られた膜電極接合体の性能評価をした。
1.燃料電池用評価セルにセットし、セル温度80℃で調温した。
2.アノードガスとして水素、カソードガスとして空気を、それぞれバブラ温度85℃、70℃で加湿し、圧力0.1MPaGで調圧して、評価セルに導入した。
3.電子負荷装置を用いて、所定の電流密度に対するセル端子間電圧を測定した。
表1、図2に、実施例1〜6と比較例1〜6のセル端子間電圧を示す。
表1、図2の結果より、本発明の適用により、セル端子間電圧が向上しているのがわかる。これは、電子伝導性材料に充填により、電子移動律速が生じ難くなる為と推測される。
図3は、(1)非電解質フィルム表面に穿孔(くぼみ)形成⇒(2)フィルムの電解質膜化⇒(3)電極形成、の他のプロセスを示す模式図である。
(1)非電解質フィルム表面に穿孔(くぼみ)形成工程で、イオン穿孔が可能な高分子フィルム(PVdF、PI等)にイオンを照射すると、ポリビニリデンフロライド(PVdF)等の高分子フィルムのイオンのエネルギーを受けた領域(損傷領域)は高分子の低分子量化が起る。次に、フィルムをエッチング溶液(KOH水溶液)に浸漬すると、損傷領域がエッチングされる。
(2)フィルムの電解質膜化工程で、サンプルに電子線やγ線を照射すると、サンプル全体にラジカルが発生する。次いで、スチレン等のモノマー溶液に浸漬し、60℃に加熱すると、ラジカルを起点として、スチレンがグラフト重合される。この後、スチレンのスルホン化を行い、電解質膜化が行われる。
(3)電極形成工程で、触媒インクを電解質膜表面にスプレー塗装後、電解質膜表面に触媒電極層が形成される。図1のプロセス図3との相違は、図1では、触媒インクを電解質膜表面にスプレー塗装するにより穿孔(くぼみ部分)に電子伝導性材料を充填することを意図していたのに対して、図3のプロセス図では、触媒インクの電解質膜表面へのスプレー塗装は薄く、穿孔(くぼみ部分)に電子伝導性材料を充填することまでは意図しないことである。
非電解質高分子フィルムをイオン穿孔により表面処理後、電解質化することにより、
(1)プロトン移動抵抗による損失が減少(低加湿駆動で有利)し、電極間距離が短くなる、
(2)電極表面積が増加し、エネルギー密度[kW/L]が増加する、
以下、既存技術と比較して、
(3)凹部の位置的制御が可能、(4)凹部の断面面積が制御可能、(5)凹部の深さが制御可能、により、凹凸構造の精密制御が可能となる、
(6)物理的損傷を受けないので、初期・耐久性能で有利である、
(7)イオン穿孔可能で、電解質化が可能であればどんな高分子材料でも選択できるので、入手可能な電解質膜とは異なる物性の発現が期待できる、
等の作用・効果が期待できる。
(1)プロトン移動抵抗による損失が減少(低加湿駆動で有利)し、電極間距離が短くなる、
(2)電極表面積が増加し、エネルギー密度[kW/L]が増加する、
以下、既存技術と比較して、
(3)凹部の位置的制御が可能、(4)凹部の断面面積が制御可能、(5)凹部の深さが制御可能、により、凹凸構造の精密制御が可能となる、
(6)物理的損傷を受けないので、初期・耐久性能で有利である、
(7)イオン穿孔可能で、電解質化が可能であればどんな高分子材料でも選択できるので、入手可能な電解質膜とは異なる物性の発現が期待できる、
等の作用・効果が期待できる。
[実施例7〜27]
下記手順にて電解質膜を得た。
1.非電解質高分子フィルムとして、実施例7〜18ではポリビニリデンフロライド(PVdF)を用い、実施例19〜27ではナイロンMXD6(商品名)(MXD6)を用いた。
2.サイクロトロンにて加速したXeイオンを、450MeVでフィルムに照射し多。照射密度は実施例7,10,13,16,19,22,25では3×109[ions/cm2]であり、実施例8,11,14,17,20,23,26では4×109[ions/cm2]であり、実施例9,12,15,18,21,24,27では5×109[ions/cm2]であった。
3.各サンプルをエッチング溶液に浸漬し、損傷領域をエッチングした。エッチングは、実施例7〜18では3MのKOH溶液で6時間行い、実施例19〜27ではPH9のNaClO水溶液で60℃、2時間行なった。
4.各サンプルに電子線を照射し、ラジカルを発生させた。照射線量は、実施例7〜9では30kGyであり、実施例10〜12では70kGyであり、実施例13〜15では150kGyであり、実施例16〜18では250kGyであり、実施例19〜21では300kGyであり、実施例22〜24では400kGyであり、実施例25〜27では500kGyであった。
5.各サンプルをモノマー溶液に浸漬し、加温して、スチレンを6時間、グラフト反応させた。NMXD6に関しては、スチレンに対するグラフト反応性が低いため、スチレンに代えてスチレンスルホン酸を用いた。
6.サンプルをジクロロエタン/クロロスルホン酸溶液に浸漬して、スチレンをスルホン化し、電解質膜化した。NMXD6に関しては、硫酸水溶液に浸漬してNaをH型変換し、電解質膜化した。
7.触媒インクをサンプル膜表面にスプレー塗布し、乾燥させた(触媒電極形成)。
8.得られた電解質膜を用いて膜電極接合体を作製した。
下記手順にて電解質膜を得た。
1.非電解質高分子フィルムとして、実施例7〜18ではポリビニリデンフロライド(PVdF)を用い、実施例19〜27ではナイロンMXD6(商品名)(MXD6)を用いた。
2.サイクロトロンにて加速したXeイオンを、450MeVでフィルムに照射し多。照射密度は実施例7,10,13,16,19,22,25では3×109[ions/cm2]であり、実施例8,11,14,17,20,23,26では4×109[ions/cm2]であり、実施例9,12,15,18,21,24,27では5×109[ions/cm2]であった。
3.各サンプルをエッチング溶液に浸漬し、損傷領域をエッチングした。エッチングは、実施例7〜18では3MのKOH溶液で6時間行い、実施例19〜27ではPH9のNaClO水溶液で60℃、2時間行なった。
4.各サンプルに電子線を照射し、ラジカルを発生させた。照射線量は、実施例7〜9では30kGyであり、実施例10〜12では70kGyであり、実施例13〜15では150kGyであり、実施例16〜18では250kGyであり、実施例19〜21では300kGyであり、実施例22〜24では400kGyであり、実施例25〜27では500kGyであった。
5.各サンプルをモノマー溶液に浸漬し、加温して、スチレンを6時間、グラフト反応させた。NMXD6に関しては、スチレンに対するグラフト反応性が低いため、スチレンに代えてスチレンスルホン酸を用いた。
6.サンプルをジクロロエタン/クロロスルホン酸溶液に浸漬して、スチレンをスルホン化し、電解質膜化した。NMXD6に関しては、硫酸水溶液に浸漬してNaをH型変換し、電解質膜化した。
7.触媒インクをサンプル膜表面にスプレー塗布し、乾燥させた(触媒電極形成)。
8.得られた電解質膜を用いて膜電極接合体を作製した。
[比較例7]
電解質膜としてデュポン社製ナフィオン膜(N112)を用いた。実施例7〜27の、上記工程7のみを実施し、膜電極接合体を作製した。
電解質膜としてデュポン社製ナフィオン膜(N112)を用いた。実施例7〜27の、上記工程7のみを実施し、膜電極接合体を作製した。
[比較例8〜16]
下記手順にて電解質膜を得た。
1.非電解質フィルムとして、比較例8〜12ではポリビニリデンフロライド(PVdF)を用い、比較例13〜16ではナイロンMXD6(商品名)(MXD6)を用いた。
2.各サンプルに電子線を照射し、ラジカルを発生させた。照射線量は、比較例8では30kGyであり、比較例9では70kGyであり、比較例10では150kGyであり、実施例11では250kGyであり、比較例12では320kGyであり、比較例13では300kGyであり、比較例14では400kGyであり、比較例15では500kGyであり、比較例16では600kGyであった。
3.各サンプルをモノマー溶液に浸漬し、加温して、スチレンを6時間、グラフト反応させた。NMXD6に関しては、スチレンに対するグラフト反応性が低いため、スチレンに代えてスチレンスルホン酸を用いた。
4.サンプルをジクロロエタン/クロロスルホン酸溶液に浸漬して、スチレンをスルホン化し、電解質膜化した。NMXD6に関しては、硫酸水溶液に浸漬してNaをH型変換し、電解質膜化した。
5.触媒インクをサンプル膜表面にスプレー塗布し、乾燥させた(触媒電極形成)。
6.得られた電解質膜を用いて膜電極接合体を作製した。
下記手順にて電解質膜を得た。
1.非電解質フィルムとして、比較例8〜12ではポリビニリデンフロライド(PVdF)を用い、比較例13〜16ではナイロンMXD6(商品名)(MXD6)を用いた。
2.各サンプルに電子線を照射し、ラジカルを発生させた。照射線量は、比較例8では30kGyであり、比較例9では70kGyであり、比較例10では150kGyであり、実施例11では250kGyであり、比較例12では320kGyであり、比較例13では300kGyであり、比較例14では400kGyであり、比較例15では500kGyであり、比較例16では600kGyであった。
3.各サンプルをモノマー溶液に浸漬し、加温して、スチレンを6時間、グラフト反応させた。NMXD6に関しては、スチレンに対するグラフト反応性が低いため、スチレンに代えてスチレンスルホン酸を用いた。
4.サンプルをジクロロエタン/クロロスルホン酸溶液に浸漬して、スチレンをスルホン化し、電解質膜化した。NMXD6に関しては、硫酸水溶液に浸漬してNaをH型変換し、電解質膜化した。
5.触媒インクをサンプル膜表面にスプレー塗布し、乾燥させた(触媒電極形成)。
6.得られた電解質膜を用いて膜電極接合体を作製した。
下記の手順で、実施例7〜27及び比較例7〜16で得られた膜電極接合体の性能評価をした。
[燃料電池放電評価]
1.燃料電池用評価セルにセットし、セル温度80℃で調温した。
2.アノードガスとして水素、カソードガスとして空気を、それぞれバブラ温度85℃、70℃で加湿し、圧力0.1MPaGで調圧して、評価セルに導入した。
3.電子負荷装置を用いて、所定の電流密度に対するセル端子間電圧を測定した。
[燃料電池放電評価]
1.燃料電池用評価セルにセットし、セル温度80℃で調温した。
2.アノードガスとして水素、カソードガスとして空気を、それぞれバブラ温度85℃、70℃で加湿し、圧力0.1MPaGで調圧して、評価セルに導入した。
3.電子負荷装置を用いて、所定の電流密度に対するセル端子間電圧を測定した。
[引張強度測定]
1.サンプルをダンベル形状(新JIS7号形状)に切出した。
2.引っ張り試験機で引張試験を行い、破断強度を測定した(温度:室温、引張速度:5mm/min)。
1.サンプルをダンベル形状(新JIS7号形状)に切出した。
2.引っ張り試験機で引張試験を行い、破断強度を測定した(温度:室温、引張速度:5mm/min)。
[水素透過量測定]
1.サンプルをガス透過量測定セル(透過面積1cm2)にセットした。
2.片側に水素ガス、もう片側にアルゴンガスを流し、膜を透過する水素ガスの濃度を、ガスクロにより測定した(温度:80℃、湿度:20%RH)。
1.サンプルをガス透過量測定セル(透過面積1cm2)にセットした。
2.片側に水素ガス、もう片側にアルゴンガスを流し、膜を透過する水素ガスの濃度を、ガスクロにより測定した(温度:80℃、湿度:20%RH)。
表2と図4に、実施例7〜27と比較例7〜16のセル端子間電圧(放電性能)、引張強度、ガス透過係数を示す。
表2と図4の結果より、適用する電気デバイスにより異なるものの、燃料電池への適用の場合は、ある電流密度に対する端子間電圧が大きく、引っ張り強度が大きく、水素透過係数が小さいほど、優れている。本技術を電子線改質技術に適用することにより、市販のN112より、放電特性に優れ、引張強度や水素透過係数に優れた燃料電池用電解質膜を実現することができた。
図5は、(1)高分子電解質フィルム表面に穿孔(くぼみ)形成⇒(2)電極形成、のプロセスを示す模式図である。
(1)高分子電解質フィルム表面に穿孔(くぼみ)形成工程で、高分子電解質膜にイオンを照射すると、高分子電解質膜フィルムのイオンのエネルギーを受けた領域(損傷領域)は高分子の低分子量化が起る。次に、フィルムをエッチング溶液(KOH水溶液)に浸漬すると、損傷領域がエッチングされ、細孔が形成される。
(2)電極形成工程で、触媒インクを電解質膜表面にスプレー塗装後、電解質膜表面に触媒電極層が形成される。図1及び3のプロセスと図5との相違は、図1では、非電解質フィルムに対して表面に穿孔(くぼみ)形成した後、フィルムの電解質膜化したのに対して、本プロセスでは、既に電解質であるフィルムを用い、この電解質フィルム表面に穿孔(くぼみ)形成して、電極形成することである。
市販の高分子電解質フィルムをイオン穿孔により表面処理後、電解質化することにより、
(1)プロトン移動抵抗による損失が減少(低加湿駆動で有利)し、電極間距離が短くなる、
(2)電極表面積が増加し、エネルギー密度[kW/L]が増加する、
以下、既存技術と比較して、
(3)凹部の位置的制御が可能、(4)凹部の断面面積が制御可能、(5)凹部の深さが制御可能、により、凹凸構造の精密制御が可能となる、
(6)物理的損傷を受けないので、初期・耐久性能で有利である、
等の作用・効果が期待できる。
(1)プロトン移動抵抗による損失が減少(低加湿駆動で有利)し、電極間距離が短くなる、
(2)電極表面積が増加し、エネルギー密度[kW/L]が増加する、
以下、既存技術と比較して、
(3)凹部の位置的制御が可能、(4)凹部の断面面積が制御可能、(5)凹部の深さが制御可能、により、凹凸構造の精密制御が可能となる、
(6)物理的損傷を受けないので、初期・耐久性能で有利である、
等の作用・効果が期待できる。
[実施例28〜33]
下記手順にて電解質膜を得た。
1.高分子電解質フィルムとして、デュポン社製ナフィオン膜(N112)を用いた。
2.サイクロトロンにて加速したOイオンを、100MeVでフィルムに照射した。照射密度は実施例28〜30では3×108[ions/cm2]であり、実施例31〜33では3×109[ions/cm2]であった。
3.各サンプルをエタノールに浸漬し、50℃に加熱し、損傷領域をエッチングした。エッチング時間は、実施例28,31では2時間行い、実施例29,32では4時間行い、実施例30,33では6時間行なった。
4.触媒インクをサンプル膜表面にスプレー塗布し、乾燥させた(触媒電極形成)。
5.得られた電解質膜を用いて膜電極接合体を作製した。
下記手順にて電解質膜を得た。
1.高分子電解質フィルムとして、デュポン社製ナフィオン膜(N112)を用いた。
2.サイクロトロンにて加速したOイオンを、100MeVでフィルムに照射した。照射密度は実施例28〜30では3×108[ions/cm2]であり、実施例31〜33では3×109[ions/cm2]であった。
3.各サンプルをエタノールに浸漬し、50℃に加熱し、損傷領域をエッチングした。エッチング時間は、実施例28,31では2時間行い、実施例29,32では4時間行い、実施例30,33では6時間行なった。
4.触媒インクをサンプル膜表面にスプレー塗布し、乾燥させた(触媒電極形成)。
5.得られた電解質膜を用いて膜電極接合体を作製した。
[比較例17]
実施例28〜33において、上記工程2と3を実施せず、上記工程1と4のみを実施して、膜電極接合体を作製した。
実施例28〜33において、上記工程2と3を実施せず、上記工程1と4のみを実施して、膜電極接合体を作製した。
下記の手順で、実施例28〜33及び比較例17で得られた膜電極接合体の性能評価をした。
[燃料電池放電評価]
1.燃料電池用評価セルにセットし、セル温度80℃で調温した。
2.アノードガスとして水素、カソードガスとして空気を、それぞれバブラ温度85℃、70℃で加湿し、圧力0.1MPaGで調圧して、評価セルに導入した。
3.電子負荷装置を用いて、所定の電流密度に対するセル端子間電圧を測定した。
1.燃料電池用評価セルにセットし、セル温度80℃で調温した。
2.アノードガスとして水素、カソードガスとして空気を、それぞれバブラ温度85℃、70℃で加湿し、圧力0.1MPaGで調圧して、評価セルに導入した。
3.電子負荷装置を用いて、所定の電流密度に対するセル端子間電圧を測定した。
表3と図6に、負荷電流密度0.1A/cm2、0.5A/cm2、1.0A/cm2に対する、実施例28〜33と比較例17のエッチング時間とセル端子間電圧(放電性能)を示す。
表3と図6の結果より、イオン穿孔により表面を処理したナフィオン膜の燃料電池セル端子間電圧は未処理のナフィオン膜よりも高く、また、イオン照射密度が高いほど、エッチング時間が大きいほど、効果は大きいことが分かった。
図7は、(1)高分子電解質フィルム表面の片面(カソード面)のみに穿孔(くぼみ)形成⇒(2)電極形成、のプロセスを示す模式図である。
(1)高分子電解質フィルム表面の片面(カソード面)のみに穿孔(くぼみ)形成工程で、高分子電解質膜にイオンを照射すると、高分子電解質膜フィルムのイオンのエネルギーを受けた領域(損傷領域)は高分子の低分子量化が起る。次に、フィルムをエッチング溶液(KOH水溶液等)に浸漬すると、損傷領域がエッチングされ、細孔が形成される。
(2)電極形成工程で、触媒インクを電解質膜表面にスプレー塗装後、電解質膜表面に触媒電極層が形成される。図5のプロセスと図7との相違は、図5では、高分子電解質フィルムの両面に対して穿孔(くぼみ)形成した後、フィルムの電解質膜化したのに対して、本プロセスでは、高分子電解質フィルムの片面(カソード面)のみに穿孔(くぼみ)形成して、電極形成することである。
これにより、高分子電解質膜へのイオン照射と、そのイオンのエネルギーを受けた領域(損傷領域)のエッチングという操作をより簡略化できる。即ち、高分子電解質フィルムの片面(カソード面)のみをイオン穿孔により表面処理後、電解質化することにより、イオン照射設備の簡素化と、イオンの加速電圧の低減により、イオンの加速に必要な加速器が小さくても本技術の適用が可能となり、また本技術の低コスト化が可能となる等の作用・効果が期待できる。
[実施例34〜36]
下記手順にて電解質膜を得た。
1.高分子電解質フィルムとして、デュポン社製ナフィオン膜(N112)を用いた。
2.サイクロトロンにて加速したOイオンを、5MeVでフィルムに照射した。照射密度は実施例34では1×109[ions/cm2]であり、実施例35では3×109[ions/cm2]であり、実施例36では1×1010[ions/cm2]であった。
3.各サンプルをエタノールに浸漬し、50℃に加熱し、損傷領域をエッチングした。エッチング時間は6時間であった。
4.触媒インクをサンプル膜表面にスプレー塗布し、乾燥させた(触媒電極形成)。
5.得られた電解質膜のイオン穿孔形成面をカソード側にして膜電極接合体を作製した。
下記手順にて電解質膜を得た。
1.高分子電解質フィルムとして、デュポン社製ナフィオン膜(N112)を用いた。
2.サイクロトロンにて加速したOイオンを、5MeVでフィルムに照射した。照射密度は実施例34では1×109[ions/cm2]であり、実施例35では3×109[ions/cm2]であり、実施例36では1×1010[ions/cm2]であった。
3.各サンプルをエタノールに浸漬し、50℃に加熱し、損傷領域をエッチングした。エッチング時間は6時間であった。
4.触媒インクをサンプル膜表面にスプレー塗布し、乾燥させた(触媒電極形成)。
5.得られた電解質膜のイオン穿孔形成面をカソード側にして膜電極接合体を作製した。
[比較例18〜20]
実施例34〜36において、上記工程5を実施せず、イオン穿孔形成面をアノード側にして、膜電極接合体を作製した。
実施例34〜36において、上記工程5を実施せず、イオン穿孔形成面をアノード側にして、膜電極接合体を作製した。
下記の手順で、実施例34〜36及び比較例18〜20で得られた膜電極接合体の性能評価をした。
[燃料電池放電評価]
1.燃料電池用評価セルにセットし、セル温度80℃で調温した。
2.アノードガスとして水素、カソードガスとして空気を、それぞれバブラ温度85℃、70℃で加湿し、圧力0.1MPaGで調圧して、評価セルに導入した。
3.電子負荷装置を用いて、所定の電流密度に対するセル端子間電圧を測定した。
1.燃料電池用評価セルにセットし、セル温度80℃で調温した。
2.アノードガスとして水素、カソードガスとして空気を、それぞれバブラ温度85℃、70℃で加湿し、圧力0.1MPaGで調圧して、評価セルに導入した。
3.電子負荷装置を用いて、所定の電流密度に対するセル端子間電圧を測定した。
表4と図8に、実施例34〜36及び比較例18〜20のイオン照射密度(フルエンス)とセル端子間電圧(放電性能)を示す。
表4と図8の結果より、カソード表面にイオン穿孔処理施した実施例ほどセル端子間電圧の向上が大きいことが分かった。
本発明の燃料電池用電解質膜は、イオン照射し、損傷領域をエッチングすることによって表面に凹凸構造を生じさせた高分子電解質フィルム基材表面に触媒電極層が形成されたことによって、膜電極接合体にした時に、膜電極接合体の単位体積当りの電極面積が増加しており、高性能の発電性能を発揮する。燃料電池用高分子電解質膜として最適な、高いプロトン伝導性とガスバリア性に優れ、乾湿寸法変化や引張強度に優れた高分子電解質膜の製造時間を大幅に短縮することができる。
これにより、燃料電池用電解質膜に最適な、高いプロトン伝導性とガスバリア性に優れた高分子電解質膜を低コストで提供することが出来、燃料電池の普及に貢献する。
Claims (14)
- イオン照射し、損傷領域をエッチングすることによって表面に凹凸構造を生じさせた高分子電解質フィルム基材表面に触媒電極層が形成された燃料電池用電解質膜。
- 前記表面に凹凸構造を生じさせた高分子電解質フィルム基材が、高分子電解質フィルム基材にイオン照射し、損傷領域をエッチングしたものであることを特徴とする請求1に記載の燃料電池用電解質膜。
- 前記表面に凹凸構造を生じさせた高分子電解質フィルム基材が、非電解質高分子フィルム基材にイオン照射し、損傷領域をエッチングし、電子線又はγ線を照射してサンプル全体にラジカルを発生させ、ラジカルを起点としてスルホン酸基を有するか又は後工程でスルホン酸基を導入可能なモノマーをグラフト重合させ、スルホン酸基を導入可能なモノマーをグラフト重合させた場合はスルホン化したものであることを特徴とする請求1に記載の燃料電池用電解質膜。
- カソード側及びアノード側の両表面に凹凸構造を生じさせた高分子電解質フィルム基材の両表面に触媒電極層が形成されたものであることを特徴とする請求1乃至3のいずれかに記載の燃料電池用電解質膜。
- カソード側表面のみに凹凸構造を生じさせた高分子電解質フィルム基材表面に触媒電極層が形成されたものであることを特徴とする請求1乃至3のいずれかに記載の燃料電池用電解質膜。
- 表面に凹凸構造を生じさせた高分子電解質フィルム基材表面に触媒電極層が形成された電解質膜の表面の凹凸が電子導電性材料で充填されていることを特徴とする請求1乃至5のいずれかに記載の燃料電池用電解質膜。
- イオン照射し、損傷領域をエッチングして、表面に凹凸構造を生じさせた高分子電解質フィルム基材表面に触媒インクを塗布して触媒電極層を形成することを特徴とする燃料電池用電解質膜の製造方法。
- 前記表面に凹凸構造を生じさせた高分子電解質フィルム基材が、高分子電解質フィルム基材にイオン照射し、損傷領域をエッチングして製造されたものであることを特徴とする請求7に記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
- 前記表面に凹凸構造を生じさせた高分子電解質フィルム基材が、非電解質高分子フィルム基材にイオン照射し、損傷領域をエッチングし、電子線又はγ線を照射してサンプル全体にラジカルを発生させ、ラジカルを起点としてスルホン酸基を有するか又は後工程でスルホン酸基を導入可能なモノマーをグラフト重合させ、スルホン酸基を導入可能なモノマーをグラフト重合させた場合はスルホン化して製造されたものであることを特徴とする請求7に記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
- カソード側及びアノード側の両表面に凹凸構造を生じさせた高分子電解質フィルム基材表面に触媒電極層を形成するものであることを特徴とする請求7乃至9のいずれかに記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
- カソード側表面のみに凹凸構造を生じさせた高分子電解質フィルム基材表面に触媒電極層を形成されたものであることを特徴とする請求7乃至9のいずれかに記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
- 前記触媒インクを塗布する工程が、触媒インクをスプレー塗布するものであることを特徴とする請求7乃至11のいずれかに記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
- 前記イオン照射が、高エネルギー重イオン照射であることを特徴とする請求8乃至12のいずれかに記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
- 前記エッチングが、強アルカリ溶液によることを特徴とする請求8乃至12のいずれかに記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
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JP2007325031A JP2009146821A (ja) | 2007-12-17 | 2007-12-17 | 燃料電池用電解質膜及び燃料電池用電解質膜の製造方法 |
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---|---|---|---|---|
JP2012229309A (ja) * | 2011-04-25 | 2012-11-22 | Mitsubishi Gas Chemical Co Inc | 多孔性フィルムの製造方法 |
KR101335463B1 (ko) | 2011-11-30 | 2013-11-29 | 한국과학기술연구원 | 전극 처리 방법 및 이에 따라 제조된 전극 |
-
2007
- 2007-12-17 JP JP2007325031A patent/JP2009146821A/ja active Pending
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