JP2009143806A - 表面に凹凸を有するガラス板の製造方法 - Google Patents

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【課題】フロート法によるガラス板製造ラインの工程に適合するガラス表面の加工方法を用いることにより、表面に凹凸を有するガラス板を効率的に製造する。
【解決手段】溶融したガラス原料を金属浴5上でガラスリボン10へと成形するフロート法によりガラス板を製造するに際し、金属浴5よりもガラスリボン10の搬送下流側に配置したロール7とガラスリボン10との接触により、ガラスリボン10のボトム面に凹凸を形成する。ガラスリボン10のトップ面には、適宜、コータから供給される混合ガスを原料とするCVD法により被膜が形成される。
【選択図】図3

Description

本発明は、表面に凹凸を有するガラス板の製造方法に関する。また、本発明は、一方の表面に凹凸を有し、他方の面に薄膜を備えたガラス板の製造方法に関する。
一般に「フロート法」と呼ばれるガラス板の製造方法では、まず、タンク窯(フロート窯)で溶融されたガラス原料が、錫フロート槽(フロートバス)に供給される。流体としてフロートバスに供給されるガラス生地は、バス内でガラスよりも比重が大きい錫浴上を広がってガラスリボンへと成形される。ガラスリボンは、フロートバス内を進行しながら厚さを調整され、また、バス内から取り出せる程度の粘度を有するように冷却される。冷却されたガラスリボンは、フロートバスから引き上げられて徐冷炉へと搬送され、徐冷された後、所定の大きさのガラス板へと切り分けられる。フロート法は、平滑で平行な一対の表面を有するガラス板を低コストで量産できる方法として普及している。
ガラス表面からの反射の低減などを目的として、ガラス表面に凹凸が形成されることがある。このようなガラス板は、通常、フロート法による平滑な表面を、物理的、化学的な手法を用いて加工することにより得られている。物理的な手法としてはサンドブラスト法などが、化学的な手法としてはフッ酸を用いたエッチングなどが知られている。これらの手法は、専ら、ガラスリボンを切断して得たガラス板に対し、ガラス板製造ラインとは別のラインで行う加工(オフライン加工)として行われている。
フロート法とは別に、上下一対のロールにより溶融ガラスを圧延して成形する方法も、建築用の型板ガラスや網入り板ガラスの製造方法として普及している。この製法では、型板ガラスの型模様(表面の凹凸)は、一方のロールに彫刻されたパターンが連続的に転写されることにより、オフライン加工を伴わずに形成される。
ロールを用いる製法に属する形態として、特公昭57−178514号公報には、ロールにより圧延されたガラスリボンを錫浴上に搬送する方法が開示されている。この方法では、型模様の形成により局所的に薄くなった部分が他の部分よりも垂れ下がらないように、錫浴がロールアウトされたガラス板を支持する。
特公昭57−178514号公報
上記のように、従来、表面に凹凸を有するガラス板を製造する方法としては、ロールを用いて圧延する方法と、フロート法により製造したガラス板をオフライン加工する方法とが用いられてきた。しかしながら、前者の方法では、製造できるガラス板の厚さに制約がある。また、表面がロールにより圧延されて成形されるため、平滑性に優れた表面を一方に保ちながら他方の表面に凹凸を形成することができない。一方、後者の方法は、オフライン加工を伴うから製造効率に課題を残す。
そこで、本発明は、フロート法によるガラス板製造ラインに適合するガラス表面の加工方法を用いることにより、表面に凹凸を有するガラス板を効率的に製造する方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のガラス板の製造方法は、溶融したガラス原料を金属浴上でガラスリボンへと成形するフロート法によるガラス板の製造方法であって、前記金属浴よりも前記ガラスリボンの搬送下流側に配置したロールと前記ガラスリボンとの接触により、前記ガラスリボンの表面に凹凸を形成することを特徴とする。この製造方法では、ガラスリボンのいずれか一方の表面、好ましくは金属浴に接して成形された表面のみに凹凸が付与される。
上記製造方法では、粘度が107ポイズ以上1013ポイズ以下のガラスリボンとロールとの接触により凹凸を付与することが好ましい。
さらに、本発明は、一方の表面に凹凸を有し、他方の表面に薄膜が形成された薄膜付きガラス板を、オフライン加工を伴うことなく、フロート法によるガラス板製造ライン上で製造する方法を提供する。すなわち、この方法は、上記製造方法により、ガラスリボンの金属浴側の表面に凹凸を形成する工程と、前記表面と反対側の前記ガラスリボンの表面に薄膜を形成する工程とを含むことを特徴とする。凹凸を形成する工程と薄膜を形成する工程との前後は、同じガラス板製造ライン上であれば、特に制限されない。また、凹凸の形成は、上記製造方法と後述する参照形態に記載の製造方法とを併用しても構わない。
本発明によれば、フロート法により、表面に凹凸を有するガラス板を効率よく製造することができる。また、凹凸を形成しない表面を平滑性に優れた面として得ることもできる。
表面に凹凸を有するガラス板を製造するための装置の一形態の構成を示す図である。 図1に示した装置のフロートバスの部分拡大図である。 本発明を実施するための装置の一形態の構成を示す図である。 本発明を実施するための装置の別の一形態の構成を示す図である。 本発明の一形態により製造される被膜付きガラス板の断面図である。
(参照形態)
図1に断面を示した装置は、従来のフロート法によるガラス板製造装置と同様、投入されたガラス原料を溶融するフロート窯1と、溶融したガラス生地をフロート窯から受け入れ、所定厚さのガラスリボンへと成形するフロートバス2と、フロートバスから引き上げたガラスリボン10を徐冷する徐冷炉3とが配列され、さらにガラスリボン搬送下流側に、図示を省略するガラスリボン切断装置と採板装置とが配列されている。
ただし、この装置では、フロートバス2の錫浴5中に、耐熱管9が浸漬されている。耐熱管9は、錫浴5に、気体または気体発生源を供給するために挿入されており、ガラスリボン10下方を横断するように錫浴5中に配置される。耐熱管9は、錫浴5中で長期間使用できる耐久性を有する材料を用いて作製される。このような特性を備えていれば、耐熱管の構成材料は特に制限されないが、例えば(多孔質)アルミナ、ジルコニア系煉瓦、カーボン、薄膜コーティングされたアルミナを用いることができる。耐熱管としては、さらに具体的にはアルミナを焼結した多孔質管などを用いることができる。
図2に示したように、耐熱管9は、例えば中空構造を有し、この中空部分を通じて送り込まれた気体が、管壁に設けられた図示を省略する細孔を通じて錫浴5へと放出される。錫浴中に放出された気体は、気泡11となって錫浴中を上昇し、ガラスリボン10の錫浴接触面(ボトム面)10bに到達する。そして、この気泡11との接触により、ボトム面10bには微細な凹凸が生じる。ガラスリボン10は所定速度で搬送されているために、所定位置での気泡の発生により、ボトム面10bには連続して凹凸が形成される。
耐熱管9に供給される気体は特に限定されないが、フロートバス2内が、通常、微量の水素を含む窒素雰囲気に保たれていることを考慮すると、非酸化性のガス、例えば、ヘリウム、アルゴン等の各種不活性ガス、窒素、水素などが好適である。
錫浴には、加熱されて気体となる、あるいは錫との反応により気体を発生させる材料を供給してもよい。このような材料としては、例えば、鉄、シリコンカーバイド、各種耐火物が挙げられる。これら気体発生源となる材料は、上記に例示したような耐熱性の材料により支持して錫浴に浸漬させて用いることが好ましい。具体的には、粒状の鉄をカーボン製の篭に入れて錫浴に浸漬させる方法が挙げられる。
錫浴5中の耐熱管9を設置する位置は、特に制限されないが、粘度が103〜106ポイズであるガラスリボン10に気泡を供給できる範囲内であることが好ましい。
本形態の一例として、外径20mmのアルミナ多孔質管を、ガラスリボンの粘度が104.5ポイズとなる位置において、ガラスリボンを横断するように錫浴中に設置した。この多孔質管に、窒素ガスを50cm3/分の流量で送り込み、錫浴から径が1μm〜1mm程度の窒素気泡を発生させたところ、ガラスリボンのボトム面に、径が0.1μm〜2mm程度の微量の凹凸を連続して形成できた。なお、このときのガラスリボンの搬送速度は約7m/分、ガラスリボンの厚さは6mmとした。一方、ガラスリボンの錫浴非接触面(トップ面)10aは、気泡を発生させない場合と同様、平滑性の高い表面として得ることができた。
本形態の利点の一つは、ガラスリボンの表面に形成される凹凸の大きさや形状を、容易に制御できることにある。上記の例においても、例えば窒素の流量を変化させると、凹凸の分布を容易に制御できた。また、気泡の発生位置(耐熱管の位置)によっても表面凹凸の形状を制御できる。これらの条件を制御することにより、径が、概略、0.1μm〜5mmである表面凹凸を形成できることが確認できた。
(第1の実施形態)
図3は、本発明の実施に使用できる装置の一形態の構成を示す断面図である。この装置も、フロート窯1、フロートバス2、徐冷炉3がこの順に配置されている点では、図1に示した装置と同様である。本実施形態では、フロートバス内での発泡ではなく、フロートバス2からガラスリボン10を引き上げる引き上げロール(リフトアウトロール)7により、ガラスリボンのボトム面10bに凹凸が形成される。
リフトアウトロール7の表面では、錫浴に接して成形されたガラスリボン表面の平滑性を保つために、通常、凹凸が極力排除される。しかし、本実施形態では、ガラスリボンのボトム面10bに凹凸パターンを転写するために、リフトアウトロール7の表面には所定のパターンが刻み込まれる。
本実施形態の一例として、表面がセラミックコートで構成され、凸部の径が1μm〜5μmの凹凸を有するリフトアウトロール7を用いて、引き上げ速度約7m/分で厚さ6mmのガラスリボンをフロートバスから徐冷炉へと搬送した。その結果、ガラスリボンのボトム面に、径が1μm〜5μm程度の凹凸を形成することができた。この場合も、ガラスのトップ面10aは、平滑性の高い表面として得ることができた。
凹凸を形成するために、リフトアウトロール7ではなく、例えば、徐冷炉3内部に配置された搬送ロール(レアーロール)8を用いても構わない。また、ロールの回転速度を調整することにより、ガラスリボンのボトム面10bとロール表面とを摺動させて、ボトム面に対し、凹凸の形成に必要な応力を与えてもよい。
本実施形態のように、フロートバスよりもガラスリボン搬送下流側においてボトム面に接触するロールにより凹凸を付与する方法では、粘度が107〜1013ポイズであるガラスリボンに、当該ロールを接触させることが好ましい。
(第2の実施形態)
図4は、本発明の実施に使用できる装置の一形態の構成を示す断面図である。この装置は、図1に示した装置と同様、フロート窯1、フロートバス2、徐冷炉3が順次配置され、フロートバス2の錫浴中には耐熱管9が配設されている。また、フロートバス2内のガラスリボン10直上には、化学蒸着法(CVD法)によりガラスリボン10のトップ面10aに被膜を形成するためのコータ6が配置されている。
これらのコータ6からは、混合ガスが被膜形成原料として供給され、ガラスリボンのトップ面10a上に、連続して被膜が形成されていく。また、図示したように、複数のコータ6a,6b,6cを利用すれば、複数層の膜を連続して積層することもできる。一方、ボトム面10bには、第1の実施形態で説明したように、所定の凹凸が連続して形成されていく。その結果、本実施形態によれば、フロート法によるガラス板製造ラインにおいて、ガラスリボンのトップ面10aには薄膜が、ボトム面10bには凹凸が形成される。
本実施形態の一例として、図示した構成の装置を用い、ガラスリボンのボトム面に第1の実施形態と同様にして微細な凹凸を設けるととともに、ガラスリボンのトップ面には、酸化錫膜、酸化珪素膜、フッ素含有酸化錫膜をこの順に成膜した。成膜の方法を以下に説明する。まず、最上流側に位置する第1のコータ(図4中図番6a)から、ジメチル錫ジクロライド(蒸気)、酸素、ヘリウム、窒素からなる混合ガスを供給し、ガラスリボン上に膜厚約30nmの酸化錫膜を形成した。第2のコータ(図4中図番6b)からは、モノシラン、エチレン、酸素および窒素からなる混合ガスを供給し、酸化錫膜上に、膜厚約30nmの酸化シリコン膜を成膜した。第3のコータ(図4中図番6c)からは、ジメチル錫ジクロライド(蒸気)、酸素、水蒸気、窒素およびフッ化水素からなる混合ガスを供給し、酸化シリコン膜上に、膜厚約720nmのフッ素含有酸化錫膜を成膜した。このガラスリボンは、徐冷後、所定の大きさに切断した。
こうして得た被膜付きガラス板20は、図5に示したように、平滑なトップ面10aに被膜12が形成され、ボトム面10bには微細な凹凸が形成されたものとなった。上記の例により得た被膜付きガラス板は、フッ素含有酸化錫膜(透明導電膜)上に、さらに光電変換層(例えばアモルファスシリコン膜)、金属膜(裏面電極)を成膜するための薄膜型太陽電池用基板として用いることができる。この場合、光電変換層に入射する光は、ガラス板のボトム面10bから取り入れられる。上記の例では、このボトム面10bに微細な凹凸が付与されており、反射防止効果を得ることができるため、光電変換層への入射光量を増加させることができる。
上記では、薄膜型太陽電池用基板として適した被膜付きガラス板の製造について説明したが、本実施形態で形成される被膜は、積層数のみならずその種類においても限定されない。例えば、被膜として熱線反射膜を形成し、凹凸を有するボトム面を室内側に配置して建築物の窓に用いれば、室内側の明るさが不足している場合にも室内側の光の反射が抑制され、室内から室外が見やすい熱線反射ガラスとなる。また、被膜として透明導電膜を形成し、この被膜を透明電極として用いるフラットディスプレイ用透明基板として用いれば、凹凸を有するボトム面の反射防止効果により画像が視認しやすくなる。
また、上記の例では、CVD法を用いたが、被膜の形成方法はこれに限らず、例えば、ガラスリボンのトップ面に被膜形成溶液または粉末を吹き付けるスプレー法を適用しても構わない。被膜の形成方法としては、CVD法やスプレー法にように、ガラスリボンが有する熱を利用して被膜形成原料を熱分解する方法が好適である。また、上記の例では、錫浴中で発生させた気泡によりボトム面に凹凸を形成したが、フロートバス2内で薄膜を形成したガラスリボン10のボトム面に、第1の実施形態と同様、バス外に配置したリフトアウトロール7やレアーロール8を用いて凹凸を形成してもよい。
また、本発明により得られるガラス板は、薄膜を形成しなくても、それ自体で、反射防止効果、防眩効果を有するガラス板として利用できる。また、型板ガラスのように透光性を有しながらも不透視の窓ガラスとして用いることもできる。
以上説明したように、本発明によれば、フロート法によるガラス板製造ラインに適合するガラス表面の加工方法を用いることにより、オフライン加工を伴うことなく、表面に凹凸を有するガラス板を効率的に製造できる。
1 フロート窯
2 フロートバス
3 徐冷炉
5 錫浴
6 コータ
7 リフトアウトロール
8 レアーロール
9 耐熱管
10 ガラスリボン
10a トップ面
10b ボトム面
11 気泡
12 被膜

Claims (3)

  1. 溶融したガラス原料を金属浴上でガラスリボンへと成形するフロート法によるガラス板の製造方法であって、前記金属浴よりも前記ガラスリボンの搬送下流側に配置したロールと前記ガラスリボンとの接触により、前記ガラスリボンの表面に凹凸を形成することを特徴とするガラス板の製造方法。
  2. 粘度が107ポイズ以上1013ポイズ以下のガラスリボンとロールとの接触により凹凸を形成する請求項1に記載のガラス板の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法により、ガラスリボンの金属浴側の表面に凹凸を形成する工程と、前記表面と反対側の前記ガラスリボンの表面に薄膜を形成する工程とを含むことを特徴とするガラス板の製造方法。
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