JP2009142962A - 加工方法および加工装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】工具をワークに対して安定した一定の押付圧で押し付けることができ、微小な臨界切込み深さが必要とされる硬脆性材料に対し、安定した延性モード加工を行なうことができる加工方法および加工装置を提供する。
【解決手段】スライダ31がX軸方向に移動可能に設けられ、このスライダ31を一定の押付圧でワークWに押付けながら加工する。すると、ワークWの加工面の凹凸に応じて、工具が移動方向に移動する。これによってワークWの加工面の形状や加工装置の動的、静的な精度に関らず、工具Tの切込量を一定量に維持することができる。従って、微小な臨界切込み深さが必要とされる硬脆性材料に対し、安定した延性モード加工を行なうことができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、工具を用いて、ワークの加工面を高精度に加工する加工方法および加工装置に関する。
光ディスク装置や光通信機器等の装置の小型化や大容量化が進む中で、高精度かつ微細な加工を必要とする光学部品(例えば、小径で曲率の大きいガラスレンズ、微細な溝形状を有するガラス部品)が急増している。
ガラス、単結晶シリコン、セラミックス等の硬脆性材料から形成される光学部品は、従来、研削加工または研磨加工によって仕上げられている。しかし、加工面と接触する砥粒の弾性変形が加工面の精度に影響を与えたり、砥粒の目詰まりが加工能率に影響を与えたりするため、高精度化および高能率化の観点から切削加工による加工方法が試みられている。
硬脆性材料を高精度に切削加工するには、加工部分に脆性破壊ではなく延性破壊が生じるようにする必要がある。このような加工(延性モード加工)では、切込量を常に「最大臨界切込み深さD」以下に維持しなければならない。最大臨界切込み深さDとは、破壊過程が脆性から延性に遷移する点の切込量を示す。代表的な硬脆性材料におけるD値を以下に示す。
硬脆性材料 最大臨界切込み深さ(D)
BK7(ホウ珪酸ガラス) 25nm
Silicon 31nm〜100nm
GE(Germanium) 50nm〜60nm
Vitreous silica(石英ガラス) 180nm
SiC(炭化珪素) 490nm
このように硬脆性材料の延性モード加工では、硬度が高いほどD値が小さくなり、例えば、加工機の運動精度によるD値の変動により、延性モード加工が安定しなくなり、切削工具が損傷してしまう可能性がある。従来の加工機では実用性が伴わないという問題がある。
このような問題点に対し、ワークの加工面を高精度に加工する方法や装置として、特許文献1に開示された切削方法および切削装置が知られている。
特許文献1の切削装置は、工具を保持するとともに加工面に対向する対向面を有した工具保持具を備える。また、切削装置は、工具保持具の対向面を加工面に対して接近または離隔する方向に揺動させる揺動支持手段と、加工面および対向面の間に静圧力を発生させる静圧力発生手段とを備える。
静圧力発生手段は、具体的には、加工面と対向面との間に切削液を供給する供給装置と、切削液を吸引する吸引装置とを有し、切削液を吸引することで加工面と対向面の間に静圧力を発生させる。このようにして静圧力を発生させることで、加工面と対向面との間隔は、静圧力に応じた間隔となる。切削加工する際には、静圧力を所定以上の大きさにして、切削工具をワークの加工面に接触させ、加工面を一定の切込量で切削加工することができるようになっている。
特開平成9−262737号公報(図1,2)
上述した特許文献1に開示された切削方法および切削装置では、切削液を吸引することによって、加工面と対向面の間に静圧力を発生させているので、安定した静圧力を維持するには、加工面に対向する対向面が所定面積以上必要となる。しかしながら、ワークの加工面が非球面レンズ等のように平面でない場合には、所定面積以上の対向面を確保することが困難である。このような場合、安定した静圧力が得られず、切込量を常に一定に維持することが困難となる。また、切削された切屑を切削液と一緒に吸引した場合に、切削液の吸引流量が変動することで、静圧力を一定に保てず、硬脆性材料を高精度に切削加工できない可能性がある。
本発明の目的は、このような課題を解消し、工具をワークに対して安定した一定の押付圧で押し付けることができ、微小な臨界切込み深さが必要とされる硬脆性材料に対し、安定した延性モード加工を行なうことができる加工方法および加工装置を提供することにある。
本発明の加工方法は、工具およびワークを相対移動させながら前記工具によって前記ワークを加工する加工方法であって、前記工具を保持するとともに前記工具を前記ワークに対して押付けおよび引離す方向に移動可能な可動部材と、この可動部材を移動可能に支持する支持部材と、前記可動部材を押付け方向に押し付ける押付圧を発生する押付圧発生部と、前記可動部材を引離す方向に引く引圧を発生する引圧発生部と、を有する定圧機構を用いて、前記押付圧発生部および前記引圧発生部にそれぞれ供給される加圧空気の圧力差を一定にして、前記可動部材を前記ワークに一定の押付圧で押し付けながら加工することを特徴とする。
この構成によれば、可動部材が押付けおよび引離す方向に移動可能に設けられ、この可動部材を一定の押付圧でワークに押付けながら加工するので、ワークの加工面の凹凸に応じて、工具がワークに対して接近または離間する方向へ移動される。これによってワークの加工面の形状や加工装置の動的、静的な精度に関らず、工具の切込量を一定量に維持することができる。
特に、最大臨界切込み深さの微小な硬脆性材料に対しても、押付圧発生部および引圧発生部にそれぞれ供給される加圧空気の圧力差を、その最大臨界切込み深さに相当する圧力差以下に設定することによって、切込量を常に許容範囲内とすることができる。
従って、工具をワークに対して安定した一定の押付圧で押し付けることができ、微小な臨界切込み深さが必要とされる硬脆性材料に対し、安定した延性モード加工を行なうことができる。
本発明の加工方法において、前記押付圧発生部および前記引圧発生部にそれぞれ供給される加圧空気の圧力差を、前記工具の前記ワークに対する切込量に応じて設定することが好ましい。
この構成によれば、押付圧発生部および引圧発生部にそれぞれ供給される加圧空気の圧力を変更するだけで、工具の切込量に相当する圧力差に容易に設定することができ、加工作業の効率化を図ることができる。
本発明の加工装置は、ベースと、このベースに設けられワークを把持するワーク支持手段と、前記ワークを加工する工具と、前記ベースに設けられ前記工具を前記ワークに一定の押付圧で押し付ける定圧機構と、を備え、前記工具および前記ワークを相対移動させながら前記工具によって前記ワークを加工する加工装置であって、前記定圧機構は、前記工具を保持するとともに前記工具を前記ワークに対して押付けおよび引離す方向に移動可能な可動部材と、この可動部材を移動可能に支持する支持部材と、前記可動部材を押付け方向に押し付ける押付圧を発生する押付圧発生部と、前記可動部材を引離す方向に引く引圧を発生する引圧発生部と、を有し、前記押付圧発生部および前記引圧発生部にそれぞれ加圧空気を供給する圧空供給手段を有することを特徴とする。
この構成によれば、ワーク支持手段および定圧機構がベースに設けられ、可動部材が押付けおよび引離す方向に移動可能に設けられ、この可動部材を一定の押付圧でワークに押付けながら加工するので、ワークの加工面の凹凸に応じて、工具がワークに対して接近または離間する方向へ移動される。これによってワークの加工面の形状や加工装置の動的、静的な精度に関らず、工具の切込量を一定量に維持することができる。従って、この加工装置を利用して、前記加工方法で述べた加工を実現することができる。
本発明の加工装置において、前記支持部材は、前記押付圧発生部および前記引圧発生部を挟んだ2箇所に空気軸受が設けられ、前記可動部材は、前記空気軸受により軸支され、前記押付圧発生部および前記引圧発生部は、前記空気軸受を介して外気と連通していることが好ましい。
ここで、従来の研削加工の場合には、工具とワークの接触面積(加工面積)が切削加工と比較して大きく、工具の押付圧を大きく設定できたため、工具を支持する支持剛性が高くなり、びびりが発生しない安定領域が広く存在した。これに対して、例えば、単結晶ダイヤモンドチップを接着したダイヤモンドバイトを使用する切削加工では、工具の押付圧を数十mgf以下に設定する必要がある。また、硬脆性材料に対しては、延性モード切削加工を成立させるために工具の切込量を小さく設定しなければならず、工具の押付圧も小さく設定する必要がある。以上のような理由により、工具の支持剛性が低くなり、びびりが発生しやすくなる、あるいは、断続的に生じる微小振動が再生効果によって発達しながらびびりを増大させるという問題があった。
これに対して本発明の構成によれば、工具を保持する可動部材が押込み方向に移動すると、押付圧発生部および引圧発生部の加圧空気が空気軸受の空気によりエネルギーを消費する。このエネルギーの消費により可動部材の移動が減衰される。従って、可動部材に発生するびびり等を抑制でき、安定した加工を維持することができる。
本発明の加工装置において、前記可動部材の移動方向における変位量を検出する変位計を備えることが好ましい。
この構成によれば、工具の支持剛性が低くなる場合であっても、工具を保持する可動部材の変位量をレーザ変位計や静電容量型変位計等の変位計によって監視することによって、びびり等の予見または検出ができる。さらに、検出された変位量に応じて定圧機構に供給する加圧空気の条件を変化させることにより、びびり等の発生を抑制できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態に係る加工装置の一部を断面で示す正面図である。図1において、ベースの上面に対してその長さ方向(図中の左右方向)をX軸、幅方向(紙面に対して直交する方向)をY軸、ベースの上面に直交する方向をZ軸として、以降の説明を行なう。
<加工装置の全体構成>
加工装置は、ワークWを回転させて、工具TによってワークWの切削加工を行う装置であり、ベース1と、このベース1の上面にX軸方向に並設されたワーク回転機構2(ワーク支持手段)および工具移動機構3(定圧機構)と、工具移動機構3に取り付けられる工具Tとを備える。また、加工装置は、コンプレッサ4からの加圧空気を工具移動機構3へ供給する圧空経路5(圧空供給手段)と、供給される加圧空気の流量および圧力を制御する制御装置6とを備えて構成される。
ワーク回転機構2は、ワークWをX軸と平行なP軸回りに回転駆動するために設けられ、略円柱形状の主軸21と、主軸21を回転自在に軸支するハウジング22とを備える。主軸21の先端部には、ワークWがP軸上に着脱自在に把持されており、主軸21とワークWとは、図示しない電動機(モータ)、エアタービン等の回転駆動手段によって、P軸を中心として一体的に回転されるようになっている。
ベース1と工具移動機構3との間には、工具移動機構3をX軸方向へ移動させるX軸駆動機構7と、工具移動機構3をY軸方向へ移動させるY軸駆動機構8とが設けられている。これによって、ベース1に対して工具移動機構3を互いに直交するX軸およびY軸方向へ相対移動させることができる。なお、これら各軸の駆動機構7,8は、ボールねじ送り機構などによって構成されているが、これに限られない。
工具Tは、尖端や切刃を含む形状に形成されているエンドミルのようなものであってもよいし、また、加工面の仕上げ加工等に用いられる砥石のようなものであってもよい。工具Tは、互いに形状が異なる複数種類のものが予め用意されており、使用者は加工目的に合わせて最適なものを選択して加工に用いることができる。本実施形態では、工具Tとして、先端に単結晶ダイヤモンドチップを接着したダイヤモンドバイトが用いられる。
<工具移動機構の構成>
図2は、工具移動機構3を示す断面図である。
工具移動機構3は、工具TをワークWに対して押付ける方向または引離す方向、すなわちX軸方向に沿って移動させて、工具TをワークWに対して一定の押付圧で押し付けるための機構であり、先端部に工具Tが固定されたスライダ31と、スライダ31をX軸方向に沿って移動可能に支持するスライダ支持部材32とを備える。
スライダ31は、X軸方向に延びた略角柱形状で、工具Tを固定する前部スライダ33と、工具Tの反対側に設けられる後部スライダ34と、中央部にて前部スライダ33と後部スライダ34を連結する連結部35とを有し、一体形成される。前部スライダ33および後部スライダ34のX軸方向に直交する各断面の面積は同一で、連結部35の断面の面積より大きい。また、後部スライダ34は、前部スライダ33に対して、Z軸方向の上側にオフセットされている。
前部スライダ33には、加圧空気による押付け方向の圧力を受ける押圧面36が形成される。押圧面36は、連結部35との接続部分の下側に形成されたX軸に直交する面である。押圧面36のZ軸方向の高さ寸法は、前部スライダ33および後部スライダ34のオフセット量と同一である。同様に、後部スライダ34には、引き方向の圧力を受ける引圧面37が、連結部35との接続部分の上側に形成される。
スライダ支持部材32は、X軸方向に貫通して形成された内部空間321を有し、この内部空間321に挿通されたスライダ31を支持する。
内部空間321は、ワークW側からX軸に沿って順番に、前部スライダ33を軸支する空気軸受としての第1軸受部322と、加圧空気により工具TをワークWに一定の押付圧で押し付ける定圧発生部323と、後部スライダ34を軸支する空気軸受としての第2軸受部324とを有して形成される。
第1軸受部322および第2軸受部324は、スライダ31の前部スライダ33および後部スライダ34に対応して、Z軸方向に互いにオフセットしている。
第1軸受部322は多孔質絞り軸受であり、第1軸受部322には第1圧空経路51(図1)と接続する供給路327が連通されており、加圧空気が複数の孔から前部スライダ33の外周面に向かって給気される。このように第1軸受部322は、前部スライダ33の外周面と内部空間321の内周面との間に供給される加圧空気によって、非接触で前部スライダ33を軸支する。同様に、第2軸受部324も多孔質絞り軸受であり、後部スライダ34の外周面と内部空間321の内周面との間に、第2圧空経路52と接続される供給路328を通って供給される加圧空気によって、非接触で後部スライダ34を軸支する。このようにスライダ31は、内部空間321の内周面から浮上して、スライダ31とスライダ支持部材32とは非接触状態にある。
図2にて、定圧発生部323は、第1軸受部322および第2軸受部324に挟まれた位置で、スライダ31の連結部35に対応する位置に形成される。定圧発生部323は、スライダ31によって上下二つの空間に区画され、下側の押付圧発生部325と、上側の引圧発生部326とを有する。押付圧発生部325の内周面には、加圧空気を供給する供給路329が連通され、この供給路329は第3圧空経路53(図1)に接続される。引圧発生部326の内周面にも供給路330が連通され、この供給路330は第4圧空経路54に接続される。
押付圧発生部325および引圧発生部326は、供給された加圧空気の占めるそれぞれの容積がスライダ31の移動に伴って増減するように形成される。すなわち、スライダ31が押付け方向に移動すると、押圧面36の位置が押付け方向に移動して、押付圧発生部325の容積が増え、同時に引圧面37の位置も移動するので、引圧発生部326の容積が減る。逆に、スライダ31が引き方向に移動すると、押付圧発生部325の容積が減り、引圧発生部326の容積が増える。
図1に示すように、圧空経路5は、コンプレッサ4から三経路に分岐され、押付圧発生部325に連通される第3圧空経路53、引圧発生部326に連通される第4圧空経路54、軸受部用圧空経路55を有する。三つの経路53〜55には、それぞれコンプレッサ4からの加圧空気の流量および圧力を設定するレギュレータ56(561〜563)と、設定された圧力を検出する圧力計57(571〜573)とが設けられる。軸受部用圧空経路55は、圧力計57の下流側にて二経路に分岐され、各軸受部322,324に連通される第1圧空経路51、第2圧空経路52を有する。
スライダ支持部材32には、工具Tの移動方向の位置を検出するための変位計38が固定されている。変位計38は、スライダ31の端面311に対向する姿勢で取付けられ、端面311の位置の変位量を検出する。変位計38として、例えば、レーザ型や静電容量型の変位計を採用できる。本実施形態では、検出分解能が0.0084μmで、応答周波数が数百kHzであるレーザ型変位計が使用される。
制御装置6には、圧力計57および変位計38の検出値が入力される。制御装置6では入力された検出値に基づきレギュレータ56の制御量が算出され、この制御量により各レギュレータ561,563を操作する。これによって、加圧空気の圧力および流量が変更されるようになっている。
<工具移動機構の作用>
図2にて、第1軸受部322および第2軸受部324に、加圧空気が供給されることにより、スライダ31と内部空間321の内周面との間の摩擦抵抗が著しく低減され、スライダ31および工具TはX軸方向に滑らかに摺動できる状態となっている。さらに、加圧空気の量および圧力は、各軸受部322,324用のレギュレータ561(図1)によって設定され、スライダ支持部材32の内部空間321の内周面からのスライダ31の浮上状態が厳密に決定される。これによって、スライダ31のY軸およびZ軸方向の位置決め(いわゆる、芯出し)が精密に行なわれる。
押付圧発生部325に加圧空気が供給されると、押圧面36にスライダ31を押し付ける方向の押付圧が作用する。また、引圧発生部326に加圧空気が供給されると、引圧面37にスライダ31を引く方向の引圧が作用する。押付圧発生部325および引圧発生部326への加圧空気の圧力は、それぞれレギュレータ562,563(図1)によって設定される。
切削加工しない場合、押付圧発生部325および引圧発生部326には、同じ圧力の加圧空気が供給され、発生する押付圧と引圧とがつりあって、スライダ31はX軸方向においてバランスした状態となる。
一方、X軸駆動機構7により工具移動機構3を前進させ、ワークWを切削加工する場合、引圧発生部326よりも高い圧力の加圧空気が押付圧発生部325に供給され、スライダ31には有効押付圧(押付圧−引圧)が発生し、工具TはワークWに有効押付圧で押し付けられる。切削加工中、有効押付圧が一定となるように、供給される加圧空気の圧力がレギュレータ562,563により設定される。
切削状況により、スライダ31がX軸方向に後退した場合、押付圧発生部325の容積が減少し、減少分に相当する量の空気が第1および第2軸受部322,324を通して大気に開放される。この際、第1および第2軸受部322,324には軸受部用の加圧空気が供給されているので、図2に示すように、押付圧発生部325の空気が通過する際にエネルギーが消費される。消費されるエネルギーはスライダ31の移動速度に依存するため、スライダ31の後方への移動が減衰する。
同様に、スライダ31が前退した場合、引圧発生部326の容積が減少し、引圧発生部326の空気が第1および第2軸受部322,324を通過する際にエネルギーが消費され、スライダ31の前方への移動が減衰する。
切削加工中、変位計38はスライダ31を常時監視し、スライダ31の変位量信号を制御装置6に出力している。第1,第2軸受部322,324は、スライダ31のX軸方向以外の方向には、高い拘束力を有し、これによって、変位計38は、スライダ31の切込み方向の動作を高精度に監視できる。
図3は、本実施形態の工具移動機構の概念図である。
図3中のKは、ばねを示し、Cは、ダンパーを示す。
すなわち、前述の定圧発生部323において有効押付圧を一定に維持することは、図中のばねKにより工具Tを一定の押圧力でワークWに押し付けることを示し、これにより、工具TがワークWの加工面の形状に追従するので、工具Tの切込量が一定となる。
また、スライダ31がX軸方向に移動した場合に、押付圧発生部325または引圧発生部の空気が第1および第2軸受部322,324を通過してエネルギーが消費されることは、図中のダンパーCにより工具TのX軸方向の移動が減衰されることを示し、これにより、工具Tの切込量が微小な場合に生じ易いびびりの発生等を抑制することができる。
<実施形態の効果>
本実施形態では、次に述べる効果が期待できる。
(1)スライダ31がX軸方向に移動可能に設けられ、このスライダ31を一定の押付圧でワークWに押付けながら加工するので、ワークWの加工面の凹凸に応じて、工具が移動方向に移動する。これによってワークWの加工面の形状や加工装置の動的、静的な精度に関らず、工具Tの切込量を一定量に維持することができる。従って、微小な臨界切込み深さが必要とされる硬脆性材料に対し、安定した延性モード加工を行なうことができる。
(2)また、押付圧発生部325および引圧発生部326にそれぞれ供給される加圧空気の圧力を変更するだけで、工具Tの切込量に相当する圧力差に容易に設定することができ、加工作業の効率化を図ることができる。
(3)工具Tを保持するスライダ31が押込み方向に移動すると、押付圧発生部325および引圧発生部326の加圧空気が第1軸受部322および第2軸受部324の空気によりエネルギーを消費する。このエネルギーの消費によりスライダ31の移動が減衰され、スライダ31に発生するびびり等を抑制でき、安定した加工を維持することができる。
(4)工具Tの支持剛性が低くなる場合であっても、工具Tを保持するスライダ31の変位量をレーザ変位計や静電容量型変位計等の変位計38によって検出し、制御装置6によって評価することにより、工具Tのびびり等の予見または検出ができる。さらに、びびり等の予見または検出結果に応じて、各レギュレータ56を操作することにより、切削加工中にリアルタイムで押圧力を変化させ、びびり等の生じない安定領域での加工を維持することができる。
<変形例>
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
例えば、上記実施形態の加工方法は、切削加工に限られず、研削加工にも適用できる。
また、上記実施形態の加工方法では、ワークWに対する工具Tの押付圧を一定に保持することによって、工具TをワークWの加工面の形状に倣わせることができ、切込量を一定に維持することができると説明したが、これに限られず、工具Tの押付圧を加工面の形状に対応して適宜変化させることにより切込量を制御することができるので、平面や溝部などの任意の加工に対して本加工方法を適用させてもよい。
上記実施形態では、スライダ31の形状が略角柱状と説明したが、円柱形状の前部スライダおよび後部スライダから形成されていてもよい。また、スライダ31は、連結部35を介して前後に前部スライダ33および後部スライダ34が配置される形状と説明したが、前部スライダ33および後部スライダ34が直接接続され、押圧面36および引圧面37がX軸上の同じ位置に形成されてもよい。また、前記実施形態では、押圧面36が引圧面37よりも前方に配置された形状となっているが、押圧面36が引圧面37よりも後方に配置された形状でもよい。
上記実施形態では、X軸駆動機構7およびY軸駆動機構8により工具移動機構3をX軸およびY軸方向へ移動可能に構成するとしたが、これに限られず、ワーク回転機構2をX軸およびY軸方向へ移動可能に構成してもよい。
本発明は、例えば、切削工具を強制的に押込んで切込み深さを制御する工作機械などの加工に利用できる。
本発明の加工装置の一実施形態を示す正面図。 同上実施形態の工具移動機構を示す断面図。 同上実施形態の工具移動機構の概念図。
符号の説明
1…ベース
2…ワーク回転機構(ワーク支持手段)
3…工具移動機構(定圧機構)
5…圧空経路(圧空供給手段)
31…スライダ(可動部材)
32…スライダ支持部材(支持部材)
38…変位計
322…第1軸受部(空気軸受)
324…第2軸受部(空気軸受)
325…押付圧発生部
326…引圧発生部
T…工具
W…ワーク。

Claims (5)

  1. 工具およびワークを相対移動させながら前記工具によって前記ワークを加工する加工方法であって、
    前記工具を保持するとともに前記工具を前記ワークに対して押付けおよび引離す方向に移動可能な可動部材と、
    この可動部材を移動可能に支持する支持部材と、
    前記可動部材を押付け方向に押し付ける押付圧を発生する押付圧発生部と、
    前記可動部材を引離す方向に引く引圧を発生する引圧発生部と、
    を有する定圧機構を用いて、
    前記押付圧発生部および前記引圧発生部にそれぞれ供給される加圧空気の圧力差を一定にして、前記可動部材を前記ワークに一定の押付圧で押し付けながら加工する
    ことを特徴とする加工方法。
  2. 請求項1に記載の加工方法において、
    前記押付圧発生部および前記引圧発生部にそれぞれ供給される加圧空気の圧力差を、前記工具の前記ワークに対する切込量に応じて設定することを特徴とする加工方法。
  3. ベースと、
    このベースに設けられワークを把持するワーク支持手段と、
    前記ワークを加工する工具と、
    前記ベースに設けられ前記工具を前記ワークに一定の押付圧で押し付ける定圧機構と、を備え、前記工具および前記ワークを相対移動させながら前記工具によって前記ワークを加工する加工装置であって、
    前記定圧機構は、
    前記工具を保持するとともに前記工具を前記ワークに対して押付けおよび引離す方向に移動可能な可動部材と、
    この可動部材を移動可能に支持する支持部材と、
    前記可動部材を押付け方向に押し付ける押付圧を発生する押付圧発生部と、
    前記可動部材を引離す方向に引く引圧を発生する引圧発生部と、を有し、
    前記押付圧発生部および前記引圧発生部にそれぞれ加圧空気を供給する圧空供給手段を有することを特徴とする加工装置。
  4. 請求項3に記載の加工装置において、
    前記支持部材は、前記押付圧発生部および前記引圧発生部を挟んだ2箇所に空気軸受が設けられ、
    前記可動部材は、前記空気軸受により軸支され、
    前記押付圧発生部および前記引圧発生部は、前記空気軸受を介して外気と連通していることを特徴とする加工装置。
  5. 請求項3または請求項4に記載の加工装置において、
    前記可動部材の移動方向における変位量を検出する変位計を備える
    ことを特徴とする加工装置。
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