JP2009142871A - ビーム加工装置、ビーム観察装置およびビームの焦点調整方法 - Google Patents

ビーム加工装置、ビーム観察装置およびビームの焦点調整方法 Download PDF

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恒明 増澤
Zenichi Yoshida
善一 吉田
Hiromichi Ikeda
博通 池田
Kyogo Oguchi
京吾 小口
Hikari Yamagishi
光 山岸
Yuji Wakabayashi
優治 若林
Ryoichi Arai
亮一 新井
Koji Kobayashi
耕治 小林
Yoshinori Nagasu
慶典 長洲
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Abstract

【課題】簡易な構成で、加工対象物を広範囲でかつ適切に加工することが可能なビーム加工装置を提供すること。
【解決手段】ビーム加工装置は、ワークの加工を行うためのビームを出射するビーム出射源3と、ビーム出射源3から出射されたビームが通過するビーム通過路8を有する真空チャンバー4と、ビーム通過路8に連通しビーム通過路8を通過したビームが通過する通過空間20およびワークに向けてビームを出射する出射孔17aを有する局所真空チャンバー9と、ワークに照射されるビームの焦点を調整するために出射孔17aの下方に配置される被照射部材35を有する焦点調整手段7とを備えている。このビーム加工装置1は、ビームを用いて真空チャンバー4および局所真空チャンバー9の外部の大気圧中に少なくとも一部が配置されるワークの加工を行う。
【選択図】図3

Description

本発明は、ビームを用いて加工対象物の加工を行うビーム加工装置、および、ビームを用いて観察対象物の観察を行うビーム観察装置に関する。また、本発明は、ビーム加工装置またはビーム観察装置におけるビームの焦点調整方法に関する。
従来から、加工対象物(ワーク)に対する加工を行う加工装置として、集束イオンビームでワークを加工する集束イオンビーム加工装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。また、ワークに対する加工を行う加工装置として、電子ビームでワークを加工する電子ビーム加工装置も知られている(たとえば、特許文献2参照)。
特許文献1に記載された集束イオンビーム加工装置では、集束イオンビームの散乱を防止するため、真空チャンバー内に配置されたステージ上にセットされたワークに対して集束イオンビームが照射され、ワークの加工が行われる。また、特許文献2に記載された電子ビーム加工装置でも同様に、電子ビームの散乱を防止するため、真空チャンバー内に配置されたステージ上にセットされたワークに対して電子ビームが照射され、ワークの加工が行われる。
また、集束イオンビームを用いて観察対象物の観察を行う集束イオンビーム観察装置も知られている(たとえば、特許文献3参照)。また、一般に、電子ビームを用いて観察対象物の観察を行う電子ビーム観察装置も知られている。かかる集束イオンビーム観察装置や電子ビーム観察装置でも、真空チャンバー内に配置されたステージ上にセットされた観察対象物に対して集束イオンビームや電子ビームが照射されて、観察対象物の観察が行われる。
特開2006−32154号公報 特開2004−167536号公報 特開平10−162766号公報
しかしながら、特許文献1に記載の集束イオンビーム加工装置および特許文献2に記載の電子ビーム加工装置では、ワークがセットされるステージが真空チャンバー内に配置されているため、ステージによるワークの移動範囲には限界がある。すなわち、特許文献1に記載の集束イオンビーム加工装置や特許文献2に記載の電子ビーム加工装置では、大きなワークを広範囲で加工することは困難である。
ここで、特許文献1に記載の集束イオンビーム加工装置や特許文献2に記載の電子ビーム加工装置でも、真空チャンバーを大きくすることで、大きなワークを広範囲で加工することは可能となる。しかしながら、真空チャンバーを大きくすると加工装置が大型化するとともに、加工装置の製造コストおよびランニングコストが嵩む。また、従来の集束イオンビーム観察装置や電子ビーム観察装置においても、同様の問題が生じる。
そこで、本発明の課題は、簡易な構成で、加工対象物を広範囲でかつ適切に加工することが可能なビーム加工装置を提供することにある。また、本発明の課題は、簡易な構成で、観察対象物を広範囲でかつ適切に観察することが可能なビーム観察装置を提供することにある。さらに、本発明の課題は、簡易な構成で、加工対象物を広範囲で加工することが可能なビーム加工装置で、加工対象物を適切に加工することが可能となるビームの焦点調整方法を提供することにある。さらにまた、本発明の課題は、簡易な構成で、観察対象物を広範囲で観察することが可能なビーム観察装置で、観察対象物を適切に観察することが可能となるビームの焦点調整方法を提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明のビーム加工装置は、加工対象物の加工を行うためのビームを出射するビーム出射源と、ビーム出射源から出射されたビームが通過するビーム通過路を有しビーム出射源が取り付けられる真空チャンバーと、ビーム通過路に連通しビーム通過路を通過したビームが通過する通過空間および加工対象物に向けてビームを出射するための出射孔を有する局所真空チャンバーと、加工対象物に照射されるビームの焦点を調整するために、出射孔から出射されるビームの出射方向における出射孔の外側に配置される被照射部材を有する焦点調整手段とを備え、真空チャンバーおよび局所真空チャンバーの外部の大気圧中に少なくとも一部が配置される加工対象物の加工をビームを用いて行うことを特徴とする。
また、上記の課題を解決するため、本発明のビーム観察装置は、観察対象物の観察を行うためのビームを出射するビーム出射源と、ビーム出射源から出射されたビームが通過するビーム通過路を有しビーム出射源が取り付けられる真空チャンバーと、ビーム通過路に連通しビーム通過路を通過したビームが通過する通過空間および観察対象物に向けてビームを出射するための出射孔を有する局所真空チャンバーと、観察対象物に照射されるビームの焦点を調整するために、出射孔から出射されるビームの出射方向における出射孔の外側に配置される被照射部材を有する焦点調整手段とを備え、真空チャンバーおよび局所真空チャンバーの外部の大気圧中に少なくとも一部が配置される観察対象物の観察をビームを用いて行うことを特徴とする。
ここで、本明細書において、「局所真空チャンバー」とは、加工対象物あるいは観察対象物の一部分のみを真空状態とするための真空チャンバーをいう。
本発明のビーム加工装置では、真空チャンバーおよび局所真空チャンバーの外部の大気圧中に少なくとも一部が配置される加工対象物をビーム用いて加工している。そのため、真空チャンバーおよび局所真空チャンバーの外部の大気圧中に配置される所定の移動手段を用いて加工対象物を移動させる簡易な構成で、加工対象物を広範囲で加工することが可能になる。また、本発明のビーム観察装置では、真空チャンバーおよび局所真空チャンバーの外部の大気圧中に少なくとも一部が配置される観察対象物をビームを用いて観察している。そのため、真空チャンバーおよび局所真空チャンバーの外部の大気圧中に配置される所定の移動手段を用いて観察対象物を移動させる簡易な構成で、観察対象物を広範囲で観察することが可能になる。
また、本発明のビーム加工装置およびビーム観察装置は、加工対象物あるいは観察対象物に照射されるビームの焦点を調整するために、出射孔から出射されるビームの出射方向における出射孔の外側に配置される被照射部材を有する焦点調整手段を備えている。そのため、出射孔の外側に配置される被照射部材を用いて、ビームの焦点調整を行うことができる。したがって、加工対象物あるいは観察対象物が真空チャンバーおよび局所真空チャンバーの外部に配置される場合であっても、焦点の合ったビームを加工対象物あるいは観察対象物に照射することが可能になる。その結果、加工対象物の適切な加工、および、観察対象物の適切な観察が可能になる。
本発明において、被照射部材の表面には、導電性を有する導電部と絶縁性を有する絶縁部とが交互に形成され、焦点調整手段は、ビーム通過路および/または通過空間に配置され被照射部材の表面上でビームを走査させるビームの偏向手段を備えることが好ましい。このように構成すると、偏向手段によるビームの走査によって被照射部材に流れる電流は変化するが、その電流の変化の形態はビームの径に依存する。したがって、被照射部材に流れる電流の値からビームの焦点が合っているか否かを推定して、ビームの焦点調整を行うことが可能になる。
本発明において、焦点調整手段は、被照射部材に流れる電流の値である電流値とビームの偏向位置とに基づいて偏向位置に対応する電流値を示すパルス波形を生成する信号処理手段と、パルス波形を表示する表示手段とを備えることが好ましい。このように構成すると、表示手段に表示されるパルス波形を確認しながら、ビームの焦点の調整を行うことができる。すなわち、パルス波形の微妙な変化を確認しながら、ビームの焦点の調整を行うことができる。したがって、ビームの焦点の微調整が可能になり、より適切な加工対象物な加工が可能になる。
本発明において、局所真空チャンバーには、出射孔の外周側に配置される吸気口が形成されるとともに、ビーム加工装置は、吸気口から局所真空チャンバーの内部に向かって吸気を行う吸気手段を備えることが好ましい。このように構成すると、真空チャンバーおよび局所真空チャンバーの外部に加工対象物が配置される場合であっても、加工対象物の加工部位の周辺の圧力を適切に下げることができる。そのため、加工対象物への適切なビームの照射が可能になる。
さらに、上記の課題を解決するため、本発明は、加工対象物の加工を行うためのビームを出射するビーム出射源と、ビーム出射源から出射されたビームが通過するビーム通過路を有しビーム出射源が取り付けられる真空チャンバーと、ビーム通過路に連通しビーム通過路を通過したビームが通過する通過空間および加工対象物に向けてビームを出射するための出射孔を有する局所真空チャンバーとを備え、真空チャンバーおよび局所真空チャンバーの外部の大気圧中に少なくとも一部が配置される加工対象物の加工をビームを用いて行うビーム加工装置で、加工対象物に照射されるビームの焦点を調整するビームの焦点調整方法であって、導電性を有する導電部と絶縁性を有する絶縁部とが交互に形成されるとともに出射孔から出射されるビームの出射方向における出射孔の外側に配置される被照射部材にビームを走査させながら照射して、被照射部材に流れる電流の値である電流値をグラフ化し、グラフ化された電流値を確認しながら、ビームの焦点を調整することを特徴とする。
さらにまた、上記の課題を解決するため、本発明は、観察対象物の観察を行うためのビームを出射するビーム出射源と、ビーム出射源から出射されたビームが通過するビーム通過路を有しビーム出射源が取り付けられる真空チャンバーと、ビーム通過路に連通しビーム通過路を通過したビームが通過する通過空間および観察対象物に向けてビームを出射するための出射孔を有する局所真空チャンバーとを備え、真空チャンバーおよび局所真空チャンバーの外部の大気圧中に少なくとも一部が配置される観察対象物の観察をビームを用いて行うビーム観察装置で、観察対象物に照射されるビームの焦点を調整するビームの焦点調整方法であって、導電性を有する導電部と絶縁性を有する絶縁部とが交互に形成されるとともに出射孔から出射されるビームの出射方向における出射孔の外側に配置される被照射部材にビームを走査させながら照射して、被照射部材に流れる電流の値である電流値をグラフ化し、グラフ化された電流値を確認しながら、ビームの焦点を調整することを特徴とする。
本発明のビームの焦点調整方法が用いられるビーム加工装置では、真空チャンバーおよび局所真空チャンバーの外部の大気圧中に少なくとも一部が配置される加工対象物をビームを用いて加工している。そのため、真空チャンバーおよび局所真空チャンバーの外部の大気圧中に配置される所定の移動手段を用いて加工対象物を移動させる簡易な構成で、加工対象物を広範囲で加工することが可能になる。また、本発明のビームの焦点調整方法が用いられるビーム観察装置では、真空チャンバーおよび局所真空チャンバーの外部の大気圧中に少なくとも一部が配置される観察対象物をビームを用いて観察している。そのため、真空チャンバーおよび局所真空チャンバーの外部の大気圧中に配置される所定の移動手段を用いて観察対象物を移動させる簡易な構成で、観察対象物を広範囲で観察することが可能になる。
また、本発明のビームの焦点調整方法では、出射孔から出射されるビームの出射方向における出射孔の外側に配置される被照射部材にビームを走査させながら照射して、被照射部材に流れる電流の値である電流値をグラフ化し、グラフ化された電流値を確認しながら、ビームの焦点を調整している。そのため、加工対象物あるいは観察対象物が真空チャンバーおよび局所真空チャンバーの外部に配置される場合であっても、焦点が合ったビームを加工対象物あるいは観察対象物に照射することが可能になる。その結果、加工対象物を広範囲で加工することが可能なビーム加工装置での加工対象物の適切な加工、および、観察対象物を広範囲で観察することが可能なビーム観察装置での観察対象物の適切な観察が可能になる。
以上のように、本発明のビーム加工装置では、簡易な構成で、加工対象物を広範囲でかつ適切に加工することが可能になる。また、本発明のビーム観察装置では、簡易な構成で、観察対象物を広範囲でかつ適切に観察することが可能になる。さらに、本発明のビームの焦点調整方法を用いると、簡易な構成で、加工対象物を広範囲で加工することが可能なビーム加工装置において、加工対象物を適切に加工することが可能になり、また、簡易な構成で、観察対象物を広範囲で観察することが可能なビーム観察装置において、観察対象物を適切に観察することが可能になる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(ビーム加工装置の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるビーム加工装置1の概略構成を説明するための模式図である。なお、以下の説明では、図1の上を「上」、下を「下」、右を「右」、左を「左」、紙面手前を「前」、紙面奥を「後(後ろ)」とする。
本形態のビーム加工装置1は、所定の加工対象物(ワーク)2の加工を行うためのビームとして、集束イオンビーム(FIB(Focused Ion Beam))を用いて、ワーク2に対して除去加工等の微細な加工を行う加工装置である。このビーム加工装置1は、図1に示すように、FIBを出射するためのビーム出射源3および真空チャンバー4と、ワーク2へ照射されるFIBの拡散を防止するための拡散防止部5と、ワーク2が載置され固定される固定面6aを有する固定部材6とを備えている。また、ビーム加工装置1は、ワーク2に照射されるFIBの焦点を調整するための焦点調整手段7(図3参照)を備えている。なお、ビーム加工装置1は、大気圧中に配置されている。
ビーム出射源3は、ガリウム(Ga)等の液体金属をイオン源としてイオンビームを出射する。また、ビーム出射源3は、真空チャンバー4の上端側に取り付けられている。真空チャンバー4の内部には、ビーム出射源3から出射されたイオンビームが通過するビーム通過路8が形成されている。ビーム通過路8には、通過するイオンビームを集束させるための所定のイオン光学系(図示省略)等が配置されている。また、ビーム通過路8には、焦点調整手段7を構成する後述の偏向装置36の一部が配置されている(図3参照)。
本形態では、ビーム通過路8を通過したイオンビームは、真空チャンバー4の下端側から下方向に向かってFIBとして出射される。たとえば、20〜30kVに加速されたGaイオンビーム(すなわち、FIB)が出射され、スパッタリング現象を用いたワーク2の加工が行われる。
また、本形態のビーム加工装置1は、ビーム通過路8に配置されるイオン光学系を駆動して、ワーク2へ照射されるFIBの焦点調整を行う焦点調整機構(図示省略)を備えている。焦点調整機構は、焦点調整手段7の一部を構成している。また、焦点調整機構はたとえば、イオン光学系を駆動するための電磁石等を備えており、電磁石に印加される電圧を調整することで、FIBの焦点調整を行う。
拡散防止部5は、真空チャンバー4から出射されたFIBがワーク2に向かって通過する局所真空チャンバー9と、局所真空チャンバー9の内部を真空状態とするための第1ポンプ10、第2ポンプ11および第3ポンプ12とを備えている。局所真空チャンバー9は、真空チャンバー4の下端側に取り付けられており、真空チャンバー4から出射されたFIBは、局所真空チャンバー9の内部を通過して、拡散防止部5の下側でワーク2に照射される。拡散防止部5の詳細な構成については後述する。
固定部材6は、ワーク2を固定するためのチャック等の固定手段(図示省略)を備えている。この固定手段は、固定部材6の上面となる固定面6aに取り付けられている。また、固定部材6は、固定部材6を移動させる移動機構(図示省略)に取り付けられおり、所定方向へ移動可能となっている。本形態の移動機構は、固定部材6を3次元方向に移動させるように構成されており、たとえば、上下方向、左右方向および前後方向のそれぞれに固定部材6を移動させるためのZ方向移動機構(図示省略)、Y方向移動機構(図示省略)およびX方向移動機構(図示省略)を備えるいわゆるXYZステージである。
(局所真空チャンバーの構成)
図2は、図1に示す局所真空チャンバー9の下端部の拡大断面図である。
局所真空チャンバー9は、図1に示すように、底部を有する鍔付の略円筒状に形成されている。この局所真空チャンバー9は、図1、図2に示すように、略円筒状の本体部14と、底部を形成する第1底面部15および第2底面部16と、ワーク2に向けてFIBが出射される出射孔17aが形成されたビーム出射部17と、第1底面部15に対するビーム出射部17の位置調整を行って、FIBの進行方向と出射孔17aとの位置合せを行うための位置調整手段18とを備えている。
本体部14は、径方向内側に配置された内筒部14aと、内筒部14aの径方向外方に配置された外筒部14bとを有する二重構造となっている。本体部14の上端には、径方向外側へ広がる鍔部14cが形成されている。
本形態では、第1底面部15と内筒部14a等とによって、局所真空チャンバー9の径方向の中心部に第1空間20が形成され、第1底面部15、第2底面部16、内筒部14aおよび外筒部14b等によって、第1空間20の径方向外方および下方に第2空間21が形成されている。また、第1空間20は、真空チャンバー4のビーム通過路8に連通している。すなわち、局所真空チャンバー9には、ビーム通過路8を通過したFIBが通過する通過空間としての第1空間20と、第1空間20の周囲に内筒部14aを介して配置される第2空間21とが形成されている。
また、本体部14には、図1に示すように、第1空間20を真空状態とするための排気を行う第1排気孔14eが、外周面から第1空間20に連通するように形成され、第2空間21を真空状態とするための排気を行う第2排気孔14fが、外周面から第2空間21に連通するように形成されている。
第1底面部15は略円板状に形成されている。第1底面部15の径方向中心位置には、FIBが通過する貫通孔15aが形成されている。また、第1底面部15の下面には、ビーム出射部17および後述の固定部材23が配置される凹部15bが形成されている。第1底面部15は、内筒部14aの下端に固定されている。また、内筒部14aと第1底面部15との間には、第1空間20からの空気の漏れを防止するシール部材22が配置されている。
位置調整手段18は、第1底面部15に固定される略円筒状の固定部材23と、固定部材23の内周側から突出してビーム出射部17の位置調整を行う調整ネジ24とを備えている。固定部材23は、第1底面部15の凹部15bの中に配置された状態で、固定ネジ25によって、第1底面部15の下面に固定されている。調整ネジ24は、頭部を有しない六角穴付止めネジであり、径方向に貫通するように固定部材23に形成されたネジ孔23aに螺合した状態で、固定部材23の内周側から突出している。
ビーム出射部17は、上下方向に貫通する出射孔17aと上端側で径方向外側へ広がる鍔部17bとを有する鍔付の略円筒状に形成されている。このビーム出射部17は、固定部材23の内周側に配置された状態で、第1底面部15の凹部15bの中に配置され、第1底面部15の下面と固定部材23の上面と間に鍔部17bが挟まれた状態で、第1底面部15に対して固定されている。出射孔17aは、第1底面部15の貫通孔15aを介して、第1空間20に連通している。また、第1底面部15の下面と鍔部17bの間には、第1空間20からの空気の漏れを防止するシール部材26が配置されている。
図2に示すように、ビーム出射部17の外周面には調整ネジ24が当接しており、ネジ孔23aへの調整ネジ24のネジ込み量によって、ビーム出射部17の径方向の位置調整が行われる。
第2底面部16は、略円板状に形成されている。第2底面部16の中心部には、ビーム出射部17の下端側が配置される貫通孔16aが形成されている。また、第2底面部16の上面は、径方向外側から内側に向かうにしたがって下方向へ緩やかに傾斜する傾斜面16bとなっている。本形態では、第1底面部15の下面および固定部材23の下面と、傾斜面16bとの間に形成された空間は、第2空間21の一部となっている。
第2底面部16の下面は、貫通孔16aの周囲に形成された第1平坦面16cと、第1平坦面16cから径方向外方に向かって上方向へ傾斜するように形成された傾斜面16dと、傾斜面16dから径方向外方に向かって形成された第2平坦面16eとから構成されている。第2底面部16は、外筒部14bの下端に固定されている。また、外筒部14bと第2底面部16との間には、第2空間21からの空気の漏れを防止するシール部材27が配置されている。
第2底面部16の貫通孔16aの径は、ビーム出射部17の下端部の外径D1よりも大きくなっている。また、本形態では、ビーム出射部17の底面17dと、第1平坦面16cとが同一平面上に配置されている。貫通孔16aにおけるビーム出射部17の径方向外方には、局所真空チャンバー9の底面から第2空間21に連通する吸気口28が形成されている。すなわち、局所真空チャンバー9には、出射孔17aの外周側に配置される吸気口28が形成されている。
なお、出射孔17aの径は0.1〜2mmであることが好ましく、ビーム出射部17の下端部の外径D1は1〜60mmであることが好ましく、吸気口28の外径は5〜100mmであることが好ましく、第1平坦面16cの外径D2は25〜120mmであることが好ましい。また、本形態では、たとえば、傾斜面16dの外径D3は57mm、内筒部14aの内径は53mm、内筒部14aの外径は73mm、外筒部14bの内径は100mm、外筒部14bの外径は120mmとなっている。また、第1平坦面16cと第2平坦面16eとの距離D4はたとえば3mmとなっている。
(拡散防止部の構成)
上述のように、局所真空チャンバー9は、真空チャンバー4の下端側に取り付けられており、ワーク2の加工時には、真空チャンバー4とワーク2との間に配置される。そして、ビーム通過路8を通過したFIBは、第1空間20を通過して、出射孔17aから出射され、微小な隙間G(図1参照)を介してワーク2に集束する。すなわち、本形態では、第1空間20を真空状態にするとともに、隙間Gを介して対向配置された局所真空チャンバー9の下面(具体的には、ビーム出射部17の底面17d等)とワーク2との間に形成される空間30(図1参照。以下、「局所空間30」とする。)も真空状態とすることで、ワーク2へ向かうFIBの拡散を防止している。なお、隙間Gはたとえば、10μmである。この隙間Gは、10μm〜200μmであることが好ましい。
FIBの拡散を防止するために、第1空間20および局所空間30を、所定の真空度まで減圧する必要がある。しかしながら、第1空間20のみを真空状態としたのでは、第1空間20および局所空間30を所定の真空度まで減圧することは困難である。そこで、本形態では、第2空間21も真空状態とすることで、第1空間20および局所空間30を所定の真空度まで減圧することを可能としている。すなわち、本形態の拡散防止部5は、いわゆる差動排気式の真空装置である。
なお、図1に示すように、加工が行われるワーク2の加工部位を中心とするワーク2の一部分が真空状態となる局所空間30に臨むように配置され、ワーク2のその他の部分は、局所真空チャンバー9の外部の大気圧中に配置されている。
拡散防止部5は、第1空間20を真空状態とするための第1ポンプ10および第2ポンプ11と、第2空間21を真空状態とするための第3ポンプ12とを備えている。また、図1に示すように、第1ポンプ10および第2ポンプ11は、第1排気孔14eに接続された配管31を介して、第1空間20に接続され、第3ポンプ12は、第2排気孔14fに接続された配管32を介して、第2空間21に接続されている。本形態では、第3ポンプ12は、吸気口28から局所真空チャンバー9の内部に向かって吸気を行う吸気手段となっている。
第1ポンプ10は、吸引容量は比較的小さいが、比較的高い真空到達度を得ることが可能な(すなわち、第1空間20を比較的低い圧力まで減圧することが可能な)ポンプであり、たとえば、ターボ分子ポンプである。また、第2ポンプ11および第3ポンプ12は、吸引容量は大きいが、高い真空到達度を得ることができないポンプであり、たとえば、ロータリポンプである。
本形態では、ワーク2が、隙間Gを介して局所真空チャンバー9の下面に対向配置された状態で、まず、第3ポンプ12が作動して、第2空間21が減圧される。第2空間21が減圧されると、吸気口28から空気が吸引され、局所空間30も減圧される。そして、第2空間21が所定の真空度まで減圧されると、第2ポンプ11、第1ポンプ10がこの順番で作動する。第3ポンプ12の作用で、局所空間30が減圧されているため、第2ポンプ11および第1ポンプ10によって、第1空間20および局所空間30は、FIBの拡散を防止するために必要な真空度まで短時間で減圧される。
なお、本形態では、たとえば、出射孔17aの径が1mm、ビーム出射部17の下端部の外径D1が5mm、吸気口28の外径が20mm、第1平坦面16cの外径D2が35mm、隙間Gが10μmである場合、第1空間20の真空度は5×10−3Paとなり、第2空間21の真空度は30Paとなった。
(焦点調整手段の構成)
図3は、図1のビーム加工装置1が有する焦点調整手段7の概略構成を示す図である。図4は、図3に示す被照射部材35の平面図である。
本形態のビーム加工装置1は、上述のように、ワーク2に照射されるFIBの焦点を調整するための焦点調整手段7を備えている。焦点調整手段7は、図3に示すように、FIBの焦点調整時にFIBが照射される被照射部材35と、ビーム通過路8の内部等に配置される偏向装置36と、被照射部材35に流れる電流に対して所定の処理を行う処理回路37と、処理回路37での処理結果を表示する表示手段としての表示装置38とを備えている。なお、上述のように、ビーム通過路8に配置されるイオン光学系を駆動して、ワーク2へ照射されるFIBの焦点調整を行う焦点調整機構も、焦点調整手段7の一部を構成している。
被照射部材35は、FIBの焦点調整時に、ワーク2の代わりに固定部材6の固定面6aに載置されて固定される。この被照射部材35は、導電性を有する導電性材料によって形成されている。また、被照射部材35はたとえば、板状に形成されている。被照射部材35の表面(上面)には、図4に示すように、絶縁性を有する絶縁性材料からなる絶縁部35aが形成されている。具体的には、細長い矩形状(短冊状)に形成されるとともに幅Hが一定の複数の絶縁部35aが一定の間隔Pで、被照射部材35の表面に形成されている。すなわち、被照射部材35の表面には、絶縁部35aと導電性を有する導電部35bとが交互にすだれ状に形成されている。そのため、後述のように、被照射部材35の表面でFIBを走査させると、FIBが絶縁部35aに照射されたときには被照射部材35に電流が流れず、FIBが導電部35bに照射されたときには被照射部材35に電流が流れる。
本形態では、絶縁部35aの幅Hと間隔Pとがほぼ等しくなっている。すなわち、本形態では、絶縁部35aの幅Hと導電部35bの幅とがほぼ等しくなっている。絶縁部35aの幅Hおよび間隔Pはたとえば、数μm(具体的には、5μm〜10μm程度)となっている。また、絶縁部35aの長さ(図4の上下方向の長さ)はたとえば、数百μmとなっている。なお、絶縁部35aの幅Hと導電部35bの幅とは、異なっていても良い。また、FIBの径は一般に10nm程度に絞れるため、幅Hおよび間隔Pの最小値は10nmとなる。また、サブミクロン単位の幅を有する絶縁部35aや導電部35bは、調整済みの別のFIBを用いて加工し、製作することができる。
偏向装置36は、ビーム出射源3から出射されたイオンビームをビーム通過路8内および第1空間20内で偏向して走査させる。この偏向装置36は、図3に示すように、イオンビームをX方向(たとえば、左右方向)へ偏向して走査させるため、ビーム通過路8内に配置された一対のX方向偏向電極39と、X方向偏向電極39を制御するX方向走査信号を出力するX方向走査信号発生回路41とを備えている。本形態では、X方向偏向電極39は、ビーム通過路8に配置され被照射部材35の表面上でFIBを走査させる偏向手段である。
処理回路37は、電流増幅回路44と信号処理回路45とを備えている。電流増幅回路44は、被照射部材35に接続されており、被照射部材35に流れる電流を増幅させる。なお、電流増幅回路44は、被照射部材35に流れる電流を電圧に変換して増幅させても良い。
信号処理回路45には、電流増幅回路44で増幅された電流の信号(電流信号)と、X方向走査信号発生回路41から出力されるX方向走査信号とが入力される。また、信号処理回路45では、AD変換等の所定の処理が行われて、被照射部材35に流れる電流の値である電流値がグラフ化される。具体的には、信号処理回路45では、X方向走査信号に基づくFIBの偏向位置と電流値とから、FIBの偏向位置に対応する電流値を示すパルス波形が生成され、パルス波形の信号が出力される。本形態では、信号処理回路45は、電流値とFIBの偏向位置とに基づいて偏向位置に対応する電流値を示すパルス波形を生成する信号処理手段である。
表示装置38は、信号処理回路45からの出力信号に基づいて、FIBの偏向位置に対応する電流値を示すパルス波形を表示する(図5参照)。具体的には、表示装置38は、縦軸を電流値(I)、横軸を偏向位置(X)とするパルス波形を表示する。
(集束イオンビームの焦点調整方法)
図5は、図3に示す表示装置38に表示されるパルス波形の例を示す図であり、(A)はFIBの焦点が合っているときのパルス波形を示し、(B)はFIBの焦点が合っていないときのパルス波形を示す。
ワーク2に照射されるFIBの焦点調整を行う際には、まず、図4に示すように、絶縁部35aの短手方向がX方向とほぼ一致するように、かつ、絶縁部35aが形成された側の表面が上側を向くように、固定面6aに被照射部材35を固定する。また、ワーク2の加工面と被照射部材35の表面とがほぼ一致するように、固定面6aに被照射部材35を固定する。なお、本形態では、FIBの焦点調整時以外には、被照射部材35は固定面6aから取り外され所定の収納部に収納されているが、被照射部材35は、ワーク2の加工に支障が出ない位置で固定面6aに常時、固定されていても良い。
その後、被照射部材35を出射孔17aの下方へ移動させる。すなわち、出射孔17aから出射されるFIBの出射方向における出射孔17aの外側に被照射部材35を配置する。その後、偏向装置36によって、FIBをX方向へ走査させながら被照射部材35にFIBを照射して、表示装置38に、FIBの偏向位置に対応する電流値を示すパルス波形(すなわち、グラフ化された電流値)を表示する。なお、このときには、第1空間20、第2空間21および局所空間30は、真空状態となっている。
FIBを走査させながら被照射部材35にFIBを照射すると、被照射部材35に流れる電流は変化するが、その電流の変化の形態はFIBの径に依存する。そのため、被照射部材35に照射されるFIBの焦点が合っており、FIBの径が小さい場合には、表示装置38には、図5(A)に示すように、エッジがはっきりした矩形状のパルス波形が表示される。一方、被照射部材35に照射されるFIBの焦点が合っておらず、FIBの径が大きい場合には、表示装置38には、図5(B)に示すように、エッジがはっきりしない丸みを帯びたパルス波形が表示される。
そして、表示装置38に表示されたパルス波形を確認しながら、焦点調整機構(図示省略)でイオン光学系を駆動させてFIBの焦点を調整する。具体的には、パルス波形が図5(A)に示すような形状となるようにイオン光学系を駆動させて、FIBの焦点を合わせる。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のビーム加工装置1は、局所真空チャンバー9の外部に微小な隙間Gを介して配置されるとともにその大半部分が大気圧中に配置されるワーク2をFIBによって加工している。そのため、固定部材6を移動させる移動機構で、局所真空チャンバー9の外部の大気圧中に配置されるワーク2を移動させながら、FIBを用いてワーク2に対して広範囲の加工を行うことできる。すなわち、ワーク2が大きい場合であっても、ワーク2の全体(あるいは、ワーク2に加えて固定部材6等)を別途、真空チャンバーで覆う必要がないため、簡易な構成で、ワーク2を移動させながら、FIBを用いてワーク2に対する広範囲の加工を行うことができる。
本形態では、ワーク2へ向かうFIBが通過する第1空間20が形成された局所真空チャンバー9が真空チャンバー4の下端に取り付けられ、微小な隙間Gを介して対向配置されるビーム出射部17の底面17dとワーク2との間に形成される局所空間30は真空状態とされている。そのため、FIBの散乱が抑制され、FIBによるワーク2の適切な加工が可能になる。
特に、本形態のビーム加工装置1は、ワーク2に照射されるFIBの焦点を調整するための焦点調整手段7を備えており、焦点調整手段7は、出射孔17aの下方で固定面6a上に配置される被照射部材35を備えている。また、本形態では、被照射部材35にFIBを走査させながら照射して、被照射部材35に流れる電流の値(電流値)をグラフ化し、グラフ化された電流値を確認しながら、FIBの焦点を調整している。そのため、ワーク2が真空チャンバー4および局所真空チャンバー9の外部に配置される場合であっても、被照射部材35を用いて焦点調整され、焦点が合ったFIBをワーク2に照射することができる。その結果、ワーク2の適切な加工が可能になる。
本形態では、絶縁部35aと導電部35bとが交互に形成された被照射部材35の表面にFIBを走査させながら照射している。そのため、上述のように、FIBの走査によって、被照射部材35に流れる電流は変化するが、その電流の変化の形態はFIBの径に依存する。したがって、被照射部材35に流れる電流からFIBの焦点が合っているか否かを推定して、FIBの焦点調整を行うことができる。
本形態では、信号処理回路45でパルス波形が生成され、生成されたパルス波形が表示装置38に表示される。そのため、表示装置38に表示されるパルス波形を確認しながら、FIBの焦点の調整を行うことができる。すなわち、パルス波形の微妙な変化を確認しながら、FIBの焦点の調整を行うことができる。したがって、FIBの焦点の微調整が可能になり、より微細な加工対象物な加工が可能になる。
本形態では、局所真空チャンバー9に、出射孔17aの外周側に配置される吸気口28が形成されるとともに、第3ポンプ12で、吸気口28から局所真空チャンバー9の内部に向かって吸気を行っている。そのため、局所真空チャンバー9の外部(具体的には、局所空間30)にワーク2の加工部位が配置される場合であっても、局所空間30の圧力を適切に下げることができる。その結果、ワーク2に対してFIBを適切に照射することができる。
(他の実施の形態)
上述した形態では、FIBの偏向位置に対応する電流値を示すパルス波形を表示装置38に表示して、このパルス波形を確認しながら、FIBの焦点調整を行っている。この他にもたとえば、FIBの偏向位置に対応する電流値を画像化して表示装置38に表示し、表示された画像を確認しながら、FIBの焦点調整を行っても良い。この場合には、FIBの非点収差の補正が可能になる。また、この場合にはたとえば、FIBの偏向位置に対応する電流値の大きさが表示装置38に濃淡によって表示される。すなわち、FIBの偏向位置に対応する電流値の大きさが明るさに変換されて表示装置38に表示される。
なお、この場合には、偏向装置36は、X方向に直交するY方向へイオンビームを偏向して走査させるため、ビーム通過路8内に配置された一対のY方向偏向電極と、Y方向偏向電極を制御するY方向走査信号を出力するY方向走査信号発生回路とを備えている。また、信号処理回路45には、電流増幅回路44で増幅された電流信号とX方向走査信号とY方向走査信号とが入力され、信号処理回路45は、X方向走査信号およびY方向走査信号に基づくFIBの偏向位置と電流値とを対応づけた出力信号を出力する。さらに、焦点調整手段7は、画像処理回路を備えており、この画像処理回路は、信号処理回路45からの入力される信号に基づいて、FIBの偏向位置に対応する電流値を画像化するためのAD変換等の所定の処理を行う。
上述した形態では、被照射部材35は導電性材料によって形成され、被照射部材35の表面に絶縁性材料からなる絶縁部35aが形成されている。この他にもたとえば、被照射部材35が絶縁性材料によって形成され、被照射部材35の表面に導電性材料からなる導電部35bが形成されても良い。また、上述した形態では、絶縁部35aは細長い矩形状に形成されているが、絶縁部35aは楕円形等の他の形状に形成されても良い。
上述した形態では、絶縁部35aの幅Hは一定になっている。この他にもたとえば、図6に示すように、幅Hが次第に狭くなるように、絶縁部35aが形成されても良い。この場合には、被照射部材35の表面上でFIBを1回走査させることで、FIBの径を求めることが可能になる。すなわち、絶縁部35aの幅Hが次第に狭くなっていくと、図7(A)に示すように、電流値が0となる部分の幅が次第に狭くなり、やがて、FIBの径と絶縁部35aの幅Hとが一致すると、パルス波のエッジ同士が重なる。そのため、パルス波のエッジ同士が重なったときの絶縁部35aの幅HからFIBの径を求めることができる。
また、焦点がずれると、図7(B)に示すように、パルス波の裾部分の重なりが大きくなり、焦点があってくると、図7(A)に示すように、パルス波の裾部分の重なりが小さくなる。そのため、パルス波の裾部分の重なりを確認することで焦点調整の良否を判断することができる。
以上から、幅Hが次第に狭くなるように、絶縁部35aが形成されると、求められたFIBの径に基づいて、FIBの焦点調整を行うことができ、調整作業の効率が上がる。なお、絶縁部35aの間隔Pが次第に狭くなるように絶縁部35aを形成することも可能である。
上述した形態では、拡散防止部5は、いわゆる差動排気式の真空装置である。この他にもたとえば、局所空間30を適切に減圧できるのであれば、拡散防止部5は、差動排気式の真空装置でなくても良い。すなわち、局所空間30を適切に減圧できるのであれば、拡散防止部5は、出射孔17aのみから吸気を行っても良い。また、上述した形態では、局所真空チャンバー9は、第1空間20および第2空間21を有する二重構造となっているが、局所真空チャンバー9を三重構造以上の多重構造として、拡散防止部5を差動排気式の真空装置としても良い。
上述した形態では、ビーム加工装置1は、ワーク2の加工を行うためのビームとしてFIBを用いているが、ビームは電子ビームであっても良い。この場合であっても、上述した効果と同様の効果を得ることができる。
上述した形態では、本発明の実施の形態として、ビーム加工装置1の構成を説明しているが、ビーム加工装置1と同様の構成を、観察対象物の観察を行うビーム観察装置に適用することができる。すなわち、ビーム出射源3、真空チャンバー4および拡散防止部5等を用いて、局所真空チャンバー9の外部の大気圧中に少なくとも一部が配置される観察対象物の観察を行うことが可能である。なお、ビーム加工装置1と同様の構成をビーム観察装置に適用する場合には、局所空間30に所定の検出器が配置される。
このように、ビーム加工装置1と同様の構成が適用されるビーム観察装置では、ビーム加工装置1と同様の効果を得ることができる。すなわち、局所真空チャンバー9の外部に配置される移動手段を用いて観察対象物を移動させる簡易な構成で、観察対象物を広範囲で観察することができるといった効果や、ワーク2が局所真空チャンバー9の外部に配置される場合であっても、被照射部材35を用いて焦点調整され、焦点が合ったFIBをワーク2に照射することができるため、ワーク2の適切な観察が可能になるといった効果を得ることができる。
本発明の実施の形態にかかるビーム加工装置の概略構成を説明するための模式図である。 図1に示す局所真空チャンバーの下端部の拡大断面図である。 図1のビーム加工装置が有する焦点調整手段の概略構成を示す図である。 図3に示す被照射部材の平面図である。 図3に示す表示装置に表示されるパルス波形の例を示す図であり、(A)はFIBの焦点が合っているときのパルス波形を示し、(B)はFIBの焦点が合っていないときのパルス波形を示す。 本発明の他の実施の形態にかかる被照射部材の平面図である。 図6に示す被照射部材を用いた場合の表示装置に表示されるパルス波形の例を示す図であり、(A)はFIBの焦点が合っているときのパルス波形を示し、(B)はFIBの焦点が合っていないときのパルス波形を示す。
符号の説明
1 ビーム加工装置
2 ワーク(加工対象物)
3 ビーム出射源
4 真空チャンバー
7 焦点調整手段
8 ビーム通過路
9 局所真空チャンバー
12 第3ポンプ(吸気手段)
17a 出射孔
20 第1空間(通過空間)
28 吸気口
35 被照射部材
35a 絶縁部
35b 導電部
38 表示装置(表示手段)
39 X方向偏向電極(偏向手段)
45 信号処理回路(信号処理手段)

Claims (7)

  1. 加工対象物の加工を行うためのビームを出射するビーム出射源と、上記ビーム出射源から出射された上記ビームが通過するビーム通過路を有し上記ビーム出射源が取り付けられる真空チャンバーと、上記ビーム通過路に連通し上記ビーム通過路を通過した上記ビームが通過する通過空間および上記加工対象物に向けて上記ビームを出射するための出射孔を有する局所真空チャンバーと、上記加工対象物に照射される上記ビームの焦点を調整するために、上記出射孔から出射される上記ビームの出射方向における上記出射孔の外側に配置される被照射部材を有する焦点調整手段とを備え、
    上記真空チャンバーおよび上記局所真空チャンバーの外部の大気圧中に少なくとも一部が配置される上記加工対象物の加工を上記ビームを用いて行うことを特徴とするビーム加工装置。
  2. 前記被照射部材の表面には、導電性を有する導電部と絶縁性を有する絶縁部とが交互に形成され、
    前記焦点調整手段は、前記ビーム通過路および/または前記通過空間に配置され前記被照射部材の表面上で前記ビームを走査させるビームの偏向手段を備えることを特徴とする請求項1記載のビーム加工装置。
  3. 前記焦点調整手段は、前記被照射部材に流れる電流の値である電流値と前記ビームの偏向位置とに基づいて上記偏向位置に対応する上記電流値を示すパルス波形を生成する信号処理手段と、上記パルス波形を表示する表示手段とを備えることを特徴とする請求項2記載のビーム加工装置。
  4. 前記局所真空チャンバーには、前記出射孔の外周側に配置される吸気口が形成されるとともに、上記吸気口から前記局所真空チャンバーの内部に向かって吸気を行う吸気手段を備えることを特徴とする請求項1から3いずれかに記載のビーム加工装置。
  5. 観察対象物の観察を行うためのビームを出射するビーム出射源と、上記ビーム出射源から出射された上記ビームが通過するビーム通過路を有し上記ビーム出射源が取り付けられる真空チャンバーと、上記ビーム通過路に連通し上記ビーム通過路を通過した上記ビームが通過する通過空間および上記観察対象物に向けて上記ビームを出射するための出射孔を有する局所真空チャンバーと、上記観察対象物に照射される上記ビームの焦点を調整するために、上記出射孔から出射される上記ビームの出射方向における上記出射孔の外側に配置される被照射部材を有する焦点調整手段とを備え、
    上記真空チャンバーおよび上記局所真空チャンバーの外部の大気圧中に少なくとも一部が配置される上記観察対象物の観察を上記ビームを用いて行うことを特徴とするビーム観察装置。
  6. 加工対象物の加工を行うためのビームを出射するビーム出射源と、上記ビーム出射源から出射された上記ビームが通過するビーム通過路を有し上記ビーム出射源が取り付けられる真空チャンバーと、上記ビーム通過路に連通し上記ビーム通過路を通過した上記ビームが通過する通過空間および上記加工対象物に向けて上記ビームを出射するための出射孔を有する局所真空チャンバーとを備え、上記真空チャンバーおよび上記局所真空チャンバーの外部の大気圧中に少なくとも一部が配置される上記加工対象物の加工を上記ビームを用いて行うビーム加工装置で、上記加工対象物に照射される上記ビームの焦点を調整するビームの焦点調整方法であって、
    導電性を有する導電部と絶縁性を有する絶縁部とが交互に形成されるとともに上記出射孔から出射される上記ビームの出射方向における上記出射孔の外側に配置される被照射部材に上記ビームを走査させながら照射して、上記被照射部材に流れる電流の値である電流値をグラフ化し、グラフ化された上記電流値を確認しながら、上記ビームの焦点を調整することを特徴とするビームの焦点調整方法。
  7. 観察対象物の観察を行うためのビームを出射するビーム出射源と、上記ビーム出射源から出射された上記ビームが通過するビーム通過路を有し上記ビーム出射源が取り付けられる真空チャンバーと、上記ビーム通過路に連通し上記ビーム通過路を通過した上記ビームが通過する通過空間および上記観察対象物に向けて上記ビームを出射するための出射孔を有する局所真空チャンバーとを備え、上記真空チャンバーおよび上記局所真空チャンバーの外部の大気圧中に少なくとも一部が配置される上記観察対象物の観察を上記ビームを用いて行うビーム観察装置で、上記観察対象物に照射される上記ビームの焦点を調整するビームの焦点調整方法であって、
    導電性を有する導電部と絶縁性を有する絶縁部とが交互に形成されるとともに上記出射孔から出射される上記ビームの出射方向における上記出射孔の外側に配置される被照射部材に上記ビームを走査させながら照射して、上記被照射部材に流れる電流の値である電流値をグラフ化し、グラフ化された上記電流値を確認しながら、上記ビームの焦点を調整することを特徴とするビームの焦点調整方法。
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