JP2009140789A - 燃料電池用セパレータの製造方法及び燃料電池用セパレータ - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料電池用セパレータの製造方法において、耐食性をより向上させることである。
【解決手段】隣設する燃料電池用セル10を分離する燃料電池用セパレータ22の製造方法であって、金属材料で構成されたセパレータ基体24に金ストライクめっきを施し、これによって厚み10nm〜200nmの第1金めっき層を形成する。また、金ストライクめっきによる第1金めっき層上に、さらに金めっきを施し、第2金めっき層を形成することが好ましい。
【選択図】図3
【解決手段】隣設する燃料電池用セル10を分離する燃料電池用セパレータ22の製造方法であって、金属材料で構成されたセパレータ基体24に金ストライクめっきを施し、これによって厚み10nm〜200nmの第1金めっき層を形成する。また、金ストライクめっきによる第1金めっき層上に、さらに金めっきを施し、第2金めっき層を形成することが好ましい。
【選択図】図3
Description
本発明は、燃料電池用セパレータの製造方法及び燃料電池用セパレータに係り、特に、隣設する燃料電池用セルを分離する燃料電池用セパレータの製造方法及び燃料電池用セパレータに関する。
燃料電池は、高効率と優れた環境特性を有する電池として近年脚光を浴びている。燃料電池は、一般的に、燃料ガスである水素に、酸化剤ガスである空気中の酸素を電気化学反応させて、電気エネルギを作りだしている。そして、水素と酸素とが電気化学反応した結果、水が生成される。
燃料電池の種類には、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体電解質型、アルカリ型、固体高分子型等がある。この中でも、常温で起動しかつ起動時間が速い等の利点を有する固体高分子型の燃料電池が注目されている。このような固体高分子型の燃料電池は、移動体、例えば、車両等の動力源として用いられている。
固体高分子型の燃料電池は、複数の単セル、集電板、エンドプレート等を積層して組み立てられる。そして、燃料電池用セルは、電解質膜と、触媒層と、ガス拡散層と、セパレータとを含んで構成される。
特許文献1には、金めっきによりステンレス鋼に優れた半田付け性とワイヤーボンディング性とを安価に付与する方法が開示され、前処理としてステンレス鋼を無機酸と有機酸とを主成分とする電解浴で陰極電解を2段階に分けて行うことにより表面が著しく活性化され、金めっきしてもピンホール等が発生せず、めっき密着性が著しく向上することが示されている。
特許文献2には、ステンレス鋼の一部にめっきを施して製造コストが割高とならないことを前提に、ガス拡散電極との間における優れた接触抵抗性が得られるとともに、セパレータとして必要な寿命を実現すべく優れた耐食性を有する燃料電池用金属製セパレータが開示され、耐食性を有する表面から導電性介在物を露出させ、表面の導電性介在物が露出していない領域に金を被覆することが示されている。
ところで、燃料電池用セパレータをチタン等の金属材料で製造する場合には、一般的に、上述した金等の電気伝導性の高い導電体を表面に被覆して、ガス拡散層等との間の接触抵抗を低減させている。ここで、導電体による被膜が緻密に形成されていない場合には、燃料電池の発電環境で発生するフッ素(F)や塩素(Cl)によりセパレータが腐食する場合がある。
そこで、本発明の目的は、耐食性をより向上させた燃料電池用セパレータの製造方法及び燃料電池用セパレータを提供することである。
本発明は、隣設する燃料電池用セルを分離する燃料電池用セパレータの製造方法であって、金属材料で構成されたセパレータ基体に金ストライクめっきを施し、これによって厚み10nm〜200nmの第1金めっき層を形成することを特徴とする。
また、本発明に係る燃料電池用セパレータの製造方法において、前記金ストライクめっきによる第1金めっき層上に、さらに金めっきを施し、第2金めっき層を形成することを特徴とする。
本発明に係る燃料電池用セパレータの製造方法において、第1金めっき層は、70nm以上120nm以下の厚みで形成されることを特徴とする。
本発明に係る燃料電池用セパレータの製造方法において、第1金めっき層は、70nm以上100nm以下の厚みで形成されることを特徴とする。
本発明に係る燃料電池用セパレータの製造方法において、セパレータ基体は、チタンまたはステンレス鋼で成形されることを特徴とする。
本発明に係る燃料電池用セパレータにおいて、上記の燃料電池用セパレータの製造方法により製造されることを特徴とする。
上記のように本発明に係る燃料電池用セパレータの製造方法及び燃料電池用セパレータによれば、燃料電池用セパレータの表面に、金をより緻密に形成することができるので耐食性をより向上させることができる。
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき、詳細に説明する。まず、燃料電池用セルの構成について説明する。図1は、燃料電池用セル10の断面を示す図である。燃料電池用セル10は、電解質膜12と、触媒層14と、ガス拡散層16とを一体化し、燃料電池の電極を形成する膜電極接合体18(Membrane Electrode Assembly:MEA)と、ガス流路を形成するガス流路構造体であるエキスパンド成形体20と、隣設するセル(図示せず)間の燃料ガスまたは酸化剤ガスを分離するセパレータ22と、を含んで構成される。
電解質膜12は、アノード極側で発生した水素イオンをカソード極側まで移動させる機能等を有している。電解質膜12の材料には、化学的に安定であるフッ素系樹脂、例えば、パーフルオロカーボンスルホン酸のイオン交換膜が使用される。
触媒層14は、アノード極側での水素の酸化反応や、カソード極側での酸素の還元反応を促進する機能を有している。そして、触媒層14は、触媒と、触媒の担体とを含んで構成される。触媒は、反応させる電極面積をより大きくするため、一般的に粒子状にして、触媒の担体に付着させて使用される。触媒には、水素の酸化反応や酸素の還元反応について、より小さい活性化過電圧を有する白金族元素である白金等が使用される。触媒の担体としては、カーボン材料、例えば、カーボンブラック等が使用される。
ガス拡散層16は、燃料ガスである水素ガス等と、酸化剤ガスである空気等とを触媒層14に拡散させる機能や、電子を移動させる機能等を有している。そして、ガス拡散層16には、導電性を有する材料であるカーボン繊維織布、カーボン紙等が使用される。
エキスパンド成形体20は、膜電極接合体18の両面に積層され、ガス流路を形成するガス流路構造体としての機能を有している。エキスパンド成形体20は、膜電極接合体18のガス拡散層16と、セパレータ22とに接触して積層され、膜電極接合体18とセパレータ22とに電気的に接続される。エキスパンド成形体20は、多数の開口からなるメッシュ構造を備えているので、より多くの燃料ガス等が膜電極接合体18と接触して化学反応し、燃料電池用セル10の発電効率を高めることができる。
エキスパンド成形体20には、例えば、JIS G 3351に示されるエキスパンドメタルや、JIS A 5505に示されるメタルラスまたは金属多孔体等が使用される。また、エキスパンド成形体20は、チタン、チタン合金またはステンレス鋼等により成形されることが好ましい。これらの金属材料は、機械的強度が高く、その表面に安定な酸化物(TiO、Ti2O3,TiO2、CrO2、CrO、Cr2O3等)からなる不働態膜等の不活性皮膜が形成されるため、優れた耐食性を有するからである。ステンレス鋼には、オーステナイト系ステンレス鋼やフェライト系ステンレス鋼等を用いることができる。
セパレータ22は、エキスパンド成形体20に積層され、隣設するセル(図示せず)における燃料ガスと酸化剤ガスとを分離する機能を有している。また、セパレータ22は、隣設するセル(図示せず)を電気的に接続する機能を有している。セパレータ22は、セパレータ基体24と、セパレータ基体24に形成される導電層26とを含んで構成される。
セパレータ基体24は、チタン、チタン合金またはステンレス鋼等により成形されることが好ましい。チタン材料またはステンレス鋼は、上述したように、機械的強度が高く、その表面に安定な酸化物からなる不働態膜等の不活性皮膜が形成されるので優れた耐食性を有するからである。
導電層26は、エキスパンド成形体20とセパレータ基体24との間の接触抵抗を低減する機能を有している。導電層26は、導電体である金(Au)により形成される。金(Au)は、耐食性に優れており、電気伝導率が大きいからである。
導電層26は、第1金めっき層28と第2金めっき層30とを含んで構成される。後述するように、第1金めっき層28は、セパレータ基体24の表面に金ストライクめっき法で形成され、第2金めっき層30は、第1金めっき層28の上に厚付け金めっき法等で形成される。第1金めっき層28を金ストライクめっきで形成するのは、より緻密な被膜を形成するためである。また、金ストライクめっきで形成することにより、セパレータ基体24と第1金めっき層28との間の密着性を向上させることができるからである。
次に、燃料電池用セパレータ22の製造方法について説明する。
図2は、セパレータ22の製造方法を示すフローチャートである。セパレータ22の製造方法は、セパレータ基体成形工程(S10)と、洗浄工程(S12)と、中和工程(S14)と、酸洗工程(S16)と、第1金めっき層形成工程(S18)と、第2金めっき層形成工程(S20)と、を含んで構成される。なお、図2のフローチャートに示した第2金めっき層形成工程(S20)を省略して、セパレータ基体成形工程(S10)と、洗浄工程(S12)と、中和工程(S14)と、酸洗工程(S16)と、第1金めっき層形成工程(S18)と、を順に実施することで、セパレータ基体24に第1金めっき層28を形成した燃料電池用セパレータを製造しても良い。
セパレータ基体成形工程(S10)は、金属材料でセパレータ基体24を成形する工程である。金属材料には、上述したように、チタンまたはステンレス鋼等が用いられる。セパレータ基体24は、チタンまたはステンレス鋼をロール圧延加工やプレス加工等することによりシート状等に成形される。
洗浄工程(S12)は、セパレータ基体24を洗浄する工程である。セパレータ基体24は、例えば、アルカリ浸漬脱脂等で洗浄される。アルカリ浸漬脱脂には、苛性ソーダ等のアルカリ性溶液が使用される。セパレータ基体24をアルカリ浸漬脱脂等で洗浄することにより、セパレータ基体24の表面に付着した油分等が除去される。
中和工程(S14)は、洗浄後のセパレータ基体24に残ったアルカリ性溶液を中和して除去する工程である。中和処理は、洗浄後のセパレータ基体24を中和液に浸漬して行われる。中和液には、硫酸溶液、塩酸溶液、硝酸溶液等が使用される。そして、中和液から取り出されたセパレータ基体24は、脱イオン水等で洗浄される。
酸洗工程(S16)は、中和処理等がされたセパレータ基体24を酸洗して、セパレータ基体24の表面に形成された酸化物を除去する工程である。酸洗処理は、セパレータ基体24を硝弗酸溶液または弗酸溶液に浸漬して行われる。硝弗酸溶液等から取り出されたセパレータ基体24は、脱イオン水等で洗浄される。
第1金めっき層形成工程(S18)は、酸洗処理等されたセパレータ基体24に、第1金めっき層28を形成する工程である。第1金めっき層28は、金ストライクめっき法で形成される。金ストライクめっき法を使用するのは、第1金めっき層28をより緻密に形成するためである。金ストライクめっき法には、一般的に行われている金の電解めっき法が用いられる。金ストライクめっき浴には、シアン化金カリウムや亜硫酸金ナトリウム等を含むめっき浴が用いられる。また、金ストライクめっき浴には、アルカリ性浴または酸性浴等が用いられる。金ストライクめっき法では、通常の厚付け金めっき法より金属イオン濃度を低くして、比較的高電流密度で行われる。この場合、電流密度は、0.2〜2A/dm2に設定されている。
図3は、セパレータ基体24に所定の膜厚で第1金めっき層28を形成する場合を示す模式図であり、図3(A)は、3nmの膜厚で第1金めっき層28を形成する場合を示す模式図であり、図3(B)は、100nmの膜厚で第1金めっき層28を形成する場合を示す模式図であり、図3(C)は、200nmより大きい膜厚で第1金めっき層28を形成する場合を示す模式図である。
第1金めっき層28は、10nm以上200nm以下の厚みで形成される。第1金めっき層28の膜厚が10nm以上であるのは、第1金めっき層28の膜厚を10nmより薄く金ストライクめっきする場合には、金めっき層にムラや欠陥が多くなり金めっき層を緻密に形成することができないからである。第1金めっき層28の膜厚が200nm以下であるのは、第1金めっき層28の膜厚を200nmより厚く金ストライクめっきする場合には、析出される金粒子が粗大化して金めっき層の緻密性が低下する場合があるからである。また、第1金めっき層28は、70nm以上120nm以下の厚みで形成されることが好ましく、70nm以上100nm以下の厚みで形成されることがより好ましい。第1金めっき層28を70nm以上100nm以下の厚みで形成することにより、セパレータ22の耐食性がより向上するからである。
第2金めっき層形成工程(S20)は、第1金めっき層28が形成されたセパレータ基体24に、第2金めっき層30を形成する工程である。第2金めっき層30は、厚付け金めっき法等により形成される。厚付け金めっき法には、一般的に行われている電解めっき法が用いられる。金めっき浴には、シアン化金カリウムや亜硫酸金ナトリウム等を含むめっき浴が用いられる。また、金めっき浴には、アルカリ性浴、中性浴または酸性浴が用いられる。第2金めっき層30は、例えば、100nmから20μmの厚さで第1金めっき層28の上に形成される。
以上、上記構成によれば、セパレータ基体24に金ストライクめっき法で第1金めっき層を形成することにより、第1金めっき層をより緻密に形成して第1金めっき層の耐食性を高めることができるので、燃料電池用セパレータの耐食性をより向上させることができる。また、緻密な第1金めっき層の上に第2金めっき層を形成することにより、第1金めっき層と第2金めっき層とを含んで構成される導電層の耐食性をより高めることができるので、燃料電池用セパレータの耐食性を更に向上させることができる。
(実施例)
第1金めっき層28である金ストライクめっき層の厚みを変えて耐食性を評価した。なお、耐食性評価は、金ストライクめっき層のみを、セパレータ基体24であるチタンシートに形成して行った。まず、チタンシートをアルカリ脱脂洗浄後、硫酸で中和処理し、硝弗酸溶液で酸洗処理した。次に、酸洗処理したチタンシートに金ストライクめっきを行った。金ストライクめっきには、アルカリ性の非シアン系金めっき浴を使用した。そして、電流密度を1A/dm2に設定し、金ストライクめっき層の膜厚が3nmから200nm(3nm、5nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、100nm、120nm、140nm、160nm、180nm、200nm)となるように、めっき時間を調整して金ストライクめっき層を形成した。
第1金めっき層28である金ストライクめっき層の厚みを変えて耐食性を評価した。なお、耐食性評価は、金ストライクめっき層のみを、セパレータ基体24であるチタンシートに形成して行った。まず、チタンシートをアルカリ脱脂洗浄後、硫酸で中和処理し、硝弗酸溶液で酸洗処理した。次に、酸洗処理したチタンシートに金ストライクめっきを行った。金ストライクめっきには、アルカリ性の非シアン系金めっき浴を使用した。そして、電流密度を1A/dm2に設定し、金ストライクめっき層の膜厚が3nmから200nm(3nm、5nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、100nm、120nm、140nm、160nm、180nm、200nm)となるように、めっき時間を調整して金ストライクめっき層を形成した。
腐食試験は、JIS Z2294に規定されている金属材料の電気化学的高温腐食試験方法に準拠して行った。図4は、電気化学的高温腐食試験で使用した試験装置を示す図である。試験は、大気開放系にて行った。試験に用いた溶液は、硫酸系溶液を使用した。試験溶液の温度は、50℃とした。そして、50時間の間、一定の電位を与えて腐食試験を行った。なお、耐食性の評価は、外観観察や腐食発生電流等から腐食発生時間を求めて行った。
図5は、腐食評価試験結果を示す図である。図5に示すように、横軸に金ストライクめっき層の膜厚を取り、縦軸に腐食発生時間を取り、各々膜厚の金ストライクめっき層に対する腐食発生時間のデータを黒菱形で示した。金ストライクめっき層の膜厚が10nmより小さい場合には、腐食発生時間が500時間よりも短くなり十分な耐食性が得られなかった。金ストライクめっき層の膜厚が10nmから70nmまでは、腐食発生時間が緩やかに長くなり、金ストライクめっき層の膜厚が70nmから100nmまでは、腐食発生時間が急激に長くなり、金ストライクめっき層の膜厚が100nmから200nmまでは、腐食発生時間が緩やかに短くなった。このように、金ストライクめっき層の膜厚が10nmから200nmの間では、腐食発生時間が500時間よりも長くなり良好な耐食性が得られた。
次に、金ストライクめっき層の有無によるセパレータの耐食性を評価するため、2種類のセパレータ供試体を作製し腐食評価試験を行った。まず、実施例1におけるセパレータ供試体の作製方法について説明する。実施例1のセパレータ供試体の作製方法は、まず、チタンで成形したチタンシートをアルカリ脱脂洗浄処理後、硫酸で中和処理し、硝弗酸溶液で酸洗処理した。次に、酸洗処理したチタンシートに、アルカリ性の非シアン系金めっき浴を使用して金ストライクめっきを行った。金ストライクめっき層の膜厚は100nmとした。そして、更に、金ストライクめっき層の上に、アルカリ性の非シアン系金めっき浴を使用して厚付け金めっきを行った。金めっき層の膜厚は20μmとした。
比較例1におけるセパレータ供試体の製造方法について説明する。比較例1におけるセパレータ供試体の製造方法は、まず、実施例1のセパレータ供試体と同様にして、チタンで成形したチタンシートをアルカリ脱脂洗浄処理し、中和処理し、酸洗処理した。そして、酸洗処理したチタンシートに、金ストライクめっき層を形成せずに、直接、厚付け金めっきで金めっき層を20μm形成した。なお、厚付け金めっきは、実施例1と同様の方法で行った。
実施例1と比較例1のセパレータ供試体について耐食性評価試験を行った。耐食性評価試験は、上述したJIS Z2294に準拠して行った。図6は、耐食性評価試験結果を示す図である。図6に示すように、横軸に発電耐久時間を取り、縦軸に腐食発生電流を取り、実施例1におけるセパレータ供試体のデータを黒四角形で示し、比較例1におけるセパレータ供試体のデータを黒菱形で示した。比較例1のセパレータ供試体では、試験開始から500時間で腐食発生電流値が上昇し腐食が進行した。これに対して、実施例1のセパレータ供試体では、試験開始から2000時間経過後においてもほとんど腐食発生電流の上昇は認められなかった。
次に、耐食性試験の試験開始から2000時間経過後のセパレータ供試体について金属顕微鏡による断面観察を行った。図7は、比較例1におけるセパレータ供試体の断面観察結果を示す図である。また、図8は、実施例1におけるセパレータ供試体の断面観察結果を示す図である。比較例1のセパレータ供試体では、表面に腐食部分が観察された。これに対して、実施例1のセパレータ供試体では、表面に腐食部分は観察されなかった。これらのことから、チタンシートに金ストライクめっき層を設けることにより耐食性をより向上させることができた。
10 燃料電池用セル、12 電解質膜、14 触媒層、16 ガス拡散層、18 膜電極接合体、20 エキスパンド成形体、22 セパレータ、24 セパレータ基体、26 導電層、28 第1金めっき層、30 第2金めっき層。
Claims (6)
- 隣設する燃料電池用セルを分離する燃料電池用セパレータの製造方法であって、
金属材料で構成されたセパレータ基体に金ストライクめっきを施し、これによって厚み10nm〜200nmの第1金めっき層を形成することを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法。 - 請求項1に記載の燃料電池用セパレータの製造方法であって、
前記金ストライクめっきによる第1金めっき層上に、さらに金めっきを施し、第2金めっき層を形成することを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法。 - 請求項1または2に記載の燃料電池用セパレータの製造方法であって、
第1金めっき層は、70nm以上120nm以下の厚みで形成されることを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法。 - 請求項1または2に記載の燃料電池用セパレータの製造方法であって、
第1金めっき層は、70nm以上100nm以下の厚みで形成されることを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法。 - 請求項1から4のいずれか1つに記載の燃料電池用セパレータの製造方法であって、
セパレータ基体は、チタンまたはステンレス鋼で成形されることを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法。 - 請求項1から5のいずれか1つに記載の燃料電池用セパレータの製造方法により製造されることを特徴とする燃料電池用セパレータ。
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