JP2009139967A - 光学補償シート、楕円偏光板および液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物を含むポリマーフイルムからなり、Reレターデーション値が0乃至70nmの範囲にあり、Rthレターデーション値が30乃至400nmの範囲にあり、そしてヘイズが2.0%以下であることを特徴とする光学補償シートを液晶表示装置に利用する。
【選択図】なし
Description
液晶表示装置の光学補償シート(位相差フイルム)には、逆に光学的異方性(高いレターデーション値)が要求される。従って、光学補償シートとしては、ポリカーボネートフイルムやポリスルホンフイルムのようなレターデーション値が高い合成ポリマーフイルムを用いることが普通である。
以上のように光学材料の技術分野では、ポリマーフイルムに光学的異方性(高いレターデーション値)が要求される場合には合成ポリマーフイルムを使用し、光学的等方性(低いレターデーション値)が要求される場合にはセルロースアセテートフイルムを使用することが一般的な原則であった。
特許文献1には、従来の一般的な原則を覆して、光学的異方性が要求される用途にも使用できる高いレターデーション値を有するセルロースアセテートフイルムが開示されている。
また、従来のポリマーフイルムを用いて光学的異方性を確保しようとする場合には、ポリマーフイルムを高い延伸倍率で延伸するか、レターデーション値を調節する添加物の添加量を多く設定する必要があり、ポリマーフイルムの透過率を低下させる場合が多かった。透過率が低いと液晶表示装置の輝度が低下するため好ましくない。
別の本発明の目的は、ポリマーフイルムのみからなり、透過率が高い光学補償シートを提供することである。
さらに別の本発明の目的は、偏光板の構成要素の数を増加することなく、偏光板に光学補償機能を追加することである。
さらにまた別の本発明の目的は、ポリマーフイルムによって光学的に補償された液晶表示装置を提供することである。
(1)少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物を含むポリマーフイルムからなり、下記式(I)により定義されるReレターデーション値が0乃至70nmの範囲にあり、下記式(II)により定義されるRthレターデーション値が30乃至400nmの範囲にあり、そしてヘイズが2.0%以下であることを特徴とする光学補償シート:
(I) Re=(nx−ny)×d
(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
[式中、nxは、フイルム面内の遅相軸方向の屈折率であり;nyは、フイルム面内の進相軸方向の屈折率であり;nzは、フイルムの厚み方向の屈折率であり;そして、dは、フイルムの厚さである]。
(2)前記のポリマーフイルムが、ロールフイルム形態における幅方向に3乃至100%の範囲の延伸倍率で延伸された延伸物であることを特徴とする(1)に記載の光学補償シート。
(4)ポリマーフイルムがセルロースアセテートからなることを特徴とする(1)に記載の光学補償シート。
(5)セルロースアセテートの酢化度が59.0乃至61.5%の範囲にあることを特徴とする(4)に記載の光学補償シート。
(6)セルロースアセテート100質量部に対して、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物を0.01乃至20質量部含むことを特徴とする(4)に記載の光学補償シート。
(8)偏光膜およびその両側に配置された二枚の透明保護膜からなる偏光板であって、透明保護膜の一方が、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物を含むポリマーフイルムからなる光学補償シートであり、光学補償シートの下記式(I)により定義されるReレターデーション値が0乃至70nmの範囲にあり、下記式(II)により定義されるRthレターデーション値が30乃至400nmの範囲にあり、ヘイズが2.0%以下であり、そして、光学補償シートが、その遅相軸の平均方向と偏光膜の透過軸とのなす角度の絶対値が3°以下になるように配置されていることを特徴とする偏光板:
(I) Re=(nx−ny)×d
(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
[式中、nxは、フイルム面内の遅相軸方向の屈折率であり;nyは、フイルム面内の進相軸方向の屈折率であり;nzは、フイルムの厚み方向の屈折率であり;そして、dは、フイルムの厚さである]。
(I) Re=(nx−ny)×d
(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
[式中、nxは、フイルム面内の遅相軸方向の屈折率であり;nyは、フイルム面内の進相軸方向の屈折率であり;nzは、フイルムの厚み方向の屈折率であり;そして、dは、フイルムの厚さである]。
(10)液晶セルが、VAモード、OCBモード、TNモードまたはn−ASMモードの液晶セルである(9)に記載の液晶表示装置。
(I) Re=(nx−ny)×d
(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
[式中、nxは、フイルム面内の遅相軸方向の屈折率であり;nyは、フイルム面内の進相軸方向の屈折率であり;nzは、フイルムの厚み方向の屈折率であり;そして、dは、フイルムの厚さである]。
(12)液晶セルが、VAモード、OCBモード、TNモードまたはn−ASMモードの液晶セルである(11)に記載の液晶表示装置。
このポリマーフイルムは、液晶セルを光学的に補償するために充分な光学的異方性を有している。従って、一枚のポリマーフイルムのみからなる光学補償シートが得られる。
ポリマーフイルムで高いレターデーション値を実現しようとすると、添加剤の添加量が増えるか、大きい延伸倍率が必要になりやすい。本発明で用いる添加剤の種類と量あるいは製造条件を調節することによって、透明性に優れたポリマーフイルムのみからなる光学補償シートが得られる。
偏光板の保護膜は、一般にセルロースアセテートフイルムからなる。上記のポリマーフイルムを偏光板の一方の保護膜として用いると、偏光板の構成要素の数を増加することなく、偏光板に光学補償機能を追加するができる。
また、本発明に用いるポリマーフイルムとしては、セルロースアセテートフイルムを用いることが好ましい。なお、酢化度が59.0未満のセルロースアセテートを使用すると、上記の光学的異方性を容易に達成できるが、耐久性が低下する。本発明では、酢化度が59.0乃至61.5%であるセルロースアセテートを使用し、他の手段(上記の添加剤や製造条件の調節)で上記のレターデーション値を達成することにより、光学的異方性と耐久性との双方が優れたセルロースアセテートフイルムを得ている。
上記のポリマーフイルムのみからなる光学補償シートおよび上記のポリマーフイルムを保護膜として用いた偏光板は、VA(Vertically Aligned)型またはTN(Twisted Nematic)型の液晶表示装置に、特に有利に用いることができる。
フイルムのReレターデーション値およびRthレターデーション値は、それぞれ、下記式(I)および(II)で定義される。
(I) Re=(nx−ny)×d
(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
式(I)および(II)において、nxは、フイルム面内の遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)の屈折率である。
式(I)および(II)において、nyは、フイルム面内の進相軸方向(屈折率が最小となる方向)の屈折率である。
式(II)において、nzは、フイルムの厚み方向の屈折率である。
式(I)および(II)において、dは、単位をnmとするフイルムの厚さである。
また、ポリマーフイルムのReレターデーション値を20乃至70nmに、そして、Rthレターデーション値を70乃至400nmに調節することがさらに好ましい。
液晶表示装置に二枚の光学的異方性ポリマーフイルムを使用する場合、フイルムのRthレターデーション値は70乃至200nmであることが好ましい。
液晶表示装置に一枚の光学的異方性ポリマーフイルムを使用する場合、フイルムのRthレターデーション値は150乃至400nmであることが好ましい。
なお、ポリマーフイルムの複屈折率(Δn:nx−ny)は、0.00025乃至0.00088であることが好ましい。また、ポリマーフイルムの厚み方向の複屈折率{(nx+ny)/2−nz}は、0.00088乃至0.005であることが好ましい。
光学補償シートのヘイズは下記の式にしたがって算出される。
ヘイズ(H)=拡散透過率(D)/全光線透過率(T)×100(%)
ヘイズは2.0%以下が好ましく、1.0%以下が好ましく、0.6%以下が最も好ましい。また、ポリマーフイルムのヘイズは、0.2%以上であるのが一般的である。
光学補償シートが高いレターデーション値を有していても、ヘイズ値が大きいと光学補償シートの透明性が低く、液晶表示装置の表示輝度が充分には得られず好ましくない。
詳細は後述するが本発明においては、光学補償シートに必要とされる高いレターデーション値を、レターデーション上昇剤の添加、ポリマーフイルムの延伸処理などにより実現している。さらに、光学補償シートに用いるポリマー材料の重合度、レターデーション上昇剤の種類と添加量、そして、ポリマーフイルムの延伸処理条件などを調整することにより、ヘイズ値の小さい光学補償シートを得ている。これにより透明度が高く(ヘイズ値の小さい)かつ高いレターデーション値を有する光学補償シートが得られる。
ポリマーフイルム面内における遅相軸の角度は、ロール状フイルムの幅方向を基準線(0°)とし、遅相軸と基準線のなす角度で定義する。時計回りを+とする。
遅相軸角度の平均値の絶対値は3°以下であることが好ましく、2°以下であることがさらに好ましく、1°以下であることが最も好ましい。遅相軸角度の平均値の方向を遅相軸の平均方向と定義する。
また、遅相軸角度の標準偏差は1.5°以下であることが好ましく、0.8°以下であることがさらに好ましく、0.4°以下であることが最も好ましい。
透過型液晶表示装置では、バックライトから発熱しており、しかも液晶セル面内で温度分布が生じる。この温度分布により光学補償シートの光学特性(レターデーション値、遅相軸の角度)が変化することが「額縁状の表示ムラ」の発生原因である。光学補償シートの光学特性の変化は、温度上昇による光学補償シートの膨張または収縮が液晶セルまたは偏光板との粘着により抑制されるために、光学補償シートに弾性変形が生じることに起因する。
上記のような「額縁状の表示ムラ」を抑制するには、光学補償シートに熱伝導率が高いポリマーフイルムを使用することが好ましい。熱伝導率が高いポリマーとしては、セルロースアセテート(0.22W/m・℃)、低密度ポリエチレン(0.34W/m・℃)、ABS(0.36W/m・℃)が好ましい。
本発明に用いるポリマーフイルムとしては、光透過率が80%以上であるポリマーフイルムを用いることが好ましい。ポリマーフイルムを形成するポリマーの例としては、セルロース系ポリマー、商品名アートン(JSR(株)製)および商品名ゼオネックス(日本ゼオン(株)製)などのノルボルネン系ポリマー、ポリメチルメタクリレート、低密度ポリエチレン、およびABSなどが挙げられる。セルロース系ポリマーとしては、セルロースエステルが好ましい。セルロースエステルとしては、セルロースアセテートが好ましく、その例としては、ジアセチルセルロースおよびトリアセチルセルロースなどが挙げられる。
また、ポリマーフイルムの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。また、ポリマーフイルムは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0乃至1.7であることが好ましく、1.3乃至1.65であることがさらに好ましく、1.4乃至1.6であることが最も好ましい。
酢化度とは、セルロース単位重量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。
フイルムの機械特性や製造安定性の改善、酢化度の調整のために2種類以上のセルロースアセテートを用いてもよい。2種類以上のセルロースアセテートを用いた場合にはヘイズが発生しやすく透明性を悪化させやすいことが知られている。本発明のようにヘイズを2.0%以下にするために、2種類以上のセルロースアセテートを用いる場合には、最も大きい平均重合度(P1)であるセルロースアセテートと、最も小さい平均重合度(P2)であるセルロースアセテートが1<P1/P2<3を満足する範囲で使用する。
ポリマーフイルムのレターデーションを調整するため、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物をレターデーション上昇剤として使用する。
ポリマーフイルムとしてセルロースアセテートフイルムを用いる場合、芳香族化合物は、セルロースアセテート100質量部に対して、0.01乃至20質量部の範囲で使用する。これよりも多いと溶解または相溶しにくくなり、ヘイズが発生し透明性が悪化する。芳香族化合物は、セルロースアセテート100質量部に対して、0.05乃至15質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1乃至10質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。
芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。
芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含まれる。
芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が好ましく、ベンゼン環および1,3,5−トリアジン環がさらに好ましい。
芳香族化合物は、少なくとも一つの1,3,5−トリアジン環を有することが特に好ましい。
二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合および(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれでもよい。
(b)の単結合は、二つの芳香族環の炭素原子間の結合であることが好ましい。二以上の単結合で二つの芳香族環を結合して、二つの芳香族環の間に脂肪族環または非芳香族性複素環を形成してもよい。
c1:−CO−O−
c2:−CO−NH−
c3:−アルキレン−O−
c4:−NH−CO−NH−
c5:−NH−CO−O−
c6:−O−CO−O−
c7:−O−アルキレン−O−
c8:−CO−アルケニレン−
c9:−CO−アルケニレン−NH−
c10:−CO−アルケニレン−O−
c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−
c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−O−
c13:−O−CO−アルキレン−CO−O−
c14:−NH−CO−アルケニレン−
c15:−O−CO−アルケニレン−
置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、ニトロ、スルホ、カルバモイル、スルファモイル、ウレイド、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基および非芳香族性複素環基が含まれる。
アルケニル基の炭素原子数は、2乃至8であることが好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。アルケニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルケニル基の例には、ビニル、アリルおよび1−ヘキセニルが含まれる。
アルキニル基の炭素原子数は、2乃至8であることが好ましい。環状アルキケニル基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が特に好ましい。アルキニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルキニル基の例には、エチニル、1−ブチニルおよび1−ヘキシニルが含まれる。
脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセトキシが含まれる。
アルコキシ基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。アルコキシ基は、さらに置換基(例、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコキシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキシ、エトキシ、ブトキシおよびメトキシエトキシが含まれる。
アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが含まれる。
アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノおよびエトキシカルボニルアミノが含まれる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタンスルホニルおよびエタンスルホニルが含まれる。
脂肪族アミド基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミドが含まれる。
脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミドおよびn−オクタンスルホンアミドが含まれる。
脂肪族置換アミノ基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミノ、ジエチルアミノおよび2−カルボキシエチルアミノが含まれる。
脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。脂肪族置換カルバモイル基の例には、メチルカルバモイルおよびジエチルカルバモイルが含まれる。
脂肪族置換スルファモイル基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。脂肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモイルおよびジエチルスルファモイルが含まれる。
脂肪族置換ウレイド基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウレイドが含まれる。
非芳香族性複素環基の例には、ピペリジノおよびモルホリノが含まれる。
レターデーション上昇剤の分子量は、300乃至800であることが好ましい。
添加量を出来るだけ少なくし、ヘイズの発生を抑えるためには、複屈折率(Δn:nx−ny)が大きい素材が好ましい。具体的にはトリフェニレン環やトリアジン環に芳香環が多く結合したレターデーション上昇剤が好適に用いられる。
ソルベントキャスト法によりポリマーフイルムを製造することが好ましい。ソルベントキャスト法では、ポリマー材料を有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフイルムを製造する。ドープには、前記のレターデーション上昇剤を添加することが好ましい。
本発明のポリマーフイルムの製造を、セルロースアセテートを例に具体的に説明する。
有機溶媒は、炭素原子数が3乃至12のエーテル、炭素原子数が3乃至12のケトン、炭素原子数が3乃至12のエステルおよび炭素原子数が1乃至6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。
エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
炭素原子数が3乃至12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
炭素原子数が3乃至12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。
ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25乃至75モル%であることが好ましく、30乃至70モル%であることがより好ましく、35乃至65モル%であることがさらに好ましく、40乃至60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。
二種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
セルロースアセテートの量は、得られる溶液中に10乃至40質量%含まれるように調整する。セルロースアセテートの量は、10乃至30質量%であることがさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
溶液は、常温(0乃至40℃)でセルロースアセテートと有機溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、セルロースアセテートと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60乃至200℃であり、さらに好ましくは80乃至110℃である。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
冷却溶解法では最初に、室温で有機溶媒中にセルロースアセテートを撹拌しながら徐々に添加する。
セルロースアセテートの量は、この混合物中に10乃至40質量%含まれるように調整することが好ましい。セルロースアセテートの量は、10乃至30質量%であることがさらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
冷却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。
加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。
以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
なお、セルロースアセテート(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、33℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10℃程度の温度で保存する必要がある。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18乃至35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。
ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフイルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
可塑剤の添加量は、セルロースエステルの量の0.1乃至25質量%であることが好ましく、1乃至20質量%であることがさらに好ましく、3乃至15質量%であることが最も好ましい。
ポリマーフイルムは、さらに延伸処理によりレターデーションを調整することができる。しかしながら、延伸倍率が大きすぎると結晶化やクレーズ、ボイドが発生して白化し透明性が悪化する。延伸するポリマーフイルムは、ドープ溶液に用いられる溶媒を含有していても良い。ポリマーフイルムの延伸は、一般的な公知な方法でおこなうことができる。
セルロースアセテートフイルムを用いる場合、延伸倍率は3乃至100%が好ましく、3乃至70%がさらに好ましく、3乃至40%であることが最も好ましい。セルロースアセテートフイルムの厚さは、40乃至140μmであることが好ましく、70乃至120μmであることがさらに好ましい。
ポリマーフイルムを偏光板の透明保護膜として使用する場合、ポリマーフイルムを表面処理することが好ましい。
表面処理としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理または紫外線照射処理を実施する。酸処理またはアルカリ処理、すなわちポリマーフイルムに対するケン化処理を実施することが特に好ましい。
偏光板は、偏光膜およびその両側に配置された二枚の透明保護膜からなる。一方の保護膜として、上記のポリマーフイルムを用いることができる。他方の保護膜は、通常のセルロースアセテートフイルムを用いてもよい。
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フイルムを用いて製造する。
ポリマーフイルムの遅相軸の平均方向と偏光膜の透過軸のなす角度は3°以下になるように配置することが好ましく、2°以下になるように配置することがさらに好ましく、1°以下になるように配置することが最も好ましい。
上記のポリマーフイルムからなる光学補償シート、または上記のポリマーフイルムを用いた偏光板は、液晶表示装置、特に透過型液晶表示装置に有利に用いられる。
透過型液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板からなる。液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。
光学補償シートは、液晶セルと一方の偏光板との間に、一枚配置するか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置する。
偏光板では、液晶セルと偏光膜との間に配置される透明保護膜として、上記のポリマーフイルムを用いる。
一方の偏光板の(液晶セルと偏光膜との間の)透明保護膜のみ上記のポリマーフイルムを用いるか、あるいは双方の偏光板の(液晶セルと偏光膜との間の)二枚の透明保護膜に、上記のポリマーフイルムを用いる。
前者の場合、ポリマーフイルムの遅相軸の平均方向とポリマーフイルムに隣接する偏光膜の透過軸とのなす角度の絶対値が3℃以下となるようにポリマーフイルムを配置することが好ましい。
後者の場合、一方のポリマーフイルムの遅相軸の平均方向が、ポリマーフイルムに隣接する偏光膜の透過軸とのなす角度の絶対値と、他方のポリマーフイルムの遅相軸の平均方向が、ポリマーフイルムに隣接する偏光膜の透過軸となす角度の絶対値と、の和が3℃以下となるように二枚のポリマーフイルムを配置することが好ましい。
液晶セルは、VAモード、OCBモードまたはTNモードであることが好ましい。
円盤状化合物は、一般に大きな複屈折率を有する。また、円盤状化合物には、多様な配向形態がある。従って、円盤状化合物を用いることで、従来の延伸複屈折フイルムでは得ることができない光学的性質を有する光学補償シートを製造することができる。円盤状化合物を用いた光学補償シートについては、特開平6−214116号公報、米国特許5583679号、同5646703号、西独特許公報3911620A1号の各明細書に記載がある。
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
作製した光学補償シートについて、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長550nmにおけるReレターデーション値およびRthレターデーション値を測定した。また、自動複屈折計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株))で軸ずれ角度を測定した。各々の測定は幅方向10点で行い、平均値を求めた。遅相軸角度については標準偏差も求めた。
(ヘイズの測定)
作製したポリマーフイルム(位相差板)について、ヘイズ計(NDH1001−DP、日本電色工業(株)製)を用いて、ヘイズを測定した。ヘイズは任意の5点の測定値の平均値を採用した。
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
セルロースアセテート溶液組成
────────────────────────────────────
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 336質量部
メタノール(第2溶媒) 30質量部
────────────────────────────────────
セルロースアセテート溶液474質量部にレターデーション上昇剤溶液25質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。レターデーション上昇剤の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、3.5質量部であった。
作製したセルロースアセテートフイルム(光学補償シート)について、光学特性およびヘイズを測定した。結果は第1表に示す。
実施例1で得られたドープを、バンド流延機を用いて流延した。残留溶剤量が15質量%のフイルムを、130℃の条件で、テンターを用いて25%の延伸倍率で横延伸し、延伸後の幅のまま50℃で15秒間保持した後クリップを外してセルロースアセテートフイルムTAC−2(厚さ:80μm)を製造した。
作製したセルロースアセテートフイルム(光学補償シート)について、光学特性およびヘイズを測定した。結果は第1表に示す。
セルロースアセテート溶液474質量部にレターデーション上昇剤溶液56質量部を混合してドープを調製し(セルロースアセテート100質量部に対して、レターデーション上昇剤7.8質量部を使用し)、延伸倍率を14%に変更した以外は、実施例1と同様にセルロースアセテートフイルムTAC−3(光学補償シート)を作製して光学特性およびヘイズを測定した。結果は第1表に示す。
実施例1で得られたドープを用い、延伸倍率を40%に変更した以外は、実施例2と同様にセルロースアセテートフイルムTAC−4(光学補償シート)を作製して光学特性およびヘイズを測定した。結果は第1表に示す。
実施例1で得られたドープを用い、バンド流延機を用いて流延した。残留溶剤量が15質量%のフイルムを、170℃の条件で、テンターを用いて120%の延伸倍率で横延伸し、延伸後の幅のまま130℃で15秒間保持した後クリップを外してTAC−5セルロースアセテートフイルム(厚さ:80μm)を製造した。
作製したセルロースアセテートフイルム(光学補償シート)について、光学特性およびヘイズを測定した。結果は第1表に示す。
実施例1で得られたドープを、バンド流延機を用いて流延した。残留溶剤量が15質量%のフイルムを、130℃の条件で、テンターを用いて25%の延伸倍率で横延伸し、延伸直後に130℃下でクリップを外してセルロースアセテートフイルムTAC−6(厚さ:80μm)を製造した。
作製したセルロースアセテートフイルム(光学補償シート)について、ヘイズを測定した。結果は第1表に示す。
────────────────────────────────────
フイルム Re Rth 遅相軸角度 標準偏差 ヘイズ
────────────────────────────────────
実施例1 40nm 130nm 0.5° 0.3° 0.3
実施例2 39nm 132nm 0.3° 0.5° 0.3
実施例3 50nm 240nm 1.0° 0.4° 0.4
実施例4 51nm 137nm 0.4° 0.9° 0.9
比較例1 − − 1.0° 2.0° 8.5
比較例2 51nm 149nm 4.2° 2.5° 4.0
────────────────────────────────────
延伸したポリビニルアルコールフイルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。実施例1で作製したセルロースアセテートフイルムTAC−1をケン化処理し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の片側に貼り付けた。TAC−1と偏光膜の長手方向が平行になる様に貼り付けた。TAC−1の遅相軸の平均方向と偏光膜の透過軸のなす角度は0.5°であった。
市販のセルローストリアセテートフイルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)をケン化処理し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の反対側に貼り付けた。このようにして偏光板を作製した。
実施例2で作製したセルロースアセテートフイルムを用いた以外は、実施例5と同様にして、偏光板を作製した。TAC−2の遅相軸の平均方向と偏光膜の透過軸のなす角度は0.3°であった。
実施例3で作製したセルロースアセテートフイルムを用いた以外は、実施例5と同様にして、偏光板を作製した。TAC−3の遅相軸の平均方向と偏光膜の透過軸のなす角度は1.0°であった。
実施例4で作製したセルロースアセテートフイルムを用いた以外は、実施例5と同様にして、偏光板を作製した。TAC−4の遅相軸の平均方向と偏光膜の透過軸のなす角度は0.4°であった。
比較例2で作製したセルロースアセテートフイルムを用いた以外は、実施例5と同様にして、偏光板を作製した。TAC−5の遅相軸の平均方向と偏光膜の透過軸のなす角度は3.9°であった。
垂直配向型液晶セルを使用した液晶表示装置(VL−1530S、富士通(株)製)に設けられている一対の偏光板および一対の光学補償シートを剥がし、代わりに実施例5で作製した偏光板を、実施例1で作製したセルロースアセテートフイルムが液晶セル側となるように粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。
作製した液晶表示装置について、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、パネル面内の10箇所でコントラスト比を測定した。結果を第2表に示す。
垂直配向型液晶セルを使用した液晶表示装置(VL−1530S、富士通(株)製)に設けられている一対の偏光板および一対の光学補償シートを剥がし、代わりに実施例6で作製した偏光板を、実施例2で作製したセルロースアセテートフイルムが液晶セル側となるように粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。
作製した液晶表示装置について、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、パネル面内の10箇所でコントラスト比を測定した。結果を第2表に示す。
垂直配向型液晶セルを使用した液晶表示装置(VL−1530S、富士通(株)製)に設けられている一対の偏光板および一対の光学補償シートを剥がし、代わりに実施例7で作製した偏光板を、実施例3で作製したセルロースアセテートフイルムが液晶セル側となるように粘着剤を介して一枚、観察者側に貼り付けた。また、バックライト側には、市販の偏光板(HLC2−5618HCS、(株)サンリッツ製)を一枚貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。
作製した液晶表示装置について、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、パネル面内の10箇所でコントラスト比を測定した。結果を第2表に示す。
垂直配向型液晶セルを使用した液晶表示装置(VL−1530S、富士通(株)製)に設けられている一対の偏光板および一対の光学補償シートを剥がし、代わりに比較例3で作製した偏光板を、比較例2で作製したセルロースアセテートフイルムが液晶セル側となるように粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。
作製した液晶表示装置について、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、パネル面内の10箇所でコントラスト比を測定した。結果を第2表に示す。
────────────────────────────────────
液晶表示装置 正面コントラスト比 視野角/°
最大値 最小値 最大 最小
────────────────────────────────────
実施例9 400 328 >160 150
実施例10 388 291 >160 140
実施例11 384 328 >160 152
比較例4 412 40 >160 30
────────────────────────────────────
TN型液晶セルを使用した液晶表示装置(6E−A3、シャープ(株)製)に設けられている一対の偏光板を剥がし、代わりに実施例5で作製した偏光板を、実施例1で作製したセルロースアセテートフイルムが液晶セル側となるように粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸と、バックライト側の偏光板の透過軸とは直交であり、Oモードとなるように配置した。
作製した液晶表示装置について、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、パネル面内の10箇所でコントラスト比を測定した。結果を第3表に示す。
TN型液晶セルを使用した液晶表示装置(6E−A3、シャープ(株)製)に設けられている一対の偏光板を剥がし、代わりに実施例6で作製した偏光板を、実施例2で作製したセルロースアセテートフイルムが液晶セル側となるように粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸と、バックライト側の偏光板の透過軸とは直交であり、Oモードとなるように配置した。
作製した液晶表示装置について、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、パネル面内の10箇所でコントラスト比を測定した。結果を第3表に示す。
TN型液晶セルを使用した液晶表示装置(6E−A3、シャープ(株)製)に設けられている一対の偏光板を剥がし、代わりに比較例3で作製した偏光板を、比較例2で作製したセルロースアセテートフイルムが液晶セル側となるように粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸と、バックライト側の偏光板の透過軸とは直交であり、Oモードとなるように配置した。
作製した液晶表示装置について、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、パネル面内の10箇所でコントラスト比を測定した。結果を第3表に示す。
────────────────────────────────────
液晶表示装置 正面コントラスト比 視野角/°
最大値 最小値 最大 最小
────────────────────────────────────
実施例12 227 122 160 110
実施例13 214 112 160 100
比較例5 149 23 140 30
────────────────────────────────────
Claims (1)
- 少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物を含むポリマーフイルムからなり、下記式(I)により定義されるReレターデーション値が0乃至70nmの範囲にあり、下記式(II)により定義されるRthレターデーション値が30乃至400nmの範囲にあり、そしてヘイズが2.0%以下であることを特徴とする光学補償シート:
(I) Re=(nx−ny)×d
(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
[式中、nxは、フイルム面内の遅相軸方向の屈折率であり;nyは、フイルム面内の進相軸方向の屈折率であり;nzは、フイルムの厚み方向の屈折率であり;そして、dは、フイルムの厚さである]。
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