JP2009139407A - 電子写真用転写紙およびこれを用いた画像形成方法 - Google Patents

電子写真用転写紙およびこれを用いた画像形成方法 Download PDF

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清 細井
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Abstract

【課題】カールがより発生し易い条件下においても確実にカールの発生を抑制できると共に、画像形成装置内での用紙の搬送性にも優れた電子写真用転写紙を提供すること。
【解決手段】パルプ繊維を含み、王研式平滑度が20秒以上200秒以下の範囲内であり、CD方向における用紙の表面および裏面の伸縮率の差が−0.007%/%以上0.007%/%以下であり、且つ、CD方向における用紙の粘弾性特性が下式(1)および下式(2)を満たすことを特徴とする電子写真用転写紙。
・式(1) 750≦E≦1500
・式(2) 7500≦μ≦300000
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成等に利用される電子写真用転写紙およびこれを用いた画像形成方法に関するものである。
従来から、電子写真方式(電子写真記録方式)の複写機やプリンタなどで定着した後に用紙がカールし、コピー時の紙詰まりや、ミスステッチ等の後処理装置の収容性の不良等の問題が発生することがあった。特に最近の複写機やプリンタでは、小型化、自動両面コピー、自動製本等といった多機能化に伴って、装置の構成や用紙の搬送機構が複雑化したり、熱定着ロールの直径もより小さくなりつつある。このため、従来の技術では熱定着後に、用紙のカールが大きくなり、用紙の端部が装置内の部材と接触して紙詰まり等が発生し易かった。それゆえ、従来より、電子写真方式でのカールを低減するべく様々な検討がなされてきた。
例えば、転写用紙表裏の紙層の特性差に着目し、用紙の表裏の伸縮率差を制御する方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、電子写真方式の複写機やプリンタでは、トナー像を熱定着する際に、強い圧力で加圧された用紙が変形させられることがカールの原因になることがある。それゆえ、用紙の強度は大きいこと好ましい。それゆえ、用紙の強度に着目し、繊維配向比を調整することで、CD方向の弾性強度を補強する方法が提案されている(特許文献2参照)。また、この他にも、カールを低減するために、繊維間結合力を調整することで、高速引張弾性率を所望の範囲に調整する方法も提案されている(特許文献3参照)。
特許第2811642号 特許第3833272号 特開平8−262781号公報
上述した従来技術は、定着後のカールの発生を抑制する上では有効な技術である。しかし、上述した従来技術について本発明者らが更に鋭意検討したところ、より小型の複写機やプリンタなどのように、定着に際して用紙の片面側により熱の加わる画像形成装置で画像を形成する場合や、高温高湿環境下で画像を形成する場合には、定着後に大きなカールが発生し、結果として紙詰まりなどが発生してしまうことがあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、カールがより発生し易い条件下においても確実にカールの発生を抑制できると共に、画像形成装置内での用紙の搬送性にも優れた電子写真用転写紙およびこれを用いた画像形成方法を提供することを課題とする。
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、
請求項1に係わる発明は、
パルプ繊維を含み、王研式平滑度が20秒以上200秒以下の範囲内であり、CD方向における用紙の表面および裏面の伸縮率の差が−0.007%/%以上0.007%/%以下であり、且つ、CD方向における用紙の粘弾性特性が下式(1)および下式(2)を満たすことを特徴とする電子写真用転写紙である。
・式(1) 750≦E≦1500
・式(2) 7500≦μ≦300000
〔ここで、式(1)(2)中、Eは用紙の弾性係数(MPa)、μは用紙の粘性係数(MPa・s)を表し、以下の手順で求めた値を意味する。
まず、温度23℃・湿度50%RH環境下にて16時間以上調湿された用紙をCD方向が長手方向となるように切り出した長さ30mm、幅4mmの短冊状用紙を準備する。次に、前記短冊状用紙に対して、そのCD方向20mmの領域に、CD方向に対して0.0025N/mの引張応力を加え続けながら、温湿度が50℃・65%RHとなるように調整する。この状態で1分間当たりの寸法変化量が1μm以下となった後に、更に、引張応力を、単位時間当たりの応力変化量が15N/sの割合で1.47N/mmまで加える第1の引張処理を実施した後、単位時間当たりの応力変化量が−15N/sの割合で0.0025N/mmまで減少させる第2の引張処理を実施し、続いて、0025N/mmで3秒間保持する第3の引張処理を実施した時の前記短冊状用紙の歪量を時間に対して測定する。
そして、この測定時のある時間に対する引張応力および歪量を、弾性係数Eを有するバネと粘性係数μを有するダッシュポットとを直列に結合した粘弾性体を、並列に2つ結合したマクスウェル粘弾性モデルを表す下式(3)〜(5)に代入して、前記弾性係数E2および前記粘性係数σ2を求める。〕
・式(3) σ=σ+σ
・式(4) ε=ε=ε
・式(5) ε=σ/E+(σ/μ)×t=σ/E+(σ/μ)×t
〔ここで、式(3)〜(5)中、tは時間(s)、σは時間tにおける引張応力(N/mm)、εは時間tにおける歪量(%)、Eは前記マクスウェル粘弾性モデルを構成する一方の粘弾性体のバネ部の弾性係数(MPa)、Eは前記マクスウェル粘弾性モデルを構成する他方の粘弾性体のバネ部の弾性係数(MPa)、σは前記マクスウェル粘弾性モデルを構成する一方の粘弾性体のダッシュポット部の粘性係数(MPa・s)、σは前記マクスウェル粘弾性モデルを構成する他方の粘弾性体のダッシュポット部の粘性係数(MPa・s)εは前記マクスウェル粘弾性モデルを構成する一方の粘弾性体のバネ部の歪量(%)、εは前記マクスウェル粘弾性モデルを構成する他方の粘弾性体のバネ部の歪量(%)を表す。
但し、式(5)中、時間tは、前記第1の引張処理の開始時を0sとした時の経過時間であり、前記開示時からの前記第2の引張処理終了時までの間において選択される値を意味し、E、E、μ、μは、時定数τ(=μ/E)<時定数τ(=μ/E)なる関係を満たす。〕
請求項2に係わる発明は、
静電潜像保持体表面を帯電する帯電工程と、帯電された前記静電潜像保持体表面を露光して静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像保持体表面に現像剤を付与して前記静電潜像を現像することによりトナー像を形成するトナー像形成工程と、前記トナー像を記録用紙の表面に転写する転写工程と、表面に前記トナー像が転写された前記記録用紙を加熱加圧しながら定着する定着工程と含み、
前記記録用紙が請求項1に記載の電子写真用転写紙であることを特徴とする画像形成方法である。
以上に説明したように請求項1に記載の発明によれば、カールがより発生し易い条件下においても確実にカールの発生を抑制できると共に、画像形成装置内での用紙の搬送性にも優れた電子写真用転写紙を提供することができる。
請求項2に記載の発明によれば、カールがより発生し易い条件下においても確実にカールの発生を抑制できると共に、画像形成装置内での用紙の搬送性にも優れた画像形成方法を提供することができる。
<従来技術におけるカールの発生について>
本発明者らは、本発明を検討するにあたり、まず、従来技術における問題点について鋭意検討した。まず、特許文献1に示される技術のように、用紙表裏面の伸縮率の差を小さくしたとしても、用紙を高湿環境下で使用すると、用紙の片面側からより熱の加わる小型の画像形成装置では、カールが発生しやすくなる。それゆえ、カールの発生を抑制するためには、用紙表裏面の伸縮率の差以外も考慮する必要があると考えられる。
一方、電子写真方式の画像形成装置では、用紙表面に転写されたトナー像を定着する際に加熱加圧されるために用紙が変形させられる。そしてこの用紙の変形が、カールやこれに伴う紙詰まり発生の原因となることがある。従って、この問題を解決するには、用紙の強度は高い程好ましいといえる。
しかし、用紙の生産性を向上(製造速度を増加)させる場合、これに伴い用紙の繊維配向比が上昇する。このため、用紙のCD(Cross Direction)方向、つまり抄紙機の進行方向に対して垂直に交わる方向の強度がより低下してしまう。また、原料として古紙を用いた場合にも、用紙に含まれるパルプ繊維の強度が低下し、用紙のCD方向の強度が低下してしまう。
用紙のCD方向の強度低下を抑制するため、特許文献2に記載の従来技術では抄紙時の各種製造条件(繊維配向比)を調整している。この方法では、CD方向の強度低下をある程度抑制できる。しかし、高湿度下における用紙中の含水量の上昇に起因する急激な強度低下は勘案されていない。従って、カールが大きくなる高含水状態の用紙では、十分にカールを低減することはできない。
更に、特許文献2に示す従来技術では常温高湿状態での用紙の弾性率に着目してカールを抑制することを試みている。しかし、定着前後においては用紙は高温に加熱され、また、高温高湿環境下で画像を形成する場合には、定着直前の用紙は高い含水率を有している。それゆえ、常温高湿状態で用紙の弾性率は、高温高湿環境下で画像を形成(定着)される用紙の条件とはかけ離れている。
このため、本発明者らは、用紙の弾性特性とカールの発生具合との相関性をより高めるためには、高温高湿環境下に用紙が放置された状態で、定着が行われる状態を反映させたものであることが必要であると考えた。
これに加えて、特に小型の画像形成装置の場合、装置内を搬送される用紙が、一時的に大きな屈曲状態をとりつつ搬送され易い。このような用紙の大きな変形が起こる場合、用紙の粘性変形が発現する。このような粘性変形が起こると、定着後に変形が維持されたまま用紙が画像形成装置から排紙されるため、カールが発生することになる。それゆえ、本発明者らは、カールを抑制する上では、特許文献2,3に示す従来技術のように用紙の弾性率に着目しただけでは不十分であり、用紙の粘性変形にも着目すべきであると考えた。
本発明者らは、以上の知見に基づいて以下の本発明を見出した。
<電子写真用転写紙>
すなわち、本発明の電子写真用転写紙(以下、「記録用紙」と称す場合がある)は、パルプ繊維を含み、王研式平滑度が20秒以上200秒以下の範囲内であり、CD方向における用紙の表面および裏面の伸縮率の差が−0.007%/%以上0.007%/%以下であり、且つ、CD方向における用紙の粘弾性特性が下式(1)および下式(2)を満たすことを特徴とする。
・式(1) 750≦E≦1500
・式(2) 7500≦μ≦300000
−用紙の表面および裏面の伸縮率の差−
ここで、用紙の表面および裏面の伸縮率の差(伸縮率表裏差)は、以下の手順で求めた。
まず、図1に示すように、予め23℃50%RHの環境下にて十分に調湿された記録用紙100を抄紙する際の抄紙機の流れ方向(MD方向)が短手方向となり、MD方向と直交する方向(CD方向)が長手方向となるように、幅5mm,長さ80mmの短冊状用紙110を、記録用紙100から採取する。
次に、図2に示すように、短冊状用紙110の長手方向が水平方向に平行で、且つ、短冊状用紙110の短手方向が鉛直方向に平行となるように、短冊状用紙110の一方の端を、水平な台120の上に配置された用紙固定部材130に取り付ける。なお、この用紙固定部材130は、短冊状用紙110を両面から押圧して固定するものである。用紙固定部材130への短冊状用紙110の取り付けに際しては、短冊状用紙110の長手方向80mmのうち30mmの部分が用紙固定部材130に挟持されるように固定し、残りの50mmの部分は変形自由な状態にしておく。
続いて、短冊状用紙110の配置された環境(23℃50%RH)の湿度を変化させることにより、短冊状用紙110中の含水量を変化させる。これにより、短冊状用紙110にカールが発生する。
図3は、カールした状態の短冊状用紙110を示す概略模式図であり、図2に示される短冊状用紙110にカールが発生した後に上方から観察した状態を示したものである。ここで、図中の点線140で示される直線状のライン(以下、「基準線」と称す)は短冊状用紙110に全くカールが発生していない状態(すなわち、短冊状用紙110が長手方向に真っ直ぐ伸びている状態)を意味する。また、図中、基準線140と平行な方向をX軸方向、基準線と直交する方向をY軸方向としたとき、ΔXは、カールした状態の短冊状用紙110の固定されていない端部(非固定端150)から用紙固定部材130に最初に接触する部分(固定位置160)までの長さのうち、X軸成分の長さを意味し、ΔYは、カールした状態の短冊状用紙110の非固定端150から固定位置160までの長さのうち、Y軸成分の長さを意味する。
図3に例示したような状態でカールが発生したら、この時の短冊状用紙110のΔX、ΔYを測定する。
なお、ΔX、ΔYの測定に際しては、温度を23℃に維持したまま、湿度を、以下の湿度条件(1)〜(7)に示す順で変化させた。ここで、各湿度条件を維持した時間は3時間であり、湿度条件の切り替えに要する時間は40分である。
(1)50%RH
(2)85%RH
(3)25%RH
(4)85%RH
(5)25%RH
(6)80%RH
(7)25%RH
そして、湿度条件(6)での調湿が終了する直前、および、湿度条件(7)での調湿が終了する直前について、それぞれΔX、ΔYを測定し、下式(3)に基づいてそれぞれの湿度条件での短冊状用紙110のカール曲率k(mm−1)を求めた。
・式(3) k=2×△Y/(△X+△Y
一方、湿度条件(6)での調湿が終了する直前、および、湿度条件(7)での調湿が終了する直前における短冊状用紙110の含水率M(%)を求めるために、まず、カール測定用短冊状用紙とは別に用意した短冊状用紙を、カール測定用短冊状用紙と同じ手順で調湿処理してその全重量Wgを測定した。更に、カール測定用短冊状用紙について、ΔX、ΔYの測定が全て終了した後に絶乾重量Woを測定した。そして、下式(4)に基づいて、それぞれの湿度条件でカールした状態の短冊状用紙110の含水率Mを求めた。
・式(4) M={(Wg−Wo)/Wg}×100
ここで、湿度条件(6)での調湿が終了する直前のカール曲率k、含水率Mをそれぞれk80、M80とし、湿度条件(7)での調湿が終了する直前のカール曲率k、含水率Mをそれぞれk25、M25とし、これらの値から下式(5)により短冊状用紙の含水率が1%変化した場合の曲率変化Δk(mm−1・%−1)を求める。
・式(5) Δk=(k80−k25)/(M80−M25)
ここで、記録用紙がフェルト層とワイヤー層との2層から構成されていると仮定して、それぞれの層の水分が1%変化した場合の寸法変化率、即ちそれぞれの伸縮率をBf、Bwとすると伸縮率表裏差(Bf−Bw)〔%/%〕は、曲率変化Δkおよび記録用紙の厚みt(mm)を用いると、近似的に下式(6)で表される。
・式(6) (Bf−Bw)=−2t×Δk/3
以上に示す手順で求められた伸縮率表裏差は、−0.007%/%以上0.007%/%以下の範囲内であることが必要であるが、−0.004%/%以上0.004%/%以下の範囲内であることが好ましく、−0.003%/%以上0.003%/%以下の範囲内であることがより好ましい。
伸縮率表裏差が、−0.007%/%未満の場合、または、0.007%/%を超える場合には、記録用紙の表面と裏面との伸縮挙動が大きく異なってくるために、カールが発生する。
伸縮率表裏差を、上記範囲内に制御する方法としては、抄紙時の各種製造条件、例えば、ワイヤーパートをTwinWire方式、オントップ方式に変更し、用紙表裏の脱水を出来る限り均一化したり、初期脱水を緩やかにして原料中からの微細繊維の脱落を抑制したり、ドライヤパートでも乾燥が表裏で均一になるよう、初期乾燥を緩やかにし、用紙の表裏差を低減したりすることで、伸縮率表裏差を上記範囲内に制御することが出来る。
−弾性係数E、粘性係数μ
一方、式(1)(2)中に示す弾性係数E(MPa)、粘性係数μ(MPa・s)は、以下の手順で求めた値を意味する。
まず、温度23℃・湿度50%RH環境下にて16時間以上調湿された用紙をCD方向が長手方向となるように切り出した長さ30mm、幅4mmの短冊状用紙を準備する。次に、前記短冊状用紙に対して、そのCD方向20mmの領域に、CD方向に対して0.0025N/mの引張応力を加え続けながら、温湿度が50℃・65%RHとなるように調整する。この状態で1分間当たりの寸法変化量が1μm以下となった後に、更に、引張応力を、単位時間当たりの応力変化量が15N/sの割合で1.47N/mmまで加える第1の引張処理を実施した後、単位時間当たりの応力変化量が−15N/sの割合で0.0025N/mmまで減少させる第2の引張処理を実施し、続いて、0025N/mmで3秒間保持する第3の引張処理を実施した時の前記短冊状用紙の歪量を時間に対して測定する。
そして、この測定時のある時間に対する引張応力および歪量を、弾性係数Eを有するバネと粘性係数μを有するダッシュポットとを直列に結合した粘弾性体を、並列に2つ結合したマクスウェル粘弾性モデルを表す下式(7)〜(9)に代入して、前記弾性係数Eおよび前記粘性係数σを求める。
・式(7) σ=σ+σ
・式(8) ε=ε=ε
・式(9) ε=σ/E+(σ/μ)×t=σ/E+(σ/μ)×t
ここで、式(7)〜(9)中、tは時間(s)、σは時間tにおける引張応力(N/mm)、εは時間tにおける歪量(%)、Eは前記マクスウェル粘弾性モデルを構成する一方の粘弾性体のバネ部の弾性係数(MPa)、Eは前記マクスウェル粘弾性モデルを構成する他方の粘弾性体のバネ部の弾性係数(MPa)、σは前記マクスウェル粘弾性モデルを構成する一方の粘弾性体のダッシュポット部の粘性係数(MPa・s)、σは前記マクスウェル粘弾性モデルを構成する他方の粘弾性体のダッシュポット部の粘性係数(MPa・s)εは前記マクスウェル粘弾性モデルを構成する一方の粘弾性体のバネ部の歪量(%)、εは前記マクスウェル粘弾性モデルを構成する他方の粘弾性体のバネ部の歪量(%)を表す。
但し、式(9)中、時間tは、前記第1の引張処理の開始時を0sとした時の経過時間であり、前記開示時からの前記第2の引張処理終了時までの間において選択される値を意味し、E、E、μ、μは、時定数τ(=μ/E)<時定数τ(=μ/E)なる関係を満たす。
なお、参考までに、弾性係数E、粘性係数μの導出に際して適用したマクスウェル粘弾性モデルを図4に示す。ここで、図4中、200はマクスウェル粘弾性モデル、210は第1の粘弾性体、212はバネ、214はダッシュポット、220は第2の粘弾性体、222はバネ、224はダッシュポットを表す。
マクスウェル粘弾性モデル200は、2つの粘弾性体210、220が並列に結合された構成を有し、第1の粘弾性体210は、直列に結合されたバネ212とダッシュポット214とから構成され、第2の粘弾性体220は、直列に結合されたバネ222とダッシュポット224とから構成されている。ここで、バネ212、バネ222の弾性係数はぞれぞれE、Eとして示され、ダッシュポット214、ダッシュポット224の粘性係数はそれぞれμ、μとして示される。
ここで、マクスウェル粘弾性モデル200の両端(図中、A,Bで示される部位)を介して応力σを加えると、応力σが、第1の粘弾性体210と第2の粘弾性体220とに分散して伝達され、第1の粘弾性体210には応力σが加わり、第2の粘弾性体220には応力σが加わることになる(すなわち、σ=σ+σ)。
また、この時のマクスウェル粘弾性モデル200、第1の粘弾性体210と第2の粘弾性体220の歪量を、それぞれ、ε、ε、εとすると、これら3つの歪量は、ε=ε=εとなる。
なお、用紙の弾性係数Eや粘性係数μは、図4に示したマクスウェル粘弾性モデル200以外のマクスウェル粘弾性モデルを適用して求めることも可能である。しかし、図4に示すマクスウェル粘弾性モデル200は、他のマクスウェル粘弾性モデルと比べて、歪量ε(r)の実測値と、マクスウェル粘弾性モデル200を用いて計算した歪量ε(s)との乖離が最も小さい上に、歪量ε(r)と歪量ε(s)とはほぼ一致する。それゆえ、本発明では、経験則上、実測値との乖離が最も少なくなる図4に示すマクスウェル粘弾性モデル200を用いて用紙の弾性係数や粘性係数を算出している。
また、本発明では、用紙の弾性係数Eや粘性係数μとして、2つの粘弾性体210、220のうち、時定数τ(=μ/E)がより大きい値を示した側の値を採用している。
この理由は、2つの時定数τ、τ(但し、τ>τ)のうち、より大きい値を示す時定数τを採用した方が、経験則上、画像形成装置内において記録用紙が示す粘弾性挙動とより一致するためである。
なお、弾性係数E、粘性係数μを求める上で必要となる記録用紙の歪量εは、熱機械分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、EXSTAR6100 TMA/SS)を用いて測定した。
図5は、歪量εの測定に用いた熱機械分析装置(TMA)の概略模式図であり、測定時の状態を示したものである。図5中、1は熱機械分析装置、10は短冊状用紙、12は張力発生部、14は寸法検出部、16は加熱部、18はつかみ具、20は引張プローブ、22は加温加湿チャンバー、23は高湿空気供給口、24は高湿空気供給ユニット、25は測定ユニットを示す。
図5に示す熱機械分析装置1は、測定ユニット25と、高湿空気供給口23を介して測定ユニット25に接続された高湿空気供給ユニット24とから構成される。測定ユニット25の筐体内の中央部には、側壁部に高湿空気供給口23に接続された加温加湿チャンバー22と、加温加湿チャンバー22の略下側半分の外側面に沿って配置された加熱部16と、加温加湿チャンバー22の略上側半分の外側面に沿って配置された寸法検出部14とが設けられている。
また、加温加湿チャンバー22の上方には張力発生部12が配置され、張力発生部12の下方側には、下端が加温加湿チャンバー22の中央部近傍にまで達する引張プローブ20が取り付けられている。そして、測定に際しては、引張プローブ20の下端に取り付けられたつかみ具18と、加温加湿チャンバー22の底部に取り付けられたつかみ具18とにより、短冊状用紙10の両端を挟持して固定できるようになっている。
測定に際しては、まず、上述したように記録用紙から採取した短冊状用紙10の長手方向両端部を、2個のつかみ具18によって挟持する。この際、短冊状用紙10は、2個のつかみ具18の間隔が20mmとなるようにつかみ具によって挟持される。この状態で、短冊状用紙10を加温加湿チャンバー22内部にセットして、2つのつかみ具18および引張プローブ20と共に、加温加湿チャンバー22内に密閉する
この状態で、張力発生部12により短冊状用紙10に0.0025N/mmの引張応力をかけながら、加熱部16により加温加湿チャンバー22内を50℃まで昇温すると同時に、高湿空気供給ユニット24から高湿の空気を加温加湿チャンバー22内に供給して湿度を65%RHに調湿する。この状態で、短冊状用紙10の寸法変化を、寸法検出部14を利用してモニターし、短冊状用紙10の1分間あたりの寸法変化が1μm以下になるまで保持する。
そして、1分間あたりの寸法変化が1μm以下となったら、張力発生部12により、短冊状用紙10に対して、引張応力を、単位時間当たりの応力変化量が15N/sの割合で1.47N/mmとなるまで増加させた後、単位時間当たりの応力変化量が−15N/sの割合で0.0025N/mmとなるまで減少させ、最後に、0.0025N/mmで3s間維持した後、引張処理を停止する。
なお、歪量の測定に際して、短冊状用紙に対して加えられる引張応力の時間に対する変化を図6に、また、この時の歪量の時間に対する変化の一例を図7に示す。ここで、図6中、横軸は時間(s)、縦軸は引張応力(N/mm)、図7中、横軸は時間(s)、縦軸は歪量(%)である。なお、図7に示すグラフは、実測値と、図4に示すマクスウェル粘弾性モデル200に基づいて計算した計算値とを同時に示したものであるが、両者は全く乖離なく同一線上に位置しているため、一本の曲線として示されている。
以上に示す手順で求められた記録用紙の弾性係数Eは、750MPa以上1500MPa以下の範囲内であることが必要であり、1000MPa以上1400MPa以下の範囲内が好ましく、1100MPa以上1350MPa以下の範囲内がより好ましい。
が750MPa未満の場合には、記録用紙が容易に変形してしまうため、記録用紙が変形されやすいだけでなく、定着機での巻き付きが発生しやすい。また、Eが1500MPaを超えると、記録用紙のこわさが強すぎて、曲路を記録用紙が搬送される際、記録用紙が変形しにくいため、機内の部材に衝突し、紙詰まりが発生しやすい。
一方、粘性係数μは、7500MPa・s以上300000MPa・s以下の範囲内であることが必要であり、100000MPa・s以上280000MPa・s以下の範囲内が好ましく、140000MPa・s以上270000MPa・s以下の範囲内がより好ましい。
μが7500MPa未満であると、記録用紙が容易に変形してしまうため、カールが発生する。また、μが300000MPaを超えると、画像の形成が終了するまでに記録用紙に一旦大きな変形が発生すると、画像形成装置内において、記録用紙が搬送される過程で記録用紙が受ける屈曲変形や、定着時の加熱加圧などによって、一旦発生した変形を十分に緩和させることができないまま排紙されるため、この場合もカールが発生してしまう。
記録用紙の弾性係数Eや粘性係数μを制御する方法としては特に限定されないが、例えば、記録用紙の作製に際して、記録用紙を構成する材料分子間に形成される水素結合の代わりに他の種類の結合を導入する材料(非水素結合導入材料)を用いることが好ましい。この場合、非水素結合導入材料は、パルプ繊維を主成分として含む紙基材に内添してもよいし、材料を溶かした溶液を紙基材表面に塗布してもよい。
非水素結合導入材料としては、記録用紙の主成分であるパルプ繊維を構成するセルロース分子間を、水素結合以外の結合、例えば、共有結合、イオン結合、ファンデルワールス結合で補強できる材料;例えば、架橋剤、反応剤、接着剤、熱硬化材料、紫外線硬化材料、電子線硬化材料等を用いることができる。
ここで、架橋剤、反応剤、接着剤としては、具体的には、架橋能をもつ水溶性金属塩化合物、例えば、炭酸ジルコニウムアンモニウム、水溶性チタン化合物、エポキシ基を持つグリシジルエーテル、ポリアミドエポキシ樹脂、イソシアネート基を持つMDI(ジフエニルメタンジイソシアネート)やHMDI(ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート)等、アルデヒド類であるグリオキザール、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド化合物等が挙げられる。
架橋剤、反応剤、接着剤を用いて記録用紙を作製する場合には、記録用紙を加熱処理することにより、セルロース分子鎖間の反応が進んで三次元的な構造が形成され、この状態が維持されたまま硬化する。そして、一旦、硬化した後は、仮に再び加熱処理しても、三次元的な構造の変性が起こらない。このため、記録用紙の形態安定性を向上させると共に、強度をより高めることができる。
なお、架橋剤、反応剤、接着剤としては、上記に列挙した材料の中でも、塗工液として用いる場合に増粘しにくい等の使い易さや、色味、熱硬化温度、強度、安全性等の観点からHDMI、炭酸ジルコニウムアンモニウム、水溶性チタン化合物、ポリアミドエポキシ樹脂が好ましい。
また、熱硬化材料や、紫外線硬化材料、電子線硬化材料を用いた場合、電子写真方式の画像形成装置で定着する際に、高い含水状態の記録用紙に応力が与えられた場合でも、記録用紙に含まれるパルプ繊維間で熱硬化材料が強固な結合を形成する。このため、例え、高い含水状態の記録用紙であっても形態安定性が向上するため、カールが起こりにくくなる。
一方、従来用いられてきた水溶性の紙力増強剤の場合、高湿環境下では、パルプ繊維間に形成されている水素結合間に水分子が侵入することによって記録用紙の強度の著しい低下が発生するのは避けられなかった。しかし、熱硬化材料や、紫外線硬化材料、電子線硬化材料は、上述したような水に対する反応性・相互作用が小さいため、記録用紙の強度の低下も小さく、定着装置での定着部材への記録用紙の巻き付きの発生を抑制することも容易である。
これに加えて、紫外線硬化材料や電子線硬化材料では、これら硬化材料を溶解させる媒体として水等の水溶性溶媒が不要であり、硬化に際しては基本的に加熱処理も不要である。このため記録用紙の製造に際して、水溶性溶媒の使用や、加熱処理に伴い、記録用紙に余分な歪みが発生しにくいため、伸縮率表裏差をより0に近づける方向に制御することも容易である。このような観点からは、非水素結合導入材料としては、紫外線硬化材料や電子線硬化材料を用いることが最も好ましい。
ここで、熱硬化材料としては、記録用紙の永久歪を抑制して高い形態安定性が得られるものであれば特に限定されないが、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、キシレン樹脂、熱硬化性ポリウレタン、β1,3−グルカン、β1,3−グルカン誘導体、たんぱく質、カゼイン、天然リグニンのフェノ−ル誘導体、シェラック、セラック、ウルシオールなどが利用できる。
しかし、これらの材料の中でも、環境負荷、用紙再生時の離解性、色味、熱硬化温度、用紙強度上昇の観点から、熱硬化材料としては、β1,3−グルカン、セラック、シェラック、もしくはβ1,3−グルカン誘導体、セラック誘導体、シェラック誘導体の中から選択されることが好ましい。
また、紫外線硬化材料として、アクリル系紫外線硬化材料、熱硬化付与型紫外線硬化樹脂、紫外線硬化型エポキシ樹脂等が使用でき、電子線硬化材料として、アクリル系電子線硬化材料等が使用できる。なお、これらの材料の中でも、汎用性、透明性、光沢、用紙強度の向上の観点から、紫外線硬化材料としてはアクリル系紫外線硬化材料が好ましく、電子線硬化材料としてはアクリル系電子線硬化材料が好ましい。
記録用紙中に含まれる非水素結合導入材料は、非水素結合導入材料分子の反応性基の全てがセルロース分子と反応していることが好ましいが、反応性基の一部が未反応のまま残っていてもよい(すなわち、硬化反応がほぼ100%完了していなくてもよい)。
このような反応性基の反応度合い/硬化度合いの確認方法としては、熱分解ガスクロマトグラフィ(GC)−質量分析装置(MASS)によって、非水素結合導入材料によって反応した反応物由来の化合物と用紙の構成材料、例えばセルロースまたは酸化澱粉が結合した物質とを同定しても良いし、セルラーゼで用紙を分解した後、誘導体化しGC−MASSにて分離同定しても良い。
また赤外分光装置(IR)にて、用紙を粉砕し、シリカゲル等で脱湿させた後、KBr粉末とともによく混合し、錠剤形成器により錠剤化した後、赤外吸収スペクトルを測定し、非水素結合導入材料によって反応した反応材料と用紙構成材料、例えば反応材料にセルロースまたは酸化澱粉が結合した構造由来の吸収波長が存在していることを確認しても良い。また、用紙を良く脱湿したのち、ATR(全反射吸収法)法にて、赤外吸収スペクトルを測定してもよい。またアルカリ性の冷水または熱水で抽出した後、液体クロマトグラフィ(LC)、ガスクロマトグラフィ(GC)等で分離・同定しても良い。
記録用紙中に含有される非水素結合導入材料の単位面積当たりの含有量としては、0.1g/m以上15.0g/m以下であることが好ましく、0.5g/m以上5.0g/m以下であることがより好ましい。
含有量が15.0g/mを上回ると、記録用紙に含まれる非水素結合導入材料の絶対量が多いために、記録用紙を再生することが難しくなる場合がある。これに加えて、電気抵抗率が高くなりトナー像の転写不良が起きやすくなる場合もある。
一方、含有量が0.1g/mを下回ると、記録用紙に含まれる非水素結合導入材料の絶対量が少なくなるため、記録用紙の弾性係数Eや粘性係数μが十分に向上せず、カールが発生してしまう場合がある。
なお、記録用紙の粘性係数μは、上述した非水素結合導入材料の使用以外にも、記録用紙の製造に際して、CD方向に引張加工(クリープ加工)する方法を利用して制御することもできる。後者の方法により粘性係数μを制御する場合、粘性係数μと共に弾性係数Eも同時に増加させてしまう非水素結合導入材料を使用する場合と比べて、粘性係数μのみを単独で増加させることが極めて容易である。従って、時定数τのより大きな記録用紙を作製することができる。これは、同じ弾性係数Eを有する記録用紙でも、時定数τをより大きくできることを意味する。そして、結果として、時定数τがより大きい記録用紙では、画像形成装置内で屈曲等されることにより一定時間の間変形したとしても、このような変形の影響をより受けにくくなる。
なお、引張加工は、記録用紙を構成する紙基材が潤湿状態で形成された時点以降であれば任意のタイミングで実施することができ、その具体的な実施方法は特に限定されるものではないが、記録用紙が塑性変形しない範囲で実施することが必要である。
例えば、単純に記録用紙のCD方向に引張応力を加える方法や、記録用紙を構成する紙基材(潤湿状態の紙基材)の乾燥工程において、同時にCD方向に引張応力を加える方法、一連の製造工程を経て得られた帯状の記録用紙を巻き取る際に、CD方向に引張応力を加えながら巻き取る方法などが挙げられる。
図8は、記録用紙の引張加工の一例を示す概略模式図であり、図中、50が天井、52が用紙固定部、54が記録用紙、56が用紙固定部、58が錘、60が変位計測装置、62が床面を表す。
図8に示す例では、記録用紙54のCD方向が鉛直方向となるように、記録用紙54の上端部を天井50に固定された用紙固定部52で挟持すると共に、記録用紙54の下端部を、錘58が取り付けられた用紙固定部56で挟持することにより、記録用紙54のCD方向に対して引張応力を加える。
図8に示す態様で引張加工を行う場合、具体的には、記録用紙54を一定環境下で調湿処理した後に、記録用紙54に引張応力が加わらないように錘を取り付け、錘58を取り付けた後に、錘に起因する荷重を加えて、徐々に引張応力を加えるように実施することができる。この場合、錘58の下側で、床面62上に渦電流センサーなどの変位計測装置60を配置しておいて、記録用紙54の伸び変形を計測し、記録用紙54の変形速度が一定値以下になったら引張加工を中止させることができる。
−王研式平滑度−
王研式平滑度は、Japan TAPPI No.5で規定される方法により、王研式平滑度測定機(型名EY−5、旭精工株式会社製)を用いて測定した。
なお、王研式平滑度は20秒以上200秒以下の範囲内であることが必要であるが、20秒以上150秒以下の範囲内であることが好ましく、45秒以上100秒以下の範囲内であることがより好ましい。
王研式平滑度は20秒未満の場合には、感触が悪いだけでなく、摩擦係数が著しく上昇し、画像形成装置内で記録用紙が搬送される際に、摩擦力が大きくなり、紙詰まりや重送などの搬送トラブルが発生する。
一方、王研式平滑度が200秒を超えると、記録用紙表面の平滑性が著しく向上するために、画像形成装置内で記録用紙が搬送される際に、滑りやすくなり、紙詰まりや重送などの搬送トラブルが発生する。
なお、記録用紙の粘性係数μのみを、弾性係数Eとは別個独立して制御する場合、既述した引張加工以外にも、厚膜の塗工層を設ける方法も挙げられる。しかし、この方法では、塗工層の膜厚が厚いために、王研式平滑度が著しく大きなり、200秒を超えてしまう傾向にある。それゆえ、所定の範囲内に粘性係数μと王研式平滑度とを制御することが困難となる場合が多い。すなわち、上述したアプローチでは、カールは抑制できても、結果的に記録用紙の搬送性が悪化してしまい、カールの抑制と良好な搬送性との両立が困難となる。この意味では、記録用紙の粘性係数μを制御する方法としては、王研式平滑度等の他の諸物性との両立が容易な引張加工を採用することが好適といえる。
王研式平滑度を制御する方法としては、特に限定されるわけではないが、原料の構成を変更したり、プレス工程で低圧プレスをしたり、カレンダー工程でソフトカレンダー処理を実施するなどし、調整することが出来る。
記録用紙のCD伸縮率は0.70%以下が好ましく、特に0.30〜0.60%がより好ましい。CD伸縮率が0.70%を超える場合には、記録用紙の形態を安定化させる効果が小さくなるため、カールが発生しやすくなる場合がある。
なお、CD伸縮率(%)は以下のようにして求めた。
まず、記録用紙から、CD方向が長手方向となるように、長さが100mm、幅が50mmのサンプルを採取し、このサンプルを23℃、50%RH環境下に15時間以上調湿する。
この調湿後の記録用紙に対して、等比交換式伸縮計(王子エンジニアリング製)を使用し、坪量の半分の張力をかけながら、温度23℃の環境の下で図9に示す様に65%RH→25%RH→65%RH→90%RH→65%RHの吸脱湿処理を各1時間(湿度間変更時間20分)3回繰り返した後、3サイクル目最後の65%RHから25%RHに吸脱湿処理を行い、3サイクル目最後の65%RHにおける記録用紙の寸法と、3サイクル目最後の65%RHからさらに25%RHへと調湿した時のときの寸法(図9中に示す寸法変化率a)を測定し、下式(10)によって求めた。
・式(10) CD伸縮率(%)={a(mm)/100(mm)}×100
ここで、図9は、寸法変化率aの定義を説明するためのグラフであり、縦軸が寸法、横軸が相対湿度(%)の変化・サイクルの進行を表し、図9中の「●」印に沿って示す数字は相対湿度を表す。
記録用紙のCD伸縮率を0.70%以下の範囲に制御する方法としては特に限定されないが、例えば、使用するパルプの叩解を弱めた高濾水度パルプを原料に使用する方法、角質化したパルプを原料に使用する方法、坪量を高くする方法、乾燥紙力増強剤を添加する方法、紙厚を厚くする方法、記録用紙にサイズ剤・填料を内添する場合にその添加量等を最適化する方法、ウエットプレス圧を低減化する方法、繊維配向比を低減する方法等が挙げられる。なお、パルプの濾水度とは、カナダ標準濾水度のことでありJIS−P−8121に準じた測定法で測定された値である。
記録用紙の地合指数は10以上50以下が好ましく、15以上40以下がより好ましい。地合指数が10を下回ると地合むらから、電子写真方式で画像を形成する場合に、画像転写むらが発生しやすくなる場合がある。また地合指数が50を超えるとその均質性を確保するために、パルプの叩解を強くする必要があるため、結果としてカールが発生しやすくなってしまう場合がある。
ここで、地合指数とは、M/K Systems,Inc.(MKS社)製の3Dシートアナライザ(M/K950)を使い、そのアナライザの絞りを直径1.5mmとし、マイクロフォーメーションテスタ(MFT)を用いて測定したものである。すなわち、3Dシートアナライザにおける回転するドラム上にサンプルを取り付け、ドラム軸に取り付けられた光源と、ドラムの外側に光源と対応して取り付けられたフォトディテクタによって、サンプルにおける局部的な坪量差を光量差として測定する。
この時の測定対象範囲は、フォトディテクタの入光部に取り付けられる絞りの径で設定される。次にその光量差(偏差)を増幅し、A/D変換し、64の光測定的な坪量階級に分級し、1回のスキャンで1000000個のデータを取り、そのデータ分のヒストグラム度数を得る。そしてそのヒストグラムの最高度数(ピーク値)を64の微小坪量に相当する階級に分級されたもののうち100以上の度数を持つ階級の数で割り、それを1/100にした値が地合い指数として算出される。この地合い指数はその値が大きいほど地合いがよいことを示す。
記録用紙の表面抵抗率は1.0×10から1.0×1011Ω/□の範囲であることが好ましく、5.0×10から7.0×1010Ω/□の範囲であることがより好ましく、5.0×10から2.0×1010Ω/□の範囲であることがさらに好ましい。
また、記録用紙の体積電気抵抗率は1.0×1010から1.0×1012Ω・cmの範囲であることが好ましく、1.0×1010から1.6×1011Ω・cmの範囲であることがより好ましく、1.3×1010から4.3×1010Ω・cmの範囲であることがさらに好ましい。表面抵抗率や体積電気抵抗率が上記の範囲から外れる場合、電子写真方式により画像を形成した場合に転写むらが発生してしまう場合がある。
表面抵抗率及び体積抵抗率は、23℃50%RHの条件下に24時間保存し、調湿された記録用紙を、JIS−K−6911に準拠した方法で測定したものである。
なお、記録用紙の表面抵抗率や体積電気抵抗率は、記録用紙の表面に多価金属塩やカチオン性樹脂を含む塗工液を塗工したり、その塗工量を調整することによって所望の値に制御することができる。
記録用紙の坪量は特に限定されるものではないが、50g/m〜256g/mの範囲内が好ましく、60g/m〜209g/mの範囲内がより好ましく、60g/m〜157g/mの範囲内が更に好ましい。
なお、坪量が高い程、カールの抑制や、この他に記録用紙の波打ち抑制には有利である。しかし、坪量が256g/mを超えると定着時に、直接加熱される面とその反対側の面との温度差が大きくなるために、カールが発生しやすくなる場合がある。また坪量が50g/mより低いと、記録用紙の剛性が不十分となるために、容易にカールが発生しやすくなる上に、定着部材への巻き付きも発生しやすくなる場合がある。
記録用紙の繊維配向比は、1.1以上1.7以下が好ましく、1.1以上1.5以下がより好ましい。
繊維配向比が1.1未満の場合には、用紙が等方性に近くなり、カール軸が安定せず、機械によるカールを予測しにくく、カールが発生した場合、その後の制御が困難である場合がある。また、繊維配向比が1.7を超える場合には、異方性が増し、特にCD方向の強度が著しく低下してしまうことから、カールを矯正することが困難になる場合がある。
ここで、繊維配向比とは、超音波伝播速度法による繊維配向比であり、記録用紙のMD方向の超音波伝播速度を、記録用紙のCD方向の超音波伝播速度で除した値を示すもので、下式(11)で表されるものである。
・式(11) 記録用紙の超音波伝播速度法による繊維配向比(T/Y比)=MD方向超音波伝播速度/CD方向超音波伝播速度
なお、この超音波伝播速度法による繊維配向比はSonicSheetTester210(野村商事(株)社製)を使用して測定する。
本発明の記録用紙は、少なくともパルプ繊維を主成分として含むものである。また、記録用紙は、パルプ繊維を含む紙基材のみから構成されるものであってもよい。また、必要に応じて紙基材の表面に、顔料やバインダなどを含む塗工液を塗工したり、サイズプレスを施したり、あるいは、サイズプレスを施した後に顔料を含む塗工液を塗工してもよい。この場合、本発明の記録用紙を普通紙やコート紙として用いることができる。
パルプ繊維としては公知のものを用いることができ、具体的には、化学パルプ、具体的には広葉樹晒クラフトパルプ、広葉樹未晒クラフトパルプ、針葉樹晒クラフトパルプ、針葉樹未晒クラフトパルプ、広葉樹晒亜硫酸パルプ、広葉樹未晒亜硫酸パルプ、針葉樹晒亜硫酸パルプや、木材及び綿、麻、じん皮等の繊維原料を化学的に処理して作製されたパルプ等を使用できる。
また、木材やチップを機械的にパルプ化したグランドウッドパルプ、木材やチップに薬液を染み込ませた後に機械的にパルプ化したケミメカニカルパルプ、及び、サーモメカニカルパルプ等も使用できる。これらはバージンパルプのみで使用してもよいし、必要に応じて古紙パルプを加えてもよい。
特にバージンで使用するパルプは、塩素ガスを使用せず二酸化塩素を使用する漂白方法(Elementally Chlorine Free;ECF)や塩素化合物を一切使用せずにオゾン/過酸化水素等を主に使用して漂白する方法(Total Chlorine Free;TCF)で漂白処理されたものであることが好ましい。
また、古紙パルプの原料として、製本、印刷工場、断裁所等において発生する裁落、損紙、幅落しした上白、特白、中白、白損等の未印刷古紙;印刷やコピーが施された上質紙、上質コート紙などの上質印刷古紙;水性インク、油性インク、鉛筆などで筆記された古紙;印刷された上質紙、上質コート紙、中質紙、中質コート紙等のチラシを含む新聞古紙;中質紙、中質コート紙、更紙等の古紙;等を配合することができる。
なお、古紙パルプとしては、古紙原料を、オゾン漂白処理又は過酸化水素漂白処理の少なくとも一方で処理して得られたものが好ましい。また、古紙パルプを用いて、より白色度の高い紙基材を得るためには、上記漂白処理によって得られた古紙パルプの配合率を50質量%以上100質量%以下とすることが好ましい。さらに資源の再利用という観点からは、前記古紙パルプの配合率を70質量%以上100質量%以下とすることがより好ましい。
オゾン漂白処理は、上質紙に通常含まれている蛍光染料等を分解する作用があり、過酸化水素漂白処理は脱墨処理時に使用されるアルカリによる黄変を防ぐ。そして、特にこの二つを組み合わせた処理を実施すれば、古紙の脱墨を容易にするだけでなく、パルプの白色度も向上させることができる。加えて、パルプ繊維中の残留塩素化合物を分解・除去する作用もあるため、塩素漂白されたパルプを使用した古紙の有機ハロゲン化合物含有量低減において多大な効果を持つ。
また、紙基材には、不透明度、白さ及び表面性を調整するため、填料を添加することが好ましい。特に記録用紙中のハロゲン量を低減したい場合には、ハロゲンを含まない填料を使用することが好ましい。使用できる填料としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、焼成クレー、タルク、二酸化チタン、酸化亜鉛、珪酸アルミニウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、セリサイト、サポナイト、ベントナイト等の白色無機顔料、及びプラスチックピグメント、ポリエチレン、尿素樹脂、等の有機顔料を挙げることができる。なお、古紙を配合する場合には、古紙原料に含まれる灰分を予め推定して添加量を調整する必要がある。
更に、紙基材には、内添サイズ剤を添加することが好ましい。内添サイズ剤としては、中性抄紙に用いられる、中性ロジン系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸(ASA)、アルキルケテンダイマ(AKD)、石油樹脂系サイズ剤が使用できる。
また、紙基材の表面に、カチオン性物質を塗布して、記録用紙表面をカチオン性に調整することもできる。この場合、例えば、親水性のカチオン樹脂等を記録用紙表面に処理することができる。但し、このカチオン性樹脂の記録用紙内部への浸透を抑制するためには、このカチオン性樹脂を塗布する前の用紙サイズ度は10秒以上60秒未満であることが好ましい。
以上述べたような紙基材に、必要に応じて、表面サイズ液を塗工することもできる。表面サイズ液の塗工手段としては、サイズプレス、シムサイズ、ゲートロール、ロールコータ、バーコータ、エアナイフコータ、ロッドブレードコータ、ブレードコータ等の通常使用されている塗工手段が利用できる。表面サイズ液を塗工した後は、乾燥処理を行う。
表面サイズ液は、水などの溶媒成分と表面サイズ剤とを主体として構成される。表面サイズ液の固形分濃度は5質量%〜15質量%の範囲であることが好ましく、8質量%〜12質量%の範囲であることがより好ましい。
表面サイズ液の記録用紙の塗工量としては、0.1g/m〜3.0g/mの範囲であることが好ましく、1.0g/m〜2.0g/mの範囲であることがより好ましい。塗工量が3.0g/mを上回ると、表面サイズ剤の絶対量が多く、カール低減効果が阻害され、カールが発生しやすくなる場合がある。また、0.1g/mを下回ると、表面サイズ剤の絶対量が少なく、表面サイズ剤と一緒に付与する顔料などを用紙表面に定着できず、複写機等で記録用紙を走行させた際、紙粉が大量に発生し機械にトラブルを発生させてしまう場合がある。
表面サイズ剤としては、公知のものであれば特に限定されないが、例えば、通常使用される酸化澱粉や、この他に、澱粉を酵素で変性した澱粉(酵素変性澱粉)、疎水性を向上させたアセチル化澱粉、燐酸エステル化澱などを用いてもよい。
なお、従来使用されている酸化澱粉のように、表面サイズ剤が親水性のカルボキシル基を含む場合、表面サイズ剤の疎水性を向上させるという観点からは親水性のカルボキシル基を低減することが好ましい。この点では、従来使用されている酸化澱粉よりも、澱粉を酵素で変性した澱粉、アセチル化澱粉、シリコン化澱粉などが好ましい。また、ポリビニルアルコールのけん化度を極めて低くして疎水基を残すか、けん化度を極めて高くして結晶化度を向上させ、疎水性を向上させた表面サイズ剤も好ましく用いられる。
また、本発明の記録用紙は、電子写真方式以外の方法で画像を形成するために用いることもできるが、例えば、インクジェット方式で形成する画像の画質を向上させる目的で、表面サイズ剤としてポリビニルアルコールの重合度が低いものを使用しても良い。また更に、疎水性を向上させたシラノール変性した表面サイズ剤等を用いても良く、これらは混合して、または単独で使用しても良い。
<画像形成方法>
本発明の記録用紙は、電子写真方式やインクジェット方式などの公知の画像形成方法による画像形成に用いることができるが、画像の形成に際して、カールの発生を招きやすい加熱処理を受けたり、搬送時に用紙が屈曲されたりする方式での画像形成;特に電子写真方式での画像形成に用いることが好適である。
この場合、本発明の画像形成方法は、静電潜像保持体表面を帯電する帯電工程と、帯電された前記静電潜像保持体表面を露光して静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像保持体表面に現像剤を付与して前記静電潜像を現像することによりトナー像を形成するトナー像形成工程と、前記トナー像を記録用紙の表面に転写する転写工程と、表面に前記トナー像が転写された前記記録用紙を加熱加圧しながら定着する定着工程と含むものであることが好ましい。
なお、上記の工程以外にも必要に応じて、トナー像を記録用紙に転写した後の静電潜像保持体表面をクリーニングするクリーニング工程など、公知の工程が含まれていてもよい。また、転写工程は、トナー像を静電潜像保持体表面から記録用紙表面へと直接転写する方式であってもよいが、トナー像を静電潜像保持体表面から中間転写ベルト等の中間転写体表面に一次転写した後、さらに、中間転写体表面から記録用紙表面へと2次転写する中間転写方式であってもよい。
また、電子写真方式の画像形成に用いられる画像形成装置は、前記帯電工程、静電潜像形成工程、トナー像形成工程、転写工程及び定着工程を実施する機能を備えたものであれば特に限定されない。たとえば、シアン、マゼンタ、イエロー、および、ブラックの4色のトナーを用いる場合には、1つの静電潜像保持体に、各色のトナーを含む現像剤を順次付与してトナー像を形成する4サイクルの現像方式によるカラー画像形成装置や、各色毎に対応した現像ユニットを4つ備えたカラー画像形成装置(所謂タンデム機)等が利用できる。
また、本発明の記録用紙は、(1)定着時に記録用紙の片面側に熱が加わり易かったり、(2)装置内で記録用紙が搬送される過程で、大きく屈曲されたり、(3)装置内で搬送される記録用紙の搬送速度が低速度〜中速度であるために、記録用紙が搬送される過程で屈曲されている時間が長くなる傾向にある等、カールがより発生しやすい条件を備えた画像形成装置においても、カールの発生を抑制することが極めて容易である。
例えば、上記(1)の観点からは、小径の加熱ロールを備えた画像形成装置による画像の形成;すなわち、加熱源を内蔵したロール状の加熱部材(加熱ロール)と、当該加熱部材表面を押圧するように対向配置されたロール状又はベルト状の加圧部材とを有する定着機を備え、ロール状の加熱部材の直径が好ましくは20mm〜80mm、より好ましくは30mm〜70mmである画像形成装置による画像の形成に、本発明の記録用紙を用いることがより好適である。
また、上記(2)の観点からは、記録用紙の最大屈曲曲率が好ましくは50m−1以上、より好ましくは100m−1以上である記録用紙搬送経路を備えた画像形成装置による画像の形成に用いることがより好適である。なお、記録用紙搬送経路とは、記録用紙を画像形成装置内で貯蔵する給紙トレイ又は記録用紙を画像形成装置に直接供給する給紙口から、定着後の記録用紙が装置外へと排紙されるまでの経路を意味する。
さらに、上記(3)の観点からは、画像形成時のプロセススピードが好ましくは100mm/s〜600mm/s、より好ましくは200mm/s〜500mm/sである画像形成装置(画像形成速度が低速〜中速の画像形成装置)による画像の形成に用いることがより好適である。
なお、上記(1)、(2)、(3)に示す条件を2つまたは3つ以上同時に満たす画像形成装置としては、一般的には、小型の画像形成装置(容量が1m程度以下)が挙げられ、例えば、富士ゼロックス社製のDocuCentre−II C4300等が挙げられる。
また、画像形成に際して用いられるトナーも公知のものであれば特に限定されないが、例えば、高精度な画像が得られる点で、球状で、粒子径、粒度分布の小さいトナーを用いたり、省エネルギーに対応するために、低温定着が可能な融点の低い結着樹脂を含むトナーを用いたりすることができる。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<記録用紙の作製>
(実施例1)
−紙基材の作製−
濾水度380mLの中質脱墨パルプをパルプ固形分が0.3質量%になるようパルプ分散液を調整した。このパルプ分散液に、パルプ分散液中に含まれるパルプ固形分100質量部に対して、無水コハク酸(ASA)内添サイズ剤(日本エヌエスシー(株)製Fibran−81)0.3質量部と、カチオン化澱粉(日本エヌエスシー(株)製Cato−304)0.5質量部とを配合して、紙料スラリーを得た。
続いて、この紙料スラリーを用いて熊谷理機製実験用配向性抄紙機により、80メッシュワイヤーを用い、抄速750m/min、紙料吐出圧力1.5kg/cmの条件で抄紙して、潤湿状態の紙基材を得た。
その後、潤湿状態の紙基材を、熊谷理機製角型シートマシン用プレス機(25cm角プレス)により、10kgf/cmで3分間圧搾した後、両側から濾紙で挟んだ状態で、熊谷理機製KRK回転型乾燥機で120℃、0.5m/min条件で乾燥し、坪量67g/mの紙基材を得た。
−サイズプレス処理−
次に、バインダとして酸化澱粉(王子コーンスターチ株式会社製、エースA)の固形分100質量部に対して、10質量部のボウ硝と、10質量部の表面サイズ剤(荒川化学工業株式会社、ポリマロン1355)とを添加した、固形分8質量%の水溶液(表面サイズ液)を調整した。
その後、紙基材の両面に、塗工量が乾燥質量で1.0g/mになるように、熊谷理機製の試験用サイズプレス機(インクライン型)でサイズプレスした後、サイズプレス処理された紙基材の両側を濾紙で挟んだ状態で、熊谷理機製KRK回転型乾燥機(標準型)により120℃、0.33m/min条件で乾燥し、坪量68g/m、紙厚100μmの紙基材を得た。その後、この紙基材をCD方向が短手方向となるようにA4サイズ(210mm×297mm)に裁断した。
−クリープ加工−
次に、A4サイズに裁断した紙基材に対して、図8に例示する方法でCD方向のクリープ加工を行った。
具体的には、A4サイズに裁断した紙基材を、23℃50%RH環境下に16時間以上調湿した後、紙基材を図8に示すように取り付けた。なお、用紙固定部や錘の幅は、裁断された記録用紙のMD方向の長さと同じであり、幅方向において均等な引張応力が加わるようになっている。また、用いた錘はアルミ製(質量4455g)であり、全荷重が記録用紙に加わった時の引張応力は1.47N/mmとなる。
錘は、取り付けると同時に手で支えて紙基材に引張応力が加わらないようにした状態で、錘の下方に渦電流センサー(キーエンス社製、AH−416)を配置した。その後、ゆっくりと手で支えた錘を解放し、徐々に引張応力を紙基材に加えた。次に、紙基材の寸法変化量を渦電流センサーでモニターし、1秒当たりの寸法変化量(寸法変化速度)が、1μm/s以下となった時点で、錘を取り外して、クリープ加工を終了した。
−樹脂層の形成−
次に、クリープ加工を終えた紙基材の両面に、塗工量が乾燥質量で5.0g/mとなるように、熊谷理機製の試験用サイズプレス機(インクライン型)を用いて紫外線硬化樹脂(スリーボンド社製TB3021)を塗工した。その後、塗工面から約15cm離れた位置に配置した光源(空冷式キセノンアークランプ、765W/m)により、紫外線を60秒間照射して紫外線硬化樹脂を硬化し、更に、熊谷理機製KRK回転型乾燥機(標準型)により120℃、0.33m/min条件で熱硬化させて樹脂層を形成した。これにより坪量が73g/mの記録用紙(1)を得た。
(実施例2)
クリープ加工時の引張応力を1.47N/mmから1.96N/mmに変更した以外は、実施例1と同様にしてクリープ加工を実施した。
次に、クリープ加工された用紙に対して、実施例1と同様にして樹脂層を形成することにより、坪量が73g/mの記録用紙(2)を得た。
(実施例3)
クリープ加工時の引張応力を1.47N/mmから2.45N/mmに変更した以外は、実施例1と同様にしてクリープ加工を実施した。
次に、クリープ加工された用紙に対して、実施例1と同様にして樹脂層を形成することにより、坪量が73g/mの記録用紙(3)を得た。
(実施例4)
クリープ加工時の引張応力を1.47N/mmから1.11N/mmに変更した以外は、実施例1と同様にしてクリープ加工を実施した。
次に、クリープ加工された用紙に対して、実施例1と同様にして樹脂層を形成することにより、坪量が73g/mの記録用紙(4)を得た。
(実施例5)
クリープ加工時の引張応力を1.47N/mmから0.49N/mmに変更した以外は、実施例1と同様にしてクリープ加工を実施した。
次に、クリープ加工された用紙に対して、実施例1と同様にして樹脂層を形成することにより、坪量が73g/mの記録用紙(5)を得た。
(実施例6)
実施例1において、紫外線硬化樹脂の塗工量を乾燥質量で8.0g/mに変更したこと以外は、実施例1と同様にして記録用紙を作製し坪量が76g/mの記録用紙(6)を得た。
(実施例7)
実施例1において、紫外線硬化樹脂の塗工量を乾燥質量で13.0g/mに変更したこと以外は、実施例1と同様にして記録用紙を作製し坪量が81g/mの記録用紙(6)を得た。
(実施例8)
−紙基材の作製−
濾水度380mLの中質脱墨パルプをパルプ固形分が0.3質量%になるようパルプ分散液を調整した。このパルプ分散液に、パルプ分散液中に含まれるパルプ固形分100質量部に対して、無水コハク酸(ASA)内添サイズ剤(日本エヌエスシー(株)製Fibran−81)0.3質量部と、カチオン化澱粉(日本エヌエスシー(株)製Cato−304)0.5質量部とを配合して、紙料スラリーを得た。
続いて、この紙料スラリーを用いて熊谷理機製実験用配向性抄紙機により、80メッシュワイヤーを用い、抄速750m/min、紙料吐出圧力1.5kg/cmの条件で抄紙して、潤湿状態の紙基材を得た。
その後、潤湿状態の紙基材を、熊谷理機製角型シートマシン用プレス機(25cm角プレス)により、10kgf/cmで3分間圧搾した後、両側から濾紙で挟んだ状態で、熊谷理機製KRK回転型乾燥機で120℃、0.5m/min条件で乾燥し、坪量67g/mの紙基材を得た。
−サイズプレス処理−
次に、バインダとして酸化澱粉(王子コーンスターチ株式会社製、エースA)の固形分100質量部に対して、10質量部のボウ硝と、10質量部の表面サイズ剤(荒川化学工業株式会社、ポリマロン1355)とを添加した、固形分8質量%の水溶液(表面サイズ液)を調整した。
その後、紙基材の両面に、塗工量が乾燥質量で1.0g/mになるように、熊谷理機製の試験用サイズプレス機(インクライン型)でサイズプレスした後、サイズプレス処理された紙基材の両側を濾紙で挟んだ状態で、熊谷理機製KRK回転型乾燥機(標準型)により120℃、0.33m/min条件で乾燥し、坪量68g/m紙厚100μmの、紙基材を得た。その後、この紙基材をCD方向が短手方向となるようにA4サイズ(210mm×297mm)に裁断した。
−クリープ加工−
次に、A4サイズに裁断した紙基材に対して、図8に例示する方法でCD方向のクリープ加工を行った。
具体的には、A4サイズに裁断した紙基材を、23℃50%RH環境下に16時間以上調湿した後、紙基材を図8に示すように取り付けた。なお、用紙固定部や錘の幅は、裁断された記録用紙のMD方向の長さと同じであり、幅方向において均等な引張応力が加わるようになっている。また、用いた錘はアルミ製(質量4455g)であり、全荷重が記録用紙に加わった時の引張応力は1.47N/mmとなる。
錘は、取り付けると同時に手で支えて紙基材に引張応力が加わらないようにした状態で、錘の下方に渦電流センサー( キーエンス社製、AH−416)を配置した。その後、ゆっくりと手で支えた錘を解放し、徐々に引張応力を紙基材に加えた。次に、紙基材の寸法変化量を渦電流センサーでモニターし、1秒当たりの寸法変化量(寸法変化速度)が、1μm/s以下となった時点で、錘を取り外して、クリープ加工を終了した。
−樹脂層の形成−
次に、クリープ加工を終えた紙基材の両面に、塗工量が乾燥質量で3.0g/mとなるように、熊谷理機製の試験用サイズプレス機(インクライン型)を用いて熱硬化樹脂(フロイント産業株式会社製水性シェラック液)を塗工した。その後、熊谷理機製KRK回転型乾燥機(標準型)により120℃、0.33m/min条件で熱硬化させて樹脂層を形成した。これにより坪量が71g/mの記録用紙(8)を得た。
(実施例9)
クリープ加工時の引張応力を1.47N/mmから2.45N/mmに変更した以外は、実施例1と同様にしてクリープ加工を実施した。
次に、クリープ加工された用紙に対して、実施例1と同様にして樹脂層をせずに、坪量が68g/mの記録用紙(9)を得た。
(実施例10)
実施例1において、紙基材の作製時の抄速を750m/minから1000m/min変更し、更に、乾燥時に両側から濾紙で挟んだ状態で乾燥するのではなく、乾燥機のシリンダー面に接する面側の濾紙を除き乾燥したこと以外は、実施例1と同様にして記録用紙を作製し坪量が73g/mの記録用紙(10)を得た。
(実施例11)
実施例10において、紙基材の作製時の抄速を1000m/minから1250m/min変更したこと以外は、実施例10と同様にして記録用紙を作製し坪量が73g/mの記録用紙(11)を得た。
(実施例12)
実施例10において、乾燥機のシリンダー面に接する面を反対側にしたこと以外は、実施例10と同様にして記録用紙を作製し坪量が73g/mの記録用紙(12)を得た。
(実施例13)
実施例11において、乾燥機のシリンダー面に接する面を反対側にしたこと以外は、実施例11と同様にして記録用紙を作製し坪量が73g/mの記録用紙(13)を得た。
(実施例14)
実施例1の用紙に、熊谷理機製スーパーカレンダー(30FC−200E)を用いて、線圧40kgf/cmで平滑化処理をかけ、記録用紙を作製し坪量が73g/mの記録用紙(14)を得た。
(実施例15)
カレンダー処理の線圧を40kgf/cmから80kgf/cmに変更したこと以外は実施例14と同様にして記録用紙を作製し坪量が73g/mの記録用紙(15)を得た。
(実施例16)
作製した記録用紙(1)にサンドペーパー(#60)によって、粗面化し、平滑性を落として記録用紙を作製し坪量が73g/mの記録用紙(16)を得た。
(実施例17)
作製した記録用紙(1)にサンドペーパー(#100)によって、粗面化し、平滑性を落として記録用紙を作製し坪量が73g/mの記録用紙(17)を得た。)
(比較例1)
クリープ加工時の引張応力を1.47N/mmから3.68N/mmに変更した以外は、実施例1と同様にしてクリープ加工を実施した。
次に、クリープ加工された用紙に対して、実施例1と同様にして樹脂層を形成することにより、坪量が73g/mの記録用紙(18)を得た。
(比較例2)
クリープ加工時を実施しないこと以外は実施例1と同様にして記録用紙を作製し坪量が73g/mの記録用紙(19)を得た。
(比較例3)
−紙基材の作製−
濾水度380mLの中質脱墨パルプをパルプ固形分が0.3質量%になるようパルプ分散液を調整した。このパルプ分散液に、パルプ分散液中に含まれるパルプ固形分100質量部に対して、無水コハク酸(ASA)内添サイズ剤(日本エヌエスシー(株)製Fibran−81)0.3質量部と、カチオン化澱粉(日本エヌエスシー(株)製Cato−304)0.5質量部とを配合して、紙料スラリーを得た。
続いて、この紙料スラリーを用いて熊谷理機製実験用配向性抄紙機により、80メッシュワイヤーを用い、抄速750m/min、紙料吐出圧力1.5kg/cmの条件で抄紙して、潤湿状態の紙基材を得た。
その後、潤湿状態の紙基材を、熊谷理機製角型シートマシン用プレス機(25cm角プレス)により、10kgf/cmで3分間圧搾した後、両側から濾紙で挟んだ状態で、熊谷理機製KRK回転型乾燥機で120℃、0.5m/min条件で乾燥し、坪量67g/mの紙基材を得た。
−サイズプレス処理−
次に、バインダとして酸化澱粉(王子コーンスターチ株式会社製、エースA)の固形分100質量部に対して、10質量部のボウ硝と、10質量部の表面サイズ剤(荒川化学工業株式会社、ポリマロン1355)とを添加した、固形分8質量%の水溶液(表面サイズ液)を調整した。
その後、紙基材の両面に、塗工量が乾燥質量で1.0g/mになるように、熊谷理機製の試験用サイズプレス機(インクライン型)でサイズプレスした後、サイズプレス処理された紙基材の両側を濾紙で挟んだ状態で、熊谷理機製KRK回転型乾燥機(標準型)により120℃、0.33m/min条件で乾燥し、坪量68g/m紙厚100μmの、紙基材を得た。その後、この紙基材をCD方向が短手方向となるようにA4サイズ(210mm×297mm)に裁断した。
−樹脂層の形成−
次に、クリープ加工を終えた紙基材の両面に、塗工量が乾燥質量で22.0g/mとなるように、熊谷理機製の試験用サイズプレス機(インクライン型)を用いて紫外線硬化樹脂(スリーボンド社製TB3021)を塗工した。その後、塗工面から約15cm離れた位置に配置した光源(空冷式キセノンアークランプ、765W/m、により、紫外線を60秒間照射して紫外線硬化樹脂を硬化し、更に、熊谷理機製KRK回転型乾燥機(標準型)により120℃、0.33m/min条件で熱硬化させて樹脂層を形成した。これにより坪量が90g/mの記録用紙(20)を得た。
(比較例4)
比較例3において、樹脂層を形成しなかった以外は、比較例3と同様にして記録用紙を作製し、坪量が68g/mの記録用紙(21)を得た。
(比較例5)
−紙基材の作製−
濾水度380mLの中質脱墨パルプをパルプ固形分が0.3質量%になるようパルプ分散液を調整した。このパルプ分散液に、パルプ分散液中に含まれるパルプ固形分100質量部に対して、無水コハク酸(ASA)内添サイズ剤(日本エヌエスシー(株)製Fibran−81)0.3質量部と、カチオン化澱粉(日本エヌエスシー(株)製Cato−304)0.5質量部とを配合して、紙料スラリーを得た。
続いて、この紙料スラリーを用いて熊谷理機製実験用配向性抄紙機により、80メッシュワイヤーを用い、抄速1500m/min、紙料吐出圧力1.5kg/cmの条件で抄紙して、潤湿状態の紙基材を得た。
その後、潤湿状態の紙基材を、熊谷理機製角型シートマシン用プレス機(25cm角プレス)により、10kgf/cmで3分間圧搾した後、サイズプレス処理された紙基材の乾燥機のシリンダー面に接しない面側だけ濾紙を挟んだ状態で、熊谷理機製KRK回転型乾燥機で120℃、0.5m/min条件で乾燥し、坪量67g/mの紙基材を得た。
−サイズプレス処理−
次に、バインダとして酸化澱粉(王子コーンスターチ株式会社製、エースA)の固形分100質量部に対して、10質量部のボウ硝と、10質量部の表面サイズ剤(荒川化学工業株式会社、ポリマロン1355)とを添加した、固形分8質量%の水溶液(表面サイズ液)を調整した。
その後、紙基材の両面に、塗工量が乾燥質量で1.0g/mになるように、熊谷理機製の試験用サイズプレス機(インクライン型)でサイズプレスした後、両側から濾紙で挟んだ状態で、熊谷理機製KRK回転型乾燥機(標準型)により120℃、0.33m/min条件で乾燥し、坪量68g/m紙厚100μmの、紙基材を得た。その後、この紙基材をCD方向が短手方向となるようにA4サイズ(210mm×297mm)に裁断した。
−樹脂層の形成−
次に、クリープ加工を終えた紙基材の両面に、塗工量が乾燥質量で5.0g/mとなるように、熊谷理機製の試験用サイズプレス機(インクライン型)を用いて紫外線硬化樹脂(スリーボンド社製TB3021)を塗工した。その後、塗工面から約15cm離れた位置に配置した光源(空冷式キセノンアークランプ、765W/m、により、紫外線を60秒間照射して紫外線硬化樹脂を硬化し、更に、熊谷理機製KRK回転型乾燥機(標準型)により120℃、0.33m/min条件で熱硬化させて樹脂層を形成した。これにより坪量が73g/mの記録用紙(22)を得た。
(比較例6)
比較例5において、乾燥機のシリンダー面に接する面を反対側にしたこと以外は、比較例5と同様にして記録用紙を作製し坪量が73g/mの記録用紙(23)を得た。
(比較例7)
実施例1の用紙に、熊谷理機製スーパーカレンダー(30FC−200E)を用いて、線圧160kgf/cmで平滑化処理をかけ、記録用紙を作製し坪量が73g/mの記録用紙(24)を得た。
(比較例8)
作製した記録用紙(1)にサンドペーパー(#30)によって、粗面化し、平滑性を落として記録用紙を作製し坪量が73g/mの記録用紙(25)を得た。
(比較例9)
比較例3において、塗工量を22.0g/mから21.0g/mに変更し、熊谷理機製スーパーカレンダー(30FC−200E)を用いて、線圧40kgf/cmで平滑化処理をかけ、記録用紙を作製し坪量が89g/mの記録用紙(26)を得た。
(比較例10)
比較例9において、塗工量を21.0g/mから25.0g/mに変更したこと以外は、比較例9と同様にして記録用紙を作製し坪量が93g/mの記録用紙(27)を得た。
(比較例11)
−紙基材の作製−
濾水度380mLの中質脱墨パルプをパルプ固形分が0.3質量%になるようパルプ分散液を調整した。このパルプ分散液に、パルプ分散液中に含まれるパルプ固形分100質量部に対して、無水コハク酸(ASA)内添サイズ剤(日本エヌエスシー(株)製Fibran−81)0.3質量部と、カチオン化澱粉(日本エヌエスシー(株)製Cato−304)0.5質量部とを配合して、紙料スラリーを得た。
続いて、この紙料スラリーを用いて熊谷理機製実験用配向性抄紙機により、80メッシュワイヤーを用い、抄速500m/min、紙料吐出圧力1.5kg/cmの条件で抄紙して、潤湿状態の紙基材を得た。
その後、潤湿状態の紙基材を、熊谷理機製角型シートマシン用プレス機(25cm角プレス)により、10kgf/cmで3分間圧搾した後、両側から濾紙で挟んだ状態で、熊谷理機製KRK回転型乾燥機で120℃、0.5m/min条件で乾燥し、坪量67g/mの紙基材を得た。
−サイズプレス処理−
次に、バインダとして酸化澱粉(王子コーンスターチ株式会社製、エースA)の固形分100質量部に対して、10質量部のボウ硝と、10質量部の表面サイズ剤(荒川化学工業株式会社、ポリマロン1355)とを添加した、固形分8質量%の水溶液(表面サイズ液)を調整した。
その後、紙基材の両面に、塗工量が乾燥質量で1.0g/mになるように、熊谷理機製の試験用サイズプレス機(インクライン型)でサイズプレスした後、サイズプレス処理された紙基材の両側を濾紙で挟んだ状態で、熊谷理機製KRK回転型乾燥機(標準型)により120℃、0.33m/min条件で乾燥し、坪量68g/m紙厚100μmの、紙基材を得た。その後、この紙基材をCD方向が短手方向となるようにA4サイズ(210mm×297mm)に裁断し、坪量が68g/mの記録用紙(28)を得た。
(比較例12)
市販の用紙(富士ゼロックスオフィスサプライ株式会社製Green100)を記録用紙(29)とした。
記録用紙の主要な製造条件と諸特性とを以下の表1〜表3に示す。
Figure 2009139407
Figure 2009139407
Figure 2009139407
<小型の画像形成装置による評価>

画像形成装置として富士ゼロックス社製のDocuCentre−II C4300を用いた。この装置は、容量が約0.6mの小型の複写機であり、加熱ロールの直径は27mm、記録用紙搬送経路における用紙の最大屈曲曲率が150m−1、標準的な画像形成モード(普通紙モード)で画像を形成する場合のプロセススピードは208mm/sである。
この画像形成装置を用いて、高温高湿環境(28℃、85%RH)下にて定着後カール、用紙搬送性、定着機巻き付き、および、トナー転写性について評価した。結果を表4〜表6に示す。
各種評価に際しては、市販品のA4用紙を用いて作製された記録用紙を除き、各記録用紙はMD方向(用紙の抄造方向)が長手方向になるようにA4サイズに断裁したものを準備した。なお、市販のA4用紙も、長手方向がMD方向である。また、各評価を実施に際しては、予め記録用紙を高温高湿環境(28℃、85%RH)にて12時間調湿しておいた。
なお、表4〜表6中の各評価項目の評価方法および評価基準は以下の通りである。
(1)定着後カール評価
定着後カールは、CD方向が給紙方向となるように記録用紙を給紙して、白紙画像を形成することにより実施した。なお、画像形成時のプロセススピードは280mm/s、定着温度は175度に設定した。
画像形成装置から排紙された記録用紙は、水平な台の上に静置して、台の表面から記録用紙の4隅までの鉛直方向の高さを物差しを用いて計測した。この評価を10枚の用紙について行い、合計40箇所(=10枚×4隅)の高さの平均値をカール高さhとして求めた。評価基準は以下の通りである。なお◎、○、○−が許容レベルである。
◎:h<30mm
○:30mm≦h<40mm
○−:40mm≦h<50mm
△:50mm≦h<60mm
×:h≧60mm
(2)用紙搬送性評価
用紙搬送性は、CD方向が給紙方向となるように500枚の記録用紙を給紙トレイにセットして、連続500枚の白紙画像を形成することにより実施した。なお、画像形成時のプロセススピードは208mm/s、定着温度は175度に設定した。
そして、この時の画像形成装置の搬送経路の各所で、重送や、紙詰まり等の各種搬送トラブルが発生した枚数をカウントした。評価基準は以下の通りである。なお◎、○が許容レベルである。
◎:搬送トラブルは全く発生せず。
○:500枚中、搬送トラブルが1枚〜2枚発生
△:500枚中、搬送トラブルが3枚〜4枚発生
×:500枚中、搬送トラブルが5枚以上発生
(3)定着機巻き付き評価
画像形成装置の定着機を取り出して、用紙にトナー量が1g/m2になるようにトナーを転写させた。続いて、取り外した定着機を用いて、10枚の未着トナーが付着した記録用紙を通紙させた時の定着部材への巻き付きを評価した。なお、プロセススピードは208mm/s、定着温度は175度に設定した。評価基準は以下の通りである。なお◎、○が許容レベルである。
◎:巻き付きは全く発生せず。
○:10枚中、巻き付きが1枚枚発生
△:10枚中、巻き付きが2枚発生
×:10枚中、巻き付きが3枚以上発生
(4)トナー転写性評価
トナー転写性は、網点面積率が100%の黒色画像を形成して、この画像を目視観察することにより評価した。この時のプロセススピードは208mm/s、定着温度は175度に設定した。評価基準は以下の通りである。なお◎、○が許容レベルである。
◎:トナー転写むらがなく極めて優れている。実用上問題ない。
○:トナー転写むらがごく軽微に発生。実用上問題ない。
△:トナー転写むらが軽微に発生。実用上問題がある。
×:トナー転写むらが多くあり劣っている。実用上問題がある。
<中大型の画像形成装置による評価>
画像形成装置として富士ゼロックス社製のDocuCentre a1100を用いた。この装置は、容量が約1.5mの中大型の複写機であり、加熱ロールの直径は66mm、記録用紙搬送経路における用紙の最大屈曲曲率が50m−1、標準的な画像形成モード(普通紙モード)で画像を形成する場合のプロセススピードは460mm/sである。 この画像形成装置を用いて、高温高湿環境(28℃、85%RH)下にて定着後カール、用紙搬送性、定着機巻き付き、および、トナー転写性について評価した。結果を表4〜表6に示す。
各種評価に際しては、市販品のA4用紙を用いて作製された記録用紙を除き、各記録用紙はMD方向(用紙の抄造方向)が長手方向になるようにA4サイズに断裁したものを準備した。なお、市販のA4用紙も、長手方向がMD方向である。また、各評価を実施に際しては、予め記録用紙を高温高湿環境(28℃、85%RH)にて12時間調湿しておいた。
なお、表4〜表6中の各評価項目の評価方法および評価基準は以下の通りである。
(1)定着後カール評価
定着後カールは、プロセススピードを460mm/s、定着温度を180度に設定した以外は、小型機の場合と同様に評価した。
(2)用紙搬送性評価
用紙搬送性は、プロセススピードを460mm/s、定着温度を180度に設定した以外は、小型機の場合と同様に評価した。
(3)定着機巻き付き評価
定着機巻き付きは、プロセススピードを460mm/s、定着温度を180度に設定した以外は、小型機の場合と同様に評価した。
(4)トナー転写性評価
トナー転写性は、プロセススピードを460mm/s、定着温度を180度に設定した以外は、小型機の場合と同様に評価した。
Figure 2009139407
Figure 2009139407
Figure 2009139407
伸縮率表裏差の評価に用いる短冊状用紙の採取方法を説明する概略模式図である。 伸縮率表裏差の評価に用いる短冊状用紙の固定方法を説明する概略模式図である。 カールした状態の短冊状用紙を示す概略模式図である。 弾性係数E、粘性係数μの導出に際して適用したマクスウェル粘弾性モデルを説明する模式図である。 歪量εの測定に用いた熱機械分析装置(TMA)の概略模式図である。 歪量の測定に際して、短冊状用紙に対して加えられる引張応力の時間に対する変化を示すグラフである。 歪量の時間に対する変化の一例を示すグラフである。 記録用紙の引張加工の一例を示す概略模式図である。 寸法変化率aの定義を説明するためのグラフである。
符号の説明
1 熱機械分析装置
10 短冊状用紙
12 張力発生部
14 寸法検出部
16 加熱部
18 短冊状用紙
20 引張プローブ
22 加温加湿チャンバー
23 高湿空気供給口
24 高湿空気供給ユニット
25 測定ユニット
50 天井
52 用紙固定部
54 記録用紙
56 用紙固定部
58 錘
60 変位計測装置
62 床面
100 記録用紙
110 短冊状用紙
120 台
130 用紙固定部材
140 基準線(点線)
150 非固定端
160 固定位置
200 マクスウェル粘弾性モデル
210 粘弾性体
212 バネ
214 ダッシュポット
220 粘弾性体
222 バネ
224 ダッシュポット

Claims (2)

  1. パルプ繊維を含み、王研式平滑度が20秒以上200秒以下の範囲内であり、CD方向における用紙の表面および裏面の伸縮率の差が−0.007%/%以上0.007%/%以下であり、且つ、CD方向における用紙の粘弾性特性が下式(1)および下式(2)を満たすことを特徴とする電子写真用転写紙。
    ・式(1) 750≦E≦1500
    ・式(2) 7500≦μ≦300000
    〔ここで、式(1)(2)中、Eは用紙の弾性係数(MPa)、μは用紙の粘性係数(MPa・s)を表し、以下の手順で求めた値を意味する。
    まず、温度23℃・湿度50%RH環境下にて16時間以上調湿された用紙をCD方向が長手方向となるように切り出した長さ30mm、幅4mmの短冊状用紙を準備する。次に、前記短冊状用紙に対して、そのCD方向20mmの領域に、CD方向に対して0.0025N/mの引張応力を加え続けながら、温湿度が50℃・65%RHとなるように調整する。この状態で1分間当たりの寸法変化量が1μm以下となった後に、更に、引張応力を、単位時間当たりの応力変化量が15N/sの割合で1.47N/mmまで加える第1の引張処理を実施した後、単位時間当たりの応力変化量が−15N/sの割合で0.0025N/mmまで減少させる第2の引張処理を実施し、続いて、0025N/mmで3秒間保持する第3の引張処理を実施した時の前記短冊状用紙の歪量を時間に対して測定する。
    そして、この測定時のある時間に対する引張応力および歪量を、弾性係数Eを有するバネと粘性係数μを有するダッシュポットとを直列に結合した粘弾性体を、並列に2つ結合したマクスウェル粘弾性モデルを表す下式(3)〜(5)に代入して、前記弾性係数E2および前記粘性係数σ2を求める。〕
    ・式(3) σ=σ+σ
    ・式(4) ε=ε=ε
    ・式(5) ε=σ/E+(σ/μ)×t=σ/E+(σ/μ)×t
    〔ここで、式(3)〜(5)中、tは時間(s)、σは時間tにおける引張応力(N/mm)、εは時間tにおける歪量(%)、Eは前記マクスウェル粘弾性モデルを構成する一方の粘弾性体のバネ部の弾性係数(MPa)、Eは前記マクスウェル粘弾性モデルを構成する他方の粘弾性体のバネ部の弾性係数(MPa)、σは前記マクスウェル粘弾性モデルを構成する一方の粘弾性体のダッシュポット部の粘性係数(MPa・s)、σは前記マクスウェル粘弾性モデルを構成する他方の粘弾性体のダッシュポット部の粘性係数(MPa・s)εは前記マクスウェル粘弾性モデルを構成する一方の粘弾性体のバネ部の歪量(%)、εは前記マクスウェル粘弾性モデルを構成する一方の粘弾性体のバネ部の歪量(%)を表す。
    但し、式(5)中、時間tは、前記第1の引張処理の開始時を0sとした時の経過時間であり、前記開示時からの前記第2の引張処理終了時までの間において選択される値を意味し、E、E、μ、μは、時定数τ(=μ/E)<時定数τ(=μ/E)なる関係を満たす。〕
  2. 静電潜像保持体表面を帯電する帯電工程と、帯電された前記静電潜像保持体表面を露光して静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像保持体表面に現像剤を付与して前記静電潜像を現像することによりトナー像を形成するトナー像形成工程と、前記トナー像を記録用紙の表面に転写する転写工程と、表面に前記トナー像が転写された前記記録用紙を加熱加圧しながら定着する定着工程と含み、
    前記記録用紙が請求項1に記載の電子写真用転写紙であることを特徴とする画像形成方法。
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