JP2009139254A - イムノクロマトグラフ方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被験物質と、該被験物質に対する第一の抗体で修飾した標識物質とをこれらの複合体を形成させた状態で不溶性担体上において展開し、該被験物質に対する第二の抗体を有する不溶性担体上の反応部位において該被験物質と該標識物質を捕捉して該被験物質を検出することを含むイムノクロマトグラフ方法において、銀を含む化合物及び銀イオンのための還元剤を含む増幅液を用いて増感することによって被験物質の検出を行い、さらに上記増幅液中に固体粒子が含まれていることを特徴とするイムノクロマトグラフ方法。
【選択図】なし
Description
好ましくは、反応部位に捕捉した標識物質の増幅後の平均粒子径は、多孔性担体の平均孔径に対し1/10以上1以下である。
好ましくは、増幅液中に含まれる粒子は、金属粒子、金属化合物粒子、着色粒子、又は炭素粒子である。
好ましくは、金属粒子または金属化合物粒子は、銀粒子または銀化合物粒子である。
一般に、イムノクロマトグラフ方法とは以下のような手法で被分析物を簡便・迅速・特異的に判定・測定する手法である。すなわち、被分析物と結合可能な固定化試薬(抗体、抗原等)を含む少なくとも1つの反応部位を有するクロマトグラフ担体を固定相として用いる。このクロマトグラフ担体上で、分析対象物結合可能な試薬によって修飾された検出用標識物が分散されてなる分散液を移動層として前記クロマトグラフ担体中をクロマトグラフ的に移動させると共に、前記分析対象物と検出用標識物とが特異的に結合しながら、前記反応部位まで到達する。前記反応部位において、前記分析対象物と検出用標識物の複合体が前記固定化試薬に特異的結合することにより、被分析液中に分析対象物が存在する場合にのみ、前記固定化試薬部に検出用標識物が濃縮されることを利用し、それらを目視または適当な機器を用いて被分析液中に被検出物が存在することを定性および定量的に分析する手法である。
本発明のイムノクロマトグラフ方法で分析することのできる被検試料としては、分析対象物を含む可能性のある試料である限り、特に限定されるものではなく、例えば、生物学的試料、特には動物(特にヒト)の体液(例えば、血液、血清、血漿、髄液、涙液、汗、尿、膿、鼻水、又は喀痰)若しくは排泄物(例えば、糞便)、臓器、組織、粘膜や皮膚、それらを含むと考えられる搾過検体(スワブ)、うがい液、又は動植物それ自体若しくはそれらの乾燥体を挙げることができる。
本発明のイムノクロマトグラフ方法では、前記被検試料をそのままで、あるいは、前記被検試料を適当な抽出用溶媒を用いて抽出して得られる抽出液の形で、更には、前記抽出液を適当な希釈剤で希釈して得られる希釈液の形、若しくは前記抽出液を適当な方法で濃縮した形で、用いることができる。前記抽出用溶媒としては、通常の免疫学的分析法で用いられる溶媒(例えば、水、生理食塩液、又は緩衝液等)、あるいは、前記溶媒で希釈することにより直接抗原抗体反応を実施することができる水混和性有機溶媒を用いることもできる。
本発明のイムノクロマトグラフ方法において使用することのできるイムノクロマトグラフ用ストリップとしては、通常のイムノクロマトグラフ法に用いることができるイムノクロマトグラフ用ストリップである限り、特に限定されるものではない。例えば、図1に模式的に従来のイムノクロマトグラフ用ストリップの平面図を模式的に示す。図2に図1で示されたイムノクロマトグラフキットの縦断面を模式的に示す縦断面図である。図3は本発明で用いることができるイムノクロマトグラフ用ストリップの別の例の断面図を模式的に示す。
検出用標識物は、免疫凝集反応に用いられている着色粒子を使用することができる。例えば、金属コロイドのような金属等を用いることができる。担体粒子(又はコロイド)の平均粒径は、0.02〜10μmの範囲が好ましい。色素を含有したリポゾ−ムやマイクロカプセル等も着色粒子として使用することができる。従来公知の着色金属コロイドはいずれも標識用着色粒子として使用することができる。例えば、金コロイド、銀コロイド、白金コロイド、鉄コロイド、水酸化アルミニウムコロイド、およびこれらの複合コロイドなどが挙げられ、好ましくは、金コロイド、銀コロイド、白金コロイド、およびこれらの複合コロイドである。特に、金コロイドと銀コロイドが適当な粒径において、金コロイドは赤色、銀コロイドは黄色を示す点で好ましい。金属コロイドの平均粒径としては、約1nm〜500nmが好ましく、1〜50nmがさらに好ましく。1〜15nmが特に好ましい。金属コロイドと特異結合物質との結合は、従来公知の方法(例えばThe Journal of Histochemistry and Cytochemistry,Vol.30,No.7,pp691−696,(1982))に従い、行うことができる。すなわち、金属コロイドと特異結合物質(例えば抗体)を適当な緩衝液中で室温下5分以上混合する。反応後、遠心分離により得た沈殿を、ポリエチレングリコ−ル等の分散剤を含む溶液中に分散させることにより、目的の金属コロイド標識特異結合物質を得ることができる。金属コロイドとして金コロイド粒子を用いる場合には、市販のものを用いてもよい。あるいは、常法、例えば塩化金酸をクエン酸ナトリウムで還元する方法(Nature Phys. Sci.,vol.241,20,(1973)等)により金コロイド粒子を調製することができる。
本発明のイムノクロマトグラフ方法においては、分析対象物に対して特異性を有する抗体として、特に限定されるものではないが、例えば、その分析対象物によって免疫された動物の血清から調製する抗血清、抗血清から精製された免疫グロブリン画分、その分析対象物によって免疫された動物の脾臓細胞を用いる細胞融合によって得られるモノクローナル抗体、あるいは、それらの断片[例えば、F(ab’)2、Fab、Fab’、又はFv]を用いることができる。これらの抗体の調製は、常法により行なうことができる。
クロマトグラフ担体としては、多孔性担体が好ましい。特に、ニトロセルロース膜、セルロース膜、アセチルセルロース膜、ポリスルホン膜、ポリエーテルスルホン膜、ナイロン膜、ガラス繊維、不織布、布、または糸等が好ましい。
試料添加パッドの材質は、セルロース濾紙、ガラス繊維、ポリウレタン、ポリアセテート、酢酸セルロース、ナイロン、及び綿布等の均一な特性を有するものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。試料添加部は、添加された分析対象物を含む試料を受入れるだけでなく、試料中の不溶物粒子等を濾過する機能をも兼ねる。また、分析の際、試料中の分析対象物が試料添加部の材質に非特異的に吸着し、分析の精度を低下させることを防止するため、試料添加部を構成する材質は、予め非特異的吸着防止処理して用いることもある。
標識化物質保持パッドの素材としては、例えば、セルロース濾紙、グラスファイバー、及び不織布等が挙げられ、前述のように調製した検出用標識物を一定量含浸し、乾燥させて作製する。
吸収パッドは、添加された試料がクロマト移動により物理的に吸収されると共に、クロマトグラフ担体の検出部に不溶化されない未反応標識物質等を吸収除去する部位であり、セルロ−ス濾紙、不織布、布、セルロースアセテート等吸水性材料が用いられる。添加された試料のクロマト先端部が吸収部に届いてからのクロマトの速度は、吸収材の材質、大きさなどにより異なるので、その選定により分析対象物の測定に合った速度を設定することができる。
以下、本発明のクロマトグラフ方法について、その具体的な実施態様であるサンドイッチ法について説明する。サンドイッチ法では、特に限定されるものではないが、例えば、以下の手順により分析対象物の分析を実施することができる。まず、分析対象物(抗原)に対して特異性を有する第1抗体及び第2抗体を、先に述べた方法により予め調製しておく。また、第2抗体を、予め標識化しておく。第1抗体を、適当な不溶性薄膜状支持体(例えば、ニトロセルロ−ス膜、ガラス繊維膜、ナイロン膜、又はセルロ−ス膜等)上に固定し、分析対象物(抗原)を含む可能性のある被検試料(又はその抽出液)と接触させると、その被検試料中に分析対象物が存在する場合には、抗原抗体反応が起きる。この抗原抗体反応は、通常の抗原抗体反応と同様に行なうことができる。前記抗原抗体反応と同時又は反応後に、過剰量の標識化第2抗体を更に接触させると、被検試料中に分析対象物が存在する場合には、固定化第1抗体と分析対象物(抗原)と標識化第2抗体とからなる免疫複合体が形成される。
本発明では、以下に説明するような銀を含む化合物及び銀イオンのための還元剤を含む増幅液を用いて増感することによって被験物質の検出を行うが、本発明で用いる増幅液中には、固体粒子が含まれていることを特徴とする。本発明では、予め固体粒子を含む増幅液を調整してから、この増幅液を不溶性担体上に流してもよいし、あるいは増幅液を不溶性担体上に流す途中で、この増幅液中に固体粒子を含まれる状態となるようにして、検出ライン部(検出を行う部位)を通過させてもよい。
本発明において、使用することのできる増幅液とは、写真化学の分野での一般書物(例えば、「改訂写真工学の基礎-銀塩写真編-」(日本写真学会編、コロナ社)、「写真の化学」(笹井明、写真工業出版社)、「最新処方ハンドブック」(菊池真一他、アミコ出版社))に記載されているような、いわゆる現像液のことである。
本発明で用いる銀含有化合物としては、有機銀塩、無機銀塩、もしくは銀錯体を用いることができる。
本発明に用いられる窒素含有ヘテロ環化合物の銀塩として最も好ましくは、ベンゾトリアゾ−ル誘導体の銀塩である。
3−メルカプト−4−フェニル−1,2,4−トリアゾ−ルの銀塩、2−メルカプト−ベンズイミダゾ−ルの銀塩、2−メルカプト−5−アミノチアゾ−ルの銀塩、メルカプトトリアジンの銀塩、2−メルカプトベンゾオキサゾ−ルの銀塩、および米国特許第4,123,274記載の化合物の銀塩。
ヘテロ環を含まないメルカプトまたはチオン誘導体のうち有用な化合物としては以下に挙げるものがあるが、これらに制限されるわけではない。
チオグリコ−ル酸銀塩(例えば炭素原子数12から22までのアルキル基を持つS−アルキルチオグリコ−ル酸の銀塩)、ジチオカルボン酸の銀塩(たとえばジチオ酢酸の銀塩又はチオアミドの銀塩)
置換または無置換の安息香酸銀(例えば3,5−ジヒドロキシ安息香酸銀、o−メチル安息香酸銀、m−メチル安息香酸銀、p−メチル安息香酸銀、2,4−ジクロロ安息香酸銀、アセタミド安息香酸銀、およびp−フェニル安息香酸銀)、タンニン酸銀、フタル酸銀、テレフタル酸銀、サリチル酸銀、フェニル酢酸銀、又はピロメリット酸銀。
そのような銀のカルボン酸塩は、米国特許第5,491,059に記載されている。ここで記載されている銀塩の混合物はどれでも、本発明においては必要に応じて使うことができる。
米国特許第4,504,575に記載のスルホン酸塩の銀塩もまた、本発明の態様においては使用することが出来る。
有機銀塩は、銀として一般に0.001モル/m2〜0.2モル/m2、好ましくは0.001モル/m2〜0.05モル/m2含有される。
本発明に用いられる無機銀塩は、例えば、ハロゲン化銀(塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、ヨウ化銀、塩ヨウ化銀、塩ヨウ臭化銀、およびヨウ臭化銀等)、チオ硫酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、又はアンモニウム塩等)の銀塩、チオシアン酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、又はアンモニウム塩等)の銀塩、および亜硫酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、又はアンモニウム塩等)の銀塩等が挙げられる。
本発明に用いられるハロゲン化銀の粒子形成方法は、写真業界でよく知られており、例えば、リサーチディスクロージャー1978年6月の第17029号、及び米国特許第3,700,458号に記載されている方法を用いることができるが、具体的にはゼラチンあるいは他のポリマー溶液中に銀供給化合物(例えば、硝酸銀)及びハロゲン供給化合物を添加することにより調製される。
銀イオンのための還元剤は、銀(I)イオンを銀に還元することができる無機・有機のいかなる材料、またはその混合物でも用いることができる。
無機還元剤としては、Fe2+、V2+、Ti3+、などの金属イオンで原子価の変化し得る還元性金属塩、還元性金属錯塩が知られており、本発明に用いることができる。無機還元剤を用いる際には、酸化されたイオンを錯形成するか還元して、除去するか無害化する必要がある。例えば、Fe+2を還元剤として用いる系では、クエン酸やEDTAを用いて酸化物であるFe3+の錯体を形成し、無害化することができる。
本系ではこのような無機還元剤を用いることが好ましく、より好ましくはFe2+の金属塩が好ましい。
D−またはL−アスコルビン酸とその糖誘導体(例えばγ−ラクトアスコルビン酸、グルコアスコルビン酸、フコアスコルビン酸、グルコヘプトアスコルビン酸、マルトアスコルビン酸)、アスコルビン酸のナトリウム塩、アスコルビン酸のカリウム塩、イソアスコルビン酸(またはL−エリスロアスコルビン酸)、その塩(例えばアルカリ金属塩、アンモニウム塩または当技術分野において知られている塩)、エンジオールタイプのアスコルビン酸、エナミノールタイプのアスコルビン酸、チオエノ−ルタイプのアスコルビン酸)、たとえば米国特許第5,498,511、EP−A−0585,792、EP−A−0573700、EP−A−0588408、米国特許第5,089,819、米国特許第5,278,035、米国特許第5,384,232、米国特許第5,376,510、JP7−56286、米国特許第2,688,549、およびReseach Disclosure37152(1995年3月)に記載されているような化合物。
ヒンダードフェノールは、ベンゼン環上に一つだけの水酸基を有し、少なくとも一つの置換基を水酸基に対してオルト位に有する化合物である。ヒンダードフェノール還元剤は複数の水酸基を別々のベンゼン環に持っていれば、複数の水酸基を有していて構わない。
ヒンダードフェノール還元剤は、たとえば、ビナフトール類(すなわちジヒドロキシビナフトール類)、ビフェノール類(すなわちジヒドロキシビフェノール類)、ビス(ヒドロキシナフチル)メタン類、ビス(ヒドロキシフェニル)メタン類(すなわちビスフェノール類)、ヒンダ−ドフェノール類、およびヒンダードナフトール類が挙げられ、これらは置換されていて構わない。
1,1’−ビ−2−ナフトール、1,1’−ビ−4−メチル−2−ナフトール、および米国特許第3,094,417号と米国特許第5,262,295号に記載されている化合物。
2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4−メチル−6−n−ヘキシルフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル、および米国特許第5,262,295号に記載の化合物。
4,4’−メチレンビス(2−メチル−1−ナフト−ル)、米国特許第5,262,295号に記載の化合物。
ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン(CAO−5)、1,1’−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン(NONOXまたはPERMANAX WSO)、1,1’−ビス(3,5−di−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、4,4’−エチリデン−ビス(2−t−ブチル−6−メチルフェノ−ル)、2,2’−イソブチリデン−ビス(4,6−ジメチルフェノ−ル)(LOWINOX 221B46)、2,2’−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、および米国特許第5,262,295号に記載の化合物。
2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジクロロフェノール、2,6−ジメチルフェノール、および2−t−ブチル−6−メチルフェノール。
1−ナフトール、4−メチル−1−ナフトール、4−メトキシ−1−ナフトール、4−クロロ−1−ナフトール、2−メチル−1−ナフトール、および米国特許第5,262,295号に記載の化合物。
アミドキシム類(例えばフェニルアミドキシム)、2−チエニルアミドキシム、p−フェノキシフェニルアミドキシム、脂肪族カルボン酸アリルヒドラジドとアスコルビン酸の組み合わせ(例えば2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)−プロピオニル−β−フェニルヒドラジドとアスコルビン酸の組み合わせ)、ポリヒドロキシベンゼンとヒドロキシルアミン、レダクトンおよびヒドラジンの少なくとも一方の組み合わせ(たとえばヒドロキノンとビス(エトキシエチル)ヒドロキシルアミンの組み合わせ)、ピペリジ−4−メチルフェニルヒドラジン、ヒドロキサム酸(例えばフェニルヒドロキサム酸、p−ヒドロキシフェニルヒドロキサム酸、およびo−アラニンヒドロキサム酸)、アジンとスルホンアミドフェノール類の組合せ(たとえばフェノチアジンと2,6−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノール)、α−シアノフェニル酢酸誘導体(例えばエチル−α−シアノ−2−メチルフェニル酢酸、エチル−α−シアノフェニル酢酸)、ビス−o−ナフトール(例えば2,2’−ジヒドロキシ−1−ビナフチル、6,6’−ジブロモ−2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル、ビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)メタン)、
ヒドロキシルアミン(ヒドロキシルアミンとアルキルとアリ−ル置換誘導体を含む)、米国特許第5,545,505に記載のアルカノールアミンとフタル酸アンモニウム、米国特許第5,545,507に記載のヒドロキサム酸化合物、米国特許第5,558,983に記載のN−アシルヒドラジン化合物、米国特許第5,637,449に記載の水素原子ドナー化合物。
増幅液のその他の助剤としては、緩衝剤、防腐剤、例えば酸化防止剤または有機安定剤、速度調節剤を含む場合がある。緩衝剤としては、例えば、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウムまたはこれらのどれかの塩、またはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを用いた緩衝剤、その他一般的化学実験に用いられる緩衝剤を用いることができる。これら緩衝剤を適宜用いて、その増幅液に最適なpHに調整することができる。
(1-1)抗hCG抗体修飾金コロイドの作成
直径50 nm金コロイド溶液(EM.GC50、BBI社)9 mLに50 mM KH2PO4バッファー(pH 7.0 )1mLを加えることでpHを調整した金コロイド溶液に、50 μg / mLの抗hCGモノクローナル抗体(Anti-hCG 5008 SP-5、Medix Biochemica社)溶液1 mLを加え攪拌した。10分間静置した後、1 %ポリエチレングリコール(PEG Mw.20000、品番168-11285、和光純薬)水溶液を550 μL加え攪拌し、続いて10 %牛血清アルブミン(BSA FractionV、品番A-7906、SIGMA)水溶液を1.1 mL加え攪拌した。この溶液を8000×g、4 ℃、30分遠心(himacCF16RX、日立)した後、1 mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散した。この後、20 mLの金コロイド保存液(20 mM Tris-HClバッファー(pH 8.2), 0.05 % PEG(Mw.20000), 150 mM NaCl, 1 % BSA, 0.1 % NaN3)に分散し、再び8000×g、4℃、30分間遠心した後、1 mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散し、抗体修飾金コロイド(50 nm)溶液を得た。
(1-1)で作成した各抗体修飾金コロイドを、金コロイド塗布液(20 mM Tris-Hclバッファー(pH 8.2), 0.05 % PEG(Mw.20000), 5 % スクロース)及び水により希釈し、520 nmのODが1.5となるように希釈した。この溶液を、8 mm×150 mmに切ったグラスファイバーパッド(Glass Fiber Conjugate Pad、ミリポア社)1枚あたり0.8 mLずつ均一に塗布し、一晩減圧乾燥し、金コロイド抗体保持パッドを得た。
25 mm×200 mmに切断したニトロセルロースメンブレン(プラスチックの裏打ちあり、HiFlow Plus HF120、ミリポア社)に関し以下のような方法により抗体を固定し抗体固定化メンブレンを作成した。メンブレンの長辺を下にし、下から8 mmの位置に、0.5 mg / mLとなるように調製した固定化用抗hCGモノクローナル抗体(Anti-Alpha subunit 6601 SPR-5、Medix Biochemica社)溶液をインクジェット方式の塗布機(BioDot社)を用いて幅1 mm程度のライン状に塗布した。同様に、下から12 mmの位置に、0.5 mg / mLとなるように調製したコントロール用抗マウスIgG抗体(抗マウスIgG(H+L),ウサギF(ab')2, 品番566-70621、和光純薬)溶液をライン状に塗布した。塗布したメンブレンは、温風式乾燥機で50 ℃、30分間乾燥した。ブロッキング液(0.5 w%カゼイン(乳由来、品番030-01505、和光純薬)含有50 mMホウ酸バッファー(pH 8.5))500 mLをバットに入れ、そのまま30分間静置した。その後、同様のバットに入れた洗浄・安定化液(0.5 w%スクロースおよび0.05 w%コール酸ナトリウムを含む50 mM Tris-HCl(pH 7.5)バッファー)500 mLに移して浸し、そのまま30分間静置した。メンブレンを液から取り出し、室温で一晩乾燥し、抗体固定化メンブレンとした。
バック粘着シート(ARcare9020、ニップンテクノクラスタ社)に、(1-3)で作成した抗体固定化メンブレンを貼り付けた。その際メンブレン長辺側のうち、抗hCG抗体ライン側を下側とする。抗体固定化メンブレンの下側に約2 mm重なるように(1-2)で作成した金コロイド抗体保持パッドを貼り付け、約4 mm重なるようにして金コロイド抗体保持パッド下側に試料添加パッド(18 mm×150 mmに切ったグラスファイバーパッド(Glass Fiber Conjugate Pad、ミリポア社))を重ねて貼り付けた。さらに、抗体固定化メンブレンの上側には約5 mm重なるように吸収パッド(80 mm×150 mmに切ったセルロース・グラス膜(CF6、ワットマン社))を重ねて貼り付けた。これら重ね張り合わせた部材を、部材の長辺側を5 mm幅になるように短辺に平行にギロチン式カッター(CM4000、ニップンテクノクラスタ社)切断していくことで、5 mm×55 mmのイムノクロマト用ストリップを作成した。これらをプラスチックケース(ニップンテクノクラスタ社)に入れ、試験用イムノクロマトキットとした。
1)増幅液A-1の作成
水325gに、硝酸鉄(III)九水和物(和光純薬、095-00995)を水に溶解して作成した
1mol/Lの硝酸鉄水溶液40mL、クエン酸(和光純薬、038-06925)10.5g、ドデシルアミン(和光純薬、123-00246)0.1g、C9H19-C6H4-O-(CH2CH2O)50H 0.1gを溶解させる。全て溶解したら、スターラーで攪拌しながら硝酸(10重量%,)を40mL加える。この溶液80mLを測りとり、硫酸アンモニウム鉄(II)六水和物(和光純薬、091-00855)を11.76g加えこれを増幅液A-1とした。
硝酸銀溶液10mL(10gの硝酸銀を含む)に水を加えて全体量が100gとなるようにし、増幅液A-2(10重量%硝酸銀水溶液)を作成した。
増幅液A-1 40mLを測りとり、増幅液A-2を4.25mL加え攪拌し、増幅液Aとした。
(1)hCGでの最小検出感度試験法
(1-1)増幅後の最小検出感度試験法
1質量%BSAを含むPBSバッファーにhCG(リコンビナントhCG R−506、ロ−ト製薬(株)製)を溶解し、各濃度の試験用hCG溶液を作製した。
各試験用イムノクロマトグラフキットに、各濃度の試験用hCG溶液を100μL滴下し、10分静置した。このメンブレンをケースから取り出し、吸水パットを取り除き、新たな吸水パットとして5×20mm(Cellulose Fiber Sample Pad、ミリポア社))を取り除いた場所に3枚をセロハンテープで付けた。
最も薄い濃度で判別できた濃度(「+」判定)を、そのキットで増幅した際の最小検出感度とした。
試料裏面をカーボンペーストで試料台に取り付けた後、カーボン蒸着し、日立ハイテクノロジーズ製FE-STEM S-5500で、加速電圧10KVで反射電子による試料表面の観察をSEMで行った。その後、粒子を100粒子選び、粒子の投影面積の円相当直径を測定し、平均値を算出した。
(2)の(1-1)において、検体液送液後のメンフ゛レンで、移動可能な残存金コロイドの多いメンブレンの上流側約2mmを切断することで、この残存金コロイドが増幅液と反応して生成する銀粒子(=増幅液中の粒子)がほとんどなくなるようにした。
その際の増幅時の検出ラインの視認結果(写真)を図4(上)に示す。
また、この際の最小検出感度実験の結果を表1に示す。
(2)の(1-1)において、検体液送液後のメンブレンで、移動可能な残存金コロイドの多いメンブレンの上流側約2mmを切断することなく、この残存金コロイドが増幅液と反応して生成する銀粒子が多数増幅液中に存在するようにした。この際の銀粒子の大きさは平均8μm、メンブレンの平均孔径は15μmであった。
増幅時の検出ラインの視認結果(写真)を図4(下)に示す。
また、この際の最小検出感度実験の結果を表1に示す。
2:金コロイド抗体保持パッド
3:抗体固定化メンブレン
3a: 捕捉部位
31:検出部
32:コントロール部
4:吸収パッド
5:試料添加パッド
6:増感シート
10:イムノクロマトグラフキット
Claims (7)
- 被験物質と、該被験物質に対する第一の抗体で修飾した標識物質とをこれらの複合体を形成させた状態で不溶性担体上において展開し、該被験物質に対する第二の抗体を有する不溶性担体上の反応部位において該被験物質と該標識物質を捕捉して該被験物質を検出することを含むイムノクロマトグラフ方法において、銀を含む化合物及び銀イオンのための還元剤を含む増幅液を用いて増感することによって被験物質の検出を行い、さらに上記増幅液中に固体粒子が含まれていることを特徴とするイムノクロマトグラフ方法。
- 不溶性担体が多孔性担体である、請求項1に記載のイムノクロマトグラフ方法。
- 反応部位に捕捉した標識物質の増幅後の平均粒子径が、多孔性担体の平均孔径に対し1/10以上1以下である、請求項2に記載のイムノクロマトグラフ方法。
- 増幅液中に含まれる粒子の粒径が0.5μm以上50μm以下である、請求項1から3の何れかに記載のイムノクロマトグラフ方法。
- 増幅液中に含まれる粒子が、金属粒子、金属化合物粒子、着色粒子、又は炭素粒子である、請求項1から4の何れかに記載のイムノクロマトグラフ方法。
- 金属粒子または金属化合物粒子が、銀粒子または銀化合物粒子である、請求項5に記載のイムノクロマトグラフ方法。
- (a)不溶性担体、(b)被験物質に対する第一の抗体で修飾した金属を含む標識物質、(c)被験物質に対する第二の抗体、並びに(d)銀を含む化合物、銀イオンのための還元剤、及び固体粒子を含む増幅液、を少なくとも含む、請求項1から6の何れかに記載の方法で使用するためのイムノクロマトグラフキット。
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